JP2019201668A - 乳飲料 - Google Patents

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【課題】白物乳飲料であっても、低脂肪乳なみにカロリーが低く(50kcal/100g以下)、風味の良好な乳飲料を提供する事を課題とする。【解決手段】タンパク質を3.3重量%超5.5重量%未満含有し、カロリーが50kcal/100g未満であり、かつ、甘味度/タンパク質含有量が0.30以上0.80以下である乳飲料を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、低カロリー(50kcal/100g以下)で風味の良好なタンパク質強化白
物乳飲料に関するものである。
近年、運動愛好者や高齢者を始めとする消費者の健康意識の高まりによって、タンパク質
を効率良く摂取したいという要望が増加している。運動後の疲労回復には、炭水化物とタ
ンパク質の速やかな摂取が必要であるが、乳製品はその両方の栄養素を豊富に含むため、
運動後の疲労回復に最適な食品の一つであるといえる。特に、牛乳よりも低カロリーであ
り、かつタンパク質を強化した白物乳飲料は、牛乳と同様の飲用シーンにおいて、手軽に
効率良く栄養素を摂取可能であるため、需要が増えている。しかしながら、タンパク質を
強化した白物乳飲料は、牛乳と比べて風味が損なわれ易いという問題があり、風味が改善
された白物乳飲料の提供が望まれている。
タンパク質を強化した白物乳飲料の風味改善方法としては、以下の技術が知られている。
例えば、特許文献1では、タンパク質、脂質及び乳糖量を特定の範囲に調整することによ
り、タンパク質を高濃度に含有しながらも風味が良好な乳飲料及びその製造方法が記載さ
れている。また、特許文献2では、殺菌処理の前に脱酸素処理することにより、粘度を低
下させて、好ましい口当たりを有する濃縮乳及びその製造方法が記載されている。さらに
、特許文献3では、乳又は乳素材をNF膜処理して乳脂肪分、無脂乳固形分、カルシウム
/ナトリウム濃度比を特定の範囲に調整することにより、風味の改善された加工乳及びそ
の製造方法が記載されている。
特開2015−8635号公報 再表2010−23844号公報 特開2002−253116号公報
特許文献1に記載のタンパク質、脂質及び乳糖量を特定の範囲に調整するタンパク質強化
した乳飲料の風味改善方法は、カロリー、ナトリウム量に対する記載がなく、また、乳糖
量以外の甘味源に対する制限が無いため、容易に牛乳風味を逸脱する乳飲料となる可能性
がある。また、特許文献2、特許文献3に記載の膜装置を使用したタンパク質強化乳の製
造方法は、大規模な膜装置や脱酸素処理装置が必要となり、製造コストが高く、操作が煩
雑になるといった問題点がある。
そこで、タンパク質を強化した白物乳飲料であり、低脂肪乳なみにカロリーが低く(50
kcal/100g以下)、風味の良好な乳飲料を提供する事を課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、甘味度とタンパク質含有
量の比率を一定量に制御することで、タンパク質量が強化されていても、牛乳よりも低カ
ロリーであり、かつ、風味の良い白物乳飲料が提供できることを見出し、本発明を完成さ
せるに至った。本発明の乳飲料では、加えてナトリウム量を調整することにより、さらに
風味の良い白物乳飲料を提供することができる。
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)タンパク質を3.3重量%超5.5重量%未満含有し、カロリーが50kcal/
100g以下であり、かつ、
甘味度をX
乳飲料中のタンパク質含有量(重量%)をY
とした場合、
X/Yが0.30以上0.80以下である乳飲料
(2)ナトリウムを30mg/100g以上70mg/100g以下含有する上記(1)
に記載の乳飲料
本発明によれば、低カロリー(50kcal/100g以下)でありながらも、タンパク
質が強化され、タンパク臭が抑制されている風味が良い白物乳飲料を提供し、健康志向及
びダイエット志向の強い層にアピールできる製品を提供することが可能となる。
本発明の乳飲料は、タンパク質を3.3重量%超5.5重量%未満含有し、カロリーが5
0kcal/100g以下であり、かつ、甘味度/タンパク質含有量が0.30以上0.
80以下である乳飲料のことをいう。
本発明の乳飲料は「白物乳飲料」のことを指す。本発明において、「白物乳飲料」とは、
加工乳、調整乳、乳飲料及び牛乳由来の成分を含む、外観が白色であり牛乳風味を有する
飲料を意味する。この「白物乳飲料」には、コーヒー乳飲料、イチゴ味乳飲料といった牛
乳以外の風味を有するいわゆる「色物乳飲料」は含まれない。本発明において「牛乳風味
を有する」とは、乳糖量を低減した乳糖分解乳と比較して過度な甘さが抑えられており、
市販の無脂肪タイプ、低脂肪タイプ、成分無調整タイプ及び特濃タイプの牛乳または乳飲
料と同等の適度な甘味や塩味及びコクを有することを言う。また、本発明において、この
「牛乳風味を有する」乳飲料のことを「ミルク感がある」乳飲料と言う。
本発明の乳飲料は、従来の乳飲料と比べて風味が改善されている。この「風味改善」とは
、タンパク質由来の独特の臭み(タンパク臭)やぬめり感、後味の苦味や収斂味が抑制さ
れ、牛乳風味を有する乳飲料となることを言う。
本発明の乳飲料においては、タンパク質の含有量を乳飲料全量に対して3.3重量%を超
え5.5%未満となるように調整する。
牛乳のタンパク質含有量は3.3g/100g(日本食品標準成分表2010参照(ht
tp://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyut
u/gijyutu3/houkoku/1298713.htm))、すなわち、3.
3重量%であり、本発明は牛乳よりもタンパク質を強化した乳飲料に関する。また、5.
5重量%以上タンパク質を含む乳飲料は、タンパク質のぬめりや香り、苦味や収斂味が際
立って目立つようになる。よって、タンパク質含有量が3.3重量%超5.5%未満の範
囲であれば、牛乳よりも高濃度にタンパク質を含有しながらも、独特のタンパク質の風味
が抑えられた、風味の良好な乳飲料を得ることができる。
本発明の乳飲料におけるタンパク質含有量の調整は、タンパク質を含有する乳由来製品や
タンパク質単体製剤等の添加等の手段によって調整可能である。タンパク質は、動物性タ
ンパク質であっても植物性タンパク質であってもよいが、好ましくは乳タンパク質製剤を
添加することによって調整する。使用する乳タンパク質は、各種MPC(乳タンパク質濃
縮物)、MPI(乳タンパク質単離物)、WPC(ホエイタンパク質濃縮物)、WPI(
ホエイタンパク質単離物)、カゼイネート、ミネラル濃縮ホエイ、ストレートホエイパウ
ダー等が挙げられる。
本明細書中において「甘味度」とは、甘さの指標であって、砂糖(ショ糖)の甘さを基準
とした相対値であり、対象となる溶液と砂糖溶液の甘さを官能的に比較し求められる。評
価時の溶液温度は体温に近い37℃とする。評価は「飲料用語辞典」(株式会社ビバリッ
ジジャパン社、平成11年6月発行)のP62に記載の甘味度測定方法に沿って行う。基
準となる砂糖の甘味度は1.00とする。本実施例で使用したその他の糖質及び高甘味度
甘味料の甘味度は、乳糖が0.30、グルコース(ブドウ糖)が0.69、ガラクトース
が0.63(最新果汁果実飲料辞典、株式会社朝倉書店)、スクラロースが600(飲料
用語辞典、株式会社ビバリッジジャパン社)とする。本発明の実施例で使用していない他
の甘味源の甘味度は、「飲料用語辞典」(株式会社ビバリッジジャパン社、平成11年6
月発行)の巻末資料11Pに記載がある。
本発明において、甘味度は、溶液中に含まれる各甘味源の甘味度と重量%濃度の積の総和
×100により、算出する。例えば、砂糖、乳糖、グルコース、ガラクトースが各1%含
まれる溶液の甘味度は、(1.00×1%+0.30×1%+0.69×1%+0.63
×1%)×100=2.62となる。
本明細書中において、「甘味源」とは、甘味を呈する物質であり、一または複数の甘味を
呈する物質を含む組成物または混合物をいう。食品及び広く食品原材料となりうる甘味を
呈する物質には、単糖類、二糖類、三糖類以上のオリゴ糖、マルトオリゴ糖、水飴、粉飴
、砂糖(主成分はショ糖である。)、糖蜜、蜂蜜、希少糖含有シロップまたは高甘味度甘
味料等がある。
本発明の乳飲料においては、甘味度とタンパク質含有量(重量%)とのバランスが重要で
ある。ここで、タンパク質含有量は乳飲料全体に占めるタンパク質の重量比を言い、例え
ば5重量%の場合は「0.05」ではなく、「5」を指す。本発明の乳飲料における、タ
ンパク質含有量に対する甘味度の比率[甘味度/タンパク質含有量]が、小数点第三位を
四捨五入して0.30以上0.80以下であることにより、牛乳以上にタンパク質含有量
が強化されながらも、タンパク臭が抑制された、牛乳風味を有する乳飲料とすることが可
能となる。さらに好ましくはタンパク質含有量に対する甘味度の比率が0.40以上0.
70以下に調整されることにより、最も好ましくは0.50以上0.60以下に調整され
ることにより、タンパク臭を抑制し、ミルク風味を更に増強することが可能となる。タン
パク質含有量に対する甘味度の比率が0.30未満では乳タンパク臭が強くなり、飲みに
くい乳飲料となる。また、タンパク質含有量に対する甘味度の比率が0.80を超えると
乳タンパク臭は抑制されるものの、甘味が強くなり、ミルク感が弱くなるため好ましくな
い。
本発明の乳飲料の甘味度の調整は、前述の「甘味源」の添加、または、乳飲料中の乳糖を
乳糖分解酵素(ラクターゼ)処理することによっても可能となる。本発明の乳糖分解酵素
処理に用いる酵素としては、市販されているいずれのものも用いることができるが、例え
ば、GODO−YNL(登録商標)(合同酒精株式会社製)、ラクターゼF「アマノ」(
天野エンザイム株式会社製)、ラクトレスL3(大和化成株式会社製)、スミラクトL(
新日本化学工業株式会社製)、ラクターゼY−AO(ヤクルト薬品工業株式会社製)、ラ
クトザイム(ノボザイムズジャパン株式会社製)等を用いることができる。
本発明の乳飲料はさらに、ナトリウムの量を調整したものであることが好ましい。このナ
トリウムの量の調整は、ナトリウムを含む原料の添加によって可能となる。本発明に使用
するナトリウムを含む原料としては、飲食可能なものであればよく、例えば、塩化ナトリ
ウム、炭酸水素ナトリウム等のナトリウム塩、ホエーに含まれるミネラル分を濃縮した乳
清ミネラル、無機質濃縮ホエイ、ホエーチーズ等の乳由来素材が挙げられる。本発明の乳
飲料において、ナトリウム量は30mg/100g以上70mg/100g以下に調整す
る。さらに好ましくは35mg/100g以上65mg/100g以下、最も好ましくは
40mg/100g以上60mg/100g以下に調整することにより、牛乳以上にタン
パク質が強化されながらも、タンパク質由来の収斂味や苦味が抑制された、牛乳風味を有
する乳飲料とすることが可能となる。ナトリウム量が30mg/100g未満では、タン
パク質由来の収斂味や苦味が強い乳飲料となる。また、70mg/100gを超えると塩
味が強くなり、ミルク感が弱い乳飲料となるため好ましくない。
本発明の乳飲料においては、公知の飲料に含まれる原材料、例えば、脂肪源、機能性成分
、風味改良剤、品質安定剤等を、本実態形態による効果を損なわない範囲で配合してもよ
い。
このような本発明の乳飲料は、一般的な乳飲料の製造工程において、前述の成分調整を行
うことにより製造することができる。例えば、水に、脂肪源及び無脂乳固形分を含有する
組成物並びに乳タンパク質等を添加し、さらに必要に応じて、前述した甘味源及びナトリ
ウムを含む原料、副原料を添加して調合物を調製する。調合物は冷却後、必要に応じて乳
糖分解酵素を添加して酵素処理する。酵素処理した調合物は、加熱均質化、殺菌・冷却を
経て、容器に充填することにより製造することができる。酵素の失活処理は殺菌と同時に
行われる。一般的な乳飲料の製造工程の一例は、次のように示されるがこの記載例の工程
に制限されるものではない。
(1)調合
水に、脂肪源及び無脂乳固形分を含有する組成物並びに乳タンパク質等を添加し、さらに
必要に応じて、前述した甘味源及びナトリウムを含む原料、副原料を添加して調合物を調
製する。調合物は冷却後、必要に応じて乳糖分解酵素を添加して酵素処理する。酵素処理
条件は、想定の甘味度となるように、温度、反応時間、pH等を調整する。
(2)殺菌・充填
殺菌は、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)により規定している牛乳の
殺菌方法、「62〜65℃までの間で30分間加熱殺菌するか、又はこれと同等以上の殺
菌効果を有する方法で殺菌すること」に基づき実施する。殺菌後の調合物は例えば、ゲー
ブルトップ型の紙容器等に充填することが可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限
定されるものではない。
以下の5つの系で試験を実施した。
(試験1)
乳タンパク質に砂糖を添加した系で、甘味度/タンパク質含有量を変動させることによる
甘味及びタンパク臭の変化度合いを試験した(表1)。
(試験2)
乳タンパク質にスクラロースを添加した系で、甘味度/タンパク質含有量を変動させるこ
とによる甘味及びタンパク臭の変化度合いを試験した(表2)。
(試験3)
乳タンパク質に砂糖及びスクラロースを添加した系で、食塩の添加によりナトリウム量を
変動させることによる塩味、収斂味及びミルク感の変化度合いを確認した(表3)。
(試験4)
乳糖をラクターゼの添加により分解し、甘味度を制御した系で、甘味度/タンパク質含有
量を変動させることによるタンパク臭及びミルク感の変化度合いを確認した(表4)。
(試験5)
乳糖をラクターゼの添加により分解し、甘味度を制御した系で、タンパク質含有量を変動
させることによるタンパク臭及びミルク感の変化度合いを確認した(表5)。
<乳飲料の調整方法>
(実施例1)
脱脂粉乳、MPC480(フォンテラジャパン株式会社製)、乳清パウダーBC(雪印メ
グミルク株式会社製)、砂糖、スクラロース(三栄源・エフ・エフ・アイ株式会社製)、
食塩、無塩バター、水を表1に記載の配合量添加し、20kgの調整乳を作製した。これ
を70℃に加温し、ホモゲナイザーで15MPaの圧力で均質化し、130℃2秒間のプ
レート殺菌処理を実施することにより、本発明の乳飲料15kgを得た。
(実施例2〜19、比較例1〜8)
実施例1の乳飲料の調整方法を基準とし、表1〜3の記載に沿ってそれぞれの添加量を変
更して、乳飲料を調整した。
(実施例20〜30、比較例9〜10)
実施例1の乳飲料の調整方法を基準とし、表4〜5の記載に沿ってそれぞれの添加量を変
更して、20kgの調整乳を作製した。調整乳は10℃まで冷却後、乳糖分解酵素(ラク
ターゼ)を20g添加し、10℃で24時間酵素反応を行い、乳糖分解率が90%以上と
なるようにした。これを70℃に加温し、ホモゲナイザーで15MPaの圧力で均質化し
、130℃2秒間のプレート殺菌処理を実施することにより、本発明の乳飲料15kgを
得た。
表1〜5の配合に基づいて調整された実施例及び比較例サンプルの成分を、原料の成分と
配合量から算出した。また、実施例及び比較例サンプルの甘味度を、サンプル中の各甘味
源の甘味度と濃度から、算出した。結果を表1〜5に示し、原料の成分を表6に示した。
<評価>
実施例1〜30及び比較例1〜10の各乳飲料を用いて、官能評価を実施した。結果を表
1〜5に示した。
<評価手法>
冷蔵庫に保管して品温を8℃にした各乳飲料を、官能評価専用パネル5名に飲用してもら
い、甘味、タンパク臭、塩味、収斂味及びミルク感について適宜官能評価した。各項目に
ついて、以下の評価基準に従い評価した。
<評価基準>
以下の評価を適宜採用することにより、実施例及び比較例を実施した。
<甘味>
1:全くない
2:ややある
3:通常の牛乳と同等程度
4:やや強い
5:強い
<塩味>
1:全くない
2:ややある
3:通常の牛乳と同等程度
4:やや強い
5:強い
<タンパク臭>
1:非常にタンパク臭が強い
2:通常の牛乳よりもタンパク臭が強い
3:通常の牛乳よりもややタンパク臭を感じる
4:通常の牛乳と同等程度
5:通常の牛乳よりもタンパク臭が感じられない
<収斂味>
1:非常に収斂味が強い
2:通常の牛乳よりも収斂味が強い
3:通常の牛乳よりもやや収斂味を感じる
4:通常の牛乳と同等程度
5:通常の牛乳よりも収斂味が感じられない
<ミルク感>
1:通常の牛乳よりもかなり劣る
2:通常の牛乳よりもやや劣る
3:通常の牛乳と同等程度
4:通常の牛乳よりもある
5:通常の牛乳よりもかなりある
<総合評価>
1.甘味度/タンパク質含有量を変動させることによる甘味及びタンパク臭の変化度合い
を試験した試験1、2(表1、表2)については次のように総合評価した。
×:甘味の評価結果が1あるいは5、またはタンパク臭の評価結果に1が含まれる場合
○:甘味の評価結果が2〜4であり、かつ、タンパク臭の評価結果が2〜5となる場合
2.ナトリウム量を変動させることによる塩味及び収斂味、ミルク感の変化度合いを確認
した試験3(表3)については次のように総合評価した。
×:塩味の評価結果が1あるいは5、または収斂味の評価結果に1が含まれる場合
◎:ミルク感の評価結果が5〜4となる場合
○:ミルク感の評価結果が4〜3となる場合
△:ミルク感の評価結果が3〜2となる場合
3.甘味度/タンパク質含有量を変動させることによるタンパク臭、ミルク感の変化度合
いを確認した試験4、5(表4、表5)については次のように総合評価した。
◎:ミルク感の評価結果が5〜4となる場合
○:ミルク感の評価結果が4〜3となる場合
△:ミルク感の評価結果が3〜2となる場合
×:ミルク感の評価結果が2以下となる場合
試験1においては、乳タンパク質に砂糖を添加した系で、甘味度/タンパク質含有量を変
動させることによる甘味及びタンパク臭の変化度合いを試験した。その結果、表1に示さ
れるように、甘味度/タンパク質含有量を0.30以上0.80以下に調整された実施例
1〜6の乳飲料は、通常の牛乳よりも高タンパク質含有量でありながらも、タンパク臭が
抑えられ、甘味が通常の牛乳と同等であることが確認できた。
試験2においては、乳タンパク質にスクラロースを添加した系で、甘味度/タンパク質含
有量を変動させることによる甘味及びタンパク臭の変化度合いを試験した。その結果、表
2に示されるように、甘味度/タンパク質含有量を0.30以上0.80以下に調整され
た実施例7〜12の乳飲料は、通常の牛乳よりも高タンパク質含有量でありながらも、タ
ンパク臭が抑えられ、甘味が通常の牛乳と同等であることが確認できた。
試験3においては、乳タンパク質に砂糖及びスクラロースを添加した系で、食塩の添加に
よりナトリウム量を変動させることによる塩味、収斂味及びミルク感の変化度合いを確認
した。その結果、表3に示されるように、ナトリウム量を30mg/100g以上70m
g/100g以下に調整された実施例13〜19の乳飲料は、通常の牛乳よりも高タンパ
ク質含有量でありながらも、収斂味が抑えられ、ミルク感が通常の牛乳と同等であること
が確認できた。
試験4においては、乳糖をラクターゼの添加により分解し、甘味度を制御した系で、甘味
度/タンパク質含有量を変動させることによるタンパク臭及びミルク感の変化度合いを確
認した。その結果、表4に示されるように、甘味度/タンパク質含有量を0.30以上0
.80以下に調整された実施例20〜27の乳飲料は、通常の牛乳よりも高タンパク質含
有量でありながらも、タンパク臭が抑えられ、ミルク感が通常の牛乳と同等であることが
確認できた。
試験5においては、乳糖をラクターゼの添加により分解し、甘味度を制御した系で、タン
パク質含有量を変動させることによるタンパク臭及びミルク感の変化度合いを確認した。
その結果、表5に示されるようにタンパク質量を3.3重量%超5.5重量%未満に調整
された実施例28〜30の乳飲料は、通常の牛乳よりも高タンパク質含有量でありながら
も、タンパク臭が抑えられ、ミルク感が通常の牛乳と同等であることが確認できた。
表6は各原料の成分を示したものである。
表1〜5に示されるように、タンパク質を3.3重量%超5.5重量%未満含有し、カロ
リーが50kcal/100g以下であり、かつ、甘味度/タンパク質含有量が0.30
以上0.80以下である乳飲料、さらにナトリウムを30mg/100g以上70mg/
100g以下含有する乳飲料とすることで、低カロリーでありながら、タンパク質が強化
されても、風味が良好である乳飲料を提供することが可能となることが確認できた。
本発明により、牛乳よりも低カロリーでありながら、タンパク質を多く含有していても、
タンパク臭や収斂味等の風味上の問題が発生せず、ミルク感のある風味の良好な乳飲料を
提供することが可能となる。本発明の乳飲料は、牛乳の代替となる飲用シーンにおいて、
カロリー摂取量をなるべく抑制しつつも、効率良くタンパク質等の栄養分を摂取したいと
考える運動愛好者等の消費者が、効率よくタンパク質等の栄養分を摂取するのに有用であ
る。

Claims (2)

  1. 乳飲料の製造方法であって、
    タンパク質を4.4重量%以上5.5重量%未満、
    カロリーが50kcal/100g以下、
    甘味度をX、乳飲料中のタンパク質含有量(重量%)をYとした場合、X/Yが0.30以上0.80以下、となるように調整することを特徴とする前記乳飲料の製造方法。
  2. 乳飲料が、ナトリウムを30mg/100g以上70mg/100g以下含有する請求項1に記載の乳飲料の製造方法。
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