JP2014180777A - 繊維樹脂成型体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂中にセルロース繊維が分散した低線膨張性の繊維樹脂成型体を製造するにあたり、固形分中にセルロース繊維を15重量%以上含有し、溶媒を除去すると流動性を喪失するようなセルロース繊維含有樹脂ワニスを使用して両面平滑な繊維樹脂成型体を製造する方法を提供する。
【解決手段】第一の基板及び第二の基板に、それぞれ、固形分中にセルロース繊維を15重量%以上、並びに硬化性樹脂及び/又は硬化性樹脂前駆体を含む繊維分散体を製膜し、第一の基板に製膜された繊維分散体膜上に、さらに、硬化性樹脂及び/又は硬化性樹脂前駆体を含む樹脂分散体を付与した後、該第一の基板及び該第二の基板の、分散体が製膜された面どうしを貼り合せ、次いで、硬化性樹脂及び/又は硬化性樹脂前駆体を硬化させる繊維樹脂成型体の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、セルロース繊維を含有する樹脂ワニスを用いて両面平滑な繊維樹脂成型体を製造する方法に関する。
近年、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、有機EL照明の光学部材や保護フィルム、または積層基板の絶縁材料等の分野において、低線膨張性と表面平滑性を両立した樹脂成型体が求められている。
材料の低線膨張性を実現するためには様々なアプローチがなされているが、近年、セルロース繊維を用いた複合材料が注目されている。セルロースは分子内・分子間水素結合に由来する剛直な構造を有しているため、有機物であるにもかかわらずガラス並みの低線膨張性を示す。そのため、樹脂などと複合化することで、従来の高分子材料では実現できないような低線膨張材料を得ることができる。また、セルロースは木質天然由来の材料であり、省資源、低炭素社会実現の観点からも、研究の意義は大きい。
しかし、従来の方法でセルロース繊維を含む複合材料を製造すると、低線膨張性と表面平滑性を両立した繊維樹脂成型体を得ることが困難であった。
例えば、特許文献1〜3では、セルロース繊維の不織布に液状の樹脂前駆体を含浸させて硬化させることで、セルロース繊維と樹脂との複合体を製造することが開示されているが、この方法では、セルロース繊維不織布表面に由来するラフネスやうねりを除去するため、複合体の最表面樹脂層をある程度厚くする必要がある。表面平滑性を得るために、複合体の最表面樹脂層を厚くすると複合体中の正味のセルロース繊維含有量が低下してしまい、期待通りの低線膨張性が得られないという課題がある。
このような課題を克服する方法として、セルロース繊維を含有した樹脂ワニスを注型・硬化させる製法が考えられる。しかし、この方法で十分な低線膨張性を示す複合体を得るためには、樹脂ワニス中のセルロース繊維含有量を少なくとも15重量%以上にする必要があり、このような高セルロース繊維含有率の樹脂ワニスでは、流動性を持たないため、注型をすることができない。
そこで、セルロース繊維含有樹脂ワニスを溶媒中に分散させて流動性を持たせた上で基板に製膜し、脱溶媒した後、硬化させる製法が考えられるが、この製法では、脱溶媒時にワニス表面に凹凸が発生し、両面平滑な繊維樹脂成型体を得ることができない課題があった。
特開2006−316253号公報 特開2007−165357号公報 特開2008−127510号公報
本発明は、固形分中にセルロース繊維を15重量%以上含有し、溶媒を除去すると流動性を喪失するようなセルロース繊維含有樹脂ワニスを使用して、両面平滑な繊維樹脂成型体を製造することができる繊維樹脂成型体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討し、実験を重ねた結果、セルロース繊維含有樹脂ワニスを2枚の基板にそれぞれ製膜して、貼り合せて硬化させることで、基板表面の平滑性が転写され、両面平滑性と低線膨張性を両立した繊維樹脂成型体を得ることができること、また、その際に、貼り合わせるワニスの製膜面に、セルロース繊維を含まないか、セルロース繊維の含有量の少ない樹脂ワニスを付与することで、貼り合せ面に空隙を形成することなく密着させることができることが分かり、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、樹脂中にセルロース繊維が分散した繊維樹脂成型体の製造方法であって、第一の基板及び第二の基板に、それぞれ、セルロース繊維、並びに硬化性樹脂及び/又は硬化性樹脂前駆体を含み、固形分中のセルロース繊維含有量が15重量%以上である繊維分散体を製膜し、第一の基板に製膜された繊維分散体膜上に、さらに、硬化性樹脂及び/又は硬化性樹脂前駆体を含む樹脂分散体を付与した後、該第一の基板及び該第二の基板の、分散体が製膜された面どうしを貼り合せ、次いで、硬化性樹脂及び/又は硬化性樹脂前駆体を硬化させることを特徴とする繊維樹脂成型体の製造方法、に存する。
本発明によれば、固形分中にセルロース繊維を15重量%以上含有するような流動性の乏しいセルロース繊維含有樹脂ワニスを使用して、両面平滑な繊維樹脂成型体を得ることができる。このため、繊維樹脂成型体中のセルロース繊維含有率を高くして、両面平滑性と低線膨張性の双方を両立した材料を実現することができる。本発明の繊維樹脂成型体の製造方法により製造された、低線膨張性と両面平滑性を兼備する繊維樹脂成型体は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、有機EL照明の光学部材や保護フィルム、または積層基板の絶縁材料等として、工業的に有用である。
本発明の繊維樹脂成型体の製造方法の実施の形態の一例を示す模式的断面図である。 本発明の繊維樹脂成型体の製造方法の実施の形態の他の例を示す模式的断面図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、これらの内容に特定はされない。
本発明の繊維樹脂成型体の製造方法は、樹脂中にセルロース繊維が分散した繊維樹脂成型体(以下、「本発明の繊維樹脂成型体」と称す場合がある。)の製造方法であって、第一の基板及び第二の基板に、それぞれ、セルロース繊維、並びに硬化性樹脂及び/又は硬化性樹脂前駆体を含み、固形分中のセルロース繊維含有量が15重量%以上である繊維分散体を製膜し、第一の基板に製膜された繊維分散体膜上に、さらに、硬化性樹脂及び/又は硬化性樹脂前駆体を含む樹脂分散体を付与した後、該第一の基板及び該第二の基板の、分散体が製膜された面どうしを貼り合せ、次いで、硬化性樹脂及び/又は硬化性樹脂前駆体を硬化させることを特徴とする。
[セルロース繊維]
まず、本発明の繊維樹脂成型体に含有されるセルロース繊維について説明する。
本発明に用いるセルロース繊維は特に限定されるものではないが、通常は、以下に列挙するセルロース含有物から精製処理を経て不純物を除去されたセルロース繊維原料を更に解繊処理したものを使用することが好ましい。
<セルロース含有物>
セルロース含有物としては、例えば、針葉樹や広葉樹等の木質(木粉等)、コットンリンターやコットンリント等のコットン、さとうきびや砂糖大根等の絞りかす、亜麻、ラミー、ジュート、ケナフ等の靭皮繊維、サイザル、パイナップル等の葉脈繊維、アバカ、バナナ等の葉柄繊維、ココナツヤシ等の果実繊維、竹等の茎幹繊維等の植物由来原料;バクテリアが産生するバクテリアセルロース;バロニアやシオグサ等の海草やホヤの被嚢;等の天然セルロースが挙げられる。これらの天然セルロースは、結晶性が高いので低線膨張率、高弾性率になり好ましい。中でも、植物由来原料が好ましい。
このようなセルロース含有物に、必要に応じて後述する精製処理を施して、不純物を除去してもよいが、不純物を一部含むものを使用してもよい。
<精製処理>
セルロース含有物に精製処理を施して、セルロース含有物中のセルロース以外の物質、例えば、リグニンやヘミセルロース、樹脂(ヤニ)などを必要に応じて除去することが好ましい。この精製方法は特に制限されないが、例えば、脱脂処理、脱リグニン処理、脱ヘミセルロース処理などが挙げられる。一例としては、セルロース含有物をベンゼン−エタノールで脱脂処理した後、ワイズ法で脱リグニン処理を行い、アルカリで脱ヘミセルロース処理をする方法が挙げられる。
また、脱リグニン処理としては、上記ワイズ法の他に、過酢酸を用いる方法(pa法)、過酢酸過硫酸混合物を用いる方法(pxa法)なども利用される。
また、必要に応じて、塩素、オゾン、次亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、二酸化塩素などで漂白処理を行ってもよい。
また、精製方法としては、一般的な化学パルプの製造方法、例えば、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、アルカリパルプ、硝酸パルプの製造方法も挙げられる。また、セルロース含有物を蒸解釜で加熱処理して脱リグニン等の処理を行い、更に漂白処理等を行う方法も挙げられる。
精製処理には、分散媒として一般的に水が用いられるが、酸または塩基、その他の処理剤の水溶液であってもよく、この場合には、最終的に水で洗浄処理してもよい。
また、セルロース含有物を木材チップや木粉などの状態に破砕してもよく、この破砕は、精製処理前、処理の途中、処理後、いずれのタイミングで行ってもかまわない。
セルロース含有物の精製処理には、通常、酸または塩基、その他の処理剤を用いるが、その種類は特に限定されない。例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、硫化ナトリウム、硫化マグネシウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カルシウム、亜硫酸マグネシウム、亜硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酢酸、シュウ酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、亜塩素酸ナトリウム、塩素酸ナトリウム、二酸化塩素、塩素、過塩素酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、過酸化水素、オゾン、ハイドロサルファイト、アントラキノン、ジヒドロジヒドロキシアントラセン、テトラヒドロアントラキノン、アントラヒドロキノン、また、エタノール、メタノール、2−プロパノールなどのアルコール類およびアセトンなどの水溶性有機溶媒などが挙げられる。これらの処理剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、2種以上の処理剤を用いて、2以上の精製処理を行うこともでき、その場合、異なる処理剤を用いた精製処理間で、水で洗浄処理することが好ましい。
精製処理時の温度、圧力は特に制限はなく、温度は0℃以上100℃以下の範囲で選択されることが好ましく、1気圧を超える加圧下での処理の場合、温度は100℃以上200℃以下とすることが好ましい。
<セルロース繊維原料>
セルロース含有物を精製して得られたセルロース繊維は、通常、含水状態(水分散液)として得られる。セルロース含有物を精製して得られたセルロース繊維を以下セルロース繊維原料ということがある。
また、セルロース繊維原料としては、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹亜硫酸パルプ、針葉樹亜硫酸パルプ、広葉樹漂白クラフトパルプ、針葉樹漂白クラフトパルプ、リンターパルプなども挙げられる。
<セルロース繊維原料の繊維径>
セルロース繊維原料の繊維径は特に制限されるものではなく、解繊効率および取扱い性の点から、数平均繊維径としては10μm〜100mmであることが好ましく、50μm〜0.5mmであることがより好ましい。
このような繊維径とするには、例えば切断や破砕などの機械的処理をセルロース含有物等に施せばよい。機械的処理は、精製処理前、処理中、処理後のいずれの時期に行ってもよい。例えば、精製処理前であれば衝撃式粉砕機や剪断式粉砕機などを用い、また精製処理中、処理後であればリファイナーなどを用いて行うことができる。
例えば、チップ等の数cm大のものを精製処理したものである場合、リファイナーやビーター等の離解機で機械的処理を行い、数mm程度にすることが好ましい。
なお、本発明において、セルロース繊維及びセルロース繊維原料の数平均繊維径の測定方法は特に限定されず、走査型電子顕微鏡(以下SEM)、透過型電子顕微鏡(以下TEM)、原子間力顕微鏡(以下AFM)等で観察することにより計測して求めることができる。例えば、走査型電子顕微鏡で測定する場合は、測定対象のセルロース繊維の分散液から溶媒を乾燥除去した後、SEM写真の対角線に線を引き、その近傍にある繊維をランダムに12点抽出し、最も太い繊維と最も細い繊維を除去した10点の測定値の平均を数平均繊維径する。セルロース繊維の数平均繊維長についても同様に測定することができる。
<変性セルロース繊維>
本発明に用いられるセルロース繊維は、変性されたものであってもよい。
以下、セルロース繊維の変性について説明する。
変性されたセルロース繊維とは、セルロース繊維を構成するセルロースの水酸基やヒドロキシメチル基の一部が他の基によって置換等されたセルロース繊維をいう。
変性の方法としては、酸化処理、化学変性処理などが挙げられる。
なお、この変性のための処理は、セルロース繊維原料に対して行ってもよく、後述の解繊処理後のセルロース繊維に対して行ってもよい。
酸化処理を行うことにより、セルロースにカルボキシ基を導入することができる。酸化処理としては、酸化性を有するガス(以下「酸化性ガス」という)にセルロース繊維原料又はセルロース繊維を接触させる方法や、酸化性化学種を含む溶液にセルロース繊維原料又はセルロース繊維を懸濁または浸漬させる方法を挙げることができる。
酸化性ガスとしては、特に限定されるものではないが、オゾン、塩素ガス、フッ素ガス、二酸化塩素、亜酸化窒素等が挙げられ、これらの2種以上を含むものであってもよい。
酸化性化学種としては、一般にアルコールをアルデヒドまたはカルボン酸に酸化することができる試薬を用いることができ、特に限定されるものではないが、六価クロム酸硫酸混液、ジョーンズ試薬(無水クロム酸の硫酸酸性溶液)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC試薬)などのクロム酸酸化試薬、スワーン(Swern)酸化などに使われる活性化ジメチルスルホキシド試薬、また、触媒的な酸化が生じるテトラプロピルアンモニウムペルルテナード(TPAP)や、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)などのN−オキシル化合物(特開2008−1728号公報)などが挙げられる。
化学変性処理としては以下に記載の基を導入する処理が挙げられる。
例えば、アセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基、ブチリル基、2−ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基、シンナモイル基等のアシル基;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のイソシアネート基;メチル基、エチル基、プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基;オキシラン基;オキセタン基;チイラン基;チエタン基;カルボン酸基;リン酸基等が挙げられる。
また、これらの置換基の中の水素原子が水酸基、カルボキシ基等の官能基で置換されても構わない。また、アルキル基の一部が不飽和結合になっていても構わない。また、セルロース繊維には、これらの基の2種以上の置換基が導入されていてもよい。
これらの置換基の中では特にアセチル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基等の炭素数2〜12のアシル基が好ましく、とりわけアセチル基が好ましい。
これらの置換基は、セルロース繊維原料又はセルロース繊維と次に挙げるような化学修飾剤とを反応させることにより、導入することができる。
化学修飾剤の種類としては、例えば、酸、酸無水物、アルコール、ハロゲン化試薬、並びにイソシアナート、アルコキシシランおよびオキシラン(エポキシ)等の環状エーテルよりなる群から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
酸としては、例えば、酢酸、アクリル酸、メタクリル酸、プロパン酸、ブタン酸、2−ブタン酸およびペンタン酸等が挙げられる。
酸無水物としては、例えば、無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水プロパン酸、無水ブタン酸、無水2−ブタン酸および無水ペンタン酸等が挙げられる。
ハロゲン化試薬としては、例えば、アセチルハライド、アクリロイルハライド、メタクロイルハライド、プロパノイルハライド、ブタノイルハライド、2−ブタノイルハライド、ペンタノイルハライド、ベンゾイルハライドおよびナフトイルハライドが挙げられる。
アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールおよび2−プロパノール等が挙げられる。
イソシアナートとしては、例えば、メチルイソシアナート、エチルイソシアナートおよびプロピルイソシアナート等が挙げられる。
アルコキシシランとしては、例えば、メトキシシランおよびエトキシシラン等が挙げられる。
オキシラン(エポキシ)等の環状エーテルとしては、例えば、エチルオキシランおよびエチルオキセタンが挙げられる。
これらの中では、特に、無水酢酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、ベンゾイルハライド又はナフトイルハライドが好ましい。
これらの化学修飾剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
化学変性は、公知の方法によって実施することができる。すなわち、常法に従って、セルロース繊維原料又は繊維長や繊維径の調整されたセルロース繊維と化学修飾剤とを反応させることによって実施することができる。この際、必要に応じて溶媒や触媒を使用してもよく、加熱、減圧等を行ってもよい。
なお、セルロース繊維原料を用いる場合、該セルロース繊維原料は通常含水状態であるので、この水を反応溶媒と置換して、化学修飾剤と水との反応を極力抑制することが好ましい。また、水を除去するために原料の乾燥を行うと、後述する解繊処理での原料の微細化が進行しにくくなるため、乾燥工程を入れることは好ましくない。
化学修飾剤の量は特に限定されず、化学修飾剤の種類によっても異なるが、セルロースの水酸基のモル数に対して、0.01倍以上が好ましく、0.05倍以上がより好ましく、100倍以下が好ましく、50倍以下がより好ましい。
溶媒としては、化学変性を阻害しない水溶性有機溶媒を用いることが好ましい。水溶性有機溶媒としては、例えば、アセトン、ピリジン等の有機溶媒や、蟻酸、酢酸、蓚酸等の有機酸が挙げられ、特に酢酸等の有機酸が好ましい。酢酸等の有機酸を用いることで、化学修飾がセルロースに均一に進行するため、後述する解繊がしやすくなり、得られる熱硬化性樹脂成形物が高耐熱性、高生産性を示すと考えられる。また、上記溶媒以外のものを併用しても構わない。
使用される溶媒の量は特に限定されないが、通常、セルロース重量に対して、0.5重量倍以上が好ましく、1重量倍以上がより好ましく、200重量倍以下が好ましく、100重量倍以下がより好ましい。
また、触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム等の塩基性触媒や、酢酸、硫酸、過塩素酸等の酸性触媒を用いることが好ましい。触媒の量は特に限定されず、種類によっても異なるが、通常、セルロースの水酸基のモル数に対して、0.01モル倍以上が好ましく、0.05モル倍以上がより好ましく、100モル倍以下が好ましく、50モル倍以下がより好ましい。
温度条件は特に制限されないが、高すぎるとセルロースの黄変や重合度の低下等が懸念され、低すぎると反応速度が低下することから、10〜130℃が好ましい。反応時間も特に制限されず、化学修飾剤や化学修飾率にもよるが、通常、数分から数十時間である。
このようにして化学変性を行った後は、反応を終結させるために有機溶媒や水で十分に洗浄することが好ましい。未反応の化学修飾剤が残留していると、後で着色の原因になったり、樹脂と複合化する際に問題になる場合があるので好ましくない。
尚、本発明に用いられる変性セルロース繊維の変性割合(セルロース繊維への他の基の導入量)は、後述の方法で算出される変性率の値で、通常3〜70モル%であることが好ましく、2種以上の基を有する場合、これらの合計で、上記範囲を満たすことが好ましい。
セルロース繊維への他の基の導入量を多くすることは、溶媒中でのセルロース繊維の分散性や樹脂との界面密着性を向上させる点で好ましいが、導入量が上記上限より多くなると、セルロースの結晶性が下がり線熱膨張低減効果が損なわれる恐れがある。
ここで、セルロース繊維の変性率は以下のようにして求めることができる。
乾燥させた変性セルロース繊維0.05gを精秤し、これにエタノール1.5ml、蒸留水0.5mlを添加する。これを60〜70℃の湯浴中で30分静置した後、0.5N水酸化ナトリウム水溶液2mlを添加する。これを60〜70℃の湯浴中で3時間静置した後、超音波洗浄器にて30分間超音波振とうする。これを、フェノールフタレインを指示薬として0.1N塩酸標準溶液で滴定する。
ここで、滴定に要した0.1N塩酸水溶液の量Z(ml)から、変性により導入された置換基のモル数Qは、下記式で求められる。
Q(mol)=0.5(N)×2(ml)/1000
−0.1(N)×Z(ml)/1000
この置換基のモル数Qと、変性率X(モル%)との関係は、以下の式で算出される(セルロース=(C10=(162.14)、繰り返し単位1個当たりの水酸基数=3、OHの分子量=17)。なお、以下において、Tは変性により導入された置換基の分子量である。
Figure 2014180777
これを解いていくと、以下の通りである。
Figure 2014180777
なお、カルボキシ基のセルロース繊維への導入量は、TAPPI T237 cm−08(2008)を用いて以下の方法で求めることもできる。
具体的には、酸性基(ここではカルボキシ基)の導入数をより広範囲まで算出可能にするために、前記試験方法に用いる試験液のうち、炭酸水素ナトリウム(NaHCO)/塩化ナトリウム(NaCl)=0.84g/5.85gを蒸留水で1000mlに溶解希釈した試験液について、前記試験液の濃度が実質的に4倍となるように、炭酸水素ナトリウム/塩化ナトリウム=3.36g/23.40gに変更し、さらに置換基導入前後のセルロース繊維における算出値の差を実質的な置換基導入量とした以外は、TAPPI T237 cm−08(2008)に準じて算出する。
<繊維長及び繊維径の調整>
本発明に用いるセルロース繊維の数平均繊維径は、400nm以下であることが好ましい。該セルロース繊維の数平均繊維径はより好ましくは100nm以下、さらに好ましくは80nm以下、特に好ましくは50nm以下、とりわけ好ましくは30nm以下、最も好ましくは20nm以下である。また、該セルロース繊維の数平均繊維径は、小さい程好ましいが、高い効果を発現するためには、セルロースの結晶性を維持することが重要であり、2nm以上が好ましく、実質的にはセルロース結晶単位の繊維径である4nm以上であることがより好ましい。セルロース繊維の数平均繊維径が上記上限を上回ると、セルロース繊維の比表面積が小さくなり十分な線熱膨張低減効果が得られない場合がある。セルロース繊維の平均繊維径が上記の下限を下回る場合は、セルロースのI型結晶構造が維持できず、繊維自体の強度が低下する場合がある。
また、セルロース繊維の数平均繊維長は、1μm以下であればよいが、好ましくは950nm以下、さらに好ましくは900nm以下、特に好ましくは850nm以下で、通常10nm以上、好ましくは50nm以上である。
(溶媒)
前述のセルロース繊維原料に対し、以下の解繊処理を施すことにより、上記範囲のように、繊維長及び繊維径の調整をすることができる。解繊処理は、繊維を解すことであり、通常は繊維をより小さなサイズにすることができるものである。
本発明に用いられるセルロース繊維は、水中、有機溶媒中のいずれで解繊してもよいが、樹脂を混合する際に好適であるので、有機溶媒中で解繊することが好ましい。通常、セルロース繊維原料は水に分散されたものであるため、この場合、水を有機溶媒に置換した後に解繊処理を行うことが好ましい。
溶媒を置換する方法は特に限定されないが、セルロース繊維原料の水分散液から濾過などにより水を除去し、ここに解繊時使用する有機溶媒を添加し、攪拌混合し、再度濾過により有機溶媒を除去する方法が挙げられる。有機溶媒の添加と濾過を繰り返すことで、分散液中の媒体を水から有機溶媒に置換することができる。
なお、使用する有機溶媒が非水溶性の場合、水溶性の有機溶媒に一度置換した後、非水溶性の有機溶媒に置換してもよい。
ここで、有機溶媒としては、芳香族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、非プロトン性極性溶媒、エーテル系溶媒(グリコールエーテル系溶媒を含む)などが挙げられる。
芳香族炭化水素系溶媒としては、好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素が挙げられ、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。
アルコール系溶媒としては、好ましくは炭素数1〜7のアルコール系溶媒が挙げられ、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどが挙げられる。
ケトン系溶媒(ケトン基を有する液体を指す)としては、好ましくは炭素数3〜9のケトン系溶媒が挙げられ、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、ジイソプロピルケトン、ジ−tert−ブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘキシルメチルケトン、アセトフェノン、アセチルアセトン、ジオキサン等が挙げられる。
非プロトン性極性溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)などのスルホキシド系溶媒、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒が挙げられる。
エーテル系溶媒としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。グリコールエーテル系溶媒としては、好ましくは炭素数3〜9のグリコールエーテル系溶媒が挙げられ、具体的には、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、本発明で使用される有機溶媒は、繊維樹脂成型体の製造工程において、有機溶媒を除去する工程があることから沸点が高すぎないことが好ましい。有機溶媒の沸点は300℃以下が好ましく、200℃以下が好ましく、180℃以下が更に好ましい。また、取り扱い性などの点から、有機溶媒の沸点は0℃以上が好ましい。特に、後述する硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体の溶解性の観点から、MEK、シクロヘキサノンが好適である。なお、MEKとシクロヘキサノンを併用する場合、その使用割合は、MEK:シクロヘキサノン=1:0.01〜100(重量比)とすることが好ましい。
(解繊方法)
解繊工程の具体的な方法は特に制限されないが、例えば、ビーズミルによる解繊処理、噴出による解繊処理、回転式解繊方法による解繊処理、または超音波処理による解繊処理などが挙げられる。
解繊処理の中でも、ビーズミルによる処理は、解繊効率が高く、セルロース繊維の分散性の向上に効果的である。
これらの処理で解繊する場合、原料分散液中の固形分濃度(セルロース繊維原料濃度)は特に制限されないが、0.1重量%以上が好ましく、0.2重量%以上がより好ましく、99重量%以下が好ましく、50重量%以下がより好ましい。この解繊工程に供する原料分散液中の固形分濃度が低過ぎると処理するセルロース繊維原料量に対して液量が多くなり過ぎ効率が悪くなり、固形分濃度が高過ぎると流動性が悪くなる。
尚、解繊処理に供する原料分散液中に、下記詳述する、硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体を含有させてもよい。その場合、硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体とともに、セルロース繊維原料を解繊することで、セルロース繊維原料の凝集を抑制して解繊効率を高めることができる。
この場合の、原料分散液中の、硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体の含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、通常99重量%以下、好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下であり、セルロース繊維原料の含有量は、通常0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、通常99重量%以下、好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下であって、セルロース繊維原料と硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体との合計の含有量は通常0.1重量%以上、好ましくは0.2重量%以上、通常99重量%以下、好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下である。
これらの含有量が上記上限を上回ると流動性が悪くなる。硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体の含有量が上記下限を下回ると繊維の凝集を抑制する効果が得られなくなる恐れがある。また、セルロース繊維原料の含有量が上記下限を下回ると解繊に供するセルロース繊維原料量が少なく、処理効率が悪くなるおそれがある。
ビーズミルによる解繊処理としては、例えば、直径1mm程度のセラミック製ビーズをセルロース繊維原料濃度0.5〜50重量%、具体的には、1重量%程度の原料分散液に入れ、ペイントシェーカーやビーズミル等を用いて振動を与えて解繊する方法などが挙げられる。
ビーズミルとしては、公知の装置を使用することができ、例えば、ウルトラアペックスミルUAM、デュアルアペックスミルDAM(ともに寿工業社製)、スターミル(アシザワファインテック社製)、OBミル(ターボ工業社製)などが挙げられる。
使用されるビーズの材質は特に制限されず、例えば、ガラス、ジルコニアなどが挙げられる。また、ビーズの粒径は特に制限されず、通常、直径0.01〜5mm程度である。また、ビーズミルを行う条件は、溶媒の種類や、目的とするセルロース繊維の繊維径など使用材料に応じて適宜最適な条件が選択されるが、通常、周速4〜16m/secで、1〜5時間程度行うことが好ましい。尚、ビーズミルで解繊を行う場合、異なる条件で複数回行ってもよい。
その他、メディアミルの一種として、回転する主軸および主軸の回転と連動して回転する副軸およびリングを粉砕媒体として繊維を解繊する方法が挙げられる。
また、ブレンダータイプの分散機や高速回転するスリットの間に、原料分散液を通して剪断力を働かせて解繊する方法(高速回転ホモジナイザー)や、高圧から急に減圧することによって、セルロース繊維間に剪断力を発生させて解繊する方法(高圧ホモジナイザー法)、マスコマイザーXのような対向衝突型の分散機(増幸産業)等を用いる方法などが挙げられる。
噴出による解繊処理として具体的には、高圧ホモジナイザーによる解繊が挙げられる。高圧ホモジナイザーの場合、原料分散液を増圧機で好ましくは30MPa以上、より好ましくは100MPa以上、さらに好ましくは150MPa以上、特に好ましくは220MPa以上に加圧し、細孔直径50μm以上のノズルから噴出させ、圧力差が好ましくは30MPa以上、より好ましくは80MPa以上、さらに好ましくは90MPa以上となるように減圧する。この圧力差で生じるへき開現象により、セルロース繊維を解繊する。
ここで、高圧条件の圧力が低い場合や、高圧から減圧条件への圧力差が小さい場合には、解繊効率が下がり、所望の繊維径とするための繰り返し噴出回数が多く必要となるため好ましくない。
噴出時の高圧条件が高いほど、圧力差により大きなへき開現象でより一層の微細化を図ることができるが、装置仕様の上限として、通常245MPa以下である。
同様に、高圧条件から減圧下への圧力差も大きいことが好ましいが、一般的には、増圧機による加圧条件から大気圧下に噴出することで、圧力差の上限は通常245MPa以下である。
また、原料分散液を噴出させる細孔の細孔直径が大き過ぎる場合にも、十分な解繊効果が得られず、この場合には、噴出処理を繰り返し行っても、所望の繊維径のセルロース繊維が得られないおそれもある。原料分散液を噴出させる細孔の直径は小さければ容易に高圧状態を作り出せるが、過度に小さいと噴出効率が悪くなる。この細孔直径は、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、150μm以上がさらに好ましく、800μm以下が好ましく、500μm以下がより好ましく、350μm以下がさらに好ましい。
原料分散液の噴出は、必要に応じて複数回繰り返すことにより、微細化度を上げて所望の繊維径のセルロース繊維を得ることができる。この繰り返し回数(パス数)は、通常1回以上、好ましくは3回以上で、通常20回以下、好ましくは15回以下である。パス数が多い程、微細化の程度を上げることができるが、過度にパス数が多いとコスト高となるため好ましくない。
噴出時の温度(分散液温度)には特に制限はないが、通常5℃以上100℃以下である。温度が高すぎると装置、具体的には送液ポンプや高圧シール部等の劣化を早める恐れがあるため好ましくない。
なお、噴出ノズルは1本でも2本でもよく、噴出させた原料分散液を噴出先に設けた壁やボール、リングにぶつけてもよい。更にノズルが2本の場合には、噴出先で原料分散液同士を衝突させてもよい。
高圧ホモジナイザーの具体的な装置は特に制限されないが、例えば、ガウリン社製や、スギノマシン社製の「スターバーストシステム」を用いることができる。
なお、このような高圧ホモジナイザーによる処理のみでも、本発明で用いる微細セルロース繊維分散液を得ることは可能であるが、十分な微細化度とするための繰り返し回数が多く処理効率が悪い場合には、1〜5回程度の高圧ホモジナイザー処理後に以下の超音波処理を行って微細化することが好ましい。また、高圧ホモジナイザーによる処理は、前述のビーズミルによる解繊処理に先立つ予備分散処理として行うこともできる。
回転式解繊方法による解繊処理としては、具体的には高速回転ホモジナイザーによる解繊が挙げられる。高速回転ホモジナイザ―の場合、回転数が高い方が、剪断が掛かり、解繊効率が高くなる。回転数としては、例えば、10000rpm以上が好ましく、15000rpm以上がより好ましく、20000rpm以上が特に好ましい。なお、回転数の上限は特に制限されないが、装置の性能上の観点から、30000rpm以下が好ましい。
処理時間は、1分以上が好ましく、5分以上がより好ましく、10分以上が特に好ましい。なお、処理時間は生産性の点から、6時間以下が好ましい。剪断により発熱が生じる場合は、液温が50℃を越えない程度に冷却することが好ましい。
また、原料分散液に均一に剪断がかかるように、攪拌または循環することが好ましい。
回転式解繊方法による解繊処理は、前述のビーズミルによる解繊処理の前処理として行ってもよい。
超音波処理による解繊処理を行う場合、超音波処理を施す、解繊処理後の原料分散液(以後、適宜、超音波処理用原料分散液と称する)中のセルロース濃度は、液全量に対して、0.5重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましく、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましい。超音波を照射する超音波処理用原料分散液中のセルロース濃度が低過ぎると非効率であり、高過ぎると粘度が高くなり解繊処理が不均一になる恐れがある。
また、解繊処理には、原料分散液を圧縮空気で音速まで加速・水滴化して衝突板に衝突させ、液滴内部と衝突板表面の液膜内に衝撃波を発生させて粒子の粉砕・分散を行う液滴衝突法も使用できる。このための装置としては、例えばリックス社製湿式粉砕機「G−smasher」が挙げられる。
上記の解繊処理後、加圧濾過機等を用いてセルロース繊維分散液を濾過して、解繊不良のセルロース繊維を除去してもよい。
<酵素処理>
本発明で用いるセルロース繊維を製造する際、前述の解繊処理に先立ち、酵素処理を行ってもよい。
酵素処理は、セルロースのβ−1,4−グルコシド結合を加水分解によって開裂し、解重合を引き起こすセルラーゼ系酵素を用いて行われ、酵素処理によりセルロース繊維原料を解繊して繊維径、繊維長を小さくすることができる。
酵素処理は、通常、セルロース繊維原料の水分散液に対してセルラーゼ系酵素を添加することにより行われる。
セルラーゼを産生する微生物としては、好気性細菌、嫌気性細菌、動物や昆虫の消化器官に存在するルーメン細菌、放線菌、酵母、糸状菌(子嚢菌や担子菌など)などが挙げられ、それぞれ多様なセルラーゼを産生する。
セルラーゼ系酵素としては、トリコデルマ(Trichoderma、糸状菌)属、アクレモニウム(Acremonium、糸状菌)属、アスペルギルス(Aspergillus、糸状菌)属、ファネロケエテ(Phanerochaete、担子菌)属、トラメテス(Trametes、担子菌)属、フーミコラ(Humicola、糸状菌)属、バチルス(Bacillus、細菌)属、スエヒロタケ(Schizophyllum、担子菌)属、ストレプトミセス(Streptomyces、細菌)属、シュードモナス(Pseudomonas、細菌)属などが産生するセルラーゼ系酵素が挙げられる。このようなセルラーゼ系酵素は試薬や市販品として購入可能である。例えば、セルロイシンT2(エイチピィアイ社製)、メイセラーゼ(明治製菓社製)、ノボザイム188(ノボザイム社製)、マルティフェクトCX10L(ジェネンコア社製)、セルラーゼ系酵素GC220(ジェネンコア社製)等が挙げられる。これらのセルラーゼ系酵素の中でも糸状菌セルラーゼ系酵素が好ましく、糸状菌セルラーゼ系酵素の中でもトリコデルマ菌(Trichoderma reesei、あるいはHyporea jerorina、糸状菌の一種である子嚢菌)が産生するセルラーゼ系酵素はセルラーゼ系酵素の種類が豊富で、産生性も高いため特に好ましい。また、以下のヘミセルラーゼ系酵素と混合して用いてもかまわない。
ヘミセルラーゼ系酵素とは、ヘミセルロースを加水分解する酵素である。ヘミセルラーゼ系酵素の中でもキシランを分解する酵素であるキシラナーゼ(xylanase)、マンナンを分解する酵素であるマンナーゼ(mannase)、アラバンを分解する酵素であるアラバナーゼ(arabanase)が挙げられる。また、ペクチンを分解する酵素であるペクチナーゼもヘミセルラーゼ系酵素として使用することができる。ヘミセルラーゼ系酵素を産生する微生物はセルラーゼ系酵素も産生する場合が多い。
ヘミセルロースは植物細胞壁のセルロースミクロフィブリル間にあるペクチン類を除いた多糖類である。ヘミセルロースは多種多様で植物の種類や細胞壁の壁層間でも異なる。木材においては針葉樹の2次壁ではグルコマンナンが主成分であり、広葉樹の2次壁では4−O−メチルグルクロノキシランが主成分である。そのため、針葉樹から微細繊維状セルロースを得るためにはマンナーゼを使用する方が好ましく、広葉樹の場合はキシラナーゼを使用する方が好ましい。
セルラーゼ系酵素のセルロース繊維原料に対する添加量は0.1〜3重量%が好ましく、0.3〜2.5重量%がより好ましい。セルラーゼ系酵素の添加量が0.1重量%未満であると酵素による解繊効率が低下するおそれがあり、3重量%を超えて添加するとセルロースが糖化されて、微細セルロース繊維の収率が低下するおそれがある。
セルラーゼ系酵素処理時のセルロース繊維原料の水分散液のpHは弱酸性領域であるpH3.0〜6.9が好ましいが、セルラーゼ系酵素の種類により適宜最適なpH領域を選択してもよい。
また、ヘミセルラーゼ系酵素による処理を行う際のセルロース繊維原料の水分散液のpHは弱アルカリ性領域であるpH7.1〜10.0が好ましいが、ヘミセルラーゼ系酵素の種類により適宜最適なpH領域を選択してもよい。
酵素処理時のセルロース繊維原料の水分散液の温度は30〜70℃が好ましく、35〜65℃がさらに好ましく、40〜60℃が特に好ましい。温度が30℃未満であると酵素活性が低下して処理時間が長くなるので好ましくない。温度が70℃を超えると酵素が失活するので好ましくない。処理時間は酵素の種類や温度、pHで調整するが、30分〜24時間が好ましい。処理時間が30分未満であると酵素処理の効果がほとんど発現しないおそれがある。24時間を超えると酵素によりセルロース繊維の分解が進みすぎて、得られる微細セルロース繊維の数平均繊維長が短くなりすぎるおそれがある。
なお、酵素が活性なままで残留しているとセルロース繊維の分解が進み過ぎるので、所定時間、酵素で反応させた後のセルロース繊維原料の水分散液に20重量%程度の水酸化ナトリウム水溶液を分散液のpHが12程度になるように添加して酵素を失活させるか、あるいはセルロース繊維原料の水分散液の温度を90℃まで上昇させて、失活させる方法が通常とられる。水酸化ナトリウム水溶液を加える方が簡便ではあるが、その後の洗浄処理において脱水性が悪化するおそれがあるので、その対処が必要になる。水洗は、セルロース繊維の2〜4重量倍量の水で行なえばよく、これにより酵素はほとんど残留しなくなる。
[硬化性樹脂]
次に本発明に用いられる、硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体について説明する。
硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体は、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルコール系樹脂、アミド系樹脂、エーテル系樹脂、アミン系樹脂、芳香族系樹脂、オキセタン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、珪素樹脂、ポリウレタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂等の樹脂またはその前駆体、セルロース誘導体などが挙げられる。硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体は1種を単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
(エポキシ樹脂・エポキシ樹脂前駆体)
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールアセトフェノン型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレノン型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂や、カテコール、レゾルシン、ハイドロキノンなどの単環2価フェノールのジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂や、ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシジヒドロアントラセン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル型エポキシ樹脂や、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂等の種々のエポキシ樹脂が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂は、本発明の効果に影響のない範囲で、アルキル基、アリール基、エーテル基、エステル基などの置換基で置換されていてもよい。
これらのエポキシ樹脂の中で特に好ましいものは、取り扱いのし易い、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、結晶性樹脂であり融点以上で低粘度となる4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール型エポキシ樹脂などのビフェノール型エポキシ樹脂、多官能であり硬化時に高架橋密度となり耐熱性の高い硬化物が得られるフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂などが挙げられる。
また、エポキシ樹脂は、重量平均分子量(Mw)の低いモノマータイプ(例えば、Mw=200)のものから、分子量の高い高分子タイプ(例えば、Mw=90,000)のものまで使用できる。重量平均分子量が、100,000以上になると樹脂の取り扱いが困難になり、好ましくない。樹脂の取り扱い性の観点から、エポキシ樹脂の重量平均分子量は200以上が好ましく、300以上がより好ましく、80,000以下が好ましく、60,000以下がより好ましい。
エポキシ樹脂前駆体としては、例えば、2価フェノール類が挙げられ、水酸基が芳香族環に結合したものであればどのようなものでもよい。例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールAD、4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール等のビスフェノール類、ビフェノール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
また、エポキシ樹脂前駆体として、これらの2価フェノール類が、アルキル基、アリール基、エーテル基、エステル基などの非妨害性置換基で置換されたものも挙げられる。
これらの2価フェノール類の中で好ましいものは、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ビフェノール、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールである。これらの2価フェノール類は、複数種を合わせて使用することもできる。
また、2価フェノール以外のものとしては多官能フェノール樹脂が挙げられ、フェノールノボラック型樹脂、ビスフェノール型ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、Xylok型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、メラミン変性フェノールノボラック樹脂、トリアジン構造含有ノボラック樹脂などが挙げられる。
(アクリル樹脂・アクリル樹脂前駆体)
アクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド等の重合体及び共重合体などが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルの重合体及び共重合体などが好ましく挙げられる。尚、本発明において、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸またはメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドについても同様である。
アクリル樹脂の重量平均分子量は特に制限されないが、取り扱い性の観点から、300以上が好ましく、400以上がより好ましく、3,000,000以下が好ましく、2,500,000以下がより好ましい。
アクリル樹脂前駆体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド等などが挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどが好ましく挙げられる。
(アルコール系樹脂)
アルコール系樹脂としては、ポリエチレングリコール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリビニルアルコール、アミロース、アミロペクチン、ソルビトル、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリブチロラクトン、ポリグリコール、ポリ乳酸等が挙げられる。
(アミド系樹脂)
アミド系樹脂としては、ポリアクリルアミド、キチン、キトサン、ポリビニルピロリドン、ポリカプロラクタム等が挙げられる。
(エーテル系樹脂)
エーテル系樹脂としては、クラウンエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられる。
(アミン系樹脂)
アミン系樹脂としては、ポリアリルアミン、ポリリジン、各種のアミン変性アクリルコポリマー等が挙げられる。
(芳香族系樹脂)
芳香族系樹脂としては、ポリフェニレンオキサイド、カテキン、タンニン、テルペン等が挙げられる。
この中では、アルコール系樹脂、アミド系樹脂が好ましく、特に、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどが好ましい。
(セルロース誘導体)
セルロース誘導体としては、セルロース有機酸エステルとして、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、その他、酢化度を適宜調整したアセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどが挙げられる。また、セルロースエーテルとして、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、イオン性の置換基を持つセルロースエーテルが挙げられる。アルキルセルロースとしては、メチルセルロース、エチルセルロースなどが挙げられる。ヒドロキシアルキルセルロースとしては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどが挙げられる。イオン性の置換基を持つセルロースエーテルとしては、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。
[繊維分散体]
本発明において、基板上に製膜する繊維分散体は、前記のセルロース繊維と上記の硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体を含有する。
繊維分散体は、前述した解繊処理等により得られるセルロース繊維分散液に上述の硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体を添加して製造してもよいし、セルロース繊維原料、硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体及び溶媒を含有する原料分散液に対し、解繊処理を施して製造されるものであってもよい。
繊維分散体の固形分中のセルロース繊維の含有量は15重量%以上であるが、好ましくは20重量%以上、より好ましくは25重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上、通常90重量%以下、好ましくは80重量%以下、より好ましくは70重量%以下である。セルロース繊維の含有量が上記下限を下回るとセルロース繊維による線膨張係数低減の効果が不十分となって、低線膨張性の繊維樹脂成型体を得ることができない場合があり、上記上限を上回ると、樹脂による繊維間の接着、または繊維間の空間の充填が十分でなくなり、得られる繊維樹脂成型体の強度や透明性、表面平坦性が低下するおそれがある。
繊維分散体の固形分中の硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体の含有量は通常10重量%以上であり、好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上、通常85重量%以下、好ましくは80重量%以下、より好ましくは75重量%以下である。硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体の含有量が上記下限を下回ると樹脂による繊維間の接着、または繊維間の空間の充填が十分でなくなり、得られる繊維樹脂成型体の強度や透明性、表面平坦性が低下するおそれがあり、上記上限を上回ると相対的にセルロース繊維含有量が少なくなるため、セルロース繊維による線膨張係数低減の効果が不十分となって、低線膨張性の繊維樹脂成型体を得ることができない場合がある。
この繊維分散体中において、セルロース繊維と硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体の含有比率(重量比)は15:85〜99:1の範囲が好ましい。セルロース繊維と硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体の含有比率がこの範囲であることにより、十分に低線膨張な繊維樹脂成型体を得ることが出来る。繊維分散体中のセルロース繊維と硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体の含有比率(重量比)は、より好ましくは、20:80〜95:5の範囲、さらに好ましくは25:75〜90:10の範囲である。
なお、本発明で用いる繊維分散体中には、セルロース繊維と硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体の他、必要に応じて、後述の各種の添加剤が含まれていてもよい。いずれの場合においても、この繊維分散体中の固形分量は特に制限されないが、1重量%以上が好ましく、2重量%以上がさらに好ましく、3重量%以上が特に好ましく、99重量%以下が好ましく、95重量%以下がより好ましく、90重量%以下が特に好ましい。繊維分散体の固形分量が上記上限を上回ると分散体の流動性が低下して基板上に製膜できないおそれがあり、上記下限を下回ると製膜時の膜厚が薄くなり生産性の面で好ましくない場合がある。
繊維分散体中には通常溶媒が含有されている。この溶媒は水や前記解繊処理の際に使用される溶媒として記載した有機溶媒などが挙げられる。
繊維分散体中の溶媒の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、さらに好ましくは10重量%以上、好ましくは99重量%以下、より好ましくは98重量%以下、さらに好ましくは95重量%以下である。繊維分散体中の溶媒の含有量が上記下限を下回ると繊維分散体の流動性が低下して製膜が困難となり、上記上限を上回ると製膜時の膜厚が薄くなり生産性の面で好ましくない場合がある。
本発明で用いる繊維分散体には、必要に応じて、連鎖移動剤、紫外線吸収剤、充填剤、シランカップリング剤、光・熱重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤などが含有されていてもよい。これらは、解繊処理時に共存させてもよいし、解繊処理後に添加して使用してもよい。
なお、硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体として、エポキシ樹脂及び/またはその前駆体を使用する場合は、エポキシ樹脂硬化剤を併用することもできる。
使用されるエポキシ樹脂硬化剤は特に限定されず、例えば、以下に例示する多価フェノール化合物類、アミン化合物類、酸無水物類、その他下記に挙げるようなものを用いることができる。
例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルレゾルシン、ビフェノール、テトラメチルビフェノール、ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、チオジフェノール類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、テルペンフェノール樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ビフェニルフェノール樹脂、臭素化ビスフェノールA、臭素化フェノールノボラック樹脂などの種々の多価フェノール類や、種々のフェノール類とベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、グリオキザールなどの種々のアルデヒド類との縮合反応で得られる多価フェノール樹脂類や、重質油またはピッチ類とフェノール類とホルムアルデヒド類との共縮合樹脂等の各種のフェノール樹脂類や、それら各種のフェノール(樹脂)類のフェノール性水酸基の全部もしくは一部をベンゾエート化あるいはアセテート化などのエステル化することによって得られる活性エステル化合物類や、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、メチルナジック酸等の酸無水物類や、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、脂肪族ポリアミン、ポリアミド等のアミン類などが挙げられる。
カチオン系重合開始剤もエポキシ樹脂またはその前駆体の硬化剤として使用することができる。そのカチオン系重合開始剤としては、活性エネルギー線によりカチオン種またはルイス酸を発生する、活性エネルギー線カチオン系重合開始剤、または、熱によりカチオン種またはルイス酸を発生する熱カチオン重合開始剤を用いることができる。
例えば、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレートなどのホスホニウム塩、2−メチルイミダゾ−ル、2−フェニルイミダゾ−ル、2−エチル−4−メチルイミダゾ−ル、2−ウンデシルイミダゾ−ル、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾ−ル、2,4−ジシアノ−6−[2−メチルイミダゾリル−(1)]−エチル−S−トリアジンなどのイミダゾ−ル類、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテ−ト、2−メチルイミダゾリウムイソシアヌレ−ト、2−エチル−4−メチルイミダゾリウムテトラフェニルボレ−ト、2−エチル−1,4−ジメチルイミダゾリウムテトラフェニルボレ−トなどのイミダゾリウム塩、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノ−ル、ベンジルジメチルアミンなどのアミン類、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレ−トなどのアンモニウム塩、1,5−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−5−ノネンなどのジアザビシクロ化合物などが挙げられる。
また、これらジアザビシクロ化合物のテトラフェニルボレ−ト、フェノール塩、フェノールノボラック塩、2−エチルヘキサン酸塩など、さらにはトリフル酸(Triflic acid)塩、三弗化硼素エーテル錯化合物、金属フルオロ硼素錯塩、ビス(ペルフルオルアルキルスルホニル)メタン金属塩、アリールジアゾニウム化合物、芳香族オニウム塩、周期表第IIIa〜Va族元素のジカルボニルキレート、チオピリリウム塩、MF6 陰イオン(ここでMは燐、アンチモンおよび砒素から選択される)の形の周期表第VIb族元素、アリールスルホニウム錯塩、芳香族ヨードニウム錯塩、芳香族スルホニウム錯塩、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロ金属塩(例えば燐酸塩、砒酸塩、アンチモン酸塩等)、アリールスルホニウム錯塩、ハロゲン含有錯イオンの芳香族スルホニウムまたはヨードニウム塩等を用いることができる。その他、鉄化合物の混合配位子金属塩およびシラノール−アルミニウム錯体も使用することが可能である。
これらの塩のいくつかは、FX−512(3M社)、UVR−6990およびUVR−6974(ユニオン・カーバイド(Union Carbide)社)、UVE−1014およびUVE−1016(ジェネラル・エレクトリック(General Electric)社)、KI−85(デグッサ(Degussa)社)、SP−150およびSP−170(旭電化社)、並びに、サンエイドSI−60L、SI−80LおよびSI−100L(三新化学工業社)として商品として入手できる。
また、好ましい熱カチオン系重合開始剤としては、トリフル酸塩が挙げられ、例としては、3M社からFC−520として入手できるトリフル酸ジエチルアンモニウム、トリフル酸トリエチルアンモニウム、トリフル酸ジイソプロピルアンモニウム、トリフル酸エチルジイソプロピルアンモニウム等(これらの多くはR.R.Almによって1980年10月発行のモダン・コーティングス(Modern Coatings)に記載されている)がある。
一方、活性エネルギー線カチオン系重合開始剤としても用いられる芳香族オニウム塩のうち、熱によりカチオン種を発生するものがあり、これらも熱カチオン系重合開始剤として用いることができる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、硬化促進剤としては、例えば、ベンジルジメチルアミン、各種のイミダゾール系化合物等のアミン類、トリフェニルホスフィンなどのホスフィン類等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、本発明で用いる繊維分散体には、その他、線熱膨張係数を下げる目的でシリカ、タルク等の無機成分などを含有していてもよい。
[樹脂分散体]
本発明では、基板上に繊維分散体が製膜された面どうしを貼り合せることを特徴とするが、第一の基板に繊維分散体を製膜した後、この繊維分散体膜上に、さらに、硬化性樹脂及び/又は硬化性樹脂前駆体を含む樹脂分散体を付与した後、第一の基板及び第二の基板の、分散体が製膜された面どうしを貼り合せる。即ち、本発明では、樹脂分散体を、表面平滑性の低い繊維分散体膜どうしの間に形成される、繊維分散体膜のラフネスやうねりに起因する微小空隙を埋める充填剤及び接着剤として機能させて、セルロース繊維を含有する繊維分散体膜どうしを貼り合せて一体化する。
樹脂分散体は、硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体を必須成分として含むものであるが、この樹脂分散体にもまた、繊維分散体に記載した例と同様に、必要に応じて、連鎖移動剤、紫外線吸収剤、充填剤、シランカップリング剤、光・熱重合開始剤、硬化剤、硬化促進剤、更にはシリカ、タルク等の無機成分などが含有されていてもよい。
また、繊維樹脂成型体の製造に用いる繊維分散体と樹脂分散体に含有される硬化性樹脂及び/又は硬化性樹脂前駆体は同一のものであっても、異なるものであってもよいが、同一のものであることが好ましい。
樹脂分散体中には溶媒が含有されていてもよい。樹脂分散体中に溶媒が含有されている場合の固形分中の硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体の含有量は通常80重量%以上であるが、好ましくは85重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは95重量%以上である。この樹脂分散体中の硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体の含有量が上記下限を下回ると充填剤及び接着剤成分としての硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体が少ないことにより、前記の充填剤及び接着剤としての機能が低下する場合がある。
また、樹脂分散体は、上記の繊維分散体に含有されると同様のセルロース繊維を含有していてもよく、セルロース繊維を含有する樹脂分散体は、前述の繊維分散体と同様の方法で製造される。
樹脂分散体がセルロース繊維を含有する場合、樹脂分散体の固形分中のセルロース繊維の含有量は通常15重量%未満であるが、好ましくは10重量%以下、より好ましくは8重量%以下である。また、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上である。樹脂分散体にもセルロース繊維を含有させることで、得られる繊維樹脂成型体の総セルロース繊維含有量を多くして、より一層低線膨張性の繊維樹脂成型体を得ることができる。セルロース繊維含有量が上記下限を下回るとこの効果を十分に得ることができない場合がある。
樹脂分散体がセルロース繊維を含有する場合、繊維分散体のセルロース繊維含有量と樹脂分散体のセルロース繊維含有量の比(重量比)は、好ましくは0.5:99.5〜15:85の範囲、さらに好ましくは1:99〜10:90の範囲である。この範囲よりも繊維分散体中のセルロース繊維含有量が多く、樹脂分散体中のセルロース繊維含有量が少なくても、またこの範囲よりも繊維分散体中のセルロース繊維含有量が少なく、樹脂分散体中のセルロース繊維含有量が多くても、樹脂分散体を充填剤及び接着剤として繊維分散体膜どうしを貼り合せる本発明の効果を十分に得ることができないおそれがある。
この樹脂分散体中の固形分量は特に制限されないが、1重量%以上が好ましく、2重量%以上がさらに好ましく、5重量%以上が特に好ましく、100重量%以下がより好ましく、95重量%以下が特に好ましい。樹脂分散体の固形分量が上記上限を上回ると樹脂分散体の流動性が低下して繊維分散体膜上への付与が困難になるおそれがあり、上記下限を下回ると充填剤及び接着剤成分としての硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体が少ないことにより、やはり充填剤及び接着剤としての機能も低下するおそれがある。
樹脂分散体中に溶媒が含有される場合、溶媒は水や前述の解繊処理の際に使用される溶媒として記載した有機溶媒などが挙げられる。
樹脂分散体中の溶媒の含有量は、好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは5重量%以上、好ましくは99重量%以下、より好ましくは95重量%以下、さらに好ましくは90重量%以下である。樹脂分散体中の溶媒の含有量が上記下限を下回ると樹脂分散体の流動性が低下して繊維分散体膜上への付与が困難となり、上記上限を上回ると相対的に固形分量が少なくなって、充填剤及び接着剤としての機能が損なわれるおそれがある。
[基板]
本発明において、前述の繊維分散体を製膜する第一の基板及び第二の基板としては、ガラス基板、ポリエチレンテレフタレート基板、ポリエチレンナフタレート基板、ポリカーボネート基板等が挙げられるが、用いる基板の製膜面の表面性状が、得られる繊維樹脂成型体の表面に転写されることから、表面平滑性に優れたものが好ましく、また、繊維分散体や樹脂分散体に含まれる硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体が熱硬化性の場合、熱硬化のための加熱処理温度に耐え得る耐熱性が必要とされ、一方で、硬化性樹脂及び/又は硬化性樹脂前駆体が露光により硬化されるものの場合、露光に用いる活性エネルギー線が透過し得る透明性を有することが必要とされることから、ガラス基板が最も好ましい。
用いる基板の厚さはその材質によっても異なるが、取り扱い性の面で0.1〜5mm程度であることが好ましい。
[製造方法]
以下に、図面を参照して、前述した、繊維分散体と樹脂分散体と第一及び第二の基板を用いて繊維樹脂成型体を製造する本発明の繊維樹脂成型体の製造方法について説明する。
図1,2は本発明の繊維樹脂成型体の製造方法の実施の形態を示す模式的断面図であり、図中、1Aは第一の基板、1Bは第二の基板、2A,2Bは繊維分散体膜、3は繊維分散体膜2A上に付与された樹脂分散体を示す。
<繊維分散体の製膜>
まず、第一の基板1Aと第二の基板1Bにそれぞれ繊維分散体を製膜して繊維分散体膜2A,2Bを得る。
ここで、第一の基板1Aおよび第二の基板1Bに製膜される、それぞれの繊維分散体は、必ずしも同一のものでなくてもよく、上記した範囲のものであれば、組成や材料が異なる繊維分散体であってもよい。
ただし、材料の準備や、得られる繊維樹脂成型体の均一性、反りの防止などの面で、第一の基板1Aに製膜する繊維分散体と第二の基板1Bに製膜する繊維分散体とは同一の繊維分散体であることが好ましい。
製膜方法としては、スピンコート法、ディップコート法などが挙げられるが、具体的には、ドクターブレード、アプリケータなど公知の製膜装置を使用すればよい。製膜する厚みは溶媒乾燥後の厚みを考慮して制御できるが、通常100μm以上、好ましくは120μm以上、通常2000μm以下、好ましくは1500μm以下である。膜厚が上記下限を下回ると溶媒乾燥後の厚みが薄くなり、所望の厚さの繊維樹脂成型体を製造するための製膜回数が増え好ましくなく、上記上限を上回ると溶媒が完全に揮発しなかったり、溶媒揮発時に膜に皺や亀裂が入る恐れがある。
この際、例えば、得られる繊維樹脂成型体の膜厚を制御するため、図2に示す如く、第一の基板1A及び第二の基板1Bに、該繊維分散体をそれぞれ2層以上積層してもよい。この場合は、繊維分散体の製膜と乾燥による溶媒の除去を所定の回数繰り返し行えばよい。なお、図2においては、第一の基板1Aと第二の基板1Bに、それぞれ3層の繊維分散体膜2A,2Bが形成されているが、この積層枚数は第1の基板1Aと第二の基板1Bとで必ずしも同一である必要はなく、異なっていてもよい。また、積層される繊維分散体は必ずしも同一である必要はなく、上記したものであれば、組成や材料が異なる分散体であってもよい。繊維分散体膜の積層数の上限には特に制限はないが、通常10層以下である。
繊維分散体の製膜後、繊維分散体膜に含まれる溶媒を蒸発させる。溶媒を蒸発させる方法は特に限定されないが、熱風オーブンなどで高温の窒素ガスを吹き付ける方法が好ましい。蒸発させる温度は特に限定されないが、樹脂の硬化が完全に進行しない程度であることが望ましい。蒸発させる温度は必ずしも溶媒の沸点以上である必要はなく、沸点より低い温度の熱風を吹き付けて徐々に溶媒を蒸発させてもよい。
<樹脂分散体の付与>
このようにして繊維分散体を製膜した後、繊維分散体膜2A,2Bが形成された第一の基板1A及び第二の基板1Bの製膜面どうしを貼り合せ、次いで、繊維分散体膜2A,2B中の硬化性樹脂及び/又は硬化性樹脂前駆体を硬化させるが、本発明では、それに先立ち、第一の基板1Aに形成された繊維分散体膜2A上に樹脂分散体3を付与する。
樹脂分散体3は、第二の基板1Bに形成された繊維分散体膜2B上にも付与することもできるが、通常は一方の繊維分散体膜上に付与すれば繊維分散体膜2Aと繊維分散体膜2Bを密着性よく、接合一体化することができる。
樹脂分散体3は、繊維分散体と同様に製膜して、膜状に繊維分散体膜2A上に付与することもできるが、樹脂分散体3は、繊維分散体膜のラフネスやうねりに由来する微小空隙を埋めるためのものであり、通常は繊維分散体膜上に均一に製膜する必要はなく、線状または散点状に付与するので十分である。ここで、樹脂分散体の付与量が多過ぎると、繊維樹脂成型体の製造に用いる、セルロース繊維を含まない或いはセルロース繊維含有量が繊維分散体よりも少ない樹脂分散体の量が多くなって、得られる繊維樹脂成型体のセルロース繊維含有量がその分少なくなり、低線膨張性の効果が損なわれる場合がある。ただし、樹脂分散体の付与量が少な過ぎると、繊維分散体膜のラフネスやうねりに由来する微小空隙を十分に埋めることができない場合がある。そのため、樹脂分散体の付与量は、用いた繊維分散体のセルロース繊維含有量に左右される繊維分散体膜のラフネスやうねりの程度によっても異なるが、繊維分散体膜2Aの単位表面積当たりの樹脂分散体3の固形分量として1g/m以上であることが好ましく、5g/m以上あることがより好ましく、また、60g/m以下であることが好ましく、120g/m以下であることがより好ましい。
なお、樹脂分散体を散点状や線状に付与する場合は、後工程で製膜面どうしを当接する際に気泡が入らないよう付与すればよい。また、樹脂分散体を製膜する場合は前期繊維分散体の製膜方法と同様の方法が挙げられる。
樹脂分散体を付与した後は、前記の繊維分散体の製膜時と同様に溶媒の乾燥除去を行ってもよく、乾燥を行うことなく、次の硬化工程を行ってもよい。
<硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体の硬化>
上記のように繊維分散体膜2A上に樹脂分散体3を付与した後は、第一の基板1Aと第二の基板1Bの製膜面どうしを当接し、繊維分散体及び樹脂分散体中の硬化性樹脂及び/または硬化性樹脂前駆体を硬化させる。
硬化処理としては、繊維分散体及び樹脂分散体中の樹脂にあわせ、例えば、加熱処理および/または露光処理を施し、溶媒を除去する処理が行われる。樹脂前駆体を使用した場合は、該工程を経て該前駆体が硬化されて樹脂となる。
加熱による硬化処理を行う場合の加熱条件は特に限定されず、樹脂前駆体が使用される場合は、該前駆体が硬化する温度以上であればよい。なかでも、溶媒を揮発させて除去できる点から、加熱温度は、60℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。なお、セルロース繊維の分解を抑制する点から、加熱温度は250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましい。加熱時間は、生産性などの点から、60〜180分が好ましい。
加熱処理は複数回にわたって、温度・加熱時間を変更して実施してもよい。具体的には60〜100℃で30〜60分間の一次加熱と、130〜160℃で30〜60分間の二次加熱と、二次加熱温度よりも40〜60℃高い150〜200℃で30〜60分間の三次加熱との三段処理で行なうことが、溶媒を完全に除去し、得られる繊維樹脂成型体の表面形状の不良を少なくし、完全硬化させるという点で好ましい。なお、加熱処理は少なくとも二段以上の加熱を行うことが好ましい。
露光による硬化処理を行う場合の露光処理には、赤外線、可視光線、紫外線などの光、電子線などの放射線等の活性エネルギー線が使用されるが、好ましくは光である。より好ましくは波長が200〜450nm程度の光であり、更に好ましくは波長が300〜400nmの紫外線である。
光の照射量は、使用される樹脂前駆体や、光重合開始剤などによって適宜最適な量が選択されるが、波長300〜450nmの紫外線を、好ましくは0.1J/cm2以上、更に好ましくは1J/cm2以上、好ましくは200J/cm2以下、更に好ましくは30J/cm2以下で照射するのが好ましい。また、複数回に分割して照射すると、より好ましい。すなわち1回目に全照射量の1/20〜1/3程度を照射し、2回目以降に必要残量を照射することが好ましい。
第一及び第二の基板として、ガラス基板を用いると、このような光の透過性に優れるため好ましい。
使用するランプの具体例としては、メタルハライドランプ、高圧水銀灯ランプ、紫外線LEDランプ等を挙げることができる。
上記硬化処理後は、第一の基板と第二の基板を取り去って、繊維樹脂成型体を得るが、得られた繊維樹脂成型体には、必要に応じて、更に150〜250℃で1〜100時間程度加熱するアニール処理をしてもよい。
[繊維樹脂成型体の物性]
<セルロース繊維含有量>
本発明の繊維樹脂成型体中のセルロース繊維の含有量は特に制限されないが、10重量%以上が好ましく、15重量%以上がより好ましく、20重量%以上がさらに好ましく、70重量%以下が好ましく、60重量%以下がより好ましく、50重量%以下がさらに好ましい。繊維樹脂成型体中のセルロース繊維の含有量が少な過ぎると線膨張係数低減等の効果が不十分となる傾向がある。逆に、繊維樹脂成型体中のセルロース繊維の含有量が多過ぎると相対的に樹脂含有量が低減して、樹脂による繊維間の接着、または繊維間の空間の充填が十分でなくなり、繊維樹脂成型体の強度や透明性、表面の平坦性が低下する恐れがある。
なお、繊維樹脂成形体中のセルロース繊維および樹脂の含有量は、例えば硬化前のセルロース繊維の重量と硬化後の繊維樹脂成型体の重量より求めることができる。また、樹脂が可溶な溶媒に繊維樹脂成型体を浸漬して樹脂のみを取り除き、残ったセルロース繊維の重量から求めることもできる。その他、樹脂の比重から求める方法や、NMR、IRを用いて樹脂やセルロース繊維の官能基を定量して求めることもできる。
<形状、厚み>
本発明の繊維樹脂成型体の形状は、特に限定されず、板状、または曲面を有する板状とすることもできる。形状が板状(シート状、フィルム状)である場合、その厚み(平均厚み)は、好ましくは10μm以上10cm以下であり、このような厚みとすることにより、構造材としての強度を保つことができる。繊維樹脂成型体の厚みは、より好ましくは50μm以上1cm以下であり、さらに好ましくは80μm以上500μm以下である。
なお、上記板状物において、フィルムとはその厚みが概ね、200μm以下の板状物を意味し、シートとはフィルムよりも厚い板状物を意味する。
<線膨張係数>
本発明の繊維樹脂成型体は、低い線膨張係数(1Kあたりの伸び率)を示す。この繊維樹脂成型体の線膨張係数は、1〜70ppm/Kが好ましく、1〜60ppm/Kがより好ましく、1〜50ppm/Kが特に好ましい。
例えば、基板用途においては、無機の薄膜トランジスタの線膨張係数が15ppm/K程度であるため、繊維樹脂成型体の線膨張係数が50ppm/Kを超えると無機膜との積層複合化の際に、二層の線膨張係数差が大きくなり、クラック等が発生するおそれがある。従って、繊維樹脂成型体の線膨張係数は、特に1〜50ppm/Kであることが好ましい。
なお、線膨張係数は、後述の実施例の項に記載される方法により測定される。
<表面粗さ>
本発明の繊維樹脂成型体は両面の平滑性に優れる。その平滑性の程度としては、後述の実施例の項に記載される方法により測定された中心線平均粗さRa、最大高さRmaxとして、両表面ともに、Raが0.5μm以下、特に0.25μm以下で、Rmaxが15μm以下、特に10μm以下であることが好ましい。なお、RaとRmaxは小さい程好ましいが、その下限として、Raは通常0.001μm以上、Rmaxは通常0.005μm以上である。
なお、本発明の繊維樹脂成型体は、両表面において、通常、ほぼ同等の表面粗さとなるが、基板の種類が異なる場合、基板の表面粗さが繊維樹脂成型体の表面粗さに転写されるため、表裏で表面粗さが若干異なる場合もある。
[用途]
本発明の繊維樹脂成型体は、様々な用途に使用することができ、その用途としては、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、有機EL照明の光学部材や保護フィルム、積層基板の絶縁材料などが挙げられる。特に、その優れた低線膨張性と両表面の平滑性から、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、有機EL照明の光学部材や保護フィルム、または積層基板の絶縁材料に好適に使用することができる。
以下、製造例、実施例および比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により限定されるものではない。
[物性の評価]
セルロース繊維の数平均繊維径及び繊維樹脂成型体の物性の評価方法は次の通りである。
<セルロース繊維の数平均繊維径>
セルロース繊維の数平均繊維径は以下のようにして測定した。
数平均繊維径を測定する、微細セルロース繊維分散液から溶媒を乾燥除去した後、20000倍に拡大した走査型電子顕微鏡(SEM)写真の対角線に線を引き、その近傍にある繊維をランダムに12点抽出し、最も太い繊維と最も細い繊維を除去した10点の測定値の平均を数平均繊維径とした。
装置 :走査型電子顕微鏡 Carl Zeiss製 Ultra55
加速電圧 :1.5kV
<表面粗さの測定>
繊維樹脂成型体の表面平滑性は、表面粗さ計(サーフコムE−RM−S18B、東京精密社製)を用いて、繊維樹脂成型体の表裏面について、以下の条件で、RaとRmaxを測定して評価した。
なお、ここで、表面とは、繊維樹脂成型体の製造時に第一の基板に当接した面側であり、裏面とは第二の基板に当接した面側である。
<線膨張係数の測定>
繊維樹脂成型体を3.0mm幅×30mm長にカットした。これを熱機械的分析装置(SII社製TMA「EXSTAR6000」)を用いて、引張モードでチャック間20mm、荷重98mN、窒素ガス雰囲気下で、温度プロファイルは25℃→(5℃/分 昇温)→200℃(5分保持)→(5℃/分 降温)→−20℃(5分保持)→(5℃/分 昇温)→250℃の条件で測定した。線膨張係数はセカンドランの60℃から100℃の測定値から求めた。
[製造例1:セルロース繊維の調製]
広葉樹クラフトパルプ(LBKP)をナイアガラビーター(容量23リットル、東西精器社製)で200分間叩解し、さらにこのパルプに対し酵素(セルラーゼ、GC220、ジェネンコア社製)を添加して6時間酵素処理を行ったものをセルロース繊維原料とした。
このセルロース繊維原料を脱水し、セルロース繊維1重量部(乾燥重量)に対して、酢酸8重量部と無水酢酸21重量部を添加して十分に攪拌した。その後、攪拌しながら115℃で5時間反応させることによりセルロースを化学変性処理(アセチル基導入)した。反応後、反応液を濾過して、メタノール、脱塩水の順で洗浄し、化学変性処理したセルロース繊維原料を得た。このセルロース繊維原料の変性率は27モル%であった。
このセルロース繊維原料の水を吸引濾過にて脱水し、固形分25〜45重量%程度のケーキを得た。これを絶乾セルロース重量の20倍量のイソプロピルアルコール中に分散させて攪拌・濾過する工程を1度行い、更に20倍量のメチルエチルケトン中に分散させて攪拌・濾過する工程を2度行い、水をメチルエチルケトンに置換した。次にセルロース繊維原料/メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=1.5/23.5/75(重量比)となるように溶媒を配合し、セルロース繊維原料分散液とした。
この原料分散液に対し、高速回転ホモジナイザー(ULTRA TURRAX T25Basic、IKA社製)を用いて13500rpmで30分間予備分散処理した。次に、ビーズミル(ウルトラアペックスミルUAM−015、寿工業社製)を用いて、ビーズ径0.3mm、周速11.4m/secで10パス処理することによりセルロース繊維の解繊を行い、微細なセルロース繊維が分散した分散液を得た。この分散液を加圧濾過機(KST−90、ADVANTEC社製)を用いて、公称濾過度28μmの綾畳織金網でフィルタリングして得られた分散液を微細セルロース繊維分散液とした。
尚、この微細セルロース繊維分散液に含まれるセルロース繊維の数平均繊維径は38nmであった。
[製造例2:繊維分散体Iの調製]
製造例1で得られた微細セルロース繊維分散液に、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート (A−DCP、新中村化学工業社製(以下、A−DCPという))、光硬化開始剤(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、BASF社製、ルシリンTPO(以下、TPOという))を配合し、繊維分散体Iを調製した。この繊維分散体I中のセルロース繊維の含有量は1.43重量%であり、セルロース繊維も含めた固形分量は7.15重量%(固形分中のセルロース繊維含有量:20重量%)であった。また、セルロース繊維/A−DCP=20/80(重量比)、A−DCP/TPO=98/2(重量比)であった。
[製造例3:繊維分散体IIの調製]
セルロース繊維の含有量が1.45重量%、セルロース繊維も含めた固形分量が5.79重量%(固形分中のセルロース繊維含有量:25重量%)で、セルロース繊維/A−DCP=25/75(重量比)、A−DCP/TPO=98/2(重量比)となるように配合したこと以外は、上記の製造例2と同様にして繊維分散体IIを調製した。
[製造例4:繊維分散体IIIの調製]
セルロース繊維の含有量が1.45重量%、セルロース繊維も含めた固形分量が4.82重量%(固形分中のセルロース繊維含有量:30重量%)で、セルロース繊維/A−DCP=30/70(重量比)、A−DCP/TPO=98/2(重量比)となるように配合したこと以外は、上記の製造例2と同様にして繊維分散体IIIを調製した。
[製造例5:樹脂分散体の調製]
トリシクロデカンジメタノールジアクリレート (A−DCP、新中村化学工業社製)、光硬化開始剤(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、BASF社製、ルシリンTPO)を配合し、樹脂分散体(A−DCP/TPO=100/2(重量比))を調製した。
[実施例1]
第一の基板及び第二の基板として、それぞれ15cm×15cm×5mm厚さのガラス基板に、図1に示す如く、第一の基板及び第二の基板に、それぞれ、上記繊維分散体Iをドクターブレード(RK Print Coat Instruments社製)を用いて、厚み1000μmに製膜した。これを、オーブン中で80℃の熱風窒素ガスを30分間吹き付けることにより溶媒を蒸発させた。
溶媒を蒸発させた後、第一の基板上に製膜された繊維分散体膜上に、製造例5で製造した樹脂分散体をスポイトにより、固形分換算の付与量が33g/mとなるように散点状に滴下した。
この第一の基板と、前記第二の基板とを貼り合せ紫外線硬化した。具体的にはワーク面から40cm離れて上下に3本づつ、計6本の出力80W/cmのメタルハライドランプを備えたオーク製作所社製コンベア搬送式UV照射装置(型式QRM−2232−A−00)を用いて、ライン速度2.8m/minで上下両面から積算光量100mJ/cmの光を照射した後、さらにライン速度0.5m/minで上下両面から積算光量6400mJ/cmの光を照射した。
第一の基板と第二の基板を取り外した後、さらに200℃で6時間加熱して、アニール処理することにより、表1に示すセルロース繊維含有量で表1に示す厚みの繊維樹脂成型体を得た。
得られた繊維樹脂成型体はガラス基板表面が転写され両面平滑なものであった。また、この繊維樹脂成型体はカールすることなく良好な成型体であった。
この繊維樹脂成型体の評価結果を表1に示す。
[実施例2]
繊維分散体Iの代りに繊維分散体IIを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表1に示すセルロース繊維含有量で表1に示す厚みの繊維樹脂成型体を得た。
得られた繊維樹脂成型体はガラス基板表面が転写され両面平滑なものであった。また、この繊維樹脂成型体はカールすることなく良好な成型体であった。
この繊維樹脂成型体の評価結果を表1に示す。
[実施例3]
繊維分散体Iの代りに繊維分散体IIIを用いたこと以外は実施例1と同様にして、表1に示すセルロース繊維含有量で表1に示す厚みの繊維樹脂成型体を得た。
得られた繊維樹脂成型体はガラス基板表面が転写され両面平滑なものであった。また、この繊維樹脂成型体はカールすることなく良好な成型体であった。
この繊維樹脂成型体の評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例2と同様にして、第一の基板及び第二の基板上に繊維分散体IIを製膜した後、溶媒を蒸発させた。
さらに、製膜された第一の基板及び第二の基板の繊維分散体IIの膜上に、それぞれ、繊維分散体IIを製膜し、溶媒を蒸発させる操作を2回行った。これにより、それぞれの基板に、繊維分散体IIの膜が三層ずつ積層された。次に、三層が積層された繊維分散体IIの膜上に、実施例1と同様にして樹脂分散体を滴下した後、第一の基板と第二の基板とを貼り合せた。これを実施例1と同様にして、硬化処理後、第一の基板と第二の基板とを取り外した後、アニール処理して、表1に示すセルロース繊維含有量で表1に示す厚みの繊維樹脂成型体を得た。
得られた繊維樹脂成型体はガラス基板表面が転写され両面平滑なものであった。また、この繊維樹脂成型体はカールすることなく良好な成型体であった。
この繊維樹脂成型体の評価結果を表1に示す。
なお、この繊維樹脂成型体の厚み方向の断面をSEM観察したところ、セルロース繊維を含有する上下それぞれ三層の繊維分散体IIの層は層間に間隙なく一体化していることが確認された。
Figure 2014180777
[比較例1]
実施例1と同様にして、第一の基板上に繊維分散体Iを製膜した後、溶媒を蒸発させた。この第一の基板上に製膜された繊維分散体Iの膜上に、第二の基板を被せ、80℃、0.2MPaで10分間プレスした後、実施例1と同様にして硬化処理を行った。
その後、第一の基板と第二の基板を取り外し、実施例1と同様にアニール処理を行うことにより、繊維樹脂成型体を得た。
この繊維樹脂成型体は、第二の基板と繊維分散体膜とが密着せず、この面は平滑な表面ではなかった。
[比較例2]
実施例1と同様にして、第一の基板1A上に繊維分散体Iを製膜した後、溶媒を蒸発させた。溶媒を蒸発させた後、第一の基板上に製膜された繊維分散体Iの膜上に、実施例1と同様にして樹脂分散体を滴下した。これに、第二の基板1Bを被せ、実施例1と同様にして硬化処理、アニール処理を行うことにより繊維樹脂成型体を得た。
得られた繊維樹脂成型体はガラス基板表面が転写され両面平滑なものであった。しかし、セルロース繊維を含有する層と含有しない層の二層構造であり、双方の線膨張係数差が大きいため、カールしてしまった。
1A 第一の基板
1B 第二の基板
2A,2B 繊維分散体膜
3 樹脂分散体

Claims (4)

  1. 樹脂中にセルロース繊維が分散した繊維樹脂成型体の製造方法であって、
    第一の基板及び第二の基板に、それぞれ、セルロース繊維、並びに硬化性樹脂及び/又は硬化性樹脂前駆体を含み、固形分中のセルロース繊維含有量が15重量%以上である繊維分散体を製膜し、
    第一の基板に製膜された繊維分散体膜上に、さらに、硬化性樹脂及び/又は硬化性樹脂前駆体を含む樹脂分散体を付与した後、
    該第一の基板及び該第二の基板の、分散体が製膜された面どうしを貼り合せ、
    次いで、硬化性樹脂及び/又は硬化性樹脂前駆体を硬化させることを特徴とする、繊維樹脂成型体の製造方法。
  2. 前記第一の基板及び第二の基板に、前記繊維分散体をそれぞれ2層以上積層することを特徴とする、請求項1に記載の繊維樹脂成型体の製造方法。
  3. 前記樹脂分散体は、固形分中に15重量%未満のセルロース繊維を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の繊維樹脂成型体の製造方法。
  4. 前記セルロース繊維の数平均繊維径が、400nm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の繊維樹脂成型体の製造方法。
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