JP2014209414A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱層を備えたセパレータを有するリチウムイオン二次電池の性能向上【解決手段】ここで提案されるリチウムイオン二次電池10は、電極体40を収容した電池ケース20を備えている。電極体40には、LiBOB由来の被膜と、Naとが含まれている。セパレータ72、74は、プラスチックの多孔質膜からなる基材76と、基材76の表面に形成された、フィラーとバインダとからなる耐熱層78とを備えている。耐熱層78のバインダは、軟化温度が175℃以上のバインダからなるバインダ群Aと、軟化温度が175℃よりも低いバインダからなるバインダ群Bとを有している。バインダ群Bのバインダの平均分子量は1万〜50万である。バインダ群Aの重量を100とした場合に、バインダ群Bの重量が5以上50以下である。【選択図】図6

Description

本発明はリチウムイオン二次電池に関する。本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充電可能な電池一般をいう。「リチウムイオン二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。一般に「リチウム二次電池」のように称される電池は、本明細書におけるリチウムイオン二次電池に包含されうる。
例えば、特開2008−123996号公報には、例えば、リチウムイオン二次電池に用いられるセパレータが開示されている。同公報に開示されたセパレータは、樹脂多孔質膜の表面に、耐熱性微粒子を70体積%以上含有する耐熱層が形成されている。特許文献1には、耐熱層に用いる有機バインダについて、複数種が挙げられている。また、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用しても構わないことが開示されている。しかし、耐熱層に用いる有機バインダについて、2種以上をどのように併用するとよいかという点について、具体的には何ら開示されていない。
特開2008−123996号公報
ところで、本発明者の知見によれば、リチウムイオン二次電池は、充放電によるリチウムイオンの拡散が進むと、電極体内でリチウムイオンの分布に斑が生じる場合がある。さらに、例えば、過充電時などに、局所的にリチウムイオンの密度が高くなる場合がある。リチウムイオンの密度が高くなる発熱する要因となる。リチウムイオン二次電池は、このような要因による発熱が適切に抑えられる構造を備えていることが望ましい。ここでは、耐熱層を備えたセパレータを有するリチウムイオン二次電池について、過充電時の温度上昇を低く抑えうる新規な構造を提案する。
ここで提案されるリチウムイオン二次電池は、正極と、負極と、前記正極と負極との間に介在したセパレータとを備えた電極体と、当該電極体を収容した電池ケースとを備えている。ここで、電極体には、LiBOB由来の被膜と、Naとが含まれている。セパレータは、プラスチックの多孔質膜からなる基材と、基材の表面に形成された、フィラーとバインダとからなる耐熱層とを備えている。耐熱層のバインダは、軟化温度が175℃以上のバインダからなるバインダ群Aと、軟化温度が175℃よりも低いバインダからなるバインダ群Bとを有している。バインダ群Bのバインダの平均分子量が1万〜50万であり、バインダ群Aの重量を100とした場合に、バインダ群Bの重量が5以上50以下である。これにより、特に、過充電時の温度上昇率が低く抑えられる。ここで「軟化温度」は、TMAベネトレーション法(JIS K7196に準拠)にて、試料を加熱していったときに試料の長さが大きく変化する温度(軟化温度(軟化点とも称されうる))と定義される。
この場合、バインダ群Aは、例えば、ポリアクリル酸からなるとよい。ここで、ポリアクリル酸は、アクリル酸をベースにした重合体である。また、バインダ群Bは、例えば、PNVAとPNMAとのうち、少なくとも一種類のバインダからなるとよい。
また、セパレータの基材の表面に付着した耐熱層のバインダは、耐熱層全体におけるバインダ群Bの割合よりもバインダ群Bの割合が多くてもよい。また、耐熱層中のフィラーFに付着したバインダは、耐熱層全体におけるバインダ群Aの割合よりもバインダ群Aの割合が多くてもよい。
また、セパレータの基材は、例えば、0.01μm以上0.1μm以下の細孔径が占める割合が、全体の45%以上90%以下であってもよい。また、セパレータの基材の厚さは、例えば、14μm以上30μm以下であってもよい。
図1は、リチウムイオン二次電池を示す断面図である。 図2は、リチウムイオン二次電池に内装される電極体を示す図である。 図3は、セパレータの断面図である。 図4は、かかるリチウムイオン二次電池の充電時の状態を示す模式図である。 図5は、かかるリチウムイオン二次電池の放電時の状態を示す模式図である。 図6は、ここで提案されたセパレータの耐熱層を模式的に示す概略図である。 図7は、ここで提案されたセパレータの耐熱層の機能を模式的に示す概略図である。 図8は、二次電池(組電池)が搭載された車両を示す図である。
以下、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を説明する。ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、各図は模式的に描かれており、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略または簡略化する。
ここでは、まず適用されうるリチウムイオン二次電池の構造例を説明し、その後、ここで提案されるリチウムイオン二次電池を説明する。
《リチウムイオン二次電池10》
図1は、リチウムイオン二次電池10を示す断面図である。図2は、当該リチウムイオン二次電池10に内装される電極体40を示す図である。なお、図1および図2に示されるリチウムイオン二次電池10は、本発明が適用されうるリチウムイオン二次電池の一例を示すものに過ぎず、本発明が適用されうるリチウムイオン二次電池を特段限定するものではない。
リチウムイオン二次電池10は、図1に示すように、電池ケース20と、電極体40(図1では、捲回電極体)を備えている。
≪電池ケース20≫
電池ケース20は、ケース本体21と、封口板22とを備えている。ケース本体21は、一端に開口部を有する箱形を有している。ここでは、ケース本体21は、リチウムイオン二次電池10の通常の使用状態における上面に相当する一面が開口した有底直方体形状を有している。この実施形態では、ケース本体21には、矩形の開口が形成されている。封口板22は、ケース本体21の開口を塞ぐ部材である。封口板22は凡そ矩形のプレートで構成されている。かかる封口板22がケース本体21の開口周縁に溶接されることによって、略六面体形状の電池ケース20が構成されている。
電池ケース20の材質は、例えば、軽量で熱伝導性の良い金属材料を主体に構成された電池ケース20が好ましく用いられうる。このような金属製材料としては、例えば、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルめっき鋼等が例示される。本実施形態に係る電池ケース20(ケース本体21および封口板22)はアルミニウム若しくはアルミニウムを主体とする合金によって構成されている。
図1に示す例では、封口板22に外部接続用の正極端子23(外部端子)および負極端子24(外部端子)が取り付けられている。封口板22には、安全弁30と、注液口32が形成されている。安全弁30は、電池ケース20の内圧が所定レベル(例えば、設定開弁圧0.3MPa〜1.0MPa程度)以上に上昇した場合に該内圧を開放するように構成されている。また、図1では、電解液が注入された後で、注液口32が封止材33によって封止された状態が図示されている。かかる電池ケース20には、電極体40が収容されている。
≪電極体40(捲回電極体)≫
電極体40は、図2に示すように、帯状の正極(正極シート50)と、帯状の負極(負極シート60)と、帯状のセパレータ(セパレータ72,74)とを備えている。
≪正極シート50≫
正極シート50は、帯状の正極集電箔51と正極活物質層53とを備えている。正極集電箔51には、正極に適する金属箔が好適に使用され得る。正極集電箔51には、例えば、所定の幅を有し、厚さが凡そ15μmの帯状のアルミニウム箔を用いることができる。正極集電箔51の幅方向片側の縁部に沿って未塗工部52が設定されている。図示例では、正極活物質層53は、正極集電箔51に設定された未塗工部52を除いて、正極集電箔51の両面に保持されている。正極活物質層53には、正極活物質が含まれている。正極活物質層53は、正極活物質を含む正極合剤を正極集電箔51に塗工することによって形成されている。
正極活物質には、従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。好適例として、リチウムニッケル酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト酸化物(例えばLiCoO)、リチウムマンガン酸化物(例えばLiMn)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属酸化物)や、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO)、リン酸鉄リチウム(LiFePO)等のリチウムと遷移金属元素とを構成金属元素として含むリン酸塩等が挙げられる。
《導電材》
導電材としては、例えば、カーボン粉末、カーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末などのカーボン粉末を用いることができる。
《バインダ》
また、バインダは、正極活物質層53に含まれる正極活物質と導電材の各粒子を接着させたり、これらの粒子と正極集電箔51とを接着させたりする。かかるバインダとしては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒を用いた正極合剤組成物においては、セルロース系ポリマー(カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)など)、フッ素系樹脂(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)など)、ゴム類(酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)など)などの水溶性または水分散性ポリマーを好ましく採用することができる。また、非水溶媒を用いた正極合剤組成物においては、ポリマー(ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリルニトリル(PAN)など)を好ましく採用することができる。
≪負極シート60≫
負極シート60は、図2に示すように、帯状の負極集電箔61と、負極活物質層63とを備えている。負極集電箔61には、負極に適する金属箔が好適に使用され得る。この負極集電箔61には、所定の幅を有し、厚さが凡そ10μmの帯状の銅箔が用いられている。負極集電箔61の幅方向片側には、縁部に沿って未塗工部62が設定されている。負極活物質層63は、負極集電箔61に設定された未塗工部62を除いて、負極集電箔61の両面に形成されている。負極活物質層63は、負極集電箔61に保持され、少なくとも負極活物質が含まれている。負極活物質層63は、負極活物質を含む負極合剤が負極集電箔61に塗工されている。
《負極活物質》
負極活物質としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる物質の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。好適例として、グラファイトカーボン、アモルファスカーボン等の炭素系材料、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属窒化物等が挙げられる。
≪セパレータ72、74≫
セパレータ72、74は、図2に示すように、正極シート50と負極シート60とを隔てる部材である。この例では、セパレータ72、74は、微小な孔を複数有する所定幅の帯状のシート材で構成されている。セパレータ72、74には、樹脂製の多孔質膜、例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成された単層構造のセパレータ或いは積層構造のセパレータを用いることができる。この例では、図2に示すように、負極活物質層63の幅b1は、正極活物質層53の幅a1よりも少し広い。さらにセパレータ72、74の幅c1、c2は、負極活物質層63の幅b1よりも少し広い(c1、c2>b1>a1)。
また、セパレータ72、74は、正極活物質層53と負極活物質層63とを絶縁するとともに、電解質の移動を許容する。図3は、ここで提案されるセパレータ72、74の断面を示している。セパレータ72、74は、図3に示すように、プラスチックの多孔質膜からなる基材76と、基材76の表面に形成された耐熱層78とを備えている。耐熱層78は、フィラーとバインダとからなる。耐熱層78は、HRL(Heat Resistance Layer)とも称される。かかる耐熱層78については、後で詳しく説明する。
《電極体40の取り付け》
この実施形態では、電極体40は、図2に示すように、捲回軸WLに直交する一の方向において扁平に押し曲げられている。図2に示す例では、正極集電箔51の未塗工部52と負極集電箔61の未塗工部62は、それぞれセパレータ72、74の両側において、らせん状に露出している。この実施形態では、図1に示すように、電極体40は、セパレータ72、74からはみ出た正負の未塗工部52(62)の中間部分が寄せ集められ、電池ケース20の内部に配置された正負の内部端子23、24の先端部23a、24aに溶接されている。
電極体40は、図1に示すように、電池ケース20に収容される。電池ケース20には、さらに電解液が注入される。電解液は、捲回軸WL(図2参照)の軸方向から電極体40の内部に浸入する。
≪電解液(液状電解質)≫
電解液としては、従来からリチウムイオン電池に用いられる非水電解液と同様のものを特に限定なく使用することができる。かかる非水電解液は、典型的には、適当な非水溶媒に支持塩を含有させた組成を有する。上記非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等からなる群から選択された一種または二種以上を用いることができる。また、上記支持塩としては、例えば、LiPF,LiBF,LiAsF,LiCFSO,LiCSO,LiN(CFSO,LiC(CFSO等のリチウム塩を用いることができる。一例として、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(例えば質量比1:1)にLiPFを約1mol/Lの濃度で含有させた非水電解液が挙げられる。
かかるリチウムイオン二次電池10の正極集電箔51と負極集電箔61は、電池ケース20を貫通した電極端子23、24を通じて外部の装置に電気的に接続される。以下、充電時と放電時のリチウムイオン二次電池10の動作を説明する。
≪充電時の動作≫
図4は、かかるリチウムイオン二次電池10の充電時の状態を模式的に示している。充電時、リチウムイオン二次電池10の電極端子23、24(図1参照)は、図4に示すように、スイッチ92によって充電器90に接続されたような状態になる。この際、充電器90の作用によって、正極シート50と負極シート60との間に、電圧が印加され、正極活物質層53中の正極活物質からリチウムイオン(Li)が電解液80に放出され、正極活物質層53から電荷が放出される。放出された電荷は、正極集電箔51に送られ、充電器90を通じて負極シート60に送られる。また、負極シート60では電荷が蓄えられるとともに、電解液80中のリチウムイオン(Li)が、負極活物質層63中の負極活物質に吸収され、かつ、貯蔵される。これにより、負極シート60と正極シート50とに電位差が生じる。
≪放電時の動作≫
図5は、かかるリチウムイオン二次電池10の放電時の状態を模式的に示している。放電時、リチウムイオン二次電池10の電極端子23、24(図1参照)は、図5に示すように、スイッチ92によって抵抗94に接続されたような状態になる。この際、負極シート60と正極シート50との電位差によって、抵抗94を通じて負極シート60から正極シート50に電荷が送られるとともに、負極活物質層63に貯蔵されたリチウムイオンが電解液80に放出される。また、正極では、正極活物質層53中の正極活物質に電解液80中のリチウムイオンが取り込まれる。
このようにリチウムイオン二次電池10の充放電において、正極活物質層53中の正極活物質や負極活物質層63中の負極活物質にリチウムイオンが吸蔵されたり、放出されたりする。そして、電解液80を介して、正極活物質層53と負極活物質層63との間でリチウムイオンが行き来する。
《耐熱層78》
上述したリチウムイオン二次電池10では、セパレータ72、74は、図3に示すように、基材76の表面に耐熱層78を備えている。耐熱層78は、フィラーとバインダとからなる。ここで、セパレータ72、74は、正極シート50と負極シート60を隔てるが、リチウムイオンの通過(電解液の流通)は許容する。かかるセパレータ72、74に設けられる耐熱層78は、セパレータ72、74に耐熱性を付与し、かつ、リチウムイオンが通過(電解液の流通)するように設計される。セパレータ72、74の基材76は、例えば、ポリオレフィン系樹脂からなる多孔質膜であるが、このような多孔質膜は、例えば、150℃程度の高温度になると、熱収縮を起こす場合がある。これに対して、基材76の表面に耐熱層78が設けられていることによって、基材76の耐熱性が向上するとともに、正極シート50または負極シート60が発熱した場合に基材76に生じる熱収縮が小さく抑えられる。
ここで、図2に示すように、セパレータ72、74は、正極シート50に形成された正極活物質層53や負極シート60に形成された負極活物質層63よりも幅が広い。そして、捲回電極体40において、セパレータ72、74は、当該正極活物質層53と負極活物質層63との間に介在するように配置されている。このような状態において、セパレータ72、74に過度な熱収縮が生じると、正極活物質層53や負極活物質層63がセパレータ72、74からはみ出て、他方のシート(正極活物質層53であれば負極シート60、負極活物質層63であれば正極シート50)に接触する可能性がある。
セパレータ72、74に形成される耐熱層78は、基材76の熱収縮が出来る限り小さく抑えられる機能を奏することが望ましい。さらに、耐熱層78は、例えば、170℃前後の予め設定された温度において、セパレータ72、74の細孔が適切に遮断され、リチウムイオンの拡散が抑制されうる機能を奏することが望ましい。このような観点において、より高度な機能を備えるセパレータ72、74を備えたリチウムイオン二次電池10を提案する。
図6および図7は、ここで提案されるリチウムイオン二次電池10のセパレータ72、74の基材76と耐熱層78を示す模式図である。このセパレータ72、74の耐熱層78には、図6に示すように、軟化温度が175℃以上のバインダからなるバインダ群Aと、軟化温度が175℃よりも低いバインダからなるバインダ群Bとが含まれている。ここで、バインダ群Aとバインダ群Bとは、バインダ群Aの重量を100とした場合に、バインダ群Bの重量が凡そ5以上50以下となる重量割合で耐熱層78に含まれている。
図7は、リチウムイオン二次電池10のセパレータ72、74の温度が170℃前後(例えば、165℃から175℃)に上昇した場合の、基材76と耐熱層78の状態を示している。このセパレータ72、74の耐熱層78は、軟化温度が175℃以上のバインダからなるバインダ群Aと、軟化温度が175℃よりも低いバインダからなるバインダ群Bとが含まれている。
図7に示すように、170℃前後(例えば、少なくとも175℃)に温度が上昇した場合に、軟化温度が高いバインダ群Aは、耐熱層78中で形状を維持し、耐熱層78中のフィラーF同士の接着や、フィラーFと基材76との接着を維持する。このため、かかる耐熱層78が形成されたセパレータ72、74は、基材76の熱収縮が小さく抑えられる。また、図7に示すように、軟化温度が低いバインダ群Bは、局所的に温度の高い部分などでは、軟化し、一部が溶融する。そして、軟化し、また一部が溶融したバインダ群Bは、耐熱層78中の隙間や基材76中の隙間(細孔、空隙とも称される)を埋めていく。このため、例えば、170℃前後の予め設定された温度において、耐熱層78は、リチウムイオンが通過(電解液の流通)するセパレータ72、74の細孔Hを適切に遮断しうる機能を奏する。さらに、早期に軟化し、また一部が溶融するバインダ群Bは、耐熱層78と基材76の接着を維持する。
ここで、バインダ群Aは、例えば、ポリアクリル酸からなる。また、バインダ群Bは、例えば、PNVAとPNMAとのうち、少なくとも一種類のバインダからなる。バインダ群Bのバインダは、例えば、平均分子量が1万〜50万であるとよい。本発明者の知見によれば、ここに例示される材料をバインダ群AのバインダとバインダB群のバインダに選択することによって、上記の効果がより確実に得られる。
ここで、「アクリル酸」は、化学式が CH2=CHCOOH
の不飽和カルボン酸である。
また、「ポリアクリル酸」は、アクリル酸をベースにした重合体である。ポリアクリル酸には、例えば、mアクリル酸+nアクリル酸エチル(orアクリル酸メチル)の共重合体、またはmアクリル酸ニトリル+nアクリル酸エチル(orアクリル酸メチル)の共重合体が含まれうる。この場合、例えば、m:n=5:95〜95:5の範囲であるとよい。
また、「PNVA」は、ポリ−N−ビニルアセトアミド(Poly-N-vinylacetamide)である。
また、「PNMA」は、ポリn−メチル−n−ビニルアセトアミド(Poly-N-methyl-N-vinylacetamide)である。
ここで、図6に示すように、耐熱層78中のフィラーFに付着したバインダは、耐熱層78全体におけるバインダ群Aの割合よりもバインダ群Aの割合が多いことが望ましい。また、基材76の表面に付着した耐熱層78のバインダは、耐熱層78全体におけるバインダ群Bの割合よりもバインダ群Bの割合が多いことが望ましい。
また、セパレータの基材は、例えば、0.01μm以上0.1μm以下の細孔径が占める割合が、全体の45%以上90%以下であるとよい。また、セパレータの基材の厚さは、例えば、14μm以上30μm以下であるとよい。
さらに、リチウムイオン二次電池10は、リチウムイオン二次電池10は、電解液にLiBOBを添加する場合がある。本発明者の知見によれば、電解液にLiBOBを添加することによって、例えば、初回充電時に負極活物質にLiBOB由来の被膜が形成され、電池特性上、リチウムイオン二次電池の抵抗を低く抑えることができる。また、リチウムイオン二次電池10は、Naが含まれている場合がある。本発明者の知見によれば、例えば、電極体中のLiBOB由来の被膜や、Naが存在する場所において、局所的にリチウムイオンの密度が高くなる場所が生じる。そして、過充電時などにおいて、当該場所で局所的に発熱することがある。
このような場合に、図6に示すように、軟化温度が175℃以上のバインダからなるバインダ群Aと、軟化温度が175℃よりも低いバインダからなるバインダ群Bとが含まれた耐熱層78が、セパレータ72、74に形成されているとよい。この場合、電極体が局所的に発熱した場所で、図7に示すように、バインダ群Bの軟化、溶融によって、セパレータ72、74の細孔Hが塞がれる。さらに、バインダ群Aによって耐熱層78の形状および基材76との接着(つまり、フィラーF同士の接着や、フィラーFと基材76との接着)は維持される。このため、当該局所的な発熱に対して、リチウムイオンの拡散が局所的に制限され、かつ、リチウムイオン二次電池10の機能を全体としては、維持しつつ、発熱を初期段階で抑えることができる。
《試験例》
表1と表2は、上記の耐熱層78についての試験例を示している。
《評価用セル》
ここではまず、表1と表2の試験例の評価用セルを説明する。
≪評価用セルの正極≫
正極における正極活物質層を形成するにあたり正極合剤を調製した。ここで、正極合剤は、正極活物質として三元系のリチウム遷移金属酸化物(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)、導電材としてアセチレンブラック(AB)、バインダとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)をそれぞれ用いた。正極活物質と、導電材と、バインダとの質量比を、正極活物質:導電材:バインダ=90:8:2とした。これら正極活物質と、導電材と、バインダとを、イオン交換水と混合することによって正極合剤を調製した。次いで、正極合剤を正極集電箔の片面ずつ順に塗布して乾燥させ、正極集電箔の両面に正極活物質層が塗工された正極(正極シート)を作製した。
ここでは、正極集電箔としてアルミニウム箔(厚さ15μm)を用いた。正極集電箔への正極合剤の塗布量は、正極集電箔の両面で凡そ均等とし、かつ、正極合剤が乾燥した後において、正極集電箔の片面あたり9.8mg/cm以上15.2mg/cm以下になるように設定した。また、乾燥後、ローラプレス機を用いて圧延することによって、正極活物質層の合剤密度を1.8g/cm以上2.8g/cm以下とした。ここで例示した評価用セルでは、正極合剤の塗布量は、正極集電箔の片面あたり11mg/cmになるように設定した。また、圧延後の正極活物質層の合剤密度を2.2g/cmとした。
≪評価用セルの負極≫
負極における負極活物質層を形成するにあたり負極合剤を調製した。ここで、負極合剤は、負極活物質としてアモルファスコートグラファイト、増粘剤としてカルボキシメチルセルロース(CMC)、バインダをそれぞれ用いた。バインダには、ゴム系バインダであるスチレン・ブタジエンゴム(SBR)を用いた。負極活物質と、増粘剤(CMC)と、バインダ(SBR)との質量比は、負極活物質:CMC:SBR=98:1:1とした。これら負極活物質と、CMCと、SBRとを、イオン交換水と混合することによって負極合剤を調製した。次いで、負極合剤を負極集電箔の片面ずつ順に塗布して乾燥させ、負極集電箔の両面に負極活物質層が塗工された負極(負極シート)を作製した。
ここでは、負極集電箔として銅箔(厚さ10μm)を用いた。負極集電箔への負極合剤の塗布量は、負極集電箔の両面で凡そ均等とし、かつ、負極合剤が乾燥した後において、負極集電箔の片面あたり4.8mg/cm以上10.2mg/cm以下になるように設定した。また、乾燥後、ローラプレス機を用いて圧延することによって、負極活物質層の合剤密度を0.8g/cm以上1.4g/cm以下とした。ここで例示した評価用セルでは、負極合剤の塗布量は、負極集電箔の片面あたり7.2mg/cmになるように設定した。また、圧延後の負極活物質層の合剤密度を1.1g/cmとした。
≪評価用セルのセパレータの基材≫
セパレータの基材としては、ポリプロピレン(PP)と、ポリエチレン(PE)の3層構造(PP/PE/PP)の多孔質シート(ポリエチレン(PE)の層がポリプロピレン(PP)の層に挟まれた3層構造(PP/PE/PP)の多孔質シート)、ポリプロピレン(PP)と、ポリエチレン(PE)の2層構造(PP/PE)の多孔質シート、ポリプロピレン(PP)の単層構造の多孔質シート、ポリエチレン(PE)の単層構造の多孔質シートを適宜に選択した。
≪評価用セルのセパレータの耐熱層≫
セパレータには、図3に示されているように、上記基材(図3では基材76)に耐熱層(図3では耐熱層78)が形成されたものを適宜に選択した。耐熱層には、フィラーと、バインダが含まれている。
≪評価用セルの耐熱層のフィラー≫
ここで、耐熱層のフィラーには、無機フィラーを用いた。ここでは、無機フィラーとして、アルミナ(Al)と、ベーマイトを用いた。アルミナは、例えば、平均粒径(D50)が、0.2μm以上1.2μm以下であり、BET(ガス吸着法による比表面積)が1.3m/g以上100m/g以下であるとよい。また、ベーマイトは、例えば、平均粒径(D50)が、0.2μm以上1.8μm以下であり、BET(ガス吸着法による比表面積)が2.8m/g以上100m/g以下であるとよい。なお、ここで例示した評価用セルでは、アルミナには、平均粒径(D50)が凡そ0.1μmであり、BET比表面積が凡そ90m/gであるアルミナを用いた。また、ベーマイトには、平均粒径(D50)が0.1μmであり、BET比表面積が110m/gであるベーマイトを用いた。
ここで、平均粒径(D50)は、レーザー散乱式粒度測定装置(例えば、日機装株式会社製、マイクロトラックHRA)で測定し、平均粒径としてD50(累積分布率50質量%での粒度)を求めるとよい。また、BET比表面積は、例えば、島津製作所株式会社製の比表面積測定装置を用いて測定されうる。
≪評価用セルの耐熱層のバインダ≫
また、耐熱層のバインダには、上述したポリアクリル酸、PVP、PNVA、PNMAを適宜に用いた。ここで、「PVP」は、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)である。ここでは、ポリアクリル酸、PVPは、軟化温度が高いバインダ群Aとした。また、PNVA、PNMAは、比較的軟化温度が低いバインダ群Bとした。また、耐熱層の増粘剤として、水系のCMCまたはMC(メチルセルロース)、および有機系のNMP(N-メチル-2-ピロリドン)を適宜に用いた。なお、ここでセパレータには、一方の表面に耐熱層を形成したが、耐熱層が形成された面を正極シートに対向させても、負極シートに対向させても、後述する抵抗上昇率や過充電時の温度上昇率の点において、略同じ効果が得られた。なお、セパレータの基材が、PE単層である場合には、耐熱層を負極に対向させた。
《バインダ群Bのバインダの分子量》
バインダ群Bに用いられるバインダについては、分子量が異なるものを用意した。ここでは、表1、2で示された分子量を有するバインダはそれぞれ市販されているものを入手して試験を行なった。
≪評価用セルの耐熱層の作製方法≫
ここでは、耐熱層は、フィラーとバインダを混練したペースト(以下、「HRLペースト」という)を作製する。ここで、作製されたセパレータの耐熱層には、バインダ群Aとバインダ群Bの2種類のバインダが含まれている。ここでは、作製されたHRLペーストの混錬方法を、2種類採用した。なお、HRLペーストの溶媒には、例えば、水やNMPを用いるとよい。
《HRLペーストの混練方法1》
HRLペーストの混練方法1(方法1)は、バインダ群Aのバインダとフィラーを先に混ぜ十分に混練(第1混練)した後で、バインダ群Bのバインダを混ぜ軽く混練する(第2混練)。ここでは、混練機として、超音波分散機(ここでは、エム・テクニック株式会社のクレアミックス)を用いた。混練方法1では、まず第1混練において、分散機の容器にバインダ群Aのバインダとフィラーを所定の割合で投入する。第1混練では、15000rpmの回転数で、5分の予備分散を行い、その後、20000rpmの回転数で15分の本分散を行った。次に、第2混連では、所定量のバインダ群Bのバインダを分散機の容器に要れて、第1混練で混練されたバインダ群Aのバインダとフィラーのペーストとともに、15000rpmで0.5分(30秒)の分散を行った。
《HRLペーストの混練方法2》
HRLペーストの混練方法2(方法2)は、バインダ群Aのバインダと、バインダ群Bのバインダとフィラーとを一緒に混ぜ十分に混練する。ここでは、混練機として、超音波分散機(ここでは、エム・テクニック株式会社のクレアミックス)を用い、分散機の容器にバインダ群Aのバインダとバインダ群Bのバインダとフィラーとを所定の割合で投入する。そして、15000rpmの回転数で5分の予備分散を行い、その後、20000rpmの回転数で15分の本分散を行った。
《耐熱層の作製》
耐熱層は、例えば、グラビア塗工方法を用いて塗工するとよい。ここでは、グラビアロールをセパレータ基材の搬送速度よりも速い速度で回転させ、セパレータの基材を送りつつ塗工した。具体的には、グラビアロールの速度を3.8m/分とし、塗工速度を3m/分とした。グラビアロールとセパレータとの速度比は、1.27とした。なお、用いたグラビアロールは、線数が1インチ当たり100本、セル容積が19.5cm/mのアートを有している。
≪評価用セルの組み立て≫
ここでは、評価用セルとして、扁平な角型の評価用セルを作製した。つまり、正極シートと負極シートとを、セパレータを用いて作成した捲回電極体を扁平に押し曲げ、角型の電池ケースに収容し、非水電解液を注液して封口し、扁平な角型の評価用セルを構築した。なお、ここで、具体的に規定される他、捲回電極体(図2参照)の条件は、各サンプルで同じとした。例えば、ここでは、捲回電極体は、幅140mm、高さ55mm、厚み12mmとした。また、正極シートは、合剤密度2.2g/cm、厚み65μm(箔15μm)、長さ3m、幅115mm、塗工幅98mmとした。また、負極シートは、合剤密度1.1g/cm、厚み77μm(箔10μm)、長さ3.1m、幅117mm、塗工幅102mmとした。
《電解液》
ここで、非水電解液としては、エチレンカーボネート(EC)と、ジメチルカーボネート(DMC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)とを、所定の体積比(EC:DMC:EMC=3:4:3)で混合溶媒に、リチウム塩としての1.1mol/LのLiPFを溶解させた電解液を用いた。また、電解液には、適宜にLiBOBを添加した。各サンプルにおけるLiBOBの添加量は、後述する表1、2に示すとおりである。ここで、LiBOBは、リチウムビスオキサレートボラートであり、下記の化学式で表され、LiB(Cとも表記される。
Figure 2014209414
《LiBOBの反応》
リチウムイオン二次電池の電解液に添加されたLiBOB(LiB(C)は、初回充電時に分解され、例えば、以下の化学反応式で示されるように、初回充電時に相当量のガス(COやCO)が発生するとともに、被膜(例えば、Li+B)が生じる。ここで、LiBOBの化学反応式は、例えば、2LiB(C→Li+B+3CO+3CO;として、例示されうる。
《Naの含有》
また、かかるリチウムイオン二次電池ではNa(ナトリウム)が含まれうる。例えば、Naは、正極活物質や負極活物質中の不純物として含まれうる。また、Naは、セパレータの耐熱層に含まれるフィラーとして用いられるアルミナやベーマイトにも不純物として含まれる。このため、リチウムイオン二次電池にNaが含まれうる。
フィラーとして用いられるアルミナやベーマイトの精製工程では、例えば、アルミニウムを含む主な鉱石であるボーキサイトは40%〜60%しかアルミナを含んでいない。ボーキサイトの残りの成分はシリカ(二酸化ケイ素)や種々の酸化鉄や二酸化チタンなどである。アルミナやベーマイトを精製するために、まずボーキサイトを凡そ250℃の水酸化ナトリウムの熱溶液によって洗浄する。この過程でアルミナは以下の化学式に示すような反応によって溶解される。
Al+2OH+3HO→2[Al(OH)
ここで、不純物として含まれる他の成分(Naを除く他の成分)は、かかる反応において溶解しないので、ろ過することによって除去される。しかし、Naはアルミン酸ナトリウム溶液として残る。そして、このアルミン酸ナトリウム溶液(NaO換算)に0.4モル倍〜0.6モル倍の硫酸アルミニウム溶液(SO 2-換算)を混合して得られたアルミナゲルを種子として添加することを特徴とする水酸化アルミニウムの製造方法は、例えば、特開2001−19424号公報に開示されている。
このようにして生成された水酸化アルミニウムを、熱水溶液中(200℃での水熱処理)で脱水したものが、AlO(OH)[orAl・HO]であり、ベーマイトとして得られる。また、水酸化アルミニウムを凡そ1050℃に加熱すると脱水が起こってアルミナ(αアルミナ)が生成される。以上のような製造過程から得られたアルミナやベーマイト中には、いくらかのNaが残存する。
《Naの溶出量》
ここで、表1および表2に示されたNa溶出量(Naの溶出量)は、例えば、正極、負極、セパレータを所定の大きさに切り取り、電解液中に所定時間浸漬させ、電解液中のNaをICP発光分析によって定量することができる。ここでは、正極、負極、セパレータをそれぞれ30cm×5.4cm角に切り取り、未使用の電解液3cc中に常温で4日間浸漬させ、電解液中のNaをICP発光分析によって定量した。ここで、ICP発光分析装置には、Thermo Fisher Scientific社製のiCAP6300を用いた。
《評価用セルの評価》
ここで、作製された評価用セルは、例えば、所定のコンディショニング工程を行い、抵抗上昇率と、過充電時の温度上昇率とを評価した。
≪コンディショニング≫
次に、上記のように構築した評価用セルについて、電解液を注入した後で、10時間程度放置し、電池電圧が2.0V以上になってから初期充電を行なった。コンディショニング工程は、次の手順1、2によって行なわれる。
手順1:1.5Cの定電流充電にて4Vに到達した後、5分間休止する。
手順2:手順1の後、定電圧充電にて1.5時間充電された場合または充電電流が0.1Aとなった場合に充電を停止し、5分間休止する。
≪定格容量の測定≫
次に、定格容量は、上記コンディショニング工程の後、評価用セルについて、温度25℃、3.0Vから4.1Vの電圧範囲で、次の手順1〜3によって測定される。
手順1:1Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間休止する。
手順2:1Cの定電流充電によって4.1Vに到達後、定電圧充電にて2.5時間充電し、その後、10秒間休止する。
手順3:0.5Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間停止する。
定格容量:手順3における定電流放電から定電圧放電に至る放電における放電容量(CCCV放電容量)を定格容量とする。この試験用電池では、定格容量が凡そ4.0Ahになる。
≪SOC調整≫
SOC調整は、次の1、2の手順によって調整される。ここで、SOC調整は、上記コンディショニング工程および定格容量の測定の後で行なうとよい。また、ここでは、温度による影響を一定にするため、25℃の温度環境下でSOC調整を行なっている。
手順1:3Vから1Cの定電流で充電し、定格容量の凡そ60%の充電状態(SOC60%:3.73V)にする。
手順2:手順1の後、2.5時間、定電圧充電する。
これにより、試験用電池は、所定の充電状態に調整することができる。
≪高負荷充放電サイクル前後の抵抗上昇率Z(%)≫
ここで、表1、2における抵抗上昇率(%)は、以下のような高負荷充放電サイクル前後のIV抵抗の増加率である。かかるIV抵抗の増加率によって評価用セルの高負荷特性を評価した。
ここで、高負荷充放電サイクルは、具体的には、25度の温度環境雰囲気下において、SOC60%に調整した状態から、−30℃の温度環境雰囲気下において30Cの電流で0.1秒間(終止電圧6.5V)充電する。そして、30秒間の休止時間した後、0.5Cの電流で10秒間(終止電圧1V)放電する。ここでは、上記を充放電サイクルの1サイクルとし、4000サイクル繰返し、その前後において、25℃の環境下においてSOC60%の充電状態(SOC:state of charge)におけるIV抵抗を測定した。
上記高負荷充放電サイクルによって、評価用セルのIV抵抗は上昇する。抵抗上昇率Z(%)は、上記高負荷充放電サイクル前に測定されたIV抵抗Xと、上記高負荷充放電サイクル後に測定されたIV抵抗Yとで、Z(%)={(Y−X)/X}×100で評価されるものである。
≪IV抵抗の測定方法≫
IV抵抗は、各サンプルに対して、25℃の環境下においてSOC60%の充電状態(SOC:state of charge)におけるIV抵抗を測定した。ここで、IV抵抗は、所定の電流値(I)で10秒間定電流放電し、放電後の電圧(V)をそれぞれ測定する。そして、所定の電流値(I)と、放電後の電圧(V)を基に、X軸にI、Y軸にVを取ってプロットし、各放電により得られたプロットを基に、近似直線を引き、その傾きをIV抵抗とする。ここでは、0.3C、1C、3Cの電流値で定電流放電を行なって得た各放電後の電圧(V)を基にIV抵抗(mΩ)を得た。
《過充電時の温度上昇率(%)》
また、過充電時の温度上昇率(%)は、例えば、所定の過充電状態に充電し、当該充電電流を遮断した時の温度に対し、その10分後の温度上昇率で評価した。ここでは、過充電状態として、25度の大気環境下にて、10Cで、電圧制限値25Vになるまで充電し、充電電流を遮断した時の温度T1と、その10分後の温度T2を測定した。そして、温度上昇率(%)={(T2−T1)/T1}×100を求めた。
各評価用セルと、その評価値は、表1、2に示すとおりである。表1、2は、1つの表を2つに分けたものである。
Figure 2014209414
Figure 2014209414
ここで、表1および表2に示すように、バインダ群Aについてはポリアクリル酸とPVPとを代えても、抵抗上昇率と過充電時の温度上昇率とに与える影響は小さい。また、バインダ群AについてはPNVAとPNMAとを代えても、抵抗上昇率と過充電時の温度上昇率とに与える影響は小さい(例えば、サンプル13と14、サンプル18と19、サンプル23と24、サンプル28と29、サンプル32と33、サンプル37と38)。また、耐熱層のフィラーの種類は、アルミナとベーマイトを代えても、抵抗上昇率と過充電時の温度上昇率とに与える影響は小さい。
《サンプル1−7およびサンプル10−36》
ここで、表1および表2中、例えば、サンプル1−7、および、サンプル10−36に示されているように、耐熱層に含まれるバインダは、バインダ群Aの重量を100とした場合に、バインダ群Bの重量が凡そ5以上50以下となる重量割合である場合に、高負荷充放電サイクル前後の抵抗上昇率や、過充電時の温度上昇率が低く抑えられた。
《サンプル1−9》
ここで、表1中のサンプル1からサンプル9では、電解液に添加したLiBOBの量が段階的に変えられている。ここでは、例えば、サンプル1から7のように、電解液に添加したLiBOBの量を0.01モル/L〜0.05モル/Lである場合に、特に、高負荷充放電サイクル前後の抵抗上昇率や、過充電時の温度上昇率が低く抑える傾向が見られた。
また、例えば、電解液に添加したLiBOBの量が0.005モル/Lであったサンプル8では、高負荷充放電サイクル前後の抵抗上昇率が大きい傾向があった。このように、電解液に添加したLiBOBの量が少なすぎると抵抗上昇率が大きくなる傾向があった。また、電解液に添加したLiBOBの量が、0.06モル/Lであったサンプル9では、過充電時の温度上昇率が高くなる傾向があった。このように、電解液に添加したLiBOBの量が多すぎると過充電時の温度上昇が高くなる傾向があった。
《サンプル10−52》
ここで、サンプル10−52については、電解液に添加したLiBOBの量を0.025モル/Lとした。
《サンプル10−15およびサンプル37−39》
また、サンプル10−15およびサンプル37−39では、バインダ群Bに用いられたバインダの分子量が段階的に変えられている。バインダ群Bに用いられるバインダの分子量は、凡そ1万〜50万であるとよい。例えば、バインダ群Bに用いられるバインダの分子量が、凡そ1万〜50万であるサンプル10−15では、高負荷充放電サイクル前後の抵抗上昇率が小さく抑えられ、かつ、過充電時の温度上昇率が低く抑えられた。
ここで、サンプル10−15では、HRLペーストの混練方法として、上述した方法1が採用されている。この場合、軟化温度が175℃以上のバインダからなるバインダ群Aは、耐熱層においてフィラー周辺に多く存在する傾向がある。このため、過充電時170℃〜200℃の高温状態となってもフィラーとフィラーの結合が維持され、耐熱層の形状が保たれる。他方、軟化温度が175℃よりも低いバインダからなるバインダ群Bは、低分子量のバインダであり、上述した方法1では基材と耐熱層の境界付近に多く存在する傾向がある。このため、過充電時170℃〜200℃の高温状態になった場合にバインダ群Bが軟化し(ここでは、一部が溶解した状態を含む)、軟化したバインダ群Bの一部が基材の細孔に入り込むことで、耐熱層(フィラー)と基材とが強固に接着された状態で維持される。
これに対して、サンプル37では、分子量が凡そ8千のPNVAがバインダ群Bに用いられているが、過充電時の温度上昇率が高くなる傾向があった。また、サンプル38では、分子量が凡そ9千のPNMAがバインダ群Bに用いられているが、この場合も過充電時の温度上昇率が高くなる傾向があった。これは、過充電時170℃〜200℃の高温状態になった場合にバインダ群Bが軟化し過ぎて、耐熱層(フィラー)と基材とを強固に接着した状態で維持できないためと考えられる。サンプル39では、分子量が凡そ60万のPNVAがバインダ群Bに用いられているが、この場合も過充電時の温度上昇率が高くなる傾向があった。これは、バインダ群Bが軟化し難い状態であり、耐熱層(フィラー)と基材とを強固に接着させることができないためと考えられる。
《サンプル16−21およびサンプル41−43》
サンプル16−21およびサンプル41−43では、バインダ群Aの重量を100とした場合に、バインダ群Bの重量が凡そ5以上50以下となるように、バインダ群A,Bの重量割合を適当に変えた。なお、ここでは、バインダ群Bに用いられたバインダの分子量は20万とした。この場合、バインダ群Aの重量を100とした場合のバインダ群Bの重量が凡そ5以上50以下である、サンプル16−21では、過充電時の温度上昇率が低く抑えられている。バインダ群Aの重量を100とした場合のバインダ群Bの重量が凡そ5以上50以下である場合には、バインダ群Bが早期に溶融することによってリチウムイオンの拡散を制限し、また、耐熱層と基材との接着を維持する効果が得られていると考えられる。
これに対して、バインダ群Aの重量を100とした場合のバインダ群Bの重量が3であるサンプル41では、過充電時の温度上昇率が高くなる傾向があった。これは、耐熱層のバインダ中に、溶融、軟化温度が比較的低いバインダ群Bのバインダの割合が少なく、バインダ群Bが早期に溶融することによってリチウムイオンの拡散を制限する効果が小さいと考えられる。
また、バインダ群Aの重量を100とした場合のバインダ群Bの重量が60であるサンプル42や、バインダ群Aの重量を100とした場合のバインダ群Bの重量が70であるサンプル43などでは、過充電時の温度上昇率が高くなる傾向があった。これは、耐熱層のバインダ中に、溶融、軟化温度が比較的高いバインダ群Aのバインダの割合が相対的に少なく、セパレータの基材の熱収縮を小さく抑える効果が小さいと考えられる。
《サンプル22−30およびサンプル45−47》
サンプル22−30およびサンプル45−47では、基材中の0.01μm以上0.1μm以下の細孔径が占める割合が段階的に変えられている。なお、ここでは、バインダ群Bに用いられたバインダの分子量は22万とした。この場合、サンプル22−30で示されているように、基材中の0.01μm以上0.1μm以下の細孔径が占める割合は、凡そ45%以上90%以下である場合には、高負荷充放電サイクル前後の抵抗上昇率が小さく抑えられるとともに、過充電時の温度上昇率が低く抑えられている。
ここで、本発明者の知見では、0.1μmよりも大きい細孔径が多い場合には、過充電時に温度上昇によってバインダ群Bが溶融した場合に、基材の細孔が埋まるのが遅れやすい。また、0.01μmよりも小さい細孔径が多い場合には、過充電時に基材の細孔が消失し、バインダ群Bが融解してもバインダ群Bが基材の細孔に入ることができず、耐熱層と基材の結合が十分に確保できなくなり、耐熱層と基材とが剥がれやすい傾向がある。
例えば、サンプル45では、基材中の0.01μm以上0.1μm以下の細孔径が占める割合が凡そ40であった。サンプル46では、基材中の0.01μm以上0.1μm以下の細孔径が占める割合が凡そ91であった。サンプル47では、基材中の0.01μm以上0.1μm以下の細孔径が占める割合が凡そ92であった。これらの場合では、過充電時の温度上昇率が高くなる傾向があった。これは、基材中に0.01μm以上0.1μm以下の適度な細孔径が占める割合が少なすぎたり多すぎたりしたためと考えられる。
《サンプル31−36およびサンプル49−51》
サンプル31−36およびサンプル49−51は、それぞれセパレータの基材の厚みが段階的に変えられている。なお、ここでは、バインダ群Bに用いられたバインダの分子量は25万とした。ここで、サンプル31−36では、セパレータの基材の厚みが、14μm以上30μm以下であり、高負荷充放電サイクル前後の抵抗上昇率が小さく抑えられるとともに、過充電時の温度上昇率が低く抑えられている。
ここで、本発明者の知見では、例えば、サンプル50、52のようにセパレータの基材が厚すぎると、高負荷充放電サイクル前後の抵抗上昇率が大きくなる傾向がある。また、セパレータの基材が厚すぎると、基材の細孔径の量が多くなり、基材の細孔を遮断するのに要するバインダ群Bの量が相対的に少なくなる。このため、過充電時にセパレータの基材の細孔を遮断するのが遅れ、過充電時に温度が上昇しやすい傾向があると考えられる。また、例えば、サンプル49のようにセパレータの基材が薄すぎると基材の強度が不足するために、基材の一部が破れたり、セパレータによるシャットダウン機能(リチウムイオンの拡散を抑制し、電池反応を停止させる機能)が不十分となり漏れ電流が増加したりするため、過充電時に温度が上昇しやすい傾向があると考えられる。
《サンプル40、44、48、52》
また、サンプル40、44、48、52は、耐熱層を作製する際、HRLペーストの混練方法に、上述した混練方法2が採用されている。他は混連方法1を採用した。ここで、サンプル40はサンプル13と対比されうる。サンプル44はサンプル18と対比されうる。サンプル48はサンプル23と対比されうる。サンプル52はサンプル32と対比されうる。サンプル40、44、48、52では、過充電時の温度上昇率が高くなる傾向がある。
このように、バインダ群Aとバインダ群Bの2種類のバインダを用いて耐熱層を作製する場合には、HRLペーストは、バインダ群Aのバインダとフィラーを先に混ぜ、十分に混練し、その後に、バインダ群Bのバインダを軽く混ぜるとよい。
この場合、図6に模式的に示すように、基材76の表面に付着した耐熱層78のバインダは、耐熱層78全体におけるバインダ群Bの割合よりもバインダ群Bの割合が多くなる傾向がある。さらに、耐熱層78中のフィラーFに付着したバインダは、耐熱層78全体におけるバインダ群Aの割合よりもバインダ群Aの割合が多くなる傾向がある。これにより、耐熱層中のフィラー同士およびフィラーと基材同士を強固に結着させることができ、高負荷充放電サイクルによる膨張収縮に耐え抵抗上昇率が低く抑えられる傾向が顕著になると考えられる。
以上のように、ここで提案されるリチウムイオン二次電池10は、図1および図3に示すように、セパレータ72、74が、プラスチックの多孔質膜からなる基材76と、基材76の表面に形成された、フィラーとバインダとからなる耐熱層78とを備えている。この場合、耐熱層78のバインダは、軟化温度が175℃以上のバインダからなるバインダ群Aと、軟化温度が175℃よりも低いバインダからなるバインダ群Bとを有しているとよい。また、バインダ群Aの重量を100とした場合に、バインダ群Bの重量が5以上50以下であるとよい。これにより、特に、過充電時の温度上昇率が低く抑えられる。
ここでは、バインダ群Aとしてポリアクリル酸またはPVPが用いられたサンプルを例示したが、バインダ群Aは、特に、ポリアクリル酸からなるとよい。バインダ群Aに用いられるポリアクリル酸は上述した例に限らない。バインダ群Aに用いられうるポリアクリル酸には、例えば、アクリル酸をベースとした重合体には、例えば、重合しているモノマーのうち30%以上、或いは50%以上、或いは70%以上、或いは80%以上がアクリル酸であるポリアクリル酸が含まれうる。また、ポリアクリル酸には、例えば、アクリル酸エチルまたはアクリル酸メチルが、30%以上、或いは50%以上、或いは70%以上、或いは80%以上の割合で重合していてもよい。
また、バインダ群Bは、例えば、PNVAとPNMAとのうち、少なくとも一種類のバインダからなるとよい。ここでは、バインダ群AとしてPNVAまたはPNMAが用いられたサンプルを例示したが、バインダ群Bはこれに限らず、また、複数種類のバインダが混ぜられていてもよい。また、バインダ群Bのバインダは、例えば、平均分子量が1万〜50万であってもよい。
また、例えば、図6に示すように、セパレータの基材76の表面に付着した耐熱層78のバインダは、耐熱層78全体におけるバインダ群Bの割合よりもバインダ群Bの割合が多くてもよい。また、耐熱層78中のフィラーFに付着したバインダは、耐熱層78全体におけるバインダ群Aの割合よりもバインダ群Aの割合が多くてもよい。これにより、過充電時の温度上昇率がより確実に低く抑えられる。また、バインダ群Aとバインダ群Bの2種類のバインダを用いて耐熱層78を作製する場合には、HRLペーストは、バインダ群Aのバインダとフィラーを先に混ぜ、十分に混練し、その後に、バインダ群Bのバインダを軽く混ぜるとよい。これによって、上記構造が具現化でき、過充電時の温度上昇率がより確実に低く抑えられる。
また、セパレータ72、74の基材76は、例えば、0.01μm以上0.1μm以下の細孔径が占める割合が、全体の45%以上90%以下であってもよい。また、セパレータ72、74の基材76の厚さは、例えば、14μm以上30μm以下であってもよい。これにより過充電時の温度上昇率がより確実に低く抑えられる。
また、リチウムイオン二次電池10は、図1に示すように、正極としての正極シート50と、負極としての負極シート60と、セパレータ72、74とを備えた電極体40と、電極体40を収容した電池ケース20とを備えているとよい。この場合、電極体にLiBOB由来の被膜が含まれていてもよい。また、電極体にNaが含まれていてもよい。
このように、電極体にLiBOB由来の被膜が含まれていたり、Naが含まれていたりするような場合には、充放電によって電極体に拡散するリチウムイオンの分布に斑が生じる傾向がある。換言すれば、この場合には、充放電によって電極体に拡散するリチウムイオンの密度が局所的に高い部位が生じる場合がある。充放電によって電極体に拡散するリチウムイオンの密度が局所的に高い部位では、過充電時に温度が高くなる傾向がある。このため、電極体にLiBOB由来の被膜が含まれていたり、Naが含まれているような場合には、上述したように、2種類のバインダ群A、Bをバインダに含む耐熱層78が形成されたセパレータ72、74を用いるとよい。この場合、2種類のバインダ群A、Bをバインダに含む耐熱層78が形成されたセパレータ72、74を用いることによって、リチウムイオン二次電池10は、過充電時の温度上昇率を低く抑える効果が期待されうる。
以上、本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池を説明したが、本発明は、上述した何れの実施形態にも限定されず、種々の変更が可能である。
例えば、リチウムイオン二次電池は、例えば、電池ケースに収容された電極体は、扁平に押し曲げられた捲回電極体を例示したが、捲回電極体は円筒型でもよい。また、電極体は、捲回電極体でなくてもよく、正極と負極がセパレータを介して積層された、積層型の電極体でもよい。また、リチウムイオン二次電池の構造は、上記に限定されず、いわゆる円筒型(例えば、18650型)の電池でも良いし、いわゆるラミネート型の電池でもよい。
例えば、ここで開示されるリチウムイオン二次電池は、特に、過充電時の温度上昇率を小さく抑えることができる。このため、安全性が高く、性能が安定したリチウムイオン二次電池を提供することができる。したがって、例えば、図8に示されるように、安全性が高く、安定した性能が求められる車両駆動用電池1000として特に好適である。ここで、車両駆動用電池1000は、上記リチウムイオン二次電池を複数個直列に接続して形成される組電池の形態であり得る。かかる車両駆動用電池1000を電源として備える車両1には、典型的には自動車、特にハイブリッド自動車(プラグインハイブリッド車を含む)、電気自動車のような電動機を備える自動車が含まれる。
10 リチウムイオン二次電池(二次電池)
20 電池ケース
21 ケース本体
22 封口板
23 正極端子
24 負極端子
30 安全弁
32 注液口
33 封止材
40 捲回電極体(電極体)
50 正極シート
51 正極集電箔
52 未塗工部
53 正極活物質層
60 負極シート
61 負極集電箔
62 未塗工部
63 負極活物質層
72,74 セパレータ
76 基材
78 耐熱層
80 電解液
90 充電器
92 スイッチ
94 抵抗
100 リチウムイオン二次電池
1000 車両駆動用電池(組電池)
F フィラー
H セパレータ基材の細孔
WL 捲回軸

Claims (7)

  1. 正極と、負極と、前記正極と負極との間に介在したセパレータとを備えた電極体と、当該電極体を収容した電池ケースとを備え、
    前記電極体にLiBOB由来の被膜と、Naとが含まれ、
    前記セパレータは、
    プラスチックの多孔質膜からなる基材と、
    前記基材の表面に形成された、フィラーとバインダとからなる耐熱層と
    を備えており、
    前記耐熱層のバインダは、
    軟化温度が175℃以上のバインダからなるバインダ群Aと、
    軟化温度が175℃よりも低いバインダからなるバインダ群Bと
    を有しており、
    前記バインダ群Bのバインダの平均分子量が1万〜50万であり、
    前記バインダ群Aの重量を100とした場合に、前記バインダ群Bの重量が5以上50以下である、
    リチウムイオン二次電池。
  2. 前記バインダ群Aは、ポリアクリル酸からなる、請求項1に記載されたリチウムイオン二次電池。
  3. 前記バインダ群Bは、PNVAとPNMAとのうち少なくとも一種類のバインダからなる、請求項1または2に記載されたリチウムイオン二次電池。
  4. 前記基材の表面に付着した耐熱層のバインダは、前記耐熱層全体におけるバインダ群Bの割合よりもバインダ群Bの割合が多い、請求項1から3までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池。
  5. 前記耐熱層中のフィラーに付着したバインダは、前記耐熱層全体におけるバインダ群Aの割合よりもバインダ群Aの割合が多い、請求項1から4までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池。
  6. 前記セパレータの基材は、0.01μm以上0.1μm以下の細孔径が占める割合が、全体の45%以上90%以下である、請求項1から5までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池。
  7. 前記セパレータの基材の厚さは、14μm以上30μm以下である、請求項1から6までの何れか一項に記載されたリチウムイオン二次電池。
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