JP2007307616A - 金属板の剪断方法及び剪断工具及び剪断により得られた金属板加工品 - Google Patents

金属板の剪断方法及び剪断工具及び剪断により得られた金属板加工品 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポンチおよびダイを用いて、被加工材となる鋼板を剪断部および被剪断部に切断して所定形状に加工する打ち抜き技術において、打ち抜き後に生成するうち抜き端面の延性を改善する打ち抜き技術を提供する。
【解決手段】
被加工材となる金属板を少なくともダイ及びポンチを用いて剪断部及び被剪断部に切断することにより所定形状とする剪断方法において、ポンチ切刃が被加工材表面と接触する時点で、ポンチ側の被加工材表面に、ポンチ肩とダイ肩を結ぶ直線に対して直角方向に被加工材の0.001〜0.5の引張歪(真歪)に相当する引張応力を加えつつ剪断を行う。
【選択図】 図13

Description

本発明は、ポンチおよびダイを用いて、被加工材となる金属板を剪断部および被剪断部に切断して所定形状に加工する金属板の剪断方法、工具、及び剪断により得られた金属板加工品に関する。
具体的には、鋼板から自動車用高意匠型ホイールディスク等の部品を製造するために、所定の輪郭に剪断する方法、工具、及び剪断により得られた鋼板加工品に関する。
ホイールディスクやアームを初めとする多くの自動車用部品の成形では、初めに打ち抜きにより打ち抜き穴を作成した後、その打ち抜き穴を更に穴広げ加工することにより製造される場合が多い。
そのような穴広げ加工の際は、初めの打ち抜き加工による端面への加工の影響により打ち抜き端面の延性が劣化しているために、打ち抜き端面の加工を進めると、打ち抜き端面の亀裂が成長して端面の破断が生じ、プレス成形不良となる。
このため、打ち抜き端面の延性を改善し、プレス成型時の打ち抜き端面の破断を防ぐことが望まれていた。
自動車部品は、自動車の燃費改善のため、より軽量となるような設計・製作が求められており、現状に対して10%の軽量化が求められている。軽量化のためには、部品の成形高さを深くする、断面形状をより複雑化する、等して断面剛性を上げる必要がある。そのような形状を得るためには材料の成形性を上げる必要がある。
打ち抜き端面の割れの発生しやすさは、「打ち抜き穴広げ試験」により割れが発生した時点の端面の歪量である「穴広げ率」を測定することにより測定するが、ロアアーム等の代表的な部品において、成形性(穴広げ率)の改善により部品の成形高さを深くできた場合の軽量化効果を定量的に求めた場合、現行の穴広げ率に対して1.2倍の穴広げ率の改善により部品の重量を10%程度軽量化が可能である。
現状の代表的な高強度鋼板の穴広げ率は、TS590MPa級鋼板で約70%、TS780MPa級鋼板で約60%であるが、上述の軽量化の目標達成のためにはその大よそ1.2倍、即ちそれぞれ少なくとも85%、70%程度まで改善する必要がある。
また、高強度鋼板を打ち抜いた場合には、打ち抜き端面に「二枚板割れ」と呼ばれる異常な端面が発生する場合がある。ロアアームを初めとした繰返し荷重が加わる条件で実使用される自動車足回り部品では、打ち抜き端面からの疲労破壊が問題となる場合があるが、二枚板割れがあると疲労強度が劣化するため、そのような部品では二枚板割れがないことが望まれる。そのような部品において二枚板割れによる疲労特性の劣化を防ぐためには、二枚板割れ長さが全剪断長に占める割合を5%以下とすることが好ましい。
以下に具体例を挙げて説明する。図1は、高意匠型ホイールディスクの製造工程を説明する図である。まず被加工材となる鋼板を所定形状のブランクシートに剪断(打ち抜き)した後、成形(絞り)、打ち抜き(ピアス、トリム)を行い、次に、その端面が穴広げ成形され、溶接・塗装されて製品となる。
打ち抜き工程では被加工材金属板に打ち抜き加工による穴が加工され、次の穴広げ工程でその穴の端面に引張加工が行われる。図2は、上記工程の中の打ち抜き工程及び穴広げ工程での材料変形を説明する図である。鋼板の打ち抜きは、図2(a)に示すように、ダイ2、しわ押さえ3にて被加工材となる鋼板4を固定しポンチ1を材料の方向に移動させることにより行われる。しわ押さえ3は鋼板4を強く固定する必要がある場合に用いられるが必ずしも必須ではない。
打ち抜き工程ではまず、図2(b)に示すように鋼板4をダイ2としわ押さえ3で挟んだ後にポンチ1を下方に移動する。それによりまず鋼板4がポンチ1とダイ2、しわ押さえ3の間で変形し、ダレ17を形成する。
更に、ポンチ1が移動すると、鋼板4がダイ肩5及びポンチ肩6に剪断され、剪断部10及び被剪断部11の各々の端面に剪断面7、8が形成される。この間、ポンチとダイで挟まされた部分22に塑性加工(剪断変形)が加えられ、加工硬化する。
更にポンチを進行させると図2(c)に示すようにダイ肩5及びポンチ肩6近傍から亀裂9が発生する。更に、ポンチを進行させると図2(d)に示すように亀裂9が会合して鋼板4が、剪断部10及び被剪断部11に分離する。
前述の製造工程では打ち抜き工程の後、図2(e)に示すように、分離した鋼板の内、被剪断部11の打ち抜き穴の端面を図2(f)に示すような円錐状の工具16によって円周方向に引張加工を加える。これが穴広げ工程である。
打ち抜き工程の後の打ち抜き端面13の模式図を図3に示す。この打ち抜き端面13は、主に、ポンチにより材料が曲げ変形を受けることにより生成するダレ17、及び、ポンチにより剪断されることにより生成した剪断面8、及び亀裂9の伝播により生成した破断面14からなる。
打ち抜き端面13の直下には、打ち抜き加工により生じた加工硬化層12(図2(e))が存在する。
この加工硬化層12(図2(e))は加工による歪のため延性が劣化しており、そのため、打ち抜き端面を加工すると端面の亀裂が成長し材料の破断に至る。この場合、その成形品を製品として用いることが不可能となる。そのため打ち抜き端面の加工硬化を低減することが課題の一つである。
打ち抜き端面の加工硬化低減の方法として、下記の非特許文献1に開示されている、打ち抜き後に端面表層部分を除去するシェービングを行う方法を用いる方法がある。これによって端面の加工硬化部を除去し打ち抜き端面割れを防止することが可能であるが、金型コストの増加と金型寿命の低下という問題点があった。
また、以上の工程において、図2(b)に示すように、ダイ肩5及びポンチ肩6により剪断面7、8が形成されている段階で、ポンチとダイで挟まれ塑性加工(剪断変形)が加えられる部分22に、図5(a)で示されるような、鋼中に含まれる硬質な異相19等を起点に剪断方向に亀裂20が入り、これが打ち抜き後に図5(b)で示される二枚板割れ21となる場合がある。この二枚板割れ21は、打ち抜き端面に板表裏面と平行方向に深さ100μm以上の深い亀裂(二枚板割れ21)となっている。特に高強度鋼板ではこれが発生しやすい。
二枚板割れ21がある場合の打ち抜き端面の模式図を図4に示す。このような二枚板割れ21が生じた場合、その端面を有する部品の疲労寿命が劣化する。このため、疲労寿命が問題となる部品を対象とした打ち抜きを行う場合は、二枚板割れ21を発生させないようにすることが望まれていた。
「塑性と加工」、Vol.110、No.104、P665−671(1969.6)中川ら、削り抜き法−剪断面の変形能向上策
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、ポンチおよびダイを用いて、被加工材となる鋼板を剪断部および被剪断部に切断して所定形状に加工するに当たり、打ち抜きにより得られるブランク材の端面の延性を改善する打ち抜き方法、工具、及びそれらにより得られる端面の延性の良好な金属板加工品を提供することを課題とする。
また、更には、適正な条件で打ち抜くことにより、打ち抜き端面の延性の改善に加え、二枚板割れの抑制を可能とする打ち抜き方法、工具、及びそれらにより得られる端面の延性の良好な金属板加工品を提供することを課題とする。
本発明は、前述の課題を解決するため、鋭意検討の結果、打ち抜き加工時に材料に張力を与えることにより、亀裂の発生・伝播を早め、端面の加工硬化を抑さえて端面の延性を改善し、その端面を成形した際の、材料破断を防止する鋼板打ち抜き方法を提供するものであり、その要旨とするところは特許請求の範囲に記載した通りの下記内容である。
発明1は、被加工材となる金属板を少なくともダイ及びポンチを用いて剪断部及び被剪断部に切断することにより所定形状とする剪断方法において、ポンチ切刃が被加工材表面と接触する時点で、ポンチ側の被加工材表面に、ポンチ肩とダイ肩を結ぶ直線に対して直角方向に被加工材の0.001〜0.5の引張歪(真歪)に相当する引張応力を加えつつ剪断を行うことを特徴とする金属板の剪断方法。
発明2は、被加工材となる金属板を少なくともダイ及びポンチを用いて剪断部及び被剪断部に切断することにより所定形状とする剪断方法において、ポンチ切刃が被加工材表面と接触する時点で、ポンチ側の被加工材表面に、ポンチ肩とダイ肩を結ぶ直線に対して直角方向に被加工材の0.2%流動応力の30%以上145%以下の応力を加えつつ剪断を行うことを特徴とする金属板の剪断方法。
発明3は、被加工材となる金属板を少なくともダイ及びポンチを用いて剪断部及び被剪断部に切断することにより所定形状とする剪断方法において、ポンチ切刃の先端部に凸状の形状を有する突起を有し、かつ前記ポンチの移動方向の直角方向と前記切刃から前記突起に引いた接線とのなす角度が3度以上70度以下であり、さらに前記切刃と、該切刃から該突起に引いた接線と該突起の接点との距離が5mm以下となる工具を用いて剪断を行うことを特徴とする発明1または2に記載の金属板の剪断方法。
発明4は、被加工材となる金属板を少なくともダイ及びポンチを用いて剪断部及び被剪断部に切断することにより所定形状とする剪断方法において、ポンチ切刃の先端部に凸状の形状を有する突起を有し、かつ、その突起が、前記ポンチの移動方向の直角方向と前記切刃から前記突起に引いた接線とのなす角度をαとした時に、αが剪断部の曲率半径ρ、被加工材の板厚tに応じて以下の範囲となる形状となっている工具を用いて剪断を行うことを特徴とする発明1または2に記載金属板の剪断方法。
αmin≦α(°)≦αmax
但し、αmin、αmaxは、
ρ≦40mmの時
αmin=10.0−0.2×ρ(mm)+3.3×t(mm)
αmax=30.0−0.2×ρ(mm)+3.3×t(mm)
ρ>40mmの時
αmin=2.0+3.3×t(mm)
αmax=22.0+3.3×t(mm)
とする。
発明5は、被加工材となる金属板を少なくともダイ及びポンチを用いて剪断部及び被剪断部に切断することにより所定形状とする剪断方法において、ポンチ切刃の先端部に凸状の形状を有する突起を有し、該切刃から該突起に引いた接線と該突起の接点との距離が5mm以下である工具を用いて剪断を行うことを特徴とする発明1〜4のいずれかに記載の金属板の剪断方法。
発明6は、工具硬さがビッカース硬さで300Hv以上である工具を用いて剪断を行うことを特徴とする発明1〜5のいずれかに記載の金属板の剪断方法。
発明7は、ポンチとダイとの隙間間隔を被加工材厚の25%以下として剪断を行うことを特徴とする発明1〜6のいずれかに記載の金属板の剪断方法。
発明8は、ポンチのダイに対する相対移動速度が20mm/秒以上になるようにして剪断を行うことを特徴とする発明1〜7のいずれかに記載の金属板の剪断方法。
発明9は、被加工材となる金属板に予め0.2%〜10%の塑性歪を加えた後剪断を行うことを特徴とする発明1〜8のいずれか記載の金属板の剪断方法。
発明10は、金属板を剪断することにより製造した金属板の加工品であって、剪断端面から深さ0.1mmの位置の板厚方向の平均の加工硬化率が加工前の被加工材金属板のn値(加工硬化指数)×300(%)以下、剪断端面の深さ0.6mmの位置の板厚方向の平均の加工硬化率が加工前の被加工材金属板のn値(加工硬化指数)×100(%)以下であることを特徴とする金属板の加工品。
発明11は、金属板を剪断することにより製造した金属板の加工品であって、剪断端面の深さ方向で100μm以上の深さの亀裂の、全剪断長で占める割合が5%以下であることを特徴とする発明10に記載の金属板の加工品。
発明12は、被加工材となる金属板を少なくともダイ及びポンチを用いて剪断部及び被剪断部に切断することにより所定形状とする剪断工具において、ポンチ切刃の先端部に凸状の形状を有する突起を有し、かつ前記ポンチの移動方向の直角方向と前記切刃から前記突起に引いた接線とのなす角度が3度以上70度以下であることを特徴とする金属板の剪断工具。
発明13は、被加工材となる金属板を少なくともダイ及びポンチを用いて剪断部及び被剪断部に切断することにより所定形状とする剪断方法において、ポンチ切刃の先端部に凸状の形状を有する突起を有し、かつ、その突起が、前記ポンチの移動方向の直角方向と前記切刃から前記突起に引いた接線とのなす角度をαとした時に、αがポンチ形状の曲率半径ρ、剪断材料の板厚tに応じて以下の範囲となる形状となっていることを特徴とする工具金属板の剪断工具。
αmin≦α(°)≦αmax
但し、αmin、αmaxは、
0<ρ≦40mmの時
αmin=10.0−0.2×ρ(mm)+3.3×t(mm)
αmax=30.0−0.2×ρ(mm)+3.3×t(mm)
ρ>40mmの時
αmin=2.0+3.3×t(mm)
αmax=22.0+3.3×t(mm)
とする。
発明14、被加工材となる金属板を少なくともダイ及びポンチを用いて剪断部及び被剪断部に切断することにより所定形状とする剪断工具において、ポンチ切刃の先端部に凸状の形状を有する突起を有し、該切刃から該突起に引いた接線と該突起の接点との距離が5mm以下であることを特徴とする発明12または13に記載の金属板の剪断工具。
発明15は、工具硬さがビッカース硬さで300Hv以上であることを特徴とする発明12〜14のいずれかに記載の金属板の剪断工具。
本発明によれば、打ち抜き加工時に被加工材に張力を与えることにより、打ち抜き時の被加工材内部での亀裂の発生・伝播を早め、端面の加工硬化を押さえて打ち抜き端面の延性を改善し、その端面を成形した際の材料の破断を防止し、より複雑形状の自動車部品の製造を可能とすることができる。また、適正な条件で本発明の打ち抜きを行う事により、高強度鋼板の打ち抜き端面に発生する二枚板割れを防ぐことができる。以上の効果により、より複雑な形状の自動車足回り部品の成形を可能とし、また高強度鋼板の適用を可能とし、最終的に自動車の軽量化に資する鋼板打ち抜き方法、工具、及び鋼板の加工品を提供することができる。
このため、自動車分野を初めとする多くの打ち抜き加工を用いる分野に適用可能であり、産業上有用な著しい効果を奏する。
初めに本発明者らが本発明に至った経過について説明する。
打ち抜き端面の延性の劣化は、打ち抜き端面の加工硬化に起因している。図6(a)に打ち抜き工程でのポンチの移動距離と打ち抜き端面の加工硬化量の関係を模式的に示している。打ち抜き端面の加工硬化は、主に、ダレの形成段階、剪断面の形成段階、及び破断面の形成段階で進む。しかし、端面の加工硬化の大部分は、その打ち抜き時の変形荷重の解析から、剪断面の形成段階(図2(b))で進むものと推定される。従って、加工硬化を低減するには、図6(b)に示すように、剪断面形成の過程を短くする、即ち、図2(c)においてポンチ肩6及びダイ肩5から生ずる亀裂9の発生を速め、剪断面の形成段階を短縮することが重要と考えた。
張力を付加しない従来の打ち抜き工程における亀裂は、図7(a)に示すように、ポンチ側面近傍の材料に発生する剪断応力τにより、ポンチ切刃先端において局所的な応力σtが生じ、発生するものと考えられる。即ち、図7(b)に示すように切刃先端部に局所的に働く引張応力σtが、材料の限界応力σtcを超えた場合に発生する。張力を付加しない従来の打ち抜きの場合、ポンチ切刃先端において局所的な引張応力σtを発生させるのは、ポンチ肩での剪断応力τ(図7(a))が主であると考えられるが、この場合、亀裂を発生させる効果は不十分で、亀裂がなかなか発生せず加工硬化が大きくなる。
本発明者らは、この亀裂の発生を促進する方法について検討し、図8(a)に示すようにポンチ切刃先端を含む板厚断面に、開口方向の応力σを加えることを着想した。これにより、図8(b)に示すように、切刃先端部に局所的に働く応力σtは、剪断応力τと開口方向の応力σの足し合わせ効果により、剪断応力τのみが存在する場合より大きくなる。この効果により、σtが限界応力σtcを超えるポンチ移動距離は小さくなる。このため、亀裂発生が速まり、剪断面形成の段階が短くなることが予想される。
以上のような着想を実現するため、開口方向応力σを容易に実現する手段について検討した。そして、図9(a)に示すようにポンチ先端部に突起15を付けることが有効であると考え試験を行い、突起形状、特にその先端部の形状、及びポンチ切刃からの仰角を所定条件とすることにより予想した効果が得られることを知見した。即ち、図9(a)に示すように、ポンチ先端に付けた突起15により、図9(b)に示す開口方向応力σを発生させ、図9(c)で示す亀裂9の発生を促し、図9(d)の端面13における剪断面の厚みを下げ加工硬化を低減するものである。
本発明を実施するための定量的な要件について、試験結果に基づいて説明する。
表1に示す供試鋼Aを用いて表2、図10、図11示すような形状の打ち抜き金型で打ち抜きを行った。
表2の水準では、ポンチ径=20mm、ダイ径=20.2〜21.35mm(クリアランス=3.8〜26.0%)を基準とした上で、水準1〜7では、切刃と切刃から突起に引いた接線と突起の接点との距離Lを5mm以下とした上で切刃と突起の間隔dを変えることにより仰角αを変えており、また8〜12ではLを5mm以上とした上で切刃と突起の間隔dを変えることにより仰角αを変えている。
水準13〜18はクリアランス、水準19〜22は打ち抜きポンチ速度を変えている。
打ち抜き時に、鋼板4の剪断予定部18(図9(b))に歪ゲージを貼り、打ち抜き時の剪断予定部18の歪の変化を測定した。歪ゲージは、ポンチ1が移動してポンチ切刃と材料4が接触する位置に添付し、歪の測定方向は、ポンチにより剪断されて生じる端面と直角方向(ポンチの半径方向)とした。
図12に示すように、ポンチストロークを増加させ、歪ゲージが破断したときの歪を剪断時最大歪とした。
打ち抜き後の端面の硬さを以下に示す位置で測定した。図13で示すように、端面から深さ方向に0.1mm、0.6mm離れた位置での破断面側の1/8t部、1/4t部、3/8t部でのビッカース硬さを荷重1kgで測定した。更に、端面から3.0mm離れた位置での1/2t部でビッカース硬さを荷重1kgで測定した。各々の位置近傍の3点で測定し、それらの硬さの平均値を求め、以下の式に従って、端面から深さ0.1mm位置、0.6mm位置での平均の加工硬化率を求めた。
平均の加工硬化率=(端面から深さ0.1mm又は0.6mm位置での平均硬さ−3mm位置での平均硬さ)/3mm位置での平均硬さ×100(%)
Figure 2007307616
Figure 2007307616
また、各々の打ち抜き条件で、各々の材料の歪応力曲線(n乗硬化則にて近似した式)と剪断時最大歪の値から、剪断時最大歪に対応した、被加工材の剪断予定部の剪断時の応力を求めた。
以上の試験から得られる、歪ゲージにより求めた剪断時最大歪と穴広げ率、二枚板割れ発生比率の関係(水準1〜7、ポンチ切刃と、該切刃から突起に引いた接線と該突起の接点との距離Lが5mm以上)を図14、15に示す。図15は図14の歪の低い部分を拡大したものである。二枚板割れの発生は打ち抜いた後、まず目視及び電子顕微鏡により端面に鋼板表裏面と平行方向の深い亀裂の有無を確認し、深い亀裂がある場合に電子顕微鏡にて深い亀裂の長さを測定し、次に該当箇所の断面を切断、観察して亀裂の深さを確認し、100μm以上の深さを有するものの長さを総計して、打ち抜き端面全長(全剪断長)に対する割合(%)として求めた。即ち、下式より求めた。
二枚板割れ発生比率(%)=(鋼板表裏面と平行方向の深さ100μm以上の深い亀裂の全長)/(打ち抜き端面の全長)×100(%)
また、穴広げ率は、所定条件で打ち抜いた後、プレス試験機にて、頂角60度の円錐ポンチを用いて破断面が円錐ポンチの反対側となるように試験片を固定して打ち抜き穴を拡大し、打ち抜き端面の亀裂が端面上で板厚方向に貫通したことが目視で確認された時点での穴径の拡大率(%)として求めた。即ち、穴広げ率は下式から求められる。
穴広げ率λ(%)=(d−d0)/d0×100
d:亀裂の板厚貫通時の穴径(mm)、d0:初期穴径(mm)
ここで、軽量化に十分な効果を有すると考えられる穴広げ率の目標レベルは通常レベルの1.2倍、72%である。
穴広げ率は剪断時最大歪が0.001以上0.5以下の時に良好である。
これは、剪断時最大歪が0.001以下で小さい場合、剪断予定部に十分な張力がかからず、亀裂の発生・伝播及び材料分離の促進効果が得られず、剪断面の形成段階が長くなり端面の加工硬化が進むためである。剪断時最大歪が0.001以下で小さい場合、二枚板割れ発生比率は、張力による亀裂の発生・伝播及び材料分離の促進効果が得られないため、大きい。
一方、剪断時最大歪が大きすぎると穴広げ率が小さくなるのは、これが大きい場合、突起による歪自体が大きくなり、この歪が打ち抜き端面に溜まって端面の加工硬化を促し穴広げ性を劣化させるためである。穴広げ率を改善する効果は、剪断時最大歪が0.1以上0.35以下の時に特に大きい。二枚板割れ発生比率は、剪断時最大歪が大きい場合、張力による亀裂の発生・伝播及び材料分離の促進効果自体は大きく剪断面比率は低いので、小さい。
また、各々の試験でポンチ切刃と材料が接触する時点の、ポンチ肩とダイ肩を結ぶ直線に対して直角方向の応力(以下直角方向応力)の鋼材YPに対する割合(%)と穴広げ率、二枚板割れ発生比率の関係を図16に示す。ここで、ポンチ肩(またはダイ肩)が磨耗により曲線状の断面となっている場合、ポンチ肩(またはダイ肩)の定義は、図8(a)に示すように、ポンチ肩6(またはダイ肩)の側面の直線部分と曲線部分の境界23、及び、ポンチ肩の底面の直線部分と曲線部分の境界24の中点とする。
また、ポンチ肩とダイ肩を結ぶ直線に対して直角方向の応力を求めたのは、その方向の応力がポンチ肩6及びダイ肩5からの亀裂の発生・伝播を促進する効果が最も大きく影響も大きいと考えられるためである。直角方向の応力は、その方向に座標軸を持つ座標系で、応力をテンソルで表した時に、その座標の+方向の引張応力成分である。また、その応力を鋼材YPで除した値にて整理したのは、剪断時の応力による亀裂発生・伝播の促進効果は鋼材YPに依存し、それが大きいほど必要な応力も増加すると考えられるためである。
これは、直角方向応力の鋼材YPに対する割合(%)が小さい場合、剪断予定部に十分な張力がかからず、亀裂の発生・伝播及び材料分離の促進効果が得られず、剪断面の形成段階が長くなり端面の加工硬化が進むためである。直角方向応力の鋼材YPに対する割合(%)が30%以下と小さい場合、二枚板割れ発生比率は、張力による亀裂の発生・伝播及び材料分離の促進効果が得られないため、大きい。
一方、直角方向応力の鋼材YPに対する割合(%)が大きすぎると穴広げ率が小さくなるのは、これが大きい場合、突起による歪自体が大きくなり、この歪が打ち抜き端面に溜まって端面を加工硬化させ穴広げ性を劣化させるためである。
穴広げ率は直角方向応力の鋼材YPに対する割合(%)が30%以上145%以下の時に良好である。それが、125%以上140%以下の時に特に穴広げ率の改善効果は大きい。
二枚板割れ発生比率は、直角方向応力の鋼材YPに対する割合(%)が大きすぎる場合、張力による亀裂の発生・伝播及び材料分離の促進効果自体は大きく剪断面比率は低いので、小さい。
以上から、穴広げ性を良好とするためには、打ち抜き(切刃と被加工材の接触)時での、ポンチ肩とダイ肩を結ぶ直線に対して直角方向の応力を所定範囲内とする必要があることが分かった。
図17では、表2で、Lが5mm以下の場合(水準1〜7)の仰角αと穴広げ率、二枚板割れ発生比率の関係を示す。仰角αが3度以上、70度以下の時に良好な穴広げ率が得られており、また、二枚板割れ比率も低い。これは、仰角αが小さすぎると十分な亀裂伝播促進効果を得る応力が得られず、仰角αが大きすぎると、材料の剪断予定部に与える曲げ歪が大きくなりすぎるため、その歪で端面の加工硬化が進みが穴広げ率が劣化するためである。仰角が11°以上45°以下の場合に、特に穴広げ率は良好である。
図18に表2で、Lが5mm以上の場合(水準8〜12)の、仰角αと直角方向応力を鋼材YPで除した値の関係を示すが、この場合は、仰角αが3〜70度の範囲であっても、所定の応力が得られない。このため、図19にその場合の仰角αと穴広げ率の関係を示すが、仰角αが3〜70度の範囲であっても、Lが大きい場合は穴広げ率は改善しない。また、この場合は、所定の応力が得られていないため、二枚板割れ発生率は高い。
この場合に仰角αが所定範囲であっても所定の応力が得られないのは、図20に示すように、Lが大きい場合、ポンチ切刃と突起の間で鋼板がたわむため(材料の変形角度αmが切刃と突起の間の材料たわみのために本来の狙いの変形角度αより小さくなる)、鋼板の剪断予定部に十分な張力が得られず、十分な端面の加工硬化抑制効果が得られないためである。
本発明では、打ち抜きポンチに突起を付けることにより、打ち抜き時に材料に所定の歪を与え、材料の切断を促し、打ち抜き端面の歪を低減し穴広げ率を改善するものであり、以上で述べたように、打ち抜き時の剪断時最大歪を0.001〜0.5の範囲内に、望ましくは0.1〜0.35の範囲内に制御することを趣旨としている。
本発明者らは、打ち抜き時に、0.1〜0.35の歪を剪断予定部に与える突起の条件について検討を行った。その結果、被剪断材料の板厚tや剪断部形状(ポンチ形状)の曲率半径ρによって同じ突起の仰角αでも材料の曲げ剛性が変わるため、剪断時最大歪を適正な範囲に制御するためには、剪断部形状(ポンチ形状)の曲率半径ρや板厚tに応じて仰角αを変える必要があることを知見した。具体的には、図21に模式的に示すように、同じ仰角αでも、板厚tが薄いほど、また剪断部形状の曲率半径ρが大きいほど、剪断時最大歪αは大きくなるため、それを補うため、仰角αは小さくする必要がある。ここで、ρは図22に示すように、剪断される位置毎に定義され、そこの形状から求められる曲率半径である。
そして、本発明者らは、剪断時最大歪を0.1〜0.35とする仰角αの、板厚t、剪断部形状(ポンチ形状)の曲率半径ρに対する変化を試験により求め、仰角αを以下の範囲とする必要があることを知見した。
αmin≦α(°)≦αmax
但し、αmin、αmaxは、
0<ρ≦40mmの時
αmin=10.0−0.2×ρ(mm)+3.3×t(mm)
αmax=30.0−0.2×ρ(mm)+3.3×t(mm)
ρ>40mmの時
αmin=2.0+3.3×t(mm)
αmax=22.0+3.3×t(mm)
とする。
ここで剪断部の形状(ポンチ形状)から定まる曲率半径ρは、曲率中心が突起の付いたポンチ側にある場合を正の値とし、反対側にある場合は負の値とする。これが負の場合、ρ=∞とみなして上式に代入する。
また、突起の肩の形状について以下の知見を得た。
突起により効果的に被加工材に張力を与える観点からは、突起肩での材料の剪断を防ぐことが好ましい。突起肩で材料が剪断された場合、材料の剪断予定部に引張変形を与え、張力を与えることができないためである。この観点からは、突起肩に曲率半径が0.2mm以上の曲部を付ける、又は、突起肩部の角度θを100度以上の鈍角とすることが好ましい。
ここで、突起による端面の加工硬化低減・延性改善の効果は、突起により発生する張力に起因して得られるものであるので、非剪断材料の形状(直線状であるか、曲線状であるか、曲線状の場合どのくらいの曲率半径であるか)にはよらず、突起形状が所定条件を満たしていれば得られる。
次に、本発明者らは、本打ち抜き方法において、穴広げ性が良好となる場合の端面の硬さ分布の要件について鋭意検討した。
図23、24、25に、材料のn値が異なる表1の鋼A、B、Cを対象として、表3に示す打ち抜き条件で打ち抜いた場合の打ち抜き端面における端面から深さ0.1mm及び0.6mm位置での加工硬化率と穴広げ率の関係を示す。図中には、各々の鋼での穴広げ率の目標を達成する加工硬化率の範囲も示している。図23では、鋼Aの通常条件での穴広げ率が60%であるのでその1.2倍の72%を目標として示している。同様に、図24では84%、図25では144%を目標としている。ここで、打ち抜き端面の加工硬化率は前述の方法に従った。
Figure 2007307616
図23、24、25の材料で穴広げ率が目標を達成する場合、及び、達成しない場合の0.1mm位置及び0.6mm位置での端面の加工硬化率を図26に示している。ここでは、n値の異なる材料を同じ打ち抜き条件で打ち抜いた場合、打ち抜き端面の加工硬化率はn値に比例して大きくなると考えられるため、縦軸・横軸は、加工硬化率をn値で除した値としている。また、ここで材料のn値(加工硬化指数)はJIS Z 2253(薄板金属材料の加工硬化指数試験方法)に示される方法で測定するものとする。その際用いる歪の範囲は、降伏点伸び+1%の歪から一様伸びの歪の間とし、その間で5点の歪と応力の関係を求め、それらからJIS Z 2253に定められた方法でn値(加工硬化指数)を算出するものとする。
また、図では、穴広げ率が目標を達成した場合の端面の0.1mm位置及び0.6mm加工硬化率をオープンのシンボルで、しない場合の加工硬化率をソリッドのシンボルで示している。
これより、n値の異なる材料でも、0.1mm位置及び0.6mm位置の加工硬化率/n値を指標とすることにより穴広げ値の改善効果を説明可能であることが分かる。
これより、どの鋼種においても、0.1mm位置及び0.6mm位置での加工硬化率が共に低い場合に穴広げ率は大きく、穴広げ率を目標以上に改善するような加工硬化率は、0.1mm位置でn値×300以下かつ、0.6mm位置でn値×100以下であることが判明した。
図27に打ち抜きクリアランスと穴広げ率、二枚板割れ発生比率の関係を示す(表2の水準13〜18)。本法による打ち抜きではクリアランスによらず、良好な穴広げ率が得られている。一方、二枚板割れは、クリアランスが大きくなると悪化する傾向であり、これを防ぐ観点からはクリアランスは25%以下とすることが好ましい。
図28に(表2に示す水準19〜22)、打ち抜き速度と穴広げ率、二枚板割れ発生比率の関係を示す。本法による打ち抜きでは、打ち抜き速度によらず、良好な穴広げ率が得られている。一方、二枚板割れは、打ち抜き速度が小さくなると悪化する傾向であり、これを防ぐ観点からは、打ち抜き速度は、20mm/秒以上とすることが好ましい。
本発明者らは、被加工材となる鋼材の予歪量と上述打ち抜き方法による穴広げ率の関係について調べた。その結果、被加工材となる材料に若干の塑性歪が入った方が打ち抜き穴広げ率は改善されることを見出した。これは、被加工材に予歪が加わっていた方がポンチ肩からの亀裂の発生、伝播が促進され、最終的に打ち抜き後の端面の加工硬化が低減されるためである。しかし、予歪が大きすぎるとそれにより穴広げ率が劣化する。本発明者らの検討の結果、最適な予歪の範囲は、0.2%以上10%以下である。
本発明者らは、また、打ち抜き工具の硬さと連続して複数枚の打ち抜き・穴広げ試験を行った場合の穴広げ率の関係について鋭意調べた。その結果、工具硬さが低すぎると、連続して打ち抜きを行った場合の工具の磨耗が激しくポンチ切刃が鈍くなるため、多くの枚数の打ち抜きを行った後の穴広げ率が低下しやすいことが判明した。この観点から、標記形状の工具の十分な穴広げ性改善効果を連続して得るためには、工具の硬さは、300Hv以上が好ましい。
しかし、工具の硬さが大きすぎると、工具の脆性が増して脆くなり、打ち抜き工程で実使用することが困難となるので、その上限は概ね1000Hvである。
次に、本発明の実施例について説明する。
表4に示す鋼D〜Hを対象として、図10、11及び表5に示す条件にて、打ち抜きを行った。その際の、打ち抜き時の歪、直角方向応力の鋼材YPに対する割合(%)、及び打ち抜き端面の深さ0.6mm位置、0.1mm位置での平均加工硬化率も表中に示している。また、試験の結果得られた穴広げ率、二枚板割れ発生比率も表中に示している。
穴広げ試験は、同一水準毎に試験片数3で行い、その平均値を算出した。二枚板割れ発生比率もその中での平均値とした。
水準1〜5は、材料D、E、F、G、Hの通常の打ち抜き方法、すなわち突起の無い従来の打ち抜きポンチによる標準的な穴広げ率である。
水準6〜25は本発明による打ち抜き技術の例である。
水準6〜11は、板厚の異なる鋼D、E、Fを用いて、本発明により打ち抜き、効果を確認した結果である。
特に水準9〜11は、水準6〜8に対して、突起高さを最適化し、仰角を最適化した水準であるが、それにより、より高い穴広げ値が得られている。
水準12はポンチ径が比較的大きいが本発明の要件により、良好な穴広げ率が得られている。
水準13、14は異なる材料に本発明を適用した例であるが、本発明の要件により、良好な穴広げ率が得られている。
水準15〜25は、水準13に対して、突起形状、打ち抜き速度、材料の予歪量、クリアランスを変えた。水準15〜17は突起肩角度θ、水準18は突起肩曲率半径R、水準19、20はポンチ速度、水準21、22は材料の予歪、水準23、24はクリアランス、水準25は、工具硬さをそれぞれ変えて試験を行った結果である。
以上の水準では、全部の水準で、目標の従来法の場合の穴広げ率の1.2倍の穴広げ率が得られている。二枚板割れについても、従来より改善し、その比率は目標である以下となっている。
一方、水準26、27は、仰角αが小さく良好な穴広げ率が得られていない。
水準28、29は、仰角αが大きすぎて良好な穴広げ率が得られていない。
水準30は、Lが大きすぎて良好な穴広げ率が得られていない。
Figure 2007307616
Figure 2007307616
自動車部品(ホイール)の製造工程を表す図である。 従来のうち抜きにおける材料の変形挙動を表す図である。 打ち抜き端面の性状を表す模式図である。 二枚板割れがある場合の打ち抜き端面の性状を表す模式図である。 二枚板割れの発生する原因を説明する図である。 打ち抜き時の端面の加工硬化挙動を説明する図である。 通常の打ち抜きでの亀裂の伝播条件を表す図である。 張力付加時の亀裂の伝播条件を表す図である。 突起付きポンチでの打ち抜きにおける材料の変形挙動を表す図である。 打ち抜き金型形状を表す図である。 打ち抜きポンチ形状を表す図である。 打ち抜き時の剪断予定部の最大歪を説明する図である。 打ち抜き端面の硬さの測定位置を表す図である。 打ち抜き時の材料の表面歪と穴広げ率、二枚板割れ発生比率を表す図である。 打ち抜き時の材料の表面歪と穴広げ率、二枚板割れ発生比率を表す図である。 打ち抜き時の応力/YPと穴広げ率、二枚板割れ発生比率の関係を表す図である。 仰角と穴広げ率、二枚板割れ発生比率の関係を表す図である。 仰角と打ち抜き時の応力/YPの関係を表す図である。 仰角と穴広げ率、二枚板割れ発生比率の関係を表す図である。 Lが大きい場合の材料変形を表す図である。 突起付きポンチで打ち抜いた際の、板厚t、形状の曲率半径ρが異なる場合の仰角αと剪断予定部の歪の関係を示す図である。 部品形状の曲率半径を示す図である。 鋼Aにおけるポンチ突起肩Rと穴広げ率、二枚板割れ発生比率の関係を表す図である。 鋼Bにおける打ち抜き端面の硬さ分布と穴広げ率、二枚板割れ発生比率の関係を表す図である。 鋼Cにおける打ち抜き端面の硬さ分布と穴広げ率、二枚板割れ発生比率の関係を表す図である。 打ち抜き端面の硬さ分布と穴広げ率、二枚板割れ発生比率の関係を表す図である。 クリアランスと穴広げ率、二枚板割れ発生比率の関係を表す図である。 打ち抜き速度と穴広げ率、二枚板割れ発生比率の関係を表す図である。
符号の説明
1:ポンチ
2:ダイ
3:しわ押さえ
4:被加工材料(被加工素材)
5:ダイ肩
6:ポンチ肩
7:ダイ側材料の剪断面
8:ポンチ側材料の剪断面
9:亀裂
10:剪断材料
11:被剪断材料
12:加工硬化層
13:打ち抜き端面
14:破断面
15:突起
16:穴広げ金型
17:ダレ
18:剪断予定部
19:介在物
20:介在物から発生した亀裂
21:二枚板割れ
22:ポンチとダイで挟まされた部分
23:ポンチ肩の側面の直線部分と曲線部分の境界
24:ポンチ肩の底面の直線部分と曲線部分の境界
τ:打ち抜き時のポンチ近傍の剪断力
σ:打ち抜き時のポンチ近傍の引張応力
a:ポンチ移動距離
σt:ポンチ肩近傍の亀裂開口方向応力
σtc:材料の亀裂発生限界応力
t:板厚
d:切刃と突起の間隔
θ:突起肩角度
α:仰角
h:突起高さ
R:突起肩曲率半径
θ:突起肩角度
L:ポンチ切刃と、ポンチ切刃から突起に引いた接線と突起の接点の距離
s:ポンチとダイの隙間間隔
ρ:部品形状の曲率半径

Claims (15)

  1. 被加工材となる金属板を少なくともダイ及びポンチを用いて剪断部及び被剪断部に切断することにより所定形状とする剪断方法において、ポンチ切刃が被加工材表面と接触する時点で、ポンチ側の被加工材表面に、ポンチ肩とダイ肩を結ぶ直線に対して直角方向に被加工材の0.001〜0.5の引張歪(真歪)に相当する引張応力を加えつつ剪断を行うことを特徴とする金属板の剪断方法。
  2. 被加工材となる金属板を少なくともダイ及びポンチを用いて剪断部及び被剪断部に切断することにより所定形状とする剪断方法において、ポンチ切刃が被加工材表面と接触する時点で、ポンチ側の被加工材表面に、ポンチ肩とダイ肩を結ぶ直線に対して直角方向に被加工材の0.2%流動応力の30%以上145%以下の応力を加えつつ剪断を行うことを特徴とする金属板の剪断方法。
  3. 被加工材となる金属板を少なくともダイ及びポンチを用いて剪断部及び被剪断部に切断することにより所定形状とする剪断方法において、ポンチ切刃の先端部に凸状の形状を有する突起を有し、かつ前記ポンチの移動方向の直角方向と前記切刃から前記突起に引いた接線とのなす角度が3度以上70度以下である工具を用いて剪断を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の金属板の剪断方法。
  4. 被加工材となる金属板を少なくともダイ及びポンチを用いて剪断部及び被剪断部に切断することにより所定形状とする剪断方法において、ポンチ切刃の先端部に凸状の形状を有する突起を有し、かつ、その突起が、前記ポンチの移動方向の直角方向と前記切刃から前記突起に引いた接線とのなす角度をαとした時に、αが剪断部の曲率半径ρ、剪断材料の板厚tに応じて以下の範囲となる形状となっている工具を用いて剪断を行うことを特徴とする請求項1または2に記載金属板の剪断方法。
    αmin≦α(°)≦αmax
    但し、αmin、αmaxは、
    0<ρ≦40mmの時
    αmin=10.0−0.2×ρ(mm)+3.3×t(mm)
    αmax=30.0−0.2×ρ(mm)+3.3×t(mm)
    ρ>40mmの時
    αmin=2.0+3.3×t(mm)
    αmax=22.0+3.3×t(mm)
    とする。
  5. 被加工材となる金属板を少なくともダイ及びポンチを用いて剪断部及び被剪断部に切断することにより所定形状とする剪断方法において、ポンチ切刃の先端部に凸状の形状を有する突起を有し、該切刃から該突起に引いた接線と該突起の接点との距離が5mm以下である工具を用いて剪断を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の金属板の剪断方法。
  6. 工具硬さがビッカース硬さで300Hv以上である工具を用いて剪断を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の金属板の剪断方法。
  7. ポンチとダイとの隙間間隔を被加工材厚の25%以下として剪断を行うことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の金属板の剪断方法。
  8. ポンチのダイに対する相対移動速度が20mm/秒以上になるようにして剪断を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の金属板の剪断方法。
  9. 被加工材となる金属板に予め0.2%〜10%の塑性歪を加えた後剪断を行うことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の金属板の剪断方法。
  10. 金属板を剪断することにより製造した金属板の加工品であって、剪断端面から深さ0.1mmの位置の板厚方向の平均の加工硬化率が加工前の被加工材金属板のn値(加工硬化指数)×300(%)以下、剪断端面の深さ0.6mmの位置の板厚方向の平均の加工硬化率が加工前の被加工材金属板のn値(加工硬化指数)×100(%)以下であることを特徴とする金属板の加工品。
  11. 金属板を剪断することにより製造した金属板の加工品であって、剪断端面の深さ方向で100μm以上の深さの亀裂の、全剪断長で占める割合が5%以下であることを特徴とする請求項10記載の金属板の加工品。
  12. 被加工材となる金属板を少なくともダイ及びポンチを用いて剪断部及び被剪断部に切断することにより所定形状とする剪断工具において、ポンチ切刃の先端部に凸状の形状を有する突起を有し、かつ前記ポンチの移動方向の直角方向と前記切刃から前記突起に引いた接線とのなす角度が3度以上70度以下であることを特徴とする金属板の剪断工具。
  13. 被加工材となる金属板を少なくともダイ及びポンチを用いて剪断部及び被剪断部に切断することにより所定形状とする剪断工具において、ポンチ切刃の先端部に凸状の形状を有する突起を有し、かつ、その突起が、前記ポンチの移動方向の直角方向と前記切刃から前記突起に引いた接線とのなす角度をαとした時に、αがポンチ形状の曲率半径ρ、剪断材料の板厚tに応じて以下の範囲となる形状とであることを特徴とする金属板の剪断工具。
    αmin≦α(°)≦αmax
    但し、αmin、αmaxは、
    0<ρ≦40mmの時
    αmin=10.0−0.2×ρ(mm)+3.3×t(mm)
    αmax=30.0−0.2×ρ(mm)+3.3×t(mm)
    ρ>40mmの時
    αmin=2.0+3.3×t(mm)
    αmax=22.0+3.3×t(mm)
    とする。
  14. 被加工材となる金属板を少なくともダイ及びポンチを用いて剪断部及び被剪断部に切断することにより所定形状とする剪断工具において、ポンチ切刃の先端部に凸状の形状を有する突起を有し、該切刃から該突起に引いた接線と該突起の接点との距離が5mm以下であることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の金属板の剪断工具。
  15. 工具硬さがビッカース硬さで300Hv以上であることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の金属板の剪断工具。
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