JP2014227777A - 増築方法 - Google Patents

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【課題】免震構造の既存建物に隣接する免震構造の建物の増築中の耐震性を向上させる増築方法を提供すること。【解決手段】第1上部構造体と第1下部構造体との間に第1免震層が介在された既存建物に間隔を空けて隣接するように、第2上部構造体と第2下部構造体との間に第2免震層が介在された増築建物であって、前記第2上部構造体の重量が前記第1上部構造体の重量と異なる前記増築建物を構築する工程と、前記第1上部構造体と前記第2上部構造体の上端側同士を剛性部材にて連結し、前記第1上部構造体と前記第2上部構造体の下端側同士を剛性部材にて連結する工程と、を有することを特徴とする増築方法である。【選択図】図1

Description

本発明は、免震構造の既存建物に隣接させて免震構造の建物を増築する方法に関する。
免震構造の建物として、地盤を掘削して形成された免震ピットに設置された免震装置上に上部構造体が構築された建物や、中間階の柱の途中に免震装置が設置された建物が知られている。また、既存の免震建物に隣接させて免震建物を増築する方法として、まず、既存の免震建物から独立して増築免震建物を構築し、その後、既存の免震建物の基礎と増築免震建物の基礎とを連結し(上部構造体の下端側同士を連結し)、その連結部分に上部構造体を構築することで、既存の免震建物と増築免震建物を完全に一体化する方法が提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−292643号公報
免震構造の建物では、免震層の剛心と上部構造体の重心とが一致しないこと(偏心)により、捩じれ振動が発生して耐震性が低下してしまう。そのため、増築完成時を想定して免震層の設計が行われる。特許文献1には、上記の手順で免震建物を増築すれば、増築途中にも免震層の剛心と上部構造体の重心とを一致させながら施工できると記載されている。しかし、特許文献1の増築方法では、既存の免震建物の上部構造体と増築免震建物の上部構造体の重量差が大きく、且つ、両建物間に構築する上部構造体の重量が大きい場合に、その両建物の基礎を連結した時点での重心が、増築完成時の重心に比べて、上部構造体の重量が大きい方の建物側にずれてしまう。つまり、増築中に免震層の剛心と上部構造体の重心とがずれるため、増築中に地震が起こると建物に捩じれ振動が発生する虞がある。
本発明はかかる従来の課題に鑑みてなされたもので、免震構造の既存建物に隣接する免震構造の建物の増築中の耐震性を向上させる増築方法を提供することを目的とする。
かかる目的を達成するための増築方法は、第1上部構造体と第1下部構造体との間に第1免震層が介在された既存建物に間隔を空けて隣接するように、第2上部構造体と第2下部構造体との間に第2免震層が介在された増築建物であって、前記第2上部構造体の重量が前記第1上部構造体の重量と異なる前記増築建物を構築する工程と、前記第1上部構造体と前記第2上部構造体の上端側同士を剛性部材にて連結し、前記第1上部構造体と前記第2上部構造体の下端側同士を剛性部材にて連結する工程と、を有することを特徴とする増築方法である。
このような増築方法によれば、既存建物から分離して増築建物を構築するため、既存建物は増築の影響を受けず、増築中も増築前と同様に既存建物に免震機能が働く。また、免震層の剛心と上部構造体の重心とが一致している既存建物に、既存建物とは独立して免震層の剛心と上部構造体の重心とが一致している増築建物を部分連結した時点で、その一体化した建物における免震層の剛心と上部構造体の重心とが一致するため、増築中の捩じれ振動の発生を抑制できる。従って、増築中の耐震性を向上させることができる。
かかる増築方法であって、前記上端側の前記剛性部材と前記下端側の前記剛性部材とのうちの少なくとも一方を、水平面上に設けることを特徴とする増築方法である。
このような増築方法によれば、水平方向の地震力を、第1上部構造体と第2上部構造体のうちの一方から他方へ効率よく伝達させることができ、剛性部材に余分な力を掛けることなく第1上部構造体と第2上部構造体とを一体に振動させることができる。
かかる増築方法であって、前記上端側の前記剛性部材と前記下端側の前記剛性部材とのうちの少なくとも一方を、水平面上にて回動可能なように前記上部構造体に連結することを特徴とする増築方法である。
このような増築方法によれば、第1上部構造体と第2上部構造体の振動方向が異なり交差する場合にも、第1上部構造体と第2上部構造体の交差する方向への相対変位が可能であるため、建物の捩じれを抑えることができる。
かかる増築方法であって、前記増築建物の免震周期を前記既存建物の免震周期と同一周期に設定することを特徴とする増築方法である。
このような増築方法によれば、剛性部材に余分な力を掛けることなく第1上部構造体と第2上部構造体とを一体に振動させることができる。
かかる増築方法であって、前記第2免震層を前記第1免震層と同一レベルに設けることを特徴とする増築方法である。
このような増築方法によれば、剛性部材を水平面上に設け易くなり、また、増築建物の免震周期を既存建物の免震周期と同一周期に設定し易くなる。
かかる増築方法であって、前記増築建物の強軸を前記既存建物の強軸に交差させることを特徴とする増築方法である。
このような増築方法によれば、第1上部構造体と第2上部構造体のうちの一方の上部構造体の弱軸方向に沿う地震力に対して、その一方の上部構造体の変位を他方の上部構造体で抑えることができ、耐震性を向上させることができる。
かかる増築方法であって、前記既存建物と前記増築建物との間に採光通風空間を形成することを特徴とする増築方法である。
このような増築方法によれば、既存建物及び増築建物の採光通風を良好に確保することができる。
本発明によれば、免震構造の既存建物に隣接する免震構造の建物の増築中の耐震性を向上させる増築方法を提供することが可能となる。
図1Aから図1Cは本実施形態の増築方法の説明図である。 図2Aは既存建物及び増築建物の屋上階の概略平面図であり、図2Bは剛性部材の説明図である。 既存建物及び増築建物の2階,3階の概略平面図である。 既存建物及び増築建物の1階の概略平面図である。 シミュレーション結果を示すグラフである。 シミュレーション結果を示すグラフである。 シミュレーション対象とした既存建物及び増築建物の概略断面図である。 シミュレーション対象とした既存建物及び増築建物の屋上階の概略平面図である。
以下、本発明の一実施形態を、図を用いて説明する。図1Aから図1Cは、本実施形態の増築方法の説明図であり、既存建物10や増築建物20をY方向から見た概略断面図である。図2Aは、既存建物10及び増築建物20の屋上階の概略平面図であり、図2Bは、剛性部材30の説明図である。図3は、既存建物10及び増築建物20の2階,3階の概略平面図である。図4は、既存建物10及び増築建物20の1階の概略平面図である。本実施形態は、3階建ての免震構造の既存建物10に対してX方向に所定の間隔を空けて隣接するように、3階建ての免震構造の増築建物20を増築する方法を例に挙げる。
既存建物10は、上部構造体と下部構造体との間に免震層が介在された建物であり、地盤を掘削して形成された免震ピット11(第1下部構造体)と、免震ピット11の底部11aに設置された複数の免震装置12と、免震装置12の上に構築された上部構造体13(第1上部構造体)とを有する。免震装置12は、上部構造体13を地盤から絶縁して支持すると共に、上部構造体13の振動を長周期化し、上部構造体13の揺れを緩和するためのものであり、例えば、積層ゴム支承やすべり支承等が挙げられる。免震ピット11は、地盤に打ち込まれた杭で支持される底部11aと、底部11aの周囲に設けられた側壁11bとを有し、地震発生時に側壁11bと上部構造体13とが接触しないように、側壁11bと上部構造体13との間に空間が設けられている。
そして、既存建物10と同様に上部構造体と下部構造体との間に免震層が介在された増築建物20を既存建物10に隣接させて構築するために、まず、図1Aに示すように、既存建物10に隣接する土地に、増築建物20用の免震ピット21(第2下部構造体)を形成する。増築建物20用の免震ピット21も、既存建物10用の免震ピット11と同様に、地盤に打ち込まれた杭で支持される底部21aと、底部21aの周囲に設けられた側壁21bとを有する。つまり、既存建物10の免震層10a(第1免震層)と増築建物20の免震層20a(第2免震層)は共に地下部分に設けられ、両建物10,20の免震層のレベル(上下方向における位置)が同じになっている。なお、建物の基礎部分に免震層を設けるに限らず、例えば1階と2階の間等の中間階に免震層を設けてもよい。
次に、図1Bに示すように、増築建物20用の免震ピット21の底部21a上に複数の免震装置22を設置し、免震装置22上に増築建物20の上部構造体23(第2上部構造体)を構築する。つまり、既存建物10から独立した単独で自立可能な免震構造の建物として増築建物20を構築する。なお、本実施形態では、図2Aに示すように、既存建物10の上部構造体13(以下「既存上部構造体13」)のY方向の長さと増築建物20の上部構造体23(以下「増築上部構造体23」)のY方向の長さを等しくし、既存上部構造体13のX方向の長さを増築上部構造体23のX方向の長さよりも長くし、既存上部構造体13の重量の方が増築上部構造体23の重量よりも重いとする。また、増築建物20の免震周期が既存建物10の免震周期と同一周期となるように、増築建物20の免震層20aの設計が行われている。また、図4に示すように、既存建物10の強軸方向をY方向とし、増築建物20の強軸方向を既存建物10の強軸方向と交差する方向(ここでは直交する方向)であるX方向とする。なお、強軸とは構造強度的に強い方の軸であり、例えば、より多くの耐震壁に沿う方向が強軸方向となる。
最後に、図1Cに示すように、既存上部構造体13と増築上部構造体23の上端側同士を剛性部材30にて連結し、既存上部構造体13と増築上部構造体23の下端側同士を剛性部材30にて連結して、既存建物10と増築建物20を一体化することで、増築が完了する。なお、必要に応じて、既存建物10と増築建物20の間を行き来するための渡り廊下40を設けてもよい。つまり、本実施形態の増築方法では、既存建物10と増築建物20を部分的に連結して既存建物10と増築建物20との間に外部と連通する採光通風空間Aを形成する。
具体的には、図2Aに示すように、既存上部構造体13と増築上部構造体23の上端側同士として、各建物10,20の屋上階部分を、複数の鉄骨ブレース31にて連結する。詳しくは、図2Bに示すように、既存上部構造体13と増築上部構造体23の対向位置にてそれぞれY方向に並ぶ柱131,231間に掛け渡された梁132,232が埋設された外壁133,233の同じ高さの位置にガセットプレート33を設ける。ガセットプレート33にはピン32が貫通される貫通孔(不図示)が設けられている。鉄骨ブレース31は、鋼製の円筒部材311の両端に平板でなる羽子板312が一体に設けられたものであり、羽子板312にもピン32が貫通される貫通孔(不図示)が設けられている。そして、鉄骨ブレース31の一端側の羽子板312が既存上部構造体13側のガセットプレート33に重ねられ、他端側の羽子板312が増築上部構造体23側のガセットプレート33に重ねられ、それぞれ重ねられた羽子板312とガセットプレート33の各貫通孔にピン32が上下方向に貫通されて連結されている。つまり、鉄骨ブレース31は、水平面上に設けられると共に、ピン32を支点に水平面上にて回動可能なようにガセットプレート33を介して上部構造体13,23に連結されている。
同様に、図4に示すように、既存上部構造体13と増築上部構造体23の下端側同士として、各建物10,20の1階床の部分も、複数の鉄骨ブレース31にて連結されている。但し、図3に示すように、各建物10,20の2階床及び3階床の部分は鉄骨ブレース31にて連結されていない。このように、本実施形態の増築方法では、既存建物10と増築建物20を部分的に連結する。なお、既存上部構造体13と増築上部構造体23を鉄骨ブレース31にて連結するに限らず、例えば、既存上部構造体13の梁132と増築上部構造体23の梁232との間にH型鋼材(剛性部材)をX方向に掛け渡し、そのH型鋼材が埋設されるようにコンクリート(剛性部材)を打設することによって、既存上部構造体13と増築上部構造体23を連結してもよい。
ところで、免震構造の建物では、免震層の剛心と上部構造体の重心とが一致しないこと(偏心)により、捩じれ振動が発生し、建物の耐震性が低下してしまう。そのため、既存建物10は、既存建物10の免震層の剛心S1と既存上部構造体13の重心G1とが一致するように構築されている。また、増築する場合には、増築完成時の免震層の剛心と上部構造体の重心とが一致するように、免震層の設計が行われる。
ここで、仮に、本実施形態の増築方法のように既存建物10と増築建物20とを部分的に連結するのではなく、既存建物10と増築建物20の各階を剛性部材にて連結し、既存建物10と増築建物20との接続部分を外壁で覆う等して既存建物10と増築建物20とを完全に一体化したとする。即ち、既存建物用の免震ピットの側壁を壊して既存建物用の免震ピットと増築建物用の免震ピットを一体化し、既存建物から独立して増築建物を構築し、その後、既存建物の基礎と増築建物の基礎とを連結し(上部構造体の下端側同士を連結し)、その連結部分に重量の大きい上部構造体を構築したとする。この場合、既存建物の上部構造体と増築建物の上部構造体の重量差が大きいと、その両建物の基礎を連結した時のX方向の重心位置が、増築完成時のX方向の重心位置に比べて、上部構造体の重量が大きい方の建物側にずれてしまう。つまり、増築中に免震層の剛心と上部構造体の重心とがずれるため、増築中に地震が起こると建物に捩じれ振動が発生する虞があり危険である。
これに対して、本実施形態の増築方法では、既存建物10に間隔を空けて隣接するように増築建物20を構築し、既存上部構造体13と増築上部構造体23の上端側同士(例:屋上階同士)を剛性部材30にて連結し、既存上部構造体13と増築上部構造体23の下端側同士(例:1階床同士)を剛性部材30にて連結する。つまり、既存建物10から分離して増築建物20を構築するため、既存建物10は増築の影響を受けず、増築中も増築前と同様に既存建物10に免震機能が働く。また、既存建物10と増築建物20を完全に一体化するときのように既存建物10と増築建物20の間に重量物が存在しないため、免震層の剛心S1と上部構造体13の重心G1とが一致している既存建物10に、既存建物13とは独立して免震層の剛心S2と上部構造体23の重心G2とが一致している増築建物20を部分連結した時点で、その一体化した建物における免震層の剛心と上部構造体の重心とが一致する。つまり、本実施形態の増築方法によれば、増築中の偏心(免震層の剛心と上部構造体の重心とのずれ)を抑えることができるため、捩じれ振動の発生を抑制して増築中の耐震性を向上させることができる。
また、既存建物10と増築建物20を完全に一体化する場合、既存建物10の免震層10aに応じて増築建物20の設計に制限がかかったり、逆に、既存建物10の免震層を再調整し直したりする必要がある。これに対して、本実施形態の増築方法では、既存建物10の免震層10aから独立して増築建物20やその免震層20aを設計することができるため、設計自由度が高く、施工を簡略化できる。
また、既存建物10と増築建物20を完全に一体化する場合、既存建物10用の免震ピット11の側壁11bや既存建物10の外壁を壊したり、各階を剛性部材にて連結したりする必要があるため、施工性が悪く、既存建物10にも使用制限が生じる。これに対して、本実施形態の増築方法では、増築建物20用の免震ピット21を独立して構築したり既存建物10の外壁をそのまま利用したりすることができ、また、既存建物10と増築建物20を部分的にしか連結しないため、施工性が良く低コスト化を図ることができる。また、既存建物10の使用制限も生じない。
また、本実施形態の増築方法では、既存建物10と増築建物20との間に採光通風空間Aを形成する。そのため、その採光通風空間Aに面する各建物10,20の壁面に窓等を設けることで、既存建物10と増築建物20を完全に一体化する場合に比べて、各建物10,20の採光通風を良好に確保することができる。
また、免震構造である既存建物10と増築建物20は、免震装置12,22により、振動が長周期化され、上部構造体13,23の変位が大きくなる。そのため、仮に、既存建物10と増築建物20を剛性部材にて連結せずに、例えば、渡り廊下で接続するだけであると、各上部構造体13,23が互いに異なる周期や変位にて大きく振動した場合に、上部構造体13,23同士が衝突して危険である。よって、既存建物10と増築建物20の設置間隔を離したり、上部構造体13,23同士の衝突を避けるために可動範囲の大きいエキスパンションジョイントを渡り廊下に設けたりする必要がある。
これに対して、本実施形態の増築方法では、既存上部構造体13と増築上部構造体23の上端側同士及び下端側同士をそれぞれ剛性部材30にて連結する。そのため、地震発生時には、既存上部構造体13と免震上部構造体23とが一体となって振動するため、上部構造体13,23同士の衝突を防止することができ安全である。ゆえに、既存建物10に近接させて増築建物20を構築することができる。また、渡り廊下40に設けるエキスパンションジョイントの可動範囲を小さくすることができるため、低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態の増築方法では、既存建物10と増築建物20を連結する剛性部材30を水平面上に設けている、即ち、鉄骨ブレース31を水平に設置している。そのため、水平方向の地震力を、既存上部構造体13と増築上部構造体23のうちの一方から他方へ効率よく伝達させることができ、剛性部材30に余分な力(水平方向の分力)を掛けることなく、両上部構造体13,23を一体に振動させることができる。よって、例えば、剛性部材30を細くする等して剛性を弱めることができ、低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態の増築方法では、剛性部材30(鉄骨ブレース31)を、水平面上にて回動可能なように上部構造体13,23に連結している。そのため、既存上部構造体13と増築上部構造体23の振動方向が異なり交差する場合にも、既存上部構造体13と増築上部構造体23の交差する方向への相対変位が可能であり、両上部構造体13,23の捩じれを抑えることができる。
また、本実施形態の増築方法では、増築建物20の免震周期を既存建物10の免震周期と同一周期となるように設定している。そのため、剛性部材30に余分な力(引っ張り力や圧縮力)を掛けることなく、既存上部構造体13と免震上部構造体23を一体に振動させることができる。よって、例えば、剛性部材30を細くしたり、剛性部材30の数を減らしたりすることができ、低コスト化を図ることができる。
また、本実施形態の増築方法では、増築建物20の免震層20aを既存建物10の免震層10aと同一レベル(ここでは建物の基礎部分)に設ける。そうすることで、既存上部構造体13と増築上部構造体23を連結する剛性部材30(鉄骨ブレース31)を水平面上に設け易くなる。また、増築建物20の免震周期が既存建物10の免震周期と同一周期となるように増築建物20の免震層を設計することが容易になる。
また、本実施形態の増築方法では、増築建物20の強軸を既存建物10の強軸に交差させる。そのため、既存上部構造体13と増築上部構造体23は互いに相手の変位を抑えるように支え合うことができる。つまり、既存上部構造体13と増築上部構造体23のうちの一方の上部構造体の弱軸方向に沿う地震力に対して、その一方の上部構造体の変位を他方の上部構造体により抑えることができ、耐震性を向上させることができる。
図5及び図6は、シミュレーション結果を示すグラフであり、図7は、シミュレーション対象とした既存建物50及び増築建物60の概略断面図であり、図8は、シミュレーション対象とした既存建物50及び増築建物60の屋上階の概略平面図である。以下、部分連結された既存建物50及び増築建物60に地震が発生した場合のシミュレーション結果について説明する。シミュレーション対象とした既存建物50及び増築建物60は、図7及び図8に示すように、13階建てRC構造の建物であり、1階と2階との間にそれぞれ免震層52,62が介在され、上方から見たときの外形形状が長方形状をなし、既存建物50の長手方向における一方の端部側と増築建物60の長手方向における中央近傍とが対向して平面視T字状をなすように配置されている。また、既存建物50の強軸方向(耐震壁53に沿う方向)と増築建物60の強軸方向(耐震壁63に沿う方向)は互いに直交している。また、既存建物50及び増築建物60の各上部構造体51,61の上端側となる屋上階(R階)の部位同士が複数の鉄骨ブレース71にて連結され、各上部構造体51,61の下端側となる2階床以下の部位同士がRC躯体70(既存建物50の梁と増築建物60の梁に掛け渡されたH型鋼材が埋設されるようにコンクリートが打設され躯体)にて連結されている。
また、増築建物60の平面視における外形形状の長手方向が26.5m、耐震壁63に沿う方向が12.7m、重量が73490kNであり、既存建物50の平面視における外形形状の長手方向が35.4m、耐震壁53に沿う方向が11.5m、重量が85486kNであるとする。また、レベル2変形時における増築建物60の等価周期は4.62秒であり、既存建物50の等価周期は4.55秒であるとする。そして、増築建物60の強軸方向に、模擬地震動として告示波神戸EWを入力したときの増築建物60及び既存建物50に作用する層せん断力と絶対変位を図5及び図6のグラフに示す。
図5の(a)は地震発生時に増築建物60に作用する層せん断力の結果を示すグラフであり、図5の(b)は地震発生時に既存建物50に作用する層せん断力の結果を示すグラフである。図6の(a)は地震発生時に増築建物60に作用する絶対変位の結果を示すグラフであり、図6の(b)は地震発生時に既存建物50に作用する絶対変位の結果を示すグラフである。なお、各グラフでは、増築建物60及び既存建物50の各上部構造体61、51の2階床以下の部位(下端側同士)のみを連結したときの結果を「連結無し」とし、2階床以下の部位に加えて屋上階(上端側同士)も連結したときの結果を「R階連結」(本発明)とし、各階床を連結したときの結果を「各層連結」とする。
シミュレーションの結果、図5に示すように、2階床以下の部位のみを連結した場合(連結無し)、強軸方向が地震動の入力方向と一致している強軸側建物(増築建物60)に比べて、弱軸方向が地震動の入力方向と一致している弱軸側建物(既存建物50)に作用する層せん断力が大きくなってしまっている。一方、各階床を連結した場合(各層連結)、弱軸側建物に作用する層せん断力を抑えることができているが、強軸側建物の下階での層せん断力が大幅に大きくなってしまっている。これに対して、2階床以下の部位と屋上階を連結した場合(R階連結)、弱軸側建物に作用する層せん断力を、2階床以下の部位のみを連結した場合(連結無し)よりも抑えつつ、強軸側建物の下階での層せん断力が大幅に大きくなってしまうことを防止できることが確認された。
また、図6に示すように、2階床以下の部位と屋上階を連結した場合(R階連結)、2階床以下の部位のみを連結した場合(連結無し)に比べて弱軸側建物の変形(特に上階の変形)を抑えることができ、また、各階床を連結した場合(各層連結)と同等に弱軸側建物の変形を抑えられることが確認された。
従って、このシミュレーション結果から、本実施形態の増築方法のように、増築建物60の上部構造体61と既存建物50の上部構造体51の上端側同士を連結し且つ下端側同士も連結することで、各階を連結する場合や下端側同士のみを連結する場合に比べて、強軸側建物及び弱軸側建物(特に下階)に作用する層せん断力が大幅に大きくなってしまうことを防止しつつ、弱軸側建物の変形を抑えることができると言える。
以上、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
例えば、既存建物の重量を増築建物の重量よりも軽くしてもよい。また、既存上部構造体と増築上部構造体を連結する剛性部材(例えば鉄骨ブレース)を水平面に対して傾斜させて設けてもよいし、剛性部材が水平面上にて回動しないように固定してもよい。また、増築建物の免震周期と既存建物の免震周期を異ならせてもよいし、増築建物の免震層を既存建物の免震層と異なるレベルに設けてもよい。また、増築建物の強軸と既存建物の強軸を交差させずに同じ方向の軸にしてもよい。
10 既存建物、10a 免震層(第1免震層)、11 免震ピット(第1下部構造体)、
12 免震装置、13 上部構造体(第1上部構造体)、
20 増築建物、20a 免震層(第2免震層)、21 免震ピット(第2下部構造体)、
22 免震装置、23 上部構造体(第2上部構造体)、
30 剛性部材、31 鉄骨ブレース、32 ピン、33 ガセットプレート、
40 渡り廊下、50 既存建物、51 上部構造体、52 免震層、53 耐震壁、
60 増築建物、61 上部構造体、62 免震層、63 耐震壁、70 RC躯体、
71 鉄骨ブレース、A 採光通風空間、

Claims (7)

  1. 第1上部構造体と第1下部構造体との間に第1免震層が介在された既存建物に間隔を空けて隣接するように、第2上部構造体と第2下部構造体との間に第2免震層が介在された増築建物であって、前記第2上部構造体の重量が前記第1上部構造体の重量と異なる前記増築建物を構築する工程と、
    前記第1上部構造体と前記第2上部構造体の上端側同士を剛性部材にて連結し、前記第1上部構造体と前記第2上部構造体の下端側同士を剛性部材にて連結する工程と、
    を有することを特徴とする増築方法。
  2. 請求項1に記載の増築方法であって、
    前記上端側の前記剛性部材と前記下端側の前記剛性部材とのうちの少なくとも一方を、水平面上に設けることを特徴とする増築方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の増築方法であって、
    前記上端側の前記剛性部材と前記下端側の前記剛性部材とのうちの少なくとも一方を、水平面上にて回動可能なように前記上部構造体に連結することを特徴とする増築方法。
  4. 請求項1から請求項3の何れか1項に記載の増築方法であって、
    前記増築建物の免震周期を前記既存建物の免震周期と同一周期に設定することを特徴とする増築方法。
  5. 請求項1から請求項4の何れか1項に記載の増築方法であって、
    前記第2免震層を前記第1免震層と同一レベルに設けることを特徴とする増築方法。
  6. 請求項1から請求項5の何れか1項に記載の増築方法であって、
    前記増築建物の強軸を前記既存建物の強軸に交差させることを特徴とする増築方法。
  7. 請求項1から請求項6の何れか1項に記載の増築方法であって、
    前記既存建物と前記増築建物との間に採光通風空間を形成することを特徴とする増築方法。
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