JP5836056B2 - 熱硬化性フラン樹脂組成物、フラン樹脂硬化物、それらの製造方法及び既設管更生用ライニング材 - Google Patents
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Description
また、本発明の別の課題は、上記熱硬化性フラン樹脂組成物を用いた、十分なクリープ性能を有するフラン樹脂硬化物およびその製造方法を提供することにある。
上記熱反応型潜在性酸硬化剤(C)の含有量は、前記フラン樹脂(A)と反応性希釈剤との合計100重量部に対し0.5〜3.5重量部であることが好ましい。
また、上記熱反応型潜在性酸硬化剤(C)は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化メチルアンモニウム、塩化ジメチルアンモニウム、塩化エチルアンモニウム、及び塩化ジエチルアンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
熱反応型潜在性酸硬化剤(C)の添加量は、フラン樹脂(A)と反応性希釈剤との合計100重量部に対し、0.5〜3.5重量部であることが好ましい。
さらに、上記熱反応型潜在性酸硬化剤(C)は水もしくはフルフリルアルコールに希釈して添加することが好ましい。
また、上記熱反応型潜在性酸硬化剤(C)は、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化メチルアンモニウム、塩化ジメチルアンモニウム、塩化エチルアンモニウム、及び塩化ジエチルアンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
上記熱硬化性フラン樹脂組成物はガラス繊維、金属繊維あるいは有機繊維からなる織物もしくは不織布の基材に含浸させた後に上記加熱硬化させることが好ましい。
さらに、上記加熱硬化は60℃〜100℃で行うことが好ましい。
本発明の熱硬化性フラン樹脂組成物は、フラン樹脂(A)と、硬化剤(B)と、熱反応型潜在性酸硬化剤(C)とを主として含有する熱硬化性フラン樹脂組成物であって、熱反応型潜在性酸硬化剤(C)の含有量がフラン樹脂(A)100重量部に対し0.3〜4.5重量部であることを特徴とする。本明細書において、「主として含有する」とは、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは60〜100重量%、さらに好ましくは70〜100重量%含有することを意味する。
本発明の熱硬化性フラン樹脂組成物に含まれるフラン樹脂(A)は、フランもしくはフラン誘導体とアルデヒド類を酸性触媒の存在下で重合させて得られる。フラン樹脂(A)は、フランもしくはフラン誘導体とアルデヒド類を所定時間加熱攪拌した後冷却することにより得られる。重合が促進しないようにアルカリを加え中和することで反応を停止させることができる。
本発明の熱硬化性フラン樹脂組成物に含まれる硬化剤(B)は、フラン樹脂を硬化しうるものであれば、特に限定されず、例えば硫酸、リン酸、塩酸等の無機酸、あるいは有機スルホン酸、有機カルボン酸等の有機酸などが挙げられる。
本発明の熱硬化性フラン樹脂組成物は、上記硬化剤(B)に加えて熱反応型潜在性酸硬化剤(C)を含有する。熱反応型潜在性酸硬化剤(C)としては、フラン樹脂(A)に含有する成分と常温では反応しにくく硬化時の加熱ですばやく反応し酸を発生させるものであれば特に限定されないが、常温時の安定性と硬化時の加熱による反応速度の点から、無機アンモニウム塩、1級アミン塩、2級アミン塩、3級アミン塩の少なくともいずれかを含有することが好ましく、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化メチルアンモニウム、塩化ジメチルアンモニウム、塩化エチルアンモニウム、塩化ジエチルアンモニウムの少なくともいずれかを含有することが特に好ましい。上記例示の熱反応型潜在性酸硬化剤は、単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
本発明の熱硬化性フラン樹脂組成物は、粘度調整や反応性調整の点から、反応性希釈剤を含んでいてもよい。その際、反応性希釈剤としては、粘度が低く、フラン樹脂と相溶性があり、熱硬化性フラン樹脂組成物が硬化する際に反応・固化するものであれば特に限定されないが、例えば、フルフリルアルコール単独、フルフラール単独、あるいはフルフリルアルコールとフルフラールの混合物が好ましい。
本発明の熱硬化性フラン樹脂組成物はフィラーを含んでいても良い。フィラーとしては、例えば無機フィラー、炭素粉末、木粉、樹脂粉末有機フィラーなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
<粘度>
本発明の熱硬化性フラン樹脂組成物は、それを既設管更生用ライニング材などの用途にガラス繊維強化樹脂のベース樹脂として用いる場合、粘度が高すぎるとガラス繊維に浸透せず、粘度が低すぎると樹脂が下側に偏在して上部に未含浸の部分を生じる場合があるため、粘度が400mPa・s以上7000mPa・s以下であるのが望ましい。
本発明の熱硬化性フラン樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じ、可塑剤、整泡剤などの任意成分を含有していてもよい。
可塑剤としては、例えばフタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、エポキシ系可塑剤などが挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
整泡剤としては、例えばひまし油、ひまし油誘導体、ポリシロキサン系化合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の熱硬化性フラン樹脂組成物の製造方法は、フラン樹脂(A)と、硬化剤(B)と、熱反応型潜在性酸硬化剤(C)とを主として含有する熱硬化性フラン樹脂組成物の製造方法であって、フラン樹脂(A)100重量部に対し、熱反応型潜在性酸硬化剤(C)を0.3〜4.5重量部添加することを特徴とする。「主として含有する」とは、上記と同様の意味である。
本発明のフラン樹脂硬化物は、上記の熱硬化性フラン樹脂組成物を加熱硬化することにより得られる。
本発明のフラン樹脂硬化物は、さらに、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維あるいは紙、綿、麻などの有機繊維からなる織物もしくは不織布の基材を含んでいてもよい。これらの基材は、単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
本発明のフラン樹脂硬化物の製造方法は、上記の熱硬化性フラン樹脂組成物を加熱硬化させることを特徴とする。
熱硬化性フラン樹脂組成物の加熱硬化は、熱硬化性フラン樹脂組成物もしくは熱硬化性フラン樹脂組成物を上記基材に含浸させたものを所定の形状の容器もしくは金型に納め、60℃〜100℃に調整された恒温槽、恒温水槽内で熱硬化性フラン樹脂組成物を硬化させて行うことができる。もしくは、容器あるいは金型内に60℃〜100℃に調整された熱風もしくは熱水を循環させ、熱硬化性フラン樹脂組成物を硬化させて行うことができる。
フラン樹脂50重量部に対しフルフリルアルコール50重量部、硬化剤(パラトルエンスルホン酸 65重量%水溶液)3重量部、フィラー(BASF社 トランスリンク#445)60重量部、塩化エチルアンモニウム水溶液(37.5%濃度)を塩化エチルアンモニウムとして0.5重量部を添加した後、ホモディスパーを用い、1000rpmで10分間攪拌し、熱硬化性フラン樹脂組成物を得た。
これを長さ230mm×幅230mm×厚さ5mmの不織布に含浸させた後、長さ240mm×幅240mm×厚さ5mmの金型に入れ、オーブン内温度70℃で1時間加熱後、オーブン内温度を90℃に昇温し3時間加熱硬化させた後、オーブン内で室温まで冷却し、熱硬化フラン樹脂板を得た。
塩化エチルアンモニウム1.5重量部を用い、他は実施例1と同様にして熱硬化フラン樹脂板を得た。
塩化エチルアンモニウム2.5重量部を用い、他は実施例1と同様にして熱硬化フラン樹脂板を得た。
塩化エチルアンモニウム3.5重量部を用い、他は実施例1と同様にして熱硬化フラン樹脂板を得た。
フラン樹脂66.7重量部、フルフリルアルコール33.3重量部、フィラー(BASF社 トランスリンク#445)60重量部、硬化剤(パラトルエンスルホン酸 65重量%水溶液)3重量部を用い、他は実施例1と同様の方法で熱硬化フラン樹脂板を得た。
塩化エチルアンモニウム4.6重量部を用い、他は実施例1と同様にして熱硬化フラン樹脂板を得た。
実施例1から実施例4および比較例1,2で得られたフラン樹脂板より、100mm×幅15mmの試験片を切り出し、3点曲げ試験(DIN EN ISO178 (JIS K 7171))により変位を測定した。
50年後の変位の予測値を、DIN EN 761に記載の方法により算出した。
実施例1から実施例4および比較例1,2で得られたフラン樹脂板より、100mm×幅100mmの試験片を切り出し、縦方向および横方向の寸法変化を測定し収縮率を求めた。
また、表1に示すように、本発明の実施例1から実施例4においては、硬化後の収縮率を小さくできる熱硬化性フラン樹脂組成物となった。
Claims (9)
- フラン樹脂(A)と、硬化剤(B)と、熱反応型潜在性酸硬化剤(C)と、反応性希釈剤とを主として含有する熱硬化性フラン樹脂組成物であって、熱反応型潜在性酸硬化剤(C)の含有量がフラン樹脂(A)と反応性希釈剤との合計100重量部に対し0.3〜4.5重量部であって、
前記硬化剤(B)は、有機酸もしくは無機酸であって、
前記熱反応型潜在性酸硬化剤(C)が、無機アンモニウム塩、1級アミン塩、2級アミン塩、及び3級アミン塩からなる群から選択される少なくとも1種の熱反応型潜在性酸硬化剤であることを特徴とする、熱硬化性フラン樹脂組成物。 - 前記熱反応型潜在性酸硬化剤(C)の含有量が、前記フラン樹脂(A)と反応性希釈剤との合計100重量部に対し0.5〜3.5重量部である、請求項1記載の熱硬化性フラン樹脂組成物。
- 前記熱反応型潜在性酸硬化剤(C)が、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化メチルアンモニウム、塩化ジメチルアンモニウム、塩化エチルアンモニウム、及び塩化ジエチルアンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項1または2記載の熱硬化性フラン樹脂組成物。
- フラン樹脂(A)と、硬化剤(B)と、熱反応型潜在性酸硬化剤(C)と、反応性希釈剤とを主として含有する熱硬化性フラン樹脂組成物の製造方法であって、フラン樹脂(A)と反応性希釈剤との合計100重量部に対し、熱反応型潜在性酸硬化剤(C)を0.3〜4.5重量部添加するものであって、
前記硬化剤(B)は、有機酸もしくは無機酸であって、
前記熱反応型潜在性酸硬化剤(C)が、無機アンモニウム塩、1級アミン塩、2級アミン塩、及び3級アミン塩からなる群から選択される少なくとも1種の熱反応型潜在性酸硬化剤であることを特徴とする、熱硬化性フラン樹脂組成物の製造方法。 - 前記熱反応型潜在性酸硬化剤(C)の添加量が、フラン樹脂(A)と反応性希釈剤との合計100重量部に対し、0.5〜3.5重量部である、請求項4記載の熱硬化性フラン樹脂組成物の製造方法。
- 前記熱反応型潜在性酸硬化剤(C)を水もしくはフルフリルアルコールに希釈して添加する、請求項4又は5記載の熱硬化性フラン樹脂組成物の製造方法。
- 前記熱反応型潜在性酸硬化剤(C)が、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、塩化メチルアンモニウム、塩化ジメチルアンモニウム、塩化エチルアンモニウム、及び塩化ジエチルアンモニウムからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である、請求項4〜6の何れか1項に記載の熱硬化性フラン樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1〜3の何れか1項に記載の熱硬化性フラン樹脂組成物を加熱硬化させることを特徴とする、フラン樹脂硬化物の製造方法。
- フラン樹脂(A)と、硬化剤(B)と、熱反応型潜在性酸硬化剤(C)と、反応性希釈剤と、基材とを備え、
前記硬化剤(B)は、有機酸もしくは無機酸であって、
前記熱反応型潜在性酸硬化剤(C)の含有量が、フラン樹脂(A)と反応性希釈剤との合計100重量部に対し0.3〜4.5重量部であって、
前記熱反応型潜在性酸硬化剤(C)が、無機アンモニウム塩、1級アミン塩、2級アミン塩、及び3級アミン塩からなる群から選択される少なくとも1種の熱反応型潜在性酸硬化剤であって、
前記基材が、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維あるいは有機繊維からなる織物もしくは不織布により構成されることを特徴とする、既設管更生用ライニング材。
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