JP2015000845A - リチウム金属複合酸化物の前駆体の製造方法 - Google Patents

リチウム金属複合酸化物の前駆体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】Tiの偏在が低減されたリチウム金属複合酸化物を製造する。
【解決手段】Tiを含む金属複合水酸化物の存在下、チタンイオンを含有する酸性水溶液を中和処理すること、又は、チタン酸化物の存在下、チタンイオン以外の一種以上の遷移金属イオンを含む酸性水溶液を中和処理することを特徴とする、リチウム金属複合酸化物の前駆体の製造方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、リチウム金属複合酸化物の前駆体の製造方法及びそれにより得られたリチウム金属複合酸化物の前駆体、当該前駆体を用いたリチウム金属複合酸化物の製造方法及びそれにより得られたリチウム金属複合酸化物、当該リチウム金属複合酸化物を含むリチウムイオン二次電池用正極材料、並びに当該二次電池用正極材料を含むリチウムイオン二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池は、小型で大容量であるという特長を有しており、携帯電話、スマートフォン、ノートパソコン等の電源として広く用いられている。リチウムイオン二次電池の正極活物質としては、LiCoOが主に利用されてきたが、Co原料の値段が高く、現在、これに代わる新たな正極活物質の探索が精力的に進められている。近年、安価なMn原料を用いたマンガン酸リチウムが進められているが、マンガン酸リチウムはコバルト酸リチウムに比べてエネルギー密度が低いため、そのエネルギー密度を高める方法について、さらに検討されている。
リチウム二次電池のエネルギー密度を高める方法としては幾つか考えられるが、その中でも電池の動作電位を上昇させることが有効な手段である。従来のコバルト酸リチウム、マンガン酸リチウムを正極活物質として用いたリチウム二次電池では、動作電位は何れも4V級(平均動作電位=3.6〜3.8V:対リチウム電位)となる。これは、CoイオンもしくはMnイオンの酸化還元反応(Co3+←→Co4+もしくはMn3+←→Mn4+)によって発現電位が規定されるためである。
これに対し、例えばマンガン酸リチウムのMnをNi等により置換したスピネル構造を有する化合物を正極活物質として用いることにより、5V級の動作電位を実現できることが知られている。具体的には、LiNi0.5Mn1.5等のスピネル構造を有する化合物を用いることにより、4.5V以上の領域に電位プラトーを示すことが知られている(特許文献1参照。)。こうしたスピネル構造を有する化合物においては、Mnは4価の状態で存在し、Mn3+←→Mn4+の酸化還元に代わってNi2+←→Ni4+の酸化還元によって動作電位が規定されることとなる。
また、電池の信頼性を改善させる技術としてはいくつか考えられるが、そのうち、正極活物質の改善による特性改善の方法としては、正極活物質への他元素の導入などが考えられる。特許文献1には、LiMMn2−x(0.4<x<1.1)のMnをTiやSiで置換したLi[MMn1.5−x−z]O(0.4<x<1.1、0≦z<0.5、ZはSiまたはTi)においても、LiMMn2−x(0.4<x<1.1)と同等の充放電電圧で高い容量が得られることが示されている。この式を書き換えると、Li[M1M22−m]O(式中M1はNi、Cr、Fe、CoおよびCuから選ばれる遷移金属のうちの少なくとも1種、1.1>m>0.4、M2はMn、TiおよびSiのうちの少なくとも一種)のように書くことができる。M2中のTi、Siの割合は0%以上20%以下であることが好ましい。大きいと容量が低下する場合がある。電池の信頼性などを考慮すると、M1がNiであり0.4<m<0.6の場合に、充放電領域が4.5V以上4.9V以下の範囲となるため好ましい。
また、特許文献2には、リチウムに対して4.5V以上の高い電位で充放電可能なスピネル構造の複合酸化物からなる正極活物質において、高温での電解液の分解や、正極活物質構成元素の電解液への溶出を抑制し、電池の劣化を抑制することを図るために、Li[Ni0.5Mn1.5−xTi]O(0<x<0.5)などの5V級スピネルと呼ばれる正極活物質が開示されている。
特許第4325167号公報 特許第4639634号公報
上記の通り、従来用いられてきた、遷移金属を含むリチウム金属複合酸化物に対して、Tiを添加することにより正極活物質の特性改善を図る試みが精力的になされている。
ところで、リチウム金属複合酸化物にTiを添加する方法としては、原料としての遷移金属水酸化物にTiイオンを固溶させてTiを含有する遷移金属水酸化物(前駆体)とし、当該遷移金属水酸化物をリチウム化合物と焼成する方法、並びに、遷移金属の酸化物及びTiの酸化物を混合焼成する方法があげられる。
しかしながら、前者の方法では、Tiイオンと遷移金属イオンとのイオン半径の相違から、十分な密度の遷移金属水酸化物を得られず、高密度の正極活物質を得る事ができないという問題があった。また、後者の方法では、遷移金属の酸化物とTiの酸化物が十分に混合されていない場合、目的とするリチウム金属複合酸化物とは異なる不純物が生成してしまうという問題点があった。
そこで、本発明は、前駆体を経由して、不純物が低減されたリチウム金属複合酸化物を提供することを課題とする。
上記課題に鑑み、本発明者が鋭意検討した結果、チタン以外の一種以上の遷移金属を含む金属複合水酸化物の存在下、チタンイオン含有酸性水溶液を中和処理すること、又はチタン酸化物の存在下、チタン以外の一種以上の遷移金属イオンを含む酸性水溶液を中和処理することにより得られた化合物を前駆体として、チタンを含むリチウム金属複合酸化物の製造が可能であることを見いだし、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の(1)〜(9)に関する。
(1)Ti並びにTi以外の一種以上の遷移金属を含む、リチウム金属複合酸化物の前駆体の製造方法であって、Ti以外の一種以上の遷移金属を含む金属複合水酸化物の存在下、チタンイオンを含有する酸性水溶液を中和処理すること、又は、チタン酸化物の存在下、チタンイオン以外の一種以上の遷移金属イオンを含む酸性水溶液を中和処理することを特徴とする、リチウム金属複合酸化物の前駆体の製造方法。
(2)遷移金属が、Ni、Mn、Co、Sc、V、W、Cr、Fe、Cu、Zn、Y、Nb、Mo、PdおよびCdからなる群から選択される少なくとも1種である、(1)記載の製造方法。
(3)遷移金属が、Ni及びMnからなる群から選択される少なくとも1種である、(2)記載の製造方法。
(4)チタンイオンを含有する酸性水溶液の中和処理が、複数の工程により実行される、(1)〜(3)いずれかに記載の製造方法。
(5)(1)〜(4)いずれかに記載の製造方法により得られたリチウム金属複合酸化物の前駆体。
(6)(5)に記載のリチウム金属複合酸化物の前駆体を、リチウム化合物と焼成することを特徴とする、リチウム金属複合酸化物の製造方法。
(7)(6)に記載の製造方法により得られたリチウム金属複合酸化物。
(8)(7)に記載のリチウム金属複合酸化物を含むリチウムイオン二次電池用の正極材。
(9)(8)に記載の正極材を含むリチウムイオン二次電池。
本発明によれば、不純物が低減されたリチウム金属複合酸化物を提供することが可能となる。
図1は、比較例1で得られた粉末のSEM像(5000倍)を示す。 図2は、比較例1で得られた粉末のXRDを示す。 図3は、実施例1で得られた粉末のSEM像(5000倍)を示す。 図4は、実施例1で得られた粉末のXRDを示す。 図5は、実施例2で得られた粉末のSEM像を示す。 図6は、実施例2で得られた粉末のXRDを示す。
以下、本発明を実施形態に即して詳細に説明する。
[リチウム金属複合酸化物の前駆体の製造方法]
本発明のリチウム金属複合酸化物の前駆体の製造方法は、Ti並びにTi以外の一種以上の遷移金属を含む、リチウム金属複合酸化物の前駆体の製造方法であって、Ti以外の一種以上の遷移金属を含む金属複合水酸化物の存在下、チタンイオンを含有する酸性水溶液を中和処理することを特徴とする。
すなわち、遷移金属を含む金属複合水酸化物の存在下、チタンイオンを含有する酸性水溶液を中和処理することにより、遷移金属を含む金属複合水酸化物の表面に、チタン酸化物が凝集(金属複合水酸化物を一部又は全体的にコート)するものと考えられる。このとき凝集するチタン酸化物は、一次粒子レベル又はそれよりも微細なものであるため、単純にチタン酸化物と遷移金属を含有する複合金属水酸化物を混合した場合よりも、均一にチタン酸化物と前記複合金属水酸化物が分散する。よって、リチウム化合物と焼成したときに、チタンの偏在を極力低減することができるものと考えられる。
Ti以外の一種以上の遷移金属を含む金属複合水酸化物としては、Ni、Mn、Co、Sc、V、W、Cr、Fe、Cu、Zn、Y、Nb、Mo、PdおよびCdからなる群から選択される少なくとも1種を遷移金属とするものがあげられる。特に、Ni、Co、Mnの少なくとも1種を含む物が好ましい。
Ni、Mnの少なくとも1種を遷移金属元素の複合水酸化物の具体例としては、以下の一般式(1)により表される二元系又は三元系の複合水酸化物を好適なものとしてあげることができる。
NiMn(OH)2+a (1)
(x+y=1、0.1≦x≦0.7、0.3≦y≦0.90、1、0≦a≦0.5)
上記二元系又は三元系の複合水酸化物の製造方法としては、特に制限は無いが、高密度で粒径が均一な複合水酸化物を得られる観点から、特開2002−201028号公報等に記載される、連続共沈法を用いることが好ましい。例えば、遷移金属元素として、ニッケルおよびマンガン含有する水酸化物は、反応槽を十分攪拌しつつ、不活性ガス雰囲気中または還元剤の存在下、マンガン塩(マンガン(II)イオン)含むニッケル塩水溶液と、錯化剤並びにアルカリ金属水酸化物とを連続的に供給し、連続結晶成長させ、得られた沈殿物を連続に取り出すことにより製造することができる。この時、反応槽内の塩濃度、錯化剤濃度、pH、温度を一定範囲内に維持することにより、結晶度、タッピング密度、比表面積、粒子径等の粉体物性が良く制御される。この方法により、ニッケル、マンガン、コバルト元素が均一に固溶体を形成してなる水酸化物を調製することができる。錯化剤としては、硫酸アンモニウム、ヒドラジン等のアンモニウムイオン供給体が好ましい。このようにして得られる複合金属水酸化物のタップ密度は、通常1.5〜2.5g/mlの範囲であり、特に1.8〜2.5g/mlの範囲(特開2002−201028号公報記載の方法により測定、以下同じ。)のものが好ましい。また、走査電子顕微鏡(SEM)により測定した平均粒径は、通常、5〜30μm、典型的には5〜20μmであり、比表面積(BET)は、通常8〜30m/gである。
チタンイオンを含有する酸性水溶液としては、特に制限はないが、例えば、硫酸チタン、硝酸チタン、四塩化チタンを用いることが好ましい。
中和の具体的な方法としては、特に制限されないが、Ti以外の一種以上の遷移金属を含む金属複合水酸化物を水に分散させたスラリーに対して、チタン塩水溶液と塩基性水溶液を供給し、中和処理することで金属複合水酸化物粒子表面にチタン酸化物を凝集させる。塩基性水溶液としては、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウムが挙げられるが、特に炭酸ナトリウムが好ましい。また、結晶性の保たれたチタン酸化物を均一に金属複合水酸化物粒子表面に凝集させるためには、pHが1.0〜5.0の間で中和処理を行うことが好ましく、特に2.0〜3.0のpHで中和処理を行う事が好ましい。pHが5.0以上で中和処理を行うと1.0〜5.0のpHで中和処理を施したチタン酸化物と比べて結晶性の低いチタン酸化物が金属複合水酸化物粒子表面に凝集するため、中和処理後の脱水処理が非常に困難となる。
金属複合水酸化物溶解の観点から、中和を多段階で行うことが好ましい。具体的にはpHを6.0〜10.0の間で上記の中和処理を施し、金属複合水酸化物粒子表面に結晶性の低いチタン酸化物を凝集させる。次に、pHを1.0〜5.0の間で中和処理を行うことで、粒子最表面には比較的結晶性の保たれたチタン酸化物が凝集する。金属複合水酸化物が溶解しないpHに於いてチタン酸化物を表面に凝集させることにより、後にpHを下げた中和処理を行う際に、金属複合水酸化物の溶解を抑えることが出来る。
本発明の別の態様においては、チタン酸化物の存在下、チタンイオン以外の一種以上の遷移金属イオンを含む酸性水溶液を中和処理する。
すなわち、チタン酸化物の存在下、遷移金属を含有する酸性水溶液を中和処理することにより、チタン酸化物の表面に、遷移金属の複合金属水酸化物が凝集(チタン酸化物を一部又は全体的にコート)するものと考えられる。このとき凝集する遷移金属の複合金属水酸化物は、一次粒子レベル又はそれよりも微細なものであるため、単純にチタン酸化物と遷移金属を含有する複合金属水酸化物を混合した場合よりも、均一にチタン酸化物と前記複合金属水酸化物が分散する。よって、リチウム化合物と焼成したときに、チタンの偏在を極力低減することができるものと考えられる。
チタン酸化物(酸化チタン)としては、通常公知のものを使用することが可能である。その結晶変態としては、ルチル型、アナターゼ型のいずれも使用することができるが、反応性の観点からアナターゼ型を使用することが好ましい。また、チタン酸化物の平均粒径としては、例えば、0.05〜5.0μm、好ましくは、0.1〜3.0μmのものを使用することができる。比表面積(BET)としては、例えば5〜500m/g、好ましくは10〜300m/gのものを使用することが可能である。
チタンイオン以外の一種以上の遷移金属イオンを含む酸性水溶液としては、特に制限は無いが、上記遷移金属の硝酸塩又は硫酸塩の水溶液があげられる。特に、Ni、Co、Mnの少なくとも1種を遷移金属イオンとして含む酸性水溶液(硝酸塩水溶液、硫酸塩水溶液等)を用いることが好ましい。
中和の具体的な方法としては、特に制限されないが、チタン酸化物を水に分散させ、水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ金属水酸化物水溶液を用いてpHを8.0〜10.0、好ましくは9.0〜9.5に調節した後、チタンイオン以外の一種以上の遷移金属イオンを含む酸性水溶液を系内に供給して中和すれば良い。
上記の様にして得られたリチウム金属複合酸化物の前駆体は、高い密度を有し、タップ密度は、通常0.5〜2.5g/mlの範囲、好ましくは0.8〜2.2g/mlの範囲である。バルク密度は、0.3〜2.0g/ml、特に0.7g/ml以上が好ましい。平均一次粒子径は、リチウム原料との反応性の観点から、0.01〜2.0μm、特に0.02〜1.0μmの範囲が好ましい。平均(二次)粒径(D50)は、リチウム原料との反応性の観点から、2〜20μm、特に2〜15μmの範囲が好ましい。BET法による比表面積は、リチウム原料との反応性の観点から、好ましくは5〜100m/g、より好ましくは10〜80m/gの範囲である。
[リチウム金属複合酸化物の製造方法]
本発明のリチウム金属複合酸化物の製造方法は、上記の様にして得られた前駆体を、適当なリチウム化合物と焼成することを特徴とする。
上記前駆体と、水酸化リチウム、炭酸リチウム等のリチウム化合物との焼成温度としては、特に制限はないが、好ましくは900℃以上1100℃以下、より好ましくは900℃以上1050℃以下、とりわけ好ましくは950℃〜1025℃である。焼成温度が900℃を下回ると、エネルギー密度(放電容量)及び高率放電性能が低下するという問題を生じやすい。これ以下の領域ではLiの移動を妨げる構造的要因が内在している可能性がある。
一方、焼成温度が1100℃を上回ると、Liの揮発によって目標とする組成の複合酸化物が得られにくいなどの作製上の問題や、粒子の過焼結によって電池性能が低下するという問題が生じやすい。これは、1100℃を上回ると、1次粒子成長速度が増加し、複合酸化物の結晶粒子が大きくなりすぎることに起因しているが、それに加えて、局所的にLi欠損量が増大して、構造的に不安定となっていることも原因ではないかと考えられる。さらに、高温になるほど、Li元素の占有するサイトと、遷移金属元素が占有してなるサイト間の元素置換が極度に生じ、Li伝導パスが抑制されることによって放電容量は低下する。焼成温度を950℃以上1025℃以下の範囲とすることによって、特に高いエネルギー密度(放電容量)を示し、充放電サイクル性能に優れた電池を作製できる。焼成時間は、3時間〜50時間が好ましい。焼成時間が50時間を超えると、電池性能上問題はないが、Liの揮発によって実質的に電池性能に劣る傾向となる。焼成時間が3時間より少ないと、結晶の発達が悪く、電池性能が悪くなる傾向となる。なお、上記の焼成の前に、均一焼成の観点から、仮焼成を行うことも有効である。この様な仮焼成の温度は、300〜900℃の範囲で、1〜10時間行うことが好ましい。
上記の様にして得られた本発明のリチウム金属複合酸化物は、X線結晶回折(XRD)における不純物ピークが、金属水酸化物ないし金属酸化物を単純にリチウム化合物と混合して焼成した場合よりも少ない。具体的には、X線結晶回折(XRD)のチャートにおいて、空間群Fd3−mに帰属できない不純物ピーク(特に2θ=38°および44°付近に観測される)が、同組成となるようにTi以外の遷移金属を含む複合水酸化物と、チタン酸化物と、リチウム化合物とを混合焼成して得られたリチウム金属複合酸化物と比較して、減少しているという特徴がある。この不純物の具体的な成分は明らかでは無いが、主にチタン酸リチウムから構成される粒子である可能性が考えられる。チタン元素の分布状態については、エネルギー分散型X線分析(EDX)やX線光電子分光(XPS)を用いて、詳細に確認することが可能である。
また、上記の様にして得られたリチウム金属複合酸化物は、高い密度を有し、タップ密度は、通常0.8〜2.7g/ml、好ましくは1.0g/ml以上である。バルク密度は、0.6〜2.0g/ml、特に0.7g/ml以上が好ましい。平均一次粒子径は、電解液との反応性の観点から、0.5〜10μm、特に1〜10μmの範囲が好ましい。平均(二次)粒径(D50)は、電解液との反応性の観点から、2〜20μm、特に2〜15μmの範囲が好ましい。BET法による比表面積は、電解液との反応性の観点から、好ましくは0.1〜5m/g、より好ましくは0.2〜3m/gの範囲である。
[リチウムイオン二次電池用の正極材及びリチウムイオン二次電池]
本発明のリチウムイオン電池用正極材は、上記リチウム金属複合酸化物を含有することを特徴とする。本発明のリチウムイオン電池用正極材には、その目的に合わせて、さらに、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、リチウムコバルトマンガンニッケル酸化物等の通常公知の正極活物質を添加することができる。
また、本発明のリチウムイオン電池用正極材には、他の化合物をさらに含有しても良く、他の化合物としては、CuO,CuO,AgO,CuS,CuSO等のI族化合物、TiS,SiO,SnO等のIV族化合物、V,V12,VO,Nb,Bi,Sb等のV族化合物、CrO,Cr,MoO,MoS,WO,SeO等のVI族化合物、MnO,Mn等のVII族化合物、Fe,FeO,Fe,Ni,NiO,CoO,CoO等のVIII族化合物等、ジスルフィド,ポリピロール,ポリアニリン,ポリパラフェニレン,ポリアセチレン,ポリアセン系材料等の導電性高分子化合物、擬グラファイト構造炭素質材料等が挙げられる。
正極材に、正極活物質以外の他の化合物を併用する場合、他の化合物の使用割合は、本発明の効果を損なわない程度であれば限定されるものではないが、他の化合物は、正極材の総重量に対して、1重量%〜50重量%が好ましく、5重量%〜30重量%であるのがより好ましい。
本発明のリチウムイオン電池は、本発明の正極材を含むことを特徴とし、通常、当該正極と、非水電解質二次電池用負極(以下、単に“負極”ともいう)と、非水電解質とを具備し、一般的には、正極と負極との間に、非水電解質電池用セパレータが設けられる。非水電解質は、電解質塩が非水溶媒に含有されてなる形態を好適に例示できる。
非水電解質は、一般にリチウムイオン電池等への使用が提案されているものが使用可能である。非水溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状炭酸エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル等の鎖状エステル類;テトラヒドロフランまたはその誘導体;1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジブトキシエタン、メチルジグライム等のエーテル類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類;ジオキソランまたはその誘導体;エチレンスルフィド、スルホラン、スルトンまたはその誘導体等の単独またはそれら2種以上の混合物等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
電解質塩としては、例えば、LiClO,LiBF,LiAsF,LiPF,LiSCN,LiBr,LiI,LiSO,Li10Cl10,NaClO,NaI,NaSCN,NaBr,KClO,KSCN等のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)またはカリウム(K)の1種を含む無機イオン塩、LiCFSO,LiN(CFSO,LiN(CSO,LiN(CFSO)(CSO),LiC(CFSO,LiC(CSO,(CHNBF,(CHNBr,(CNClO,(CNI,(CNBr,(n−CNClO,(n−CNI,(CN−maleate,(CN−benzoate,(CN−phtalate、ステアリルスルホン酸リチウム、オクチルスルホン酸リチウム、ドデシルベンゼンスルホン酸リチウム等の有機イオン塩等が挙げられ、これらのイオン性化合物を単独、あるいは2種類以上混合して用いることが可能である。
さらに、LiBF,LiPFのような無機イオン塩とLiN(CSOのようなパーフルオロアルキル基を有するリチウム塩とを混合して用いることにより、さらに電解質の粘度を下げることができるので、低温特性をさらに高めることができ、より望ましい。
非水電解質における電解質塩の濃度としては、高い電池特性を有する電池を確実に得るために、0.1モル/リットル〜5モル/リットルが好ましく、さらに好ましくは、1モル/リットル〜2.5モル/リットルである。
正極は、本発明に係るリチウム金属複合酸化物を含む正極活物質を主要構成成分とすることが好ましく、例えば、本発明に係るリチウム金属複合酸化物を、導電剤および結着剤、さらに必要に応じてフィラーと混練して正極材とした後、この正極材を集電体としての箔やラス板等に塗布、または圧着して50℃〜250℃程度の温度で、2時間程度加熱処理することにより好適に作製される。正極活物質の正極に対する含有量は、通常、80重量%〜99重量%とされ、好ましくは、85重量%〜97重量%とされる。
負極は、負極材料を主要構成成分としている。負極材料としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能な形態のものであればどれを選択しても良い。例えば、リチウム金属、リチウム合金(リチウム−アルミニウム,リチウム−鉛,リチウム−スズ,リチウム−アルミニウム−スズ,リチウム−ガリウム,およびウッド合金等のリチウム金属含有合金)、リチウム複合酸化物(リチウム−チタン)、窒化珪素の他、リチウムを吸蔵・放出可能な合金、炭素材料(例えばグラファイト、ハードカーボン、低温焼成炭素、非晶質カーボン等)等が挙げられる。これらの中でもグラファイトは、金属リチウムに極めて近い作動電位を有するので電解質塩としてリチウム塩を採用した場合に自己放電を少なくでき、かつ充放電における不可逆容量を少なくできるので、負極材料として好ましい。例えば、人造黒鉛、天然黒鉛が好ましい。特に,負極材料表面を不定形炭素等で修飾してあるグラファイトは、充電中のガス発生が少ないことから望ましい。
以下に、好適に用いることのできるグラファイトのエックス線回折等による分析結果を示す;
格子面間隔(d002)0.333〜0.350nm
a軸方向の結晶子の大きさLa20nm 以上
c軸方向の結晶子の大きさLc20nm 以上
真密度 2.00〜2.25g/cm
また、グラファイトに、スズ酸化物,ケイ素酸化物等の金属酸化物、リン、ホウ素、アモルファスカーボン等を添加して改質を行うことも可能である。特に、グラファイトの表面を上記の方法によって改質することで、電解質の分解を抑制し電池特性を高めることが可能であり望ましい。さらに、グラファイトに対して、リチウム金属、リチウム−アルミニウム,リチウム−鉛,リチウム−スズ,リチウム−アルミニウム−スズ,リチウム−ガリウム,およびウッド合金等のリチウム金属含有合金等を併用することや、あらかじめ電気化学的に還元することによってリチウムが挿入されたグラファイト等も負極材料として使用可能である。負極材料の負極に対する含有量は、通常、80重量%〜99重量%とされ、好ましくは、90重量%〜98重量%とされる。
正極活物質の粉体及び負極材料の粉体は、平均粒子サイズ100μm以下であることが望ましい。特に、正極活物質の粉体は、電池の高出力特性を向上する目的で10μm以下であることが望ましい。粉体を所定の形状で得るためには粉砕機や分級機が用いられる。例えば乳鉢、ボールミル、サンドミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ジェットミル、カウンタージェトミル、旋回気流型ジェットミルや篩等が用いられる。粉砕時には水、あるいはヘキサン等の有機溶剤を共存させた湿式粉砕を用いることもできる。分級方法としては、特に限定はなく、篩や風力分級機などが、乾式、湿式ともに必要に応じて用いられる。
以上、正極及び負極の主要構成成分である正極材および負極材料について詳述したが、前記正極及び負極には、前記主要構成成分の他に、導電剤、結着剤、増粘剤、フィラー等が、他の構成成分として含有されてもよい。
導電剤としては、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば限定されないが、通常、天然黒鉛(鱗状黒鉛,鱗片状黒鉛,土状黒鉛等)、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカー、炭素繊維、金属(銅,ニッケル,アルミニウム,銀,金等)粉、金属繊維、導電性セラミックス材料等の導電性材料を1種またはそれらの混合物として含ませることができる。
これらの中で、導電剤としては、電子伝導性及び塗工性の観点よりアセチレンブラックが望ましい。導電剤の添加量は、正極又は負極の総重量に対して0.1重量%〜50重量%が好ましく、特に0.5重量%〜30重量%が好ましい。特にアセチレンブラックを0.1〜0.5μmの超微粒子に粉砕して用いると必要炭素量を削減できるため望ましい。これらの混合方法は、物理的な混合であり、その理想とするところは均一混合である。そのため、V型混合機、S型混合機、擂かい機、ボールミル、遊星ボールミルといったような粉体混合機を乾式、あるいは湿式で混合することが可能である。
前記結着剤としては、通常、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),ポリフッ化ビニリデン(PVdF),ポリエチレン,ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジェンターポリマー(EPDM),スルホン化EPDM,スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム等のゴム弾性を有するポリマーを1種または2種以上の混合物として用いることができる。結着剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して1〜50重量%が好ましく、特に2〜30重量%が好ましい。
特に、本発明に係る正極は、正極活物質に対して1重量%以上の導電性炭素材料と、電解液を含有することによってイオン伝導性を有する結着剤とを含有するのが好ましい。“電解液を含有することによってイオン伝導性を有する結着剤”としては、電解液としてLiPFを電解質としてエチレンカーボネートやジエチレンカーボネートやジメチルカーボネート等を溶媒として使用する場合に於いては、前掲の結着剤のうち、ポリフッ化ブニリデン(PVdF)やポリエチレン(ポリエチレンオキシド)を好適に用いることが出来る。
前記増粘剤としては、通常、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース等の多糖類等を1種または2種以上の混合物として用いることができる。また、多糖類の様にリチウムと反応する官能基を有する増粘剤は、例えばメチル化等の処理によりその官能基を失活させておくことが望ましい。増粘剤の添加量は、正極または負極の総重量に対して0.5〜10重量%が好ましく、特に1〜2重量%が好ましい。
フィラーとしては、電池性能に悪影響を及ぼさない材料であれば何でも良い。通常、ポリプロピレン,ポリエチレン等のオレフィン系ポリマー、無定形シリカ、アルミナ、ゼオライト、ガラス、炭素等が用いられる。フィラーの添加量は、正極または負極の総重量に対して添加量は30重量%以下が好ましい。
正極および負極は、主要構成成分(正極の場合は正極活物質であり、負極の場合は負極材料である)、導電剤および結着剤を、N−メチルピロリドン,トルエン等の溶剤に混合させてスラリーを作製し、このスラリーを下記に詳述する集電体の上に塗布し、乾燥することによって、好適に作製される。前記塗布方法については、例えば、アプリケーターロールなどのローラーコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレード方式、スピンコーティング、バーコータ等の手段を用いて任意の厚さおよび任意の形状に塗布することが望ましいが、これらに限定されるものではない。
集電体としては、構成された電池において悪影響を及ぼさない電子伝導体であれば何でもよい。例えば、正極用集電体としては、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス等の他に、接着性、導電性および耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅等の表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理した物を用いることができる。負極用集電体としては、銅、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金等の他に、接着性、導電性、耐還元性の目的で、銅等の表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀等で処理した物を用いることができる。これらの材料については表面を酸化処理することも可能である。
集電体の形状については、フォイル状の他、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされた物、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体等が用いられる。厚さの限定は特にないが、1〜500μmのものが用いられる。これらの集電体の中で、正極としては、耐酸化性に優れているアルミニウム箔が、負極としては、耐還元性、且つ電導性に優れ、安価な銅箔、ニッケル箔、鉄箔、およびそれらの一部を含む合金箔を使用することが好ましい。さらに、粗面表面粗さが0.2μmRa以上の箔であることが好ましく、これにより正極活物質または負極材料と集電体との密着性は優れたものとなる。よって、このような粗面を有することから、電解箔を使用するのが好ましい。特に、ハナ付き処理を施した電解箔は最も好ましい。さらに、該箔に両面塗工する場合、箔の表面粗さが同じ、またはほぼ等しいことが望まれる。
非水電解質電池用セパレータとしては、優れたレート特性を示す多孔膜や不織布等を、単独あるいは併用することが好ましい。非水電解質電池用セパレータを構成する材料としては、例えばポリエチレン,ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート等に代表されるポリエステル系樹脂、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−フルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロアセトン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン共重合体、フッ化ビニリデン−プロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−トリフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体等を挙げることができる。
非水電解質電池用セパレータの空孔率は強度の観点から98体積%以下が好ましい。また、放電容量の観点から空孔率は20体積%以上が好ましい。
また、非水電解質電池用セパレータは、例えばアクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタアクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデン等のポリマーと電解質とで構成されるポリマーゲルを用いてもよい。
非水電解質を上記のようにゲル状態で用いると、漏液を防止する効果がある点で好ましい。さらに、非水電解質電池用セパレータは、上述したような多孔膜や不織布等とポリマーゲルを併用して用いると、電解質の保液性が向上するため望ましい。即ち、ポリエチレン微孔膜の表面及び微孔壁面に厚さ数μm以下の親溶媒性ポリマーを被覆したフィルムを形成し、前記フィルムの微孔内に電解質を保持させることで、前記親溶媒性ポリマーがゲル化する。
前記親溶媒性ポリマーとしては、ポリフッ化ビニリデンの他、エチレンオキシド基やエステル基等を有するアクリレートモノマー、エポキシモノマー、イソシアナート基を有するモノマー等が架橋したポリマー等が挙げられる。該モノマーは、ラジカル開始剤を併用して加熱や紫外線(UV)を用いたり、電子線(EB)等の活性光線等を用いて架橋反応を行わせることが可能である。
前記親溶媒性ポリマーには、強度や物性制御の目的で、架橋体の形成を妨害しない範囲の物性調整剤を配合して使用することができる。前記物性調整剤の例としては、無機フィラー類{酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化鉄などの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩}、ポリマー類{ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリメチルメタクリレート等}等が挙げられる。前記物性調整剤の添加量は、架橋性モノマーに対して通常50重量%以下、好ましくは20重量%以下である。
本発明に係るリチウムイオン電池は、電解質を、例えば、非水電解質電池用セパレータと正極と負極とを積層する前または積層した後に注液し、最終的に、外装材で封止することによって好適に作製される。また、正極と負極とが非水電解質電池用セパレータを介して積層された発電要素を巻回してなる電池においては、電解質は、前記巻回の前後に発電要素に注液されるのが好ましい。注液法としては、常圧で注液することも可能であるが、真空含浸方法や加圧含浸方法も使用可能である。
電池の外装体の材料としては、ニッケルメッキした鉄やステンレススチール、アルミニウム、金属樹脂複合フィルム等が一例として挙げられる。例えば、金属箔を樹脂フィルムで挟み込んだ構成の金属樹脂複合フィルムが好ましい。前記金属箔の具体例としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、銅、ステンレス鋼、チタン、金、銀等、ピンホールのない箔であれば限定されないが、好ましくは軽量且つ安価なアルミニウム箔が好ましい。また、電池外部側の樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム,ナイロンフィルム等の突き刺し強度に優れた樹脂フィルムを、電池内部側の樹脂フィルムとしては、ポリエチレンフィルム,ナイロンフィルム等の、熱融着可能であり、かつ耐溶剤性を有するフィルムが好ましい。
電池の構成については特に限定されるものではなく、正極、負極および単層又は複層のセパレータを有するコイン電池やボタン電池、さらに、正極、負極およびロール状のセパレータを有する円筒型電池、角型電池、扁平型電池等が一例として挙げられる。
以下、本発明を実施例・比較例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれら実施例・比較例により限定されるものではない。
[比較例1]:固相混合によるリチウム金属複合酸化物の調製
(Ni0.25Mn0.75)(OH)100g、炭酸リチウム21.4g、酸化チタン1.9gを均一に混合した後、昇温速度200℃/hで、400℃2時間焼成した後、700℃5時間焼成した。引き続き、昇温速度200℃/hで1000℃まで昇温し、1000℃で5時間焼成した。続いて200℃/hで700℃まで降温し、700℃で10時間焼成した(条件1)。
(Ni0.25Mn0.75)(OH)100g、酸化チタン1.9gを均一に混合した後、昇温速度200℃/hで、400℃2時間焼成した後、700℃5時間焼成した。引き続き、炭酸リチウム21.4gを添加した後、昇温速度200℃/hで1000℃まで昇温し、1000℃で5時間焼成した。続いて200℃/hで700℃まで降温し、700℃で10時間焼成した(条件2)。
(Ni0.25Mn0.75)(OH)100g、炭酸リチウム21.4gを均一に混合した後、昇温速度200℃/hで、400℃2時間焼成した後、700℃5時間焼成した。引き続き、酸化チタン1.9gを添加した後、昇温速度200℃/hで1000℃まで昇温し、1000℃で5時間焼成した。続いて200℃/hで700℃まで降温し、700℃で10時間焼成した(条件3)。
条件1〜3で得られた粉末のSEM像を図1に、XRD測定結果を図2に示した。SEM像より、条件1〜3のいずれの場合にも、不純物が生成していることがわかる。XRDでは、44°付近のピークの裾に不純物由来と考えられるピークが見られた。
[実施例1]
(Ni0.25Mn0.75)(OH)40gを水500mlに分散させ、炭酸ナトリウムを用いてpHを8.5としたスラリーを調整する。調整したスラリーに硫酸チタン水溶液640mL(Ti濃度:4.0g/L)および炭酸ナトリウム水溶液を用い、二時間かけて中和を行うことで、前駆体粒子表面にチタン酸化物を凝集させた。この時の中和温度は50℃で中和を行った。(条件4)
また、条件4同様にpHを調整したスラリーに対して、硫酸チタン水溶液320mLを滴下し中和反応させることでチタン酸化物を粒子表面に凝集させた。引き続き、硫酸を用いてスラリーのpHを3.0に調整した後、硫酸チタン320mLを滴下し中和を行った。
条件5で得られた粉末のSEM像を図3に、XRD測定結果を図4に示した。SEM像より、条件5の場合にも、不純物が生成しているが、その量は比較例1の場合よりも少ないことがわかった。また、XRDでは、44°付近のピークの裾に見られた不純物由来ピークの強度が減少した。
[実施例2]
酸化チタン80gを水2000gに攪拌機により分散させ、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.5に調整したスラリーを作製した。窒素雰囲気下で、調整したスラリーに硫酸ニッケル水溶液および硫酸マンガン水溶液を混合した酸性溶液(Ni含量:27g/L,Mn含量:75g/L)21.0Lと水酸化ナトリウム水溶液を36時間かけて滴下し、中和することで酸化チタン粒子表面に金属複合水酸化物を凝集させた。なお、酸化チタンの分散にビーズミルを使用して、同様の実験を繰り返した。
実施例2で得られた粉末のSEM像を図5に、XRD観察結果を図6に示した。実施例1と同様に、不純物は比較例1の場合よりも少ないことがわかる。また、図5より、酸化チタンの分散にビーズミルを使用した場合の方が、粒子形状が均一であることがわかる。

Claims (9)

  1. Ti並びにTi以外の一種以上の遷移金属を含む、リチウム金属複合酸化物の前駆体の製造方法であって、
    Ti以外の一種以上の遷移金属を含む金属複合水酸化物の存在下、
    チタンイオンを含有する酸性水溶液を中和処理すること、又は、
    チタン酸化物の存在下、
    チタンイオン以外の一種以上の遷移金属イオンを含む酸性水溶液を中和処理することを特徴とする、リチウム金属複合酸化物の前駆体の製造方法。
  2. 遷移金属が、Ni、Mn、Co、Sc、V、W、Cr、Fe、Cu、Zn、Y、Nb、Mo、PdおよびCdからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1記載の製造方法。
  3. 遷移金属が、NiおよびMnからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項2記載の製造方法。
  4. チタンイオンを含有する酸性水溶液の中和処理が、複数の工程により実行される、請求項1〜3いずれかに記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4いずれかに記載の製造方法により得られたリチウム金属複合酸化物の前駆体。
  6. 請求項5に記載のリチウム金属複合酸化物の前駆体を、リチウム化合物と焼成することを特徴とする、リチウム金属複合酸化物の製造方法。
  7. 請求項6に記載の製造方法により得られたリチウム金属複合酸化物。
  8. 請求項7に記載のリチウム金属複合酸化物を含むリチウムイオン二次電池用の正極材。
  9. 請求項8に記載の正極材を含むリチウムイオン二次電池。
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