JP2005095980A - 鋼板の打ち抜き用工具およびそれを用いた打ち抜き方法 - Google Patents

鋼板の打ち抜き用工具およびそれを用いた打ち抜き方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
鋼板の打ち抜き穴での穴広げ性を簡便、容易に改善する技術を提供する。
【解決手段】
ポンチかつ/またはダイの切刃部の先端部に、凸状の形状を有する曲げ刃を有し、かつ、曲げ刃肩部の曲率半径が0.2mm以上であり、かつ/または曲げ刃肩部角度が100度以上170度以下であることを特徴とする打ち抜き用工具を用いる。
【選択図】 図9

Description

本発明は主に、薄鋼板を自動車等の部品などとして用いるために、所定の輪郭に打ち抜く技術に関するものである。
薄鋼板は実使用される際、多くの場合、まず打ち抜き加工により所定の形状とされ、次に成形加工がなされて所定の形状とされた後、溶接工程を経て自動車用部品として組み立てられ用いられる。図1に、従来の打ち抜き工程による材料の変形状態を示すが、図中に示される硬化層に大きな圧縮または引張の歪が加わるため、そこの材料が著しく硬化しこの硬化部の延性の劣化により端面の延性が劣化し、打ち抜き穴の穴広げ性が著しく劣化していた。この硬化層による端面延性劣化は特に高強度鋼で特に激しく、近年自動車軽量化ニーズに対応して多用されるようになった高強度鋼板の成形性はこのために著しく劣化していた。実部品の成形に要求される穴拡げ値は概ね65%程度であり、高強度鋼板においてこの値を上回る穴拡げ値を得ることが軽量化に向けた課題である。
打ち抜き後の端面の成形性を改善する打ち抜き技術としては、ポンチ先端部の形状を図2に示すような形状として、一段目の打ち抜き後に発生する切り欠き形状や加工硬化部を削り落とす技術が開発されている(非特許文献1)。しかし、本技術に示されるポンチ形状は複雑な形状をしているため、通常連続した打ち抜きの磨耗対策としてポンチやダイなどの金型に研磨を行った後に再使用する実工程での実用化は困難であった。
また、打ち抜きポンチの形状の改善により端面性状を制御する技術として、打ち抜きポンチ先端部に凸状の突起を付け、打ち抜き端面のバリを軽減する技術も報告されている(特許文献1)。
しかし、当該技術による打ち抜き用工具の凸上の突起の形状は、穴広げ性を大きく改善するために好ましいものではない。図3に当該技術を説明する公報で示されるポンチの形状を示すが、その先端部の凸状の突起は、その先端部の肩部が約90度である。この場合、特に高強度鋼板を打ち抜く場合、図4に示すように、突起自体により容易に鋼板が切断されるため、本来切断される部分へ十分な曲げ応力を与えることができない。このため、当該技術では、穴広げ性は大きくは改善しない。
中川威雄、吉田清太:削り抜き法−せん断面の伸び変形能向上策−、塑性と加工、Vol.10,No.10,No.104,P.665〜671(1696.9) 公開特許公報 特開平5−23755
本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決し、鋼板の打ち抜き穴での穴広げ性を簡便、容易に改善する技術を提供することを課題とする。
本発明は以下をその要旨とする。
発明1は、 被加工材となる鋼板を少なくともダイおよびポンチを用いて剪断部および被剪断部に切断することにより被加工材を所定形状とするための打ち抜き用工具において、ポンチかつ/またはダイの切刃部の先端部に、凸状の形状を有する曲げ刃を有し、かつ、曲げ刃肩部の曲率半径が0.2mm以上であることを特徴とする打ち抜き用工具である。
発明2は、被加工材となる鋼板を少なくともダイおよびポンチを用いて剪断部および被剪断部に切断することにより被加工材を所定形状とするための打ち抜き用工具において、ポンチかつ/またはダイの切刃部の先端部に、凸状の形状を有する曲げ刃を有し、かつ、曲げ刃肩部角度が100度以上170度以下であることを特徴とする打ち抜き用工具である。
発明3は、被加工材となる鋼板を少なくともダイおよびポンチを用いて剪断部および被剪断部に切断することにより被加工材を所定形状とするための打ち抜き用工具において、ポンチかつ/またはダイの切刃部の先端部に、凸状の形状を有する曲げ刃を有し、かつ、曲げ刃肩部の曲率半径が0.2mm以上であり、かつ曲げ刃肩部角度が100度以上170度以下であることを特徴とする打ち抜き用工具である。
発明4は、被加工材となる鋼板を少なくともダイおよびポンチを用いて剪断部および被剪断部に切断することにより被加工材を所定形状とする打ち抜き用工程において、ポンチかつ/またはダイの切刃部の先端部に、凸状の形状を有する曲げ刃を有し、かつ、曲げ刃肩部の曲率半径が0.2mm以上である打ち抜き用工具を用いることを特徴とする打ち抜き方法である。
発明5は、被加工材となる鋼板を少なくともダイおよびポンチを用いて剪断部および被剪断部に切断することにより被加工材を所定形状とする打ち抜き用工程において、ポンチかつ/またはダイの切刃部の先端部に、凸状の形状を有する曲げ刃を有し、かつ、曲げ刃肩部角度が100度以上170度以下である打ち抜き用工具を用いることを特徴とする鋼板打ち抜き方法である。
発明6は、被加工材となる鋼板を少なくともダイおよびポンチを用いて剪断部および被剪断部に切断することにより被加工材を所定形状とする打ち抜き用工具において、ポンチかつ/またはダイの切刃部の先端部に、凸状の形状を有する曲げ刃を有し、かつ、曲げ刃肩部の曲率半径が0.2mm以上であり、かつ曲げ刃肩部角度が100度以上170度以下であることを特徴とする打ち抜き用工具を用いることを特徴とする鋼板打ち抜き方法である。
本発明によれば、自動車部品等として高強度鋼板を適用でき、自動車軽量化、ひいては省エネルギーに寄与する。
本発明者らは、上記課題に鑑み、ポンチ形状を図5に示す曲げ刃Aおよび切刃Bの二段構造とすることにより打ち抜き端面の穴広げ性を改善できることを知見した。
この理由については次のように考えられる。
通常のうち抜きでは、図1に示される、ポンチとダイによる変形が加わる部分(硬化層)に大きな引張りまたは圧縮の歪が加わり、このため、そこが著しく加工硬化するため、端面の延性が劣化し穴広げ性は劣化する。しかし、ポンチ形状を本発明(図5)に示すような切刃Bおよび曲げ刃Aからなる二段構造として、図6のように切刃Bで切断される部分(材料切断部M)に曲げ刃Aにより引張応力を与えた場合は、切刃Bおよびダイ肩より発生した亀裂の進展が引張応力により促進され、材料が圧縮されることなく切刃Bにより切断されるため、穴拡げ性は改善する。
更に、本発明者らは、曲げ刃の形状について更に詳細な検討を加え、曲げ刃形状を所定の形状としないと十分な穴拡げ性改善の効果が得られないことを知見した。
即ち、曲げ刃Aの形状が所定形状でない場合、曲げ刃Aにより材料が切断されるため、切り刃Bで切断される部分Mに十分な曲げによる引張応力を与えることができず、良好な穴拡げ性は得られない。しかし、曲げ刃形状を、曲げ刃自体による材料の切断が行われない形状とすることにより良好な穴拡げ性を得ることができることを知見した。
図7に、図5の打ち抜きポンチを用い、曲げ刃高さHpを変え、曲げ刃Aの肩部の曲率半径Rp=0mm、曲げ刃Aの縦壁部の角度θp=90度として打ち抜き、穴拡げ試験を行った結果を示す。ここで、材料は厚さ2.6mmのTS780MPa級熱延鋼板を用いている。打ち抜き条件は、ポンチ径Ap=10mm、打ち抜きクリアランス=12.5%、切刃端部Pと曲げ刃立ち上げ位置Dの距離Dp=1.0mmの条件である。また、穴拡げ値は、頂角60度の円錐ポンチを初期穴に入れて押し広げ穴端面の板厚方向に亀裂が貫通した時点でポンチを止め、その時の穴径の初期穴径(10mm)に対する増加率として求めた。打ち抜きクリアランスの定義は、12.5%とした。クリアランスは、ポンチとダイの間隔C/板厚t×100(%)である。
この場合は、曲げ刃高さHpを高くしても穴広げ値は大きくは改善しない。これは、この場合、図4のように曲げ刃自体による鋼板の切断が行われるため、本来切断される部分へ十分な曲げ応力を与えることができないためである。
この問題を解決するため、曲げ刃形状をそれ自体による材料の切断が行われないものとすることを検討した。そして、曲げ刃肩部に曲率半径Rpを付ける、または曲げ刃縦壁の角度θpを鈍角とすることにより目的が達せられることを知見した。
図8に、同じ材料を用い、曲げ刃の高さHpを0.3〜3mmとして、曲げ刃Aの肩部に所定の曲率半径Rpを付けた場合の曲率半径Rpと穴広げ率の関係、図9に曲げ刃Aの縦壁部に所定の角度θpを付けた場合の角度θpと穴広げ率の関係を示すが、これより、曲げ刃肩曲率半径Rpを0.2mm以上とする、または、曲げ刃縦壁部角度θpを100度以上170度以下とすることにより著しく穴広げ率が改善することが分かる。
本発明は以上の検討を元に為されたものであり、以下をその要件とする。
本発明に用いる打ち抜きポンチまたはダイは、曲げ刃部Aおよび切刃部Bの二段構造とする必要がある。これは、切刃Bにて被加工材を剪断する前に曲げ刃Aにて被加工材の切断部Mに引張応力を与え、切断後の被加工材の切断端面の歪を低減するためである。
曲げ肩曲率半径Rpは、0.2mm以上とする必要がある。これは、曲げ肩曲率半径Rpが0.2mm以下であると被加工材が曲げ刃Aにより剪断され、切刃Bにより剪断される部分Mに十分な引張応力を与えることができないためである。
曲げ刃肩角度θpを100度以上、170度以下とする必要がある。これは、曲げ刃肩角度θpが100度以下であると、曲げ刃Aにより材料が剪断されるため切刃Bにより剪断される部分Mに十分な引張応力を与えることができず、また、曲げ刃肩角度θpが170度以上であると、切刃Bにより剪断される部分に十分な引張応力を与えることができないためである。
以上の曲げ刃肩曲率半径Rpおよび曲げ刃肩角度θpに関する条件は、どちらか一方が満たされることにより大きな効果が得られるが、両者が満たされた場合金型に接触する材料の接触面圧が軽減されるため金型磨耗が抑えられる。従って、メンテナンス上は両条件が満たされることが好ましい。
本技術による打ち抜きでは端面延性に対する打ち抜きクリアランス(図5中の間隔C/板厚t×100(%))の影響は従来技術と比べて同じであり、従来の打ち抜き方法と比べて特段の注意を払う必要はない。
通常の打ち抜きでは、通常適宜ダイに材料を固定するために板押さえを用いるが、本発明の打ち抜き方法においても、板押さえは適宜用いてもよい。しわ押さえ荷重(板押さえから材料に掛かる荷重)は、特に打ち抜き穴拡げ性には影響しないのでいくらでもよい。
ポンチ速度も打ち抜き穴拡げ性には大きな影響は与えないのでいかなる値でも良い。
多くの場合、打ち抜き工程では金型の磨耗を抑制するため、金型または材料に潤滑油が塗布されるが、本発明においても、そのために適宜潤滑油を用いてもよい。
また、曲げ刃Aにより十分な引張応力を与えるためには、曲げ刃高さHpは、被加工材の板厚の10%以上とすることが好ましい。
また、切刃端部Pと曲げ刃の立ち上がり位置Qの間隔Dpは0.1mm以上とすることが好ましい。これは、この間隔がこれ以下の場合、切刃Bによる被加工材の剪断の際、通常切刃肩部近傍より発生する亀裂が発生しにくくなり切刃による切断位置に歪が加わるためである。
また、本発明のポンチにおいて、切刃端部Pと曲げ刃の立ち上がり位置Qの間の部分や曲げ刃Aの底面部分や曲げ刃Aの縦壁部分は、ポンチの製作上平坦形状が好ましいが、若干の凹凸があっても上述の要件を満たしていれば効果は同じである。
本発明は、従来の切り刃Bのみのポンチに更に曲げ刃Aを付けることにより打ち抜き穴拡げ性を良好とするものであるが、曲げ刃Aを付け、更により曲げ刃高さHpを高くすることにより、切り刃Bと被加工材が接触する面圧が下がるため、切り刃端部Pの磨耗量も低減される。この観点から、曲げ刃高さHpは高いほど好ましい。しかし、高すぎる場合、対象の材料によっては、切り刃Bと被加工材が接触する前に曲げ刃Aと切刃Bの間で材料が破断し、効果が得られない場合もあるため、そのような場合は曲げ刃高さHpを概ね10mm以下とすることが好ましい。
本発明において、曲げ刃肩部曲率半径Rpに特に上限はないが、ポンチのサイズによっては曲率半径Rpが大きすぎると曲げ刃高さHpを大きくすることが困難となるので、5mm以下が好ましい。
以上ではポンチのみに曲げ刃を付けた場合の効果について説明したが、ポンチおよびダイの両方に曲げ刃を付けた場合やダイのみに曲げ刃を付けた場合も、以上で説明したポンチのみに曲げ刃を付けた場合と同じ材料に引張応力を与える効果を有するため、同じ穴拡げ性改善の効果が得られる。それらの場合の曲げ刃の寸法に関する制約は、以上で説明したポンチのみに曲げ刃を付けた場合の制約と同じである。
図10に示す、タイプX、Yの打ち抜きポンチを用い、打ち抜きを行った後、穴拡げ試験を行った。供試鋼として、A、Bと称する2種類の高強度熱延鋼板を用いた。板厚は1.2〜5.0mmである。鋼AはTS=820MPa、YP=591MPa、T.El=32%、鋼BはTS=740MPa、YP=620MPa、T.El=23%である。用いた試験片のサイズは、幅150mm、長さ150mmであり、表2に示す条件にて行った。打ち抜きの際には材料に潤滑油を塗布した。
穴拡げ試験は、頂角60度円錐ポンチを用い、「バリ外」の条件、即ち打ち抜き時にダイに接していた鋼板の表面が穴拡げ試験時にポンチの反対側となるよう試験片をセットし、行った。ポンチを打ち抜き穴に押し込み、打ち抜き端面上に割れが貫通するまでポンチを移動し、その時点での穴径Dを測定し、下式より穴拡げ値を求めた。
穴拡げ値(%)=(D(mm)−D0(mm))/D0(mm)×100 (%)
但し、初期穴径D0=10〜50mm(表2記載「ポンチ径Ap」)。
打ち抜きクリアランスは、5〜20%とした。クリアランスは、ポンチとダイの間隔C/板厚t×100(%)である。
水準(1)、(11)、(19)、(38)、(39)については、表2中に示される材料および条件で2000回の打ち抜きを行い、その後に、ポンチ切り刃端部、およびポンチ曲げ刃肩部の磨耗状況を調べた。磨耗状況は、図11に示すように、試験後のポンチを、ポンチの中心軸を含む断面が分かるように加工・埋め込み・研磨し、その断面の形状と磨耗前の推定の形状とを比較し、図11中に示される、ポンチ切り刃端部磨耗量F1(mm)、ポンチ曲げ刃肩部の磨耗量F2(mm)を求めた。
試験により得られた穴拡げ値を表2に示している。打ち抜き・穴拡げ試験共にn=5での試験を行った。穴拡げ値はその平均値を表している。
水準(1)、(2)は、従来の打ち抜きポンチを用いた試験であり、本発明による打ち抜きによる穴拡げ値の比較の基準となる水準である。鋼Aで40%、鋼Bで50%の穴拡げ値である。
水準(7)〜(37)は本発明による打ち抜きによる試験結果であり、従来法と比べ良好な穴広げ値が得られている。
水準(3)、(4)は、曲げ刃肩部の角度θpが大きく、かつ曲げ刃肩曲率半径Rpが小さい。このため、このため、この打ち抜きにより得られる穴拡げ値は従来法と比べ改善されていない。
水準(5)、(6)は、曲げ刃肩部θpの角度が小さく、かつ曲げ刃肩曲率半径Rpが小さい。このため、この打ち抜きにより得られる穴拡げ値は従来法と比べ改善されていない。
水準(1)、(19)、(39)のポンチ切り刃端部磨耗量F1(mm)を比較した場合、曲げ刃高さが高いほど切り刃端部の磨耗量F1が小さく磨耗が抑制されていることが分かる。
また、曲げ刃高さ同じ場合(水準(19)、(38)、(11))の曲げ刃肩の磨耗を比較すると、水準(19)は曲げ刃肩曲率半径Rpのみが所定の条件を満たしている水準、水準(38)は曲げ刃肩角度θpのみが所定の条件を満たしている水準であり、水準(11)は曲げ刃肩曲率半径Rpと曲げ刃肩角度θpの両方が所定の条件を満たしている水準であるが、両方が所定条件を満たしている水準(11)が最も磨耗量F2は小さい。
以上から、より高い曲げ刃を付けることにより切り刃端部磨耗が抑制され、また、曲げ刃肩の曲率半径Rpと曲げ刃肩の角度θpの両方を同時に所定条件とすることにより、曲げ刃肩部の磨耗が抑制されることが確認された。
図10、図12に示す、タイプX、Z、Wの打ち抜きポンチ、ダイを用い、打ち抜きを行った後、穴拡げ試験を行った。供試鋼として、TS=820MPa、YP=590MPa、T.El=30%、板厚2.6mmの熱延鋼板(鋼C)を用いた。用いた試験片のサイズは、幅150mm、長さ150mmである。打ち抜きは図11に示す金型および表3に示す条件にて行った。打ち抜きの際には、材料に潤滑油を塗布した。
穴拡げ試験は、頂角60度円錐ポンチを用い、「バリ外」の条件、即ち打ち抜き時にダイに接していた鋼板の表面が穴拡げ試験時にポンチの反対側となるよう試験片をセットし、行った。ポンチを打ち抜き穴に押し込み、打ち抜き端面上に割れが貫通するまでポンチを移動し、その時点での穴径Dを測定し、下式より穴拡げ値を求めた。
穴拡げ値(%)=(D(mm)−D0(mm))/D0(mm)×100 (%)
但し、初期穴径D0=20mm(表3記載「ポンチ径Ap」)。
打ち抜きクリアランスは、12.5%とした。クリアランスは、ポンチとダイの間隔C/板厚t×100(%)である。
試験結果を表3に示す。
水準(1)は、ポンチ・ダイ共に従来の形状の場合の供試鋼の穴拡げ値を示しているが、その場合は穴拡げ率は40%と低い値である。
水準(2)は、ポンチが通常のポンチであり、かつダイの突起の肩部角度θd、肩部曲率半径Rdが所定の条件を満たしていない。即ち、ポンチ、ダイ共に所定条件を満たしておらず、穴拡げ値は改善されていない。
水準(9)は、ポンチの突起の肩部角度θp、肩部曲率半径Rp、ダイの突起の肩部角度θd、肩部曲率半径Rdが所定の条件を満たいない。即ち、ポンチ、ダイ共に所定条件を満たしておらず、穴拡げ値は改善されていない。
水準(3)〜(8)、および(10)〜(15)は、ダイ形状が所定形状となっているか、もしくは、ポンチ形状、ダイ形状共に所定形状となっており、本発明の効果が得られ、比較例の水準(1)、(2)、(9)と比べ良好な穴拡げ値が得られている。
Figure 2005095980
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従来の打ち抜きに用いられる金型、および、打ち抜き時の材料の変形の状態を示す模式図である。 削り抜き法に用いられる打ち抜きポンチの模式図である。 従来の打ち抜きに用いられる工具形状例である。 従来の打ち抜き時の材料変形挙動を示す模式図である。 本発明の打ち抜きに用いる金型の模式図である。 本発明の金型により打ち抜きを行った場合の材料変形挙動を示す模式図である。 曲げ刃高さと穴広げ値の関係である。 曲げ刃肩曲率半径Rpと穴広げ値の関係である。 曲げ刃縦壁角度θpと穴拡げ値の関係である。 従来および本発明の打ち抜きに用いる金型の模式図である。 金型の摩耗量の測定位置を示した図である。 従来および本発明の打ち抜きに用いる金型の模式図である。

Claims (6)

  1. 被加工材となる鋼板を少なくともダイおよびポンチを用いて剪断部および被剪断部に切断することにより被加工材を所定形状とするための打ち抜き用工具において、ポンチかつ/またはダイの切刃部の先端部に、凸状の形状を有する曲げ刃を有し、かつ、曲げ刃肩部の曲率半径が0.2mm以上であることを特徴とする打ち抜き用工具。
  2. 被加工材となる鋼板を少なくともダイおよびポンチを用いて剪断部および被剪断部に切断することにより被加工材を所定形状とするための打ち抜き用工具において、ポンチかつ/またはダイの切刃部の先端部に、凸状の形状を有する曲げ刃を有し、かつ、曲げ刃肩部角度が100度以上170度以下であることを特徴とする打ち抜き用工具。
  3. 被加工材となる鋼板を少なくともダイおよびポンチを用いて剪断部および被剪断部に切断することにより被加工材を所定形状とするための打ち抜き用工具において、ポンチかつ/またはダイの切刃部の先端部に、凸状の形状を有する曲げ刃を有し、かつ、曲げ刃肩部の曲率半径が0.2mm以上であり、かつ曲げ刃肩部角度が100度以上170度以下であることを特徴とする打ち抜き用工具。
  4. 被加工材となる鋼板を少なくともダイおよびポンチを用いて剪断部および被剪断部に切断することにより被加工材を所定形状とする打ち抜き用工程において、ポンチかつ/またはダイの切刃部の先端部に、凸状の形状を有する曲げ刃を有し、かつ、曲げ刃肩部の曲率半径が0.2mm以上である打ち抜き用工具を用いることを特徴とする打ち抜き方法。
  5. 被加工材となる鋼板を少なくともダイおよびポンチを用いて剪断部および被剪断部に切断することにより被加工材を所定形状とする打ち抜き用工程において、ポンチかつ/またはダイの切刃部の先端部に、凸状の形状を有する曲げ刃を有し、かつ、曲げ刃肩部角度が100度以上170度以下である打ち抜き用工具を用いることを特徴とする鋼板打ち抜き方法。
  6. 被加工材となる鋼板を少なくともダイおよびポンチを用いて剪断部および被剪断部に切断することにより被加工材を所定形状とする打ち抜き用工具において、ポンチかつ/またはダイの切刃部の先端部に、凸状の形状を有する曲げ刃を有し、かつ、曲げ刃肩部の曲率半径が0.2mm以上であり、かつ曲げ刃肩部角度が100度以上170度以下であることを特徴とする打ち抜き用工具を用いることを特徴とする鋼板打ち抜き方法。
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