JP5866689B1 - Pcランプウェー建造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】建物本体とランプウェーとを、プレキャストPC造で構成して同時進行で構築できると共に、免震構造にし、超耐久性を付与してメンテナンスや補修の必要性を解消した構造物を提供する。【解決手段】プレキャストコンクリートで形成されたPC柱3とPC梁4aであり、柱梁接合部はPC鋼材を緊張定着することにより一体的にPC圧着接合されて構成される。PC柱3には、所定の勾配に合わせた高さで梁受け用顎が突出形成され、PC梁4aの内外周縁側の梁は、長手方向において円形状ランプと同心円となる曲線状に形成する。これにより、ランプウェー建造物2は建物本体1と同様のプレキャスト部材を現場でPC圧着関節工法によって、建物本体1と同時に構築することができるから、施工時にも車両を各階に乗り入れ、直接荷役作業を行えるから、作業性が大幅に向上できる。【選択図】図3

Description

本発明は、物流センターや倉庫等の物流施設である建物本体の各階に大型車両が直接乗り入れできるように、建物本体に隣接して一体的に建造されるPC免震ランプウェー建造物に関するものである。
この種の物流施設におけるランプウェーを備えた建造物は周知又は公知になっている。その周知又は公知に係る一般的な建物本体は、強度を高めるため、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)又はプレストレストコンクリート造(PC造)とすることが多い。その一方で、車両進入用のアプローチであるランプウェー建造物は、軽量で現場での組立が容易であるというメリットから鉄骨造としてきた。
一例として従来技術に係る公知の建造物として、地盤に貫入され基礎となる鋼管杭と建物本体の最下階の大梁との間に免震装置を配設して連結すると共に、建物本体の各階に渡って車両が昇降するためのスロープ(斜路)が2箇所に併設され、該スロープの下側にも免震装置が設けられて建物本体と連結された免震建物(免震倉庫)である(特許第3899354号)。
この免震建物によれば、建物本体の柱と梁はプレキャスト化されPC鋼線によるプレストレスで緊結されるPC造であることについては説明されているが、併設されるスロープ部分の建造については全く説明されていないのである。この事実からして、スロープ部分の建造は、従来から採用されている鉄骨造であると言わざるを得ないのである。
特許第3899354号公報
従来から採用されている鉄骨造のスロープ(ランプウェー)は、以下に記載の問題点を有している。
1.スロープ(ランプウェー)を構築する柱や梁の鉄骨部材は、工場で製作して現場に搬入され、ボルトや溶接手段にて連結・接合して一体化される。現場作業での簡素化と効率化を図るために、その大半はボルトによる連結がなされている。現実として、施工時に建物本体のコンクリート躯体(柱や梁)が自重や施工荷重によって弾性変形し、特に、PC造とした場合は、導入されたプレストレスにより柱や梁の弾性変形が生じ、しかも、各階の柱は、負担される荷重が異なるために弾性変形量が異なる。しかし、鉄骨造部材及びボルトによる連結・接合の精度がミリ単位で要求されているため,施工時における建物本体の弾性変形量に追従することができないため、建物本体の各階毎に同時にスロープを取り付けて構築することができない。
また、鉄骨造は、主にボルトによる連結・接合で一体化する場合は、建物全体が完成するまでは自立することができないため、支保工やサポートに依存して構築することになっている。しかしながら、一般に建物本体の工程が長いため,鉄骨造のスロープは、建物本体の各階毎に合わせて構築すると、連続施工できずに各階にて建物本体工事の進み具合を待つことになるから、支保工やサポートを無駄に利用することになり、コスト高に繋がる。
以上の問題点を解決するため、従来は、建物本体の構造躯体を完成した後に、鉄骨造スロープの構築工事を行うようにしている。要するに、建物本体の工事と同時施工することはできないという問題点を有している。
2.鉄骨造のスロープは、強度を有するものの剛性が低いため、使用期間中に常時大型車両の通過により振動を受けるから、過大な変形や連結・接合部におけるボルトの弛みや破損等が生じやすい。常に正常な使用状態を維持するため、頻繁にメンテナンスを行う必要があるから、維持管理の手間やランニングコストが掛かるという問題点を有している。
3.スロープ(ランプウェー)は、一般に円形状であるが、鉄骨造の場合は、円周方向において、鉄骨梁を曲線状(円弧状)に曲げ加工することが困難であるため、直線状部材として架設し、構築されたスロープの外観形状は折れ線状となって美観が損なわれ、建物としての資産価値も低下するという問題点を有している。
4.スロープ(ランプウェー)は、地上(地面)から緩やかな勾配で順次各階に向かって上がって行くため、地面から始まる区間において、構造上では複数の短柱が形成されることになる。そのため鉄骨造のボルトによる連結・接合でピン接合にして、剛接合による短柱の形成を容易に解消してせん断破壊を回避することができるから、鉄骨造が採用されている。ところで、RC造は鉄筋接合であり、また、プレキャストPC造はPC鋼材で圧着接合を用いる場合は、柱と梁の接合において、ピン接合の形成が困難であり、短柱を解消することができないという問題点がある。
そこで、本発明は、建物本体とランプウェー(スロープ)とをプレキャストPC造で構成して同時進行で構築できると共に、ランプウェーはPC免震構造にして超耐久性を付与してメンテナンスや補修の必要性を解消したPCランプウェー構造物とすることを目的とするものである。
本発明は、上記目的を達成するための具体的手段として、建物本体に隣接して、基礎と、該基礎から前記建物本体の最上階まで所定の勾配で各階層に繋がる螺旋状に構築された上部構造躯体とを備えたランプウェー建造物であって、前記上部構造躯体は、主としてプレキャストコンクリートで形成されたPC柱とPC梁であり、柱梁接合部において、PC柱には、所定の勾配に合わせた高さで梁受け用顎が突出形成され、PC柱とPC梁の端部との隙間に目地材を充填し、PC鋼材を緊張定着することにより一体的にPC圧着接合して構成され、前記柱梁接合部における一部の所定箇所には、前記PC鋼材を一段配線にすると共に、前記隙間においては、配線側にのみ目地材を充填し,配線しない側を空目地としたPC圧着ピン接合が形成されることを特徴とするPCランプウェー建造物を提供するものである。
この発明においては、前記PC梁の内外周縁側の梁は、長手方向において円形状ランプと同心円となる曲線状に形成されていること;前記内外周縁側の少なくとも外側周縁のPC梁において、PC柱の梁受け顎の底部までの目隠し部を延設したこと;及び前記基礎と上部構造躯体との間に、免震装置を介在させてあること、を付加的な要件として含むものである。
本発明に係るPC(免震)ランプウェー建造物によれば、以下に示す通りの効果を奏する。
1.従来の鉄骨造ランプは、建物本体の構造躯体が出来上がってから建造されるので、特に、建物本体の施工時における機材や部材等の搬入は、全てクレーンに頼るしかないから、施工手間、工期及びコストが掛かる。それに比べて、プレキャスト部材を現場でPC圧着関節工法によって、本発明のPCランプウェー建造物は建物本体と同時に構築することができるから、施工時にも車両を各階に乗り入れ、直接荷役作業を行えるから、作業性が大幅に向上する。
2.直線で形成される鉄骨造部材に比べ、コンクリートは造形しやすいので、曲線で形成されるPC造部材を用いて構築されるPCランプウェー建造物は、外観の美観と共にランプウェー建造物の資産価値を向上させることができる。
3.PC圧着ピン接合によって、短柱形成を解消し脆性的なせん断破壊を回避することができる。
4.PC柱の梁受け顎部を目隠しする目隠し部を、少なくとも外側周縁(円周方向)のPC梁に延設したことによって、ランプウェー建造物の外形上の美観を高く維持できる。
5.免震工法とPC圧着関節工法によって組み合わせたPC免震ランプ構造により、上部躯体構造が鉄骨造とする場合に比べ、剛性が高くて振動を小さく抑えることができ、さらに、地震を受けた後に、PC復元力によってPCランプ構造物が元の状態に復帰し残留変形は生じないという特性を持つ構造物になり、地震に対しては、免震装置の免震効果とPC圧着関節工法によるPC構造の耐震・制震効果との相乗効果により、震度7級の巨大地震にも対応可能となる。
6.従来鉄骨ランプ(スロープ)は、供用期間中に常に大型車両による振動を受け、ランプ自体だけではなく、ランプと建物本体との連結部分が破損しやすいから、耐久性に劣るため、常時メンテナンスや補修が必要である。それに比べ、本発明のPC(免震)ランプウェー建造物は超耐久性を有するから、メンテナンスの必要がない、等の種々の優れた効果を奏する。
本発明の実施の形態に係るPC免震ランプウェー建造物を備えた物流施設における建物構造の基礎部分を略示的に示した平面図である。 同実施の形態に係る建物構造の基礎部分に係る2例の実施例を示すものであって、(a)は盛土をしない場合の断面図であり、(b)は盛土をした場合の断面図である。 同実施の形態に係る建物の全体を略示的に示した斜視図である。 同実施の形態に係る建物構造の2階以上の構成部分を略示的に示した平面図である。 同実施の形態に係る建物構造で、1階部分のPC免震ランプウェー建造物における平面を略示的に拡大して示した説明図である。 同実施の形態に係る建造物で、1階から2階部分のPC免震ランプウェー建造物における平面を略示的に拡大して示した説明図である。 同実施の形態に係るPC免震ランプウェー建造物における外側部分を略示的に展開して示した説明図である。 同実施の形態に係るPC免震ランプウェー建造物における内側部分を略示的に展開して示した説明図である。 同実施の形態に係るPC免震ランプウェー建造物における半径方向の上部構造躯体の状況を理解するための説明図である。 同実施の形態に係るPC免震ランプウェー建造物において、(a)はPC圧着剛接合を示し、(b)は短柱部分をPC圧着ピン接合にして短柱解消を示す模式図である。 同実施の形態に係るPC免震ランプウェー建造物における柱と梁のPC圧着剛接合状態を示す説明図である。 同実施の形態に係るPC免震ランプウェー建造物における柱と梁のPC圧着ピン接合状態を示す説明図である。 本発明に係るPC圧着ピン接合の別の第1実施例とし、(a)は梁と柱のPC圧着ピン接合状態を示す要部の断面図で、(b)は側面図である。 本発明に係るPC圧着ピン接合の別の第2実施例とし、(a)は梁と柱のPC圧着ピン接合状態を示す要部の断面図で、(b)は側面図である。 同実施の形態に係るPC免震ランプウェー建造物における外側周縁(円周)方向の梁柱接合部を分離して要部のみを示す斜視図である。 同接合構造の接続状態を示す要部のみを示す側面図である。
本発明を図示の複数の実施の形態に基づいて詳しく説明する。まず、図1〜図4に示した物流施設における建物構造の全体と基礎部分とについて説明する。図1〜図4において、物流施設は、プレストレストコンクリート造(PC造)として構築された建物本体1とランプウェー建造物2とから構成されており、各々は、基礎Aと、上部躯体構造(構造骨組)Bと、その間に介在させて設けられた免震装置9とを備えたものとする。ランプウェー建造物2の上部構造躯体Bは、主として1階部分の最下部の大梁4と、プレキャストコンクリートで形成されたPC柱3とPC大梁4とから構成してあり、建物本体1に隣接して円形状のランプウェー建造物2が一体的に建造されている。
PC柱3が立設される位置には、図1と図2に示したように、地盤5に杭6が打ち込まれ、該杭6の頭部は基礎スラブ7により連結されている。さらに、杭6の頭部には台座部8が一体に形成され、該台座部8に免震装置9を介してフーチング10が取り付けられ、該フーチング10は隣接同士が最下階の大梁4によって連結され、該大梁4間に小梁12が配設され、その上面には1階の床スラブ11が形成されている。そして、前記フーチング10には、建物本体1及びランプウェー建造物2のPC柱3が取り付けられ、各柱は内部に配設されたPC鋼材(図示せず)で立設状態に緊張連結して固定されている。なお、図2(a)では、1階の床面が地面より1m程度高く形成して雨水等が建造物の床下内に入らないようにしたものであり、図2(b)では、さらに、1m程度の高さを空間部にして置かないで建造物周辺を所要範囲(広さ)において盛土5aをして、1階の床面に対して安定させたものであり、基礎部分についてはいずれを採用しても良いのである。
物流施設に係る建物全体としては、図3に示したように、一例として、例えば、5階建ての建物本体1であって、該建物本体1に隣接して円形で螺旋状のランプウェー建造物2が一体的に建造され、建物本体1の2階部分から5階部分の各階まで、大型車両が登れるようにランプウェー建造物2が構築され、該ランプウェー建造物2は、好ましくは建物本体1の対象位置の両側面に2個構築され、一方のランプウェー建造物2が登り用で、他方のランプウェー建造物2が下り用に利用される。なお、1個のランプウェー建造物2を登り用と下り用とに利用することもできる。また、2階以上の上部階は、図4に示したように、PC柱3間に配設したPC大梁4a、4b、4cの間に、それぞれ複数の小梁12を配設し、該PC大梁4a、4b、4cと小梁12の上部に合成床版からなる床スラブが形成される。
本発明に係るランプウェー建造物2について、図5〜図8について説明する。ランプウェー建造物2の上部構造躯体Bは、主として1階部分の最下部の大梁4と、プレキャストコンクリートで形成されたPC柱3とPC梁4a、4b、4cとで円形で螺旋状に構築されるものであって、プレキャスト製としたPC柱3については、建物本体1も含めて全ての柱は、出願人自身のブランド品とも言えるプレキャスト製としたPC大梁4a、4b、4cが載置されて取り付けられる「顎付き柱」が採用されている。そこで、図5に示したように、一階の部分は、建物本体1と同様に、例えば、ランプウェー建造物2の形状に沿って円形状に適宜間隔をもって内側と外側とに設けた杭6の頭部に免震装置9を介してそれぞれ取り付けられた外側フーチング10aと内側フーチング10bとのそれぞれの間に、隣接同士を連結すると共に、外側と内側とを連結する最下部のPC大梁4が配設されている。
この場合に、1階部分の最下部の大梁4(地中梁ともいう)は、現場打ちRCやSRCまたは現場打ちPC等によりフーチング10a、10bと一体的に連結させて形成し、外側と内側とを連結する大梁4の間に小梁12を配設して1階のフロアー部分を形成する。さらに、各フーチング10a、10b上にプレキャストコンクリートで形成されたPC柱3がPC鋼材で緊張連結(図示せず)して立設状態に取り付けられる。なお、符号14で示した部分は、1階の建物本体1に入る平坦な入り口通路であり、建物本体1の一部として形成され、各階毎に同じ位置関係をもって平坦な入り口通路14a、14b、…が形成され、該入り口通路は、図4に示すように、建物本体1の中央部を横切るメイン通路15を介して反対側の下り用ランプウェー建造物2の平坦な出口通路16a、16b、…に繋がっている。
ランプウェー建造物2において、1階から2階部分に登る起ち上がりの部分としては、図6に示すように、1階の平坦な通路14から所定の勾配をもって起ち上がり部17が形成され、その勾配を維持するようにPC柱3間にPC大梁4a、4b、4cを順次緊張定着して架設すると共に,PC大梁4c間に所要の勾配をもって小梁12を架設して2階の平坦な通路14aまで形成する。なお、2階から3階及び3階から4階、さらに上層階への接続部分(アクセス部分)についても略同一の構成で構築されている。この場合に、円形状で螺旋状に形成されたランプウェー建造物2の内外周縁側、即ち、外側周縁側の大梁4aと内側周縁側のPC大梁4bは、長手方向において円形状ランプと同心円となる曲線状(円弧状)に形成されると共に、手すりとも言うべき所要高さの立設形状(立上り形状)に形成されている。この形状については後述する。
このようにPC柱3とPC大梁4a、4b、4cとの柱梁接合部をPC鋼材で緊張定着して(図示せず)PC圧着接合して一体的に形成されたランプウェー建造物2の上部構造躯体Bを構築することによって、図7〜図8に示したように、1階から順次2階、3階及び最上階へと螺旋状に所定の勾配をもった車輌進入用のアプローチが形成される。この場合に、PC柱3とPC大梁4a、4b、4cとの柱梁接合部では、PC鋼材を緊張定着することにより、基本的にPC圧着剛接合であるが、ランプウェー建造物2は、1階の平坦部分から所定の勾配をもって起ち上げているため、起ち上げ初期位置に近い部分の複数の柱においては、コンクリート壁30付きのものを除いて、上下端の梁間の柱長さは、通常の柱に比べ非常に短くてその間で柱が自由に曲げ変形できる長さ(主要支点間距離という)が、実質的な柱長さとなり、柱の断面寸法に対して極端に短くなったため、必然的に短柱3aとなる。また、図9に示したように、ランプウェー建造物2は、円形の螺旋状に形成されているので、走行する車両に回転運動により遠心力が必然的に生じ、車両を外周方向に転倒するように作用することになり、その遠心力の作用をなくすことを考慮して、走行車路27を形成するための幅方向(半径方向)に架設されるPC大梁4cは内側(円心)方向に僅かに傾斜させて取り付けてある。
これら短柱3aとPC大梁4との接合部を、図10(a)に示したように、通常の長さのPC柱3と同様に、PC圧着剛接合18にすると、上下端の柱梁接合部により上下端で曲げ回転が拘束されるため、その間で形成された柱が短柱3aとなる。短柱は曲げ破壊に先行してせん断力が集中して変形能力が極端に乏しく脆性的なせん断破壊となる可能性が高いため、構造設計上に最も好ましくない破壊形態である。そこで、せん断破壊を回避するために、矢印Aで示す図(b)のように、元短柱3aとなっていた柱とPC大梁4a、4b、4cとの接合部をPC圧着ピン接合19にして、柱梁剛接合部間(図(b)の下部の3で示す範囲)の長さがPC柱3の実質的な長さとなり、柱が自由に曲げ変形できる長さが長くなり短柱3aの形成を解消したのである。つまり、通常の長いPC柱3とPC大梁4a、4b、4cとはPC圧着剛接合18にし、短柱3aとPC大梁4a、4b、4cとはPC圧着ピン接合19にすることによって、短柱3aの形成を解消して柱のせん断破壊の問題点を解決したのである。
そこで、PC柱3とPC大梁4との具体的な接合構造について、図11〜図14について説明する。まず、図11に示したように、PC柱3は出願人自身のブランド品とも言える「顎付き柱」であって、内部に挿通して配設したPC鋼材20を柱の繋ぎ部分21(柱節間のPC圧着接合部)でPC鋼材接続部22を介して各階毎に順次連結しながら緊張定着することによって上階まで一連に緊張立設固定される。そして、PC柱3には、円周方向に架設されるPC大梁4a、4bを載置して架設するための顎13aが、勾配の角度に対応して段差をもって形成され、幅(半径)方向に架設されるPC大梁4cについては内側(円心)方向に僅かに傾斜させて取り付けられるので、その端部を載置する顎13bは、外側周縁側よりも内側周縁側の顎13bを僅かに低く形成させてあり、各顎13a、13bに載置した各PC大梁4a、4b、4cは、内部の上下に挿通して顎13a、13bよりも上方位置と顎13a、13bの略中央部を貫通してそれぞれ配設された2段配線とする複数のPC鋼材23、24により緊張定着すると共に、PC柱3及び顎13a、13bとPC大梁4a、4b、4cの端部との隙間に目地モルタル等の目地材25を充填してPC圧着剛接合18にする。ただし、柱梁のPC圧着剛接合としては、図示の2段配線で形成されるものに限定することなく、必要に応じて多段配線とする場合がある。つまり、PC圧着剛接合の配線は、2段以上とする。また、各段は、単数または複数のPC鋼材で形成される。
なお、本発明の特徴を従来の技術と区別して分かりやすくするため、本発明では、従来のPC圧着接合をPC圧着剛接合と呼び、従来の技術にない新規な短柱解消用のPC圧着接合構造をPC圧着ピン接合と称する。
次に、短柱3aを解消するためにPC柱3とPC大梁4との具体的なPC圧着ピン接合構造については、図12に示したように、短柱3aに形成された顎13aに載置されたPC大梁4a、4bに対しては、1段配線として該PC大梁の下部側(スラブで形成された走行斜路27側)に挿通配設したPC鋼材24が顎13aを貫通した状態で、顎13bに載置されたPC大梁4cについては、該PC大梁4cの上部側(スラブ側)に挿通配設したPC鋼材23が顎13bよりも上方位置を貫通してそれぞれ緊張定着すると共に、各PC鋼材24、23が貫通した短柱3aとPC大梁4a、4b、4cの端部との間の隙間にのみ目地部材25を充填し、PC鋼材24、23が貫通していない部分の隙間は空目地26としてPC圧着ピン接合19とする。
PC圧着ピン接合19については、別な実施例として図13と図14について説明する。まず、別の第1実施例として順梁と称される図13(a)、(b)について説明する。PC柱3に設けられた顎13にプレキャスト製とするPC大梁4の端部が載置され、該PC大梁4の上端に合成床板等で形成されるスラブ11を設けてある順梁とする。この場合では、該PC大梁4の上端(スラブ付き側)に1段配線として挿通配設したPC鋼材23は、顎13よりも上方位置でPC柱3を貫通してPC柱3の外側面で緊張定着すると共に、該PC鋼材23が貫通したPC柱3とPC大梁4との間で形成された目地にPC鋼材23を緊張する前に目地材25を充填することとする。一方で、配線されていない顎13とPC大梁4との間に形成された目地を空目地26とするものである。
次に、別の第2実施例として逆梁と称される図14(a)、(b)について説明する。PC柱3に設けられた顎13にプレキャスト製とするPC大梁4の端部が載置され、該PC大梁4の下端に合成床板等で形成されるスラブ11を設けてある逆梁とする。この場合では、該PC大梁4の下端(スラブ付き側)に1段配線として挿通配設したPC鋼材24は、顎13を貫通してPC柱3の外側面で緊張定着すると共に、該PC鋼材24が貫通した顎13とPC大梁4との間で形成された目地にPC鋼材24を緊張する前に目地材25を充填することとする。一方で、配線されていない顎13の上部のPC柱とPC大梁4との間に形成された目地を空目地26とするものである。
即ち、上記のPC圧着ピン接合とは、「顎付き柱」を用いることと、一段配線及び空目地との3つの必要な構成条件として構成したものである。要するに、柱が顎を有するため、プレキャスト製とするPC大梁の梁端が顎の上で回転可能になり、曲げモーメントが生ずることなく、せん断力だけを伝達できるようにしたピン接合である。顎がなければ梁端が柱とPC圧着接合となって回転出来ないため、上記のPC圧着ピン接合にはならないのである。
また、PC圧着ピン接合構造としては、柱梁接合部において、梁のスラブ付き側に1段配線とし、配線しない側の目地を空目地とすることは基本構成である。
従って、前記の主旨に逸脱しない範囲で種々の変形を付け加えて変更することが可能なものである。例えば、「顎付き柱」とは、大梁と同様にプレキャスト製とすることが望ましいが、これに限定することなく、現場打ちコンクリートとしても良い。また、図示は省略するが、顎付柱と大梁とをプレキャスト製とするが、パネルゾーン(柱と梁の仕口部)を現場打ちコンクリートとし、セミ圧着工法(PC鋼材と鉄筋)によって柱と大梁を接合してもよい。
なお、本発明のランプウェー建造物の上部躯体構造においては、上記の趣旨に従って、走行車路27の幅方向(ランプの半径方向)のPC大梁4cが順梁である場合には、図13に示した要領で、内外周縁側(ランプの円周方向)のPC大梁4a、4bが逆梁である場合には、図14に示した要領で,図6、図7,図8及び図9に示すように柱梁接合部の一部の所定箇所にPC圧着ピン接合19(図6、図7,図8及び図9に黒丸で図示)を形成して短柱を解消したのである。
但し、柱側にコンクリート壁が付く(壁付き柱)場合は、壁がせん断力を負担することになるため、壁付きの方法で短柱が解消されるので、上記のPC圧着ピン接合としなくても良い。
さらに、本発明においては、長さ方向(円周方向)のPC梁4a、4bの具体的な構成について、図15と図16について説明する。これらのPC大梁4a、4bの両端部は、PC柱3に突出して形成した顎13の上に載置して架設するものであるが、顎13にPC大梁4a、4bを載置しただけでは、突出した顎13がそのまま外部に露出する状態になり、構成として外観上の体裁を損なうものである。しかしながら、本発明においては、突出した顎13の少なくとも外側部分を全面的にカバーすると共に、逆梁の下面に走行車路27として配設するスラブの外周面をもカバーすべく、顎13の底部まで伸長させた目隠し部28を設けたものである。つまり、PC大梁4a、4bの強度を維持するための高さ方向の厚みを十分確保して立ち上がりの手すり部とし、且つPC柱3の両端部に突出した顎13が嵌まり込む凹部29を設けて顎13が外部に露出しないようにしたことに特徴があるのである。このように構成することにより、仕上がったランプウェー建造物2のPC柱3とPC大梁4a、4bが面一状態になり、外観上の体裁を向上させたのである。
以上説明した実施例は本発明の構成に限定するものではなく、本発明の主旨に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、基礎と上部構造躯体との間に免震装置を介在させることなく、PC耐震ランプとしてもよい。また、本発明で示したPC圧着ピン接合構造は、ランプウェー建造物だけではなく、その他の建造物にも短柱解消の手段として適用できる。
また、ランプウェーの平面形状について、円形以外に楕円形とする場合もある。その場合には、本発明でいうPC梁の内外周縁側の梁は、長手方向において円形状ランプと同心円となる曲線状に形成されているとは、楕円形両端の円形状部分に合せて同心円とすることである。
本発明に係るPC免震ランプウェー建造物2は、建物本体1に隣接して、基礎Aと、該基礎から前記建物本体1の最上階まで所定の勾配で各階層に繋がる螺旋状で構築された上部構造躯体Bとを備えたランプウェー建造物2であって、前記の上部構造躯体Bは、主としてプレキャストコンクリートで形成されたPC柱3とPC梁4a、4b、4cとし、柱梁接合部でPC鋼材を緊張定着することにより一体的にPC圧着接合されて構成され、前記PC柱3には、所定の勾配に合わせた高さで梁受け用顎13、13a、13bが突出形成され、前記PC梁の内外周縁側の梁4a、4bは、長手方向において円形状ランプと同心円となる曲線状に形成されている構成としたことにより、建物本体1と同様のプレキャスト部材を現場でPC圧着関節工法によって、本発明のPC免震ランプウェー建造物2は建物本体1と同時に構築することができるから、施工時にも車両を各階に乗り入れ、直接荷役作業を行えるから、作業性が大幅に向上するのであり、この種の物流センターや倉庫等の物流施設において広く利用できる。
また、本願発明において、PCランプウェー建造物の上部構造躯体は、主な柱梁ともプレキャストプレストレストコンクリート造(PCaPC造)とする。柱梁構造部材の断面に配置されたPC鋼材を緊張定着することによって、想定される荷重に対して、予め抵抗できるようにコンクリート部材断面にプレストレスは与えられている。
プレストレス力は、予め部材内部に存在している内力であり、常に部材の変形方向と反対に作用しているから、PC鋼材が弾性範囲であればバネのように働き、地震などによって建物が変形しようとしたときの抵抗する力になり、振り子のように変形した建物を元に戻そうとしている。これは、プレストレスによる復元力と言い、変形時元の状態に戻そうとする力になる。この効果をプレストレスによる制震/制振効果と称する。この制震/制振効果は、RC構造や鉄骨構造等には得られないものである。
従って、本願発明のPCランプ構造物は、極めて耐震性能が高い構造物だけでなく、制震/制振構造物にもなる。常時大型車両による振動を大幅に軽減すると共に、地震時の変形を小さく押えることができる。さらに、常時車両振動や地震を受けた後に、PC復元力によってPCランプ構造物が元の状態に復帰し残留変形は生じないという特性を持つ構造物になる。
さらに、免震工法との組みあわせによるPC免震ランプウェー構造は、上部ランプ構造を鉄骨造とする場合に比べ、剛性が高くて振動を小さく抑えることができ、超耐久性を有するから、常時メンテナスに必要はない。地震に対しては、免震装置の免震効果とPC圧着関節工法によるPC構造の耐震・制震効果との相乗効果により、震度7級の巨大地震にも対応可能となる。
1 建物本体
2 ランプウェー建造物
3 PC柱
3a 短柱
4、4a、4b、4c 大梁(PC大梁)
5 地盤
5a 盛土
6 杭
7 基礎スラブ
8 台座部
9 免震装置
10 フーチングと
10a 外側フーチング
10b 内側フーチング
11 床スラブ
12 小梁
13、13a、13b 顎
14、14a、14b、… 入り口通路
15 メイン通路
16a、16b、… 出口通路
17 起ち上がり部
18 PC圧着剛接合
19 PC圧着ピン接合
20、23、24 PC鋼材
21 繋ぎ部分
22 PC鋼材接続部
25 目地材(目地モルタル)
26 空目地
27 走行車路(スラブ)
28 目隠し部
29 凹部
30 コンクリート壁
A 基礎
B 上部構造躯体

Claims (4)

  1. 建物本体に隣接して、基礎と、該基礎から前記建物本体の最上階まで所定の勾配で各階層に繋がる螺旋状に構築された上部構造躯体とを備えたランプウェー建造物であって、
    前記上部構造躯体は、主としてプレキャストコンクリートで形成されたPC柱とPC梁であり、柱梁接合部において、PC柱には、所定の勾配に合わせた高さで梁受け用顎が突出形成され、PC柱とPC梁の端部との隙間に目地材を充填し、PC鋼材を緊張定着することにより一体的にPC圧着接合して構成され、
    前記柱梁接合部における一部の所定箇所には、前記PC鋼材を一段配線にすると共に、前記隙間においては、配線側にのみ目地材を充填し,配線しない側を空目地としたPC圧着ピン接合が形成されること
    を特徴とするPCランプウェー建造物。
  2. 前記PC梁の内外周縁側の梁は、長手方向において円形状ランプと同心円となる曲線状に形成されていること
    を特徴とする請求項1に記載のPCランプウェー建造物。
  3. 前記内外周縁側の少なくとも外側周縁のPC梁において、PC柱の梁受け顎の底部までの目隠し部を延設したこと
    を特徴とする請求項に記載のPCランプウェー建造物。
  4. 前記基礎と上部構造躯体との間に、免震装置を介在させてあること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のPCランプウェー建造物。
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