本発明の第一の側面によれば、式(I):
[式中、
X
1はNであり、かつ、X
2はCR
3aであるか、またはX
2はNであり、かつ、X
1はCR
3aであり;
各R
2は独立に、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C
1−4アルキル、C
2−4アルケニル、C
2−4アルキニル、C
1−4アルコキシ、ヒドロキシC
1−4アルキル、ヒドロキシC
1−4アルコキシ、ハロC
1−4アルキル、ハロC
1−4アルコキシ、ヒドロキシハロC
1−4アルキル、ヒドロキシハロC
1−4アルコキシ、C
1−4アルコキシC
1−4アルキル、ハロC
1−4アルコキシC
1−4アルキル、C
1−4アルコキシC
1−4アルキル(ここで、各C
1−4アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、ヒドロキシハロC
1−4アルコキシC
1−4アルキル、R
13、R
13で置換されたC
1−4アルキル、−C(=O)−R
13で置換されたC
1−4アルキル、R
13で置換されたC
1−4アルコキシ、−C(=O)−R
13で置換されたC
1−4アルコキシ、−C(=O)−R
13、−NR
7R
8で置換されたC
1−4アルキル、−C(=O)−NR
7R
8で置換されたC
1−4アルキル、−NR
7R
8で置換されたC
1−4アルコキシ、−C(=O)−NR
7R
8で置換されたC
1−4アルコキシ、−NR
7R
8および−C(=O)−NR
7R
8から選択され;あるいは2個のR
2基が、隣接する炭素原子と結合している場合は、それらは一緒に式:
−O−(C(R
17)
2)
p−O−;
−X−CH=CH−;または
−X−CH=N−
(式中、R
17は水素またはフッ素を表し、pは1または2を表し、かつXはOまたはSを表す)
の基を形成してもよく;
Yは、−CR
18=N−OR
19または−E−Dを表し;
Dは、3〜12環員単環式もしくは二環式カルボシクリル、またはN、OもしくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する3〜12環員単環式もしくは二環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記カルボシクリルおよびヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR
1基で置換されていてもよく;
Eは、結合、−(CR
22R
23)
n−、R
22で置換されていてもよいC
2−4アルケンジイル、R
22で置換されていてもよいC
2−4アルキンジイル、−CO−(CR
22R
23)
s−、−(CR
22R
23)
s−CO−、−NR
22−(CR
22R
23)
s−、−(CR
22R
23)
s−NR
22−、−O−(CR
22R
23)
s−、−(CR
22R
23)
s−O−、−S(O)
m−(CR
22R
23)
s−、−(CR
22R
23)
s−S(O)
m−、−(CR
22R
23)
s−CO−NR
22−(CR
22R
23)
s−または−(CR
22R
23)
s−NR
22−CO−(CR
22R
23)
s−を表し;
R
1は、水素、ハロ、シアノ、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、−C(=O)−O−C
1−6アルキル、C
2−4アルケニル、ヒドロキシC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、ヒドロキシハロC
1−6アルキル、シアノC
1−4アルキル、C
1−6アルコキシC
1−6アルキル(ここで、各C
1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、−NR
4R
5、−O−C(=O)−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−NR
4R
5で置換されたC
1−6アルキル、−C(=O)−NR
4R
5、−C(=O)−C
1−6アルキル−NR
4R
5、−C(=O)−NR
4R
5で置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−C
1−6アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15、−S(=O)
2−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、−NH−S(=O)
2−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−NH−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−NR
12−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、R
6、R
6で置換されたC
1−6アルキル、−C(=O)−R
6、−C(=O)−R
6で置換されたC
1−6アルキル、R
6で置換されたヒドロキシC
1−6アルキル、−Si(CH
3)
3で置換されたC
1−6アルキル、−P(=O)(OH)
2で置換されたC
1−6アルキル、または−P(=O)(OC
1−6アルキル)
2で置換されたC
1−6アルキルを表し;
R
3aは、水素、塩素、ヒドロキシル、またはC
1−6アルコキシを表し;
R
3は、ヒドロキシル、C
1−6アルコキシ、ヒドロキシC
1−6アルコキシ、−NR
10R
11で置換されたC
1−6アルコキシ、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、−O−C(=O)−C
1−6アルキルで置換されていてもよいハロC
1−6アルキル、−O−C(=O)−C
1−6アルキルで置換されていてもよいヒドロキシC
1−6アルキル、ヒドロキシC
2−6アルケニル、ヒドロキシC
2−6アルキニル、ヒドロキシハロC
1−6アルキル、シアノC
1−6アルキル、カルボキシルで置換されたC
1−6アルキル、−C(=O)−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−C(=O)−O−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、C
1−6アルコキシC
1−6アルキル−O−C(=O)−で置換されたC
1−6アルキル、C
1−6アルコキシC
1−6アルキル−C(=O)−で置換されたC
1−6アルキル、−O−C(=O)−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、C
1−6アルコキシC
1−6アルキル(ここで、各C
1−6アルキルは、1もしくは2個のヒドロキシル基で、または−O−C(=O)−C
1−6アルキルで置換されていてもよい)、C
1−6アルコキシで置換されたC
2−6アルケニル、C
1−6アルコキシで置換されたC
2−6アルキニル、R
9で置換されており、かつ、−O−C(=O)−C
1−6アルキルでさらに置換されていてもよいC
1−6アルキル、−C(=O)−R
9で置換されたC
1−6アルキル、ヒドロキシルとR
9で置換されたC
1−6アルキル、R
9で置換されたC
2−6アルケニル、R
9で置換されたC
2−6アルキニル、−NR
10R
11で置換されたC
1−6アルキル、−NR
10R
11で置換されたC
2−6アルケニル、−NR
10R
11で置換されたC
2−6アルキニル、ヒドロキシルと−NR
10R
11で置換されたC
1−6アルキル、1または2個のハロゲンと−NR
10R
11で置換されたC
1−6アルキル、−C
1−6アルキル−C(R
12)=N−O−R
12、−C(=O)−NR
10R
11で置換されたC
1−6アルキル、−O−C(=O)−NR
10R
11で置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−C
1−6アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15、−S(=O)
2−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、−NR
12−S(=O)
2−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−NH−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−NR
12−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、R
13、−P(=O)(OH)
2で置換されたC
1−6アルキル、または−P(=O)(OC
1−6アルキル)
2で置換されたC
1−6アルキルを表し;
R
4およびR
5はそれぞれ独立に、水素、C
1−6アルキル、−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、ヒドロキシC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、ヒドロキシハロC
1−6アルキル、C
1−6アルコキシC
1−6アルキル(ここで、各C
1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、−S(=O)
2−C
1−6アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15、−C(=O)−NR
14R
15、−C(=O)−O−C
1−6アルキル、−C(=O)−R
13、−S(=O)
2−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、−NH−S(=O)
2−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−NH−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−NH−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、R
13またはR
13で置換されたC
1−6アルキルを表し;
R
6は、C
3−8シクロアルキル、C
3−8シクロアルケニル、フェニル、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する4〜7員単環式ヘテロシクリルを表し;前記C
3−8シクロアルキル、C
3−8シクロアルケニル、フェニル、4〜7員単環式ヘテロシクリルは、それぞれ独立に、1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、各置換基は独立に、シアノ、C
1−6アルキル、シアノC
1−6アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキシC
1−6アルキル、ハロゲン、ハロC
1−6アルキル、ヒドロキシハロC
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルコキシC
1−6アルキル、C
1−6アルキル−O−C(=O)−、−NR
14R
15、−C(=O)−NR
14R
15、−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、−C(=O)−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−C
1−6アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15、−S(=O)
2−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、−NH−S(=O)
2−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−NH−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、または−NH−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキルから選択され;
R
7およびR
8はそれぞれ独立に、水素、C
1−6アルキル、ヒドロキシC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、ヒドロキシハロC
1−6アルキル、またはC
1−6アルコキシC
1−6アルキルを表し;
R
9は、C
3−8シクロアルキル、C
3−8シクロアルケニル、フェニル、ナフチル、またはN、OもしくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する3〜12員単環式もしくは二環式ヘテロシクリルを表し、前記C
3−8シクロアルキル、C
3−8シクロアルケニル、フェニル、ナフチル、または3〜12員単環式もしくは二環式ヘテロシクリルはそれぞれ独立に、1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよく、各置換基は独立に、=O、C
1−4アルキル、ヒドロキシル、カルボキシル、ヒドロキシC
1−4アルキル、シアノ、シアノC
1−4アルキル、C
1−4アルキル−O−C(=O)−、C
1−4アルキル−O−C(=O)−で置換されたC
1−4アルキル、C
1−4アルキル−C(=O)−、C
1−4アルコキシC
1−4アルキル(ここで、各C
1−4アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、ハロゲン、ハロC
1−4アルキル、ヒドロキシハロC
1−4アルキル、−NR
14R
15、−C(=O)−NR
14R
15、−NR
14R
15で置換されたC
1−4アルキル、−C(=O)−NR
14R
15で置換されたC
1−4アルキル、C
1−4アルコキシ、−S(=O)
2−C
1−4アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−4アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15、−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−4アルキル、−NH−S(=O)
2−C
1−4アルキルで置換されたC
1−4アルキル、−NH−S(=O)
2−ハロC
1−4アルキルで置換されたC
1−4アルキル、−NH−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−4アルキル、R
13、−C(=O)−R
13、R
13で置換されたC
1−4アルキル、R
16で置換されていてもよいフェニル、フェニルC
1−6アルキル(ここで、前記フェニルはR
16で置換されていてもよい)、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5員または6員芳香族単環式ヘテロシクリル(ここで、前記ヘテロシクリルはR
16で置換されていてもよい)から選択され;
あるいはR
9の置換基のうち2つが同じ原子と結合している場合には、それらは一緒に、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する4〜7員飽和単環式ヘテロシクリルを形成してもよく;
R
10およびR
11はそれぞれ独立に、水素、カルボキシル、C
1−6アルキル、シアノC
1−6アルキル、−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、−C(=O)NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、ヒドロキシC
1−6アルキル、ヒドロキシハロC
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルコキシC
1−6アルキル(ここで、各C
1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、R
6、R
6で置換されたC
1−6アルキル、−C(=O)−R
6、−C(=O)−C
1−6アルキル、−C(=O)−ヒドロキシC
1−6アルキル、−C(=O)−ハロC
1−6アルキル、−C(=O)−ヒドロキシハロC
1−6アルキル、−Si(CH
3)
3で置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−C
1−6アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15、−S(=O)
2−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、−NH−S(=O)
2−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−NH−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、カルボキシルで置換されたC
1−6アルキル、または−NH−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキルを表し;
R
12は、水素、またはC
1−4アルコキシで置換されていてもよいC
1−4アルキルを表し;
R
13は、C
3−8シクロアルキル、またはN、OもしくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する飽和4〜6員単環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記C
3−8シクロアルキルまたは単環式ヘテロシクリルは、それぞれ独立にハロゲン、ヒドロキシル、C
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、=O、シアノ、−C(=O)−C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、または−NR
14R
15から選択される1、2または3個の置換基で置換されていてもよく;
R
14およびR
15はそれぞれ独立に、水素、またはハロC
1−4アルキル、またはヒドロキシル、C
1−4アルコキシ、アミノ、もしくはモノもしくはジ(C
1−4アルキル)アミノから選択される置換基で置換されていてもよいC
1−4アルキルを表し;
R
16は、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C
1−4アルキル、C
1−4アルコキシ、−NR
14R
15または−C(=O)NR
14R
15を表し;
R
18は、水素、C
1−6アルキル、C
3−8シクロアルキル、C
3−8シクロアルキルで置換されたC
1−4アルキルを表し;
R
19は、水素;C
1−6アルキル;C
3−8シクロアルキル;−O−R
20で置換されたC
1−6アルキル;−(CH
2)
r−CN;−(CH
2)
r−CONR
20R
21;−(CH
2)
r1−NR
20R
21;−(CH
2)
r1−NR
20COR
21;−(CH
2)
r1−NR
20−(CH
2)
s−SO
2−R
21;−(CH
2)
r1−NH−SO
2−NR
20R
21;−(CH
2)
r1−NR
20CO
2R
21;−(CH
2)
r−SO
2NR
20R
21;ハロゲン、C
1−4アルキル、C
1−4アルキルオキシ、シアノまたはアミノからそれぞれ独立に選択される1、2、3、4または5個の置換基で置換されていてもよいフェニル;N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5員または6員芳香族単環式複素環(前記複素環は、ハロゲン、C
1−4アルキル、C
1−4アルキルオキシ、シアノまたはアミノからそれぞれ独立に選択される1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよい)を表し;ここで、前記C
1−6アルキルおよびC
3−8シクロアルキルは、1個以上のR
20基で置換されていてもよく;
R
20およびR
21は独立に、水素、C
1−6アルキル、ヒドロキシC
1−6アルキル、−(CH
2)
n−O−C
1−6アルキルを表すか、あるいは窒素原子と結合している場合には、R
20およびR
21は一緒に、それらが結合している窒素原子と一緒に、O、SまたはNから選択されるさらなるヘテロ原子を含有してもよい単環式飽和4、5員または6員環を形成することもでき;
R
22およびR
23は独立に、水素、C
1−6アルキル、またはヒドロキシC
1−6アルキルを表し;
mは独立に、0、1または2に等しい整数を表し;
nは独立に、0、1、2、3または4に等しい整数を表し;
sは独立に、0、1、2、3または4に等しい整数を表し;
rは独立に、1、2、3、または4に等しい整数を表し;
r1は独立に、2、3または4に等しい整数を表す]
で示される、その互変異性型または立体化学異性型を含む化合物、そのN−オキシド、その薬学的に許容可能な塩、またはその溶媒和物が提供される。
それぞれ一連のヘテロシクリル誘導体を開示するWO2006/092430、WO2008/003702、WO01/68047、WO2005/007099、WO2004/098494、WO2009/141386、WO2004/030635、WO2008/141065、WO2011/026579、WO2011/028947、WO00/42026、US2008/0116789、WO2010/084152、US2009/0054304、WO2008/150827、WO2006/066361、WO2011064250、WO2007/125405およびWO2011/135376。
発明の具体的説明
文脈がそうではないことを示さない限り、本明細書の総ての節において(本発明の使用、方法および他の側面を含む)式(I)という場合には、本明細書に定義される他の総ての部分式、サブグループ(例えば、I−A、I−B、I−CまたはI−D)、選択肢、実施態様および例に対する言及を含む。
本明細書において接頭辞「Cx−y」(ここで、xおよびyは整数である)は、所与の基における炭素原子の数を意味する。従って、C1−6アルキル基は1〜6個の炭素原子を含み、C3−6シクロアルキル基は3〜6個の炭素原子を含み、C1−4アルコキシ基は1〜4個の炭素原子を含むなどである。
本明細書において用語「ハロ」または「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。
本明細書において基または基の一部としての用語「C1−4アルキル」、または「C1−6アルキル」は、1〜4個または1〜6個の炭素原子を含有する直鎖または分岐型飽和炭化水素基を意味する。このような基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチルまたはヘキシルなどが挙げられる。
本明細書において基または基の一部としての用語「C2−4アルケニル」または「C2−6アルケニル」とは、2〜4個または2〜6個の炭素原子を含有し、かつ、炭素炭素二重結合を含有する直鎖または分岐型炭化水素基を意味する。
本明細書において基または基の一部としての用語「C2−4アルケンジイル」とは、2〜4個の炭素原子を含有し、かつ、炭素炭素二重結合を含有する直鎖または分岐型二価炭化水素基を意味する。
本明細書において基または基の一部としての用語「C2−4アルキニル」または「C2−6アルキニル」とは、2〜4個または2〜6個の炭素原子を有し、かつ、炭素炭素三重結合を含有する直鎖または分岐型炭化水素基を意味する。
本明細書において基または基の一部としての用語「C1−4アルコキシ」または「C1−6アルコキシ」とは、−O−C1−4アルキル基または−O−C1−6アルキル基を意味し、ここで、C1−4アルキルおよびC1−6アルキルは本明細書に定義される通りである。このような基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシなどが挙げられる。
本明細書において基または基の一部としての用語「C1−4アルコキシC1−4アルキル」または「C1−6アルコキシC1−6アルキル」とは、C1−4アルキル−O−C1−4アルキル基またはC1−6アルキル−O−C1−6アルキル基を意味し、ここで、C1−4アルキルおよびC1−6アルキルは本明細書に定義される通りである。このような基の例としては、メトキシエチル、エトキシエチル、プロポキシメチル、ブトキシプロピルなどが挙げられる。
本明細書において用語「C3−8シクロアルキル」とは、3〜8個の炭素原子の飽和単環式炭化水素環を意味する。このような基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルなどが挙げられる。
本明細書において用語「C3−8シクロアルケニル」とは、炭素炭素二重結合を有する3〜8個の炭素原子の単環式炭化水素環を意味する。
本明細書において基または基の一部としての用語「ヒドロキシC1−4アルキル」または「ヒドロキシC1−6アルキル」とは、1または2以上の水素原子がヒドロキシル基で置換されている、本明細書に定義されるC1−4アルキルまたはC1−6アルキル基を意味する。従って、用語「ヒドロキシC1−4アルキル」または「ヒドロキシC1−6アルキル」は、モノヒドロキシC1−4アルキル、モノヒドロキシC1−6アルキル、また、ポリヒドロキシC1−4アルキルおよびポリヒドロキシC1−6アルキルを含む。1、2、3またはそれを超える水素原子がヒドロキシル基で置換されてよく、従って、ヒドロキシC1−4アルキルまたはヒドロキシC1−6アルキルは1、2、3またはそれを超えるヒドロキシル基を有し得る。このような基の例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピルなどが挙げられる。
本明細書において基または基の一部としての用語「ハロC1−4アルキル」または「ハロC1−6アルキル」とは、1または2以上の水素原子がハロゲンで置換されている、本明細書に定義されるC1−4アルキルまたはC1−6アルキル基を意味する。従って、用語「ハロC1−4アルキル」または「ハロC1−6アルキル」は、モノハロC1−4アルキル、モノハロC1−6アルキル、また、ポリハロC1−4アルキルおよびポリハロC1−6アルキルを含む。1、2、3またはそれを超える水素原子がハロゲンで置換されてよく、従って、ハロC1−4アルキルまたはハロC1−6アルキルは1、2、3またはそれを超えるハロゲンを有し得る。このような基の例としては、フルオロエチル、フルオロメチル、トリフルオロメチルまたはトリフルオロエチルなどが挙げられる。
本明細書において基または基の一部としての用語「ヒドロキシハロC1−4アルキル」または「ヒドロキシハロC1−6アルキル」とは、1または2以上の水素原子がヒドロキシル基で置換され、かつ、1または2以上の水素原子がハロゲンで置換されている、本明細書に定義されるC1−4アルキルまたはC1−6アルキル基を意味する。従って、用語「ヒドロキシハロC1−4アルキル」または「ヒドロキシハロC1−6アルキル」は、1、2、3またはそれを超える水素原子がヒドロキシル基で置換され、かつ、1、2、3またはそれを超える水素原子がハロゲンで置換されているC1−4アルキルまたはC1−6アルキル基を意味する。
本明細書において基または基の一部としての用語「ヒドロキシC1−4アルコキシ」または「ヒドロキシC1−6アルコキシ」とは、C1−4アルキルおよびC1−6アルキル基が上記に定義される通りであり、C1−4アルキルまたはC1−6アルキル基の1または2以上の水素原子がヒドロキシル基で置換されている−O−C1−4アルキル基または−O−C1−6アルキル基を意味する。従って、用語「ヒドロキシC1−4アルコキシ」または「ヒドロキシC1−6アルコキシ」は、モノヒドロキシC1−4アルコキシ、モノヒドロキシC1−6アルコキシ、また、ポリヒドロキシC1−4アルコキシおよびポリヒドロキシC1−6アルコキシを含む。1、2、3またはそれを超える水素原子がヒドロキシル基で置換されてよく、従って、ヒドロキシC1−4アルコキシまたはヒドロキシC1−6アルコキシは1、2、3またはそれを超えるヒドロキシル基を有し得る。このような基の例としては、ヒドロキシメトキシ、ヒドロキシエトキシ、ヒドロキシプロポキシなどが挙げられる。
本明細書において基または基の一部としての用語「ハロC1−4アルコキシ」または「ハロC1−6アルコキシ」とは、1または2以上の水素原子がハロゲンで置換されている、本明細書に定義される−O−C1−4アルキル基または−O−C1−6アルキル基を意味する。従って、用語「ハロC1−4アルコキシ」または「ハロC1−6アルコキシ」は、モノハロC1−4アルコキシ、モノハロC1−6アルコキシ、また、ポリハロC1−4アルコキシおよびポリハロC1−6アルコキシを含む。1、2、3またはそれを超える水素原子がハロゲンで置換されてよく、従って、ハロC1−4アルコキシまたはハロC1−6アルコキシは1、2、3またはそれを超えるハロゲンを有し得る。このような基の例としては、フルオロエチルオキシ、ジフルオロメトキシまたはトリフルオロメトキシなどが挙げられる。
本明細書において基または基の一部としての用語「ヒドロキシハロC1−4アルコキシ」とは、C1−4アルキル基が本明細書に定義される通りであり、1または2以上の水素原子がヒドロキシル基で置換され、かつ、1または2以上の水素原子がハロゲンで置換されている−O−C1−4アルキル基を意味する。従って、用語「ヒドロキシハロC1−4アルコキシ」は、1、2、3またはそれを超える水素原子がヒドロキシル基で置換され、かつ、1、2、3またはそれを超える水素原子がハロゲンで置換されている−O−C1−4アルキル基を意味する。
本明細書において基または基の一部としての用語「ハロC1−4アルコキシC1−4アルキル」とは、C1−4アルキルが本明細書に定義される通りであり、かつ、一方または両方のC1−4アルキル基において、1または2以上の水素原子がハロゲンで置換されているC1−4アルキル−O−C1−4アルキル基を意味する。従って、用語「ハロC1−4アルコキシC1−4アルキル」とは、一方または両方のC1−4アルキル基において、1、2、3またはそれを超える水素原子がハロゲンで置換され、かつ、C1−4アルキルが本明細書に定義される通りである、C1−4アルキル−O−C1−4アルキル基を意味する。好ましくは、一方のC1−4アルキル基において、1または2以上の水素原子がハロゲンで置換される。好ましくは、ハロC1−4アルコキシC1−4アルキルは、ハロC1−4アルコキシで置換されたC1−4アルキルを意味する。
本明細書において用語「ヒドロキシハロC1−4アルコキシC1−4アルキル」とは、C1−4アルキルが本明細書に定義される通りであり、一方または両方のC1−4アルキル基において、1または2以上の水素原子がヒドロキシル基で置換され、かつ、1または2以上の水素原子がハロゲンで置換されているC1−4アルキル−O−C1−4アルキル基を意味する。従って、用語「ヒドロキシハロC1−4アルコキシC1−4アルキル」とは、一方または両方のC1−4アルキル基において、1、2、3またはそれを超える水素原子がヒドロキシル基で置換され、かつ、1、2、3またはそれを超える水素原子がハロゲンで置換され、C1−4アルキルが本明細書に定義される通りである、C1−4アルキル−O−C1−4アルキル基を意味する。
本明細書において用語「ヒドロキシC2−6アルケニル」とは、1または2以上の水素原子がヒドロキシル基で置換され、かつ、C2−6アルケニルが本明細書に定義される通りである、C2−6アルケニル基を意味する。
本明細書において用語「ヒドロキシC2−6アルキニル」とは、1または2以上の水素原子がヒドロキシル基で置換され、かつ、C2−6アルキニルが本明細書に定義される通りである、C2−6アルキニル基を意味する。
本明細書において用語フェニルC1−6アルキルとは、1個のフェニル基で置換された、本明細書に定義されるC1−6アルキル基を意味する。
本明細書において用語シアノC1−4アルキルまたはシアノC1−6アルキルとは、1個のシアノ基で置換された、本明細書に定義される、C1−4アルキルまたはC1−6アルキル基を意味する。
本明細書において用語「ヘテロシクリル」は、文脈がそうではないことを示さない限り、芳香環系と非芳香環系の両方を含むものとする。従って、例えば、用語「ヘテロシクリル基」は、その範囲内に、芳香族、非芳香族、不飽和、部分飽和および完全飽和ヘテロシクリル環系を含む。一般に、文脈がそうではないことを示さない限り、このような基は単環式または二環式であってよく、例えば、3〜12環員、より通常には5〜10環員を含み得る。4〜7環員という場合には、その環に4、5、6または7原子を含み、4〜6環員という場合には、その環に4、5、または6原子を含む。単環式基の例としては、3、4、5、6、7および8環員、より通常には3〜7、好ましくは5、6または7環員、より好ましくは5または6環員を含有する基がある。二環式基の例としては、8、9、10、11および12環員、より通常には9または10環員を含有するものがある。本明細書においてヘテロシクリル基が参照される場合、ヘテロシクリル環は、文脈がそうではないことを示さない限り、本明細書に述べられている1以上の置換基で置換されていてもよい(すなわち、置換されていなくても置換されていてもよい)。
ヘテロシクリル基は、5〜12環員、より通常には5〜10環員を有するヘテロアリール基であり得る。用語「ヘテロアリール」は、本明細書において芳香性を有するヘテロシクリル基を表して用いられる。用語「ヘテロアリール」は、1以上の環が非芳香族である(ただし、少なくとも1つの環は芳香族である)多環式(例えば、二環式)環系を包含する。このような多環式系では、この基は芳香環と結合していても非芳香環と結合していてもよい。
ヘテロアリール基の例としては、5〜12環員、より通常には5〜10環員を含有する単環式基および二環式基がある。ヘテロアリール基は、例えば、5員または6員の単環式環、または5員環と6員環の縮合環、もしくは2つの6員環の縮合環、もしくは2つの5員環の縮合環から形成される二環式構造であり得る。各環は、一般に窒素、硫黄および酸素から選択される最大約5個のヘテロ原子を含み得る。一般に、ヘテロアリール環は、最大4個のヘテロ原子、より一般には最大3個のヘテロ原子、より通常には最大2個、例えば、1個のヘテロ原子を含む。一つの実施態様では、ヘテロアリール環は少なくとも1個の環窒素原子を含む。ヘテロアリール環の窒素原子は、イミダゾールもしくはピリジンの場合のように塩基性であってもよいし、またはインドールもしくはピロール窒素の場合のように本質的に非塩基性であってもよい。一般に、ヘテロアリール基に存在する塩基性窒素原子の数は、その環のアミノ置換基を含めて5個未満である。
5員ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、フラザン、オキサゾール、オキサジアゾール、オキサトリアゾール、イソキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、ピラゾール、トリアゾールおよびテトラゾール基が挙げられる。
6員ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジンおよびトリアジンが挙げられる。
二環式ヘテロアリール基は、例えば、
a)ベンゼン環と、1、2または3個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
b)ピリジン環と、0、1、2または3個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
c)ピリミジン環と、0、1または2個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
d)ピロール環と、0、1、2または3個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
e)ピラゾール環と、0、1または2個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
f)イミダゾール環と、0、1または2個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
g)オキサゾール環と、0、1または2個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
h)イソキサゾール環と、0、1または2個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
i)チアゾール環と、0、1または2個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
j)イソチアゾール環と、0、1または2個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
k)チオフェン環と、0、1、2または3個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
l)フラン環と、0、1、2または3個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;
m)シクロヘキシル環と、1、2または3個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環;および
n)シクロペンチル環と、1、2または3個の環ヘテロ原子を含有する5員環または6員環との縮合環
から選択される基であり得る。
5員環と別の5員環との縮合環を含有する二環式ヘテロアリール基の特定の例としては、限定されるものではないが、イミダゾチアゾール(例えば、イミダゾ[2,1−b]チアゾール)およびイミダゾイミダゾール(例えば、イミダゾ[1,2−a]イミダゾール)が挙げられる。
6員環と5員環との縮合環を含有する二環式ヘテロアリール基の特定の例としては、限定されるものではないが、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、イソベンズオキサゾール、ベンズイソキサゾール、ベンズチアゾール、ベンズイソチアゾール、イソベンゾフラン、インドール、イソインドール、インドリジン、インドリン、イソインドリン、プリン(例えば、アデニン、グアニン)、インダゾール、ピラゾロピリミジン(例えば、ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン)、トリアゾロピリミジン(例えば、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン)、ベンゾジオキソール、イミダゾピリジンおよびピラゾロピリジン(例えば、ピラゾロ[1,5−a]ピリジン)基が挙げられる。
2つの6員環の縮合環を含有する二環式ヘテロアリール基の特定の例としては、限定されるものではないが、キノリン、イソキノリン、クロマン、チオクロマン、クロメン、イソクロメン、クロマン、イソクロマン、ベンゾジオキサン、キノリジン、ベンズオキサジン、ベンゾジアジン、ピリドピリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、ナフチリジンおよびプテリジン基が挙げられる。
芳香環および非芳香環を含有する多環式ヘテロアリール基の例としては、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロキノリン、ジヒドロベンズチエン、ジヒドロベンズフラン、2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン、ベンゾ[1,3]ジオキソール、4,5,6,7−テトラヒドロベンゾフラン、テトラヒドロトリアゾロピラジン(例えば、5,6,7,8−テトラヒドロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピラジン)、インドリンおよびインダン基が挙げられる。
窒素含有ヘテロアリール環は、少なくとも1個の環窒素原子を含まなければならない。各環は、さらに、一般に窒素、硫黄および酸素から選択される最大約4個の他のヘテロ原子を含んでもよい。一般に、ヘテロアリール環は、最大3個のヘテロ原子、例えば、1、2または3個、より通常には最大2個の窒素、例えば、1個の窒素を含む。ヘテロアリール環の窒素原子は、イミダゾールもしくはピリジンの場合のように塩基性であってもよいし、またはインドールもしくはピロール窒素の場合のように本質的に非塩基性であってもよい。一般に、ヘテロアリール基に存在する塩基性窒素原子の数は、その環のアミノ置換基を含めて5個未満である。
窒素含有ヘテロアリール基の例としては、限定されるものではないが、ピリジル、ピロリル、イミダゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、オキサトリアゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、フラザニル、ピラゾリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、トリアゾリル(例えば、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル)、テトラゾリル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾール、ベンズチアゾリルおよびベンズイソチアゾール、インドリル、3H−インドリル、イソインドリル、インドリジニル、イソインドリニル、プリニル(例えば、アデニン[6−アミノプリン]、グアニン[2−アミノ−6−ヒドロキシプリン])、インダゾリル、キノリジニル、ベンゾキサジニル、ベンゾジアジニル、ピリドピリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、フタラジニル、ナフチリジニルおよびプテリジニルが挙げられる。
芳香環および非芳香環を含む窒素含有多環式ヘテロアリール基の例としては、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、およびインドリニルが挙げられる。
用語「非芳香族基」は、文脈がそうではないことを示さない限り、芳香性を持たない不飽和環系、部分飽和および完全飽和ヘテロシクリル環系を包含する。用語「不飽和」および「部分飽和」とは、環構造が2価以上の結合を共有する原子を含む、すなわち、環が少なくとも1個の多重結合、例えば、C=C、C≡CまたはN=C結合を含む環を意味する。用語「完全飽和」とは、環原子間に多重結合が存在しない環を意味する。飽和ヘテロシクリル基としては、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジンが挙げられる。部分飽和ヘテロシクリル基としては、ピラゾリン、例えば、2−ピラゾリンおよび3−ピラゾリンが挙げられる。
非芳香族ヘテロシクリル基の例としては、3〜12環員、より通常には5〜10環員を有する基がある。このような基は単環式または二環式であり得、例えば、一般に、通常には窒素、酸素および硫黄から選択される1〜5個のヘテロ原子環員(より通常には、1、2、3または4個のヘテロ原子環員)を有する。ヘテロシクリル基は、例えば、環式エーテル部分(例えば、テトラヒドロフランおよびジオキサンの場合)、環式チオエーテル部分(例えば、テトラヒドロチオフェンおよびジチアンの場合)、環式アミン部分(例えば、ピロリジンの場合)、環式アミド部分(例えば、ピロリドンの場合)、環式チオアミド、環式チオエステル、環式尿素(例えば、イミダゾリジン−2−オンの場合)環式エステル部分(例えば、ブチロラクトンの場合)、環式スルホン(例えば、スルホランおよびスルホレンの場合)、環式スルホキシド、環式スルホンアミドおよびそれらの組合せ(例えば、チオモルホリン)を含み得る。
特定の例としては、モルホリン、ピペリジン(例えば、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニルおよび4−ピペリジニル)、ピペリドン、ピロリジン(例えば、1−ピロリジニル、2−ピロリジニルおよび3−ピロリジニル)、ピロリドン、アゼチジン、ピラン(2H−ピランまたは4H−ピラン)、ジヒドロチオフェン、ジヒドロピラン、ジヒドロフラン、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ジオキサン、テトラヒドロピラン(例えば、4−テトラヒドロピラニル)、イミダゾリン、イミダゾリジノン、オキサゾリン、チアゾリン、2−ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペラゾン、ピペラジン、およびN−アルキルピペラジン、例えば、N−メチルピペラジンが挙げられる。一般に、好ましい非芳香族ヘテロシクリル基としては、ピペリジン、ピロリジン、アゼチジン、モルホリン、ピペラジンおよびN−アルキルピペラジンなどの飽和基が挙げられる。
窒素含有非芳香族ヘテロシクリル環では、環は少なくとも1個の環窒素原子を含まなければならない。複素環式基(heterocylic groups)は、例えば、環式アミン部分(例えば、ピロリジンの場合)、環式アミド(例えば、ピロリジノン、ピペリドンまたはカプロラクタム)、環式スルホンアミド(例えば、イソチアゾリジン1,1−ジオキシド、[1,2]チアジナン1,1−ジオキシドまたは[1,2]チアゼパン1,1−ジオキシド)およびそれらの組合せを含み得る。
窒素含有非芳香族ヘテロシクリル基の特定の例としては、アジリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペリジン(例えば、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニルおよび4−ピペリジニル)、ピロリジン(例えば、1−ピロリジニル、2−ピロリジニルおよび3−ピロリジニル)、ピロリドン、ジヒドロチアゾール、イミダゾリン、イミダゾリジノン、オキサゾリン、チアゾリン、6H−1,2,5−チアジアジン、2−ピラゾリン、3−ピラゾリン、ピラゾリジン、ピペラジン、およびN−アルキルピペラジン、例えば、N−メチルピペラジンが挙げられる。
ヘテロシクリル基は、多環式縮合環系または架橋環系、例えば、ビシクロアルカン、トリシクロアルカンのオキサ類似体およびアザ類似体(例えば、アダマンタンおよびオキサ−アダマンタン)であり得る。縮合環系と架橋環系の間の識別に関する説明としては、Advanced Organic Chemistry, Jerry March, 第4版, Wiley Interscience, 131-133頁, 1992を参照。
ヘテロシクリル基は、それぞれ非置換型であっても、1以上の置換基で置換されていてもよい。例えば、ヘテロシクリル基は非置換型であっても、1、2、3または4個の置換基で置換されていてもよい。ヘテロシクリル基が単環式または二環式である場合、一般に、そのヘテロシクリル基は非置換型であるか、または1、2もしくは3個の置換基を有する。
本明細書において用語「カルボシクリル」は、文脈がそうではないことを示さない限り、芳香環系と非芳香環系の両方を含むものとする。従って、例えば、用語「カルボシクリル基」は、その範囲内に、芳香族、非芳香族、不飽和、部分飽和および完全飽和カルボシクリル環系を含む。一般に、文脈がそうではないことを示さない限り、このような基は単環式または二環式であってよく、例えば、3〜12環員、より通常には5〜10環員を含み得る。4〜7環員という場合には、その環に4、5、6または7原子を含み、4〜6環員という場合には、その環に4、5、または6原子を含む。単環式基の例としては、3、4、5、6、7および8環員、より通常には3〜7、好ましくは5、6または7環員、より好ましくは5または6環員を含有する基がある。二環式基の例としては、8、9、10、11および12環員、より通常には9または10環員を含有するものがある。本明細書においてカルボシクリル基が参照される場合、カルボシクリル環は、文脈がそうではないことを示さない限り、本明細書に述べられている1以上の置換基で置換されていてもよい(すなわち、置換されていなくても置換されていてもよい)。
用語カルボシクリルは、アリール、C3−8シクロアルキル、C3−8シクロアルケニルを含んでなる。
本明細書において用語「アリール」とは、フェニル、ナフチル、インデニル、およびテトラヒドロナフチル基を含む、カルボシクリル芳香族基を意味する。
以上または以下に用いる場合には常に、置換基は、多数の定義の一覧外からそれぞれ独立に選択することができ、化学的に可能なあらゆる組合せが意図される。以上または以下に用いる場合には常に、特定の置換基は、例えば、ヒドロキシハロC1−4アルキル、ヒドロキシハロC1−4アルコキシのように、2以上の基でさらに置換され、化学的に可能なあらゆる組合せが意図される。
一つの実施態様では、本発明は、式(I−A)の化合物に関する。
一つの実施態様では、本発明は、X1がNであり、かつ、X2がCR3aであり、特に、R3aが水素を表す、式(I−A)の化合物に関する。
一つの実施態様では、本発明は、X2がNであり、かつ、X1がCR3aであり、特に、R3aが水素を表す、式(I−A)の化合物に関する。
一つの実施態様では、本発明は、特にR3aが水素を表す式(I−B)の化合物に関する。
一つの実施態様では、Yは、−CR18=N−OR19を表す。特に、ここで、R18およびR19はC1−6アルキルを表す。
一つの実施態様では、Yは−E−Dを表し、ここで、Eは結合を表す。
一つの実施態様では、Yは、3〜12環員単環式もしくは二環式カルボシクリル、またはN、OもしくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する3〜12環員単環式もしくは二環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記カルボシクリルおよびヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR1基で置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Yは、5〜12環員単環式もしくは二環式カルボシクリル、またはN、OもしくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5〜12環員単環式もしくは二環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記カルボシクリルおよびヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR1基で置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Yは、芳香族3〜12環員、特に、芳香族5〜12環員単環式もしくは二環式カルボシクリル、またはN、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する芳香族3〜12環員、特に、芳香族5〜12環員単環式もしくは二環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記カルボシクリルおよびヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR1基で置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Yは、芳香族3〜12(例えば、5〜10)環員単環式または二環式カルボシクリルを表し、ここで、前記カルボシクリルは、1個以上(例えば、1、2または3個)のR1基で置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Yは、フェニルまたはナフチルを表し、ここで、前記フェニルまたはナフチルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR1基で置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Yは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5〜12環員単環式または二環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR1基で置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Yは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する芳香族5〜12環員単環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリル基はそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR1基で置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Yは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5または6環員単環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR1基で置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Yは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する芳香族5または6環員単環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR1基で置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Yは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5環員単環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR1基で置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Yは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5環員単環式芳香族ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR1基で置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Yは、ピラゾリル(例えば、ピラゾール−4イル)を表し、ここで、前記ピラゾリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3)個のR1基で置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Yは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する6環員単環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR1基で置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Yは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する6環員単環式芳香族ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR1基で置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Yは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する12環員二環式ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR1基で置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Yは、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する12環員二環式芳香族ヘテロシクリルを表し、ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR1基で置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Yは、
を表し、式中、R
1は、水素、C
1−6アルキル、C
2−4アルケニル、ヒドロキシC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、ヒドロキシハロC
1−6アルキル、シアノC
1−4アルキル、C
1−6アルコキシC
1−6アルキル(ここで、各C
1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、−NR
4R
5で置換されたC
1−6アルキル、−C(=O)−NR
4R
5で置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−C
1−6アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15、−S(=O)
2−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、−NH−S(=O)
2−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−NH−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−NR
12−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、R
6、R
6で置換されたC
1−6アルキル、−C(=O)−R
6で置換されたC
1−6アルキル、R
6で置換されたヒドロキシC
1−6アルキル、−Si(CH
3)
3で置換されたC
1−6アルキル、−P(=O)(OH)
2で置換されたC
1−6アルキル、または−P(=O)(OC
1−6アルキル)
2で置換されたC
1−6アルキルを表し;かつ、各R
1aは独立に、水素、C
1−4アルキル、ヒドロキシC
1−4アルキル、アミノまたはモノもしくはジ(C
1−4アルキル)アミノまたは−NH(C
3−8シクロアルキル)で置換されたC
1−4アルキル、シアノC
1−4アルキル、C
1−4アルコキシC
1−4アルキル、および1以上のフルオロ原子で置換されたC
1−4アルキルから選択される。一つの実施態様では、R
1aは独立に水素およびC
1−4アルキルから選択される。一つの実施態様では、R
1aは水素である。
一つの実施態様では、Yは、
を表し、式中、R
1は、水素、C
1−6アルキル、C
2−4アルケニル、ヒドロキシC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、ヒドロキシハロC
1−6アルキル、C
1−6アルコキシC
1−6アルキル(ここで、各C
1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、−NR
4R
5で置換されたC
1−6アルキル、−C(=O)−NR
4R
5で置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−C
1−6アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15、−S(=O)
2−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、−NH−S(=O)
2−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−NH−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−NR
12−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、R
6、R
6で置換されたC
1−6アルキル、−C(=O)−R
6で置換されたC
1−6アルキル、R
6で置換されたヒドロキシC
1−6アルキル、−Si(CH
3)
3で置換されたC
1−6アルキル、−P(=O)(OH)
2で置換されたC
1−6アルキル、または−P(=O)(OC
1−6アルキル)
2で置換されたC
1−6アルキルを表す。
一つの実施態様では、Eは、結合、R22で置換されていてもよいC2−4アルケンジイル、−CO−(CR22R23)s−、−(CR22R23)s−CO−、−NR22−(CR22R23)s−、−(CR22R23)s−NR22−、−O−(CR22R23)s−、−(CR22R23)s−CO−NR22−(CR22R23)s−または−(CR22R23)s−NR22−CO−(CR22R23)s−を表す。
一つの実施態様では、Eは、結合、C2−4アルケンジイル、−CO−(CR22R23)s−、−(CR22R23)s−CO−、−NR22−(CR22R23)s−、−(CR22R23)s−NR22−、−(CR22R23)s−CO−NR22−(CR22R23)s−または−(CR22R23)s−NR22−CO−(CR22R23)s−を表す。
一つの実施態様では、Eは、C2−4アルケンジイル、−CO−(CR22R23)s−、−(CR22R23)s−CO−、−NR22−(CR22R23)s−、−(CR22R23)s−NR22−、−(CR22R23)s−CO−NR22−(CR22R23)s−または−(CR22R23)s−NR22−CO−(CR22R23)s−を表す。
一つの実施態様では、Eは結合を表す。
一つの実施態様では、Yは−E−Dを表し、ここで、Eは結合以外である。
一つの実施態様では、Yは−E−Dを表し、ここで、Eは結合以外であり、かつ、Dは下記のうちいずれか一つを表す:
・3〜12環員単環式もしくは二環式カルボシクリル、またはN、OもしくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する3〜12環員単環式もしくは二環式ヘテロシクリル(ここで、前記カルボシクリルおよびヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR
1基で置換されていてもよい);
・5〜12環員単環式もしくは二環式カルボシクリル、またはN、OもしくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5〜12環員単環式もしくは二環式ヘテロシクリル(ここで、前記カルボシクリルおよびヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR
1基で置換されていてもよい);・フェニルまたはナフチル(ここで、前記フェニルまたはナフチルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR
1基で置換されていてもよい);
・N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5〜12環員単環式または二環式ヘテロシクリル(ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR
1基で置換されていてもよい);
・N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5または6環員単環式ヘテロシクリル(ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR
1基で置換されていてもよい);
・N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5環員単環式ヘテロシクリル(ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR
1基で置換されていてもよい);
・N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5環員単環式芳香族ヘテロシクリル(ここで、前記テロシクリル基はそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR
1基で置換されていてもよい);
・N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する6環員単環式ヘテロシクリル(ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR
1基で置換されていてもよい);
・N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する6環員単環式芳香族ヘテロシクリル(ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR
1基で置換されていてもよい);
・N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する12環員二環式ヘテロシクリル(ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR
1基で置換されていてもよい);
・N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する12環員二環式芳香族ヘテロシクリル(ここで、前記ヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば、1、2または3個)のR
1基で置換されていてもよい):
・
{式中、R
1は、水素、C
1−6アルキル、C
2−4アルケニル、ヒドロキシC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、ヒドロキシハロC
1−6アルキル、シアノC
1−4アルキル、C
1−6アルコキシC
1−6アルキル(ここで、各C
1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、−NR
4R
5で置換されたC
1−6アルキル、−C(=O)−NR
4R
5で置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−C
1−6アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15、−S(=O)
2−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、−NH−S(=O)
2−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−NH−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−NR
12−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、R
6、R
6で置換されたC
1−6アルキル、−C(=O)−R
6で置換されたC
1−6アルキル、R
6で置換されたヒドロキシC
1−6アルキル、−Si(CH
3)
3で置換されたC
1−6アルキル、−P(=O)(OH)
2で置換されたC
1−6アルキル、または−P(=O)(OC
1−6アルキル)
2で置換されたC
1−6アルキルを表し;かつ、各R
1aは独立に、水素、C
1−4アルキル、ヒドロキシC
1−4アルキル、アミノまたはモノもしくはジ(C
1−4アルキル)アミノまたは−NH(C
3−8シクロアルキル)で置換されたC
1−4アルキル、シアノC
1−4アルキル、C
1−4アルコキシC
1−4アルキル、および1以上のフルオロ原子で置換されたC
1−4アルキルから選択される};
・
{式中、R
1は、水素、C
1−6アルキル、C
2−4アルケニル、ヒドロキシC
1−6アルキル、ハロC
1−6アルキル、ヒドロキシハロC
1−6アルキル、C
1−6アルコキシC
1−6アルキル(ここで、各C
1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、−NR
4R
5で置換されたC
1−6アルキル、−C(=O)−NR
4R
5で置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−C
1−6アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15、−S(=O)
2−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、−NH−S(=O)
2−C
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−NH−S(=O)
2−ハロC
1−6アルキルで置換されたC
1−6アルキル、−NR
12−S(=O)
2−NR
14R
15で置換されたC
1−6アルキル、R
6、R
6で置換されたC
1−6アルキル、−C(=O)−R
6で置換されたC
1−6アルキル、R
6で置換されたヒドロキシC
1−6アルキル、−Si(CH
3)
3で置換されたC
1−6アルキル、−P(=O)(OH)
2で置換されたC
1−6アルキル、または−P(=O)(OC
1−6アルキル)
2で置換されたC
1−6アルキルを表す}。
一つの実施態様では、Dはピラゾリル以外であり、特に、Dは、ピペリジニル、ピリジニル、フェニル、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピロロピリジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、インドリル、チアゾリル、シクロペンチル、アゼチジニル、モルホリニル、テトラゾリル、オキサゾリル、ピペラジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2,5−ジヒドロピロリル、ピリミジニル、ピロリジニル、チアジアゾリル、オキサジアゾリルであり、前記環は置換されていてもよい。前記任意選択の置換基は、ハロ、シアノ、C1−6アルキル、C1−6アルコキシ、−C(=O)−O−C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、−NR4R5、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NR4R5で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NR4R5、−C(=O)−C1−6アルキル−NR4R5、R6、R6で置換されたC1−6アルキルを表し得る。
一つの実施態様では、Eは結合以外であり、かつ、Dはピラゾリル以外であり、特に、Dは、ピペリジニル、ピリジニル、フェニル、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピロロピリジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、インドリル、チアゾリル、シクロペンチル、アゼチジニル、モルホリニル、テトラゾリル、オキサゾリル、ピペラジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2,5−ジヒドロピロリル、ピリミジニル、ピロリジニル、チアジアゾリル、オキサジアゾリルであり、前記環は置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Eは結合であり、かつ、Dは、置換されていてもよい5員または6員芳香族複素環である。一つの実施態様では、Eは結合であり、かつ、Dは、置換されていてもよい5員芳香族複素環、例えば、C1−6アルキルで置換されていてもよいピラゾリルである。一つの実施態様では、Eは結合であり、かつ、Dは、置換されていてもよい6員芳香族複素環、例えば、置換ピリジルまたは非置換ピリジルである。
一つの実施態様では、Eは結合であり、かつ、Dは、置換されていてもよい4−ピラゾリルである。一つの実施態様では、Eは結合であり、かつ、Dは、1位においてC1−6アルキル、例えば、メチルで置換された4−ピラゾリルである。
一つの実施態様では、Eは結合であり、かつ、Dは1−ピラゾリルまたは2−ピラゾリルであり、両方とも置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Eは結合以外であり、かつ、Dは1−ピラゾリルまたは2−ピラゾリルであり、両方とも置換されていてもよい。
一つの実施態様では、Eは結合以外であり、かつ、Dは置換されていてもよいピラゾリルである。
一つの実施態様では、Eは結合であり、かつ、Dは、置換されていてもよいピラゾリルである。
一つの実施態様では、R1は、水素、C1−6アルキル、C2−4アルケニル、ヒドロキシC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、シアノC1−4アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、−NR4R5で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NR4R5で置換されたC1−6アルキル、−S(=O)2−C1−6アルキル、−S(=O)2−ハロC1−6アルキル、−S(=O)2−NR14R15、−S(=O)2−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)2−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−S(=O)2−NR14R15で置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)2−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)2−ハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)2−NR14R15で置換されたC1−6アルキル、R6、R6で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−R6で置換されたC1−6アルキル、R6で置換されたヒドロキシC1−6アルキル、−Si(CH3)3で置換されたC1−6アルキル、−P(=O)(OH)2で置換されたC1−6アルキル、または−P(=O)(OC1−6アルキル)2で置換されたC1−6アルキルを表す。
一つの実施態様では、R1は、水素、C1−6アルキル、C2−4アルケニル、ヒドロキシC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、−NR4R5で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NR4R5で置換されたC1−6アルキル、−S(=O)2−C1−6アルキル、−S(=O)2−NR14R15、−S(=O)2−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NH−S(=O)2−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、R6、R6で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−R6で置換されたC1−6アルキル、R6で置換されたヒドロキシC1−6アルキル、または−Si(CH3)3で置換されたC1−6アルキルを表す。
一つの実施態様では、R1は水素を表す。
一つの実施態様では、R1は、C1−6アルキル、例えば、メチル、エチルまたはイソプロピルを表す。一つの実施態様では、R1はメチルを表す。
一つの実施態様では、各R2は独立に、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルコキシ、ハロC1−4アルキル、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルコキシC1−4アルキル、R13、R13で置換されたC1−4アルコキシ、−C(=O)−R13、NR7R8で置換されたC1−4アルキル、NR7R8で置換されたC1−4アルコキシ、−NR7R8および−C(=O)−NR7R8から選択され;または2個のR2基が隣接する炭素原子と結合している場合には、それらは一緒に式−O−(C(R17)2)p−O−(式中、R17は水素またはフッ素を表し、かつ、pは1または2を表す)の基を形成していてもよい。
一つの実施態様では、各R2は独立に、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、C1−4アルキル、C2−4アルケニル、C1−4アルコキシ、ヒドロキシC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルコキシ、ハロC1−4アルコキシ、C1−4アルコキシC1−4アルキル、R13、R13で置換されたC1−4アルコキシ、−C(=O)−R13、NR7R8で置換されたC1−4アルキル、NR7R8で置換されたC1−4アルコキシ、−NR7R8または−C(=O)−NR7R8から選択される。
一つの実施態様では、1以上のR2がC1−4アルコキシ、例えば、CH3O−、またはハロゲン、例えば、フルオロもしくはクロロを表す。
一つの実施態様では、1以上のR2がCH3O−またはフルオロを表す。
一つの実施態様では、1以上のR2がC1−4アルコキシ、例えば、CH3O−を表す。
一つの実施態様では、nは0に等しい。一つの実施態様では、nは1に等しい。一つの実施態様では、nは2に等しい。一つの実施態様では、nは3に等しい。一つの実施態様では、nは4に等しい。
一つの実施態様では、nは2、3または4に等しい。
一つの実施態様では、nは2に等しく、一方のR2は3位に位置し、他方は5位に位置する。
一つの実施態様では、nは2に等しく、一方のR2は3位に位置し、他方は5位に位置し、かつ、各R2はC1−4アルコキシを表し、例えば、各R2はCH3O−を表す。
一つの実施態様では、nは3に等しく、一つのR2は2位に位置し、一つのR2は3位に位置し、一つのR2は5位に位置する。
一つの実施態様では、nは3に等しく、かつ、一つのR2は3位に位置して、C1−4アルコキシ、例えば、CH3O−を表し;一つのR2は5位に位置して、C1−4アルコキシ、例えば、CH3O−を表し;一つのR2は2位に位置して、ハロゲン、例えば、フルオロを表す。
一つの実施態様では、nは4に等しく、一つのR2は2位に位置し、一つのR2は3位に位置し、一つのR2は5位に位置し、一つのR2は6位に位置する。
一つの実施態様では、nは4に等しく、一つのR2は3位に位置して、C1−4アルコキシ、例えば、CH3O−を表し;一つのR2は5位に位置して、C1−4アルコキシ、例えば、CH3O−を表し;一つのR2は2位に位置して、ハロゲン、例えば、フルオロを表し、一つのR2は6位に位置して、ハロゲン、例えば、フルオロを表す。
一つの実施態様では、R3は、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、ヒドロキシC2−6アルキニル、ハロC1−6アルキル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよい(例えば、置換された)ハロC1−6アルキル、−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1もしくは2個のヒドロキシル基で、または−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよい)、R9で置換されたC1−6アルキル、−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、ヒドロキシルと−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、1または2個のハロゲンと−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、カルボキシルで置換されたC1−6アルキル、−O−C(=O)−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)2−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)2−NR14R15で置換されたC1−6アルキル、R9で置換され、かつ、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいC1−6アルキル、ヒドロキシルとR9で置換されたC1−6アルキル、−C1−6アルキル−C(R12)=N−O−R12、−S(=O)2−NR14R15、−S(=O)2−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−R9で置換されたC1−6アルキル、R9で置換されたC2−6アルケニル、R9で置換されたC2−6アルキニル、ヒドロキシC1−6アルコキシ、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、R13、C1−6アルコキシC1−6アルキル−C(=O)−で置換されたC1−6アルキル、または−P(=O)(OC1−6アルキル)2で置換されたC1−6アルキルを表す。
一つの実施態様では、R3は、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、R9で置換されたC1−6アルキル、−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、ヒドロキシルと−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、1または2個のハロゲンと−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、カルボキシルで置換されたC1−6アルキル、−O−C(=O)−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)2−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)2−NR14R15で置換されたC1−6アルキル、ヒドロキシルとR9で置換されたC1−6アルキル、−C1−6アルキル−C(R12)=N−O−R12、−C(=O)−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−R9で置換されたC1−6アルキル、R9で置換されたC2−6アルキニル、ヒドロキシC1−6アルコキシ、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、R13、またはC1−6アルコキシC1−6アルキル−C(=O)−で置換されたC1−6アルキルを表す。
一つの実施態様では、R3は、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいハロC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、ヒドロキシC2−6アルキニル、−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1もしくは2個のヒドロキシル基で、または−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよい)、R9で置換されたC1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、ヒドロキシルと−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、1または2個のハロ原子および−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル−C(=O)−で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NR14R15で置換されたC1−6アルキル、カルボキシルで置換されたC1−6アルキル、−O−C(=O)−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)2−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)2−NR14R15で置換されたC1−6アルキル、R9で置換され、かつ、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、ヒドロキシルとR9で置換されたC1−6アルキル、−C1−6アルキル−C(R12)=N−O−R12、−S(=O)2−NR14R15、−S(=O)2−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−R9で置換されたC1−6アルキル、R9で置換されたC2−6アルケニル、R9で置換されたC2−6アルキニル、C1−6アルキルオキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、R13、または−P(=O)(OC1−6アルキル)2で置換されたC1−6アルキルを表す。
一つの実施態様では、R3は、C1−6アルキル、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1または2個のヒドロキシル基で置換されていてもよい)、R9で置換されたC1−6アルキル、−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、ヒドロキシルと−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、1または2個のハロゲンと−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−O−C(=O)−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、カルボキシルで置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)2−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキル、−NR12−S(=O)2−NR14R15で置換されたC1−6アルキル、ヒドロキシルとR9で置換されたC1−6アルキル、−C1−6アルキル−C(R12)=N−O−R12、−C(=O)−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−R9で置換されたC1−6アルキル、R9で置換されたC2−6アルキニル、ヒドロキシC1−6アルコキシ、C2−6アルケニル、C2−6アルキニルまたはR13を表す。
一つの実施態様では、R3は、C2−6アルキニル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいハロC1−6アルキル、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよいヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1もしくは2個のヒドロキシル基で、または−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよい)、R9で置換されたC1−6アルキル、R9で置換されたC2−6アルキニル、−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、または−O−C(=O)−NR10R11で置換されたC1−6アルキルを表す。
一つの実施態様では、R3は、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、R9で置換されたC1−6アルキル、−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、R9で置換されたC2−6アルキニル、またはC2−6アルキニルを表す。
一つの実施態様では、R3は、ヒドロキシC1−6アルキル、ヒドロキシハロC1−6アルキル、R9で置換されたC1−6アルキル、NR10R11で置換されたC−1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル(ここで、各C1−6アルキルは、1もしくは2個のヒドロキシル基で、または−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されていてもよい)、またはR9で置換されたC2−6アルキニル、C2−6アルキニルを表す。
一つの実施態様では、R3は、ヒドロキシC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、R9で置換されたC1−6アルキル、−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、またはC2−6アルキニルを表す。
一つの実施態様では、R3は、ヒドロキシC1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、R9で置換されたC1−6アルキル、−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、−C(=O)−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、C2−6アルキニルまたはR13を表す。
一つの実施態様では、R3は、R9で置換されたC1−6アルキル、−NR10R11で置換されたC1−6アルキルまたはR13を表す。
一つの実施態様では、R3は、C2−6アルキニルを表す。R3は、−CH2−C≡C−Hを表し得る。
一つの実施態様では、R3は、R9で置換されたC1−6アルキル(例えば、C1−4アルキル)を表す。R9は、置換されていてもよい芳香族5員または6員単環式ヘテロシクリル、例えば、置換されていてもよいイミダゾリルを表す。
一つの実施態様では、R3が、R9で置換されたC1−6アルキル(例えば、C1−4アルキル)を表す場合、R9は、1または2個の窒素ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい芳香族5員単環式ヘテロシクリル、例えば、イミダゾリルを表す。
一つの実施態様では、R3が、R9で置換されたC1−4アルキル(例えば、メチル)を表す場合、R9は、非置換イミダゾリル(例えば、イミダゾール−2−イル)または−S(O)2−N(CH3)2で置換されたイミダゾリルを表す。
一つの実施態様では、R3は、ヒドロキシル、ハロおよび/または−NR10R11で置換されたC1−6アルキルを表す。一つの実施態様では、R3は、ヒドロキシル、ハロまたは−NR10R11で置換されたC1−6アルキルを表し、ここで、C1−6アルキル基は、直鎖アルキル基、例えば、2−エチル、n−プロピル、n−ブチルである。さらなる実施態様では、R3は、ヒドロキシルまたは−NR10R11で置換されたC1−6アルキルを表す。
一つの実施態様では、R3は、ヒドロキシC1−6アルキルを表す。R3は、−CH2CH2OHまたは−CH2CH2CH2OHを表し得る。
一つの実施態様では、R3は、C1−6アルキルオキシC1−6アルキルを表す。R3は、−CH2CH2OCH3を表し得る。
なおさらなる実施態様では、R3は、−NR10R11で置換されたC1−6アルキルを表す。一つの実施態様では、R3は、−NR10R11で置換されたC1−4アルキルを表す。一つの実施態様では、R3は、−NR10R11で置換されたC1−4アルキルを表し、ここで、C1−4アルキル基は、直鎖アルキル基、例えば、2−エチル、n−プロピルである。一つの実施態様では、R3は、−NR10R11で置換されたC1−4アルキルを表し、ここで、C1−4アルキル基はエチル基(−CH2CH2−)である。
一つの実施態様では、R3が、−NR10R11で置換されたC1−6アルキル(例えば、2−エチル、n−プロピル)を表す場合、R10およびR11は独立に、水素、C1−6アルキルおよびハロC1−6アルキル(例えば、水素、イソ−プロピルまたは−CH2CF3)から選択される。
一つの実施態様では、R3が、−NR10R11で置換されたC1−6アルキル(例えば、2−エチル、n−プロピル)を表す場合、R10およびR11は独立に、水素、C1−6アルキル、および−NR14R15で置換されたC1−6アルキルから選択される。一つの実施態様では、R14およびR15はそれぞれ独立に、水素、またはC1−4アルキルを表す。
一つの実施態様では、R3が、−NR10R11で置換されたC1−6アルキル(例えば、2−エチル、n−プロピル)を表す場合、R10およびR11は独立に、水素、およびC1−6アルキル(例えば、水素またはイソ−プロピル)を表す。
一つの実施態様では、R3が、−NR10R11で置換されたC1−6アルキルを表し、かつ、R10およびR11の一方が水素を表し、他方が、−NR14R15(例えば、−NR14R15は−NHCH(CH3)2を表す)で置換されたC1−6アルキルを表す場合、R3は、−CH2CH2N(CH(CH3)2)CH2CH2NHCH(CH3)2または−CH2CH2NHCH(CH3)2を表し得る。
一つの実施態様では、R3が、−NR10R11で置換されたC1−6アルキルを表し、かつ、R10およびR11の一方が水素を表し、他方がC1−6アルキル、例えば、−CH(CH3)2を表す場合、R3は−CH2CH2NHCH(CH3)2を表し得る。
一つの実施態様では、R3は−CH2CH2NHCH(CH3)2を表す。
一つの実施態様では、R3はハロC1−6アルキルを表す。一つの実施態様では、R3はハロC1−4アルキルを表す。一つの実施態様では、R3は−CH2CH2−Brを表す。
一つの実施態様では、R3aは水素を表す。
一つの実施態様では、R3aは塩素を表す。
一つの実施態様では、R9は、
置換されていてもよいC3−8シクロアルキル、
置換されていてもよい芳香族5員単環式ヘテロシクリル、
置換されていてもよい飽和6員単環式ヘテロシクリル、
1または2個の酸素ヘテロ原子を含有する飽和または芳香族3、4、5または6員単環式ヘテロシクリル、
1個の酸素ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい4員ヘテロシクリル、
1または2個の窒素ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい芳香族6員単環式複素環、
1個の窒素ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい部分飽和6員単環式ヘテロシクリル、
1個の窒素ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい飽和4員単環式ヘテロシクリル、
1個の窒素ヘテロ原子を含有する飽和5員単環式ヘテロシクリル、
1個の窒素ヘテロ原子を含有する飽和6員単環式ヘテロシクリル、
1、2または3環ヘテロ原子を含有する5員または6員環と縮合したベンゼン環を含有する二環式ヘテロシクリル、
同じ原子と結合し、かつ、一緒に、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する4〜7員飽和単環式ヘテロシクリルを形成する、2個の置換基で置換された4、5または6員単環式飽和複素環、
1個の硫黄ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい芳香族5員単環式ヘテロシクリル、
1個の硫黄および1個の窒素ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい芳香族5員単環式ヘテロシクリル、
2個の窒素ヘテロ原子を含有する飽和6員単環式ヘテロシクリル、
4個の窒素ヘテロ原子を含有する芳香族5員単環式ヘテロシクリル、
1個の酸素および2個の窒素ヘテロ原子を含有する芳香族5員単環式ヘテロシクリル、
2個の窒素ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい芳香族5員単環式ヘテロシクリル、
3個の窒素ヘテロ原子を含有する、置換されていてもよい芳香族5員単環式ヘテロシクリル、
1個の窒素および1個の酸素ヘテロ原子を含有する飽和5員単環式ヘテロシクリル、
1個の窒素および1個の硫黄ヘテロ原子を含有する飽和6員単環式ヘテロシクリル、
2個の窒素ヘテロ原子を含有する飽和7員単環式ヘテロシクリル、
1個の窒素および1個の酸素ヘテロ原子を含有する飽和7員単環式ヘテロシクリル、および
フェニルまたはナフチル、特に、フェニル
から選択される。
一つの実施態様では、R9は、置換されていてもよい5員芳香族複素環(例えば、イミダゾリル)、または置換されていてもよい6員芳香族複素環(例えば、ピリジル、ピリミジニルまたはピラジニル)を表す。任意選択の置換基は、C1−4アルコキシまたは−S(=O)2−NR14R15を表し得る。
一つの実施態様では、R9は、C3−6シクロアルキル(例えば、シクロプロピル)、3員飽和ヘテロシクリル(例えば、オキシラニル)、置換されていてもよい5員飽和複素環(例えば、ピロリジノニル)、置換されていてもよい6員芳香族または飽和複素環(例えば、ピリジル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、またはモルホリニル)、置換されていてもよい二環式複素環(例えば、1H−イソインドール−1,3−ジオン)を表す。任意選択の置換基は、=O、C1−4アルコキシ、−NR14R15で置換されたC1−4アルキル、ヒドロキシC1−4アルキル、またはC1−4アルキル−C(=O)−を表し得る。
一つの実施態様では、R9は、置換されていてもよい6員芳香族複素環、例えば、ピリジニルまたはピリミジニルを表す。任意選択の置換基は、C1−4アルコキシを表し得る。
一つの実施態様では、R9は、置換されていてもよい5員芳香族または飽和複素環、例えば、イミダゾリル、ピロリジニル、オキサゾリジニルを表す。任意選択の置換基は、=O、N、OまたはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する5員または6員芳香族単環式ヘテロシクリル(ここで、前記ヘテロシクリルはR16で置換されていてもよい);または−S(=O)2−NR14R15を表し得る。
一つの実施態様では、R9は、置換されていてもよい5員芳香族複素環、例えば、イミダゾリルを表す。任意選択の置換基は、−S(=O)2−NR14R15を表し得る。
一つの実施態様では、R9は、置換されていてもよい5員芳香族複素環、例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリルもしくはトリアゾリル;または置換されていてもよい5員飽和複素環、例えば、ピロリジノニルもしくはテトラヒドロフラニル;または置換されていてもよい6員芳香族複素環、例えば、ピリミジニルを表す。任意選択の置換基は、C1−4アルキル、オキソ、ベンジルまたは−S(=O)2−NR14R15を表し得る。
一つの実施態様では、R9は、置換されていてもよい5員芳香族複素環、例えば、イミダゾリルもしくはトリアゾリル;または置換されていてもよい5員飽和複素環、例えば、ピロリジノニルを表す。
一つの実施態様では、R10は水素またはC1−6アルキルを表す。
一つの実施態様では、R10は水素である。
一つの実施態様では、R11は、水素、C1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、−C(=O)−C1−6アルキル、−S(=O)2−C1−6アルキル、−S(=O)2−NR14R15、ヒドロキシC1−6アルキル、−C(=O)−ヒドロキシハロC1−6アルキル、−C(=O)−R6、シアノC1−6アルキル、R6、−C(=O)−R6、R6で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−ハロC1−6アルキル、−Si(CH3)3で置換されたC1−6アルキル、−NR14R15で置換されたC1−6アルキル、−C(=O)−NR14R15で置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ヒドロキシハロC1−6アルキル、カルボキシル、またはC1−6アルコキシC1−6アルキルを表す。
一つの実施態様では、R10およびR11は、水素またはC1−6アルキル、例えば、メチルもしくはイソプロピルを表す。
一つの実施態様では、R6は、置換されていてもよい6員単環式飽和ヘテロシクリルを表す。例えば、ハロゲン、C1−6アルキル、またはC1−6アルキル−O−C(=O)−で置換されていてもよい、ピペラジニルもしくはモルホリニルもしくはテトラヒドロピラニル。
一つの実施態様では、R6は、置換されていてもよい6員単環式芳香族ヘテロシクリルを表す。例えば、ハロゲン、C1−6アルキル、またはC1−6アルキル−O−C(=O)−で置換されていてもよいピリジニル。
一つの実施態様では、R12は、水素、またはC1−4アルキルオキシで置換されていてもよいC1−4アルキルを表す。
一つの実施態様では、R13は、NまたはOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する飽和4〜6員単環式ヘテロシクリルを表す。
一つの実施態様では、R13は、NまたはOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する飽和6員単環式ヘテロシクリル、例えば、ピペリジニルを表す。
一つの実施態様では、R14およびR15はそれぞれ独立に、水素またはC1−4アルキルを表す。
一つの実施態様では、R14およびR15はそれぞれ独立に、C1−4アルキル、例えば、メチルを表す。
一つの実施態様では、R22およびR23はそれぞれ独立に水素を表す。
本発明の一つの実施態様では、X1はNを表し、かつ、X2はCHを表し;nは2に等しい整数を表し;かつ、各R2は、C1−4アルコキシ、例えば、CH3O−を表し;R3は、ヒドロキシC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、R9で置換されたC1−6アルキル、−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C2−6アルキニルを表し;Yは−E−Dを表し、ここで、Eは結合を表し、かつ、Dは、置換されていてもよいピラゾリルを表す。
本発明の一つの実施態様では、X1はNを表し、かつ、X2はCHを表すか、またはX1はCHを表し、かつ、X2はNを表し;nは、2、3または4に等しい整数を表し;かつ、各R2は、C1−4アルコキシ、例えば、CH3O−、またはハロ、例えば、フルオロもしくはクロロを表し;R3aは、水素または塩素を表し;R3は、ヒドロキシC1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、R9で置換されたC1−6アルキル、−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、−C(=O)−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、C2−6アルキニルまたはR13を表し;Yは−E−Dを表し、ここで、Eは結合を表し、かつ、Dは、置換されていてもよい5員または6員芳香族複素環を表す。
本発明の一つの実施態様では、X1はNを表し、かつ、X2はCHを表すか、またはX1はCHを表し、かつ、X2はNを表し;nは、2、3または4に等しい整数を表し;かつ、各R2は、C1−4アルコキシ、例えば、CH3O−、またはハロ、例えば、フルオロもしくはクロロを表し;R3aは、水素または塩素を表し;R3は、ヒドロキシC1−6アルキル、シアノC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、R9で置換されたC1−6アルキル、−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、−C(=O)−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、C2−6アルキニルまたはR13を表し;Yは−E−Dを表し、ここで、Eは結合を表し、かつ、Dは、置換されていてもよい5員または6員芳香族複素環、例えば、置換されていてもよいピラゾリルまたはピリジルを表し;R1は、水素またはC1−6アルキル、例えば、メチル、エチルもしくはイソプロピルを表し;R9は、置換されていてもよい5員芳香族複素環、例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリルもしくはトリアゾリル;または置換されていてもよい5員飽和複素環、例えば、ピロリジノニルもしくはテトラヒドロフラニル;または置換されていてもよい6員芳香族複素環(heterocyle)、例えば、ピリミジニルを表し;R10およびR11は、水素またはC1−6アルキル、例えば、メチルもしくはイソプロピルを表し;R13は、NまたはOから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する飽和6員単環式ヘテロシクリルを表す。特に、R9の任意選択の置換基は、C1−4アルキル、オキソ、ベンジルまたは−S(=O)2−NR14R15から選択され、ここで、R14およびR15は、例えば、それぞれ独立にC1−4アルキル、例えば、メチルを表す。
本発明の一つの実施態様では、X1はNを表し、かつ、X2はCHを表し、nは2に等しい整数を表し;かつ、各R2はC1−4アルコキシ、例えば、CH3O−を表し;R3は、ヒドロキシC1−6アルキル、ハロC1−6アルキル、R9で置換されたC1−6アルキル、−NR10R11で置換されたC1−6アルキル、C1−6アルコキシC1−6アルキル、C2−6アルキニルを表し;Yは−E−Dを表し、ここで、Eは結合を表し、かつ、Dは、C1−6アルキルで置換されたピラゾリルを表し;R10およびR11は水素またはC1−6アルキルを表し;R9は置換されていてもよい5員芳香族複素環、例えば、置換されていてもよいイミダゾリルを表す。
一つの実施態様では、Yは−E−Dであり、ここで、Eは結合であり、かつ、Dは5員または6員単環式芳香族ヘテロシクリルであり、ここで、前記ヘテロシクリルは、1個以上(例えば、1、2または3個)のR1基で置換されていてもよく、下記:
nが2であること;
R2がC1−6アルキルオキシであること;
R2が3位および5位に位置すること
のうち1以上が当てはまる。
一つの実施態様では、Yは−E−Dであり、ここで、Eは結合であり、かつ、Dは、ピペリジニル、ピリジニル、フェニル、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピロロピリジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、インドリル、チアゾリル、シクロペンチル、アゼチジニル、モルホリニル、テトラゾリル、オキサゾリル、ピペラジニル、1,2,3,6−テトラ−ヒドロピリジニル、2,5−ジヒドロピロリル、ピリミジニル、ピロリジニル、チアジアゾリル、オキサジアゾリルであり、前記環は置換されていてもよく、より詳しくは、Dは、ピペリジニル、ピリジニル、フェニル、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピロロピリジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、インドリル、チアゾリル、シクロペンチル、アゼチジニル、モルホリニル、テトラゾリル、オキサゾリル、ピペラジニル、1,2,3,6−テトラ−ヒドロピリジニル、2,5−ジヒドロピロリル、ピリミジニル、ピロリジニル、チアジアゾリル、オキサジアゾリルであり、前記環は置換されていてもよく、かつ、nは2であり、いっそうより詳しくは、Dは、ピペリジニル、ピリジニル、フェニル、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピロロピリジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、インドリル、チアゾリル、シクロペンチル、アゼチジニル、モルホリニル、テトラゾリル、オキサゾリル、ピペラジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2,5−ジヒドロピロリル、ピリミジニル、ピロリジニル、チアジアゾリル、オキサジアゾリルであり、前記環は置換されていてもよく;nは2であり、R2は、C1−6アルキルオキシであり、いっそうさらに詳しくは、Dは、ピペリジニル、ピリジニル、フェニル、ピロリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピロロピリジニル、1,3−ベンゾジオキソリル、インドリル、チアゾリル、シクロペンチル、アゼチジニル、モルホリニル、テトラゾリル、オキサゾリル、ピペラジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2,5−ジヒドロピロリル、ピリミジニル、ピロリジニル、チアジアゾリル、オキサジアゾリルであり、前記環は置換されていてもよく;nは2であり、R2は、C1−6アルキルオキシであり、かつ、前記R2は3位および5位に位置する。
一つの実施態様では、その互変異性型または立体化学異性型を含む式(I−A)または(I−B)の化合物、そのN−オキシド、その薬学的に許容可能な塩、またはその溶媒和物が提供され、式中、
X1はNであり、かつ、X2はCR3aであり;
各R2は、C1−4アルコキシ、例えば、CH3O−を表し;
Yは、−E−Dを表し;
Dは、3〜12環員単環式もしくは二環式カルボシクリル、またはN、OもしくはSから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含有する3〜12環員単環式もしくは二環式ヘテロシクリル、例えば、ピラゾリルを表し、ここで、前記カルボシクリルおよびヘテロシクリルはそれぞれ、1個以上(例えば1、2または3個)のR1基で置換されていてもよく;
Eは結合を表し;
R1はC1−6アルキル、例えば、−CH3を表し;
R3aは、水素または塩素を表し;
R3は、ヒドロキシC1−6アルキル(例えば、−CH2CH2OHまたは−CH2CH2CH2OH)、ハロC1−6アルキル(例えば、−CH2CH2Br)、R9で置換されたC1−6アルキル(例えば、イミダゾール−2−イルで、または3位において−S(O)2−N(CH3)2で置換されたイミダゾール−2−イルで置換された−CH2)、−NR10R11で置換されたC1−6アルキル(例えば、−CH2CH2N(CH(CH3)2)CH2CH2NHCH(CH3)2または−CH2CH2NHCH(CH3)2)、C1−6アルコキシC1−6アルキル(例えば、−CH2CH2OCH3)、またはC2−6アルキニル;例えば、−CH2−C≡C−Hを表し;
nは独立に、2に等しい整数を表す。
一つの実施態様では、式(I−A)の化合物は、式(I−C)の化合物:
であり、式中、n、X
1、X
2、R
1、R
2、R
3およびR
3aは本明細書に定義される通りである。一つの実施態様では、式(I−A)の化合物は、R
3aが水素である式(I−C)の化合物である。
一つの実施態様では、式(I−A)の化合物は、式(I−D)の化合物:
であり、式中、n、R
1、R
2、R
3およびR
3aは本明細書に定義される通りである。一つの実施態様では、式(I−A)の化合物は、R
3aが水素である式(I−D)の化合物である。
一つの実施態様では、式(I−B)の化合物は、式(I−E)の化合物:
であり、式中、n、R
1、R
2、R
3およびR
3aは本明細書に定義される通りである。一つの実施態様では、式(I−B)の化合物は、R
3aが水素である式(I−D)の化合物である。
一つの実施態様では、本発明は、下記化合物:
のうちのいずれか一つ、そのN−オキシド、その薬学的に許容可能な塩、またはその溶媒和物に関する。
一つの実施態様では、本発明は、下記化合物:
のうちのいずれか一つ、そのN−オキシド、その薬学的に許容可能な塩、またはその溶媒和物に関する。
疑念を避けるため、1つの置換基の一般的かつ具体的選択肢、実施態様および例のそれぞれは、可能であれば、本明細書に定義される1以上の、好ましくは、総ての他の置換基の一般的かつ具体的選択肢、実施態様および例のそれぞれと組み合わせることができ、また、このような実施態様は総て本出願に包含されると理解すべきである。
式(I)の化合物の製造方法
本出願の他の総ての節と同様にこの節でも、文脈がそうではないことを示さない限り、式(I)という場合には、本明細書に定義される他の総てのそのサブグループおよび例も含む。
一般に、X
1がNであり、かつ、X
2がCR
3aであり;R
3aが水素であり、YがDであり(Eは結合である)式(I−A)の化合物(前記化合物は式(I−Aa)で表される)は、下記の反応スキーム1に従って製造することができる。
スキーム1では、W2が適切な脱離基(例えば、ハロ、例えば、クロロなど)または−O−SO2−CF3を表す式(IV)の中間体と式(V)の中間体を、適切な触媒(例えば、酢酸パラジウム(II)またはPd2dba3)、適切な塩基(例えば、ナトリウムtert−ブトキシドまたはCs2CO3)、適切なリガンド(例えば、1,1’−[1,1’−ビナフタレン]−2,2’−ジイルビス[1,1−ジフェニルホスフィン]またはxantphos)、および適切な溶媒または溶媒混合物(例えば、ジオキサンもしくはエチレングリコールジメチルエーテルおよび水もしくはN−メチル−ピロリドン、またはテトラヒドロフランもしくはトルエン、ジオキサンとトルエンの混合物)の存在下で反応させて式(VI)の中間体を得る。この反応はまた、適切な脱プロトン化剤(例えば、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下行うこともできる。あるいはまた、式(IV)の中間体と式(V)の中間体を、適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、n−プロパノール)の存在下で反応させる。次に、前記式(VI)の中間体と式(VII)の中間体{式中、W3は適切な脱離基(例えば、ハロ、例えば、ブロモ)を表し、かつ、RxおよびRyはC1−4アルキルを表し、かつ、RzはC1−4アルキルまたはフェニルを表し、例えば、RxおよびRyはCH3を表し、かつ、RzはC(CH3)3またはフェニルを表す}を、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド)の存在下で反応させて、式(VIII)の中間体を得ることができる。式(VIII)の中間体またはR1置換基が適切な保護基を保持する式(VIII)の中間体はまた、式(IV)の中間体またはR1置換基が適切な保護基を保持する式(IV)の中間体を、R3d’が−C1−6アルキル−O−Si(Rx)(Ry)(Rz)を表す式(XXIII’)の中間体と、適切な触媒(例えば、酢酸パラジウム(II))、適切なリガンド(例えば、ラセミ−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル)、適切な塩基(例えば、Cs2CO3)、および適切な溶媒(例えば、1,2−ジメトキシエタン)の存在下で反応させることもできる。式(VIII)の中間体は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下でフッ化テトラブチルアンモニウムと反応させることによって、R3が−C1−6アルキル−OHを表す式(I)の化合物(前記化合物は式(I−Aa−a)で表される)またはR1置換基が適切な保護基を保持する式(I−Aa)の化合物に変換することができる。このタイプの反応はまた、適切な酸(例えば、酢酸またはHCl)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフランまたはジオキサン)の存在下で行うこともできる。あるいは、式(VI)の中間体と、W3が適切な脱離基(例えば、ハロ、例えば、ブロモなど)を表す式(VII’)の中間体を、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド)の存在下で反応させて式(XXV)の中間体を得ることもでき、次に、これを適切な酸(例えば、HCl)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノールまたはイソプロパノール)の存在下で脱保護して、式(I−Aa−a)の化合物を得ることができる。式(I−Aa−a)の化合物、またはR1置換基が適切な保護基を保持する式(I−Aa−a)の化合物と塩化メタンスルホニルを、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエタンアミンまたはN,N−ジメチル−4−アミノピリジン)、および適切な溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン)の存在下で反応させて、式(IX)の中間体(メシル酸誘導体)もしくは式(IX’)の中間体(塩化物誘導体)、またはR1置換基が適切な保護基を保持する式(IX)もしくは(IX’)の中間体を得ることができる。特に、このタイプの反応は、C1−6アルキルがC3−6アルキルを表す式(IX)または(IX’)の中間体を製造するために使用される。例えば、C1−6アルキルがC1−2アルキルを表す式(IX)または(IX’)の中間体のいくつかの変種については、非塩基性条件で反応を行うことが好ましい場合がある。次に、式(IX)または(IX’)の中間体と式(X)の中間体を反応させて、R3が、NR10R11で置換されたC1−6アルキルを表す式(Ia)の化合物(前記化合物は式(I−Aa−b)で表される)またはR1置換基が適切な保護基を保持する式(I−Aa−b)の化合物を得ることができる。この反応は場合により、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン、K2CO3、Na2CO3または水素化ナトリウム)および場合により適切な溶媒(例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−ピロリジノン)、適切なアルコール(例えば、1−ブタノールなど)の存在下で行ってもよい。このタイプの反応はまた、式(X)の中間体の適切な塩、例えば、式(X)の中間体のHCl塩を用いて行うこともでき、あるいはヨウ化カリウムの存在下で行ってもよい。このようにして、R3がヨードC1−6アルキルを表す化合物を得ることができる。R1置換基が適切な保護基を保持する式(Ia−b)の化合物は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下で適切な酸(例えば、トリフルオロ酢酸)と反応させることによって、式(I−Aa−b)の化合物に変換することができる。
式(IX)の中間体はまた、適切な溶媒(例えば、アセトニトリル、1−メチル−2−ピロリジノン、またはアルコール、例えば、1−ブタノール)の存在下、場合により、ヨウ化カリウムまたは適切な塩基(例えば、Na2CO3、K2CO3またはトリエチルアミン)の存在下で、R9の定義の範囲内の適切な窒素含有環(前記環は式(XXI)で表される)または式(XXI)の中間体の適切な塩と反応させて、式(I−Aa−d)の化合物を得ることもできる。式(IX)の中間体はまた、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、ジメチルアセトアミド)の存在下で、Pが適切な保護基、例えば、−C(=O)−O−C(CH3)3を表す式(X−a)の中間体と反応させて式(XXX)の中間体を得ることもでき、これを適切な酸(例えば、HClまたはトリフルオロ酢酸)、および適切な溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはアルコール、例えば、メタノール)の存在下で脱保護して、式(I−Aa−b−1)の化合物とすることができる。式(XXX)の中間体はまた、式(VI)の中間体と、式W6−C1−6アルキル−NR10Pの中間体{式中、W6は適切な脱離基(例えば、ハロ、例えば、ブロモなど)、または−O−S(=O)2−CH3を表し、かつ、Pは上記で定義された通りである}を、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミド)の存在下で反応させることによって製造することもできる。あるいは、式(I−Aa−d)または(I−Aa−b−1)の化合物はまた、式(VI)の中間体と式W6−C1−6アルキル−N環またはW6−C1−6アルキル−NHR10の中間体(式中、W6は上記で定義される通り)を反応させることによって製造することもできる。
式(VI)の中間体は、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム、Cs2CO3または水酸化カリウム)および適切な相間移動剤(例えば、臭化テトラブチルアンモニウム)またはおよび適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−メチルテトラヒドロフラン、水またはアセトニトリル)の存在下で、W6−R3d{式中、W6は、適切な脱離基、例えば、ハロ、例えば、ブロモなど、または−O−S(=O)2−CH3もしくはp−トルエンスルホネートを表し、かつ、R3dは、置換されていてもよいC1−6アルキル、例えば、−CH2−C3H5を表す}と反応させて、式(I−Aa−c)の化合物を得ることができる。W6−R3dはまた、適当な塩形態、例えば、W6−R3dの塩酸塩の形態で使用することもできる。このようにして、R3が−S(=O)2−N(CH3)2を表す式(I−Aa−c)の化合物もまた、式(VI)の中間体と塩化ジメチルスルファモイルを、適切な塩基(例えば、NaH)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で反応させることによって製造することができる。このタイプの反応はまた、R3d部分が適当な保護基(例えば、トリフェニルメチルまたは−CH2−O−CH2−CH2−Si(CH3)3)により保護されている中間体を製造するために使用することができ、これを適切な溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはアセトニトリル)中、適切な酸(例えば、HClまたはトリフルオロ酢酸)の存在下で、または適切な脱シリル化剤(例えば、フッ化テトラブチルアンモニウム)と、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で反応させることによって脱保護して、式(I−Aa−c)の化合物とすることができる。このタイプの反応はまた、式(I−Ba)の化合物を製造するために使用することもできる(下記参照)。R3dの定義の範囲内のC1−6アルキル鎖が−CH2−(C0−5アルキル)を表す式(I−Aa−c)の化合物もまた、式(VI)の中間体とHC(=O)−R3d’を、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノール、およびジクロロメタン)の存在下で反応させることによって製造することができる。
式(I−Aa−c)の化合物{式中、R3dは−CH2−C(OH)(R’)(R’’)を表し、ここで、R’は、置換されていてもよいC1−4アルキルを表し、かつ、R’’は、水素または置換されていてもよいC1−4アルキルを表す}(前記化合物は式(I−Aa−c−1)で表される)は、式(VI)の中間体と式(XXII)の中間体を、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム、Cs2CO3、または水酸化カリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトニトリルまたは水)の存在下で反応させることによって製造することができる。
式(IV)の中間体はまた、適切な触媒(例えば、酢酸パラジウム(II)またはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))、適切な塩基(例えば、ナトリウムtert−ブトキシドまたはCs2CO3)、適切なリガンド(例えば、1,1’−[1,1’−ビナフタレン]−2,2’−ジイルビス[1,1−ジフェニルホスフィン]または2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチル−アミノ)ビフェニルまたはジシクロヘキシル(2’,6’−ジイソプロポキシ−2−ビフェニリル)ホスフィン、および適切な溶媒(例えば、ジオキサン)の存在下で、式(XXIII)の中間体と反応させて、式(I−Aa−c)の化合物を得ることができる。式(XXIII)の中間体はまた、R3d部分が保護された形態、例えば、−C(=O)−O−C1−6アルキルで保護された形態で反応させることもできる。得られた生成物を、その後、例えば、適切な酸(例えば、HCl)、および適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下で脱保護することができる。
R
11が、アミノで置換されたC
1−6アルキルである、式(I−Aa−b)化合物(前記化合物は式(I−Aa−b−2)で表される)も、下記の反応スキーム1Aに従って製造することができる。
スキーム1Aでは、式(I−Aa−b−1)の化合物とN−(ハロC1−6アルキル)フタルイミドを、適切な塩基(例えば、炭酸カリウム)、および適切な溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下で反応させて式(XXXVI)の中間体を得、これを適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)の存在下でヒドラジンと反応させることによって式(I−Aa−b−2)の化合物に変換することができる。
R
3が、置換されていてもよいC
2−6アルキニルを表す、式(I−Aa)の化合物(前記化合物は式(I−Aa−k)で表される)は、反応スキーム1Bに従って製造することができる。
スキーム1Bでは、式(VI)の中間体と式W11−R3eの中間体{式中、R3eは置換されていてもよいC2−6アルキニルを表し、かつ、W11は適切な脱離基(例えば、ハロ、例えば、クロロ)、または−O−S(=O)2−CH3を表す}を、適切な塩基(例えば、NaH)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で反応させる。W11が−O−S(=O)2−CH3を表す中間体W11−R3eは、対応するアルコール誘導体と塩化メタンスルホニルを、適切な塩基(例えば、トリエチルアミンまたは4−ジメチルアミノピリジン)、および適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下で反応させることによって製造することができる。
R
3eが、ヒドロキシルで置換されたC
2−6アルキニルを表す、式(I−Aa−k)の化合物(前記化合物は式(I−Aa−k−1)で表される)は、下記の反応スキーム1Cに従って製造することができる。
スキーム1Cでは、式(VI)の中間体と式(XXXVIII)の中間体を、適切な塩基(例えば、NaH、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で反応させて式(VIII’)の中間体を得、これを、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で適切な酸(例えば、トリフルオロ酢酸)と反応させることによって式(I−Aa−k−1)の化合物に変換する。この反応はまた、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(tetrqahydrofuran))の存在下でフッ化テトラブチルアンモニウムを用いて行うこともできる。
あるいは、式(XXXVIII)の中間体の代わりにハロ−C2−6アルキニル−O−Si(Rx)(Ry)(Rz)を使用することもできる。
R
3eがC
2−6アルキニルを表す式(I−Aa−k)の化合物(前記化合物は式(I−Aa−k−2)で表される)は、下記の反応スキーム1Dに従って製造することができる。
スキーム1Dでは、式(I−Aa−k−2)の化合物は、適切な塩基(例えば、K2CO3)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノールなど)の存在下で式(XXXXII)の中間体を脱保護することによって製造される。前記式(XXXXII)の中間体は、式(VI)の中間体とW13−C2−6アルキニル−Si(CH3)3(式中、W13は適切な脱離基、例えば、ハロゲンである)を、適切な塩基(例えば、NaH)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で反応させることによって製造することができる。
R
3が、−P(=O)(OC
1−6アルキル)
2で置換されたエチルを表す、式(I−Aa)の化合物(前記化合物は式(I−Aa−l)で表される)は、下記の反応スキーム1Eに従って製造することができる。
スキーム1Eでは、式(VI)の中間体とビニルホスホン酸ジ(C1−6アルキル)を、適切な触媒(例えば、トリ−N−ブチルホスフィン)、および適切な溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下で反応させて、式(Ia−l)の化合物を得る。
式(IV)の中間体は、下記の反応スキーム2に従って製造することができる。
スキーム2では、下記の反応条件が当てはまる:
1:メルドラム酸およびオルトギ酸トリエチル、ならびに適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノールの存在下;
2:ジフェニルエーテルまたはダウサムAの存在下;
3:N−ブロモ−スクシンイミド、および酢酸の存在下;
4:塩化ホスホリル、および適切な溶媒(例えば、クロロホルム)の存在下;
5:適切な塩基(例えば、炭酸ナトリウム)、適切な触媒(例えば、PdCl2(pddf).CH2Cl2)、および適切な溶媒(例えば、ジオキサンおよび水)の存在下;
6:触媒(例えば、ラネーニッケル)、およびH2、適切な塩基(例えば、水酸化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)、およびテトラヒドロフランの存在下;
7:適切な酸(例えば、HCl、および適切な溶媒(例えば、ジオキサン)の存在下;
8:適切な脱離基導入剤(例えば、塩化ホスホリル)、および適切な溶媒(例えば、クロロホルム)の存在下。
数種のナフチリジンが、R. Morgentin et al. / Tetrahedron 64 (2008) 2772e2782に記載されている。
X
2がNであり、かつ、X
1がCHであり;かつ、YがD(Eは結合)である式(I−A)の化合物は、下記のスキーム2Aの反応に従って製造することができる対応する中間体(式(IV)の中間体の1,7−ナフチリジン類似体)から出発し、上記の反応スキームに従って製造することができる。
スキーム2Aでは、下記の反応条件が当てはまる:
1:二炭酸ジ−tert−ブチル、および適切な溶媒(例えば、ジオキサン)の存在下;
2:N−メトキシ−N−メチルアセトアミド、およびBuLiの存在下で塩基として使用されるテトラメチレンジアミンの存在下;
3:N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,n−ジメチルアセトアミドの存在下;
4:適切な酸(例えば、トリフルオロ酢酸)、および適切な溶媒(例えば、トルエン)の存在下;
5:N−ブロモスクシンイミド、および適切な酸(例えば、酢酸)の存在下;
6:POCl3および適切な溶媒(例えば、CHCl3)の存在下;
7:適切な塩基(例えば、炭酸ナトリウム)、適切な触媒(例えば、PdCl2(pddf).CH2Cl2)、および適切な溶媒(例えば、ジオキサンおよび水)の存在下;
8:触媒(例えば、ラネーニッケル)、およびH2、適切な塩基(例えば、水酸化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール、およびテトラヒドロフラン)の存在下;
9:AlCl3、および適切な溶媒(例えば、ジクロロエタン)の存在下;
10:脱離基導入剤(例えば、SOCl2またはN−フェニル−ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)、任意選択の適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、トルエン、ジクロロメタンおよびN,N−ジメチルホルムアミド)の存在下。
これらの中間体のいくつかがR. Morgentin et al. / Tetrahedron 64 (2008) 2772e2782に記載されている。
一般に、R
3aが水素であり、かつ、YがD(Eは結合)である式(I−B)の化合物(前記化合物は式(I−Ba)で表される)は、下記のスキーム3の反応に従って製造することができる。
スキーム3では、式(VI)の中間体とW6−R3d(式中、W6は適切な脱離基、例えば、ハロ、例えば、ブロモなど、または−O−S(=O)2−CH3を表す)を、適切な塩基(例えば、水酸化カリウム)および適切な相間移動剤(例えば、臭化テトラブチルアンモニウム)、および適切な溶媒(例えば、2−メチルテトラヒドロフランおよび水)の存在下で反応させて、式(I−Ba)の化合物を得ることができる。
式(VIII−B)の中間体とフッ化テトラブチルアンモニウムを、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で反応させて、式(I−Ba−a)の化合物を得ることができる。
一般に、X
1がNであり、かつ、X
2がCR
3aであり;YがD(Eは結合)である式(I−A)の化合物(前記化合物は式(I−Ab)で表される)は、下記の反応スキーム4に従って製造することができる。
スキーム4では、下記の反応条件が当てはまる:
1:出発材料はスキーム2に記載の反応に従って製造される。前記出発材料を適切な酸(例えば、HCl)、および適切な溶媒(例えば、ジオキサン)の存在下で反応させる;
2:POCl3、および適切な溶媒(例えば、クロロホルム)の存在下;
3:中間体(V)(スキーム1参照)、適切な塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、1−プロパノール)の存在下;
4:上記の反応に従う。
式(VIII−a)または(VIII−b)の中間体は、下記の反応スキーム4’に従って製造することができる。
スキーム4’では、式(XVII)の中間体と式(VII)の中間体を、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で反応させて、式(XVIII)の中間体を得る。次に、式(XVIII)の中間体を、適切な触媒(例えば、Pd2(dba)3)、適切な塩基(例えば、K3PO4)、適切なリガンド(例えば、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシ−ビフェニルまたはS−Phos)、および適切な溶媒(例えば、ジオキサンまたは水、またはそれらの混合物)の存在下で、式(III)または(III−a)の中間体と反応させることができる。
式(VIII−a)の中間体は、触媒(例えば、ラネーニッケル)およびH2、適切な塩基(例えば、水酸化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)の存在下で、式(VIII−b)の中間体に変換することができる。
式(VIII−a)または(VIII−b)の中間体はまた、下記の反応スキーム4Aに従って製造することもできる。
スキーム4Aでは、式(XVIII)の中間体と式(XXXVII)の中間体を、適切な触媒(テトラキス(トリフェニルフィスフィン(triphenylphisphine))パラジウム(0))、および適切な溶媒(例えば、トルエン)の存在下で反応させる。
式(VIII−a)の中間体は、触媒(例えば、ラネーニッケル)、およびH2、適切な塩基(例えば、水酸化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)の存在下で、式(VIII−b)の中間体に変換することができる。
式(XVII)の中間体は、下記の反応スキーム5および6に従って製造することができる。
スキーム5:下記の反応条件が当てはまる:
1:メルドラム酸およびオルトギ酸トリエチル、ならびに適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)の存在下;
2:ジフェニルエーテルの存在下;
3:N−ブロモ−スクシンイミド、および酢酸の存在下;
4:塩化ホスホリル、および適切な溶媒(例えば、クロロホルム)の存在下;
5:上記で定義した式(V)の適切なアニリンの存在下、適切な溶媒(例えば、1−プロパノール中。
スキーム6では、下記の反応条件が当てはまる:
1:二炭酸ジ−tert−ブチル、および適切な溶媒(例えば、ジオキサン)の存在下;
2:N−メトキシ−N−メチルアセトアミド、およびBuLiの存在下で塩基として使用されるテトラメチレンジアミンの存在下;
3:N,N−ジメチルホルムアミドおよびNNn−ジメチルアセトアミドの存在下;
4:適切な酸(例えば、トリフルオロ酢酸)、および適切な溶媒(例えば、トルエン)の存在下;
5:N−ブロモスクシンイミド、および適切な酸(例えば、酢酸)の存在下;
6:POCl3および適切な溶媒(例えば、CHCl3)の存在下;
7:上記で定義した式(V)の適切なアニリン、および適切な溶媒(例えば、1−プロパノール)の存在下で式(XVII−b)の中間体を得る。
Dが、窒素原子を含有する環部分である、式(VIII)の中間体は、1,5−ナフチリジンスキャフォールドに関して、R
3aが水素である場合(式(VIII’−bの中間体)を示した下記の反応スキーム7に従ってさらに反応させることができる。これらの反応を上記の式(VIII)の他の中間体に適合させることは、当業者の知識の範囲内であると考えられる。
スキーム7では、D’N部分は−D部分を表し、D環部分は窒素原子を含有する。DがD’NHを表す式(VIII’−b)の中間体は、適切な塩基(例えば、NaH)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で、W12が適切な脱離基(例えば、ハロ、例えば、クロロ)を表すW12−C1−6アルキル−ハロと反応させることによって式(VIII’−b−2)の中間体に変換することができる。前記式(VIII’−b−1)の中間体は、適切な塩基(例えば、K2CO3)、および適切な溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下でR6と反応させることによって式(VIII’−b−2)の中間体に変換することができる。式(VIII’−b−2)の中間体において、式(VIII’−b−3)の中間体のように、R6がヒドロキシル基を保持する場合には、前記ヒドロキシル基は適切な塩基(例えば、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン)、および適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下でC1−6アルキル−C(=O)−W12と反応させることによって、適切な保護基P(例えば、−O−C(=O)−C1−6アルキル)で保護して、式(VIII’−b−4)の中間体を得ることができ、これを、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下でフッ化テトラブチルアンモニウムと反応させることによって式(XXXIX)の中間体に変換することができる。前記式(XXXIX)の中間体は、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下で塩化メタンスルホニルと反応させることによって、Ruが−SO2CH3を表す式(XXXX)の中間体に変換することができる。特に、このタイプの反応は、C1−6アルキルがC3−6アルキルを表す式(XXXX)の中間体を製造するために使用される。例えば、C1−6アルキルがC1−2アルキルを表す、式(XXXX)の中間体のいくつかの変種については、非塩基性条件で反応を行うことが好ましい場合がある。式(XXXX)の中間体は、適切な溶媒(例えば、アセトニトリル)中で式(X)の中間体と反応させることによって式(XXXXI)の中間体に変換することができる。次に、前記式(XXXXI)の中間体を、適切な塩基(例えば、K2CO3)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノールなど)の存在下で脱保護して式(I−Aa−b−4)の化合物とすることができる。他のどのD環部分に記載の反応が当てはまるのかを認識することは当業者の知識の範囲内にあると考えられる。
式(VIII’−b)の中間体はまた、スキーム1に示される反応スキームに従って本発明の化合物を製造するために反応させることもできる。どの条件において、また、D環部分上のR1のどの定義の場合に、実施される反応に保護基が適当であり得るかを認識することは当業者の知識の範囲内にあると考えられる。例えば、R1の定義の範囲内のヒドロキシル基はtert.ブチルジメチルシリル部分で保護してもよく;R1の定義の範囲内のNH基は−C(=O)−O−C(CH3)3基で保護してもよい。
適当な脱保護反応を認識することは当業者の知識の範囲内にあると考えられる。
R
3が、置換されていてもよいC
1−6アルキルを表す、式(I−A)の化合物(前記化合物は式(I−Aa−c)で表される)はまた、下記の反応スキーム8に従って製造することもできる。
スキーム8では、式(XVII)の中間体とW6−R3d(式中、W6は適切な脱離基、例えば、ハロ、例えば、ブロモなどを表し、かつ、R3dは置換されていてもよいC1−6アルキル、例えば、−CH2−C3H5を表す)を、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で反応させて、式(XIX)の中間体を得る。次の工程で、式(XIX)の中間体と式(III)または(III−a)の中間体を、適切な触媒(例えば、テトラキス(トリフェニル)ホスフィンパラジウムまたはPd2(dba)3(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)))、場合により適切なリガンド(例えば、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル)、適切な塩基(例えば、Na2CO3またはK3PO4)、および適切な溶媒(例えば、エチレングリコールジメチルエーテルまたはジオキサンまたは水)の存在下で反応させる。または、式(XIX)の中間体と式(XXXVII)の中間体を、適切な触媒(例えば、テトラキス(トリフェニル)ホスフィンパラジウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはトルエン)の存在下で反応させる。または、式(XIX)の中間体と、Wが適切な脱離基(例えば、ハロ、例えば、ブロモ、ヨードなど)を表すD−Wを、適切な触媒(例えば、テトラキス(トリフェニル)ホスフィンパラジウム、塩化亜鉛、および塩化エチルマグネシウム)の存在下で反応させて、有機亜鉛反応種と適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)を製造する。式(XIX)の中間体はまた、適切な触媒(例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))、適切なリガンド(例えば、Rac−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル)の存在下、適切な塩基(例えば、ナトリウムtert−ブトキシド)、および適切な溶媒(例えば、トルエン)の存在下で、Dで表される適切な環部分、例えば、イミダゾールまたは4−メチルイミダゾールまたは3−メチルピラゾールまたは2−メチルイミダゾールと反応させて、対応する最終化合物を得ることもできる。または、式(XIX)の中間体と、例えば、4−(アミノメチル)ピペリジン、モルホリン、1,2,4−トリアゾール、4−メチル−5−イミダゾールカルボン酸エチル、ピペラジンまたはその誘導体、例えば、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンまたは1−メチル−ピペラジンを、適切な塩基(例えば、トリエチルアミンまたは水素化ナトリウムまたは炭酸セシウム)の存在下、適切な触媒(例えば、酢酸パラジウム(II))、適切なリガンド(例えば、Rac−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル)および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、またはアルコール、例えば、1−ブタノール)の存在下で反応させて、対応する最終化合物を得ることもできる。
式(XIX)の中間体はまた、適切な触媒(例えば、テトラキス(トリフェニル)ホスフィンパラジウム)、適切な塩基(例えば、炭酸ナトリウムおよびフッ化テトラブチルアンモニウム)、および適切な溶媒(例えば、エチレングリコールジメチルエーテル)の存在下で1−(トリイソプロピルシリル)ピロール−3−ボロン酸と反応させて、式(I−Aa−c−2)の化合物を得ることができる。式(XIX)の中間体とシアン化亜鉛を、適切な触媒(例えば、テトラキス(トリフェニル)ホスフィンパラジウム)、適切なリガンド(例えば、トリフェニルホスフィン)、および適切な溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下で反応させることができる。得られた式(IXL)の中間体とアジ化ナトリウムおよび塩化アンモニウムを、適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で反応させて、式(I−Aa−c−3)の化合物を得ることができる。
式(I−Aa−c)、(I−Aa−c−2)の化合物または式(I−Aa−c−3)の化合物は、触媒(例えば、ラネーニッケル)、およびH2、適切な塩基(例えば、水酸化ナトリウム、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)の存在下で、R3aが水素である対応する化合物に変換することができる。
あるいは、式(I−Aa−c)の化合物はまた、下記の反応スキーム9に従って製造することもできる。
スキーム9では、式(IV)の中間体とR3d−NH2を、適切な触媒(例えば、酢酸パラジウム(II)またはPd2dba3)、適切な塩基(例えば、ナトリウムtert−ブトキシド)、および適切なリガンド(例えば、1,1’−[1,1’−ビナフタレン]−2,2’−ジイルビス[1,1−ジフェニルホスフィン]またはxantphos)の存在下で反応させて式(XX)の中間体を得る。このタイプの反応はまた、適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、n−プロパノール)の存在下でR3d−NH2を用いて行うこともできる。式(IV)の中間体はまた、適切な脱プロトン化剤(例えば、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド)の存在下、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中でR3d−NH2と反応させることもできる。式(XX)の中間体は、次の工程で、適切な触媒(例えば、酢酸パラジウム(II)またはPd2(dba)3(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)))、適切なリガンド(例えば、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−トリス−イソプロピル−ビフェニルまたは1,1’−[1,1’−ビナフタレン]−2,2’−ジイルビス[1,1−ジフェニルホスフィン])、適切な塩基(例えば、ナトリウムtert−ブトキシド)、および適切な溶媒(例えば、エチレングリコールジメチルエーテル)の存在下で式(XIV)の中間体と反応させる。
R
3が、置換されていてもよいC
1−6アルキルを表し、かつ、YがE−Dであり、Eが結合以外である式(I)の化合物(前記化合物は式(I−Ab)で表される)は、下記の反応スキーム10に従って製造することができる。
スキーム10では、式(XIX)の中間体とD−NHR
22を、上記の方法に従って、適切な触媒(例えば、Pd
2(dba)
3(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0))、適切なリガンド(例えば、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン)、適切な塩基(例えば、炭酸セシウム)、および適切な溶媒(例えば、ジオキサン)の存在下で反応させて、式(I−Ab−1)の化合物を得る。または、式(XIX)の中間体と
を、適切な触媒(例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)およびヨウ化銅)、適切なリガンド(例えば、トリフェニルホスフィン)、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で反応させて、式(I−Ab−2)の化合物を得る。式(I−Ab−2)の化合物はまた、式(XLI)の中間体と上記に定義されるD−Wを、適切な触媒(例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)およびヨウ化銅)、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドおよびアセトニトリル)の存在下で反応させることによって製造することもできる。式(XLI)の中間体は、(XIX)の中間体と(トリメチルシリル)アセチレンを、適切な触媒(例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)およびヨウ化銅)、適切なリガンド(例えば、トリフェニルホスフィン)、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)の存在下で反応させた後、得られた式(XL)の中間体と炭酸カリウムを、適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノール)中で反応させることによって製造することができる。式(XLI)の中間体はまた、適切な触媒(例えば、ヨウ化銅)、適切な塩基(例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で、アジ化2−(4−モルホリノ)エチルと反応させて、Eが結合であり、かつ、Dが2−(4−モルホリノ)エチル−1−トリアゾリルである化合物を得ることができる。式(XLI)の中間体はまた、適切な触媒(例えば、硫酸銅およびLアスコルビン酸ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、ジオキサンおよび酢酸)の存在下で、アジ化ナトリウムおよびホルムアルデヒドと反応させて、式(IAa−c−5)の化合物を得ることができる。
式(I−Ab−1)、(I−Ab−2)および(I−Aa−5)の化合物は、触媒(例えば、ラネーニッケル)、およびH2、適切な塩基(例えば、水酸化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)の存在下で、R3aが水素である対応する化合物に変換することができる。
式(I−Ab)の化合物はまた、下記の反応スキーム10Aに従って製造することもできる。
スキーム10Aでは、式(XIX)の中間体とCOガス、酢酸カリウムを、適切な触媒(例えば、テトラキス(トリフェニル)ホスフィンパラジウム)、および適切な溶媒(例えば、ジオキサン)の存在下で反応させて式(XLII)の中間体を得、これを、触媒(例えば、ラネーニッケル)、およびH2、適切な塩基(例えば、水酸化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)の存在下で式(XLII’)の中間体に変換することができる。式(XLII’)の中間体とD−(CR22R23)s−NHR22を、適切なペプチドカップリング試薬(例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、塩化メチレン)の存在下で反応させて、式(I−Ab−3)の化合物を得る。式(XLII’)の中間体はまた、適切なペプチドカップリング試薬(例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、塩化メチレン)の存在下で、D−Hと反応させて、式(I−Ab−4)の化合物を得ることもできる。式(XIX)の中間体はまた、適切な触媒(例えば、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム)の存在下、適切なリガンド(例えば、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)キサンテン)の存在下、適切な塩基(例えば、ナトリウムtert−ブチレート)の存在下、および適切な溶媒(例えば、エチレングリコールジメチルエーテル)の存在下で、1,1−ジフェニルメチレンイミンと反応させて、式(XLIII−a)の中間体を得ることもできる。前記中間体は、酸性媒体中での加水分解によって式(XLIII)のアミンに変換することができ、これを、適切なペプチドカップリング試薬(例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、塩化メチレン)の存在下でD−COOHと反応させて、式(I−Ab−5)の化合物を得ることができる。前記化合物は、触媒(例えば、ラネーニッケル)、およびH2、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)の存在下で、式(I−Ab−5)の化合物に変換することができる。あるいは、式(XLIII)のアミンをまず、(I−Ab−5’)に関して記載した方法に従って式(XLIII’)の中間体に変換した後に、D−COOHと反応させて式(I−Ab−5’)の化合物を得ることもできる。
R
3が、5−アミノ−1,3,4−オキサジアゾリルで置換されたC
1−6アルキルである、式(I)の化合物は、下記の反応スキーム11に従って製造することができる。
スキーム11では、式(I−Ac−1)の化合物とNH2−NH2を、適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)の存在下で反応させて式(XXXI)の中間体を得、次にこれを次の工程で、適切な塩基(例えば、NaHCO3)、および適切な溶媒(例えば、水またはジオキサン)の存在下で、W8が適切な脱離基(例えば、ハロ、例えば、ブロモ)を表すW8−CNと反応させる。
R
3が3,3−ジメチル−モルホリンで置換されたC
1−6アルキルである式(I)の化合物は、下記の反応スキーム11Aに従って製造することができる。
スキーム11Aでは、式(I−Ac−3)の化合物と2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールを、適切な塩基(例えば、NaH)の存在下、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で反応させて、式(XXXII)の中間体を得、適切な溶媒(例えば、ジオキサン)、および適切な塩基(例えば、NaHCO3)の存在下で、例えば、二炭酸ジ−tert−ブチルと反応させることによって、このNH2部分を適切な保護基P(例えば、−C(=O)−O−C(CH3)3)で保護して、式(XXXIII)の中間体を得る。次の工程で、前記中間体と塩化メタンスルホニルを、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)、および適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で反応させて式(XXXIV)の中間体を得る。特に、このタイプの反応は、C1−6アルキルがC3−6アルキルを表す式(XXXIV)の中間体を製造するために使用される。例えば、C1−6アルキルがC1−2アルキルを表す式(XXXIV)のいくつかの変種については、非塩基性条件で反応を行うことが好ましい場合がある。式(XXXIV)の中間体は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下で適切な酸(例えば、トリフルオロ酢酸)と反応させることによって式(XXXV)の中間体に変換する。式(XXXV)の中間体を、適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノール)の存在下で適切な塩基(例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよびトリエチルアミン)と反応させることによって、式(I−Ac−4)の化合物に変換する。
一般に、Yが−CCH
3=N−OR
19を表す式(I)の化合物(前記化合物は式(I−Ad)で表される)は、スキーム12のように製造することができる。
スキーム12では、下記の反応条件が当てはまる:
1:適切な触媒(例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)およびヨウ化銅)、適切なリガンド(例えば、トリフェニルホスフィン)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下でのトリブチル(1−エトキシビニル)スズとの反応;
2:適切な酸(例えば、塩酸)、および適切な溶媒(例えば、アセトン)の存在下。得られた中間体はまた、適切な塩基(例えば、酸二カリウム)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノール)の存在下でイソシアン化1−メチル−1−トシルメチルまたはイソシアン化トシルメチルと反応させることによって、Eが直接結合であり、かつ、Dが3−メチル−オキサゾールまたはオキサゾールである式(I−Aa)の化合物に変換することができる;
3:酸の存在下でのエチレングリコールとの反応による、CPDなどのケタールの取得;
4:適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)中、触媒(例えば、ラネーニッケル)、およびH2の存在下;
5:ケタール保護は、ジクロロメタンまたはテトラヒドロフランなどの溶媒中で例えば酢酸などの酸と反応させることによって除去することができる;
6:適切な塩基(例えば、ピリジン)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)の存在下でのR19−O−NH2との反応。
上記にすでに示されているように、本発明の化合物または上記の中間体のいくつかは、対応する保護化合物を脱保護することによって製造することができる。その他の保護−脱保護反応を下記の反応スキーム13に示す。
スキーム13では、Y’N部分は−E−D部分を表し、ここで、D環部分は窒素原子を含有する。R
1がヒドロキシC
1−6アルキルを表す式(I−A)の化合物は、式(XXVI)の中間体を、適切な酸(例えば、HClまたはトリフルオロ酢酸)、または適切な脱シリル化剤(例えば、フッ化テトラブチルアンモニウム)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノール、またはテトラヒドロフラン)の存在下で脱保護することによって製造することができる(工程2)。式(XXVI)の中間体は、R
1が水素である式(I−A)の化合物と、W
9が適切な脱離基(例えば、ハロ、例えば、ブロモなど)を表し、かつ、Pが適切な保護基(例えば、−Si(CH
3)
2(C(CH
3)
3))または
を表す式(XXIV)の中間体を、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウムまたはK
2CO
3)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリル)の存在下で反応させることによって製造することができる(工程1)。
R1が、−C(=O)−R6(ここで、R6は、窒素原子を介してC(=O)部分と連結された適当な窒素含有環である)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I−A)の化合物は、式(XXIX)の中間体と式(XXI)の中間体を、適切なペプチドカップリング試薬(例えば、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾールおよび1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドHCl)の存在下で反応させることによって製造することができる(工程5)。式(XXIX)の中間体は、式(XXVIII)の中間体とLiOHを、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフランまたは水)の存在下で反応させることによって製造することができる(工程4)。式(XXVIII)の中間体は、工程3に示すように、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で、W9が上記に定義される通りである式(XXVII)の中間体を用いることによって製造することができる。
工程6は、式(XXIX)の中間体から出発して、適切なペプチドカップリング試薬(例えば、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾールおよび1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドHCl)および適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下でNHR4R5と反応させることによる式(I−A)の化合物の製法を示す。
下記の反応スキーム14に概略を示すように、さらなる保護−脱保護反応を使用することもできる。
スキーム14では、下記の反応条件が当てはまる:
1;適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下。
2:適切な触媒(例えば、酢酸パラジウム(II))、適切な塩基(例えば、ナトリウムtert−ブトキシド)、適切なリガンド(例えば、1,1’−[1,1’−ビナフタレン]−2,2’−ジイルビス[1,1−ジフェニルホスフィン])、および適切な溶媒(例えば、ジオキサンまたはエチレングリコールジメチルエーテル)の存在下。あるいは、このタイプの反応はまた、適切な脱プロトン化剤(例えば、カリウムビス(トリメチルシリル)アミドの存在下、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中で行うこともできる。あるいはまた、このタイプの反応はまた、適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、n−プロパノール)の存在下で行うこともきる。3:適切な触媒(例えば、酢酸パラジウム(II))、適切な塩基(例えば、ナトリウムtert−ブトキシド)、適切なリガンド(例えば、1,1’−[1,1’−ビナフタレン]−2,2’−ジイルビス[1,1−ジフェニルホスフィン])、および適切な溶媒(例えば、ジオキサンまたはエチレングリコールジメチルエーテル)の存在下。
4:適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下。
5:適切な塩基(例えば、K2CO3)、および適切な溶媒(例えば、1−メチル−2−ピロリジノン)の存在下。
6:ヒドラジン一水和物、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)の存在下。
7:適切な塩基(例えば、K2CO3)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下。
(I−A)の化合物に関して上記したどの反応が式(I−B)の化合物にも適用可能であるかを認識することは当業者の知識の範囲内にあると考えられる。
どの条件で、また、分子のどの部分保護基が適当であり得るかを認識することは当業者の知識の範囲内にあると考えられる。例えば、R
1置換基もしくはD部分上の保護基、またはR
3置換基もしくはR
2置換基上の保護基、またはそれらの組合せ。当業者ならばまた、例えば、−C(=O)−O−C
1−4アルキルまたは
または−O−Si(CH
3)
2(C(CH
3)
3)または−CH
2−O−CH
2CH
2−O−CH
3または−CH
2−O−CH
2−CH
2−Si(CH
3)
3など、実現可能性の最も高い保護基を認識することができると考えられる。当業者はまた、例えば、適切な酸、例えば、トリフルオロ酢酸、塩酸、または適切な塩、例えば、フッ化テトラブチルアンモニウムなど、実現可能性の最も高い脱保護反応条件を認識することができると考えられる。以上のことは、以下の実験の部に記載される実施例についても参照される。
当業者はまた、R1がC(=O)−モルホリニルを表す場合には、前記R1は−C(=O)−NH−CH2−CH2−O−CH2−CH2−O−SO2−4−メチルフェニルから、水素化ナトリウム、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で製造され得ることを認識することができると考えられる。または、R1が−NH−C(=O)−モルホリニルを表す場合には、前記R1は−NH−C(=O)−O−C(CH3)3から、モルホリン、および適切な溶媒(例えば、1−メチル−2−ピロリジノン)の存在下で製造され得る。または、R1がヒドロキシルC1−6アルキル、例えば、−CH2−CH2−OHを表す場合には、前記R1は対応するアルコキシカルボニル中間体、例えば、−CH2−C(=O)−O−CH2−CH3から、ヘキサン中、Dibal−H 1M、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で製造され得る。
本発明はまた、重水素化化合物も含んでなる。これらの重水素化化合物は、合成工程中に適当な重水素化中間体を用いることによって製造することができる。例えば、式(IV−a):
の中間体は、適切な塩基(例えば、炭酸セシウム)、および適切な溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下でヨードメタン−D3と反応させることによって、式(IV−b):
の中間体に変換することができる。
式(I)の化合物はまた、技術分野で公知の反応または官能基変換によって互いに変換することができる。
例えば、R1がテトラヒドロピラニルを表す式(I)の化合物は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン、ジオキサン、またはアルコール、例えば、メタノール、イソプロパノールなど)の存在下で適切な酸(例えば、HClまたはトリフルオロ酢酸)と反応させることによって、R1が水素を表す式(I)の化合物に変換することができる。
R1またはR3がモノハロアルキルを表す式(I)の化合物は、場合により適切な塩基(例えば、トリエチルアミンまたはK2CO3または水素化ナトリウム)の存在下、および場合により適切な溶媒(例えば、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドまたは1−メチル−2−ピロリジノン)の存在下で式(XXI)の中間体と反応させることによって、R1またはR3が、以上で式(XXI)の中間体により定義され、かつ、窒素原子によりC1−6アルキル部分に連結されている環部分で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。R3部分に関して、このタイプの反応は、特に、C1−6アルキルがC3−6アルキルを表す化合物を製造するために使用される。例えば、C1−6アルキルがC1−2アルキルを表す化合物のいくつかの変種については、非塩基性条件で反応を行うことが好ましい場合がある。
R1またはR3がC1−6アルキル−OHを表す式(I)の化合物は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下および触媒量のアルコール(例えば、エタノール)の存在下で三フッ化ジエチルアミノ硫黄と反応させることによって、R1またはR3がC1−6アルキル−Fを表す式(I)の化合物に変換することができる。同様に、R1またはR3が、R6またはR9(ここで、前記R6またはR9はOHで置換されている)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下で三フッ化ジエチルアミノ硫黄と反応させることによって、R1またはR3が、R6またはR9(ここで、前記R6またはR9はFで置換されている)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。
R1またはR3が、R6またはR9(ここで、前記R6またはR9は−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されている)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下でLiAlH4と反応させることによって、R1またはR3が、R6またはR9(ここで、前記R6またはR9は−CH2−OHで置換されている)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。
R3が、1,3−ジオキソ−2H−イソインドール−2−イルで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物は、適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)の存在下でヒドラジン一水和物と反応させることによって、R3が、アミノで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。
R1またはR3が、アミノで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物は、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下でCl−S(=O)2−C1−6アルキルと反応させることによって、R1またはR3が、−NH−S(=O)2−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。
R1またはR3が、ハロで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物は、アミノを大過剰で使用するかまたは適切な塩基(例えば、K2CO3)、および適切な溶媒(例えば、アセトニトリル、N,N−ジメチルアセトアミドまたは1−メチル−ピロリジノン)の存在下で、NHR4R5またはNHR10R11と反応させることによって、R1またはR3が、NR4R5またはNR10R11で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。R3部分に関して、このタイプの反応は、特に、C1−6アルキルがC3−6アルキルを表す化合物を製造するために使用される。例えば、C1−6アルキルがC1−2アルキルを表す化合物のいくつかの変種については、非塩基性条件で反応を行うことが好ましい場合がある。
R1が水素を表す式(I)の化合物は、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウムまたはK2CO3またはトリエチルアミンまたは4−ジメチルアミノ−ピリジンまたはジイソプロピルアミン)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはアセトニトリルまたはジクロロメタン)の存在下で、ポリハロC1−6アルキル−WまたはポリヒドロキシC1−6アルキル−WまたはC1−6アルキル−WまたはW−S(=O)2−NR14R15またはW−S(=O)2−C1−6アルキル(ここで、Wは適切な脱離基、例えば、ハロ、例えば、ブロモ、ヨードなどを表す)と反応させることによって、R1がポリハロC1−6アルキルまたはポリヒドロキシC1−6アルキルまたはC1−6アルキルまたは−S(=O)2−NR14R15または−S(=O)2−C1−6アルキルを表す式(I)の化合物に変換することができる。
R1が水素を表す式(I)の化合物はまた、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下でW−C1−6アルキル−O−Si(CH3)2(C(CH3)3)と反応させることによって、R1がC1−6アルキル−OHを表す式(I)の化合物に変換することができる。
R1が水素を表す式(I)の化合物はまた、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノール)の存在下でC1−6アルキル−ビニルスルホンと反応させることによるか、あるいは適切な脱プロトン化剤(例えば、NaH)、および適切な溶媒(例えば、ジメチホルムアミド(dimethyformamide))の存在下でC1−6アルキル−2−ブロモエチルスルホンと反応させることによって、R1が、−S(=O)2−C1−6アルキルで置換されたエチルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。
R
1が水素を表す式(I)の化合物はまた、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で
と反応させることによって、R
1が
を表す式(I)の化合物に変換することもできる
(ここで、
は、R
6の定義の範囲内の適切な窒素含有環を表す)。
R1が、R6(ここで、前記R6は−C(=O)−O−C1−6アルキルまたは−S(=O)2−NR14R15で置換されている)で置換されたC1−6アルキルを表すか、またはR3が、R9(ここで、前記R9は−C(=O)−O−C1−6アルキルまたは−S(=O)2−NR14R15で置換されている)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物は、適切な酸(例えば、HCl)、および適切な溶媒(例えば、ジオキサン、アセトニトリル、またはアルコール、例えば、イソプロピルアルコール)と反応させることによって、R6またはR9が非置換型である式(I)の化合物に変換することができる。R1が、R6(ここで、前記R6は、−CH2−OHで置換された、窒素原子を含んでなる環部分である)で置換されたC1−6アルキルを表すか、またはR3が、R9(前記R9は、−CH2−OHで置換された、窒素原子を含んでなる環部分である)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で水酸化ナトリウムと反応させることによって、R6またはR9が非置換型である式(I)の化合物に変換することができる。
R1が、R6で置換されたC1−6アルキルを表すか、またはR3が、R9で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物(ここで、前記R6または前記R9は非置換型である)は、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で、W−C1−6アルキル(ここで、Wは上記に定義される通り)と反応させることによって、前記R6または前記R9がC1−6アルキルで置換されている式(I)の化合物に変換することができる。
R1またはR3がヒドロキシC1−6アルキルを表す式(I)の化合物は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下で、デス−マーチン−ペルヨージナンと反応させることによって、対応するカルボニル化合物に変換することができる。
R1が、R6で置換されたC1−6アルキルを表すか、またはR3が、R9で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物(ここで、前記R6または前記R9は、C1−6アルキル−ハロで置換されている)は、適切な溶媒(例えば、水またはアルコール、例えば、エタノール)の存在下でシアン化ナトリウムと反応させることによって、前記R6または前記R9がC1−6アルキル−CNで置換されている式(I)の化合物に変換することができる。
R1が、R6(ここで、前記R6は非置換型である)で置換されたC1−6アルキルを表すか、またはR3が、R9(ここで、前記R9は非置換型である)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、またはアルコール、例えば、メタノール)の存在下で、ホルムアルデヒドまたはアセトンおよびNaBH3CNと反応させることによって、R6またはR9が−CH3または−CH(CH3)2で置換されている式(I)の化合物に変換することができる。
R1が、OHで置換されたR6置換基を含むか、またはR3が、OHで置換されたR9置換基を含む、式(I)の化合物は、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下でW−C1−6アルキルと反応させることによって、R6またはR9置換基がC1−6アルキルオキシで置換されている式(I)の化合物に変換することができる。
R1が、C1−6アルキルオキシで置換されたR6置換基を含有するか、またはR3が、C1−6アルキルオキシで置換されたR9置換基を含有する、式(I)の化合物は、適切な酸(例えば、塩酸)と反応させることによって、R6またはR9置換基が−OHで置換さている式(I)の化合物に変換することができる。
R1が、ハロで置換されたR6置換基を含有するか、またはR3が、ハロで置換されたR9置換基を含有する、式(I)の化合物は、適切な溶媒(sovent)(例えば、1−メチル−ピロリジノン)中でNHR14R15と反応させることによって、R6またはR9置換基が−NR14R15で置換されている式(I)の化合物に変換することができる。
R3が、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下でLiOHと反応させることによって、R3が、COOHで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。R3が、COOHで置換されたC1−6アルキルを表す、前記式(I)の化合物は、適切なペプチドカップリング試薬(例えば、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドHClおよび1−ヒドロキシベンゾトリアゾール)、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)および適切な溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはN,N−ジメチルホルムアミド)の存在下でNH(Si(CH3)3)2またはMeNH3 +Cl−またはNHR10R11と反応させることによって、R3が、−C(=O)−NH2または−C(=O)−NHCH3または−C(=O)NR10R11で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。R3が、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物はまた、N2下、適切な溶媒(例えば、トルエンおよびヘプタン)の存在下でエチレンジアミンおよびトリメチルアルミニウムと反応させることによって、R3が、4,5−ジヒドロ−イミダゾール−2−イルで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することもできる。R3が、4,5−ジヒドロ−イミダゾール−2−イルで置換されたC1−6アルキルを表す、この式(I)の化合物は、水酸化ナトリウムと反応させることによって、R3が、−C(=O)−NH−(CH2)2−NH2で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。R3が、COOHで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物はまた、カルボニルジイミダゾールおよび適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下でジメチルヒドロキシルアミンと反応させることによって、R3が−C(=O)−N(CH3)(OCH3)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することもできる。
R
3が、
で置換されたC
1−6アルキルを表す、式(I)の化合物は、適切な酸(例えば、トリフルオロ酢酸)、および適切な溶媒(例えば、ジオキサンまたは水)と反応させることによって、R
3が、2個のOHで置換されたC
1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。R
3が、
で置換されたC
1−6アルキルを表す、これらの式(I)の化合物はまた、場合により適切な塩基(例えば、水素化ナトリウムまたはNa
2CO
3またはトリエチルアミン)、適切な添加剤(例えば、KI)の存在下、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、またはアルコール、例えば、1−ブタノールまたはエタノール)の存在下で、場合により塩の形態のNH
2R
10R
11(例えば、NHR
10R
11+Cl
−)と反応させることによって、R
3が、OHとNR
10R
11で置換されたC
1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することもできる。
R3が、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−3アルキルを表す、式(I)の化合物は、適切な溶媒(例えば、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン)の存在下でヨードメタンおよびMg粉末と反応させることによって、R3が、−C(CH3)2−OHで置換されたC1−3アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。
R3が、−C(=O)−O−C1−6アルキルで置換されたC1−5アルキルを表す、式(I)の化合物は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中でLiAlH4と反応させることによって、R3が、−OHで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。
R3が、OHで置換されたC1−5アルキルを表す、式(I)の化合物は、適切な塩基(例えば、NaH)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下でCl−C(=O)−C1−6アルキルと反応させることによって、R3が、−O−C(=O)−C1−6アルキルで置換されたC1−5アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。
R3が−CH2−CH=CH2を表す式(I)の化合物は、過マンガン酸カリウム、および適切な溶媒(例えば、アセトンまたは水)と反応させることによって、R3が−CH2−CHOH−CH2−OHを表す式(I)の化合物に変換することができる。
R3が、−C(=O)−C1−4アルキルで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物は、適切な塩基(例えば、ピリジン)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)の存在下で、ヒドロキシルアミンと反応させることによって、R3が、−C(C1−4アルキル)=N−OHで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。
R3が、NH2で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物は、適切なペプチドカップリング試薬(例えば、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾールおよび1−(3−ジメチルアミノ)プロピル)カルボジイミド)の存在下、場合により、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で、対応するCOOH類似体、例えば、R6−COOHまたはCF3−C(CH3)(OH)−COOHなどと反応させることによって、R3が、−NH−C(=O)−R6で、または−NH−C(=O)−C1−6アルキルで、または−NH−C(=O)−ポリヒドロキシC1−6アルキルで、または−NH−C(=O)−ポリハロC1−6アルキルで、または−NH−C(=O)−ポリヒドロキシポリハロC1−6アルキルで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。R3が、NH2で置換されたC1−6アルキルを表す、前記式(I)の化合物はまた、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下でトリフルオロ無水酢酸と反応させることによって、R3が、NH−C(=O)−CF3で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することもできる。R3が、NH2で置換されたC1−6アルキルを表す、前記式(I)の化合物はまた、適切な塩基(例えば、K2CO3)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミドまたはジオキサン)の存在下で、ポリハロC1−6アルキル−W(ここで、Wは上記に定義される通り、例えば、ヨード−2−フルオロエタン)と反応させることによって、R3が、−NH−ポリハロC1−6アルキル、例えば、−NH−CH2−CH2−Fで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することもできる。R3が、NH2で置換されたC1−6アルキルを表す、前記式(I)の化合物は、適切な還元剤(例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)、適切な酸(例えば、酢酸)、および適切な溶媒(例えば、1,2−ジクロロエタン)の存在下で適当なR6と反応させることによって、R3が、−NH−R6または−N(R6)2(ここで、R6は例えばオキセタンを表す)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することもできる。
R3が、シアノで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物は、適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で、アジ化ナトリウムおよびNH4 +Cl−と反応させることによって、R3が、テトラゾリルで置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。
R
3が−CH
2−C≡CHを表す式(I)の化合物は、CuIおよび適切な塩基(例えば、ジイソプロピルアミン)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(tetraydrofuran))の存在下でアジド酢酸エチルと反応させることによって、R
3が
を表す式(I)の化合物に変換することができる。
R
3が−CH
2−C≡CHを表す式(I)の化合物は、適切な触媒(例えば、CuSO
4およびLアスコルビン酸ナトリウム)、適切な酸(例えば、酢酸)、および適切な溶媒(例えば、ジオキサン)の存在下でアジ化ナトリウムおよびホルムアルデヒドと反応させることによって、R
3が
を表す式(I)の化合物に変換することができる。
R3がC2−6アルキニルを表す式(I)の化合物は、適切な触媒(例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム)、適切な補助触媒(例えば、CuI)、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド)の存在下で、W−R9(ここで、Wは上記に定義される通り)と反応させることによって、R3が、R9で置換されたC2−6アルキニルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。
R3が、ハロで置換されたR9を含んでなる、式(I)の化合物は、適切な溶媒(例えば、1−メチル−2−ピロリジノン)の存在下でNHR14R15と反応させることによって、R3が、−NR14R15で置換されたR9を含んでなる、式(I)の化合物に変換することができる。
R3がC2−6アルキニルを含んでなる式(I)の化合物は、適切な触媒(例えば、パラジウム炭素)、および適切な溶媒(例えば、酢酸エチル)の存在下で水素化して、R3がC2−6アルキルを含んでなる式(I)の化合物とすることができる。
R3がC2−6アルキニルを含んでなる式(I)の化合物は、適切な触媒(例えば、リンドラ−(Lindlar)触媒)、および適切な溶媒(例えば、酢酸エチル)の存在下で水素化して、R3がC2−6アルケニルを含んでなる式(I)の化合物とすることができる。
R3が、−P(=O)(OC1−6アルキル)2で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下でブロモトリメチルシランと反応させることによって、R3が、−P(=O)(OH)2で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。
R9置換基が=Oで置換されている式(I)の化合物は、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中で適切な還元剤(例えば、LiAlH4)と反応させることによって、対応する還元型のR9置換基に変換することができる。
R3が、−C(=O)−R9で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物は、適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノール)の存在下で適切な還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)と反応させることによって、R3が、ヒドロキシルとR9で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。
R3が−NHR10を含んでなる式(I)の化合物は、適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下で対応するW−(C=O)−で置換されていてもよいC1−6アルキル(ここで、Wは適切な脱離基、例えば、ハロ、例えば、クロロなどを表す)と反応させることによって、R3が、−NR10−(C=O)−で置換されていてもよいC1−6アルキルを含んでなる、式(I)の化合物に変換することができる。
R3が、NR10(ベンジル)で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下でクロロギ酸1−クロロエチルと反応させることによって、R3が、NHR10で置換されたC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。
R1が非置換ピペリジンを表す式(I)の化合物は、適切な塩基(例えば、炭酸カリウム)、および適切な溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下でヨードメタンと反応させることによって、R1が1−メチル−ピペリジンを表す式(I)の化合物に変換することができる。
R1が水素を表す式(I)の化合物は、適切な塩基(例えば、炭酸カリウム)、および適切な溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下で、置換されていてもよいC1−6アルキル−W(ここで、Wは適切な脱離基、例えば、ハロ、例えば、ブロモなどを表す)と反応させることによって、R1が、置換されていてもよいC1−6アルキルを表す、式(I)の化合物に変換することができる。
R2がハロ、例えば、ブロモを表す式(I)の化合物は、適切な触媒(例えば、Pd2(dba)3)および適切なリガンド(例えば、1,1−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)の存在下、適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で、シアン化亜鉛と反応させることによって、R2がシアノを表す式(I)の化合物に変換することができる。
前記R2置換基がシアノである場合、NH3およびニッケルの存在下で水素化することによって−CH2−NH2に変換することができる。
R2が−OCH3を表す式(I)の化合物は、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下で三臭化ホウ素と反応させることによって、R2が−OHを表す式(I)の化合物に変換することができる。
R2が−OHを表す式(I)の化合物は、適切な塩基(例えば、炭酸カリウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下でメチルヨウ素(methyl iodine)と反応させることによって、R2が−OCH3を表す式(I)の化合物に変換することができる。
R2が水素を表す式(I)の化合物は、トリフルオロアセトアルデヒドメチルヘミケタールと反応させることによって、R2が−CHOH−CF3を表す式(I)の化合物に変換することができる。
これらの変換反応については、以下の実験の部に記載されている実施例も参照されたい。
本発明のさらなる側面は、本明細書に定義される式(I)の化合物を製造するための方法であり、その方法は、
(i)式(XXX)(式中、Pは適切な保護基、例えば、ブチルオキシカルボニル基(−CO
2C(CH
3)
3)を表す)の化合物:
を、適切な酸(例えば、HClまたはトリフルオロ酢酸)の存在下で脱保護すること;
または
(ii)式(IX)または(IX’)の化合物:
またはその保護形態と、適切に置換されたアミンまたはその反応性誘導体、例えば、NHR
10R
11(X)、NHR
10P(X−a)または
を、例えば、密閉容器中、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム)の存在下、および/またはアセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミドまたはN,N−ジメチルアセトアミドなどの溶媒の存在下もしくは不在下で反応させること;または
(iii)式(VI)の化合物:
またはその保護形態と、式W
6−C
1−6アルキル−NR
10P(式中、Pは適切な保護基を表し、かつ、W
6は適切な脱離基(例えば、ハロ、例えば、ブロモなど)、または−O−S(=O)
2−CH
3を表す)の化合物を、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウムまたは水酸化カリウム)の存在下、および場合により適切な相間移動剤(例えば、臭化テトラブチルアンモニウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−メチルテトラヒドロフラン、水)の存在下で反応させた後に、Pを除去し、かつ、場合により、存在するさらなる保護基を除去すること;または
(iv)式(VI)の化合物:
またはその保護形態と、式W
6−C
1−6アルキル−NHR
10(式中、W
6は適切な脱離基(例えば、ハロ、例えば、ブロモなど)、または−O−S(=O)
2−CH
3を表す)の化合物を、適切な塩基(例えば、水素化ナトリウムまたは水酸化カリウム)の存在下、および場合により適切な相間移動剤(例えば、臭化テトラブチルアンモニウム)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、または2−メチルテトラヒドロフラン、水)の存在下で反応させること;
(v)式(XXXVI)の化合物:
とヒドラジンを適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)の存在下で反応させること;
(vi)式(IX−1)(式中、R
uは−O−S(=O)
2−CH
3を表す)の化合物:
と式(X)の中間体を適切な溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下で反応させること;
(vii)式(VI)の化合物:
と式W
11−R
3b(式中、R
3bは、置換されていてもよいC
2−6アルキニルを表し、かつ、W
11は適切な脱離基(例えば、ハロ、例えば、クロロ)、または−O−S(=O)
2−CH
3を表す)の中間体を、適切な塩基(例えば、NaH)、および適切な溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)の存在下で反応させること;
(viii)式(VIII’)(式中、R
xおよびR
yはC
1−4アルキルを表し、かつ、R
zはC
1−4アルキルまたはフェニルを表す)の化合物:
と適切な酸(例えば、トリフルオロ酢酸)を、適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で反応させること;
(ix)式(XXXXII)の化合物:
を、適切な塩基(例えば、K
2CO
3)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノールなど)の存在下で脱保護すること;
(x)式(VI)の化合物:
とビニルホスホン酸ジ(C
1−6アルキル)を、適切な触媒(例えば、トリ−N−ブチルホスフィン)、および適切な溶媒(例えば、アセトニトリル)の存在下で反応させること;
(xi)式(XXXXI)(式中、D’N部分はD部分を表し、D部分は窒素原子を含有する)の化合物:
を適切な塩基(例えば、K
2CO
3)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノールなど)の存在下で脱保護すること;
(xii)式(XXXI)の化合物:
とW
8−CN(ここで、W
8は適切な脱離基、例えば、ハロ、例えば、ブロモを表す)を、適切な塩基(例えば、NaHCO
3)、および適切な溶媒(例えば、水またはジオキサン)の存在下で反応させること;
(xiii)式(XXXV)の化合物:
と適切な塩基(例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミンおよびトリエチルアミン)を、適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノール)の存在下で反応させること;
(xiv)式(XXVI){式中、Pは適切な保護基、例えば、−Si(CH
3)
2(C(CH
3)
3)または
を表し、Y’Nは−E−D部分を表し、D環部分は窒素原子を含有する}の化合物:
を、適切な酸(例えば、HClまたはトリフルオロ酢酸)、または適切な脱シリル化剤(例えば、フッ化テトラブチルアンモニウム)、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、メタノール、またはテトラヒドロフラン)の存在下で脱保護すること;
(xv)式(XXIX)(式中、Y’Nは−E−D部分を表し、D環部分は窒素原子を含有する)の化合物と式(XXI)の化合物:
を、適切なペプチドカップリング試薬(例えば、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾールおよび1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドHCl)の存在下で反応させること;
(xvi)式(XXIX)(式中、Y’Nは−E−D部分を表し、D環部分は窒素原子を含有する)の化合物:
とNHR
4R
5を、適切なペプチドカップリング試薬(例えば、1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾールおよび1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドHCl)および適切な塩基(例えば、トリエチルアミン)、および適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン)の存在下で反応させること;
(xvii)下記の化合物:
とNHR
7R
8を、適切な塩基(例えば、K
2CO
3)、および適切な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で反応させること;
(xviii)下記の化合物:
を、ヒドラジン一水和物、および適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、エタノール)の存在下で脱保護すること
(ここで、前記の変数は本明細書に定義される通り);および場合により、その後に式(I)のある化合物を式(I)の別の化合物に変換すること
を含んでなる。
さらなる実施態様は、式(VI)の化合物の合成方法であり、
この方法では、式(IV)の化合物と式(V)の中間体を、適切な触媒(例えば、酢酸パラジウム(II))、適切な塩基(例えば、ナトリウムtert−ブトキシドまたはCs
2CO
3)、適切なリガンド(例えば、1,1’−[1,1’−ビナフタレン]−2,2’−ジイルビス[1,1−ジフェニルホスフィン])、および適切な溶媒または溶媒混合物(例えば、ジオキサンまたはエチレングリコールジメチルエーテルおよび水)の存在下で反応させる。
あるいは、式(IV)の化合物と式(V)の中間体を、適切な溶媒(例えば、アルコール、例えば、イソプロパノール)の存在下、および場合により適切な酸(例えば、塩酸)の存在下で反応させる。
あるいは、式(IV)の化合物と式(V)の中間体を、適切な脱プロトン化剤(例えば、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド)の存在下、適切な溶媒(sovent)(例えば、テトラヒドロフラン)の存在下で反応させる。
さらなる実施態様では、本発明は新規な中間体を提供する。一つの実施態様では、本発明は、本明細書に記載される新規な中間体を提供する。別の実施態様では、本発明は、式(VI)または式(IX)の新規な中間体を提供する。
一つの実施態様では、本発明はまた、下記の式:
{式中、E’は−(CR
22R
23)
n−、R
22で置換されていてもよいC
2−4アルケンジイル、R
22で置換されていてもよいC
2−4アルキンジイル、−CO−(CR
22R
23)
s−、−(CR
22R
23)
s−CO−、−NR
22−(CR
22R
23)
s−、−(CR
22R
23)
s−NR
22−、−O−(CR
22R
23)
s−、−(CR
22R
23)
s−O−、−S(O)
m−(CR
22R
23)
s−、−(CR
22R
23)
s−S(O)
m−、−(CR
22R
23)
s−CO−NR
22−(CR
22R
23)
s−または−(CR
22R
23)
s−NR
22−CO−(CR
22R
23)
s−を表し;
Y、D、R
2、X
1、X
2、X
3およびnは上記の式(I−A)の化合物に関して定義した通りである}
を有する化合物に関する。
その薬学的に許容可能な塩、溶媒和物または誘導体
本出願の他の総ての節と同様にこの節でも、文脈がそうではないことを示さない限り、式(I)という場合には、本明細書に定義される他の総てのそのサブグループ、選択肢、実施態様および例も含む。
特に断りのない限り、特定の化合物をさす場合には、例えば後述されるような、そのイオン形態、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態、好ましくは、そのイオン形態または塩または互変異性体または異性体またはN−オキシドまたは溶媒和物、より好ましくは、そのイオン形態または塩または互変異性体または溶媒和物または保護形態、いっそうより好ましくは、その塩または互変異性体または溶媒和物も含む。式(I)の多くの化合物は、塩、例えば、酸付加塩、またはある特定の場合には、有機塩基および無機塩基の塩、例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩およびリン酸塩の形態で存在し得る。このような塩は総て、本発明の範囲内にあり、式(I)の化合物という場合には、それらの化合物の塩形態も含む。「誘導体」という場合には、そのイオン形態、塩、溶媒和物、異性体、互変異性体、N−オキシド、エステル、プロドラッグ、同位体および保護形態も含むと考えられる。
本発明の一つの側面によれば、本明細書に定義される化合物またはその塩、互変異性体、N−オキシドまたは溶媒和物が提供される。本発明のさらなる側面によれば、本明細書に定義される化合物またはその塩もしくは溶媒和物が提供される。本明細書に定義される式(I)の化合物およびそのサブループという場合には、それらの化合物の塩または溶媒和物または互変異性体またはN−オキシドもそれらの範囲内に含む。
本発明の化合物の塩形態は一般に薬学的に許容可能な塩であり、薬学的に許容可能な塩の例はBerge et al. (1977) "Pharmaceutically Acceptable Salts," J.Pharm. Sci., Vol. 66, 1-19頁に記載されている。しかしながら、薬学的に許容可能なものではない塩が中間体形態として製造されてもよく、これらの中間体形態はその後、薬学的に許容可能な塩に変換することができる。例えば、本発明の化合物の精製または分離に有用であり得るこのような薬学的に許容可能なものではない塩形態も、本発明の一部をなす。
本発明の塩は、Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, P. Heinrich Stahl (編), Camille G. Wermuth (編), ISBN: 3-90639-026-8, Hardcover, 388頁, 2002年8月に記載されている方法などの通常の化学法により、塩基性部分または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸型または遊離塩基型を、水中または有機溶媒中、または両者の混合物中で適当な塩基または酸と反応させることにより製造することができ、一般には、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルなどの非水性媒体が用いられる。本発明の化合物は、塩が形成される酸のpKaに応じて一塩または二塩として存在し得る。
酸付加塩は、無機および有機双方の多様な酸で形成できる。酸付加塩の例としては、酢酸、2,2−ジクロロ酢酸、アジピン酸、アルギン酸、アスコルビン酸(例えば、L−アスコルビン酸)、L−アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、4−アセトアミド安息香酸、酪酸、(+)樟脳酸、カンファー−スルホン酸、(+)−(1S)−カンファー−10−スルホン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、桂皮酸、クエン酸、シクラミン酸、ドデシル硫酸、エタン−1,2−二スルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、ガラクタル酸、ゲンチジン酸、グルコヘプトン酸、D−グルコン酸、グルクロン酸(例えば、D−グルクロン酸)、グルタミン酸(例えば、L−グルタミン酸)、α−オキソグルタル酸、グリコール酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸、イセチオン酸、乳酸(例えば、(+)−L−乳酸、(±)−DL−乳酸)、ラクトビオン酸、マレイン酸、リンゴ酸、(−)−L−リンゴ酸、マロン酸、(±)−DL−マンデル酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(例えば、ナフタレン−2−スルホン酸)、ナフタレン−1,5−二スルホン酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、ニコチン酸、硝酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、パルミチン酸、パモ酸、リン酸、プロピオン酸、L−ピログルタミン酸、ピルビン酸、サリチル酸、4−アミノ−サリチル酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、タンニン酸、(+)−L−酒石酸、チオシアン酸、トルエンスルホン酸(例えば、p−トルエンスルホン酸)、ウンデシレン酸および吉草酸からなる群から選択される酸、ならびにアシル化アミノ酸および陽イオン交換樹脂により形成される塩が挙げられる。
塩の1つの特定の群は、酢酸、塩酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸(メシル酸)、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、吉草酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、マロン酸、グルクロン酸およびラクトビオン酸から形成される塩からなる。酸付加塩の別の群としては、酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、クエン酸、DL−乳酸、フマル酸、グルコン酸、グルクロン酸、馬尿酸、塩酸、グルタミン酸、DL−リンゴ酸、メタンスルホン酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸および酒石酸から形成される塩を含む。
化合物が陰イオン性であるか、または陰イオン性となり得る官能基(例えば、−COOHは−COO−となり得る)を有する場合には、塩は、適切な陽イオンを伴って形成できる。適切な無機陽イオンの例としては、限定されるものではないが、Na+およびK+などのアルカリ金属イオン、Ca2+およびMg2+などのアルカリ土類金属陽イオン、ならびにAl3+などの他の陽イオンが挙げられる。適切な有機陽イオンの例としては、限定されるものではないが、アンモニウムイオン(すなわち、NH4 +)および置換アンモニウムイオン(例えば、NH3R+、NH2R2 +、NHR3 +、NR4 +)が挙げられる。
いくつかの適切な置換アンモニウムイオンの例としては、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミンおよびトロメタミン、ならびにリジンおよびアルギニンなどのアミノ酸に由来するものが挙げられる。一般的な第四級アンモニウムイオンの一例として、N(CH3)4 +が挙げられる。
式(I)の化合物がアミン官能基を含む場合、これらは、例えば当業者に周知の方法に従ったアルキル化剤との反応により、第四級アンモニウム塩を形成し得る。このような第四級アンモニウム化合物も式(I)の範囲内にある。また、アミン官能基を含む式(I)の化合物はN−オキシドを形成し得る。本明細書においてアミン官能基を含む式(I)の化合物という場合には、N−オキシドも含む。化合物がいくつかのアミン官能を含む場合には、1以上の窒素原子を酸化して、N−オキシドを形成し得る。N−オキシドの特定の例として、窒素含有複素環の第三級アミンまたは窒素原子のN−オキシドがある。N−オキシドは、対応するアミンを過酸化水素または過酸(例えば、ペルオキシカルボン酸)などの酸化剤で処理することにより形成することができる(例えば、Advanced Organic Chemistry, Jerry March, 第4版, Wiley Interscience, pages.参照)。より具体的には、N−オキシドは、L.W.Deady (Syn. Comm. 1977, 7, 509-514)の方法により製造することができ、この方法では、アミン化合物を、例えば、ジクロロメタンなどの不活性溶媒中、m−クロロペルオキシ安息香酸(MCPBA)と反応させる。
本発明の化合物は、例えば水との溶媒和物(すなわち、水和物)または一般的な有機溶媒との溶媒和物を形成し得る。本明細書において、用語「溶媒和物」は、本発明の化合物と1以上の溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合は、様々な程度のイオン結合および共有結合(水素結合を含む)を含む。ある特定の例では、溶媒和物は、例えば1以上の溶媒分子が結晶固体の結晶格子に組み込まれた場合に単離可能となる。用語「溶媒和物」には、液相および単離可能な溶媒和物の両方を包含するものとする。適切な溶媒和物の限定されない例としては、本発明の化合物と水、イソプロパノール、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸またはエタノールアミンなどの組合せが挙げられる。本発明の化合物は、溶液中にある場合にそれらの生物学的効果を示し得る。
溶媒和物は製薬化学において周知である。溶媒和物は物質の製造方法(例えば、それらの精製、その物質の貯蔵(例えば、その安定性)およびその物質の取り扱いの容易さ)にとって重要となり得、化学合成の単離または精製工程の一部として形成される場合が多い。当業者ならば、ある化合物を製造するために使用される単離条件または精製条件によって水和物が形成されたか他の溶媒和物が形成されたかを、標準的かつ長く使用されている技術によって決定することができる。このような技術の例としては、熱重量分析(TGA)、示差走査熱量測定(DSC)、X線結晶学(例えば、単結晶X線結晶学またはX線粉末回折)および固体NMR(SS−NMR、Magic Angle Spinning NMRまたはMAS−NMRとしても知られる)が挙げられる。このような技術は、NMR、IR、HPLCおよびMSと同様に、熟練の化学者の標準点分析ツールキットの一部となっている。あるいは、当業者ならば、特定の溶媒和物に必要とされる溶媒の量を含む結晶化条件を用いて、溶媒和物を計画的に形成することができる。その後、上記の標準的方法を用いて、どの溶媒和物が形成されたか確認することができる。式(I)にはまた、これらの化合物の任意の錯体(例えば、シクロデキストリンなどの化合物との包接錯体もしくは包接体、または金属との錯体)が包含される。
さらに、本発明の化合物は、1以上の多型(結晶性)または非晶質形態を持つ場合があり、それら自体、本発明の範囲に含まれるものとする。
式の(I)の化合物は、多数の異なる幾何異性型および互変異性型で存在することができ、式(I)の化合物には、このような形態を全て含む。疑念を避けるため、化合物は、いくつかの幾何異性型または互変異性型のうちの1つで存在することができ、1つのみが具体的に記載または表示されている場合にも、他の全てのものがやはり式(I)に含まれる。互変異性型の他の例としては、例えば、次の互変異性体対:ケト/エノール(下記に示す)、イミン/エタミン、アミド/イミノアルコール、アミジン/エネジアミン、ニトロソ/オキシム、チオケトン/エネチオール、およびニトロ/アシ−ニトロなどの場合のように、例えば、ケト型、エノール型、およびエノレート型が挙げられる。
式(I)の化合物が1以上のキラル中心を含み、かつ、2以上の光学異性体の形態で存在し得る場合、式(I)の化合物には、特に断りのない限り、その総ての光学異性型(例えば、鏡像異性体、エピマーおよびジアステレオ異性体)を、個々の光学異性体として、または2以上の光学異性体の混合物(例えば、ラセミ混合物)のいずれかとして含む。これらの光学異性体はそれらの光学活性(すなわち、+および−異性体、またはdおよびl異性体として)特徴付けおよび同定することができるか、あるいは、それらの絶対的立体化学から、Cahn, Ingold and Prelog(Advanced Organic Chemistry by Jerry March, 第4版, John Wiley & Sons, New York, 1992, 109-114頁参照、また、Cahn, Ingold & Prelog (1966) Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 5, 385-415も参照)によって開発された「RおよびS」命名法を用いて特徴付けることができる。光学異性体は、キラルクロマトグラフィー(キラル支持体上でのクロマトグラフィー)を含むいくつかの技術によって分離することができ、このような技術は当業者に周知のものである。キラルクロマトグラフィーの別法として、光学異性体を、(+)−酒石酸、(−)−ピログルタミン酸、(−)−ジ−トルオイル−L−酒石酸、(+)−マンデル酸、(−)−リンゴ酸、および(−)−カンファースルホン酸などのキラル酸によりジアステレオ異性体塩を形成させ、優先的結晶化によりそのジアステレオ異性体を分離した後、それらの塩を解離させて遊離塩基の個々の鏡像異性体を得ることにより、分離することができる。
式(I)の化合物が2以上の光学異性型として存在する場合、鏡像異性体対のうち一方の鏡像異性体は他方の鏡像異性体よりも、例えば生物活性の点で優位性を示すことがある。従って、ある状況では、鏡像異性体対の一方のみ、または複数のジアステレオ異性体のうち1つのみを治療薬として使用するのが望ましい場合がある。よって、本発明は、1以上のキラル中心を有する式(I)の化合物を含有し、式(I)の化合物の少なくとも55%(例えば、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%)が単一の光学異性体(例えば、鏡像異性体またはジアステレオ異性体)として存在している組成物を提供する。一般的な一つの実施態様では、式(I)の化合物の総量の99%以上(例えば、実質的に全部)が単一の光学異性体(例えば、鏡像異性体またはジアステレオ異性体)として存在することができる。具体的な異性型が特定される場合(例えば、S配置、またはE異性体)、これは前記の異性型が他の異性体を実質的に含まないこと、すなわち、前記の異性型が、本発明の化合物の総量の少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%またはそれを超える割合で存在する(例えば、実質的に全部である)ことを意味する。
本発明の化合物は、1以上の同位体置換を有する化合物を含み、特定の元素は、その範囲内にその元素の総ての同位体を含む。例えば、水素の場合、その範囲内に1H、2H(D)、および3H(T)を含む。同様に、炭素および酸素の場合は、それらの範囲内にそれぞれ12C、13Cおよび14Cと、16Oおよび18Oを含む。これらの同位体は放射性であっても非放射性であってもよい。本発明の一つの実施態様では、これらの化合物は非放射性同位体を含む。このような化合物は治療用として好ましい。しかしながら、別の実施態様では、これらの化合物は1以上の放射性同位体を含んでもよい。このような放射性同位体を含む化合物は診断の場合に有用であり得る。
カルボン酸基またはヒドロキシル基を有する式(I)の化合物のエステル、例えば、カルボン酸エステルおよびアシルオキシエステルも、式(I)に包含される。本発明の一つの実施態様では、式(I)はその範囲内に、カルボン酸基またはヒドロキシル基を有する式(I)の化合物のエステルを含む。本発明の別の実施態様では、式(I)はその範囲内に、カルボン酸基またはヒドロキシル基を有する式(I)の化合物のエステルを含まない。エステルの例としては、基−C(=O)OR(式中、Rは、エステル置換基、例えば、C1−6アルキル基、ヘテロシクリル基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−6アルキル基である)を含む化合物が挙げられる。エステル基の特定の例としては、限定されるものではないが、−C(=O)OCH3、−C(=O)OCH2CH3、−C(=O)OC(CH3)3および−C(=O)OPhが挙げられる。アシルオキシ(逆エステル)基の例は、−OC(=O)R(式中、Rは、アシルオキシ置換基、例えば、C1−7アルキル基、C3−20ヘテロシクリル基またはC5−20アリール基、好ましくはC1−7アルキル基である)で表される。アシルオキシ基の特定の例としては、限定されるものではないが、−OC(=O)CH3(アセトキシ)、−OC(=O)CH2CH3、−OC(=O)C(CH3)3、−OC(=O)Phおよび−OC(=O)CH2Phが挙げられる。
例えば、いくつかのプロドラッグは、有効化合物のエステル(例えば、生理学的に許容される代謝上不安定なエステル)である。「プロドラッグ」とは、例えば、in vivoで式(I)の生物学的に活性な化合物に変換される化合物を意味する。代謝の際、エステル基(−C(=O)OR)は開裂して有効薬物を生じる。このようなエステルは、例えば、親化合物におけるカルボン酸基(−C(=O)OH)のいずれかのエステル化により形成でき、適当であれば、親化合物に存在するいずれかの他の反応基を予め保護し、その後、必要に応じて脱保護する。
このような代謝上不安定なエステルの例としては、式−C(=O)ORのものが挙げられ、ここで、Rは、C1−6アルキル(例えば、−Me、−Et、−nPr、−iPr、−nBu、−sBu、−iBu、−tBu);C1−6アミノアルキル[例えば、アミノエチル;2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル;2−(4−モルホリノ)エチル)];およびアシルオキシ−C1−7アルキル[例えば、アシルオキシメチル;アシルオキシエチル;ピバロイルオキシメチル;アセトキシメチル;1−アセトキシエチル;1−(1−メトキシ−1−メチル)エチル−カルボニルオキシエチル;1−(ベンゾイルオキシ)エチル;イソプロポキシ−カルボニルオキシメチル;1−イソプロポキシ−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシル−カルボニルオキシメチル;1−シクロヘキシル−カルボニルオキシエチル;シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシメチル;1−シクロヘキシルオキシ−カルボニルオキシエチル;(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシメチル;1−(4−テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシエチル;(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシメチル;および1−(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシエチル)]である。また、いくつかのプロドラッグは、酵素的に活性化されて有効化合物を生じるか、またはさらなる化学反応の際に有効化合物を生じる化合物(例えば、抗原指向性酵素プロドラッグ療法(antigen-directed enzyme pro-drug therapy)(ADEPT)、遺伝子指向性酵素プロドラッグ療法(gene-directed enzyme pro-drug therapy)(GDEPT)、およびリガンド指向性酵素プロドラッグ療法(ligand-directed enzyme pro-drug therapy)(LIDEPT)などの場合)。例えば、プロドラッグは、糖誘導体もしくは他の配糖体であってよく、またはアミノ酸エステル誘導体であってもよい。(例えば、ADEPT、GDEPT、LIDEPTの場合)である。例えば、プロドラッグは、糖誘導体またはであってもよいし、またはアミノ酸エステル誘導体であってもよい。
タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)
本明細書に記載される本発明の化合物は、特定のチロシンキナーゼの活性を阻害または調節するものであり、従って、これらの化合物は、これらのチロシンキナーゼ、特にFGFRにより媒介される疾患状態もしくは病態の治療または予防、特に治療に有用である。
FGFR
タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)受容体の線維芽細胞増殖因子(FGF)ファミリーは、有糸分裂誘発、創傷治癒、細胞分化、および血管新生を含む多様な一連の生理学的機能、ならびに発育を調節する。正常細胞および悪性細胞の両方の成長ならびに増殖は、オートクリンならびにパラクリン因子として作用する細胞外シグナル伝達分子であるFGFの局部的濃度の変化によって影響を受ける。オートクリンFGFシグナル伝達は、ステロイドホルモン依存性癌のホルモン非依存性状態への進行において特に重要であり得る。FGFおよびそれらの受容体はいくつかの組織および細胞株において高レベルで発現され、過剰発現が悪性表現型に寄与していると考えられている。さらに、いくつかの癌遺伝子は、増殖因子受容体をコードする遺伝子のホモログであり、ヒト膵臓癌においてFGF依存性シグナル伝達を異常に活性化する可能性がある(Knights et al., Pharmacology and Therapeutics 2010 125:1 (105-117); Korc M. et al Current Cancer Drug Targets 2009 9:5 (639-651))。
2つの原型メンバーは、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGFまたはFGF1)および塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGFまたはFGF2)であり、これまでのところ、少なくとも20の異なるFGFファミリーメンバーが同定されている。FGFに対する細胞応答は、1〜4(FGFR1〜FGFR4)の番号が付けられた4種類の高親和性トランスメンブランタンパク質チロシンキナーゼ線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)を介して伝達される。
FGFR1経路の破壊は、腫瘍細胞の増殖に影響を与えるはずであり、これはこのキナーゼが内皮細胞を増殖させることに加えて多くの腫瘍種において活性化されるからである。腫瘍関連血管構造におけるFGFR1の過剰発現および活性化は、腫瘍血管新生におけるこれらの分子の役割を示唆している。
最近の研究から、古典的小葉癌(Classic Lobular Carcinomas)(CLC)におけるFGFR1発現と腫瘍原性との間の関連が示されている。CLCは、全乳癌の10〜15%を占め、一般に、p53およびHer2の発現が欠損しているが、エストロゲン受容体の発現は保持している。8p12−p11.2の遺伝子増幅がCLC症例の約50%で示され、これはFGFR1の発現増強と関連していることが示された。FGFR1に対して向けられたsiRNAまたは前記受容体の小分子阻害剤を用いた予備研究から、この増幅を有する細胞株がこのシグナル伝達経路の阻害に特に感受性を持つことが示された。最も一般的な小児軟部組織肉腫である横紋筋肉腫(RMS)は、骨格筋形成の過程での異常な増殖および分化に起因している可能性がある。FGFR1は、原発性横紋筋肉腫の腫瘍で過剰発現され、5’CpG島の低メチル化、ならびにAKT1、NOG、およびBMP4遺伝子の異常発現に関連している。FGFR1はまた、扁平上皮肺癌、結腸直腸癌、膠芽腫、星状細胞腫、前立腺癌、小細胞肺癌、黒色腫、頭頚部癌、甲状腺癌、子宮癌とも関連づけられている。
線維芽細胞増殖因子受容体2は、酸性および/または塩基性線維芽細胞増殖因子、ならびにケラチノサイト増殖因子リガンドに高い親和性を有する。線維芽細胞増殖因子受容体2はまた、骨芽細胞の成長および分化の際にFGFの強力な造骨作用を伝達する。複雑な機能的変化をもたらす線維芽細胞増殖因子受容体2における突然変異は、異常な頭蓋縫合骨化(頭蓋骨癒合症)を誘発することが示されており、膜内骨形成におけるFGFRシグナル伝達の主要な役割を暗示している。例えば、早期頭蓋縫合骨化を特徴とするアペール(AP)症候群では、ほとんどの場合が、機能獲得を生じる線維芽細胞増殖因子受容体2における点突然変異に関連している。さらに、症候性頭蓋癒合患者における突然変異スクリーニングでは、いくつかの反復FGFR2突然変異が重症型のプファイファー症候群を説明することが示されている。FGFR2の特定の突然変異としては、FGFR2のW290C、D321A、Y340C、C342R、C342S、C342W、N549H、K641Rが含まれる。
アペール症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン−ワイス症候群、ベーレ−スチーブンソン脳回状頭皮症候群、およびプファイファー症候群を含む、ヒト骨格発達におけるいくつかの重篤な異常が、線維芽細胞増殖因子受容体2における突然変異の発生に関連している。総てではなくともほとんどの場合、プファイファー症候群(PS)の症例は線維芽細胞増殖因子受容体2遺伝子のde novo突然変異によっても起こり、最近、線維芽細胞増殖因子受容体2における突然変異が、リガンド特異性を支配する基本規則のうちの1つを破ることが示された。すなわち、線維芽細胞増殖因子受容体の2つの突然変異スプライス型FGFR2cおよびFGFR2bは、非定型FGFリガンドと結合し、それにより活性化される能力を獲得していた。このリガンド特異性の欠損は異常なシグナル伝達をもたらし、これらの疾病症候群の重篤な表現型が異所性リガンドに依存する、線維芽細胞増殖因子受容体2の活性化によるものであることを示唆する。
FGFR3受容体チロシンキナーゼの、染色体転座または点突然変異などの遺伝子異常は、異所発現されるかまたは調節解除された構成的に活性なFGFR3受容体をもたらす。このような異常は多発性骨髄腫の一部および膀胱癌、肝細胞癌、口腔扁平上皮癌および子宮頚癌に関連している。従って、FGFR3阻害剤は多発性骨髄腫、膀胱癌および子宮頚癌の治療に有用となる。FGFR3はまた、膀胱癌、特に、浸潤性膀胱癌においても過剰発現される。FGFR3は、尿路上皮癌(UC)における突然変異により頻繁に活性化される。発現の増強は突然変異に関連していた(突然変異腫瘍の85%が高レベルの発現を示した)が、多くの筋肉浸潤性腫瘍を含め、検出可能な突然変異を持っていない、腫瘍の42%も過剰発現を示した。FGFR3はまた、子宮内膜癌および甲状腺癌にも関連している。
FGFR4の過剰発現は、前立腺癌および甲状腺癌の両方において予後の悪さと関連付けられている。さらに、生殖細胞系多型(Gly388Arg)が、肺癌、乳癌、結腸癌、肝臓癌(HCC)および前立腺癌の高い罹患率と関連している。また、末端切断型FGFR4(キナーゼドメインを含む)が、下垂体腫瘍の40%に存在するが、正常組織には存在しないことが判明している。FGFR4過剰発現は、肝臓、結腸および肺の腫瘍で見出されている。FGFR4は、結腸直腸癌および肝臓癌に関連が見出されており、このような癌ではリガンドFGF19の発現が高まっている場合が多い。FGFR4はまた、星状細胞腫、横紋筋肉腫にも関連している。
線維症の病態は、線維組織の異常または過剰な沈着に起因する大きな医学的問題である。これは、肝硬変、糸球体腎炎、肺線維症、全身性線維症、関節リウマチを含む多くの疾患、ならびに創傷治癒の自然プロセスにおいて発生する。病的線維化機序は完全には理解されていないが、線維芽細胞の成長および細胞外マトリックスタンパク質(コラーゲンおよびフィブロネクチンを含む)の沈着に関与する様々なサイトカイン(腫瘍壊死因子(TNF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、および形質転換増殖因子β(TGFβ)を含む)の作用に起因していると考えられる。これは組織構造および機能の変化、ならびにそれに続く病変をもたらす。
いくつかの前臨床研究では、肺線維症の前臨床モデルにおいて線維芽細胞増殖因子のアップレギュレーションが示されている。TGFβ1およびPDGFは、線維形成プロセスに関与していることが報告され、さらに公開された研究から、FGFの上昇、およびその結果としての線維芽細胞の成長の増大は、TGFβ1の上昇に応答したものであり得ることが示唆されている。特発性肺線維症(IPF)などの病態においてこの線維化機序を標的とすることの治療的利益の可能性が、報告されている抗線維症薬ピルフェニドンの臨床効果によって示唆されている。特発性肺線維症(原因不明線維性肺胞炎とも呼ばれる)は、肺の瘢痕化を伴う進行性の病態である。肺の気嚢が徐々に線維組織によって置き換えられ、それが厚みを増し、酸素を血流へ運搬する組織の能力の不可逆的喪失が引き起こされる。この病態の症状としては、息切れ、慢性乾性咳、疲労、胸痛、および急な体重減少をもたらす食欲不振が挙げられる。この病態は極めて重篤であり、5年後死亡率がおよそ50%である。
従って、FGFRを阻害する化合物は、特に血管新生を阻害することにより腫瘍の成長を妨げ、アポトーシスを誘発する手段を提供するのに有用となる。よって、これらの化合物は、癌などの増殖性障害を治療または予防するのに有用であることが分かるであろう。特に、受容体チロシンキナーゼの活性化突然変異または受容体チロシンキナーゼのアップレギュレーションを伴う腫瘍は、これらの阻害剤に特に感受性を持つ可能性がある。本明細書に述べられている特定のRTKのアイソフォームのいずれかの活性化突然変異を伴う患者でも、RTK阻害剤による治療が特に有益であることが分かるであろう。
血管内皮増殖因子(VEGFR)
慢性増殖性疾患は、多くの場合、重大な血管新生を伴い、この血管新生は炎症および/もしくは増殖状態に寄与するかまたはこれを維持し、または血管の浸潤性増殖によって組織破壊をもたらし得る。
血管新生とは、一般に、新血管または交換血管の発生、または新生血管形成を表すために用いられる。血管新生は、それによって血管構造が胚で確立される、必要かつ生理的な正常プロセスである。血管新生は、一般に、ほとんどの正常成人組織では起こらない(例外として、排卵、月経および創傷治癒の部位がある)。しかしながら、多くの疾患は、持続的で制御を欠いた血管新生を特徴とする。例えば、関節炎では、新しい毛細血管が関節に侵入し、軟骨を破壊する。糖尿病(および多くの種々の眼疾患)では、新血管は、黄斑または網膜またはその他の眼構造に侵入し、失明を引き起こす場合がある。アテローム性動脈硬化症のプロセスも血管新生に関連付けられている。腫瘍の成長および転移が、血管新生に依存することが見出されている。
主要な疾患に血管新生が関与しているという認識は、血管新生の阻害剤を特定および開発するための研究に伴うものであった。これらの阻害剤は一般に、血管新生シグナルによる内皮細胞の活性化;分解性酵素の合成および放出;内皮細胞遊走;内皮細胞の増殖;および毛細血管の形成などの血管新生カスケードにおける個々の標的に応じて分類される。従って、血管新生は多段階で起こり、これらの様々な段階で血管新生を遮断する働きをする化合物を発見および開発する試みが進行中である。
多様な機序で作用する血管新生の阻害剤が、癌および転移、眼疾患、関節炎および血管腫などの疾患に有益であることを教示する刊行物が存在する。
ポリペプチドである血管内皮細胞増殖因子(VEGF)は、in vitroでは内皮細胞に対する有糸分裂促進性であり、in vivoでは血管新生応答を刺激する。VEGFは、不適切な血管新生とも関連付けられている。VEGFRは、タンパク質チロシンキナーゼ(PTK)である。PTKは、細胞機能に関与するタンパク質内の特定のチロシン残基のリン酸化を触媒し、それによって細胞の成長、生存、および分化を制御する。
VEGFに対する3つのPTK受容体、すなわち、VEGFR−1(Flt−1)、VEGFR−2(Flk−1またはKDR)、およびVEGFR−3(Flt−4)が同定されている。これらの受容体は、血管新生に関与し、シグナル伝達に関わっている。特に注目されるのはVEGFR−2であり、これは、主として内皮細胞で発現されるトランスメンブラン受容体PTKである。VEGFによるVEGFR−2の活性化は、腫瘍血管新生を開始するシグナル伝達経路において極めて重要な段階である。VEGF発現は、腫瘍細胞では構成的である場合もあるし、特定の刺激に応答してアップレギュレーションされる場合もある。このような刺激の1つは低酸素であり、この場合、VEGF発現は、腫瘍および関連する宿主組織の両方でアップレギュレーションされる。VEGFリガンドは、その細胞外VEGF結合部位と結合することにより、VEGFR−2を活性化する。これは、VEGFRの受容体二量体化、およびVEGFR−2の細胞内キナーゼドメインにおけるチロシン残基の自己リン酸化をもたらす。キナーゼドメインは、ATPからチロシン残基へリン酸を転移する働きをし、このようにしてVEGFR−2の下流にシグナル伝達タンパク質のための結合部位を提供し、最終的には血管新生を開始させる。
VEGFR−2のキナーゼドメイン結合部位における阻害は、チロシン残基のリン酸化を遮断し、血管新生の開始を妨害する働きをする。
血管新生は、血管新生因子と称される様々なサイトカインによって媒介される新血管形成の生理学的プロセスである。固形腫瘍におけるその潜在的な病態生理学的役割が30年以上にわたり広く研究されてきたが、最近になって、慢性リンパ性白血病(CLL)およびその他の悪性造血系障害における血管新生の増大が認識されてきた。血管新生レベルの上昇は、CLL患者の骨髄およびリンパ節の両方において、様々な実験的方法により報告されている。この疾患の病態生理学における血管新生の役割は完全には解明されていないが、実験データから、いくつかの血管新生因子が疾患の進行に役割を果たしていることが示唆される。血管新生の生物学的マーカーは、CLLの予後と関連することも示された。このことは、VEGFR阻害剤が、CLLなどの白血病の患者にも有益であり得ることを示している。
腫瘍塊が限界サイズを超えるには、それに付随する血管構造を発達させる必要がある。腫瘍血管構造を標的とすることは、腫瘍の拡大を制限し、有用な癌治療となり得ると提案されている。腫瘍成長の観察によれば、小腫瘍塊は、腫瘍特異的血管構造を持たない組織において存続可能であることが示されている。血管構造のない腫瘍の成長停止は、腫瘍の中央部における低酸素の効果によるものであった。より最近では、様々な血管新生促進因子および血管新生抑制因子が同定され、腫瘍塊における血管新生の刺激と阻害剤の正常比の乱れが自律的血管新生を可能とするプロセス、「血管新生スイッチ(angiogenic switch)」の概念が導かれた。血管新生スイッチは、悪性化を駆動するものと同じ遺伝子変化、すなわち、癌遺伝子の活性化、および腫瘍抑制遺伝子の喪失により支配されると思われる。いくつかの増殖因子が、血管新生の正の調節因子として作用する。これらの中で最も重要なものが、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)、およびアンギオゲニンである。トロンボスポンジン(Tsp−1)、アンジオスタチン、およびエンドスタチンなどのタンパク質は、血管新生の負の調節因子として機能する。
VEGFR1とは異なり、VEGFR2の阻害は、マウスモデルにおいて、血管新生スイッチ、持続的血管新生、および初期腫瘍成長を著しく妨害する。後期の腫瘍では、治療過程では、初期の成長抑制期間の後に腫瘍が再成長するにつれ、VEGFR2遮断に対する表現型耐性が現れた。VEGF遮断に対するこの耐性は、VEGFとは独立に、FGFファミリーのメンバーを含むその他の血管新生促進因子の、低酸素が媒介する誘発と関連する腫瘍血管新生の再活性化を伴う。このようなその他の血管新生促進シグナルは、VEGF阻害の状態にあってもFGF遮断が進行を低下させるので、機能的には、回避期における腫瘍の再血管形成および再成長に関係付けられる。
第2相治験でpan−VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤AZD2171で処置された患者において、膠芽腫血管の正常化の証拠がある。血管正常化に関するMRI検査と循環バイオマーカーの組合せは、抗血管新生薬に対する応答を評価するための有効な手段を提供する。
PDGFR
悪性腫瘍は、制御を欠いた細胞増殖の産物である。細胞成長は、成長促進因子と成長阻害因子との間の微妙なバランスにより制御されている。正常組織では、これらの因子の産生および活性は、臓器の正常な完全性および機能性を維持する制御および調節された様式で成長する分化細胞をもたらす。悪性細胞はこの制御を回避しており、自然バランスが(様々な機構を介して)乱され、調節を欠いた異常な細胞成長が起こる。腫瘍発生において重要な増殖因子は、細胞表面チロシンキナーゼ受容体(PDGFR)を介してシグナルを伝達し、成長、増殖および分化を含む様々な細胞機能を刺激するペプチド増殖因子のファミリーを含んでなる血小板由来増殖因子(PDGF)である。
選択的阻害剤の利点
差別化された選択性の特性を有するFGFRキナーゼ阻害剤の開発は、その疾患がFGFRの調節解除によって駆動されるものである患者のサブグループにおいてこれらの標的化剤を用いる新たな機会を提供する。付加的キナーゼ、特にVEGFR2およびPDGFR−βに対して阻害作用の低下を示す化合物は、差別化された副作用または毒性プロフィールを有する機会を提供し、従って、これら適応症のより効果的な治療が可能となる。VEGFR2およびPDGFR−βの阻害剤は、それぞれ、高血圧または浮腫などの毒性に関連する。VEGFR2阻害剤の場合、この高血圧作用は、多くの場合、用量制限的であり、特定の患者集団で禁忌となり得るものであり、臨床管理を要する。
生物活性および治療用途
本発明の化合物およびそのサブグループは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)阻害もしくは調節活性、および/または血管内皮細胞増殖因子受容体(VEGFR)阻害もしくは調節活性、および/または血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)阻害もしくは調節活性を有し、本明細書に記載の疾患状態または病態の予防または治療に有用となる。加えて、本発明の化合物およびそのサブグループは、キナーゼにより媒介される疾患または病態の予防または治療に有用となる。癌などの疾患状態または病態の回避または予防または治療という場合には、それらの範囲内に、癌の緩和またはその罹患率の軽減が含まれる。
本明細書において、キナーゼの活性に適用される用語「調節」は、タンパク質キナーゼの生物活性のレベルにおける変化を定義することを意図している。従って、調節には、関連するタンパク質キナーゼ活性の増強または低下を果たす生理学的変化が包含される。後者の場合、調節は、「阻害」と記載することができる。調節は、直接的に起こっても間接的に起こってもよく、任意の機構により、例えば、遺伝子発現のレベル(例えば、転写、翻訳および/または翻訳後修飾を含む)、キナーゼ活性のレベルで直接的または間接的に作用する調節エレメントをコードする遺伝子の発現レベルを含む、任意の生理学的レベルで媒介されてよい。従って、調節は、遺伝子増幅(すなわち、複数の遺伝子コピー)を含むキナーゼの発現の上昇/抑制、または過剰発現もしくは過少発現、および/または転写作用による発現の増強または低下、ならびに突然変異によるタンパク質キナーゼの過剰(もしくは過少)活性および(非)活性化((非)活性化を含む)を意味する場合がある。用語「調節された」、「調節している」、および「調節する」も、相応に解釈されるべきである。
本明細書において、例えば本明細書に記載されるキナーゼと組み合わせて用いられる(および、例えば様々な生理学的プロセス、疾患、状態、病態、療法、治療または介入に適用される)、用語「媒介される」とは、この用語が適用される様々なプロセス、疾患、状態、病態、治療および介入が、キナーゼが生物学的役割を果たすものである場合に限定して用いられることを意図している。この用語が、疾患、状態または病態に適用される場合、キナーゼが果たす生物学的役割は、直接的であってもまたは間接的であってもよく、その疾患、状態または病態の症状の顕在化(またはその病因もしくは進行)に必要および/または十分なものであり得る。従って、キナーゼ活性(特に、異常なレベルのキナーゼ活性、例えばキナーゼ過剰発現)は必ずしも疾患、状態または病態の基本的な原因である必要はなく、むしろ、キナーゼにより媒介される疾患、状態または病態には、問題のキナーゼが部分的に関与するだけである多因子性の病因および複雑な進行を有するものを含むことが意図される。この用語が、治療、予防または介入に適用される場合、キナーゼが果たす役割は、直接的であってもまたは間接的であってもよく、治療、予防の実施、または介入の転帰に必要および/または十分なものであり得る。従って、キナーゼにより媒介される疾患状態または病態には、任意の特定の抗癌剤または治療に対する耐性の発達を含む。
従って、例えば、本発明の化合物は、癌の緩和またはその罹患率の軽減に有用であり得る。
より詳細には、式(I)の化合物およびそのサブグループは、FGFRの阻害剤である。例えば、本発明の化合物は、FGFR1、FGFR2、FGFR3、および/またはFGFR4、特に、FGFR1、FGFR2およびFGFR3から選択されるFGFRに対して活性を有し、あるいは特に式(I)の化合物およびそのサブグループは、FGFR4の阻害剤である。
好ましい化合物は、FGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4から選択される1以上のFGFRを阻害する化合物である。本発明の好ましい化合物は、0.1μM未満のIC50値を有するものである。
本発明の化合物はまた、VEGFRに対しても活性を有する。
さらに、本発明の化合物の多くは、VEGFR(特にVEGFR2)および/またはPDGFRと比較して、FGFR1、2、および/または3、および/または4に対する選択性を示し、このような化合物は、本発明の1つの好ましい実施態様を表す。特に、本化合物は、VEGFR2を超える選択性を示す。例えば、本発明の多くの化合物は、FGFR1、2、および/または3、および/または4に対するIC50値が、VEGFR(特にVEGFR2)および/またはPDGFR Bに対するIC50の10分の1〜100分の1の間である。特に、本発明の好ましい化合物は、FGFR、特に、FGFR1、FGFR2、FGFR3および/またはFGFR4に対する活性または阻害が、VEGFR2よりも、少なくとも10倍大きい。より好ましくは、本発明の化合物は、FGFR、特に、FGFR1、FGFR2、FGFR3および/またはFGFR4に対する活性または阻害が、VEGFR2よりも少なくとも100倍大きい。これは本明細書に記載の方法を用いて測定することができる。
FGFR、および/またはVEGFRキナーゼを調節または阻害するその活性の結果として、本化合物は、特に血管新生を阻害することによって、成長を妨げるかまたは新生組織形成のアポトーシスを誘発する手段を提供する上で有用となる。従って、本化合物は、癌などの増殖性障害の治療または予防に有用となると考えられる。さらに、本発明の化合物は、増殖、アポトーシスまたは分化の障害がある疾患の治療に有用となり得る。
特に、VEGFRの活性化変異体またはVEGFRのアップレギュレーションを有する腫瘍、および血清乳酸デヒドロゲナーゼレベルが高い患者は、本発明の化合物に特に感受性があり得る。本明細書に述べた特定のRTKのアイソフォームのいずれかの活性化変異体を有する患者にも、本発明の化合物による治療が特に有益であり得る。例えば、クローン前駆細胞がVEGFRを発現し得る急性白血病細胞におけるVEGFRの過剰発現。また、FGFR1、FGFR2、またはFGFR3、またはFGFR4などのFGFRのアイソフォームのいずれかの活性化変異体またはアップレギュレーションもしくは過剰発現を有する特定の腫瘍も、本発明の化合物に特に感受性があり得、従って、このような特定の腫瘍を有する本明細書に述べた患者にも、本発明の化合物による治療が特に有益であり得る。治療は、本明細書に述べたものなどの受容体チロシンキナーゼの1つの変異型に関するか、またはそれに向けたものであることが好ましいと考えられる。このような突然変異を有する腫瘍の診断は、RTPCRおよびFISHなど、当業者に公知であり、本明細書に記載される技術を用いて実施することができる。
治療(または阻害)され得る癌の例としては、限定されるものではないが、癌腫、例えば、膀胱癌、乳癌、結腸癌(例えば、結腸腺癌および結腸腺腫などの結腸直腸癌)、腎臓癌、尿路上皮癌、子宮癌、表皮癌、肝臓癌、肺癌、(例えば、腺癌、小細胞肺癌および非小細胞肺癌、扁平上皮肺癌)、食道癌、頭頚部癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌(例えば、膵外分泌癌)、胃癌、消化管癌(胃癌(gastric)としても知られる)(例えば、消化管間質腫瘍)、子宮頚癌、子宮内膜癌、甲状腺癌、前立腺癌、または皮膚癌(例えば、扁平上皮癌または隆起性皮膚線維肉腫);下垂体癌;リンパ細胞系列の造血系腫瘍、例えば、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫(例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫)、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫、またはバーキットリンパ腫;骨髄細胞系列の造血系腫瘍、例えば、白血病、急性および慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、骨髄増殖性障害、骨髄増殖性症候群、骨髄異形成症候群、または前骨髄球性白血病;多発性骨髄腫;甲状腺濾胞癌;間葉系由来腫瘍(例えば、ユーイング肉腫)、例えば、線維肉腫または横紋筋肉腫;中枢または末梢神経系腫瘍、例えば、星状細胞腫、神経芽腫、神経膠腫(例えば、多形性膠芽腫)またはシュワン腫;黒色腫;精上皮腫;奇形癌;骨肉腫;色素性乾皮症;角化棘細胞腫;甲状腺濾胞癌;またはカポジ肉腫が挙げられる。特に、扁平上皮肺癌、乳癌、結腸直腸癌、膠芽腫、星状細胞腫、前立腺癌、小細胞肺癌、黒色腫、頭頚部癌、甲状腺癌、子宮癌、胃癌、肝細胞癌、子宮頚癌、多発性骨髄腫、膀胱癌、子宮内膜癌、尿路上皮癌、結腸癌、横紋筋肉腫、下垂体癌。
特定の癌は、特定の薬物による治療に対して耐性を有する。これは、腫瘍の種類に起因する場合もあり、または化合物による治療に起因して生じる場合もある。この点において、多発性骨髄腫という場合には、ボルテゾミブ感受性多発性骨髄腫または不応性多発性骨髄腫が含まれる。同様に、慢性骨髄性白血病という場合には、イミタニブ感受性慢性骨髄性白血病および不応性慢性骨髄性白血病が含まれる。慢性骨髄性白血病は、慢性骨髄球性白血病、慢性顆粒球性白血病、またはCMLとしても知られる。同様に、急性骨髄性白血病は、急性骨髄芽球性白血病、急性顆粒球性白血病、急性非リンパ球性白血病、またはAMLとも称される。
本発明の化合物はまた、骨髄増殖性疾患など、前悪性であっても安定型であっても、異常細胞増殖の造血系疾患の治療にも用いることができる。骨髄増殖性疾患(「MPD」)とは、細胞が過剰に産生される骨髄の疾患群である。それらは、骨髄異形成症候群と関連しており、それへ進行する場合がある。骨髄増殖性疾患としては、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、および原発性骨髄線維症が挙げられる。さらなる血液性障害としては、好酸球増加症候群がある。T細胞リンパ増殖性疾患としては、ナチュラルキラー細胞に由来するものが含まれる。
加えて、本発明の化合物は、消化管癌(胃癌としても知られる)、例えば、消化管間質腫瘍に使用することもできる。消化管癌は、食道、胃、肝臓、胆管系、膵臓、腸、および肛門を含む消化管の悪性病態を意味する。
従って、異常な細胞成長を含んでなる疾患または病態を治療するための本発明の医薬組成物、使用、または方法において、一つの実施態様では、異常な細胞成長を含んでなる疾患または病態は癌である。
癌の特定のサブセットには、多発性骨髄腫、膀胱癌、子宮頚癌、前立腺癌、および甲状腺癌、肺癌、乳癌、および結腸癌が含まれる。
癌のさらなるサブセットには、多発性骨髄腫、膀胱癌、肝細胞癌、口腔扁平上皮癌、および子宮頚癌が含まれる。
FGFR1などのFGFR阻害活性を有する本発明の化合物は、乳癌、特に古典的小葉癌(CLC)の治療または予防に特に有用であり得る。
本発明の化合物はFGFR4活性を有するので、それらは前立腺癌または下垂体癌の治療にも有用であり、それらは乳癌、肺癌、前立腺癌、肝臓癌(HCC)または肺癌の治療に有用である。
特に、FGFR阻害剤としての本発明の化合物は、多発性骨髄腫、骨髄増殖性障害、子宮内膜癌、前立腺癌、膀胱癌、肺癌、卵巣癌、乳癌、胃癌、結腸直腸癌、および口腔扁平上皮癌の治療に有用である。
癌のさらなるサブセットは、多発性骨髄腫、子宮内膜癌、膀胱癌、子宮頚癌、前立腺癌、肺癌、乳癌、結腸直腸癌、および甲状腺癌である。
特に、本発明の化合物は、多発性骨髄腫(特に、t(4;14)転座を有するかまたはFGFR3を過剰発現する多発性骨髄腫)、前立腺癌(ホルモン不応性前立腺癌)、子宮内膜癌(特に、FGFR2における活性化突然変異を有する子宮内膜腫瘍)、および乳癌(特に、小葉乳癌)の治療に有用である。
特に、本化合物は、CLC(古典的小葉癌)などの小葉癌の治療に有用である。
本化合物はFGFR3に対して活性を有するので、それらは、多発性骨髄腫および膀胱癌の治療に有用である。
特に、本化合物は、t(4;14)転座陽性多発性骨髄腫の治療に有用である。
一つの実施態様では、本化合物は肉腫の治療に有用であり得る。一つの実施態様では、本化合物は、肺癌、例えば、扁平上皮癌の治療に有用であり得る。
本化合物は、FGFR2に対して活性を有するので、それらは、子宮内膜癌、卵巣癌、胃癌、肝細胞癌、子宮癌、子宮頚癌および結腸直腸癌の治療に有用である。FGFR2はまた、上皮卵巣癌でも過剰発現されるので、本発明の化合物は、上皮卵巣癌などの卵巣癌の治療に特に有用であり得る。
一つの実施態様では、本化合物は、肺癌、特に、NSCLC、扁平上皮癌、肝臓癌、腎臓癌、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、前立腺癌の治療に有用であり得る。
本発明の化合物はまた、VEGFR2阻害剤またはVEGFR2抗体(例えば、アバスチン)で前処置された腫瘍の治療にも有用であり得る。
特に、本発明の化合物は、VEGFR2耐性腫瘍の治療に有用であり得る。VEGFR2阻害剤および抗体は、甲状腺癌および腎細胞癌の治療に用いられ、従って、本発明の化合物は、VEGFR2耐性甲状腺癌および腎細胞癌の治療に有用であり得る。
癌は、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4から選択されるいずれか1以上のFGFR、例えば、FGFR1、FGFR2またはFGFR3から選択される1以上のFGFRの阻害に感受性のある癌であり得る。
特定の癌がFGFRまたはVEGFRシグナル伝達の阻害に感受性があるものかどうかは、下記で示す細胞成長アッセイによって、または「診断方法」の表題の節で示す方法によって判断することができる。
本発明の化合物、および特にFGFRまたはPDGFR阻害活性を有する化合物は、高レベルのFGFRまたはVEGFRの存在と関連するか、またはそれを特徴とするタイプの癌、例えば、この意味において本出願の導入の節に挙げた癌、の治療または予防に特に有用であり得る。
本発明の化合物は成人集団の治療に有用であり得る。本発明の化合物は、小児集団の治療にも有用であり得る。
一部のFGFR阻害剤は、その他の抗癌剤と組み合わせて使用することができることが見出された。例えば、アポトーシスを誘発する阻害剤を、異なる機構によって細胞成長を調節する働きをする別の薬剤と組み合わせ、それによって癌の発達に特徴的な特性のうちの2つを治療することが有益であり得る。このような組合せの例を以下に示す。
本発明の化合物は、II型または非インスリン依存性真性糖尿病、自己免疫疾患、頭部外傷、脳卒中、癲癇、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、運動ニューロン疾患、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核変性症およびピック病)、例えば、自己免疫疾患および神経変性疾患などの増殖の障害に起因するその他の病態の治療に有用であり得る。
本発明の化合物が有用であり得る疾患状態および病態の1つのサブグループは、炎症性疾患、心血管疾患および創傷治癒からなる。
FGFRおよびVEGFRはまた、アポトーシス、血管新生、増殖、分化、および転写において役割を果たしていることも知られており、従って、本発明の化合物はまた、癌以外の下記疾患:慢性炎症性疾患、例えば、全身性紅斑性狼瘡、自己免疫介在性糸球体腎炎、関節リウマチ、乾癬、炎症性腸疾患、自己免疫性真性糖尿病、湿疹性過敏反応、喘息、COPD、鼻炎、および上気道疾患;心血管疾患、例えば、心肥大、再狭窄、アテローム性動脈硬化症;神経変性障害、例えば、アルツハイマー病、エイズ関連認知症、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、脊髄性筋萎縮症、および小脳変性症;糸球体腎炎;骨髄異形成症候群、虚血傷害関連心筋梗塞、脳卒中、および再潅流傷害、不整脈、アテローム性動脈硬化症、毒素誘発性またはアルコール関連肝疾患、血液疾患、例えば、慢性貧血および再生不良性貧血;筋骨格系の変性疾患、例えば、骨粗鬆症および関節炎;アスピリン感受性副鼻腔炎、嚢胞性線維症、多発性硬化症、腎臓疾患、ならびに癌性疼痛の治療にも有用であり得る。
加えて、FGFR2の突然変異は、ヒト骨格発達におけるいくつかの重度な異常と関連しており、従って、本発明の化合物は、異常な頭蓋縫合骨化(頭蓋骨癒合症)、アぺール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン−ワイス症候群、ベーレ−スチーブンソン脳回状頭皮症候群、およびプファイファー症候群を含む、ヒト骨格発達における異常の治療に有用であり得る。
FGFR2またはFGFR3などのFGFR阻害活性を有する本発明の化合物は、骨格疾患の治療または予防に特に有用であり得る。特定の骨格疾患としては、軟骨形成不全または致死性小人症(致死性骨異形成症としても知られる)がある。
FGFR1、FGFR2、またはFGFR3などのFGFR阻害活性を有する本発明の化合物は、進行性線維症が症状である病態における治療または予防に特に有用であり得る。本発明の化合物が治療に有用であり得る線維症の病態としては、線維組織の異常なまたは過剰な沈着を示す疾患、例えば、肝硬変、糸球体腎炎、肺線維症、全身性線維症、関節リウマチ、ならびに創傷治癒の自然プロセスが挙げられる。特に、本発明の化合物は、肺線維症、特に、特発性肺線維症の治療にも有用であり得る。
腫瘍関連血管構造におけるFGFRおよびVEGFRの過剰発現および活性化はまた、腫瘍血管新生の開始を予防および妨害する上での本発明の化合物の役割も示唆している。特に、本発明の化合物は、癌、転移、CLLなどの白血病、加齢性黄斑変性、特に、滲出型の加齢性黄斑変性などの眼疾患、未熟児網膜症(ROP)および糖尿病性網膜症などの虚血性増殖性網膜症、関節リウマチ、ならびに血管腫の治療に有用であり得る。
FGFR1〜4、VEGFR、および/またはPDGFR A/Bの阻害剤としての本発明の化合物の活性は、以下の実施例で示すアッセイを用いて測定することができ、所定の化合物によって示される活性のレベルは、IC50値として定義することができる。本発明の好ましい化合物は、IC50値が1μM未満、より好ましくは0.1μM未満である化合物である。
本発明は、FGFR阻害または調節活性を有し、FGFRキナーゼにより媒介される疾患状態または病態の予防または治療に有用であり得る化合物を提供する。
一つの実施態様では、治療に使用される、薬として使用される本明細書に定義される化合物が提供される。さらなる実施態様では、FGFRキナーゼにより媒介される疾患状態または病態の予防または治療、特に治療に使用される本明細書に定義される化合物が提供される。
従って、例えば、本発明の化合物は、癌の緩和またはその罹患率の軽減に有用であり得る。従って、さらなる実施態様では、癌の予防または治療、特に治療に使用される本明細書に定義される化合物が提供される。一つの実施態様では、本明細書に定義される化合物は、FGFR非依存性癌の予防または治療において使用するためのものである。一つの実施態様では、本明細書に定義される化合物は、FGFRキナーゼにより媒介される癌予防または治療において使用するためのものである。
従って、本発明は、とりわけ、下記のものを提供する:
・FGFRキナーゼにより媒介される疾患状態または病態の予防または治療のための方法であって、それを必要とする被験体に、本明細書に定義される式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法。
・本明細書に記載される疾患状態または病態の予防または治療のための方法であって、それを必要とする被験体に、本明細書に定義される式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法。
・癌の予防または治療のための方法であって、それを必要とする被験体に、本明細書に定義される式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法。
・FGFRキナーゼにより媒介される疾患状態または病態を緩和する、またはその罹患率を軽減するための方法であって、それを必要とする被験体に、本明細書に定義される式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法。
・FGFRキナーゼを阻害する方法であって、該キナーゼを本明細書に定義される式(I)のキナーゼ阻害化合物と接触させることを含んでなる方法。
・本明細書に定義される式(I)の化合物を用いてFGFRキナーゼの活性を阻害することにより細胞プロセス(例えば、細胞分裂)を調節する方法。
・FGFRキナーゼの活性を阻害することにより、細胞プロセス(例えば、細胞分裂)のモジュレーターとして使用するための本明細書に定義される式(I)の化合物。
・癌の予防または治療、特に、癌の治療において使用するための、本明細書に定義される式(I)の化合物。
・FGFRのモジュレーター(例えば、阻害剤)として使用するための、本明細書に定義される式(I)の化合物。
・FGFRキナーゼにより媒介される疾患状態または病態の予防または治療を目的とする薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(I)の化合物の使用(該化合物は本明細書に定義される式(I)を有する)。
・本明細書に記載される疾患状態または病態の予防または治療を目的とする薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(I)の化合物の使用。
・癌の予防または治療、特に、治療を目的とする薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(I)の化合物の使用。
・FGFRの活性を調節する(例えば、阻害する)ことを目的とする薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(I)の化合物の使用。
・FGFRキナーゼの活性を阻害することにより、細胞プロセス(例えば、細胞分裂)を調節するための薬剤の製造における、本明細書に定義される式(I)の化合物の使用。
・FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1またはFGFR2またはFGFR3またはFGFR4)のアップレギュレーションを特徴とする疾患または病態の予防または治療を目的とする薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(I)の化合物の使用。
・癌の予防または治療を目的とする薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(I)の化合物の使用(該癌はFGFRキナーゼ(例えば、FGFR1またはFGFR2またはFGFR3またはFGFR4)のアップレギュレーションを特徴とするものである)。
・FGFR3キナーゼの遺伝子異常を有する部分集団から選択される患者における癌の予防または治療を目的とする薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(I)の化合物の使用。
・FGFR3キナーゼの遺伝子異常を有する部分集団の一部を形成すると診断された患者における癌の予防または治療を目的とする薬剤の製造のための、本明細書に定義される式(I)の化合物の使用。
・FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1またはFGFR2またはFGFR3またはFGFR4)のアップレギュレーションを特徴とする疾患または病態の予防または治療のための方法であって、本明細書に定義される式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法。
・FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1またはFGFR2またはFGFR3またはFGFR4)のアップレギュレーションを特徴とする疾患または病態を緩和する、またはその罹患率を軽減するための方法であって、本明細書に定義される式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法。
・癌に罹患している、または罹患が疑われる患者における癌の予防または治療(またはその緩和もしくはその罹患率の軽減)のための方法であって、(i)患者に対して、その患者がFGFR3遺伝子の遺伝子異常を有するかどうかを判定するための診断試験を行うこと;および(ii)前記患者が前記変異体を有する場合に、その後、前記患者に、FGFR3キナーゼ阻害活性を有する本明細書に定義される式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法。
・FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1またはFGFR2またはFGFR3またはFGFR4)のアップレギュレーションを特徴とする疾患状態または病態の予防または治療(またはその緩和もしくはその罹患率の軽減)のための方法であって、(i)患者に対して、FGFRキナーゼ(例えば、FGFR1またはFGFR2またはFGFR3またはFGFR4)のアップレギュレーションに特徴的なマーカーを検出するための診断試験を行うこと、および(ii)前記診断試験がFGFRキナーゼのアップレギュレーションを示す場合に、その後、前記患者に、FGFRキナーゼ阻害活性を有する本明細書に定義される式(I)の化合物を投与することを含んでなる方法。
一つの実施態様では、FGFRキナーゼにより媒介される疾患は、腫瘍学関連疾患(例えば、癌)である。一つの実施態様では、FGFRキナーゼにより媒介される疾患は、非腫瘍学関連疾患(例えば、癌以外の本明細書で開示されるいずれかの疾患)である。一つの実施態様では、FGFRキナーゼにより媒介される疾患は、本明細書に記載される病態である。一つの実施態様では、FGFRキナーゼにより媒介される疾患は、本明細書に記載される骨格の病態である。ヒトの骨格発達における特定の異常としては、異常な頭蓋縫合骨化(頭蓋骨癒合症)、アぺール(AP)症候群、クルーゾン症候群、ジャクソン−ワイス症候群、ベーレ−スチーブンソン脳回状頭皮症候群、およびプファイファー症候群、軟骨形成不全および致死性小人症(致死性骨異形成症としても知られる)が挙げられる。
変異型キナーゼ
薬剤耐性キナーゼ突然変異が、キナーゼ阻害剤で治療された患者集団で発生する場合がある。これらは、一部、療法で用いられた特定の阻害剤と結合または相互作用するタンパク質の領域で発生する。このような突然変異は、問題のキナーゼと結合し、これを阻害する阻害剤の能力を低下または増大させる。これは、阻害剤と相互作用するか、または標的への前記阻害剤の結合を補助するのに重要なアミノ酸残基のいずれにおいても発生し得る。変異型アミノ酸残基との相互作用を必要とせずに標的キナーゼと結合する阻害剤は、突然変異によって影響を受けない可能性が高く、その酵素の効果的な阻害剤のままで維持されることになる。
胃癌患者のサンプルの研究によれば、FGFR2に2つの突然変異、すなわち、エキソンIIIaにおけるSer167ProおよびエキソンIIIcにおけるスプライス部位変異940−2A−Gが存在することが示された。これらの突然変異は、頭蓋骨癒合症候群を引き起こす生殖細胞系列活性化突然変異と同一であり、供試原発性胃癌組織の13%で観察された。さらに、FGFR3における活性化突然変異は、供試患者サンプルの5%で観察され、FGFRの過剰発現は、この患者群における予後不良との相関が見られた。
さらに、機能獲得型、過剰発現型、または構成的に活性な生物学的状態を生じる、FGFRで観察された染色体転座または点突然変異が存在する。
従って、本発明の化合物は、FGFRなどの変異型分子標的を発現する癌に関して適用が見出せる。このような突然変異を有する腫瘍の診断は、RTPCRおよびFISHなどの当業者に公知であり、本明細書に記載される技術を用いて実施することができる。
FGFRのATP結合部位における、保存されているスレオニン残基の突然変異は、阻害剤耐性をもたらすことが示唆されている。FGFR1において、アミノ酸バリン561はメチオニンに変異しているが、これは、選択的阻害剤に対する耐性を付与することが示されているAbl(T315)およびEGFR(T766)で見られる、これまでに報告された突然変異に相当する。FGFR1 V561Mに関するアッセイデータによれば、この突然変異が、野生型の場合と比較してチロシンキナーゼ阻害剤に対する耐性を付与したことが示された。
診断方法
式(I)の化合物の投与前に、患者が罹患している、または罹患している可能性のある疾患または病態が、FGFRおよび/またはVEGFRに対して活性を有する化合物での治療に感受性があるものかどうかを判定するために患者をスクリーニングすることができる。
例えば、患者から採取した生体サンプルを分析し、その患者が罹患している、または罹患している可能性のある癌などの病態または疾患が、FGFRおよび/またはVEGFRのレベルまたは活性のアップレギュレーション、あるいは正常なFGFRおよび/もしくはVEGFR活性へ向かう経路の増感、あるいは増殖因子リガンドレベルまたは増殖因子リガンド活性などの、これらの増殖因子シグナル伝達経路のアップレギュレーション、あるいはFGFRおよび/またはVEGFR活性化の下流の生化学経路のアップレギュレーションをもたらす、遺伝子異常または異常なタンパク質発現を特徴とするものかどうかを判定することができる。
FGFRおよび/またはVEGFRシグナルの活性化または増感をもたらすこのような異常の例としては、アポトーシス経路の欠損もしくは阻害、受容体もしくはリガンドのアップレギュレーション、または受容体もしくはリガンドの突然変異体、例えば、PTK変異体の存在が挙げられる。FGFR1、FGFR2もしくはFGFR3もしくはFGFR4の突然変異体、またはFGFR1のアップレギュレーション、特に、過剰発現、またはFGFR2もしくはFGFR3の機能獲得型突然変異体を有する腫瘍は、FGFR阻害剤に対して特に感受性があり得る。
例えば、機能獲得を生じるFGFR2における点突然変異がいくつかの病態で同定されている。特に、FGFR2における活性化突然変異は、子宮内膜腫瘍の10%で同定されている。
さらに、異所発現されるかまたは調節解除された構成的に活性なFGFR3受容体をもたらす染色体転座または点突然変異などのFGFR3受容体チロシンキナーゼの遺伝子異常が同定され、多発性骨髄腫、膀胱癌および子宮頚癌のサブセットに関連づけられている。PDGF受容体の特定の突然変異T674Iが、イマチニブ処置患者で同定されている。さらに、8p12−p11.2の遺伝子増幅が小葉乳癌(CLC)症例の約50%で示され、これはFGFR1の発現の増強と関連していることが示された。FGFR1に対して向けられたsiRNAまたは前記受容体の小分子阻害剤を用いた予備研究から、この増幅を有する細胞株がこのシグナル伝達経路の阻害に特に感受性を持つことが示された。
あるいは、患者から採取した生体サンプルを、FGFRまたはVEGFRの負のレギュレーターまたはサプレッサーが欠損しているかどうか分析してもよい。これに関して、用語「欠損」とは、レギュレーターまたはサプレッサーをコードする遺伝子の欠失、その遺伝子の末端切断(例えば、突然変異による)、その遺伝子の転写産物の末端切断、またはその転写産物の不活性化(例えば、点突然変異による)または別の遺伝子産物による隔離を包含する。
用語アップレギュレーションには、発現増強または過剰発現(遺伝子増幅(すなわち、多重遺伝子コピー)および転写効果による発現増強を含む)、ならびに活性亢進および活性化(突然変異による活性化を含む)が含まれる。よって、患者に、FGFRおよび/またはVEGFRのアップレギュレーションに特徴的なマーカーを検出するための診断試験を行ってもよい。診断という用語にはスクリーニングを含む。マーカーには、例えば、DNA組成の評価を含め、FGFRおよび/またはVEGFRの突然変異を同定するための遺伝子マーカーを含めるものとする。マーカーという用語にはまた、酵素活性、酵素レベル、酵素状態(例えば、リン酸化されているかいないか)および前述のタンパク質のmRNAレベルを含め、FGFRおよび/またはVEGFRのアップレギュレーションに特徴的なマーカーも含む。
診断試験およびスクリーニングは一般に、例えば、腫瘍生検サンプル、血液サンプル(解離させた腫瘍細胞の単離および富化)、糞便生検、痰、染色体分析、胸膜液、腹腔液、頬側スミア(buccal spear)、生検または尿から選択される生体サンプルに対して行う。
タンパク質の突然変異およびアップレギュレーションに関する同定および分析方法は当業者に公知である。スクリーニング方法としては、限定されるものではないが、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、または蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)のようなin−situハイブリダイゼーションなどの標準的方法が挙げられる。
FGFRおよび/またはVEGFRに突然変異を有する個体が特定されるということは、その患者がFGFRおよび/またはVEGFR阻害剤による治療に特に好適であることを意味し得る。優先的には、腫瘍を、治療前にFGFRおよび/またはVEGFR変異体の存在に関してスクリーニングすることができる。このスクリーニング方法は一般に、直接配列決定、オリゴヌクレオチドマイクロアレイ分析、または変異体特異的抗体を含む。さらに、このような突然変異を有する腫瘍の診断は、RT−PCRおよびFISHなど、当業者に公知であり、本明細書に記載される技術を用いて行うことができる。
さらに、例えば、FGFRまたはVEGFR2の変異型は、PCRおよび上述のようにPCR産物の直接的配列決定を行う方法を用いた、例えば腫瘍生検の直接配列決定により同定することもできる。当業者ならば、上述のタンパク質の過剰発現、活性化または突然変異の検出のための、このような周知の技術が総て本場合に適用可能であることが認識できるであろう。
RT−PCRによるスクリーニングでは、腫瘍におけるmRNAのレベルは、そのmRNAのcDNAコピーを作出した後、そのcDNAをPCRにより増幅することにより評価する。PCR増幅の方法、プライマーの選択、および増幅条件は当業者に公知である。核酸の操作およびPCRは、例えば、Ausubel, F. M. et al.編(2004) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Inc.、またはInnis, M. A. et al.編(1990) PCR Protocols: a guide to methods and applications, Academic Press, San Diegoに記載のような標準的な方法により行う。核酸技術を含む反応および操作はまた、Sambrook et al.,(2001),第3版, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている。あるいは、RT−PCR用の市販キット(例えば、Roche Molecular biochemicals)、または米国特許第4,666,828号明細書;同第4,683,202号明細書;同第4,801,531号明細書;同第5,192,659号明細書;同第5,272,057号明細書;同第5,882,864号明細書および同第6,218,529号明細書に示されている方法が使用でき、これらは引用することにより本明細書の一部とされる。mRNAの発現を評価するためのin situハイブリダイゼーション技術の一例は、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)(Angerer (1987) Meth. Enzymol., 152: 649)であろう。
一般に、in situハイブリダイゼーションは以下の主要工程を含む:(1)分析する組織の固定;(2)標的核酸の接近性を高めるため、また、非特異的結合を軽減するためのサンプルのプレハイブリダイゼーション処理;(3)その核酸混合物と生体構造または組織中の核酸とのハイブリダイゼーション;(4)ハイブリダイゼーションで結合しなかった核酸断片を除去するためのハイブリダイゼーション後洗浄;および(5)ハイブリダイズした核酸断片の検出。このような適用で用いるプローブは一般に、例えば放射性同位体または蛍光リポーターで標識される。好ましいプローブは、ストリンジェント条件下で標的核酸と特異的ハイブリダイゼーションが可能となるように十分な長さ、例えば、約50、100、または200ヌクレオチド〜約1000またはそれを超えるヌクレオチドである。FISHを行うための標準的な方法は、Ausubel, F. M. et al.編(2004) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons Inc and Fluorescence In Situ Hybridization: Technical Overview by John M. S. Bartlett in Molecular Diagnosis of Cancer, Methods and Protocols, 第2版; ISBN: 1-59259-760-2; March 2004, pps. 077-088; Series :Methods in Molecular Medicineに記載されている。
遺伝子発現プロファイリング法は、DePrimo et al.(2003), BMC Cancer, 3:3に記載されている。簡単に述べると、このプロトコールは次の通りである:第一鎖cDNA合成を誘導するための(dT)24オリゴマーを用い、全RNAから二本鎖cDNAを合成した後、ランダムヘキサマープライマーを用い、第二鎖cDNAを合成する。この二本鎖cDNAを、ビオチン化リボヌクレオチドを用いるcRNAのin vitro転写の鋳型として用いる。Affymetrix(Santa Clara, CA, USA)が記載しているプロトコールに従い、cRNAを化学的にフラグメント化した後、ヒトゲノムアレイに一晩ハイブリダイズさせる。
あるいは、これらのmRNAから発現されたタンパク質産物を、腫瘍サンプルの免疫組織化学、マイクロタイタープレートを用いる固相イムノアッセイ、ウエスタンブロット法、二次元SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、ELISA、フローサイトメトリーおよび特定のタンパク質を検出するための当技術分野で公知の他の方法によりアッセイしてもよい。検出方法には、部位特異的抗体の使用が含まれる。当業者ならば、FGFRおよび/もしくはVEGFRのアップレギュレーションの検出、またはFGFRおよび/もしくはVEGFR変異体もしくは突然変異体の検出のための、このような周知の技術が総て本場合に適用可能であることが認識できるであろう。
FGFRまたはVEGFRなどのタンパク質の異常なレベルは、標準的な酵素アッセイ、例えば、本明細書に記載されるアッセイを用いて測定することができる。また、活性化または過剰発現は、組織サンプル、例えば腫瘍組織において、Chemicon Internationalから入手できるものなどのアッセイを用いてチロシンキナーゼ活性を測定することによって検出することもできる。目的のチロシンキナーゼをサンプル溶解液から免疫沈降させ、その活性を測定する。
そのアイソフォームを含めてFGFRまたはVEGFRの過剰発現または活性化を測定するための別法としては、微細血管密度の測定を含む。これは例えば、Orre and Rogers (Int J Cancer (1999), 84(2) 101-8)が記載している方法を用いて測定することができる。アッセイ法にはマーカーの使用も含み、例えば、VEGFRの場合には、これらにはCD31、CD34およびCD105が含まれる。
よって、これらの技術は総て、本発明の化合物による治療に特に適切な腫瘍を同定するためにも使用可能である。
本発明の化合物は、変異型FGFRを有する患者の治療に特に有用である。FGFR3におけるG697C突然変異は、口腔扁平上皮癌の62%に見られ、このキナーゼ活性の構成的活性化を引き起こす。FGFR3の活性化突然変異は膀胱癌の場合にも同定されている。これらの突然変異は、R248C、S249C、G372C、S373C、Y375C、K652Qという、様々な存在度の6種類であった。さらに、FGFR4におけるGly388Arg多型が、前立腺癌、結腸癌、肺癌、肝臓癌(HCC)および乳癌の罹患率の上昇および急速進行性と関連していることも判明している。
よって、さらなる側面において、本発明は、スクリーニングを受け、かつ、FGFRに対して活性を有する化合物による治療に感受性があると考えられる疾患または病態に罹患している、または罹患のリスクがあると判定された患者における、疾患状態または病態の治療または予防を目的とする薬剤の製造のための、本発明による化合物の使用を含む。
患者がスクリーニングされる特定の突然変異としては、FGFR3におけるG697C、R248C、S249C、G372C、S373C、Y375C、K652Q突然変異、ならびにFGFR4におけるGly388Arg多型を含む。
別の側面では、本発明は、FGFR遺伝子の変異体(例えば、FGFR3におけるG697C突然変異、およびFGFR4におけるGly388Arg多型)を有する部分集団から選択される患者において、本発明の予防または治療において使用するための化合物を含む。
血管正常化のMRI測定(例えば、MRIグラジェントエコー、スピンエコー、ならびに血液容量、相対的血管サイズ、および血管透過性を評価するための造影)と循環バイオマーカー(循環前駆細胞(CPC)、CEC、SDF1、およびFGF2)の組合せを用い、本発明の化合物による治療に関するVEGFR2耐性腫瘍を同定することもできる。
医薬組成物および組合せ
対象化合物は、それらの有用な薬理特性を考慮して、投与目的の種々の医薬形態に処方することができる。
一つの実施態様では、医薬組成物(例えば、処方物)は、少なくとも1種類の本発明の有効化合物を、1種類以上の薬学的に許容可能な担体、アジュバント、賦形剤、希釈剤、増量剤、緩衝剤、安定剤、保存剤、滑沢剤、または当業者に周知の他の材料、および場合により他の治療薬または予防薬とともに含んでなる。
本発明の医薬組成物を調製するためには、有効成分としての有効量の本発明の化合物を、薬学的に許容可能な担体と緊密に混合して組み合わせるが、担体は投与に望ましい製剤の形態に応じて多様な形態をとってよい。本医薬組成物は、経口投与、非経口投与、局所投与、鼻腔内投与、眼内投与、耳内投与、直腸投与、膣内投与、または経皮投与に適切な任意の形態であり得る。これらの医薬組成物は、好ましくは経口投与、直腸投与、経皮投与、または非経口注射に適切な単位投与形であることが望ましい。例えば、本組成物を経口投与形で調製する場合、懸濁液、シロップ剤、エリキシル剤および溶液などの経口液体製の場合には、例えば、水、グリコール、油、アルコールなど;または散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には、デンプン、糖類、カオリン、滑沢剤、結合剤、崩壊剤などの固体担体といった、通常の製薬媒体のいずれを用いてもよい。
投与が容易なために、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口投与単位となるが、この場合には、明らかに固体製薬担体が使用される。非経口組成物の場合、例えば溶解性を助けるために他の成分を含んでもよいが、担体は通常、少なくとも大部分が無菌水を含んでなる。例えば、注射溶液を調製してもよく、この場合には、担体は生理食塩水、グルコース溶液または生理食塩水とグルコース溶液の混合物を含んでなる。注射懸濁液も調製可能であり、この場合には、適当な液体担体、沈殿防止剤などを使用してよい。経皮投与に適切な組成物では、担体は場合により、浸透促進剤および/または適切な湿潤剤を、場合により、微量の適切な任意の天然添加物(このような添加物は皮膚に著しく有害な作用を及ぼさない)とともに含んでもよい。前記の添加物は皮膚への投与を助長し、かつ/または所望の組成物の調製を助け得る。これらの組成物は、例えば、経皮パッチとして、滴下剤として、軟膏としてなど、種々の方法で投与することができる。上述の医薬組成物は、投与の容易さと用量の均一性のために単位投与形で処方することが特に有利である。本明細書で使用され、ここで特許請求される単位投与形は、各単位が所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の有効成分を必要とされる製薬担体とともに含有する、単位用量として適切な物理的に別個の単位を意味する。このような単位投与形の例は、錠剤(割線入り錠剤またはコーティング錠剤)、カプセル剤、丸剤、パウダーパケット、ウエハース、注射溶液または懸濁液、ティースプーン1さじ、テーブルスプーン1さじなど、およびそれらの別個の複数物である。
上述の医薬組成物は、投与の容易さと用量の均一性のために単位投与形で処方することが特に有利である。本明細書で使用され、ここで特許請求される単位投与形は、各単位が所望の治療効果をもたらすように計算された所定量の有効成分を必要とされる製薬担体とともに含有する、単位用量として適切な物理的に別個の単位を意味する。このような単位投与形の例は、錠剤(割線入り錠剤またはコーティング錠剤)、カプセル剤、丸剤、パウダーパケット、ウエハース、注射溶液または懸濁液、ティースプーン1さじ、テーブルスプーン1さじなど、およびそれらの別個の複数物である。
本発明の化合物は、その抗腫瘍活性を発揮するに十分な量で投与される。
当業者ならば、以下に示す試験結果から有効量を容易に決定することができる。一般に、治療上有効な量は0.005mg/kg〜100mg/kg体重、特に、0.005mg/kg〜10mg/kg体重であると考えられる。必要な用量を1日のうちに適当な間隔をおいて1回、2回、3回、4回またはそれを超える分割用量で投与することが適当であり得る。前記の分割用量は、例えば、単位投与形当たりに0.5〜500mg、特に1mg〜500mg、さらに特には10mg〜500mgの有効成分を含有する単位投与形として処方することができる。
投与様式に応じて、本医薬組成物は、好ましくは0.05〜99重量%、より好ましくは0.1〜70重量%、いっそうより好ましくは0.1〜50重量%の本発明の化合物と、1〜99.95重量%、より好ましくは30〜99.9重量%、いっそうより好ましくは50〜99.9重量%の薬学的に許容可能な担体とを含んでなる(パーセンテージは総て、組成物の総重量に基づくものである)。
本発明の別の側面として、特に医薬として使用するための、より具体的には、癌または関連の疾患の治療に使用するための、本発明の化合物と別の抗癌剤との組合せが意図される。
上記病態の治療のため、本発明の化合物は、1以上の他の医薬剤、より詳しくは、他の抗癌剤または癌治療におけるアジュバントと組み合わせて使用することが有利であり得る。
抗癌剤またはアジュバント(療法における補助薬剤)の例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる:
・白金錯体化合物、例えば、シスプラチン(場合によりアミフォスチン、カルボプラチンまたはオキサリプラチンと組み合わせてもよい);
・タキサン化合物、例えば、パクリタキセル、パクリタキセルタンパク質結合粒子(アブラキサン(商標))またはドセタキセル;
・トポイソメラーゼI阻害剤、例えば、カンプトテシン化合物、例えば、イリノテカン、SN−38、トポテカン、トポテカンhcl;
・トポイソメラーゼII阻害剤、例えば、抗腫瘍エピポドフィロトキシンまたはポドフィロトキシン誘導体、例えば、エトポシド、リン酸エトポシドまたはテニポシド;
・抗腫瘍ビンカアルカロイド、例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチンまたはビノレルビン;
・抗腫瘍ヌクレオシド誘導体、例えば、5−フルオロウラシル、ロイコボリン、ゲムシタビン、ゲムシタビンhcl、カペシタビン、クラドリビン、フルダラビン、ネララビン;
・アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタードまたはニトロソ尿素、例えば、シクロホスファミド、クロラムブシル、カルムスチン、チオテパ、メファラン(メルファラン)、ロムスチン、アルトレタミン、ブスルファン、ダカルバジン、エストラムスチン、イフォスファミド(場合によりメスナと組み合わせてもよい)、ピポブロマン、プロカルバジン、ストレプトゾシン、テロゾロミド、ウラシル;
・抗腫瘍アントラサイクリン誘導体、例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン(場合によりデクスラゾキサンと組み合わせてもよい)、ドキシル、イダルビシン、ミトキサントロン、エピルビシン、エピルビシンhcl、バルルビシン;
・IGF−1受容体を標的とする分子、例えば、ピクロポドフィリン;
・テトラカルシン(tetracarcin)誘導体、例えば、テトラカルシン(tetracarcin)A;
・グルココルチコイド、例えば、プレドニゾン;
・抗体、例えば、トラスツズマブ(HER2抗体)、リツキシマブ(CD20抗体)、ゲムツズマブ、ゲムツズマブ・オゾガマイシン、セツキシマブ、ペルツズマブ、ベバシズマブ、アレムツズマブ、エクリズマブ、イブリツモマブ・チウキセタン、ノフェツモマブ、パニツムマブ、トシツモマブ、CNTO328;
・エストロゲン受容体拮抗薬または選択的エストロゲン受容体調節薬またはエストロゲン合成阻害剤、例えば、タモキシフェン、フルベストラント、トレミフェン、ドロロキシフェン、ファスロデックス、ラロキシフェンまたはレトロゾール;
・アロマターゼ阻害剤、例えば、エキセメスタン、アナストロゾール、レトラゾール、テストラクトンおよびボロゾール;
・分化剤、例えば、レチノイド、ビタミンDまたはレチノイン酸およびレチノイン酸代謝遮断剤(RAMBA)、例えば、アキュテイン;
・DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、アザシチジンまたはデシタビン;
・葉酸拮抗剤、例えば、プレメトレキセド(premetrexed)二ナトリウム;
・抗生物質、例えば、アンチノマイシン(antinomycin)D、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、カルミノマイシン、ダウノマイシン、レバミゾール、プリカマイシン、ミトラマイシン;
・代謝拮抗物質、例えば、クロファラビン、アミノプテリン、シトシンアラビノシドまたはメトトレキサート、アザシチジン、シタラビン、フロクスウリジン、ペントスタチン、チオグアニン;
・アポトーシス誘発剤および抗血管新生剤、例えば、Bcl−2阻害剤、例えば、YC 137、BH 312、ABT 737、ゴシポール、HA 14−1、TW 37またはデカン酸;
・チューブリン結合剤、例えば、コンブレスタチン、コルヒチンまたはノコダゾール;
・キナーゼ阻害剤(例えば、EGFR(上皮増殖因子受容体)阻害剤、MTKI(マルチターゲットキナーゼ阻害剤)、mTOR阻害剤)、例えば、フラボペリドール(flavoperidol)、メシル酸イマチニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ダサチニブ、ラパチニブ、二トシル酸ラパチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、マレイン酸スニチニブ、テムシロリムス;
・ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えば、チピファルニブ;
・ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤、例えば、酪酸ナトリウム、ヒドロキサミン酸サブエロイルアニリド(SAHA)、デプシペプチド(FR 901228)、NVP−LAQ824、R306465、JNJ−26481585、トリコスタチンA、ボリノスタット;
・ユビキチン−プロテアソーム経路阻害剤、例えば、PS−341、MLN.41またはボルテゾミブ;
・ヨンデリス;
・テロメラーゼ阻害剤、例えば、テロメスタチン;
・マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤、例えば、バチマスタット、マリマスタット、プリノスタットまたはメタスタット;
・組換えインターロイキン、例えば、アルデスロイキン、デニロイキンディフチトクス、インターフェロンα2a、インターフェロンα2b、ペグインターフェロンα2b;
・MAPK阻害剤;
・レチノイド、例えば、アリトレチノイン、ベキサロテン、トレチノイン;
・三酸化ヒ素;
・アスパラギナーゼ;
・ステロイド、例えば、プロピオン酸ドロモスタノロン、酢酸メゲストロール、ナンドロロン(デカン酸、フェンプロピオン酸)、デキサメタゾン;
・ゴナドトロピン放出ホルモン拮抗薬または作用薬、例えば、アバレリクス、酢酸ゴセレリン、酢酸ヒストレリン、酢酸ロイプロリド;
・サリドマイド、レナリドマイド;
・メルカプトプリン、ミトタン、パミドロネート、ペガデマーゼ、ペグアスパラガーゼ、ラスブリカーゼ;
・BH3模倣薬、例えば、ABT−737;
・MEK阻害剤、例えば、PD98059、AZD6244、CI−1040;
・コロニー刺激因子類似体、例えば、フィルグラスチム、ペグフィルグラスチム、サルグラモスチム;エリスロポエチンまたはその類似体(例えば、ダルベポエチンα);インターロイキン11;オプレルベキン;ゾレドロネート、ゾレンドロン酸;フェンタニル;ビスホスホネート;パリフェルミン;
・ステロイド系シトクロムP450 17α−ヒドロキシラーゼ−17,20−リアーゼ阻害剤(CYP17)、例えば、アビラテロン、酢酸アビラテロン。
本発明の化合物はまた、腫瘍細胞を放射線療法および化学療法に増感させる上での治療適用も持つ。
従って、本発明の化合物は、「放射線増感剤」および/または「化学療法増感剤」として使用可能であるか、または別の「放射線増感剤」および/または「化学療法増感剤」と組み合わせて投与することもできる。
本明細書において用語「放射線増感剤」は、電磁放射線に対する細胞の感受性を高めるため、かつ/または電磁放射線で治療可能な疾患の治療を促進するために、治療上有効な量で動物に投与される分子、好ましくは、低分子量分子と定義される。
本明細書において用語「化学療法増感剤」は、化学療法に対する細胞の感受性を高めるため、かつ/または化学療法薬で治療可能な疾患の治療を促進するために、治療上有効な量で動物に投与される分子、好ましくは、低分子量分子と定義される。
放射線増感剤の作用様式についていくつかの機構が文献で提案されており、これには下記のものが含まれる:低酸素細胞放射線増感剤(例えば、2−ニトロイミダゾール化合物、およびベンゾトリアジンジオキシド化合物)は、酸素を模倣するか、あるいはまた低酸素症下で生物還元剤のように振る舞う;非低酸素細胞放射線増感剤(例えば、ハロゲン化ピリミジン)は、DNA塩基の類似体であり得、癌細胞のDNAに優先的に組み込まれ、それにより、放射線により誘発されるDNA分子の破断を促進し、かつ/または正常なDNA修復機構を妨げる;疾患の治療における放射線増感剤に関して、他の種々の可能性のある作用機構が仮定されている。
現行の多くの癌治療プロトコールが、X線照射とともに放射線増感剤を使用している。X線活性化放射線増感剤の例としては、限定されるものではないが、以下のもの:メトロニダゾール、ミソニダゾール、デスメチルミソニダゾール、ピモニダゾール、エタニダゾール、ニモラゾール、マイトマイシンC、RSU 1069、SR 4233、EO9、RB 6145、ニコチンアミド、5−ブロモデオキシウリジン(BUdR)、5−ヨードデオキシウリジン(IUdR)、ブロモデオキシシチジン、フルオロデオキシウリジン(FudR)、ヒドロキシ尿素、シスプラチン、ならびにその治療上有効な類似体および誘導体が挙げられる。
癌の光線力学療法(PDT)では、増感剤の放射線活性化因子として可視光を用いる。
光力学的放射線増感剤の例としては、限定されるものではないが以下のもの:ヘマトポルフィリン誘導体、フォトフリン、ベンゾポルフィリン誘導体、スズエチオポルフィリン、フェオボルビド−a、バクテリアクロロフィル−a、ナフタロシアニン、フタロシアニン、亜鉛フタロシアニン、ならびにその治療上有効な類似体および誘導体が挙げられる。
放射線増感剤は、限定されるものではないが、標的細胞への放射線増感剤の組み込みを促進する化合物;標的細胞への治療薬、栄養素および/または酸素の流入を制御する化合物;さらなる放射線を伴って、または伴わずに腫瘍で働く化学療法薬;または癌もしくは他の疾患を治療するための他の治療上有効な化合物を含む、治療上有効な量の他の1以上の化合物とともに投与することができる。
化学療法増感剤は、限定されるものではないが、標的細胞への化学療法増感剤の組み込みを促進する化合物;標的細胞への治療薬、栄養素および/または酸素の流入を制御する化合物;腫瘍で働く化学療法薬;または癌もしくは他の疾患を治療するための他の治療上有効な化合物を含む、治療上有効な量の他の1以上の化合物とともに投与することができる。カルシウム拮抗薬、例えば、ベラパミルは、受け取られた化学療法薬に対して耐性のある腫瘍細胞において化学療法感受性を確立するため、また、薬物感受性悪性腫瘍においてこのような化合物の有効性を増強するために、抗悪性腫瘍薬と組み合わせると有用であることが分かっている。
本発明による組合せの成分、すなわち、1以上の他の医薬剤と本発明による化合物は、それらの有用な薬理特性を考慮して、投与目的の種々の医薬形態に処方することができる。これらの成分は、個々の医薬組成物として個別に処方してもよいし、または総ての成分を含有する単一医薬組成物として処方してもよい。
従って、本発明はまた、1以上の他の医薬剤および本発明による化合物を製薬担体とともに含んでなる医薬組成物に関する。
本発明はさらに、腫瘍細胞の成長を阻害するための医薬組成物の製造における、本発明による組合せの使用に関する。
本発明はさらに、第一の有効成分としての本発明による化合物、およびさらなる有効成分としての1以上の抗癌剤を含有する、癌に罹患している患者の治療において同時使用、個別使用または逐次使用するための組合せ製剤としての製品に関する。
これら1以上の他の医薬剤と本発明による化合物は、同時に(例えば、別個の組成物または単一の組成物として)投与してもよいし、またはいずれかの順序で逐次投与してもよい。後者の場合、2種類以上の化合物が、有利な作用または相乗作用が達せられるように十分な期間内に、十分な量および様式で投与される。組合せの各成分の好ましい投与方法および投与順序、ならびに個々の用量および投与計画は、投与する特定の他の医薬剤および本発明の化合物、それらの投与経路、治療する特定の腫瘍および治療する特定の宿主によって異なる。最適な投与方法および投与順序、ならびに用量および投与計画は、当業者ならば、従来の方法を用い、本明細書に示されている情報を考慮して容易に決定することができる。
組合せとして与える場合の、本発明による化合物と1以上の他の抗癌剤の重量比は、当業者により決定可能である。前記の比および厳密な用量および投与頻度は、当業者には周知であるように、本発明による特定の化合物および使用する他の抗癌剤、治療する特定の病態、治療する病態の重篤度、特定の患者の年齢、体重、性別、食事、投与時間および健康状態、投与様式、ならびにその個体が受けている可能性のある他の投薬によって異なる。さらに、この有効一日量は、治療を受けた被験体の応答に応じて、かつ/または本発明の化合物を指示する医師の評価に応じて、引き下げても引き上げてもよいということは明らかである。式(I)の本化合物と別の抗癌剤の特定の重量比は、1/10〜10/1、より特には1/5〜5/1、いっそうより特には1/3〜3/1の範囲であり得る。
白金錯体化合物は有利には、1治療クールにつき、1〜500mg/平方メートル(mg/m2)体表面積、例えば、50〜400mg/m2の用量、特に、シスプラチンでは約75mg/m2、カルボプラチンでは約300mg/m2の用量で投与する。
タキサン化合物は有利には、1治療クールにつき、50〜400mg/平方メートル(mg/m2)体表面積、例えば、75〜250mg/m2の用量、特に、パクリタキセルでは約175〜250mg/m2、ドセタキセルでは約75〜150mg/m2の用量で投与する。
カンプトテシン化合物は有利には、1治療クールにつき、0.1〜400mg/平方メートル(mg/m2)体表面積、例えば、1〜300mg/m2の用量、特にイリノテカンでは約100〜350mg/m2、トポテカンでは約1〜2mg/m2の用量で投与する。
抗腫瘍ポドフィルトキシン誘導体は有利には、1治療クールにつき、30〜300mg/平方メートル(mg/m2)体表面積、例えば、50〜250mg/m2の用量で、特に、エトポシドでは約35〜100mg/m2、テニポシドでは約50〜250mg/m2の用量で投与する。
抗腫瘍ビンカアルカロイドは有利には、1治療クールにつき、2〜30mg/平方メートル(mg/m2)体表面積の用量で、特に、ビンブラスチンでは約3〜12mg/m2の用量、ビンクリスチンでは約1〜2mg/m2の用量、ビノレルビンでは約10〜30mg/m2の用量で投与する。
抗腫瘍ヌクレオシド誘導体は有利には、1治療クールにつき、200〜2500mg/平方メートル(mg/m2)体表面積、例えば、700〜1500mg/m2の用量で、特に、5−FUでは200〜500mg/m2の用量、ゲムシタビンでは約800〜1200mg/m2の用量、カペシタビンでは約1000〜2500mg/m2の用量で投与する。
ナイトロジェンマスタードまたはニトロソ尿素などのアルキル化剤は有利には、1治療クールにつき、100〜500mg/平方メートル(mg/m2)体表面積、例えば、120〜200mg/m2の用量で、特に、シクロホスファミドでは約100〜500mg/m2の用量、クロラムブシルでは約0.1〜0.2mg/kgの用量、カルムスチンでは約150〜200mg/m2の用量、ロムスチンでは約100〜150mg/m2の用量で投与する。
抗腫瘍アントラサイクリン誘導体は有利には、1治療クールにつき、10〜75mg/平方メートル(mg/m2)体表面積、例えば、15〜60mg/m2の用量で、特に、ドキソルビシンでは約40〜75mg/m2の用量、ダウノルビシンでは約25〜45mg/m2の用量、イダルビシンでは約10〜15mg/m2の用量で投与する。
抗エストロゲン作用薬は有利には、特定の薬剤および治療する病態に応じて1日約1〜100mgの用量で投与する。タモキシフェンは有利には、1日2回、5〜50mg、好ましくは10〜20mgの用量で経口投与し、治療効果を達成および維持するのに十分な期間治療を継続する。トレミフェンは有利には、1日1回、約60mgの用量で経口投与し、治療効果を達成および維持するのに十分な期間治療を継続する。アナストロゾールは有利には、1日1回、約1mgの用量で経口投与する。ドロロキシフェンは有利には、1日1回、約20〜100mgの用量で経口投与する。ラロキシフェンは有利には、1日1回、約60mgの用量で経口投与する。エキセメスタンは有利には、1日1回、約25mgの用量で経口投与する。
抗体は有利には、約1〜5mg/平方メートル(mg/m2)体表面積の用量で、異なる場合には当技術分野で公知のように投与する。トラスツズマブは有利には、1治療クールにつき、1〜5mg/平方メートル(mg/m2)体表面積、特に、2〜4mg/m2の用量で投与する。これらの用量は1治療クールにつき、例えば、1回、2回またはそれを超える回数投与してもよく、これを例えば7日、14日、21日または28日ごとに繰り返すことができる。
式(I)の化合物、薬学的に許容可能な付加塩、特に、薬学的に許容可能な酸付加塩、およびその立体異性形は、標識化合物と他の分子、ペプチド、タンパク質、酵素または受容体との間の複合体の形成を検出または同定するために使用可能であるという点で、有用な診断特性を持ち得る。
これらの検出または同定方法は、放射性同位体、酵素、蛍光物質、発光物質などの標識剤で標識された化合物を使用することができる。放射性同位体の例としては、125I、131I、3Hおよび14Cが挙げられる。酵素は通常、適当な基質とコンジュゲートし、これにより検出可能な反応を触媒することで検出可能となる。その例としては、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、ペルオキシダーゼおよびリンゴ酸デヒドロゲナーゼ、好ましくは、セイヨウワサビペルオキシダーゼが挙げられる。発光基質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、エクオリンおよびルシフェラーゼが挙げられる。
生体サンプルは身体組織または体液と定義することができる。体液の例は、脳脊髄液、血液、血漿、血清、尿、痰、唾液などである。
一般合成経路
以下、実施例により本発明を説明するが、これらは単に例に過ぎず、特許請求の範囲を何ら限定するものではない。
実験の部
以下、用語「ACN」またはCH3CNはアセトニトリルを意味し、「DCM」はジクロロメタンを意味し、「K2CO3」は炭酸カリウムを意味し、「Cs2CO3」は炭酸セシウムを意味し、「Na2CO3」は炭酸ナトリウムを意味し、「MgSO4」は硫酸マグネシウムを意味し、「Na2SO4」は硫酸ナトリウムを意味し、「MeOH」または「CH3OH」はメタノールを意味し、「EtOH」はエタノールを意味し、「EtOAc」は酢酸エチルを意味し、「Et3N」はトリエチルアミンを意味し、「THF」はテトラヒドロフランを意味し、「NH4Cl」は塩化アンモニウムを意味し、「NaI」はヨウ化ナトリウムを意味し、「NaOH」は水酸化ナトリウムを意味し、「NaCl」は塩化ナトリウムを意味し、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドを意味し、「NaH」は水素化ナトリウム(鉱油中60%分散物)を意味し、「Pd(OAc)2」は酢酸パラジウム(II)(47%Pd)を意味し、「PdCl2(dppf).CH2Cl2」は1,1’−ビス(ジフェニル−ホスフィノフェロセン−パラジウム(II)ジクロリドジクロロメタン複合体を意味し、「KOH’は水酸化カリウムを意味し、「CO2」は二酸化炭素を意味し、「Et2O」はジエチルエーテルを意味し、「DMSO」はジメチルスルホキシドを意味し、「HCl」は塩酸を意味し、「SiO2」または「SiOH」はシリカを意味し、「N2」は窒素を意味し、「MP」は融点を意味し、「rt」は室温を意味し、「CHCl3」はクロロホルムを意味し、「POCl3」はオキシ塩化リンを意味し、「DiPEA」はN,N−ジイソプロピルエチルアミンを意味し、「Ni」はラネーニッケル(水中50%スラリー)を意味し、「NaHCO3」は炭酸水素ナトリウムを意味し、「TFA」はトリフルオロ酢酸を意味し、「DMAP」は4−ジメチルアミノピリジンを意味し、「NaBH4」は水素化ホウ素ナトリウムを意味し、「LiCl」は塩化リチウムを意味し、「Ruphos」は2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジイソプロポキシビフェニルを意味し、「pH」は水素イオン指数を意味し、「H2」は水素を意味し、「AlCl3」は三塩化アルミニウムを意味し、「h」は時間を意味し;「mn」は分を意味し;「Xantphos」は4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテンを意味し、「M.P.」は融点を意味し;「DSC」は示差走査熱量測定を意味する。
本発明の化合物には、塩形態もしくは水和物として得られたもの、または少量の溶媒を含有するものがある。以下、これらの化合物は元素分析に基づいて同定されるものとして報告する。
A.中間体の製造 実施例A1
a)中間体1の製造
アルゴン雰囲気下、エタノール(210ml)中、5−アミノ−2−メトキシピリジン(62.2g、501mmol)の溶液に、メルドラム酸(108g、752mmol)およびオルトギ酸トリエチル(108ml、651mmol)を加えた。この混合物を80℃で3時間撹拌した後、室温まで冷却し、一晩撹拌した。沈殿を濾別し、エタノール(2×200ml)で洗浄した後、乾燥させて138g(99%)の中間体1を得、これをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。
b)中間体2の製造
220℃にて、中間体1(13.6g、49.6mmol)をジフェニルエーテル(100ml、630mmol)に少量ずつ加えた。この溶液を10分間還流下で撹拌した後、室温まで冷却した。合わせた沈殿固体を濾別し、ジエチルエーテル(2×500ml)で洗浄し、45.6gの淡褐色固体を得た。この固体をジエチルエーテル(2×500ml)で摩砕し、濾別し、真空下で乾燥させて44g(50%)の中間体2を得、これをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。
c)中間体3の製造
室温にて、酢酸(800ml)中、中間体2(44g、250mmol)の溶液に、N−ブロモスクシンイミド(57.8g、325mmol)を加えた。この混合物を2時間撹拌し、濾過し、酢酸(100ml)およびジエチルエーテル(2×500ml)で順次洗浄した後、乾燥させて58.2g(91%、ベージュの固体)の中間体3を得、これをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。
d)中間体4の製造
クロロホルム(213ml)中、中間体3(58.2g、228mmol)の混合物に、塩化ホスホリル(213ml、2282mmol)を加えた。この溶液を3時間還流し、乾固するまで濃縮し、真空下で乾燥させた。得られた固体を1M水酸化ナトリウム水溶液(300ml)で注意深く塩基性とし、水(300ml)で希釈し、酢酸エチル(6×500ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して54.0g(87%)の中間体4を得、これをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。
e)中間体5の製造
1,4−ジオキサン(400ml)と水(120ml)の混合物中、中間体4(31.4g、115mmol)、1−メチルピラゾール−4−ボロン酸ピナコールエステル(25.1g、121mmol)、炭酸ナトリウム(36.5g、344mmol)の溶液を脱気し、アルゴンを充填した(操作を3回繰り返した)。PdCl
2(dppf).CH
2Cl
2(4.68g、5.74mmol)を加え、得られた混合物を脱気し、アルゴンを充填し(操作を2回繰り返した)、110℃で16時間撹拌した。室温まで冷却した後、この反応混合物に酢酸エチル(500ml)および水(500ml)を加えた。層を分離し、水層を酢酸エチル(2×400ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。残渣にジエチルエーテル(500ml)中で音波処理を施し、ガラスフリットで濾過し、ジエチルエーテル(2×200ml)で洗浄し、真空下で乾燥させ、29.2g(93%)の中間体5を得た。
触媒量のラネーニッケル(水中50%スラリー、1.68g、28.6mmol)をエタノールで2回洗浄し、デカントした後に回収した。この触媒量を、エタノール(700ml)、テトラヒドロフラン(500ml)および1M NaOH(114ml、114mmol)の混合物中、中間体5(26.2g、95.4mmol)の溶液に加えた。この混合物をパージし、水素雰囲気(1バール)下、50℃で16時間撹拌した。さらなる量のラネーニッケル(水中50%スラリー、1.68g、28.6mmol)を加え、この反応混合物をパージし、水素雰囲気(1バール)下、50℃で24時間撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、セライトで濾過し、テトラヒドロフラン(500ml)で洗浄し、濃縮した。残渣をジエチルエーテル(500ml)中で摩砕し、沈殿を濾別し、ジエチルエーテル(100ml)で洗浄した。得られた生成物をシリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相、96%DCM、4%MeOHから94%DCM、6%MeOHへの勾配)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させ、9.05g(39%)の中間体6を得た。
反応を3バッチ(3×21.2g)で並行して行った。
触媒量のラネーニッケル、水中50%nスラリー(2.72g;46.3mmol)をエタノールで2回洗浄し、デカンテーション後に回収した。この触媒量を、EtOH(400mL)、THF(400mL)およびNaOH 1M(81.3mL;81.3mmol)の混合物中、中間体5(21.2g;77.3mmol)の溶液に加えた。この混合物をパージし、水素雰囲気(1バール)下、50℃で90時間撹拌した。3つの反応物を合わせ、得られた混合物を室温まで冷却し、セライト(商標)パッドで濾過し、EtOH(1000mL)、次いで、THF(300mL)で洗浄し、濃縮した。残渣(63.9g、褐色固体)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:石油エーテル/酢酸エチル 50/50から0/100)により数回精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させ、31.2g(56%、ベージュの固体)の中間体6を得た。
g)中間体7の製造
1,4−ジオキサン(200ml)中、中間体6(9.0g、37.6mmol)の溶液に、6M HCl水溶液(94ml、564mmol)を加えた。この混合物を80℃で3時間撹拌し、室温まで冷却し、濃縮した。残渣を水、ジクロロメタンおよびメタノール(300ml;3/2/1)の混合物に懸濁させた。この混合物を3N NaOH水溶液でpH=9まで塩基性化し、得られた溶液を濃縮して13.7g(161%)の中間体7を得、これをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。
ジオキサン(85mL)中、中間体6(4.26g;17.7mmol)の溶液に、6M HCl水溶液(44mL;266mmol)を加えた。この混合物を80℃で3時間撹拌し、室温まで冷却し、飽和炭酸カリウム水溶液(300mL)で急冷した。沈殿した固体を濾別、水(400mL)およびEt2O(200mL)で洗浄し、画分A(水和した中間体7)を得た。濾液をCH2Cl2/MeOHの9/1混合物(4×1L)で抽出した。合わせた有機層に画分Aを加えた。得られた混合物を蒸発させた。得られた固体をメタノールに懸濁させ、濃縮して5.22gの中間体7を得、これをそのまま次の工程で用いた。
クロロホルム(200ml)中、中間体7(粗13.7g、最大37.6mmol)の懸濁液に、塩化ホスホリル(200ml、2146mmol)を加えた。この反応混合物を16時間還流し、室温まで冷却し、濃縮した。得られた固体をジクロロメタン/メタノール 95/5(300ml)の混合物に溶かし、0℃にて3M水酸化ナトリウム水溶液(60ml)でゆっくり塩基性とし、水(100ml)で希釈した。水層をジクロロメタン/メタノール 95/5の混合物(2×150ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られた残渣をジクロロメタンおよびメタノール(400ml;3/1)の混合物に溶解さ、シリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相、97%DCM、3%MeOHから95%DCM、5%MeOHへの勾配)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させて6.15g(67%)の中間体8を得、これをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。
中間体8はまた次のように製造した。
CHCl
3(19mL)中、中間体7(4.5g;19.9mmol)の懸濁液に、POCl
3(18.5mL;199mmol)を加えた。この反応混合物を3時間還流し、室温まで冷却し、濃縮した。得られた固体をDCM/MeOH 97/3の混合物(500mL)に溶かし、1M水酸化ナトリウム水溶液(500mL)で洗浄した。水層をDCM/MeOH 97/3の混合物(2×250mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、3.61g(74%、黄色固体)の中間体8を得た。
i)中間体9の製造
1−プロパノール(70ml)中、中間体8(1.0g、4.1mmol)の溶液に、3,5−ジメトキシアニリン(1.25g、8.2mmol)を加えた。この反応混合物を16時間還流した。得られた沈殿を濾別し、1−プロパノール(15ml)、ジエチルエーテル(20ml)ですすぎ、真空下で乾燥させ、1.02g(69%)の中間体9を得た。
濾液を減圧下で乾固するまで濃縮した。残渣をジクロロメタンおよびメタノールの混合物(50ml;4/1)に溶解させ、シリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相、96%DCM、4%MeOHから94%DCM、6%MeOHの勾配)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させ、0.456g(31%)の中間体9を得た。
中間体9の別の製造
反応は同量で5回並行して行った。
NMPおよび1,4−ジオキサン(15.0ml)の50/50(v/v)混合物中、中間体8(0.72g、2.9mmol)、3,5−ジメトキシアニリン(0.9g、5.9mmol)、炭酸セシウム(4.8g、14.7mmol)および2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(0.366g、0.59mmol)の混合物に、酢酸パラジウム(II)(0.069g、0.1mmol)を加えた。この混合物をマイクロ波照射下、150℃で30分間撹拌し、濃縮した。合わせた5回の実験の残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相:100%DCMから96%DCM、4%MeOHへの勾配)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させ、4.57g(86%)の粗中間体9を得た。サンプル(0.4g)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相:100%DCMから98%DCM、2%MeOHへの勾配)により精製した。目的画分を回収し、溶媒を蒸発させ、0.187gの緑色固体(MP:229〜230℃)を得た。
実施例A2
中間体10の製造
反応はアルゴン雰囲気下、無水条件で行った。0℃にて、ジメチルホルムアミド(50ml)中、中間体9(2.0g、5.5mmol)の溶液に、NaH(鉱油中60%、0.332g、8.30mmol)を加えた。この混合物を0℃で40分間撹拌した後、0℃にて、(2−ブロモエトキシ)−tert−ブチル−ジメチルシラン(1.78ml、8.3mmol)を加えた。この混合物を0℃で1時間、および室温で一晩撹拌した。氷水(800g)を加え、この混合物を酢酸エチル(1×800mlおよび2×400ml)で抽出した。合わせた有機層をブライン(3×400ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して3.17g(110%)の中間体10を得、これをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。
実施例A2a
中間体51の製造
0℃にて、DMF(2mL)中、中間体52(0.050g;0.140mmol)の混合物に、NaH(11.2mg;0.279mmol)を加えた。この混合物を0℃で30分間撹拌した後、0℃にて(2−ブロモエトキシ)−tert−ブチルジメチルシラン(6μL;0.279mmol)を加えた。この混合物を0℃で30分間および室温で72時間撹拌した。0℃にて、NaH(11.2mg;0.279mmol)を追加した。この混合物を0℃で30分間撹拌し、(2−ブロモエトキシ)−tert−ブチルジメチルシラン(6μL;0.279mmol)を加えた。この混合物を0℃で30分間および室温で65時間撹拌した。氷水(5mL)を加え、混合物をEtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(3×10mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(0.118g)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH:99/1から98/2)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させ、0.04g(56%、黄色固体)の中間体51を得た。
実施例A3
中間体12の製造
反応はアルゴン雰囲気下、無水条件で行った。
0℃にて、ジクロロメタン(2.10ml)中、化合物1(0.104g、0.26mmol)、トリエチルアミン(0.083ml、0.59mmol)および4−ジメチル−アミノピリジン(0.004g、0.031mmol)の混合物に、塩化メタンスルホニル(0.04ml、0.51mmol)を滴下した。この混合物を0℃で10分間および室温で一晩撹拌した。氷水(25ml)を加え、混合物をジクロロメタン(4×25ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。水層を濃縮乾固させて0.153g(123%)の中間体12を得、これをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。
実施例A4
中間体13の製造
反応はアルゴン雰囲気下、無水条件で行った。0℃にて、N,N−ジメチルホルムアミド(12.7ml)中、中間体9(1.60g、4.43mmol)の溶液に、NaH(鉱油中60%、0.355g、8.86mmol)を少量ずつ加えた。この混合物を0℃で30分間撹拌し、3−ブロモ−1−トリメチルシリル−1−プロピン(2.03ml、12.4mmol)を滴下した。この混合物を0℃で3時間撹拌した。水(450ml)を加え、混合物を酢酸エチル(4×200ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(6.12g)をシリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相、100%DCMから95%DCM、5%MeOHへの勾配)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させ、1.60g(77%)の中間体13を得た。
実施例A5
a)中間体14の製造
室温にて、1,4−ジオキサン(30ml)中、中間体5(1.8g、6.55mmol)の溶液に、6M HCl溶液(16.4ml、98.3mmol)を加えた。この反応混合物を80℃で16時間加熱した。この反応混合物を3M NaOH溶液(35ml)で塩基性とし(pH=8)、DCMおよびMeOHの9/1混合物で抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させた。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(40〜63μm、移動相、100%DCMから85%DCM、15%MeOHへの勾配)により精製した。生成物画分を蒸発乾固させ、1.17g(68%)の中間体14を得た。
b)中間体15の製造
室温にて、クロロホルム(16ml)中、中間体14(1.2g、4.6mmol)の溶液に、塩化ホスホリル(16ml、172mmol)を加えた。この反応混合物を16時間還流させ、室温まで冷却し、濃縮乾固させた。残渣をDCMおよびMeOH(30ml)の95/5混合物に溶かし、0℃に冷却し、3M NaOH溶液(10ml)で注意深く塩基性とした。この混合物を水(10ml)で希釈し、DCMおよびMeOHの95/5混合物で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させた。得られた固体をEt
2O(50ml)中で摩砕し、濾過し、Et
2Oですすぎ、真空下で乾燥させ、1.15g(89%)の示された中間体を得た。
c)中間体16の製造
1−プロパノール(30ml)中、2,8−ジクロロ−7−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1,5−ナフチリジン(1.07g、3.83mmol)の懸濁液に、3,5−ジメトキシアニリン(587mg、3.83mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.34ml、7.67mmol)を加えた。この混合物を16時間還流した。3,5−ジメトキシアニリン(176mg、1.15mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.34ml、7.67mmol)を再び加え、この混合物を4時間還流した。3,5−ジメトキシアニリン(176mg、1.15mmol)を加え、この混合物を16時間還流し、室温まで冷却した。沈殿を濾別し、EtOHで洗浄し、真空下で乾燥させた。この固体を飽和NaHCO
3水溶液(100ml)に溶かし、DCMおよびMeOHの9/1混合物で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させ、真空下で16時間乾燥させて840mg(55%)の中間体16を得、これをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。
d)中間体17の製造
0℃にて、DMF(7.5ml)中、中間体16(300mg、0.76mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%、91mg、2.3mmol)を加えた。この混合物を0℃で45分間撹拌し、(3−ブロモプロポキシ)−tert−ブチルジメチルシラン(0.264ml、1.14mmol)を加えた。この混合物を0℃で2時間および室温で一晩撹拌した。水を加え、および混合物をDCMで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させて616mgの中間体17を得、これをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。
実施例A6
中間体30の製造
0℃にて、THF(8mL)中、2,6−ジフルオロアニリン(0.369mL;3.43mmol)の溶液に、THF中1Mのカリウムビス(トリメチルシリル)アミド(6.29mL;6.29mmol)を加えた。この混合物を0℃で1時間撹拌し、中間体8(0.700g;2.86mmol)を加えた。この混合物を0℃で2時間および室温で一晩撹拌した。水(200mL)を加え、混合物をEtOAc(3×100mL)で抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(1g、褐色固体)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:100%DCMから99%DCM、1%MeOHへ)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させ、0.901g(93%)の中間体30を得た。MP:209℃(DSC)。
実施例A7
a)中間体35の製造
0℃にて、ジクロロエタン(150mL)中、3,5−ジメトキシアニリン(3.08g;20.1mmol)および1−boc−4−ピペリドン(4.00g;20.1mmol)の混合物に、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(6.82g;32.2mmol)および酢酸(0.6mL)を加えた。この混合物を室温で65時間撹拌した。氷水(150mL)および飽和K
2CO
3水溶液(400mL)を加え、この混合物をDCM(4×200mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、6.80g(100%、白色固体)の中間体35を得た。この生成物をそのまま次の工程で用いた。
b)中間体34の製造
ジオキサン(6mL)中、中間体8(0.40g;1.63mmol)、中間体35(0.77g;2.28mmol)、Cs
2CO
3(1.59g;4.89mmol)およびRuphos(0.01g;0.02mmol)の混合物に、Pd(OAc)
2(0.02g;0.08mmol)を加えた。この混合物を100℃で一晩加熱した。水(200mL)を加え、この混合物をDCM(4×150mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH 100/0から95/5へ)により精製した。生成物画分を回収し、濃縮し、0.30gの中間体34(純度12%、88%の中間体8が混入)を得た。
実施例A8
a)中間体38の製造
5℃にてN
2流下、MeOH(45mL)中、4−ホルミル−N,N−ジメチル−1H−イミダゾール−1−スルホンアミド(CAS140174−48−7)(4.45g;21.9mmol)の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(0.994g;26.28mmol)を加えた。次に、この反応混合物を室温で2時間撹拌し、氷水に注ぎ、DCMで抽出し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。残渣をEt
2Oから結晶化させた。沈殿を濾過し、乾燥させて2.5g(56%)の中間体38を得た。M.P.:99℃(Kofler)。
b)中間体37の製造
0℃にて、THF(6mL)中、中間体38(0.550g;2.68mmol)およびEt
3N(0.747mL;5.36mmol)の溶液に、塩化メタンスルホニル(0.249mL;3.22mmol)およびLiCl(0.341g;8.04mmol)を加えた。この混合物を0℃で1時間および室温で3時間撹拌した。水(100mL)を加え、この混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(75mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮して0.597g(100%、結晶化傾向のある黄色油状物)(4℃で保存)の中間体37を得た。この生成物をそのまま次の工程で用いた。
実施例A9
中間体39の製造
5℃にてN
2流下、DCM(75mL)中、(R)−(−)5−(ヒドロキシメチル)−2−ピロリジノン(CAS66673−40−3)(5g;43.43mmol)の溶液に、Et
3N(7.46mL;52.11mmol)、塩化p−トルエンスルホニル(9.94g;52.11mmol)およびDMAP(531mg;4.34mmol)を順次加えた。この反応混合物を室温で2時間撹拌した。1N HCl水溶液を加えた。この混合物をDCMで抽出した(3回)。有機層をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発乾固させた。残渣をACNに溶かし、濾過し、Et
2Oで洗浄し、乾燥させ、8.44g(72%)の中間体39を得た。
実施例A10
中間体41の製造
0℃にて、DMF(13mL)中、中間体33(0.5g;1.32mmol)の溶液に、NaH(0.105g;2.64mmol)を加えた。この混合物を0℃で45分間撹拌し、1H−1,2,4−トリアゾール−3−メタノール,1−(トリフェニルメチル)−,3−メタンスルホネート(CAS:163009−16−3)(1.11g;2.64mmol)を少量ずつ加えた。この混合物を0℃で30分間および室温で16時間撹拌した。EtOAc(100mL)を加え、この混合物をブライン(3×100mL)で洗浄した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(1.54g、橙色泡沫)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH 99/1から95/5)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させ、0.785g(85%、黄色泡沫)の中間体41を得た。
実施例A11
a)中間体43の製造
ACN(25mL)中、1−H−ピラゾール−3−カルバルデヒド(2.5g;26.02mmol)およびトリエチルアミン(5.96mL;41.63mmol)の溶液に、塩化ジメチルスルファモイル(3.09mL;28.62mmol)を加え、この反応混合物を50℃で一晩撹拌した。この反応混合物を氷水に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(Irregular SiOH、15〜45μm、80g;移動相:99%DCM、1%MeOH)により精製した。生成物画分を回収し、蒸発乾固させ、4.42gの中間体43(84%)を得た。
b)中間体44の製造
5℃にて、MeOH(50mL)中、中間体43(4.42g;21.75mmol)の溶液に、水素化ホウ素ナトリウム(987.41mg;26.1mmol)を少量ずつ加えた。次に、この反応混合物を室温で2時間撹拌し、氷水に注ぎ、DCMで抽出し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。粗生成物をEt
2Oに溶かした。沈殿を濾過し、乾燥させ、3.04gの中間体44(73%)を得た。
c)中間体45の製造
5℃にてN
2流下、THF(75mL)中、中間体44(3.04g;14.82mmol)の溶液に、トリエチルアミン(4.24mL;29.63mmol)、塩化メタンスルホニル(1.38mL;17.78mmol)および塩化リチウム(1.88g;44.45mmol)を順次加え、この反応混合物を室温で4時間撹拌した。この反応混合物を氷水に注ぎ、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO
4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させ、3.82gの中間体45を得、これをそれ以上精製せずに次の工程で用いた。
実施例A12
a)中間体57の製造
6−メトキシ−1,7−ナフチリジン−4(1H)−オン(CAS952059−64−2)(19.2g;66.2mmol)を、加熱することにより酢酸(300mL)に可溶化させ、N−ブロモスクシンイミド(17.7g;99.2mmol)を加えた。この混合物を室温で1時間撹拌した。得られた黄色沈殿を濾別し、酢酸(2×100mL)およびEt
2O(2×200mL)で順次洗浄して16.3g(96%、淡黄色固体)の中間体57を得、これをそのまま次の工程で用いた。
b)中間体58の製造
反応は2バッチの中間体57(16.3g;63.9mmol)および(10.1g;39.6mmol)で行った。
クロロホルム(160mL)中、中間体57(16.3g;63.9mmol)の混合物に、POCl3(160mL;1.72mol)を加えた。この溶液を還流下で2時間撹拌し、濃縮し、真空下で乾燥させた。得られた固体をEtOAc(300mL)に溶かし、0℃に冷却し、3M NaOH水溶液(250mL)で注意深く塩基とした。次に、得られた混合物を水(200mL)で希釈し、EtOAc(3×400mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、他のバッチ(10.1gの中間体57から)と合わせ、濃縮して26.5g(全体の収率94%、淡黄色固体)の中間体58を得、これをそのまま次の工程で用いた。
c)中間体59の製造
反応は2バッチの中間体58(21.5g;78.6mmol)および(9.8g;358mmol)で行った。
ジオキサン(510mL)と水(210mL)の混合物中、中間体58(21.5g;78.6mmol)、1−メチルピラゾール−4−ボロン酸ピナコールエステル(17.2g;82.5mmol)、Na2CO3(25g;236mmol)の溶液を脱気し、アルゴンを再充填した(操作を3回繰り返した)。PdCl2(dppf).CH2Cl2(3.21g;3.93mmol)を加え、得られた混合物を脱気し、アルゴンを再充填し(操作を2回繰り返した)、110℃で16時間撹拌した。室温まで冷却し、溶液を濃縮した後、残渣を他のバッチ(9.8gから)と合わせた。EtOAc(800mL)とMeOH(100mL)の混合物を加えた。有機層を飽和NaHCO3水溶液(500mL)および水(300mL)で洗浄した。層を分離し、水層をEtOAcとMeOHの混合物(9/1;3×300mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固させた。得られた固体をEt2O(500mL)で摩砕し、濾別し、Et2O(200mL)ですすぎ、29.3g(全体の収率93%、赤褐色固体)の中間体59を得た。M.P.:180℃(DSC)。
d)中間体60の製造
触媒量のラネーニッケル、水中50%スラリー(1.88g;32.0mmol)をEtOHで2回洗浄し、デカンテーション後に回収した。この触媒量を、EtOH(500mL)、THF(500mL)およびNaOH 1N(112mL;112mmol)の混合物中、中間体59(29.3g;107mmol)の溶液に加えた。この混合物をパージし、水素雰囲気(1バール)下、50℃で65時間撹拌した。この混合物を室温まで冷却し、セライト(商標)パッドで濾過し、THFとEtOHの混合物(1/1;400mL)で洗浄し、濃縮した。残渣(褐色固体)をシリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:98%DCM、2%MeOHから95%DCM、5%MeOHへ)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させた。得られた固体(16.5g、橙色固体)をEt
2O(300mL)中で摩砕し、濾別し、Et
2O(100mL)で洗浄し、13.15g(51%、ベージュの固体)の中間体60を得た。M.P.:161℃(DSC)。
e)中間体61の製造
室温にて、1,2−ジクロロエタン(300mL)中、中間体60(5g;20.8mmol)の溶液に、AlCl
3(16.6g;125mmol)を一度に加えた。この反応混合物を還流下で1時間撹拌し、室温まで冷却した。MeOH(500mL)を加えた。この混合物を減圧下で濃縮し、MeOHとDCMの混合物(8/2;1L)に溶かし、シリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:95%DCM、5%MeOHから80%DCM、20%MeOHへ)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させて13.8g(褐色固体)の中間体61を得、そのまま次の工程で用いた。
f)中間体62の製造
室温にて、DCM(400mL)とDMF(100mL)の混合物中、中間体61(13.8g;20.8mmol)およびEt
3N(43.5mL;312mmol)の懸濁液に、N−フェニル−ビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)(14.9g;41.6mmol)を加えた。この反応混合物を室温で65時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣をEtOAc(500mL)とブライン(500mL)の混合物に溶かし、セライト(商標)パッドで濾過し、EtOAc(200mL)およびブライン(200mL)ですすいだ。層を分離し、水層をEtOAc(2×200mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(25.2g、褐色油状物)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:100%DCMから96%DCM、4%MeOHへ)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させた。得られた残渣(3.5g、淡褐色油状物)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:100%DCMから98%DCM、2%MeOHへ)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させ、1.02g(中間体60から2段階で14%、ベージュの固体)の中間体62を得た。
g)中間体63の製造
反応は2バッチの中間体62(0.57g;1.58mmol)および(0.42g;1.17mmol)で行った。
トルエン(40mL)中、中間体62(0.57g;1.58mmol)、3,5−ジメトキシアニリン(0.29g;1.89mmol)、Cs2CO3(1.54g;4.73mmol)およびxantphos(0.05g;0.08mmol)の溶液を脱気し、アルゴンを再充填した(操作を3回繰り返した)。Pd2dba3(0.04g;0.047mmol)を加えた。得られた混合物を脱気し、アルゴンを再充填し(操作を2回繰り返した)、110℃で16時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣を水(100mL)とDCM(100mL)の混合物に溶かした。層を分離し、水層をDCM(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。2バッチからの残渣を合わせ、得られた残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH 99/1から97/3)により精製した。生成物画分を回収し、濃縮した。得られた固体をEt2O(30mL)中で摩砕し、濾別し、Et2O(10mL)ですすぎ、真空下で乾燥させ、0.66g(全体の収率63%)の中間体63を得た(M.P.:208℃(DSC)。
実施例A13
a)中間体64の製造
それぞれ0.938gおよび0.100gの中間体62に対して行った2回分の反応物を後処理のために合わせた。合成を以下に記載する。
トルエン(65mL)とジオキサン(20mL)の混合物中、中間体62(0.938g;2.62mmol)、2,6−ジフルオロ−3,5−ジメトキシアニリン(0.990g;5.24mmol)、Cs2CO3(4.26g;13.1mmol)およびxantphos(0.151g;0.26mmol)の溶液を脱気し、アルゴンを再充填した(操作を3回繰り返した)。Pd2dba3(0.144g;0.16mmol)を加えた。得られた混合物を脱気し、アルゴンを再充填し(操作を2回繰り返した)、110℃で65時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残渣をDCM(200mL)とMeOH(50mL)の混合物中に、0.1gの中間体62に対して行った反応混合物とともにプールし、シリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH 99/1から97/3)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させた。残渣(0.578g、橙色固体)をEt2O(30mL)中で摩砕し、濾別し、Et2O(10mL)ですすぎ、真空下で80℃にて一晩乾燥させ、0.431g(37%、黄色固体)の中間体64を得た。M.P.:228℃(DSC)。
中間体62から出発して中間体65を同様に製造。
B.化合物の製造 実施例B1
化合物1の製造
反応はアルゴン雰囲気下、無水条件で行った。THF(120ml)中、中間体10(粗3.17g、最大5.53mmol)の溶液に、フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1M;7.3ml、7.3mmol)を加え、この混合物を室温で一晩撹拌した。氷水(400ml)および飽和炭酸カリウム水溶液(600ml)を加えた。この混合物を酢酸エチル(1×800mlおよび2×300ml)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し(400ml)、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相、100%DCMから98%DCM、2%MeOHへの勾配)により精製した。目的画分を回収し、溶媒を蒸発させ、1.51g(2段階で67%)の化合物1を得た。
実施例B1−a
化合物61の製造
中間体51(0.04g;0.077mmol)を3N HCl水溶液(2mL)とTHF(3mL)の混合物に溶解させた。この反応混合物を室温で16時間撹拌した。この混合物を3M NaOH溶液(4mL)で急冷し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(黄色のガム)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH 98/2)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させた。黄色固体をEt
2O(15mL)中で摩砕した。上清の液体を除去し、得られた固体を真空下で乾燥させ(70℃、5時間)、0.022g(71%、淡黄色固体)の化合物61を得た。MP:209℃(Buchi M−560)。
実施例B2
化合物3の製造
反応をアルゴン雰囲気下、無水条件で行った。0℃にて、N,N−ジメチルホルムアミド(7ml)中、中間体9(0.3g、0.83mmol)の混合物に、NaH(鉱油中60%、0.1g、2.5mmol)を加えた。この混合物を0℃で45分間撹拌し、ブロモ−エチルメチルエーテル(0.31ml、3.32mmol)を加えた。この混合物を0℃で1時間および室温で一晩撹拌した。氷水(100ml)を加え、この混合物を酢酸エチル(3×100ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相、100%DCMから90%DCM、10%MeOHへの勾配)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させた。残渣を酢酸エチル(100ml)に溶解させ、水(3×60ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をジエチルエーテル(4×5ml)中で摩砕し、真空下で乾燥させ、0.222g(64%)の化合物3を得た(MP:138℃(DSC))。
実施例B2a−1
化合物40の製造
0℃にて、DMF(18mL)中、中間体33(0.900g;2.37mmol)の溶液に、NaH(0.380g;9.49mmol)を加えた。この混合物を0℃にて45分間撹拌し、中間体39(0.958g;3.56mmol)を加えた。この混合物を0℃で1時間および室温で一晩撹拌した。水(100mL)およびブライン(150mL)を加え、この混合物をEtOAc(3×150mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(1.96g、褐色油状物)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH 100/0から95/5へ)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させた。得られた固体をEt
2O中で摩砕し、真空下で乾燥させ、0.354g(31%、黄色固体)の予想化合物を得、これをシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH 98/2から96/4へ)により再び精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させて2画分を得、これをEt
2O中で摩砕した。沈殿を濾過し、真空下で乾燥させ、0.071g(6%、黄色固体)の化合物40と0.207g(18%、黄色固体)の化合物40を得た。M.P.:211℃から分解開始、DSC)。
実施例B2a−2
化合物41の製造
0℃にて、DMF(20mL)中、中間体9(1.00g;2.77mmol)の溶液に、NaH(0.443g;11.1mmol)を加えた。この混合物を0℃で45分間撹拌し、中間体39(CAS128899−31−0)(1.12g;4.16mmol)を加えた。この混合物を0℃で1時間および室温で一晩撹拌した。水(250mL)およびブライン(100mL)を加え、この混合物をEtOAc(3×150mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(2.47g、褐色油状物)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH 100/0から95/5)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させて0.289g(黄色固体)の予想化合物を得、これを再びシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/メタノール 98/2から95/5)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させ、0.235g(19%、ベージュの固体)の化合物41を得た。M.P.:276℃から分解開始、DSC)。
実施例B2a−3
化合物42の製造
0℃にて、DMF(20mL)中、中間体28(0.900g;2.26mmol)の溶液に、NaH(0.362g;9.04mmol)を加えた。この混合物を0℃にて45分間撹拌し、中間体39(0.913g;3.39mmol)を加えた。この混合物を0℃で1時間および室温で72時間撹拌した。水(100mL)およびブライン(150mL)を加え、この混合物をEtOAc(3×150mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮したた。残渣(2.42g、褐色油状物)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:EtOAc/MeOH 100/0から98/2へ)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させて0.502g(黄色ガム)の予想生成物を得、これをシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(15〜40μm、溶出剤:DCM/MeOH 99/1から97/3へ)により再び精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させた。得られた残渣をEt
2O中で摩砕した。沈殿を濾過し、真空下で乾燥させ、0.239g(21%、黄色固体)の化合物42を得た。M.P.:233℃から分解開始(DSC)。
実施例B2a−4
化合物43の製造
0℃にて、DMF(18mL)中、中間体33(0.900g;2.37mmol)の溶液に、NaH(0.380g;9.49mmol)を加えた。この混合物を0℃で45分間撹拌し、(S)−(+)−5−(ヒドロキシ−メチル)−2−ピロリジノンp−トルエンスルホネート(CAS51693−17−5)(0.958g;3.56mmol)を加えた。この混合物を0℃で1時間および室温で一晩撹拌した。水(100mL)およびブライン(150mL)を加え、この混合物をEtOAc(3×150mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(3.34g、褐色油状物)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH 100/0から96/4)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させた。得られた残渣をEt
2O中で摩砕し、真空下で乾燥させ、0.277g(25%、褐色固体)の化合物43を得た。M.P.:221℃から分解開始(DSC)。
実施例B2a−5
化合物70の製造
0℃にて、DMF(10mL)中、中間体64(0.397g;1.00mmol)の溶液に、NaH(0.160g;4.00mmol)を加えた。この反応混合物を0℃で45分間撹拌し、塩酸(2−クロロエチル)−メチルアミン(CAS4535−90−4)(0.195g;1.50mmol)を加えた。この反応混合物を0℃で1時間、次いで、室温で65時間撹拌した。水(30mL)およびブライン(70mL)を加え、この混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し(3×50mL)、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣(0.85g、赤褐色固体)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH/NH
4OH:95/5/0から90/10/0、90/10/1へ)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させて230mgの中間体残渣を得、これをEt
2O(20mL)中で摩砕した。沈殿を濾別し、Et
2Oで洗浄し、真空下、80℃で16時間乾燥させ、210mg(47%)の化合物70を得た。M.P.:148℃(DSC)。
実施例B2a−6
化合物46の製造
それぞれ1.00gおよび0.050gの中間体28に対して行った2回分の反応を後処理のために合わせた。合成を以下に記載する。
0℃にて、DMF(25mL)中、中間体28(1.00g;2.52mmol)の溶液にNaH(0.403g;10.1mmol)を加えた。この混合物を0℃で45分間撹拌した後、塩化メチルアミノエチル塩酸塩(0.491g;3.78mmol)を加えた。この混合物を0℃で1時間および室温で一晩撹拌した。この反応混合物と反応混合物(0.05gの中間体28からのもの)を合わせた。水(100mL)およびブライン(150mL)を加えた。この混合物をEtOAc(3×150mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(4.43g、褐色油状物)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH 100/0から93/7へ)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させた。得られた画分をEt2O(4×5mL)中で摩砕し、真空下で乾燥させ、0.208g(18%、黄色固体)の化合物46を得た。0.184gのこの画分を(AMINO 6μm 150×21.2mm;移動相:0.3%イソプロピルアミン、75%CO2、25%MeOH)での非キラルSFCにより精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させた。残渣(145mg)をEt2Oから結晶化させ、濾過の後に124mg(11%)の化合物46を得た。M.P.:157℃(DSC)。
実施例B3
の製造
2−メチルテトラヒドロフラン(7.5ml)および水(0.6ml)中、中間体9(0.5g、1.4mmol)、臭化テトラブチルアンモニウム(0.11g、0.35mmol)および水酸化カリウム(1.16g、20.8mmol)の混合物を50℃で1時間加熱した。塩化イソプロピルアミノエチル塩酸塩(0.39g、2.5mmol)を加え、この混合物を50℃で一晩加熱した。水(25ml)を加え、この混合物をジクロロメタン/メタノール 95/5の混合物(3×25ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相、98%DCM、2%MeOHから90%DCM、10%MeOHへの勾配)により精製した。目的画分を回収し、溶媒を蒸発させて0.233gの残渣を得、これにシリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相、95%DCM、5%MeOHから95%DCM、5%MeOH、0.1%NH
4OHへの勾配)による精製をさらに行った。目的画分を回収し、溶媒を蒸発させ、化合物4と化合物5の混合物からなる0.13gの画分1を得た。
あるいは、化合物4と6の混合物は以下の条件を用いて得ることができる。
アルゴン雰囲気下、無水条件で、0℃にて、N,N−ジメチルホルムアミド(10ml)中、中間体9(0.35g、0.97mmol)の懸濁液に、NaH(鉱油中60%、0.232g、5.8mmol)をゆっくり加え、この混合物を0℃で10分間撹拌した。塩化イソプロピルアミノエチル塩酸塩(0.459g、2.9mmol)を少量ずつ加え、この反応混合物を室温で48時間撹拌した。反応混合物を飽和塩化アンモニウム溶液(15ml)で急冷し、この混合物を酢酸エチル(3×50ml)で抽出した。合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム溶液(2×50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させた。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相、95%DCM、5%MeOHから90%DCM、10%への勾配)により精製した。画分を回収し、溶媒を蒸発させ、化合物4と化合物6の混合物から構成される0.22gの画分2を得た。
画分1および画分2を合わせ、非キラルSFC(移動相、0.3%イソプロピルアミン、86%CO2、14%MeOH)により精製した。目的画分を回収し、濃縮し、17mgの化合物5、168mgの化合物4、および化合物4と化合物6を含有する60mgの生成物画分3を得た。
化合物4をEt2O中でHCl塩(3当量 1M水溶液)に変換し、摩砕した。沈殿を濾別し、Et2Oで洗浄し、真空下で乾燥させ、153mgの化合物4(mp=175℃ Kofler)を得た。
生成物画分3を(5μm 移動相、0.3%イソプロピルアミン、85%CO2、15%MeOH)でのキラルSFCにより精製し、22mgの化合物6を得た。
実施例B3a
化合物30の製造
2−メチルテトラヒドロフラン(8.5mL)および水(1mL)中、中間体33(0.56g;1.46mmol)、臭化テトラブチルアンモニウム(0.12g;0.37mmol)およびKOH(1.23g;21.9mmol)の混合物を50℃で1時間加熱した。塩化メチルアミノエチル塩酸塩(0.34g;2.63mmol)を加え、この混合物を50℃で一晩加熱した。水(200mL)を加え、この混合物をDCM(3×150mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH 98/2から85/15)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、濃縮し、Et
2O中での摩砕および真空下での乾燥の後に、0.408gの予想化合物を得た。この固体を(AMINO 6μm 150×21.2mm;移動相:0.3%イソプロピルアミン、75%CO
2、25%MeOH)での非キラルSFCにより精製し、308mgの中間体残渣をEt
2Oから結晶化させ、256mg(40%)の化合物30を得た。MP:120℃(ガム)(Kofler)。
実施例B3b
化合物21
および化合物20
の製造
2−メチルテトラヒドロフラン(11mL)および水(1.6mL)中、中間体30(0.66g;1.94mmol)、臭化テトラブチルアンモニウム(0.16g;0.49mmol)およびKOH(1.63g;29.1mmol)の混合物を50℃で1時間加熱した。塩化イソプロピルアミノエチル塩酸塩(0.55g;3.49mmol)を加え、この混合物を50℃で一晩加熱した。水(400mL)を加え、この混合物をDCM(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(300mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH 100/0から85/15)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、濃縮し、化合物20と21の0.485gの混合物を得た。この固体を(CYANO 6μm 150×21.2mm;移動相:0.3%イソプロピルアミン、80%CO
2、20%MeOH)での非キラルSFCにより精製し、40mgの化合物20(5%)M.P.:130〜134℃(Kofler)と360mgの中間体化合物を得、後者をEt
2Oから結晶化させて330mg(40%)の化合物21を得た。M.P.:78℃(DSC)。
中間体33から出発して、化合物29
および化合物28
を同様に製造。
実施例B4
化合物7の製造
反応はアルゴン下、無水条件で行った。0℃にて、DMF(7ml)中、中間体9(0.5g、1.4mmol)の溶液に、NaH(鉱油中60%;0.083g、2.1mmol)を少量ずつ加えた。この反応混合物を0℃で30分間撹拌し、2−(クロロメチル)−N,N−ジメチル−1H−イミダゾール−1−スルホンアミド(0.371g、1.7mmol)を加えた。この混合物を室温で一晩温めた。この混合物を水(25ml)で希釈し、酢酸エチル(3×40ml)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaCl水溶液(3×40ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相、99%DCM、1%MeOHから95%DCM、5%MeOHへの勾配)により精製した。目的画分を回収し、溶媒を蒸発させ、0.55g(72%)の化合物7を得、これをそれ以上精製せずに次の工程に用いた。
中間体9および中間体37から出発して化合物38を同様に製造。
中間体33および中間体45から出発して化合物56を同様に製造。
中間体33および1,3−オキサゾール−2−イルメチルメタンスルホネート(CAS916810−51−0)から出発して化合物58を同様に製造。
実施例B4a
化合物14の製造
反応は2バッチの中間体28(0.057g;0.14mmol)および(0.23g;0.58mmol)に対して行った。0℃にて、DMF(8mL)中、中間体28(0.230g;0.58mmol)の溶液に、NaH(0.07g;1.74mmol)を加えた。この混合物を0℃で45分間撹拌し、塩酸2−(クロロメチル)ピリミジン(0.143g;0.87mmol)を加えた。この混合物を0℃で3時間撹拌した。水(200mL)を加え、この混合物に反応混合物(0.057gの中間体28からのもの)を合わせた。この混合物をEtOAc(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(1.73g、褐色油状物)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH 100/0から95/5)により精製した。成物画分を回収し、溶媒を蒸発させると0.295gが得られ、これをEt
2O(4×5mL)中で摩砕した。この固体を濾過し、真空下で乾燥させ、0.286g(全体の収率81%、黄色固体)の化合物14を得た。M.P.:183℃(DSC)。
実施例B5
化合物8の製造
MeOH(34ml)中、中間体13(1.6g、3.4mmol)の混合物に、炭酸カリウム(0.45g、3.4mmol)を加え、この混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物を濃縮乾固させ、シリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相、98%DCM、2%)により精製した。目的画分を回収し、溶媒を蒸発させ、0.665g(49%)の化合物8を得た。
実施例B6
化合物11の製造
THF(38ml)中、中間体17(0.76mmol)の溶液に、THF(1.13ml、1.13mmol)中、1Mのテトラブチルアンモニウム溶液を加えた。この反応混合物を室温で2時間撹拌した。水および飽和K
2CO
3溶液を加え、この混合物をAcOEtで抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させた。残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(40〜63μm、移動相、98%DCM、%MeOHから96%DCM、4%MeOHへの勾配)により精製した。生成物画分を回収し、蒸発乾固させ、190mg(55%)の化合物11(MP:167℃、DSC)を得た。
実施例B7
化合物48の製造
それぞれ0.735gおよび0.05gの中間体41に対する2回分の反応物を後処理のために合わせた。合成を以下に記載する。
0℃にて、MeOH(15mL)中、中間体41(0.735g;1.05mmol)の溶液に、12M HCl(0.436mL;5.23mmol)を加えた。この混合物を室温まで温め、室温で16時間撹拌した。この反応混合物と反応混合物(0.05gの中間体41からのもの)を、氷水(100mL)と固体NaHCO3(約20g)の混合物中に注いだ。水層をEtOAc/MeOHの混合物(9/1;3×40mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(1.32g、黄色固体)をシリカゲルに吸着させ、シリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH 97/3から93/7)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させた。残渣(0.500g)をEt2O(30mL)中で摩砕した。沈殿を濾別し、Et2O(10mL)で洗浄し、真空下、80℃で16時間乾燥させ、0.420g(全体の収率82%、黄色固体)の化合物48を得た。M.P.:216℃(DSC)。
実施例B8
化合物31の製造
DCM(1.5mL)中、中間体34(0.30g;0.55mmol)の混合物に、ジオキサン中4MのHCl(6.9mL;27.7mmol)を加え、この混合物を室温で一晩撹拌した。2M NaOH水溶液(15mL)および水(130mL)を加えた(pH=14)。この混合物をDCM(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(150mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH 95/5から90/10、次いで、DCM/MeOH/NH
4OH 90/10/0.1から90/10/0.4)により精製した。
生成物を含有する画分を回収し、濃縮し、0.084gの予想化合物を得た。この固体を分取TLC(SiOH、溶出剤:DCM/MeOH/NH4OH 90/10/0.1)により精製して中間体残渣を得、これをEt2O中で摩砕し、真空下で乾燥させ、68mgの予想化合物を得た。この画分を逆相クロマトグラフィー(C18 Luna 10μm、溶出剤:MeOH/水/トリフルオロ酢酸 40/60/0.1)により精製した。得られた画分をEt2O中で摩砕した。沈殿を濾過し、真空下で乾燥させ、0.025g(10%)の化合物31を得た。MP:150℃(DSC)。
実施例B9
化合物74の製造
0℃にて、DMF(2mL)中、中間体65(50mg;0.132mmol)の混合物に、NaH(8mg;0.198mmol)を加えた。この混合物を0℃にて30分間撹拌した後、0℃にて、(2−ブロモエトキシ)−tert−ブチルジメチルシラン(CAS86864−60−1)(0.042mL;0.198mmol)を加えた。この混合物を0℃で1時間および室温で65時間撹拌した。この反応混合物を0℃まで冷却し、NaH(8mg;0.198mmol)を追加し、この混合物を0℃で30分間撹拌した後、(2−ブロモエトキシ)−tert−ブチルジメチルシラン(CAS86864−60−1)(0.042mL;0.198mmol)を加えた。この混合物を0℃で1時間および室温で2時間撹拌した。
氷水(5mL)を加え、この混合物をEtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで(3×10mL)洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をTHF(2mL)および3M HCl水溶液(2mL)に溶かし、室温で16時間撹拌した。この反応混合物を3M NaOH水溶液(2.5mL)で塩基性とし、水(20mL)で希釈し、DCM/MeOHの混合物(9/1;3×15mL)で抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を蒸発させた。残渣(0.067g)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH/: 98/2から97/3)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させて24mgの中間体残渣を得、これをEt2O(2mL)中で摩砕した。沈殿を濾別し、Et2O(10mL)ですすぎ、真空下、80℃で16時間乾燥させ、20mg(36%、黄色固体)の化合物74を得た。M.P.:200℃(DSC)。
C.化合物の変換 実施例C1
化合物9の製造
ジクロロメタン(22ml)中、トリフェニルホスフィン(0.776g、3.0mmol)、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン(0.672g、3.0mmol)および臭化テトラブチルアンモニウム(0.954g、3.0mmol)の混合物に、化合物1(1.0g、2.5mmol)を加えた。この混合物を室温で30分間撹拌し、濃縮乾固させた。得られた褐色固体をシリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相、100%DCMから80%DCM、20%への勾配)により精製した。成物画分を回収し、溶媒を蒸発させ、0.720g(62%)の化合物9を得た。
実施例C2
化合物10の製造
アセトニトリル(10ml)中、化合物7(0.55g、1.0mmol)の溶液に、ジオキサン中4Nの塩酸溶液(2.5ml、10mmol)を加えた。この反応混合物を50℃で16時間加熱した。室温に冷却した後、この混合物を1M水酸化ナトリウム水溶液(20ml)で塩基性とし、水(100ml)で希釈し、ジクロロメタン(3×100ml)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。目的残渣をシリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相、97%DCM、3%MeOHから85%DCM、15%MeOHへの勾配)により精製した。これら2つの生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させ、0.233g(42%)の未反応出発材料(化合物7)と0.204gの画分2を得た。
画分2をシリカゲルでのクロマトグラフィー(移動相、98%DCM、2%MeOHから90%DCM、10%MeOHへの勾配)により再び精製した。目的画分を回収し、溶媒を蒸発させた。残渣をジエチルエーテル中で摩砕し、濾別し、真空下で乾燥させ、0.137gの化合物10(MP:195℃、DSC)を得た。
実施例C2a
化合物39の製造
ACN(8.6mL)中、化合物38(0.473g;0.86mmol)の溶液に、ジオキサン中4MのHCl(4.3mL;17.2mmol)を滴下した。この混合物を室温で1時間、50℃で一晩撹拌し、室温まで冷却した。1M NaOH水溶液(80mL)および水(80mL)を加えた(pH=14)。この混合物をDCM(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(100mL)で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(0.410g、黄色のガム)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:EtOAc/MeOH 95/5から90/10)により精製した。生成物画分を回収し、溶媒を蒸発させた。得られた残渣をEt
2O(4×5mL)中で摩砕し、真空下で乾燥させ、0.254g(67%、黄色固体)の化合物39を得た。M.P.:188℃(DSC)。
実施例C3
化合物53の製造
0℃にて、DMF(3mL)中、化合物40(0.287g;0.63mmol)の懸濁液に、NaH(0.038g;0.94mmol)を加えた。この反応混合物を0℃で1時間撹拌した後、0℃でヨードメタン(0.058mL;0.94mmol)を加えた。この反応混合物を0℃で1時間および室温で一晩撹拌した。水(50mL)およびブライン(50mL)を加え、この混合物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層をNa
2SO
4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣(0.600g、黄色油状物)をシリカゲルでのカラムクロマトグラフィー(溶出剤:DCM/MeOH 100/0から95/5へ)により精製した。生成物を含有する画分を回収し、溶媒を蒸発させた。残渣をEt
2O中で摩砕した。沈殿を濾過し、真空下で乾燥させ、41mg(14%、黄色固体)の化合物53を得た。M.P.:192℃(DSC)。
以下の化合物は、適当であれば別の出発材料を用い、上記実施例のうちの1つの反応プロトコールに従って製造した。
表A1およびA1aにおいて、=CX(または=BX)は、この化合物の製造が変換X(または方法BX)に記載されていることを示す。
表A1およびA1aにおいて、〜CX(または〜BX)は、この化合物が変換X(または方法BX)に従って製造されることを示す。
当業者に理解されるように、示されたようなプロトコールを用いて合成された化合物は溶媒和物、例えば、水和物として存在してもよく、かつ/または残留溶媒もしくは微量の不純物を含有し得る。塩形態として単離される化合物は、整数の化学量、すなわち、一塩もしくは二塩、または中間的な化学量であり得る。
分析の部
LC/GC/NMR
表A1に報告したLC/GCデータは、次のように測定した。
一般手順A
LC測定は、脱気装置を備えた二連ポンプ、オートサンプラー、ダイオードアレイデテクター(DAD)および以下の各方法で明示されるカラム(このカラムは40℃で保持する)を含んでなるUPLC(超高速液体クロマトグラフィー)Acquity(Waters)システムを用いて行った。カラムからの流出はMS検出器に引き込んだ。MS検出器は、エレクトロスプレーイオン化源とともに構成されていた。Quattro(Waters製の三連四重極式質量分析計)においてキャピラリーニードル電圧は3kVとし、イオン源温度は130℃に維持した。窒素をネブライザガスとして用いた。データの取得はWaters−Micromass MassLynx−Openlynxデータシステムを用いて行った。
方法1
一般手順Aに加えて:Waters Acquity BEH(架橋エチルシロキサン/シリカハイブリッド)C18カラム(1.7μm、2.1×100mm)にて、流速0.343ml/分で逆相UPLCを行った。2種類の移動相(移動相A:95%7mM酢酸アンモニウム/5%アセトニトリル;移動相B:100%アセトニトリル)を用いて、84.2%Aおよび15.8%B(0.49分間保持)から、2.18分で10.5%Aおよび89.5%Bへ(1.94分間保持)、また、0.73分で最初の条件に戻して0.73分間保持という勾配条件とした。2μlの注入容量を用いた。コーン電圧は、陽イオン化モードおよび陰イオンモードで20Vとした。質量スペクトルは、スキャン間隔0.1秒を用い、0.2秒に100〜1000スキャンを行うことにより取得した。
一般手順B
HPLC測定は、脱気装置を備えた四連ポンプ、オートサンプラー、ダイオードアレイデテクター(DAD)および以下の各方法で明示されるカラム(このカラムは室温で保持する)を含んでなるHPLC 1100/1200(Agilent)システムを用いて行った。MS検出器(MS−Agilentシングル四重極(simple quadripole))は、エレクトロスプレー−APCIイオン化源とともに構成された。窒素をネブライザガスとして用いた。データの取得はChemstationデータシステムを用いて行った。
方法2
一般手順Bに加えて:Nucleosil C18カラム(3μm、3×150mm)にて、流速0.42ml/分で逆相HPLCを行った。2種類の移動相(移動相A:水TFA0.1%;移動相B:100%アセトニトリル)を用いて、98%A 3分間から12分で100%Bへ、100%B 5分間、その後、2分で98%Aに戻すという勾配条件とし、98%Aで6分間、再平衡化した。2μlの注入容量を用いた。キャピラリー電圧は、2kVとし、コロナ放電を1μAで保持し、イオン源温度を250℃で維持した。フラグメンターには可変電圧を用いた。質量スペクトルは、ポジティブモードでエレクトロスプレーイオン化およびAPCIにて、100〜1100amuのスキャンを行うことにより取得した。
方法3
一般手順Bに加えて:Agilent Eclipse C18カラム(5μm、4.6×150mm)にて、流速1ml/分で逆相HPLCを行った。2種類の移動相(移動相A:水TFA0.1%;移動相B:100%アセトニトリル)を用いて、98%A 3分間から5分で100%Bへ、その後、2分で98%Aに戻すという勾配条件とし、98%Aで6分間、再平衡化した。2μlの注入容量を用いた。キャピラリー電圧は、2kVとし、コロナ放電を1μAで保持し、イオン源温度を250℃で維持した。フラグメンターには可変電圧を用いた。質量スペクトルは、ポジティブモードでエレクトロスプレーイオン化およびAPCIにて80〜1000amuのスキャンを行うことにより取得した。
方法4
一般手順NOVAに加えて:Agilent Eclipse C18カラム(5μm、4.6×150mm)にて、流速1.0ml/分で逆相HPLCを行った。2種類の移動相(移動相A:0.1%;TFAを含む水;移動相B:100%メタノール)を用いて、98%A(3分間保持)から12分で100%Bへ、100%B 5分間、その後、2分で98%Aに戻すという勾配条件とし、98%Aで5分間、再平衡化した。2μlの注入容量を用いた。キャピラリー電圧は、2kVとし、コロナ放電を1μAで保持し、イオン源温度を250℃で維持した。フラグメンターには可変電圧を用いた。質量スペクトルは、ポジティブモードでエレクトロスプレーイオン化およびAPCIにて、100〜1000amuのスキャンを行うことにより取得した。
融点(MP)は、Koflerホットバーまたはa Buchi Melting Pount M−560を用いて取得したが、いくつかの化合物では、融点は、DSC1 Stare System(Mettler−Toledo)を用いて測定した。この場合、融点は5または10℃/分の温度勾配で測定した。最大温度は350℃であった。値はピーク値である。
NMRデータ
以下のNMR実験は、内部重水素ロックを用い、500MHz用のリバース三重共鳴(1H、13C、15N TXI)プローブヘッドおよび400MHz用のリバース二重共鳴(1H、13C、SEI)プローブヘッドを備えたBruker Avance 500およびBruker Avance DRX 400分光計を用い、周囲温度にて行った。化学シフト(δ)は100万分の1(ppm)で報告する。
薬理学の部
生物学的アッセイA
FGFR1(酵素アッセイ)
最終反応量30μLで、FGFR1(h)(25ng/ml)を化合物(最終1%DMSO)の存在下、50mM HEPES pH7.5、6mM MnCl2、1mM DTT、0.1mM Na3VO4、0.01%Triton−X−100、500nM Btn−Flt3および5μM ATPとともにインキュベートした。室温で60分間インキュベートした後、反応を2.27nM EU−抗P−Tyr、7mM EDTA、31.25nM SA−XL−665および0.02%BSA(室温で60分間存在させた)で停止させた。その後、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)シグナル(ex340nm、Em620nm、em655nm)を測定し、結果をRFU(相対蛍光単位)で表す。このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
FGFR2(酵素アッセイ)
最終反応量30μLにおいて、FGFR2(h)(150ng/ml)を化合物(最終1%DMSO)の存在下、50mM HEPES pH7.5、mM MnCl2、1mM DTT、0.1mM Na3VO4、0.01%Triton−X−100、500nM Btn−Flt3および0.4μM ATPとともにインキュベートした。室温で60分間インキュベートした後、反応を2.27nM EU−抗P−Tyr、7mM EDTA、31.25nM SA−XL−665および0.02%BSA(室温で60分間存在させた)で停止させた。その後、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)シグナル(ex340nm、Em620nm、em655nm)を測定し、結果をRFU(相対蛍光単位)で表す。このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
FGFR3(酵素アッセイ)
最終反応量30μLで、FGFR3(h)(40ng/ml)を化合物(最終1%DMSO)の存在下、50mM HEPES pH7.5、6mM MnCl2、1mM DTT、0.1mM Na3VO4、0.01%Triton−X−100、500nM Btn−Flt3および25μM ATPとともにインキュベートした。室温で60分間インキュベートした後、反応を2.27nM EU−抗P−Tyr、7mM EDTA、31.25nM SA−XL−665および0.02%BSA(室温で60分間存在させた)で停止させた。その後、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)シグナル(ex340nm、Em620nm、em655nm)を測定し、結果をRFU(相対蛍光単位)で表す。このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
FGFR4(酵素アッセイ)
最終反応量30μLで、FGFR4(h)(60ng/ml)を化合物(最終1%DMSO)の存在下、50mM HEPES pH7.5、6mM MnCl2、1mM DTT、0.1mM Na3VO4、0.01%Triton−X−100、500nM Btn−Flt3および5μM ATPとともにインキュベートした。室温で60分間インキュベートした後、反応を2.27nM EU−抗P−Tyr、7mM EDTA、31.25nM SA−XL−665および0.02%BSA(室温で60分間存在させた)で停止させた。その後、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)シグナル(ex340nm、Em620nm、em655nm)を測定し、結果をRFU(相対蛍光単位)で表す。このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
KDR(VEGFR2)(酵素アッセイ)
最終反応量30μLで、KDR(h)(150ng/ml)を化合物(最終1%DMSO)の存在下、50mM HEPES pH7.5、6mM MnCl2、1mM DTT、0.1mM Na3VO4、0.01%Triton−X−100、500nM Btn−Flt3および3M ATPとともにインキュベートした。室温で120分間インキュベートした後、反応を2.27nM EU−抗P−Tyr、7mM EDTA、31.25nM SA−XL−665および0.02%BSA(室温で60分間存在させた)で停止させた。その後、時間分解蛍光共鳴エネルギー移動(TR−FRET)シグナル(ex340nm、Em620nm、em655nm)を測定し、結果をRFU(相対蛍光単位)で表す。このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
Ba/F3−FGFR1(IL3不含またはIL3含有)(細胞増殖アッセイ)
384ウェルプレートにて、100nlの化合物のDMSO希釈溶液を噴霧した後に20000細胞/ウェルのBa/F3−FGFR1トランスフェクト細胞を含有する50μlの細胞培養培地(フェノールレッド不含RPMI−1640、10%FBS、2mM L−グルタミンおよび50μg/mlゲンタマイシン)を加えた。細胞を37℃および5%CO2のインキュベーターに入れた。24時間後、10μlのアラマーブルー溶液(0.5mM K3Fe(CN)6、0.5mM K4Fe(CN)6、0.15mMレサズリンおよび100mMリン酸バッファー)をこれらのウェルに加え、37℃および5%CO2下で4時間インキュベートした後、蛍光プレートリーダーでRFU(相対蛍光単位)(ex.540nm、em.590nm)を測定した。
このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
対比スクリーンとして、10ng/mlネズミIL3の存在下で同じ実験を行った。
Ba/F3−FGFR3(IL3不含またはIL3含有)(細胞増殖アッセイ)
384ウェルプレートにて、100nlの化合物のDMSO希釈溶液を噴霧した後に20000細胞/ウェルのBa/F3−FGFR3トランスフェクト細胞を含有する50μlの細胞培養培地(フェノールレッド不含RPMI−1640、10%FBS、2mM L−グルタミンおよび50μg/mlゲンタマイシン)を加えた。細胞を37℃および5%CO2のインキュベーターに入れた。24時間後、10μlのアラマーブルー溶液(0.5mM K3Fe(CN)6、0.5mM K4Fe(CN)6、0.15mMレサズリンおよび100mMリン酸バッファー)をこれらのウェルに加え、37℃および5%CO2下で4時間インキュベートした後、蛍光プレートリーダーでRFU(相対蛍光単位)(ex.540nm、em.590nm)を測定した。
このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
対比スクリーンとして、10ng/mlネズミIL3の存在下で同じ実験を行った。
Ba/F3−KDR(IL3不含またはIL3含有)(細胞増殖アッセイ)
384ウェルプレートにて、100nlの化合物のDMSO希釈溶液を噴霧した後に20000細胞/ウェルのBa/F3−KDRトランスフェクト細胞を含有する50μlの細胞培養培地(フェノールレッド不含RPMI−1640、10%FBS、2mM L−グルタミンおよび50μg/mlゲンタマイシン)を加えた。細胞を37℃および5%CO2のインキュベーターに入れた。24時間後、10μlのアラマーブルー溶液(0.5mM K3Fe(CN)6、0.5mM K4Fe(CN)6、0.15mMレサズリンおよび100mMリン酸バッファー)をこれらのウェルに加え、37℃および5%CO2下で4時間インキュベートした後、蛍光プレートリーダーでRFU(相対蛍光単位)(ex.540nm、em.590nm)を測定した。
このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
対比スクリーンとして、10ng/mlネズミIL3の存在下で同じ実験を行った。
Ba/F3−Flt3(IL3不含またはIL3含有)(細胞増殖アッセイ)
384ウェルプレートにて、100nlの化合物のDMSO希釈溶液を噴霧した後に20000細胞/ウェルのBa/F3−Flt3トランスフェクト細胞を含有する50μlの細胞培養培地(フェノールレッド不含RPMI−1640、10%FBS、2mM L−グルタミンおよび50μg/mlゲンタマイシン)を加えた。細胞を37℃および5%CO2のインキュベーターに入れた。24時間後、10μlのアラマーブルー溶液(0.5mM K3Fe(CN)6、0.5mM K4Fe(CN)6、0.15mMレサズリンおよび100mMリン酸バッファー)をこれらのウェルに加え、37℃および5%CO2下で4時間インキュベートした後、蛍光プレートリーダーでRFU(相対蛍光単位)(ex.540nm、em.590nm)を測定した。
このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
対比スクリーンとして、10ng/mlネズミIL3の存在下で同じ実験を行った。
Ba/F3−FGFR4(細胞増殖アッセイ)
384ウェルプレートにて、100nlの化合物のDMSO希釈溶液を噴霧した後に20000細胞/ウェルのBa/F3−FGFR4トランスフェクト細胞を含有する50μlの細胞培養培地(フェノールレッド不含RPMI−1640、10%FBS、2mM L−グルタミンおよび50μg/mlゲンタマイシン)を加えた。細胞を37℃および5%CO2のインキュベーターに入れた。24時間後、10μlのアラマーブルー溶液(0.5mM K3Fe(CN)6、0.5mM K4Fe(CN)6、0.15mMレサズリンおよび100mMリン酸バッファー)をこれらのウェルに加え、37℃および5%CO2下で4時間インキュベートした後、蛍光プレートリーダーでRFU(相対蛍光単位)(ex.540nm、em.590nm)を測定した。
このアッセイでは、種々の化合物濃度(10μM〜0.1nMの範囲)の阻害効果を測定し、これを用いてIC50(M)およびpIC50(−logIC50)値を算出した。
上記のアッセイにおける本発明の化合物のデータを表A2およびA2aに示す。