半導体製造施設等では,外乱磁場の影響を嫌う電子顕微鏡,EB露光装置,EBステッパー等(嫌磁気装置)の正常な動作を保証するため,施設内に磁気シールドルーム(シールド空間)を設けることが求められる。従来の磁気シールドルームは,高い透磁率μを有するPCパーマロイ等の磁性体製の板(以下,磁性板という)により床,壁,天井の全体を隙間なく覆う構造(密閉型シールド構造)とすることが多い。しかし,密閉型シールド構造は磁性板材料サイズの制約から接合部が多くなるため,磁性板の接合部から侵入する磁場に伴う性能劣化を防ぐことが難しい問題点がある。これに対し,図11に示すように,帯状磁性板を簾状又はルーバー状に並べた磁気シールド構造(以下,開放型シールド構造という)5が開発されている(特許文献1〜4参照)。
図11に示す開放型シールド構造5は,長さ方向と交差する矩形断面の長辺を帯幅(例えば帯幅50mm程度)とし短辺を帯厚(例えば2〜5mm程度)とする複数の帯状磁性板2を,各々の長さ方向中心軸Tが同一簾面F上に平行に並ぶように所要の板厚方向間隔dで配置して磁気シールド簾体3とし(同図(A)参照),複数のシールド簾体3a,3b,3c,3dを対応する端縁の重ね合わせ(面接触)9により磁気的に接合して環状に閉じた帯状磁性板(以下,環帯状磁性板という)4を形成し,複数の環帯状磁性板4でシールド対象空間1を囲んだものである(同図(B)参照)。
図11(B)の開放型シールド構造5は,環帯状磁性板4の板厚方向間隔dを,磁性板10中の磁束の通りやすさ(磁性板のパーミアンス)が間隔d中の磁束の通りやすさ(間隔のパーミアンス)より大きくなるように,すなわち間隔dの断面積Saに対する磁性板10の断面積Smと比透磁率μsとの積(Sm・μs)の割合(Sm・μs/Sa)が1より充分大きくなるように設計することができる。また,磁性板の接合部(重ね合わせ部9)において磁気的連続性を確保しやすいことから,適切な間隔dを設けて対象空間1に開放性(透視性,透光性,放熱性)を与えつつ,磁気的に閉じた環帯状磁性板4からなる磁性体回路に磁束を集中させて間隔dからの磁束の侵入(磁気シールド性能の劣化)を小さく抑えることができ,設計性能を発揮することが容易な構造となっている。更に,安全率を小さく抑え,従来の密閉型シールド構造に比して使用する材料を減らすことができるため,コストダウンにも繋がる利点を有している。
しかし,図11の開放型シールド構造5は,直流の外乱磁場ないし数Hz以下の低い周波数(以下,低周波数又は低周波数域という)の交流の外乱磁場に対しては略設計どおりの磁気シールド性能を示すものの,外乱磁場が10Hz〜商用周波数以上の周波数域(以下,高周波数又は高周波数域という)になるとシールド性能が劣化する問題点がある。図13(B)のグラフは,PCパーマロイ製の帯状磁性板2を井桁状に接合して環帯状磁性板4とし,その環帯状磁性板4からなる磁性体回路を用いた開放型シールド構造5の周波数別の磁気シールド性能を確認した実験結果を示す。実験では,図11(B)の開放型シールド構造5を図13(A)に示すような環状コイルLの中央部に設置し,周波数を1Hz,10Hz,60Hz,200Hzに切り替えながら略一様磁場M(10μT)を印加して内側中心の磁気センサ8で磁場強度(実験値)を測定した。
図13(B)の実験値のグラフは,印加磁場Mの周波数が高くなるに従って開放型シールド構造5の内側中心の磁場強度が大きくなること,つまり開放型シールド構造5の磁気シールド性能が低下することを示している。このような開放型シールド構造5の高周波数域における性能劣化の原因は,環帯状磁性板4の内部に電磁誘導によって渦電流(渦電流損)が生じるからと推測される。図13(B)の解析値のグラフは,環帯状磁性板4の内部の渦電流を考慮して磁場数値解析により求めた磁気シールド性能を示し,渦電流を考慮した解析値が実験値とよく一致することを表している(開放型シールド構造の高周波数域における性能劣化の詳細は,本発明者らの先願である特願2012−236166号を参照)。
他方,従来から電磁誘導によって導体板に流れる渦電流を利用した磁気シールド法が知られており,その磁気シールド性能は周波数が高いほど有効に働くことが知られている(非特許文献1参照)。そこで,図14(A)に示すように銅製及びアルミニウム製の環帯状導体板30を板厚方向間隔dで配置した開放型シールド構造を作成し,図13(A)の環状コイルLの中央部に中心軸方向が磁場方向と一致するように設置して周波数1Hz,10Hz,60Hz,200Hzの略一様磁場M(10μT)を印加したときの内側中心の磁場強度(実験値)を磁気センサ8で測定する実験を行った。図14(B)に示す実験結果は,環帯状導体板30を用いた開放型シールド構造の内側中心の磁場強度が印加磁場Mの周波数が高くなるに従って小さくなること,つまり開放型シールド構造の磁気シールド性能が向上することを示している。また同図は,アルミニウム製よりも導電率の大きい銅製の開放型シールド構造のシールド性能が高いことを示している。
環帯状磁性板(磁性体回路)4を用いた図11(B)の開放型シールド構造の磁気シールド性能は印加磁場Mの周波数が高くなると低下するのに対し(図13(B)参照),環帯状導体板(導体回路)30を用いた図14(A)の開放型シールド構造の磁気シールド性能は印加磁場Mの周波数が高くなると向上することから(図14(B)参照),環帯状磁性板(磁性体回路)4と環帯状導体板(導体回路)30とを組み合わせて配置することにより,高周波数域(10Hz〜商用周波数以上)の外乱磁場に対してもシールド性能が劣化しない開放型シールド構造を構築することが期待できる(この開放型シールド構造の詳細は特願2012−236166号を参照)。
本発明者等は,図11(B)の環帯状磁性板(磁性体回路)と図14(A)環帯状導体板(導体回路)とを組み合わせた開放型シールド構造を製作し,図13(A)の実験と同様にして周波数1Hz,10Hz,50Hz,200Hzの磁場Mを印加したときの内側中心の磁場強度を測定し,シールド係数SF(=印加磁場Mの強さ/測定磁場の強さ)を算出する実験を行った。実験結果を図12(開放型シールド構造のグラフ)に示す。同図は,直流ないし数Hz以下の磁場に対する低周波数域の高いシールド性能が200Hz程度の高周波数域まで劣化せずに維持されることを示している。すなわち,磁性体回路と導体回路とを組み合わせた開放型シールド構造とすることにより,電子顕微鏡,EB露光装置,EBステッパー等の設置空間として相応しい磁気環境が提供できることを確認できた。
しかし,図11(B)の磁性体回路と図14(A)の導体回路とを組み合わせた開放型シールド構造は,高周波数域における磁気シールド性能が必ずしも充分高くない問題点がある。例えば最近の医療施設や研究施設に導入される脳磁計や心磁計は,脳・心臓等の活動に伴い発生する脳磁波や心磁波といった超微弱な磁場を計測するため,数Hz以下の低周波数から1000Hz程度の高周波数までの広周波数にわたって1nT(0.01mG)以下の磁気環境に制御することが求められる。このような脳磁計・心磁計等を設置する従来の磁気シールドルームは,PCパーマロイ等の磁性板で床,壁,天井の全体を隙間なく覆うと同時に,銅・アルミニウム等の導体板でも床,壁,天井の全体を覆い,磁性板と導体板とを多層化した密閉型シールド構造とすることが多い。導体板の密閉型シールド構造に流れるループ状の渦電流によって高周波数のシールド性能を確保し,導体板があまり有効でない直流ないし低周波数のシールド性能を磁性板の密閉型シールド構造によって確保する。このように磁性板と導体板とを多層化した密閉型シールド構造の0.1Hz〜1000Hzにおけるシールド係数SFを図12(密閉型シールド構造のグラフ)に併せて示す。
図12の2つのグラフの比較から分かるように,磁性体回路と導体回路とを組み合わせた開放型シールド構造のシールド係数SFは,直流ないし低周波数域(数Hz程度まで)において従来の密閉型シールド構造のシールド係数SFより高いが,数Hz程度以上になると逆転されて従来の密閉型シールド構造のシールド係数SFより小さくなってしまう。脳磁計・心磁計等に相応しい磁気環境を提供するためには,低周波数域において高いシールド性能を示す開放型シールド構造の利点と1000Hz程度の高周波数域まで高いシールド性能を示す密閉型シールド構造の利点とを併せ持つ新たなシールド構造の開発が求められる。また本発明者は,上述した磁性体回路と導体回路とを組み合わせた開放型シールド構造の製作経験から,高いシールド性能を確実に得るためには,磁性板及び導体板を精度よく配置できる施工の容易性が極めて重要であるとの知見を得た。
そこで本発明の目的は,直流ないし1Hz程度の低周波数から1000Hz程度の高周波数にわたり高い磁気シールド性能を有すると共に施工が容易な広周波数対応型磁気シールドパネル及び構造を提供することにある。
図1の実施例を参照するに,本発明による広周波数対応型磁気シールドパネル10は,所定幅W及び所定長さEの帯状磁性板2が全長に沿って取り付けられた非磁性長尺芯材14の複数本を各帯状磁性板2が幅及び長さと直交する方向に所定間隔dで平行に並ぶように配置したパネル中間層13,中間層13の幅方向片側面に張り付けた非磁性導体板16,並びに中間層13の幅方向反対側面に張り付けた非磁性板11を備え,非磁性導体板16又は非磁性板11をパネル中間層13の各帯状磁性板2の長さ方向両端が露出する大きさとし,各長尺芯材14の長さ方向端縁を対向させながら配置して隣接する各帯状磁性板2及び非磁性導体板16の長さ方向端縁を接合することにより磁気シールド面(図4参照)を形成してなるものである。
長尺芯材14が導電性であるときは,図示例のように,幅方向片側面の非磁性導電板16を長尺芯材14と絶縁しつつ張り付ける。望ましくは,図3(C)及び(D)に示すように,隣接する非磁性導体板16の長さ方向端縁に跨って重ね合わせる接合導体板17を設け,パネル中間層13の露出部に挿入して隣接する各帯状磁性板2の長さ方向端縁に跨って重ね合わせる接合磁性板18を設ける。
好ましい実施例では,図3(A)及び(B)に示すように,帯状磁性板2を,複数のPCパーマロイ製薄板21と絶縁性薄材22とを交互に重ね合わせて積層した積層帯状磁性板とする。この場合は,接合磁性板18として,帯状磁性板2の複数のPCパーマロイ製薄板と交互に重ね合わせる複数のPCパーマロイ製薄板23を積層した積層接合磁性板を用いることができる。パネル10の幅方向片側の非磁性導体板16は,例えば所要導電性能が得られる厚さのアルミニウム板とすることができる。或いは図2に示すように,パネル10の幅方向片側の非磁性導体板16を,非磁性板12と銅板16bとを重ね合わせた積層板としてもよい。
また,図7の実施例を参照するに,本発明による広周波数対応型磁気シールド構造は,上述した図1(又は図2)の磁気シールドパネル10を磁気シールド対象空間1の特定方向軸(例えばX軸)の周りの内周面に各長尺芯材14の長さ方向端縁を対向させながら配置し,隣接パネル10の各帯状磁性板2及び非磁性導体板16を接合することにより(図3の接続方法を参照),対象空間1を囲む磁性体回路4及び導体回路30を形成してなるものである。
好ましくは,図7〜図9に示すように,上述した図1(又は図2)の磁気シールドパネル10を磁気シールド対象空間1の直交3方向軸(X軸,Y軸,Z軸)の周りの内周面にそれぞれ各長尺芯材14の長さ方向端縁を対向させながら配置することにより壁4面,天井面,床面にそれぞれ内外2層パネル(図5参照)を設置し,内外2層の何れか一層(例えば外層)の隣接パネル10の各帯状磁性板2及び非磁性導体板16の長さ方向端縁を接合すると共に,内外2層の何れか他層(例えば内層)の隣接パネル10の各帯状磁性板2の長さ方向端縁を接合することにより,対象空間1の直交3方向軸(X軸,Y軸,Z軸)の周りの内周面をそれぞれ囲む3組の磁性体回路4(図7(B),図8(B),図9(B)参照)と,対象空間1を覆う導体回路30(図7(A),図8(A),図9(A)参照)とを形成する。この場合は,図5に示すように,内外2層の何れか一層(例えば内層)の磁気シールドパネルは,上述した非磁性導体板16を張り付けた磁気シールドパネル10に代えて,パネル中間層13の幅方向片側面及び反対側面にそれぞれ非磁性板11,12を張り付けた磁気シールドパネル40とすることができる。
本発明による広周波数対応型磁気シールドパネル10は,所定幅W及び所定長さEの帯状磁性板2が全長に沿って取り付けられた非磁性長尺芯材14の複数本を各帯状磁性板2が幅及び長さと直交する方向に所定間隔dで平行に並ぶように配置してパネル中間層13とし,その中間層13の幅方向片側面に非磁性導体板16を張り付け,中間層13の幅方向反対側面に非磁性板11を張り付け,非磁性導体板16又は非磁性板11をパネル中間層13の各帯状磁性板2の長さ方向両端が露出する大きさとし,各長尺芯材14の長さ方向端縁を対向させながら配置して隣接する各帯状磁性板2及び非磁性導体板16の長さ方向端縁を接合することにより磁気シールド面を形成するので,次の有利な効果が得られる。
(イ)帯状磁性板2が全長に沿って取り付けられた非磁性長尺芯材14を所定間隔dで平行に配置することにより,パネル中間層13に磁気シールド簾体3が内包された磁気シールドパネル10を形成できる。
(ロ)パネル中間層13に内包された磁気シールド簾体3によって低周波数における高いシールド性能を確保すると同時に,中間層3の幅方向片側面に張り付けた非磁性導体板16によって1000Hz程度の高周波数域における高いシールド性能を確保する磁気シールドパネル10を形成できる。
(ハ)複数のパネル10を各長尺芯材14の長さ方向端縁を対向させながら配置し,隣接パネル10の磁気シールド簾体3(複数の帯状磁性板2)及び非磁性導体板16の長さ方向端縁を接合することにより,直流ないし1Hz程度の低周波数から1000Hz程度の高周波数まで高い磁気シールド性能を示す磁気シールド面を形成できる。
(ニ)また,磁気シールド簾体3(複数の帯状磁性板2)と非磁性導体板16とを一体のパネル10とすることにより,両者を一体に施工することが可能となり,施工の効率化・容易化を図り,ひいては磁気シールド施工の工期短縮を図ることができる。
(ホ)更に,磁気シールド簾体3(複数の帯状磁性板2)と非磁性導体板16とを工場で製作可能なパネル10とすることにより,隣接する簾体3及び非磁性導体板16の施工精度・接合精度の向上と漏洩磁場の減少とを図ることができ,とくに直流ないし準直流(1Hz程度まで)における高いシールド性能が確保できる。
図1は,本発明による磁気シールドパネル10の実施例を示す。図示例のパネル10は,所定幅W(例えば帯幅50mm程度)及び所定長さE(例えば800mm程度)の帯状磁性板2が全長に沿って取り付けられた非磁性長尺芯材14の複数本を平行に配置したパネル中間層13と,その中間層13の幅方向片側面に張り付けた非磁性導体板16と,その中間層13の幅方向反対側面に張り付けた非磁性板11とにより構成されている。非磁性長尺芯材14は,例えばアルミニウム製,木製,樹脂製,非磁性ステンレス鋼(例えばSUS304)製の角パイプ(例えば60mm角,厚さ2mm)であるが,剛性さえ確保できればC型チャンネル材等を利用することもできる。そのような長尺芯材14の複数本を平行に配置することにより剛性のパネル中間層13を形成することができる。
非磁性長尺芯材14の各々に取り付ける帯状磁性板2は,図11を参照して上述したように,長さ方向中心軸Tと交差する矩形断面の長辺を幅Wとし短辺を厚さ(例えば2〜5mm程度)とした所定長さEの磁性板であり,その長さ方向中心軸Tを長尺芯材14の長方向中心軸と位置合わせしたものでる。複数の非磁性長尺芯材14を,各々に取り付けた帯状磁性板2が幅及び長さと直交する方向(すなわち厚さ方向)に所定間隔dで平行に並ぶように配置することにより,図11(A)と同様の磁気シールド簾体3が内包されたパネル中間層13を作成することができる。例えば,各帯状磁性板2の長さ方向中心軸Tが同一簾面F上に所要厚さ方向間隔dで平行に並ぶように各長尺芯材14を配置する。
帯状磁性板2は透磁率μの高い任意の磁性板を用いて作成できるが,望ましくは図3(A)に示すように,厚さ0.5mm程度の複数のPCパーマロイ製薄板21と,それと同じ又は少し厚い(0.5〜0.6mm程度)複数の絶縁性薄材22とを交互に重ね合わせて積層した積層帯状磁性板とする。PCパーマロイの磁気特性は,ある程度薄いほうが高いことが知られており,さらに絶縁性薄材22を介して必要な板厚に積層することで断面に流れる渦電流(渦電流損)を小さく抑え,高周波数域における磁気シールド性能の低下を抑えることができる。絶縁性薄材22の一例は非磁性かつ不良導体製のシート状又はフィルム状の紙や樹脂であり,例えば両面テープとすることができる。
パネル中間層13の幅方向片側面に張り付ける非磁性導体板16は,例えば適当な厚さ(例えば2〜5mm程度)のアルミニウム板とするが,図2に示すように,アルミニウム製,木製,樹脂製,非磁性ステンレス鋼製の非磁性板12と銅板16bとを重ね合わせた積層板とすることもできる。また,パネル中間層13の幅方向反対側面に張り付ける非磁性板11は,適当な厚さ(例えば2〜10mm程度)のアルミニウム製,木製,樹脂製,非磁性ステンレス鋼製等の平板である。好ましい実施例では,非磁性導体板16を所要導電性能が得られる厚さのアルミニウム板(例えば5mm程度)とし,非磁性板11をそれよりも厚さの薄いアルミニウム板(例えば2mm程度)とすることができる。
図示例の磁気シールドパネル10は,次の方法で作成することができる。先ず,所定大きさの非磁性板11(例えば厚さ2mm程度のアルミニウム板)上に所要間隔d(例えば200mm)で非磁性長尺芯材14(例えばアルミニウム製角パイプ)を平行に並べてビスで固定し,各芯材14の非磁性板11と直交する側面上にそれぞれ所定幅Wの帯状磁性板2を全長に沿って載置し,載置した帯状磁性板2を非磁性(例えばSUS304製)のビス又はカシメ19(図3(A)参照)によって長尺芯材14に固定する。そして,各長尺芯材14の非磁性板11と反対側に,所定大きさの非磁性導体板16(例えば厚さ5mm程度のアルミニウム板)を非磁性板11と平行に張り付けて同様にビスで固定する。
非磁性導体板16の材質は適宜選択可能であるが,図14(B)を参照して上述したように導電率が大きいとシールド性能も高いことから,導電率の大きい銅製とすることも有効である。ただし,銅はアルミニウムに比して高価であることから,必要に応じて図2に示すように,非磁性導体板16を非磁性板12と銅板16bとを重ね合わせた積層板とすることができる。比較的安価で厚い非磁性板(例えばアルミニウム製)の対11,12を用いて磁気シールドパネル10の支持構造を構成し,その一方の非磁性板12の外面全体に比較的高価で薄い銅板16bを重ね合わせることにより,シールド性能の高いパネル10の製造コストを低く抑えることができる。
また,パネル中間層13の長尺芯材14が導電性(例えばアルミニウム製)であるときは,図1に示すように,長尺芯材14と非磁性導電板16との間に絶縁紙等の絶縁層15を介在させて両者の絶縁を確保する。図2のように非磁性板12と銅板16bとを重ね合わせて非磁性導体板16とする場合は,図1と同様に長尺芯材14と非磁性板12との間に絶縁層15を介在させてもよいが,図2のように非磁性板12と銅板16bとの間に同じ大きさの絶縁紙等を敷き込んで絶縁層15とすることができる。ただし,非磁性板12が絶縁性であるときは絶縁層15を省略できる。
更に,パネル中間層13の幅方向両側の非磁性導体板16と非磁性板11とを異なる大きさとし,非磁性導体板16及び非磁性板11の何れか一方を各帯状磁性板2の長さ方向両端に揃えた大きさ(例えば長さ800mm×高さ800mm)とするのに対し,他方を各帯状磁性板2の長さ方向両端が露出する大きさ(例えば長さ680mm×高さ800mm)とすることにより,図1に示すようにパネル中間層13の各帯状磁性板2の長さ方向両端に露出部G(例えば幅(125−P)mm/2)を形成する。各帯状磁性板2の長さ方向両端に露出部Gを形成することにより,図3を参照して後述するように,隣接するパネル10の各帯状磁性板2の接合施工の容易化・高精度化を図ることができる。
図1の実施例では,非磁性板11を各帯状磁性板2の長さ方向両端が露出する大きさとすることにより,図3(C)に示すようにパネル中間層13の各帯状磁性板2の長さ方向両端を非磁性板11側に露出させている。ただし,露出部Gを非磁性導体板16側に形成することも可能であり,後述する接合磁性板18の施工性(挿入可能性)等を考慮して露出部Gを何れの側に形成するか選択することができる。例えば床面等のように非磁性板11側(外側)から接合磁性板18を挿入できない場合は,図3(D)に示すように非磁性導体板16を各帯状磁性板2の長さ方向両端が露出する大きさとし,各帯状磁性板2の長さ方向両端の露出部Gを非磁性導体板16側に形成することができる。なお,図示例では長尺芯材14の大きさ(長さ)を非磁性板11及び非磁性導体板16の短い方に揃えているが,長い方に揃えることも可能である。
図2のように非磁性板12と銅板16bとを重ね合わせて非磁性導体板16とする場合も,その非磁性板12を非磁性板11と異なる大きさとすることにより,パネル10の接合施工の容易化・高精度化を図ることができる。すなわち,例えば銅板16bを付設する一方の非磁性板12を各帯状磁性板2の長さ方向両端に揃えた大きさとするのに対し,他方の非磁性板11を各帯状磁性板2の長さ方向両端が露出する大きさとすることにより,各帯状磁性板2の長さ方向両端に露出部Gを形成することができる。
図3は,図1の複数の磁気シールドパネル10を長尺芯材14の長さ方向端縁を対向させながら配置し,隣接するパネル10の各帯状磁性板2及び非磁性導体板16の長さ方向端縁を接合して磁気シールド面を形成する方法を示す。同図(A)は長さ方向端縁を対向させた隣接パネル10a,10bの正面図を表し,同図(C)は上面図を表す。図示例の帯状磁性板2は4枚のPCパーマロイ製薄板21(厚さ0.5mm)と3枚の絶縁性薄材22とを交互に重ね合わせて積層したものであるが,絶縁性薄材22はパネル10の非磁性板11と同様に帯状磁性板2より長さ方向両端が短くなっており,長さ方向両端の露出部Gには絶縁性薄材22が積層されておらず,4枚のPCパーマロイ製薄板21だけで帯状磁性板2が構成されている。また,図示例の隣接パネル10a,10bは,5mm程度の間隙Pを介して各帯状磁性板2及び非磁性導体板16の長さ方向端縁を対向させている。
図3(C)及び(D)に示すように,隣接パネル10a,10bの非磁性導体板16は,その長さ方向両端の外表面に同じ材料(例えばアルミニウム製又は銅製)からなる接合導体板17を隣接する非磁性導体板16の長さ方向端縁に跨って重ね合わせ,非磁性(例えばSUS304製)のビス又はカシメ19によって固定することにより電気的に一体化することができる(図4(B)も参照)。或いは,接合導体板17の重ね合わせに代えて又は加えて,隣接パネル10a,10bの非磁性導体板16をハンダ接合することにより,一層高い電気的接続性及びシールド性能を確保することも可能である。
また図3(C)及び(D)に示すように,隣接パネル10a,10bの各帯状磁性板2は,各帯状磁性板2の長さ方向両端に設けた露出部G(例えば幅(125−P)mm/2)に接合磁性板18(例えば長さ115mm)を挿入し,隣接パネル10a,10bの各帯状磁性板2の長さ方向端縁に跨って重ね合わせることにより磁気的に一体化することができる。図示例の接合磁性板18は,帯状磁性板2と同様に複数のPCパーマロイ製薄板23を積層し,帯状磁性板2の複数のPCパーマロイ製薄板21の間に1枚ずつ挿入して交互に重ね合わせるものである。上述したように,帯状磁性板2のPCパーマロイ製薄板21の間にはそれと同じ又は少し厚い絶縁性薄材22が露出部G以外の部分に挟み込まれており,絶縁性薄材22が存在しない露出部GではPCパーマロイ製薄板21の相互間に隙間が形成されているため,帯状磁性板2のPCパーマロイ製薄板21の相互間に接合磁性板18のPCパーマロイ製薄板23を比較的簡単に挿入して重ね合わせることができる。
なお,図3(C)及び(D)に示すように,各帯状磁性板2の長さ方向両端と接合磁性板18とには,それぞれ対応する箇所に適当数(図示例では長さ方向両端にそれぞれ4箇所ずつ)の長孔27aが設けられており,重ね合わせて位置合わせした帯状磁性板2及び接合磁性板18の長孔27aに非磁性(例えばSUS304製)のボルト27を挿入して両者を結合することができる。また,ボルト挿入孔を長孔とすることにより,帯状磁性板2及び接合磁性板18の位置合わせの誤差を吸収することができる。
図4は,図1の磁気シールドパネル10を磁気シールド対象空間1の特定方向軸(例えばX軸,図7参照)の周りの内周面に長尺芯材14の長さ方向端縁を対向させながら配置し,上述した図3の方法で隣接パネル10の各帯状磁性板2及び非磁性導体板16の長さ方向端縁を列状に接続することにより形成した磁気シールド構造を表す。図4(A)は磁気シールド構造をパネル10の非磁性板11の側から見た状況を示す。各パネル10は同じ大きさ(800mm×800mm)であり,図示例のように対向方向の隣接パネル10の非磁性板11の間には内部の各帯状磁性板2が露出する垂直方向の露出部Gが形成されている。その露出部Gに接合磁性板18を挿入して隣接する各帯状磁性板2の長さ方向端縁と重ね合わせ,隣接パネル10の各帯状磁性板2を長さ方向へ列状に接合することにより,例えば図7(B)に示すように,対象空間1の中心点O上のX軸を囲む磁性体回路4を形成することができる。なお,対象空間1のコーナー部では,予め帯状磁性板2が直角L字状に接合された磁気シールド簾体3の内包されたL字状磁気シールドパネル10を用いることができる。
図4(B)は,磁気シールド構造をパネル10の非磁性導体板16の側から見た状況を示す。対向方向(水平方向)及びその直交方向(垂直方向)の周囲パネル10の非磁性導体板16の間に接合導体板17を重ね合わせることにより,各パネル10の非磁性導体板16をそれぞれ各長尺芯材14の長さ方向(及びその直交方向)へ接続する。隣接パネル10の非磁性導体板16を長さ方向へ列状に接合することにより,例えば図7(A)に示すように,対象空間1の中心点O上のX軸を囲む導体回路30を形成することができる。なお,対象空間1のコーナー部では,予め断面L字状の非磁性導体板16が張り付けられたL字状磁気シールドパネル10を用いることができる。
図7は,磁気シールド対象空間1の中心点O上のX軸の周りの内周面に磁気シールドパネル10を配置して構成した磁気シールド構造を示しているが,X軸と直交するY軸の周りの内周面にパネル10を配置して図8のような磁気シールド構造を構成し,或いはX軸及びY軸と直交するZ軸の周りの内周面にパネル10を配置して図9のような磁気シールド構造を構成することもできる。図7(A)の導体回路30はX軸方向の到来磁場に対して,図8(A)の導体回路30はY軸方向の到来磁場に対して,図9(A)の導体回路30はZ軸方向の到来磁場に対してシールド効果を発揮する。これに対し磁性体回路4はそれぞれ1つの回路で2方向の到来磁場に対応することができ,図7(B)の磁性体回路4はY軸方向及びZ軸方向の到来磁場に対して,図8(B)の磁性体回路4はX軸方向及びZ軸方向の到来磁場に対して,図9(A)の磁性体回路4はX軸方向及びY軸方向の到来磁場に対してシールド効果を発揮する。
上述したように,磁性体回路4は低周波数域において高いシールド性能を発揮し,導体回路30は高周波数域において高いシールド性能を発揮する。従って,シールド対象磁場の到来方向に応じて図7〜図9の導体回路30及び磁性体回路4を適宜に組み合わせることにより,所望方向の到来磁場に対して低周波数(数Hz程度)から商用周波数(50Hz/60Hz),さらに高周波数(1000Hz程度)まで高い磁気シールド効果を発揮する磁気シールド構造が得られる。
好ましくは,磁気シールド対象空間1の直交3方向軸(X軸,Y軸,Z軸)の周りの内周面にそれぞれ各長尺芯材14の長さ方向端縁を対向させながら磁気シールドパネルを配置し,図5に示すように対象空間1の壁4面,天井面,床面にそれぞれ内外2層パネルを設置することにより,図7〜図9の導体回路30及び磁性体回路4を全て組み合わせた磁気シールド構造を構築する。すなわち,内外2層の何れか一層(例えば外層)において隣接パネルの各帯状磁性板2及び非磁性導体板16の長さ方向端縁を接合すると共に,内外2層の何れか他層(例えば内層)において隣接パネルの各帯状磁性板2の長さ方向端縁を接合することにより,図7(B),図8(B),図9(B)を参照して上述したように,対象空間1の直交3方向軸(X軸,Y軸,Z軸)の周りの内周面をそれぞれ囲む3組の磁性体回路4と,図7(A),図8(A),図9(A)を参照して上述したように,対象空間1の全体を覆う導体回路30とを形成する。
図5に示す2層パネルにおいて,内外2層の何れか一層(例えば外層)は図1のように非磁性導体板16を張り付けた磁気シールドパネル10とするが,他層(例えば内層)のパネルには非磁性導体板6を張り付ける必要がなく,幅方向片側面及び反対側面にそれぞれ非磁性板11,12を張り付けたパネル40とすることができる。すなわち,対象空間1を覆う導体回路30(図7(A),図8(A),図9(A)参照)を形成するためには,外層パネル10の非磁性導体板16を対向方向及びその直交方向に相互に接合すれば足りるので,内層パネル40の非磁性導体板16を必要としない。また,図2のように幅方向両側に一対の非磁性板11,12を設け,その一方の非磁性板12の外面に銅板16bを重ね合わせる場合は,例えば外層パネル10にのみ銅板16bを付設すれば足り,例えば内層パネル40には銅板16bを付設する必要はない。
図5に示す2層パネルは,外層パネル10及び内層パネル40を,各々の長尺芯材14(帯状磁性板2)の長さ方向が直交するように積層している。例えば外層パネル10は,図4(A)のように各帯状磁性板2が水平方向となり且つ非磁性導体板16が内側向きとなるように配置され,各帯状磁性板2の露出部Gに外側から接合磁性板18を挿入して隣接する帯状磁性板2を接合することにより,図7(B)のようにシールド対象空間1の中心点O上のX軸を囲む磁性体回路4を形成する。これに対して内層パネル40は,図6に示すように各帯状磁性板2が垂直方向となるように配置され,各帯状磁性板2の露出部Gに内側から接合磁性板18を挿入して隣接する帯状磁性板2を接合することにより,例えば図8(B)及び図9(B)のようにシールド対象空間1の中心点O上のY軸及びZ軸を囲む磁性体回路4を形成する。3組の磁性体回路4と導体回路30とで対象空間1を覆うことにより,全方向の外乱磁場に対して直流ないし1Hz程度の低周波数から1000Hz程度の高周波数にわたり高い磁気シールド性能を発揮する磁気シールド構造が得られる。
こうして本発明の目的である「直流ないし1Hz程度の低周波数から1000Hz程度の高周波数にわたり高い磁気シールド性能を有すると共に施工が容易な広周波数対応型磁気シールドパネル及び構造」の提供が達成できる。
図10は,図1の磁気シールドパネル10を用いて,磁気シールド対象空間1を覆う3組の磁性体回路4と導体回路30とを構築した実施例の平面図を示す。本実施例では,帯幅W=50mmの8枚のPCパーマロイ製薄板21(厚さ0.5mm)と絶縁性薄材22(厚さ0.5mmの両面テープ)とを積層して接着固定した帯状磁性板2を用い,厚さ2mmの非磁性板11(アルミニウム製)と厚さ5mmの非磁性導体板16(アルミニウム製)の対向間隙に間隔d=200mmで配置・固定した非磁性角パイプからなる長尺芯材14(アルミニウム製,60mm角,厚さ2mm)にそれぞれ帯状磁性板2を取り付けた。また,各帯状磁性板2の長さ方向両端にそれぞれ4箇所の長孔27aを設け,長孔27aを設けた各帯状磁性板2の長さ方向両端が露出するように,非磁性板11を帯状磁性板12に比して短い(長さ方向両端がそれぞれ約60mm短い)大きさとした。
施工手順として,先ずシールドルーム1の壁4面,天井面,床面の全体にそれぞれ外層パネル10を長尺芯材14の長さ方向端縁で対向させながら非磁性導体板16が内側向きとなるように配置し,その非磁性導体板16を隣接パネル10の非磁性導体板16と接合することにより対象空間1を覆う導体回路30を形成したのち,その内表面の壁4面,天井面,床面の全体にそれぞれ内層パネル40を長尺芯材14の長さ方向端縁で対向させながら配置することにより,対象空間1の壁4面,天井面,床面にそれぞれ図5に示す2層パネル(10+40)を配置した。
先ず,図示例の磁気シールドルーム1の四隅部の所定位置及びその間の適宜位置にそれぞれスタッド25を建てる。スタッド25は非磁性(例えばSUS304)とすることが望ましいが,磁性体回路の外側に位置することになるため鋼製(例えば軽量鉄骨)でも特に問題は生じない。次いで,各スタッド25に壁4面の外層パネル10を順次取り付けて固定する。例えば外層パネル10の外表面の非磁性板11にアルミニウム製L型アングル材(20mm×20mm×20mm)を取り付け,そのアングル材を利用して外層パネル10を順次スタッド25に取り付けることができる。隣り合う外層パネル10の各帯状磁性板2の長さ方向端縁は所定間隙P(例えば5mm程度)で対向させる。図3を参照して上述したように,外層パネル10の外表面の非磁性板11には内部の各帯状磁性板2の長さ方向両端が露出する露出部G(例えば幅(125−P)mm/2)が形成されている。
次に,外層パネル10の外表面側から非磁性板11に形成された露出部Gへ接合磁性板18(長さ115mm)を挿入し,隣接する外層パネル10の各帯状磁性板2の長さ方向端縁と重ね合わせることにより磁気的に一体化する。例えば接合磁性板18を7枚の長孔27a付きPCパーマロイ製薄板23により構成し,帯状磁性板2のPCパーマロイ製薄板21の間に,長孔27aを位置合わせしながら一枚ずつ水平方向に挿入する。長孔27aを位置合わせした後,非磁性(例えばSUS304製)のボルトを挿入して両者を結合する。露出部Gの幅に対して接合磁性板18を10mm程度短くすることにより,外層パネル10の施工位置に設計位置からのズレが発生しても,外層パネル10の帯状磁性板2と接合磁性板18との充分な重ね合わせ長さ(最低でも50mm)を確保することができる。また,ボルト挿入孔を長孔とすることにより,帯状磁性板2及び接合磁性板18の位置合わせの誤差を吸収できる。なお,図示例では外層パネル10の帯状磁性板2を水平方向に配置しているが,外層パネル10の帯状磁性板2を垂直方向に配置することも可能である。
更に,外層パネル10の内表面に設けた非磁性導体板16の間の対向間隙P(例えば5mm程度)に,内側から幅105mmの接合導体板17(例えばアルミニウム製)を重ね合わせ,非磁性(例えばSUS304製)のビスで固定することにより,隣接する外層パネル10の非磁性導体板16を電気的に接続する。以上は壁面の構築方法であるが,天井面,床面についても同様に外層パネル10を長さ方向に付き合わせながら配置して磁気的及び電気的に接続し,コーナー部についても磁気的及び電気的に接続することができる。
このようにして取り付けが完了した外層パネル10の内側に適宜間隔で非磁性受材26(例えば20mm角のアルミニウム製角パイプ)を絶縁しつつ固定し,その受材26に内層パネル40を順次取り付けて固定する。上述した外層パネル10と同様に,隣り合う内層パネル10の長さ方向端縁も所定対向間隙P(例えば5mm程度)で対向させることにより,内層パネル10の内表面の非磁性板11に内部の各帯状磁性板2の長さ方向両端が露出する露出部Gを形成する。なお,図示例では内層パネル40の帯状磁性板2を垂直方向に配置しているが,外層パネル10の帯状磁性板2が垂直方向に配置されている場合は,内層パネル40の帯状磁性板2を水平方向に配置することも可能である。
次に,内層パネル40の内側から露出部Gへ接合磁性板18を挿入し,隣接する内層パネル10の帯状磁性板2と重ね合わせる。外層パネル10の場合と同様に,例えば接合磁性板18を7枚の長孔27a付きPCパーマロイ製薄板23により構成し,帯状磁性板2のPCパーマロイ製薄板21の間に,長孔27aを位置合わせしながら一枚ずつ水平方向に挿入することができる。そして,長孔27aを位置合わせした後,非磁性(例えばSUS304製)のボルトを挿入して両者を結合する。最後に,外層パネル10の外側に建てたスタッド25を利用して外装仕上げを施す。内面については,内層パネル40の非磁性板11に形成された露出部Gを非磁性板(例えばアルミニウム帯板)で塞ぎ,必要に応じて仕上げ内装を施すことができる。