JP2014208800A - ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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    • C08L69/00Compositions of polycarbonates; Compositions of derivatives of polycarbonates

Abstract

【課題】高い流動性及び耐熱性を有し、射出成形時にフローマーク、タイガーマーク等の成形外観不良が少なく、かつ耐衝撃性が良好なポリカーボネート樹脂組成物及び該樹脂組成物を使用した成形品を提供する。
【解決手段】共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合して得られたポリカーボネート樹脂組成物であって、
複数のカーボネート共重合体はいずれも二種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位から構成され、かつ少なくとも分子内にエーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有し、
分子内にエーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が最も低いカーボネート共重合体の溶融粘度が、分子内にエーテル構造を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が最も高いカーボネート共重合体の溶融粘度以下である
ことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合して得られたポリカーボネート樹脂組成物であって、高い流動性及び耐熱性を有し、射出成形時にフローマーク、タイガーマーク等の成形外観不良が少なく、かつ耐衝撃性が良好なポリカーボネート樹脂組成物及び該樹脂組成物を使用した成形品に関する。特に、該樹脂組成物を射出成形してなる、建材、電気・電子機器部材、自動車内外装部材などに好適な成形品に関するものである。
プラスチックは比重が軽く、射出成形による加工も容易であることから種々の用途に使用されている。特に外観良好な耐衝撃部材として、建材、電気・電子機器部材、自動車内外装部材等と各方面で使用されている。従来、これらの耐衝撃性が要求される用途に対しては、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等が使用されてきた。
自動車内外装部品は、その生産性から射出成形によって成形されることが多い。ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等を用いて射出成形を行うと、射出成形品表面の流動方向と交わる方向にフローマークやタイガーマークと呼ばれる複数の周期的な縞模様が発生し成形品の外観を損なうことがある。
更に、耐衝撃部材は紫外線(UV)抵抗性、高い表面硬度、良好な引張り強さ、高い光学的透明性、良好な衝撃強さ、及び難燃性を持っていることが望ましい。ポリアクリレート樹脂は、紫外線による変色性が少なく、表面硬度が高く、良好な透明性を有しているが、機械的強度がやや劣り、更には難燃性が自消性クラスに到達しないという問題がある。一方、ポリカーボネート樹脂は、機械的強度が優れており、自消性であるが、紫外線による変色性が大きく、表面硬度が低いという問題がある。表面硬度が低いことは、屋外で使用する場合は、使用中に飛砂等により、部材表面が削られるため、透明性の低下、ひどい場合には機械的強度の低下を引き起こす等、表面硬度も耐衝撃部材用途においては重要な特性である。
ところで、ポリアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂等は、一般的に石油資源から誘導される原料を用いて製造される。しかしながら、近年、石油資源の枯渇が危惧されており、植物等のバイオマス資源から得られる原料を用いたプラスチックからの資材の提供が求められている。また、二酸化炭素排出量の増加、蓄積による地球温暖化が、気候変動等をもたらすことが危惧されていることからも、使用後の廃棄処分においてもカーボンニュートラルな、植物由来モノマーを原料としたプラスチックからの資材の開発が求められている。
従来、植物由来モノマーとしてイソソルビドを使用し、炭酸ジフェニルとのエステル交換反応により、ポリカーボネート樹脂を得ることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、イソソルビドと脂肪族ジヒドロキシ化合物とを共重合することにより、イソソルビドからなるホモポリカーボネート樹脂の剛直性を改善する試みがなされている(例えば、特許文献2参照)。
中でも、脂環式ジヒドロキシ化合物である1,4−シクロヘキサンジメタノール等を重合したポリカーボネートが多数提案されている(例えば、特許文献3〜5参照)。上記特許文献には、イソソルビドを用いたポリカーボネート樹脂の提案はなされているが、これらの文献では色調を重要視しており、機械的物性、とりわけ耐衝撃性については省みられてこなかった。
従来広く用いられてきた芳香族ポリカーボネート樹脂の場合には樹脂そのものの耐衝撃性に優れていたが、イソソルビドを使用する場合には芳香族ポリカーボネート樹脂と比べて耐衝撃性に劣り、改良が必要となる。この問題に対し、ガラス転移温度の高いポリカーボネート樹脂とゴム質重合体とを含有するポリカーボネート樹脂組成物が耐衝撃性を高めるものとして提案されている(例えば、特許文献6参照)。
英国特許第1079686号明細書 国際公開第04/111106号パンフレット 特開平6−145336号公報 特公昭63−12896号公報 特開2008−24919号公報 国際公開第08/146719号パンフレット
耐衝撃性の向上には、従来から樹脂の分子量を上げることが行われている。しかし、ガラス転移温度が高い樹脂(組成)の場合、分子量が高すぎると重合反応器での溶融粘度が高くなり、反応器からの抜き出し及び造粒が困難になるため、分子量の増加には限界がある。そのため、上記のとおりゴム質重合体をブレンドするなどの方法が提案されているが、この方法では耐熱性と耐衝撃性を両立することは困難であり、また、外観良好な樹脂組成物を得ることができなかった。
一方、フローマークやタイガーマーク等の成形外観不良を目立たなくする方法の一例として、従来から樹脂の流動性を高めることが行われている。例えば、成形時の樹脂温度を上昇する方法があるが、熱履歴により樹脂が着色したり、熱により発生した分解ガスにより成形品の外観が悪化したりする問題があった。また、樹脂の分子量を下げて樹脂の流動性を高める方法もあるが、耐衝撃性は却って低下するという問題があった。
本発明の目的は、高い流動性及び耐熱性を有し、射出成形時にフローマーク、タイガーマーク等の成形外観不良が少なく、かつ耐衝撃性が良好なポリカーボネート樹脂組成物及び該樹脂組成物を使用した成形品を提供することにある。
本発明者は上記課題を解決するべく、鋭意検討を重ねた結果、二種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位から構成され、かつ共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合して得られたポリカーボネート樹脂組成物であって、複数のカーボネート共重合体はいずれも特定の構造単位を共通に有し、しかも特定の構造単位の共重合比率が最も低いカーボネート共重合体の溶融粘度が、特定の構造単位の共重合比率が最も高いカーボネート共重合体の溶融粘度以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物が、前記課題を解決することを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明は下記に存する。
[1] 共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合して得られたポリカーボネート樹脂組成物であって、
複数のカーボネート共重合体はいずれも二種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位から構成され、かつ少なくとも式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有し、
カーボネート共重合体の式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が最も低いカーボネート共重合体のガラス転移温度と、式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が最も高いカーボネート共重合体のガラス転移温度との差が50℃以下
であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 2014208800
(ただし、式(1)で表される部位が−CH−O−Hを構成する部位である場合を除く。)
[2] 共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合して得られたポリカーボネート樹脂組成物であって、
複数のカーボネート共重合体はいずれも二種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位から構成され、かつ少なくとも式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有し、
式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が最も低いカーボネート共重合体の溶融粘度が、式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が最も高いカーボネート共重合体の溶融粘度以下である
ことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 2014208800
(ただし、式(1)で表される部位が−CH−O−Hを構成する部位である場合を除く。)
[3] 共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合して得られたポリカーボネート樹脂組成物であって、
複数のカーボネート共重合体はいずれも二種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位から構成され、かつ少なくとも式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有し、
式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位の共重合比率が最も高いカーボネート共重合体の溶融粘度と、式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位の共重合比率が最も低いカーボネート共重合体の溶融粘度の差が700Pa・s以下である
ことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 2014208800
(ただし、式(1)で表される部位が−CH−O−Hを構成する部位である場合を除く。)
[4] カーボネート共重合体の式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が最も低いカーボネート共重合体のガラス転移温度と、式
(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が最も高いカーボネート共重合体のガラス転移温度との差が5℃以上、50℃以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[5] 式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位がポリカーボネート樹脂組成物の30モル%以上含まれることを特徴とする[1]〜[4]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[6] 式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物が、環状エーテル構造を有することを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[7] 式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物が、式(2)で表されるジヒドロキシ化合物であることを特徴とする[1]〜[5]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
Figure 2014208800
[8] 複数のカーボネート共重合体のうち少なくとも一つが、さらに脂肪族ジヒドロキシ化合物または脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有することを特徴とする[1]〜[7]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[9] 複数のカーボネート共重合体を溶融混合してポリカーボネート樹脂組成物を得るとき、配合量が最も少ないカーボネート共重合体の配合量が、複数のカーボネート共重合体の合計量の10質量%以上であり、配合量が最も多いカーボネート共重合体の配合量が、複数のカーボネート共重合体の合計量の90質量%以下であることを特徴とする[1]〜[8]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[10] カーボネート共重合体の少なくとも一種において、該カーボネート共重合体を構成する二種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位のうち、モル使用量が最も少ないジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が20モル%以上であり、モル使用量が最も多いジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が80モル%以下であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
[11] ポリカーボネート樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)が単一であることを特徴とする[1]〜[10]のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
本発明によれば、高い流動性及び耐熱性を有し、射出成形時にフローマーク、タイガーマーク等の成形外観不良が少なく、かつ耐衝撃性が良好なポリカーボネート樹脂組成物及び該樹脂組成物を使用した成形品を提供することができる。
製造例9のGPEC分析結果の結果である。 製造例11のGPEC分析結果の結果である。 製造例1のGPEC分析結果の結果である。 製造例3のGPEC分析結果の結果である。 製造例5のGPEC分析結果の結果である。 実施例1のGPEC分析結果の結果である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。
尚、本発明において、下記に詳述する特定の組成を有するポリカーボネートであり、重縮合反応によって得られ、他の材料と混合していないポリカーボネートを「カーボネート共重合体」と称する。
また、本発明において、少なくとも組成の異なる複数のカーボネート共重合体を混合して得られたものを「ポリカーボネート樹脂組成物」と称する。
また、本発明において、カーボネート共重合体またはポリカーボネート樹脂組成物には、各種添加剤が配合されていてもかまわない。
また、本発明において、「ジヒドロキシ化合物単位」という場合には、ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を指す。さらに、脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を「脂環式ジヒドロキシ化合物単位」と称したり、イソソルビドに由来する構造単位を「イソソルビド単位」と称したりすることがある。
また、例えば、構造の一部に式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を「式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位」と称することがある。
また、本発明において、共重合比率とは、カーボネート共重合体を構成する全てのジヒドロキシ化合物単位に対する、カーボネート共重合体を構成する特定のジヒドロキシ化合物単位のモル百分率を指す。カーボネート共重合体を構成する全てのジヒドロキシ化合物の共重合比率の和は100モル%である。
≪1≫ポリカーボネート樹脂組成物
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、以下の[1]〜[3]のいずれかである。
[1] 共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合して得られたポリカーボネート樹脂組成物であって、
複数のカーボネート共重合体はいずれも二種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位から構成され、かつ少なくとも式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有し、
カーボネート共重合体の式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が最も低いカーボネート共重合体のガラス転移温度と、式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が最も高いカーボネート共重合体のガラス転移温度との差が50℃以下
であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 2014208800
(ただし、式(1)で表される部位が−CH−O−Hを構成する部位である場合を除く。)
[2] 共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合して得られたポリカーボネート樹脂組成物であって、
複数のカーボネート共重合体はいずれも二種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位から構成され、かつ少なくとも式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有し、
式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が最も低いカーボネート共重合体の溶融粘度が、式(1)で表される部位を有するジヒド
ロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が最も高いカーボネート共重合体の溶融粘度以下である
ことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 2014208800
(ただし、式(1)で表される部位が−CH−O−Hを構成する部位である場合を除く。)
[3] 共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合して得られたポリカーボネート樹脂組成物であって、
複数のカーボネート共重合体はいずれも二種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位から構成され、かつ少なくとも式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有し、
式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位の共重合比率が最も高いカーボネート共重合体の溶融粘度と、式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位の共重合比率が最も低いカーボネート共重合体の溶融粘度の差が700Pa・s以下である
ことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
Figure 2014208800
(ただし、式(1)で表される部位が−CH−O−Hを構成する部位である場合を除く。)
なお、本発明において、「共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体」とは、式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に対して、例えば、脂肪族ジヒドロキシ化合物または脂肪環式ジヒドロキシ化合物などの化合物を共重合する場合、それぞれのカーボネート共重合体において、別種の化合物を共重合した場合には、その組成比率が同等であったとしても、共重合比率が異なると言える。
本願発明の樹脂組成物が共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を混合したものであるか分析する手法は、特に限定されないが、例えば、以下の通り分析できる。
つまり、試料を溶媒に溶解し、グラジエントポリマー溶出クロマトグラフィー(GPEC)にて測定することにより分析が可能である。
その溶媒やカラム等の詳細な条件は、分析されるカーボネート共重合体の物性により、適宜調整することにより分析することができる。
本発明の樹脂組成物に含まれる全てのジヒドロキシ化合物単位に対する式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位のモル比率は、30モル%以上であることが好ましく、40モル%以上がより好ましく、50モル%以上がさらに好ましい。前記モル比率がこれより低いと耐熱性が低く、樹脂成形が困難になる傾向がある。一方、前記モル比率は、95モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましく、80モル%以下がさらに好ましい。前記モル比率がこれより高いと、耐衝撃性が低下する傾向がある。
また、式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位の共重合比率が、上記モル比率
の下限以下のカーボネート共重合体と、式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位の共重合比率が、上記モル比率の下限より高いカーボネート共重合体とを溶融混合して、樹脂組成物におけるモル比率を上記の範囲内することも好ましい。
一方、式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位の共重合比率が、上記モル比率の上限以上のカーボネート共重合体と、式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位の共重合比率が、上記モル比率の上限未満のカーボネート共重合体とを溶融混合して、樹脂組成物におけるモル比率を上記の範囲内にすることもまた好ましい。
複数のカーボネート共重合体を溶融混合して本発明のポリカーボネート樹脂組成物を得るとき、配合量が最も少ないカーボネート共重合体の配合量が、複数のカーボネート共重合体の合計量の10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることがさらに好ましい。一方、配合量が最も多い共重合体の配合量が、複数のカーボネート共重合体の合計量の90質量%以下であることが好ましく、80質量%であることがより好ましく、75質量%であることがさらに好ましい。複数のカーボネート共重合体の配合比率が上記範囲を外れると、得られるポリカーボネート樹脂組成物の物性が最も多い配合量のカーボネート共重合体の物性に近づく。元々単一組成のカーボネート共重合体は耐熱性と耐衝撃性が両立しない傾向にあるため、得られるポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性と耐衝撃性を両立させるためには、複数のカーボネート共重合体の配合比率を上記範囲内に調整することが好ましい。
<ポリカーボネート樹脂組成物の物性>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の溶融粘度は、耐衝撃性の観点から、300Pa・s以上が好ましく、500Pa・s以上がより好ましく、600Pa・s以上がさらに好ましい。一方、流動性を向上させ、成形時の外観を向上させる観点から、2000Pa・s以下が好ましく、1500Pa・s以下がより好ましく、1000Pa・s以下が好ましい。
式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位の共重合比率が最も高いカーボネート共重合体の溶融粘度と、式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位の共重合比率が最も低いカーボネート共重合体の溶融粘度とは、その差が、50Pa・s以上が好ましく、100Pa・s以上がより好ましく、200Pa・s以上がさらに好ましい。一方、その差が、700Pa・s以下が好ましく、500Pa・s以下がさらに好ましい。その差が上記範囲内にあることで、共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合して得られたポリカーボネート樹脂組成物から、耐衝撃性が高く、フローマークやタイガーマーク等の外観不良が少ない射出成型品を得ることができる。
本発明において、溶融粘度は、JIS K7199:1999「プラスチックの流れ特性試験方法」に従って、毛管式流れ特性試験機を使用し、温度240℃、せん断速度91.2sec−1で測定した値を用いる。
本発明の樹脂組成物において、式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位の共重合比率が最も低いカーボネート共重合体のガラス転移温度と、式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位の共重合比率が最も高いカーボネート共重合体のガラス転移温度とは、耐衝撃性向上効果の観点から、その差が5℃以上であることが好ましく、10℃以上であることがより好ましい。一方、ガラス転移温度の低いカーボネート共重合体の影響による成形不良を起こしにくい観点から、その差が50℃以下であることが好ましく、45℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることがさらに好ましく、30℃以下であることが特に好ましい。
本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」に従って、示差走査熱量計(DSC)を使用し、樹脂試料約
10mgを50mL/分の窒素気流下、昇温速度20℃/分で室温から250℃まで昇温し、3分間温度を保持した後、30℃まで20℃/分の速度で冷却し、30℃で3分保持し、再び200℃まで20℃/分の速度で昇温し、2回目の昇温で得られた測定データのDDSCのピークトップの値を用いる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物が示すガラス転移温度は、組成の異なる複数のカーボネート共重合体が示すそれぞれのガラス転移温度とは異なることが特徴である。一般的にポリマーブレンド物が示すガラス転移温度が、原料樹脂のそれぞれが示す複数のガラス転移温度と有意に異なるということは、原料樹脂がポリマーブレンド物において、少なくともナノメートルオーダー(分子レベル)で相溶した状態にある部分を有することを意味し、該状態を本発明においては相溶している系と称する。従って、本発明のポリカーボネート樹脂組成物においても組成の異なる複数のカーボネート共重合体が相溶している系ということができる。なお、本発明のポリカーボネート樹脂組成物が示すガラス転移温度は、共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体が示すそれぞれのガラス転移温度のうち、最も高いガラス転移温度と最も低いガラス転移温度との間に存在することがより好ましい。
本発明においては、ポリマーブレンドの相溶している部分が顕著な物性を発揮する。例えば、組成の異なる複数のカーボネート共重合体が透明である場合、得られたポリカーボネート樹脂組成物及びそれから得られる成形品は、前記複数のカーボネート共重合体が相溶している系であるから、優れた透明性を示す。また、相溶している系では未溶解樹脂の塊が無いかあっても極めて少ないことから、これを起点とする破壊が起こりにくくなることが、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の耐衝撃性が向上する要因と考えられる。
また、一般的に最も相溶が進んだ場合のポリマーブレンド物は単一のガラス転移温度を示すことが期待されるが、本発明のポリカーボネート樹脂組成物においては、単一のガラス転移温度を示すことは必ずしも必要ではない。一般的にポリマーブレンド物が単一のガラス転移温度を示さないとき、原料樹脂がポリマーブレンド物において、少なくともナノメーターオーダーで相溶していない状態にある部分を有することを意味する。該状態にあるとき、相溶していない状態にある原料樹脂の特徴ある物性が顕著に現れることがあり、これを相溶している部分が発揮する物性と合わせて同時に利用することができる。本発明においては、例えば、複数のカーボネート共重合体の組成物が複数のガラス転移温度を示す場合、相溶していない状態にある部分に存在する共重合体に由来する特徴ある物性である耐熱性を示し、同時に複数のカーボネート共重合体が相溶している状態にある部分が示す特徴ある物性である耐衝撃性を発揮することで、一般的なモノマー比率の調整ではなしえない耐熱性と耐衝撃性との両立を実現することができる。
本発明において、ガラス転移温度の測定方法としてはいくつかあるが、そのうちの一つは、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を加熱速度20℃/分の条件で示差走査熱量計(DSC)を用いて測定することであり、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を前記方法で測定したとき、ガラス転移を示す変曲点が組成の異なる複数のカーボネート共重合体とは異なる温度に現れるとき、共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体が相溶している系であるということができる。
もう一つは、JIS K7198A法の動的粘弾性測定に従って、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を歪み0.1%、周波数10Hz、昇温速度3℃/分にて動的粘弾性の温度分散を測定することであり、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を前記方法で測定したとき、損失正接(tanδ)の主分散のピーク、言い換えれば損失正接(tanδ)の極大値が現れる温度をガラス転移温度ということもできる。
また、上記動的粘弾性測定において測定したとき、損失弾性率(E”)の主分散のピーク、言い換えれば損失弾性率(E”)の極大値が現れる温度をガラス転移温度ということもできる。
前記動的粘弾性測定で求められるガラス転移温度によって、組成の異なる複数のカーボネート共重合体とは異なる温度に現れるとき、共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体が相溶している系であるということができる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物においては、示差走査熱量計による測定と同様、損失正接(tanδ)の主分散のピーク及び損失弾性率(E”)の主分散のピークは単一である必要がないことはいうまでもない。
本発明において、複数のカーボネート共重合体のガラス転移温度の測定、及び得られたポリカーボネート樹脂組成物が、単一のガラス転移温度を示すことの測定は、DSCを用いる方法、及び動的粘弾性測定のいずれの方法を用いても差し支えないが、示差走査熱量計による測定で求められたガラス転移温度の値と動的粘弾性測定で求められるガラス転移温度の値とは異なることが多いことから、組成の異なる複数のカーボネート共重合体のガラス転移温度と、それらから得られたポリカーボネート樹脂組成物のガラス転移温度を比較評価する場合は、どちらか一方の測定法によるべきである。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物が示す1以上のガラス転移温度は60℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましい。ガラス転移温度がかかる下限値以上であれば、耐熱性、耐熱変形の点で好ましい。一方、ポリカーボネート樹脂組成物が示す1以上のガラス転移温度は150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましい。ガラス転移温度がかかる上限値以下であれば、成形加工性、生産性の点で好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物をISO179(2000年)に準拠して測定したノッチ付きシャルピー衝撃試験の値は、3kJ/m以上が好ましく、5kJ/m以上がより好ましい。ノッチ付きシャルピー衝撃試験の値がかかる範囲にあることで、耐衝撃性が必要とされる用途に広く用いることが可能である。また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を実施例に記述する方法で測定した面衝撃脆性破壊率は20%以下が好ましく、5%以下がより好ましい。面衝撃脆性破壊率がかかる範囲にある温度において、耐衝撃性が必要とされる用途に好ましく使用することが可能であり、面衝撃脆性破壊率がかかる範囲である最低温度を耐寒性の指標として、該温度が低いほどより低温環境で好ましく使用することが可能である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物を実施例に記述する方法で測定した荷重撓み温度の値は、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。荷重撓み温度の値が高いほど耐熱性が高く、直射日光に晒されたり発熱体の近くで使用されたりする等、高温環境下において好ましく使用することが可能である。
≪2≫カーボネート共重合体
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記のとおり共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合して得られるものである。
前記複数のカーボネート共重合体は、いずれも二種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(ジヒドロキシ化合物単位)から構成され、かつ少なくとも式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位)を有する。
Figure 2014208800
[ただし、式(1)で表される部位が−CH−O−Hを構成する部位である場合を除く。]
以下、本発明で使用するカーボネート共重合体の詳細について説明する。
<ジヒドロキシ化合物>
(式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物)
式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物としては、分子構造の一部に式(1)で表される部位、すなわちエーテル構造を有するものであれば特に限定されない。中でも分子構造の一部に環状エーテル構造を有するものが好ましい。該化合物としては、式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコール;式(3)で表されるジヒドロキシ化合物;またはジオキサングリコール等が挙げられる。
Figure 2014208800
(式(3)中、R〜Rはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基を表す。)
式(2)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられる。また、式(3)で表されるジヒドロキシ化合物としては、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン(慣用名:スピログリコール)、3,9−ビス(1,1−ジエチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン、3,9−ビス(1,1−ジプロピル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン等が挙げられる。これらのジヒドロキシ化合物のうち、資源として豊富に存在し、容易に入手可能な式(2)の化合物が特に好ましく、種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、光学特性、成形性の面から最も好ましい。
尚、イソソルビドは酸素によって徐々に酸化されやすい。このため、保管や製造時の取り扱いの際には、酸素による分解を防ぐため、水分が混入しないようにし、また、脱酸素剤を用いたり、窒素雰囲気下にしたりすることが肝要である。イソソルビドが酸化されると、蟻酸をはじめとする分解物が発生する。例えば、これら分解物を含むイソソルビドを用いてポリカーボネート樹脂を製造すると、得られるポリカーボネート樹脂に着色が発生したり、物性を著しく劣化させたりする原因となる。また、重合反応に影響を与え、高分
子量の重合体が得られないこともある。また、蟻酸の発生を防止するような安定剤を添加してあるような場合、安定剤の種類によっては、得られるポリカーボネート樹脂に着色が発生したり、物性を著しく劣化させたりする。安定剤としては還元剤や制酸剤が用いられる。このうち還元剤としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム等が挙げられ、制酸剤としては水酸化ナトリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。このようなアルカリ金属塩の添加は、アルカリ金属が重合触媒となる場合があるので、過剰に添加し過ぎると重合反応を制御できなくなることがある。
酸化分解物を含まないイソソルビドを得るために、必要に応じてイソソルビドを蒸留しても良い。また、イソソルビドの酸化や、分解を防止するために安定剤が添加されている場合も、必要に応じて、イソソルビドを蒸留しても良い。この場合、イソソルビドの蒸留は単蒸留であっても、連続蒸留であっても良く、特に限定されない。蒸留は、アルゴンや窒素等の不活性ガス雰囲気下で、減圧蒸留を実施する。このようなイソソルビドの蒸留を行うことにより、蟻酸含有量が20質量ppm以下、特に5質量ppm以下である高純度のイソソルビドを用いることができる。
尚、イソソルビド中の蟻酸含有量の測定方法は、イオンクロマトグラフを使用し、以下の手順に従い行われる。
イソソルビド約0.5gを精秤し50mlのメスフラスコに採取して純水で定容する。標準試料として蟻酸ナトリウム水溶液を用い、標準試料とリテンションタイムが一致するピークを蟻酸とし、ピーク面積から絶対検量線法で定量する。
イオンクロマトグラフは、Dionex社製のDX−500型を用い、検出器には電気伝導度検出器を用いた。測定カラムとして、Dionex社製ガードカラムにAG−15、分離カラムにAS−15を用いる。測定試料を100μlのサンプルループに注入し、溶離液に10mM−NaOHを用い、流速1.2ml/分、恒温槽温度35℃で測定する。サプレッサーには、メンブランサプレッサーを用い、再生液には12.5mM−HSO水溶液を用いる。
本発明で使用するカーボネート共重合体は、式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位に加え、脂肪族ジヒドロキシ化合物または脂環式ジヒドロキシ化合部単位を含むことが好ましく。脂環式ジヒドロキシ化合部単位を含むことがさらに好ましい。カーボネート共重合体は、脂肪族ジヒドロキシ化合物または脂環式ジヒドロキシ化合物単位を更に含むことにより、従来のカーボネート共重合体より優れた耐衝撃性を有し、吸水性が低減し、有用な材料となる可能性がある。
(脂肪族ジヒドロキシ化合物)
脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、前記式(5)で表されるジヒドロキシ化合物のうち、Rが炭素数2〜20の置換若しくは無置換のアルキレン基である脂肪族ジヒドロキシ化合物が挙げられ、このような脂肪族ジヒドロキシ化合物として、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール、水素化ジオレイルグリコール等が挙げられる。
尚、前記例示化合物は、本発明に使用し得る脂肪族ジヒドロキシ化合物の一例であって、何らこれらに限定されるものではない。これらの脂肪族ジヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
(脂環式ジヒドロキシ化合物)
脂環式ジヒドロキシ化合物としては、特に限定されないが、通常、5員環構造または6員環構造を含む化合物が挙げられる。脂環式ジヒドロキシ化合物が5員環構造または6員環構造であることにより、得られるポリカーボネート樹脂の耐熱性が高くなる可能性がある。6員環構造は共有結合によって椅子形もしくは舟形に固定されていてもよい。脂環式ジヒドロキシ化合物に含まれる炭素数は通常70以下であり、好ましくは50以下、さらに好ましくは30以下である。炭素数が過度に大きいと、耐熱性が高くなるが、合成が困難になったり、精製が困難になったり、コストが高価になる傾向がある。炭素数が小さいほど、精製しやすく、入手しやすい傾向がある。
5員環構造または6員環構造を含む脂環式ジヒドロキシ化合物としては、具体的には、下記式(I)または(II)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物が挙げられる。
HOCH−R−CHOH ・・・・・(I)
HO−R−OH ・・・(II)
(但し、式(I)、式(II)中、R及びRは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数4〜20のシクロアルキル構造を含む二価の基を表す。)
式(I)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるシクロヘキサンジメタノール類としては、式(I)において、Rが下記式(Ia)で示される種々の異性体を包含する。
Figure 2014208800
(式(Ia)中、R7は水素原子、または、置換若しくは無置換の炭素数1〜12のア
ルキル基を表す。)
このような異性体の例としては、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
式(I)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるトリシクロデカンジメタノール類、ペンタシクロペンタデカンジメタノール類としては、式(I)において、Rが下記式(Ib)で表される種々の異性体を包含する。
Figure 2014208800
(式(Ib)中、mは0または1を表す。)
式(I)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるデカリンジメタノール類または、トリシクロテトラデカンジメタノール類としては、式(I)において、R5が下記式(Ic)で表される種々の異性体を包含する。
Figure 2014208800
(式(Ic)中、nは0、または1を表す。)
このような異性体の例としては、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノール等が挙げられる。
また、式(I)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるノルボルナンジメタノール類としては、式(I)において、Rが下記式(Id)で表される種々の異性体を包含する。
Figure 2014208800
このような異性体の例としては、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール等が挙げられる。
式(I)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるアダマンタンジメタノール類としては、式(I)において、Rが下記式(Ie)で表される種々の異性体を包含する。
Figure 2014208800
このような異性体の例としては、1,3−アダマンタンジメタノール等が挙げられる。
また、式(II)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるシクロヘキサンジオール類は、式(II)において、Rが下記式(IIa)で表される種々の異性体を包含する。
Figure 2014208800
(式(IIa)中、R8は水素原子、置換または無置換の炭素数1〜12のアルキル基を表す。)
このような異性体の例としては、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、2−メチル−1,4−シクロヘキサンジオール等が挙げられる。
式(II)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるトリシクロデカンジオール類、ペンタシクロペンタデカンジオール類としては、式(II)において、Rが下記式(IIb)で表される種々の異性体を包含する。
Figure 2014208800
(式(IIb)中、mは0または1を表す。)
式(II)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるデカリンジオール類または、トリシクロテトラデカンジオール類としては、式(II)において、Rが下記式(IIc)で表される種々の異性体を包含する。
Figure 2014208800
(式(IIc)中、nは0、または1を表す。)
このような異性体の例としては、2,6−デカリンジオール、1,5−デカリンジオール、2,3−デカリンジオール等が挙げられる。
式(II)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるノルボルナンジオール類としては、式(II)において、Rが下記式(IId)で表される種々の異性体を包含する。
Figure 2014208800
このような異性体の例としては、2,3−ノルボルナンジオール、2,5−ノルボルナンジオール等が挙げられる。
式(II)で表される脂環式ジヒドロキシ化合物であるアダマンタンジオール類としては、式(II)において、Rが下記式(IIe)で表される種々の異性体を包含する。
Figure 2014208800
このような異性体の例としては、1,3−アダマンタンジオール等が挙げられる。
上述した脂環式ジヒドロキシ化合物の具体例のうち、シクロヘキサンジメタノール類、トリシクロデカンジメタノール類、アダマンタンジオール類、ペンタシクロペンタデカンジメタノール類が好ましく、入手のしやすさ、取り扱いのしやすさという観点から、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールが特に好ましい。
尚、上記例示化合物は、本発明に使用し得る脂環式ジヒドロキシ化合物の一例であって、何らこれらに限定されるものではない。これらの脂環式ジヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明で使用するカーボネート共重合体において、式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位と脂環式ジヒドロキシ化合物単位とのモル比率は80:20〜30:70であるのが好ましく、70:30〜40:60であるのが更に好ましい。式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位の割合が上記範囲よりも多いと着色しやすくなり、逆に式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位の割合が低いと高分子量とすることが困難となり、耐衝撃性が向上しにくく、また、ガラス転移温度が低下する傾向がある。
本発明で使用するカーボネート共重合体においては、式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位及び脂環式ジヒドロキシ化合物単位に加えて、更にその他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位(以下「その他のジヒドロキシ化合物単位」と称することがある)を含んでいても良い。その他のジヒドロキシ化合物としては、脂肪族ジヒドロキシ化合物、芳香族系ジヒドロキシ化合物等が挙げられる。
脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−エチル1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、水素化ジリノレイルグリコール、水素化ジオレイルグリコール等が挙げられる。
芳香族系ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等の芳香族環上に置換基を有しないビスフェノール化合物;ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン等の芳香族環上に置換基としてアリール基を有するビスフェノール化合物;ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3
−エチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−(sec−ブチル)フェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)シクロヘキサン等の芳香族環上に置換基としてアルキル基を有するビスフェノール化合物;ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン等の芳香族環を連結する2価基が置換基としてアリール基を有するビスフェノール化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等の芳香族環をエーテル結合で連結したビスフェノール化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン等の芳香族環をスルホン結合で連結したビスフェノール化合物;4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等の芳香族環をスルフィド結合で連結したビスフェノール化合物等が挙げられるが、好ましくは2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、「ビスフェノールA」と略記することがある。)が挙げられる。
これらその他のヒドロキシ化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明において、式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位と脂環式ジヒドロキシ化合物単位とその他のジヒドロキシ化合物単位とのモル比率は、任意の割合で選択できるが、前記モル比率を調整することで、耐衝撃性が向上する可能性があり、更にポリカーボネート樹脂の所望のガラス転移温度を得ることが可能である。
本発明の樹脂組成物を構成するカーボネート共重合体の少なくとも一種において、該カーボネート共重合体を構成する二種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位のうち、モル使用量が最も少ないジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が20モル%以上であることが好ましく、30モル%以上であることがより好ましい。一方、モル使用量が最も多いジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が80モル%以下であることが好ましく、70モル%以下であることがより好ましい。モノマー比率が上記範囲を外れると、溶融混練に使用する複数の共重合体間の相溶性が低下し、透明性や耐衝撃性が低下することがあるほか、相溶性が悪くなる結果、該共重合体を構成する他のジヒドロキシ化合物単位に由来する物性が台頭して、得られるポリカーボネート樹脂組成物が所望しない物性となる可能性がある。
≪3≫カーボネート共重合体の製造方法
本発明で使用するカーボネート共重合体は、一般に用いられる重合方法で製造することができ、その重合方法は、ホスゲンを用いた界面重合法、炭酸ジエステルとエステル交換
反応させる溶融重合法のいずれの方法でもよいが、重合触媒の存在下に、ジヒドロキシ化合物を、より環境への毒性の低い炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法が好ましい。
本発明で使用するカーボネート共重合体は、上述したジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応させる溶融重合法により得ることがより好ましい。
<炭酸ジエステル>
用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、式(4)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
Figure 2014208800
(式(4)において、A及びAは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜18の脂肪族基、または、置換若しくは無置換の芳香族基である。)
式(4)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネート等が例示されるが、好ましくはジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネートであり、特に好ましくはジフェニルカーボネートである。なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオンなどの不純物を含む場合があり、重合反応を阻害したり、得られるカーボネート共重合体の色相を悪化させたりする場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
炭酸ジエステルは、溶融重合に使用した全ジヒドロキシ化合物に対して、0.96〜1.10のモル比率で用いるのが好ましく、特に好ましくは、0.98〜1.04のモル比率である。このモル比率が0.96より小さくなると、得られたカーボネート共重合体の末端ヒドロキシル基が増加して、ポリマーの熱安定性が悪化し、また、モル比率が1.10より大きくなると、同一条件下ではエステル交換反応の速度が低下し、所望とする分子量のカーボネート共重合体の製造が困難となるばかりか、製造されたポリカーボネート樹脂中の残存炭酸ジエステル量が増加し、この残存炭酸ジエステルが、成形時、或いは成形品の臭気の原因となり好ましくない。
<エステル交換反応触媒>
本発明で使用するカーボネート共重合体は、上述のように本発明のジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と式(4)で表される炭酸ジエステルをエステル交換反応させてポリカーボネート樹脂を製造する。より詳細には、エステル交換反応させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。この場合、通常、エステル交換反応触媒存在下でエステル交換反応により溶融重合を行う。
カーボネート共重合体の製造時に使用し得るエステル交換反応触媒(以下、「触媒」と称する場合がある)としては、得られたカーボネート共重合体の耐衝撃性が高く、脆性破壊率が低く、表面硬度が高く、ガラス転位温度と耐衝撃性のバランスが良好であれば、限定されないが、長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)における1族金属化合物、2族金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。好ましくは1族金属化合物及び/または2族金属化合物が使用される。
1族金属化合物及び/または2族金属化合物と共に、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、1族金属化合物及び/または2族金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
また、1族金属化合物及び/または2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、または炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
1族金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸カリウム、テトラフェニルホウ酸リチウム、テトラフェニルホウ酸セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸水素二リチウム、リン酸水素二セシウム、フェニルリン酸二ナトリウム、フェニルリン酸二カリウム、フェニルリン酸二リチウム、フェニルリン酸二セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの二ナトリウム塩、二カリウム塩、二リチウム塩、二セシウム塩等が挙げられる。中でもセシウム化合物、リチウム化合物が好ましい。
2族金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。中でもマグネシウム化合物、カルシウム化合物、バリウム化合物が好ましく、マグネシウム化合物及び/またはカルシウム化合物が更に好ましい。
塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ酸、テトラエチルホウ酸、テトラプロピルホウ酸、テトラブチルホウ酸、トリメチルエチルホウ酸、トリメチルベンジルホウ酸、トリメチルフェニルホウ酸、トリエチルメチルホウ酸、トリエチルベンジルホウ酸、トリエチルフェニルホウ酸、トリブチルベンジルホウ酸、トリブチルフェニルホウ酸、テトラフェニルホウ酸、ベンジルトリフェニルホウ酸、メチルトリフェニルホウ酸、ブチルトリフェニルホウ酸等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
ホスフィン及び塩基性ホスホニウム化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイ
ミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
上記触媒は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
上記触媒の使用量は、1族金属化合物及び/または2族金属化合物の場合、重合に使用した全ジヒドロキシ化合物1モルに対して、金属換算量として、通常、0.1〜100μモルの範囲内であり、好ましくは0.5〜50μモルの範囲内であり、更に好ましくは1〜25μモルの範囲内である。触媒の使用量が少なすぎると、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を製造するのに必要な重合活性が得られず、充分な破壊エネルギーが得られない可能性がある。一方、触媒の使用量が多すぎると、得られるポリカーボネート樹脂の色相が悪化するだけでなく、副生成物が発生したりして流動性の低下やゲルの発生が多くなり、脆性破壊の起因となる場合があり、目標とする品質のポリカーボネート樹脂の製造が困難になる可能性がある。
<溶融重合>
上記の通り、カーボネート共重合体は、本発明のジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応により溶融重合させることによって得られるが、原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルは、エステル交換反応前に均一に混合することが好ましい。
原料混合時の温度は、通常80℃以上、好ましくは90℃以上であり、その上限は通常250℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下である。中でも100℃以上120℃以下が好適である。混合の温度が低すぎると溶解速度が遅かったり、溶解度が不足したりする可能性があり、しばしば固化等の不具合を招き、混合の温度が高すぎるとジヒドロキシ化合物の熱劣化を招く場合があり、結果的に得られるポリカーボネート樹脂の色相が悪化し、耐光性に悪影響を及ぼす可能性がある。
炭酸ジエステルの融点が、ジヒドロキシ化合物のいずれかの融点より低い場合、炭酸ジエステルの溶融液に固体または液体のジヒドロキシ化合物を溶解させると、ジヒドロキシ化合物の熱劣化を抑制し、均一に溶解することができるため好ましい。
カーボネート共重合体は、触媒を用いて、複数の反応器を用いて多段階で溶融重合させて製造することが好ましいが、溶融重合を複数の反応器で実施する理由は、溶融重合反応初期においては、反応液中に含まれるジヒドロキシ化合物や炭酸ジエステルが多いために、必要な重合速度を維持しつつ、ジヒドロキシ化合物や炭酸ジエステルの揮散を抑制させることが重要であり、溶融重合反応後期においては、平衡を重合側にシフトさせるために、副生するモノヒドロキシ化合物を十分留去させることが重要になるためである。このように、異なった重合反応条件を設定するには、直列に配置された複数の反応器を用い、それぞれの反応器で反応条件を変化させることが、生産効率の観点から好ましい。
使用される反応器は、上述の通り、少なくとも2つ以上であればよいが、生産効率など
の観点からは、3つ以上、好ましくは3〜5つ、特に好ましくは、4つである。反応器が2つ以上であれば、その反応器中で、更に条件の異なる反応段階を複数持たせる、連続的に温度・圧力を変えていくなどしてもよい。
触媒は原料調製槽、原料貯槽に添加することもできるし、反応器に直接添加することもできるが、供給の安定性、溶融重合の制御の観点からは、反応器に供給される前の原料ラインの途中に触媒供給ラインを設置し、好ましくは水溶液で供給する。 エステル交換反応の温度は、低すぎると生産性の低下や製品への熱履歴の増大を招き、高すぎるとジヒドロキシ化合物や炭酸ジエステルの揮散を招くだけでなく、ポリカーボネート樹脂の分解や着色を助長する可能性がある。
式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物を少なくとも含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを触媒の存在下、エステル交換反応させる方法は、通常、2段階以上の多段工程で実施される。具体的には、第1段目のエステル交換反応温度(以下、「内温」と称する場合がある)は通常140〜220℃、好ましくは150〜200℃であり、滞留時間は通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間で実施される。第2段目以降は
エステル交換反応温度を上げていき、通常、210〜270℃の温度で行い、同時に発生するフェノールを反応系外へ除きながら、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げながら最終的には反応系の圧力が200Pa以下のもとで重縮合反応が行われる。エステル交換反応温度が過度に高いと、成形品としたときに色相が悪化し、脆性破壊しやすい可能性がある。エステル交換反応温度が過度に低いと、目標とする分子量が上がらず、また、分子量分布が広くなり、耐衝撃性が劣り、脆性破壊率も高くなる場合がある。また、エステル交換反応の滞留時間が過度に長いと、脆性破壊しやすくなる傾向がある。滞留時間が過度に短いと、目標とする分子量が上がらず、耐衝撃性が劣る場合がある。
特にカーボネート共重合体の着色や熱劣化あるいはヤケを抑制し、耐面衝撃強度が高く、脆性破壊しにくい良好なカーボネート共重合体を得るには、全反応段階における内温の最高温度が255℃未満、特に225〜250℃であることが好ましい。また、重合反応後半の重合速度の低下を抑止し、熱履歴によるカーボネート共重合体の熱劣化を最小限に抑えるために、反応の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
また、耐面衝撃強度の高いカーボネート共重合体を企図し、分子量の高いカーボネート共重合体を得るため、出来るだけ重合温度を高め、重合時間を長くする場合があるが、カーボネート共重合体中の異物やヤケが発生し、脆性破壊しやすくなる傾向にある。よって、耐面衝撃強度が高くすることと脆性破壊をしにくくすることの双方を満足させるためには、重合温度を低く抑え、重合時間短縮のために高活性の触媒の使用、適正な反応系の圧力の設定等が好ましい。更に、反応の中途あるいは反応の最終において、フィルター等により反応系で発生した異物やヤケ等を除去することも脆性破壊をしにくくするために好ましい。
本発明に使用するカーボネート共重合体を溶融重合法で製造する際に、着色を防止する目的で、リン酸化合物や亜リン酸化合物の1種または2種以上を重合時に添加することができる。
リン酸化合物としては、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト等のリン酸トリアルキルの1種または2種以上が好適に用いられる。これらは、全ヒドロキシ化合物成分に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下添加することが好ましく、更に好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下添加することが好ましい。リン化合物の添加量が下限より少ないと、着色防止効果が小さく、上限より多いと、透明性が低下する原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりする。
また、亜リン酸化合物としては、以下に示す熱安定剤を任意に選択して使用できる。特に、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトの1種または2種以上が好適に使用できる。これらの亜リン酸化合物は、全ヒドロキシ化合物成分に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下添加することが好ましく、更に好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下添加することが好ましい。亜リン酸化合物の添加量が下限より少ないと、着色防止効果が小さく、上限より多いと、透明性が低下する原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりすることもある。
リン酸化合物と亜リン酸化合物は併用して添加することができるが、その場合の添加量はリン酸化合物と亜リン酸化合物の総量で、先に記載した、全ヒドロキシ化合物成分に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下とすることが好ましく、更に好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下である。この添加量が上記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、上限より多いと、透明性が低下する原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりすることもある。
カーボネート共重合体は、上述の通り溶融重合後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。
ペレット化の方法は限定されるものではないが、最終重合反応器からカーボネート共重合体を溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法、最終重合反応器から溶融状態で一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、または、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸または二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法等が挙げられる。
その際、押出機中で、残存している炭酸ジエステルやモノヒドロキシ化合物の減圧脱揮や、通常知られている、熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、難燃剤等を添加、混練することも出来る。
押出機中での溶融混練温度は、カーボネート共重合体のガラス転移温度や分子量に依存するが、通常150〜300℃、好ましくは200〜270℃、更に好ましくは230〜260℃である。溶融混練温度が150℃より低いと、ポリカーボネート樹脂の溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、ポリカーボネートの熱劣化が激しくなり、異物やヤケの発生を招く。異物やヤケの除去のためのフィルターは該押出機中あるいは押出機出に設置することが好ましい。
フィルターの目開きは、通常400μm以下、好ましくは200μm以下、特に好ましくは100μm以下である。フィルターの目開きが過度に大きいと、異物やヤケの除去に漏れが生じる場合があり、カーボネート共重合体やその組成物を成形した場合、脆性破壊を起こす可能性がある。
更に、フィルターは複数個を直列に設置して使用してもよく、また、リーフディスク型ポリマーフィルターを複数枚積層した濾過装置を使用してもよい。
カーボネート共重合体やその組成物を冷却しチップ化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用するのが好ましい。空冷の際に使用する空気は、HEPAフィルター(JIS Z8112で規定されるフィルターが好ましい。)等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐのが望ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、更にフィルターにて水中の異物を取り除いた水を
使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは種々あるが、10〜0.45μmのフィルターのものが好ましい。
<カーボネート共重合体の物性>
本発明に用いるカーボネート共重合体の共重合組成は、溶融混合したポリカーボネート樹脂を冷却しチップ化したものを所定の重クロロホルム溶媒に溶解し、H−NMRで測定して求めることができる。
本発明に用いるカーボネート共重合体の溶融粘度は、耐衝撃性の観点から、300Pa・s以上が好ましく、500Pa・s以上がより好ましく、600Pa・s以上がさらに好ましい。一方、流動性を向上させ、成形時の外観を向上させる観点から、2000Pa・s以下が好ましく、1500Pa・s以下がより好ましく、1000Pa・s以下が好ましい。
カーボネート共重合体の溶融粘度の制御方法は、例えばカーボネート共重合体の固有粘度を制御することにより達成できる。その一例としては、カーボネート共重合体の溶融重縮合時において、所定の攪拌動力に到達した時に、反応器の圧力を減圧状態から大気圧に復圧し、溶融重縮合を停止する方法がある。この時、停止時の攪拌動力を高く設定すると、カーボネート共重合体の溶融粘度を高くすることができ、停止時の攪拌動力を低く設定すると、カーボネート共重合体の溶融粘度を低くすることができる。
本発明に用いるカーボネート共重合体のガラス転移温度は、その組成に依存するが、60℃以上が好ましく、75℃以上がより好ましい。ガラス転移温度がかかる下限値より高いと、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性が良好になり、十分な成形性が得られる傾向がある。一方、本発明に用いるカーボネート共重合体のガラス転移温度は、155℃以下が好ましく、145℃以下がより好ましい。ガラス転移温度がかかる上限値より低いと、重合時及び成形時に溶融粘度が高くなるため、重合時に十分に分子量が上げられなかったり、成形時に溶融混合が十分に行われなかったりして、耐衝撃特性が低下してしまう傾向がある。
本発明に用いるカーボネート樹脂組成物を2mm厚みに成形し、該成形品におけるJIS K7361−1に基づき測定した全光線透過率は、85%以上であることが好ましく、87%以上であることがより好ましく、89%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが特に好ましい。また、JIS K7105に基づき測定したヘーズは、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることが更に好ましく、1.5%以下であることが特に好ましい。カーボネート共重合体の全光線透過率及びヘーズがかかる範囲にあれば、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の透明性が向上するため好ましい。
本発明に用いるカーボネート共重合体を3mm厚みに成形し、該成形品におけるJIS
K7361−1に基づき測定した全光線透過率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、JIS K7105に基づき測定したヘーズは、10%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。カーボネート共重合体の全光線透過率及びヘーズがかかる範囲にあれば、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の透明性が向上するため好ましい。
≪4≫ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法
<カーボネート共重合体の溶融混合>
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、溶融重合法で得られた、共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合して製造することができる。
溶融混合の方法としては公知の各種方法を適用しうるが、組成の異なる複数のカーボネ
ート共重合体を押出機に供給し、溶融混練する方法が好適に使用できる。
本発明において、複数のカーボネート共重合体を溶融混合する際に、カーボネート共重合体の劣化による着色を防止するために、熱安定剤の1種または2種以上を配合することができる。
かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸、及びこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。
前記熱安定剤は、溶融重合時に添加した添加量に加えて更に追加で配合することができる。即ち、適当量の亜リン酸化合物やリン酸化合物を配合して、ポリカーボネート樹脂を得た後に、後に記載する配合方法で亜リン酸化合物を追加すると、重合時の透明性の低下、着色、及び耐熱性の低下を回避して、更に多くの熱安定剤を配合でき、色相の悪化の防止が可能となる。
これらの熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.0001〜1質量部が好ましく、0.0005〜0.5質量部がより好ましく、0.001〜0.2質量部が更に好ましい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤の1種または2種以上が配合されていてもよい。
かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステ
ル、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。
これら酸化防止剤の含有量は、ポリカーボネート100質量部に対して、0.0001〜0.5質量部が好ましい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、シート成形時の冷却ロールからのロール離れ、或いは射出成形時の金型からの離型性をより向上させるため等に、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤の1種または2種以上を配合してもよい。
かかる離型剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基及び/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
高級脂肪酸エステルとしては、炭素数1〜20の一価または多価アルコールと炭素数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。
高級脂肪酸としては、炭素数10〜30の飽和脂肪酸が好ましい。かかる脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられる。
かかる離型剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100質量部に対して、0.01〜5質量部が好ましい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、紫外線による変色は従来のポリカーボネート樹脂に比較して著しく小さいが、更に改良の目的で、本発明の目的を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、光安定剤の1種または2種以上を配合してもよい。
かかる紫外線吸収剤、光安定剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス3−ベンゾオキサジン−4−オン)等が挙げられる。
かかる紫外線吸収剤、光安定剤の含有量は、ポリカーボネート100質量・BR>狽ノ対
して、0.01〜2質量部が好ましい。
本発明で使用する樹脂組成物には着色剤を含んでも良い。着色剤としては無機顔料、有
機顔料及び有機染料等の有機染顔料が挙げられる。
無機顔料としては、バリウム黄(C.I.pigment Yellow 31)、黄鉛(C.I.pigment Yellow 34)亜鉛黄(C.I.pigment Yellow 36)、ニッケルチタンイエロー(C。I.pigment Yellow 53)、クロムチタンイエロー(C.I.Pigment Brown 24)等のクロム酸塩;紺青(C.I.pigment Blue 27)等のフェロシアン化物;カドミウムイエロー(C.I.pigment Yellow 42)、カドミウムレッド(C.I.pigment Red 108)等の硫化物;鉄黒(C.I.pigment Black 11)、べんがら(C.I.pigment Red 101)、二酸化チタン(C.I.pigment White 6)等の酸化物;群青(C.I.pigment Blue 29)等のケイ酸塩;またはチャンネルブラック、ローラーブラック、ディスク、ガスファーネスブラック、オイルファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラック(C.I.pigment Black
7)等を挙げることができる。
有機顔料及び有機染料等の有機染顔料としては、C.I.pigmentBlack 1(縮合アニリン系)、C.I.pigment Yellow 12(モノアゾ系)、C.I.pigment Yellow 23(アントラキノン系)、C.I.pigment Yellow 109(イソインドリノン系)、C.I.pigment Yellow 138(キノフタロン系)、C.I.pigment Orange 5(モノアゾ系)、C.I.Vat Orange 3(ペリノン系)、C.I.pigment Red 1(モノアゾ系)、C.I.pigment Red 37(ピラゾロンアゾ系)、C.I.pigment Red 87(チオインジゴ系)、C.I.pigment Red 224(ペリレン系)、C.I.pigment Violet 19(キナクリドン系)、C.I.pigment Violet 3(アゾメチン系)、C.I.pigment Violet 37(ジオキサジン系)、C.I.pigment Blue 15(フタロシアニン系)、C.I.pigment Green 1(アゾメチン系)等が挙げられる。
これら着色剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で使用する着色剤の量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.00001重量部以上3重量部以下である。好ましくは0.0001重量部以上2重量部以下、より好ましくは0.0005重量部以上1重量部以下である。着色剤の量が0.00001重量部未満では深みと清澄感のある色味が得られづらい。3重量部より多いと、成形品の表面粗さが大きくなり、深みと清澄感のある色味が得られづらい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記の添加剤を含有した樹脂組成物であってもよく、上記の添加剤の他、本発明の目的を損なわない範囲で、周知の種々の添加剤、例えば、耐衝撃性改良剤、難燃剤、難燃助剤、加水分解抑制剤、帯電防止剤、発泡剤、染顔料等を含有した樹脂組成物であってもよい。また、例えば、芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、ポリオレフィン、アクリル、アモルファスポリオレフィン等の合成樹脂、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等の生分解性樹脂等が混合された樹脂組成物であってもよい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物において、前述のカーボネート共重合体と前述のような各種の添加剤等との配合方法としては、例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合・混練する方法、或いは、例えば塩化メチレン等の共通の良溶媒に溶解させた状態で混合する溶液ブレンド方法等があるが、これは特に限定されるものではなく、通常用いられるブレンド方法であればどのような方法を用いてもよい。
また、前述のカーボネート共重合体と前述の各種の添加剤等との配合時期に制限はなく、組成の異なる複数のカーボネート共重合体を混合してペレット化した後に、各種添加剤等を配合しても良く、組成の異なる複数のカーボネート共重合体の各々に対して各種添加剤等を配合して組成物ペレットとして、それらを混合しても良く、組成の異なる複数のカーボネート共重合体を混合すると同時に各種添加剤等を同時に配合しても良い。
≪5≫ポリカーボネート樹脂組成物の成形
本発明のポリカーボネート樹脂組成物に用いるカーボネート共重合体は、組成の異なる複数のカーボネート共重合体を混合し、これに各種添加剤等を添加し、直接に、或いは溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法等の通常知られている方法で成形することができるが、本発明の樹脂組成物は特に射出成形に好適に用いることができる。
成形品の例としては、射出成形品を挙げることができる。具体的な成形方法としては、複数のカーボネート共重合体及び、必要に応じて添加剤等の原料を直接混合し、押出機或いは射出成型機に投入して成形するか、または、原料を、二軸押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作製した後、このペレットを押出機或いは射出成型機に投入して成形する方法を挙げることができる。いずれの方法においても、ポリカーボネート樹脂の加水分解による分子量の低下を考慮する必要があり、均一に混合させるためには後者を選択するのが好ましい。そこで、以下後者の製造方法について説明する。
カーボネート共重合体及び、必要に応じて添加剤を十分に乾燥して水分を除去した後、一軸または二軸の押出機を用いて溶融混合し、ストランド形状に押出してペレットを作製する。この際、各々のカーボネート共重合体の組成比率や配合割合によって粘度が変化すること等を考慮して、溶融押出温度を適宜選択することが好ましい。具体的には、成形温度は200℃以上260℃以下が好ましく、210℃以上250℃以下がより好ましく、220℃以上240℃以下がさらに好ましい。
上記方法にて作製したペレットは、十分に乾燥させて水分を除去した後、以下の方法でフィルム、プレート、または、射出成形品の成形を行うことができる。水分除去方法としては、乾燥物を密閉容器内に入れ真空ポンプにて減圧排気する減圧乾燥、ホッパードライヤーを使用した加熱乾燥、低露点の乾燥気体を使用してペレット搬送中に乾燥する方法等、公知の方法を適宜組み合わせることができる。
射出成形品の成形方法は、特に限定されるものではなく、例えば熱可塑性樹脂用の一般射出成形法、ガスアシスト成形法及び射出圧縮成形法等の射出成形法を採用することができる。その他目的に合わせて、上記の方法以外でインモールド成形法、ガスプレス成形法、2色成形法、サンドイッチ成形法等を採用することもできる。
本発明の成形品は、フローマーク、ウェルドライン等の成形外観不良が少なく、かつ剛性と耐衝撃性が良好であるため、本発明の成形品の用途は特に制限されるものではないが、例えば、建材、電気・電子機器部材、自動車内外装部材、携帯電話用カメラレンズ、光ディスク用ピックアップレンズ等の各種レンズ、等に使用できる。
(1)ガラス転移温度(Tg)の測定
示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製DSC6220)を用いて測定した。樹脂試料約10mgを同社製アルミパンに入れて密封し、50mL/分の窒素気流下、昇温速度20℃/分で室温から250℃まで昇温した。3分間温度を保持した後、30℃まで20℃/分の速度で冷却した。30℃で3分保持し、再び200℃まで20℃/
分の速度で昇温した。2回目の昇温で得られた測定データのDDSCのピークトップの値をTgとした。
(2)溶融粘度の測定
カーボネート共重合体のペレットを80℃で4時間乾燥させた後、温度240℃、せん断速度91.2sec−1において、(株)東洋精機製作所社製、キャピログラフ、形式名 CAPIROGRAPH 1Bを用いて、オリフィス長10mm、オリフィス穴径1mmの条件にて測定した。
(3)メルトフローレート(MFR)の測定
ポリカーボネート樹脂組成物を80℃で4時間乾燥させた後、JIS K7210に準拠し荷重2.16kg、温度230℃におけるMFRを測定した。
(4)面衝撃脆性破壊率の測定
ポリカーボネート樹脂組成物を80℃で4時間乾燥した。次いで、乾燥後のカーボネート共重合体または樹脂組成物を射出成形機(東芝機械株式会社製EC−75SX)により100mm×100mm×2mmtのシートとした。該シートをISO 6603−2に準拠し、高速パンクチャー衝撃試験機(島津製作所社製:ハイドロショットHITS−P10)により、試験温度23℃において衝撃エネルギーの測定及び破壊形態を観察した。尚、試験速度は4.4m/s、打ち抜きストライカーの径はΦ20mm、先端形状は半球状、ロードセル容量10kN、押え治具の穴径はΦ40mmのものを使用した。
試験回数を10回とし、1枚の成形品が複数片に破断した場合に脆性破壊を生じたものとし、脆性破壊を生じた回数を試験回数で除することにより面衝撃脆性破壊率(%)を求めた。この値が低いほど脆性破壊しにくいことを示し、0%は試験中1回も脆性破壊を生じなかったことを示す。
(5)シャルピー衝撃強度の測定
ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、熱風乾燥機を用いて、80℃で6時間乾燥した。次に、乾燥したポリカーボネート共重合体又は樹脂組成物のペレットを射出成形機(日本製鋼所社製J75EII型)に供給し、樹脂温度240℃、金型温度60℃、成形サイクル40秒間の条件で、機械物性用ISO試験片を成形した。上記で得られた機械物性用ISO試験片についてISO179(2000年)に準拠してノッチ付シャルピー衝撃試験を実施した。この値が高いほど耐衝撃性が高いことを示す。
(6)荷重撓み温度の測定
ポリカーボネート樹脂組成物を射出成形機(東芝機械株式会社製EC−75SX)により引張試験用ダンベル型試験片を成形した。該ダンベル型試験片を切削し、荷重たわみ温度測定用試験片とした。該荷重たわみ温度測定用試験片を用いて、ISO 75に準拠して荷重たわみ温度を測定した。試験は、フラットワイズにて行い、試験片のたわみが規定のたわみに達したときの温度を荷重たわみ温度とした。荷重は1.80MPaである。この値が高いほど耐熱性が高いことを示す。ただし、実用性の観点から、荷重撓み温度については、85℃以上であれば、合格である。
(7)射出成形品の外観評価
ポリカーボネート樹脂組成物を80℃で4時間乾燥した。次いで、乾燥後のポリカーボネート樹脂組成物を名機製作所(株)製200t射出成形機により射出成形した。使用した金型は肉厚2.0mm、幅100mm、長さ100mmのキャビティに、幅10mm、厚み1.3mmのサイドゲートを設けたものである。このゲートの樹脂成形品肉厚との肉厚差は、意匠面側は0.5mm、非意匠面側は0.2mmである。尚、シリンダー各部の
温度は220℃から250℃の範囲内、金型温度は70℃、充填時間は0.8秒、保持圧力は80MPa、保持時間は2.0秒、冷却時間は20秒とした。このようにして得た成形品の意匠面側の外観を観察し、外観不良(ゲート痕、フローマーク等)が存在したものは「×」、外観不良が存在せず美麗な外観を呈したものは「○」とした。
(8)全光線透過率及びヘーズ測定
前記(4)で得られた射出成形板を4等分(幅50mm×長さ50mm×厚さ2mm)に切断した後、ヘーズメーター(日本電色工業社製NDH2000)を使用し、D65光源にて前記試験片の全光線透過率及びヘーズを測定した。全光線透過率についてはJIS
K7361−1に準拠し、ヘーズについてはJIS K7105に準拠し測定した。なお、全光線透過率は89%以上を合格とし、ヘイズは3%以下を合格とした。
(9)樹脂組成物の分析方法
樹脂組成物が共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を混合したものであるかは、以下の通り分析した。
つまり、試料はクロロホルムにて樹脂濃度が0.1wt%となるように調整し、その溶液を0.45μmのPTFEフィルターで濾過したものを測定に供した。グラジエントポリマー溶出クロマトグラフィー(GPEC)測定条件を以下に示す。
装置 :Waters Alliance2690
移動相 :A 純水、B アセトニトリル(HPLC)、C THF(HPLC)
グラジエント:0min(A/B/C=50/50/0)→5min(A/B/C=0/100/0)→7min(A/B/C=0/100/0) → 12min(A/B/C=0/0/100)→13min(A/B/C=0/0/100)
流速 :1.0mL/分
注入 :0.1wt%×20μL
カラム :Tosoh TSKgel ODS−80TSQA(4.6mmΦ×150mm×5μm)
カラム温度 :40℃
検出器 :蒸発光散乱検出器(ELSD)<Eva 90℃、Neb 40℃、Gasflow 1.0>
なお、各ピークの化学種、溶出時の移動相組成等によるELSDの検出感度の違いに起因するピーク強度のばらつきの影響を無くし、試料間での比較をし易くするため、各クロマトグラム上の最大強度のピークトップで縦軸の規格化を行い、同一の表示スケールとなるように調整した。
以下の実施例の記載の中で用いた化合物の略号は次の通りである。
(ジヒドロキシ化合物)
・ISB:イソソルビド (ロケットフルーレ社製、商品名:POLYSORB)
・CHDM:1,4−シクロヘキサンジメタノール(新日本理化(株)製、商品名:SKY CHDM)
・TCDDM:トリシクロデカンジメタノール
(炭酸ジエステル)
・DPC:ジフェニルカーボネート(三菱化学(株)製)
(熱安定剤)
・AS2112:化合物名、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト((株)ADEKA製)
(酸化防止剤)
・IRGANOX1010:化合物名、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3
,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート](BASFジャパン(株)製)
(離形剤)
・E−275:化合物名、ジステアリン酸エチレングリコール(日油(株)製)
(製造例1)
撹拌翼及び100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、ISBとCHDM、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたDPC及び酢酸カルシウム1水和物を、モル比率でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.70/0.30/1.00/1.3×10−6になるように仕込み、十分に窒素置換して、酸素濃度0.0005〜0.001体積%に調節した。続いて熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始し、内温が100℃になるように制御しながら内容物を融解させ均一にした。その後、昇温を開始し、40分で内温を210℃にし、内温が210℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、210℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに60分間保持した。
重合反応とともに副生するフェノール蒸気は、還流冷却器への入口温度として100℃に制御された蒸気を冷媒として用いた還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるジヒドロキシ化合物や炭酸ジエステルを重合反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。このようにしてオリゴマー化させた内容物を、一旦大気圧にまで復圧させた後、撹拌翼及び上記同様に制御された還流冷却器を具備した別の重合反応装置に移し、昇温及び減圧を開始して、60分で内温220℃、圧力200Paにした。
その後、20分かけて内温230℃、圧力133Pa以下にして、所定撹拌動力になった時点で大気圧に復圧し、内容物をストランドの形態で抜出し、回転式カッターでカーボネート共重合体のペレットにした。
(製造例2)
製造例1において、仕込み組成をISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.50/0.50/1.00/1.3×10−6になるように変更した以外は、製造例1と同様にカーボネート共重合体のペレットにした。
(製造例3)
製造例2において、大気圧に復圧する際の所定撹拌動力を製造例2における所定攪拌動力の31%の値に変更して、240℃における溶融粘度を低下させた以外は、製造例2と同様にカーボネート共重合体のペレットにした。
(製造例4)
製造例2において、大気圧に復圧する際の所定撹拌動力を製造例2における所定攪拌動力の27%の値に変更して、240℃における溶融粘度を低下させた以外は、製造例2と同様にカーボネート共重合体のペレットにした。
(製造例5)
製造例1において、仕込み組成をISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.60/0.40/1.00/1.3×10−6になるように変更した以外は、製造例1と同様にカーボネート共重合体のペレットにした。
(製造例6)
製造例1において、仕込み組成をISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.65/0.35/1.00/1.3×10−6になるように変更した以外は、製造例1と同様にカーボネート共重合体のペレットにした。
(製造例7)
製造例1において、仕込み組成をISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.85/0.15/1.00/1.3×10−6になるように変更した以外は、製造例1と同様にカーボネート共重合体のペレットにした。
(製造例8)
製造例1において、仕込み組成をISB/TCDDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.70/0.30/1.00/1.3×10−6になるように変更した以外は、製造例1と同様にカーボネート共重合体のペレットにした。
(製造例9)
製造例1において、仕込み組成をISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.27/0.73/1.00/1.3×10−6になるように変更した以外は、製造例1と同様にカーボネート共重合体のペレットにした。
(製造例10)
製造例1において、仕込み組成をISB/TCDDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.90/0.10/1.00/1.3×10−6になるように変更した以外は、製造例1と同様にカーボネート共重合体のペレットにした。
(製造例11)
製造例1において、仕込み組成をISB/DPC/酢酸カルシウム1水和物=1.00/1.00/1.3×10−6になるように変更した以外は、製造例1と同様にカーボネート共重合体のペレットにした。
製造例1〜10で得られたカーボネート共重合体について、該ポリカーボネート樹脂の共重合組成、溶融粘度、ガラス転移温度(Tg)の値を表1に示す。
Figure 2014208800
(実施例1)
製造例1および製造例3において製造したカーボネート共重合体のペレットを用いて表2に示すポリカーボネート樹脂組成物配合で各成分を配合し、40mmΦの単軸押出機を用いて、シリンダー温度250℃で押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化することにより黒色に着色したポリカーボネート樹脂組成物を製造した。得られたポリカーボネート樹脂組成物について、前記の方法によりMFR、面衝撃脆性破壊率、荷重撓み温度、外観を測定・評価した。その結果を表2に示す。
(実施例2)
製造例1および製造例4において製造したカーボネート共重合体のペレットを用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
(実施例3)
製造例1および製造例2において製造したカーボネート共重合体のペレットを用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
(実施例4)
製造例1および製造例2において製造したカーボネート共重合体のペレットを用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
(実施例5)
実施例1と同様に行った。ただし、表2に示す通り着色剤は添加しなかった。結果を表2に示す。
(実施例6)
製造例1および製造例2において製造したカーボネート共重合体のペレットを用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
(実施例7)
製造例2および製造例8において製造したカーボネート共重合体のペレットを用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
(比較例1)
製造例1および製造例2において製造したカーボネート共重合体のペレットを用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
(比較例2)
製造例1および製造例8において製造したカーボネート共重合体のペレットを用いた以外は実施例1と同様に行った。ただし、表2に示す通り着色剤は添加しなかった。結果を表2に示す。
(比較例3)
製造例7および製造例9において製造したカーボネート共重合体のペレットを用いた以外は実施例1と同様に行った。ただし、表2に示す通り着色剤は添加しなかった。結果を表2に示す。
(比較例4)
製造例9および製造例10において製造したカーボネート共重合体のペレットを用いた以外は実施例1と同様に行った。ただし、表2に示す通り着色剤は添加しなかった。結果を表2に示す。
Figure 2014208800
実施例1、2および比較例2において、式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位として、イソソルビド単位を使用した。また、イソソルビド単位の共重合比率が最も多いカーボネート共重合体として、いずれも製造例1のカーボネート共重合体を使用した。
表2に示すように、イソソルビド単位の共重合比率が最も低いカーボネート共重合体の
溶融粘度が、製造例1のカーボネート共重合体の溶融粘度以下である実施例1および実施例2では外観不良は見られなかった。
また、実施例1と2とを比較すると、イソソルビド単位の共重合比率が最も低いカーボネート共重合体の共重合比率およびカーボネート樹脂組成物の配合は同じである。しかし、溶融粘度の高い製造例3のカーボネート共重合体を使用した実施例1の方が、溶融粘度の低い製造例4のカーボネート共重合体を使用した実施例2より、耐衝撃性が良好であり、荷重たわみ温度で示される耐熱性はほとんど低下しなかった。
一方、ISB単位の共重合比率が最も多いカーボネート共重合体の溶融粘度が、製造例1のカーボネート共重合体の溶融粘度より高い比較例1では、外観不良が見られた。
実施例1、2および比較例2において、式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位として、イソソルビド単位を使用した。また、イソソルビド単位の共重合比率が最も多いカーボネート共重合体として、いずれも製造例1のカーボネート共重合体を使用した。
表2に示すように、イソソルビド単位の共重合比率が最も少ないカーボネート共重合体の溶融粘度が、製造例1のカーボネート共重合体の溶融粘度以下である実施例1および実施例2では外観不良は見られなかった。
また、実施例1と2とを比較すると、イソソルビド単位の共重合比率が最も少ないカーボネート共重合体の共重合比率およびカーボネート樹脂組成物の配合は同じである。しかし、溶融粘度の高い製造例3のカーボネート共重合体を使用した実施例1の方が、溶融粘度の低い製造例4のカーボネート共重合体を使用した実施例2より、耐衝撃性が良好であり、荷重たわみ温度で示される耐熱性はほとんど低下しなかった。
一方、ISB単位の共重合比率が最も多いカーボネート共重合体の溶融粘度が、製造例1のカーボネート共重合体の溶融粘度より高い比較例1では、外観不良が見られた。
実施例4、5、6、7および比較例2、3、4には無機顔料系混合着色剤である染顔料が含有されておらず、非着色である。実施例4と比較例2はいずれも、ISB/CHDMの組成が65/35であるが、実施例4は共重合比率の異なる樹脂同士の溶融混合の過程を経ており、比較例2は共重合比率の異なる樹脂同士の溶融混合の過程を経ていない。実施例4と比較例2を比較すると、実施例4では面衝撃脆性破壊率が0%と良好なのに対し、比較例2では40%であり、実施例4に比べて劣る結果であった。
実施例5、6、7および比較例3、4からは、溶融混合される複数のカーボネート共重合体のTgの差(以下単にTgの差と記載する)が、成形品の強度や外観・透明性に及ぼす影響を考察する。実施例5、6、7において、各実施例のTgの差は23℃、6℃、29℃であり、得られた各成形体の全光線透過率は89%以上、ヘイズは3%以下のため透明樹脂として好適な性質を示した。
比較例3,4において、各比較例のTgの差は70℃、57℃であるが、比較例3は成形体のヘイズが3%を超えており(3.3%)、また比較例4では成形体の全光線透過率が89%未満であり(73.7%)、さらにヘイズが3%を超えている(25.3%)ため透明樹脂として求められる特性を有していない。また、仮に着色をした場合であっても、良好な(深みがあり、鮮鋭性が高い)発色を得られない虞がある。
(分析例1)
上述の記載する分析手法に基づき、製造例9(ISB/CHDM=27/73)について分析した。分析結果を図1に示す。
(分析例2)
製造例11(ISB/CHDM=100/0)について、分析例1と同様に分析した。分析結果を図2に示す。
分析例1と分析例2の比較から、ISBの組成比率が高いポリマー程、早い時間に溶出ピークが観察され、ISBの組成比率が低いポリマー程、遅い時間に溶出ピークが観察される事がわかる。
(分析例3)
製造例1(ISB/CHDM=70/30)について、分析例1と同様に分析した。分析結果を図3に示す。
2つの溶出ピークが観察されたが、分析例1と2の比較から得られた知見より、製造例1(ISB/CHDM=70/30)の溶出ピークは溶出時間=7.1分に観察されたピークである事がわかる。
(分析例4)
製造例3(ISB/CHDM=50/50)について、分析例1と同様に分析した。分析結果を図4に示す。
製造例3(ISB/CHDM=50/50)の溶出ピークは溶出時間=10.3分に観察された。
(分析例4)
製造例5(ISB/CHDM=60/40)について、分析例1と同様に分析した。分析結果を図4に示す。
2つの溶出ピークが観察されたが、分析例1と2の比較から得られた知見より、製造例5(ISB/CHDM=60/40)の溶出ピークは溶出時間=7.6分に観察されたピークである事がわかる。
(分析例5)
実施例1《製造例1(ISB/CHDM=70/30)と製造例3(ISB/CHDM=50/50)の溶融混合》について、分析例1と同様に分析した。分析結果を図5に示す。
実施例1の溶出ピークは2つあり、7.1分と10.3分であった。これはそれぞれ、製造例1(ISB/CHDM=70/30)の溶出ピーク(7.1分)と製造例3(ISB/CHDM=50/50)の溶出ピーク(10.3分)と一致した。
すなわち、本手法により、実施例1(共重合比率の異なる樹脂同士の溶融混合の過程を経て得られたISB/CHDM=60/40の樹脂組成物)と比較例1(共重合比率の異なる樹脂同士の溶融混合の過程を経ていないISB/CHDM=60/40の樹脂組成物)を判別可能であることが示された。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、共重合比率が異なる複数の共重合体を任意の割合で混合することで、ポリカーボネート樹脂組成物では通常相反する傾向である耐熱性と耐衝撃性を一定の範囲において任意で調整することができ、しかも高い流動性を有することから、射出成形時にフローマーク、タイガーマーク等の成形外観不良が少ない成形品が得られる。本発明の成形品は、電気・電子部品、自動車用部品などの射出成形分野などの幅広い応用が可能である。

Claims (11)

  1. 共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合して得られたポリカーボネート樹脂組成物であって、
    複数のカーボネート共重合体はいずれも二種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位から構成され、かつ少なくとも式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有し、
    カーボネート共重合体の式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が最も低いカーボネート共重合体のガラス転移温度と、式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が最も高いカーボネート共重合体のガラス転移温度との差が50℃以下
    であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2014208800
    (ただし、式(1)で表される部位が−CH−O−Hを構成する部位である場合を除く。)
  2. 共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合して得られたポリカーボネート樹脂組成物であって、
    複数のカーボネート共重合体はいずれも二種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位から構成され、かつ少なくとも式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有し、
    式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が最も低いカーボネート共重合体の溶融粘度が、式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が最も高いカーボネート共重合体の溶融粘度以下である
    ことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2014208800
    (ただし、式(1)で表される部位が−CH−O−Hを構成する部位である場合を除く。)
  3. 共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合して得られたポリカーボネート樹脂組成物であって、
    複数のカーボネート共重合体はいずれも二種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位から構成され、かつ少なくとも式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有し、
    式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位の共重合比率が最も高いカーボネート共重合体の溶融粘度と、式(1)の部位を有するジヒドロキシ化合物単位の共重合比率が最も低いカーボネート共重合体の溶融粘度の差が700Pa・s以下である
    ことを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
    Figure 2014208800
    (ただし、式(1)で表される部位が−CH−O−Hを構成する部位である場合を除く
    。)
  4. カーボネート共重合体の式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が最も低いカーボネート共重合体のガラス転移温度と、式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が最も高いカーボネート共重合体のガラス転移温度との差が5℃以上、50℃以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位がポリカーボネート樹脂組成物の30モル%以上含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物が、環状エーテル構造を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物が、式(2)で表されるジヒドロキシ化合物であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
    Figure 2014208800
  8. 複数のカーボネート共重合体のうち少なくとも一つが、さらに脂肪族ジヒドロキシ化合物または脂環式ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 複数のカーボネート共重合体を溶融混合してポリカーボネート樹脂組成物を得るとき、配合量が最も少ないカーボネート共重合体の配合量が、複数のカーボネート共重合体の合計量の10質量%以上であり、配合量が最も多いカーボネート共重合体の配合量が、複数のカーボネート共重合体の合計量の90質量%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  10. カーボネート共重合体の少なくとも一種において、該カーボネート共重合体を構成する二種以上のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位のうち、モル使用量が最も少ないジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が20モル%以上であり、モル使用量が最も多いジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の共重合比率が80モル%以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  11. ポリカーボネート樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)が単一であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
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