JP2011069020A - 有機繊維コード用接着剤組成物、並びにそれを用いたゴム補強材、タイヤおよび接着方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】レゾルシンおよびホルマリンを含まず、加熱後の接着性および環境、特に作業環境の良好な有機繊維コード用接着剤組成物、並びにそれを用いたゴム補強材、タイヤおよび接着方法を提供する。
【解決手段】アクリル樹脂と、エポキシ化合物と、硬化剤と、ゴムラテックスと、を含む有機繊維コード用接着剤組成物、並びにそれを用いたゴム補強材、タイヤおよび接着方法である。エポキシ化合物の質量に対するアクリル樹脂の質量の比率である(アクリル樹脂の質量/エポキシ化合物の質量)が、0.1以上10以下であることが好ましく、ゴムラテックスの質量に対する、エポキシ化合物およびアクリル樹脂の合計質量の比率である((エポキシ化合物の質量+アクリル樹脂の質量)/ゴムラテックスの質量)が、0.1以上1.0以下であることが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】アクリル樹脂と、エポキシ化合物と、硬化剤と、ゴムラテックスと、を含む有機繊維コード用接着剤組成物、並びにそれを用いたゴム補強材、タイヤおよび接着方法である。エポキシ化合物の質量に対するアクリル樹脂の質量の比率である(アクリル樹脂の質量/エポキシ化合物の質量)が、0.1以上10以下であることが好ましく、ゴムラテックスの質量に対する、エポキシ化合物およびアクリル樹脂の合計質量の比率である((エポキシ化合物の質量+アクリル樹脂の質量)/ゴムラテックスの質量)が、0.1以上1.0以下であることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、有機繊維コード用接着剤組成物、並びにそれを用いたゴム補強材、タイヤおよび接着方法に関し、詳しくは、レゾルシンおよびホルマリンを含まず、加熱後の接着性および環境、特に作業環境の良好な有機繊維コード用接着剤組成物、並びにそれを用いたゴム補強材、タイヤおよび接着方法に関する。
従来、ポリエステル繊維等からなるタイヤコードと、タイヤ用ゴムとの接着には、レゾルシン、ホルマリンおよびゴムラテックスを含むRFL(レゾルシン・ホルマリン・ラテックス)接着剤が用いられ、熱硬化により接着力を確保していることが、知られている(特許文献1〜3参照)。
また、レゾルシンとホルマリンを縮合させたレゾルシンホルマリン樹脂を用いたり(特許文献4、5参照)、あるいはエポキシ樹脂で前処理することにより、接着力がさらに向上することが知られている。
しかしながら、ホルマリンは、レゾルシンを架橋させるための重要な原材料ではあるものの、発がん性の疑いがあるため、近年、環境、特に作業環境を考慮して、使用時の大気中への放出を抑制および使用量の削減が求められている。また、レゾルシンは環境ホルモンの疑いがあり、使用量の削減が求められている。
そこで、レゾルシンおよびホルマリンを使用せずに接着することを目的として、ゴムラッテクスと、エポキシ樹脂と、多官能アミン硬化剤とを配合した組成物が提案されている(特許文献6参照)。
しかしながら、特許文献6記載の方法は、ホルマリンおよびレゾルシンを含まないため作業環境が良好で、さらに、従来と比較して初期接着性は良好であるが、熱劣化により接着性が従来と比較して著しく劣り、加熱後の接着性が良好な接着剤組成物が求められている。
そこで本発明の目的は、レゾルシンおよびホルマリンを含まず、加熱後の接着性および環境、特に作業環境の良好な有機繊維コード用接着剤組成物、並びにそれを用いたゴム補強材、タイヤおよび接着方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、レゾルシンおよびホルマリンを含まず、特定の組成の有機繊維コード用接着剤組成物とすることで、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の有機繊維コード用接着剤組成物は、アクリル樹脂と、エポキシ化合物と、硬化剤と、ゴムラテックスと、を含むことを特徴とするものである。
また、本発明の有機繊維コード用接着剤組成物は、前記エポキシ化合物の質量に対する前記アクリル樹脂の質量の比率である(アクリル樹脂の質量/エポキシ化合物の質量)が、0.1以上10以下であることが好ましく、前記ゴムラテックスの質量に対する、前記エポキシ化合物および前記アクリル樹脂の合計質量の比率である((エポキシ化合物の質量+アクリル樹脂の質量)/ゴムラテックスの質量)が、0.1以上1.0以下であることが好ましい。
さらに、本発明の有機繊維コード用接着剤組成物は、前記ゴムラテックスが、ビニルピリジンスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスからなることが好ましく、前記ビニルピリジンスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスが、(i)スチレン含有率30〜60質量%、ブタジエン含有率60質量%未満およびビニルピリジン含有率0.5〜15質量%で構成される単量体混合物を重合させた後、(ii)引き続いてスチレン含有率10〜40質量%、ブタジエン含有率45〜75質量%およびビニルピリジン含有率5〜20質量%で構成される単量体混合物を、前記(i)における重合で用いたスチレン含有率よりも低いスチレン含有率で重合させて得られる、二重構造を有するビニルピリジンスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスからなることが好ましい。
本発明の接着方法は、有機繊維が撚糸されてなるタイヤ補強用の有機繊維コードを、本発明の有機繊維コード用接着剤組成物で被覆して接着剤層を形成して、前記有機繊維コードとゴムとを前記有機繊維コード用接着剤組成物を介して接着することを特徴とするものである。
また、本発明の接着方法は、前記有機繊維コードを前記有機繊維コード用接着剤組成物に含浸して、前記接着剤層を形成することが好ましく、前記接着剤層を形成後、乾燥処理および加熱処理し、さらに、前記有機繊維コードを未加硫ゴムに埋設し、該未加硫ゴムを加硫処理して、前記有機繊維コードとゴムとを前記有機繊維コード用接着剤組成物を介して接着することが好ましい。さらに、前記有機繊維コードが、ポリエステルまたはナイロンからなることが好ましい。
本発明のゴム補強材は、有機繊維が撚糸されてなるタイヤ補強用の有機繊維コードと、該有機繊維コードを被覆するゴムとからなるゴム補強材であって、前記有機繊維コードと前記ゴムとが、本発明の有機繊維コード用接着剤組成物を用いて接着されてなることを特徴とするものである。
また、本発明のゴム補強材は、前記有機繊維コードが、ポリエステルまたはナイロンからなることが好ましい。
本発明のタイヤは、本発明のゴム補強材を用いたことを特徴とするものである。
本発明によれば、上記構成としたことにより、レゾルシンおよびホルマリンを含まず、加熱後の接着性および環境、特に作業環境の良好な有機繊維コード用接着剤組成物、並びにそれを用いたゴム補強材、タイヤおよび接着方法を提供することが可能となった。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明の有機繊維コード用接着剤組成物は、アクリル樹脂と、エポキシ化合物と、硬化剤と、ゴムラテックスと、を含むものである。これにより、有機繊維コードとゴムとの接着の過程において、レゾルシンおよびホルマリンを実質的に使用せず、一浴で同等以上の接着性、特に、加熱後の接着性を良好にすることができる。また、ポリエステル樹脂やアラミド樹脂など接着が難しい有機繊維コードを使用した場合であっても、エポキシ樹脂による前処理をすることなく使用できる。
本発明の有機繊維コード用接着剤組成物は、アクリル樹脂と、エポキシ化合物と、硬化剤と、ゴムラテックスと、を含むものである。これにより、有機繊維コードとゴムとの接着の過程において、レゾルシンおよびホルマリンを実質的に使用せず、一浴で同等以上の接着性、特に、加熱後の接着性を良好にすることができる。また、ポリエステル樹脂やアラミド樹脂など接着が難しい有機繊維コードを使用した場合であっても、エポキシ樹脂による前処理をすることなく使用できる。
本発明の有機繊維コード用接着剤組成物に用いるアクリル樹脂としては、例えば、アクリロニトリルエチレンプロピレンゴムスチレン共重合体(AES)、アクリロニトリルスチレンアクリレート(ASA)等の熱可塑性アクリル樹脂、或いは熱硬化性アクリル樹脂(自己硬化型、又はポリイソシアネート、アミノ樹脂、ポリエステル若しくはエポキシ樹脂による架橋タイプ)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル酸ポリマーなどを挙げることができる。
本発明の有機繊維コード用接着剤組成物に用いるエポキシ化合物としては、ジエチレングリコール・ジグリシジルエーテル、ポリエチレン・ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール・ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール・ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオール・ジグリシジルエーテル、グリセロール・ポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン・ポリグリシジルエーテル、ポリグリセロール・ポリグリシジルエーテル、ペンタエリチオール・ポリグリシジルエーテル、ジグリセロール・ポリグリシジルエーテル、ソルビトール・ポリグリシジルエーテル等の多価アルコール類とエピクロルヒドリンとの反応生成物;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明の有機繊維コード用接着剤組成物に用いる硬化剤としては、エポキシ化合物を硬化できるものであれば限定されず、例えば、ピペラジン、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等を挙げることができる。
本発明の有機繊維コード用接着剤組成物に用いるゴムラテックスとしては、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系共重合体をカルボキシル基等で変性した変性ラテックス、スチレン−ブタジエンラテックス及びその変性ラテックス、天然ゴムラテックス、アクリル酸エステル共重合体系ラテックス、ブチルゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックスの他、被着ゴムに配合されるゴム成分と同種のゴム成分を水又は有機溶媒に分散させて調製したラテックス等を使用できる。かかるゴムラテックスは、一種単独で用いても、複数種を混合して用いてもよいが、中でも、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスからなることが好ましい。
上記ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン系共重合体は、ビニルピリジン系化合物と、スチレン系化合物と、共役ブタジエン化合物とを三元共重合させたものである。ここで、ビニルピリジン系化合物は、ビニルピリジンと、該ビニルピリジン中の水素原子が置換基で置換された置換ビニルピリジンとを包含する。該ビニルピリジン系化合物としては、2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン等が挙げられ、これらの中でも、2−ビニルピリジンが好ましい。これらビニルピリジン系化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記スチレン系化合物は、スチレンと、該スチレン中の水素原子が置換基で置換された置換スチレンとを包含する。該スチレン系化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2,4−ジイノプロピルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン等が挙げられ、これらの中でも、スチレンが好ましい。これらスチレン系化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
上記共役ブタジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン等の脂肪族共役ブタジエン化合物が挙げられ、これらの中でも、1,3−ブタジエンが好ましい。これら共役ブタジエン化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、本発明において、ビニルピリジンスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスは、(i)スチレン含有率30〜60質量%、ブタジエン含有率60質量%未満およびビニルピリジン含有率0.5〜15質量%で構成される単量体混合物を重合させた後、(ii)引き続いてスチレン含有率10〜40質量%、ブタジエン含有率45〜75質量%およびビニルピリジン含有率5〜20質量%で構成される単量体混合物を、(i)における重合で用いたスチレン含有率よりも低いスチレン含有率で重合させて得られる、二重構造を有するビニルピリジンスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスからなることが好ましい。かかるビニルピリジンスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスとしては、特開平3−163181号公報記載のものが挙げられる。
本発明の有機繊維コード用接着剤組成物は、エポキシ化合物の質量に対するアクリル樹脂の質量の比率である(アクリル樹脂の質量/エポキシ化合物の質量)が、0.1以上10以下であることが好ましい。かかる比率が0.1より小さいと、アクリル樹脂による効果を十分に得られないおそれがあり、一方、かかる比率が10を超えると十分な接着力が得られないおそれがあり、好ましくない。
また、本発明の有機繊維コード用接着剤組成物は、ゴムラテックスの質量に対する、エポキシ化合物およびアクリル樹脂の合計質量の比率である((エポキシ化合物の質量+アクリル樹脂の質量)/ゴムラテックスの質量)が、0.1以上1.0以下であることが好ましい。この比率が0.1より小さいと、エポキシ化合物とアクリル樹脂による効果を十分に得られないおそれがあり、一方、かかる比率が1.0を超えると十分な接着力が得られないおそれがあり、好ましくない。
本発明のゴム補強材は、有機繊維が撚糸されてなるタイヤ補強用の有機繊維コードと、該有機繊維コードを被覆するゴムとからなるゴム補強材であって、有機繊維コードとゴムとが、本発明の有機繊維コード用接着剤組成物を用いて接着されてなるものである。ここで、有機繊維コードの材質としては特に限定はないが、熱可塑性プラスチックスが好ましい。該熱可塑性プラスチックスとしては、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフイン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂等が挙げられ、これらの中でも、ポリエステルまたはナイロンからなることが好ましく、機械的強度が高く、通常の方法ではゴムとの接着が比較的困難なポリエステルが特に好ましい。
一方、本発明のゴム補強材を構成するゴムは、ゴム成分に通常ゴム業界で用いられる配合剤を配合してなるのが好ましい。ここで、ゴム成分としては、特に限定はなく、例えば、天然ゴムの他、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)等の共役ジエン系合成ゴム、更には、エチレン−プロピレン共重合体ゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM)、ポリシロキサンゴム等か挙げられ、これらの中でも、天然ゴム及び共役ジエン系合成ゴムが好ましい。また、これらゴム成分は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ゴム成分の加硫は、例えば、硫黄、テトラメチルチラリウムジスルフィド、ジペンタメチレンチラリウムテトラサルファイド等のチラリウムポリサルファイド化合物、4,4−ジチオモルフォリン、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾキノンジオキシム、環式硫黄イミド、過酸化物を加硫剤として行うことができ、硫黄を加硫剤として行うのが好ましい。
また、上記ゴム成分には、通常ゴム業界で用いられるカーボンブラック、シリカ、水酸化アルミニウム等の充填剤、加硫促進剤、老化防止剤、軟化剤等の各種配合剤を、適宜配合することができる。さらに、各種材質の粒子、繊維、布等との複合体としてもよい。
また、本発明のタイヤは、本発明のゴム補強材を用いたことを特徴とするものであり、カーカスやベルト補強層に用いてなるのが好ましい。本発明のタイヤは、耐久性に高いゴム物品が使用されているため、耐久性に優れる。
本発明の接着方法は、有機繊維が撚糸されてなるタイヤ補強用の有機繊維コードを、本発明の有機繊維コード用接着剤組成物で被覆して接着剤層を形成するものであり、有機繊維コードとゴムとを有機繊維コード用接着剤組成物を介して接着することができる。
また、本発明の接着方法において、接着剤層の形成方法としては、例えば、浸漬、はけ塗り、流延、噴霧、ロール塗布、ナイフ塗布等を挙げることができるが、有機繊維コードを有機繊維コード用接着剤組成物に含浸して、接着剤層を形成することが好ましい。1段階目でエポキシ化合物を付着させ、2段階目でアクリル樹脂とゴムラテックスを付着する2段階方式と比較して、浸漬は1段階方式であるため、より低コストで接着剤層を形成できる。ここで、接着剤層の厚さは、0.5〜50μmが好ましく、1〜10μmが更に好ましい。
本発明の接着方法は、接着剤層を形成後、乾燥処理および加熱処理し、さらに、有機繊維コードを未加硫ゴムに埋設し、該未加硫ゴムを加硫処理して、有機繊維コードとゴムとを有機繊維コード用接着剤組成物を介して接着することが好ましい。これにより、接着性をより良好にできる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
(実施例1〜5、比較例1)
ポリエステルのタイヤコード(ポリエステル製、1670dtex/2、撚り数39×39/10cm:2本の1670dtexのポリエステル繊維を、撚り数39x39/10cmで撚ったもの)を準備した。下記表1に示す配合で、実施例1〜3および比較例1の接着剤を作製し、該接着剤を20質量%含む接着剤水溶液を調製した。接着剤水溶液に、準備したタイヤコードを浸漬して引き上げ、タイヤコードに接着剤水溶液を付着させた。
(実施例1〜5、比較例1)
ポリエステルのタイヤコード(ポリエステル製、1670dtex/2、撚り数39×39/10cm:2本の1670dtexのポリエステル繊維を、撚り数39x39/10cmで撚ったもの)を準備した。下記表1に示す配合で、実施例1〜3および比較例1の接着剤を作製し、該接着剤を20質量%含む接着剤水溶液を調製した。接着剤水溶液に、準備したタイヤコードを浸漬して引き上げ、タイヤコードに接着剤水溶液を付着させた。
接着剤水溶液が付着したタイヤコードを、180℃で1分間乾燥した。その後、熱処理機を用いて、接着剤が付着したタイヤコードを、1〜2kg/本の張力(コードテンション)をかけ、240℃で2分間熱処理し、接着剤が付着されたタイヤコードを製造した。なお、従来例として、接着剤水溶液として従来のレゾルシン・ホルマリン・ラテックス接着剤を使用して、タイヤコードを製造した。
(初期接着性)
得られたタイヤコードを未加硫状態のゴム組成物に埋め込んで試験片を作製し、これを160℃×20分、20kg/cm2の加圧下で加硫した。加硫物を室温まで冷却後、コードを掘り起こし、30cm/分の速度でコードを加硫物から剥離する時の抗力(初期接着力)を25±1℃の室内雰囲気温度で測定した。初期接着性は、従来例の初期接着力を100とした指数で示し、数値が大なるほど結果が良好である。結果を下記表1に併記する。
得られたタイヤコードを未加硫状態のゴム組成物に埋め込んで試験片を作製し、これを160℃×20分、20kg/cm2の加圧下で加硫した。加硫物を室温まで冷却後、コードを掘り起こし、30cm/分の速度でコードを加硫物から剥離する時の抗力(初期接着力)を25±1℃の室内雰囲気温度で測定した。初期接着性は、従来例の初期接着力を100とした指数で示し、数値が大なるほど結果が良好である。結果を下記表1に併記する。
(加熱後の接着性)
加熱後の接着力を、加硫時間を160℃×60分とした以外は上記初期接着性と同じ方法によって測定した。加熱後の接着性は、従来例の加熱後の接着性を100とした指数で示し、数値が大なるほど結果が良好である。結果を下記表1に併記する。
加熱後の接着力を、加硫時間を160℃×60分とした以外は上記初期接着性と同じ方法によって測定した。加熱後の接着性は、従来例の加熱後の接着性を100とした指数で示し、数値が大なるほど結果が良好である。結果を下記表1に併記する。
※2) ピペラジン
※3) アクリル樹脂
※4) ビニルピリジン−スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス
(Vpラテックス、固形分濃度=41質量%、住友A&L(株)製、PYLATEX)
実施例1〜5では、ホルマリンおよびレゾルシンを含まずに有機繊維コードとゴムとの初期接着性および加熱後の接着性を確保できた。また、配合時にホルマリンを使用しないことで大気中へのホルマリン排出をなくすことができ、配合作業環境を良好にすることができた。これに対し、比較例1では、アクリル樹脂を含まないため、加熱後の接着性が低下した。また、従来例では、ホルマリンおよびレゾルシンを含むため配合作業環境が悪かった。
Claims (12)
- アクリル樹脂と、エポキシ化合物と、硬化剤と、ゴムラテックスと、を含むことを特徴とする有機繊維コード用接着剤組成物。
- 前記エポキシ化合物の質量に対する前記アクリル樹脂の質量の比率である(アクリル樹脂の質量/エポキシ化合物の質量)が、0.1以上10以下である請求項1記載の有機繊維コード用接着剤組成物。
- 前記ゴムラテックスの質量に対する、前記エポキシ化合物および前記アクリル樹脂の合計質量の比率である((エポキシ化合物の質量+アクリル樹脂の質量)/ゴムラテックスの質量)が、0.1以上1.0以下である請求項1または2記載の有機繊維コード用接着剤組成物。
- 前記ゴムラテックスが、ビニルピリジンスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスからなる請求項1〜3のうちいずれか一項記載の有機繊維コード用接着剤組成物。
- 前記ビニルピリジンスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスが、(i)スチレン含有率30〜60質量%、ブタジエン含有率60質量%未満およびビニルピリジン含有率0.5〜15質量%で構成される単量体混合物を重合させた後、(ii)引き続いてスチレン含有率10〜40質量%、ブタジエン含有率45〜75質量%およびビニルピリジン含有率5〜20質量%で構成される単量体混合物を、前記(i)における重合で用いたスチレン含有率よりも低いスチレン含有率で重合させて得られる、二重構造を有するビニルピリジンスチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスからなる請求項4記載の有機繊維コード用接着剤組成物。
- 有機繊維が撚糸されてなるタイヤ補強用の有機繊維コードを、請求項1〜5のうちいずれか一項記載の有機繊維コード用接着剤組成物で被覆して接着剤層を形成して、前記有機繊維コードとゴムとを前記有機繊維コード用接着剤組成物を介して接着することを特徴とする接着方法。
- 前記有機繊維コードを前記有機繊維コード用接着剤組成物に含浸して、前記接着剤層を形成する請求項6記載の接着方法。
- 前記接着剤層を形成後、乾燥処理および加熱処理し、さらに、前記有機繊維コードを未加硫ゴムに埋設し、該未加硫ゴムを加硫処理して、前記有機繊維コードとゴムとを前記有機繊維コード用接着剤組成物を介して接着する請求項6または7記載の接着方法。
- 前記有機繊維コードが、ポリエステルまたはナイロンからなる請求項6〜8のうちいずれか一項記載の接着方法。
- 有機繊維が撚糸されてなるタイヤ補強用の有機繊維コードと、該有機繊維コードを被覆するゴムとからなるゴム補強材であって、前記有機繊維コードと前記ゴムとが、請求項1〜5のうちいずれか一項記載の有機繊維コード用接着剤組成物を用いて接着されてなることを特徴とするゴム補強材。
- 前記有機繊維コードが、ポリエステルまたはナイロンからなる請求項10記載のゴム補強材。
- 請求項10または11記載のゴム補強材を用いたことを特徴とするタイヤ。
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