JP6574511B1 - 乳入り酸性飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 乳入りの酸性飲料において、乳脂肪感を付与する技術を提供すること。【解決手段】 フマル酸を含む、乳入り酸性飲料を提供する。 また、フマル酸及び乳成分を混合して原料液を調製する工程を含む、乳入り酸性飲料の製造方法を提供する。 また、フマル酸を添加することを特徴とする、乳入り製品の脂肪感付与方法を提供する。 好適には、前記飲料中のフマル酸/乳脂肪分の質量含有比率が、0.01〜20である。【選択図】 なし

Description

本技術は、乳入り酸性飲料に関する。
乳成分原料を配合する乳入り飲料のカテゴリーの幅は広く、乳入り飲料として、例えば、乳飲料及び清涼飲料水等が知られており、より具体的には例えば、ミルクティ、コーヒー牛乳、ヨーグルト飲料、発酵乳飲料、乳酸菌飲料、乳性飲料等が知られている。このような様々な乳入り飲料が市場で多く流通しており、また、乳入りの飲料を冷凍しシャーベット状にしたものを食する場合もある。
なお、乳等省令(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)では、重量百分率で乳固形分3.0%以上含有する飲料を「乳飲料」と定義している。
また、保存性向上のため及び/又は酸味付与のために酸性成分を配合した様々な酸性飲料が市場で多く流通しており、酸性飲料として、例えば、清涼飲料水(アルコール分1%未満)及びアルコール飲料等が知られている。清涼飲料水のカテゴリーの幅は広く、清涼飲料水として、例えば、炭酸飲料、果汁飲料、野菜ジュース、スポーツ飲料、茶系飲料、コーヒー飲料、豆乳類、乳性飲料、発酵乳入り飲料、乳酸菌飲料等が知られている。なお、乳酸菌飲料は、「乳等を乳酸菌又は酵母で発酵させたものを加工し、又は、主要原料とした飲料(発酵乳を除く)」(乳等省令)とされている。また、アルコール飲料として、例えば、果汁入りアルコール飲料、発酵乳入りアルコール飲料等が知られている。
そして、保存性向上や酸味付与のために酸性成分を配合した乳入り酸性飲料が、市場に多く流通しており、このような乳入り酸性飲料にユーザーが求める風味の1つとして乳脂肪感がある。
近年、乳脂肪分を増量してさらに乳脂肪感のある乳入り飲料を求めるユーザーが存在する。一方で、近年、脂肪過多の食生活になりやすい傾向にあるため、低脂肪(脂肪ゼロも含む)の飲料を求めるユーザーが存在するが、このとき低脂肪(脂肪ゼロも含む)でありながら乳脂肪感のある乳入り飲料が好まれる。
なお、食品表示法における栄養成分表示(消費者庁 〔食品表示基準 別表第13〕)において、「脂肪ゼロ」表示は、「食品100g(mL)当たり脂質 0.5g未満」のものに対して可能とされている。
乳脂肪感を付与する技術は、種々検討されている。
例えば、特許文献1では、12−メチルトリデカナールを、バター、チーズ、牛乳等の乳製品等の乳系香料組成物に対し1ppb〜104ppm含有させることを特徴とする乳系香料組成物の乳脂肪感増強方法が提案されている。
また、特許文献2では、(a)タンニン酸、(b)コラーゲン、(c)アラビアガムの3成分によって形成される回転楕円形状の粒子を含み、前記粒子が1.0〜20.0μmの範囲の平均粒子径を有する、脂肪様の官能特性を有する脂肪代替組成物及びその製造方法が提案されている。
また、特許文献3では、ジャガイモ澱粉を除く澱粉から調製されるリン酸化糖あるいはそのミネラル化合物を、乳脂肪を含む食品に添加することにより、乳脂肪感を向上させる方法が提案されている。
特開2010−158210号公報 特開2013−111026号公報 特開2002−253141号公報
そこで、本技術は、乳入りの酸性飲料において、乳脂肪感を付与する技術を提供することを主な目的とする。
酸性成分は、pH調整剤及び/又は酸味料として飲料によく使用され、酸味及びサッパリ感といった呈味を飲料に付与するが、逆にこのような呈味によって酸性成分は飲料の乳脂肪感(乳脂肪を含有した飲料を喫食した際に感じるまろやかさ、コクを総合して感じる風味)を損なうと一般的に考えられている。
しかしながら、本発明者は、鋭意検討した結果、酸性成分として知られているフマル酸を、乳入り酸性飲料に配合したところ、乳入り酸性飲料に乳脂肪感が付与されることを見出した。さらに、乳脂肪感が弱くなった低脂肪の乳飲料に対してフマル酸を用いることで、乳脂肪感が損なわれることなく逆に乳脂肪感が付与されることも本発明者は見出した。斯様にして、本発明者は、本発明を完成させた。本発明は以下のとおりである。
本技術は、フマル酸を含む、乳入り酸性飲料を提供するものである。
本技術は、フマル酸及び乳成分を混合して原料液を調製する工程を含む、乳入り酸性飲料の製造方法を提供するものである。
本技術は、フマル酸を添加することを特徴とする、乳入り製品の脂肪感付与方法を提供するものである。
前記飲料中のフマル酸/乳脂肪分の質量含有比率が、0.01〜20であってもよい。
本技術によれば、乳入りの酸性飲料において、乳脂肪感を付与する技術を提供することができる。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本技術中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
以下、本技術を実施するための好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。
<1.本技術の乳入り酸性飲料>
本技術の「乳入り酸性飲料」とは、少なくとも乳成分を配合した酸性飲料であり、例えば乳飲料及び清涼飲料水等が挙げられる。ここで、酸性飲料は、通常、pHが7未満の飲料を意味する。酸性飲料として、例えば、清涼飲料水(アルコール分1%未満)及びアルコール飲料等が知られている。清涼飲料水のカテゴリーの幅は広く、清涼飲料水として、例えば、炭酸飲料、果汁飲料、野菜ジュース、スポーツ飲料、茶系飲料、コーヒー飲料、豆乳類、乳性飲料、発酵乳入り飲料、乳酸菌飲料等が知られている。また、アルコール飲料として、例えば、果汁入りアルコール飲料、発酵乳入りアルコール飲料等が知られている。
本技術は、フマル酸を含む乳入り酸性飲料を提供することができる。フマル酸を用いることにより、乳入り酸性飲料に対して乳脂肪感を付与することができる。
酸性成分は、飲料に対して酸味又はサッパリ感を付与するため、乳脂肪感を損なうと考えられているが、フマル酸であれば乳脂肪分が少ない又は乳脂肪分ゼロの飲料であっても、乳脂肪感を付与することができる。よって、本技術は、低脂肪の乳入り酸性飲料に対しても適用することが可能であり、当該飲料中の乳脂肪分の含有量が、0.8質量%以下であっても適用することが可能である。
また、本技術において、前記フマル酸/前記飲料中の乳脂肪分の質量含有比率が、0.01〜20であることが好適である。
なお、本技術の「乳入り酸性飲料」での「低脂肪(又は「低乳脂肪分」ともいう)」とは、「脂肪ゼロ(又は「乳脂肪分ゼロ」ともいう)」を含む意味である。当該「脂肪ゼロ」は、食品表示法における栄養成分表示(消費者庁 〔食品表示基準 別表第13〕)の「食品100g(mL)当たり脂質 0.5g未満」の意味と同じである。
また、本技術において「乳固形分」とは、無脂乳固形分及び乳脂肪分の合計である。本技術における、乳固形分、無脂乳固形分、乳脂肪分、及びその他乳成分の含有量は、「乳等省令(乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)」の「乳等の成分規格の試験法」に記載の各定量方法によって測定することができる。
〔1−1.乳成分〕
本技術の乳入り酸性飲料は、少なくとも「乳成分」を含む酸性飲料である。
本技術に用いる乳成分は、少なくとも乳蛋白質を含有するものであればよく、乳蛋白質及び/又は乳脂肪分を含有するものでもよい。当該乳成分として、発酵乳又は非発酵乳のいずれを使用してもよいが、非発酵乳の方が、乳脂肪感付与の観点から好適である。
前記乳成分は、主に哺乳動物の乳(例えば、牛乳、山羊乳、羊乳、馬乳等)由来の乳成分、好適には牛乳由来の乳成分を使用することができる。
前記乳成分として、例えば、生乳、牛乳、脱脂乳、部分脱脂乳、濃縮乳、脱脂濃縮乳、練乳、全粉乳、脱脂粉乳、乳清(ホエー)、乳清蛋白質濃縮物(WPC)、乳清蛋白質分離物(WPI)、全乳蛋白質濃縮物(TMP)、クリーム、クリームパウダー、及びホエーパウダー等が挙げられ、これらから1種又は2種以上を用いることができる。
前記発酵乳は、前記乳成分を乳原料として用いて乳酸菌等の微生物による公知の乳発酵方法によって得ることができる。なお、非発酵乳として、発酵前の乳原料(例えば、生乳等の前記乳成分)を挙げることができるが、これに限定されない。
本技術の乳入り酸性飲料を「低脂肪」にする場合には、乳脂肪の少ない乳成分が好ましい。
前記乳脂肪の少ない乳成分として、例えば、脱脂乳、部分脱脂乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、乳清(ホエー)、乳清蛋白質濃縮物(WPC)、乳清蛋白質分離物(WPI)、全乳蛋白質濃縮物(TMP)、及びホエーパウダー等が挙げられ、これらから1種又は2種以上を用いることができる。
前記乳脂肪の少ない乳成分において、この乳成分中の乳脂肪分含有量は、好適には2質量%以下、より好適には1質量%以下であり、1質量%程度以下の乳成分のうち、脱脂乳及び/又は脱脂粉乳が、風味の観点から、好適である。
本技術の乳入り酸性飲料は、飲料中の乳成分の含有量に特に限定されるものではない。
また、本技術の乳入り酸性飲料は、乳等省令に基づき重量百分率で乳固形分3.0%以上の乳飲料としてもよいし、乳固形分3.0%未満の清涼飲料水(アルコール分1%未満)としてもよく、これら以外のアルコール含有飲料にしてもよいが、本技術の飲料はこれらに限定されるものではない。
〔1−1−1.無脂乳固形分〕
本技術の乳入り酸性飲料において、上述した「乳成分」を適宜使用することにより、当該飲料中の無脂乳固形分の含有量を適宜調整することができる。
また、本技術の乳入り酸性飲料中の無脂乳固形分の含有量は、特に限定されないが、その下限値として、好ましくは0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上であり、その上限値として、好ましくは2.0質量%以下、好ましくは1.0質量%以下である。当該数値範囲として、より好ましくは0.1〜2.0質量%、より好ましくは0.5〜1.0質量%であり、これにより、低脂肪の飲料であっても、乳脂肪感及び風味が良好である。
〔1−1−2.乳脂肪分〕
本技術の乳入り酸性飲料において、当該飲料中の乳脂肪分の含有量を適宜調整することができる。飲料中の乳脂肪分を調整する場合、上述した「乳成分」の他、「乳脂肪源」を使用することができ、当該乳脂肪源は乳脂肪分を含むものであれば特に限定されない。
乳脂肪源は、乳脂肪分を固形分に対して70質量%以上含む原料であることが好適である。当該乳脂肪源は、乳由来の成分のみからなるものが、乳脂肪由来の風味の観点から、好ましい。また、このうち、乳脂肪分の調整のしやすさ及び風味の観点から、バターが好適である。
前記乳脂肪源として、例えば、クリーム、バター、バターオイル、及びクリームチーズ等が挙げられ、これらから1種又は2種以上を用いることができる。
前記クリームは、食品衛生法の乳及び乳製品の成分規格等に関する省令で規定されるクリーム(生乳、牛乳、特別牛乳から脂肪分以外の成分を除去したもの)であって、乳脂肪分を18質量%以上含むものであり、添加物を一切加えていないものを用いることが好適である。
前記バターは、乳脂肪分を80質量%以上含むものであり、食品衛生法の乳及び乳製品の成分規格等に関する省令で規定されるバター(生乳、牛乳、特別牛乳から得られた脂肪粒を練圧したもの)を用いることが好適である。
前記バターオイルは、バターから水分を除去して、ほとんど乳脂肪分のみとした(乳脂肪99.3%以上)油状のものを用いることが好適である。
前記クリームチーズは、生乳とクリームを混合し、脂肪率を10〜20%とした調乳液を乳酸菌で発酵させたもの(pH4.2〜5.0)を用いることが好適である。
〔1−2.フマル酸〕
本技術で用いるフマル酸は、特有の酸味を持つ有機酸であり、フマル酸又はその塩は、酸味料及び/又はpH調整剤として飲食品や医薬品等に使用されている。
本技術のフマル酸を乳入り飲料に用いると、乳入り飲料に乳脂肪感を付与し、乳脂肪感のある飲料を提供することができる。特に、乳入り飲料に酸性成分を配合した乳入り酸性飲料の場合、酸性成分の呈味で乳脂肪感が低減しやすいが、本技術のフマル酸を用いることで、乳脂肪感が付与され、乳脂肪感のある乳入り酸性飲料を得ることができる。
さらに、乳入り酸性飲料を低脂肪にしても、本技術のフマル酸を用いることで、乳脂肪感が付与され、乳脂肪感のある乳入り酸性飲料を得ることができる。低脂肪の乳入り飲料にした場合、低脂肪による効能も期待することができる。
本技術で用いるフマル酸は、対イオンが存在する塩の形態でもよく、予めアルカリで中和してあるものであってもよく、さらに、飲料製造工程中にアルカリを加えることにより中和された塩の形態とすることも可能である。
本技術において、取り扱いやすさ及び風味の観点から、フマル酸塩が好ましい。
前記フマル酸塩として、例えば、フマル酸アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム、カリウム等)、フマル酸アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム、マグネシウム等)等が挙げられるが、本技術の塩はこれに限定されるものではない。当該フマル酸塩として市販のものを使用することができる。
前記フマル酸塩として、例えば、フマル酸一ナトリウム、フマル酸二ナトリウム、フマル酸一カリウム、フマル酸二カリウム、フマル酸マグネシウム、及びフマル酸カルシウムからなる群から選択される少なくとも1種又は2種以上であることが好ましい。
この中で、フマル酸ナトリウム塩が、コスト及び乳脂肪感付与の観点から好ましく、より好ましくは、乳脂肪感付与の観点から、フマル酸一ナトリウム及び/又はフマル酸二ナトリウムである。
〔1−3.各成分の使用量及び質量使用比率〕
本技術の乳入り酸性飲料中のフマル酸含有量は、フマル酸換算で、その下限値として、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.015質量%以上、よりさら好ましくは0.02質量%以上であり、その上限値として、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以下である。当該範囲として、より好ましくは0.01〜0.08質量%、さらに好ましくは0.02〜0.07質量%、よりさらに好ましくは0.025〜0.051質量%であり、乳脂肪感付与の観点及び風味の観点から、好適である。
なお、フマル酸はLC/MSによる有機酸分析にて測定することができる。
さらに、本技術の乳入り酸性飲料が低脂肪である場合には、フマル酸換算で、好ましくは0.016〜0.059質量%、より好ましくは0.02〜0.055質量%、さらに好ましくは0.025〜0.051質量%であることが、乳入り酸性飲料の風味がより良好であり、かつ乳脂肪感をより良好に付与することができる。さらに当該範囲のフマル酸含有量にすることにより、飲料を乳脂肪分ゼロ(好適には乳脂肪分0.05質量%以下)にしても、乳脂肪感をより強く感じることができる。
本技術の乳入り酸性飲料において、飲料中のフマル酸換算/乳脂肪分の質量含有比率が、その下限値において、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.07以上、よりさらに好ましくは0.08以上、より好ましくは0.09以上、より好ましくは0.15以上、より好ましくは0.19以上、より好ましくは0.2以上であり、その上限値において、好ましくは30以下、より好ましくは25以下、さらに好ましくは15以下、よりさらに好ましくは11以下、より好ましくは8.0以下、より好ましくは6.0以下である。当該範囲として、より好ましくは0.05〜30であり、さらに好ましくは0.07〜11であり、よりさらに好ましくは0.09〜6.0である。これにより、乳脂肪感をより良好に付与することができ、また風味も良好であるので、好適である。
なお、前記「飲料中のフマル酸換算/乳脂肪分の質量含有比率」は、飲料中のフマル酸換算/乳脂肪分の質量含有比率になるようにフマル酸を添加する場合であってもよい。
本技術の乳入り酸性飲料において、飲料中のフマル酸換算/無脂乳固形分の質量含有比率が、好ましくは0.005〜0.5、より好ましくは0.005〜0.1、さらに好ましくは0.01〜0.09、よりさらに好ましくは0.015〜0.075、よりさらに好ましくは0.02〜0.065である。これにより、風味が良好であるので、好適である。
なお、前記「飲料中のフマル酸換算/無脂乳固形分の質量含有比率」は、飲料中のフマル酸換算/無脂乳固形分の質量含有比率になるようにフマル酸を添加する場合であってもよい。
本技術の乳入り酸性飲料において、当該飲料中の乳脂肪分含有量は特に限定されないが、当該乳脂肪分の含有量として、その上限値として、好ましくは4.0質量%以下、より好ましくは3.5質量%以下である。
本技術の飲料が低脂肪である場合、飲料中の乳脂肪分含有量は、その上限値として、好ましくは0.8質量%以下、より好ましくは0.51質量%以下、さらに好ましくは0.31質量%以下、よりさら好ましくは0.21質量%以下、より好ましくは0.11質量%以下である。低脂肪にすることは、乳脂肪分の摂取量の低減効果の観点から良好であり、低脂肪であってもフマル酸を使用することで乳脂肪感を付与することができる。
本技術の飲料が低脂肪である場合、前記飲料中の乳脂肪分0.8質量部以下に対して、好ましくはフマル酸0.001〜0.5質量部、より好ましくはフマル酸0.005〜0.1質量部、さらに好ましくは0.005〜0.07質量部、より好適には、0.02〜0.06質量部の割合で配合することが、乳脂肪感の付与及び風味の観点から、好適である。
飲料中の乳脂肪分含有量を0.05質量%程度にした脂肪分ゼロの乳入り酸性飲料の場合、乳脂肪感をあまり感じないが、この飲料にフマル酸を配合することによって乳脂肪感が付与され、乳脂肪感のある乳入り酸性飲料とすることができる。また、低脂肪を望むユーザーにとって乳脂肪感を感じる満足感は長期摂取にもつながりやすいので、肥満対策、脂質異常症対策、ダイエット対策等を行っている対象者にも適している。
本技術の乳入り酸性飲料は、飲料のpH(20℃)を、好ましくは6以下、さらに好ましくは2〜6、よりさらに好ましくは2〜4にすることにより、得ることができる。このpH調整に用いる成分は特に限定されないが、例えば、果実由来物、pH調整剤等によって調整することができる。
〔1−4.任意成分〕
本技術の乳入り酸性飲料には、本技術の効果を損なわない範囲内で、必要に応じて、飲料成分として使用可能な任意成分を配合することができ、任意成分として、例えば、酸性成分、プロバイオティクス、甘味料、安定剤、香味成分、植物油脂、植物性乳(例えば、豆乳等)、増粘多糖類、香味成分、油脂、蛋白質、アミノ酸、有機酸、ビタミン、無機塩類等が挙げられ、これらから1種又は2種以上を用いることができる。
酸性成分は特に限定されないが、当該酸性成分として、例えば、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、アジピン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、グルコン酸、フィチン酸、リン酸、二酸化炭素及びこれらの塩等が挙げられ、これらから1種又は2種以上を用いることができる。
当該酸性成分は酸味料及び/又はpH調整剤として用いられ、当該酸性成分により、飲料に酸味を付与したり、酸性領域にしたりすることができる。
また、これら酸性成分が含まれているものを利用してもよく、例えば、柑橘系等の果汁を用いてもよく、これにより果汁特有の風味も付与することができる。
プロバイオティクスは特に限定されないが、プロバイオティクスとして、例えば、乳酸菌、ビフィドバクテリウム属細菌、酢酸菌、及び枯草菌等が挙げられ、これらから1種又は2種以上を用いることができ、このうち乳酸菌及び/又はビフィドバクテリウム属細菌(例えば、B.ロンガム、B.インファンティス、B.ブレーベ等)が好ましい。プロバイオティクスは、生菌体、死菌体、これらを用いた培養物のいずれでもよいが、プロバイオティクス効果の観点から生菌体が好ましい。また、菌体、細菌培養物又は発酵乳を配合させることで、プロバイオティクス効果を期待することも可能である。
甘味料は特に限定されないが、甘味料として、例えば、異性化糖(いわゆる果糖ブドウ糖液)、砂糖(いわゆるショ糖)、ブドウ糖、果糖、乳糖、マルトース、パラチノース、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ラフィノーズ等の糖類;ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチュロース等の糖アルコール;グルチルリチン、ステビオサイド、レバウディオサイド、甜茶抽出物、甘茶抽出物等の天然甘味料;サッカリン、アステルパーム等の人工甘味料等が挙げられ、これらから1種又は2種以上を用いることができる。
安定剤は特に限定されないが、安定剤として、例えば、ハイメトキシルペクチン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び大豆多糖類等が挙げられ、これらから1種又は2種以上を用いることができる。なお、大豆多糖類は大豆から得られた多糖類で、主成分はヘミセルロースである。市販品でもよく、市販品として、例えば、ハイメトキシルペクチン(SM−666、三栄源エフ・エフ・アイ社製)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(セロゲンFZ(製品名)、第一工業製薬社製)、大豆多糖類(SM−1200、三栄源エフ・エフ・アイ社製)等が挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。
香味成分は特に限定されないが、飲料の味付け及び香り付け目的のため使用可能な成分を用いることができ、香味成分として、例えば、コーヒー、茶類(例えば、紅茶、緑茶、ほうじ茶、番茶、煎茶、ウーロン茶等)及びこれらのエキス;果汁類(例えば、柑橘系(レモン、オレンジ等)、リンゴ、ブドウ、イチゴ、パイナップル、バナナ、ナシ、モモ、ウメ、ブルーベリー、メロン、グアバ、マンゴー、アセロラ、パパイヤ等);野菜汁類(例えば、トマト、ニンジン等)、これらの粉末又はフレーバー等が挙げられ、これらから1種又は2種以上を用いることができる。
〔1−5.乳入り酸性飲料の製造方法〕
本技術の飲料の製造方法は、特に限定されず、公知の乳入り酸性飲料の製造方法を利用して行うことができる。本技術の乳入り酸性飲料の製造方法は、フマル酸を配合する工程を含むものである。
本技術の乳入り酸性飲料の製造工程として、例えば、乳成分等の原料を混合して原料液を調製する工程、該原料液を加熱殺菌又は除菌(膜処理等)する工程、該殺菌又は除菌した原料液を容器に充填する工程等が挙げられるが、本技術においてこれに限定されない。
さらに、本技術において、フマル酸及び乳成分を混合して原料液を調製する原料液調整工程を含むことが好適である。
また、前記原料液調製工程では、乳脂肪分等の乳原料液を混合する乳成分原料液調製工程、該乳原料液に、酸性成分等含有液を混合し酸性等を調整する乳成分原料液調整工程等の順に行うことが好適であるが、本技術はこれに限定されない。
本技術の原料調製工程で、均質化処理することが好適である。当該均質化処理は、常法により行うことができる。例えば、ホモジナイザーを用い、65〜80℃の条件下、5〜25MPaの圧力で均質化する方法を例示することができるが、これに限定されない。
本技術の加熱殺菌又は除菌工程は、常法の加熱殺菌又は除菌により行うことができる。加熱殺菌の場合、通常は120〜150℃で1〜120秒間、飲料風味の観点からより好ましくは120〜140℃で1〜3秒間程度であり、UHT殺菌(Ultra-High Temperature pasteurization)を行ってもよい。
本技術の充填工程は、常法により行うことができ、本技術の飲料に使用する飲料容器として、例えば、紙パック、PET容器、缶、ビン等が挙げられるが、これに限定されない。
本技術の乳入り飲料の製造方法において、本技術の飲料に含まれる各成分の添加は、乳入り飲料の製造工程中のいずれの工程でもよく、特に限定されず、例えば、調製工程での添加が挙げられ、また、各成分は上述したような含有量、質量含有比率等になるように適宜調整することができる。
本技術において、フマル酸の添加工程は、乳入り酸性飲料の製造工程中であれば特に限定されず、いずれの工程でもよい。例えば、調製工程で添加してもよいし、加熱殺菌工程後に添加してもよいし、容器充填工程前に添加してもよい。また、フマル酸の添加工程は、添加後に加熱殺菌工程を行うことも可能である。
上記製造方法により、乳脂肪感が付与された本技術の乳入り酸性飲料を得ることができる。本技術の乳入り酸性飲料の形態は特に限定されないが、流動状又は液状のいずれでもよい。
<2.本技術のフマル酸の用途(飲食品用等)>
また、本技術のフマル酸は、乳入り製品(より好適には乳入り飲料)に対して乳脂肪感を付与することが可能であり、特に乳脂肪の低減化をしても乳脂肪感のある製品を提供することも可能である。当該製品として、例えば、飲食品、流動食等が挙げられるが、これに限定されない。さらに、本技術のフマル酸を、乳入り酸性飲料に用いることで、乳脂肪感及び風味の良好な飲料を得やすいので、好適である。
よって、本技術のフマル酸は、乳入り製品に対する乳脂肪感付与剤の有効成分として含有させることができ、また、当該乳脂肪感付与剤を製造するために使用することができる。また、本技術は、乳入り製品に対する乳脂肪感付与のためのフマル酸又はその使用を提供することもできる。また、本技術は、フマル酸を配合することによって、乳脂肪感を付与する方法を提供することも可能である。
本技術において、上述した<1.本技術の乳入り酸性飲料>と共通する構成については説明を省略する。本技術のフマル酸使用量、フマル酸及び製品中の乳脂肪分との質量使用比率、フマル酸及び製品中の無脂乳固形分との質量使用比率等は、上述した<1.本技術の乳入り酸性飲料>の各構成の含有量及び各質量含有比等と同様である。また、製品中の「低脂肪」の含有量及び定義は、<1.本技術の乳入り酸性飲料>と同様である。
本技術は、医薬用、機能性表示食品用、飲食品用、飼料(例えばペット)用等の用途にも使用することができ、飲むときに液状又は流動状にすることができる形態(例えば錠剤、粉末等)も含むことが可能である。
本技術は、適用対象であるヒト若しくはヒト以外の動物(例えば、ペット、家畜等)に使用してもよく、また治療目的使用であっても、非治療目的であってもよい。「非治療目的」とは、医療行為、すなわち、治療による人体への処置行為を含まない概念である。
前記飲食品は、液状、ペースト状、固体、粉末等の形態を問わず、錠菓、流動食、飼料(ペット用を含む)等のほか、例えば、小麦粉製品、即席食品、農産加工品、水産加工品、畜産加工品、乳・乳製品、油脂類、基礎調味料、複合調味料・食品類、冷凍食品、菓子類、飲料、これら以外の市販品等が挙げられる。
前記乳・乳製品としては、例えば、加工乳、乳飲料、ヨーグルト類、乳酸菌飲料類、チーズ、アイスクリーム類、調製粉乳類、クリーム、その他の乳製品等が挙げられる。
前記飲料としては、例えば、炭酸飲料、天然果汁、果汁飲料、果汁入り清涼飲料、果肉飲料、果粒入り果実飲料、野菜系飲料、豆乳、豆乳飲料、コーヒー飲料、お茶飲料、粉末飲料、濃縮飲料、スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、その他の嗜好飲料等が挙げられる。
また、本技術で定義される飲食品は、保健用途が表示された飲食品として提供・販売されることも可能である。
「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起・類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、全て本技術の「表示」行為に該当する。
また、「表示」は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に前記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。
一方、表示内容としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示等)であることが好ましい。また、そのような表示内容を、包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。
また、「表示」には、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品、医薬部外品等としての表示も挙げられる。この中でも特に、消費者庁によって認可される表示、例えば、特定保健用食品制度、これに類似する制度にて認可される表示等が挙げられる。後者の例としては、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク減少表示等を挙げることができる。より具体的には、健康増進法施行規則(平成15年4月30日日本国厚生労働省令第86号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)及びこれに類する表示が典型的な例である。
また、本技術は、以下の構成を採用することも可能である。
〔1〕
フマル酸を含む、乳入り酸性飲料。当該飲料は、低脂肪の飲料であることが好適。当該飲料は、乳飲料及び清涼飲料水であることが好適。当該飲料の形態は、液状又は流動状であることが好適である。
〔2〕
前記飲料中の乳脂肪分の含有量が、0.8質量%以下である、前記〔1〕記載の酸性飲料。
〔3〕
前記飲料中の乳脂肪分0.8質量部以下に対して、フマル酸0.005〜0.1質量部の割合で配合する、前記〔1〕又は〔2〕記載の酸性飲料。
〔4〕
前記飲料中のフマル酸の含有量が、0.005〜0.07質量%である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか項記載の酸性飲料。
〔5〕
前記飲料中のフマル酸/乳脂肪分の質量含有比率が、0.01〜20である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか項記載の酸性飲料。
〔6〕
前記飲料中のフマル酸/無脂乳固形分の質量含有比率が、0.005〜0.5である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか項記載の酸性飲料。
〔7〕
前記乳入り酸性飲料が、低脂肪用又は脂肪分ゼロ用である、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか項記載の酸性飲料。
〔8〕
フマル酸を有効成分として含有する、乳入り飲料に対する乳脂肪感付与剤又は乳脂肪感付与方法。
〔9〕
前記乳入り飲料が、飲料中の乳脂肪分0.8質量部以下である、前記〔8〕記載の乳脂肪感付与剤又は乳脂肪感付与方法。
〔10〕
前記フマル酸/飲料中の乳脂肪分の質量含有比率が、0.01〜100である、前記〔8〕又は〔9〕記載の乳脂肪感付与剤又は乳脂肪感付与方法。
以下、実施例等に基づいて本技術をさらに詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例等は、本技術の代表的な実施例等の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。
〔試験例1〜8(実施例)及び比較例1:フマル酸量〕
下記表1に示す配合組成(組成1(フマル酸量試験))を用いて、乳入り酸性飲料を8種類(試験例1〜8)製造した。具体的には、脱脂粉乳及び乳脂肪(無塩バター)を温湯(60℃)で溶解し、さらに糖類、安定剤、酸味料(クエン酸等)、フマル酸一ナトリウム、その他原料を順次混合し、当該混合物を、60℃・20MPaで均質化し、さらに90℃まで昇温しながら加熱殺菌した後、90℃に達温後に冷却して、乳入り酸性飲料(pH2〜4(20℃))を得た。表1に示す配合組成に従って、順次乳入り酸性飲料を得た。また、フマル酸無添加以外はこれと同様にして基準液1を作製した。
<評価方法>
パネラー:飲料開発従事者のパネリスト8名
飲料開発担当では乳脂肪の濃度を振り分けた基準液にて乳脂肪感について日常的に訓練し、判断基準について摺合せを行っている。
今回の官能評価の際は、日常的に訓練を行っている開発担当者のうちパネリストとして8名を選出し、このパネリスト8名が乳脂肪感の評価を行った。
評価項目:乳脂肪感
評価基準:乳脂肪0.08%及びフマル酸0%の基準液1(比較例1)を作製し、この基準液と各サンプル(試験例1〜8)とを比較した。
・基準液と比較して、
乳脂肪感が弱く感じる :1
乳脂肪感がやや弱く感じる :2
基準品と変わらない :3
乳脂肪感がやや強く感じる :4
乳脂肪感が強く感じる :5
試験例1〜8:試験例1〜8の各乳入り酸性飲料は、フマル酸含有量を表1に示すように調整したものである。
基準液の乳入り酸性飲料(比較例1)はフマル酸0質量%の飲料であり、当該飲料(比較例1)を、試験例1〜8の各乳入り酸性飲料(実施例1〜8)の乳脂肪感を判断するための、基準とした。
このとき、試験例1〜8及び比較例1の飲料中の乳脂肪分(脱脂粉乳中の乳脂肪分+無塩バター(乳脂肪分))は、0.0885質量%であった。また、試験例1〜8の無脂乳固形分は0.81032質量%であった。
なお、試験例1〜17及び比較例1〜10において、フマル酸一ナトリウム分子量:138.07g/mol、フマル酸分子量:116.07g/molに基づき、フマル酸換算(%)を算出した。
また、試験例1〜17及び比較例1〜10において、日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2017年に記載の「脱脂粉乳 脂質1.0g/100g」に基づいて、「脱脂粉乳」の「乳脂肪分」は「1.0質量%」と設定した。
〔試験例9〜17(実施例)及び比較例2〜10:乳脂肪分量〕
下記表3に示す配合組成(組成2(乳脂肪分量試験))を用いて、乳入り酸性飲料を18種類(試験例9〜17と比較例2〜10)製造した。製造手順については、上述した〔試験例1〜8及び比較例1:フマル酸含有量〕の製造方法と同様である。
試験例9〜17:表3に示すように乳脂肪分含有量を調整し、試験例9〜17の各乳入り酸性飲料を製造した(pH2〜4(20℃))。
比較例2〜9:フマル酸を添加しなかった(フマル酸0質量%)以外は上記試験例9〜17の製造方法と同様にして、比較例2〜9の各乳入り酸性飲料を製造した(pH2〜4(20℃))。
フマル酸の添加の有無以外は同じ配合組成の試験品(フマル酸添加)及び比較品(フマル酸無添加)を用いた。比較品を基準として、比較品と同じ乳脂肪分含有量の試験品の乳脂肪感について評価を行った。例えば、フマル酸を添加した試験例9と、フマル酸を添加なし以外は配合組成が同じである比較例2とを対比した。
なお、無塩バター(乳脂肪分)が無添加の乳入り酸性飲料(配合・乳脂肪分0%:試験例9及び比較例2)において、飲料中の乳脂肪分(脱脂粉乳中の乳脂肪分+無塩バター(乳脂肪分))は、0.0085質量%であった。
<評価方法>
パネラー:飲料開発従事者のパネリスト8名
飲料開発担当では乳脂肪の濃度を振り分けた基準液にて乳脂肪感について日常的に訓練し、判断基準について摺合せを行っている。
今回の官能評価の際は、日常的に訓練を行っている開発担当者のうちパネリストとして8名を選出し、このパネリスト8名が乳脂肪感の評価を行った。
評価項目:乳脂肪感
評価基準:フマル酸一ナトリウム0.06%の配合の有無以外は同じ配合組成で、フマル酸添加の試験液(試験例)及びフマル酸無添加の基準液(比較例)を作製し、基準液を基準として試験液の乳脂肪感を評価した。乳脂肪分含有量ごとに基準液及び試験液を作製し、同じ乳脂肪分含有量ごとに試験液の乳脂肪感を評価した。
・基準液と比較して
乳脂肪感が弱く感じる :1
乳脂肪感がやや弱く感じる:2
基準品と変わらない :3
乳脂肪感がやや強く感じる:4
乳脂肪感が強く感じる :5
<結果>
表2及び表4の結果(試験例1〜17)より、フマル酸を用いることにより、乳入り酸性飲料の乳脂肪感が付与され、良好な乳脂肪感がある飲料が得られることを明らかにできた。また、低脂肪の飲料(0.11質量%以下)であっても、フマル酸を用いることにより乳脂肪感が付与され、良好な乳脂肪感のある飲料が得られることを明らかにできた。一般的に乳脂肪分含有量を減らせば乳脂肪感が減るが、減った乳脂肪感をフマル酸を用いることで補うことができる。そして、本技術のフマル酸を用いることで、乳入り酸性飲料に乳脂肪分を少なくとも付与することが可能であり、また乳脂肪感をより増強して感じることも可能である。
表2の結果より、フマル酸を配合することにより、乳入り酸性飲料の乳脂肪感が付与された(試験例1〜8)。また、フマル酸の飲料中の含有量が0.016〜0.059質量%のときに乳脂肪感がより増強された(試験例2〜7)。さらに0.025〜0.051質量%のときに、乳脂肪感が非常に増強され(試験例3〜6)、試験例6が最も評価が高かったため、フマル酸含有量が0.045〜0.055質量%である場合には、試験例6のように高い乳脂肪感増強作用が得られると考える。
表4の結果より、乳脂肪分の配合量が少なくなるにつれ、フマル酸配合による乳脂肪感が増強される傾向にあることを見出した。
また、飲料中フマル酸換算/乳脂肪分の質量含有比率は、6.0〜0.07において乳脂肪感が付与された(試験例9〜17)。このときの飲料中乳脂肪分の含有量は0.8質量%以下であった。しかもほとんど乳脂肪分が含まれていない実質乳脂肪ゼロの場合(試験例9)でも、フマル酸を配合することによって乳脂肪感を付与することができた。
表2及び表4の結果より、乳脂肪分の含有量を高める場合には、飲料中フマル酸換算/乳脂肪分の質量含有比率が6.0〜0.25になるようにフマル酸を調整することで、乳脂肪感がより好適に増強されると考えられる。
表2及び表4の結果より、飲料中フマル酸換算/無脂乳固形分の質量含有比率が0.05〜0.08において、飲料中乳脂肪分0.08質量%以下のときに及び/又は飲料中フマル酸換算/乳脂肪分の質量含有比率6.0〜0.07のときに、乳脂肪感が良好に付与でき、風味も良好であると考える。
なお、上記試験例1〜17の酸性飲料において、乳酸菌及び/又はビフィドバクテリウム属細菌(B.ロンガム、B.インファンティス、B.ブレーベの1種又は2種以上)の生菌体、細菌培養物又は発酵乳のいずれかを配合することで、プロバイオティクスが期待できる本技術の飲料を得ることができ、当該飲料の乳脂肪感及び風味は良好である。

Claims (4)

  1. フマル酸を含む、乳入り酸性飲料であって、
    前記飲料中の乳脂肪分が0.8質量%以下で、前記飲料中のフマル酸の含有量が0.016〜0.059質量%である、加熱殺菌した酸性飲料(但し、メトキシルペクチンを0.1〜0.6%を含有する乳入り酸性飲料を除く。)。
  2. 前記飲料中のフマル酸/乳脂肪分の質量含有比率が、6.0〜0.07である、請求項1記載の酸性飲料。
  3. フマル酸及び乳成分を混合して原料液を調製する工程を含む、乳脂肪分が0.8質量%以下で、フマル酸の含有量が0.016〜0.059質量%であることを特徴とする、加熱殺菌した酸性飲料(但し、メトキシルペクチンを0.1〜0.6%を含有する乳入り酸性飲料を除く。)の製造方法。
  4. フマル酸を添加することを特徴とする、乳入り製品の脂肪感付与方法であって、
    前記乳入り製品の乳脂肪分が0.8質量%以下で、前記乳入り製品中のフマル酸の含有量を0.016〜0.059質量%にする乳入り製品の脂肪感付与方法。
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