JP2541073B2 - 構造物の振動制御方法 - Google Patents

構造物の振動制御方法

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JP2541073B2
JP2541073B2 JP4123418A JP12341892A JP2541073B2 JP 2541073 B2 JP2541073 B2 JP 2541073B2 JP 4123418 A JP4123418 A JP 4123418A JP 12341892 A JP12341892 A JP 12341892A JP 2541073 B2 JP2541073 B2 JP 2541073B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は構造物の柱梁架構内に設
置したダンパーとしての減衰装置により、風や地震等の
振動外力に対し、それぞれの振動レベルに応じて高い減
衰効果を発揮できるようにした構造物の振動制御方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】出願人は構造物の柱梁架構内に、ブレー
スや壁等の形で可変剛性要素(耐震要素)を組み込み、
可変剛性要素自体の剛性、あるいは架構本体と可変剛性
要素との連結状態を可変とし、地震や風等の振動外力に
対し、振動外力の特性をコンピューターにより解析し
て、非共振となるよう構造物の剛性を変化させて構造物
の安全を図る能動型制震システム、可変剛性構造等を種
々提案している(例えば特開昭62−268479号、
特開昭63−114770号、特開昭63−11477
1号等)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の可変剛性要素を
組み込んだ形式の能動型制震システムは、主として地震
動等の卓越周期と、構造物の固有振動数との関係に着目
し、卓越周期に対し、構造物の固有振動数を能動的にず
らすことにより、共振現象を避け、応答量の低減を図っ
ている。
【0004】しかし、能動型制震システムの場合、制御
用のコンピューターの他、駆動装置や、各種センサーを
用いるため、何らかの異常があった場合に対し、種々の
安全維持機構を必要とする等、制御機構が複雑となり、
コスト面での問題も考えられる。また、制御の遅れによ
り十分な効果を発揮するまで時間を要するような場合も
考えられる。
【0005】これに対し、柱梁架構内にダンパーとして
の減衰装置を設置し、減衰装置の減衰係数c(t/kine)
を適切な値に設定することで、建物の振動を低減する受
動型制振システムが構成されるが、この場合、振動低減
の目標とする外力が地震であるか、風外力であるかによ
って、最適な減衰係数cの値が異なる。
【0006】例えば、風による構造物の揺れは、日常、
頻繁に起こるものであり、特に高層建物等では固有周期
が長くなるため、風により長周期の大きな揺れが生じや
すく、船酔い現象の原因となっている。このような風に
よる構造物の揺れは、構造物の1次振動モードが支配的
であるため、1次の減衰定数が大きいほど、構造物の応
答が低減される。また、構造物の剛性が大きい(短周
期)ほど、揺れは小さくなる。これに対し、比較的規模
の大きい地震を振動低減の目標と考えた場合、最適な減
衰係数cは、風外力に対する最適な減衰係数cに比べ、
小さい値となる。
【0007】また、減衰係数cがすべての振動レベルに
ついて一定である場合、さらに規模の大きい大地震によ
り、減衰装置に装置の耐力以上の減衰力が生じるという
問題がある。
【0008】本発明はコンピュータープログラム等によ
る制御システムを必要としない受動型制震方法におい
て、遭遇頻度の高い風外力と地震動の力の大きさの差に
着目し、両者に対して最適な減衰係数を与えることで、
風、地震の両者の振動に対して大きな振動低減効果を与
え、それにより快適な居住空間を提供することを目的と
したものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明では構造物の柱梁
架構内にブレース、壁等の耐震要素を設け、その柱梁架
構と耐震要素の間、あるいは耐震要素どうしの間に所定
の減衰係数を与えるダンパーとしての減衰装置を設置す
る。減衰装置は構造物内に1または複数(実際的には複
数)設置され、構造物に対し所定の減衰係数cを与え
る。
【0010】減衰装置は装置に生じる速度と荷重の関係
が線形に近くなる特性を持つものであり、概念的には、
例えばシリンダー本体から出入するピストンロッドを有
し、ピストンの両側に形成された油圧室を連通させる流
路に開度が調整可能な調圧弁を設けた油圧形式のもの等
を用いることができる。この場合、減衰装置に生じる速
度(シリンダー本体とピストンロッドの相対速度)と荷
重の関係が線形に近い特性を持つ。
【0011】このような1または複数の減衰装置からな
る減衰係数設定手段を設けた構造物について、減衰係数
cを種々の値に変化させて複素固有値解析を行うこと
で、それぞれの減衰係数cに応じて構造物の複素固有値
λi が求まる。
【0012】本発明ではこの複素固有値から、まず、 hi =−Re (λi ) /|λi | …(1) (ただし、λi は構造物のi次振動モードを与える複素
固有値、Re(λi )はその実数部)によって求まる構
造物のi次振動モードに対するi次減衰定数hi の最大
値を与える減衰係数ci と、 T1 =2π/Imag (λ1 ) …(2) (ただし、Imag (λ1 ) は複素固有値λ1 の虚数
部)によって求まる1次固有周期T1 が短くなってほぼ
安定する値を与える減衰係数cT を求める。
【0013】より具体的には、1次減衰定数h1 の最大
値を与える減衰係数c1 、2次減衰定数h2 の最大値を
与える減衰係数c2 、3次減衰定数h3 の最大値を与え
る減衰係数c3 、及びcT を求め、減衰特性が(a) 主と
して頻度の高い風振動に対応する第1振動レベルに対し
ては、 c1 <c<cT …(3) (b) 第1振動レベルより大きい振動レベルであり、主と
して比較的規模の大きい地震動に対応する第2振動レベ
ルに対しては、 c3 <c<c1 …(4) (c) 第2振動レベルより大きい振動レベルであり、減衰
係数設定手段を構成する減衰装置に所定の設計荷重Fy
以上の減衰力が生じる第3振動レベル(例えば地震動の
速度で25kineレベル以上のレベル)に対しては、 c<c3 …(5) となるよう減衰装置設定手段の設定を行う。
【0014】なお、第3振動レベルに対する(c) の場
合、減衰装置に過大な減衰力が作用しないようにするた
めには、減衰装置にリリーフ弁等を設け、振動レベルに
応じて減衰係数cが十分小さくなるようにすることが望
ましい。
【0015】
【作用】
(a) 主として頻度の高い風振動に対応する第1振動レベ
ルの範囲において、減衰係数cをc1 <c<cT の範囲
に設定することで、構造物の周期は短い側でほぼ安定
し、風に対する変位応答が低減される。
【0016】(b) 主として比較的規模の大きい地震動に
対応する第2振動レベルの範囲において、減衰係数cを
3 <c<c1 の範囲に設定することで、固有周期が長
い状態にあり、かつ応答に影響の大きい1〜3次の振動
モードにおける減衰定数h1 〜h3 が大きいため、地震
応答を効果的に低減することができる。
【0017】(c) 大地震の場合等、設計荷重Fy 以上の
減衰力が生じる第3振動レベルの範囲においては、減衰
係数cをc<c3 となるよう、例えばリリーフ弁等を設
けて油圧を逃がすことで、減衰装置に過大な減衰力が生
じるのを防ぐことができ、装置の保護及び設計が容易と
なる。
【0018】
【実施例】次に、図示した実施例について説明する。
【0019】図1は本発明を高層建物1の架構に適用し
た場合の概要を示したもので、柱2、梁3等からなる柱
梁架構内に局所的に耐震要素としてのブレース4と減衰
装置10を設置して、その部分で建家の振動エネルギー
を吸収する。図2は1つの柱梁架構内における逆V字型
ブレース4と減衰装置10の納まりの一例を示したもの
である。
【0020】図3は1層分を振動モデルとして表したも
ので、図中cは装置の減衰係数、kf は柱梁架構の剛
性、kb はブレースの剛性、mは1層分の質量である。
【0021】上記モデルによる多層建物の複素固有値
を、種々の減衰係数cについて求め、前述した式(1) 、
(2) により、種々の減衰係数cごと構造体の1〜3次モ
ードにおける1〜3次減衰定数h1 、h2 、h3 、及び
1次固有周期T1 を算定する。
【0022】図4は減衰装置に生じる速度と荷重の関係
がほぼ線形である場合について、複素固有値解析結果を
まとめて示したものである。
【0023】まず、減衰係数cと、1次減衰定数h1
び1次固有周期T1 との関係をみると、1次減衰定数h
1 は、減衰係数cが増大するに従って次第に増大し、あ
る減衰係数c1 でピークに達した後、減少する。一方、
1次固有周期T1 は減衰係数cが小さい状態では長い周
期で安定し、ある減衰係数の近傍で短い周期に移行した
後、短い周期で安定する。この1次固有周期T1 が短く
なってほぼ安定するときの減衰係数をcT とする。
【0024】風による構造物の揺れは、1次減衰定数h
1 が大きいほど、構造物の応答が低減され、また構造物
の剛性が大きい(短周期)ほど、揺れが小さくなるとい
う特性があるため、主として頻度の高い風振動に対応す
る第1振動レベルの範囲においては、減衰係数cを、 c1 <c<cT …(3) となるよう設定することによって、風応答制御として最
適の減衰効果が得られる。
【0025】すなわち、減衰係数cがc1 以下では、そ
の値が小さくなるにつれ、急激に構造物の減衰性が減少
するとともに、1次固有周期T1 が長いため、揺れも大
きくなる。また、減衰装置として、減衰係数cをcT
上とすることは困難であり、可能であるとしても装置の
コストが増す他、構造物の減衰性も徐々に減少するの
で、かえって揺れ低減効果も小さくなる。
【0026】また、好ましくは、減衰係数cを、1次固
有周期T1 が比較的安定するcT 寄りに近づけることが
望ましく、図4においては、より好ましい範囲として、 cT1<c<cT …(3') となる範囲aを与えている。
【0027】次に、第1振動レベルより大きく、主とし
て地震動が問題となる第2振動レベルについては、各次
の減衰定数h1 、h2 、h3 が10〜40%を示す範囲
bに、減衰係数cを設定すれば、地震動に対し大きな応
答低減効果が得られる。この範囲bとしては、3次減衰
定数h3 のピークと1次減衰定数h1 のピークの間が適
当である。すなわち、3次のモードに対する減衰定数h
3 の最大値を与える減衰係数c3 と、1次のモードに対
する減衰定数h1 の最大値を与える減衰係数c1 とを求
め、前記減衰装置の減衰係数cが c3 <c<c1 …(4) となるように設定すればよい。
【0028】減衰係数cがc3 より小さいと、各次減衰
定数h1 、h2 、h3 が急激に小さくなり、またc1
り大きいと、減衰定数が徐々に減少して行くとともに、
1次固有周期T1 について示されているように、構造物
の固有周期が短くなり、地震動に共振しやすくなり、架
構の変形が大きくなる傾向にある。
【0029】図5は地震応答スペクトルでみた応答低減
効果を示したものである。実線が減衰装置を用いない通
常の建物の場合(減衰定数h≒2%)であり、破線が減
衰係数cを上記bの範囲に設定した場合(減衰定数h≒
10〜40%)である。図に示すように、地震応答に関
しては、周期が長くなるにつれ応答が低減する傾向にあ
る。
【0030】以上は、減衰装置の減衰係数cを規定して
解析を行ったものであるが、本発明では減衰装置の許容
耐力も考慮する。すなわち、装置に作用する荷重は地震
の速度に略比例しており、減衰係数cが一定の場合、地
震のレベルに応じて装置に作用する荷重も大きくなる。
これに対し、本発明では上記第2振動レベル以上の大き
な地震を想定した所定以上のレベルの地震(例えば25
kineレベル)を第3振動レベルとして、減衰係数cが、 c<c3 …(5) となるよう減少させ、作用する荷重が減衰装置の設計荷
重に応じた一定の値近傍に収まるようにする。なお、過
大な荷重が作用しないようにするためには、上記(5) の
範囲において、減衰係数cを十分小さく(c<<c3
設定するか、オイルダンパー形式の減衰装置において、
設計荷重以上の荷重に対し、リリーフ弁を作動させ、流
路の抵抗を十分小さくする等して、減衰係数cを減少さ
せることで、装置保護面での確実性を増すことができ
る。
【0031】図6は上述のように各振動レベルに応じて
設定された減衰特性を示したものである。
【0032】すなわち、頻度の高い風振動時に生じる減
衰力Fc まで(第1振動レベル)は、c=ca (cT1
a <cT )とし、地震時にそれ以上の減衰力に対して
(第2振動レベル)は、c=cb (c3 <cb <c1
に変化させる。また、装置の保護及び設計の簡便性を図
るために、設計荷重Fy 以上の減衰力が生じる場合(第
3振動レベル)は、さらに減衰係数cを低下させる。
【0033】図6のような減衰特性は、例えば次のよう
にして与えることができる。
【0034】 個々の減衰装置で実現させる場合 図9に概念的に示すように、減衰装置10として、シリ
ンダー11本体と、シリンダー11本体内を移動するピ
ストン12と、シリンダー11本体の端部から出入する
ピストンロッド12a,12bと、ピストン12の両側
に形成された油圧室14a,14bとを有するオイルダ
ンパーを考え、両油圧室14a,14bを連通させる流
路に、図7を参照して、(a) 第1振動レベルの範囲にお
いて、所定の減衰係数ca (c1 <ca <cT )を与え
る調圧弁13と並列に、(b) 第1振動レベルの範囲にお
いて生じる減衰力Fc に対応する油圧以上の油圧によっ
て開き、前記調圧弁とともに所定の減衰係数cb (c3
<cb <c1 )を与える第1リリーフ弁(図示せず)
と、(c) 設計荷重Fy に対応する油圧以上の油圧によっ
て開き、減衰係数cb に対し十分小さい減衰係数を与え
る(流路抵抗をできるだけ小さくする)第2リリーフ弁
(図示せず)とを設けることで、(d) 減衰装置10の減
衰特性が図7(d) の形となる。
【0035】なお、減衰係数cの値の設定は、調圧弁や
第1リリーフ弁、第2リリーフ弁の形状等の設計(第2
リリーフ弁については、流路抵抗をできるだけ小さくす
る)により実現され、また第1リリーフ弁、第2リリー
フ弁の作動圧は例えばこれらの弁を閉じる方向に付勢す
るバネ値の設計等により実現される。
【0036】 複数の減衰装置で実現させる場合 図8に示すように、で考えたオイルダンパーからなる
減衰装置10で、第1リリーフ弁を除いたバイリニア型
の装置を複数設置し、総和としての減衰特性を所要の減
衰特性にすることができる。
【0037】すなわち、図8を参照して、(a) 1または
複数の第1減衰装置については、流路に第1振動レベル
の範囲において、所定の減衰係数ca-b を与える調圧弁
と、第1振動レベルの範囲において生じる減衰力Fc
対応する油圧以上の油圧によって開き、減衰係数ca-b
に対し十分小さい減衰係数を与えるリリーフ弁とを並列
に設け、(b) 1または複数の第2減衰装置については、
流路に第1振動レベル及び第2振動レベルの範囲におい
て、所定の減衰係数cb (c3 <cb <c1 )を与える
調圧弁と、設計荷重Fy に対応する油圧以上の油圧によ
って開き、減衰係数cb に対し十分小さい減衰係数を与
えるリリーフ弁とを並列に設けることで、(c) 複数の減
衰装置10の総和としての減衰特性が図8(c) の形とな
る。
【0038】図10は本発明で使用する減衰装置10の
一例として、その基本構造を示したもので、シリンダー
11内に両ロッド形式のピストン12が組み込まれてい
る。
【0039】高減衰、高剛性を確保するための条件とし
ては、まずピストン12の移動方向と反対側の油圧室
(図中、左側の油圧室を14a、右側の油圧室を14b
で示している)を負圧としないことが必要で、そのため
ピストン12を貫通する流路に調圧弁17a、17bを
設け、移動油量が直接的に反対側の油圧室へ流れる構造
としている。なお、図10(b) は図10(a) のA−A断
面に相当するが、図10(a) において、ピストン12に
ついては調圧弁17a、17b位置の断面として示して
いる。
【0040】本実施例は図7に対応し、個々の減衰装置
10で、図6のような減衰特性を実現させる場合の例で
あり、まず調圧弁17a、17bにより、第1振動レベ
ルに対する所定の減衰係数ca (c1 <ca <cT )が
与えられる。
【0041】また、図10(b) に示すように、ピストン
12を貫通する多数の流路を形成し、両方向の調圧弁1
7a、17b及び第1リリーフ弁27a、27b、第2
リリーフ弁29a、29b(各弁の向きは十字の線で区
別している)を均等に配置している。
【0042】第2振動レベルにおいては、第1リリーフ
弁27a、27bが開き、調圧弁17a、17bととも
に、第2振動レベルに対する所定の減衰係数cb (c3
<cb <c1 )を与える。
【0043】さらに、第3振動レベルにおいては、第2
リリーフ弁29a、29bが開き、圧力を逃がすこと
で、減衰装置10に作用する荷重が増加しない構造とな
っている。
【0044】図11はオイルダンパーとしての減衰装置
10の全体を概略的に示したものである。ただし、図1
1の場合にはピストンロッドは一方向のみ、シリンダー
11から突出し、その突出する側のロッド12a及びシ
リンダー11の反対側に、耐震要素または柱梁架構と連
結するための取付部15、16を設けている。
【0045】また、この減衰装置10では、作動中の油
の圧縮を考慮して不足油量を補償する必要があるので、
補給用のアキュムレーター18が必要となり、バイパス
19にはチェック弁20a、20bを設けている。さら
に停止すると、油が元の状態に戻る(膨張)ので、補償
された油をアキュムレーター18に戻す必要があり、チ
ェック弁20a、20bと並列にオリフィス(絞り)2
1a、21bを設けている。
【0046】図12〜図20は柱梁架構内への減衰装置
10の設置例を示したものである。
【0047】図12の例では柱梁架構31と耐震要素と
しての逆V型ブレース35の間に減衰装置10を介在さ
せている。
【0048】図13の例は柱梁架構31と上下の梁34
より立設したまたは垂下させたフレーム41どうしの間
に減衰装置10を介在させて、耐震要素としてのモーメ
ント抵抗フレームを構成した場合である。
【0049】図14の例では柱梁架構31と耐震要素と
してのRC耐震壁42との間に減衰装置10を介在させ
ている。
【0050】図15の例は免震構造物の基部に積層ゴム
等の免震ゴム43と併用して減衰装置10を設けた場合
の例であり、減衰装置10が免震構造におけるダンパの
役割を果たしている。この場合の耐震要素は構造物の基
礎と考えることができる。
【0051】図16の例では柱梁架構31内に設けたX
型ブレース44を耐震要素としており、X型の中央に減
衰装置10を横向きに介在させている。
【0052】図17の例は図16の例と同様、X型ブレ
ース45に適用した例であり、図16の例が減衰装置1
0を横向きに設けた横型だったのに対し、本例では減衰
装置10を縦向きに設け、縦型としている。
【0053】図18の例は図14の例と同様、柱梁架構
31と、耐震要素としてのRC耐震壁46との間に減衰
装置10を介在させたものであるが、減衰装置10を出
入口等の開口部47の上方に設けた点に特徴を有してい
る。
【0054】図19の例は大架構のX型ブレース48の
中央に減衰装置10を介在させたもので、中間の大梁4
9とブレース48は分離されている。
【0055】図20の例は図12の実施例におけるブレ
ース35と減衰装置10を上下逆にしたものに相当し、
減衰装置10が下側の梁34上に設置されている。
【0056】
【発明の効果】 受動的制震機構を与えるものであるため、設置の際
の構造物の特性に応じた設計及び調整を必要とするだけ
であり、複雑な制御システムや付帯設備を必要とせず、
能動型制震機構に比べ低コストで設置することができ
る。
【0057】 風振動に対しては、1次減衰定数h1
が比較的大きく、かつ構造物の剛性が大きい状態となる
ため、構造物の1次振動モードが支配的となる風揺れを
効果的に抑制することができる。
【0058】 風に対する構造物の応答が低減される
ので、長周期の大きな揺れによる船酔い現象等がなくな
り、日常的な居住性が増す。
【0059】 地震動に対しては、構造物の周期をな
るべく長く保った状態で、減衰定数について最適な状態
となるため、大きな振動低減効果が得られる。
【0060】 所定以上のレベルの大地震に対しては
減衰係数を減少させることで、減衰装置に作用する荷重
を減少させることができ、装置の保護が図れる。また、
建物等、各階に設置する減衰装置の数が規定でき、装置
に過大な荷重がかからないことで、設計が容易となり、
取り付け構造等の周りの部材の省力化も図れ、コンパク
トな納まりを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において減衰装置を設置した高層建物の
概要を示す立面図である。
【図2】柱梁架構内における減衰装置と耐震要素として
のブレースの配置の一例を示す立面図である。
【図3】本発明を適用した構造物の一層分の振動モデル
図である。
【図4】減衰係数cと、複素固有値解析より求めた架構
の1〜3次の減衰定数h1 、h2 、h3 及び1次固有周
期T1 との関係を1つにまとめたグラフである。
【図5】地震応答スペクトルでみた応答低減効果を示す
グラフである。
【図6】本発明における減衰係数に関する減衰特性を概
略的に示すグラフである。
【図7】図6の減衰特性を個々の減衰装置で実現する場
合の減衰係数設定方法を説明するためのグラフである。
【図8】図6の減衰特性を、それぞれ減衰特性の異なる
2種類の減衰装置で実現する場合の減衰係数設定方法を
説明するためのグラフである。
【図9】本発明で用いる減衰装置を概念的に示した断面
図である。
【図10】本発明で用いる減衰装置の基本構造を示した
もので、(a) は軸方向の断面図、(b) はそのA−A断面
図である。
【図11】本発明で用いる減衰装置の1例を示す装置全
体の概略説明図である。
【図12】減衰装置の設置位置の一例を示す概要図であ
る。
【図13】減衰装置の設置位置の他の例を示す概要図で
ある。
【図14】減衰装置の設置位置の他の例を示す概要図で
ある。
【図15】減衰装置の設置位置の他の例を示す概要図で
ある。
【図16】減衰装置の設置位置の他の例を示す概要図で
ある。
【図17】減衰装置の設置位置の他の例を示す概要図で
ある。
【図18】減衰装置の設置位置の他の例を示す概要図で
ある。
【図19】減衰装置の設置位置の他の例を示す概要図で
ある。
【図20】減衰装置の設置位置の他の例を示す概要図で
ある。
【符号の説明】
1…構造物、2…柱、3…梁、4…ブレース、10…減
衰装置、11…シリンダー、12…ピストン、14…油
圧室、15、16…取付部、17…調圧弁、18…アキ
ュムレーター、19…バイパス、20…チェック弁、2
1…オリフィス、27…第1リリーフ弁、29…第2リ
リーフ弁、
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // F16F 9/46 F16F 9/46

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダンパーとしての1または複数の減衰装
    置からなり、振動レベルに応じて、構造物に所定の減衰
    係数を与える減衰係数設定手段を、構造物内に設置し、 hi =−Re (λi ) /|λi | …(1) (ただし、λi は前記構造物のi次振動モードを与える
    複素固有値、Re(λi)はその実数部)によって求ま
    る前記構造物のi次振動モードに対するi次減衰定数h
    i の最大値を与える減衰係数ci と、 T1 =2π/Imag (λ1 ) …(2) (ただし、Imag (λ1 ) は複素固有値λ1 の虚数
    部)によって求まる1次固有周期T1 が短くなってほぼ
    安定する値を与える減衰係数cT を求め、 前記減衰係数設定手段によって与えられる減衰係数c
    を、(a) 主として頻度の高い風振動に対応する第1振動
    レベルに対しては、 c1 <c<cT …(3) (b) 前記第1振動レベルより大きい振動レベルであり、
    主として地震動に対応する第2振動レベルに対しては、 c3 <c<c1 …(4) (c) 前記第2振動レベルより大きい振動レベルであり、
    前記減衰係数設定手段を構成する前記減衰装置に所定の
    設計荷重Fy 以上の減衰力が生じる第3振動レベルに対
    しては、 c<c3 …(5) となるよう設定することを特徴とする構造物の振動制御
    方法。
  2. 【請求項2】 前記減衰装置は、シリンダー本体と、前
    記シリンダー本体内を移動するピストンと、前記シリン
    ダー本体の端部から出入するピストンロッドと、前記ピ
    ストンの両側に形成された油圧室とを有するオイルダン
    パーであり、前記両油圧室を連通させる流路に、前記第
    1振動レベルの範囲において、所定の減衰係数ca (c
    1 <ca <cT )を与える調圧弁と、前記第1振動レベ
    ルの範囲において生じる減衰力Fc に対応する油圧以上
    の油圧によって開き、前記調圧弁とともに所定の減衰係
    数cb (c3 <cb <c1 )を与える第1リリーフ弁
    と、前記設計荷重Fy に対応する油圧以上の油圧によっ
    て開き、前記減衰係数cbに対し十分小さい減衰係数を
    与える第2リリーフ弁とを並列に設けてあることを特徴
    とする請求項1記載の構造物の振動制御方法。
  3. 【請求項3】 前記減衰係数設定手段は、シリンダー本
    体と、前記シリンダー本体内を移動するピストンと、前
    記シリンダー本体の端部から出入するピストンロッド
    と、前記ピストンの両側に形成された油圧室とを有する
    オイルダンパーである、それぞれ1または複数の第1減
    衰装置と第2減衰装置とからなり、前記第1減衰装置
    は、前記流路に前記第1振動レベルの範囲において、所
    定の減衰係数ca-b (ca-b <ca )を与える調圧弁
    と、前記第1振動レベルの範囲において生じる減衰力F
    c に対応する油圧以上の油圧によって開き、前記減衰係
    数ca-b に対し十分小さい減衰係数を与えるリリーフ弁
    とを並列に設けてあり、前記第2減衰装置は、前記流路
    に前記第1振動レベル及び前記第2振動レベルの範囲に
    おいて、所定の減衰係数cb (c3 <cb <c1 )を与
    える調圧弁と、前記設計荷重Fy に対応する油圧以上の
    油圧によって開き、前記減衰係数cb に対し十分小さい
    減衰係数を与えるリリーフ弁とを並列に設けてあること
    を特徴とする請求項1記載の構造物の振動制御方法。
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