JP2014214248A - フラン樹脂硬化物の製造方法 - Google Patents

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治樹 堅田
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智行 小林
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茂 小笠原
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聡 西島
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Abstract

【課題】フラン系樹脂を硬化させる際、温度上昇による樹脂の自己発熱により、内部温度が100℃以上となり、水分が発泡し外観不良(表面気泡)となったり、強度の低下が発生することが抑制された、フラン樹脂硬化物の製造方法を提供する。
【解決手段】フラン系樹脂(A)と、硬化触媒(B)、を混合した熱硬化性フラン樹脂組成物を、段階(1)と段階(2)の少なくとも2段階で加熱硬化し、段階(2)における加熱硬化温度が段階(1)における加熱硬化温度よりも高いことを特徴とするフラン樹脂硬化物の製造方法を提供する。上記段階(1)における加熱硬化温度は、30℃以上80℃未満であることが好ましい。また、上記段階(1)における加熱硬化時間は、30〜80分であることが好ましい。さらに、上記段階(2)における加熱硬化温度は、80℃以上であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、フラン樹脂硬化物の製造方法に関する。
熱硬化性の非石油系硬化性樹脂として、フルフリルアルコールの単独あるいは共縮合物からなる、いわゆるフラン系樹脂がよく知られている。フラン系樹脂は、一般に、その硬化物が耐熱性・耐溶剤性・耐薬品性に優れていることから、メジセメント、FRP等の積層体及び複合材のマトリックス樹脂として各種産業分野において使用されている。従来のフラン系樹脂は、樹脂合成時の縮合反応に由来する水分を含有しており、積層体のマトリックス樹脂として使用した際、水分放散による積層体の寸法収縮が大きな問題となっている。
特許文献1には、水分含有率が少ないにもかかわらず粘度が低く含浸性が非常に良好であり、かつ高い強度特性を有するフラン樹脂硬化物を与える、フラン系樹脂と硬化触媒を含む熱硬化性フラン樹脂組成物ならびにそれを用いた既設管更生用ライニング材が記載されている。
WO2011/125534号公報
本発明者らは、フラン系樹脂を硬化させる際、急激な温度上昇をさせると、樹脂の自己発熱により、内部温度が100℃以上となり、水分が発泡し外観不良(表面気泡)や強度の低下が発生することを見出した。
従って、本発明の課題は、フラン系樹脂を硬化させる際、温度上昇による樹脂の自己発熱により、内部温度が100℃以上となり、水分が発泡し外観不良(表面気泡)となったり、強度の低下が発生することが抑制された、フラン樹脂硬化物の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、フラン系樹脂を2段階で温度変更し硬化することで、急激な温度上昇による自己発熱を防ぐことができ、上記課題の解決に資することを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、フラン系樹脂(A)と、硬化触媒(B)、を混合した熱硬化性フラン樹脂組成物を、段階(1)と段階(2)の少なくとも2段階で加熱硬化し、段階(2)における加熱硬化温度が段階(1)における加熱硬化温度よりも高いことを特徴とするフラン樹脂硬化物の製造方法を提供する。
上記段階(1)における加熱硬化温度は、30℃以上80℃未満であることが好ましい。
また、上記段階(1)における加熱硬化時間は、30〜80分であることが好ましい。
さらに、上記段階(2)における加熱硬化温度は、80℃以上であることが好ましい。
本発明によれば、フラン系樹脂を硬化させる際、温度上昇による樹脂の自己発熱により、内部温度が100℃以上となり、水分が発泡し外観不良(表面気泡)となったり、強度の低下が発生することが抑制された、フラン樹脂硬化物を製造できる。
1.フラン樹脂硬化物の製造方法
本発明のフラン樹脂硬化物の製造方法は、フラン系樹脂(A)と硬化触媒(B)とを混合した組成物(熱硬化性フラン樹脂組成物)を、段階(1)と段階(2)の少なくとも2段階で加熱硬化し、段階(2)における加熱硬化温度が段階(1)における加熱硬化温度よりも高いことを特徴とする。
1−1 熱硬化性フラン樹脂組成物
本発明で使用される熱硬化性フラン樹脂組成物は、フラン系樹脂(A)と硬化触媒(B)とを混合することにより得られる。具体的には、フラン系樹脂(A)に硬化触媒(B)を添加し、攪拌等して混合する。熱硬化性フラン樹脂組成物は、フラン系樹脂(A)と硬化触媒(B)とを含んでいればよく、他に任意成分として添加剤を含有していてもよい。
1−1−1 フラン系樹脂(A)
フラン系樹脂(A)としては、フラン樹脂、変性フラン樹脂が好ましい。
フラン樹脂は、フラン環に1或いは複数の反応性置換基を有するフランもしくはフラン誘導体を出発物質の一つとする重合物あるいはその前駆体(オリゴマー)であり、フルフリルアルコール型、フルフリルアルコール・フルフラール共縮合型、フルフリルアルコール・アルデヒド共縮合型、フルフラール・ケトン共縮合型、フルフラール・フェノール共縮合型、フルフリルアルコール・尿素共縮合型、フルフリルアルコール・フェノール共縮合型等のフラン樹脂が挙げられる。
フラン系樹脂(A)としていずれの種類のものも使用可能であるが、工業的に安定に供給されていることから、フルフリルアルコール型やフルフリルアルコール・ホルムアルデヒド共縮合型のフラン樹脂が好ましい。
変性フラン樹脂としては、例えばエポキシ変性、フェノール変性、アルデヒド変性、尿素変性、メラミン変性等の変性が施されたフラン樹脂が挙げられる。
フラン系樹脂(A)の粘度は、大きすぎると積層体成形時の含浸性が低下するおそれがあり、一方、小さすぎると積層体成形時タレが発生するおそれがあることから、25℃において100〜5000mPa・sがより好ましく、200〜3000mPa・sが更に好ましく、300〜2000mPa・sが最も好ましい。
フラン系樹脂(A)の水分含有率は、大きすぎると硬化時の水分放散による寸法収縮が大きくなる為、10重量%以下(たとえば0.5〜10重量%)が好ましく、より好ましくは9%以下、特に好ましくは8重量%以下である。
フラン系樹脂(A)の残存フルフリルアルコール及びフルフラールの合計含有率は、多すぎると作業環境の悪化を招くおそれがあることから、1重量%以下(たとえば0.0001〜1重量%)が好ましく、0.8重量%以下が更に好ましい。
熱硬化性フラン樹脂組成物におけるフラン系樹脂(A)の含有量は、好ましくは50〜98重量%であり、より好ましくは60〜98重量%である。このような範囲とすることにより、クリープ性能が効果的に向上された硬化物を製造しやすくなる。
1−1−2 硬化触媒(B)
硬化触媒(B)は、フラン系樹脂(A)を硬化しうるものであれば特に限定されず、例えば有機スルホン酸、有機カルボン酸等の有機酸並びにその水溶液、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸並びにその水溶液が挙げられる。
有機スルホン酸としては、例えばパラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、キシレンスルホン酸、メタンスルホン酸等が挙げられる。有機カルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、安息香酸、クエン酸等が挙げられる。上記例示の硬化触媒は、単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
硬化時間の短縮とポットライフの両立を狙いとして、硬化触媒(B)として、熱反応型潜在性酸硬化触媒(B2)を単独あるいは顕在性硬化触媒(B1)と併用使用する事も好ましい。
顕在性硬化触媒(B1)としては、有機スルホン酸、有機カルボン酸等の有機酸並びにその水溶液、塩酸、硫酸等の無機酸並びにその水溶液が挙げられる。
熱反応型潜在性酸硬化触媒(B2)としては、フラン系樹脂(A)に含有する成分と常温では反応しにくく硬化時の加熱ですばやく反応し酸を発生させるものであれば特に限定されない。熱反応型潜在性酸硬化触媒(B2)としては、常温時の安定性と硬化時の加熱による反応速度の点から、無機アンモニウム塩、1級アミン塩、2級アミン塩、3級アミン塩の少なくともいずれかを含有することが好ましい。
熱反応型潜在性酸硬化触媒(B2)としては、具体的には、ハロゲン化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、ハロゲン化メチルアンモニウム、ハロゲン化ジメチルアンモニウム、ハロゲン化エチルアンモニウム、ハロゲン化ジエチルアンモニウムの少なくともいずれかを含有することがより好ましい。ハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。中でも、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化メチルアンモニウム、塩化ジメチルアンモニウム、塩化エチルアンモニウム、塩化ジエチルアンモニウムを含有することがさらに好ましい。
硬化触媒(B)の添加量は、フラン系樹脂(A)および硬化触媒(B)の種類や希釈濃度、目的とする硬化温度・硬化時間により調整されるため特に限定されないが、フラン系樹脂(A)100重量部に対し、0.5〜10重量部が好ましく、1〜8重量部とするのが特に好ましい。0.5重量部より少ないと、硬化不良の問題となるおそれがある。一方、10重量部より多いと、ポットライフが短くなるおそれがある。
1−1−3 添加剤
熱硬化性フラン樹脂組成物は添加剤を含んでいても良い。添加剤としては、強酸と強塩基からなる正塩であれば特に限定されず、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸リチウム等があげられる。過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩も添加できる。過硫酸塩は、熱反応型潜在性酸硬化触媒としても作用する。添加剤の添加量は、フラン系樹脂(A)100重量部に対し、0.2〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部が更に好ましく、1〜3重量部が最も好ましい。0.2重量部より少ないと、十分な寸法変化防止効果が得られないおそれがあり、10重量部より多いとフラン系樹脂(A)との混合時粘度が高くなりすぎるおそれがある。
1−1−4 その他の添加物
強度特性の向上を狙いとして、熱硬化性フラン樹脂組成物に無機系充填材を添加する事が好ましい。無機系充填材としては、弾性率が高く、高充填が可能であれば特に限定されないが、硬化阻害を防止する観点から、pHが10以下の無機系充填材が好ましい。具体的には、ガラスパウダー・シリカ・タルク・カオリン・マイカ・水酸化アルミニウム等が好ましく、コストの点からカオリン・シリカ・水酸化アルミニウムが最も好ましい。無機系充填材のpHは、無機充填剤0.5gを、100mlの共栓付三角フラスコに入れた後蒸留水100mlを加え、密栓する。温度23±5℃の環境においてスターラーを用い600rpmの回転数で24hr攪拌・抽出し、静置後の上澄み液をJISZ8802『pHの測定方法』に準拠してpHを測定することで測定できる。
フラン系樹脂(A)との界面接着力向上を狙いとして、無機系充填材に表面処理を施すことは好ましい。表面処理剤としては、無機系充填材やフラン系樹脂(A)と反応、あるいは結合が可能であれば特に限定さないが、結合が形成しやすい、有機シラン系表面処理が好ましく、具体的には、アミノシラン系表面処理剤、エポキシシラン系表面処理剤、アクリルシラン系表面処理剤が最も好ましい。
無機系充填材の添加量は、フラン系樹脂(A)の粘度により異なるが、少なすぎると強度特性向上の効果が得られず、一方、多すぎると増粘による基材への含浸性低下が発生するおそれがある。このため、フラン系樹脂(A)100重量部に対して、5〜100重量部であることが好ましく、10〜80重量部が更に好ましく、10〜60重量部が最も好ましい。
熱硬化性フラン樹脂組成物混合時の消泡を狙いとして、硬化性フラン樹脂組成物に消泡剤を添加する事も好ましい。消泡剤の種類としては、オイル型シリコーン消泡剤、エマルジョン型シリコーン消泡剤などのシリコーン消泡剤;非イオン系ポリエーテルなどの破泡性ポリマー型消泡剤;特殊非イオン界面活性剤;ポリエーテル変成メチルアルキルポリシロキサン共重合体;ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤;ならびに植物油系消泡剤などが挙げられ、オイル型シリコーン消泡剤、エマルジョン型シリコーン消泡剤などのシリコーン消泡剤;及び破泡性ポリマー型消泡剤が特に好ましい。消泡剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。その添加量は、硬化性フラン樹脂(A)100重量部に対し、0.0001重量部〜1重量部が望ましい。
熱硬化性フラン樹脂組成物は、粘度調整や反応性調整の点から、反応性希釈剤を含んでいてもよい。その際、反応性希釈剤としては、粘度が低く、フラン樹脂と相溶性があり、熱硬化性フラン樹脂組成物が硬化する際に反応・固化するものであれば特に限定されないが、例えば、フルフリルアルコール単独、フルフラール単独、あるいはフルフリルアルコールとフルフラールの混合物が好ましい。
反応性希釈剤の含有量は、反応性希釈剤の種類、フラン樹脂の粘度により異なるが、少なすぎると基材への含浸性が低下するおそれがあり、一方、多すぎると基材に含浸後、タレが発生するおそれがあることから、フラン系樹脂(A)100重量部に対して、10〜130重量部であることが好ましく、10〜110重量部がより好ましく、20〜90重量部が更に好ましく、40〜80重量部が最も好ましい。
熱硬化性フラン樹脂組成物の水分含有率は、大きすぎると硬化時の水分放散による寸法収縮が大きくなる為、15重量%以下(たとえば0.5〜15重量%)が好ましく、より好ましくは12%以下、特に好ましくは10重量%以下である。
熱硬化性フラン樹脂組成物の粘度は、大きすぎると積層体成形時の含浸性が低下するおそれがあり、一方、小さすぎると積層体成形時タレが発生するおそれがあることから、25℃において100〜10000mPa・sが好ましく、200〜5000mPa・sがより好ましく、300〜3500mPa・sが最も好ましい。
熱硬化性フラン樹脂組成物を混合する方法は特に限定されず、例えば、ホモディスパーを用いて撹拌混合する方法が挙げられる。
1−2 段階(1)と段階(2)の2段階での加熱硬化
本発明のフラン樹脂硬化物の製造方法では、段階(1)と段階(2)の少なくとも2段階で、フラン系樹脂(A)と硬化触媒(B)を混合した組成物を加熱硬化し、段階(2)における加熱硬化温度が段階(1)における加熱硬化温度よりも高い。段階(1)における加熱硬化温度は、30℃以上80℃未満であることが好ましく、40〜70℃であることがより好ましい。また、段階(1)における加熱硬化時間は、30〜80分であることが好ましく、40〜80分であることがより好ましい。段階(1)における加熱硬化温度ならびに時間をこのようにすることにより、フラン系樹脂(A)を硬化させる際、温度上昇による樹脂の自己発熱により、内部温度が100℃以上となり、水分が発泡し外観不良(表面気泡)となったり、強度の低下が発生することが抑制されたフラン樹脂硬化物を製造できる。
段階(2)における加熱硬化温度は、80℃以上であることが好ましく、90℃以上であることがより好ましい。また、段階(2)における加熱硬化時間は、2〜5時間であることが好ましく、3〜4時間以上であることがより好ましい。段階(2)における加熱硬化温度ならびに時間をこのようにすることにより、強度の低下が発生することが抑制され、弾性率の高いフラン樹脂硬化物を製造できる。段階(1)と段階(2)は連続して行なってもよいし、段階(1)の後に、一旦冷却してから段階(2)の硬化に供しても強度を発現することが出来る。
熱硬化性フラン樹脂組成物の加熱硬化は、熱硬化性フラン樹脂組成物もしくは熱硬化性フラン樹脂組成物を後述する繊維性基材に含浸させたものを所定の形状の容器もしくは金型に納め、所定温度に調整された恒温槽、恒温水槽内で熱硬化性フラン樹脂組成物を硬化させて行うことができる。もしくは、容器あるいは金型内に所定温度に調整された熱風もしくは熱水を循環させ、熱硬化性フラン樹脂組成物を硬化させて行うことができる。
2.フラン樹脂積層体
上記熱硬化性フラン樹脂組成物を、繊維状基材に含浸後、上記のように2段階硬化することにより加熱硬化して、フラン樹脂積層体が得られる。フラン樹脂積層体は、本発明のフラン樹脂硬化物の製造方法で製造されるフラン樹脂硬化物を含んでいる。
繊維状基材としては、特に限定されないが、空隙率が90%以下、好ましくは10〜90%であるのが熱硬化性フラン樹脂組成物を確実に含浸させることができ、その結果、硬化後の繊維状基材にボイド等が形成される不具合を最小限に抑えうるので好ましく、また、肉厚が3mm以上、好ましくは4mm以上であるのが十分な保護特性を発現させうるので好ましい。
繊維状基材としては、例えば紙、綿、麻などの有機繊維からなる織物もしくは不織布やチョップドストランドマット、ロービングクロス等があげられる。
不織布の材料としては、例えばポリエステル、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン等の高強度で高弾性のもの、中でも樹脂が好ましく、また、可撓性を有し多孔質である、連続フィラメント又はステープルファイバーを備えたフェルト、マット、スパンボンド、ウェブなども使用可能である。
チョップドストランドマットとしては、例えばガラス繊維等のストランドを一定長さに切断し、マット状に分散させた後、熱可塑性樹脂等の粘接着剤を均一に付与して熱溶融し、ストランド同士を接着させてマットとしたものなどが好ましい。
ロービングクロスとしては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、無機繊維、有機繊維、ウィスカー、金属繊維等が好ましく、中でもガラス繊維が、得られる繊維強化樹脂層の強度と価格のバランスから好ましい。また、強化繊維は繊維径が3〜25μmの範囲のものであることが好ましく、強度及び価格の観点から5〜20μmの繊維径のものがより好ましい。
繊維質基材として天然繊維を用いる事もできる。天然繊維としては、木綿・苧麻・亜麻黄麻・ケナフ等から作られる繊維が例示できるが、樹脂含浸性や加工性・供給安定性の点から苧麻・亜麻が好ましい。また、マニラ麻・サイザル麻・竹等から作られる繊維も例示できるが、強度や供給安定性の点から竹が特に好ましい。
繊維質基材に熱硬化性フラン樹脂組成物を含浸させる方法は特に限定されず、例えば、強化繊維に熱硬化性フラン樹脂組成物を含浸ロールにて含浸させる方法等が挙げられる。
繊維質基材に含浸させた熱硬化性フラン樹脂組成物の硬化方法では、例えば、熱硬化性フラン樹脂組成物を含浸させた繊維質基材を所定の形状の容器もしくは金型内に設置し、熱風であるいは熱板に挟み込んで加熱硬化する方法等が挙げられる。
フラン樹脂積層体は、上記のように2段階加熱することにより、表面に気泡がなく、弾性率も高いフラン樹脂積層体とする事ができる。したがって、本発明により、品質が良好なフラン樹脂積層体を低コストにて製造することができ、例えばFRPなどの用途に特に好適に用いることができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によりなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例において使用した評価・測定方法は、以下の通りである。
評価方法
(1)外観(表面気泡)
フラン樹脂硬化物の外観(表面気泡)を目視にて観察した。
(2)曲げ弾性率
JIS K7171『曲げ特性の求め方』に準拠してフラン樹脂硬化物のサンプルの曲げ弾性率を測定した
実施例1
フラン樹脂(粘度2700mPa・s以下、水分含有量重量7%以下)100重量部に、硬化触媒として、パラトルエンスルホン酸65重量%水溶液1.4重量部を添加し、ホモディスパーを用いて750rpmにて3分間攪拌し、熱硬化性フラン樹脂組成物を得た。
上記熱硬化性フラン樹脂組成物を、ポリエステル不織布基材(厚さ5mm、目付1000g/m2)に均一に含浸した。その後、内寸240mm×240mm×5mmの金型内に静置し、40℃で1時間硬化後、90℃で3時間硬化させることにより、フラン樹脂硬化物を含むフラン樹脂積層体を得た。
実施例2
実施例1で調製した熱硬化性フラン樹脂組成物を、ポリエステル不織布基材(厚さ5mm、目付1000g/m2)に均一に含浸した。その後、内寸240mm×240mm×5mmの金型内に静置し、70℃で1時間硬化後、90℃で3時間硬化させることにより、フラン樹脂硬化物を含むフラン樹脂積層体を得た。
比較例1
実施例1で調製した熱硬化性フラン樹脂組成物を、ポリエステル不織布基材(厚さ5mm、目付1000g/m2)に均一に含浸した。その後、内寸240mm×240mm×5mmの金型内に静置し、90℃で3時間硬化させることにより、フラン樹脂硬化物を含むフラン樹脂積層体を得た。
比較例2
実施例1で調製した熱硬化性フラン樹脂組成物を、ポリエステル不織布基材(厚さ5mm、目付1000g/m2)に均一に含浸した。その後、内寸240mm×240mm×5mmの金型内に静置し、70℃で3時間硬化させることにより、フラン樹脂硬化物を含むフラン樹脂積層体を得た。
上記実施例、比較例により得られたフラン樹脂硬化物を含むフラン樹脂積層体に対し、外観、初期曲げ弾性率を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2014214248
硬化温度を2段階にすることで、樹脂の自己発熱を防ぎ、表面に気泡がなく、弾性率も高いフラン樹脂積層体を得ることが明らかとなった。熱硬化性フラン樹脂組成物を、ポリエステル不織布基材以外の繊維質基材に含浸させた場合も、同様の結果が得られた。

Claims (4)

  1. フラン系樹脂(A)と、硬化触媒(B)、を混合した組成物を、段階(1)と段階(2)の少なくとも2段階で加熱硬化し、該段階(2)における加熱硬化温度が該段階(1)における加熱硬化温度よりも高いことを特徴とするフラン樹脂硬化物の製造方法。
  2. 前記段階(1)における加熱硬化温度が30℃以上80℃未満である、請求項1に記載のフラン樹脂硬化物の製造方法。
  3. 前記段階(1)における加熱硬化時間が30〜80分である、請求項1又は2に記載のフラン樹脂硬化物の製造方法。
  4. 前記段階(2)における加熱硬化温度が80℃以上である、請求項1〜3の何れか1項に記載のフラン樹脂硬化物の製造方法。
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