JP2001123696A - 構造物の制震方法 - Google Patents

構造物の制震方法

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JP2001123696A JP30513499A JP30513499A JP2001123696A JP 2001123696 A JP2001123696 A JP 2001123696A JP 30513499 A JP30513499 A JP 30513499A JP 30513499 A JP30513499 A JP 30513499A JP 2001123696 A JP2001123696 A JP 2001123696A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造物の振動エネルギーを他の構造物に蓄
え、消費させるように制震装置を制御することで、1ま
たは複数の構造物の振動を効率的に低減させる。 【解決手段】 固有周期その他の振動特性が異なる複数
の構造物A,B,Cの間に、制震装置1を設置する。制
震装置1はロック、アンロック等の接続状態を可変とし
たものであり、地震や風等による各構造物A,B,Cの
応答に応じて能動的に制御する。例として、地震入力に
対しては、揺れの大きい構造物の振動エネルギーを揺れ
の小さい構造物に蓄え、消費させるように制震装置1を
制御し、揺れの大きい構造物の振動を低減させる。風外
力に対しては、大きな揺れを生ずる高さの高い構造物の
振動エネルギーを高さの低い構造物に蓄え、消費させる
ようにし、高さの高い構造物の振動を低減させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、地震や風、ある
いは機械振動等による構造物の振動を低減するための制
震方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、構造物内に可変減衰機構を有する
制震装置をブレース等の付加耐震要素を介して設置し、
応答を低減する制震構造が知られている(特公平7−4
5781号公報、特願平10−37175号等参照) また、特開平10−131544号公報には、構造物内
への制震装置設置上の制約から、構造物本体に対し付属
的な独立架構を設け、構造物本体と独立架構との間にア
クティブ制震装置を配置したものが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特公平7−45781
号記載の発明は、構造物内に設置した可変減衰装置を制
御することにより構造物に減衰力を付与してその応答を
低減するものであるが、主として柱梁架構の応答をもと
に制御しているため、図9の荷重−変形関係で示す構造
上の制約範囲(図中の平行四辺形の範囲)を超えること
ができない。それは、制震装置としてパッシブダンパを
用いた場合も同様である。
【0004】また、出願人の先の出願である特願平10
−37157号記載の発明は、構造物内に設置した可変
減衰装置を、ブレース等の付加耐震要素の振動を増加さ
せるよう制御することにより構造物の応答を低減するも
のであるが、付加耐震要素という超短周期構造の振動を
増加させるため、反応速度性能の非常に高い制震装置が
必要となる。
【0005】特開平10−131544号公報記載の発
明は、主として制震装置の設置スペース等に関する問題
の解決を図ったものであり、制御方法については特に限
定されておらず、また言及されていない。
【0006】本願発明は、対象構造物の振動エネルギー
を、付加耐震要素等と比べてはるかに周期の長い他の構
造物に蓄え、消費させるように制震装置により制御する
ことで、より実現性が高く、かつ効率的に対象構造物の
振動を低減することのできる具体的な制震方法を提供す
ることを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本願の請求項1に係る構
造物の制震方法は、複数の構造物間に制震装置を設置
し、前記制震装置による構造物間の接続状態を制御する
ことにより、構造物の振動エネルギーを他の構造物に蓄
え、消費させ、1または複数の構造物の振動を低減させ
ることを特徴とするものである。
【0008】個々の構造物は、その高さや断面形状によ
って、それぞれ固有周期が異なるのが一般的であり、ま
た1つの構造物について方向によっても振動特性が異な
る。
【0009】従来、このような振動特性の異なる複数の
構造物間に、オイルダンパー等の受動型のダンパーを介
在させて振動エネルギーを吸収することは行われている
が、本願発明では構造物間に能動制御型の制震装置を介
在させ、その接続状態を変化させる(例えば、ロック、
アンロック、あるいは中間的な接続状態でもよい)こと
で、制震の対象となる構造物の振動エネルギーを他の構
造物に蓄え、消費させるものである。
【0010】制震装置による制御を必要とする場合とし
ては、地震や風等の振動外力が入力した場合(例え
ば、構造物の所定以上の応答をセンサーによって検知し
た場合等)、地震等を遠方の地震計等により事前に検
知し、コンピューターなどで地震入力あるいは応答を予
測して制御する場合、振動源が構造物内部にあり(機
械振動等)、その振動に対して制御を行う場合等が挙げ
られる。
【0011】振動抑制の対象となる構造物が、複数の構
造物のうちの揺れの大きい構造物である場合には、相対
的に揺れの小さい構造物に振動エネルギーを蓄え、消費
させることが考えられる。
【0012】また、振動抑制の対象となる構造物は、必
ずしも揺れの大きい構造物である必要はなく、重要な構
造物の揺れを相対的に重要でない構造物を利用し、低減
することも考えられる。その他、主構造物と付属構造
物、あるいは建屋本体と設備機器等、構造物どうしの関
係を考慮し、種々の組み合わせが考えられる。
【0013】本願の請求項2に係る構造物の制震方法
は、固有周期の異なる複数の構造物間に制震装置を設置
し、地震外力が入力した際、前記制震装置による構造物
間の接続状態を制御することにより、構造物の振動エネ
ルギーを他の構造物に蓄え、消費させ、1または複数の
構造物の振動を低減させることを特徴とするものであ
る。
【0014】請求項2は、請求項1に係る発明の一形態
と考えることができ、地震外力に対し、例えば揺れの大
きい構造物の振動エネルギーを揺れの小さい構造物に蓄
え、消費させることで、揺れの大きい構造物の応答を低
減させる場合や、揺れの大小とは関係なく、重要度の高
い構造物の振動エネルギーを重要度のより低い構造物に
蓄え、消費させることで、重要度の高い構造物の応答を
低減させる場合などがある。
【0015】本願の請求項3に係る構造物の制震方法
は、複数の構造物間に制震装置を設置し、風外力が入力
した際、前記制震装置による構造物間の接続状態を制御
することにより、構造物の振動エネルギーを他の構造物
に蓄え、消費させ、1または複数の構造物の振動を低減
させることを特徴とするものである。
【0016】請求項3も請求項2と同様、請求項1に係
る発明の一形態と考えることができ、特に風外力に対す
る制震を考えた場合において、一般的に揺れが大きくな
る高さの高い構造物の振動を高さの低い構造物を利用し
て低減する場合や、平面形状により風方向と直交方向の
振動が励起される構造物の振動エネルギーを他の構造物
に蓄えて、その振動を低減させる場合、またこれらとは
無関係に重要度の高い構造物の振動エネルギーを重要度
のより低い構造物に蓄え、消費させることで、重要度の
高い構造物の応答を低減させる場合などが適用対象とな
る。
【0017】請求項4は、請求項1に係る構造物の制震
方法において、前記複数の構造物が、主構造物と、該主
構造物とは別に設けた付属構造物とであり、主構造物と
付属構造物との間に制震装置を設置し、主構造物の振動
エネルギーを付属構造物に蓄え、消費させ、主構造物の
振動を低減させる場合である。
【0018】ここでいう付属構造物は、例えば建物の一
部として、ある特定の機能、用途を有するものの場合に
限らず、制震機能のみを目的としたものでもよい。
【0019】請求項5は、請求項1に係る構造物の制震
方法において、前記複数の構造物が、建屋本体と、該建
屋本体から独立した設備機器または収納架台とであり、
建屋本体と設備機器または収納架台との間に制震装置を
設置し、設備機器または収納架台の振動エネルギーを建
屋本体に蓄え、消費させ、設備機器または収納架台の振
動を低減させる場合である。
【0020】なお、設備機器や収納架台は、建屋本体の
外側に設けられる場合と建屋本体の内側に設けられる場
合がある。
【0021】請求項6は、請求項1、2、3、4または
5に係る構造物の制震方法において、制震の対象となる
構造物の応答速度(dx1 (t) /dt)と、構造物間に
設置した制震装置両端間の速度(dxD (t) /dt)
〔=(dx1 (t) /dt)−(dx2 (t) /dt)、こ
こで、(dx2 (t) /dt)は制震装置接続先の構造物
の応答速度〕を観測し、以下の式、式の両方の条件
を満足するとき、制震装置の接続状態をロック(接続)
の状態とし、いずれか一方でも満足しないときアンロッ
ク(非接続)の状態に切り換えるという制御を行うもの
である。
【0022】 (dx1 (t) /dt)×(dxD (t) /dt)≧0 … |dx1 (t) /dt|>ε … ここで、εは、0または0に近い微小量(例えば、1.
0×10-6cm/s程度で任意に設定)である。
【0023】請求項6は、具体的な制御則の一つを与え
るものであり、制震の対象となる構造物の応答速度や制
震装置両端間の速度について、プラス・マイナスの符号
が変わるタイミングに応じて制震装置の接続状態を切り
換えるものである。
【0024】請求項7は、上記請求項6に係る構造物の
制震方法において、式の代わりに、以下の式を用い
る場合である。
【0025】 (dx1 (t) /dt)×(dx1 (t−Δt)) /dt)>0 … ここで、Δtは速度情報サンプリング時間である。
【0026】請求項7は基本的な考え方は請求項6の場
合とほぼ同様であり、その判断にサンプリング時間の要
素を取り入れたものである。この他、制御則を与える式
については、制震装置やセンサーの性能、制御用コンピ
ュータ等に応じて、種々の改変が可能である。
【0027】請求項8は、請求項6または7に係る構造
物の制震方法において、制震装置の接続状態の切り換え
に際して、接続状態の急激な変化を避けるための緩衝範
囲を設定し、接続状態を徐々に切り換えて行くものであ
る。
【0028】請求項9は、請求項8に係る構造物の制震
方法において、前記緩衝範囲を、制震の対象となる構造
物の応答速度(dx1 (t) /dt)に対して、 |(dx1 (t) /dt)|≦Φ … と設定し、その範囲内においては、以下の式を満たす
ように制震装置の接続状態を切り換えるものである。
【0029】 F(t) =|Fφ/Φ|×(dx1 (t) /dt) … ここで、F(t) は制震装置にかかる力、Φは設計におい
て任意に設定される緩衝範囲幅(例えば0.5cm/s
程度)、Fφは(dx1 (t) /dt)が緩衝範囲に入る
際に制震装置にかかっていた力である。
【0030】請求項8に係る発明は、接続状態の急激な
変化が制震装置の機能上、困難であったり、あるいは一
時的な負荷の増大などにもつながるため、緩衝範囲を設
け、徐々に切り換えるようにしてスムーズな制震を実現
しようとするものである。
【0031】また、請求項9はその場合の具体的な制御
則の一例を与えるものである。
【0032】なお、制震装置に能力以上の荷重がかから
ないよう、制震装置にかかる力F(t) が、設計において
任意に設定された最大値Fmax に達した場合には、それ
以上の力が作用しないようにするための荷重制限機構を
制震装置に設けることが考えられる。
【0033】
【発明の実施の形態】図1は、本願の請求項1〜3に係
る構造物の制震方法の一実施形態における複数の構造物
と制震装置の配置を概略的に示したものである。
【0034】図1では3つの構造物A,B,Cを、能動
制御型の制震装置1でつないだ形になっており、1つの
ケースとして、構造物Aは平面積が大きく、高さが低
い、相対的に固有周期が短い構造物であり、構造物Bは
平面積が小さく、高さが高い、相対的に固有周期が長い
構造物であり、構造物Cが寸法および振動特性について
これらの中間となる場合を想定している。
【0035】請求項2における地震外力が入力した際、
固有周期は、構造物A<構造物C<構造物Bであるか
ら、短周期成分の卓越する地震に対しては、制震装置1
の接続状態を制御することで、比較的揺れの少ない構造
物Bに振動エネルギーを蓄え、消費させ、また長周期成
分の卓越する地震に対しては、比較的揺れの少ない構造
物Aに振動エネルギーを蓄え消費させることにより、他
の構造物の振動を効率良く低減することができる。
【0036】また、請求項3における風外力が入力した
際、建物の高さは、構造物A<構造物C<構造物Bであ
るから、比較的揺れの少ない構造物Aに振動エネルギー
を蓄え、消費させることにより、他の構造物の振動を効
率良く低減することができる。
【0037】なお、この例で示したように、本願発明で
は、振動低減の対象となる構造物、あるいは振動エネル
ギーを蓄え、消費させる特定の構造物とも、複数構造物
を対象とすることもできる。
【0038】図2〜図5は、それぞれ本願の請求項4に
係る構造物の制震方法の一実施形態における主構造物と
付属構造物および制震装置の配置を概略的に示したもの
である。これらは、いずれも振動低減の対象となる構造
物が主構造物2であり、制震装置1による接続状態を制
御することで、付属構造物3に振動エネルギーを蓄え、
消費させることで、主構造物2の振動を低減することが
できる。
【0039】図2は主構造物2の隅角部の外側に水平断
面がL型の付属構造物3を配置し、主構造物2と付属構
造物3を水平2方向の制震装置1でつなぎ、その接続状
態を制御するようにしたものである。
【0040】図3は主構造物2の4面に付属構造物3を
配置し、それぞれを水平1方向の制震装置1でつなぎ、
全体として水平2方向について制御できるようにしたも
のである。
【0041】図4は主構造物2の4周および上部を全て
付属構造物3で取り囲むように配置した場合であり、上
部にも制震装置1を設けている。
【0042】図5は図4の場合と逆に、主構造物2の内
部に付属構造物3を設けた場合の例である。主構造物2
の内部に付属構造物3を設ける例としては、例えば、主
構造物2である建物の吹抜け空間に、付属構造物3とし
てのモニュメント等を設置する場合等を挙げることがで
きる。
【0043】図6は本願の請求項5に係る構造物の制震
方法の一実施形態を示したもので、建屋本体4と設備機
器5との関係において、両者の間に制震装置1を介在さ
せ、設備機器5の振動エネルギーを建屋本体4に蓄え、
消費させ、設備機器5の振動を低減させる。
【0044】この場合の設備機器5の例としては、コン
ピュータ等の情報処理施設、火力発電所建屋におけるタ
ービンあるいはボイラー容器、原子力発電所建屋におけ
る原子炉格納容器等を挙げることができる。
【0045】図7は本願の請求項5に係る構造物の制震
方法の他の実施形態を示したもので、建屋本体4と、こ
の建屋本体から独立した収納架台6との間に制震装置1
を設置し、収納架台6の振動エネルギーを建屋本体4に
蓄え、消費させ、収納架台6の振動を低減させるように
したものである。
【0046】構造としては、図5と似ているが、図6
は、図5の主構造物2に相当する建屋本体4の振動低減
よりも、収納架台6の振動低減を優先させる場合であ
り、制震の対象が逆の関係にある。
【0047】図8は本願発明で用いる制震装置の一例と
しての油圧ダンパ形式の可変減衰装置の構造を原理的に
示したものである。この例は、両ロッド型の場合であ
り、シリンダ11内を移動するピストン12の両側の油
室13をつなぐ流路14に流量制御弁15が設けられ、
流量制御弁15を閉じると固定状態(ロック)、流量制
御弁15を全開するとフリーな状態(アンロック)とな
る。接続状態を連続的に変化させたい場合には、流量制
御弁15の開度を調整することになる。
【0048】図2〜図5の実施形態における制震装置1
として用いる場合には、例えばシリンダ11側を主構造
物2に固定し、ピストンロッド12a側を付属構造物3
側に固定することになる。あるいはその逆でもよい。
【0049】図9は請求項6、7に係る制御方法により
得られる制震装置にかかる力(制御力)と、振動低減の
対象構造物(ここでは、主構造とする)の変形の関係
を、荷重−変位履歴ループの形式で示したものである。
【0050】なお、この例は、制御力F(t) が、設定さ
れた最大値Fmax 以上に増加しないように荷重制限機構
を設けた場合である。
【0051】図において、履歴ループに囲まれた面積の
大きさが主構造物への付加減衰量、すなわち、主構造物
の振動エネルギー低減量を表しており、本願発明に係る
制震方法が従来の方法と比較して大きな振動低減効果を
有していることを読み取ることができる。
【0052】次に、解析シミュレーション例を示す。図
10は解析モデルを示したもので、主構造物と付属構造
物を1自由度系に置換し、それらを制震装置で接続した
基本モデルである。解析諸元を以下に示す。
【0053】 主構造物の質量m1 :980 ton 主構造物の剛性k1 :39.5 ton/cm 付属構造物の質量m2 :(m1 /4)ton 付属構造物の剛性k2 :4k1 ton/cm 装置設定最大力Fmax :100 ton 主構造物と付属構造物の固有周期は、それぞれ1sec 、
0.25sec (周期比4)となる。また、それぞれの1
次固有周期に対して、2%の減衰定数を仮定し、地動入
力加速度として周期1sec 、最大値100cm/s2 の正弦
波を採用した。
【0054】また、本願発明の制震方法の効果を確認す
るために、比較として制震装置にパッシブダンパを用い
た場合の解析も同時に実施した。
【0055】次に、請求項6と図9、図10の関係につ
いて物理的な面からの補足説明を行う。
【0056】図9の点aを振動開始点とすると、aから
bを経て、振動変位最大点である点cまでは制震装置を
ロックする。当然、その範囲では主構造物と付属構造物
は同じ変形(一体化して動く)となる。
【0057】請求項6の式でみると、bの区間では、x
1 =x2 >ε、dx1 (t) /dt=dx2 (t) /dt>
ε、dxD (t) /dt=εとなるので、、式の両者
の条件を満たし、すなわちロックの条件を満たしてい
る。
【0058】そして、変位最大点である点c(あるいは
速度符号の切り替わり点、つまり速度0の点)でアンロ
ックにする。当然、その後、主構造物と付属構造物は別
々に動くことになる。
【0059】請求項6の式でみると、点cでは、x1
2 =xmax 、dx1 (t) /dt=dx2 (t) /dt=
ε、dxD (t) /dt=εとなるので、式の条件は満
たすが、式の条件を満たさず、すなわちアンロックと
なる。
【0060】そして、dを経て、主構造物と付属構造物
の速度が等しくなる(つまりは、その間の相対速度を表
す装置速度が0となる)点eでロックする。なお、ここ
では、主構造物の固有周期T1 >付属構造物の固有周期
2 とする。
【0061】請求項6の式でみると、dの区間では、d
2 (t) /dt<dx1 (t) /dt<ε、dxD (t) /
dt>0となり(dxD (t) /dtのみ正の値)、式
の条件は満たすが、式の条件を満たさず、すなわちア
ンロックのままとなる。
【0062】また、点eにくると、dx1 (t) /dt=
dx2 (t) /dt>ε、dxD (t)/dt=εとなるの
で、、式の両者の条件を満たし、ロックとなる。
【0063】すると、再び、主構造物と付属構造物は一
体化して動き、図9の点fに至る。以降、点aから点f
までと同じ挙動を繰り返すよう制震装置の接続状態を制
御する。
【0064】その時の主構造の変形と制震装置にかかる
力(制御力)の関係を描いたものが図9であり、装置の
接続状態を請求項6の、式に従わせるだけで、上記
の制御が可能となる。
【0065】図11は応答時刻歴波形を示したもので、
本願発明とパッシブダンパによる解析結果を比較する
と、制御力の最大値はほぼ等しいが、主構造物の変形は
本願発明の制震方法による方が大きく低減されることが
分かる。
【0066】図12は制御力と主構造物の変形の履歴ル
ープを示したもので、本願発明の制震方法によれば、主
構造物の変形が大きく低減され、図9で示した通りの形
を描くことになる。
【0067】
【発明の効果】本願発明の制震方法では、対象構造物の
振動エネルギーを他の構造物に蓄え、消費させるよう制
震装置により能動的に制御することで、より効率的に振
動を低減することができる。
【0068】また、既存構造物のリニューアルとして、
地震・風等の外力に対する制震機能を付加する場合、複
数の構造物間に制震装置を設置するため、対象構造物の
架構内部を変更することなく適用することができる。
【0069】本願発明は、複数の構造物間に制震装置を
設置し、対象構造物の振動エネルギーをブレース等の付
加耐震要素と比べてはるかに周期の長い特定の構造物に
蓄え、消費させるよう制震装置を制御するものであり、
既存の制震装置を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願の請求項1〜3に係る構造物の制震方法
の一実施形態における複数の構造物と制震装置の配置を
概略的に示す立面図である。
【図2】 本願の請求項4に係る構造物の制震方法の一
実施形態における主構造物と付属構造物および制震装置
の配置を概略的に示したもので、(a) は立面図、(b) は
平面図である。
【図3】 本願の請求項4に係る構造物の制震方法の他
の実施形態における主構造物と付属構造物および制震装
置の配置を概略的に示したもので、(a) は立面図、(b)
は平面図である。
【図4】 本願の請求項4に係る構造物の制震方法のさ
らに他の実施形態における主構造物と付属構造物および
制震装置の配置を概略的に示したもので、(a) は立面
図、(b) は平面図である。
【図5】 本願の請求項4に係る構造物の制震方法のさ
らに他の実施形態における主構造物と付属構造物および
制震装置の配置を概略的に示したもので、(a) は立面
図、(b) は平面図である。
【図6】 本願の請求項5に係る構造物の制震方法の一
実施形態における建屋本体と設備機器および制震装置の
配置を概略的に示す立面図である。
【図7】 本願の請求項5に係る構造物の制震方法の他
の実施形態における建屋本体と収納架台および制震装置
の配置を概略的に示す立面図である。
【図8】 本願発明で用いる制震装置の一例としての油
圧ダンパ形式の可変減衰装置の構造を示す原理図であ
る。
【図9】 制震装置にかかる力(制御力)と制震の対象
となる主構造の変形の関係について、従来の制御方法と
本願発明による制御方法を比較して示したグラフであ
る。
【図10】 本願発明の制震方法における構造物等の解
析モデルを示す図である。
【図11】 従来のパッシブダンパによる制御と、本願
発明における制御を比較したもので、(a) は制震の対象
となる主構造物の変形の応答時刻歴波形、(b) は主構造
物の加速度、(c) は制震装置にかかる力(制御力)のグ
ラフである。
【図12】 制震装置にかかる力(制御力)と制震の対
象となる主構造物の変形の関係を示すグラフであり、
(a) は本願発明の制御方法の場合、(b) は従来のパッシ
ブダンパによる制御方法の場合である。
【符号の説明】
1…制震装置、2…主構造物、3…付属構造物、4…建
屋本体、5…設備機器、6…収納架台、11…シリン
ダ、12…ピストン、12a…ピストンロッド、13…
油室、14…流路、15…流量制御弁

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の構造物間に制震装置を設置し、前
    記制震装置による構造物間の接続状態を制御することに
    より、構造物の振動エネルギーを他の構造物に蓄え、消
    費させ、1または複数の構造物の振動を低減させること
    を特徴とする構造物の制震方法。
  2. 【請求項2】 固有周期の異なる複数の構造物間に制震
    装置を設置し、地震外力が入力した際、前記制震装置に
    よる構造物間の接続状態を制御することにより、構造物
    の振動エネルギーを他の構造物に蓄え、消費させ、1ま
    たは複数の構造物の振動を低減させることを特徴とする
    構造物の制震方法。
  3. 【請求項3】 複数の構造物間に制震装置を設置し、風
    外力が入力した際、前記制震装置による構造物間の接続
    状態を制御することにより、構造物の振動エネルギーを
    他の構造物に蓄え、消費させ、1または複数の構造物の
    振動を低減させることを特徴とする構造物の制震方法。
  4. 【請求項4】 前記複数の構造物が、主構造物と、該主
    構造物とは別に設けた付属構造物とであり、主構造物と
    付属構造物との間に制震装置を設置し、主構造物の振動
    エネルギーを付属構造物に蓄え、消費させ、主構造物の
    振動を低減させる請求項1記載の構造物の制震方法。
  5. 【請求項5】 前記複数の構造物が、建屋本体と、該建
    屋本体から独立した設備機器または収納架台とであり、
    建屋本体と設備機器または収納架台との間に制震装置を
    設置し、設備機器または収納架台の振動エネルギーを建
    屋本体に蓄え、消費させ、設備機器または収納架台の振
    動を低減させる請求項1記載の構造物の制震方法。
  6. 【請求項6】 制震の対象となる構造物の応答速度(d
    1 (t) /dt)と、構造物間に設置した制震装置両端
    間の速度(dxD (t) /dt)〔=(dx1(t) /d
    t)−(dx2 (t) /dt)、ここで、(dx2 (t) /
    dt)は制震装置接続先の構造物の応答速度〕を観測
    し、 以下の式、式の両方の条件を満足するとき、制震装
    置の接続状態をロック(接続)の状態とし、いずれか一
    方でも満足しないときアンロック(非接続)の状態に切
    り換える請求項1、2、3、4または5記載の構造物の
    制震方法。 (dx1 (t) /dt)×(dxD (t) /dt)≧0 … |(dx1 (t) /dt)|>ε … ここで、εは、0または0に近い微小量である。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の構造物の制震方法におい
    て、式の代わりに、以下の式を用いる構造物の制震
    方法。 (dx1 (t) /dt)×(dx1 (t−Δt)) /dt)>0 … ここで、Δtは速度情報サンプリング時間である。
  8. 【請求項8】 制震装置の接続状態の切り換えに際し
    て、接続状態の急激な変化を避けるための緩衝範囲を設
    定し、接続状態を徐々に切り換えて行く請求項6または
    7記載の構造物の制震方法。
  9. 【請求項9】 前記緩衝範囲を、制震の対象となる構造
    物の応答速度(dx 1 (t) /dt)に対して、 |(dx1 (t) /dt)|≦Φ … と設定し、その範囲内においては、以下の式を満たす
    ように制震装置の接続状態を切り換える請求項8記載の
    構造物の制震方法。 F(t) =|Fφ/Φ|×(dx1 (t) /dt) … ここで、F(t) は制震装置にかかる力、Φは設計におい
    て任意に設定される緩衝範囲幅、Fφは(dx1 (t) /
    dt)が緩衝範囲に入る際に制震装置にかかっていた力
    である。
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