JP5664396B2 - ポリカーボネート樹脂組成物からなるシールド部材 - Google Patents
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Description
受けても変色や濁りやひびや割れを起こさない高い耐候性を有し、更に耐熱性が要求される場合があるが、従来のシールド部材に使用されているポリアクリル樹脂やポリカーボネート樹脂では、耐衝撃性が劣っていたり、耐候性改善のために種々の添加剤を使用したり、耐擦傷性改善のためにハードコート膜を施したりする必要があった。また、それらの対策をしても、未だ充分な耐候性や耐擦傷性や耐衝撃性を有するものではなかった。
[1]
構造の一部に下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂(A)と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)とを含むポリカーボネート樹脂組成物からなるシールド部材。
[2]
前記ポリカーボネート樹脂組成物が、リチウム及び長周期型周期表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む化合物を、金属量としてポリカーボネート樹脂組成物に対して20重量ppm以下で含む、[1]に記載のシールド部材。
[3]
前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物が、環構造を有するジヒドロキシ化合物である、[1]または[2]に記載のシールド部材。
[4]
前記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物が、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物である、[1]から[3]のいずれか1つに記載のシールド部材。
前記ポリカーボネート樹脂(A)がポリカーボネート共重合体である、[1]から[4]のいずれか1つに記載のシールド部材。
[6]
前記ポリカーボネート共重合体に含まれる前記式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位の、全構成単位に対する比率が50モル%未満である、[5]に記載のシールド部材。
[7]
前記ポリカーボネート共重合体に含まれるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位が、脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物である、[5]または[6]に記載のシールド部材。
本発明のシールド部材は、構造の一部に下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂(A)と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)とを含むポリカーボネート樹脂組成物からなるものである。但し、式(1)で表される部位が−CH2−O−Hを構成する部位である場合を除く。
ロキシ化合物に由来する構成単位として、少なくとも芳香族環を有するジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を有するものである。
<ポリカーボネート樹脂(A)>
本発明のシールド部材は、式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂(A)を含むポリカーボネート樹脂組成物を用いるもので、当該ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位としては、式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構成単位のみを用いてもよいし、その他のジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むポリカーボネート共重合体であっても構わない。また、本発明において、ポリカーボネート樹脂(A)は、1種のみ単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用しても構わない。
本発明に係るポリカーボネート樹脂(A)の有する構成単位の由来となる、式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物としては、構造の一部に上記式(1)で表される部位を有するものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのオキシアルキレングリコール類や、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−イソブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−tert−ブチル−6−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロポキシ)フェニル)フルオレン等の側鎖に芳香族基を有し、主鎖に芳香族基に結合したエーテル基を有する化合物や、下記式(2)、(3)および(6)で表される分子内に環状エーテル構造を有する化合物が挙げられる。
造が単環であっても多環であってもよいが、なかでも環状構造を複数有するものが好ましく、更には環状構造を2つ有するものが好ましく、特にはそれら2つの環状構造が同じものであることが好ましい。また、耐熱性の観点からは、分子内に環状エーテル構造を有するジヒドロキシ化合物のなかでも、下記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に代表される無水糖アルコールが好ましい。
周期型周期表(Nomenclature of Inorganic Chemistry IUPAC Recommendations 2005)
における1族または2族の金属の水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硼酸塩、脂肪酸塩や、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等の塩基性アンモニウム化合物、4−アミノピリジン、2−アミノピリジン、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン、4−ジエチルアミノピリジン、2−ヒドロキシピリジン、2−メトキシピリジン、4−メトキシピリジン、2−ジメチルアミノイミダゾール、2−メトキシイミダゾール、イミダゾール、2−メルカプトイミダゾール、2−メチルイミダゾール、アミノキノリン等のアミン系化合物が挙げられる。その中でも、その効果と後述する蒸留除去のしやすさから、ナトリウムまたはカリウムのリン酸塩、亜リン酸塩が好ましく、中でもリン酸水素2ナトリウム、亜リン酸水素2ナトリウムが好ましい。
合物中の蟻酸含有量を20重量ppm以下、好ましくは10重量ppm以下、特に好ましくは5重量ppm以下にすることにより、前記本発明のジヒドロキシ化合物を含むジヒドロキシ化合物をポリカーボネート樹脂の製造原料として使用した際に、重合反応性を損なうことなく色相や熱安定性に優れたポリカーボネート樹脂の製造が可能となる。蟻酸含有量の測定はイオンクロマトグラフィーで行う。
特に、本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物の透明性を高めるという点で、ポリカーボネート樹脂(A)は脂肪族ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含有することが好ましく、当該脂肪族ジヒドロキシ化合物が環構造を有する所謂脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むことがより好ましい。そして、同様に透明性を高めるという点で、当該脂肪族ジヒドロキシ化合物または脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物に由来する構成単位は、炭素数が11以下であることが好ましい。さらに、本発明のポリカーボネート樹脂組成物の透明性を高めるという点で、全ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位に対する、脂肪族ジヒドロキシ化合物または脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物に由来する構成単位の割合は、50モル%より大きいことが好ましく、より好ましくは52モル%以上であることが好ましく、更には55モル%以上であることが好ましく、特には58モル%以上であることが好ましい。
タノール、2,3−デカリンジメタノール、2,3−ノルボルナンジメタノール、2,5−ノルボルナンジメタノール、1,3−アダマンタンジメタノール等の脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物が好ましい。より具体的には1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールが好ましく、なかでも脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物である、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールが好ましい。
本発明で使用するポリカーボネート樹脂(A)は、式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を少なくとも含むものであるが、既に記載したように本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物の透明性を高める観点で、脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むことが好ましい。
が挙げられる。
HO−R2−OH (III)
(但し、式(II),式(III)中、R1,R2は、炭素数4〜20のシクロアルキル基、又は炭素数6〜20のシクロアルコキシル基を表す。)
上記式(II)で表される脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物であるシクロヘキサンジメタノールとしては、式(II)において、R1が下記式(IIa)(式中、R3は炭素数1〜12のアルキル基を表す。)で示される種々の異性体を包含する。このようなものとしては、具体的には、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。
ジオール、2,3−デカリンジオール等が用いられる。
(ガラス転移温度)
本発明に係るポリカーボネート樹脂(A)は、耐熱性や成形性の観点から、ガラス転移温度が50℃以上であることが好ましく、より好ましくは60℃以上であって、特には7
0℃以上であることが好ましい。ガラス転移温度を高くすることで、耐熱性が向上する。
より具体的には例えば、式(1)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を多くして、脂肪族または脂環式のジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を少なくすると、ガラス転移温度が高くなる傾向がある。
本発明に係るポリカーボネート樹脂(A)の重合度は、溶媒としてフェノールと1,1,2,2,−テトラクロロエタンの重量比1:1の混合溶液を用い、ポリカーボネート濃度を1.00g/dlに精密に調整し、温度30.0℃±0.1℃で測定した還元粘度(以下、単に「ポリカーボネート(共)重合体の還元粘度」と称す。)として、0.40dl/g以上、特に0.40dl/g以上で2.0dl/g以下であるような重合度であることが好ましい。このような還元粘度範囲とすることにより、機械的特性が高まると同時に、成形性もより好ましくなり、成形サイクル特性が高まると同時に、熱変形し難くなる。ポリカーボネート樹脂(A)還元粘度が極端に低いものでは、成形した時の機械的強度が低下する虞があり、特に耐衝撃性が低下する虞が高くなるため、シールド部材として不適当となる。また、ポリカーボネート樹脂(A)の還元粘度が大きくなりすぎると、成形する際の流動性が低下し、成形サイクル特性を低下させ、成形品のひずみが大きくなり、熱により変形し易い傾向がある。従って、本発明のポリカーボネートの還元粘度は0.40dl/g以上2.0dl/g以下、特に0.45dl/g以上1.5dl/g以下の範囲内であることが好ましい。
本発明に用いる芳香族ポリカーボネート樹脂(B)は、ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位をカーボネート結合で連結したポリカーボネート樹脂であって、構造中に芳香族環を有するものであれば、従前知られる如何なるものも使用することが可能であり、式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むものであっても構わない。好ましくは、ジヒドロキシ化合物に由来する全構成単位中、芳香族環を有するジヒドロキシ化合物に由来する構成単位が最も多いポリカーボネート樹脂であって、より好ましくはジヒドロキシ化合物に由来する全構成単位に対して芳香族環を有するジヒドロキシ化合物に由来する構造が50モル%以上、より好ましくは70モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、特に好ましくはカーボネート結合以外の構成単位であるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位すべてが、芳香族環を有しているポリカーボネート樹脂が用いられる。ただし、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)が、式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を含むものである場合、ポリカーボネート樹脂(A)とは異なる構造のポリカーボネート樹脂が使用される。
ても構わない。より具体的には、下記式(4)で表される繰返し構造を有するポリカーボネート樹脂が用いられる。
置換基を有していてもよいアリーレン基としては、アリーレン基であれば特に制限されるものではないが、好ましくは芳香族環が3つ以下のアリーレン基であって、より好ましくはフェニレン基である。Ar1,Ar2が各々独立して有していてもよい置換基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルコキシ基、ハロゲン基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香族基があげられる。これらの置換基の中でも、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基、または置換基を有していてもよい炭素数6〜20の芳香族基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であって、特に好ましくはメチル基があげられる。
4,4’−ビフェノール、2,4’−ビフェノール、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’−ジメチル−2,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’−ジ−(t−ブチル)−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、3,3’,5,5’−テトラ−(t−ブチル)−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ジヒドロキシ−1,1’−ビフェニル等のビフェニル化合物。
ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−イソプロピルフェニル)プロパン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3−sec−ブチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3,6−ジメチルフェニル)エタン、ビス−(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)メタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)エタン、2,2−ビス−(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)フェニルエタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)シクロヘキサン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビス−[フェノール]、4,4’−[1,4−フェニレンビスメチレン]ビス−[フェノール]、4,4’−[1,
4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビス−[2,6−ジメチルフェノール]、
4,4’−[1,4−フェニレンビスメチレン]ビス−[2,6−ジメチルフェノール]、4,4’−[1,4−フェニレンビスメチレン]ビス−[2,3,6−トリメチルフェノール]、4,4’−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビス−[2,3,6−
トリメチルフェノール]、4,4’−[1,3−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビス−[2,3,6−トリメチルフェノール]、4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4'−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、フェノールフタルレイン、4,4'−[1,4−フェニレンビス(1−メチルビニリデン)]
ビスフェノール、4,4'−[1,4−フェニレンビス(1−メチルビニリデン)]ビス[2−メチルフェノール]、(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)メタン
、(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、1,1−(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのビスフェノール化合物。2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどのハロゲン化ビスフェノール化合物。
ルプロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2−ヒドロキシフェニル(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−(2−ヒドロキシフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)プロパンなどの、アルキリデン基によりフェノール類が連結されたビスフェノール化合物があげられる。
本発明に係る芳香族ポリカーボネート樹脂(B)は、ポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性や成形性の観点から、ガラス転移温度が50℃以上であることが好ましく、より好ましくは60℃以上であって、特には70℃以上であることが好ましい。
本発明における芳香族ポリカーボネート樹脂(B)のガラス転移温度は、ポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度と同様に、JIS K7121に規定される方法に準拠して測定される。
<ポリカーボネート樹脂の製造方法>
本発明に係るポリカーボネート樹脂(A)および芳香族ポリカーボネート樹脂(B)の製造方法は、ポリカーボネート樹脂を製造することができる方法であれば、従前知られる如何なるポリカーボネート樹脂の製造方法によるものであっても構わない。より具体的には例えば、ホスゲン法、エステル交換法、ピリジン法等、従前知られるいずれの方法を用いてもかまわない。好ましくは、ホスゲンを用いた溶液重合法、炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法があげられるが、重合触媒の存在下に、ジヒドロキシ化合物を、より環境への毒性の低い炭酸ジエステルと反応させる溶融重合法が、より好ましい。
エステル交換法は、ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステルとを塩基性触媒、さらにはこの塩基性触媒を中和する酸性物質を添加し、溶融エステル交換縮重合を行う製造方法である。ジヒドロキシ化合物としては、既にポリカーボネート樹脂(A)および芳香族ポリカーボネート樹脂(B)について詳細に記載したジヒドロキシ化合物を用いる。
上記式(5)で表される炭酸ジエステルとしては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーネート、ビス(ビフェニル)カーボネート等に代表される置換ジアリールカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等に代表される置換アルキルカーボネートが例示されるが、特に好ましくはジフェニルカーボネート及び置換ジフェニルカーボネートが挙げられる。これらの炭酸ジエステルは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
ム、酢酸ストロンチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ストロンチウム等が挙げられる。
またアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物と併用される塩基性ホウ素化合物の具体例としては、テトラメチルホウ素、テトラエチルホウ素、テトラプロピルホウ素、テトラブチルホウ素、トリメチルエチルホウ素、トリメチルベンジルホウ素、トリメチルフェニルホウ素、トリエチルメチルホウ素、トリエチルベンジルホウ素、トリエチルフェニルホウ素、トリブチルベンジルホウ素、トリブチルフェニルホウ素、テトラフェニルホウ素、ベンジルトリフェニルホウ素、メチルトリフェニルホウ素、ブチルトリフェニルホウ素等のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、バリウム塩、マグネシウム塩、あるいはストロンチウム塩等が挙げられる。
塩基性アンモニウム化合物としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、トリブチルフェニルアンモニウムヒドロキシド、テトラフェニルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド、ブチルトリフェニルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
0℃、好ましくは150〜200℃の温度で0.1〜10時間、好ましくは0.5〜3時
間実施される。第2段目以降は、反応系の圧力を第1段目の圧力から徐々に下げながら反応温度を上げていき、同時に発生するフェノールを反応系外へ除きながら、最終的には反応系の圧力が200Pa以下で、210〜280℃の温度範囲のもとで重縮合反応を行う。
本発明のポリカーボネートを溶融重合法で製造する際に、着色を防止する目的で、リン酸化合物や亜リン酸化合物を重合時に添加することができる。
リン酸化合物としては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等のリン酸トリアルキルの1種又は2種以上が好適に用いられる。これらは、全ヒドロキシ化合物成分に対して、0.0001モル%以上0.005モル%以下添加することが好ましく、さらに好ましくは0.0003モル%以上0.003モル%以下添加することが好ましい。リン化合物の添加量が上記下限より少ないと、着色防止効果が小さく、上記上限より多いと、ヘイズが高くなる原因となったり、逆に着色を促進させたり、耐熱性を低下させたりする。
<ポリカーボネート樹脂組成物>
本発明のシールド部材は、構造の一部に下記式(1)で表される部位を有するジヒドロキシ化合物に由来する構成単位を少なくとも含むポリカーボネート樹脂(A)と、芳香族ポリカーボネート樹脂(B)とを含むポリカーボネート樹脂組成物からなるものである。但し、式(1)で表される部位が−CH2−O−Hを構成する部位である場合を除く。
本発明のシールド部材には、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂や、樹脂以外の添加剤を配合することもできる。これらのポリカーボネート樹脂以外の材料は、成形加工性や諸物性のさらなる向上・調整を目的として配合する、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂の具体例としては、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等の樹脂やコア−シェル型、グラフト型又は線状のランダム及びブロック共重合体のようなゴム状改質剤などが挙げられる。前記ポリカーボネート樹脂以外の
樹脂の配合量としては、本発明で用いるポリカーボネート樹脂(A)と芳香族ポリカーボネート樹脂(B)との混合物100重量%に対して、1重量部以上、30重量部以下の割合で配合することが好ましく、3重量部以上、20重量部以下の割合で配合することがより好ましく、5重量部以上、10重量部以下の割合で配合することがさらに好ましい。
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物は、従前知られる樹脂の混合方法により、ポリカーボネート樹脂(A)と芳香族ポリカーボネート樹脂(B)とを混合することにより製造することができる。また、ポリカーボネート樹脂(A)と芳香族ポリカーボネート樹脂(B)を混合する際に、またはポリカーボネート樹脂(A)と芳香族ポリカーボネート樹脂(B)とを混合した組成物に更に、熱安定剤や酸化防止剤などの従前知られる添加剤を混合して得られる組成物であっても構わない。中でも、本発明におけるポリカーボネート樹脂組成物が好ましく含有する添加剤について、以下に詳細に記載する。
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物には、成形時等における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。 かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。これらの熱安定剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化
防止剤を配合することもできる。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、射出成形時の金型からの離型性をより向上させるために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を配合することも可能である。
高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルが好ましい。かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート、エチレングリコールジステアレート等が挙げられる。
これらの離型剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。 かかる離型剤の配合量は、ポリカーボネート樹脂組成物を100重量部とした場合、0.01〜5重量部が好ましい。
かかる紫外線吸収剤、光安定剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)等が挙げられる。紫外線吸収剤の融点としては、特に120〜250℃の範囲にあるものが好ましい。融点が120℃以上の紫外線吸収剤を使用すると、成形品表面のガスによる曇りが減少し改善される。具体的には、2−(
7'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−
3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2'−ヒドロキシ−3'−(3",4",5",6"−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5'−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメ
チルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾールなどのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が使用され、これらのうちでも、特に、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジクミルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブ
チル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノールが好ましい。
さらに、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、加水分解性を改善するため、本願発明の目的を損なわない範囲で、エポキシ化合物を配合することができる。
チルシクロヘキシルカルボキシレート、2,3−エポキシシクロヘキシルメチル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4−(3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシル)ブチル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘ
キシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6'−メチルシロヘキシルカルボキシレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノールAグリシジルエーテル、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、ビス−エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス−エポキシエチレングリコール、ビス−エポキシシクロヘキシルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、オクチルエポキシタレート、エポキシ化ポリブタジエン、3,4−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3,5
−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3−メチル−5−t−ブチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、オクタデシル−2,2−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N−ブチル−2,2−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、シクロヘキシル−2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボ
キシレート、N−ブチル−2−イソプロピル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキ
シルカルボキシレート、オクタデシル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレー
ト、2−エチルヘキシル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,6−
ジメチル−2,3−エポキシシクロヘキシル−3',4'−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3−t−ブチル−4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート、ジ−n−ブチル−3−t−ブチル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレートなどが挙げられる。ビスフェノールAジグリシジルエーテルが相溶性などの点から好ましい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物には、重合体や紫外線吸収剤に基づくシールド部材の黄色味を打ち消すためにブルーイング剤を配合することができる。ブルーイング剤としては、従前知られるポリカーボネート樹脂組成物に使用されるものであれば、特に支障なく使用することができる。一般的にはアンスラキノン系染料が入手容易であり好ましい。
et31[CA.No 68210、一般名Solvent Violet33[CA.No 60725;、一般名Solvent Blue94[CA.No 61500]、
一般名Solvent Violet36[CA.No 68210]、一般名Solv
ent Blue97[ランクセス社製「マクロレックスブルーRR」]および一般名Solvent Blue45[CA.No61110]が代表例として挙げられる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物と上述のような各種の添加剤との配合は、例えばタンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合する方法、あるいは上記各成分を例えば塩化メチレンなどの共通の良溶媒に溶解させた状態で混合する溶液ブレンド方法などがあるが、これは特に限定されるものではなく、通常用いられるポリマーブレンド方法であればどのような方法を用いてもよい。
学的な精度などに依存するが、100μm以下が好ましい。特に、異物の混入がシールド部材の性能に影響する場合は、40μm以下、さらには10μm以下が好ましい。さらに、ポリカーボネート樹脂組成物の押出は、押出後の異物混入を防止するために、クリーンルーム中で実施することが望ましい。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物からなるシールド部材の成形は、従前知られるシールド部材の成形法と同様に行うことができる。具体的には例えば射出成形により成形することが可能であって、その場合には金型温度は30℃〜120℃、ポリカーボネート樹脂組成物の温度は220〜290℃となるようにするのがよい。
本発明のシールド部材は、通常一定値以上の光を透過させて使用されるものであるため、光散乱性能を有していても構わないが、通常透明性が高いことが好ましく、ヘイズが20.0%以下であることが好ましく、より好ましくは15.0%以下であって、特には10.0%以下であることが好ましい。
(全光線透過率)
本発明のシールド部材は、通常一定値以上の光を透過させて使用されるものであるため、通常透明性が高いことが好ましく、全光線透過率が高いものが好ましい。全光線透過率が60.0%以上であることが好ましく、より好ましくは70.0%以上であって、特には75.0%以上であることが好ましい。
本発明のシールド部材に用いるポリカーボネート樹脂組成物のガラス転移温度は、シールド部材の耐熱性や成形性の観点から、ガラス転移温度が50℃以上であることが好ましく、より好ましくは60℃以上であって、特には70℃以上であることが好ましい。
本発明におけるガラス転移温度は、ポリカーボネート樹脂(A)および芳香族ポリカーボネート樹脂(B)のガラス転移温度と同様に、JIS K7121に規定される方法に準拠して測定される。
本発明のシールド部材の表面傷付き性能を向上させるために、ポリカーボネート樹脂組成物の鉛筆硬度は、通常高いことが好ましく、より好ましくはF以上であって、更に好ましくはH以上であって、特には2H以上が好ましい。
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物の鉛筆硬度は、ポリカーボネート樹脂(A)の、分子構造、分子量、分岐の有無、共重合体であるか否か、共重合体の場合はその組成比などの物性に影響され、また芳香族ポリカーボネート樹脂(B)の、分子構造、分子量
、分岐の有無、共重合体であるか否か、共重合体の場合はその組成比などの物性にも影響される。更に、ポリカーボネート樹脂(A)と芳香族ポリカーボネート樹脂(B)の混合比率や、他の添加剤などによっても影響される。そのため、それらを適宜調節することによって、ポリカーボネート樹脂組成物の鉛筆硬度を調節することが可能である。
(1)還元粘度の測定
ポリカーボネート樹脂のサンプルを、溶媒として塩化メチレンを用いて溶解し、0.6g/dLの濃度のポリカーボネート溶液を調製した。森友理化工業社製ウベローデ型粘度管を用いて、温度20.0℃±0.1℃で測定を行い、溶媒の通過時間t0と溶液の通過時間tから次式より相対粘度ηrelを求め、
ηrel=t/t0
相対粘度から次式より比粘度ηspを求めた。
比粘度を濃度c(g/dL)で割って、還元粘度ηsp/cを求めた。この値が高いほど分子量が大きい。
(2)ノッチ付シャルピー衝撃強度
機械物性用ISO試験片についてISO179に準拠してノッチ付シャルピー衝撃試験を実施した。
JIS K5600−5−4に準拠して、コーテック社製引っかき硬度(鉛筆法)試験器を用いて、射出成形片(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)の鉛筆硬度を6B〜6Hの範囲で測定した。6Bは表面硬度が低く、6Hは表面硬度が高いことを示す。
(4)色相測定
JIS K7105に準拠し、分光色差計(日本電色工業社製SE2000)を使用し、C光源透過法にて射出成形片(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)のイエローインデックス(YI)値を測定した。YI値が小さい程、黄色味がなく品質が優れることを示す。
JIS K7105に準拠し、ヘイズメーター(日本電色工業社製NDH2000)を使用し、D65光源にて射出成形片(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)の全光線透過率を測定した。
(6)サンシャインウェザーメーター照射試験
JIS B7753に準拠してスガ試験機社製サンシャインウェザーメーターS80を用いて、サンシャインカーボンアーク(ウルトラロングライフカーボン4対)光源で放電電圧50V、放電電流60Aに設定し、照射及び表面スプレ(降雨)にてブラックパネル温度63℃、相対湿度50%の条件下、射出成形片の平板(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)の正方形の面に対して、500時間照射処理を行った。表面スプレー(降雨)時間は、12分/1時間とした。ガラスフィルターはAタイプを用いた。照射処理後の
YIと全光線透過率を測定し、さらに500時間処理後のYIと処理前のYIとの差を求めた。
PC1:
イソソルビドに由来する構成単位/1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構成単位=40/60モル%、還元粘度 0.63dl/g
PC2:
イソソルビドに由来する構成単位/1,4−シクロヘキサンジメタノールに由来する構成単位=70/30モル%、還元粘度 0.51dl/g
<芳香族ポリカーボネート樹脂(B)>
PC3:
2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)プロパンに由来する構成単位を有する、三菱エンジニアリングプラスチックス社製ノバレックス7022J、還元粘度 0.47dl/g
(実施例1)
PC1、およびPC3を重量比80:20の割合でドライブレンドした後、日本製鋼所社製2軸押出機(TEX30HSS−32)を用いて、樹脂温度250℃で押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化した。ペレットを、窒素雰囲気下、80℃で10時間乾燥した後に、射出成形機(日本製鋼所社製J75EII型)に供給し、樹脂温度250℃、金型温度60℃、成形サイクル40秒間の条件で、射出成形板(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)および機械物性用ISO試験片を成形した。得られたサンプルについて、全光線透過率、YI、ノッチ付シャルピー衝撃強度の測定を行なった結果を表1に示す。
PC1、およびPC3を重量比60:40の割合で混合した以外は、実施例1と同様の方法でサンプルの作製、評価を行なった。結果を表1に示す。
(実施例3)
PC1、およびPC3を重量比40:60の割合で混合した以外は、実施例1と同様の方法でサンプルの作製、評価を行なった。結果を表1に示す。
PC2、およびPC3を混合質量比80:20の割合で混合した以外は実施例1と同様の方法でサンプルの作製、評価を行なった。結果を表1に示す。
(比較例2)
PC3のみを、窒素雰囲気下、120℃で6時間乾燥した後に、射出成形機(日本製鋼所社製J75EII型)に供給し、樹脂温度280℃、金型温度を80℃、成形サイクル40秒間の条件で、射出成形板(幅60mm×長さ60mm×厚さ3mm)および機械物性用ISO試験片を成形した以外は実施例1と同様の評価を行なった。結果を表1に示す。
Claims (5)
- 前記ポリカーボネート樹脂組成物が、リチウム及び長周期型周期表第2族の金属からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を含む化合物を、金属量としてポリカーボネート樹脂組成物に対して20重量ppm以下で含む、請求項1に記載のシールド部材。
- 前記ポリカーボネート共重合体に含まれる前記式(2)で表されるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位の、全構成単位に対する比率が50モル%未満である、請求項1または請求項2に記載のシールド部材。
- 前記ポリカーボネート共重合体に含まれるジヒドロキシ化合物に由来する構成単位が、脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシールド部材。
- 前記ポリカーボネート共重合体に含まれる脂環式炭化水素のジヒドロキシ化合物に由来する構成単位のモル比率が、ポリカーボネート樹脂(A)中の、全ジヒドロキシ化合物に由来する構成単位に対して、50モル%以上である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシールド部材。
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