JP2014231094A - せん断加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工具作製コストが低く、量産現場に容易に適用可能で、せん断加工面において伸びフランジ割れの発生を抑制し得るせん断加工方法を提供する。【解決手段】パンチとダイを用いてせん断加工を行う方法において、(i-1)予め、数値計算又は伸びフランジ試験を行って、被加工材のせん断加工面にて伸びフランジ割れが生じ易い部位を特定し、(i-2)せん断加工の際、特定した部位を含む領域に対向するパンチの刃先に、(a)パンチの進行方向と平行な側面部とパンチの進行方向に垂直な底面部で形成され、かつ、(b)該底面部のパンチ底面からの深さが被加工材の板厚の10〜70%である凹部を設け、(ii)上記凹部を有するパンチを用いてせん断加工を行うこと特徴とするせん断加工方法。【選択図】図3

Description

本発明は、自動車、家電製品、建築構造物、船舶、橋梁、建設機械、各種プラント、ペンストック等で用いる部材の製造において、被加工材をせん断加工する方法、特に、せん断加工面において伸びフランジ割れを抑制し得るせん断加工方法に関する。
自動車、家電製品、建築構造物等で用いる部材の製造においては、所定の形状に部材を成形することに、せん断加工が多用されている。図1に、せん断加工の態様を模式的に示す。図1(a)に、被加工材に穴を形成するせん断穴加工の態様を模式的に示し、図1(b)に、被加工材に開断面を形成するせん断切断加工の態様を模式的に示す。
図1(a)に示すせん断穴加工においては、ダイ3の上に被加工材1を載置し、パンチ2を進行方向2aに押し込んで、被加工材1に穴を形成する。図1(b)に示すせん断切断加工においては、ダイ3の上に被加工材1を載置し、同じく、パンチ2を進行方向2aに押し込んで、被加工材1に開断面を形成する。
せん断加工で形成されるせん断加工面は、通常、図2に示すように、被加工材1がパンチで全体的に押し込まれて形成されるダレ4、パンチとダイのクリアランスに被加工材1が引き込まれ、局所的に引き伸ばされて形成されるせん断加工面5、パンチとダイのクリアランスに引き込まれた被加工材1が破断して形成される破断面6、及び、被加工材の裏面に生じるバリ7によって構成される。
しかし、せん断加工面では、機械加工で形成する加工面に比べ、伸びフランジ割れ(せん断加工後のプレス加工において、せん断加工面で生ずる割れ)が生じ易い。それ故、せん断加工面における伸びフランジ割れの発生を抑制する技術が、これまで数多く提案されている。
例えば、特許文献1には、穴抜きパンチ底面に曲げ刃である突出部を設けることで、せん断加工面の塑性ひずみを低減し、伸びフランジ割れを抑制する方法が記載されている。特許文献2〜4には、突出部の形状を改良した穴抜きパンチにより、特許文献1の手法に比べ、さらに、伸びフランジ割れを抑制し得る加工方法が記載されている。
特許文献5には、せん断加工パンチのシャー角を、伸びフランジ割れ抑制効果が最大となるように設定する設定方法が記載されている。特許文献6には、伸びフランジ割れの危険が高い部位において、せん断加工パンチ底面のシャー角を部分的に0度として、伸びフランジ割れを抑制するせん断加工装置が記載されている。
特許文献7には、伸びフランジ割れの危険が高い部位において板逆押さえを行うことで、伸びフランジ割れを抑制する打抜き装置が記載されている。また、特許文献8には、直接、伸びフランジ割れの抑制を目的としていないが、せん断加工パンチの底面に局所的な凹部を設けて、せん断加工面の疲労強度を向上させる打抜き加工方法が記載されている。
特開平05−023755号公報 特開2005−095980号公報 特開2006−224151号公報 特開2006−231425号公報 特開2011−088152号公報 特開2009−051001号公報 特開2009−051000号公報 特開2010−036195号公報
しかし、特許文献1〜8に記載の技術においては、量産性や、技術の適用範囲を考えた場合、いくつかの課題が存在する。
特許文献1〜3に記載の技術は、丸穴抜きにおいては、伸びフランジ割れの抑制に有効であるが、丸穴以外のせん断加工においては、伸びフランジ割れ抑制効果が低い。特許文献4に記載の突出部を有するせん断加工パンチは、丸穴以外のせん断加工においても、伸びフランジ割れを抑制し得るが、せん断加工面の面積が大きいと、突出部の領域が大きくなり、工具作成のコストが高くなる。
特許文献5に記載のせん断加工パンチのシャー角の設定方法は、パンチ全面に設けたシャー角を前提としており、工具のサイズが大きいと、工具作製コストが高くなる。特許文献6に記載の打抜きせん断装置は、シャー角が大きすぎて誘起される伸びフランジ割れを抑制するものであり、シャー角度が0°の場合以上に、伸びフランジ割れを抑制することはできない。
特許文献7に記載の打抜き装置は、板逆押さえを前提とするが、板逆押さえを設ける場合には、切断されたカスを適切に処理する手段が必要となり、加工コストが高くなる。特許文献8に記載の打抜き加工方法においては、せん断加工面が大きくなることで疲労強度が向上するが、せん断加工面が大きくなっても、必ずしも伸びフランジ割れは抑制されない。むしろ、特許文献2に記載されているように、せん断加工面が小さいほど、伸びフランジ割れは生じ難い。
本発明は、従来技術における上記問題点に鑑み、工具作製コストが低く、量産現場に容易に適用可能で、せん断加工面において伸びフランジ割れの発生を抑制し得るせん断加工方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成する手法について鋭意検討した。その結果、被加工材のせん断加工面にて伸びフランジ割れが生じ易い部位を含む領域に対向するパンチの刃先に凹部を設けてせん断加工を行うと、せん断加工面において、伸びフランジ割れの発生を抑制できることを見いだした。この知見を得るに至った経緯については後述する。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)パンチとダイを用いてせん断加工を行う方法において、
(i-1)予め、数値計算又は伸びフランジ試験を行って、被加工材のせん断加工面にて伸びフランジ割れが生じ易い部位を特定し、
(i-2)せん断加工の際、特定した部位を含む領域に対向するパンチの刃先に、(a)パンチの進行方向と平行な側面部とパンチの進行方向に垂直な底面部で形成され、かつ、(b)該底面部のパンチ底面からの深さが被加工材の板厚の10〜70%である凹部を設け、
(ii)上記凹部を有するパンチを用いてせん断加工を行う
こと特徴とするせん断加工方法。
(2)前記パンチの刃先において、凹部と凹部以外の部位の境界部に、曲率半径0.1mm以上の丸みが形成されていることを特徴とする前記(1)に記載のせん断加工方法。
(3)前記凹部の底面部において、せん断加工稜線方向の長さが、被加工材の板厚の80〜1000%であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のせん断加工方法。
(4)前記凹部の底面部において、せん断加工稜線に直交する方向の長さが、被加工材の板厚の50%以上であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のせん断加工方法。
本発明によれば、工具作製コストが低く、量産現場に容易に適用可能で、せん断加工面において伸びフランジ割れを抑制し得るせん断加工方法を提供することができる。
せん断加工の態様を模式的に示す図である。(a)は、被加工材に穴を形成するせん断穴加工の態様を模式的に示し、(b)は、被加工材に開断面を形成するせん断切断加工の態様を模式的に示す。 被加工材のせん断加工面の態様を示す図である。 刃先に凹部を設けたパンチの一態様を示す図である。 パンチの刃先に凹部を設けたパンチで被加工材をせん断加工する態様を示す図である。 穴抜きで形成したせん断加工面にバーリング加工を施す態様を示す図である。 穴抜き以外のせん断加工で形成したせん断加工面にフランジ加工を施す態様を示す図である。 パンチの刃先に設けた凹部の側面部がパンチの進行方向に平行でなく、該底面部がパンチの進行方向に垂直でない場合の一態様を示す図である。 パンチの刃先に設けた凹部の態様を示す図である。(a)は、凹部の側面部と、凹部以外の部位の境界が鋭角をなす場合を示す、(b)は、凹部の側面部と、凹部以外の部位の境界に丸み部を設ける場合を示し、(c)は、凹部の深さ(パンチの刃先から底面部までの距離)を示す。 ダレが過大なせん断加工面を示す図である。 4隅に凹部を設けたパンチの底面を示す図である。 被加工材に開けた角丸穴(30mm×30mm、角部はR5の丸み)を示す図である。 バーリング加工の態様を示す図である。 パンチの形状と凹部の位置を示す図である。 円弧部と直線部からなるせん断加工稜線を示す図である。 伸びフランジ試験の態様と伸びフランジ加工品の形状を示す図である。(a)は、伸びフランジ試験の態様を示し、(b)は、伸びフランジ加工品の形状を示す。
本発明のせん断加工方法(以下「本発明方法」ということがある。)は、パンチとダイを用いてせん断加工を行う方法において、
(i-1)予め、数値計算又は伸びフランジ試験を行って、被加工材のせん断加工面にて伸びフランジ割れが生じ易い部位を特定し、
(i-2)せん断加工の際、特定した部位を含む領域に対向するパンチの刃先に、(a)パンチの進行方向と平行な側面部とパンチの進行方向に垂直な底面部で形成され、かつ、(b)該底面部のパンチ底面からの深さが被加工材の板厚の10〜70%である凹部を設け、
(ii)上記凹部を有するパンチを用いてせん断加工を行う
こと特徴とする。
以下、本発明方法について説明する。
本発明方法が対象とする被加工材は、特定の材料に限定されない。主として、鋼板を対象とするが、鋼板の鋼種は特定の鋼種に限定されない。異なる鋼種の鋼板を接合したテーラード鋼板でもよい。
被加工材の厚さは、特に限定されない。せん断加工が可能な板厚を備えていればよい。板厚が異なる鋼板を接合したテーラード鋼板でもよい。
通常、せん断加工面は、せん断加工により大きく塑性変形していて、変形能が低い。そのため、せん断加工面においては、後工程の伸びフランジ加工で、機械加工で加工した面に比べ、伸びフランジ割れが生じ易い。
本発明者らは、せん断加工面における塑性変形を小さくすることができれば、伸びフランジ割れを抑制することができると発想し、せん断加工時の塑性変形を小さくする手法について鋭意研究した。
その結果、被加工材のせん断加工面にて伸びフランジ割れが生じ易い部位を特定し、該部位を含む領域に対向するパンチの刃先に凹部を設けてせん断加工を行うと、せん断加工面における塑性変形を小さくできることを見いだした。
被加工材のせん断加工面にて伸びフランジ割れが生じ易い部位は、予め、数値計算又は伸びフランジ試験を行って特定する。そして、せん断加工に際しては、上記部位を含む領域(図示なし)に対向する位置に凹部を設ける。
図3に、刃先に凹部を設けたパンチの一態様を示す。凹部8は、パンチの進行方向2aと平行な側面部8aと、パンチの進行方向2aに垂直な底面部8bで形成されている。
凹部8を、パンチの進行方向2aと平行な側面部8aと、パンチの進行方向2aに垂直な底面部8bで形成する理由については後述する。
被加工材のせん断加工面にて伸びフランジ割れが生じ易い部位を含む領域に対向するパンチの刃先に凹部を設けると、せん断加工面において、塑性変形を小さくすることができて、後工程のフランジ加工で、伸びフランジ割れを抑制できる理由は、次のように推測される。
図4に、刃先に凹部を設けたパンチで被加工材をせん断加工する態様を示す。凹部8を有するパンチ(図示なし)を用いてせん断加工を行う場合、パンチの刃先における“凹部8以外の部位9”が、最初に被加工材1に接触して押圧し、押圧された被加工材1の内部にき裂10が発生する。このとき、凹部8の底面部(図示なし)は、被加工材1に接触していない。
“凹部8以外の部位9”によるせん断加工が進行すると、き裂10は、被加工材1の内部を伝搬し、き裂の先端部10aが、凹部8に対応する被加工材1aの領域(予め、数値計算又は伸びフランジ試験を行って、被加工材のせん断加工面にて伸びフランジ割れが生じ易い部位を含む領域)に侵入する。
同時に、凹部8の底面部が、凹部8に対応する被加工材1aに接触して下降し始め、凹部8に対応する被加工材1aに対するせん断加工が始まるが、凹部8に対応する被加工材1aの内部には、少なくとも、き裂10の先端部10aが存在するので、凹部8に対応する被加工材1aは、破断が起こり易い状態にある。このため、凹部8に対応する被加工材1aは、塑性変形があまり生じない状態で破断する。
図4に示すせん断加工において、凹部8以外の部位9による塑性変形は、パンチの刃先に凹部8を設けない通常のせん断加工における塑性加工と同じであるにしても、パンチの刃先に凹部が存在するが故に、凹部に対応する被加工部位に対するせん断加工においては、通常のせん断加工における塑性加工とは実質的に異なる塑性変形が起きていると推測される。
一般に、被加工材のせん断加工面において、伸びフランジ割れが起きる部位は、特定の部位に限定される。図5に、穴抜きで形成したせん断加工面にバーリング加工を施す態様を示す。被加工材1にせん断加工で形成した円弧部11aと直線部11bからなる穴11にバーリング加工(フランジ加工の一種)を施す場合、円弧部11aに伸びフランジ割れが発生する。
図6に、穴抜き以外のせん断加工で形成したせん断加工面にフランジ加工を施す態様を示す。円弧部11aと直線部11bからなるせん断加工面5にフランジ加工を施すと、円弧部11aの中央に伸びフランジ割れが発生する。いずれの場合も、円弧部で伸びフランジ割れが発生するが、円弧部は、直線部に比べ、塑性加工の程度が大きい部位である。
このように、せん断加工面において、伸びフランジ割れは、特定の部位(塑性変形の集中する部位)で発生する。
それ故、パンチの刃先に、被加工材のせん断加工面において伸びフランジ割れが生じ易い部位(塑性変形の集中する部位)を含む領域に対応させて凹部を設けて、せん断加工を行えば、前述したように、上記領域における塑性加工の程度を、他の領域における塑性加工の程度より軽減することができるので、伸びフランジ割れの発生を抑制することができる。
本発明方法においては、パンチの刃先(工具)の形状を局部的に変更するだけであるので、工具の作製コストを、シャー角を形成する場合(特許文献8、参照)や、突出部を設ける場合(特許文献1、参照)に比べて低減することができる。また、様々な形状のせん断加工工具においても、全体の工具形状を考慮しなくてもよいので、量産現場に容易に適用することができる。
前述したように、本発明方法において、パンチの刃先に形成する凹部の側面部(図3、8a、参照)は、パンチ進行方向(図3、2a、参照)に平行でなければならないし、また、上記凹部の底面部は、パンチの進行方向に垂直でなければならない。
図7に、パンチの刃先に設けた凹部の側面部がパンチの進行方向に平行でなく、該底面部がパンチの進行方向に垂直でない場合の一態様を示す。図7に示すように、凹部の側面部がパンチの進行方向に平行でなく、凹部の底面部がパンチの進行方向に垂直でない場合、凹部に対応する被加工部位に、矢印方向に圧縮力が作用し、破断が抑制されてしまう。
せん断加工を行うことはできるが、発生した圧縮力の分、せん断加工による破断部の発生が抑制されるため、せん断加工面における塑性変形の程度は大きくなる。
本発明方法においては、パンチの刃先に設けた凹部の側面部が、パンチの進行方向に平行であるので(図3、参照)、凹部に対応する被加工部位に、図7に示すような、破断を抑制する圧縮力は発生しない。
そして、凹部に対応する被加工部位は、前述したように、破断が起こり易い状態にあり、この状態の上記部位に、パンチの進行方向に垂直な凹部の底面部を接触させれば、上記部位全体に均等に押圧力が負荷されて、塑性変形があまり生じない状態で破断する。
ただし、パンチの刃先に設ける凹部においては、所望のせん断加工を行ううえで、凹部の深さ(パンチの刃先から底面部までの距離)を所定範囲内としなければならない。
図8(c)に、所要の深さを備える凹部の一態様を示す。凹部の深さ8eが小さければ、通常のせん断加工と実質的に同じとなり、本発明方法の効果が得られない。また、凹部の深さ8eが大きすぎれば、図11に示すように、ダレ4が過大となり、せん断加工面5における塑性変形が却って増して、伸びフランジ割れの原因となる。
本発明者らは、好ましい凹部の深さについて調査した。調査の結果、パンチの刃先に設ける凹部の深さは、被加工材の板厚の10〜70%が好ましいことが解った。この凹部の深さ(被加工材の板厚の10〜70%)は、パンチの刃先に凹部を設けないでせん断加工した場合におけるせん断面の大きさに対応する。即ち、パンチの凹部以外の部位に対応する被加工材にき裂を発生させるのに必要なパンチの食込み量に対応する。
このように、本発明方法は、せん断加工で生じる塑性加工の点で、特許文献8に記載の打抜き加工方法と実質的に異なる。
ここで、パンチの刃先に設けた凹部の詳細構造について説明する。
図8に、パンチの刃先に設けた凹部の態様を示す。図8(a)に、凹部の側面部と、凹部以外の部位の境界が鋭角をなす場合を示す。凹部8の側面部8aと、凹部以外の部位の境界が鋭角をなせば、鋭角部8cにチッピングが生じ、パンチの刃先が損傷することが想定される。そのため、図8(b)に示すように、凹部と凹部以外の部位の境界に丸み部8dを設けることが好ましい。
本発明者らの調査によれば、凹部と凹部以外の部位の境界に、曲率半径0.1mm以上の丸み部を設けることが好ましい。
さらに、本発明者らは、凹部の底面部におけるせん断加工稜線方向の好ましい長さ、及び、凹部の底面部におけるせん断加工稜線とパンチの進行方向に直交する方向の好ましい長さについて調査した。図10に、調査の前提としたパンチの底面を示す。
パンチの底面の4隅に、凹部の底面部におけるせん断加工稜線2b方向の長さ(以下「凹部幅」ということがある。)8f、及び、凹部の底面部におけるせん断加工稜線2bとパンチの進行方向に直交する方向の長さ(以下「凹部長さ」ということがある。)8gの凹部8が設けられている。なお、凹部の角部は、R1.0の丸みが形成されている。
凹部幅は、被加工材の板厚の80〜1000%が好ましい。凹部幅は、被加工材の変形抵抗に依るところが大きいが、本発明者らの調査結果によれば、80%未満であれば、パンチの食込み当初において、凹部に対応する被加工部位が塑性変形し、一方、1000%を超えると、凹部に対応する被加工部位の内部において、き裂伝播による破断促進効果が得られない。
凹部長さは、被加工材の板厚の50%以上が好ましい。凹部長さが短ければ、単に、局所的にクリアランスが広いだけのせん断加工となってしまい、パンチの食い込み初期において、凹部内におけるせん断変形抑制効果が得られない。よって、凹部長さは、被加工材の板厚の50%以上が好ましい。より好ましくは、図10に示すパンチの底面を貫通する程度の長さである。
次に、本発明方法の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明方法の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明方法は、この一条件例に限定されるものではない。本発明方法は、本発明方法の要旨を逸脱せず、本発明方法の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例1)
板厚1.6mmの590MPa級熱延鋼板(被加工材)に、図11に示す角丸穴(30mm×30mm、角部はR5の丸み)を、図10に示すパンチ(凹部幅:0〜15mm、凹部長さ:0〜パンチ底全域、角部はR1.0の丸み)パンチで打ち抜き、打抜き後、図12に示すように、バーリング用パンチ12を用い、バーリング高さ12aのバーリング加工を行った。
板厚1.6mmの590MPa級熱延鋼板は、自動車用鋼板として多用されているので、この鋼板を被加工材として用いた。
バーリング加工は、バーリング用パンチ12の径を変え、バーリング高さ12aが異なる、即ち、バーリング加工に伴う穴抜き端部の塑性変形量が異なる5つの水準で行った。
穴抜きパンチ(図10、参照)に設けた凹部の深さ、幅、及び、長さ、及び、割れずに成形できたバーリング高さを、表1に示す。
Figure 2014231094
表1より、凹部の深さ/板厚(%)が10〜70%の範囲内にある発明例では、比較例に比べ、穴抜き後のせん断加工面において、伸びフランジ割れが発生せず、高いバーリング高さが得られていることが解る。
前述したように、板厚1.6mmの590MPa級熱延鋼板が、自動車用鋼板として多用されていることから、実施例では、板厚1.6mmの熱延鋼板を被加工材として用いたが、他の板厚の鋼板を用いても、同様の効果が得られることを、本発明者らは、実験的に確認した。
(実施例2)
590MPa級・1.6mm厚の熱延鋼板を、図13に示すパンチを用いてせん断加工し、図14に示す、円弧部11aと直線部11bからなり、2との直線部11bが120°をなすせん断加工面を形成した。その後、伸びフランジ試験を行った。
図15に、伸びフランジ試験の態様と伸びフランジ加工品の形状を示す。図15(a)に、伸びフランジ試験の態様を示す。伸びフランジ試験は、パッド14aの上のフランジ加工用ダイ14に被加工材1を載置し、伸びフランジ加工用パンチ13を、伸びフランジ加工方向13aに押圧して行った。図15(b)に、伸びフランジ加工品の形状を示す。
伸びフランジ試験は、伸びフランジ高さ13bが異なる、即ち、伸びフランジ試験に伴うせん断加工面における塑性変形が異なる5つの水準で行った。
せん断加工で用いたパンチに設けた凹部の深さ、幅、及び、長さ、及び、割れずに成形できた伸びフランジ高さを、表2に示す。
Figure 2014231094
表2より、凹部の深さ/板厚(%)が10〜70%の範囲内にある発明例では、比較例に比べ、せん断加工後のせん断加工面において、伸びフランジ割れが発生せず、高い伸びフランジ高さが得られていることが解る。
前述したように、本発明によれば、工具作製コストが低く、量産現場に容易に適用が可能で、せん断加工面において伸びフランジ割れを抑制し得るせん断加工方法を提供することができる。よって、本発明は、鋼材加工産業において利用可能性が高いものである。
1 被加工材
1a 凹部に対応する被加工部位
2 パンチ
2a 進行方向
2b せん断加工稜線
3 ダイ
3a パッド
4 ダレ
5 せん断加工面
6 破断面
7 バリ
8、8’ 凹部
8a 側面部
8b 底面部
8c 鋭角部
8d 丸み部
8e 深さ
8f 幅
8g 長さ
9 凹部以外の部位
10 き裂
10a き裂の先端部
11 穴
11a 円弧部
11b 直線部
12 バーリング用パンチ
12a バーリング高さ
13 フランジ加工用パンチ
13a 伸びフランジ加工方向
13b 伸びフランジ高さ
14 伸びフランジ加工用ダイ
14a パッド

Claims (4)

  1. パンチとダイを用いてせん断加工を行う方法において、
    (i-1)予め、数値計算又は伸びフランジ試験を行って、被加工材のせん断加工面にて伸びフランジ割れが生じ易い部位を特定し、
    (i-2)せん断加工の際、特定した部位を含む領域に対向するパンチの刃先に、(a)パンチの進行方向と平行な側面部とパンチの進行方向に垂直な底面部で形成され、かつ、(b)該底面部のパンチ底面からの深さが被加工材の板厚の10〜70%である凹部を設け、
    (ii)上記凹部を有するパンチを用いてせん断加工を行う
    こと特徴とするせん断加工方法。
  2. 前記パンチの刃先において、凹部と凹部以外の部位の境界部に、曲率半径0.1mm以上の丸みが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のせん断加工方法。
  3. 前記凹部の底面部において、せん断加工稜線方向の長さが、被加工材の板厚の80〜1000%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のせん断加工方法。
  4. 前記凹部の底面部において、せん断加工稜線に直交する方向の長さが、被加工材の板厚の50%以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のせん断加工方法。
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