JP2016056265A - 熱硬化性フラン樹脂組成物及びこれを用いたフラン樹脂積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】含有水分量を高めることなく、低温での粘度を確保することができる熱硬化性フラン樹脂組成物及びこれを用いた積層体を提供することを目的とする。
【解決手段】フラン樹脂、硬化触媒及び結晶化防止剤を含む熱硬化性フラン樹脂組成物であって、前記結晶化防止剤は、レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂及び尿素樹脂からなる群から選択される1種以上である熱硬化性フラン樹脂組成物、及びこの熱硬化性フラン樹脂組成物を、強化繊維を含む積層体に含浸及び硬化させてなるフラン樹脂積層体。
【選択図】なし
【解決手段】フラン樹脂、硬化触媒及び結晶化防止剤を含む熱硬化性フラン樹脂組成物であって、前記結晶化防止剤は、レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂及び尿素樹脂からなる群から選択される1種以上である熱硬化性フラン樹脂組成物、及びこの熱硬化性フラン樹脂組成物を、強化繊維を含む積層体に含浸及び硬化させてなるフラン樹脂積層体。
【選択図】なし
Description
本発明は、熱硬化性フラン樹脂組成物及びこれを用いたフラン樹脂積層体に関する。
フラン樹脂は、その硬化物が耐熱性、耐溶剤性及び耐薬品性に優れていることから、鋼管ライニング、メジセメント、繊維強化プラスチック(FRP)等、複合材のマトリックス樹脂として各種産業分野で使用されている。
しかし、フラン樹脂は、低温時の粘度が大きいため、積層体への含浸性が著しく低下することが問題となっていた。
しかし、フラン樹脂は、低温時の粘度が大きいため、積層体への含浸性が著しく低下することが問題となっていた。
粘度を低下させる方法として、樹脂組成物における含有水分量を高くする方法が提案されている(例えば、特許文献1)。その一方、樹脂組成物の含有水分量を高くすると、硬化物強度が低下することがある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、含有水分量を高めることなく、低温での粘度を確保することができる熱硬化性フラン樹脂組成物及びこれを用いた積層体を提供することを目的とする。
本発明は、フラン樹脂、硬化触媒及び結晶化防止剤を含む熱硬化性フラン樹脂組成物であって、
前記結晶化防止剤は、レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂及び尿素樹脂からなる群から選択される1種以上である熱硬化性フラン樹脂組成物である。
前記結晶化防止剤は、レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂及び尿素樹脂からなる群から選択される1種以上である熱硬化性フラン樹脂組成物である。
本発明の熱硬化性フラン樹脂組成物によれば、含有水分量を高めることなく、低温での適度な粘度を確保することができる。
また、これを用いたフラン樹脂積層体によれば、フラン樹脂組成物の含浸性が良好となり、積層体を硬化させた後において高強度を確保することができる。
また、これを用いたフラン樹脂積層体によれば、フラン樹脂組成物の含浸性が良好となり、積層体を硬化させた後において高強度を確保することができる。
本発明における熱硬化性フラン樹脂組成物は、主として、フラン樹脂、硬化触媒及び結晶化防止剤を含む。
(フラン樹脂)
本発明で使用されるフラン樹脂は、フラン系樹脂であれば特に限定されず、フルフリルアルコール縮合フラン樹脂、フルフリルアルコール・フェノール縮合フラン樹脂、フルフリルアルコール・アルデヒド縮合フラン樹脂、エポキシ変性フラン樹脂、尿素変性フラン樹脂、メラミン変性フラン樹脂、フェノール変性フラン樹脂、アルデヒド変性フラン樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種類以上併用してもよい。
本発明で使用されるフラン樹脂は、フラン系樹脂であれば特に限定されず、フルフリルアルコール縮合フラン樹脂、フルフリルアルコール・フェノール縮合フラン樹脂、フルフリルアルコール・アルデヒド縮合フラン樹脂、エポキシ変性フラン樹脂、尿素変性フラン樹脂、メラミン変性フラン樹脂、フェノール変性フラン樹脂、アルデヒド変性フラン樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種類以上併用してもよい。
フラン系樹脂は、熱硬化性フラン樹脂組成物を硬化させる際、水分放散による寸法収縮を最小限に止めるために、その水分量を10重量%以下とすることが好ましく、9重量%以下、5重量%以下、3重量%以下がより好ましく、2重量%以下、1重量%以下がさらに好ましい。
(硬化触媒)
本発明で使用される硬化触媒は、フラン樹脂を硬化できるものであれば特に限定されず、無機酸及び有機酸等が挙げられる。
無機酸としては、塩酸、硫酸等が挙げられる。
有機酸としては、キシレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸;マロン酸、コハク酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、安息香酸、クエン酸等の有機カルボン酸等が挙げられる。
また、アンモニウム塩又はアミン塩等であってもよい。
これは単独で用いても、2種類以上併用してもよい。
本発明で使用される硬化触媒は、フラン樹脂を硬化できるものであれば特に限定されず、無機酸及び有機酸等が挙げられる。
無機酸としては、塩酸、硫酸等が挙げられる。
有機酸としては、キシレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸;マロン酸、コハク酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、安息香酸、クエン酸等の有機カルボン酸等が挙げられる。
また、アンモニウム塩又はアミン塩等であってもよい。
これは単独で用いても、2種類以上併用してもよい。
アンモニウム塩、アミン塩は、加熱硬化時には、加熱により解離したアンモニア又はアミンが、フラン樹脂中に微少量含まれるホルムアルデヒドと反応してアミン化合物を形成し、安定化する。さらに、酸成分を遊離し、この遊離酸によりフラン樹脂を速やかに硬化させる。よって、硬化時間の短縮とポットライフの長期化との両立を図ることができる。
アンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等が挙げられる。
アミン塩としては、例えば、メチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、エチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩等の塩酸塩、硫酸塩などの鉱酸塩が挙げられる。
アンモニウム塩及びアミン塩は、フラン樹脂への添加及び分散を容易にするために希釈剤に溶解又は分散させることが好ましい。希釈剤としては水、メタノール、フルフリルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
アンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等が挙げられる。
アミン塩としては、例えば、メチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、エチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩等の塩酸塩、硫酸塩などの鉱酸塩が挙げられる。
アンモニウム塩及びアミン塩は、フラン樹脂への添加及び分散を容易にするために希釈剤に溶解又は分散させることが好ましい。希釈剤としては水、メタノール、フルフリルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
硬化触媒は、フラン樹脂、硬化触媒の種類及び希釈濃度、目的とする硬化温度及び硬化時間等によってその含有量を適宜調整することができる。例えば、フラン樹脂100重量部に対し、0.3〜10重量部が好ましく、0.3〜5重量部がより好ましく、0.5〜3重量部がさらに好ましい。この範囲に設定することにより、硬化不良を発生させることなく、その一方、ポットライフをも確保することができる。
(結晶化防止剤)
結晶化防止剤は、例えば、レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上併用してもよい。
結晶化防止剤は、例えば、粘度(25℃)が、1000〜50000mPa・s程度、3000〜30000mPa・s程度、5000〜30000mPa・s程度のものが好ましく、8000〜10000mPa・s程度のものがより好ましい。また、水分量が1〜20重量%程度、3〜15重量%、5〜15重量%程度のものが好ましく、8〜10重量%程度のものがより好ましい。さらに、ホルムアルデヒド含有量が0.1〜15重量%程度、0.5〜10重量%程度、1〜10重量%程度のものが好ましく、2〜5重量%程度のものがより好ましい。
結晶化防止剤は、例えば、レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上併用してもよい。
結晶化防止剤は、例えば、粘度(25℃)が、1000〜50000mPa・s程度、3000〜30000mPa・s程度、5000〜30000mPa・s程度のものが好ましく、8000〜10000mPa・s程度のものがより好ましい。また、水分量が1〜20重量%程度、3〜15重量%、5〜15重量%程度のものが好ましく、8〜10重量%程度のものがより好ましい。さらに、ホルムアルデヒド含有量が0.1〜15重量%程度、0.5〜10重量%程度、1〜10重量%程度のものが好ましく、2〜5重量%程度のものがより好ましい。
結晶化防止剤は、使用されるフラン樹脂、硬化触媒の種類、目的とする粘度等により、その含有量を適宜調整することができる。例えば、フラン樹脂100重量部に対し、0.05〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。この範囲に設定することにより、適度な粘度を得ることができる。
フラン樹脂組成物に結晶化防止剤を用いることにより、フラン樹脂が結晶格子を形成するために大きなエネルギーが必要となり、低温でも粘度上昇を抑制することができる。
また、結晶化防止剤は、フラン樹脂が硬化する際にフルフリルアルコールとホルムアルデヒドとの共縮合物と、反応及び固化するため、放散を起こりにくくする。これによって、硬化後の寸法収縮の小さな降下物を簡便に付与することができる。
また、結晶化防止剤は、フラン樹脂が硬化する際にフルフリルアルコールとホルムアルデヒドとの共縮合物と、反応及び固化するため、放散を起こりにくくする。これによって、硬化後の寸法収縮の小さな降下物を簡便に付与することができる。
(無機系充填材)
硬化性フラン樹脂組成物は、さらに無機系充填材を含有していてもよい。このような無機系充填材の含有によって、硬化性フラン樹脂組成物の硬化後の強度を向上させることができる。
無機系充填材としては、弾性率が高く、高充填が可能であれるものが好ましく、また、硬化阻害を防止する観点から、pHが10以下の無機系充填材が好ましい。具体的には、ガラスパウダー、シリカ、タルク、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウム等が挙げられる。なかでも、コストの点からカオリン、シリカ、水酸化アルミニウム等が好ましい。
硬化性フラン樹脂組成物は、さらに無機系充填材を含有していてもよい。このような無機系充填材の含有によって、硬化性フラン樹脂組成物の硬化後の強度を向上させることができる。
無機系充填材としては、弾性率が高く、高充填が可能であれるものが好ましく、また、硬化阻害を防止する観点から、pHが10以下の無機系充填材が好ましい。具体的には、ガラスパウダー、シリカ、タルク、カオリン、マイカ、水酸化アルミニウム等が挙げられる。なかでも、コストの点からカオリン、シリカ、水酸化アルミニウム等が好ましい。
無機系充填材は、表面処理が施されたものが好ましい。表面処理剤としては、無機系充填材及びフラン樹脂と反応又は結合可能であれば特に限定されず、例えば、有機シラン系表面処理剤が挙げられる。具体的には、有機シラン系表面処理剤としては、アミノシラン系表面処理剤、エポキシシラン系表面処理剤、アクリルシラン系表面処理剤等が挙げられる。このような表面処理が施された無機系充填材を用いることにより、フラン樹脂と無機系充填材との界面接着力を向上させることができる。その結果、より硬度を向上させることができる。
無機系充填材は、フラン樹脂の粘度等により、その含有量を適宜調整することができる。例えば、フラン系樹脂100重量部に対して、10〜200重量部であることが好ましく、20〜150重量部がより好ましく、30〜100重量部がさらに好ましい。この範囲に設定することにより、熱硬化性フラン樹脂組成物の適度な粘度を確保することができ、基材への含浸性を向上させることができる。さらに、強度特性を向上させることができる。
(無機系添加物)
硬化性フラン樹脂組成物は、さらに無機系添加物を含有していてもよい。無機系添加物は、水溶性の化合物が好ましい。例えば、塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム又は臭化リチウム等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上併用してもよい。ここで水溶性とは、水にわずかでも溶解するものであればよいが、20±5℃の水100gに溶解する化合物の量が1g以上であるものが好ましく、数g以上であるものが好ましい。無機系添加物が水に溶けにくいものであっても、熱硬化性フラン樹脂組成物中の無機系添加物の含有量及び水分含有量等によって、熱硬化性フラン樹脂組成物中において、無機系添加物は水溶液の形態(イオンに解離している形態)となるものが好ましい。
硬化性フラン樹脂組成物は、さらに無機系添加物を含有していてもよい。無機系添加物は、水溶性の化合物が好ましい。例えば、塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム又は臭化リチウム等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上併用してもよい。ここで水溶性とは、水にわずかでも溶解するものであればよいが、20±5℃の水100gに溶解する化合物の量が1g以上であるものが好ましく、数g以上であるものが好ましい。無機系添加物が水に溶けにくいものであっても、熱硬化性フラン樹脂組成物中の無機系添加物の含有量及び水分含有量等によって、熱硬化性フラン樹脂組成物中において、無機系添加物は水溶液の形態(イオンに解離している形態)となるものが好ましい。
無機系添加物は、その種類及び含有量を、フラン樹脂、硬化触媒の種類、含有水分量、寸法精度等により適宜調整することができる。なかでも、無機系添加物としては、寸法変化防止効果、常温における溶解度の高さから、塩化リチウムが好ましい。
無機系添加物の含有量は、例えば、フラン樹脂100重量部に対し、0.2〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましく、1〜3重量部がさらに好ましい。この範囲に設定することにより、十分な寸法変化防止効果が得られるとともに、熱硬化性フラン樹脂組成物を適度な粘度に調整することができる。
無機系添加物の含有量は、例えば、フラン樹脂100重量部に対し、0.2〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましく、1〜3重量部がさらに好ましい。この範囲に設定することにより、十分な寸法変化防止効果が得られるとともに、熱硬化性フラン樹脂組成物を適度な粘度に調整することができる。
(その他の成分)
本発明の熱硬化性フラン樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じ、当該分野で公知の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、可塑剤、整泡剤、反応性希釈剤、水分捕捉剤等が挙げられる。
本発明の熱硬化性フラン樹脂組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じ、当該分野で公知の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、可塑剤、整泡剤、反応性希釈剤、水分捕捉剤等が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、エポキシ系可塑剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
整泡剤としては、例えば、ひまし油、ひまし油誘導体、ポリシロキサン系化合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
反応性希釈剤は、通常、粘度調整又は反応性調整のために使用される。反応性希釈剤は、粘度が低く、フラン樹脂と相溶性があり、かつ熱硬化性フラン樹脂組成物が硬化する際に反応性を示すものであれば特に限定されず、例えば、フルフリルアルコール、フルフラール、これらの混合物等が挙げられる。
反応性希釈剤の含有量は、反応性希釈剤の種類、フラン樹脂の粘度により適宜調整することができ、フラン樹脂100重量部に対して、10〜130重量部であることが好ましく、40〜110重量部がより好ましい。この範囲に設定することにより、後述する積層体への含浸を十分かつ適度に行わせることができる。
反応性希釈剤の含有量は、反応性希釈剤の種類、フラン樹脂の粘度により適宜調整することができ、フラン樹脂100重量部に対して、10〜130重量部であることが好ましく、40〜110重量部がより好ましい。この範囲に設定することにより、後述する積層体への含浸を十分かつ適度に行わせることができる。
水分捕捉剤は、水分を捕捉できるものであれば特に限定されず、例えば、無機塩の水和により水分を捕捉できるもの又は分子内細孔での吸着により水分を捕捉できるものなどが挙げられる。前者としては、無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸銅、塩化カルシウム等が挙げられる。後者としては、シリカゲル、モレキュラシーブ、ゼオライト等が挙げられる。
水分捕捉剤の含有量は、例えば、フラン系樹脂100重量部に対し、1〜100重量部が好ましい。
水分捕捉剤の含有量は、例えば、フラン系樹脂100重量部に対し、1〜100重量部が好ましい。
(熱硬化性フラン樹脂組成物の製造方法)
熱硬化性フラン樹脂組成物は、フラン樹脂に、硬化触媒と結晶化防止剤とを同時に、任意の順に添加し、混合することにより製造することができる。また、この添加、混合の任意の時点で他の成分を添加、混合してもよい。例えば、フラン樹脂100重量部に対して、硬化触媒0.3〜10重量部及び結晶化防止剤0.05〜10重量部を含有させることが好ましく、硬化触媒0.3〜5重量部及び結晶化防止剤0.05〜10重量部を含有させるか、硬化触媒0.3〜10重量部及び結晶化防止剤0.1〜5重量部を含有させることがより好ましく、硬化触媒0.5〜3重量部及び結晶化防止剤0.1〜5重量部を含有させることがさらに好ましい。
熱硬化性フラン樹脂組成物は、フラン樹脂に、硬化触媒と結晶化防止剤とを同時に、任意の順に添加し、混合することにより製造することができる。また、この添加、混合の任意の時点で他の成分を添加、混合してもよい。例えば、フラン樹脂100重量部に対して、硬化触媒0.3〜10重量部及び結晶化防止剤0.05〜10重量部を含有させることが好ましく、硬化触媒0.3〜5重量部及び結晶化防止剤0.05〜10重量部を含有させるか、硬化触媒0.3〜10重量部及び結晶化防止剤0.1〜5重量部を含有させることがより好ましく、硬化触媒0.5〜3重量部及び結晶化防止剤0.1〜5重量部を含有させることがさらに好ましい。
このような熱硬化性フラン樹脂組成物は、その用途に応じて、例えば、強化繊維を用いたフラン樹脂積層体を形成するために、この樹脂組成物の含浸、積層体の反転、引込又は成形等の作業時間を確保のために、例えば、2時間以上、好ましくは5時間以上、さらに好ましくは12時間以上のポットライフを付与することができる。
熱硬化性フラン樹脂組成物は、例えば、25℃における粘度を、400から7000mPa・sに調整することが好ましい。この範囲に設定することにより、例えば、熱硬化性フラン樹脂組成物を繊維強化樹脂のベース樹脂として用いる場合、この樹脂組成物を繊維に十分に浸透させることができ、ガラス繊維中で重力等による偏在を防止することができる。
別の観点から、0℃における粘度を、1.8×105mPa・s以下、1.7×105mPa・s以下、1.5×105mPa・s以下、1.2×105mPa・s以下に調整することが好ましい。
熱硬化性フラン樹脂組成物の粘度は、材料の種類と組み合わせとを選択すること、反応性希釈剤を適当な量で添加すること、結晶化防止剤を添加することなどによって調整することができる。
別の観点から、0℃における粘度を、1.8×105mPa・s以下、1.7×105mPa・s以下、1.5×105mPa・s以下、1.2×105mPa・s以下に調整することが好ましい。
熱硬化性フラン樹脂組成物の粘度は、材料の種類と組み合わせとを選択すること、反応性希釈剤を適当な量で添加すること、結晶化防止剤を添加することなどによって調整することができる。
(フラン樹脂積層体)
フラン樹脂積層体は、上述した熱硬化性フラン樹脂組成物を、強化繊維を含む積層体に含浸及び硬化させることにより製造することができる。
強化繊維としては、特に限定されず、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、無機繊維、有機繊維、ウィスカー等又はこれらを組み合わせたもの等が挙げられる。なかでも、得られるフラン樹脂積層体の強度と価格とのバランスから、ガラス繊維が好ましい。強化繊維は、繊維径が3〜25μmの範囲のものが好ましく、強度面及び価格面の観点から、5〜20μmがより好ましい。
フラン樹脂積層体は、上述した熱硬化性フラン樹脂組成物を、強化繊維を含む積層体に含浸及び硬化させることにより製造することができる。
強化繊維としては、特に限定されず、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、無機繊維、有機繊維、ウィスカー等又はこれらを組み合わせたもの等が挙げられる。なかでも、得られるフラン樹脂積層体の強度と価格とのバランスから、ガラス繊維が好ましい。強化繊維は、繊維径が3〜25μmの範囲のものが好ましく、強度面及び価格面の観点から、5〜20μmがより好ましい。
積層体は、強化繊維のみから構成されるものであってもよいし、結合剤、他の基材等の他の部材を含んで構成されていてもよい。基材としては、熱硬化性フラン樹脂組成物を含浸し得る基材であればよく、例えば、空隙率が90%以下の基材が挙げられる。これによって、熱硬化性フラン樹脂組成物の硬化後の基材にボイド等が形成される不具合を最小限に抑えることができる。このような基材は、例えば、厚みが3mm以上であるものが好ましい。十分な保護特性を発現させることができるからである。基材としては、例えば、不織布、チョップドストランドマット等の単層又は異なる材料の積層構造等が挙げられる。
不織布としては、例えば、ポリエステル、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン等の樹脂、木綿・苧麻・亜麻黄麻・ケナフ等の天然素材が挙げられ、高強度及び高弾性の材料からなるものが好ましい。なかでも、樹脂からなるものがより好ましい。また、可撓性を有し、多孔質であり、連続フィラメント又はステープルファイバーを備えたフェルト、マット、スパンボンド、ウェブ等も使用することができる。
チョップドストランドマットとしては、例えば、ストランドを一定長さに切断し、マット状に分散させた後、熱可塑性樹脂等の粘接着剤を均一に付与して熱溶融し、ストランド同士を接着させてマットとしたもの等が挙げられる。
チョップドストランドマットとしては、例えば、ストランドを一定長さに切断し、マット状に分散させた後、熱可塑性樹脂等の粘接着剤を均一に付与して熱溶融し、ストランド同士を接着させてマットとしたもの等が挙げられる。
積層体の形態は、糸状、シート状、織物状、編物状等の種々の形態の強化繊維及び他の部材等を、複数層積層させて一体化したものが好ましい。
積層体は、その用途によって、一表面が、液密にフィルムコーティングされていてもよい。例えば、一表面が、不透水性フィルム又は不透水性層が配置しているものが挙げられる。不透水性フィルム及び不透水層は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、エラストマー及び合成ゴム等の合成樹脂系材料を、0.2〜2.0mm程度の厚さのフィルム又はシートを、強化繊維又は他の部材にコーティングすることにより形成することができる。
積層体は、その用途によって、一表面が、液密にフィルムコーティングされていてもよい。例えば、一表面が、不透水性フィルム又は不透水性層が配置しているものが挙げられる。不透水性フィルム及び不透水層は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、エラストマー及び合成ゴム等の合成樹脂系材料を、0.2〜2.0mm程度の厚さのフィルム又はシートを、強化繊維又は他の部材にコーティングすることにより形成することができる。
積層体に熱硬化性フラン樹脂組成物を含浸させる方法は、特に限定されず、例えば、積層体に、熱硬化性フラン樹脂組成物を、含浸ロールを用いて含浸させる方法、熱硬化性フラン樹脂組成物を収容した容器内に積層体を含浸させる方法等が挙げられる。
積層体に含浸させた熱硬化性フラン樹脂組成物の硬化方法は、特に限定されず、例えば、積層体に含浸させた熱硬化性フラン樹脂組成物に熱風を吹き付けて硬化させる方法、金型内に熱硬化性フラン樹脂組成物を注ぎ入れ、熱風又は熱水を利用して、あるいは熱板に挟み込んで加熱硬化する方法等が挙げられる。
硬化温度は、例えば70〜130℃が好ましく、60℃〜100℃がより好ましい。硬化時間は、例えば、1時間程度以上、硬化温度で保持することが好ましい。
このような硬化によって、フラン樹脂積層体は、25℃(湿度50%)にて100時間養生後において、寸法保持率が99%以上の優れた特性を実現することができる。
硬化温度は、例えば70〜130℃が好ましく、60℃〜100℃がより好ましい。硬化時間は、例えば、1時間程度以上、硬化温度で保持することが好ましい。
このような硬化によって、フラン樹脂積層体は、25℃(湿度50%)にて100時間養生後において、寸法保持率が99%以上の優れた特性を実現することができる。
熱硬化性フラン樹脂組成物の硬化方法は特に限定されず、熱硬化性フラン樹脂組成物を入れた容器を熱風にて硬化する方法、金型内に熱硬化性フラン樹脂組成物を注ぎいれ、熱風あるいは熱板に挟み込んで加熱硬化する方法等が挙げられる。
以下、実施例により本発明の熱硬化性フラン樹脂組成物及びこれを用いたフラン樹脂積層体を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
(熱硬化性フラン樹脂組成物の調製)
実施例1
フラン樹脂(ヒタフラVF302、日立化成社製、ホルムアルデヒド含有量1重量%)100重量部に対し、
硬化触媒として60重量%パラトルエンスルホン酸0.8重量部、
結晶化防止剤としてレゾール型フェノール樹脂(粘度(25℃)8000〜10000mPa・s、水分量8〜10重量%、ホルムアルデヒド含有量2〜5重量%)0.5重量部、
無機系充填材としてアミノシラン表面処理カオリン(林化成社製)30重量部、
無機系添加物として40重量%塩化リチウム5重量部
を添加した後、ホモディスパー1000rpmで10分間攪拌し、熱硬化性フラン樹脂組成物を得た。
実施例1
フラン樹脂(ヒタフラVF302、日立化成社製、ホルムアルデヒド含有量1重量%)100重量部に対し、
硬化触媒として60重量%パラトルエンスルホン酸0.8重量部、
結晶化防止剤としてレゾール型フェノール樹脂(粘度(25℃)8000〜10000mPa・s、水分量8〜10重量%、ホルムアルデヒド含有量2〜5重量%)0.5重量部、
無機系充填材としてアミノシラン表面処理カオリン(林化成社製)30重量部、
無機系添加物として40重量%塩化リチウム5重量部
を添加した後、ホモディスパー1000rpmで10分間攪拌し、熱硬化性フラン樹脂組成物を得た。
実施例2
結晶化防止剤としてレゾール型フェノール樹脂(粘度(25℃)8000〜10000mPa・s、水分量8〜10重量%、ホルムアルデヒド含有量2〜5重量%)1.0重量部を用いた以外、実施例1と同様の方法で熱硬化性フラン樹脂組成物を得た。
結晶化防止剤としてレゾール型フェノール樹脂(粘度(25℃)8000〜10000mPa・s、水分量8〜10重量%、ホルムアルデヒド含有量2〜5重量%)1.0重量部を用いた以外、実施例1と同様の方法で熱硬化性フラン樹脂組成物を得た。
実施例3
結晶化防止剤としてレゾール型フェノール樹脂(粘度(25℃)8000〜10000mPa・s、水分量8〜10重量%、ホルムアルデヒド含有量2〜5重量%)5.0重量部を用いた以外、実施例1と同様の方法で熱硬化性フラン樹脂組成物を得た。
結晶化防止剤としてレゾール型フェノール樹脂(粘度(25℃)8000〜10000mPa・s、水分量8〜10重量%、ホルムアルデヒド含有量2〜5重量%)5.0重量部を用いた以外、実施例1と同様の方法で熱硬化性フラン樹脂組成物を得た。
比較例
フラン樹脂(ヒタフラVF302、日立化成社製、ホルムアルデヒド含有量1重量%)100重量部に対し、硬化触媒として60重量%パラトルエンスルホン酸0.8重量部、無機系充填材としてアミノシラン表面処理カオリン(林化成社製)30重量部、無機系添加物として40重量%塩化リチウム5重量部を添加した後、ホモディスパー1000rpmで10分間攪拌し、熱硬化性フラン樹脂組成物を得た。
フラン樹脂(ヒタフラVF302、日立化成社製、ホルムアルデヒド含有量1重量%)100重量部に対し、硬化触媒として60重量%パラトルエンスルホン酸0.8重量部、無機系充填材としてアミノシラン表面処理カオリン(林化成社製)30重量部、無機系添加物として40重量%塩化リチウム5重量部を添加した後、ホモディスパー1000rpmで10分間攪拌し、熱硬化性フラン樹脂組成物を得た。
実施例及び比較例で得られた熱硬化性フラン樹脂組成物をそれぞれ0℃に温調し、それら組成物について、粘度計(東機産業社製)を用いて粘度を測定した。その結果を表1に示す。
表1から、実施例の熱硬化性フラン樹脂組成物の全てにおいて、低温で粘度を低下できることが確認された。
本発明は、鋼管ライニング、メジセメント、FRP等、複合材のマトリックス樹脂として適用可能である。
Claims (5)
- フラン樹脂、硬化触媒及び結晶化防止剤を含む熱硬化性フラン樹脂組成物であって、
前記結晶化防止剤は、レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂及び尿素樹脂からなる群から選択される1種以上である熱硬化性フラン樹脂組成物。 - さらに無機系充填剤を含む請求項1に記載の熱硬化性フラン樹脂組成物。
- さらに無機系添加物を含む請求項1又は2に記載の熱硬化性フラン樹脂組成物。
- 前記無機系添加物が水溶性の化合物である請求項1〜3のいずれか1つに記載の熱硬化性フラン樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれか1つに記載の熱硬化性フラン樹脂組成物を、強化繊維を含む積層体に含浸及び硬化させてなるフラン樹脂積層体。
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JP2014183048A JP2016056265A (ja) | 2014-09-09 | 2014-09-09 | 熱硬化性フラン樹脂組成物及びこれを用いたフラン樹脂積層体 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN117229598A (zh) * | 2023-11-10 | 2023-12-15 | 北京平储能源技术有限公司 | 二硫化钼纳米片Janus复合树脂及其制备方法与用途 |
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2014
- 2014-09-09 JP JP2014183048A patent/JP2016056265A/ja active Pending
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