JP6809557B2 - せん断加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車、家電製品、建築構造物、船舶、橋梁、建設機械、各種プラント、ペンストック等で用いる金属部材をせん断加工で製造する際、優れた面性状のせん断加工面を形成し得るせん断加工方法に関する。
自動車、家電製品、建築構造物、船舶、橋梁、建設機械、各種プラント、ペンストック等で用いる金属部材の製造には、せん断加工が多く利用されている。図1に、せん断加工の態様を模式的に示す。図1(a)に、被加工材に穴を形成するせん断加工の態様を模式的に示し、図1(b)に、被加工材に開断面を形成するせん断加工の態様を模式的に示す。
図1(a)に示すせん断加工においては、ダイ3の上に被加工材1を載置し、パンチ2を下方向2a、すなわち被加工材1の板厚方向に押し込んで、被加工材1に穴を形成する。図1(b)に示すせん断加工においては、ダイ3の上に被加工材1を載置し、同じく、パンチ2を下方向2a、すなわち被加工材1の板厚方向に押し込んで、被加工材1に開断面を形成する。
せん断加工で形成される加工材10のせん断加工面9は、通常、図2に示すように、ダレ4、せん断面5、破断面6、及びバリ7によって構成される。ダレ4は、被加工材1がパンチで押し込まれることにより、加工材10の上部表面8aに形成される。せん断面5は、パンチとダイの間隙に被加工材1が引き込まれることにより、被加工材1が局所的に引き伸ばされて形成される。破断面6は、パンチとダイの間隙に引き込まれた被加工材1が破断して形成される。バリ7は、パンチとダイの間隙に引き込まれた被加工材1が破断して加工材10から分離する際、加工材10の下部表面8bに生じる。
せん断加工面は、一般に、機械加工で形成する加工面に比べ面性状が劣り、例えば、耐水素脆化性が低い、疲労強度が低い、または伸びフランジ割れ(せん断加工後のプレス加工で、せん断加工面に生ずる割れ)が生じ易いといった課題を抱えている。特に、高張力鋼板においては、引張残留応力による水素脆化割れ及び疲労強度の低下が生じやすい。
せん断加工面の課題の解決を図る技術は数多く提案されているが、これらの技術は、概して、パンチとダイの構造を工夫して、疲労強度、伸びフランジ性等の、せん断加工面の面性状の向上を図るもの(例えば、特許文献1〜3を参照)と、せん断加工面に、コイニングやシェービング等の処理を施して、耐水素脆化性、疲労強度等の、せん断加工面の面性状の向上を図るもの(例えば、特許文献4〜8を参照)に分けることができる。
しかし、パンチとダイの構造を工夫する技術においては、せん断加工面の面性状の向上に限界があり、また、せん断加工面に処理を施す技術においては、一工程増える分、生産性が低下し、製造コストが上昇する。
特開2009−051001号公報 特開2014−231094号公報 特開2010−036195号公報 特開2008−018481号公報 特開2011−218373号公報 特開2006−082099号公報 特開2002−263748号公報 特開平3−207532号公報
本発明は、せん断加工技術の現状に鑑み、耐水素脆化性及び疲労強度に優れたせん断加工面を有する金属部材を、生産性良く、かつ、低コストで製造することが可能な、せん断加工方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決する手法について鋭意検討し、高張力鋼板等の金属部材のせん断加工において、耐水素脆化性の観点からは、パンチとダイとのクリアランス(間隔)は小さくした方がよいが、クリアランスの小さい金型を精度良く作製することが難しく、且つ金型の作製に大きなコストがかかること、パンチとダイとのクリアランスが小さいと、金型の損傷が生じやすく、特に高張力鋼板のせん断加工では金型の損傷が避けられないことの知見を得た。
本発明者らはさらに鋭意検討した結果、ダイとパンチとの間隔を、被加工材の板厚の5〜80%に設定してせん断加工を行い、パンチで打ち抜いた抜き材を活用して、抜き材の端面をダイ上の加工材のせん断加工面に押しつけることにより、耐水素脆化性及び疲労強度に優れたせん断加工面を有する金属部材を、生産性良く、かつ、低コストで製造できることを見いだした。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)
第1面及びその反対側の第2面を有する被加工材を、前記第2面がダイ側に配置されるように、前記ダイ上に配置し、前記被加工材の前記第1面から前記第2面に向かって前記被加工材の板厚方向に、前記第1面側に配置されたパンチでせん断加工するせん断加工方法であって、
(A)前記ダイと前記パンチとの間隔であって前記被加工材の板厚方向に垂直方向の間隔を、前記被加工材の板厚の5%〜80%とする間隔設定工程、
(B)前記パンチで前記被加工材をせん断加工して、抜き材及び加工材を得るせん断加工工程であって、前記抜き材及び加工材はそれぞれ、前記被加工材の第1面及び第2面に対応する第1面及び第2面を有する、せん断加工工程、並びに
(C)前記パンチに対向するように前記加工材の第2面側に配置された押し込みパンチによって、前記抜き材を、抜いたままの状態で、前記加工材の抜き穴に押し込んで、前記抜き材の端面を前記加工材のせん断加工面に押しつける押しつけ工程、
を含む、せん断加工方法。
(2)
前記工程(A)において、前記ダイと前記パンチとの間隔を10%〜80%とする、前記(1)項に記載のせん断加工方法。
(3)
前記工程(A)において、前記ダイと前記パンチとの間隔を10%〜30%とする、前記(1)項に記載のせん断加工方法。
(4)
前記工程(C)において、前記抜き材の押し込みを、前記抜き材の第2面が前記加工材の第1面を通り過ぎない範囲で行い、前記加工材のせん断加工面をコイニングすることを含む、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
(5)
前記工程(C)において、前記抜き材の押し込みを、前記抜き材の第2面の位置が、前記加工材の第2面から第1面に向かって板厚の半分の位置を通り過ぎない範囲で行い、前記加工材のせん断加工面をコイニングすることを含む、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
(6)
前記工程(C)において、前記抜き材の押し込みを、前記抜き材の第2面の位置が、前記加工材の第2面の位置と同じになるように行い、前記加工材のせん断加工面をコイニングすることを含む、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
(7)
前記工程(C)において、前記抜き材の押し込みを、前記抜き材の第2面の位置が、前記加工材の第2面の位置を通り過ぎない範囲で行い、前記加工材のせん断加工面の少なくとも一部をコイニングすることを含む、前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
(8)
前記工程(C)において、前記抜き穴に押し込んだ前記抜き材を前記パンチで打抜き、前記押し込みパンチで前記抜き材を前記抜き穴に押し込むことを1回以上繰り返す、前記(1)〜(7)のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
(9)
前記ダイ、前記パンチ、及び前記押し込みパンチが、前記被加工材の内周側に前記ダイが配置され且つ前記被加工材の外周側に前記パンチ及び前記押し込みパンチが配置される外周トリム型の構成を有すること、
前記パンチの打抜き面及び前記押し込みパンチの押し込み面のうち少なくとも一方の面が凸部を有すること、並びに
前記パンチ及び前記押し込みパンチで前記被加工材を挟んで固定しながら、前記せん断加工及び前記押しつけを行うこと、
を含む、前記(1)〜(8)のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
(10)
前記ダイ、前記パンチ、及び前記押し込みパンチが、前記被加工材の内周側に前記ダイが配置され且つ前記被加工材の外周側に前記パンチ及び前記押し込みパンチが配置される外周トリム型の構成を有すること、
前記パンチよりもさらに外周側に、追加パンチを前記パンチに連結して配置すること、
前記押し込みパンチよりもさらに外周側に、前記被加工材を挟んで前記追加パンチに対向するように、追加押し込みパンチを前記押し込みパンチに連結して配置すること、
前記追加パンチの打抜き面及び前記追加押し込みパンチの押し込み面のうち少なくとも一方の面が凸部を有すること、並びに
前記連結されたパンチ及び追加パンチの打抜き面、並びに前記連結された押し込みパンチ及び追加押し込みパンチの押し込み面で、前記被加工材を挟んで固定しながら、前記せん断加工及び前記押しつけを行うこと、
を含む、前記(1)〜(8)のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
(11)
前記ダイ、前記パンチ、及び前記押し込みパンチが、前記被加工材の内周側に前記ダイが配置され且つ前記被加工材の外周側に前記パンチ及び前記押し込みパンチが配置される外周トリム型の構成を有すること、
前記パンチよりもさらに外周側に、追加ホルダーを配置すること
前記押し込みパンチよりもさらに外周側に、前記被加工材を挟んで前記追加ホルダーに対向するように、追加ダイを配置すること
前記追加ホルダーの前記被加工材の第1面に面する固定面及び前記追加ダイの前記被加工材の第2面に面する固定面のうち少なくとも一方の面が凸部を有すること、並びに
前記追加ホルダーの固定面及び前記追加ダイの固定面で、前記被加工材を挟んで固定しながら、前記せん断加工及び前記押しつけを行うこと、
を含む、前記(1)〜(8)のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
(12)
前記ダイ、前記パンチ、及び前記押し込みパンチが、前記被加工材の内周側に前記ダイが配置され且つ前記被加工材の外周側に前記パンチ及び前記押し込みパンチが配置される外周トリム型の構成を有すること、
前記パンチよりもさらに外周側に、追加パンチを配置すること、
前記追加パンチと前記押し込みパンチとで、前記被加工材をせん断加工してせん断面を得ること、並びに
前記せん断面を前記追加パンチの側面で拘束して、前記間隔設定、前記せん断加工、及び前記押しつけを行うこと、
を含む、前記(1)〜(8)のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
(13)
前記ダイ、前記パンチ、及び前記押し込みパンチが、前記被加工材の内周側に前記ダイが配置され且つ前記被加工材の外周側に前記パンチ及び前記押し込みパンチが配置される外周トリム型の構成を有すること、
前記押し込みパンチよりもさらに外周側に、追加ダイを配置すること、
前記パンチと前記追加ダイとで、前記被加工材をせん断加工してせん断面を得ること、並びに
前記せん断面を、前記追加ダイの側面で拘束して、前記間隔設定、前記せん断加工、及び前記押しつけを行うこと、
を含む、前記(1)〜(8)のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
(14)
前記ダイ、前記パンチ、及び前記押し込みパンチが、前記被加工材の内周側に前記ダイが配置され且つ前記被加工材の外周側に前記パンチ及び前記押し込みパンチが配置される外周トリム型の構成を有すること、
前記パンチよりもさらに外周側に、追加ホルダーを配置すること、
前記押し込みパンチよりもさらに外周側に、前記被加工材を挟んで前記追加ホルダーに対向するように、追加ダイを配置すること
前記パンチと前記追加ダイとで、前記被加工材をせん断加工してせん断面を得ること、並びに
前記せん断面を、前記追加ダイまたは追加ホルダーの側面で拘束して、前記間隔設定、前記せん断加工、及び前記押しつけを行うこと、
を含む、前記(1)〜(8)のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
(15)
前記被加工材が340MPa級以上の引張強度を有する金属板である、前記(1)〜(14)のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
(16)
前記被加工材が980MPa級以上の引張強度を有する金属板である、前記(1)〜(14)のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
(17)
前記被加工材が鋼材である、前記(15)または(16)項に記載のせん断加工方法。
本発明によれば、金属部材のせん断加工において、耐水素脆化性及び疲労強度に優れたせん断加工面を有する金属部材を、生産性良く、かつ、低コストで製造することができる。
図1(a)は、被加工材に穴を形成するせん断加工の態様を示す断面模式図である。図1(b)は、被加工材に開断面を形成するせん断加工の態様を示す断面模式図である。 図2は、加工材のせん断加工面の断面模式図である。 図3は、せん断加工機に被加工材を配置した態様を示す断面模式図である。 図4は、せん断加工機に被加工材を固定した態様を示す断面模式図である。 図5は、パンチを押し込んで、被加工材をせん断加工した態様を示す断面模式図である。 図6は、パンチをさらに押し込んで、被加工材をせん断加工した態様を示す断面模式図である。 図7は、パンチで打ち抜いた抜き材を、抜いたままの状態で押し戻し、抜き材の端面を加工材のせん断加工面に押しつける態様を示す断面模式図である。 図8(a)は、間隔設定工程の断面模式図である。図8(b)は、せん断加工工程の断面模式図である。図8(c)は、押しつけ工程の断面模式図である。 図9(a)は、抜き材の端面と加工材のせん断加工面との押しつけ開始時の状態を表す断面模式図である。図9(b)は、抜き材の端面と加工材のせん断加工面との押しつけ完了時の塑性加工域を表す断面模式図である。 図10は、片持ち式せん断加工機に被加工材を配置した態様を示す断面模式図である。 図11は、片持ち式せん断加工機に被加工材を固定した態様を示す断面模式図である。 図12は、パンチを押し込んで、被加工材をせん断加工した態様を示す断面模式図である。 図13は、パンチで打ち抜いた抜き材を、抜いたままの状態で押し戻し、抜き材の端面を加工材のせん断加工面に押しつける態様を示す断面模式図である。 図14は、外周トリムの実施形態1を説明する断面模式図である。 図15は、外周トリムの実施形態2を説明する断面模式図である。 図16は、外周トリムの実施形態3を説明する断面模式図である。 図17(a)及び図17(b)は、外周トリムの実施形態4を説明する断面模式図である。 図18(a)及び図18(b)は、外周トリムの実施形態5を説明する断面模式図である。 図19(a)及び図19(b)は、外周トリムの実施形態6を説明する断面模式図である。 図20(a)は、ダイとパンチの間隔が、被加工材の板厚の5%の場合のせん断加工面の断面写真である。図20(b)は、ダイとパンチの間隔が、被加工材の板厚の10%の場合のせん断加工面の断面写真である。 図21(a)は、ダイ(D)とパンチ(P)の間隔が、被加工材の板厚の20%の場合のせん断加工面の断面写真である。図21(b)は、ダイ(D)とパンチ(P)の間隔が、被加工材の板厚の30%の場合のせん断加工面の断面写真である。図21(c)は、ダイ(D)とパンチ(P)の間隔が、被加工材の板厚の40%の場合のせん断加工面の断面写真である。 図22は、せん断加工面における残留応力の測定位置を表す模式図である。 図23は、ダイとパンチの間隔が、被加工材の板厚の1%の場合のせん断加工面における引張残留応力を示すグラフである。 図24は、ダイとパンチの間隔が、被加工材の板厚の5%の場合のせん断加工面における引張残留応力を示すグラフである。 図25は、ダイとパンチの間隔が、被加工材の板厚の10%の場合のせん断加工面における引張残留応力を示すグラフである。 図26は、ダイとパンチの間隔が、被加工材の板厚の20%の場合のせん断加工面における引張残留応力を示すグラフである。 図27は、ダイとパンチの間隔が、被加工材の板厚の30%の場合のせん断加工面における引張残留応力を示すグラフである。 図28は、ダイとパンチの間隔が、被加工材の板厚の40%の場合のせん断加工面における引張残留応力を示すグラフである。 図29は、ダイとパンチの間隔が、被加工材の板厚の60%の場合のせん断加工面における引張残留応力を示すグラフである。 図30は、ダイとパンチの間隔による引張残留応力低減効果を表すグラフである。 図31は、ダイとパンチの間隔による、パンチの進行方向に対する加工材の破断面の角度θを表すグラフである。 図32は、破断面の角度θによる、引張残留応力低減効果を表すグラフである。 図33は、平板曲げ疲労試験で測定した疲労特性を示すグラフである。 図34は、伸びフランジ性の試験方法を示す断面模式図である。 図35は、加工材のせん断加工面の伸びフランジ性についての試験結果を示すグラフである。
本開示のせん断加工方法は、ダイ及びパンチで被加工材をせん断加工するせん断加工方法において、ダイとパンチとの間隔(以下、クリアランスともいう)を所定範囲以上としてせん断加工を行い、得られた抜き材を、せん断加工面を精整する工具として利用することを基本思想とし、せん断加工の後、抜き材の端面を加工材のせん断加工面に押しつけることを特徴とする。本願において、被加工材は金属部材である。
本開示の方法によれば、ダイとパンチとの間隔を大きくすることができる。そのため、精密せん断のような高い寸法精度が要求されず、金型を安価に作製することができ、加えて、金型の損傷が防止され、特に高張力鋼板のせん断加工でも金型の損傷が防止され、金型の補修及び調整の必要性が軽減されるので生産性が上がる。さらには、本開示の方法によれば、せん断加工により打ち抜いた抜き材を、打ち抜いた状態のまま、せん断加工面を精整する工具として利用して、せん断加工の後、抜き材の端面を加工材のせん断加工面に押しつける。そのため、打抜き後に抜き材を別の金型に設置しなおす必要が無く、従来よりも工程数を少なくすることができる。また、打抜き後に抜き材を別の金型に設置しなおす必要が無いので、抜き材の位置ずれが起きず、抜き材の端面を加工材のせん断加工面に確実に押しつけることが可能となる。したがって、本開示の方法によれば、耐水素脆化性及び疲労強度に優れたせん断加工面を有する鋼材を、生産性良く、かつ、低コストで製造することができる。
本開示の方法は、ダイとパンチとの間隔を大きく設定するため、いわゆるファインブランキング等の精密せん断加工とは明確に区別される。なお、精密せん断加工とは、板打抜きにおいて、クリアランスをできる限り小さくして、切断面全体を、せん断面で構成する方法である。
以下、本開示の方法について、図面を参照しながら説明する。
図3〜図7に、せん断加工機で被加工材をせん断加工して抜き材と加工材を得た後に、パンチを上昇させ、抜いたままの状態で抜き材を押し戻して、加工材の抜き穴に押し込む態様の一例を示す。
図3に、本開示の方法に用いることができるせん断加工機100に、第1面141及びその反対側の第2面142を有する被加工材14を配置した態様の断面模式図を示す。図4に、せん断加工機100に被加工材14を固定した態様の断面模式図を示す。図5に、パンチ17を被加工材14の第1面141から第2面142に向かって板厚方向に移動させて、被加工材14をせん断加工する途中の態様の断面模式図を示す。図6に、パンチ17をさらに移動させて、被加工材14をせん断加工した態様の断面模式図を示す。図7に、パンチで打ち抜いた抜き材18を、抜いたままの状態で押し戻して、抜き穴18aに押し込んだ態様の断面模式図を示す。
図3に示すように、せん断加工機100に被加工材14を配置する。せん断加工機100は、好ましくは弾性部材11で保持されている押し込みパンチ13を備える。弾性部材11で保持されている押し込みパンチ13は、被加工材14の第2面142に接するダイ12の面121よりΔHだけ飛び出ている。ΔHは、抜き材の押し戻し量に応じて変更することができる。ΔHは、被加工材の板厚より大きくてもよく、被加工材の板厚と同じでもよく、またはゼロでもよい。また、押し込みパンチ13は、ダイ12の面121より引っ込んでいてもよいが、被加工材の板厚よりも引っ込み量は小さい。すなわち、ΔHはマイナスでもよいが、その大きさ(絶対値)は板厚未満である。例えば、ΔHを被加工材の板厚より大きくすれば、抜き材を押し戻す際に、抜き材に抜き穴を通り抜けさせ、ΔHをゼロにすれば、抜き材を抜き穴の元の位置に戻すことができる。せん断加工機100に被加工材14を配置した後、図4に示すように、弾性部材16でホルダー15を押圧し、被加工材14をダイ12に固定する。
次に、図5に示すように、被加工材14をダイ12に固定した状態で、パンチ17を被加工材14の第1面141から第2面142に向かって板厚方向に移動させ、被加工材14のせん断加工を行う。さらに、パンチ17を第2面142に向かって移動させ、図6に示すように、抜き材18と、せん断面及び破断面を含むせん断加工面20を有する加工材14aとを形成する。抜き材18は、被加工材14の第1面141及び第2面142に対応する第1面181及び第2面182を有する。加工材14aは、被加工材14の第1面141及び第2面142に対応する第1面14a−1及び第2面14a−2を有する。
第1面141から第2面142に向かって板厚方向のパンチ17の移動は、押し込みパンチ13から背圧をかけながら行うことが好ましい。押し込みパンチ13からの背圧に対抗しながらパンチ17を移動させることによって、抜き材18の保持をより安定して行うことができる。押し込みパンチ13は、せん断加工後に、抜き材18を、打ち抜いたままの状態で押し戻して、抜き穴18aに押し込むことができるものであれば、特に限定されない。本願において「打ち抜いたままの状態」及び「抜いたままの状態」は同じことを意味し、せん断加工により得られた抜き材18を、ダイから取り外さないで、そのままにした状態をいう。押し込みパンチ13は、被加工材14の配置前に、ダイ12の面121より飛び出ていてもまたは飛び出ていなくてもよい。押し込みパンチ13の駆動方法は、押し込みパンチ13を駆動できるものであれば、その方法は問わず、弾性部材に代えて、例えば、ガスクッションやカム機構によって動作するものでもよい。
次に、図7に示すように、押し込みパンチ13が抜き材18を、抜いたままの状態で、抜き穴18aに押し込み、抜き材18の端面19を、抜き穴18aの輪郭面であるせん断加工面20に押し付ける。押し込みパンチ13が弾性部材11を備える場合、弾性部材11の反発力を利用して、押し込みパンチ13が、抜き材18を抜き穴18aに押し込むことができる。図7は、抜き材18の第2面182が、加工材14aの第2面14a−2の位置を通り過ぎる前に、抜き材18の押し込みを止めた態様を示す。
加工材14aのせん断加工面20は、図2に示すように、ダレ4、せん断面5、破断面6、及びバリ7で構成され得る。本開示の方法においては、抜き材18を、加工材14aのせん断加工面20を精整する工具として用いて、抜き材18を抜き穴18aに押し込み、抜き材18の端面19を抜き穴18aの輪郭面であるせん断加工面20に押し付ける。これにより、加工材14aのせん断加工面20における引張残留応力を減少させることができ、好ましくは、引張残留応力を減少させつつ、ばらつきも低減することができる。引張残留応力を減少させることにより、耐水素脆化特性及び疲労強度を向上することができる。
図8(a)〜(c)に、本開示の方法における、間隔設定工程、せん断加工工程、及び押しつけ工程の一例の断面模式図を示す。
図8(a)に示す間隔設定工程では、パンチ17とダイ12との間隔dを、被加工材14の板厚tの5〜80%の範囲内に設定する。また、被加工材14を、ダイ12とホルダー15で固定する。
図8(b)に示すせん断加工工程では、パンチ17で被加工材14のせん断加工を行い、抜き材18及び加工材14aが得られる。パンチ角17a(パンチ17の先端)の角度は、好ましくは直角であるが、パンチ角17aは、せん断加工可能な範囲で任意の形状であることができ、例えば丸みや面取り部を有してもよい。加工材14aのせん断加工面は、図2に示すように、ダレ4、せん断面5、破断面6、及び、バリ7で構成され得る。抜き材18の端面19も、ダレ、せん断面、破断面、及びバリで構成され得る。加工材14aのせん断加工面20の形状と抜き材18の端面19の形状とは、実質的に対称形となる。図8(b)においては、加工材14aのせん断加工面及び抜き材18の端面19について、模式的に、せん断面及び破断面のみを示す。加工材14aはせん断面5及び破断面6を有し、破断面6は、抜き材18の破断面6aと角度が一致する。さらには、加工材14aの板厚に垂直方向の、抜き材18とダイ12との間隔はゼロである。
図8(c)に示す押しつけ工程では、打ち抜いたままの状態の抜き材18を、打ち抜いたままの状態で押し戻して抜き穴18aに押し込んで、抜き材18の破断面6aを含む端面19を、加工材14aの破断面6を含むせん断加工面に押し付ける。加工材の破断面と同一形状の破断面を有し且つダイ12との間隔がゼロである抜き材18を、打ち抜いたままの状態で、抜き穴18aに押し込むので、加工材14aの破断面6と抜き材18の破断面6aとの角度が一致し、加工材14aの破断面6の表層全体に、圧縮の塑性変形を生じさせることができる。好ましくは、パンチ17から抜き材18に荷重をかけながら、押し込みパンチ13で抜き材18を押し込む。パンチ17から抜き材18に荷重をかけながら、押し込みパンチ13で抜き材18を押し込むことによって、押し込み時に、抜き材18が湾曲することを抑制することができる。抜き材18の湾曲が許容される範囲であれば、図8(c)に例示するように、パンチ17から抜き材18に荷重をかけずに、押し込みパンチ13で抜き材18を押し込んでもよい。
間隔dを被加工材14の板厚tの5〜80%にすることにより、せん断加工面の破断面の角度を、パンチの進行方向(板厚方向)に対して大きくすることができる。加工材14aの破断面6の、パンチの進行方向(板厚方向)に対する角度θは、好ましくは3°以上である。加工材14aの破断面6と抜き材18の破断面6aの押しつけ合う面が、パンチの進行方向(板厚方向)に対して大きな角度を有することにより、加工材の表層に圧縮の塑性変形を生じさせることができる。
押しこみ工程により、加工材のせん断加工面の引張残留応力が低減する理由は、次のように考えられる。
図9(a)及び図9(b)に、抜き材18の端面19を加工材14aのせん断加工面20に押し付ける態様の断面模式図を示す。図9(a)に、抜き材18の端面19の破断面6aを、加工材14aのせん断加工面20の破断面6に押しつけるときの押しつけ開始時の断面模式図を示す。図9(b)に、加工材14aのせん断加工面20への抜き材18の端面19の押しつけ完了時の塑性加工域の断面模式図を示す。
図9(a)に示すように、押し込みパンチ13で、抜き材18を抜き穴18aに押し込み、加工材14aの破断面6に抜き材18の破断面6aを押しつける。本開示の方法において、加工材14aの破断面6と抜き材18の破断面6aの、パンチの進行方向に対するずれ角度θは同じである。そのため、加工材14aの破断面6の表層全域に安定して圧縮の塑性変形を生じさせることができる。そのまま、抜き材18を押し込んでいき、抜き材18の端面19の全体を、加工材14aのせん断加工面20の全体に押し付けながら、抜き材18を加工材14aと同じ位置まで押し戻すと、図9(b)に示すように、材料重複域20aが形成される。そのため、加工材14aの抜き穴18aの表層全域に圧縮塑性変形が生じ、引張残留応力を低減することができる。図9(b)においては、抜き材18の第2面182が、加工材14aの第2面14a−2と同じ位置にあるので、抜き材18の第1面181も、加工材14aの第1面14a−1と実質的に同じ位置にある。
所定の範囲において間隔dが大きいほど、加工材14aの破断面6と抜き材18の破断面6aの、パンチの進行方向に対するずれ角度θを大きくすることができるので、材料重複域20aを広くすることができる。材料重複域20aを広くすると、引張残留応力の低減量を大きくすることができる。したがって、過大なバリが発生しない範囲で、間隔dを大きくすることが好ましい。
間隔dの下限は、被加工材14の板厚の5%以上、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上、さらに好ましくは20%以上である。間隔dの上限は、80%以下、好ましくは60%以下、より好ましくは50%以下、さらに好ましくは40%以下、さらにより好ましくは30%以下である。間隔dを上記範囲内に設定することによって、過大なバリを発生させずに、せん断加工面の破断面6のパンチ進行方向に対する角度θを大きくすることができる。
間隔dが5%未満では、抜き穴と抜き材の破断面が、パンチの進行方向(板厚方向)に対して十分な角度を有することができず、せん断加工面の破断面に圧縮の塑性変形を生じさせる力を加えることができない。また、間隔dが5%未満の場合、加工材のせん断加工面に二次せん断面が生じやすく、局所的に抜き穴と抜き材がひっかかり押しつけが十分に行えない場合がある。間隔dが80%を超えると、せん断加工を行うことができず、間隔dが80%以上ではしごき加工となり、間隔dが100%以上では、曲げや絞り加工となる。
特に、間隔dが5〜30%の範囲で、破断面6の角度θを大きくすることができ、大きな押しつけ効果を得ることができる。間隔dが30%超〜80%の範囲でも、押しつけ効果を得ることはできる。ただし、間隔dが30%超の範囲では、せん断加工時の亀裂が、パンチ角17aからパンチ進行方向側にずれて進展して、破断面の角度θが減少し、加工材のせん断加工面に大きなバリが発生することがある。間隔dが60%超の範囲では、せん断加工面におけるだれが大きくなり、亀裂の進展方向がパンチ進行方向にさらにずれて、破断面の角度θが減少することがある。
バリは、パンチ角17aから生じる亀裂による破断が、ダイ角12a方向ではなく、パンチの進行方向にずれて起きることにより、加工材のせん断加工面の第2面側に形成され得る。間隔dが30%を超えて大きくなるにつれて、せん断加工面の第2面側に形成されるバリが大きくなり得る。過大なバリが発生すると、加工材14aの破断面6と抜き材18の破断面6aの、パンチの進行方向に対するずれ角度θが小さくなることがあり、また伸びフランジ性も低下し得るので、過大なバリの生成を避けるように、間隔dを設定することが好ましい。
本開示の方法において、抜き材18は、打ち抜いたままの状態で、加工材14aのせん断加工面を精整する工具として用いられ、抜き材18の破断面6aのパンチ進行方向に対する角度θは、せん断加工面の破断面6のパンチ進行方向に対する角度θと同じになる。したがって、せん断加工面の破断面6のパンチ進行方向に対する角度が大きいほど、抜き材18の破断面6aが加工材14aの破断面6を押す力を十分に得ることができ、加工材14aの破断面6の表層全域に圧縮塑性変形をより安定して生じさせることができる。
せん断加工面の破断面6の角度θは、パンチ進行方向に対して好ましくは3°以上、より好ましくは5.5°以上、さらに好ましくは11°以上である。せん断加工面20の破断面6の角度θが上記範囲内にあることにより、せん断加工面の破断面6の表層全域に、圧縮の塑性変形を、より安定して生じさせることができる。せん断加工面のうち破断面が最も引張残留応力が大きくなり得る。したがって、破断面が最も、耐水素脆化性及び疲労強度が問題になりやすい。そのため、好ましくは、破断面の表層全域の引張残留応力を低減し、より好ましくは、破断面及びせん断面の表層全域の引張残留応力を低減し、さらに好ましくは、せん断加工面の表層全域の引張残留応力を低減する。
本願において「せん断加工面に押しつける」とは、少なくとも、抜き材の破断面をせん断加工面の破断面に押しつけることを意味する。抜き材の破断面をせん断加工面の破断面に押しつけた後、その時点で抜き材の押し込みを止めてもよく、抜き材を押し込んで抜き材が抜き穴を通り抜けてもよい。
押しつけ工程において、抜き材18を抜き穴18aに押し戻す際に、抜き材18を押し込んで、抜き材18が抜き穴18aを通り抜けてもよい。ただし、せん断加工面20に対してコイニングを行うこと、且つ伸びフランジ性を向上する観点から、抜き材18の押し込みを、抜き材18の第2面182が加工材14aの第1面14a−1を通り過ぎない範囲で行うことが好ましい。
抜き材18の押し込みを、抜き材18の第2面182が加工材14aの第1面14a−1を通り過ぎない範囲で行うことにより、加工材14aのせん断加工面にコイニングを行うことができ、良好な伸びフランジ性を得ることができる。したがって、優れた耐水素脆化性及び疲労強度に加えて、良好な伸びフランジ性も両立することができる。抜き材18の第2面182が、加工材14aの第1面14a−1を通り抜ける位置まで抜き材18を押し込むと、削りかすが生じ、加工材14aの第1面14a−1側にバリが発生し、追加の加工硬化が入る。そのため、加工材14aのせん断加工面20の伸びフランジ性が低下する。
より好ましくは、抜き材18の押し込みを、抜き材18の第2面182が、加工材14aの第2面14a−2から第1面14a−1に向かって板厚の半分の位置を通り過ぎない範囲で行う。抜き材18の押し込みを、この範囲で行うことによって、加工材のせん断加工面の全体にコイニングを行うことができ、圧縮塑性変形が適度に軽減されてせん断加工面の表層部だけにとどめることができるので、より良好な伸びフランジ性を得ることができる。
さらに好ましくは、抜き材18の押し込みを、抜き材18の第2面182の位置が、加工材14aの第2面14a−2の位置と実質的に同じになるように行う。このとき、抜き材18の第1面181の位置は、加工材14aの第1面14a−1の位置と実質的に同じになる。抜き材18を抜き穴18aの元の位置に戻すことになり、加工材のせん断加工面の全体にコイニングを行うことができ、圧縮塑性変形がより適度に軽減されてせん断加工面の表層部だけにとどめることができるので、さらに良好な伸びフランジ性を得ることができる。
加工材14aの破断面6に抜き材の破断面6aが押しつけられる限り、抜き材18の押し込みを、抜き材18の第2面182が、加工材14aの第2面14a−2の位置を通り過ぎない範囲で行ってもよい。この場合、加工材のせん断加工面のコイニングはせん断加工面の一部の領域に留まり得るが、破断面6の表層がコイニングされていれば、せん断加工面の面性状を改善する効果を得ることができる。
抜き材18の押し込みを、抜き材18の第2面182が加工材14aの第1面を通り過ぎない範囲で行うことによって、シェービングに伴う加工硬化を抑制して、伸びフランジ性も向上することができ、耐水素脆化性、疲労強度、及び伸びフランジ性に優れたせん断加工面を有する鋼材を得ることができる。
本願において、コイニングとは、加工材のせん断加工面に圧縮応力を加えて、せん断加工面の表面状態や形状を改善することを意味し、せん断加工面の表面を切断する、いわゆるシェービングとは明確に区別される。
シェービングとは、加工材のせん断加工面を、わずかにせん断加工、すなわち、わずかに切断することを意味する。本願において、コイニングによっては材料の分離は発生せず、材料の分離が発生する場合は、シェービングとみなされる。
せん断加工機から、抜き材18及び加工材14aを任意の方法で取り出すことができ、例えば、図7に示す態様から、ホルダー15を上昇させ、抜き材18及び加工材14aを取り出すことができる。
抜き穴18aに押し込んだ抜き材18をパンチ17で押し出して、再度、抜き材18を抜き穴18aに押し込んでもよく、さらに繰り返し行ってもよい。抜き穴18aに抜き材18を押し込むことを繰り返すことにより、せん断加工面の引張残留応力をさらに低減させ、耐水素脆化特性及び疲労特性をより向上することができ、また、加工材14aのせん断加工面20において、せん断面と破断面の粗さをそれぞれ、目視上、より平滑にすることができる。
抜き材の抜き形状は、本開示の方法におけるせん断加工工程及び押し込み工程を行うことができる限り、円形、楕円形、多角形、非対称形等、所望の形状であることができる。
本開示の方法は、図1(b)に示すような、被加工材に開断面(せん断加工面)を形成するせん断加工においても、同様に、加工材のせん断加工面の面性状を改善する効果を奏するものである。以下、説明する。
図10〜図13に、片持ち式せん断加工機で被加工材をせん断加工し、抜き材を、打抜いたままの状態で、抜き材の端面を加工材のせん断加工面に押しつけるように押し込む態様の断面模式図を示す。
図10に、片持ち式せん断加工機200に被加工材24を配置した態様の断面模式図を示す。図11に、片持ち式せん断加工機200に被加工材24を固定した態様の断面模式図を示す。図12に、パンチ27を押し込んで、被加工材24をせん断加工した態様の断面模式図を示す。図13に、パンチ27で打ち抜いた抜き材28を、抜いたままの状態で押し戻し、抜き材28の端面29を加工材24aのせん断加工面30に押しつける態様の断面模式図を示す。
図10に示すように、機枠32の片側において、弾性部材21で保持されている押し込みパンチ23がダイ22の面221よりΔHだけ飛び出ている片持ち式せん断加工機200に、被加工材24を配置する。図11に示すように、弾性部材26でホルダー25を押圧し、被加工材24をせん断加工機のダイ22に固定する。次に、図12に示すように、被加工材24をせん断加工機のダイ22に固定した状態で、パンチ27を、被加工材24の第1面241から第2面242に向かって板厚方向に移動させ、被加工材24のせん断加工を行い、抜き材28と、せん断面及び破断面を含むせん断加工面30を有する加工材24aを形成する。第1面241から第2面242に向かって板厚方向のパンチ27の移動は、押し込みパンチ23から背圧をかけながら行うことが好ましい。押し込みパンチ23は、せん断加工後に、抜き材28を、抜いたままの状態で押し戻して、抜き穴28aに押し込むことができるものであれば、特に限定されない。押し込みパンチ23は、被加工材24の配置前に、被加工材24の第2面242に接するダイ22の面221より飛び出ていてもまたは飛び出ていなくてもよい。押し込みパンチ23の駆動方法は、押し込みパンチ23を駆動できるものであれば、その方法は問わず、弾性部材に代えて、例えば、ガスクッションやカム機構によって動作するものでもよい。
次いで、図13に示すように、弾性部材21の反発力を利用して押し込みパンチ23で、抜き材28を、抜いたままの状態で押し戻して抜き穴28aに押し込んで、抜き材28の端面29を、抜き穴28aの輪郭面であるせん断加工面30に押しつける。
片持ち式せん断加工を行う場合においても、図3〜7に例示するせん断加工を行う場合と同様の理由により、抜き材28を押し込んで、抜き材28が抜き穴28aを通り抜けてもよいが、抜き材28の押し込みを、抜き材28の第2面282が、好ましくは、加工材24aの第1面24a−1を通り過ぎない範囲で行い、より好ましくは、加工材24aの第2面24a−2から第1面24a−1に向かって板厚の半分の位置を通り過ぎない範囲で行い、好ましくは、抜き材28の第2面282の位置が、加工材24aの第2面24a−2の位置と実質的に同じになるように行う。また、抜き材28の押し込みを、抜き材28の第2面282が、加工材24aの第2面24a−2の位置を通り過ぎない範囲で行ってもよい。
本開示の方法において片持ち式せん断加工機100を用いる場合でも、せん断加工面において、引張残留応力が減少して耐水素脆化特性及び疲労強度が向上すること、伸びフランジ性も向上し得ること、及びせん断面と破断面の粗さがそれぞれ、目視上より平滑になることは、前述したとおりである。
片持ち式せん断加工機200から、抜き材28と加工材24aを取り出すには、例えば、図13に示す状態から、パンチ27を押し込み、抜き材28を、加工材24aの第2面24a−2側へ押し込めばよい。
片持ち式せん断加工機を用いて本開示の方法を実施する場合においても、抜き材の抜き形状は、本開示の方法におけるせん断加工工程及び押し込み工程を行うことができる限り、円形、楕円形、多角形、非対称形等、所望の形状であることができる。
片持ち式せん断加工機で本開示の方法を実施する場合においても、抜き材を抜き穴に押し込み、次いで押し出すことを繰り返す回数は制限されない。この回数は、せん断加工面の面性状の改善程度や、生産性を考慮して設定すればよい。
本開示の方法は、外周トリムを行う場合にも用いることもできる。本出願において、外周トリムとは、被加工材の外周側(外周部)をパンチで打抜き、内周側(内周部)の加工材を製品として得ることをいう。外周トリムは、自動車用鋼板等の大きな面積の製品を必要とするときに特に有効であり、製品が大きな面積で且つ非対称形状である場合にも、適用可能である。
外周トリムを行うために、ダイ、パンチ、及び押し込みパンチが、被加工材の内周側にダイが配置され且つ被加工材の外周側にパンチ及び押し込みパンチが配置される外周トリム型の構成を有することができる。パンチ及び押し込みパンチは、被加工材を挟んで対向するように配置される。
外周トリムにおいては、被加工材の外周部をパンチで打ち抜く際、外周部が外側に逃げないように外周部を拘束する必要がある。外周部を拘束する方法として、以下の方法が挙げられる。
(外周トリムの実施形態1)
パンチの打抜き面及び押し込みパンチの押し込み面のうち少なくとも一方の面が凸部を有し、パンチ及び押し込みパンチで被加工材を挟んで固定しながら、せん断加工及び押しつけを行うことができる。
図14に、パンチ47の打抜き面及び押し込みパンチ43の押し込み面に凸部49を設けて、被加工材44を拘束した態様の例を示す。この態様では、このままパンチすることができる。パンチ47及び押し込みパンチ43の少なくとも一方に凸部を設ける場合、パンチ47及び押し込みパンチ43で被加工材44の外周部が固定されるので、新たな部品を必要とすることなく、抜きカスを増やす必要も無い。
(外周トリムの実施形態2)
パンチよりもさらに外周側に、追加パンチをパンチに連結して配置し、押し込みパンチよりもさらに外周側に、追加押し込みパンチを押し込みパンチに連結して配置することができる。追加パンチの打抜き面及び追加押し込みパンチの押し込み面のうち少なくとも一方の面が凸部49を有し、連結されたパンチ及び追加パンチの打抜き面、並びに連結された押し込みパンチ及び追加押し込みパンチの押し込み面で、被加工材の外周部を挟んで固定しながら、せん断加工及び押しつけを行うことができる。追加押し込みパンチと押し込みパンチの連結は、金属製のピンを互いに埋め込むことで行うことができる。なお、連結方法はこの方法に限らず、所定の連結強度が確保されれば、その方法は問わない。
図15に、パンチ47の外周側に追加パンチ47aを連結し、押し込みパンチ43の外周側に追加押し込みパンチ43aを連結し、追加パンチ47aの打抜き面及び押し込みパンチ43aの押し込み面に凸部49を設けて、被加工材44を拘束した態様の例を示す。この態様では、このままパンチすることができる。凸部49を形成した追加パンチ47a及び追加押し込みパンチ43aが消耗しても、追加パンチ及び追加押し込みパンチの交換が容易である。
(外周トリムの実施形態3)
パンチよりもさらに外周側に、追加ホルダーを配置し、押し込みパンチよりもさらに外周側に、前記被加工材を挟んで前記追加ホルダーに対向させて追加ダイを配置することができる。追加ホルダー及び追加ダイのうち少なくとも一方の、被加工材の第1面及び第2面に面する固定面が凸部を有することができる。追加ホルダーの固定面及び追加ダイの固定面で、被加工材の外周部を挟んで固定しながら、せん断加工及び押しつけを行うことができる。
図16に、固定面に凸部を設けた追加ホルダー45a及び追加ダイ42aにより、被加工材44の外周部を拘束した態様の断面模式図を示す。図16においては、パンチ47及び押し込みパンチ43の外周側に、被加工材44の外周部を固定する面に凸部49を設けた追加ホルダー45a及び追加ダイ42aが配置されている。被加工材44を、ホルダー45及びダイ42に加えて、凸部49を有する追加ホルダー45a及び追加ダイ42aを用いて、拘束することができる。このようにして、被加工材44を拘束しながら、パンチ47でせん断加工を行い、押し込みパンチ43で押しつけを行うことができる。
凸部の形状は、被加工材を拘束できるものであればよく、突起、凹凸、表面処理面等の摩擦抵抗を上昇させる形状であることができる。突起の形成は、先端に突起形状を有するピンを埋め込むことにより行うことができる。凹凸の形成は、切削加工により、鋼板との接触面に深さ10μm〜500μmの溝を作ることにより行うことができる。表面処理は、サンドブラストなど、摩擦抵抗を大きくする方法により行うことができる。
被加工材の外周部を固定する面に設けられる凸部の面に垂直方向の高さは、好ましくは10〜500μmである。凸部の円相当径は、好ましくは10〜500μmである。被加工材の拘束面に垂直方向の凸部の高さが高いほど、拘束力を強くすることができるが、凸部の摩耗が大きくなりやすく、また、被加工材への食い込みに必要な荷重は上がる。凸部の円相当径が小さいほど、小さな荷重で被加工材に食い込ませることができるが、凸部の摩耗は大きくなりやすい。凸部の数(密度)が少ないほど、小さな荷重で被加工材に食い込ませることができるが、拘束力は弱まる。
製品となる内周部を固定するホルダー及びダイの少なくとも一方の固定面に、凸部を設けてもよい。この態様は、製品の表面に凸部による変形を生じさせ得るため、凸部による変形を生じても製品の品質が許容される場合に限られる。
(外周トリムの実施形態4)
被加工材の強度が高い場合、その分、パンチの荷重が大きくなるので、被加工材が外周側にさらに逃げやすくなる。そのため、ダイ及びホルダーで被加工材を拘束する場合、拘束荷重をさらに高くする必要があり、凸部を有するパンチで被加工材を拘束する場合でも、拘束が不十分になり得る。また、被加工材の強度が高くなると、凸部が潰れやすくなる。
被加工材の強度が高い場合、あらかじめ被加工材の外周側の所望の位置でせん断加工を行って被加工材の端部にせん断加工面を形成し、端部に形成したせん断加工面を拘束して、被加工材に上記せん断加工及び押し込みを行うことが有効である。この方法は、被加工材の強度が980MPa級以上のときに特に有効である。端部に形成するせん断加工面は、拘束可能な程度であれば、特に表面性状の品質は問題とならない。
(外周トリムの実施形態4)
図17(a)に、拘束用のせん断加工面を得るために、あらかじめ被加工材の外周側の所望の位置でせん断加工を行う態様の断面模式図を示す。図17(a)においては、パンチ47の外周側に、追加パンチ47aが配置されている。最初に、追加パンチ47aと押し込みパンチ43との間で、被加工材のせん断加工を行うことができる。この実施形態においては、押し込みパンチ43は固定可能である必要がある。
図17(b)に、せん断加工された被加工材の剪断加工面である左端が、追加パンチ47aの側面で拘束されている態様の断面模式図を示す。被加工材の左端が追加パンチ47aの側面で拘束されているため、被加工材が外周側に逃げることを抑制しながら、パンチ47及びダイ42とで、上記工程(A)〜(C)の間隔設定、せん断加工、及び押し込みを行うことができる。
(外周トリムの実施形態5)
図18(a)に、拘束用のせん断加工面を得るために、あらかじめ被加工材の外周側の所望の位置でせん断加工を行う態様の断面模式図を示す。図18(a)においては、パンチ47及び押し込みパンチ43の外周側にそれぞれ、追加ホルダー45a及び追加ダイ42aが被加工材を挟んで配置されている。最初に、パンチ47と追加ダイ42aとの間で、被加工材のせん断加工を行うことができる。
ダイ42aの被加工材を固定する固定面が、ダイ42の固定面の位置に対して、被加工材の厚み方向に高い位置、同じ位置、または低い位置に位置するようにダイ42aを配置して、パンチ47と追加ダイ42aとの間で、被加工材のせん断加工を行うことができる。
追加ダイ42aの固定面が、ダイ42の固定面よりも高い位置になるように追加ダイ42aを配置する場合、ダイ42の固定面の位置に対するダイ42aの固定面の位置の、被加工材の厚み方向のずれは、被加工材の板厚の好ましくは3倍以下、より好ましくは2倍以下であり、板厚以下または板厚の1/2以下であってもよい。ずれを上記範囲内にすることにより、せん断加工時の被加工材の湾曲を抑制し、つまりを防止することができる。
追加ダイ42aの固定面がダイ42の固定面に対して同じ位置または低い位置になるように追加ダイ42aを配置する場合、ダイ42の固定面の位置に対するダイ42aの固定面の位置の、被加工材の厚み方向のずれは、被加工材の板厚未満である。ずれを被加工材の板厚未満にすることにより、加工材の左端を、追加ダイ42aの側面で拘束することができる。
別法では、ダイ42aの被加工材を固定する固定面と、ダイ42の固定面の位置が同じになるように配置し、追加ダイ42a及び追加ホルダー45aを固定して、ホルダー45及びダイ42並びにパンチ47及び押し込みパンチ43を同時に動作させて、パンチ47と追加ダイ42aとの間で被加工材のせん断加工を行うことができる。同時に動作させるために、ホルダー45とパンチ47とが連結され、ダイ42とパンチ43とが連結されていてもよい。
図18(b)に、せん断加工された被加工材の左端が、追加ダイ42aの側面で拘束されている態様の断面模式図を示す。被加工材の左端が追加ダイ42aの側面で拘束されているため、被加工材が外周側に逃げることを抑制しながら、パンチ47及びダイ42とで、上記工程(A)〜(C)の間隔設定、せん断加工、及び押し込みを行うことができる。
この実施形態において、ホルダー45aを用いた方が、被加工材の湾曲を防止する効果は大きくなるが、ホルダー45aの使用は任意であり、被加工材を安定してせん断加工することができれば、ホルダーを用いなくてもよい。
(外周トリムの実施形態6)
図18(a)及び図18(b)に示す実施形態5において、拘束用のせん断加工面を得た後、追加ダイ42a及び追加ホルダー45aを移動させて、追加ホルダー45aの側面で、せん断加工された被加工材の左端を拘束することができる。
図19(b)に示すように、せん断加工された被加工材の左端が、追加ホルダー45aの側面で拘束されている態様の断面模式図を示す。被加工材の左端が追加ホルダー45aの側面で拘束されているため、被加工材が外周側に逃げることを抑制しながら、パンチ47及びダイ42とで、上記工程(A)〜(C)の間隔設定、せん断加工、及び押し込みを行うことができる。
一般的に、ダイとパンチを用いてせん断加工が行われ、ホルダーは、ダイと組み合わせて被加工材を固定するために用いられる。したがって、ダイ及びパンチは、比較的強度が高い材料で作製され、寸法精度も比較的高く、ホルダーは、比較的強度が低い材料で作製され、寸法精度は比較的低い。これに対して、上記外周トリムの実施形態において、ダイ、ホルダー、パンチ、押し込みパンチは、従来のものを用いることができ、またはダイをホルダーとして用いてもよい。上記外周トリムの実施形態、例えばホルダーの側面を用いてせん断加工面を拘束することができるが、この場合、従来の材料及び寸法精度で作製されたホルダーを用いてもよく、ダイやパンチを作製する材料及び寸法精度で作製されたホルダーを用いてもよく、あるいは、ダイをホルダーとして用いてもよい。ダイ及びパンチについても同様である。
本開示の方法において加工される被加工材は、好ましくは340MPa級以上、より好ましくは980MPa級以上、の引張強度を有する金属板である。さらに好ましくは、本開示の方法において加工される被加工材は、上記引張強度を有する鋼材である。340MPa級以上の引張強度を有する金属板では、特に疲労破壊の対策が必要となり、980MPa級以上では、水素脆化割れの対策も必要となる。特に被加工材が鋼材の場合に、水素脆化割れ及び疲労破壊の対策が重要となる。本開示の方法は、あらゆる強度の金属部材に適用可能であり、アルミニウム等の鋼以外の金属部材に適用しても、低張力鋼板に適用しても、または高張力鋼板に適用しても、引張残留応力を低減することができる。本開示の方法は、特に、上記引張強度を有する高張力鋼板に適用することによって、従来は困難であった耐水素脆化性、疲労強度、及び伸びフランジ性を両立することができる。
本開示の方法において加工される被加工材の板厚は、好ましくは0.05〜1000mm、より好ましくは0.1〜100mm、さらに好ましくは0.4〜10mm、さらにより好ましくは0.6〜2mmである。被加工材の板厚が上記範囲であることにより、被加工材を湾曲させずに引張残留応力低減効果を得ることができる。
本開示の方法において加工される被加工材の縦横寸法は、好ましくは1〜10000mm、より好ましくは10〜5000mm、さらに好ましくは100〜1000mmである。
本開示の方法において得られる加工材は、好ましくは、自動車等の各種車両、家電製品、建築構造物、船舶、橋梁、一般機械、建設機械、各種プラント、ペンストック等に用いることができる。例えば、自動車部品用途では、加工材はさらに加工されて用いられ得る。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例1)
板厚1.6mmの1180MPa級DP鋼板を用意し、直径φ10mmのパンチを用い、間隔dを変えてせん断加工を行い、せん断加工面の断面形状を評価した。図20(a)及び図20(b)に、間隔dが、被加工材の板厚tの5%(CL5%)及び10%(CL10%)の場合のせん断加工面の断面写真を示す。ここでは結果を省略するが、せん断加工面の表層部にみられる黒点はビッカース硬さ試験の跡である。図21(a)〜(c)に、間隔dが、被加工材の板厚tの20%(CL20%)、30%(CL30%)、及び40%(CL40%)の場合のせん断加工面の断面写真を示す。
間隔dが、被加工材の板厚tの5%及び10%の場合、亀裂がダイ角に向かって発生してせん断加工面が形成された。間隔dが、被加工材の板厚tの20%の場合も、図21(a)に示すように、亀裂がダイ角に向かって発生してせん断加工面が形成された。間隔dが、被加工材の板厚tの30%及び40%の場合、図21(b)及び図21(c)に示すように、亀裂が、ダイ角方向から被加工材の板厚方向にずれて発生して、せん断加工面が形成され、加工材の端部にバリが形成された。
(実施例2)
ダイとパンチの間隔dが1%及び60%の例を加えたこと以外は、実施例1と同条件でせん断加工した加工材のせん断加工面に、抜き材の端面を押しつけなかった場合及び抜き材の端面を押しつけた場合の、せん断加工面における引張残留応力を評価した。加工材のせん断加工面に抜き材の端面を押しつける際、抜き材の第2面が加工材の第2面と一致する位置になるように、抜き材を抜き穴の元の位置に押し戻した。
図22に、せん断加工面における引張残留応力の測定位置の模式図を示す。図22に示すように、加工材を、抜き穴の中心を通る線で切断し、加工材14aのせん断加工面の板厚方向に沿って3点、即ち、加工材14aの第2面14a−2側位置(s3)、板厚中央位置(s2)、及び加工材14aの第1面側位置(s1)に、スポット径500μmのX線を互いに重ならないように照射し、sin2Ψ法を用いて、上記位置における引張残留応力を測定した。
図23〜29に、間隔dが、被加工材の板厚tの1%、5%、10%、20%、30%、40%、及び60%(CL1%、CL5%、CL10%、CL20%、CL30%、CL40%、及びCL60%)の場合の、押しつけなかった場合及び抜き材の端面を押しつけた場合の、位置(s3)、位置(s2)、及び位置(s1)の3点の位置における、加工材のせん断加工面における引張残留応力を示す。
間隔dが、被加工材の板厚tの5%以上の場合、位置(s3)及び位置(s2)において、引張残留応力が低減した。また、間隔dが、被加工材の板厚tの5〜40%の場合、引張残留応力を低減しつつ、引張残留応力のばらつきも低減した。
間隔dが被加工材の板厚tの10〜20%の場合、位置(s3)及び位置(s2)における引張残留応力が大きく低下した。間隔dが被加工材の板厚tの20%の場合、板厚方向の残留応力が圧縮となり且つ略均一化した。
間隔dが、被加工材の板厚tの1%程度の場合、従来工法でも引張残留応力は小さくなるが、いわゆる精密せん断を行うことと同じになる。したがって、高い金型精度が要求され、金型の作製コストが高くなり、特に高張力鋼板用の金型を作製するのが困難となり、金型の損傷が起こりやすくなり、さらにはせん断面がパンチの進行方向に向かって長く形成され、加工硬化が多く付与されるため、せん断加工面の伸びフランジ性も低下し得る。
図30に、図23〜29に示す板厚中央位置(s2)における、ダイとパンチの間隔(打抜きクリアランス)を変えたときの残留応力低減効果を示す。ダイとパンチの間隔が、被加工材の板厚の5%以上で引張残留応力低減効果が得られ、10%〜40%でより大きな引張残留応力低減効果が得られ、10%〜30%でさらに大きな引張残留応力低減効果が得られ、10%〜20%でさらにより大きな引張残留応力低減効果が得られた。10%〜20%で大きな引張残留応力低減効果が得られたのは、ダイとパンチの間隔が20%以下の場合に、形成されるバリの大きさが小さく抑制されたためと考えられる。
図31に、図23〜29において評価した加工材に関して、ダイとパンチの間隔(打抜きクリアランス)と押しつけを行わなかった場合の破断面の角度θとの関係を示す。加工材の破断面の角度θとは、パンチの進行方向(板厚方向)に対する角度である。ダイとパンチの間隔が、被加工材の板厚の5%以上で、3°以上の破断面の角度θが得られ、ダイとパンチの間隔が10%〜60%、20%〜40%、及び20〜30%の範囲で、より大きな破断面の角度θが得られた。
表1に、ダイとパンチの間隔dと加工材の破断面の角度θとの関係を示す。
図32に、ダイとパンチの間隔(打抜きクリアランス)が5〜20%の場合及び30〜60%の場合の、破断面の角度θと引張残留応力低減効果との関係を示す。図32に示すデータは、図30及び31の結果に基づく。破断面の角度θが3°以上で、大きな引張残留応力低減効果が得られた。また、ダイとパンチの間隔(打抜きクリアランス)が5〜20%の場合に、ダイとパンチの間隔(打抜きクリアランス)が30〜60%の場合よりも、同じ破断面の角度θに対して、より大きな引張残留応力低減効果が得られた。
(実施例3)
実施例2において、ダイとパンチの間隔dを20%としたときの、抜き材の押しつけ有無によるせん断加工面の平均引張残留応力を評価した。
抜き材の押しつけを行った場合の加工材のせん断加工面の平均引張残留応力と、抜き材の押しつけを行わなかった場合のせん断加工面の平均引張残留応力とを計算して比較した。結果を、表2に示す。
表2から、抜き材の押しつけにより、せん断加工面に圧縮応力が付加され、加工材のせん断加工面の引張残留応力が減少したことが分かる。
(実施例4)
ダイとパンチの間隔dを5%、10%、及び20%として、実施例1と同条件でせん断加工を行った鋼板について、実施例2と同条件で抜き材の端面を押しつけなかった場合及び抜き材の端面を押しつけた場合の、せん断加工面における水素脆化特性を調査した。水素脆化特性は、比液量15mL/cm2、1〜100g/Lのチオシアン酸アンモニウム溶液に試験鋼板を72時間浸漬して、評価した。結果を表3及び4に示す。水素脆化割れの有無を、目視観察により評価した。
表3及び4に示すように、抜き材の端面を加工材のせん断加工面に押しつけることにより、水素脆化特性が大きく向上した。
(実施例5)
抜き材の押しつけ有無による鋼板のせん断加工面の疲労特性を評価した。被加工材として、板厚が1.6mmの1180MPa級DP鋼板を用意し、ダイと直径10mmのパンチの間隔dを、鋼板の板厚の20%、すなわち0.32mmとして、せん断加工を行い、加工材と抜き材を得た。次いで、抜き材の第2面が加工材の第2面の位置と一致するように抜き材を抜き穴に押しつけて加工材のせん断加工面のコイニングを行った。押しつけ無し及び押しつけ有りの加工材について、応力比を−1及び周波数を25Hzとして、室温大気中にて、平板曲げ疲労試験を行った。図33に、平板曲げ疲労試験で測定した疲労特性(σa:疲労限度、Nf:曲げ回数)を示す。図33から、抜き材の端面を加工材のせん断加工面に押しつけてコイニングを行うことにより、引張残留応力が低下し疲労特性が向上していることが分かる。
(実施例6)
抜き材の戻し位置と加工材のせん断加工面の伸びフランジ性との関係を調査した。具体的には、せん断加工のみを行った場合、せん断加工後に、抜き材18を、抜き材18の第2面182が加工材の第2面14a−2と一致する位置、すなわち元の位置に戻した場合、及びせん断加工後に、抜き材18に抜き穴18aを通り抜けさせた場合の、加工材のせん断加工面の伸びフランジ性を調査した。被加工材14として板厚1.6mmの1180MPa級DP鋼板を用意し、直径φ10mmのパンチを用い、間隔dを20%として、せん断加工を行った。
伸びフランジ性の試験は、図34に示す試験方法で、加工材について、穴広げ試験を行うことにより評価した。穴広げ試験には対頂角60°の円錐パンチを用い、しわ押さえ荷重は9.8kNとし、穴広げ時のパンチ速度を約0.2mm/secとし、ばりが上側となるように加工材14aの試験片を設置して、ダイ12及びホルダー15で固定した。これら以外の条件はISO16630(2009)に準拠した。穴広げ試験は、それぞれの実験条件に対して10回ずつ行った。
図35に、せん断加工のみをおこなった場合(Case1:打抜きのみ)、せん断加工後に、抜き材18を抜き穴18aの戻した場合(Case2:打抜き+コイニング)、及びせん断加工後に、抜き材18に抜き穴18aを通り抜けさせた場合(Case3:打抜き+シェービング)の、加工材のせん断加工面の伸びフランジ性を比較したグラフを示す。
Case3においては、抜き材18が抜き穴18aを通り抜けると、加工材のせん断加工面が削りとられるとともに、せん断加工面に大きな圧縮応力が加えられて加工硬化が付与されてしまうので、伸びフランジ性が低下してしまう。Case2においては、抜き材18を抜き穴18aの元の位置に戻すことによりせん断加工面がコイニングされ、良好な伸びフランジ性が得られる。ここでは示していないが、Case1とCase2とを比較すると、Case2ではコイニングが行われているので、Case1に比べて、優れた耐水素脆化性及び疲労強度を得ることができる。
(実施例7)
被加工材として、板厚が1.6mmの1180MPa級DP鋼板を用意した。ダイと直径10mmのパンチの間隔dを、鋼板の板厚の20%、すなわち0.32mmとした。この条件で、パンチで鋼板をせん断加工し、加工材と抜き材を得た。抜き材を、抜いたままの状態で、抜き穴に押し込んで通り抜けさせ、次いで、再度、反対側から抜き材を抜き穴に押し込んで通り抜けさせて、抜き材の端面の鋼板のせん断加工面への押しつけを行った。
押しつけを行わなかった加工材及び押しつけを行った加工材のそれぞれについて、抜き穴の中心を通る線で切断し、加工材の板厚方向に沿って3点、即ち、加工材の第2面側位置(s3)、板厚中央位置(s2)、及び加工材の第1面側位置(s1)に、スポット径500μmのX線を互いに重ならないように照射し、sin2Ψ法を用いて、上記位置の平均引張残留応力を調査し比較した。結果を、表5に示す。
前述したように、本発明によれば、鋼材のせん断加工において、面性状の優れたせん断加工面を有する鋼材を、生産性良く、かつ、低コストで製造することができる。よって、本発明は、鋼材製造産業において利用可能性が高いものである。
1 被加工材
2 パンチ
2a 下方向
3 ダイ
4 ダレ
5 せん断面
6 破断面
6a 破断面
7 バリ
8a 上部表面
8b 下部表面
9 せん断加工面
10 加工材
11 弾性部材
12 ダイ
12a ダイ角
13 押し込みパンチ
14 被加工材
14a 加工材
15 ホルダー
16 弾性部材
17 パンチ
17a パンチ角
18 抜き材
18a 抜き穴
19 端面
20 せん断加工面
20a 材料重複域
21 弾性部材
22 ダイ
23 押し込みパンチ
24 被加工材
24a 加工材
25 ホルダー
26 弾性部材
27 パンチ
28 抜き材
28a 抜き穴
29 端面
30 せん断加工面
32 機枠
42 ダイ
42a 追加ダイ
43 押し込みパンチ
43a 追加押し込みパンチ
44 被加工材
45 ホルダー
45a 追加ホルダー
47 パンチ
47a 追加パンチ
49 凸部
100 せん断加工機
200 片持ち式せん断加工機
d パンチとダイの間隔
t 被加工材の板厚
s1、s2、s3 残留応力の測定位置

Claims (13)

  1. 第1面及びその反対側の第2面を有する被加工材を、前記第2面がダイ側に配置されるように、前記ダイ上に配置し、前記被加工材の前記第1面から前記第2面に向かって前記被加工材の板厚方向に、前記第1面側に配置されたパンチでせん断加工するせん断加工方法であって、
    (A)前記ダイと前記パンチとの間隔であって前記被加工材の板厚方向に垂直方向の間隔を、前記被加工材の板厚の5%〜80%とする間隔設定工程、
    (B)前記パンチで前記被加工材をせん断加工して、抜き材及び加工材を得るせん断加工工程であって、前記抜き材及び加工材はそれぞれ、前記被加工材の第1面及び第2面に対応する第1面及び第2面を有する、せん断加工工程、並びに
    (C)前記パンチに対向するように前記加工材の第2面側に配置された押し込みパンチによって、前記抜き材を、抜いたままの状態で、前記加工材の抜き穴に押し込んで、前記抜き材の端面を前記加工材のせん断加工面に押しつける押しつけ工程、
    を含み、
    前記被加工材が1180MPa級以上の引張強度を有する板であり、
    前記工程(C)において、前記抜き穴に押し込んだ前記抜き材を前記パンチで打抜き、前記押し込みパンチで前記抜き材を前記抜き穴に押し込むことを1回以上繰り返す、
    せん断加工方法。
  2. 前記工程(A)において、前記ダイと前記パンチとの間隔を10%〜80%とする、請求項1に記載のせん断加工方法。
  3. 前記工程(A)において、前記ダイと前記パンチとの間隔を10%〜30%とする、請求項1に記載のせん断加工方法。
  4. 前記工程(C)において、前記抜き材の押し込みを、前記抜き材の第2面が前記加工材の第1面を通り過ぎない範囲で行い、前記加工材のせん断加工面をコイニングすることを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
  5. 前記工程(C)において、前記抜き材の押し込みを、前記抜き材の第2面の位置が、前記加工材の第2面から第1面に向かって板厚の半分の位置を通り過ぎない範囲で行い、前記加工材のせん断加工面をコイニングすることを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
  6. 前記工程(C)において、前記抜き材の押し込みを、前記抜き材の第2面の位置が、前記加工材の第2面の位置と同じになるように行い、前記加工材のせん断加工面をコイニングすることを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
  7. 前記工程(C)において、前記抜き材の押し込みを、前記抜き材の第2面の位置が、前記加工材の第2面の位置を通り過ぎない範囲で行い、前記加工材のせん断加工面の少なくとも一部をコイニングすることを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
  8. 前記ダイ、前記パンチ、及び前記押し込みパンチが、前記被加工材の内周側に前記ダイが配置され且つ前記被加工材の外周側に前記パンチ及び前記押し込みパンチが配置される外周トリム型の構成を有すること、
    前記パンチの打抜き面及び前記押し込みパンチの押し込み面のうち少なくとも一方の面が凸部を有すること、並びに
    前記パンチ及び前記押し込みパンチで前記被加工材を挟んで固定しながら、前記せん断加工及び前記押しつけを行うこと、
    を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
  9. 前記ダイ、前記パンチ、及び前記押し込みパンチが、前記被加工材の内周側に前記ダイが配置され且つ前記被加工材の外周側に前記パンチ及び前記押し込みパンチが配置される外周トリム型の構成を有すること、
    前記パンチよりもさらに外周側に、追加パンチを前記パンチに連結して配置すること、
    前記押し込みパンチよりもさらに外周側に、前記被加工材を挟んで前記追加パンチに対向するように、追加押し込みパンチを前記押し込みパンチに連結して配置すること、
    前記追加パンチの打抜き面及び前記追加押し込みパンチの押し込み面のうち少なくとも一方の面が凸部を有すること、並びに
    前記連結されたパンチ及び追加パンチの打抜き面、並びに前記連結された押し込みパンチ及び追加押し込みパンチの押し込み面で、前記被加工材を挟んで固定しながら、前記せん断加工及び前記押しつけを行うこと、
    を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
  10. 前記ダイ、前記パンチ、及び前記押し込みパンチが、前記被加工材の内周側に前記ダイが配置され且つ前記被加工材の外周側に前記パンチ及び前記押し込みパンチが配置される外周トリム型の構成を有すること、
    前記パンチよりもさらに外周側に、追加ホルダーを配置すること
    前記押し込みパンチよりもさらに外周側に、前記被加工材を挟んで前記追加ホルダーに対向するように、追加ダイを配置すること
    前記追加ホルダーの前記被加工材の第1面に面する固定面及び前記追加ダイの前記被加工材の第2面に面する固定面のうち少なくとも一方の面が凸部を有すること、並びに
    前記追加ホルダーの固定面及び前記追加ダイの固定面で、前記被加工材を挟んで固定しながら、前記せん断加工及び前記押しつけを行うこと、
    を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
  11. 前記ダイ、前記パンチ、及び前記押し込みパンチが、前記被加工材の内周側に前記ダイが配置され且つ前記被加工材の外周側に前記パンチ及び前記押し込みパンチが配置される外周トリム型の構成を有すること、
    前記パンチよりもさらに外周側に、追加パンチを配置すること、
    前記追加パンチと前記押し込みパンチとで、前記被加工材をせん断加工してせん断面を得ること、並びに
    前記せん断面を前記追加パンチの側面で拘束して、前記間隔設定、前記せん断加工、及び前記押しつけを行うこと、
    を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
  12. 前記ダイ、前記パンチ、及び前記押し込みパンチが、前記被加工材の内周側に前記ダイが配置され且つ前記被加工材の外周側に前記パンチ及び前記押し込みパンチが配置される外周トリム型の構成を有すること、
    前記押し込みパンチよりもさらに外周側に、追加ダイを配置すること、
    前記パンチと前記追加ダイとで、前記被加工材をせん断加工してせん断面を得ること、
    並びに
    前記せん断面を、前記追加ダイの側面で拘束して、前記間隔設定、前記せん断加工、及び前記押しつけを行うこと、
    を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
  13. 前記ダイ、前記パンチ、及び前記押し込みパンチが、前記被加工材の内周側に前記ダイが配置され且つ前記被加工材の外周側に前記パンチ及び前記押し込みパンチが配置される外周トリム型の構成を有すること、
    前記パンチよりもさらに外周側に、追加ホルダーを配置すること、
    前記押し込みパンチよりもさらに外周側に、前記被加工材を挟んで前記追加ホルダーに対向するように、追加ダイを配置すること
    前記パンチと前記追加ダイとで、前記被加工材をせん断加工してせん断面を得ること、
    並びに
    前記せん断面を、前記追加ダイまたは追加ホルダーの側面で拘束して、前記間隔設定、前記せん断加工、及び前記押しつけを行うこと、
    を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のせん断加工方法。
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