JP2010270315A - 複合体組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 低熱線膨張係数を有する複合体組成物を提供すること。
【解決手段】 樹脂と繊維状フィラーとを含む複合体組成物であって、該繊維状フィラーの平均繊維径が4〜1000nmであり、マトリクス樹脂のTgまたは融点以上の温度領域において平均線膨張係数が−30〜10ppm/℃であり、好ましくは繊維状フィラーが化学処理及び/又は機械的処理により微細化し得られたセルロース繊維であり、セルロース繊維の水酸基の一部がアルデヒド及び/又はカルボキシル基に酸化されている複合体組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂と繊維状フィラーとを含む複合体組成物に関するものである。
従来から複合材料は、充填材とマトリックスとからなる樹脂の種類の組み合わせを適宜に選ぶことによって、その使用条件に適した物理的、化学的性質を附与することができるため広く用いられている。特に、熱的・化学変化に強く、腐食環境に耐えることや、一般に比重が小さく強度や剛性が大きくできるため、航空・宇宙環境での構造材や部品、或いは精密機械部品、土木建設資材やスポーツ用品などにも広く用いられるようになっている。
このような複合材料を温度変化を受ける環境下で使用される部品や構造材として用いる場合、その温度変化に伴う熱膨張が問題となる場合がある。例えば複合体を半導体の封止材として用いた場合、半導体と封止材との線膨張係数が大きく異なるため外部温度の変化により界面に応力が生じ、界面剥離などの不良が生じることがある。よって半導体製造機器、光学機器或いは微細加工装置の分野など、熱膨張による影響を極力低減することが求められる。
従来このような用途には石英ガラス、炭素繊維強化複合材料などの低熱膨張率の材料が用いられているが、それぞれ金属及びシリカ系材料或いはアラミド繊維、PAN繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール(PBO)繊維など、限られた種類の材料であって、材質上用途や、強度・比重・コストなどに自ずと制約があった。
そこで、上記したような多様な特性を有する複合材料でこれらの要請に応えるよう線膨張係数を低く抑制することが求められている。
線膨張係数抑制する方法として負の線膨張係数を有する金属化合物と正の線膨張係数を有する樹脂とを組み合わせ、これらの熱膨張を相殺して打ち消し合うようにすることにより、全体としての線膨張係数を零にする試みが行われている(特許文献1参照)
しかしながら、この方法でも双方の材料にこれらの条件に適合した特性のものを得ることは困難であり、また複合材料に本来求められる強度や耐熱性などの性質を考慮するとその選択肢は極めて限られたものとならざるを得ない。さらに透明でかつ低線膨張を有する複合体は存在しない。
本発明者らは、正の線膨張を有するマトリクス樹脂と正の線膨張係数を有する充填材の組み合わせにより線膨張係数を抑制できること見出し、本発明に至ったものである。
国際公開第00/64668号パンフレット
本発明の目的は、低熱線膨張係数を有する複合体を提供することである。
本発明は以下の通りである。
(1)樹脂と繊維状フィラーとを含む複合体組成物であって、該繊維状フィラーの平均繊維径が4〜1000nmであり、マトリクス樹脂のガラス転移温度(Tg)または融点以上の温度領域において平均線膨張係数が−30〜10ppm/℃である複合体組成物。
(2)前記繊維状フィラーがセルロース繊維である(1)記載の複合体組成物。
(3)前記セルロース繊維が化学処理及び/又は機械的処理により微細化し得られた繊維である(2)記載の複合体組成物。
(4)前記セルロース繊維の水酸基の一部がアルデヒド及び/又はカルボキシル基に酸化されている(2)又は(3)記載の複合体組成物。
(5)前記セルロース繊維が天然セルロースを原料とし、水中においてN−オキシル化合物を酸化触媒とし、共酸化剤を作用させることにより前記天然セルロースを酸化して得られたセルロースである(2)〜(4)いずれか記載の複合体組成物。
(6)前記樹脂が、水溶性樹脂、熱可塑性樹脂、及び/又は硬化性樹脂である(1)〜(5)いずれか記載の複合体組成物。
(7)前記樹脂がアクリル共重合体である(1)〜(6)いずれか記載の複合体組成物。
(8)前記繊維状フィラーの含有率が0.1〜99.9重量%である(1)〜(7)いずれか記載の複合体組成物。
(9)前記複合体組成物の厚さ30μmにおける全光線透過率が80%以上である(1)〜(8)いずれか記載の複合体組成物。
(10)前記水溶性樹脂が、水溶性アクリル樹脂、ポリビニルピロリドンおよびポリエチレングリコールの中から選ばれる1種以上の樹脂である(6)〜(9)いずれか記載の複合体組成物。
本発明の複合体組成物によれば、熱による変化量が小さいという特性を有する複合体が得られる。
本発明の複合体組成物は、樹脂と繊維状フィラーとを含む。
本発明で用いる繊維の平均繊維径は、4〜1000nmであり、4〜300nmであることが好ましく、4〜200nmであることがより好ましい。
本発明において用いられる繊維の長さについては特に限定されないが、繊維の平均長さが100nm以上であれば補強効果が得られやすく、強度の向上が図れる。
ここで平均繊維径の解析は次のようにして行う。固形分率で0.05重量%〜0.1重量%の繊維状フィラーの分散体を調製し、該分散体を、カーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。また、大きな繊維径の繊維を含む場合には、ガラス上へキャストした表面のSEM像を観察してもよい。構成する繊維の大きさに応じて5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。この際に、得られた画像内に縦横任意の画像幅の軸を想定した場合に少なくとも軸に対し、20本以上の繊維が軸と交差するような試料および観察条件(倍率等)とする。この条件を満足する観察画像に対し、1枚の画像当たり縦横2本ずつの無作為な軸を引き、軸に交錯する繊維の繊維径を目視で読み取っていく。こうして最低3枚の重なっていない表面部分の画像を電子顕微鏡で撮影し、各々2つの軸に交錯する繊維の繊維径の値を読み取る(したがって、最低20本×2×3=120本の繊維径の情報が得られる)。こうして得られた繊維径のデータにより平均繊維径を算出する。
本発明で用いる繊維状フィラーがセルロース繊維である場合、原料であるセルロースは針葉樹や広葉樹から得られる精製パルプ、コットンリンターやコットンリントより得られるセルロース、バロニアやシオグサなどの海草より得られるセルロース、ホヤより得られるセルロース、バクテリアの生産するセルロースなどの天然セルロースを微細化した再生セルロースを使用することが出来る。しかしながら特に低線膨張率や力学強度の観点からは高結晶性のものが好ましく、その点で再生セルロースよりも天然セルロースより得られる繊維を用いることが好ましい。
本発明で用いるセルロース繊維を得る方法としては特に限定されず公知の方法を使用することが出来、例えば媒体撹拌ミル処理装置、振動ミル処理装置、高圧ホモジナイザー処理装置、超高圧ホモジナイザー処置装置などの繊維をバラバラにする機能を有する装置を用いて繰り返し処理する方法がある。また、エレクトロスピニング法、スチームジェット法、APEX(登録商標)技術(Polymer Group.Inc)法などを採用することが出来るが、エネルギー効率などを考えると、特開2008−1728号公報に示す化学的に処理する方法で微細繊維を作製することが最も好ましい。
すなわち、天然セルロースを原料とし、水中においてN−オキシル化合物を酸化触媒とし、共酸化剤を作用させることにより該天然セルロースを酸化して反応物繊維を得る酸化反応工程、不純物を除去して水を含浸させた反応物繊維を得る精製工程、および水を含浸させた反応物繊維を溶媒に分散させる分散工程の3つの工程により得たナノセルロースファイバーを作成する方法である。以下に各工程について詳細に説明する。
まず、酸化反応工程では、水中にセルロースを分散させた分散液を調製する。ここで、用いるセルロースは叩解等の表面積を高める処理を施すことが好ましい。反応効率を高めることができ、生産性を高めることができるからである。さらに、セルロースとして、単離、精製の後、ネバードライで保存していたものを使用するとミクロフィブリルの集束体が膨潤し易い状態であるため、やはり反応効率を高め、微細化処理後の数平均繊維径を小さくすることができ好ましい。反応におけるセルロースの分散媒は水であり、反応水溶液中のセルロース濃度は、試薬の十分な拡散が可能な濃度であれば任意であるが、通常、反応水溶液の重量に対して約5%以下である。
また、セルロースの酸化触媒として使用可能なN−オキシル化合物は数多く報告されている(「Cellulose」Vol.10、2003年、第335〜341ページにおけるI. Shibata及びA. Isogaiによる「TEMPO誘導体を用いたセルロースの触媒酸化:酸化生成物のHPSEC及びNMR分析」と題する記事)が、特にTEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル)、4−アセトアミド−TEMPO、4−カルボキシ−TEMPO、及び4−フォスフォノオキシ−TEMPOは水中常温での反応速度において好ましい。これらN−オキシル化合物の添加は触媒量で十分であり、好ましくは0.1〜4mmol/l、さらに好ましくは0.2〜2mmol/lの範囲で反応水溶液に添加する。
共酸化剤として、次亜ハロゲン酸またはその塩、亜ハロゲン酸またはその塩、過ハロゲン酸またはその塩、過酸化水素、および過有機酸などが本発明において使用可能であるが、好ましくはアルカリ金属次亜ハロゲン酸塩、たとえば、次亜塩素酸ナトリウムや次亜臭素酸ナトリウムである。次亜塩素酸ナトリウムを使用する場合、臭化アルカリ金属、たとえば臭化ナトリウムの存在下で反応を進めることが反応速度において好ましい。この臭化アルカリ金属の添加量は、N−オキシル化合物に対して約1〜40倍モル量、好ましくは約10〜20倍モル量である。
反応水溶液のpHは約8〜11の範囲で維持されることが好ましい。水溶液の温度は約4〜40℃において任意であるが、反応は室温で行うことが可能であり、特に温度の制御は必要としない。
本発明に使用する微細セルロース繊維を得るために必要なカルボキシル基量は天然セルロース種により異なり、カルボキシル基量が多いほど、微細化処理後の最大繊維径、及び数平均繊維径は小さくなる。たとえば、木材系パルプおよび綿系パルプでは0.2〜2.2mmol/g、BCやホヤからの抽出セルロースでは0.1〜0.8mmol/gの範囲でカルボキシル基が導入されて微細化は進む。従って、酸化の程度を共酸化剤の添加量と反応時間により制御し、天然セルロース種に応じた酸化条件を最適化することで、目的とするカルボキシル基量を得ることが好ましい。一般に共酸化剤の添加量は、天然セルロース1gに対して約0.5〜8mmolの範囲で選択することが好ましく、反応は約5〜120分、長くとも240分以内に完了する。
精製工程に於いては、未反応の次亜塩素酸や各種副生成物等の反応スラリー中に含まれる反応物繊維と水以外の化合物を系外へ除去するが、反応物繊維は通常、この段階ではナノファイバー単位までばらばらに分散しているわけではないため、通常の精製法、すなわち水洗とろ過を繰り返すことで高純度(99重量%以上)の反応物繊維と水の分散体とする。該精製工程における精製方法は遠心脱水を利用する方法(例えば、連続式デカンダー)のように、上述した目的を達成できる装置であればどんな装置を利用しても構わない。こうして得られる反応物繊維の水分散体は絞った状態で固形分(セルロース)濃度としておよそ2重量%〜50重量%の範囲にある。この後の工程で、ナノファイバーへ分散させることを考慮すると、50重量%よりも高い固形分濃度とすると、分散に極めて高いエネルギーが必要となることから好ましくない。
さらに、上述した精製工程にて得られる水を含浸した反応物繊維(水分散体)を溶媒中に分散させ分散処理を施すことにより、本発明の微細セルロース繊維の分散体として提供することができる。
ここで、分散媒としての溶媒は通常は水が好ましいが、水以外にも目的に応じて水に可溶するアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロパノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、グリセリン等)、エーテル類(エチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン)やN,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキサイド等を使用してもよい。また、これらの混合物も好適に使用できる。さらに、上述した反応物繊維の分散体を溶媒によって希釈、分散する際には、少しずつ溶媒を加えて分散していく、段階的な分散を試みると効率的にナノファイバーレベルの繊維の分散体を得ることができることがある。操作上の問題から、分散工程後の状態は粘性のある分散液あるいはゲル状の状態となるように分散条件を選ぶとよい。
次に、分散工程で使用する分散機としては、種々なものを使用することができる。具体例を示せば、反応物繊維における反応の進行度(アルデヒド基やカルボキシル基への変換量)にも依存するが、好適に反応が進行する条件下では、スクリュー型ミキサー、パドルミキサー、ディスパー型ミキサー、タービン型ミキサー等の工業生産機としての汎用の分散機で十分に微細セルロース繊維の分散体を得ることができる。しかし、高速回転下でのホモミキサー、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、超音波分散処理、ビーター、ディスク型レファイナー、コニカル型レファイナー、ダブルディスク型レファイナー、およびグラインダーのようなより強力で叩解能力のある装置を使用することにより、より効率的かつ高度なダウンサイジングが可能となる。さらに、これらの装置を使用することにより、アルデヒド基やカルボキシル基の量が比較的小さい場合(例えば、アルデヒド基やカルボキシル基のセルロースに対する総和量として、0.1〜0.5mmol/g)にも高度に微細化された微細セルロース繊維の分散体を提供できる。
次に、微細セルロース繊維を媒体中に分散させた分散体から、微細セルロース繊維を製造する方法について説明する。
上述した微細セルロース繊維の分散体を乾燥させることによって微細セルロース繊維を製造することができる。
ここで乾燥には、例えば、分散体の溶媒が水である場合には凍結乾燥法、分散体の溶媒が水と有機溶媒の混合溶液である場合には、ドラムドライヤーによる乾燥や場合によってはスプレイドライヤーによる噴霧乾燥を好適に使用することができる。また、上述した微細セルロースの分散体の中にバインダーとして水溶性高分子(ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、デンプン、天然ガム類等)や糖類(グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトース、トレハロース等)のような極めて沸点が高く、しかもセルロースに対して親和性を有する化合物を混入させておくことにより、ドラムドライヤーやスプレイドライヤーのような汎用の乾燥法でも再度溶媒中にナノファイバーとして分散できる微細セルロース繊維を得ることができる。この場合には、分散体中に添加するバインダーの量は、反応物繊維に対して10重量%〜80重量%の範囲にあることが望ましい。
該微細セルロース繊維は再び、溶媒(水や有機溶媒あるいはその混合溶液)中へ混入し、適当な分散力(例えば、上述した微細セルロース繊維の分散体の製造における分散工程で使用する各種分散機を用いた分散)を加えることにより微細セルロース繊維の分散体とすることができる。
本発明に使用する微細セルロース繊維は、セルロースの水酸基の一部がカルボキシル基またはアルデヒド基に酸化されており、且つセルロースI型結晶構造を有することが好ましい。これは、微細セルロース繊維が、I型結晶構造を有する天然由来のセルロース固体原料を表面酸化し微細化した繊維であることを意味する。
該微細セルロース繊維がI型結晶構造であることは、その広角X線回折像測定により得られる回折プロファイルにおいて、2シータ=14〜17°付近と2シータ=22〜23°付近の二つの位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。さらに、微細セルロース繊維のセルロースにアルデヒド基あるいはカルボキシル基が導入されていることは、水分を完全に除去したサンプルにおいて全反射式赤外分光スペクトル(ATR)においてカルボニル基に起因する吸収(1608cm−1付近)が存在することにより確認することができる。特に、酸型のカルボキシル基(COOH)の場合には、上記の測定において1730cm−1に吸収が存在する。
微細なセルロース繊維は、上述した理由により、セルロースに存在するカルボキシル基とアルデヒド基の量の総和が多いほうがより微小な繊維径として安定に存在し得る。たとえば木材パルプや綿パルプの場合、微細なセルロース繊維に存在するカルボキシル基とアルデヒド基の量の総和がセルロース繊維の重量に対し、0.2〜2.2mmol/g、好ましくは0.5〜2.2mmol/g、さらに好ましくは0.8〜2.2mmol/gであるとナノファイバーとしての安定性に優れた繊維として提供することができる。また、BCやホヤからの抽出セルロースのような比較的ミクロフィブリルの繊維径が太いセルロースの場合(平均径が数10nmのオーダー)には、該総和量は0.1〜0.8mmol/g、好ましくは0.2〜0.8mmol/gであるとナノファイバーとしての安定性に優れた繊維として提供できる。該総和量が0.1mmol/gよりも小さい場合には、従来知られている微細化されたセルロース繊維との物性上の差異(例えば、分散体における分散安定化効果)も小さくなると同時に、微小な繊維径の繊維として得られ難くなるため、好ましくない。
さらに、ノニオン性の置換基であるアルデヒド基に対し、カルボキシル基が導入されることにより、電気的な反発力が生まれ、ミクロフィブリルが凝集を維持せずにばらばらになろうとする傾向が増大するため、ナノファイバーとしての安定性はより増大する。たとえば木材パルプや綿パルプの場合、微細なセルロース繊維に存在するカルボキシル基の量がセルロース繊維の重量に対し、0.2〜2.2mmol/g、好ましくは0.4〜2.2mmol/g、さらに好ましくは0.6〜2.2mmol/gであるとナノファイバーとしての極めて安定性に優れた繊維として提供することができる。また、BCやホヤからの抽出セルロースのような比較的ミクロフィブリルの繊維径が太いセルロースの場合には、カルボキシル基の量は0.1〜0.8mmol/g、好ましくは0.2〜0.8mmol/gであるとナノファイバーとしての安定性に優れた繊維として提供できる。
ここで、セルロース繊維の重量に対するセルロースのアルデヒド基およびカルボキシル基の量(mmol/g)は、以下の手法により評価する。
乾燥重量を精秤したセルロース試料から0.5〜1重量%スラリーを60ml調製し、0.1Mの塩酸水溶液によってpHを約2.5とした後、0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下して電気伝導度測定を行う。測定はpHが約11になるまで続ける。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸の中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(V)から、下式を用いて官能基量1を決定する。該官能基量1がカルボキシル基の量を示す。
官能基量(mmol/g)=V(ml)×0.05/セルロースの質量(g)次に、セルロース試料を、酢酸でpHを4〜5に調製した2%亜塩素酸ナトリウム水溶液中でさらに48時間常温で酸化し、上記手法によって再び官能基量2を測定する。この酸化によって追加された官能基量(=官能基量2−官能基量1)を算出し、アルデヒド基量とする。
本発明で用いられる樹脂としては公知のものを使用でき硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、水溶性樹脂等、特に限定されるものではない。
水溶性樹脂としては水に溶解すれば熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、天然高分子、それらのエマルジョンなど、特に限定されるものではないが、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロール、アクリル共重合体等の合成高分子、水溶性フェノール樹脂、エポキシ樹脂、デンプン類、アルギン酸類とうの多糖類、木材の構成成分であるヘミセルロース、ゼラチン、ニカワ、カゼインをはじめとするたんぱく質等の天然高分子などが挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ−3−ヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレート、ポリエチレンアジペート、ポリカプロラクトン、ポリプロピルラクトン等のポリエステル、ポリエチレングリコール等のポリエーテル、ポリグルタミン酸、ポリリジン等のポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、デンプン類、アルギン酸等の多糖類、木材の構成成分であるリグニンやヘミセルロース、ゼラチン、ニカワ、カゼインをはじめとするたんぱく質等の天然高分子等を用いることが出来る。
硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、オキセタン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ケイ素樹脂、マレイミド樹脂、ポリイミド樹脂、デンプン類、アルギン酸等の多糖類、ヘミセルロース、ゼラチン、ニカワ、カゼインをはじめとするたんぱく質等の天然高分子等が挙げられる。
また前記水溶性高分子、熱可塑性樹脂及び硬化性樹脂はそれぞれ個々に用いることが出来、また、2つ以上を組み合わせて用いることも出来る。
本発明における複合体組成物においては微細繊維の重量分率が0.1%から99.9%であることが好ましく、0.5%から99.9%であることがさらに好ましい。尚、配合量は特に限定されるものではなく樹脂組成物を成形した際に必要とされる特性に応じて配合することができる。繊維状フィラーの特性を反映させたい場合は繊維状フィラーの配合量を増加させ、樹脂の特性を反映させたい場合は樹脂の配合量を増加させることが出来る。
本発明の複合体組成物を太陽電池用基板、有機EL用基板、電子ペーパー用基板、液晶表示素子用プラスチック基板などの透明フィルムとして用いる場合、全光線透過率が70%以上であることが好ましく、さらに好ましくは80%以上であり、最も好ましくは88%以上である。
本発明の複合体組成物は、マトリクス樹脂のTgまたは融点以上の温度領域において平均線膨張係数が−30〜10ppm/℃であることが好ましく、さらには−30〜0.5ppm/℃であることが好ましい。
平均線膨張係数が前記範囲内であると、複合材料の強度低下等の問題を抑制することができる。
より具体的には、マトリクス樹脂のTgまたは融点未満の温度領域における平均線膨張係数よりも、マトリクス樹脂のTgまたは融点以上の温度領域において平均線膨張係数が小さくなる。
本発明の複合体組成物を、液晶表示素子用プラスチック基板、カラーフィルター用基板、有機EL表示素子用プラスチック基板、太陽電池基板、タッチパネル等として用いる場合、基板の厚さは10〜2000μmであることが好ましく、20〜200μmであるのがより好ましい。基板の厚さがこの範囲内にあれば、平坦性に優れ、ガラス基板と比較して、基板の軽量化を図ることができる。
本発明の複合体組成物を透明フィルムとして用いる場合、平滑性向上のために両面に樹脂のコート層を設けてもよい。コートする樹脂としては、優れた透明性、耐熱性、耐薬品性を有していることが好ましく、具体的には多官能アクリレートやエポキシ樹脂などをあげることができる。コート層の厚みは0.1〜50μmが好ましく、0.5〜30μmであるのがより好ましい。
本発明の複合体組成物から得た光学シートを特に表示素子用プラスチック基板として用いる場合には、必要に応じて水蒸気や酸素に対するガスバリア層や透明電極層を設けてもよい。
本発明の複合体組成物において硬化性樹脂を用いた場合、硬化させる方法は特に限定されないが、カルボジイミド、ヒドラジド、エポキシ樹脂、酸無水物や脂肪族アミン等の架橋剤、またはカチオン系硬化触媒若しくはアニオン系硬化触媒等の硬化促進剤を添加することができる。
カチオン系硬化触媒としては、例えば加熱によりカチオン重合を開始させる物質を放出するもの、例えばオニウム塩系カチオン硬化触媒、またはアルミニウムキレート系カチオン硬化触媒)や、活性エネルギー線によってカチオン重合を開始させる物質を放出させるもの(例えばオニウム塩系カチオン系硬化触媒等)が挙げられる。具体的には、芳香族スルホニウム塩として三新化学工業製のSI-60L、SI-80L、SI-100L、旭電化工業製のSP-66やSP-77等のヘキサフルオロアンチモネート塩挙げられ、アルミニウムキレートとしてはエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられ、三フッ化ホウ素アミン錯体としては、三フッ化ホウ素モノエチルアミン錯体、三フッ化ホウ素イミダゾール錯体、三フッ化ホウ素ピペリジン錯体等が挙げられる。
アニオン系硬化促進剤としては1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、トリエチレンジアミン等の三級アミン類、2−エチル−4−メチルイミダゾールや1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のリン化合物、四級アンモニウム塩、有機金属塩類、およびこれらの誘導体等があげられ、これらのなかでも透明性が優れることからリン化合物や1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール等のイミダゾール類が好ましい。これら硬化促進剤は、単独で用いても2種以上を併用して用いても良い。
本発明の複合体組成物には、必要に応じて、熱可塑性又は硬化性のオリゴマーやポリマーを併用することができる。また本発明の複合体組成物中には、必要に応じて特性を損なわない範囲で、少量の酸化防止剤、紫外線吸収剤、染顔料、カップリング剤、界面活性剤、他の無機フィラー等の充填剤等を含んでいても良い。
本発明の複合体組成物は任意の方法により各成分を混合することにより得ることができる。例えば樹脂と繊維状フィラーをそのまま混合する方法が挙げられる。必要に応じて過熱して混合してよい。しかしながら溶剤を用いて繊維状フィラーの分散溶液にし、均一分散液を得、後に脱溶媒する方法を用いると、繊維状フィラー分散性に優れた複合体組成物を得ることができる。用いる溶剤としては例えば繊維状フィラーの分散性を維持できる溶剤を用いて均一に混合することも出来る。溶剤としては特に限定されないが例えば水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、、ジオキサン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセルソルブ、テトラヒドロフラン、ペンタエリスリトール、ジメチルスルホキサイド、ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどが挙げられる。これらを単独若しくは2種類以上を混合して用いることもできる。また、元の分散媒の分極率を目的の分散媒の極性へと徐々に変化させ、繊維状フィラーを異なる極性の分散媒に分散することも可能である。
さらに、本発明の複合体組成物を太陽電池用基板、有機EL用基板、電子ペーパー用基板、液晶表示素子用プラスチック基板等の所定の厚みを有するシートを得る方法としては特に限定されない。例えば樹脂及び繊維状フィラーからなる複合体組成物をそのままシート化する方法や、繊維状フィラーの分散媒を流延して溶媒を除去し、繊維状フィラーのシートを得、後に樹脂を含浸させる方法、または樹脂と繊維状フィラーと分散溶媒からなる溶液を流延して溶媒を除去しシートを得る方法が挙げられる。
そのようなプロセスにおいて好ましい態様の一つとしては樹脂と繊維状フィラーとを予め溶媒分散した分散液をろ紙、メンブレンフィルター又は抄網などに流延し、分散媒等のその他成分を濾別及び/又は乾燥し、複合体組成物からなるシートを得る方法である。尚、前記濾別乾燥工程においては作業効率を高めるため減圧下、加圧下で行っても構わない。連続的に形成する場合には、製紙業界で使用される抄紙機を用いて薄層シートを連続的に形成する方法も含まれる。
流延してシートを作製する場合、濾別及び/又は乾燥後に形成されたシートが容易に剥離する基材を選択することが好ましく、金属性の基材、樹脂性の基材などが考えられる。金属製基材としてはステンレス製基材、真ちゅう製基材、亜鉛製基材、銅製基材、鉄製基材などが挙げられ、樹脂製基材としてはアクリル性基材、フッ素系基材、ポリエチレンテレフタレート製基材、塩化ビニル製基材、ポリスチレン性基材、ポリ塩化ビニリデン製基材が例示できる。
本発明を実施例に基づいて説明する。
[微細セルロース繊維の作製]
(作製例1)
乾燥重量で2g相当分の未乾燥のパルプ(主に1000nmを超える繊維径の繊維から成る)、0.025gのTEMPO(2,2,6,6‐テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシル)および0.25gの臭化ナトリウムを水150mlに分散させた後、13重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、1gのパルプに対して次亜塩素酸ナトリウムの量が2.5mmolとなるように次亜塩素酸ナトリウムを加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10.5に保った。pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なし、0.5Mの塩酸水溶液でpH7に中和し反応物をガラスフィルターにてろ過した後、十分な量の水による水洗、ろ過を6回繰り返し、固形分量2重量%の水を含浸させた反応物繊維を得た。
次に、該反応物繊維に水を加え0.2重量%とした。
この該反応物繊維分散液を高圧ホモジナイザー(ノロ・ソビア製、15MR―8TA型)を用いて圧力20Mpaで20回処理し、透明なセルロースナノファイバ−分散水溶液を得た。
この分散体を親水処理済みのカーボン膜被覆グリッド上にキャスト後、2%ウラニルアセテートでネガティブ染色しTEM観察した。最大繊維径が10nmかつ、数平均繊維径が6nmであった。また、乾燥させて得られた透明な膜状のセルロースの広角X線回折像から、セルロースI型結晶構造を有するセルロースから成ることが示され、また同じ膜状セルロースのATRスペクトルのパターンからカルボニル基の存在が確認され、上述した方法により評価したセルロース中のアルデヒド基の量およびカルボキシル基の量はそれぞれ0.31mol/g、および1.7mmol/gであった。
(実施例1)
作製例1で得られた固形分濃度0.2%のセルロースナノファイバー分散水溶液と水溶性アクリル樹脂(サイテック社、アクリル共重合体Viacryl6286、ガラス転移温度30℃)とを混合し、室温で30分間撹拌した。得られた混合溶液を離型処理したシャーレに注ぎ、温度50℃のオーブンで水分を蒸発させ、さらに120℃の真空オーブン中で乾燥し、セルロースナノファイバーの含有量が90wt%、厚み30μmの透明なフィルムを得た。得られたフィルムの光線透過率、熱線膨張係数を評価した。全光線透過率は88%であり、30℃〜180℃の範囲における平均線膨張係数は−15ppmであった。
(実施例2)
作製例1で得られた固形分濃度0.2%のセルロースナノファイバー分散水溶液と水溶性アクリル樹脂(サイテック社、アクリル共重合体Viacryl6286、ガラス転移温度30℃)とを混合し、室温で30分間撹拌した。得られた混合溶液を離型処理したシャーレに注ぎ、温度50℃のオーブンで水分を蒸発させ、さらに120℃の真空オーブン中で乾燥し、セルロースナノファイバーの含有量が75wt%、厚み30μmの透明なフィルムを得た。得られたフィルムの光線透過率、熱線膨張係数を評価した。全光線透過率は88%であり、30℃〜180℃の範囲における平均線膨張係数は−20ppmであった。
(実施例3)
作製例1で得られた固形分濃度0.2%のセルロースナノファイバー分散水溶液と水溶性アクリル樹脂(サイテック社、アクリル共重合体Viacryl6286、ガラス転移温度30℃)とを混合し、室温で30分間撹拌した。得られた混合溶液を離型処理したシャーレに注ぎ、温度50℃のオーブンで水分を蒸発させ、さらに120℃の真空オーブン中で乾燥し、セルロースナノファイバーの含有量が50wt%、厚み30μmの透明なフィルムを得た。得られたフィルムの光線透過率、熱線膨張係数を評価した。全光線透過率は88%であり、30℃〜180℃の範囲における平均線膨張係数は−25ppmであった。
(実施例4)
作製例1で得られた固形分濃度0.2%のセルロースナノファイバー分散水溶液と水溶性アクリル樹脂(東亞合成製、ジュリマーAT−210、ガラス転移温度−7℃)とを混合し、室温で30分間撹拌した。得られた混合溶液を離型処理したシャーレに注ぎ、温度50℃のオーブンで水分を蒸発させ、さらに120℃の真空オーブン中で乾燥し、セルロースナノファイバーの含有量が25wt%で厚み30μmの透明なフィルムを得た。得られたフィルムの光線透過率、熱線膨張係数を評価した。全光線透過率は86%であり、30℃〜180℃の範囲における平均線膨張係数は−10ppmであった。
(実施例5)
作製例1で得られた固形分濃度0.2%のセルロースナノファイバー分散水溶液と水溶性アクリル樹脂(東亞合成製、ジュリマーAT−510,ガラス転移温度27.5℃)とを混合し、室温で30分間撹拌した。得られた混合溶液を離型処理したシャーレに注ぎ、温度50℃のオーブンで水分を蒸発させ、さらに120℃の真空オーブン中で乾燥し、セルロースナノファイバーの含有量が25wt%で厚み30μmの透明なフィルムを得た。得られたフィルムの光線透過率、熱線膨張係数を評価した。全光線透過率は87%であり、30℃〜180℃の範囲における平均線膨張係数は2ppmであった。
(実施例6)
作製例1で得られた固形分濃度0.2%のセルロースナノファイバー分散水溶液と水溶性アクリル樹脂(東亞合成製、ジュリマーET−325,ガラス転移温度30℃)とを混合し、室温で30分間撹拌した。得られた混合溶液を離型処理したシャーレに注ぎ、温度50℃のオーブンで水分を蒸発させ、さらに120℃の真空オーブン中で乾燥し、セルロースナノファイバーの含有量が25wt%で厚み33μmの透明なフィルムを得た。得られたフィルムの光線透過率、熱線膨張係数を評価した。全光線透過率は91%であり、35℃〜180℃の範囲における平均線膨張係数は−7.5ppmであった。
(実施例7)
作製例1で得られた固形分濃度0.2%のセルロースナノファイバー分散水溶液と水溶性アクリル樹脂(東亞合成製、ジュリマーAT−613,ガラス転移温度73℃)とを混合し、室温で30分間撹拌した。得られた混合溶液を離型処理したシャーレに注ぎ、温度50℃のオーブンで水分を蒸発させ、さらに120℃の真空オーブン中で乾燥し、セルロースナノファイバーの含有量が25wt%で厚み29μmの透明なフィルムを得た。得られたフィルムの光線透過率、熱線膨張係数を評価した。全光線透過率は92%であり、90℃〜180℃の範囲における平均線膨張係数は−2.1ppmであった。
(実施例8)
作製例1で得られた固形分濃度0.2%のセルロースナノファイバー分散水溶液とポリビニルピロリドン(和光純薬工業製、ガラス転移温度160℃)とを混合し、室温で30分間撹拌した。得られた混合溶液を離型処理したシャーレに注ぎ、温度50℃のオーブンで水分を蒸発させ、さらに120℃の真空オーブン中で乾燥し、セルロースナノファイバーの含有量が25wt%で厚み47μmの透明なフィルムを得た。得られたフィルムの光線透過率、熱線膨張係数を評価した。全光線透過率は91%であり、170℃〜210℃の範囲における平均線膨張係数は−3.5ppmであった。
(実施例9)
作製例1で得られた固形分濃度0.2%のセルロースナノファイバー分散水溶液とポリエチレングリコール(和光純薬工業製、平均分子量20000,融点56〜63℃)とを混合し、室温で30分間撹拌した。得られた混合溶液を離型処理したシャーレに注ぎ、温度50℃のオーブンで水分を蒸発させ、さらに120℃の真空オーブン中で乾燥し、セルロースナノファイバーの含有量が25wt%で厚み47μmの透明なフィルムを得た。得られたフィルムの光線透過率、熱線膨張係数を評価した。全光線透過率は90%であり、40℃〜180℃の範囲における平均線膨張係数は−4.2ppmであった。
(実施例10)
作製例1で得られた固形分濃度0.2%のセルロースナノファイバー分散水溶液とポリエチレングリコール(アルドリッチ製、平均分子量8000,融点60〜63℃)とを混合し、室温で30分間撹拌した。得られた混合溶液を離型処理したシャーレに注ぎ、温度50℃のオーブンで水分を蒸発させ、さらに120℃の真空オーブン中で乾燥し、セルロースナノファイバーの含有量が25wt%で厚み42μmの透明なフィルムを得た。得られたフィルムの光線透過率、熱線膨張係数を評価した。全光線透過率は90%であり、30℃〜180℃の範囲における平均線膨張係数は−6.2ppmであった。
(実施例11)
作製例1で得られた固形分濃度0.2%のセルロースナノファイバー分散水溶液とポリエチレングリコール(アルドリッチ製、平均分子量1540,融点43〜46℃)とを混合し、室温で30分間撹拌した。得られた混合溶液を離型処理したシャーレに注ぎ、温度50℃のオーブンで水分を蒸発させ、さらに120℃の真空オーブン中で乾燥し、セルロースナノファイバーの含有量が25wt%で厚み49μmの透明なフィルムを得た。得られたフィルムの光線透過率、熱線膨張係数を評価した。全光線透過率は83%であり、30℃〜180℃の範囲における平均線膨張係数は−2.6ppmであった。
(実施例12)
作製例1で得られた固形分濃度0.2%のセルロースナノファイバー分散水溶液とポリエチレングリコール(アルドリッチ製、平均分子量400,融点4〜8℃)とを混合し、室温で30分間撹拌した。得られた混合溶液を離型処理したシャーレに注ぎ、温度50℃のオーブンで水分を蒸発させ、さらに120℃の真空オーブン中で乾燥し、セルロースナノファイバーの含有量が25wt%で厚み30μmの透明なフィルムを得た。得られたフィルムの光線透過率、熱線膨張係数を評価した。全光線透過率は92%であり、30℃〜180℃の範囲における平均線膨張係数は−2.8ppmであった。
(比較例1)
作製例1で得られた固形分濃度0.2%のセルロースナノファイバー分散水溶液をシャーレに注ぎ、温度50℃のオーブンで水分を蒸発させ、さらに120℃の真空オーブン中で乾燥し、厚み30μmの透明なフィルムを得た。得られたフィルムの光線透過率、熱線膨張係数を評価した。全光線透過率は89%であり、30℃〜180℃の範囲における平均線膨張係数は12ppmであった。
(比較例2)
水溶性アクリル樹脂(サイテック社、Viacryl6286、ガラス転移温度30℃)をシャーレに注ぎ、温度50℃のオーブンで水分を蒸発させ、さらに120℃の真空オーブン中で乾燥し、厚み30μmの透明なフィルムを得た。得られたフィルムの光線透過率、熱平均線膨張係数を評価した。全光線透過率は87%であり、30℃〜180℃の範囲における平均線膨張係数は180ppmであった。
特性評価方法は、以下の通りである。
(a)熱平均線膨張係数
セイコー電子(株)製TMA/SS120C型熱応力歪測定装置を用いて、窒素雰囲気下、1分間に5℃の割合で温度を30℃から200℃まで上昇させた後、一旦0℃まで冷却し、再び1分間に5℃の割合で温度を上昇させてマトリクス樹脂の表1に記載の温度範囲の時の値を測定して求めた。荷重を5gにし、引張モードで測定を行った。
(b)光線透過率
分光光度計U3200(島津製作所製)で全光線透過率を測定した。
上記測定の結果を表1に示す。
Figure 2010270315
表1から明らかなように、本発明の複合組成物は熱膨張係数が低く、優れていることが分かる。

Claims (10)

  1. 樹脂と繊維状フィラーとを含む複合体組成物であって、該繊維状フィラーの平均繊維径が4〜1000nmであり、マトリクス樹脂のTgまたは融点以上の温度領域において平均線膨張係数が−30〜10ppm/℃である複合体組成物。
  2. 前記繊維状フィラーがセルロース繊維である請求項1記載の複合体組成物。
  3. 前記セルロース繊維が化学処理及び/又は機械的処理により微細化し得られた繊維である請求項2記載の複合体組成物。
  4. 前記セルロース繊維の水酸基の一部がアルデヒド及び/又はカルボキシル基に酸化されている請求項2又は3記載の複合体組成物。
  5. 前記セルロース繊維が天然セルロースを原料とし、水中においてN−オキシル化合物を酸化触媒とし、共酸化剤を作用させることにより前記天然セルロースを酸化して得られたセルロースである請求項2〜4いずれか記載の複合体組成物。
  6. 前記樹脂が、水溶性樹脂、熱可塑性樹脂、及び/又は硬化性樹脂である請求項1〜5いずれか記載の複合体組成物。
  7. 前記樹脂がアクリル共重合体である請求項1〜6いずれか記載の複合体組成物。
  8. 前記繊維状フィラーの含有率が0.1〜99.9重量%である請求項1〜7いずれか記載の複合体組成物。
  9. 前記複合体組成物の厚さ30μmにおける全光線透過率が80%以上である請求項1〜8いずれか記載の複合体組成物。
  10. 前記水溶性樹脂が、水溶性アクリル樹脂、ポリビニルピロリドンおよびポリエチレングリコールの中から選ばれる1種以上の樹脂である請求項6〜9いずれか記載の複合体組成物。
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