JP5641604B2 - 打抜き体の製造方法 - Google Patents

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本発明は、プレス打ち抜きにより成形される円形や星形、歯車形などの薄肉金属板からなる打抜き体の製造方法に関し、より詳細には、プレス機を用いて打ち抜いたブランクの周端面をしごき加工によって平滑化処理をする打抜き体の製造方法に関する。
平板状の金属ブランク材をパンチとダイスを用いて打ち抜き加工を行うと、ワークとなる部品外周の破断面にバリが発生したり、凹凸のある破断面が生じたりする。このような状態の製品は外観の点において問題があり、また、部品の組み込み精度を低下させたりするため、プレス機を用いて打ち抜いたブランクの周端面を研磨処理するなどの付加工程が必要である。
例えば、歯車などの製造法においては、プレス機を用いて打ち抜いたブランクの周端面に生じたバリやせん断面の凹凸を面取り加工によって除去する必要があり、回転するバフやブラシなどをブランクに接触させて除去することで、ブランク周端面の平滑度を増していた。
このような研磨処理やバリ取り処理の技術に関連して、特許文献1には外周面に加工部を備えた回転ブラシをその軸心線周りに回転させながら歯車の端面に接触させ、上記歯車の切溝に発生したバリを除去するバリ取り方法が記載されている。
また、特許文献2には、ワークを研磨処理する技術のものとして、合成樹脂に研磨砥粒を混合して成形した円板シート材の複数枚を密接させて重合状に積層した研磨具が記載されている。
特開2005−118909号公報 特開平5−301170号公報
上記の特許文献1に記載された従来技術では、バリ取り工具のツール部を穴周縁部に当接させながら周縁部に沿って曲線状に移動させなければならず作業効率性が悪い。また、ガイドを回転させる機構、ガイドをスライドさせる機構、ツール部を回転させる機構などが必要であり装置が複雑となるために生産性が悪くなるという問題点があった。
特許文献2に記載された研磨ブラシでバリを除去する方法では、研磨ブラシがワークに接する追従性が悪く、特に研磨ブラシが穴に入り込むときは、穴の周縁部が通り過ぎてから入る傾向が顕著であり、穴周縁部のバリを確実に取ることは難しい。また、ワークの穴付近に研磨ブラシを当接させたとき研磨ブラシが撓むので、穴の周辺の面に不要な傷を付与してしまうこともある。特に穴径が大きくなるほど研磨ブラシを強く当接させる必要があるため傷をつけ易く、また研磨ブラシの変形も大きくなりブラシ寿命が短くなる等の問題があった。
特に、研磨ブラシでバリを除去する方法では、寸法精度が低いため組み込み部品として用いることができない。
本発明は、前記従来の課題を解決するためになされたもので、プレス機により打ち抜き加工されたブランクの周端面の平滑化処理を効率的に行うことのできる打抜き体の製造方法を提供することを目的とする。
(1)本発明の打抜き体の製造方法は、
金属板を素材としてパンチと打抜用ダイとによって打ち抜かれたワークを、
該ワーク外径より小さな口径の第1しごき用ダイに投入し、
対となる保持部材によりワーク表裏面を挟圧保持しながら第1しごき用ダイ内を通過させてワーク周端面をしごき加工して平滑化した後、
対となる保持部材により該ワーク表裏面を挟圧保持しながら第2しごき用ダイ内を、
前記しごき加工の方向と反対方向に通過させてワーク周端面を再しごき加工して平滑化する打抜き体の製造方法であって、
駆動装置によって前記対となる保持部材の移動速度及び圧力を制御し、
該対となる保持部材によって狭圧保持されたワークの周端面を、
前記しごきダイの周壁との間でしごき加工するようにしたことを特徴とする。
(2)本発明の打抜き体の製造方法は、
金属板を素材としてパンチと打抜用ダイとによって打ち抜かれたワークを、
該ワーク外径より小さな口径の第1しごき用ダイに投入し、
対となる保持部材によりワーク表裏面を挟圧保持しながら第1しごき用ダイ内を通過させてワーク周端面をしごき加工して平滑化した後、
該ワークの表裏を反転させて、
対となる保持部材により該ワーク表裏面を挟圧保持しながら第2しごき用ダイ内を、
前記しごき加工の方向と反対方向に通過させてワーク周端面を再しごき加工して平滑化する打抜き体の製造方法であって、
駆動装置によって前記対となる保持部材の移動速度及び圧力を制御し、
該対となる保持部材によって狭圧保持されたワークの周端面を、
前記しごきダイの周壁との間でしごき加工するようにしたことを特徴とする。
本発明によれば、打ち抜かれた外径より小さい口径のしごき用ダイにワークを投入した後、対となる保持部材によりワーク表裏面を挟圧保持しながら第1しごき用ダイ内を通過させてワーク周端面をしごき加工して平滑化した後、対となる保持部材により該ワーク表裏面を挟圧保持しながら第2しごき用ダイ内を、前記しごき加工の方向と反対方向に通過させてワーク周端面を再しごき加工して平滑化するので、打ち抜き加工によりワーク周端面に形成された破断面やせん断面の平滑化処理を精度良くかつ効率的に実施することができる。
本発明の実施例1に係る打抜き体の製造方法の概略説明図である。 本発明の実施例1に係る製造方法のパンチ打ち抜き工程10の説明図である。 本発明の実施例1に係る製造方法の第1しごき加工処理工程20の説明図である。 本発明の実施例1に係る製造方法の第2しごき加工処理工程30の説明図である。 本発明の実施例2に係る打抜き体の製造方法の概略説明図である。
本実施形態の打抜き体の製造方法は、金属板を素材としてパンチと打抜用ダイとによって打ち抜かれたワークを、第1の工程として、ワーク外径より小さな口径の第1しごき用ダイに投入し、対となる保持部材によりワーク表裏面を挟圧保持しながら第1しごき用ダイ内を通過させてワーク周端面をしごき加工して平滑化する。
次に、第2の工程として、対となる保持部材によりワーク表裏面を挟圧保持しながら第2しごき用ダイ内を、前記しごき加工の方向と反対方向に通過させてワーク周端面を再しごき加工して平滑化することを特徴とする。
これによって、精密な駆動制御が必要でかつ耐久性の乏しい回転ブラシなどの研磨ツールなどを用いることなく、プレス機などを用いた打ち抜き加工によりワーク周端面に発生した破断面やせん断面を、寸法精度よくかつ効率的に平滑化することができる。
ワークとしては、鋼やステンレスなどの金属板を素材として、パンチとこれに対応した金型となる打抜用ダイとによって、プレス機を用いて打ち抜かれた円板状や、四角状、歯車形状、星形状、など、多様なものが挙げられ、プレス打ち抜き加工により所定形状のワークとされ、例えば、自動車用部品などに組み込まれるよう加工工程に回される。
打ち抜き加工は、打抜用ダイとパンチで金属板を素材を所定の形状にせん断する工程である。このようなパンチとダイとによって打ち抜かれたワークの周端面には、破断面やせん断面が形成され、凹凸の平滑度のない面が形成されるようになる。
このようなワークの周端面の凹凸は、その後のワークを部品として他の部品に組み込み処理する場合は、寸法精度上の問題点があり、ワーク周端面を平滑化処理して寸法精度を上げておくことが生産歩留まりや生産性の観点から重要である。
しごき加工用の第1及び第2しごき用ダイは、プレス機によって打ち抜かれたワークをそのワーク外径より小さい口径を備えたプレス金型(ダイス)であって、ワーク投入入口の口径よりも出口の口径が小さくなるように構成されている。
これにより、しごき加工処理工程においてワーク周端面の凹凸を平滑化することができる。
しごき用ダイの素材としては、炭素工具鋼や合金工具鋼(SKD鋼、冷間ダイス鋼、熱間ダイス鋼)などが適用される。
対となる保持部材は、第1又は第2しごき用ダイに投入されたワークの表裏面を挟圧保持するためのパンチであり、上下の保持部材でワークを挟圧保持しながら、第1又は第2しごき用ダイ内を通過させる機能を有する。このため、対となる保持部材は連動して移動させる必要があり、シリンダやアクチュエータなどで構成される駆動装置により、移動速度、圧力などを同期制御する。
これによって、対となる保持部材によって挟圧保持されたワーク周端面はしごき用ダイの周壁との間でしごき加工され平滑化される。
本実施形態の打抜き体の製造方法は、第1又は第2しごき用ダイ内の通過速度や対となる保持部材でワーク表裏面を挟圧保持する挟圧力を制御することにより、ワーク周端面が所定の平滑度になるようにしごき用ダイ内でしごき加工することもできる。
これによって、ワークの破断面を所定の平滑度に処理して仕上げることができ、コンパクトなスペースで平滑化処理を効率的に行うことができる。
また、本実施形態の打抜き体の製造方法は、金属板を素材としてパンチと打抜用ダイとによって打ち抜かれたワークを、ワーク外径より小さな口径の第1しごき用ダイに投入し、対となる保持部材によりワーク表裏面を挟圧保持しながら第1しごき用ダイ内を通過させてワーク周端面をしごき加工して平滑化した後、ワークの表裏を反転させて、対となる保持部材によりワーク表裏面を挟圧保持しながら第2しごき用ダイ内を、第1しごき用ダイ内でのしごき加工の方向と反対方向に通過させてワーク周端面を再しごき加工して平滑化して、ワーク周端面を平滑化することもできる。
これによって、加工工程を上下に配列させることができ、加工装置の配置の自由度が増す。
本実施形態の打抜き体の製造方法を実施するための製造装置としては、前記打抜用ダイの下方に連接して第1しごき用ダイを一体配置して構成し、さらに、第1しごき用ダイから排出されたワークを横方向に移動して第2しごき加工工程用の下方保持部材上に載置して、その下方の保持部材を上昇させて第2しごき用ダイ内へ投入する一連の流れを有した打抜き体の製造装置とすることができる。
これによって、打ち抜き加工としごき加工とを一連一体の製造装置を用いて、連続的に加工することができ、製造工程の簡素化や効率化を図ることができる。
なお、前記第1しごき用ダイから排出されたワークを横方向に移動する代わりに、ワークの表裏を反転させて第2しごき用ダイ内へ投入する装置とすることもできる。
これにより、製造工程が上下方向に流れるようにすることができ、コンパクトなスペースで平滑化処理を効率的に行うことができる。
本発明の実施例1の打抜き体の製造方法について、図面を参照して説明する。
図1は、実施例1に係る打抜き体の製造方法の概略説明図である。
図2は、本発明の実施例1に係る製造方法のパンチ打ち抜き工程10の説明図である。
図3は、本発明の実施例1に係る製造方法の第1しごき加工処理工程20の説明図である。
図4は、本発明の実施例1に係る製造方法の第2しごき加工処理工程30の説明図である。
図1〜図4に示すように、実施例1の打抜き体の製造方法において、打抜き体の製造装置は、ワークWとなる金属板Aを円板状に打ち抜くための打抜用ダイ11及び打抜用パンチ12を備えたパンチ打ち抜き工程10を備えるとともに(図2参照)、この打ち抜かれたワークWをセットして、ワーク周端面WSをしごき加工するための第1しごき用ダイ21、及び対向する一対の保持部材22、23とを有している(図1(a)、図3参照)。
さらに、このしごき加工されたワークをセットして、ワーク周端面WSを、前回のしごき方向とは反対の方向にしごき加工するための第2しごき用ダイ31、及び対向する一対の保持部材32、33を備えた第2しごき加工処理工程30とを有している(図1(c)、図4参照)。
実施例1において、パンチ打ち抜き工程10において、金属板Aは図示しない搬送機構により所定のストロークで打抜用ダイ11上に間欠的に送出され、打抜用ダイ11及び打抜用パンチ12によって、打ち抜き加工され、例えば外径約37.75mm、厚み約5mmの円板状のワークWとされる(図2参照)。
すなわち、打抜用パンチ12を下降させ、金属板Aを円板状に打ち抜きした後、ワークWを打抜用ダイ11の受台上に落とすようにしている。
そして、パンチ打抜工程10における打抜用ダイ11の下部には、打ち抜かれたワークWを受けるための受台が形成されている(図示しない)とともに、この受台からハンドリング装置(図示しない)などによって、打ち抜かれたワークWを、次工程である第1しごき加工処理工程20へ送るとともに、保持部材22上に載置する。
そして、対となる上下の保持部材22、23によってワークWを狭圧保持した状態で、ワークWを第1しごき用ダイ21内を下降させて通過させることによって、ワークWの周端面を第1回目のしごき加工処理を実施する(図1(a)参照)。
なお、第1しごき用ダイ21の内径は、打ち抜かれたワークWの外径より小さい口径であり、
実施例1では、第1しごき用ダイ21の出側の内径は、ワークWの外径37.65mmよりも小さい37.1mmに設定してあるので(図3参照)、ワーク打ち抜き時にワーク周端面WSに形成された破断面やせん断面をダイ周壁面との間でしごき加工処理を行うことによって、ワーク周端面WSを平滑化処理することができる。
次に、第1しごき加工処理工程20によって第1回目のしごき加工をされたワークを、
ハンドリング装置(図示しない)などによって、次工程である第2しごき加工処理工程30へ送る(図1(b)参照)とともに、第2しごき加工処理工程における保持部材33上に載置する。
そして、上下の保持部材32、33によってワークを狭圧保持した状態で、第2しごき用ダイ31内を上昇させ通過させることによって、第2しごき加工処理工程30によって、ワークWの周端面を第2回目のしごき加工処理を実施する(図4参照)。
なお、第2しごき加工処理工程30においては、第1しごき加工処理工程20でのしごき加工の方向とは反対の方向でしごき加工(再しごき加工)を行う。
反対の方向でしごき加工を行うことによって、ワーク周端面WSの平滑度がより均一化されるという効果を奏する。
なお、実施例1では、しごき加工を、打ち抜き加工の方向と同じ方向(正)の第1しごき加工処理工程20及び反対方向(逆)の第2しごき加工処理工程30と2回行ったが、追加して正・逆のしごき加工処理を繰り返し実施することによって、さらに均一な平滑度を有するワーク周端面WSを得ることができる。
次に、本発明の実施例2の打抜き体の製造方法について、図面を参照して説明する。
図5は、実施例2に係る打抜き体の製造方法の概略説明図である。
実施例2に係る打抜き体の製造方法は、一連の加工処理が縦方向(上下方向)に配列されている点で実施例1に係る打抜き体の製造方法と異なるが、その他の点では実施例1に係る打抜き体の製造方法と同様である。
すなわち、第1しごき加工処理工程20(図5(a)参照)の後工程において、図5(b)に示すように、第1しごき加工処理工程20から排出されたワークWの表裏を反転(図5(b)参照)させた後、第2しごき加工処理工程30に投入して、第1しごき加工処理工程20でのしごき加工方向と反対の方向で第2しごき加工処理工程30でのしごき加工を行う(図5(c)参照)。
このようして、ワークWの表裏を反転させてワーク周端面WSをダイ周壁面との間で再しごき加工処理を行うことによって、ワーク周端面に所定の平滑度を付与することができる。
本発明の打抜き体の製造方法は、打ち抜かれた外径より小さい口径のしごき用ダイにワークをセットした後、対となる保持部材によりワーク表裏面を挟圧保持しながらしごき用ダイ内でしごき加工及び再しごき加工するので、打ち抜き加工によりワーク周端面に形成された破断面やせん断面の平滑化処理を効率的に行うことができる。
10 パンチ打ち抜き工程
11 打抜用ダイ
12 打抜用パンチ
20 第1しごき加工処理工程
21 第1しごき用ダイ
22 保持部材
23 保持部材
30 第2しごき加工処理工程
31 第2しごき用ダイ
32 保持部材
33 保持部材
A 金属板
W ワーク
WS ワーク周端面

Claims (2)

  1. 金属板を素材としてパンチと打抜用ダイとによって打ち抜かれたワークを、
    該ワーク外径より小さな口径の第1しごき用ダイに投入し、
    対となる保持部材によりワーク表裏面を挟圧保持しながら第1しごき用ダイ内を通過させてワーク周端面をしごき加工して平滑化した後、
    対となる保持部材により該ワーク表裏面を挟圧保持しながら第2しごき用ダイ内を、
    前記しごき加工の方向と反対方向に通過させてワーク周端面を再しごき加工して平滑化する打抜き体の製造方法であって、
    駆動装置によって前記対となる保持部材の移動速度及び圧力を制御し、
    該対となる保持部材によって狭圧保持されたワークの周端面を、
    前記しごきダイの周壁との間でしごき加工するようにしたことを特徴とする打抜き体の製造方法。
  2. 金属板を素材としてパンチと打抜用ダイとによって打ち抜かれたワークを、
    該ワーク外径より小さな口径の第1しごき用ダイに投入し、
    対となる保持部材によりワーク表裏面を挟圧保持しながら第1しごき用ダイ内を通過させてワーク周端面をしごき加工して平滑化した後、
    該ワークの表裏を反転させて、
    対となる保持部材により該ワーク表裏面を挟圧保持しながら第2しごき用ダイ内を、
    前記しごき加工の方向と反対方向に通過させてワーク周端面を再しごき加工して平滑化する打抜き体の製造方法であって、
    駆動装置によって前記対となる保持部材の移動速度及び圧力を制御し、
    該対となる保持部材によって狭圧保持されたワークの周端面を、
    前記しごきダイの周壁との間でしごき加工するようにしたことを特徴とする打抜き体の製造方法。
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