JP2015006176A - 大麦加工食品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】風味の強さや成分比を簡易に調整しつつ、機能性(乳化類似作用や保湿作用など)に優れかつ使い勝手のよいピューレ状の大麦加工食品を製造すること。
【解決手段】大麦加工食品の製造方法が、大麦粒を所定の時間、水中に浸す浸漬工程と、前記浸漬工程を経た大麦粒を加熱処理し、前記大麦粒に存在する黒条線を包み込むように前記麦粒を膨らませる加熱工程と、前記膨らんだ麦粒を裏漉し処理する裏漉し処理工程と、前記裏漉し処理工程により得られる裏漉し処理物と裏漉し残渣の一部とを混合する混合工程と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、大麦加工食品及びその製造方法、並びに、同加工食品を含有する食品に関する。
従来より、大麦を加工してパン等の麦類含有食品を製造することが行われている。一方、本件の発明者らは、従前より、色、香り、味等の品質変化の少ない加工食品の製造方法について研究を重ね、様々な加工食品の開発を行っている(特許文献1)。
特開2011−217642号公報
ここで、大麦の加工食品の製造を行う上では次のような課題がある。すなわち、大麦には、香ばしさ等に代表される独特の風味のほか、デンプン、タンパク質、水溶性の繊維等々の様々な成分が含まれているが、それらの風味の程度や含有成分比は、もともと原料となる大麦に依存する一方、消費者のニーズはまちまちであり、消費者のニーズに合わせて風味や成分比を任意にかつ簡単に調整する方法が存在しない。
以上より、本発明の目的は、風味の程度や成分比を簡易に調整しつつ、使い勝手のよいピューレ状の大麦加工食品を製造する方法、及び同大麦加工食品を含む食品を提供することにある。
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、本発明に係る大麦加工食品の製造方法は、精麦された大麦粒を所定の時間だけ水中に浸す浸漬工程と、前記浸漬工程を経た大麦粒を過熱蒸気雰囲気中において加熱処理し、前記大麦粒に存在する黒条線を包み込むように前記大麦粒を膨らませる加熱工程と、前記膨らんだ大麦粒を、遠心力を用いてストレーナの小孔を通過させることにより、裏漉し処理する裏漉し処理工程と、前記裏漉し処理工程において前記小孔を通過した裏漉し処理物と前記小孔を通過しなかった裏漉し残渣の少なくとも一部とを混合することにより、ピューレ状の大麦加工食品を得る混合工程とを備える。
このような構成によれば、本来の機能性(乳化作用や保湿作用など)を維持しつつも、風味の程度や成分比を簡易に調整しつつ、使い勝手のよいピューレ状の大麦加工食品を製造することができる。
本発明の好ましい実施形態においては、前記過熱蒸気雰囲気中における加熱処理の際、加熱対象物である大麦粒は少なくとも表面まで水で覆われていてもよい。
このような構成によれば、過熱蒸気による麦粒の乾燥やこげ等を防止することができる。
本発明の好ましい実施形態においては、前記裏漉し処理は、前記膨らんだ大麦粒を混練する混練処理と同時に行われてもよい。
このような構成によれば、本来の機能性(乳化作用や保湿作用など)を維持しつつも、風味の程度や成分比を簡易に調整しつつ、使い勝手のよいピューレ状の大麦加工食品を、効率良く、得ることができる。
本発明の好ましい実施形態においては、前記混練処理は、公転装置と前記公転装置の公転軌道上において自転する自転装置とを有する混練装置を用いて行われ、一方、前記裏漉し処理は前記自転装置中に複数の小孔を有するストレーナを設けることにより行われてもよい。
このような構成によれば、本来の機能性(乳化作用や保湿作用など)を維持しつつも、風味の程度や成分比を簡易に調整しつつ、使い勝手のよいピューレ状の大麦加工食品を、効率良く、得ることができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記ストレーナに設けられた小孔は、当該孔の周囲が前記ストレーナの内表面側に隆起した形状とされていてもよい。
このような構成によれば、本来の機能性(乳化作用や保湿作用など)を維持しつつも、風味の程度や成分比を簡易に調整しつつ、使い勝手のよいピューレ状の大麦加工食品を、効率良く、得ることができる。
別の一面からすると、本発明は、本発明の製造方法により製造された大麦加工食品と把握することもできる。
このような大麦加工食品によれば、本来の機能性(乳化作用や保湿作用など)を維持しつつも、風味の強さや成分比が顧客のニーズに合致して、使い勝手が良好である利点を有する。
別の一面からすると、本発明は、本発明の製造方法により製造された大麦加工食品を用いて製造された食品と把握することもできる。
このような食品によれば、裏漉し処理物の機能性(乳化類似作用、保湿作用など)は活かしつつも、大麦が本来有する風味や成分比を適宜に調整されて含有することから、ユーザのニーズに合致した付加価値の高い食品となる。
別の一面からすると、本発明は、前記製造方法により製造された大麦加工食品を、所定のパン生地と混合し、大麦ピューレ混合生地を得る混合工程と、前記混合工程により得られた前記大麦ピューレ混合生地を発酵させ、発酵生地を得る発酵工程と、前記発酵工程により得られた前記発酵生地を焼成することにより、大麦ピューレ含有パンを得る焼成工程と、を備えた、大麦ピューレ含有パンの製造方法として把握することもできる。
このような製造方法によれば、ふっくらとした良好な食感の大麦ピューレ含有パンを得ることができる。
本発明によれば、本来の機能性(乳化作用や保湿作用など)を維持しつつも、風味の強さや成分比を簡易に調整しつつ、使い勝手のよいピューレ状の大麦加工食品を製造することができる。
図1はピューレの製造工程を示した説明図である。 図2は加熱工程の説明図である。 図3は裏漉し装置の説明図(その1)である。 図4は裏漉し装置の説明図(その2)である。 図5は裏漉し装置の説明図(その3)である。 図6は裏漉し対象物に及ぼされる力の変化の説明図である。 図7はパンの製造工程の説明図である。 図8は実施例1の配合割合を示す図表である。 図9は実施例1で得られたパンの含有水分量の推移を示す図表である。 図10は実施例1にかかるパンの外観を示す図である。 図11は実施例1で得られたパンの応力値の推移を示す図表である。 図12は実施例1で得られたパンの復元力の推移を示す図である。 図13は実施例1で得られたパンの応力値の推移を示す図である。 図14は実施例1で得られたパンの官能試験結果を示す図表である。
以下、本発明に係る大麦加工食品とその製造方法、当該大麦加工食品を用いた食品とその製造方法の好適な実施形態について、詳細に説明する。
<大麦加工食品の製造方法>
本件の発明者らは、過熱蒸気雰囲気下にて加熱処理した原料をストレーナを用いて裏漉すことにより、色、香り、味等の品質変化の少ない加工食品について研究を重ね、様々な加工食品の開発を行っている。
特に、加工食品を製造する際、加工食品の風味はそれを用いる最終食品の風味にも影響を及ぼすため、重要である。一方、大麦には、香ばしさ等に代表される独特の風味のほか、デンプン、タンパク質、水溶性の繊維等々の様々な有効成分が含まれているが、それらの風味の程度や成分比は、もともと原料となる大麦に依存する一方、消費者のニーズはまちまちであり、消費者のニーズに合わせて風味の程度や成分比を任意にかつ簡単に調整する方法が存在しない。
ここで、本発明の発明者らは、大麦を対象に浸漬及び加熱処理を行うことで黒条線を略中心に膨張した麦粒を、外周側から裏漉すことで、膨張後の大麦粒の略中心付近の黒条線を残しつつ、大麦粒外周付近のみを裏漉すことができること、換言すれば、膨張した大麦群を、黒条線をほぼ除かれた裏漉し処理物と黒条線を多量に含む裏漉し残渣とに分離できることを発見した。
これにより、裏漉し処理完了後に、裏漉し処理物に対して裏漉し残渣の少なくとも一部を適量混合することにより、1種類の大麦から、原大麦とは異なる風味や成分比を有する大麦加工食品を得ることができる。
また、本件の発明者らは、上記裏漉し処理を行う際には、遠心力を用いる混練・裏漉し装置を用いることが好適であることを発見した。すなわち、遠心力を用いる混練・裏漉し処理によれば、混練・裏漉し装置の裏漉し面にて、対象となる大麦粒の外周部分のみが削られ、当該削られた部分のみが裏漉し結果物、として得られることを発見した。
また、この際、所定時間以上、混練・裏漉し処理を行うことで、裏漉し対象物の粘性と質量の減少による遠心力の減少作用により、大麦粒中心まで裏漉しが進まないことを発見した。
これにより、効率良く、黒条線を殆ど含まない裏漉し処理物と黒条線を多量に含む裏漉し残渣とを得ることができる。
さらに、本件の発明者らは、前記混練処理は、公転装置と当該公転装置の公転軌道上において自転する自転装置を有する混練装置を用いて行われ、一方、前記裏漉し処理は当該自転装置中に複数の孔を有するストレーナを設けることにより行われることが好適であることを発見した。
これにより、自転装置内の麦類に及ぼされる自転と公転による合成遠心力は複雑に変化し、これにより、さらに高効率な裏漉し処理を行うことができることを発見した。
さらに、本件の発明者らは、上述のストレーナの表面に設けられた孔を隆起させることにより、裏漉し対象となる大麦が当該孔に擦られつつ混練されるので、より高効率な裏漉し処理が可能となることを発見した。
さらに、本件の発明者らは、所定の炉内にて上記加熱処理を過熱蒸気を用いて行うことが好適であることを発見した。すなわち、所定の炉内に過熱蒸気を充満させることにより、低酸素、或いはほぼ無酸素の雰囲気を作り出し、当該雰囲気中にて、対象となる大麦を加熱することで、加熱処理中の大麦の変色等の原因となる酸化を最小限に抑えることが可能であることを発見した。また、当該過熱蒸気を用いて大麦を加熱する際は、麦の表面に直接蒸気が噴射されて、大麦が乾燥或いは焦げてしまうことを防止するため、当該麦類を水に完全に浸すことが好適であることを発見した。
これにより、加工対象となる大麦の酸化による変化を極力抑えることができ、さらに風味の良い大麦加工食品を提供することができる。
<大麦加工食品の特長>
本発明に係る大麦の加工食品(ピューレ)は、黒条線を殆ど含まない裏漉し処理物と黒条線を多量に含む裏漉し残渣とを適宜の割合で混合してなり、かつ原大麦とは異なる風味や成分比を有するるペースト状又はゲル状の混合物質である。また、当該加工食品は、ペースト状又はゲル状とすることで、大麦をそのまま粉砕等しただけでは得られない、食品添加材としての種々の有利な特性を有する。さらに、上述の加熱工程において過熱蒸気を用いて加熱処理を行った場合、当該加工食品は、酸素存在下で長時間煮込んで生成される一般的なピューレに比して、酸化の程度が少ないものである。
<大麦加工食品を用いた食品等の製造方法>
本発明に係る麦類加工食品を用いた食品は上述の通り、黒条線を殆ど含まない裏漉し処理物と黒条線を多量に含む裏漉し残渣とを適宜の割合で混合してなり、かつ原大麦とは異なる風味や成分比を有するるペースト状又はゲル状の混合物質であるため、上記混合割合を適宜に調整することで、添加対象となる様々な食品に対して、その食品の風味や栄養価に適合した風味付けや機能性付与が可能となる。
当該添加の方法としては、従来麦類の粉を添加していた工程を大麦加工物の添加工程に置換してもよいが、添加方法については、当該目的とする食品に応じて、種々変更してもよい。
また、本発明に係る大麦加工食品(ピューレ)は、他の食品製造の際の添加材として、種々の有利な特性を有する。従って、風味の改善以外の他の目的で、他の食品等の製造時に添加されてもよい。
<大麦加工食品を用いた食品等の特長>
上述の通り、本発明に係る大麦加工食品を用いた食品は、裏漉し処理物としての機能性(乳化類似作用や保湿作用など)は維持しつつも、原大麦とは異なる風味や成分比を有するものであるから、完成品たる麦類加工食品に新たな特徴を付与することができる。
また、所定の食品(例えばパン等)を製造するにあたっては、大麦を直接粉砕して粉状にした大麦粉などを用いるよりも、本発明に係る大麦加工食品を用いた方が、香ばしさや風味の面で優れている。
さらに、所定の食品(例えばパン等)を製造するにあたっては、大麦を直接粉砕して粉状にした大麦粉などを用いるよりも、本発明に係る麦類加工食品を用いた方が、食感の面で優れている。
加えて、従来、大麦を用いてパンを製造しようとすると、パン生地に含まれる水分やタンパク質の影響により、パン生地がふっくらとは膨らまないという問題点があった。この点、本発明に係る大麦の加工食品を用いれば、香ばしさや風味の面で優れた、ふっくらとした食感の良いパンが得られる。
下記では、本発明の実施例について、詳細に説明する。
<大麦加工食品の製造方法>
以下に、本発明に係る大麦加工食品の製造方法について、図1を参照しつつ、詳細に説明する。
<用いる大麦>
ここでは、大麦として六条大麦(品種名「ファイバースノウ」)を用いて説明を行っているが、本願はこれに限定されない。
<前処理工程>
前処理工程(ステップ101)について説明する。前処理工程では、原料となる大麦から付着したゴミの除去や選別等の作業を行った後、精麦処理を行う(ステップ101)。なお、精麦処理においては、外皮を除いた部分から10〜30%程度さらに周辺を削り取ったものであってもよい。
<浸漬工程>
浸漬工程(ステップ102)について説明する。浸漬工程では、前記前処理工程101で精麦した大麦を、水で軽く研いだ後、所定の容器(例えば、トレイやバット等)に移し、水に浸す浸漬処理を行う。ここで、浸漬処理を行う時間はおよそ30分程度であってもよく、水は麦の2.5乃至3倍程度の量であってもよい。ただし、浸漬工程の間は、麦粒が水面から露出して乾燥してしまうことがないよう、麦粒全体を十分に水中に浸すことが望ましい。
<加熱工程>
加熱工程(ステップ103)について説明する。加熱工程では、上記浸漬処理を終えた大麦の加熱処理を行う。ここで、本実施例においては加熱処理の一例として、過熱蒸気を用いた加熱処理方法について説明する。
図2に、浸漬させた大麦を過熱蒸気を用いて加熱する加熱炉1の模式的断面図が示されている。加熱炉1内においては、所定の容器2内に、水に浸した大麦3が収容されている。容器2はその下面からヒータ4によって加熱されるよう構成される。また、同時に、容器2はその上下から蒸気管(上)5a及び蒸気管(下)5bによって、過熱蒸気を供給され、加熱される。なお、当該過熱蒸気は、図示しない過熱蒸気発生装置にて発生され、蒸気管5a及び5bを通じ、過熱蒸気排出口6a及び6bを介して噴出される。加熱炉1内の気体は排気管8を通じて加熱炉外部へと排出される。すなわち、加熱炉1内は、排出管8を除いては、閉じられた空間となっているため、過熱蒸気排出口6a及び6bから供給される過熱蒸気によって高温の炉内雰囲気7が実現される。
過熱蒸気発生装置を備えた加熱炉1を用いて加熱処理を行う手順について説明する。まず、水中に浸漬された大麦入りの容器2を加熱炉1内へ収容する。ここで、過熱蒸気によって直接表面が加熱されないよう大麦は十分に水中に浸されていることが望ましい。次に、外部にある過熱蒸気発生装置を用いて、250℃から300℃程度の過熱蒸気を発生させ、当該過熱蒸気を過熱蒸気排出口6a及び6bを介して噴出し、容器2を上下より加熱する。同時に、容器2は、ヒータ4を用いて下側から加熱される。この加熱処理の間、排出管8からは、加熱装置1内の気体が外部へ排出される。このような、加熱処理を40分乃至60分程度行った後、容器2を取り出す。ここで、加熱処理を経た大麦は、米等よりは粒形状を維持しているものの水分と共に略粥上になり、大麦の各粒は黒条線を包み込むように横断面が略ハート型に膨らんでいる。
このように、適宜排出管8から内部気体を排出しつつ、過熱蒸気による加熱を行うことで、加熱装置1内部には過熱水蒸気が充満し、これにより、酸素濃度の低い状態、或いはほぼ無酸素状態が実現される。この低酸素、或いはほぼ無酸素濃度状態により、加熱の際の大麦の酸化は防止され、これにより、変色等が防止される。また、過熱蒸気のみならず、容器2の下部からヒータを用いて加熱を行うので、加熱効率が向上し、短時間で加熱処理を行うことができる。
なお、上記例においては、大麦入りの容器2を加熱初期から導入する構成としたが、予め加熱炉1内を過熱蒸気で満たし、低酸素或いはほぼ無酸素濃度状態としてから容器2を導入するように構成してもよい。
<混練・裏漉し処理工程>
次に、上記加熱処理工程を経た大麦を混練・裏漉しして、裏漉し処理物と裏漉し残渣とを得る工程について、図3乃至6を用いて説明する(ステップ104)。
図3乃至図5を用いて、裏漉し処理を行う装置の一例について説明する。
図3は、裏漉しに用いられる装置(UM−N150:永田精機株式会社)の全体構成を示す説明図である。同図において、駆動源(図示せず)を内包する基台10の上には、円盤状の公転テーブル9が配置される。また公転テーブル9には、水平面に対しておよそ45度の角度で、自転シャフト11と当該自転シャフトの先端に配置される自転ケース12が複数(この例では2つ)配置されている。すなわち、同装置によれば、基台10内の駆動源により、公転テーブル9が公転シャフト9aを中心に回転するとともに、2つの自転シャフト11もそれぞれ自転するよう構成されている。なお、自転と公転の周期は、それぞれ独立に変更可能であってもよいし、また、自転周期を公転周期に従属させてもよい。
図4(a)は、図3の自転ケース12及び当該自転ケース12に収容される缶13の縦断面図を示す。同図に示すように、自転ケース12は有底円筒状であり、円筒状の缶13が収容されるように構成される。自転ケース12の底部には複数(この例では2つ)の嵌合凹部14が形成されるとともに、缶13の底部にも嵌合する凸部15が形成されている。このように、缶13を自転ケース12に収容した状態で、嵌合凹部14に突部15を嵌合させることにより、自転ケース12が自転および公転したときに、缶13が自転ケース内で空転するのが防止される。上記缶13には、ストレーナ16が収容されている。上記ストレーナ16は、有底筒状で上縁部に水平方向に延びるフランジ17が設けられ、上記フランジ17が缶13の開口縁に係止されてストレーナの位置決めが行われるようになっている。
図4(b)は、図4(a)のA−A'線横断面図である。同図から明らかなように、ストレーナ16は、缶13と略同心状で、ストレーナ16の底部が缶13の底部から所定距離隔たった状態に浮かせて配置され、ストレーナ16が缶13の内部空間の中央部に位置するようになっている。図4(a)において、ストレーナ16がセットされた缶13の上部開口は蓋18で閉じられ、この蓋18はストッパ19で固定される。
図5は、ストレーナ16の底部20を拡大した模式的断面図である。ストレーナ16の底面20及び周側面22(図4(a)参照)には、等間隔に小孔21が設けられている。ストレーナ16の内表面側の小孔縁部21aはストレーナ内部方向に向かって隆起しており、一方、ストレーナ16の外表面側の小孔縁部21bはストレーナ内部方向に向かって埋没している。なお、小孔の直径は、六条大麦を対象とする場合には、1.0〜2.0mm程度としてもよい。
次に、上述の裏漉し装置を用いた裏漉し処理の手順について説明する。
まず、加熱工程によって膨らんだ大麦粒を缶13内のストレーナ16内に移し、蓋18を閉め、ストッパ19で固定する。次に、裏漉し装置を駆動させ、缶13内の混練処理を行うべく、公転及び自転運動を開始する。この時の公転周期はおよそ850rpm以上、自転周期はその4分の1程度であってもよい。その後、およそ90秒乃至120秒程度運転させた後、裏漉し装置を停止させる。停止後のストレーナ16内部には、黒条線を多く含む大麦の粘性物質がその壁面又は底面に層状に残され、一方、缶13底部には、ストレーナ16の小孔21を通じて裏漉しされた、黒条線を殆ど含まない略白色の大麦ピューレが得られる。なお、ここでピューレとは、裏漉し処理によって得られるペースト状、ゲル状等の裏漉し処理物を指す。
ここで、上述の混練・裏漉し処理により、黒条線を殆ど含まない略白色の大麦ピューレが得られる作用について説明する。
図6は、缶13の自転方向と公転方向が逆である場合の、ストレーナ16内の物質にかかる合成力のシミュレーション結果を表す説明図である。縦軸は遠心力の合成力を表し、横軸は時間を表す。同図から明らかな通り、ストレーナ16内の物質は、複雑に変化する公転と自転の遠心力の合力を受ける。このように変化する合成遠心力によれば、ストレーナ16内の物質は壁面やストレーナの底面に、複雑に変化する力を以て押しつけられることとなり、これにより、複雑に力を変動させつつ裏漉し処理を行うことができる。
また、図5において示したように、ストレーナ16の内面はストレーナ内方に向かって隆起するように形成されてもよい。これにより、混練の際、ストレーナ16内部をストレーナ底面に対して水平方向に移動する大麦は、当該隆起部によって黒条線を含まないその外周部分のみが削られ易くなり、ストレーナ16の外部、すなわち缶13の底部へと裏漉しされる一方、黒条線を含む大麦粒の中心部はストレーナ内部へと残されることとなる。
なお、ストレーナ内部において混練された大麦は、所定時間以上回転させても、それ以上裏漉し処理されなくなる。これは、一定以上の混練・裏漉し処理が為されると、ストレーナ内部に残された混練された大麦の水分が少なくなるため粘性を増し、又、混練された大麦の質量が裏漉しにより減少していくことで遠心力が小さくなるため、ストレーナ16に設けられた小孔21を通過するだけの力が得られなくなるためである。
すなわち、上記構成によれば、裏漉し装置の所定時間の回転駆動によって、ストレーナ16内部に黒条線を含む大麦を残し、缶13の底部に黒条線を殆ど含まない大麦のピューレを得ることができる。
なお、以上の実施形態では、遠心力を利用した裏漉し装置として、垂直公転軸と傾斜自転軸とを有する2軸式の裏漉し装置を示したが、本発明に使用可能な裏漉し装置としては、垂直自転軸を中心として、周側面に多数の小孔を有する円筒状のストレーナを回転させる1軸式のものや、周側面に多数の小孔を有する円筒状のストレーナを回転させながら、そのストレーナ面にへら部材を介して被処理物を押し当てるへら付き型のもの、さらにはそのへら部材をストレーナ面に沿って摺動させる回転へら付きのもの等々、様々な方式の裏漉し装置を採用することができる。
<混合処理工程>
次に、上記混練・裏漉し処理工程を経て得られた裏漉し処理物と裏漉し残渣とを適宜の割合で混合して、本発明にかかるピューレ状の大麦加工食品を製造する工程について説明する(ステップ105)。
周知のように、大麦粒の構造は、芽となって成長する部分であって、脂質、無機質、ビタミンを多量に含む胚芽部分と、デンプン、食物繊維、及びタンパク質を蓄え、胚芽の栄養となる胚乳(デンプン層)部分と、胚乳部分の周りを取り巻く糊粉層部分と、糊粉層部分を取り巻く外皮部分とから構成されている。
それらの構成要素の中で、外皮部分と糊粉層部分の大部分、並びに、胚芽部分の大部分は、精麦処理工程において除去されるから、上記混練・裏漉し処理工程を経て得られた裏漉し処理物と裏漉し残渣との中には、それらは殆ど含まれてはいないと推定される。
そうすると、残るデンプン、食物繊維、及びタンパク質を中心とする成分が、裏漉し処理物と裏漉し残渣とに分散して残されるわけであるが、実際、それらの性状からわかるところであるが、裏漉し残渣は黒条線にへばり付く高粘性物質であるのに対して、裏漉し処理物はさらさらとした比較的低粘性物質であることからすると、明らかに、裏漉し処理物と裏漉し残渣とでは、成分乃至比率は同一ではないこと認められる。
そして、この低粘性物質(裏漉し処理物)こそが、食品に添加したときに、乳化類似の作用を発揮するいわば機能性物質であることが認められる。これは、含水大麦粒を過熱蒸気にて無酸素下又は低酸素下で加熱処理したのち、遠心濾過抽出したことにより得られる性質で、主として、デンプンの一部アルファ化と水溶性繊維の溶出とが相まって得られた性質であると推定される。
もっとも、こうして得られる裏漉し処理物は、乳化類似作用を有すること、保湿作用を有すること、白色度が高いことのほか、水溶性食物繊維が多量に含まれている等の優れた特長を有する反面、風味の点では、大麦本来が有する香ばしさにやや劣り、本来の大麦に比べて成分的な偏りも見られる等の不具合が認められる。
特に、大麦の有する風味(香ばしさ等)の源泉は、外皮部分にあるのに対して、外皮部分は精麦に際して殆ど除去されてしまうため、外皮部分に頼って大麦特有の風味(香ばしさを含む)を回復させるりことは困難である。
そこで、本発明者等は、大麦特有の風味(香ばしさを含む)の回復に関しては、裏漉し残渣部分に着目した。すなわち、裏漉し残渣に含まれる多量の黒条線は、本来、麦の粒にある「くぼみ」に残った外皮であるから、これを利用すれば、大麦特有の風味(香ばしさを含む)を回復させることができる。
具体的には、上記混練・裏漉し処理工程を経て得られた裏漉し処理物の中に、裏漉し残渣の一部を混入する。混入する方法は、特に、限定されないが、上記混練・裏漉し処理工程の終了後、缶16内から裏漉し処理物と裏漉し残渣とを取り出して適当な混練容器に移し替え、手作業又はハンド式電動ミキサーなど使用して両者を混合すればよい。
なお、混合比は、添加対象となる食品の仕様等により区々であるが、一般的には、裏漉し処理物100重量部に対して裏漉し残渣20〜100重量部の重量比で混合することが好ましい。裏漉し残渣が20重量部に満たないと、裏漉し残渣混入の効果が顕在化しない一方、裏漉し残渣が100重量部を超えると、裏漉し処理物の機能性が相殺されかねないからである。
また、本発明に係る大麦加工食品(裏漉し残渣混入)は、ペースト状又はゲル状であり、大麦をそのまま粉砕等した大麦粉等では得られない、食品添加材としての種々の有利な特性を有する。
<大麦加工食品の特長>
大麦加工食品(裏漉し残渣混入)の特長について説明する。本発明に係る大麦加工食品(裏漉し残渣混入)は、ペースト状又はゲル状等であって、風味の強さや成分比が顧客のニーズに合致して、使い勝手が良好である利点を有する。なお、そのまま食することも可能である。
<大麦加工食品(裏漉し残渣混入)の用途>
大麦ピューレは、例えば、パン、ケーキ、クッキー、クリーム、アイスクリーム等の食品に添加することができる。また、非食品(例えば化粧品など)に添加することも可能である。
<大麦ピューレ入りパンの製造方法>
以下に、本発明に係る麦類加工食品を用いた食品の製造方法の一例として、大麦ピューレを用いたパンの製造方法について図7を参照しつつ詳細に説明するが、これによって本発明が限定されるものではない。また、実施例中の重量部は、断らない限り乾燥重量部を示す。
<1.1 大麦ピューレの製造工程>
本実施例では、前述の製造工程を経て製造された、裏漉し処理物に対して裏漉し残渣を混入してなるピューレ状大麦加工食品(大麦ピューレ)を用いる。
<1.2 パンの製造工程1: ミキシング>
ミキシング工程について説明する(ステップ201)。ミキシング工程では、まず、上述の大麦ピューレ20重量部と、強力粉(日清カメリヤ:日清製粉株式会社)100重量部と、グラニュー糖(大東製糖株式会社)5重量部、天然塩(一番食品株式会社)2重量部と、脱脂粉乳(よつ葉乳業株式会社)5重量部と、生イースト(オリエンタル酵母工業株式会社)2重量部と、水65重量部とをミキサー(マイティS30:株式会社愛工舎製作所)により、低速で4分間、中速で3分間、高速で2分間混合する。次に、当該混練した材料にショートニング(月島食品工業株式会社)5重量部をさらに加え、ミキサーにより、低速で1分間、中速で3分間、高速で2分間混練し、発酵前生地を得た。捏上温度は26℃±1℃であった。
<1.3 パンの製造工程2: 発酵工程>
発酵工程について説明する(ステップ202)。発酵工程では、まず、上述のミキシング工程で得られた発酵前生地をドゥコンディショナー(パルテ:戸倉商事株式会社)にて、温度27℃、湿度75%の条件で70分間発酵させ、ガス抜きを行い、さらに40分間同条件で発酵を行い、一次発酵を終了する。次いで、一次発酵を終了した生地から260gをとりわけ、30分間のベンチタイムを取った後、焼き上がりの形にパン生地を成形(モルダー)する。その後、当該成形後のパン生地を金型に入れ、ドウコンディショナー(戸倉商事株式会社)にて温度38℃、湿度85%の条件で56分間の二次発酵を行う。
<1.4 パンの製造工程3: 焼成工程>
焼成工程について説明する(ステップ203)。焼成工程においては、二次発酵の完了したパン生地を、オーブン(Condo:MIWE社)にて温度220℃で40分間焼成する。このようにして、完成品であるパンが得られた。
[比較例1]
実施例1において、水の添加量を70重量部とし、大麦ピューレの代わりに市販大麦粉に加水したペースト120重量部を用いた以外は同様に実施して比較例1にかかるパンを得た。
[水分含有量の測定]
実施例1及び比較例1で得られたパンを袋から取り出して重量を測定し、次いで135℃で1時間の加熱を行い、その後に再度重量の測定を行った。加熱前後のパンの重量差を水分量とみなし、1日経過後、2日経過後、3日経過後の時点での水分含有量とした。
[弾性試験(荷重応力測定)]
実施例1及び比較例1で得られたパンについて、焼成後、室温で90分間放冷した後、スライサーで20mm幅の厚みの試験片に切り分け、1斤ずつ袋詰めを行った。これらの試験片について、それぞれパンを焼成した翌日(1日目)、2日目、3日目の3回、レオメーター(NRM−2002J、不動工業(株)社製)で弾性力の測定を行った。
試験を行う際には、先ず袋から試験片を取り出し、試験片の略中央にプランジャーを押し当て荷重応力を加えて1回目の弾性力測定を行い、1回目の測定開始時間から1分後に2回目の弾性力測定を開始して1回目と同様に弾性力の測定を行った。この2回の測定を1セットとして同じ試験片で5回反復測定を行い、5回分のデータを平均したものを1日分のデータとした。
また、各日1回目の測定のピーク値をF1、2回目の測定のピーク値をF2とし、以下の式に従って各日毎の復元力Frを求めた。
復元力Fr(%)=F2/F1×100
[しっとり感及び柔らかさの官能評価について]
実施例1及び比較例1によるパンについて、しっとり感及び柔らかさの評価を、焼き上がった、翌日(1日目)、2日目、3日目の合計3回行った。評価はしっとり感・柔らかさの各評価毎に、最高評価を5、最低評価を1とした5段階評価で行い、5人のパネラーの合計点を人数で割って加重平均値を算出した。
図8〜14にはそれぞれ、実施例1の配合割合(図8)、実施例1で得られたパンの含有水分量の推移(図9)、実施例1にかかるパンの外観(図10)、実施例1で得られたパンの応力値の推移(図11,13)、実施例1で得られたパンの復元力の推移(図12)、実施例1で得られたパンの官能試験結果(図14)、が示されている。
図10には実施例1及び比較例1で得られたパンの外観が示されており、図10(a)には実施例1で得られたパン(左)及び比較例1で得られたパン(右)の斜め上方からの外観図が、図10(b)には実施例1で得られたパンの断面図が、図10(c)には比較例1で得られたパンの断面図が示されている。本発明にかかる大麦ピューレを用いた実施例1のパンは、従来の大麦粉を用いた比較例1のパンよりも膨らみが良く、内部の気泡も均一かつ丸く残っていることが同図の3枚の写真から見て取れる。
また、図9には実施例1及び比較例1で得られたパンの含有水分量の推移が示されているが、いずれの時点においても、実施例1のパンは比較例1のパンよりも含有水分量が5%以上高いことがわかる。これら図9,10に示された結果から、両者を食べ比べた場合に、実施例1のパンは比較例1のパンよりも柔らかさとしっとり感に秀でたものであることが推測できる。
これらの裏付けとして、図14には実施例1のパンと比較例1のパンについて官能試験を行った結果が示されている。同図より明らかなように、1日目から3日目までのいずれの時点においても、実施例1のパンの方が柔らかさ、しっとり感の双方で優れているという結果になった。また、評価項目外ではあるが、本発明により得られたパンは香ばしい風味を有するものであった。この香ばしさの程度は、裏漉し処理物だけで構成された大麦ピューレを使用した場合よりも、格段に良好であった。本発明にかかる大麦ピューレを用いることで柔らかさとしっとり感に優れたパンが得られる理由は明らかではないが、本発明にかかる大麦ピューレは製造段階で過熱蒸気による加熱処理を行うことで麦中の澱粉をα化させているため、このことが影響しているのではないかと考えられる。
次に、実施例1及び比較例1で得られたパンの応力及び復元力の測定結果が図11〜13に示されている。一般的に荷重応力は、パンが固い場合にはピーク値が高くなり、逆にパンが柔らかくふんわりしている場合にはピークが低くなる傾向にある。このため、日数経過によりパンが固くなると荷重応力のピーク値は上がることが多い。なお、ピーク値はサンプルの厚みにも影響を受けるため、微細な厚みの差異によりピーク値に影響が出ることも考えられる。
実施例1により得られたパンは、日数経過によりやや固さが増すものの、3日経過時点でも十分な柔らかさを有するものであった。一方、比較例1により得られたパンは、1日経過時点で実施例1のパンの4〜5倍程度のピークの高さを有し、復元力についても実施例1のパンより劣るものであった。これらの結果から、実施例1により得られたパンは、比較例1により得られたパンよりも柔らかいものであることが客観的なデータでも裏付けられたものと認められる。
また、大麦ピューレを用いたパンが膨らみ易いことの原理については未だ定かではないが、発明者らは、以下のように推察している。すなわち、パンの膨らみ易さを左右する要素として、パン生地の水分量とタンパク質の量とが知られている。ここで、本発明においては、大麦を先ず大麦ピューレに加工してから他の原料と混練し、発酵及び焼成を行っている。本件の発明者らは、当該大麦ピューレが、生地中の水分量とタンパク質量を、パンの膨らみに適した量に調製することに寄与しており、それにより、膨らみ易い、ふっくらとしたパンが実現されているものと推察している。
以上の大麦ピューレを用いたパンの製造方法により、香ばしさや風味に優れ、ふっくらとした良好な食感のパンが得られる。
本発明によれば、風味の強さや成分比を簡易に調整しつつ、機能性(乳化類似作用や保湿作用など)に優れかつ使い勝手のよいピューレ状の大麦加工食品を製造することができる。
1 加熱炉
2 容器
3 大麦
4 ヒータ
5 蒸気管
6 過熱蒸気排出口
7 雰囲気
8 排気管
9 公転テーブル
9a 公転シャフト
10 基台
11 自転シャフト
12 自転ケース
13 缶
14 嵌合凹部
15 突部
16 ストレーナ
17 フランジ
18 蓋
19 ストッパ

Claims (10)

  1. 精麦された大麦粒を所定の時間だけ水中に浸す浸漬工程と、
    前記浸漬工程を経た大麦粒を過熱蒸気雰囲気中において加熱処理し、前記大麦粒に存在する黒条線を包み込むように前記大麦粒を膨らませる加熱工程と、
    前記膨らんだ大麦粒を、遠心力を用いてストレーナの小孔を通過させることにより、裏漉し処理する裏漉し処理工程と、
    前記裏漉し処理工程において前記小孔を通過した裏漉し処理物と前記小孔を通過しなかった裏漉し残渣の一部とを混合することにより、ピューレ状の大麦加工食品を得る混合工程とを備える大麦加工食品の製造方法。
  2. 前記過熱蒸気雰囲気中における加熱処理の際、加熱対象物である大麦粒は少なくとも表面まで水で覆われる、請求項1に記載の大麦加工食品の製造方法。
  3. 前記裏漉し処理は、前記膨らんだ大麦粒を混練する混練処理と同時に行われる、請求項1に記載の大麦加工食品の製造方法。
  4. 前記混練処理は、公転装置と前記公転装置の公転軌道上において自転する自転装置とを有する混練装置を用いて行われ、一方、前記裏漉し処理は前記自転装置中に複数の小孔を有するストレーナを設けることにより行われる、請求項3に記載の大麦加工食品の製造方法。
  5. 前記ストレーナに設けられた小孔は、当該孔の周囲が前記ストレーナの内表面側に隆起した形状とされている、請求項4に記載の大麦加工食品の製造方法。
  6. 請求項1に記載された製造方法により製造された大麦加工食品。
  7. 請求項6に記載の大麦加工食品を用いて製造された食品。
  8. 請求項6に記載の大麦加工食品を、所定のパン生地と混合し、大麦混合生地を得る混合工程と、
    前記混合工程により得られた前記大麦混合生地を発酵させ、発酵生地を得る発酵工程と、
    前記発酵工程により得られた前記発酵生地を焼成することにより、大麦含有パンを得る焼成工程と、
    を備える大麦含有パンの製造方法。
  9. 請求項8に記載の製造方法により製造された大麦含有パン。
  10. 精麦された大麦粒を所定の時間だけ水中に浸したのち、過熱蒸気雰囲気中において加熱処理し、前記大麦粒に存在する黒条線を包み込むように膨らませた大麦粒を、遠心力を用いてストレーナの小孔を通過させることにより得られた、前記小孔を通過した裏漉し処理物と前記小孔を通過しなかった裏漉し残渣の一部とを混合する混合工程を含む、ピューレ状大麦加工食品の製造方法。
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