JP2017043689A - 自動車用内外装部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた耐候性を有する自動車内外装品を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂組成物中、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対し、下記(A)成分が93〜97重量部、(B)成分:ブタジエン−アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル系ゴムが3〜7重量部、ジブチルヒドロキシトルエンが0.005〜0.015重量部、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤が0.08〜0.12重量部、ヒンダードアミン系耐光安定剤が0.04〜0.06重量部である自動車用内外装部材。
(A)成分:所定のジヒドロキシ化合物に由来する構成単位、及びシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を有し、共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合した、ポリカーボネート樹脂混合物であり、ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位とシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位の含有比率が、56〜60/40〜44(モル比)である上記ポリカーボネート樹脂混合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂、ブタジエン−アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル系ゴム、ジブチルヒドロキシトルエン、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤、及びヒンダードアミン系耐光安定剤を含む熱可塑性樹脂組成物からなる自動車用内外装部材に関する。
従来、芳香族ポリカーボネート樹脂は、優れた耐熱性、耐衝撃性、透明性を有するエンジニアリングプラスチックとして、自動車、OA機器分野などの種々の用途に幅広く使用されている。一方、芳香族ポリカーボネート樹脂は一般的に石油資源から誘導される原料を用いて製造されているが、石油資源の枯渇が危惧されている近年の情勢を考えると、植物などのバイオマス資源から得られる原料を用いたプラスチック成形品の提供が求められている。また、二酸化炭素排出量の増加、蓄積による地球温暖化が、気候変動などをもたらすことが危惧されていることからも、使用後の廃棄処分をしてもカーボンニュートラルな、植物由来モノマーを原料としたプラスチックからのプラスチック成形品の開発が求められており、特に大型成形品の分野においてはその要求は強い。
これに対し、植物由来モノマーを原料とした種々のポリカーボネート樹脂が開発されている。
例えば、植物由来モノマーとしてイソソルビドを使用し、炭酸ジフェニルとのエステル交換により、ポリカーボネート樹脂を得ることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、イソソルビドと他のジヒドロキシ化合物との共重合ポリカーボネートとして、イソソルビトとビスフェノールAを共重合したポリカーボネート樹脂が提案されており(例えば、特許文献2参照)、更に、イソソルビドと脂肪族ジオールとを共重合することにより、イソソルビドからなるホモポリカーボネート樹脂の剛直性を改善する試みがなされている(例えば、特許文献3参照)。
さらにまた、イソソルビドとジヒドロキシ化合物を共重合したポリカーボネート樹脂のうち、2種以上の組成比の異なるポリカーボネート樹脂を混合することで、高い流動性及び耐熱性を有し、射出成形時にフローマーク、タイガーマーク等の成形外観不良が少なく、かつ耐衝撃性が良好な成形品を得られることが知られている(特許文献4参照)。
また、イソソルビドを使用したポリカーボネート樹脂に、(メタ)アクリル酸アルキルやブタジエンであるエラストマーをコア層として含有したポリカーボネート樹脂組成物が透明性、耐候性、耐衝撃性に優れることが記載されている(特許文献5及び6参照)。
英国特許第1079686号明細書 特開昭56−55425号公報 国際公開第04/111106号パンフレット 特開2014−208800号公報 国際公開第2012/132492号パンフレット 国際公開第2012/132493号パンフレット
しかしながら、自動車内外装品については、耐熱性や衝撃強度の改良が必要となっていた。したがって、特許文献4〜6に記載された成形品についても、自動車内外装品として使用する際には耐熱性の改良が要求されていた。
すなわち、本発明の目的は上記従来の課題を解決し、優れた耐候性を有する自動車内外装品を提供することにある。
本発明者らが検討を行った結果、特定の部位を有するジヒドロキシ化合物由来の構造単位を含有するポリカーボネート共重合体を共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体と溶融混合し、ポリカーボネート樹脂、ブタジエン−アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル系ゴム、ジブチルヒドロキシトルエン、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤、ヒンダードアミン系耐光安定剤を含む熱可塑性樹脂組成物が、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1]下記の(A)〜(E)成分を含む熱可塑性樹脂組成物からなり、上記熱可塑性樹脂組成物中、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対し、(A)成分が93〜97重量部、(B)成分が3〜7重量部、(C)成分が0.005〜0.015重量部、(D)成分が0.08〜0.12重量部、(E)成分が0.04〜0.06重量部である自動車用内外装部材。 (A)成分:下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位、及びシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を有し、共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合した、ポリカーボネート樹脂混合物であり、
下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位とシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位の含有比率が、56〜60/40〜44(モル比)である上記ポリカーボネート樹脂混合物。
(B)ブタジエン−アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル系ゴム。
(C)ジブチルヒドロキシトルエン。
(D)ベンゾトリアゾール系耐光安定剤。
(E)ヒンダードアミン系耐光安定剤。
Figure 2017043689
[2]上記ヒンダードアミン系耐光安定剤が、ピペリジン構造を有する[1]に記載の自動車用内外装部材。[3]上記ヒンダードアミン系耐光安定剤は、複数のピペリジン構造を有する、[2]に記載の自動車用内外装部材。
[4]上記ヒンダードアミン系耐光安定剤の有する複数のピペリジン構造がエステル結合により連結されている[3]に記載の自動車用内外装部材。
[5]射出成型により得られたものである[1]〜[4]いずれか1項に記載の自動車用内外装部材。
本発明によれば、特定の熱可塑性樹脂組成物を用いるので、優れた耐候性を有する自動車内外装品を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、本発明において、「重量%」と「質量%」、「重量ppm」と「質量ppm」、及び「重量部」と「質量部」は、それぞれ同義である。
この発明は、特定の成分を所定量含有する熱可塑性樹脂組成物からなる自動車用内外装部材に係る発明である。
〔熱可塑性樹脂組成物〕 上記熱可塑性樹脂組成物は、特定のポリカーボネート樹脂混合物((A)成分)、ブタジエン−アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル系ゴム(以下、「ブタジエン系ゴム」と称する場合がある。)((B)成分)、ジブチルヒドロキシトルエン((C)成分)、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤((D)成分)、及びヒンダードアミン系耐光安定剤((E)成分)を所定量ずつ含有する組成物である。
[(A)成分(ポリカーボネート樹脂混合物)]
(A)成分であるポリカーボネート樹脂混合物は、複数のポリカーボネート樹脂の混合物である。
このポリカーボネート樹脂は、ジヒドロキシ化合物として、下記の一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物及びシクロヘキサンジメタノールを少なくとも用いて重合することで得られるカーボネート共重合体であり、下記の一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位(以下、「構造単位(1)」と称する場合がある。)、及びシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を少なくとも有するカーボネート共重合体である。
そして、(A)成分は、上記ポリオール成分の共重合比率、具体的には、構造単位(1)と、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位との共重合比率の異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合した混合物である。
Figure 2017043689
<式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物>
上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられる。
これら式(1)で表されるジヒドロキシ化合物は、1種を単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
これらの式(1)で表されるジヒドロキシ化合物のうち、資源として豊富に存在し、容易に入手可能であり、種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、光学特性、成形性の面から最も好ましい。
<シクロヘキサンジメタノール>
上記シクロヘキサンジメタノールとしては、具体的には、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
<炭酸ジエステル>
上記のポリカーボネート樹脂は、一般に用いられる重合方法で製造することができ、その重合方法は、ホスゲンを用いた界面重合法、炭酸ジエステルとエステル交換反応させる溶融重合法のいずれの方法でもよいが、重合触媒の存在下に、ジヒドロキシ化合物を、より環境への毒性の低い炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法が好ましい。
この場合、上記ポリカーボネート樹脂は、上記の一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物及びシクロヘキサンジメタノールを少なくとも含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応させる溶融重合法により得ることができる。
用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記式(2)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
Figure 2017043689
上記式(2)において、A及びAは、それぞれ独立に、置換若しくは無置換の炭素数1〜18の脂肪族基、又は、置換若しくは無置換の芳香族基である。
上記式(2)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネート等が例示されるが、好ましくはジフェニルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートであり、特に好ましくはジフェニルカーボネートである。なお、炭酸ジエステルは、塩化物イオンなどの不純物を含む場合があり、これらの不純物は重合反応を阻害したり、得られるポリカーボネート樹脂の色相を悪化させたりする場合があるため、必要に応じて、蒸留などにより精製したものを使用することが好ましい。
炭酸ジエステルは、溶融重合に使用した全ジヒドロキシ化合物に対して、0.90〜1.20のモル比率で用いることが好ましく、0.95〜1.10のモル比率で用いることがより好ましく、0.96〜1.10のモル比率で用いることがさらにより好ましく、特に好ましくは、0.98〜1.04のモル比率で用いることがよい。
このモル比率が0.90より小さくなると、製造されたポリカーボネート樹脂の末端ヒドロキシル基が増加して、ポリマーの熱安定性が悪化し、熱可塑性樹脂組成物を成形する際に着色を招いたり、エステル交換反応の速度が低下したり、所望の高分子量体が得られない可能性がある。
また、このモル比率が1.20より大きくなると、同一条件下ではエステル交換反応の速度が低下し、所望とする分子量のポリカーボネート樹脂の製造が困難となるばかりか、製造されたポリカーボネート樹脂中の残存炭酸ジエステル量が増加し、この残存炭酸ジエステルが、成形時、或いは成形品の臭気の原因となり好ましくない場合があり、重合反応時の熱履歴を増大させ、結果的に得られたポリカーボネート樹脂の色相や耐候性を悪化させる可能性がある。
更には、全ジヒドロキシ化合物に対する、炭酸ジエステルのモル比率が増大すると、得られるポリカーボネート樹脂中の残存炭酸ジエステル量が増加し、これらが紫外線を吸収してポリカーボネート樹脂の耐光性を悪化させる場合があり、好ましくない。本発明のポリカーボネート樹脂に残存する炭酸ジエステルの濃度は、好ましくは200重量ppm以下、更に好ましくは100重量ppm以下、特に好ましくは60重量ppm以下、中でも30重量ppm以下が好適である。ただし、現実的にポリカーボネート樹脂は未反応の炭酸ジエステルを含むことがあり、ポリカーボネート樹脂中の未反応の炭酸ジエステル濃度の下限値は通常1重量ppmである。
<エステル交換反応触媒>
本発明のポリカーボネート樹脂は、上述のようにジヒドロキシ化合物(1)を含むジヒドロキシ化合物と上記式(2)で表される炭酸ジエステルをエステル交換反応させて製造することができる。より詳細には、エステル交換反応させ、副生するモノヒドロキシ化合物等を系外に除去することによって得られる。この場合、通常、エステル交換反応触媒の存在下でエステル交換反応により溶融重合を行う。
本発明のポリカーボネート樹脂の製造時に使用し得るエステル交換反応触媒(以下、「触媒」と称する場合がある)としては、例えば長周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)における1族又は2族(以下、単に「1族」、「2族」と表記する。)の金属化合物、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物が挙げられる。これらの中でも、好ましくは1族金属化合物及び/又は2族金属化合物が使用される。
1族金属化合物及び/又は2族金属化合物と共に、補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能であるが、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物のみを使用することが特に好ましい。
また、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の形態としては通常、水酸化物、又は炭酸塩、カルボン酸塩、フェノール塩といった塩の形態で用いられるが、入手のし易さ、取扱いの容易さから、水酸化物、炭酸塩、酢酸塩が好ましく、色相と重合活性の観点からは酢酸塩が好ましい。
1族金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸セシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸セシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素セシウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素カリウム、フェニル化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ素セシウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸セシウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、リン酸水素2セシウム、フェニルリン酸2ナトリウム、フェニルリン酸2カリウム、フェニルリン酸2リチウム、フェニルリン酸2セシウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、セシウムのアルコレート、フェノレート、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2リチウム塩、2セシウム塩等が挙げられ、中でもセシウム化合物、リチウム化合物が好ましい。
2族金属化合物としては、例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられ、中でもマグネシウム化合物、カルシウム化合物、バリウム化合物が好ましく、マグネシウム化合物及び/又はカルシウム化合物が更に好ましい。
塩基性ホウ素化合物としては、例えば、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
塩基性リン化合物としては、例えば、トリエチルホスフィン、トリ−n−プロピルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリ−n−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、あるいは四級ホスホニウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等が挙げられる。
上記の中でも、第2族金属化合物及びリチウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物を触媒として用いるのが、得られるポリカーボネート樹脂の透明性、色相、耐光性等の種々の物性を優れたものとするために好ましい。
また、上記ポリカーボネート樹脂の透明性、色相、耐光性を特に優れたものとするために、触媒が、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、バリウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが好ましく、マグネシウム化合物及びカルシウム化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物であるのが好ましい。
上記触媒の使用量は、1族金属化合物及び/又は2族金属化合物の場合、反応に供する全ジヒドロキシ化合物1モルに対して、金属換算量として、好ましくは0.1〜300μモル、より好ましくは0.1〜100μモル、さらに好ましくは0.5〜50μモル、更により好ましくは1〜25μモルの範囲内である。
上記の中でも2族金属からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む化合物を用いる場合、金属換算量として、反応に供する全ジヒドロキシ化合物1モル当たり、好ましくは0.1μモル以上、更に好ましくは0.5μモル以上、特に好ましくは0.7μモル以上とする。また上限としては、好ましくは20μモル、更に好ましくは10μモル、特に好ましくは3μモル、最も好ましくは2.0μモルである。
触媒の使用量が少なすぎると、所望の分子量のポリカーボネート樹脂を製造するのに必要な重合活性が得られず、充分な破壊エネルギーが得られない可能性がある。一方、触媒の使用量が多すぎると、得られるポリカーボネート樹脂の色相が悪化するだけでなく、副生成物が発生したりして流動性の低下やゲルの発生が多くなり、脆性破壊の起因となる場合があり、目標とする品質のポリカーボネート樹脂の製造が困難になる可能性がある。
<ポリカーボネート樹脂の製造方法>
上記ポリカーボネート樹脂は、上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物及びシクロヘキサンジメタノールとを含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとをエステル交換反応により溶融重合させることによって得られるが、原料であるジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルは、エステル交換反応前に均一に混合することが好ましい。
混合の温度は通常80℃以上、好ましくは90℃以上であり、その上限は通常250℃以下、好ましくは200℃以下、更に好ましくは150℃以下である。中でも100℃以上120℃以下が好適である。混合の温度が低すぎると溶解速度が遅かったり、溶解度が不足する可能性があり、しばしば固化等の不具合を招き、混合の温度が高すぎるとジヒドロキシ化合物の熱劣化を招く場合があり、結果的に得られるポリカーボネート樹脂の色相が悪化し、耐光性に悪影響を及ぼす可能性がある。
また、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを混合する操作は、酸素濃度10体積%以下、更には0.0001体積%〜10体積%、中でも0.0001体積%〜5体積%、特には0.0001体積%〜1体積%の雰囲気下で行うことが、得られるポリカーボネート樹脂の色相悪化防止の観点から好ましい。
上記ポリカーボネート樹脂は、触媒を用いて、複数の反応器を用いて多段階で溶融重合させて製造することが好ましい。溶融重合を複数の反応器で実施する理由は、溶融重合反応初期においては、反応液中に含まれるモノマーが多いために、必要な重合速度を維持しつつ、モノマーの揮散を抑制してやることが重要であり、溶融重合反応後期においては、平衡を重合側にシフトさせるために、副生するモノヒドロキシ化合物を十分留去させることが重要になるためである。このように、異なった重合反応条件を設定するには、直列に配置された複数の反応器を用いることが、生産効率の観点から好ましい。上記反応器は、上述の通り、少なくとも2つ以上であればよいが、生産効率などの観点からは、3つ以上、好ましくは3〜5つ、特に好ましくは、4つである。
反応の形式は、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよい。
更には、留出するモノマーの量を抑制するために、重合反応器に還流冷却器を用いることは有効であり、特に未反応モノマー成分が多い重合初期の反応器でその効果は大きい。還流冷却器に導入される冷媒の温度は使用するモノマーに応じて適宜選択することができるが、通常、還流冷却器に導入される冷媒の温度は該還流冷却器の入口において45〜180℃であり、好ましくは80〜150℃、特に好ましくは100〜130℃である。還流冷却器に導入される冷媒の温度が高すぎると還流量が減り、その効果が低下し、低すぎると、本来留去すべきモノヒドロキシ化合物の留去効率が低下する傾向にある。冷媒としては、温水、蒸気、熱媒オイル等が用いられ、蒸気、熱媒オイルが好ましい。
重合速度を適切に維持し、モノマーの留出を抑制しながら、最終的に得られるポリカーボネート樹脂の色相や熱安定性、耐光性等を損なわないようにするためには、前述の触媒の種類と量の選定が重要である。
上記ポリカーボネート樹脂の製造にあたっては、上記反応器が2つ以上であれば、その反応器中で、更に条件の異なる反応段階を複数持たせる、連続的に温度・圧力を変えていく、などしてもよい。
上記ポリカーボネート樹脂の製造において、触媒は原料調製槽、原料貯槽に添加することもできるし、反応器に直接添加することもできるが、供給の安定性、溶融重合の制御の観点からは、反応器に供給される前の原料ラインの途中に触媒供給ラインを設置し、好ましくは水溶液で供給する。
重合条件としては、重合初期においては、相対的に低温、低真空でプレポリマーを得、重合後期においては相対的に高温、高真空で所定の値まで分子量を上昇させることが好ましいが、各分子量段階でのジャケット温度と内温、反応系内の圧力を適切に選択することが、得られるポリカーボネート樹脂の色相や耐光性の観点から重要である。例えば、重合反応が所定の値に到達する前に温度、圧力のどちらか一方でも早く変化させすぎると、未反応のモノマーが留出し、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルのモル比を狂わせ、重合速度の低下を招いたり、所定の分子量や末端基を持つポリマーが得られなかったりして結果的に本発明の目的を達成することができない可能性がある。
エステル交換反応の温度は、低すぎると生産性の低下や製品への熱履歴の増大を招き、高すぎるとモノマーの揮散を招くだけでなく、ポリカーボネート樹脂の分解や着色を助長する可能性がある。
上記ポリカーボネート樹脂の製造において、上記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物及びシクロヘキサンジメタノールを含むジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを触媒の存在下、エステル交換反応させる方法は、通常、2段階以上の多段工程で実施される。具体的には、第1段目のエステル交換反応温度(以下、「内温」と称する場合がある)は好ましくは140℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上、さらにより好ましくは200℃以上であることがよい。また、第1段目のエステル交換反応温度は、好ましくは270℃以下、より好ましくは240℃以下、さらに好ましくは230℃以下、さらにより好ましくは220℃以下であることがよい。第1段目のエステル交換反応における滞留時間は通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜3時間であり、第1段目のエステル交換反応は、発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ留去しながら実施される。第2段目以降はエステル交換反応温度を上げていき、通常、210〜270℃、好ましくは220〜250℃の温度でエステル交換反応を行い、同時に発生するモノヒドロキシ化合物を反応系外へ除きながら、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げながら最終的には反応系の圧力が200Pa以下となるように、通常0.1〜10時間、好ましくは0.5〜6時間、特に好ましくは1〜3時間重縮合反応が行われる。
エステル交換反応温度が過度に高いと、成形品としたときに色相が悪化し、脆性破壊しやすい可能性がある。エステル交換反応温度が過度に低いと、目標とする分子量が上がらず、また、分子量分布が広くなり、衝撃強度が劣る場合がある。また、エステル交換反応の滞留時間が過度に長いと、脆性破壊しやすい場合がある。滞留時間が過度に短いと、目標とする分子量が上がらず衝撃強度が劣る場合がある。
副生したモノヒドロキシ化合物は、資源有効活用の観点から、必要に応じ精製を行った後、炭酸ジエステルや、各種ビスフェノール化合物の原料として再利用することが好ましい。
特にポリカーボネート樹脂の着色や熱劣化あるいはヤケを抑制し、衝撃強度が高い良好なポリカーボネート樹脂を得るには、全反応段階における反応器内温の最高温度が255℃未満、より好ましくは250℃以下、特に225〜245℃であることが好ましい。また、重合反応後半の重合速度の低下を抑止し、熱履歴によるポリカーボネート樹脂の熱劣化を最小限に抑えるために、反応の最終段階でプラグフロー性と界面更新性に優れた横型反応器を使用することが好ましい。
また、衝撃強度の高いポリカーボネート樹脂を企図し、分子量の高いポリカーボネート樹脂を得るため、出来るだけ重合温度を高め、重合時間を長くする場合があるが、この場合には、ポリカーボネート樹脂中の異物やヤケが発生し、脆性破壊しやすくなる傾向にある。よって、衝撃強度を高くすることと脆性破壊をしにくくすることの双方を満足させるためには、重合温度を低く抑え、重合時間短縮のための高活性触媒の使用、適正な反応系の圧力設定等の調整を行なうことが好ましい。更に、反応の途中あるいは反応の最終段階において、フィルター等により反応系で発生した異物やヤケ等を除去することも脆性破壊をしにくくするために好ましい。
なお、上記式(2)で表される炭酸ジエステルとして、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネートを用いてポリカーボネート樹脂を製造する場合は、フェノール、置換フェノールが副生し、ポリカーボネート樹脂中に残存することは避けられないが、フェノール、置換フェノールも芳香環を有することから紫外線を吸収し、耐光性の悪化要因になる場合があるだけでなく、成形時の臭気の原因となる場合がある。ポリカーボネート樹脂中には、通常のバッチ反応後は1000重量ppm以上の副生フェノール等の芳香環を有する芳香族モノヒドロキシ化合物が含まれているが、耐光性や臭気低減の観点からは、脱揮性能に優れた横型反応器や真空ベント付の押出機を用いて、ポリカーボネート樹脂中の芳香族モノヒドロキシ化合物の含有量を好ましくは700重量ppm以下、更に好ましくは500重量ppm以下、特には300重量ppm以下にすることが好ましい。ただし、芳香族モノヒドロキシ化合物を工業的に完全に除去することは困難であり、ポリカーボネート樹脂中の芳香族モノヒドロキシ化合物の含有量の下限は通常1重量ppmである。尚、これら芳香族モノヒドロキシ化合物は、用いる原料により、当然置換基を有していてもよく、例えば、炭素数が5以下であるアルキル基等を有していてもよい。
また、1族金属、中でもリチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、特にはナトリウム、カリウム、セシウムは、使用する触媒からのみではなく、原料や反応装置から混入する場合があるが、これらの金属がポリカーボネート樹脂中に多く含まれると色相に悪影響を及ぼす可能性があるため、本発明のポリカーボネート樹脂中のこれらの化合物の合計の含有量は、少ない方が好ましく、ポリカーボネート樹脂中の金属量として、通常1重量ppm以下、好ましくは0.8重量ppm以下、より好ましくは0.7重量ppm以下である。
なお、ポリカーボネート樹脂中の金属量は、従来公知の種々の方法により測定可能であるが、湿式灰化等の方法でポリカーボネート樹脂中の金属を回収した後、原子発光、原子吸光、Inductively Coupled Plasma(ICP)等の方法を使用して測定することが出来る。
本発明のポリカーボネート樹脂は、上述の通り溶融重合後、通常、冷却固化させ、回転式カッター等でペレット化される。
ペレット化の方法は限定されるものではないが、例えば、最終重合反応器からポリカーボネート樹脂を溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させてペレット化させる方法、最終重合反応器から溶融状態で一軸又は二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法、又は、最終重合反応器から溶融状態で抜き出し、ストランドの形態で冷却固化させて一旦ペレット化させた後に、再度一軸又は二軸の押出機に樹脂を供給し、溶融押出しした後、冷却固化させてペレット化させる方法等が挙げられる。
その際、押出機中で、残存モノマーの減圧脱揮や、通常知られている、熱安定剤、中和剤、紫外線吸収剤、離型剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、相溶化剤、難燃剤等を添加、混練することも出来る。
押出機中の、溶融混練温度は、ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度や分子量に依存するが、通常150〜300℃、好ましくは200〜270℃、更に好ましくは230〜260℃である。溶融混練温度が150℃より低いと、ポリカーボネート樹脂の溶融粘度が高く、押出機への負荷が大きくなり、生産性が低下する。300℃より高いと、ポリカーボネートの熱劣化が激しくなり、分子量の低下による機械的強度の低下や、着色、ガスの発生、異物の発生、更にはヤケの発生を招く。上記異物やヤケの除去のためのフィルターは該押出機中あるいは押出機出口に設置することが好ましい。
上記フィルターの異物除去の大きさ(目開き)は、99%以上の異物を除去するという濾過精度を目標として、通常400μm以下、好ましくは200μm以下、特に好ましくは100μm以下である。フィルターの目開きが過度に大きいと、異物やヤケの除去に漏れが生じる場合があり、ポリカーボネート樹脂を成形した場合、脆性破壊を起こす可能性がある。また上記フィルターの目開きは、本発明の熱可塑性樹脂組成物の用途に応じて調整することができる。例えばフィルム用途に適用する場合には、欠陥を排除するという要求から上記フィルターの目開きは40μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。
更に、上記フィルターは複数個を直列に設置して使用してもよく、また、リーフディスク型ポリマーフィルターを複数枚積層した濾過装置を使用してもよい。
また、溶融押出されたポリカーボネート樹脂を冷却してペレット化する際は、空冷、水冷等の冷却方法を使用することが好ましい。空冷の際に使用する空気は、HEPAフィルター(JIS Z8112で規定されるフィルターが好ましい。)等で空気中の異物を事前に取り除いた空気を使用し、空気中の異物の再付着を防ぐことが望ましい。より好ましくはJIS B 9920(2002年)に定義されるクラス7、更に好ましくはクラス6より清浄度の高いクリーンルームのなかで実施することが好ましい。水冷を使用する際は、イオン交換樹脂等で水中の金属分を取り除き、更にフィルターにて水中の異物を取り除いた水を使用することが望ましい。用いるフィルターの目開きは種々あるが、10〜0.45μmのフィルターが好ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂を溶融重合法で製造する際に、着色を防止する目的で、リン酸化合物や亜リン酸化合物の1種又は2種以上を重合時に添加することができる。
リン酸化合物としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等のリン酸トリアルキルの1種又は2種以上が好適に用いられる。これらは、反応に供する全ヒドロキシ化合物に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下添加することが好ましく、更に好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下添加することが好ましい。リン化合物の添加量が上記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、上記上限より多いと、透明性が低下する原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりする。
また、亜リン酸化合物としては、下記に示す熱安定剤を任意に選択して使用できる。特に、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトの1種又は2種以上が好適に使用できる。これらの亜リン酸化合物は、反応に供する全ヒドロキシ化合物に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下添加することが好ましく、更に好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下添加することが好ましい。亜リン酸化合物の添加量が上記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、上記上限より多いと、透明性が低下する原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりすることもある。
上記のリン酸化合物と亜リン酸化合物は併用して添加することもできるが、その場合の添加量は、リン酸化合物と亜リン酸化合物の総量で、反応に供する全ヒドロキシ化合物に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下とすることが好ましく、更に好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下である。この添加量が上記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、上記上限より多いと、透明性が低下する原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりすることもある。
また、このようにして製造されたポリカーボネート樹脂には、成形時等における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤の1種又は2種以上が配合されていてもよい。
かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸、及びこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。
かかる熱安定剤は、溶融重合時に添加した添加量に加えて更に追加で配合することができる。即ち、適当量の亜リン酸化合物やリン酸化合物を配合して、ポリカーボネート樹脂を得た後に、後に記載する配合方法で、更に亜リン酸化合物を配合すると、重合時の透明性の低下、着色、及び耐熱性の低下を回避して、更に多くの熱安定剤を配合でき、色相の悪化の防止が可能となる。
これらの熱安定剤の含有量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.0001〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部がより好ましく、0.001〜0.2重量部が更に好ましい。
<ポリカーボネート樹脂の物性>
本発明のポリカーボネート樹脂の好ましい物性について、以下に示す。
(ガラス転移温度)
本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度(Tg)は、145℃未満である。この範囲を超えてポリカーボネート樹脂のガラス転移温度が高すぎる場合には、着色し易くなり、衝撃強度を向上させることが困難になるおそれがある。また、この場合には、成形時において金型表面の形状を成形品に転写させる際に、金型温度を高く設定する必要がある。そのため、選択できる温度調節機が制限されてしまったり、金型表面の転写性が悪化したりするおそれがある。
本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、より好ましくは140℃未満、さらに好ましくは135℃未満である。
また、本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は通常90℃以上であり、好ましくは95℃以上である。
本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度を145℃未満とする方法としては、ポリカーボネート樹脂中の構造単位(1)の割合を少なくしたり、ポリカーボネート樹脂の製造に用いるジヒドロキシ化合物として、耐熱性の低い脂環式ジヒドロキシ化合物を選定したり、ポリカーボネート樹脂中のビスフェノール化合物等の芳香族系ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合を少なくしたりする方法等が挙げられる。
なお、本発明のポリカーボネート樹脂のガラス転移温度は、後述の実施例に記載の方法で測定されたものである。
(還元粘度)
本発明のポリカーボネート樹脂の重合度は、溶媒としてフェノールと1,1,2,2,−テトラクロロエタンの重量比1:1の混合溶媒を用い、ポリカーボネート樹脂濃度を1.00g/dlに精密に調整し、温度30.0℃±0.1℃で測定した還元粘度(以下、単に「還元粘度」と記す場合がある。)として、好ましくは0.40dl/g以上、更に好ましくは0.42dl/g以上、特に好ましくは0.45dl/g以上であるが、本発明の熱可塑性樹脂組成物の用途によっては、0.60dl/g以上、更には0.85dl/g以上のものが好適に用いられる場合がある。また、本発明のポリカーボネート樹脂の還元粘度は、好ましくは2.0dl/g以下、更に好ましくは1.7dl/g以下、特に好ましくは1.4dl/g以下である。ポリカーボネート樹脂の還元粘度が過度に低いと、機械的強度が弱くなる場合があり、ポリカーボネート樹脂の還元粘度が過度に高いと、成形する際の流動性が低下し、サイクル特性を低下させ、成形品の歪みが大きくなり熱により変形し易い傾向がある。
[ポリカーボネート樹脂の混合]
本発明の(A)成分は、共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合したものである。この溶融混合の温度としては、溶融押出口の樹脂温度として、235℃〜245℃がよく、238℃〜242℃が好ましい。この範囲とすることにより、ポリカーボネート樹脂の着色や熱劣化あるいはヤケを抑制し、衝撃強度が高い良好なポリカーボネート樹脂混合物を得ることができる。
この共重合比率の異なる複数のカーボネート共重合体のそれぞれの共重合比率の範囲や、複数のポリカーボネート共重合体の混合比率は、混合後に得られるポリカーボネート樹脂混合物の共重合比率が、所定の範囲を満たす条件で適宜選択される。この混合後に得られるポリカーボネート樹脂混合物の共重合比率としては、構造単位(1)とシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位の合計量(モル数)に対する構造単位(1)の量(モル数)は、56モル%以上であり、好ましくは、57モル%以上である。さらにその上限は、60モル%以下であり、好ましくは59モル%以下である。また、上記合計量(モル数)に対するシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位の量(モル数)は、40モル%以上であり、好ましくは41モル%以上である。さらに、その上限は、44モル%以下であり、43モル%以下である。
上記合計量(モル数)に対する構造単位(1)の量が56モル%より少ない(上記合計量(モル数)に対するシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位の量が44モル%より多い)と、耐熱性が低下するという問題点を生じる場合がある。一方、上記合計量(モル数)に対する構造単位(1)の量が60モル%より多い(上記合計量(モル数)に対するシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位の量が40モル%より少ない)と、耐衝撃性が低下するという問題点を生じる場合がある。
なお、熱可塑性樹脂組成物中、(A)成分と(B)成分の合計を100重量部としたときの(A)成分の配合量は、93重量部以上がよく、94重量部以上が好ましい。93重量部より少ないと、耐熱性が低下するという問題点を生じる場合がある。一方、(A)成分の配合量の上限は、97重量部がよく、96重量部が好ましい。97重量部より多いと、耐衝撃性が低下するという問題点を生じる場合がある。
[(B)成分(ブタジエン−アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル系ゴム(ブタジエン系ゴム))]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の(A)成分であるポリカーボネート樹脂混合物に、(B)成分として、ブタジエン−アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル系ゴム(ブタジエン系ゴム)が含有される。 なお、ブタジエン系ゴムとしては、通常、ゴム成分と呼ばれる重合体成分をコア層とし、これと共重合可能な単量体成分をシェル層としてグラフト共重合したコア・シェル型グラフト共重合体が好ましい。
このコア・シェル型グラフト共重合体の製造方法としては、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの製造方法であってもよく、共重合の方式は一段グラフトでも多段グラフトであってもよい。但し、本発明においては通常、市販で入手可能なブタジエン系ゴムをそのまま使用することができる。市販で入手可能なブタジエン系ゴムの例としては、ダウ・ケミカル日本(株)製:パラロイド EXL−2690、三菱レイヨン(株)製:メタブレン E−901、(株)カネカ製:カネエース M−711等が挙げられる。
シェル層を構成する、コア層の重合体成分とグラフト共重合可能な単量体成分は、(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
(メタ)アクリル酸エステル化合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルおよび(メタ)アクリル酸オクチル等の(メタ)アクリル酸アルキルが挙げられる。これらの中でも比較的入手しやすい(メタ)アクリル酸メチルまたは(メタ)アクリル酸エチルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。ここで、「(メタ)アクリル」とは「アクリル」と「メタクリル」とを総称するものである。
上記コア・シェル型グラフト共重合体において、ブタジエン−スチレン共重合体成分を40重量%以上含有するものが好ましく、60重量%以上含有するものがさらに好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステル成分は、10重量%以上含有するものが好ましい。
ここで、コア・シェル型グラフト共重合体において、「ブタジエン−スチレン」部分がコア層に相当する。
これらのコア・シェル型グラフト共重合体等のブタジエン系ゴムは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
この(B)成分の配合量は、上記熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、3重量部以上がよく、3.5重量部以上が好ましく、4重量部以上がより好ましい。3重量部以上配合されると、耐面衝撃性、耐衝撃性の改良効果が向上しやすいために好ましい。一方、(B)成分の配合量の上限は、7重量部がよく、6.5重量部が好ましく、6重量部がより好ましい。7重量部以下だと、この発明に係る自動車用内外装部材である成形品の外観や耐熱性の観点で好ましい。
[熱可塑性樹脂組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記(A)成分であるポリカーボネート樹脂混合物、上記(B)成分であるブタジエン系ゴム、及び後述する添加剤を溶融混合することにより製造することができる。
具体的には、例えばペレット状の上記の(A)成分と(B)成分と各種添加剤を押出機を用いて混合し、ストランド状に押出し、回転式カッター等でペレット状にカットすることにより本発明の熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。
<添加剤>
上記の(A)成分と(B)成分との混合時に、下記の添加剤を添加し、混合することができる。
((C)成分(ジブチルヒドロキシトルエン))
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、(C)成分として、ジブチルヒドロキシトルエンが配合される。これを配合することにより、耐候試験時の分子量低下抑制、すなわち耐候性の向上という特徴を発揮することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量部中の(C)成分の含有量は、0.005重量部以上がよく、0.008重量部以上が好ましい。0.005重量部より少ないと、耐候試験時の分子量低下抑制効果が充分ではないという問題点を生じる場合がある。一方、(C)成分の含有量の上限は、0.015重量部がよく、0.012重量部が好ましい。0.015重量部より多いと、金型付着物が増加するという問題点を生じる場合がある。
((D)成分(ベンゾトリアゾール系耐光安定剤))
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、(D)成分として、ベンゾトリアゾール系耐光安定剤が配合される。これを配合することにより、耐候試験時の分子量低下抑制という特徴を発揮することができる。
ベンゾトリアゾール系耐光安定剤のより具体的な例としては、2−(2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−ヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−ヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ドデシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−t−ドデシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル−3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量部中の(D)成分の含有量は、0.08重量部以上がよく、0.09重量部以上が好ましい。0.08重量部より少ないと、着色剤の変色防止効果が充分でないという問題点を生じる場合がある。一方、(D)成分の含有量の上限は、0.12重量部がよく、0.11重量部が好ましい。0.12重量部より多いと、金型付着物が増加するという問題点を生じる場合がある。
((E)成分(ヒンダードアミン系耐光安定剤))
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、(E)成分として、ヒンダードアミン系耐光安定剤が配合される。これを配合することにより、耐候試験時の分子量低下抑制という特徴を発揮することができる
ヒンダードアミン系耐光安定剤としては、窒素が環式構造の一部となっている構造を有するものが好ましく、ピペリジン構造を有するものであることがより好ましい。ここで規定するピペリジン構造には、飽和6員環状のアミン構造となっていれば如何なる構造であっても構わず、ピペリジン構造の一部が置換基により置換されているものも含む。該ピペリジン構造が有していてもよい置換基としては、炭素数4以下のアルキル基があげられ、特にはメチル基が好ましい。アミン化合物としては、更には、ピペリジン構造を複数有する化合物が好ましく、複数のピペリジン構造を有する場合、それらのピペリジン構造がエステル構造により連結されている化合物が好ましい。このようなヒンダードアミン系耐光安定剤の具体例として、特に下記式(3)で表される化合物があげられる。
Figure 2017043689
本発明の熱可塑性樹脂組成物100重量部中の(E)成分の含有量は、0.04重量部以上がよく、0.045重量部以上が好ましい。0.04重量部より少ないと、着色剤の変色防止効果が充分でないという問題点を生じる場合がある。一方、(E)成分の含有量の上限は、0.06重量部がよく、0.055重量部が好ましい。0.06重量部より多いと、金型付着物が増加するという問題点を生じる場合がある。
<配合方法>
上記の(A)成分〜(E)成分の混合方法としては、例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合・混練する方法、或いは、例えば塩化メチレン等の共通の良溶媒に溶解させた状態で混合する溶液ブレンド方法等があるが、これは特に限定されるものではなく、通常用いられるブレンド方法であればどのような方法を用いてもよい。
こうして得られる本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各成分が混合され、直接に、或いは溶融押出機で一旦ペレット状にしてから、押出成形法、射出成形法、圧縮成形法等の通常知られている成形方法で、所望形状に成形することができる。
〔ポリカーボネート樹脂成形品〕
本発明のポリカーボート樹脂組成物を成形することにより、本発明の自動車用内外装部材を得ることができる。
好ましくは、本発明の自動車用内外装部材は、射出成形法により成形されたものである。
この場合には、複雑な形状の本発明の自動車用内外装部材が作成可能となる。
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。まず、評価方法について説明する。
<評価方法>
(1)荷重撓み温度の測定
ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを、熱風乾燥機を用いて、80℃で6時間乾燥した。次に、乾燥したポリカーボネート共重合体又は樹脂組成物のペレットを射出成形機(日本製鋼所(株)製:J75EII型)に供給し、樹脂温度240℃、金型温度60℃、成形サイクル40秒間の条件で、機械物性用ISO試験片を成形した。上記で得られた機械物性用ISO試験片について、ISO75に準拠し、荷重1.80MPaでの荷重たわみ温度を測定した。
(2)シャルピー衝撃強度の測定
上記で得られた機械物性用ISO試験片について、ISO179(2000年)に準拠してノッチ付シャルピー衝撃試験を実施した。この値が高いほど耐衝撃性が高いことを示す。
(3)総合判定
荷重撓み温度85℃以上、かつシャルピー衝撃強度50kJ/m以上の場合を○、それ以外を×とした。
<原材料>
(ポリカーボネート樹脂混合物((A)成分)用材料)
・ISB・・・イソソルビド、ロケットフルーレ社製:POLYSORB。
・CHDM・・・シクロヘキサンジメタノール、イーストマン社製。
・DPC・・・ジフェニルカーボネート、三菱化学(株)製。
・酢酸カルシウム・・・和光純薬工業(株)製:酢酸カルシウム1水和物。
<弾性重合体((B)成分)>
・EXL2690・・・ブタジエン−アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル系ゴム(ダウ・ケミカル日本社製、パラロイドEXL2690)。
<フェノール系酸化防止剤((C)成分)>
・BHT・・・ジブチルヒドロキシトルエン(APIコーポレーション社製、ヨシノックスBHT)。
<耐光安定剤>
((D)成分)
・TINUVIN329・・・ベンゾトリアゾール系UVA(BASF社製、TINUVIN329)。
((E)成分)
・TINUVIN770DF・・・HALS(BASF社製、TINUVIN770DF、下記式(3)で示される化合物)。
Figure 2017043689
(製造例1)
撹拌翼及び100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、ISBとCHDM、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたDPC及び酢酸カルシウム1水和物を、モル比率でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.70/0.30/1.00/1.3×10−6になるように仕込み、十分に窒素置換して、酸素濃度0.0005〜0.001体積%に調節した。続いて熱媒で加温を行い、内温が100℃になった時点で撹拌を開始し、内温が100℃になるように制御しながら内容物を融解させ均一にした。その後、昇温を開始し、40分で内温を210℃にし、内温が210℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、210℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに60分間保持した。
重合反応とともに副生するフェノール蒸気は、還流冷却器への入口温度として100℃に制御された蒸気を冷媒として用いた還流冷却器に導き、フェノール蒸気中に若干量含まれるジヒドロキシ化合物や炭酸ジエステルを重合反応器に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。このようにしてオリゴマー化させた内容物を、一旦大気圧にまで復圧させた後、撹拌翼及び上記同様に制御された還流冷却器を具備した別の重合反応装置に移し、昇温及び減圧を開始して、60分で内温220℃、圧力200Paにした。
その後、20分かけて内温230℃、圧力133Pa以下にして、所定撹拌動力になった時点で大気圧に復圧し、内容物をストランドの形態で抜出し、回転式カッターでカーボネート共重合体のペレットにした。
(製造例2)
製造例1において、仕込み組成をISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.50/0.50/1.00/1.3×10−6になるように変更した以外は、製造例1と同様にカーボネート共重合体のペレットにした。
(実施例1)
製造例1及び製造例2において製造したカーボネート共重合体のペレットを用いて表1に示すポリカーボネート樹脂組成物配合で各成分を配合し、2つのベント口を有する日本製鋼所社製2軸押出機(LABOTEX30HSS−32)を用いて、押出機出口の樹脂温度が250℃になるようにストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化した。この際、ベント口は真空ポンプに連結し、ベント口での圧力が500Paになるように制御した。得られたポリカーボネート樹脂組成物について、上記の方法により荷重撓み温度(1.80MPa)、ノッチ付きシャルピー衝撃強度を測定・評価した。その結果を表1に示す。
(実施例2,比較例1,2)
製造例1及び製造例2において製造したカーボネート共重合体のペレットと弾性重合体とを、表1に示した組成となるようにした以外は、実施例1と同様に行い、ポリカーボネート樹脂組成物の製造と評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2017043689

Claims (5)

  1. 下記の(A)〜(E)成分を含む熱可塑性樹脂組成物からなり、
    上記熱可塑性樹脂組成物中、(A)成分と(B)成分の合計100重量部に対し、(A)成分が93〜97重量部、(B)成分が3〜7重量部、(C)成分が0.005〜0.015重量部、(D)成分が0.08〜0.12重量部、(E)成分が0.04〜0.06重量部である自動車用内外装部材。
    (A)成分:下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位、及びシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を有し、共重合比率が異なる複数のカーボネート共重合体を溶融混合した、ポリカーボネート樹脂混合物であり、
    下記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位とシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位の含有比率が、56〜60/40〜44(モル比)である上記ポリカーボネート樹脂混合物。
    (B)ブタジエン−アクリル酸ブチル−メタクリル酸メチル系ゴム。
    (C)ジブチルヒドロキシトルエン。
    (D)ベンゾトリアゾール系耐光安定剤。
    (E)ヒンダードアミン系耐光安定剤。
    Figure 2017043689
  2. 上記ヒンダードアミン系耐光安定剤が、ピペリジン構造を有する請求項1に記載の自動車用内外装部材。
  3. 上記ヒンダードアミン系耐光安定剤は、複数のピペリジン構造を有する、請求項2に記載の自動車用内外装部材。
  4. 上記ヒンダードアミン系耐光安定剤が有する複数のピペリジン構造は、エステル結合により連結されている請求項3に記載の自動車用内外装部材。
  5. 射出成型により得られたものである請求項1〜4いずれか1項に記載の自動車用内外装部材。
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