JP6747631B1 - プレス部品の製造方法及びブランク材の製造方法 - Google Patents

プレス部品の製造方法及びブランク材の製造方法 Download PDF

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Abstract

目的とするプレス部品形状の制約を受けずに、伸びフランジ変形による端部割れを抑制可能な技術を提供する。プレス成形で、被プレス材(1)の端部に伸びフランジ変形による端部割れが懸念されると推定される場合、上記端部割れが懸念されるプレス成形の前処理として、端部割れが懸念される箇所を少なくとも含む端部の切断処理を2度行う2度切断処理を有する。2度切断処理は、1度目の切断の際に、端部割れが懸念される箇所を含む位置に部分的な梁状の張出部を形成する切断を行い、2度目の切断で上記張出部を切断する。

Description

本発明は、プレス成形で伸びフランジ変形が発生する部品形状を有するプレス部品の製造に関する技術である。
伸びフランジ部を有する形状のプレス部品をプレス成形で製造する場合、伸びフランジ変形による端部割れを防止することは重要な課題の一つである。このため、従来から伸びフランジ部での端部割れ対策が種々提案されている(特許文献1〜3等)。
例えば、特許文献1では、プレス金型によって余肉を付与する方法が提案されている。しかし、特許文献1の方法は、その効果が限定的である。
また、特許文献2では、伸びフランジ割れの発生し難いブランク形状を用いることが提案されている。しかし、特許文献2の方法は、ブランク形状が制約されることから、製品形状の自由度が制約される。
また、特許文献3は、割れ発生部の端面の状態を改善する方法であるが、金属板の打抜き加工によって生じる打抜き端面の伸びフランジ性向上が目的であり、製品外周の伸びフランジ部には適用できない。また、非特許文献1に記載の2度抜きによる削り抜き法も、同様に打抜き加工の技術であり、製品外周の伸びフランジ部には適用できない。
特開2008−119736号公報 特許第4959605号公報 特許第5387022号公報
塑性と加工Vol.10 no.104 (1969-9)
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、目的とするプレス部品形状の制約の発生を抑えつつ、伸びフランジ変形による端部割れを抑制可能な技術を提供することを目的とする。
課題を解決するために、本発明の一態様は、1又は2以上のプレス成形を経てプレス部品を製造するプレス部品の製造方法において、上記1又は2以上のプレス成形のうちの少なくとも1つのプレス成形で、被プレス材の端部に伸びフランジ変形による端部割れが懸念されると推定される場合、上記端部割れが懸念されるプレス成形の前処理として、上記端部割れが懸念される箇所を少なくとも含む端部の切断処理を2度行う2度切断処理を有し、上記2度切断処理は、1度目の切断の際に、上記端部割れが懸念される箇所を含む位置に部分的な梁状の張出部を形成する切断を行い、2度目の切断で上記張出部を切断することを要旨とする。
また、本発明の他の態様は、1又は2以上のプレス成形を経てプレス部品となるブランク材の製造方法において、上記1又は2以上のプレス成形のうちの少なくとも1つのプレス成形で、被プレス材の端部に伸びフランジ変形による端部割れが懸念されると推定される場合、上記端部割れが懸念される箇所を少なくとも含む端部の切断処理を2度行う2度切断処理を有し、上記2度切断処理は、1度目の切断の際に、上記端部割れが懸念される箇所を含む位置に部分的な梁状の張出部を形成する切断を行い、2度目の切断で上記張出部を切断することを要旨とする。
本発明の態様によれば、目的とするプレス部品形状の制約の発生を抑えつつ、伸びフランジ変形による端部割れを抑制可能となる。
本発明に基づく実施形態に係る2度切断処理及びその後のプレス成形を説明する概念図である。 本発明を適用しない場合のプレス成形を説明する概念図である。 加工途中で、本発明に基づく2度切断処理を行う場合を例示する概念図である。 バーリング加工に対して本発明に基づく2度切断処理を行う場合を例示する平面図である。 バーリング加工に対して本発明に基づく2度切断処理を行う場合を例示する断面図である。 比較例の穴あき試験での抜き穴を説明する図である。 本発明に基づく実施形態に係る穴あき試験での抜き穴を説明する図である。 張出量と穴広げ率との関係を示す図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本実施形態のプレス部品の製造方法は、1又は2以上のプレス成形を経て目的のプレス部品を製造するプレス部品の製造方法である。各プレス成形でのプレス成形は、例えば、フォーム成形若しくはドロー成形で行われる。そして、本実施形態のプレス部品の製造方法は、少なくとも1つのプレス成形で、板端縁に沿って伸び変形する伸びフランジ変形が発生する場合の技術である。
本実施形態では、説明を簡易にするため、一回のプレス成形(一回のプレス工程)で、図1(d)に示す形状のプレス部品10を製造する場合を例に挙げて説明する。
図1(d)に例示したプレス部品10の部品形状は、天板部11と、天板部11に連続する縦壁部12と当該縦壁部12に連続するフランジ部13とを有する。
本例では、本発明を適用しないプレス成形を実施した場合(図2のように図1の(b)の工程を省略した場合)、フランジ部13の一部に伸びフランジ変形による端部割れが懸念される割れ懸念部があるとする。なお、図1(d)中、符号3は、割れ懸念部の位置を示し、図2(d)中、符号3′は、実際に端部割れが発生した割れ懸念部に対応する位置を示す。図1(b)、図1(c)、図2(c)における符号3Aは、被プレス材での割れ懸念部3の位置を示している。また符号1Aは、被プレス材1における、フランジ部13となる領域に相当するフランジ対応部を示している。
ここで、伸びフランジ変形による割れ懸念部3の有無の確認、及びその割れ懸念部3の位置の特定は、例えば、CAE解析などのシミュレーション解析の実行によって求める。また、実際にプレス成形を実施して各プレス成形後の部品を観察して、伸びフランジ変形による割れ懸念部3の有無の確認、及びその割れ懸念部3の位置を特定しても良い。
プレス成形を行う前処理として、被プレス材を例示するブランク材1の外周を、プレス部品10の部品形状に応じた輪郭形状にせん断するトリム工程を有する。
但し、本実施形態では、このトリム工程において、伸びフランジ変形による端部割れが懸念されるフランジ部13に相当するフランジ対応部の端部(少なくとも割れ懸念部3の位置)に対し、図1の(b)及び(c)に示すような、本発明に基づく2度の切断を実行する2度切断処理を施す。
本実施形態では、被プレス材であるブランク材1における、2度切断処理を施すフランジ対応部1Aの端部に対し、1度目の切断の際に、図1(b)のように、上記端部割れが懸念される箇所を含む位置に部分的な梁状の張出部2が形成されるように切断を行う。続いて、2度目の切断で、図1(c)のように、上記張出部2を切断して、ブランク材1を目的の端縁の輪郭形状とする。
すなわち、本実施形態では、トリム工程で、ブランク材1を目的の輪郭形状に切断する際に、フランジ対応部1Aの辺(端縁)については、割れ懸念部3Aを含む位置に、部分的に片持ち梁状に張り出した張出部2を有する形状に一旦切断する。続いて、2度目の切断でその張出部2を切断して、目的の輪郭形状とする。このように、従来の処理を示す図2の(c)の切断処理が、本実施形態では、図1の(b)及び(c)の2工程で実行される。図1の(b)及び(c)の工程を一工程で実行してもよい。
なお、本発明に基づく2度切断処理は、トリム工程と独立して実行されても良い。例えば、図1の(c)〜(d)の間に複数の工程(不図示)を設け、その複数の工程中に、本発明に基づく2度切断処理を実行しても良い。
ここで、張出部2の幅W(材料の端縁に沿った長さ)は、フランジ部13の端縁に沿った長さLの1/3以下、若しくはブランク材1の板厚の150倍以下とすることが好ましい。
1度目の切断(せん断)で、上記の幅Wからなる一時的な梁状の張出部2を形成することで、梁状の張出部2を一時的に形成しない場合(図2参照)に比べて、2度目の切断(せん断)の切断量(抜き代)を稼ぎつつ、割れ懸念部3へのせん断による歪入力を、より確実に抑制することができる(後述の実施例を参照)。
なお、張出部2の幅Wの下限値は、割れ懸念部3が発生すると推定される位置を含み且つせん断が可能な幅であれば、特に限定は無い。幅Wの下限値は、例えば、伸びフランジ変形による端部割れによる端縁での開き量以上とする。張出部2の幅Wは、せん断による切断の容易性等を考慮すると、20mm以上が好ましい。
また張出部2の張出量H(目的の輪郭位置からの張出量(突出量)の最大値)は、ブランク材1の板厚の10倍以下若しくは5.0mm以下が好ましい。
2度目の切断部分を片持ち梁状の張出部2とすることで、2度目の切断(せん断)の切断量(抜き代)を稼ぎつつ、割れ懸念部3へのせん断による歪入力をより確実に抑制することができる。
張出部2の張出量Hの下限値は、特に無く、0mmより大きく張り出してせん断可能であれば構わない。張出量Hの下限値は、せん断のしやすさなどかを考慮すると、1mm以上、更に好ましくは3mm以上が好ましい。
そして、以上の2度切断処理の後に、プレス成形で目的とするプレス部品10を製造する。
上記の2度切断処理を端部割れが懸念されるプレス成形の前処理として行うことで、通常のプレス成形を使用し且つ部品形状に制約を加えること無く、伸びフランジ変形による割れ懸念部3での割れを防止することができる。
なお、上記説明では、割れ懸念部3が一カ所の場合を例示しているが、本発明は、割れ懸念部3が2カ所以上あっても適用可能である。各割れ懸念部3毎に、端部割れが懸念されるプレス成形の前処理として、上述のような2度切断処理を行えば良い。但し、隣り合う割れ懸念部3が近接している場合には、隣り合う割れ懸念部3を含む一つの張出部2を1度目の切断で形成するようにしても良い。
ここで、1度目の切断で形成した部分的な片持ち梁状の張出部を、2度目の切断で切断する2度切断処理の作用・効果について説明する。
一般に、せん断加工を行うと、被プレス材の端縁に対し若干の曲げと共に歪が入力される。このため、その後のプレス成形として、フランジ部13の端縁に沿ったフランジ部13の端部13aに対し伸びフランジ変形が発生するようなプレス成形を実行すると、端部割れが発生する可能性が高くなる傾向にある。
これに対し、伸びフランジ変形による端部割れが発生する懸念がある部分に対し、本発明に基づく2度切断処理を施すことで、伸びフランジ変形限界が向上する(実施例参照)。この結果、本実施形態では、部品形状に制約が発生することを防止しつつ、伸びフランジ変形による端部割れを防止出来る。
ここで、従来処理の例である図2に示すように、1度のせん断による切断でフランジとなる位置の端部を形成する場合、図2(a)で示す一点鎖線で示す切断位置(右側の切断位置)で切断されることから、切断部の幅W1と切断位置からの張出量H1からなる切断面積が大きい。
これに対し、図1に示すように、本発明に基づき、1度目の切断(図1(a)の一点鎖線の位置での切断)で部分的な梁状の張出部2を形成し、2度目の切断でその張出部2を切断する2度切断処理の場合は、2度目の切断での切断部の幅Wと張出量Hからなる切断面積が小さい(図1(b)(c)参照)。そして、本発明に基づく2度切断処理では、部分的な片持ち梁状の張出部2を1度目の切断で形成することで、2度目の切断で切断する切断部(張出部2)は、図1(b)のように切断部分の幅Wが大幅に小さく且つ片持ち梁状に張り出している。このため、2度目の切断で張出部2を切断すると、切断の進行方向への鋼板のたわみが大きくなり、切断時の歪入力が緩和されることで切断時の大変形領域が緩和され、伸びフランジ変形限界が向上することが出来ると推定される。
なお、伸びフランジ割れは、引張強度が高い材料ほど発生しやすいため、本発明は、例えば引張強度が590MPa以上の高張力鋼板に好適である。もっとも、ブランク材1の素材は、鉄鋼に限らず、ステンレス等の鉄合金、更には非鉄材料、非金属材料に対しても適用することが可能である。また、本実施形態で製造されるプレス部品10は、例えば自動車部品として好適であるが、本発明は、自動車部品に限らず板材をプレス成形する加工全てに対して適用することが可能である。
また、以上の実施形態では、1段階のプレス成形で目的のプレス部品10を製造する場合を例示した。一般に、プレス部品の部品形状が複雑になるほど、2以上のプレス成形(複数のプレス工程)を経て目的のプレス部品を製造する傾向にある。また、複数のプレス成形で目的のプレス部品を製造する場合に、伸びフランジ割れが発生するプレス成形が最終工程とは限らない。また、2段階以上のプレス成形で個別に伸びフランジ割れが発生する場合もある。
例えば、5段階のプレス成形を経て目的のプレス部品を製造する際に、CAEなどのシミュレーションで、4段階目のプレス成形で伸びフランジ割れの懸念があると推定した場合には、上述の2度切断処理を4段階目のプレス成形よりも前に実施すればよい。
図3に、多段階のプレス成形で、目的のプレス部品(図3(e)参照)を製造する場合の例を示す。図3に示す例は、図3(b)、(e)がそれぞれプレス成形後の形状であり、図3(e)の形状へのプレス成形でのプレス部品で割れ懸念部3が存在する場合の例である。この例では、1度目のプレス成形でのプレス部品(図3(b))のフランジ部13に対して、図3(c)のように、端部割れが懸念される箇所を含む位置に部分的な梁状の張出部2が形成されるように切断を行い、2度目の切断で、図3(d)のように、張出部2を切断して、目的の端縁の輪郭形状とする。その後、2度目のプレス成形を行う(図3(e)参照)。これによって、割れ懸念部3での端部割れが抑えられる。
また、本発明の2度切断処理は、図4、図5に示すように、バーリング加工であっても適用することが出来る。図4、図5に示す例では、バーリング加工を施す部分を膨らませるプレス成形(図4(d)、図5(d))を実行する前に、2度切断処理で穴空け加工を施す。
このとき、穴16の端部のうち端部割れが懸念される箇所を含む位置に梁状の張出部2を形成するように1度目の切断を行う(図4(b)、図5(b))。その後、2度目の切断を行って、梁状の張出部2を切断する(図4(c)、図5(c))。
その後に、穴16の部分にバーリングを行って(図4(d)、図5(d))、穴の縁を立ち上げる。符号17がバーリング後の穴位置である。ここで、冷延材は2方向へ、熱延材はC方向に割れやすい異方性の傾向がある。上記のバーリングで割れ懸念部3が存在する端部に上記の張出部2を形成すればよい。
ここで、2度切断処理は、上述のプレス成形前のトリム工程に限定されず、2度切断処理として、1度目の切断と2度目の切断を、トリム工程と独立して施しても良い。また、2度切断処理における1度目の切断と2度目の切断の間に、複数のプレス成形工程がある場合、そのプレス成形工程のうち、少なくとも1つのプレス成形を実施する前に2度切断処理を実行する構成としても良い。
また、せん断に使用するカッターについて特に限定は無く、従来公知に設備を使用すればよい。例えば、被プレス材の板厚tに対するカッターの上刃と下刃の隙間dの比(d/t)の100分率である、クリアランスCは、5.0%以上30.0%以下が好ましい。
クリアランスCが5.0%より小さい場合、せん断加工時に2次せん断面が発生し、せん断端面の状態として好ましくない。その上、引張残留応力が大きくなるおそれがある。
一方、クリアランスCが30.0%以上である場合、せん断端面に所定以上のバリが発生し、せん断端面の成形性を大きく損なうおそれがある。更に、せん断加工終了までに加工面に不均一な変形応力が付与されるため、せん断加工終了後の引張残留応力が大きくなるおそれがある。
より好ましいクリアランスCは10.0%以上かつ20.0%未満である。
次に、本発明に基づく実施例について説明する。
以下の例では、本発明の効果を確認するために穴広げ試験を実行した。
このとき、本発明に基づき、1度目の切断で部分的な張出部を設け2度目の切断で張出部を切断する2度切断処理を実行した場合(実施例)と、本発明に基づく部分的な張出部を設けないでフランジ端部全体を2度切断する処理を実行した場合(比較例)とで、それぞれ穴広げ率を求めてみた。
すなわち、比較例では、図6のように、穴全周を2度切断する処理を実行した場合である。
この比較例の試験では、試験片20として引張強度が590MPaの材料で厚さ3.6mmの板材を使用した。そして、上記のように穴全周を2度切断し、2度目の切断後の抜き穴20Bを直径10mmの穴(目標の輪郭形状)とした(図6(b)参照)。そして、1度目の切断で形成する抜き穴20Aの直径を0〜9mmの範囲において0.5mmピッチで変更して、2度目の切断量(抜き代)を調整した。例えば、1度目の切断で形成する抜き穴20Aの直径が8mmであれば、2度目の切断量(抜き代)は、2mmとした。なお、1度目の抜き穴20Aの直径が0mmとは、一度の切断で直径10mmの穴(目標の輪郭形状)を形成した場合に対応する。
次に、実施例でも、図7に示すように、比較例と同様に、2度目の切断の穴20Bを直径10mmの穴(目標の輪郭形状)とした(図7(b)参照)。実施例では、1度目の切断で形成する穴20Aの直径を10mmとすると共に、その1度目の切断で図7(a)のような張出部20Cを形成した。そして、2度目の切断でその張出部20Cを切断する処理を実行した。このとき、張出部20Cの張出量Hを0.5〜5.0mmの範囲において0.5mmピッチで変更して、2度目の切断量(張出量)を調整した。それ例外は、比較例と同じ条件とした。
その結果を、図8に示す。
ここで、図8中、比較例の切断量(抜き代)を、横軸の張出量として図示した。
また、図8中、○が実施例であり、クリアランスCを12.5%に設定したものである。また、△及び□が比較例であり、△は、クリアランスCを12.5%に設定したもので、□はクリアランスCを5.0%に設定したものである。また、図8中、張出量=0でのプロットは、従来の1度切切断方法の場合に対応する。
図6に示すような、穴全周を2度切断する比較例の場合、図8に示すように、2度目の切断量(2度目の切断の穴径 −1度目の切断の穴径)が増加し、切断部の面積が増加するにつれて、穴広げ率(λ)が低下するのが分かった。
一方、図8から分かるように、実施例では、張出部2の張出量Hに関係なく、ほぼ同じ穴広げ率となっていた。図8に、実施例における穴広げ率の平均値位置を横線で示す。
以上のように、比較例のような2度の切断処理(部分的な張出部を設けない2度切断)では極限られた切断量(張出量)でしか穴広げ率(λ)が向上しなかった。そして、図8のように、切断量(張出量)が2mmを超えると、1度切断方法と同様な効果しか奏しなかった。
これに対し、本発明に基づく2度切断処理の場合、1度目の切断で、部分的な片持ち梁状の張出部20Cが形成されるように開口を形成した後に、2度目の切断でその張出部20Cを切断すると広範囲の張出量において穴広げ率(λ)が向上することが分かった。すなわち、本実施例では、図8中、Yで示す範囲に穴広げ率が収まった。
そして、本発明に基づく場合、伸びフランジ変形による端部割れを簡易に抑制できることが分かった。
ここで、本願が優先権を主張する、日本国特許出願2019−015238(2019年 1月31日出願)の全内容は、参照により本開示の一部をなす。ここでは、限られた数の実施形態を参照しながら説明したが、権利範囲はそれらに限定されるものではなく、上記の開示に基づく各実施形態の改変は当業者にとって自明なことである。
1 ブランク材(被プレス材)
1A フランジ対応部
2、20C 張出部
3、3A 割れ懸念部
10 プレス部品
13 フランジ部
H 張出量
W 幅

Claims (7)

  1. 1又は2以上のプレス成形を経てプレス部品を製造するプレス部品の製造方法において、
    上記1又は2以上のプレス成形のうちの少なくとも1つのプレス成形で、被プレス材の端部に伸びフランジ変形による端部割れが懸念されると推定される場合、上記端部割れが懸念されるプレス成形の前処理として、上記端部割れが懸念される箇所を少なくとも含む端部の切断処理を2度行う2度切断処理を有し、
    上記2度切断処理は、1度目の切断の際に、上記端部割れが懸念される箇所を含む位置に部分的な梁状の張出部を形成する切断を行い、2度目の切断で上記張出部を切断することを特徴とするプレス部品の製造方法。
  2. 上記張出部の幅は、上記端部割れが懸念されるフランジ部の端縁の長さの1/3以下の長さとすることを特徴とする請求項1に記載したプレス部品の製造方法。
  3. 上記張出部の幅は、上記被プレス材の板厚の150倍以下とすることを特徴とする請求項1に記載したプレス部品の製造方法。
  4. 上記張出部の張出量は、上記被プレス材の板厚の10倍以下とすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載したプレス部品の製造方法。
  5. 上記張出部の張出量は、5.0mm以下とすることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載したプレス部品の製造方法。
  6. 上記プレス成形は、フォーム成形又はドロー成形であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載したプレス部品の製造方法。
  7. 1又は2以上のプレス成形を経てプレス部品となるブランク材の製造方法において、
    上記1又は2以上のプレス成形のうちの少なくとも1つのプレス成形で、被プレス材の端部に伸びフランジ変形による端部割れが懸念されると推定される場合、上記端部割れが懸念される箇所を少なくとも含む端部の切断処理を2度行う2度切断処理を有し、
    上記2度切断処理は、1度目の切断の際に、上記端部割れが懸念される箇所を含む位置に部分的な梁状の張出部を形成する切断を行い、2度目の切断で上記張出部を切断することを特徴とするブランク材の製造方法。
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