JP2016098283A - 熱硬化性フラン樹脂組成物及びこれを用いた熱硬化性フラン樹脂積層体 - Google Patents

熱硬化性フラン樹脂組成物及びこれを用いた熱硬化性フラン樹脂積層体 Download PDF

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聡 西島
智行 小林
Satoyuki Kobayashi
智行 小林
茂 小笠原
Shigeru Ogasawara
茂 小笠原
治樹 堅田
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治樹 堅田
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Abstract

【課題】含有水分率を高めることなく、かつ無機系充填剤を添加しても粘度が上昇しないフラン樹脂組成物及びこれを用いた積層体を提供することを目的とする。
【解決手段】フラン系樹脂(A)、硬化剤(B)及び無機系充填剤(C)を含み、前記フラン系樹脂(A)は、0℃における粘度が1×10〜1×10mPa・sであり、前記無機系充填剤(C)は、断面形状が円形又は楕円形であり、平均粒子径が10〜40μmであることを特徴とする熱硬化性フラン樹脂組成物及びこの熱硬化性フラン樹脂組成物を、繊維質基材からなる積層体に含浸及び硬化させてなる熱硬化性熱硬化性フラン樹脂積層体。
【選択図】なし

Description

本開示は、熱硬化性フラン樹脂組成物及びこれを用いた熱硬化性フラン樹脂積層体に関する。
熱硬化性フラン樹脂組成物は、その硬化物が、耐熱性、耐溶剤性及び/又は耐薬品性に優れていることから、鋼管ライニング、メジセメント、FRP等、複合材のマトリックス樹脂として各種産業分野において使用されている。このような樹脂組成物は、強度向上及びコストダウンを目的として、無機系充填剤が添加される(特許文献1参照)。
しかし、このような樹脂組成物に無機系充填剤を添加すると粘度が高くなるため、特に、低温環境下で、積層体への含浸性が著しく低下する。フラン樹脂は、元来、低温時の粘度が非常に高い樹脂であり、低温環境下での積層体への含浸性の低下が顕著に影響する。
特開2014−84423号 特開昭55−73524号
低温時の粘度を低下させる方法として、含有水分率を高くする方法がある(特許文献2参照)。しかし、樹脂組成物における含有水分率を高くすると硬化物の強度が低下する。
本開示は、上記課題に鑑みさされたものであり、含有水分率を高めることなく、かつ無機系充填剤を添加しても粘度が上昇しないフラン樹脂組成物及びこれを用いた積層体を提供することを目的とする。
本開示は、以下の発明を含む。
(1)フラン系樹脂(A)、硬化剤(B)及び無機系充填剤(C)を含み、
前記フラン系樹脂(A)は、0℃における粘度が1×10〜1×10mPa・sであり、
前記無機系充填剤(C)は、断面形状が円形又は楕円形であり、平均粒子径が10〜40μmであることを特徴とする熱硬化性フラン樹脂組成物。
(2)前記無機系充填剤(C)は、該無機系充填材を水に分散したときの分散液のpHが10以下である上記の熱硬化性フラン樹脂組成物。
(3)前記無機系充填剤(C)は、有機シラン系材料で表面処理されたものである上記の熱硬化性フラン組成物。
(4)前記無機系充填剤(C)は、フラン系樹脂(A)100重量部に対して、1〜50重量部含まれる上記の熱硬化性フラン樹脂組成物。
(5)上記のいずれか1つに記載の熱硬化性フラン樹脂組成物を、繊維質基材からなる積層体に含浸及び硬化させてなる熱硬化性熱硬化性フラン樹脂積層体。
本開示の熱硬化性フラン樹脂組成物によれば、低温時においても粘度上昇を抑制することができる。
また、このような熱硬化性フラン樹脂組成物を、積層体のマトリックス樹脂として使用した場合に、含浸性が良好な熱硬化性フラン樹脂積層体を得ることができる。
〔熱硬化性フラン樹脂組成物〕
本開示の熱硬化性フラン樹脂組成物は、主として、フラン系樹脂(A)と、硬化剤(B)と、無機系充填剤(C)とを含有する。
(1)フラン系樹脂(A)
本発明において、フラン系樹脂(A)としては、フラン樹脂、変性フラン樹脂が好ましい。
フラン樹脂は、フルフラール、フルフリルアルコールを出発物質とする重合体又はその前駆体(オリゴマー)である。これらは単独で又は2種以上を併用してもよい。
重合体としては、フルフリルアルコール型、フルフリルアルコール・フルフラール共縮合型、フルフリルアルコール・アルデヒド共縮合型、フルフラール・ケトン共縮合型、フルフラール・フェノール共縮合型、フルフリルアルコール・尿素共縮合型、フルフリルアルコール・フェノール共縮合型等の重合体が挙げられる。
フラン樹脂の前駆体としては、フルフリルアルコール型、フルフリルアルコール・フルフラール共縮合型、フルフリルアルコール・アルデヒド共縮合型、フルフラール・ケトン共縮合型、フルフラール・フェノール共縮合型、フルフリルアルコール・尿素共縮合型、フルフリルアルコール・フェノール共縮合型の前駆体等が挙げられる。
フラン系樹脂(A)としていずれの種類のものも使用可能であるが、工業的に安定に供給されていることから、フルフリルアルコール型、フルフリルアルコール・ホルムアルデヒド共縮合型の重合体又は前駆体が好ましい。
変性フラン樹脂としては、例えばエポキシ変性、フェノール変性、アルデヒド変性、尿素変性、メラミン変性等のものが挙げられる。
フラン系樹脂(A)の0℃における粘度は、大きすぎると含浸性が著しく低下し、小さすぎると積層体成形時タレが発生するおそれがあることから、1×10〜1×10mPa・sが好ましく、1.5×10〜5×10mPa・sがより好ましく、2×10〜1×10mPa・sがさらに好ましい。
フラン系樹脂(A)は、熱硬化性フラン樹脂組成物を硬化させる際、水分放散による寸法収縮を最小限に止めるために、その水分量を10重量%以下とすることが好ましく、9重量%以下、5重量%以下、3重量%以下がより好ましく、2重量%以下、1重量%以下がさらに好ましい。
(2)硬化剤(B)
硬化剤(B)は、フラン系樹脂(A)を硬化できるものであれば特に限定されず、無機酸及び有機酸等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を併用してもよい。
無機酸としては、塩酸、硫酸等が挙げられる。
有機酸としては、キシレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、フェノールスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸等の有機スルホン酸;マロン酸、コハク酸、マレイン酸、シュウ酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、安息香酸、クエン酸等の有機カルボン酸等が挙げられる。また、アンモニウム塩又はアミン塩等であってもよい。
アンモニウム塩、アミン塩は、加熱硬化時には、加熱により解離したアンモニア又はアミンが、フラン樹脂中に微少量含まれるホルムアルデヒドと反応してアミン化合物を形成し、安定化する。さらに、酸成分を遊離し、この遊離酸によりフラン樹脂を速やかに硬化させる。よって、硬化時間の短縮とポットライフの長期化との両立を図ることができる。
アンモニウム塩としては、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、臭化アンモニウム等が挙げられる。
アミン塩としては、例えば、メチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、エチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩等の塩酸塩、硫酸塩などの鉱酸塩が挙げられる。
アンモニウム塩及びアミン塩は、フラン樹脂への添加及び分散を容易にするために希釈剤に溶解又は分散させることが好ましい。希釈剤としては水、メタノール、フルフリルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
硬化剤は、フラン系樹脂(A)、硬化剤の種類及び希釈濃度、目的とする硬化温度及び硬化時間等によってその含有量を適宜調整することができる。例えば、フラン樹脂100重量部に対し、0.1〜10重量部が好ましく、0.3〜9重量部がより好ましい。この範囲に設定することにより、硬化不良を発生させることなく、その一方、ポットライフをも確保することができる。
(3)無機系充填剤(C)
無機系充填剤(C)は、断面形状が円形又は楕円形であることが好ましい。ここでの断面形状とは、任意の方向で切断した断面の形状を意味する。このような形状により、流動抵抗の低減をもたらして、熱硬化性フラン樹脂組成物の粘度上昇を抑制することができる。
また、無機系充填剤(C)は、平均粒子径が10〜40μmであることが好ましく、15〜30μmがより好ましい。この範囲に設定することにより、原料コストの上昇を招くことなく、熱硬化性フラン樹脂組成物の基材への含浸を良好なものとすることができる。
平均粒子径は、レーザー回折式粒子分布測定装置によって測定することができる。
無機系充填材(C)は、弾性率が高く、高充填が可能であれるものが好ましい。また、無機系充填材(C)は、硬化阻害を防止する観点から、また、硬化後の強度を向上させるという観点から、pHが10以下の無機系充填材が好ましく、pH3〜10、pH4〜10、pH4〜9、pH4〜8又はpH4〜7がより好ましい。ここで、pHは、無機系充填材を水に分散させたときの分散液のpHを意味する。分散液のpHは、市販のpHメータで測定することができる。また、分散液は、例えば、無機系充填材0.5gを、水100gに分散させた液とする。
無機系充填材(C)としては、例えば、ガラスビーズ、シリカ、炭酸カルシウム等が挙げられる。なかでも、強度とコストの観点からガラスビーズが好ましい。
無機系充填材(C)は、表面処理が施されたものが好ましい。表面処理剤としては、無機系充填材(C)及びフラン系樹脂(A)と反応又は結合可能であれば特に限定されず、例えば、有機シラン系表面処理剤が挙げられる。具体的には、有機シラン系表面処理剤としては、アミノ・シラン系表面処理剤、エポキシ・シラン系表面処理剤、アクリル・シラン系表面処理剤等が挙げられる。このような表面処理が施された無機系充填材(C)を用いることにより、フラン系樹脂(A)と無機系充填材(C)との界面接着力を向上させることができる。その結果、より強度を向上させることができる。
無機系充填材(C)としては、特に、有機シラン系材料で表面処理されたガラスビーズが好ましい。
無機系充填剤の添加量は、種類や目的とする強度及びコストによって異なるが、少なすぎると強度向上の効果が得られず、一方、多すぎるとフラン系樹脂(A)の割合が減少し、硬化発熱量減少による強度低下が発生するおそれがあることから、例えば、フラン系樹脂(A)100重量部に対して、1〜50重量部であることが好ましく、5〜45重量部が更に好ましく、10〜40重量部が最も好ましい。
(4)その他の成分
本開示の熱硬化性フラン樹脂組成物は、さらに、コアシェル型ゴムポリマー、反応希釈剤、無機系充填材、結晶化防止剤、無機系添加物、可塑剤、整泡剤、反応性希釈剤、水分捕捉剤等を含有していてもよい。これらは単独で用いても、2種以上併用してもよい。
コアシェル型ゴムポリマーとしては、特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。例えば、シェル層の主成分となるポリマーが、例えば、アクリル系重合体、アクリル−エポシキ共重合体等、コア層の主成分となるポリマーが、例えば、アクリルゴム、ブタジエンゴム等であるものが挙げられる。コアシェル型ゴムポリマーは、フラン系樹脂(A)への添加及び分散を容易にするために、希釈剤に溶解又は分散されていることが好ましい。希釈剤としては水、メタノール、フルフリルアルコール等のアルコール類が挙げられる。
特に、シェル層の主成分となるポリマーは、20℃でガラス状態であることが好ましい。また、シェル層の主成分となるポリマーは、水酸基を有するガラス状態のポリマーであることが好ましい。コア層の主成分となるポリマーは、20℃でゴム状態であるものが好ましい。
コアシェル型ゴムポリマーの添加量は、特に限定されないが、目的とする耐震性能により調整するという観点から、フラン系樹脂(A)100重量部に対し、1〜20重量部が好ましい。
反応希釈剤及び無機系充填材としては、国際公開公報2011/125534号に記載のものを使用することができる。また、特開2014−104719号に記載の充填材及び無機系充填材を用いてもよい。

結晶化防止剤としては、例えば、レゾール型フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。結晶化防止剤は、例えば、粘度(25℃)が、1000〜50000mPa・s程度のもの、水分量が1〜20重量%程度及び/又はホルムアルデヒド含有量が0.1〜15重量%程度のものが好ましい。結晶化防止剤は、例えば、フラン樹脂100重量部に対し、0.05〜10重量部で用いることができる。この範囲に設定することにより、適度な粘度を得ることができる。
無機系添加物は、水溶性の化合物が好ましい。例えば、塩化ナトリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム又は臭化リチウム等が挙げられる。ここで水溶性とは、水にわずかでも溶解するものであればよいが、20±5℃の水100gに溶解する化合物の量が1g以上であるものが好ましい。無機系添加物の含有量は、例えば、フラン樹脂100重量部に対し、0.2〜10重量部が好ましい。この範囲に設定することにより、十分な寸法変化防止効果が得られ、熱硬化性フラン樹脂組成物を適度な粘度に調整することができる。
可塑剤としては、例えば、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル等のフタル酸エステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、エポキシ系可塑剤などが挙げられる。
整泡剤としては、例えば、ひまし油、ひまし油誘導体、ポリシロキサン系化合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
水分捕捉剤は、例えば、無機塩の水和により水分を捕捉できるもの(無水硫酸ナトリウム、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸銅、塩化カルシウム等)又は分子内細孔での吸着により水分を捕捉できるもの(シリカゲル、モレキュラシーブ、ゼオライト等)が挙げられる。水分捕捉剤の含有量は、例えば、フラン系樹脂100重量部に対し、1〜100重量部が好ましい。
〔熱硬化性フラン樹脂組成物の調製〕
本開示の熱硬化性フラン樹脂組成物は、フラン系樹脂(A)に、無機系充填剤(C)を添加して攪拌して混合物とした後、この混合物に、硬化剤(B)を添加し攪拌することが好ましい。ただし、無機系充填剤(C)及び硬化剤(B)、任意にその他の成分を、フラン系樹脂(A)に添加する順序は特に限定されず、全てを同時に添加してもよい。得られた熱硬化性フラン樹脂組成物では、フラン系樹脂(A)に上述した成分の全てが均一に分散されていることが好ましい。
〔熱硬化性フラン樹脂積層体〕
本開示の熱硬化性フラン樹脂積層体は、上述した熱硬化性フラン樹脂組成物と、繊維質基材とを含んで構成される。
繊維質基材としては、樹脂を吸収することができる基材であって、かつ、それ自体の強度を確保する基材であることが好ましい。
例えば、不織布、チョップドストランドマット、ロービングクロス等が挙げられる。
不織布としては、例えば、ポリエステル、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン等の樹脂、木綿、苧麻、亜麻黄麻、ケナフ等の天然素材が挙げられ、高強度及び高弾性の材料からなるものが好ましい。なかでも、樹脂が好ましく、また、可撓性を有し多孔質であり、連続フィラメント又はステープルファイバーを備えたフェルト、マット、スパンボンド、ウェブなども使用可能である。
チョップドストランドマットとしては、例えば、ガラス繊維等のストランドを一定長さに切断し、マット状に分散させた後、熱可塑性樹脂等の粘接着剤を均一に付与して熱溶融し、ストランド同士を接着させてマットとしたもの等が挙げられる。
ロービングクロスとしては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、無機繊維、有機繊維、ウィスカー又はこれらの複合材料等が好ましい。なかでも、ガラス繊維が、得られる繊維強化樹脂層の強度と価格のバランスからして好ましい。強化繊維は、繊維径が3〜30μmの範囲のものであることが好ましく、強度及び価格の観点から5〜25μmの繊維径のものがより好ましい。
繊維質基材は、単独材料を用いた単層又は多層構造でもよいし、2種以上の材料を用いた単層又は多層構造でもよい。また、熱硬化性フラン樹脂を含浸する際に、熱硬化性フラン樹脂の漏れ等を防止するために、繊維質基材の一面に、液密に不透水フィルムが形成されていることが好ましい。不透水性フィルムは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、エラストマー及び合成ゴム等の合成樹脂系材料によって形成することができる。
〔熱硬化性フラン樹脂積層体の製造方法〕
本開示の熱硬化性フラン樹脂積層体の製造方法は、熱硬化性フラン樹脂組成物を、繊維質基材に含浸させることを含む。含浸させる方法は特に限定されず、例えば、熱硬化性フラン樹脂組成物を、繊維質基材に、含浸ロールにて含浸させる方法等が挙げられる。
熱硬化性フラン樹脂組成物が含浸した繊維質基材は、硬化することが好ましい。硬化方法は特に限定されず、例えば、熱硬化性フラン樹脂組成物を含浸させた繊維質基材を金型内に設置し、熱風であるいは熱板に挟み込んで加熱硬化する方法等が挙げられる。加熱硬化する際の温度は、特に限定されないが、一般的に、例えば70〜130℃が好ましい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によりなんら限定されるものではない。
(熱硬化性フラン樹脂組成物の調製)
<実施例1〜3>
フルフリルアルコールとホルムアルデヒドとの共縮合物(0℃における粘度76000mPa・s、水分含有量6.1重量%)100重量部に対し、表1に記載の無機系充填剤(C)を添加し、ホモディスパーを用いて、1000rpmで5分間攪拌した。その後、硬化剤(B)としてパラトルエンスルホン酸65%水溶液0.8重量部と臭化アンモニウム塩40%水溶液8重量部とを添加し、さらに1000rpmにて5分間攪拌することにより熱硬化性フラン樹脂組成物を得た。
<比較例1>
フルフリルアルコールとホルムアルデヒドとの共縮合物(0℃における粘度76000mPa・s、水分含有量6.1重量%)100重量部に対し、硬化剤(B)としてパラトルエンスルホン酸65%水溶液0.8重量部と臭化アンモニウム塩40%水溶液8重量部とを添加し、ホモディスパーを用いて1000rpmにて5分間攪拌することにより熱硬化性フラン樹脂組成物を得た。
<比較例2>
フルフリルアルコールとホルムアルデヒドとの共縮合物(0℃における粘度76000mPa・s、水分含有量6.1重量%)100重量部に対し、表1に記載の無機系充填剤(C)を添加し、ホモディスパーを用いて1000rpmで5分間攪拌した。その後、硬化剤(B)としてパラトルエンスルホン酸65%水溶液0.8重量部と臭化アンモニウム塩40%水溶液8重量部とを添加し、さらに1000rpmにて5分間攪拌することにより熱硬化性フラン樹脂組成物を得た。
(熱硬化性フラン樹脂積層体の成形)
実施例及び比較例で得られた熱硬化性フラン樹脂組成物を、ポリエステル不織布基材(厚さ5mm、目付1000g/m)に含浸ロールにて均一に含浸した。その後、内寸240mm×240mm×5mmの金型内に静置し、90℃で12時間加熱し、熱硬化性フラン樹脂組成物を硬化させて、熱硬化性フラン樹脂積層体を得た。熱硬化性フラン樹脂積層体中の熱硬化性フラン樹脂組成物の含浸量は、5500g/mであった。
実施例及び比較例により得られた熱硬化性フラン樹脂積層体について、表1に示す評価を行った。その評価結果を表1に示す。表1における各物性値は、以下の測定方法により測定した値である。
(1)曲げ弾性率
硬化させた熱硬化性フラン樹脂積層体の曲げ弾性率を、JIS K7171『プラスチック―曲げ特性の求め方』に準拠して測定した。更生管の材料としては、2500MPaを下限値とする。
(2)0℃における熱硬化フラン樹脂組成物の粘度
実施例及び比較例で得られた熱硬化性フラン樹脂組成物をそれぞれ0℃に温調し、JIS K7117-1『プラスチック―液状、乳濁状又は分散状の樹脂−ブルックフィールド形回転粘度計による見掛け粘度の測定方法』に準拠して測定した。
(3)水分含有量
JIS K0113−8『カールフィッシャー滴定方法』における定量滴定方法に準拠してフラン樹脂の水分含有量を測定した。
(4)含浸性
熱硬化性フラン樹脂組成物の0℃におけるポリエステル不織布基材への含浸度合いを目視にて観察した。評価基準は以下のとおりである。
◎:含浸できる、
○:時間をかければ含浸できる、
×:含浸できない
表1中の*:ポッターズ・バロティーニ社製のGB210、表面をエポキシ・シラン処理されたガラスビーズで、断面形状が円形、レーザー回折式粒子分布測定装置により測定した平均粒径が18μmであった。
このガラスビーズ0.5gを、水100gに分散させた水溶液のpHを市販のpHメータ((株)堀場製作所社製のD-51S)により測定したところ、pHは9であった。
表1中の**:林化成(株)社製のトランスリンク445、表面をアミノ・シラン処理されたカオリンで、断面形状が板状、レーザー回折式粒子分布測定装置により測定した平均粒径が0.4μmであった。
表1の実施例1〜3と比較例との対比から明らかなように、無機充填材なしでは、曲げ弾性率が低く、強度を確保することができない。また、断面形状が板状のカオリンを添加すると0℃における粘度が高く、低温環境化で含浸することができない。
実施例1〜3では、0℃における粘度が低く、低温環境化で含浸性が可能であり、かつ曲げ弾性率が向上する熱硬化性フラン樹脂組成物及び熱硬化性フラン樹脂積層体が得られることが明らかになった。
本開示の熱硬化性フラン樹脂組成物は、鋼管ライニング、メジセメント、FRP等、複合材のマトリックス樹脂として適用可能であり、熱硬化性熱硬化性フラン樹脂積層体は、既設管、例えば地中に埋設された上水道管、下水道管、農業用水管、ガス管等の埋設管などの種々の既設管の内周面を更生するため、特に、鋼管ライニング等の更生に有用である。

Claims (5)

  1. フラン系樹脂(A)、硬化剤(B)及び無機系充填剤(C)を含み、
    前記フラン系樹脂(A)は、0℃における粘度が1×10〜1×10mPa・sであり、
    前記無機系充填剤(C)は、断面形状が円形又は楕円形であり、平均粒子径が10〜40μmであることを特徴とする熱硬化性フラン樹脂組成物。
  2. 前記無機系充填剤(C)は、該無機系充填材を水に分散したときの分散液のpHが10以下である請求項1に記載の熱硬化性フラン樹脂組成物。
  3. 前記無機系充填剤(C)は、有機シラン系材料で表面処理されたものである請求項1又は2に記載の熱硬化性フラン組成物。
  4. 前記無機系充填剤(C)は、フラン系樹脂(A)100重量部に対して、1〜50重量部含まれる請求項1〜3のいずれか1つに記載の熱硬化性フラン樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載の熱硬化性フラン樹脂組成物を、繊維質基材からなる積層体に含浸及び硬化させてなる熱硬化性熱硬化性フラン樹脂積層体。


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