JP2014205728A - ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】良好な外観を呈し、耐衝撃性等の機械的特性や耐熱性等にも優れる成形品を得ることができるポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物及びその成形品を提供する。【解決手段】ポリ乳酸樹脂(A)10〜40重量部と、芳香族ポリカーボネート(B)30〜85重量部と、ゴム質重合体にアクリル系単量体をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(C)5〜30重量部との合計100重量部に対して、イソソルバイド構造を含むポリカーボネート(D)を1〜50重量部含むポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。このポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品。【選択図】なし

Description

本発明は、良好な外観を呈し、耐衝撃性等の機械的特性や耐熱性等にも優れる成形品を提供し得るポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物と、このポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品に関するものである。
最近、地球温暖化の要因として、大気中における炭酸ガス濃度の上昇が指摘され、地球規模での炭酸ガス排出規制の必要性が唱えられている。炭酸ガス排出源としては、生物の呼吸、バクテリアによる腐敗・醗酵等も有るが、燃焼による部分が大きく、現状の大気中の炭酸ガス濃度上昇現象は、人間による産業革命以後の石油資源を浪費した経済活動によってもたらされたものと言って過言ではない。
ところで、近年、カーボンニュートラルとして、炭酸ガスを吸収、固定する植物資源の有効活用が注目されている。即ち、植生によって、炭酸ガスの吸収を図る一方で、将来枯渇が予想される石油資源の代替を図るというものである。
プラスチックにおいても、従来の石油を基礎原料とするものから、バイオマスを利用したプラスチックが開発され、当初、これらは生分解性樹脂として注目を集めたが、最近では植物系プラスチックとしてその意義が見直されている。
こうした生分解性樹脂の中にあって、物性と量産化の可能性からポリ乳酸樹脂(PLA)の実用化が期待されてきたが、ポリ乳酸樹脂では、既存の石油系プラスチックに比べて機械的強度、特に耐衝撃強度に劣るという欠点が有り、早くからその改良が望まれてきた。
ポリ乳酸樹脂の耐衝撃強度を改良する為に、芳香族ポリカーボネートをブレンドする方法が行われているが、ポリ乳酸樹脂と芳香族ポリカーボネートとは相溶性が悪く、得られる成形品の外観が劣るという欠点があった。
ポリ乳酸樹脂/芳香族ポリカーボネート樹脂組成物よりなる成形品の外観改良については、従来、多くの提案がなされている。
例えば、特許文献1「特開2006−28299号公報」には、エポキシ樹脂及び/又はエポキシ変性熱可塑性樹脂を配合する方法が、特許文献2「特開2006−160919号公報」には、ゴム状弾性体を配合する方法が、特許文献3「特開2010-37494号公報」には、ポリアミドとエポキシ化合物を配合する方法がそれぞれ示されている。しかし、これらの技術では、ある程度の改良効果は認められるものの、実用上十分とは言えない。
特許文献4「特開2006−111858号公報」には、セルロースエステルを配合する方法が、特許文献5「特開2008−214378号公報」には、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールからなる脂肪族ポリエステルを配合する方法が、特許文献6「特開2010−202712号公報」には、リグノフェノールを配合する方法が示されており、植物系のものを配合して改良することが検討されているが、成形品の外観、耐衝撃強度の改良効果は十分とは言えない。
特開2006−28299号公報 特開2006−160919号公報 特開2010−37494号公報 特開2006−111858号公報 特開2008−214378号公報 特開2010−202712号公報
本発明は、上述した従来技術における課題を解決し、良好な外観を呈し、耐衝撃性等の機械的特性や耐熱性等にも優れる成形品を得ることができるポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物と、このポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、従来技術の検証・改良に鋭意努力した結果、ポリ乳酸樹脂と芳香族ポリカーボネートにブレンドするゴム含有グラフト共重合体の組成と構造を特定すると共に、
イソソルバイド構造を含むポリカーボネートを組み合わせることによって、発色性がよく、射出成形しても外観不良を起こすことなく、高外観で、しかも高い耐衝撃性と耐熱性が得られることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の要旨は、
ポリ乳酸樹脂(A)10〜40重量部と、芳香族ポリカーボネート(B)30〜85重量部と、ゴム質重合体にアクリル系単量体をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(C)5〜30重量部との合計100重量部に対して、イソソルバイド構造を含むポリカーボネート(D)を1〜50重量部含むことを特徴とするポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物(請求項1)、に存する。
本発明において、イソソルバイド構造を含むポリカーボネート(D)の重量平均分子量は25,000〜60,000であることが好ましい(請求項2)。
本発明において、ゴム含有グラフト共重合体(C)中のゴム質重合体は、ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム、及びオレフィン系ゴムよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい(請求項3)。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、更に難燃剤(E)を、ポリ乳酸樹脂(A)と芳香族ポリカーボネート(B)とゴム含有グラフト共重合体(C)とイソソルバイド構造を含むポリカーボネート(D)との合計100重量部に対して10〜30重量部含有していてもよい(請求項4)。
また、ゴム含有グラフト共重合体(C)は、ゴム質重合体含有量が40〜80重量%で、アセトン可溶分の重量平均分子量(Mw)が、50,000〜300,000で、グラフト率が15〜38重量%であることが好ましい(請求項5)。
また、イソソルバイド構造を含むポリカーボネート(D)は、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことが好ましく(請求項6)、また、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位とシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位とを含んでいることが更に好ましく、この場合、イソソルバイド構造を含むポリカーボネート(D)に含まれる全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位中、式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合が95〜30モル%で、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位の割合が5〜70モル%であることが好ましい(請求項7)。
Figure 2014205728
本発明の別の要旨は、このような本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品(請求項8)、に存する。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、これを成形して得られる成形品の外観、耐衝撃強度等の機械的強度、耐熱性のバランスが良く、各種筐体や構造部材としての用途に適した素材である。
本発明によれば、このように実用的なポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を提供することにより、植物系樹脂であるポリ乳酸樹脂の用途を広げ、カーボンニュートラルの理念の実践を促進して、環境負荷の低減に貢献することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
なお、本発明において、後述のポリ乳酸樹脂(A)や、ゴム含有グラフト共重合体(C)のアセトン可溶分の重量平均分子量(Mw)は、いずれも、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にてテトラヒドロフラン(THF)に溶解して測定したものをポリスチレン(PS)換算で示したものである。
また、本発明において、後述のイソソルバイド構造を含むポリカーボネート(D)の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にてクロロホルム(CHCl)に溶解して測定したものをポリスチレン(PS)換算で示したものである。
[ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物]
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、ポリ乳酸樹脂(A)10〜40重量部と、芳香族ポリカーボネート(B)30〜85重量%部と、ゴム質重合体にアクリル系単量体をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(C)5〜30重量部との合計100重量部に対して、イソソルバイド構造を含むポリカーボネート(D)を1〜50重量部含むことを特徴とする。
なお、以下において、ポリ乳酸樹脂(A)と芳香族ポリカーボネート(B)とゴム含有グラフト共重合体(C)との合計を「樹脂主成分」と称す場合がある。
[ポリ乳酸樹脂(A)]
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物に適用されるポリ乳酸樹脂(A)は、乳酸を直接脱水縮重合する方法、或いはラクチドを開環重合する方法等といった、公知の手段で得る事ができる。
ポリ乳酸樹脂にはL体、D体、DL体の3種の光学異性体が存在し、市販されているポリ乳酸樹脂としては、L体の純度が100%に近いものがあるが、本発明で用いるポリ乳酸樹脂(A)は、特にその純度を規定するものではなく、また、本発明の効果を損なわない範囲で、他の共重合成分を含んだ共重合体でも構わない。
ポリ乳酸樹脂(A)に含まれる他の共重合成分としては、エチレングリコール、ブロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのグリコール化合物;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジオン酸、マロン酸、グルタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムイソフタル酸などのジカルボン酸;グリコール酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸;カプロラクトン、バレロラクトン、プロピオラクトン、ウンデカラクトン、1,5−オキセパン−2−オンなどのラクトン類などを挙げることができる。このような共重合成分の含有量は、ポリ乳酸樹脂(A)中の全単量体成分中通常30モル%以下の含有量とするのが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
ポリ乳酸樹脂(A)の分子量や分子量分布については、実質的に成形加工が可能であれば特に制限されるものではないが、重量平均分子量(Mw)としては、通常1万以上、好ましくは5万以上、さらに10万以上であることが望ましい。ポリ乳酸樹脂(A)の重量平均分子量の上限については特に制限はないが、通常15万以下である。
なお、ポリ乳酸樹脂(A)の分子量の測定はGPC(溶媒THF:テトラヒドロフラン)にて測定することができるが、ポリ乳酸樹脂(A)がペレット状の場合、THFに溶解し難い場合があり、その場合は、クロロホルムに溶解させた後、メタノールを用いてポリマー成分を析出させ、そのポリマー成分を乾燥させたものをTHFに溶解させて可溶分の分子量を測定することができる。また、必要に応じて加温するなどして溶解させることもできる。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物において、ポリ乳酸樹脂(A)の含有量は、樹脂主成分100重量部中、10〜40重量部の範囲であるが、好ましくは20〜40重量部、より好ましくは20〜30重量部であることが、カーボンニュートラルの観点や、耐衝撃性改善の点において好ましい。この範囲よりも、ポリ乳酸樹脂(A)の含有量が少ないとポリ乳酸樹脂を有効利用する本発明の目的を達成し得ず、多いと耐衝撃性に優れたポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品が得られなくなる。
なお、ポリ乳酸樹脂(A)は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
このようなポリ乳酸樹脂の具体例としては、例えば、市販品の三井化学(株)社製「レイシア」、Cargill−Dow社製「NatureWorks」、三菱樹脂(株)社製「エコロージュ」などが挙げられ使用することができる。
[芳香族ポリカーボネート(B)]
本発明で使用可能な芳香族ポリカーボネート(B)は1種以上のビスフェノール類とホスゲン又は炭酸ジエステルとの反応によって製造することができ、その重量平均分子量(Mw)は10,000〜50,000、特に20,000〜30,000の範囲であることが好ましい。芳香族ポリカーボネート(B)の重量平均分子量がこの範囲よりも低い場合は耐衝撃性が低下する傾向があり、この範囲を超えると流動性が悪くなり、成形性が劣ることにより、成形品の外観が劣る傾向がある。
なお、芳香族ポリカーボネート(B)の原料であるビスフェノール類の具体例としては、ハイドロキノン、4,4−ジヒドロキシフェニル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−アルカン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロアルカン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−スルフィド、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−エーテル、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−ケトン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−スルホン、或いはこれらのアルキル置換体、アリール置換体、ハロゲン置換体などが挙げられ、これらは1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の芳香族ポリカーボネートは、1種を単独で使用しても、2種以上を混合して使用しても良い。また、上記の重量平均分子量に適合する市場から回収された芳香族ポリカーボネートを使用しても良い。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物において、芳香族ポリカーボネート(B)の含有量は、樹脂主成分100重量部中、30〜85重量部の範囲であるが、好ましくは45〜75重量部、より好ましくは45〜70重量部であることが、カーボンニュートラルの観点や、耐衝撃性、耐熱性改善の点において好ましい。この範囲よりも、芳香族ポリカーボネート(B)の含有量が多いとポリ乳酸樹脂(A)を有効利用する本発明の目的を達成し得ず、少ないと耐衝撃性、耐熱性に優れたポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品が得られなくなる。
[ゴム含有グラフト共重合体(C)]
本発明で使用するゴム含有グラフト共重合体(C)とは、ゴム質重合体にアクリル系単量体がグラフト重合した構造を有するものである。
ゴム含有グラフト共重合体(C)を形成するゴム質重合体としては、例えば、ポリブタジエン、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリル酸エステル/ブタジエン共重合体等のブタジエン系ゴムや、スチレン/イソプレン共重合体等の共役ジエン系ゴム;ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系ゴム、エチレン/プロピレン共重合体等のオレフィン系ゴム;ポリオルガノシロキサン等のシリコン系ゴム等が挙げられ、これらは1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用することができる。なお、これらゴム質重合体は、モノマーから使用することができ、ゴム質重合体の構造がコア/シェル構造をとっても良い。例えば、ポリブタジエンをコアにして、アクリル酸エステルをシェルにしたゴム質重合体とすることもできる。
ゴム含有グラフト共重合体(C)のゴム質重合体としては、上記のもののうち、特に安価に入手でき、また、得られる成形品の外観、耐衝撃性の観点から、ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム、オレフィン系ゴムのうちのいずれかを用いることが好ましい。
上記のゴム質重合体のゲル含有量は、通常50〜75重量%、好ましくは50〜70重量%で、さらに好ましくは55〜70重量%である。ゲル含有量がこの範囲内であれば、得られるポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の特性、特に、耐衝撃強度を向上させることができる。
ゴム質重合体のゲル含有量が50〜75重量%であると、耐衝撃強度の向上効果を十分に得ることができる理由の詳細は明らかではないが、ゲル含有量が50重量%未満では、ゴム質重合体の衝撃エネルギーの吸収が効率的に得られず、また、75重量%を超えるとグラフト重合する単量体の一部がゴム質重合体の内部に含浸できず、衝撃エネルギーの吸収や分散が得られないことによるものと推定される。従って、ゲル含有量が50〜75重量%の範囲であることが、衝撃エネルギーの吸収又は分散が効果的に行われ、耐衝撃性に優れた効果を発現するものと考えられる。
なお、ゴム質重合体のゲル含有量を測定するには、具体的には、秤量したゴム質重合体を、適当な溶剤に室温(23℃)で20時間かけて溶解させ、次いで、100メッシュ金網で分取して、金網上に残った不溶分を60℃で24時間乾燥した後秤量する。分取前のゴム質重合体に対する不溶分の割合(重量%)を求め、ゴム質重合体のゲル含有量とする。ゴム質重合体の溶解に用いる溶剤としては、例えば、ポリブタジエンではトルエンを、ポリブチルアクリレートではアセトンを用いると測定が行いやすい。
また、ゴム質重合体の粒子径は、特に限定されるものではないが、0.1〜1μmが好ましく、0.2〜0.3μmであることがより好ましい。なお、ゴム質重合体の平均粒子径は、グラフト重合前であれば、光学的な方法で測定することができる。また、グラフト重合した後は、染色剤によりゴム質重合体を染色した後に透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて平均粒子径を算出することができる。
このようなゴム質重合体にグラフト重合させるアクリル系単量体としては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル等のアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルが挙げられる。
上記アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸脂肪族炭化水素(例えば炭素数1〜18のアルキル)エステル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸脂環式炭化水素エステル;アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイルなどのアクリル酸芳香族炭化水素エステル;アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸アラルキルエステル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチルなどのアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのアクリル酸フッ化アルキルエステルなどが挙げられる。
前記メタクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘプチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリルなどのメタクリル酸脂肪族炭化水素(例えば炭素数1〜18のアルキル)エステル;メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニルなどのメタクリル酸脂環式炭化水素エステル;メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸アラルキルエステル;メタクリル酸フェニル、メタクリル酸トルイルなどのメタクリル酸芳香族炭化水素エステル;メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸3−メトキシブチルなどのメタクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;メタクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチル、メタクリル酸パーフルオロメチル、メタクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのメタクリル酸フッ化アルキルエステルなどが挙げられる。
これらのアクリル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いても良い。
また、ゴム質重合体にグラフト重合させる単量体としては、全単量体成分中30重量%以下の範囲で、アクリル系単量体以外に、アクリル系単量体と共重合可能な他の単量体を使用することができる。アクリル系単量体と共重合可能な他の単量体としては、シアン化ビニル系単量体、芳香族ビニル系単量体、マレイミド化合物が挙げられる。
シアン化ビニル系単量体としては、アクリロニトリル、メタクリルニトリル等が挙げられ、特にアクリロニトリルが好ましい。芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられ、特にスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。マレイミド化合物としては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等が挙げられる。また、場合により官能基により変性された単量体を含んでいてもよく、このような単量体としては、例えば不飽和カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。
これらは、それぞれ1種を単独で、或いは2種以上を混合して用いることができる。これらの他の単量体を使用する場合、その使用割合はゴム質重合体にグラフト重合させる単量体混合物100重量%に対して30重量%以下、特に10重量%以下であることが好ましい。
ゴム含有グラフト共重合体(C)中のゴム含有量については後述の通りであるが、ゴム含有グラフト共重合体(C)のアセトン可溶分の重量平均分子量(Mw)は、50,000〜300,000の範囲が好ましく、より好ましくは50,000〜200,000、さらに好ましくは50,000〜100,000の範囲である。ゴム含有グラフト共重合体(C)のアセトン可溶分の重量平均分子量がこの範囲より低い場合には、得られるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品の耐衝撃性が不足し、また、この範囲を超えた場合にはポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の成形加工性が低下する。なお、アセトン可溶分とは、ゴム質重合体に単量体をグラフト重合した際に生じるゴム質重合体にグラフト重合していない単量体の重合体生成物に相当するものである。
また、ゴム含有グラフト共重合体(C)のグラフト率((アセトン不溶分重量/ゴム質重合体重量−1)×100)は、15〜38重量%であることが好ましい。ゴム含有グラフト共重合体(C)のグラフト率が15重量%より低い場合には、ゴム質重合体の分散性の低下や、衝撃強度の低下を生じる。また、グラフト率が38重量%より高い場合には、外観が悪くなる傾向にある。なお、グラフトしている共重合体は、ゴム質重合体の外部のみならず内部にオクルードした構造であっても良い。
ゴム含有グラフト共重合体(C)は、好ましくは前記のゴム質重合体40〜80重量%の存在下、アクリル系単量体を含むグラフト重合可能な単量体成分60〜20重量%をグラフト重合させて得ることができる(ただし、ゴム質重合体と単量体成分との合計で100重量%)。即ち、ゴム含有グラフト共重合体(C)のゴム含有量は40〜80重量%であることが好ましい。ここで、ゴム質重合体が40重量%未満では、得られるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品の耐衝撃性が不足するおそれがあり、また、80重量%を超えると耐衝撃性や流動性などの低下を招くおそれがある。
グラフト重合は、公知の乳化重合、懸濁重合、溶液重合、塊状重合により行うことができ、これらの重合方法を組み合わせた方法でもよい。
ゴム含有グラフト共重合体(C)としては、重合方法や成分組成の異なるゴム含有グラフト共重合体の2種以上を混合して用いても良い。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物において、ゴム含有グラフト共重合体(C)の含有量は、樹脂主成分100重量部中、5〜30重量部の範囲であるが、好ましくは10〜25重量部、より好ましくは15〜25重量部であることが、カーボンニュートラルの観点や、耐衝撃性改善の点において好ましい。この範囲よりも、ゴム含有グラフト共重合体(C)の含有量が多いと、相対的にポリ乳酸樹脂(A)の含有量が少なくなって、ポリ乳酸樹脂を有効利用する本発明の目的を達成し得ず、少ないと高外観で耐衝撃性等の機械的特性や、耐熱性等に優れたポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品が得られなくなる。
[イソソルバイド構造を含むポリカーボネート(D)]
本発明で使用するイソソルバイド構造を含むポリカーボネート(D)(以下「イソソルバイド系ポリカーボネート(D)」と称す場合がある。)とは、好ましくは、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂、又は下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物及びシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含むポリカーボネート樹脂である。
Figure 2014205728
上記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物としては、立体異性体の関係にある、イソソルビド、イソマンニド、イソイデットが挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも植物由来の資源として豊富に存在し、容易に入手可能な種々のデンプンから製造されるソルビトールを脱水縮合して得られるイソソルビドが、入手及び製造のし易さ、成形性、耐熱性、耐衝撃性、表面硬度、カーボンニュートラルの面から最も好ましい。
一方、シクロヘキサンジメタノールとしては、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが挙げられ、入手の容易さより1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
本発明に使用するイソソルバイド系ポリカーボネート(D)は、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物やシクロヘキサンジメタノール以外のジヒドロキシ化合物(以下「その他のジヒドロキシ化合物」と称す場合がある。)に由来する構造単位を含んでいてもよく、その他のジヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,6−ヘキサンジオールのなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物;トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノール、1,5−デカリンジメタノール、2,3−デカリンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール、1,3−アダマンタンジメタノール等の脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[=ビスフェノールA]、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジエチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−(3,5−ジフェニル)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、2,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジクロロジフェニルエーテル、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ−2−メチル)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)フルオレン等の芳香族ビスフェノール類が挙げられる。
イソソルバイド系ポリカーボネート(D)が、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位とシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含む場合、イソソルバイド系ポリカーボネート(D)に含まれる全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位中、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位の割合は70モル%以下、例えば5〜70モル%であることが好ましい。イソソルバイド系ポリカーボネート(D)がシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を含むことにより着色が生じにくく、高分子量化、衝撃強度の向上、ガラス転移温度の向上という効果が奏されるが、この割合が多過ぎると、式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことによるこのような効果が損なわれ、好ましくない。
特に、イソソルバイド系ポリカーボネート(D)は、イソソルバイド系ポリカーボネート(D)に含まれる全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位中、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を95〜30モル%、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位を5〜70モル%含むことが、着色が生じにくく、高分子量化、衝撃強度の向上、ガラス転移温度の向上の点で好ましい。
また、イソソルバイド系ポリカーボネート(D)がその他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含む場合、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位は、イソソルバイド系ポリカーボネート(D)中の全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがさらに好ましい。イソソルバイド系ポリカーボネート(D)がその他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことにより、耐衝撃性が向上するが、この割合が過度に多いと耐熱性が低下する。また、イソソルバイド系ポリカーボネート(D)がその他のジヒドロキシ化合物に由来する構造単位として芳香族ビスフェノール類を含む場合は、耐熱性が向上するが、この割合が過度に多いと耐光性が悪化する。
本発明に使用するイソソルバイド系ポリカーボネート(D)は、一般に用いられる製造方法で製造することができ、その製造方法は、ホスゲンを用いた溶液重合法、炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法のいずれの方法でも良いが、重合触媒の存在下に、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物を、より環境への毒性の低い炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法が好ましい。
溶融重合法で用いられる炭酸ジエステルとしては、通常、下記一般式(2)で表されるものが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
Figure 2014205728
(一般式(2)において、A、Aは、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族基又は置換基を有していてもよい芳香族基であり、AとAは同一であっても異なっていてもよい。)
上記一般式(2)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート及びジ−t−ブチルカーボネート等が例示される。
これらの中でも、ジフェニルカーボネート、置換ジフェニルカーボネートが好ましく、ジフェニルカーボネートが特に好ましい。
また、溶融重合における重合触媒(エステル交換触媒)としては、公知のアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物が使用される。アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物と共に補助的に、塩基性ホウ素化合物、塩基性リン化合物、塩基性アンモニウム化合物、アミン系化合物等の塩基性化合物を併用することも可能である。
重合反応の形式は、公知の形式を用いることができ、バッチ式、連続式、あるいはバッチ式と連続式の組み合わせのいずれの方法でもよい。
本発明において、イソソルバイド系ポリカーボネート(D)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは25,000〜60,000の範囲であるが、より好ましくは30,000〜60,000、特に好ましくは35,000〜58,000であることが、得られる成形品の外観や、耐衝撃性の点において好ましい。この範囲よりも、イソソルバイド系ポリカーボネート(D)の重量平均分子量が大きい場合は、流動性が低下し、小さい場合は、得られる成形品の耐衝撃性、耐熱性が低下し、外観が悪くなる。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物において、イソソルバイド系ポリカーボネート(D)の含有量は、樹脂主成分100重量部、即ち、ポリ乳酸樹脂(A)と芳香族ポリカーボネート(B)とゴム含有グラフト共重合体(C)の合計100重量部に対して、1〜50重量部の範囲であるが、好ましくは5〜40重量部、より好ましくは10〜40重量部であることが、得られる成形品の外観や、耐衝撃性の点において好ましい。この範囲よりも、イソソルバイド系ポリカーボネート(D)が多いと、耐衝撃性、耐熱性が低下し、少ないと外観が悪くなる。
[難燃剤(E)]
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて更に難燃剤(E)を含有していてもよい。
本発明で使用可能な難燃剤(E)としては、難燃性を付与し得るものであれば、特に限定するものではなく、リン系難燃剤、臭素系難燃剤、窒素系難燃剤及び無機系難燃剤の中から選ばれる難燃剤を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明で使用されるリン系難燃剤としては、赤燐、リン化合物が挙げられ、リン化合物としては、ホスフィン、ホスフィンオキシド、ビスホスフィン、ホスホニウム塩、ホスフィン酸塩、リン酸エステル、亜リン酸エステル等を挙げることができる。これらの中で、成形時における金型汚染や腐食ガス発生の問題がない点で、リン酸エステル系難燃剤が好ましい。リン酸エステル系難燃剤としては、下記一般式(I)で表されるリン酸エステル化合物や、下記一般式(II)で表される縮合リン酸エステル化合物が挙げられる。
Figure 2014205728
((I)式中、R1、R2及びR3は、それぞれ相互に独立して選ばれる炭素数1〜8のアルキル基、又はアルキル置換されていても良い炭素数6〜20のアリール基を表し、nは0又は1である。)
Figure 2014205728
((II)式中、R4、R5、R6及びR7は、それぞれ相互に独立して選ばれるアリール基又はアルカリール基を表し、Xはアリーレン基を表し、j、k、l、及びmは、それぞれ相互に独立して0又は1である。Nは1〜5の整数であるが、リン酸エステル化合物の混合物の場合は、Nは平均値(1≦N≦5)を表す。)
前記一般式(I)で表されるリン酸エステル化合物の具体例としては、ビス−(フェニル)−メチルホスフェート、ビス−(エチル)−フェニルホスフェート、ビス−(エチル)−2,6−ジメチルフェニルホスフェート、ビス−(フェニル)−エチルホスフェート、ビス−(フェニル)−ブチルホスフェート、ビス−(ネオペンチル)−フェニルホスフェート、ビス−(4−メチルフェニル)−2−エチルヘキシルホスフェート、ビス−(2−エチルヘキシル)−フェニルホスフェート、ビス−(フェニル)−2−エチルヘキシルホスフェート、ビス−(フェニル)−オクチルホスフェート、ビス−(オクチル)フェニルホスフェート、ビス−(3,5,5−トリメチルヘキシル)フェニルホスフェート、ビス−(2,5,5−トリメチルヘキシル)−4−メチルフェニルホスフェート、ビス−(フェニル)−イソデシルホスフェート、ビス−(ドデシル)−4−メチルフェニルホスフェート、ビス−(ドデシル)フェニルホスフェート、トリス−(フェニル)ホスフェート、トリス−(2−メチルフェニル)ホスフェート、トリス−(4−メチルフェニル)ホスフェート、ビス−(2−メチルフェニル)フェニルホスフェート、ビス−(4−メチルフェニルフェニル)フェニルホスフェート、ビス−(フェニル)−2−メチルフェニルホスフェート、ビス−(フェニル)−4−メチルフェニルホスフェート、トリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェート、ビス−(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、ビス−(フェニル)−イソプロピルフェニルホスフェート、トリス−(ノニルフェニル)ホスフェート、トリス−(2,6−ジメチルフェニル)ホスフェート、ビス−(2,6−ジメチルフェニル)フェニルホスフェート、ビス−(2,6−ジメチルフェニル)−2,6−ジメチルフェニルホスフェート、ビス−(2,6−ジメチルフェニル)−4−t−ブチルフェニルホスフェート、ビス−(2,6−ジメチルフェニル)−4−メチルフェニルホスフェート、ビス−(2,6−ジメチルフェニル)−3−メチルフェニルホスフェート、ビス−(2,6−ジメチルフェニル)−4−イソプロピルフェニルホスフェート、ビス−(2,6−ジメチルフェニル)−2−イソプロピルフェニルホスフェートが挙げられ、これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
また、前記一般式(II)で表される縮合リン酸エステル化合物も1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。従って、前記一般式(II)において、Nの値は、必ずしも整数である必要はなく、混合物の場合は、縮合リン酸エステル化合物の混合物中の平均値を表す。前記一般式(II)において、R4、R5、R6及びR7は好ましくはクレジル基、フェニル基、キシレニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基であり、Xのアリーレン基は、例えばレゾルシノール、ハイドロキノン、ビスフェノールA及びこれらの塩素化物及び臭素化物などのジヒドロキシ化合物から誘導される基であっても良いし、フェニレン基等であっても良い。
リン系難燃剤としては、上記リン酸エステル化合物と縮合リン酸エステルとを併用しても良い。
本発明で使用される臭素系難燃剤としては、臭素化エポキシ重合体から選ばれる少なくとも1種の難燃剤が挙げられる。臭素化エポキシ重合体とは、臭素化ビスフェノール化合物とエピクロロヒドリン、又は臭素化ビスフェノール化合物ジグリシジルエーテルの付加重合体をいう。ここで、臭素化ビスフェノール化合物としてはテトラブロモビスフェノールA、ジブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、テトラブロモビスフェノールS等が挙げられる。臭素化エポキシ重合体の分子量は、重合度(臭素化ビスフェノール化合物・2−ヒドロキシプロパン単位の繰返数)に応じて数百から数万までのものがある。臭素化エポキシ重合体の分子末端は、エポキシ基のままであってもアリール基やアルキル基で変性されていても良く、更に、これらのアリール基やアルキル基は臭素で置換されていても良い。アリール基としてはフェニル基、キシリル基、トリブロモフェニル基等が挙げられ、アルキル基としては、メチル基、エチル基、トリブロモネオペンチル基等が挙げられる。
臭素化エポキシ重合体の具体的な例としては、テトラブロモビスフェノールA・エポキシ重合体及びトリブロモフェノール変性テトラブロモビスフェノールA・エポキシ重合体等が挙げられる。
本発明で使用される窒素系難燃剤としては、芳香族アミン化合物、脂肪族アミン化合物、芳香族アミド、脂肪族アミド、窒素含有複素環化合物などが挙げられる。芳香族アミンとしては、アニリン、フェニレンジアミンなどが挙げられる。脂肪族アミンとしては、エチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、1,2−ジアミノシクロヘキサンなどが挙げられる。芳香族アミドとしては、N,N−ジフェニルアセトアミドなどが挙げられる。脂肪族アミドとしては、N,N−ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。窒素含有複素環化合物としては、アデニン、グアニン、尿酸、メラミン、メラミンシアネート、メラミンイソシアネート、トリアジン化合物などが挙げられる。
本発明で使用される無機系難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、スズ酸亜鉛、酸化スズ、硫酸亜鉛、酸化第一鉄、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アンモニウム、ジルコニウム系化合物、グアニジン系化合物などが挙げられる。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物が難燃剤(E)を含有する場合、難燃剤(E)の含有量は、樹脂主成分とイソソルバイド系ポリカーボネート(D)との合計、即ち、ポリ乳酸樹脂(A)、芳香族ポリカーボネート(B)、ゴム含有グラフト共重合体(C)及びイソソルバイド系ポリカーボネート(D)の合計100重量部に対して10〜30重量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜25重量部、さらに好ましくは15〜25重量部であることが、難燃性、耐衝撃性、耐熱性の点において好ましい。この範囲よりも、難燃剤(E)の配合量が少ないと十分な難燃性が発現されず、多いと耐熱性、耐衝撃性などに問題を生じる。
なお、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物中にイソソルバイド系ポリカーボネート(D)を含まない場合、難燃剤(E)を配合した際の難燃効果は低くなる傾向にあり、イソソルバイド系ポリカーボネート(D)は、難燃剤(E)を配合した場合の難燃性の向上効果にも有効に機能する。
[滴下防止剤(F)]
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、滴下防止剤(F)を含有していてもよい。
本発明において、滴下防止剤(F)としては、メタクリル酸エステル重合物又はメタクリル酸エステルとアクリル酸エステルとの共重合物と、フッ素系(共)重合物とを共重合もしくは混合させたものが挙げられる(ここで「(共)重合」とは、「重合」と「共重合」の一方又は双方をさす。)。このうち、共重合の場合、例えば、フッ素系(共)重合物に、メタクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとアクリル酸エステルを添加しながら乳化重合する方法がある。また、メタクリル酸エステル重合物又はメタクリル酸エステルとアクリル酸エステルとの共重合物とフッ素系(共)重合物との混合物の場合、その混合方法としては、ラテックスとラテックスのブレンド、ラテックスとパウダーのブレンド、ビーズとラテックスのブレンド、ビーズとパウダーのブレンドなどが挙げられるが、より好ましくは、ラテックス同士のブレンドである。
このような滴下防止剤(F)の具体例としては、例えば、市販品の三菱レイヨン(株)社製「メタブレンA−3000」、「メタブレンA−3800」などを挙げることができる。
上記アクリル酸エステルとしては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸n−ヘプチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸ステアリルなどのアクリル酸脂肪族炭化水素(例えば炭素数1〜18のアルキル)エステル;アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸イソボルニルなどのアクリル酸脂環式炭化水素エステル;アクリル酸フェニル、アクリル酸トルイルなどのアクリル酸芳香族炭化水素エステル;アクリル酸ベンジルなどのアクリル酸アラルキルエステル、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸3−メトキシブチルなどのアクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;アクリル酸トリフルオロメチルメチル、アクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、アクリル酸2−パーフルオロエチル、アクリル酸パーフルオロメチル、アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、アクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのアクリル酸フッ化アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用しても良く、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
前記メタクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−ヘプチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリルなどのメタクリル酸脂肪族炭化水素(例えば炭素数1〜18のアルキル)エステル;メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニルなどのメタクリル酸脂環式炭化水素エステル;メタクリル酸ベンジルなどのメタクリル酸アラルキルエステル;メタクリル酸フェニル、メタクリル酸トルイルなどのメタクリル酸芳香族炭化水素エステル;メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸3−メトキシブチルなどのメタクリル酸とエーテル性酸素を有する官能基含有アルコールとのエステル;メタクリル酸トリフルオロメチルメチル、メタクリル酸2−トリフルオロメチルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロエチル、メタクリル酸パーフルオロメチル、メタクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、メタクリル酸2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチル、メタクリル酸2−パーフルオロヘキシルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロデシルエチル、メタクリル酸2−パーフルオロヘキサデシルエチルなどのメタクリル酸フッ化アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種を単独で使用しても良く、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
フッ素系(共)重合物としては、2フッ化エチレン重合物、3フッ化エチレン重合物、4フッ化エチレン重合物、フッ化ビニリデン重合物、4フッ化エチレン・6フッ化プロピレン共重合物等が使用され、これらのなかでも4フッ化エチレン重合物が好ましく、またその数平均分子量(Mn)は500,000以上、例えば600,000〜10,000,000が衝撃性と流動性のバランスから好適である。なお、分子量は標準比重から算出することができる。
滴下防止剤(F)を構成するメタクリル酸エステル重合物又はメタクリル酸エステル・アクリル酸エステル共重合物のメタクリル酸エステルとアクリル酸エステルとの割合は、メタクリル酸エステル:アクリル酸エステル=1:0〜1(重量比)であることが好ましい。この範囲よりもアクリル酸エステルが多く、メタクリル酸エステルが少ないと耐衝撃性が低下し、熱安定性が劣るため好ましくない。
また、メタクリル酸エステル重合物又はメタクリル酸エステル・アクリル酸エステル共重合物とフッ素系(共)重合物との割合は、メタクリル酸エステル重合物又はメタクリル酸エステル・アクリル酸エステル共重合物:フッ素系(共)重合物=1:0.1〜4(重量比)であることが好ましい。この範囲よりもメタクリル酸エステル重合物又はメタクリル酸エステル・アクリル酸エステル共重合物が多くフッ素系(共)重合物が少ないと燃焼性が低下する。逆にフッ素系(共)重合物が多くメタクリル酸エステル重合物又はメタクリル酸エステル・アクリル酸エステル共重合物が少ないと流動性が悪化したり、外観が悪化したりする。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物が滴下防止剤(F)を含む場合、滴下防止剤(F)の含有量は、樹脂主成分とイソソルバイド系ポリカーボネート(D)との合計、即ち、ポリ乳酸樹脂(A)、芳香族ポリカーボネート(B)、ゴム含有グラフト共重合体(C)及びイソソルバイド系ポリカーボネート(D)の合計100重量部に対して0.1〜8重量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部であることが、耐衝撃性の点において好ましい。この範囲よりも、滴下防止剤(F)の配合量が少ないと耐衝撃性、難燃性の改質効果が発現されず、多いと成形性、成形品外観などに問題を生じる。
[難燃補助材(G)]
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて、難燃補助材(G)を含有していてもよい。
本発明で使用可能な難燃補助材(G)としては、タルク、マイカなどの無機粒子、好ましくはシランカップリング剤で表面処理されたタルク、マイカなどの無機粒子が挙げられる。
シランカップリング剤で表面処理された無機粒子の場合、シランカップリング剤の被覆量は、基材粒子に対して通常0.1〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%の範囲である。シランカップリング剤としては、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、ヒドロキシル基などの官能基を有するものが使用できる。この官能基としては、エポキシ基又はアミノ基が好ましい。
このような難燃補助材(G)を使用することにより、機械物性及び耐熱性を損なうことなく、難燃性、特に高度な難燃性を付与することができる。難燃補助材(G)としては、特にタルク、とりわけシランカップリング剤で表面処理されたタルクが好ましい。
本発明で使用される難燃補助材(G)は、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物中に均一に分散することにより、難燃性、特に高度な難燃性を補助する効果を発揮する。従って、難燃補助材(G)の無機粒子の平均粒子径としては好ましくは0.5〜15μmであり、より好ましくは1〜15μm、さらに好ましくは1.3〜13μmである。難燃補助材(G)の平均粒子径が0.5μm未満である場合は、樹脂への混練り時に凝集を起こしやすく、そのため成形品の外観を低下させるだけでなく難燃性の安定化を損なう。平均粒子径が15μmを超える場合は、耐衝撃性などの物性を低下させるだけでなく難燃性の安定化を損なう。
難燃補助材(G)の粒子径は、沈降法やレーザー回折法等で測定ができるが、特に、レーザー回折法が行ないやすい。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物が難燃補助材(G)を含有する場合、樹脂主成分とイソソルバイド系ポリカーボネート(D)との合計、即ち、ポリ乳酸樹脂(A)、芳香族ポリカーボネート(B)、ゴム含有グラフト共重合体(C)及びイソソルバイド系ポリカーボネート(D)の合計100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.1〜15重量部が、特に好ましくは3〜10重量部であることが、難燃性、機械物性の点において好ましい。この範囲よりも、難燃補助材(G)の含有量が少ないと十分な難燃補助効果が得られず、多いと耐衝撃性などに問題を生じる。
[加水分解抑制剤(H)]
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて加水分解抑制剤(H)を含有していてもよい。
本発明で用いる加水分解抑制剤(H)は、好ましくは分子中に1個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物、より好ましくは脂肪族系ポリカルボジイミドからなる。
また、加水分解抑制剤(H)は、カルボジイミド化合物と酸化防止剤とのカルボジイミド組成物からなることが好ましく、さらに好ましくは、酸化防止剤を脂肪族系ポリカルボジイミド化合物の合成時に混入させることにより、分散、存在させたカルボジイミド組成物である。
本発明において用いられる、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有するカルボジイミド化合物としては、一般的に良く知られた方法で合成されたものを使用することができ、例えば、触媒として有機リン系化合物又は有機金属化合物を用い、各種ポリイソシアネートを約70℃以上の温度で、無溶媒又は不活性溶媒中で、脱炭酸縮合反応に付することより合成することができるものを挙げることができる。
本発明で使用することのできるモノカルボジイミド化合物としては、例えばN,N´−ジフェニルカルボジイミド、N,N´−ジ−2,6−ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等を例示することができる。
また、本発明ではポリカルボジイミド化合物も好適に用いることができる。ポリカルボジイミド化合物としては、種々の方法で製造したものを使用することができるが、基本的には、従来のポリカルボジイミド化合物の製造方法[例えば、米国特許第2941956号明細書、特公昭47−33279号公報、J.0rg.Chem.28,2069−2075(1963)、ChemicalReviewl981,Vol.81No.4、p619−621]により、製造されたものを用いることができる。
本発明において用いられるポリカルボジイミド化合物の製造における合成原料である有機ジイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートやこれらの混合物を使用することができる。
芳香族系イソシアネートとしては、例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5−トリイソプロヒルベンゼン−2,4−ジイソシアネート等を例示することができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、へキサメチレンジイソシアネート等を例示することができる。
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート等を例示することができる。
また、上記ポリカルボジイミド化合物の場合は、重合反応を冷却等により、途中で停止させ、適当な重合度に制御することができる。この場合、末端はイソシアネートとなる。更に、適当な重合度に制御するには、モノイソシアネート等の、ポリカルボジイミド化合物の末端イソシアネートと反応する化合物を用いて、残存する末端イソシアネートの全て、又は、一部を封止する方法もある。重合度を制御することにより、ポリマーへの相溶性向上や保存安定性を高めたりすることなどができ、品質向上の点で好ましい。
このようなポリカルボジイミド化合物の末端を封止してその重合度を制御するためのモノイソシアネートとしては、例えば、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート等を例示することができる。
また、ポリカルボジイミド化合物の末端を封止してその重合度を制御する末端封止剤としては、上記モノイソシアネートに限定されることはなく、イソシアネートと反応し得る活性水素化合物、例えば、(i)脂肪族、芳香族又は脂環族化合物であって、−OH基を有するメタノール、エタノール、フェノール、シクロヘキサノール、N−メチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル;(ii)=NH基を有するジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン;(iii)−NH基を有するブチルアミン、シクロヘキシルアミン;(iv)−COOH基を有するコハク酸、安息香酸、シクロヘキサン酸;(v)−SH基を有するエチルメルカプタン、アリルメルカプタン、チオフェノール;(vi)エポキシ基を有する化合物;(vii)無水酢酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等を例示することができるが、黄変が少ない構造のものとしては、−OH基を有するものが望ましい。
上記有機ジイソシアネートの脱炭酸縮合反応は、適当なカルボジイミド化触媒の存在下で行うものであり、使用し得るカルボジイミド化触媒としては、有機リン系化合物、有機金属化合物(一般式M−(OR)[ここで、Mは、チタン(Ti)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、バナジウム(V)、タングステン(W)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)、鉛(Pb)、マンガン(Mn)、ニッケル(Ni)、カルシウム(Ca)やバリウム(Ba)等を、Rは、炭素数1〜20のアルキル基又はアリール基を示す]で表されるもの)が好適であり、特に活性の面から、有機リン系化合物ではフォスフォレンオキシド類が、また、有機金属化合物ではチタン、ハフニウム、ジルコニウムのアルコキシド類が好ましい。
上記フォスフォレンオキシド類としては、具体的には、3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド、3−メチル−1−エチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1,3−ジメチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−エチル−2−フォスフォレン−1−オキシド、1−メチル−2−フォスフォレン−1−オキシド又はこれらの二重結合異性体を例示することができ、中でも工業的に入手の容易な3−メチル−1−フェニル−2−フォスフォレン−1−オキシドが特に好ましい。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物が加水分解抑制剤(H)を含有する場合、耐加水分解抑制剤(H)の含有量は、樹脂主成分とイソソルバイド系ポリカーボネート(D)との合計、即ち、ポリ乳酸樹脂(A)、芳香族ポリカーボネート(B)、ゴム含有グラフト共重合体(C)及びイソソルバイド系ポリカーボネート(D)の合計100重量部に対して1〜5重量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.5〜3.5重量部、さらに好ましくは2〜3重量部であることが、耐久性の点において好ましい。この範囲よりも、加水分解抑制剤(H)の含有量が少ないと耐久性の向上効果が発現されず、多いと難燃性、機械的特性などに問題を生じる。
[その他の成分]
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物には、上記ポリ乳酸樹脂(A)、芳香族ポリカーボネート(B)、ゴム含有グラフト共重合体(C)、イソソルバイド系ポリカーボネート(D)、及び必要に応じて配合することができる難燃剤(E)、滴下防止剤(F)、難燃補助材(G)、加水分解抑制剤(H)の他、更に各種の添加剤やその他の樹脂を配合することができる。この場合、各種添加剤としては、公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、可塑剤、安定剤、離型剤、帯電防止剤、着色剤(顔料、染料など)、炭素繊維、ガラス繊維、ウォラストナイト、炭酸カルシウム、シリカなどの充填剤、ドリップ防止剤、抗菌剤、防カビ剤、シリコ−ンオイル、カップリング剤などの1種又は2種以上が挙げられる。
また、その他の樹脂としては、HIPS樹脂、ABS樹脂、ASA樹脂、AES樹脂などのゴム強化スチレン系樹脂、その他に、AS樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ナイロン樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。また、これらを2種類以上ブレンドしたものでも良く、さらに、相溶化剤や官能基などにより変性された上記樹脂を配合しても良い。
[ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の製造及び成形]
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物をペレット化する方法としては、特に制限はなく、例えば、二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロール等を用いることができるが、中でも二軸押出機による溶融混練が好ましく、必要に応じて、サイドフィードなどにより樹脂やその他の添加剤を配合することもできる。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、ブロー成形、シート成形、真空成形などの通常の成形方法によって、各種成形品に成形することができるが、その成形法としては特に射出成形が好適である。
得られる成形品の用途としては特に制限はないが、電気・電子分野、自動車分野、光学分野、建材分野等が挙げられ、特に電子・電気分野などの各種筐体や構造部材としての用途に好適に用いることができる。
また、本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品は、塗装、メッキ、蒸着などの二次加飾性や、溶着、切削などの二次加工性も良好であり、より広い分野、部材への展開も図ることができる。
なお、本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物の各成分を調製する際、或いはこれらの成分を混合、混練、成形する際などに発生する樹脂屑等は、そのままの状態もしくは、場合によって破砕して溶融再生処理に供することができる。この場合、成形中に回収することも可能であるが、別途回収しておいて、上述のペレットの製造工程において、原料として混合使用することも可能である。
以下に、合成例、製造例、実施例、及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら制限されるものではない。
なお、以下において、「部」は「重量部」を意味するものとする。
また、以下において、重量平均分子量は、東ソー(株)製:GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー、溶媒;THF又はCHCl)を用いた標準PS(ポリスチレン)換算法にて測定した。
ゴム質重合体の平均粒子径は、日機装(株)製:MicrotracModel:9230UPAを用いて動的光散乱法により求めた。
単量体の重量組成比率は、(株)堀場製作所製:FT−IRを使用して求めた。
ポリ乳酸樹脂(A)、芳香族ポリカーボネート(B)、難燃剤(E)としては、以下のものを用いた。
[使用材料]
<ポリ乳酸樹脂(A)>
ポリ乳酸樹脂(a−1):生分解性ポリマー(L体/D体=98/2(重量比)、
重量平均分子量=140,000、融点=171℃)
ポリ乳酸樹脂(a−2):生分解性ポリマー(L体/D体=99/1(重量比)、
重量平均分子量=90,000、融点=175℃)
<芳香族ポリカーボネート(B)>
芳香族ポリカーボネート(b−1):三菱エンジニアリングプラスチック(株)製
「ユーピロンE-2000」(重量平均分子量(Mw)27,000)
芳香族ポリカーボネート(b−2):三菱エンジニアリングプラスチック(株)製
「ユーピロンS-3000」(重量平均分子量(Mw)23,000)
芳香族ポリカーボネート(b−3):出光興産(株)製
「タフロンA1700」(重量平均分子量(Mw)17,000)
<難燃剤(E)>
難燃剤(e−1):大八化学工業(株)製リン系難燃剤「PX−200」
[ゴム含有グラフト共重合体(C)の合成]
<合成例1:ゴム含有グラフト共重合体(c−1)の製造>
以下の配合にて、乳化重合法によりゴム含有グラフト共重合体を合成した。
〔原料配合〕
スチレン(ST) 25部
アクリロニトリル(AN) 10部
ポリブタジエンラテックス 65部(固形分として)
不均化ロジン酸カリウム 1部
水酸化カリウム 0.03部
ターシャリードデシルメルカプタン(t−DM) 0.04部
クメンハイドロパーオキサイド 0.3部
硫酸第一鉄 0.007部
ピロリン酸ナトリウム 0.1部
結晶ブドウ糖 0.3部
蒸留水 190部
オートクレーブに蒸留水、不均化ロジン酸カリウム、水酸化カリウム及びポリブタジエンラテックス(ゲル含有量80重量%、平均粒子径0.3μm)を仕込み、60℃に加熱後、硫酸第一鉄、ピロリン酸ナトリウム、結晶ブドウ糖を添加し、60℃に保持したままST、AN、t−DM及びクメンハイドロパーオキサイドを2時間かけて連続添加し、その後70℃に昇温して1時間保って反応を完結した。かかる反応によって得たABSラテックスに酸化防止剤を添加し、その後硫酸により凝固させ、十分水洗後、乾燥してABSグラフト共重合体(c−1)を得た。
<合成例2:ゴム含有グラフト共重合体(c−2)の製造>
合成例1の原料配合において、ゴム質重合体としてポリブチルアクリレート(ゲル含有量65%、平均粒子径0.34μm)60部(固形分として)を用い、単量体としてアクリロニトリル12部及びスチレン28部を反応させたこと以外は、合成例1と同様にしてグラフト重合を行い、ASAグラフト共重合体(c−2)を得た。
<合成例3:ゴム含有グラフト共重合体(c−3、c−4、c−5)の製造>
1)ゴム状共重合体ラテックス(r−1)の製造
〔原料配合〕
ブチルアクリレート 60部
1,3−ブタジエン 40部
ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキシド 0.2部
牛脂脂肪酸カリウム 1部
N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム 0.5部
ピロリン酸ナトリウム 0.005部
硫酸第一鉄 0.005部
デキストローズ 0.3部
脱イオン水 200部
上記原料配合の成分の中で、1,3−ブタジエンを除く成分については、その中に含まれる酸素を窒素で置換し、実質上重合反応を阻害しない状態とした。その後全ての成分をオートクレーブに仕込み、50℃で重合した。9時間でほぼ重合は完了し、転化率97%で、粒子径0.07μmのゴム状共重合体ラテックス(r−1)が得られた。
2)ゴム状共重合体ラテックス(r−2)の製造
ブチルアクリレートを50部とし、1,3−ブタジエンを50部としたこと以外は、上記ゴム状共重合体ラテックス(r−1)と同様にして、転化率95%で、粒子径0.09μmのゴム状共重合体ラテックス(r−2)を得た。
3)肥大化用酸基含有共重合体ラテックス(KL−1)の製造
下記1段目の原料配合の混合物を5Lのガラス製丸底フラスコ内にて、70℃で1.5時間重合させた後、引続き70℃で、下記2段目の原料配合の混合物を1時間かけて滴下し、その後1時間攪拌を続けて転化率98%で肥大化用酸基含有共重合体ラテックス(KL−1)を得た。
〔1段目の原料配合〕
N−ブチルアクリレート 25部
オレイン酸カリウム 2部
ジオクチルスルホコハク酸ソーダ 1部
クメンヒドロパーオキシド 0.1部
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.3部
脱イオン水 200部
〔2段目の原料配合〕
n−ブチルアクリレート 60部
メタクリル酸 15部
クメンヒドロパーオキシド 0.3部
4)肥大化ゴム状共重合体(R−1)の製造
ポリマー固形分100部を含む前記ゴム状共重合体ラテツクス(r−1)の入ったオートクレーブをかき混ぜながら、内温50℃で15分間保持した後、上記の肥大化用酸基含有共重合体ラテックス(KL−1)4部を加えて30分間保持した。さらに、5重量%硫酸ナトリウム水溶液10部を加えて1時間保持して肥大化ゴム状共重合体(R−1)を得た。得られた肥大化ゴム状共重合体(R−1)の平均粒子径は0.21μmであった。
5)肥大化ゴム状共重合体(R−2)の製造
肥大化ゴム状共重合体(R−1)の製造において、ゴム状共重合体ラテックス(r−1)の代りにゴム状共重合体ラテツクス(r−2)を使用した以外は同様にして、肥大化ゴム状共重合体(R−2)を得た。得られた肥大化ゴム状共重合体(R−2)の平均粒子径は0.22μmであった。
6)ゴム含有グラフト共重合体(c−3)の製造
肥大化ゴム状共重合体(R−1)の重合体固形分69部を含む肥大化ラテックスの入った、肥大化を行った反応容器に、脱イオン水62.8部、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.138部、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム0.34部を加え、内温を75℃に昇温し、下記配合の原料を90分間にわたり連続的に添加して重合した。
〔原料配合〕
メタクリル酸メチル(MMA) 29.8部
アクリル酸メチル(MA) 1.2部
ノルマルオクチルメルカプタン 0.0465部
クメンヒドロパーオキシド 0.11部
添加終了後、さらに60分間重合を継続した。メタクリル酸メチルの転化率はほぼ100%であった。得られた重合体ラテックスに、スチレン化フェノール58部、ジラウリルチオプロピオネート0.3部、トリフエニルフォスファイト0.4部を加え、50℃の温度条件下、0.25重量%の硫酸水により、ラテックス/水=1/2で凝集させて、さらに85℃で5分間保持した。得られたスラリー状重合体を洗浄・脱水して、65℃で36時間乾燥し、ゴム含有グラフト共重合体(c−3)の白色の粉末を得た。
7)ゴム含有グラフト共重合体(c−4)の製造
ゴム含有グラフト共重合体(c−3)の製造において、メタクリル酸メチル(MMA)を27部、アクリル酸メチル(MA)を3部に変更した以外は同様に製造し、ゴム含有グラフト共重合体(c−4)を得た。
8)ゴム含有グラフト共重合体(c−5)の製造
ゴム含有グラフト共重合体(c−3)の製造において、肥大化ゴム状共重合体(R−1)の代りに肥大化ゴム状共重合体(R−2)を使用した以外は同様に製造し、ゴム含有グラフト共重合体(c−5)を得た。
<合成例4:ゴム含有グラフト共重合体(c−6)の製造>
1)ゴム状共重合体ラテックス(r−3)の製造
EPDM(三井化学(株)製TP3180)100部、低分子量変性ポリエチレン(三井化学(株)製ハイワックス2203A)9部、更に、オレイン酸カリウム2.6部を混合した。次いで、それらの混合物を2軸スクリュー押出機(池貝鉄鋼(株)製PCM−30型、L/D=40)のホッパーより6kg/時間で供給し、水酸化カリウム15重量%水溶液を110g/時間で連続的に供給しながら、加熱温度200℃で溶融混練して溶融物を押出した。引き続き、溶融物を同押出機先端に取り付けた冷却用一軸押出機に連続的に供給し、90℃まで冷却した。取り出した固体を80℃の温水中に投入し、連続的に分散させて、平均粒子径0.35μmのゴム質重合体ラテックスを得た。
このラテックスの固形分100部に対してt−ブチル−クミルパーオキサイドを1.0部、ジビニルベンゼンを1.0部添加し、135℃で5時間反応させて、ゴム状共重合体ラテックス(r−3)を調製した。
このゴム状共重合体ラテックス(r−3)のゲル含量は65重量%であった。なお、ゲル含有量は、ゴム状共重合体ラテックスを希硫酸にて凝固させ、水洗乾燥した後、これを1g採取して200mlのトルエン中に40時間浸漬し、次いで、200メッシュ金網にて濾過し、残渣を乾燥し、その質量を測定して求めた。
2)ゴム含有グラフト共重合体(c−6)の製造
攪拌機付きステンレス重合槽に、イオン交換水180部、ゴム状共重合体ラテックス(r−3)を固形分として70部、N−ラウロイルザルコシン酸ナトリウム0.5部、硫酸第一鉄0.006部、ピロリン酸ナトリウム0.23部及びデキストローズ0.35部を仕込み、温度を80℃とした。
次に、メタクリル酸メチル29.8部、アクリル酸メチル0.2部及びクメンハイドロパーオキサイド0.6部を170分連続的に添加し、重合温度を80℃で一定に保ち、乳化グラフト重合を行った。重合終了後のモノマー転化率は95%であった。
重合後、得られたグラフト共重合体ラテックスに酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行い、洗浄、脱水、乾燥の工程を経て、粉末状のゴム含有グラフト共重合体(c−6)を得た。
合成例1〜4で製造したゴム含有グラフト共重合体(c−1)〜(c−6)のゴム含有量、単量体の重量組成比率、グラフト率、及びアセトン可溶分の重量平均分子量(Mw)を測定したところ、下記表1の通りであった。
Figure 2014205728
[イソソルバイド系ポリカーボネート(D)の製造]
<製造例1:イソソルバイド系ポリカーボネート(d−1)の製造>
撹拌翼及び100℃に制御された還流冷却器を具備した重合反応装置に、イソソルビド(ISB)と1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)、蒸留精製して塩化物イオン濃度を10ppb以下にしたジフェニルカーボネート(DPC)及び酢酸カルシウム1水和物を、モル比率でISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物=0.7/0.3/1.00/1.3×10−6になるように仕込み、十分に窒素置換した(酸素濃度0.0005〜0.001体積%)。続いて熱媒で内容物の加温を行った。
内温が100℃になった時点で撹拌を開始し、内温が100℃になるように制御しながら内容物を融解させ均一にした。その後、昇温を開始し、40分で内温を210℃にした。
内温が210℃に到達した時点でこの温度を保持するように制御すると同時に、減圧を開始し、210℃に到達してから90分で13.3kPa(絶対圧力、以下同様)にして、この圧力を保持するようにしながら、さらに60分間保持した。重合反応とともに副生するフェノール蒸気を、還流冷却器に導いた。還流冷却器で凝縮した成分を重合反応装置に戻し、凝縮しないフェノール蒸気は続いて45℃の温水を冷媒として用いた凝縮器に導いて回収した。
上記重合反応装置でオリゴマー化させた内容物を、一旦大気圧にまで復圧させた後、撹拌翼及び上記同様に制御された還流冷却器を具備した別の重合反応装置に移し、昇温及び減圧を開始して、60分で内温220℃、圧力200Paにした。その後、20分かけて内温228℃、圧力133Pa以下にして、所定撹拌動力になった時点で復圧し、重合反応装置出口より溶融状態のポリカーボネート共重合体を得た。
更に3つのベント口及び注水設備を供えた二軸押出機に連続的に前記溶融状態のポリカーボネート共重合体を供給し、酸化防止剤及び離型剤を連続的に添加するとともに、二軸押出機に具備された各ベント部にてフェノールなどの低分子量物を減圧脱揮した後、ペレタイザーによりペレット化を行い、イソソルバイド系ポリカーボネート(d−1)を得た。
<製造例2:イソソルバイド系ポリカーボネート(d−2)の製造>
製造例1において、ISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物のモル比率を0.5/0.5/1.00/1.3×10−6に変えた以外は、製造例1と同様に行った。
<製造例3:イソソルバイド系ポリカーボネート(d−3)の製造>
製造例1において、ISB/CHDM/DPC/酢酸カルシウム1水和物のモル比率を1.0/0/1.00/1.3×10−6に変えた以外は、製造例1と同様に行った。
製造例1〜3で製造したイソソルバイド系ポリカーボネート(d−1)〜(d−3)の重量平均分子量を測定したところ、下記表2に示す通りであった。なお、表2には、各イソソルバイド系ポリカーボネートを構成するジヒドロキシ化合物に由来する構造単位のモル比であるISB/CHDMのモル%を併記した。
Figure 2014205728
[ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物ペレットの製造及び評価]
上記の各成分を表3,4に示す配合割合で混合し、更に、安定剤として、日清紡(株)社製「カルボジライトHMV−8CA」2部と共に混合した後、200〜240℃で2軸押出機(日本製鋼所製「TEX−30α」)にて溶融混合し、ペレット化することにより、ポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物のペレットを作製した。
これらの樹脂ペレットを4オンス射出成形機((株)日本製鋼所製)で220〜250℃にて100mm角のプレートを成形し、目視にて成形品の白モヤ、フローマークを確認し、それぞれ下記基準で評価した。
<白モヤ>
◎:モヤがない
○:モヤがほとんどない
△:モヤが見えるが比較的鮮明に見える
×:モヤがひどく白っぽく見える
<フローマーク>
◎:フローマークが見えない
○:フローマークがほとんど見えない
△:ゲート付近にフローマークが少し見える
×:プレート全体にフローマークが見える
また、これらの樹脂ペレットを2オンス射出成形機(東芝(株)製)で220〜250℃にて成形し、耐衝撃性(シャルピー衝撃強さ)、耐熱性(荷重たわみ温度)を下記方法で測定した。
シャルピー衝撃強さ(kJ/m):ISO179(常温)
荷重たわみ温度(℃):ISO75(測定荷重0.45MPa)
また、難燃性については、各樹脂ペレットを、2オンス射出成形機(東芝(株)製)を用いて220〜250℃で成形して、1.2mm厚みの試験片を作製し、UL94に準じた燃焼試験を行い、難燃性を確認した。
[実施例及び比較例]
表3,4に、実施例1〜10、及び比較例1〜9の結果を示した。
Figure 2014205728
Figure 2014205728
[考察]
表3,4から明らかなように、本発明の請求項の要件を満たす実施例1〜10のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物は、外観が非常に良好で、耐衝撃性、耐熱性の物性バランスに優れている。
これに対して、比較例1、2のポリ乳酸樹脂(A)と芳香族ポリカーボネート(B)のみのものは真珠光沢の外観となってしまう。比較例3、4のように、ゴム含有グラフト共重合体(C)、イソソルバイド系ポリカーボネート(D)のいずれか一方のみを含む場合は、外観が若干良好になるが十分な結果とはいえない。比較例5〜8のように配合量が請求範囲外であったり、ゴム含有グラフト共重合体(C)のゴム質重合体にグラフト重合した単量体にアクリル系単量体を含まない場合、実施例1〜10に比べて、外観の改善効果、物性のバランスに劣る。また、参考例2のように難燃剤(E)が多すぎると耐衝撃性、耐熱性、外観の低下を招く。比較例9のように難燃剤を配合した材料系でもイソソルバイド系ポリカーボネート(D)を含まない場合、比較例1,2と同様、外観が良くなく、難燃性も低下する。
本発明のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品は、優れた外観、耐衝撃性等の機械強度、耐熱性を有し、特に耐熱性が優れることから成形サイクルを短縮することができ成形性に優れ、また、塗装や蒸着といった二次加飾性や二次加工性にも優れている。さらに外観にも優れており、その用途として、例えば、電気・電子関連の用途では、ノートパソコン、携帯電話、プリンター、テレビ、オーディオなどのOA機器や家電製品の外装材など、市場のニーズに合わせて多彩な用途に使用することができ、その工業的有用性は非常に高い上に、環境負荷の低減にも有効である。

Claims (8)

  1. ポリ乳酸樹脂(A)10〜40重量部と、芳香族ポリカーボネート(B)30〜85重量部と、ゴム質重合体にアクリル系単量体をグラフト重合してなるゴム含有グラフト共重合体(C)5〜30重量部との合計100重量部に対して、イソソルバイド構造を含むポリカーボネート(D)を1〜50重量部含むことを特徴とするポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
  2. イソソルバイド構造を含むポリカーボネート(D)の重量平均分子量が25,000〜60,000であることを特徴とする請求項1に記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
  3. ゴム含有グラフト共重合体(C)中のゴム質重合体が、ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム、及びオレフィン系ゴムよりなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
  4. 更に難燃剤(E)を、ポリ乳酸樹脂(A)と芳香族ポリカーボネート(B)とゴム含有グラフト共重合体(C)とイソソルバイド構造を含むポリカーボネート(D)との合計100重量部に対して10〜30重量部含有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
  5. ゴム含有グラフト共重合体(C)のゴム質重合体含有量が40〜80重量%で、ゴム含有グラフト共重合体(C)のアセトン可溶分の重量平均分子量(Mw)が、50,000〜300,000で、グラフト率が15〜38重量%であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
  6. イソソルバイド構造を含むポリカーボネート(D)が、下記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位を含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
    Figure 2014205728
  7. イソソルバイド構造を含むポリカーボネート(D)が、前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位とシクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位とを含み、イソソルバイド構造を含むポリカーボネート(D)に含まれる全ジヒドロキシ化合物に由来する構造単位中、式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構造単位の割合が95〜30モル%で、シクロヘキサンジメタノールに由来する構造単位の割合が5〜70モル%であることを特徴とする請求項6に記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のポリ乳酸系熱可塑性樹脂組成物を成形してなるポリ乳酸系熱可塑性樹脂成形品。
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