JP2011097919A - 食品固形物の製造方法、及びこの食品固形物を添加した食品 - Google Patents

食品固形物の製造方法、及びこの食品固形物を添加した食品 Download PDF

Info

Publication number
JP2011097919A
JP2011097919A JP2010173226A JP2010173226A JP2011097919A JP 2011097919 A JP2011097919 A JP 2011097919A JP 2010173226 A JP2010173226 A JP 2010173226A JP 2010173226 A JP2010173226 A JP 2010173226A JP 2011097919 A JP2011097919 A JP 2011097919A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
food
glucose
producing
solid
sugar
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010173226A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6192150B2 (ja
Inventor
Takeshi Saito
武 斉藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
ACERA KK
Original Assignee
ACERA KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ACERA KK filed Critical ACERA KK
Priority to JP2010173226A priority Critical patent/JP6192150B2/ja
Publication of JP2011097919A publication Critical patent/JP2011097919A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6192150B2 publication Critical patent/JP6192150B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Dairy Products (AREA)
  • Grain Derivatives (AREA)
  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
  • Edible Oils And Fats (AREA)
  • Tea And Coffee (AREA)
  • Soy Sauces And Products Related Thereto (AREA)
  • Storage Of Fruits Or Vegetables (AREA)
  • Jellies, Jams, And Syrups (AREA)
  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)
  • Alcoholic Beverages (AREA)
  • Distillation Of Fermentation Liquor, Processing Of Alcohols, Vinegar And Beer (AREA)
  • Food Preservation Except Freezing, Refrigeration, And Drying (AREA)
  • Seeds, Soups, And Other Foods (AREA)
  • Meat, Egg Or Seafood Products (AREA)
  • Seasonings (AREA)

Abstract

【課題】
食品(食品素材)の糖固形物を製造する方法、及び得られる糖固形物を添加した食品を提供することを目的とする。
【解決手段】
(1)均一な組成を有する食品に対し、ブドウ糖を添加して溶解し、その組成物の糖度(室温におけるBrix値)を60%〜80%に調製して放置する食品固形物の製造方法。
(2)食品が、果汁又は濃縮果汁、蜂蜜、メープルシロップ、黒糖液等の糖濃度の高い溶液、牛乳、卵、醸造物(醤油、味噌、甘酒、酒類、酢等)、野菜、肉類、魚類、海藻類の分解物や抽出物、嗜好品(茶、コーヒー、ココア等)、香辛料、これらの食品素材や各種食品添加物等を添加して作製した調味液類、ソース類、スープ類である前記(1)の食品固形物の製造方法。
(3)前記(1)および(2)に記載する方法を適用して製造された食品固形物又はその粉末を添加して製造した食品。
(4)前記食品固形物を含有するファットスプレッド及びホイップクリーム。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、食品にブドウ糖を添加して食品固形物(以下糖固形物とも言う)を製造する方法、さらに詳しくは、ほぼ均一な組成を有する食品に対し、ブドウ糖を添加して溶解し、その組成物の糖度(室温におけるBrix値)を60%〜80%に調製して放置する食品固形物の製造方法に関する。ここで、「ほぼ均一な組成を有する食品」とは、透明果汁のような純溶液状の食品ばかりではなく、味噌、甘酒等のように、一部水に不溶性の固形物が混在している食品も含まれる意味である。
本発明により得られる、様々な食品、食品素材、又は食品添加物等の食品固形物は、それ自体をそのまま食することができるほか、種々の食品に添加して、従来存在しなかった外観、機能性、風味を有する食品を製造することができる。
糖水溶液を固形化した食品素材としてフォンダンがある。フォンダンとは、主成分のショ糖と少量の水飴や転化糖を混合した水溶液を115〜120℃で煮詰めてから急速に冷却することにより過飽和状態とし、機械攪拌による刺激によってショ糖の結晶化を促進することにより製造される。成長が制御された微細な結晶が高濃度の糖蜜中に均一に分散しており、クリーム状で舌触りも滑らかである。一般的には、パンや洋菓子のデコレーション等に用いられる。
ショ糖は虫歯や血糖値上昇の原因になるという理由で、キシリトール(例えば、特許文献1参照)、パラチノース(例えば、特許文献2参照)、マルチトール(例えば、特許文献3参照)、ラクチトール(例えば、特許文献4参照)、マンニトール(例えば、特許文献5参照)等、糖アルコールを主成分としたフォンダン又はフォンダン様糖菓が開発されている。
しかしながら上記フォンダン又はフォンダン様糖菓は、いずれも100℃を大きく超える温度で煮詰め、その後冷却するというショ糖を主体とするフォンダンと同様の製造方法で製造されている。また、目的はあくまでもフォンダンとして使用するための素材を提供することであって、糖や糖アルコールの結晶化能力を利用して他の溶液成分を固形化することを意図したものではない。
果汁、野菜等の濃縮ジュースに無水デキストロースを加えて水和させることによる粉末ジュースの製造方法(例えば、特許文献6参照)、水を吸着しうるか又は無水の天然甘味物質と天然果汁とを混合して固形物を形成し、これを粉末化する天然果汁含有粉末の製造方法(例えば、特許文献7参照)、無水結晶ブドウ糖と濃縮果汁と抗酸化素材を混合して固化させ、その固化物を粉末化する方法(例えば、特許文献8参照)等が開示されている。
特許文献6〜特許文献8は無水デキストロースや無水の甘味料に水和物を作らせることで果汁等のジュースの水分を固化し、ジュースを固形化後粉砕する技術である。これらの方法は、熱をかける必要が無いために色や香り、味の変質や喪失は少ないが、無水の糖類が固化できる水分量が20〜30%程度であるため添加できるジュースの量が全体の20〜30%と少ない。また、固化したジュースはかなり硬い。
果物の甘味はショ糖、ブドウ糖、果糖に由来するが、その糖組成は果物により異なり、いくつかのパターンに分類される(非特許文献1)。非特許文献1によれば、全糖中ショ糖が50%以上を占めるものをショ糖型、還元糖が50%以上を占めるものを還元糖型とし、さらにこのうちブドウ糖の多いものをブドウ糖型、果糖の多いものを果糖型、両者がほぼ同等の含有量であるものを等量型としている。また、ショ糖、ブドウ糖、果糖がほぼ等量ずつ含まれるものを平衡型としている。この分類に従えば、ショ糖型の果物は温州みかん、柿、樹上で完熟したスモモ、ネクタリン、パイナップル、追熟後のバナナ、モモ等、ブドウ糖型の果物はウメ、キウイフルーツ、オウトウ等、果糖型の果物は西洋ナシ、日本ナシ、ビワ、リンゴ等、等量型の果物はブドウ、イチゴ(完熟果)等、平衡型の果物は完熟前のスモモ、イチゴ等がある。
果物の多くは、ショ糖をブドウ糖と果糖に分解する酵素であるインベルターゼを持つ。この酵素の失活が不十分だと果汁や濃縮果汁の製造途中でショ糖がブドウ糖と果糖に分解され、果物の時とは異なる糖組成の果汁となる(非特許文献2〜非特許文献4参照)。果実はショ糖型でも果汁や濃縮果汁になると還元糖型になっている可能性があり、果糖含有量の高い果汁は多く流通していると思われる。
果糖は、非常に結晶化しにくい糖として知られる。還元糖型に分類される果汁は果糖含有量が高いため、異性化糖のように加熱等によって糖度を高めただけでは容易に結晶化しない。ショ糖は純度が高ければ結晶化は可能だが、果汁の場合ショ糖型であっても不純物が多いため、糖度を高めても結晶化は難しい。また、真空凍結乾燥によって乾燥しても、吸湿性が高いため乾燥状態を維持するのが難しい。粉末果汁は賦形剤を加えた噴霧乾燥法によるものが大半であるが、高熱がかかるため色や香りが著しく劣化する。また、フォンダン又はフォンダン様糖菓を製造する際に果汁若しくは濃縮果汁を加えても、加熱温度が高いため果汁の色や風味が著しく劣化する。
トレハロースとマルトシルトレハロース(商品名ハローデックス、林原商事)を果汁に添加して結晶化させる技術が開示されている(http://WWW.hayashibarashoji.jp/product/treha/pdf/topicsNo35.pdf)。
上記アドレスでインターネット上に公開されている方法は、トレハロースの応用技術の一つである。この方法で製造した結晶果汁は、ソフトでしっとりとした性状であると説明されている。しかしながら原料のトレハロース及びマルトシルトレハロースは、食品用の甘味料としては林原商事のほぼ独占販売であり価格も高い。加えて、トレハロースは食品原料ではなく食品添加物として扱われることになったため、果汁と等重量に近い量を添加することには大きな抵抗がある。また、結晶化の条件はインターネット上では詳細に提示されていない。
基材としてデキストリン(例えば特許文献9)、ゼラチン(例えば特許文献10)、水溶性多糖類(例えば特許文献11)、環状デキストリン(例えば特許文献12)、グルコース重合度が8以下のオリゴ糖類が50%以上でグルコース重合度2以下の糖類が10%以下の澱粉加水分解物(例えば特許文献13)、アルケニルコハク酸エステル化澱粉(例えば特許文献14)を使用し、噴霧乾燥にて製造する粉末酒の製造方法が開示されている。
特開平7−155109 特開平8−89175 特開平9−224577 特開昭64−2534 特開2007−215450 特開昭48−023959 特開昭53−024054 特開平11−243926 特公昭47−39355 特公昭49−4960 特公昭53−33676 特開昭55−114283 特公昭59−37074 特開2009−247350
伊藤三郎編,果実の科学,pp63,1991,朝倉書店 山梨県工業技術センター研究報告No.5,93−96,1991 日本食品工業学会誌,39巻,9号,796−799,1992 日本食品科学工学会誌,46巻,1号,24−28,1999
液体で流通している食品や食品素材は非常に多いが、固形物にすることによって用途が大きく広がったものも数多い。寒天やゼラチンで固めたゼリーは代表的な例であるが、柔らかく崩れ易いのが欠点である。また、油脂と混合することが難しい。乾燥やそれに伴う粉末化も有力な方法であるが、加熱による変質や賦形剤の添加による口溶けの悪さなど欠点も多い。
本発明は、安価なブドウ糖を添加することにより、(a)食品又は食品素材を固形化し、ソフトで滑らかな舌触りの固形物を提供すること、(b)ブドウ糖を添加して糖度を高めると共に固形化により水分の流動性を非常に小さくすることで保存性を大幅に向上させること、(c)水溶液では混合できないバターやマーガリン等の食用油脂に対して混合を可能にすること等の、従来には無い性質を持った糖固形物を提供することを目的とするものである。
本発明者は、上記の目的を達成するために研究を重ねた結果、まず濃縮果汁に含有する果糖若しくはショ糖或いは両者の合計含有量に対して数倍量のブドウ糖を添加することにより果汁が結晶化できることを見出した。これをヒントとして、いろいろな溶質濃度の水溶液にブドウ糖を溶解し、且つ溶解後の糖度を調製することで水溶液が固形化できることを見出した。できた固形物はブドウ糖と溶質(組成物の固形分)の混合割合によって硬さが異なる。更に、酒や醸造酢等、エタノールや酢酸を含む水溶液についても同様に固形化できることを見出した。ブドウ糖を溶解する際に必要な温度はブドウ糖が溶液に溶解する温度で良く、特許文献1〜特許文献5に示されるような高温で煮詰める必要は無い。
従って、本発明は以下請求項1〜請求項24のように構成されている。
<請求項1> ほぼ均一な組成を有する食品に対し、ブドウ糖を添加して溶解し、その組成物の糖度(室温におけるBrix値)を60%〜80%に調製して放置することを特徴とする食品固形物の製造方法。
<請求項2> 食品の糖度(室温におけるBrix値)が0〜72%である請求項1に記載する食品固形物の製造方法。
<請求項3> ブドウ糖の含有量が、食品固形物の30重量%以上になるようにブドウ糖を添加する請求項1、又は請求項2に記載する食品固形物の製造方法。
<請求項4> 食品が果糖、又は/及びショ糖を含有する請求項1〜請求項3記載の食品固形物の製造方法。
<請求項5> 果糖とショ糖の和重量の3倍重量以上のブドウ糖を添加する請求項4に記載する食品固形物の製造方法。
<請求項6> ショ糖重量が溶液中の全糖の90%以上を占める食品のショ糖重量と等重量以上のブドウ糖を添加する請求項4に記載する食品固形物の製造方法。
<請求項7> 食品が果汁、濃縮果汁又は蜂蜜である請求項4、又は請求項5に記載する食品固形物の製造方法。
<請求項8> 食品がメープルシロップ又は黒糖液である請求項4、又は請求項6に記載する食品固形物の製造方法。
<請求項9> 食品が牛乳又は卵である請求項1〜請求項3に記載する食品固形物の製造方法。
<請求項10> 牛乳にブドウ糖を添加して、その組成物の糖度(室温におけるBrix値)を64%以上に調製して放置することを特徴とする食品固形物の製造方法。
<請求項11> 全卵にブドウ糖を添加して、その組成物の糖度(室温におけるBrix値)を65%以上に調製して放置することを特徴とする食品固形物の製造方法。
<請求項12> 卵黄にブドウ糖を添加して、その組成物の糖度(室温におけるBrix値)を70%以上に調製して放置することを特徴とする食品固形物の製造方法。
<請求項13> 卵白にブドウ糖を添加して、その組成物の糖度(室温におけるBrix値)を62%以上に調製して放置することを特徴とする食品固形物の製造方法。
<請求項14> 食品が味噌、醤油、甘酒、酒類、酢等の醸造物である請求項1〜請求項3に記載する食品固形物の製造方法。
<請求項15> 食品が野菜類、肉類、魚類、若しくは海藻類の粉砕物、分解物、又は抽出物である請求項1〜請求項3に記載する食品固形物の製造方法。
<請求項16> 食品が茶、コーヒー、又はココア等の嗜好品である請求項1〜請求項3に記載する食品固形物の製造方法。
<請求項17> 食品が香辛料の粉末、搾汁液或いは抽出物である請求項1〜請求項3に記載する食品固形物の製造方法。
<請求項18> 食品が各種の食品素材や食品添加物を溶解して作製した調味液、ソース、又はスープである請求項1〜請求項3に記載する食品固形物の製造方法。
<請求項19> ブドウ糖を添加した後、組成物を白濁するまで良く攪拌し、空気を十分含ませる請求項1〜請求項18に記載する食品固形物の製造方法。
<請求項20> 請求項1〜請求項19に記載する製造方法を適用して得られる食品固形物をそのまま或いは乾燥して粉砕することにより得られる粉末。
<請求項21> 請求項1〜請求項20に記載する方法を適用して製造された食品固形物又は粉末を添加して製造した食品。
<請求項22> 請求項1〜請求項21に記載する製造方法を適用して得られる食品固形物又は粉末を、食用乳化油脂に添加して得られる食品。
<請求項23> 食用乳化油脂が、バター又はマーガリンである請求項22のファットスプレッド。
<請求項24> 請求項1〜請求項23に記載する製造方法を適用して得られる食品固形物又は粉末を添加して得られるホイップクリーム。
なお、前記記載のブドウ糖は、すべて無水物換算量である。
本発明によれば、できた糖固形物(例えば牛乳から得られる糖固形物)は柔らかく、なめらかでとても舌触りが良い。従って、様々な菓子類のフォンダンやクリームのように使用できる。また、糖度を70%以上になるようにブドウ糖を添加すれば、牛乳や卵のような腐敗し易い食品素材を安定的に長期保存することが可能になる。本発明の糖固形物から得られる粉末は飲料に供するだけでなく、様々な食品の原料として使用できる。更に、本発明の糖固形物入りのファットスプレッドやホイップクリームは、多くのパンやケーキ類に使用して固形物の色や香り、味と油脂のコクが一体化した新しい風味を提供することができる。
本発明において、固形化する組成物(糖度が80%以下の食品、又は食品素材、以下溶液とも言う)は、果汁や濃縮果汁、蜂蜜、メープルシロップ、黒糖液のような糖濃度の高い液体、牛乳や卵のような天然の液状物や味噌、醤油、甘酒、酒類、酢等の醸造物、野菜、果物の搾汁液やピューレ、肉や魚介類のエキスや挽肉、魚粉のような粉砕物、茶やコーヒー、ココア等嗜好品となる抽出物や粉砕物、生姜や胡椒、山椒、ウコン、ニンニク等の香辛料の搾汁液やピューレ、粉末、抽出物、その他各種食品添加物が入っているものであれば、単一成分の水溶液(例えば牛乳や全卵)、混合成分の水溶液(例えばミルク入りコーヒーやソース類)、ペースト状食品(例えば、味噌、酒かす)等何れの場合でも良い。
なお、本願発明に使用(添加)するブドウ糖は、無水結晶ブドウ糖、含水結晶ブドウ糖、又は全糖ブドウ糖等、その種類を問わない。
組成物中の溶質量を、自動温度補正手持屈折計でBrix値として測定する。以下、本明細書に記載されたBrix値は、全て室温(20℃〜30℃)での値とする。
組成物中のブドウ糖含有量が30重量%以上になるようブドウ糖を添加して組成物のBrix値を60〜80%、好ましくは70〜80%に調製する。果糖の含有量が高い果汁や濃縮果汁、蜂蜜の場合はBrix値の調整だけでなくブドウ糖以外の糖に対して3倍以上のブドウ糖を添加する必要がある。また、メープルシロップや黒糖液のようなショ糖を90%以上含む溶液の場合、ショ糖と等重量以上のブドウ糖を加えないとBrix値の調整だけでは固形化しない。上記のような糖含有量の高い食品以外は、例えば、市販の牛乳のBrix値が14%の場合、この牛乳100gにブドウ糖を更に添加してBrix値を70%に調製するには、計算上186.43g添加する。鶏卵の卵黄はBrix値が46%あるので、卵黄100gに対してブドウ糖を79.6g添加すると計算上Brix値が70%になる。
組成物にブドウ糖を添加後、沸騰水中に浸してブドウ糖を溶解する。組成物の加熱はブドウ糖を溶解するために行うので、少しずつ加えながら溶解するのであれば沸騰させるほど過熱しなくても良い。特に、牛乳や卵は沸騰するほど過熱すると蛋白質が凝固してしまうので、60℃以下の加温でブドウ糖を溶解させることが望ましい。また、酒や酢は加熱するとアルコールや酢酸が揮発するため、密閉容器中で溶解することが望ましい。特許文献1〜特許文献5に記載のフォンダン又はフォンダン様糖菓の製造方法にあるような煮詰めの工程(110℃以上の加熱による濃縮)は、蛋白質を凝固させたり色や風味が著しく劣化したりして好ましくない場合が多い。ブドウ糖溶解後は、室温付近まで冷めるのを待つか冷却する。冷却後Brix値を測定し、目的のBrix値になっているかどうか確認する。
糖度調製後はそのまま静置しておいても数日〜2週間で固形化するが、ハンドミキサーやホモミキサー等の攪拌機で白濁するよう十分空気を含ませて攪拌すると、固形化が促進される。
上記のような糖固形物は真空凍結乾燥で容易に水分を除去することができ、漆喰状の固形物が得られる。この固形物を粉砕すれば粉末となる。酒や酢の場合はBrix値の調整によって非常に硬い固形物を製造できるため、そのような固形物をそのまま粉砕することによっても粉末化できる。
上記のような糖固形物は、温度が高くなるにつれて柔らかくなる。糖固形物とバターやマーガリンのような固形油脂を容器に入れて糖固形物が柔らかくなるまで加熱してから攪拌すると、油脂と糖固形物を均一に混ぜることができる。糖固形物と固形油脂の混合比率は任意に決めることができる。
均一に混合後冷蔵庫に入れて冷却すると、上記糖固形物入りのファットスプレッドができる。このファットスプレッドは、焼いたトーストに塗っても40℃程度ならば容易には分離せず、水溶液の溶質と甘味と油脂が一体化した風味を味わうことができる。酒や酢の場合は、エタノールや酢酸の風味も加味される。
以下、種々の食品の固形化例を挙げて説明する。
100ml容量のサンプル瓶を11本用意し、ブドウ糖を30gから40gまで2gずつ変えて入れ、それぞれの瓶の内容量が50gになるよう純水を加えた。しっかり蓋をして蒸発を防止した後これらの瓶を沸騰水中に浸し、時々瓶を振りながらブドウ糖を溶解した。溶解後各瓶を水道水に浸して冷却し、室温程度まで冷えてからホモジナイザー(AHG−160D、アズワン株式会社)で7,000rpm、3分間攪拌した。攪拌後静置し、固形化の様子を一週間観察した。結果を表1に示す。尚、等濃度のブドウ糖溶液とショ糖溶液のBrix値の差は非常に小さいので、ブドウ糖をショ糖と見なしてBrix値を表示した。
Figure 2011097919
表1に示されるように、ブドウ糖水溶液はBrix値66%以上で固形化することがわかる。Brix値64%の場合、更に観察を続ければ固形化する可能性があると思われた。従って、以後溶液が固形化するブドウ糖添加量の下限値は、△で示す値とすることにした。
固形化し難い溶質の例として果糖、条件によって固形化(結晶化)する溶質の例としてショ糖を選び、Brix値をブドウ糖水溶液が固形化する下限付近の64%と66%、固形化し易いと思われる70%と76%、ブドウ糖が溶解する上限に近い80%に設定し、それぞれのBrix値でブドウ糖と果糖及びブドウ糖とショ糖の含有比率をいろいろと変えた糖溶液を実施例1の場合と同様に50gずつ作製した。各糖溶液は実施例1の場合と同様に冷却後攪拌を行い、静置して固形化の様子を一週間観察した。結果を表2〜表6に示す。尚、果糖溶液とショ糖溶液のBrix値の差も非常に小さいので、果糖をショ糖と見なしてBrix値を合わせた。
Figure 2011097919
Figure 2011097919
Figure 2011097919
Figure 2011097919
Figure 2011097919
表2〜表6に示されるように、Brix値が64%の場合、ブドウ糖と果糖の混合溶液ではブドウ糖:果糖=26:6以上、ブドウ糖とショ糖の混合溶液ではブドウ糖:ショ糖=24:8以上の比率でブドウ糖が多くないと固形化しない。Brix値が66%の場合、ブドウ糖と果糖の混合溶液ではブドウ糖:果糖=24:9以上、ブドウ糖とショ糖の混合溶液ではブドウ糖:ショ糖=20:13以上の比率でブドウ糖が多くないと固形化しない。Brix値が70%の場合、ブドウ糖と果糖の混合溶液ではブドウ糖:果糖=22:13以上、ブドウ糖とショ糖の混合溶液ではブドウ糖:ショ糖=18:17以上の比率でブドウ糖が多くないと固形化しない。Brix値が76%の場合、ブドウ糖と果糖の混合溶液ではブドウ糖:果糖=19:19以上、ブドウ糖とショ糖の混合溶液ではブドウ糖:ショ糖=18:20以上の比率でブドウ糖が多くないと固形化しない。Brix値が80%の場合、ブドウ糖と果糖の混合溶液ではブドウ糖:果糖=20:20以上、ブドウ糖とショ糖の混合溶液ではブドウ糖:ショ糖=16:24以上の比率でブドウ糖が多くないと固形化しない。
果糖のような固形化し難い溶質の場合、ブドウ糖添加量が最も少ないのはBrix値76%の場合のブドウ糖:果糖=19:19で、ブドウ糖含有量は38重量%であった。自らも結晶化する能力があり、溶液の固形化に際してブドウ糖を補佐すると思われるショ糖を溶質とした場合、ブドウ糖添加量が最も少ないのはBrix値80%の場合のブドウ糖:ショ糖=16:24で、ブドウ糖含有量は32重量%であった。
以上は純度の高い単糖類、二糖類での試験のため、添加した糖の含有量とBrix値はほぼ一致する。しかしながら、溶液によっては、溶解したブドウ糖量がそのままBrix値に反映されない場合もあり得るので、ある溶液にブドウ糖を添加する場合、以下の式で溶質が全て純粋なブドウ糖である場合に予想されるBrix値(理論上のBrix値)と添加後の実測値を比較することにした。
ある溶液のBrix値をXとする。この溶液100gにブドウ糖を溶解してBrix値Yの溶液を作製する場合のブドウ糖添加量Zは、以下の式で算出できる。
Figure 2011097919
食品素材の中で、果汁や濃縮果汁、メープルシロップ、蜂蜜、黒糖液等は糖の含有量が高い。果汁や濃縮果汁はブドウ糖以外の糖として果糖やショ糖の含有量の高いものが多い。そこで、これらの食品素材については糖分析を行って糖の組成を明らかにすると共に、固形化するためのブドウ糖の添加量を詳細に検討した。
業務用に市販されているバナナ濃縮果汁(3倍濃縮)、桃濃縮果汁(5倍濃縮)、メープルシロップの糖度を自動温度補正手持屈折計(MASTER−A2T:Brix28.0〜62.0、MASTER−A4T:Brix45.0〜82.0、アズワン株式会社)で測定後、高速液体クロマトグラフ(ポンプ:LC−20AD、カラムオーブン:CTO−20A、システムコントローラー:SCL−10AVP、検出器:RID−10A、株式会社島津製作所)で糖分析した。カラムはAsahipak NH2P−50 4E、4.6mmi.d.×250mm(昭和電工株式会社)、カラム温度は35℃、溶離液は75%(容量比)アセトニトリル水溶液、流速は1ml/分で行った。結果を表7に示す。
Figure 2011097919
表7に示された結果から、バナナ濃縮果汁は還元糖型の内の等量型、桃濃縮果汁はショ糖型に分類されることがわかる。メープルシロップは、全糖の97.2%がショ糖であった。
バナナ濃縮果汁中の果糖含有量に対して6倍重量、5倍重量、4倍重量、3倍重量、2倍重量、1倍重量になるようブドウ糖(無水物、以下同じ)を添加し、90℃の温浴で均一になるよう溶解した。溶解後各果汁溶液をロータリーエバポレーター(RE400、ヤマト科学株式会社)で減圧濃縮し、糖度を80%以上に上げた後純水を加えて正確に80%に合わせた。この溶液を50ml遠心チューブに20g移し、残りの溶液に純水を加えて糖度を正確に78%に合わせた。この溶液を50ml遠心チューブに20g移し、残りの溶液に純水を加えて糖度を正確に76%に合わせた。この操作を繰り返し、糖度が2%間隔で異なる果汁溶液を糖度60%まで作製した。同様に、桃濃縮果汁中の果糖とショ糖の合計含有量に対して6倍重量、5倍重量、4倍重量、3倍重量、2倍重量、1倍重量になるようブドウ糖を添加し、溶解後糖度が2%間隔で異なる果汁溶液を糖度80%から60%まで作製した。メープルシロップについても、シロップ中のショ糖含有量に対して6倍重量、5倍重量、4倍重量、3倍重量、2倍重量、1倍重量になるようブドウ糖を添加し、溶解後糖度が2%間隔で異なる溶液を糖度80%から60%まで作製した。これら溶液の入った全ての遠心チューブを室温で静置し、固形化の状態を2週間観察した。結果を表8〜表10に示す。
Figure 2011097919
Figure 2011097919
Figure 2011097919
表8〜表10に示されるように、バナナ濃縮果汁、桃濃縮果汁、メープルシロップに含有される果糖やショ糖と添加したブドウ糖との比率、及び糖度は溶液の固形化に非常に大きく関係している。いずれも添加するブドウ糖の比率が高いほど低い糖度で固形化する。また、バナナ濃縮果汁や桃濃縮果汁はG/F或いはG/Tが3以上でないと糖度が80%以上でも固形化しないが、メープルシロップはG/Sが1でも糖度が80%以上で固形化する。これは、メープルシロップには不純物が少ないからだと考えられる。
蜂蜜はバナナの例を参考にし、果糖とブドウ糖の比率を1:4になるよう蜂蜜20gに対しブドウ糖を32g添加して水を加え、Brix値を75%に調製した。2週間静置して観察し、固形化することを確認した。
実施例4の場合と同様にバナナ濃縮果汁中の果糖含有量に対して6倍重量、5倍重量、4倍重量、3倍重量、桃濃縮果汁中の果糖とショ糖の合計含有量に対して6倍重量、5倍重量、4倍重量、3倍重量、メープルシロップ中のショ糖含有量に対して6倍重量、5倍重量、4倍重量、3倍重量のブドウ糖を添加した溶液を作製し、各々の溶液について糖度80%と75%の2種類を調製した。更に各溶液を100mlのガラスビーカー2個に25gずつ分注し、一方はそのまま、他方はホモジナイザー(エースホモジナイザー、株式会社日本精機製作所)で5000rpm、3分間攪拌した。これらのビーカーを室温で静置し、固形化の状態を1週間観察した。結果を表11に示す。
Figure 2011097919
表11に示されるように、攪拌処理をすると固形化が促進されることがわかる。果汁の場合糖度が高いほど、また、ブドウ糖の含有比率が高いほど攪拌処理の効果が大きく、短時間で固形化できる。メープルシロップの場合、ブドウ糖の含有比率が高いほど速く固形化したが、糖度80%よりも75%の方が、固形化が速い傾向が見られた。尚、バナナ濃縮果汁や桃濃縮果汁の場合一部固形化や固形化しない例が見られ実施例4と矛盾するようであるが、実施例4は2週間、本実施例は1週間の観察結果で観察期間が異なる。特に果糖含有量の高いバナナ濃縮果汁は、固形化するまでの時間が長い。
業務用に販売されているスイカ、温州みかん、巨峰の5倍濃縮果汁及びアカシアの蜂蜜(中国産)のBrix値と糖の分析を実施例3と同様の方法で行った。結果を表12に示す。
Figure 2011097919
スイカと温州みかんはショ糖型に分類されるが、スイカの場合果糖も全糖の約35.5%と多く無視できない。温州みかんにも果糖がショ糖の1/3以上含まれており、両者は単純なショ糖型果汁ではないことがわかる。巨峰は果糖とブドウ糖をほぼ等量含有しており、等量型であることが確認できた。蜂蜜は果糖とブドウ糖がほぼ3:2の割合であった。
各濃縮果汁及び蜂蜜のブドウ糖含有量が果糖+ショ糖含有量の約4倍量になるようブドウ糖を添加(各濃縮果汁及び蜂蜜100gに対して、スイカには160g、温州みかんには100g、巨峰には80g、蜂蜜には160gを添加)し、90℃の温浴で均一になるよう溶解した。その後水を加えて糖度を75%に調製し、ホモジナイザー(エースホモジナイザー、株式会社日本精機製作所)で5000rpm、3分間攪拌した後静置した。スイカは2日、温州みかんと巨峰は3日、蜂蜜は4日で全量固形化し、本技術でいろいろなタイプの果汁及び蜂蜜を固形化できることがわかった。
各果汁及び蜂蜜を固形化した後、真空凍結乾燥機(DC800、ヤマト科学株式会社)で凍結乾燥した。各乾燥物は漆喰のような状態となり、ミル(TM807、株式会社テスコム)で容易に粉砕できた。粉砕物を60メッシュの篩にかけることにより、粉末を得た。
実施例5で作製したG/S=4、糖度75%のメープルシロップの固形物と実施例6で作製した巨峰濃縮果汁の固形物を40℃に設定した孵卵器内に1時間放置し、固形物の様子を観察した。その後45℃、1時間、50℃、1時間、55℃、1時間、60℃、1時間、65℃、1時間と順次温度を上げて保温試験を行い、固形物が壊れて液体になる温度を調べた。両固形物とも温度が高くなるにつれて柔らかくなり、メープルシロップは65℃、巨峰は50℃で固形物が壊れて液体になることがわかった。
上記巨峰濃縮果汁の固形物と十勝牧場バター(よつ葉乳業株式会社)を固形物/バター=1/2、1/1、2/1、3/1、4/1(重量比)となるようガラスビーカーに取り、45℃に設定した孵卵器に15分間静置した。15分後バターは完全に溶け、結晶はドロドロの状態まで柔らかくなっていた。これらをホモジナイザー(エースホモジナイザー、株式会社日本精機製作所)で攪拌し、バターと固形物を均一に混合した後冷蔵庫に保管して固化させた。
上記メープルシロップの固形物と十勝牧場バター(よつ葉乳業株式会社)を固形物/バター=1/2、1/1、2/1、3/1、4/1(重量比)となるようガラスビーカーに取り、60℃に設定した孵卵器に15分間静置した。15分後バターは完全に溶け、固形物はドロドロの状態まで柔らかくなっていた。これらをホモジナイザー(エースホモジナイザー、株式会社日本精機製作所)で攪拌し、バターと固形物を均一に混合した後冷蔵庫に保管して固化させた。
上記のように、本発明の糖溶液固形物をバターやマーガリン等常温で固形の食用油脂乳化物に任意の割合で混合して固化させ、スプレッドを作ることが可能である。食パンをオーブントースターで焼き、焼き上がり後直ちに上記の各スプレッドを塗って試食したところ、各スプレッドはバターと固形物成分が分離することなく、巨峰果汁やメープルシロップの風味とバターのコクが一体となった豊かな味をパンに付与した。
さらに、上記巨峰濃縮果汁の固形物50gを50℃の温浴に浸漬し、ドロドロの状態になったところで30gをホイップ用植物性脂肪(スジャータホイップ、株式会社東京めいらく)70gに添加して、氷水上に浮かべたボール内で泡だて器を用いて攪拌した。薄い紫色でほんのり甘く、ブドウの風味のするホイップクリームが製造できた。
市販されている巨峰のストレート果汁及び濃縮果汁(前記実施例の濃縮果汁とは別のもの)を入手し、自動温度補正手持屈折計(MASTER−A1T、アズワン株式会社)でそれぞれのBrix値を測定したところ、ストレート果汁は18.0%、濃縮果汁は51.2%であった。実施例3の場合と同様に糖分析を行ったところ、ストレート果汁の果糖及びブドウ糖の含有量はそれぞれ8.45 g/100g及び7.78g/100g、濃縮果汁は20.34g/100g及び22.14g/100gであった。これらを20gずつ100ml容量のサンプル瓶に入れ、ストレート果汁は(1)式に従ってBrix値が計算上それぞれ72%、70%、68%、66%、64%、62%、60%になるようブドウ糖を溶解した。一方、濃縮果汁は計算上それぞれ76%、74%、72%、70%、68%、66%、64%になるようブドウ糖を溶解した。ブドウ糖が溶解した後実際のBrix値を自動温度補正手持屈折計(MASTER−A4T、アズワン株式会社)で測定した。測定後、各溶液をホモジナイザー(AHG−160D、アズワン株式会社)で7,000rpm、3分間攪拌し、室温に静置して一週間固形化の様子を観察した。結果を表13に示す。
Figure 2011097919
表13に示されるように、巨峰のストレート果汁はBrix値(実測値)が64.7%以上、濃縮果汁は68.4%以上で固形化することがわかった。このときのストレート果汁中の果糖に対するブドウ糖の割合は約17.6倍、濃縮果汁中の果糖に対するブドウ糖の割合は約4.2倍であった。果汁の濃度が薄い場合、固形化の要因はブドウ糖と果糖の比率よりもBrix値にあることがわかる。また、濃縮果汁についても、Brix値が50%〜60%であれば特に果糖の含有量を考慮せず、Brix値の調製のみで固形化できる。更に、バナナ、モモ、ブルーベリー、イチゴ、リンゴ、温州みかん、パイナップルのストレート果汁と濃縮果汁を用意し、それぞれのBrix値を自動温度補正手持屈折計(MASTER−A1T、アズワン株式会社)で測定した。表13の結果から、ストレート果汁の場合、Brix値が計算上70%、濃縮果汁の場合は75%になるようブドウ糖を添加すれば固形化できると予想し、各ストレート果汁に対してはBrix値が計算上70%、各濃縮果汁に対しては75%になるようブドウ糖を溶解した。溶解後は、実際のBrix値を自動温度補正手持屈折計(MASTER−A4T、アズワン株式会社)で測定した。各溶液をホモジナイザー(AHG−160D、アズワン株式会社)で7,000rpm、3分間攪拌して室温に静置し、一週間固形化の様子を観察した。結果を表14に示す。
Figure 2011097919
表14で示されるように、Brix値が10%〜21%の範囲にあるストレート果汁については、理論的にBrix値が70%になるようにブドウ糖を添加すれば、ほとんどの果汁が固形化できる。また、Brix値が30%〜70%の範囲にある濃縮果汁については、理論的にBrix値が75%になるようにブドウ糖を添加すれば、ほとんどの果汁が固形化できる。
実施例3〜実施例8で示されたように、Brix値が70%を超えるような高い濃縮率で無い限り、濃縮果汁に関しては果糖やショ糖の含有量を調べなくてもブドウ糖を添加してBrix値が73%〜75%になるように調製するだけで固形化できることがわかる。メープルシロップについては、含有している糖のほとんどがショ糖であるため、Brix値だけでなくショ糖含有量を考慮する必要がある。
市販されている成分無調整の牛乳(牧場牛乳、株式会社ヤツレン)を自動温度補正手持屈折計(MASTER−A1T、アズワン株式会社)で測定したところ13.0%であった。この牛乳を20gずつ100ml容量のサンプル瓶7本に入れ、(1)式に従ってBrix値が計算上それぞれ72%、70%、68%、66%、64%、62%、60%になるようブドウ糖を溶解した。溶解の温度は、牛乳の蛋白質が固まらないよう60℃に設定した。ブドウ糖が溶解した後実際のBrix値を自動温度補正手持屈折計(MASTER−A4T、アズワン株式会社)で測定した。測定後、各溶液をホモジナイザー(AHG−160D、アズワン株式会社)で7,000rpm、3分間攪拌し、室温に静置して一週間固形化の様子を観察した。更に、この牛乳をロータリーエバポレーター(RE400、ヤマト科学株式会社)で減圧濃縮し、Brix値を25.0%に調製した。濃縮していない牛乳の場合と同様に7種類のBrix値の異なるブドウ糖添加溶液の作製とBrix値の測定及び攪拌操作を行い、一週間固形化の様子を観察した。結果を表15に示す。
Figure 2011097919
表15に示されるように、各溶液のBrixの実測値は、理論値に比べて1〜2%程度低かったが、極端な差は出なかった。また、濃縮していない牛乳はBrix値(実測値)が62.4%以上、約2倍に濃縮した牛乳は66.6%以上で固形化することがわかった。尚、本実施例の濃縮牛乳のBrix値は、無糖練乳のそれに近い値である。
市販されている生の鶏卵を購入し、殻を割って中身を取り出した。一部は卵黄と卵白を分離し、全卵、卵黄、卵白をそれぞれホモジナイザー(AHG−160D、アズワン株式会社)を用い、7,000rpmで3分間ホモジナイズした。ガーゼで濾した後、自動温度補正手持屈折計(MASTER−A1T、アズワン株式会社)でそれぞれのBrix値を測定したところ、全卵は25.6%、卵黄は46.4%、卵白は13.6%であった。これらを20gずつ100ml容量のサンプル瓶に入れ(各種類7本ずつ)、(1)式に従って全卵と卵白はBrix値が計算上それぞれ72%、70%、68%、66%、64%、62%、60%、卵黄は76%、74%、72%、70%、68%、66%、64%になるようブドウ糖を溶解した。溶解の温度は、卵の蛋白質が固まらないよう50℃に設定した。ブドウ糖が溶解した後実際のBrix値を自動温度補正手持屈折計(MASTER−A4T、アズワン株式会社)で測定した。測定後、各溶液をホモジナイザー(AHG−160D、アズワン株式会社)で7,000rpm、3分間攪拌し、室温に静置して一週間固形化の様子を観察した。結果を表16に示す。
Figure 2011097919
表16に示されるように、卵の場合も各溶液のBrixの実測値は、理論値に比べて1〜3%程度低かった。また、全卵はBrix値(実測値)が64.2%以上、卵黄は69.4%以上、卵白は61.7%以上で固形化することがわかった。特に卵黄は、等重量以下のブドウ糖添加で固形化できることが示唆された。
市販されている醤油(特選しょうゆ、株式会社テンヨ武田)、味噌(米麹味噌、山高味噌株式会社)、甘酒(こうじ甘酒、山高味噌株式会社)を入手し、醤油と甘酒はそのまま、味噌は50%水溶液にして自動温度補正手持屈折計(MASTER−A1T、アズワン株式会社)でそれぞれのBrix値を測定したところ、醤油は33.0%、味噌は24.0%、甘酒は38.0%であった。これらを20gずつ100ml容量のサンプル瓶に入れ(各種類7本ずつ)、(1)式に従ってBrix値が計算上それぞれ76%、74%、72%、70%、68%、66%、64%になるようブドウ糖を溶解した。ブドウ糖が溶解した後実際のBrix値を自動温度補正手持屈折計(MASTER−A4T、アズワン株式会社)で測定した。測定後、各溶液をホモジナイザー(AHG−160D、アズワン株式会社)で7,000rpm、3分間攪拌し、室温に静置して一週間固形化の様子を観察した。結果を表17に示す。
Figure 2011097919
表17に示されるように、醤油、味噌、甘酒も各溶液のBrixの実測値は、理論値に比べて少し低くなる傾向にあったが、味噌と甘酒は差が小さく理論値にかなり近かった。上記醸造物は、いずれもBrix値(実測値)を70%以上にすれば固形化できることが示唆された。
市販されているウィスキー(冨士山麓、キリンディスティラリー株式会社)、リキュール(COINTREAU、バカルディジャパン株式会社)、焼酎(さつま白波、薩摩酒造株式会社)、赤ワイン(スペシャルカベルネ、メルシャン株式会社)、白ワイン(E−4BN、メルシャン株式会社)、清酒(春桜端麗、メルシャン株式会社)、みりん(三楽本みりんG、メルシャン株式会社)を入手し、温度補正手持屈折計(MASTER−A1T、アズワン株式会社)でそれぞれのBrix値を測定したところ、ウィスキーは15.0%、リキュールは32.6%、焼酎は9.0%、赤ワインは6.6%、白ワインは5.6%、清酒は8.6%、みりんは44.7%であった。これらを20gずつ100ml容量のサンプル瓶に入れて密封し(各種類10本ずつ)、(1)式に従ってBrix値が計算上それぞれ78%、76%、74%、72%、70%、68%、66%、64%、62%、60%になるようブドウ糖を溶解した。ブドウ糖が溶解した後室温まで冷却し、実際のBrix値を自動温度補正手持屈折計(MASTER−A4T、アズワン株式会社)で測定した。測定後、各溶液をホモジナイザー(AHG−160D、アズワン株式会社)で7,000rpm、3分間攪拌し、室温に静置して一週間固形化の様子を観察した。結果を表18〜表24に示す。尚、アルコール分は、商品に表示されている割合をそのまま記載した。
Figure 2011097919
Figure 2011097919
Figure 2011097919
Figure 2011097919
Figure 2011097919
Figure 2011097919
Figure 2011097919
表18〜表24に示されるように、ワインや清酒のようなBrix値が10%以下でアルコール分が11%〜14%の酒類は、Brix値(実測値)が73%以上で非常に硬い固形物になる(◎で表示)。ここで非常に硬いとは、薬さじで表面を押してもさじが固形物の中に入っていかないが、表面を削り取ることはできる程度の硬さを示す。これらの固形物の場合、ミル(TM807、株式会社テスコム)で粉砕することにより、容易に粉末化できた。アルコール分が高い酒類としてウィスキーとリキュール、Brix値の高い酒類としてリキュールとみりんを試験したが、アルコール分が40%以上と高い場合、Brix値(理論値)が74%以上になるようブドウ糖を添加すると、固形化し難くなる傾向が見られた。また、Brix値が高くてもアルコール分が13.5%〜14.5%程度であれば、Brix値(理論値)を74%以上に調製することで非常に硬い固形物を製造できることが示唆された。
表18〜表24の結果を考慮し、ブランデー(ブランデーゴールド、メルシャン株式会社)、紹興酒(古越龍山、メルシャン株式会社)、リキュールA(ピーチツリー、メルシャン株式会社)、リキュールB(ホワイトキュラソー、ドーバー酒造株式会社)をBrix値(理論値)が72%になるようブドウ糖を添加し、固形化を試みた。固形化方法はウィスキーやワイン等で行った試験に準じた。
結果を表25に示す。
Figure 2011097919
表18〜表25に示されるように、Brix値(理論値)が72%になるようブドウ糖を添加することで、アルコール分50%以下の酒はほとんど固形化できることが示された。
市販されている米酢(春駒、キューピー醸造株式会社)、梅酢(新梅酢100、キューピー醸造株式会社)、リンゴ酢(高酸度りんご酢AV−10、キューピー醸造株式会社)を入手し、温度補正手持屈折計(MASTER−A1T、アズワン株式会社)でそれぞれのBrix値を測定したところ、米酢は9.5%、梅酢は14.4%、リンゴ酢は8.0%であった。これらを20gずつ100ml容量のサンプル瓶に入れて密封し(各種類7本ずつ)、(1)式に従ってBrix値が計算上それぞれ78%、76%、74%、72%、70%、68%、66%なるようブドウ糖を溶解した。ブドウ糖が溶解した後室温まで冷却し、実際のBrix値を自動温度補正手持屈折計(MASTER−A4T、アズワン株式会社)で測定した。測定後、各溶液をホモジナイザー(AHG−160D、アズワン株式会社)で7,000rpm、3分間攪拌し、室温に静置して一週間固形化の様子を観察した。結果を表26に示す。
Figure 2011097919
表26で示されるように、酸度の異なる3種類の酢はいずれもBrix値(理論値)が72%以上になるようブドウ糖を添加することにより固形化できることがわかった。酒の場合と同様に非常に硬い固形物(◎で表示)は、そのままミル(TM807、株式会社テスコム)で粉砕することにより、粉末化が可能であった。
果物を皮ごと破砕したピューレの場合、搾汁工程を設けなければ、皮や種子、繊維の破砕物は水に不溶な成分としてピューレ中に多量に存在する。このようなピューレが固形化できるかどうか調べるため巨峰の果実を入手し、ジューサー(TM807、株式会社テスコム)でホモジナイズしてピューレを作製した。自動温度補正手持屈折計(MASTER−A1T、アズワン株式会社)でBrix値を測定したところ、18.4%であった。実施例8の巨峰ストレート果汁の場合と同様に、(1)式に従ってBrix値が計算上それぞれ72%、70%、68%、66%、64%、62%、60%になるようブドウ糖を溶解した後、実際のBrix値を自動温度補正手持屈折計(MASTER−A4T、アズワン株式会社)で測定した。測定後、各溶液をホモジナイザー(AHG−160D、アズワン株式会社)で7,000rpm、3分間攪拌し、室温に静置して一週間固形化の様子を観察した。結果を表27に示す。
Figure 2011097919
表27に示されたように、巨峰ピューレは巨峰ストレート果汁と同様に固形化することがわかった。更に、リンゴ、ラ・フランス、モモ、パイナップル、ブルーベリーの果実を入手し、巨峰の場合と同様にそれぞれのピューレを作製した。自動温度補正手持屈折計(MASTER−A1T、アズワン株式会社)でBrix値を測定し、ストレート果汁の場合と同様にBrix値が計算上70%になるようブドウ糖を溶解した。溶解後、実際のBrix値を自動温度補正手持屈折計(MASTER−A4T、アズワン株式会社)で測定し、各溶液をホモジナイザー(AHG−160D、アズワン株式会社)で7,000rpm、3分間攪拌した後室温に静置して一週間固形化の様子を観察した。結果を表28に示す。
Figure 2011097919
表14及び表28に示されたように、水に不溶な成分が多い果物ピューレも、ストレート果汁と同様に固形化できる。ピューレの場合、果汁製造に必要な酵素処理や濾過の工程を必要としないため、ストレート果汁に比べて風味の損失が少なく製造コストも安くなるというメリットがある。
野菜類は、糖分が少ないことを考慮すれば、果物と同じと見なすことができる。野菜の搾汁液としてミックス野菜ジュース(野菜1日これ1本、カゴメ株式会社)、トマトジュース(カゴメトマトジュース、カゴメ株式会社)を用意した。また、豆類からの搾汁液として豆乳(おいしい無調製豆乳、株式会社フードケミファ)を用意した。実施例8の巨峰ストレート果汁の場合と同様に各ジュースや豆乳を20gずつ100ml容量のサンプル瓶に入れ、(1)式に従ってBrix値が計算上それぞれ72%、70%、68%、66%、64%、62%、60%になるようブドウ糖を溶解した。ブドウ糖が溶解した後、実際のBrix値を自動温度補正手持屈折計(MASTER−A4T、アズワン株式会社)で測定した。測定後、各溶液をホモジナイザー(AHG−160D、アズワン株式会社)で7,000rpm、3分間攪拌し、室温に静置して一週間固形化の様子を観察した。結果を表29に示す。
Figure 2011097919
ミックス野菜ジュースには、混合比率は不明であるが25種類の野菜を使用していると表示されている。また、単独の野菜ジュースではトマトジュースが最も多いが、表29に示されるようにどちらのタイプの野菜ジュースでもBrix値(実測値)63.0%以上で固形化することができた。これらのジュースは、ブドウ糖水溶液よりも低いBrix値で固形化したが(実施例1参照)、溶解しているブドウ糖以外の成分が少ないことに加え、不溶性成分が核として働き、固形化し易くなったと思われる。豆乳はBrix値66%(理論値)で理論値と実測値の大小の逆転現象が見られたが、Brix値(実測値)65.0%以上で固形化した。
畜肉エキス、魚肉エキス、海藻エキスとしてキリン協和フーズ株式会社で販売しているボンテーストアセップチキン(原材料:チキンエキス;塩分なし)、ボンテーストチキンB−3(原材料:チキンエキス、食塩;塩分14.46%)、ハイクックかつおぶしエキスYN(原材料:かつおぶしエキス、食塩、かつおエキス、酵母エキス、酒精;塩分8.15%)、ハイクック真昆布エキス100(原材料:こんぶエキス、水飴、食塩、砂糖;塩分17.86%)を用意した。これらは食品に添加した場合、それぞれチキンエキス、かつおぶしエキス、こんぶエキスと表示できる商品で、ボンテーストチキンB−3、ハイクックかつおぶしエキスYN、ハイクック真昆布エキス100は濃縮品である。チキンエキスは素出汁(ボンテーストアセップチキン)と濃縮出汁(ボンテーストチキンB−3)があったので、ハイクックかつおぶしエキスYNとハイクック真昆布エキス100を一部水で希釈し、ボンテーストアセップチキンのBrix値とほぼ同じBrix値にしてかつおぶしの素出汁と昆布の素出汁の代わりとした。これら6種類の出汁を20gずつ100ml容量のサンプル瓶に入れ、(1)式に従ってBrix値が計算上素出汁はそれぞれ74%、72%、70%、68%、66%、64%、62%になるようブドウ糖を溶解した。また、濃縮出汁はそれぞれ76%、74%、72%、70%、68%、66%、64%になるようブドウ糖を溶解した。ブドウ糖を溶解した後、実際のBrix値を自動温度補正手持屈折計(MASTER−A4T、アズワン株式会社)で測定した。測定後、各溶液をホモジナイザー(AHG−160D、アズワン株式会社)で7,000rpm、3分間攪拌し、室温に静置して一週間固形化の様子を観察した。結果を表30〜表32に示す。
Figure 2011097919
Figure 2011097919
Figure 2011097919
表30〜表32に示されたように、ボンテーストアセップチキン、ハイクックかつおぶしエキスYN、ハイクック真昆布エキス100ともにBrix値10.2のものの場合、ブドウ糖溶解後のBrix値(実測値)がそれぞれ66.4%、65.0%、64.4%以上で固形化した。濃縮タイプのボンテーストチキンB−3(Brix:47.0%)とハイクック真昆布エキス100(Brix:43.6%)の場合、それぞれのBrix値(実測値)が72.4%、73.2%以上でないと固形化しなかった。ハイクックかつおぶしエキスYN(Brix:21.6%)では、Brix値(実測値)が68.2%以上で固形化した。濃縮タイプのものはエキス分や塩分等ブドウ糖に対する不純物の割合が高いため、Brix値が高くなるほど(濃縮率が高いほど)固形化し難くなると考えられる。しかしながら、畜肉エキス、魚肉エキス、海藻エキスのどのエキスでも、濃度を調製すれば固形化できることが示唆された。
水溶液の嗜好飲料としては、茶、コーヒー、ココアが代表的である。茶は、乾燥した茶葉の成分をお湯又は水に溶出させて飲むのが一般的であるが、最近は茶葉を粉末化した抹茶も良く利用されている。抹茶は抽出液の乾燥品ではないので水に不溶性の固形分が多く、従って使用量が多くてもBrix値はあまり上がらないという特徴がある。コーヒーは、焙煎したコーヒー豆の抽出液を乾燥したインスタントコーヒーが多種類市販されていて、抹茶のように不溶性成分がない。ココアは、ココアパウダーがインスタントココア粉末として多種類市販されている。ココアパウダーも抹茶のような不溶性成分は含まないが、脂肪分が約11%〜24%含まれている。いずれのパウダーも、家庭で普通に使用する量はティーカップ1杯につきティースプーン1杯程度である。そこで、抹茶(風、株式会社南山園)、インスタントコーヒー(THE BLEND 114、ユーシーシー上島珈琲株式会社)、ココアパウダー(バンホーテン ピュア ココア、片岡物産株式会社)を用意し、それぞれの10重量%溶液(普通に飲む場合の数倍の濃度)を作製して20gずつ100ml容量のサンプル瓶に入れ、(1)式に従ってBrix値が計算上それぞれ72%、70%、68%、66%、64%、62%、60%になるようブドウ糖を溶解した。ブドウ糖を溶解した後、実際のBrix値を自動温度補正手持屈折計(MASTER−A4T、アズワン株式会社)で測定した。測定後、各溶液をホモジナイザー(AHG−160D、アズワン株式会社)で7,000rpm、3分間攪拌し、室温に静置して一週間固形化の様子を観察した。結果を表33に示す。
Figure 2011097919
表33に示されるように、抹茶、コーヒー、ココアの各10%水溶液はそれぞれBrix値(実測値)63.0%、64.6%、66.2%以上で固形化することがわかった。抹茶の場合、ブドウ糖水溶液よりも低いBrix値で固形化した(実施例1参照)が、野菜ジュースの場合と同様に不溶性成分が核として働き、固形化し易くなったと思われる。
香辛料は、独特の強い香りや味により獣肉類や魚介類の臭みを軽減し、料理の味を引き立てるために使用される。全て植物由来で乾燥品が多いが、薬味として生のまま使用されるものもある。ブドウ糖による固形化の対象として見た場合、生の香辛料の搾汁液やペーストは野菜のジュースやペーストと同様に考えて良く、乾燥粉末の香辛料は抹茶と同様に考えて良い。しかしながら、香辛料には他の野菜や嗜好品原料には無い独特の香りや味の成分を多量に含むため、固形化が可能かどうか試す必要があると考えられた。そこで、香辛料粉末として市販の胡椒粉末(白胡椒粉末、株式会社ナカユキスパイス)、洋芥子粉末(洋がらし、株式会社ジャパンスパイス)、唐辛子粉末(天鷹末、株式会社ナカユキスパイス)、カレー粉(純カレー粉A、株式会社ナカユキスパイス)、生の香辛料として生ワサビ、生ショウガ、生の秋ウコンを用意した。粉末香辛料は、10重量%の水溶液を調製し固形化試験に用いた。生の香辛料はおろし金でおろし、ガーゼに包んで搾った搾汁液を固形化試験に用いた。各試料を20gずつ100ml容量のサンプル瓶に入れ、(1)式に従ってBrix値が70%になるようブドウ糖を溶解した。ブドウ糖を溶解した後、実際のBrix値を自動温度補正手持屈折計(MASTER−A4T、アズワン株式会社)で測定した。測定後、各溶液をホモジナイザー(AHG−160D、アズワン株式会社)で7,000rpm、3分間攪拌し、室温に静置して一週間固形化の様子を観察した。結果を表34に示す。
Figure 2011097919
表34に示されるように、粉末香辛料の10重量%水溶液はBrix値が3.4%以下、生香辛料の搾汁液は8.0%以下と低く、Brix値(理論値)が70%になるよう調製したところ全て容易に固形化した。
獣肉類、魚介類、野菜・果物類のエキスやピューレ、バターや生クリーム、牛乳等の乳製品、醤油、魚醤等の醸造物、各種香辛料に加え、酵母エキスやたん白加水分解物、その他調味料、酸味料、色素、香料、乳化剤、増粘安定剤等の食品添加物を使用した調味液、ソース、スープの固形化を試験した。調味液としてキムチの素(キムチベースEX、キリン協和フーズ株式会社、ソース類としてトンカツソース(カゴメソースとんかつ、カゴメ株式会社)、デミグラスソース(ハインツデミグラスソース、ハインツ日本株式会社)、ホワイトソース(ハインツホワイトソース、ハインツ日本株式会社)、スープ類としてポタージュスープ(ポタージュ、株式会社ポッカコーポレーション)、オニオンスープ(オニオンコンソメ、株式会社ポッカコーポレーション)を用意し、キムチの素、トンカツソース、デミグラスソース、ホワイトソースはそのまま、ポタージュスープとオニオンスープは作り方に書かれてある3分の1量のお湯でスープの素を溶かし、濃度を3倍にして固形化試験に供した。各試料を20gずつ100ml容量のサンプル瓶に入れ、キムチの素とトンカツソースはBrix値が高いため(1)式に従ってBrix値が75%になるようブドウ糖を溶解した。他の試料は、Brix値が70%になるようブドウ糖を溶解した。ブドウ糖を溶解した後、実際のBrix値を自動温度補正手持屈折計(MASTER−A4T、アズワン株式会社)で測定した。測定後、各溶液をホモジナイザー(AHG−160D、アズワン株式会社)で7,000rpm、3分間攪拌し、室温に静置して一週間固形化の様子を観察した。結果を表35に示す。
Figure 2011097919
表35に示されるように、いろいろな種類の原材料が混合されている水溶液であっても、水溶液のBrix値を考慮して適量のブドウ糖を溶解することにより固形化できることがわかった。
実施例1〜実施例19で示したとおり、Brix値が高い水溶液や塩分濃度、アルコール分、酢酸濃度の高い水溶液の場合、Brix値がより高くなるようブドウ糖を添加しないと固形化し難い傾向は認められるものの、どのような溶質が溶けている水溶液であってもブドウ糖を溶解することにより固形化できることが示唆された。
実施例8のイチゴストレート果汁固形物(Brix(理論値):70%)とブルーベリー濃縮果汁固形物(Brix(理論値):75%)、実施例9の牛乳(Brix:13.0%)の固形物(Brix(理論値):70%)、実施例10の全卵固形物(Brix(理論値):70%)と卵黄固形物(Brix(理論値):74%)、実施例11の醤油固形物(Brix(理論値):74%)と味噌固形物(Brix(理論値):74%)、実施例14のパイナップルピューレ固形物(Brix(理論値):70%)、実施例15のミックス野菜ジュース固形物(Brix(理論値):70%)、実施例16のボンテーストアセップチキン固形物(Brix(理論値):72%)とハイクックかつおぶしエキスYN(Brix:21.6%)固形物(Brix(理論値):74%)、実施例17の抹茶10%水溶液固形物(Brix(理論値):68%)とコーヒー10%水溶液固形物(Brix(理論値):70%)、実施例18の唐辛子溶液固形物(Brix(理論値):70%)とショウガ搾汁液固形物(Brix(理論値):70%)、実施例19のキムチの素固形物(Brix(理論値):75%)とデミグラスソース固形物(Brix(理論値):70%)それぞれについて10gずつ真空凍結乾燥機(DC800、ヤマト科学株式会社)用フラスコに入れ、凍結乾燥した。各乾燥物は漆喰のような状態となり、ミル(TM807、株式会社テスコム)で容易に粉砕できた。粉砕物を60メッシュの篩にかけることにより、粉末を得た。
実施例20の各固形物それぞれ及び実施例12のウィスキー固形物(Brix(理論値):68%)と焼酎固形物(Brix(理論値):68%)、実施例13の米酢固形物(Brix(理論値):72%)について、固形物:バター=2:1、1:1、1:2(重量比)の3種類の比率で混合した。混合方法は、それぞれの比率で固形物とバター(十勝牧場バター、よつ葉乳業株式会社)をガラスビーカーに取り、40℃に設定したウォーターバス(BM400,ヤマト科学株式会社)に浸漬してバターを溶解した。薬さじでバターが冷えて固まり始めるまで攪拌し、固まり始めたところでホモジナイザー(エースホモジナイザー、株式会社日本精機製作所)で均一になるまで攪拌した。均一になったところでプラスチックのプリンカップ容器に流し込み、冷蔵庫に入れて冷却した。各固形物は3種類のどの比率においてもバターと均一に混合し、冷蔵庫から出して室温に放置しても分離は認められなかった。これらの混合品の一部を焼いたパンや餅にのせても固形物とバターはすぐには分離せず、固形物の風味とバターのコクが一体化した豊かな味をパンや餅に付与した。
さらに、上記固形物のうちのイチゴストレート果汁固形物、ブルーベリー濃縮果汁固形物、抹茶10%水溶液固形物、ショウガ搾汁液固形物、キムチの素固形物、デミグラスソース固形物、ウィスキー固形物及び米酢固形物と同じものを各50g作り、50℃の温浴に浸漬してドロドロの状態になったところで30gをホイップ用植物性脂肪(スジャータホイップ、株式会社東京めいらく)70gに添加した。氷水上に浮かべたボール内で泡だて器を用いて攪拌したところ、各固形物の風味のするホイップクリームが製造できた。
本発明の技術は、様々な水溶液を固形化することができる。固形物はパンやケーキなどに塗ったり挟んだりするだけでなく、バター、マーガリン、ホイップクリーム等の乳化食料油脂に混合することで従来存在しなかった食感と風味を付与することができるので、食品産業に多大の貢献をすることが可能である。

Claims (24)

  1. ほぼ均一な組成を有する食品に対し、ブドウ糖を添加して溶解し、その組成物の糖度(室温におけるBrix値)を60%〜80%に調製して放置することを特徴とする食品固形物の製造方法。
  2. 食品の糖度(室温におけるBrix値)が0〜72%である請求項1に記載する食品固形物の製造方法。
  3. ブドウ糖の含有量が、食品固形化物の30重量%以上になるようにブドウ糖を添加する請求項1、又は請求項2に記載する食品固形物の製造方法。
  4. 食品が果糖、又は/及びショ糖を含有する請求項1〜請求項3記載の食品固形物の製造方法。
  5. 果糖とショ糖の和重量の3倍重量以上のブドウ糖を添加する請求項4に記載する食品固形物の製造方法。
  6. ショ糖重量が溶液中の全糖の90%以上を占める食品のショ糖重量と等重量以上のブドウ糖を添加する請求項4に記載する食品固形物の製造方法。
  7. 食品が果汁、濃縮果汁又は蜂蜜である請求項4、又は請求項5に記載する食品固形物の製造方法。
  8. 食品がメープルシロップ又は黒糖液である請求項4、又は請求項6に記載する食品固形物の製造方法。
  9. 食品が牛乳又は卵である請求項1〜請求項3に記載する食品固形物の製造方法。
  10. 牛乳にブドウ糖を添加して、その組成物の糖度(室温におけるBrix値)を64%以上に調製して放置することを特徴とする食品固形物の製造方法。
  11. 全卵にブドウ糖を添加して、その組成物の糖度(室温におけるBrix値)を65%以上に調製して放置することを特徴とする食品固形物の製造方法。
  12. 卵黄にブドウ糖を添加して、その組成物の糖度(室温におけるBrix値)を70%以上に調製して放置することを特徴とする食品固形物の製造方法。
  13. 卵白にブドウ糖を添加して、その組成物の糖度(室温におけるBrix値)を62%以上に調製して放置することを特徴とする食品固形物の製造方法。
  14. 食品が味噌、醤油、甘酒、酒類、酢等の醸造物である請求項1〜請求項3に記載する食品固形物の製造方法。
  15. 食品が野菜類、肉類、魚類、若しくは海藻類の粉砕物、分解物、又は抽出物である請求項1〜請求項3に記載する食品固形物の製造方法。
  16. 食品が茶、コーヒー、又はココア等の嗜好品である請求項1〜請求項3に記載する食品固形物の製造方法。
  17. 食品が香辛料の粉末、搾汁液或いは抽出物である請求項1〜請求項3に記載する食品固形物の製造方法。
  18. 食品が各種の食品素材や食品添加物を溶解して作製した調味液、ソース、又はスープである請求項1〜請求項3に記載する食品固形物の製造方法。
  19. ブドウ糖を添加した後、組成物を白濁するまで良く攪拌し、空気を十分含ませる請求項1〜請求項18に記載する食品固形物の製造方法。
  20. 請求項1〜請求項19に記載する製造方法を適用して得られる食品固形物をそのまま或いは乾燥して粉砕することにより得られる粉末。
  21. 請求項1〜請求項20に記載する方法を適用して製造された食品固形物又は粉末を添加して製造した食品。
  22. 請求項1〜請求項21に記載する製造方法を適用して得られる食品固形物又は粉末を、食用乳化油脂に添加して得られる食品。
  23. 食用乳化油脂が、バター又はマーガリンである請求項22のファットスプレッド。
  24. 請求項1〜請求項23に記載する製造方法を適用して得られる食品固形物又は粉末を添加して得られるホイップクリーム。
JP2010173226A 2009-10-05 2010-07-31 食品固形物の製造方法、及びこの食品固形物を添加する食品の製造方法 Active JP6192150B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010173226A JP6192150B2 (ja) 2009-10-05 2010-07-31 食品固形物の製造方法、及びこの食品固形物を添加する食品の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009231171 2009-10-05
JP2009231171 2009-10-05
JP2010173226A JP6192150B2 (ja) 2009-10-05 2010-07-31 食品固形物の製造方法、及びこの食品固形物を添加する食品の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2011097919A true JP2011097919A (ja) 2011-05-19
JP6192150B2 JP6192150B2 (ja) 2017-09-06

Family

ID=44189641

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010173226A Active JP6192150B2 (ja) 2009-10-05 2010-07-31 食品固形物の製造方法、及びこの食品固形物を添加する食品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6192150B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013243970A (ja) * 2012-05-25 2013-12-09 Suntory Holdings Ltd 飲料
JP2014525263A (ja) * 2011-08-31 2014-09-29 クラベクス,エドワーズ フルーツ及び/又はベリー製品の製造及び保存方法
JP2015008635A (ja) * 2013-06-26 2015-01-19 株式会社 伊藤園 タンパク質高含有乳飲料及びその製造方法
JP2015027305A (ja) * 2014-09-29 2015-02-12 サントリーホールディングス株式会社 飲料
WO2018079510A1 (ja) * 2016-10-31 2018-05-03 株式会社山田養蜂場本社 固形蜂蜜の製造方法
WO2019116965A1 (ja) * 2017-12-13 2019-06-20 日清食品ホールディングス株式会社 即席麺の製造方法
JP2019103453A (ja) * 2017-12-13 2019-06-27 日清食品ホールディングス株式会社 即席麺製造用の麺線及び即席麺の製造方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5324054A (en) * 1976-08-17 1978-03-06 Taihei Shokuhin Kako Kk Method of making powders containing natural fruit juice
JPH0681290U (ja) * 1993-05-10 1994-11-22 鐘紡株式会社 組み合わせ菓子
JPH11243926A (ja) * 1998-03-04 1999-09-14 Nikken Food Co Ltd 抗酸化性を有する果汁粉末及びその製造法
JP2001149014A (ja) * 1999-09-17 2001-06-05 Asahi Denka Kogyo Kk 水中油型乳化チョコレート類及びこれを用いた複合食品
JP2004513643A (ja) * 2000-11-15 2004-05-13 ソシエテ デ プロデユイ ネツスル ソシエテ アノニム 積層キャンディを成形するための方法及びそれにより得られる製品

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5324054A (en) * 1976-08-17 1978-03-06 Taihei Shokuhin Kako Kk Method of making powders containing natural fruit juice
JPH0681290U (ja) * 1993-05-10 1994-11-22 鐘紡株式会社 組み合わせ菓子
JPH11243926A (ja) * 1998-03-04 1999-09-14 Nikken Food Co Ltd 抗酸化性を有する果汁粉末及びその製造法
JP2001149014A (ja) * 1999-09-17 2001-06-05 Asahi Denka Kogyo Kk 水中油型乳化チョコレート類及びこれを用いた複合食品
JP2004513643A (ja) * 2000-11-15 2004-05-13 ソシエテ デ プロデユイ ネツスル ソシエテ アノニム 積層キャンディを成形するための方法及びそれにより得られる製品

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6014035321; 理科年表編集委員会: '有機物の水に対する溶解度 砂糖は熱いコーヒーによく溶ける' 理科年表オフィシャルサイト , 200611 *

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014525263A (ja) * 2011-08-31 2014-09-29 クラベクス,エドワーズ フルーツ及び/又はベリー製品の製造及び保存方法
JP2013243970A (ja) * 2012-05-25 2013-12-09 Suntory Holdings Ltd 飲料
JP2015008635A (ja) * 2013-06-26 2015-01-19 株式会社 伊藤園 タンパク質高含有乳飲料及びその製造方法
JP2015027305A (ja) * 2014-09-29 2015-02-12 サントリーホールディングス株式会社 飲料
WO2018079510A1 (ja) * 2016-10-31 2018-05-03 株式会社山田養蜂場本社 固形蜂蜜の製造方法
WO2019116965A1 (ja) * 2017-12-13 2019-06-20 日清食品ホールディングス株式会社 即席麺の製造方法
JP2019103453A (ja) * 2017-12-13 2019-06-27 日清食品ホールディングス株式会社 即席麺製造用の麺線及び即席麺の製造方法
JP7111462B2 (ja) 2017-12-13 2022-08-02 日清食品ホールディングス株式会社 即席麺製造用の麺線及び即席麺の製造方法
US11910817B2 (en) 2017-12-13 2024-02-27 Nissin Foods Holdings Co., Ltd. Method for producing instant noodles

Also Published As

Publication number Publication date
JP6192150B2 (ja) 2017-09-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6192150B2 (ja) 食品固形物の製造方法、及びこの食品固形物を添加する食品の製造方法
CN104219964B (zh) 作为食品加香化合物的n-酰基脯氨酸衍生物
KR20180039724A (ko) 웰란 검 함유 조성물
US7867520B2 (en) Flavor improving agent
CN104837375A (zh) 共结晶化的增甜剂
JP4965351B2 (ja) マスキング剤
JP6292743B2 (ja) 飲食物の風味増強方法及びその方法により得られる飲食物
US6632467B1 (en) Solid condiment comprising a solid and a liquid
AU2007261973B8 (en) Taste improving agent
JP6931289B2 (ja) 甘味増強剤および甘味増強用香料組成物
JP4965350B2 (ja) マスキング剤
JP3702984B2 (ja) 含蜜糖組成物
KR20150113624A (ko) 홍삼 및 홍삼농축액 제조방법을 통해 편의성이 증진된 홍삼튜브 제조 방법
RU2493719C2 (ru) Способ производства кондитерских изделий
JP2003334041A (ja) ニガウリジュース粉末の製造方法
JP6664900B2 (ja) 粉末酒および粉末酒の味質改善方法
CN108135222A (zh) 甜度增强
JP5771880B2 (ja) インスタント嗜好性飲料用組成物及びその製造方法
RU2298938C2 (ru) Способ производства красносмородинового наполнителя
RU2298937C2 (ru) Способ производства рябинового наполнителя
JP2006020523A (ja) 糖加熱品、ならびにそれを添加した食品、および糖加熱品の製造方法
RU2298928C2 (ru) Способ производства черноплоднорябинового наполнителя
RU2299572C2 (ru) Способ производства шелковичного наполнителя
RU2298935C2 (ru) Способ производства крыжовникового наполнителя
RU2299580C2 (ru) Способ производства земляничного наполнителя

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130107

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20131220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140204

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140909

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141107

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20150310

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150608

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20150618

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20150807

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161125

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170323

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170804

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6192150

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250