JP2019030899A - 剪断加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】(a)被加工材の剪断加工のパンチとして好適な抜き材を打ち抜き、かつ、(b)該抜き材をパンチとして使用して、加工材の剪断加工面の面垂直度を高める。【解決手段】ダイ上の被加工材をパンチで打ち抜く剪断加工方法において、(i1)被加工材を、パンチと、刃先のR(mm)が下記式(1)を満たすダイとの協働で打ち抜き、(i2)被加工材を、パンチと、パンチとの間隔Dが下記式(2)を満たすダイとの協働で打ち抜き、又は、(i3)被加工材を、パンチと、刃先のR(mm)が下記式(1)を満たし、かつ、パンチとの間隔Dが下記式(2)を満たすダイとの協働で打ち抜き、(ii)打ち抜いた抜き材をパンチとして、次の被加工材を打ち抜くことを特徴とする剪断加工方法。0.001・t≦R≦0.1・t・・・(1)0.001・t≦D≦0.1・t・・・(2)t:被加工材の厚さ(mm)【選択図】図9

Description

本発明は、自動車、家電製品、建築構造物、船舶、橋梁、建設機械、各種プラント、ペンストック等で用いる金属部材を、剪断加工で、良好な面性状の剪断加工面を確保しつつ、工具の損傷を抑制して製造し得る剪断加工方法に関する。
自動車、家電製品、建築構造物、船舶、橋梁、建設機械、各種プラント、ペンストック等で用いる金属部材の製造には、剪断加工が多く利用されている。図1に、剪断加工の態様を模式的に示す。図1(a)に、被加工材に穴を形成する剪断加工の態様を模式的に示し、図1(b)に、被加工材に開断面を形成する剪断加工の態様を模式的に示す。
図1(a)に示す剪断加工においては、ダイ3の上に被加工材1を載置し、パンチ2を下方向2aに押し込んで、被加工材1に閉断面の抜き穴を形成する。図1(b)に示す剪断加工においては、ダイ3の上に被加工材1を載置し、同じく、パンチ2を下方向2aに押し込んで、被加工材1に開断面を形成する。
剪断加工で形成される加工材10の剪断加工面9は、通常、図2に示すように、被加工材1がパンチで押し込まれて、剪断加工面9の上部表面8aに形成されるダレ4、パンチとダイの間隙に被加工材1が引き込まれ、局所的に引き伸ばされて形成される剪断面5、パンチとダイの間隙に引き込まれた被加工材1が破断して形成される破断面6、及び、パンチとダイの間隙に引き込まれた被加工材1が破断して加工材10から分離する際、加工材10の下部表面8bに生じるバリ7によって構成される。
剪断加工面は、一般に、機械加工で形成する加工面に比べ面性状が劣り、例えば、伸びフランジ割れ(剪断加工後のプレス加工で、剪断加工面に生ずる割れ)が生じ易い、疲労強度が低い、また、耐水素脆化性が低い、面垂直度が低い等の課題を抱えている。
剪断加工面の課題の解決を図る技術は数多く提案されているが、これらの技術は、大きく、パンチとダイの形状・構造を工夫して、剪断加工面の面性状(耐伸びフランジ性、疲労強度、面垂直度等)の向上を図るもの(例えば、特許文献1〜3、参照)と、剪断加工面に処理(シェービングやコイニング)を施して、剪断加工面の面性状(耐伸びフランジ性、疲労強度、面垂直度等)の向上を図るもの(例えば、特許文献4〜6、参照)に分けることができる。
しかし、パンチとダイの形状・構造を工夫する技術においては、剪断加工面の面性状の向上に限界があり、また、剪断加工面に処理を施す技術においては、一工程増える分、生産性が低下し、製造コストが上昇する。また、高強度の材料を加工する際には、工具に、摩耗やチッピング等の損傷が生じ易い。
特許文献7には、パンチとダイによる剪断機構を積層し、ダイに載置した金属板を、順次、パンチを押し下げて剪断加工する加工方法と加工装置が開示されている。特許文献7の加工方法と加工装置においては、生産性が向上し、製造コストが低下するが、加工材の剪断加工面の面性状を高めることは困難であるとともに、高強度の材料を剪断加工した際には、パンチ又はダイが損傷する。
非特許文献1には、所定形状にブランキングした抜き材の後加工の際に、切り刃をダイス側に配置し、ダイスより大きいポンチを用い、2枚重ねのブランクをシェービングする重ね抜きシェービング法が開示されているが、所定形状にブランキングする際に、パンチ又はダイが損傷するうえ、シェービングを行う際に、切り刃のダイスが損傷する可能性がある。
結局、従来技術において、良好な面性状の剪断加工面を確保しつつ、工具の摩耗及び/又は損傷を抑えて剪断加工を行うことは困難である。出願人は、このことを踏まえ、特許文献8で、抜き材をパンチとして使用し、及び/又は、加工材をダイとして使用して、被加工材を剪断加工することを特徴とする剪断加工方法を提案した。この方法によれば、面性状に優れた剪断加工面を有する製品(加工材)を、工具の損傷を抑制して製造することができる。
特開2009−051001号公報 特開2014−231094号公報 特開2010−036195号公報 特開2008−018481号公報 特開2011−218373号公報 特開2006−082099号公報 特開2012−115894号公報 特願2016−022173号
塑性と加工、「シェービング・プレス加工に関する研究」(中村ら)、Vol.4、No.29(1963)、p.387
特許文献8の剪断加工方法は、剪断加工面の面垂直度と面性状の向上の点で、優れた方法であるところ、面垂直度と面性状の向上の度合は、パンチとして使用する抜き材の形態に依ることが判明した。
そこで、本発明は、(a)被加工材の剪断加工のパンチとして好適な抜き材を打ち抜き、かつ、(b)該抜き材をパンチとして使用して、加工材の剪断加工面の面垂直度と面性状を高めることを課題とし、該課題を解決する剪断加工方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決する手法について鋭意検討した。その結果、ダイの刃先の曲率半径R(mm)、及び/又は、パンチとダイの間隔Dを、被加工材の厚さtとの関係で設定して抜き材を打ち抜き、該抜き材をパンチとして用いて被加工材を剪断加工すると、加工材の剪断加工面の面垂直度と面性状が顕著に向上することを見いだした。
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、その要旨は以下のとおりである。
(1)ダイ上の被加工材をパンチで打ち抜く剪断加工方法において、
(i1)被加工材を、パンチと、刃先のR(mm)が下記式(1)を満たすダイとの協働で打ち抜き、
(ii)打ち抜いた抜き材をパンチとして、次の被加工材を打ち抜く
ことを特徴とする剪断加工方法。
0.001・t≦R≦0.1・t ・・・(1)
t:被加工材の厚さ(mm)
(2)ダイ上の被加工材をパンチで打ち抜く剪断加工方法において、
(i2)被加工材を、パンチと、パンチとの間隔Dが下記式(2)を満たすダイとの協働で打ち抜き、
(ii)打ち抜いた抜き材をパンチとして、次の被加工材を打ち抜く
ことを特徴とする剪断加工方法。
0.001・t≦D≦0.1・t ・・・(2)
t:被加工材の厚さ(mm)
(3)ダイ上の被加工材をパンチで打ち抜く剪断加工方法において、
(i3)被加工材を、パンチと、刃先のR(mm)が下記式(1)を満たし、かつ、パンチとの間隔Dが下記式(2)を満たすダイとの協働で打ち抜き、
(ii)打ち抜いた抜き材をパンチとして、次の被加工材を打ち抜く
ことを特徴とする剪断加工方法。
0.001・t≦R≦0.1・t ・・・(1)
0.001・t≦D≦0.1・t ・・・(2)
t:被加工材の厚さ(mm)
(4)前記被加工材を、パンチと前記ダイの協働で打ち抜く際、抜き材に背圧を付加することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の剪断加工方法。
(5)前記被加工材が、引張強度980MPa以上の高強度鋼板であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の剪断加工方法。
本発明によれば、抜き材をパンチとして使用する剪断加工において、パンチとして好適な抜き材を使用して、加工材(製品)の剪断加工面の面垂直度と面性状を顕著に高めることができる。また、本発明によれば、引張強度が980MPa以上の高強度鋼板の剪断加工において、加工材(製品)の剪断加工面の面垂直度と面性状を顕著に高めることができる。
剪断加工の態様を模式的に示す図である。(a)は、被加工材に穴を形成する剪断加工の態様を模式的に示し、(b)は、被加工材に開断面を形成する剪断加工の態様を模式的に示す。 被加工材の剪断加工面の態様を示す図である。 抜き材をパンチとして使用する剪断加工の一態様を示す図である。 図3に示す剪断加工の途中の態様を示す図である。 抜き材をパンチとして使用する剪断加工の別の態様を示す図である。 図5に示す剪断加工の途中の態様を示す図である。 加工材の断面の一例を示す図である。(a)は、通常の剪断加工による加工材の断面を示し、(b)は、図3及び図4に示す剪断加工による加工材の断面を示す。 パンチとして使用する抜き材の態様を示す図である。 パンチとして使用する抜き材を打ち抜く剪断加工の態様を示す図である。 パンチとして使用する抜き材の別の態様を示す図である。 パンチとして使用する抜き材を打ち抜く剪断加工の別の態様を示す図である。
本発明の剪断加工方法(以下「本発明方法」ということがある。)は、ダイ上の被加工材をパンチで打ち抜く剪断加工方法において、
(i1)被加工材を、パンチと、刃先のR(mm)が下記式(1)を満たすダイとの協働で打ち抜き、
(ii)打ち抜いた抜き材をパンチとして、次の被加工材を打ち抜く
ことを特徴とする。
0.001・t≦R≦0.1・t ・・・(1)
t:被加工材の厚さ(mm)
本発明方法は、ダイ上の被加工材をパンチで打ち抜く剪断加工方法において、
(i2)被加工材を、パンチと、パンチとの間隔Dが下記式(2)を満たすダイとの協働で打ち抜き、
(ii)打ち抜いた抜き材をパンチとして、次の被加工材を打ち抜く
ことを特徴とする。
0.001・t≦D≦0.1・t ・・・(2)
t:被加工材の厚さ(mm)
本発明方法は、ダイ上の被加工材をパンチで打ち抜く剪断加工方法において、
(i3)被加工材を、パンチと、刃先のR(mm)が下記式(1)を満たし、かつ、パンチとの間隔Dが下記式(2)を満たすダイとの協働で打ち抜き、
(ii)打ち抜いた抜き材をパンチとして、次の被加工材を打ち抜く
ことを特徴とする。
0.001・t≦R≦0.1・t ・・・(1)
0.001・t≦D≦0.1・t ・・・(2)
t:被加工材の厚さ(mm)
本発明方法は、さらに、被加工材を、パンチと前記ダイとの協働で打ち抜く際、抜き材に背圧を付加することを特徴とする。
本発明方法は、さらに、被加工材が、引張強度980MPa以上の高強度鋼板であることを特徴とする。
以下、本発明方法について、図面に基づいて説明する。
本発明方法において、被加工材は、塑性変形が可能な材質のものであればよく、特に、金属質の被加工材が好ましい。また、被加工材が、引張強度980MPa以上の高強度鋼板では、工具の摩耗やチッピング等の損傷を抑え、剪断加工面の面垂直度と面性状を顕著に高めることができ、工業的に特に適している。被加工材の厚さは、特に限定されない。剪断加工が可能な範囲の厚さであればよい。被加工材の形状は、平板状のものが好ましいが、剪断加工が可能であればよく、特定の形状に限定されない。
最初に、抜き材をパンチとして用いる剪断加工の態様と利点について説明する。
図3に、抜き材をパンチとして使用する剪断加工の一態様を示す。図3に示す剪断加工においては、ダイ3の上に載置した被加工材1をパンチ2で打ち抜く際、被加工材1と材質が同じ又は類似の他の被加工材をパンチ2で打ち抜いた抜き材11を、打ち抜いた状態を保持して、次に剪断加工する被加工材1の打抜き部位に載置し、抜き材11をパンチとして使用して、被加工材1を剪断加工する。
図4に、図3に示す剪断加工の途中の態様を示す。図4に示すように、抜き材11をパンチとして使用して、次の被加工材1から抜き材12を打ち抜く。
通常、パンチとダイの間隔(図3中「CL」、参照)を所要の間隔に設定して剪断加工を行うが、打ち抜いた抜き材11をパンチとして使用し、抜き材11を打ち抜いたダイと同じものをダイとして使用すると、抜き材11(パンチ)とダイの間隔は略0となるので(図4中「CL」、参照)、抜き材11(パンチ)と同じ形状を、高精度で打ち抜くことができる。その結果、加工材には、面垂直度が高く、かつ、面性状に優れた剪断加工面を形成することができる。この点については、後述する。
通常の剪断加工では、パンチとダイの間に、一定の間隔が存在する。パンチとダイの間に一定の間隔が存在する状態で、被加工材を剪断加工すると、剪断加工中、剪断加工面に引張応力が作用し、延性破壊の起因となるボイドが生じ易く、かつ、剪断加工面に破断面が形成され易い。
一方、本発明方法のように、パンチとダイの間隔を略0として剪断加工を行なうと、引張応力が発生し難く、剪断加工面に破断面が形成されにくい。このようにして形成された剪断加工面は、優れた面垂直度を有する。
なお、図3及び図4には、抜き材を、被加工材を打ち抜いた状態でパンチとして使用する態様を示したが、抜き材は、打ち抜かれた状態を反転させてパンチとして使用してもよい。抜き材を反転させてパンチとして使用する態様については後述する。
図5に、抜き材をパンチとして使用する剪断加工の別の態様を示す。図5に示す剪断加工においては、抜き材13を、抜いた状態から反転させた状態でパンチとして使用する。
図6に、図5に示す剪断加工の途中の態様を示す。図6に示すように、抜き材13を、反転した状態でパンチとして使用して、被加工材1から抜き材13'を打ち抜く。この剪断加工の場合、抜き材13の破断面の端部とダイ3は、間隔が略0とならず、所要の間隔で離れる(図中、「CL」、参照)。この間隔が大きいと、加工材1の剪断加工面には、傾斜した破断面が形成される。
抜き材をパンチとして使用して、被加工材を剪断加工すると、加工材の剪断加工面の面垂直度は顕著に向上する。
図7に、加工材の断面の一例を示す。図7(a)に、通常の剪断加工による加工材の断面を示し、図7(b)に、図3及び図4に示す剪断加工による加工材の断面を示す。図7(a)に示すように、パンチとダイで剪断加工(通常の剪断加工)した加工材10aの剪断加工面9aは傾斜しているのに対し、図7(b)に示すように、抜き材(パンチ)とダイで剪断加工した加工材10bの剪断加工面9bは垂直である。
即ち、抜き材を、次の被加工材を剪断加工するパンチとして使用することにより、加工材の剪断加工面において、面垂直度向上効果を得ることができる。
本発明者らは、図3及び図4、及び、図5及び図6に、それぞれ示す剪断加工において、剪断加工面の残留応力を測定し、抜き材をパンチとして用いることによる面性状の向上度合(面性状向上効果)を調査した。
本発明者らは、抜き材をパンチとして用いる剪断加工において、加工材の剪断加工面の面垂直度と面性状の向上について、さらに調査研究を行った。その結果、加工材の剪断加工面の面垂直度及び面性状は、抜き材の形状に依存することが解った。
図8に、パンチとして使用する抜き材の態様を示す。図8に示すように、抜き材11を、被加工材から抜いた状態(反転しない状態)でパンチとして使用する場合、抜き材11とダイ3の間隔は略0である(図中、「CL」、参照)ので、加工材に、面垂直度の高い剪断加工面を形成することができる。
このとき、抜き材11のダレ4aが小さいと、加工材の剪断加工面のダレがより小さくなり、剪断加工面の面垂直度はより向上する。それ故、パンチとして使用する抜き材11としては、ダレ4aが小さい抜き材11が好適であり、ダレ4aが小さい抜き材11を打ち抜く方法が必要である。
図9に、パンチとして使用する抜き材を打ち抜く剪断加工の態様を示す。被加工材1を、ダイ2と、刃先3rの曲率半径R(mm)が小さいダイ3との協働で打ち抜くと、ダレ4aの小さい抜き材11を打ち抜くことができる。この打ち抜きの際、背圧ピン14で、抜き材11に所要の背圧(図中、矢印)を付加すると、抜き材11のダレ4aをより小さくすることができる。
抜き材のダレの大きさは、被加工材の厚さtとダイの刃先Rの大きさ、ダイ2とダイ3の間隔の相対関係に依存するので、本発明者らは、ダレの小さい抜き材を打ち抜くことが可能なダイの刃先のR(mm)について、被加工材の厚さtとの関係で調査し、上記式(1)を見いだした。上記式(1)については後述する。
図10に、パンチとして使用する抜き材の別の態様を示す。図10に示すように、抜き材11を、被加工材から抜いた状態を反転した状態でパンチとして使用する。この場合、抜き材11の破断面6aの下端とダイ3との間に所要の間隔(図中、「CL」、参照)が生じる。抜き材11の破断面6aの傾斜が急峻であれば、上記間隔は小さくなり、面垂直度は向上する。
図11に、パンチとして使用する抜き材を打ち抜く剪断加工の別の態様を示す。図11に示すように、パンチ2とダイ3の間隔Dを小さく設定して、被加工材1から、破断面6aの傾斜が急峻な抜き材11を打ち抜き、これを反転した状態で、図10に示すパンチ(抜き材11)として使用する。
抜き材の破断面の傾斜は、被加工材の厚さにもよるので、本発明者らは、抜き材を打ち抜く際のパンチ2とダイ3の間隔Dと、被加工材の厚さtとの関係を調査した。その結果、反転した状態でパンチとして使用する抜き材を打ち抜く際、パンチとダイの間隔Dを、上記式(2)に従って設定すると、パンチとして好適な抜き材11を打ち抜くことができることを見いだした。
即ち、(i1)被加工材を、パンチと、刃先のR(mm)が下記式(1)を満たすダイとの協働で打ち抜いた抜き材、(i2)被加工材を、パンチと、パンチとの間隔dが下記式(2)を満たすダイとの協働で打ち抜いた抜き材、又は、(i3)被加工材を、パンチと、刃先のR(mm)が下記式(1)を満たし、かつ、パンチとの間隔D(mm)が下記式(2)を満たすダイとの協働で打ち抜いた抜き材を、次の被加工材を打ち抜くパンチとして用いると、加工材の剪断加工面の面垂直度と面性状が顕著に向上することを見いだした。
0.001・t≦R≦0.1・t ・・・(1)
0.001・t≦D≦0.1・t ・・・(2)
t:被加工材の厚さ(mm)
上記式(1)及び上記式(2)について説明する。
0.001・t≦R≦0.1・t[式(1)]
打ち抜いたままの状態でパンチとして使用する抜き材を打ち抜く際、ダイの刃先のR(mm)は、0.001・t(mm)以上、0.1・t(mm)以下とする。R(mm)が0.001・t(mm)未満であると、刃先が破損し易いので、R(mm)は0.001・t(mm)以上とする。
一方、R(mm)が、0.1・t(mm)を超えると、抜き材の剪断加工面のダレが大きくなり、パンチとして使用したとき、加工材に、面垂直度の高い剪断加工面を形成することが難しくなるので、ダイの刃先のR(mm)は0.1・t(mm)以下とする。
0.001・t≦D≦0.1・t[式(2)]
打ち抜いた状態を反転してパンチとして使用する抜き材を打ち抜く際、パンチとダイの間隔D(mm)を、0.001・t以上0.1・t(mm)以下とする。
パンチとダイの間隔D(mm)が0.001・t未満であると、パンチとダイの端部が欠ける等の不具合が生じ易くなり、0.1・tを超えると、該間隔が広くなりすぎ、抜き材の破断面が緩やかになり、パンチと使用したとき、加工材の剪断加工面において十分に残留応力を低減することができず、面性状向上効果が得られないので、上記間隔D(mm)は、0.001・t以上0.1・t(mm)以下とする。
上記式(1)及び上記式(2)を同時に満たす条件で打ち抜いた抜き材は、パンチとしてより好適である。特に、被加工材が、引張強度が980MPa以上の高強度鋼板では、工具の摩耗やチッピング等の損傷を抑え、剪断加工面の面垂直度と面性状を顕著に高めることができ、工業的に特に適している。
被加工材の引張強さ(引張強度)が、1960MPaであっても本発明方法を適用でき、引張強さ(引張強度)が980MPa以上で、それぞれ、1180MPa、1470MPa、1770MPa、1960MPa以下の範囲内の高強度鋼板に適用できる。
次に、本発明の実施例について説明するが、実施例での条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
(実施例1)
直径10mmのパンチで、厚さ1.6mm、引張強度1180MPaの鋼板から、表1に示す条件で、パンチとして使用する抜き材を打ち抜いた。
表1に示す抜き材をパンチとして使用し、表2及び表3に示すCL/t(%)及びR(mm)の組合せで、上記鋼板を打ち抜き、剪断加工面の面垂直度を観察して評価した。面垂直度は、ダレと破断面を除く剪断面の割合が板厚の7割以上のものを◎、5割以上のものを○、3割以上のものを△、それ以下を×として評価した。表2に、非反転時の面垂直度の評価結果を示し、表3に、反転時の面垂直度の評価結果示す。
表2及び表3から、発明例の剪断加工面においては、面垂直度及び面性状が優れていることが解る。
(実施例2)
直径10mmのパンチを用い、厚さ1.6mm、引張強度980MPa鋼板を用意し、R=0.1mm、パンチとダイの間隔/板厚が0.05の条件で、パンチとして使用する抜き材を打ち抜いた。その抜き材をパンチとして用い、パンチを非反転の場合と、反転の場合の2通りで、元の鋼板を打ち抜き、剪断加工面の面垂直度を観察して評価した。
この結果、パンチが非反転の場合と反転の場合のいずれにおいても、面垂直度は、ダレと破断面を除く剪断面の割合が板厚の7割以上となり、面垂直度及び面性状が優れていた。
(実施例3)
直径10mmのパンチを用い、厚さ1.6mm、引張強度1470MPa鋼板を用意し、R=0.1mm、パンチとダイの間隔/板厚が0.05の条件で、パンチとして使用する抜き材を打ち抜いた。その抜き材をパンチとして用い、パンチを非反転の場合と、反転の場合の2通りで、元の鋼板を打ち抜き、剪断加工面の面垂直度を観察して評価した。
この結果、パンチが非反転の場合と反転の場合のいずれにおいても、面垂直度は、ダレと破断面を除く剪断面の割合が板厚の7割以上となり、面垂直度及び面性状が優れていた。
前述したように、本発明によれば、抜き材をパンチとして使用する剪断加工において、パンチとして好適な抜き材を使用して、加工材(製品)の剪断加工面の面垂直度と面性状を顕著に高めることができる。また、本発明によれば、引張強度が980Mpa以上の高強度鋼板の剪断加工において、加工材(製品)の剪断加工面の面垂直度と面性状を顕著に高めることができる。よって、本発明は、機械構造材製造産業において利用可能性が高いものである。
1 被加工材
1a、1b、1c、1d 被加工材
2 パンチ
2a 下方向
3 ダイ
3a、3b、3c、3d ダイ
4、4a ダレ
5 剪断面
6 破断面
7 バリ
8a 上部表面
8b 下部表面
9、9a、9b 剪断加工面
10、10a、10b 加工材
11、12 抜き材
13、13’ 抜き材
14 背圧ピン
CL パンチとダイの間隔

Claims (5)

  1. ダイ上の被加工材をパンチで打ち抜く剪断加工方法において、
    (i1)被加工材を、パンチと、刃先のR(mm)が下記式(1)を満たすダイとの協働で打ち抜き、
    (ii)打ち抜いた抜き材をパンチとして、次の被加工材を打ち抜く
    ことを特徴とする剪断加工方法。
    0.001・t≦R≦0.1・t ・・・(1)
    t:被加工材の厚さ(mm)
  2. ダイ上の被加工材をパンチで打ち抜く剪断加工方法において、
    (i2)被加工材を、パンチと、パンチとの間隔Dが下記式(2)を満たすダイとの協働で打ち抜き、
    (ii)打ち抜いた抜き材をパンチとして、次の被加工材を打ち抜く
    ことを特徴とする剪断加工方法。
    0.001・t≦D≦0.1・t ・・・(2)
    t:被加工材の厚さ(mm)
  3. ダイ上の被加工材をパンチで打ち抜く剪断加工方法において、
    (i3)被加工材を、パンチと、刃先のR(mm)が下記式(1)を満たし、かつ、パンチとの間隔Dが下記式(2)を満たすダイとの協働で打ち抜き、
    (ii)打ち抜いた抜き材をパンチとして、次の被加工材を打ち抜く
    ことを特徴とする剪断加工方法。
    0.001・t≦R≦0.1・t ・・・(1)
    0.001・t≦D≦0.1・t ・・・(2)
    t:被加工材の厚さ(mm)
  4. 前記被加工材を、パンチと前記ダイの協働で打ち抜く際、抜き材に背圧を付加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の剪断加工方法。
  5. 前記被加工材が、引張強度980MPa以上の高強度鋼板であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の剪断加工方法。
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