JP2008115567A - 建築物の制震補強方法及び制震補強構造を有する建築物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】既存建築物1の外側に該既存建築物の高さよりも高い柱5,7を立設するとともに、前記既存建築物の上部に制震機器6を設置し、その後、該柱同士を前記既存建築物の上方において梁10により連結し、該梁とその下方にある制震機器6とを連結する。
【選択図】図3
Description
しかしながら、現在、我が国には旧耐震基準で設計された建物が数多く存在しており、これらの建物は、大規模な地震が発生した場合には強度不足のために倒壊する危険性を抱えている。
本来ならば、旧耐震基準で設計された建物は、新耐震基準で設計した建物に建て替えればよいのであるが、実際には施工コスト等の問題があり、建て替えがなかなか進まないのが実状である。
この開示技術は、既存建築物の基礎を補強することによって、既存建築物の耐震性を向上させることが可能であり、しかも同時に居住空間を拡大することができる優れた技術であった。
しかしながら、既存建築物の基礎を補強するため、地面を掘り返しての作業が必要となるために手間がかかり、特に、既存建築物が大規模な建物の場合にはその作業が非常に大変であるという問題があった。
図1乃至図4は本発明に係る建築物の制震補強方法の一例を工程順に示す図であって、図1は施工前の状態、図4は施工完了の状態を示している。
図2では、外側柱(5)は、既存建築物(1)を挟んで対向する一方側と他方側に夫々複数本ずつ直線状に並んで立設されている。
尚、新規構造物(8)の構築は、外側柱(5)を立設する前に行ってもよいし、後に行ってもよい。
制震機器(6)としては、建築物において用いられている公知の制震機器(免震機器ともいう)を使用することができる。例えば、上下一対の接続用金属板と、その間に交互に多数積層されたゴム板及び金属板とからなる積層支持体(いわゆるアイソレータ)や、その積層支持体の内部に粘性流体を封入して粘性流体の変形による減衰効果を持たせたもの等を使用することができる。
この梁(10)と制震機器(6)との連結は、ボルト及びナットや溶接等の公知の手段により行うことができる。
外壁(13)は、(a)図に示すように、既存建築物(1)を部分的に覆うように設けてもよいし、(b)図に示すように、既存建築物(1)の全体を覆うように設けてもよい。
(b)図は、新規構造物(8)と既存建築物(1)とを同数階とした場合の完成状態の建築物を(a)図と同じ断面で見た図である。この場合には、既存建築物(1)の2つの建物(2)の間のみに新たな居住空間が形成される。
そのため、地震により発生した既存建築物(1)の揺れを、外側柱(5)及び梁(10)と一体化された制震機器(6)により上方から抑制することができ、制震性能に優れたものとなる。一般に、建築物の揺れの程度は上方に至るにつれて大きくなるため、上方に制震機器(6)を設けた構造は、上層階の揺れを抑制するために効果的である。
また、制震機器(6)は、既存建築物(1)の地下ではなく屋上に設置されるため、設置作業が非常に容易である。従って、施工効率に優れ、制震補強工事の工期を大幅に短縮することができる。
特に、閉鎖空間(4)に新規構造物(8)を構築してそこに新たな居住空間を形成することにより、既存建築物(1)において有効利用されていなかったデッドスペースを活用することができる。
例えば、同様に建物により囲まれた閉鎖空間を有する既存建築物が、II、ロ、日、目、月、田等の平面視形状であるものに対して適用することも可能である。
既存建築物(1)が平面視ロ字形状を有する建物である場合、図6に示すように制震機器(6)は、既存建築物(1)の上部のロ字形状に沿って配置される。
図6においては図示していないが、閉鎖空間(4)には、図2及び図3に示したように、既存建築物(1)の高さよりも高い内側柱(7)が立設されて該既存建築物と同数階以上の新規構造物(8)が構築される。そして、内側柱と既存建築物の外側に立設された柱(5)とが該既存建築物の上方において梁(10)により連結され、該梁とその下方にある制震機器(6)とが連結される。
(a)図は、新規構造物(8)の階数を既存建築物(1)よりも多くして既存建築物(8)の上方に新たな居住階を形成した例であり、(b)図は、新規構造物(8)の階数を既存建築物(1)と同じとして既存建築物(8)の上方に新たな居住階を形成していない例である。
図8は、既存建築物(1)が平面視L字形状を有する建物である場合の説明図である。
既存建築物(1)が平面視L字形状を有する建物である場合、図に示すように制震機器(6)は、既存建築物(1)の上部のL字形状に沿って配置される。
図8においては図示していないが、L字の内側部分(11)には、既存建築物(1)の高さよりも高い内側柱(7)が立設されて該既存建築物と同数階以上の新規構造物(8)が構築される。そして、内側柱と既存建築物の外側に立設された柱(5)とが該既存建築物の上方において梁(10)により連結され、該梁とその下方にある制震機器(6)とが連結される。
この図は、新規構造物(8)の階数を既存建築物(1)よりも多くして既存建築物(8)の上方に新たな居住階を形成した例であるが、図7(b)図に示したように、新規構造物(8)の階数を既存建築物(1)と同じとして既存建築物(8)の上方に新たな居住階を形成しなくてもよい。
図10は、既存建築物(1)が離れて互いに平行に構築された2つの建築物である場合の説明図である。
既存建築物(1)が離れて構築された複数の建築物である場合、図示の如く、制震機器(6)は、それぞれの既存建築物(1)の上部の外縁に沿って配置される。
図10においては図示していないが、複数の既存建築物(1)の間には、既存建築物(1)の高さよりも高い内側柱(7)が立設されて該既存建築物と同数階以上の新規構造物(8)が構築される。そして、内側柱と既存建築物の外側に立設された柱(5)とが該既存建築物の上方において梁(10)により連結され、該梁とその下方にある制震機器(6)とが連結される。
(a)図は、新規構造物(8)の階数を既存建築物(1)よりも多くして既存建築物(8)の上方に新たな居住階を形成した例であり、(b)図は、新規構造物(8)の階数を既存建築物(1)と同じとして既存建築物(8)の上方に新たな居住階を形成していない例である。
以下、この変更例に係る方法(第二実施形態)について、上述した方法(第一実施形態)との相違点を中心に説明する。
第二実施形態の方法では、第一工程として、既存建築物(1)の外側に設置した新規基礎上に該既存建築物の高さよりも高い柱(5)(以下、外側柱(5)と称す)を立設するとともに、既存建築物(1)の上部(屋上面)及び側部(外壁面)に制震機器(6)を設置する。
尚、第二実施形態において、既存建築物(1)の側部に設置される制震機器(6)は、既存建築物(1)の階と階の境界部分の位置に配置される。
尚、新規構造物(8)の構築は、外側柱(5)を立設する前に行ってもよいし、後に行ってもよい。
制震機器(6)としては、第一実施形態と同様の、公知の制震機器を使用することができる。
この梁(10)、外側柱(5)、内側柱(7)と制震機器(6)との連結は、ボルト及びナットや溶接等の公知の手段により行うことができる。
外壁(13)は、(a)図に示すように、既存建築物(1)を部分的に覆うように設けてもよいし、(b)図に示すように、既存建築物(1)の全体を覆うように設けてもよい。
(b)図は、新規構造物(8)と既存建築物(1)とを同数階とした場合の完成状態の建築物を(a)図と同じ断面で見た図である。この場合には、既存建築物(1)の2つの建物(2)の間のみに新たな居住空間が形成される。
そのため、地震により発生した既存建築物(1)の揺れを、制震機器(6)により上方と側方の2方向から抑制することができ、第一実施形態に比べて、制震性能に更に優れたものとなる。
また、制震機器(6)は既存建築物(1)の地下ではなく屋上や外壁に設置されるため、設置作業が非常に容易である。従って、施工効率に優れ、制震補強工事の工期を大幅に短縮することができる。
既存建築物(1)が平面視ロ字形状を有する建物である場合、図16に示すように制震機器(6)は、既存建築物(1)の上部のロ字形状に沿って配置されるとともに、側部にも配置される。
(a)図は、新規構造物(8)の階数を既存建築物(1)よりも多くして既存建築物(8)の上方に新たな居住階を形成した例であり、(b)図は、新規構造物(8)の階数を既存建築物(1)と同じとして既存建築物(8)の上方に新たな居住階を形成していない例である。
図18は、既存建築物(1)が平面視L字形状を有する建物である場合の説明図である。
既存建築物(1)が平面視L字形状を有する建物である場合、図に示すように制震機器(6)は、既存建築物(1)の上部のL字形状に沿って配置されるとともに、側部にも配置される。
この図は、新規構造物(8)の階数を既存建築物(1)よりも多くして既存建築物(8)の上方に新たな居住階を形成した例であるが、図17(b)図に示したように、新規構造物(8)の階数を既存建築物(1)と同じとして既存建築物(8)の上方に新たな居住階を形成しなくてもよい。
図20は、既存建築物(1)が離れて互いに平行に構築された2つの建築物である場合の説明図である。
既存建築物(1)が離れて構築された複数の建築物である場合、図示の如く、制震機器(6)は、それぞれの既存建築物(1)の上部の外縁に沿って配置されるとともに、側部にも配置される。
(a)図は、新規構造物(8)の階数を既存建築物(1)よりも多くして既存建築物(8)の上方に新たな居住階を形成した例であり、(b)図は、新規構造物(8)の階数を既存建築物(1)と同じとして既存建築物(8)の上方に新たな居住階を形成していない例である。
2 渡り廊下により連結された複数の建物
3 渡り廊下
4 閉鎖空間
5 柱(外側柱)
6 制震機器
7 柱(内側柱)
8 新規構造物
9 梁
10 梁
Claims (12)
- 既存建築物の外側に該既存建築物の高さよりも高い柱を立設するとともに、前記既存建築物の上部に制震機器を設置し、その後、該柱同士を前記既存建築物の上方において梁により連結し、該梁とその下方にある前記制震機器とを連結することを特徴とする建築物の制震補強方法。
- 既存建築物の外側に該既存建築物の高さよりも高い柱を立設するとともに、前記既存建築物の上部及び側部に制震機器を設置し、その後、該柱同士を前記既存建築物の上方において梁により連結し、該梁とその下方にある前記制震機器並びに該柱とその側方にある前記制震機器とを連結することを特徴とする建築物の制震補強方法。
- 前記柱の高さを少なくとも前記既存建築物よりも一階分以上高いものとし、該柱を利用して前記既存建築物の上方に一階分以上の新たな居住階を形成することを特徴とする請求項1又は2記載の建築物の制震補強方法。
- 前記既存建築物が建物により囲まれた閉鎖空間を有する建築物であって、該閉鎖空間に前記既存建築物の高さよりも高い内側柱を立設して該既存建築物と同数階以上の新規構造物を構築し、前記内側柱と前記既存建築物の外側に立設された柱とを該既存建築物の上方において梁により連結し、該梁とその下方にある前記制震機器とを連結することを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の建築物の制震補強方法。
- 前記既存建築物が離れて構築された複数の建築物であって、該複数の建築物の間に前記既存建築物の高さよりも高い内側柱を立設して該既存建築物と同数階以上の新規構造物を構築し、前記内側柱と前記既存建築物の外側に立設された柱とを該既存建築物の上方において梁により連結し、該梁とその下方にある前記制震機器とを連結することを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の建築物の制震補強方法。
- 前記内側柱とその側方にある前記制震機器とを連結することを特徴とする請求項4又は5記載の建築物の制震補強方法。
- 既存建築物の外側に該既存建築物の高さよりも高い柱が立設され、前記既存建築物の上部に制震機器が設置され、前記柱同士が前記既存建築物の上方において梁により連結され、該梁とその下方にある前記制震機器とが連結されていることを特徴とする建築物。
- 既存建築物の外側に該既存建築物の高さよりも高い柱が立設され、前記既存建築物の上部及び側部に制震機器が設置され、前記柱同士が前記既存建築物の上方において梁により連結され、該梁とその下方にある前記制震機器並びに該柱とその側方にある前記制震機器とが連結されていることを特徴とする建築物。
- 前記柱の高さが少なくとも前記既存建築物よりも一階分以上高く、該柱を利用して前記既存建築物の上方に一階分以上の新たな居住階が形成されていることを特徴とする請求項7又は8記載の建築物。
- 前記既存建築物が建物により囲まれた閉鎖空間を有する建築物であって、該閉鎖空間に前記既存建築物の高さよりも高い内側柱が立設されて該既存建築物と同数階以上の新規構造物が構築され、前記内側柱と前記既存建築物の外側に立設された柱とが該既存建築物の上方において梁により連結され、該梁とその下方にある前記制震機器とが連結されていることを特徴とする請求項7乃至9いずれかに記載の建築物。
- 前記既存建築物が離れて構築された複数の建築物であって、該複数の建築物の間に前記既存建築物の高さよりも高い内側柱が立設されて該既存建築物と同数階以上の新規構造物が構築され、前記内側柱と前記既存建築物の外側に立設された柱とが該既存建築物の上方において梁により連結され、該梁とその下方にある前記制震機器とが連結されていることを特徴とする請求項7乃至9いずれかに記載の建築物。
- 前記内側柱とその側方にある前記制震機器とが連結されていることを特徴とする請求項10又は11記載の建築物。
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