JP5699862B2 - 光学フィルムの製造方法及び該光学フィルムを用いた素子用基板 - Google Patents
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Description
少なくともプロピオニル基で置換され、かつ、その置換度が0.1〜1.5、結晶化度が50〜95%であるセルロースナノファイバーを、一部溶解または膨潤する溶媒に分散し、該分散液を流延し製膜することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
本発明で用いられるセルロースナノファイバーとは、セルロース繊維として平均繊維径4〜400nmであるセルロース繊維をいう。好ましくは4〜200nm、更に好ましくは4〜100nmの繊維径の繊維である。
本発明におけるセルロースナノファイバーは、セルロースの水酸基の一部が化学修飾によってプロピオニル基で置換されたたものである。
X線回折強度は以下の条件で測定し、下記式(1)に基づき結晶化度CrIを算出した。なお、I8は2θ=8°回折ピーク強度を、I18は2θ=18°の回折ピーク強度を示す。
X線発生装置 :理学電機製RINT TTR2
X線源 :CuKα
出力 :50kV/300mA
1stスリット:0.04mm
2ndスリット:0.03mm
受光スリット:0.1mm
〈計数記録装置〉
2θ/θ :連続スキャン
測定範囲 :2θ=2〜45°
サンプリング :0.02°
積算時間 :1.2秒
(置換度と結晶化度の異なるセルロースナノファイバーを混合)
本発明におけるセルロースナノファイバーは、プロピオニル基の置換度と結晶化度の異なるものを混合することが好ましい。プロピオニル基の置換度と結晶化度の調整により、本発明の効果である透明性、生産性、熱膨張性は両立されるため、置換度と結晶化度の異なるナノファイバーを混合することで、性能の安定性が向上するので有効である。特にプロピオニル基の置換度が小さく、かつ結晶化度の高いナノファイバーと、プロピオニル基の置換度が大きく、かつ結晶化度の小さいナノファイバーを混合して使用することが好ましい。前者は熱膨張性に有利なファイバーで、後者は透明性、生産性に有利に働くファイバーであり、置換度と結晶化度の異なるものを混合することで、本発明の効果である性能の安定性がより安定するので、好ましい。
本発明に係る光学フィルムには、該光学フィルムを用いて作製した偏光板、液晶表示装置の性能を更に向上させる目的で、以下の添加剤を添加することが好ましい。
本発明に係る光学フィルムは、可塑剤を含有させることができる。可塑剤としては特に限定されないが、好ましくは、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤及び多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、アクリル系可塑剤等から選択される。そのうち、可塑剤を2種以上用いる場合は、少なくとも1種は多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
(但し、Raはn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/またはフェノール性水酸基を表す。)
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
(但し、Rbは(m+n)価の有機基、mは2以上、6以下の正の整数、nは0以上、4以下の整数、COOH基はカルボキシル基、OH基はアルコール性またはフェノール性水酸基を表す。)
好ましい多価カルボン酸の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸またはその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸等を好ましく用いることができる。特にオキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上等の点で好ましい。
酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
B−COO−((G−O−)m−CO−A−COO−)nG−O−CO−B
(式中、Bはベンゼン環を表し他に置換基を有してもよい。Gは炭素数2〜12のアルキレン基または炭素数6〜12のアリーレン基または炭素数が4〜12のオキシアルキレン基、Aは炭素数2〜10のアルキレン基または炭素数4〜10のアリーレン基を表し、また、m、nは繰り返し単位を表す。)
一般式(c)の化合物は、BCOOHで表されるベンゼンモノカルボン酸基、HO−(G−O−)lHで表されるアルキレングリコール基またはオキシアルキレングリコール基またはアリールグリコール基、HOCO−A−COO−Hで表されるアルキレンジカルボン酸基またはアリールジカルボン酸基とから合成されるものであり、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られる。
前記光学フィルムは、可塑剤として(メタ)アクリル系重合体を含有することもできる。
−[CH2−C(Rc)(CO2Rd)−]m−[CH2−C(Re)(CO2Rf−OH)−]n−[Xc]p−
一般式(Y)
Ry−[CH2−C(Rg)(CO2Rh−OH)−]k−[Yb]q−
(式中、Rc、Re、Rgは、HまたはCH3を表す。Rdは炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基を表す。Rf、Rhは−CH2−、−C2H4−または−C3H6−を表す。RyはOH、Hまたは炭素数3以内のアルキル基を表す。Xcは、Xa、Xbに重合可能なモノマー単位を表す。Ybは、Yaに共重合可能なモノマー単位を表す。m、n、k、p及びqは、モル組成比を表す。ただしm≠0、n≠0、k≠0である。)
これらの可塑剤の添加量としては、使用する樹脂に対して、0.5〜30質量%含むことが好ましく、特には、5〜20質量%含むことが好ましい。
前記光学フィルムは、紫外線吸収剤を含有することもできる。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
酸化防止剤は劣化防止剤ともいわれる。高湿高温の状態に液晶画像表示装置等が置かれた場合には、光学フィルムの劣化が起こる場合がある。
前記光学フィルムは、微粒子を含有することが好ましい。
本発明の光学フィルムには、架橋剤を含有することができる。架橋剤を添加することで、セルロースナノファイバー間の絡み合いを密にでき、透明性、熱膨張性が向上するので好ましい。
(CH2=CHSO2)nA
式中、Aはn価の連結基であり、例えばアルキレン基、置換アルキレン基、フェニレン基、置換フェニレン基であり、間にアミド連結部分、アミノ連結部分、エーテル連結部分あるいはチオエーテル連結部分を有していてもよい。置換基としては、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基、アミノ基、スルホン酸基、硫酸エステル基等が挙げられる。nは1、2、3又は4である。
(分散液キャスト法)
本発明の光学フィルムは、一般的に分散液キャスト法と呼ばれる、セルロースナノファイバーの組成物及び添加剤を一部溶解または膨潤する溶媒に分散させて分散液を調製する工程、分散液を無限に移行する無端の金属支持体上に流延(キャスト)する工程、流延した分散をウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程により製造することができる。
なお、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
本発明において、セルロースナノファイバーを分散液キャスト法で製膜した後に、加熱カレンダー処理で透明、平滑化することができる。
本発明の光学フィルムは、全光線透過率が85%以上、特に90%以上の高透明性材料であることが好ましい。85%未満では、本発明の展開できる用途への仕様が困難になる場合があり、特に画像が乱れたり、鮮鋭性が劣化したりするので、好ましくない。また上記数値は製造工程での熱処理後でも必要である。
本発明の光学フィルムは、透明性、生産性(欠陥)、カール性、低熱膨張に優れていることから、素子用の透明基板として使用することができる。特に、液晶や有機素子デバイス用基板に適用でき、有機素子デバイスとしては、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と略記する)、有機光電変換素子等が挙げられる。
本発明の透明基板に用いることができる透明導電膜は特に限定なく、素子構成により選択することができる。例えば、透明電極として用いる場合、好ましくは380〜800nmの光を透過する電極である。材料としては、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO2、ZnO等の透明導電性金属酸化物、金、銀、白金等の金属薄膜、金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブ用いることができる。また、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン及びポリナフタレンの各誘導体からなる群より選ばれる導電性高分子等も用いることができる。また、これらの導電性化合物を複数組み合わせて使用することもできる。
本発明の透明基板に用いることができるガスバリア層は特に限定なく、素子構成により選択することができる。本発明におけるガスバリア層は、水蒸気と酸素に対するガスバリア性の高い層である。このガスバリア層は特に高湿度による樹脂基材及び当該樹脂基材で保護される各種機能素子等の劣化を防止するためのものである。
本発明の透明基板に用いることができるハードコートは特に限定なく、素子構成により選択することができる。本発明においてハードコートを設置することで、基材に硬度、平滑性、透明性、耐熱性が付与することができる。本発明に適用可能なハードコート樹脂としては、硬化によって透明な樹脂組成物を形成するものであれば、特に制限なく使用でき、例えば、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル系樹脂、アリルエステル系樹脂等が挙げられる。特に好ましくは、できる点でアクリル系樹脂を用いることができる。硬化方法は光、熱いずれも可能であるが、生産性の点から光、特にUV光に硬化が好ましい。
(製造例1)
針葉樹から得られた亜硫酸漂白パルプ(セルロース繊維)を純水に0.1質量%となるように添加し、石臼式粉砕機(ピュアファインミルKMG1−10;栗田機械製作所社製)を用いて50回、磨砕処理(回転数:1500回転/分)してセルロース繊維を解繊した。この水分散液を濾過後、純水で洗浄し、70℃で乾燥させてセルロースナノファイバーAを得た。得られたセルロースナノファイバーAは走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径32nmに解繊されており、ミクロフィブリル化していることを確認した。
セルロースナノファイバーAと無水プロピオン酸/ピリジン(モル比1/1)溶液の撹拌時間を3時間に変更した以外は、製造例1を同様にして、プロピオニル基で置換したセルロースナノファイバーCを得た。得られたセルロースナノファイバーCは走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径は32nmに保たれていた。またプロピオニル基の置換度は0.8、結晶化度は90%であった。
セルロースナノファイバーAと無水プロピオン酸/ピリジン(モル比1/1)溶液の撹拌時間を6時間に変更した以外は、製造例1を同様にして、プロピオニル基で置換したセルロースナノファイバーDを得た。得られたセルロースナノファイバーDは走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径は32nmに保たれていた。またプロピオニル基の置換度は1.4、結晶化度は67%であった。
セルロースナノファイバーAと無水プロピオン酸/ピリジン(モル比1/1)溶液の撹拌時間を12時間に変更した以外は、製造例1を同様にして、プロピオニル基で置換したセルロースナノファイバーEを得た。得られたセルロースナノファイバーEは走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径は32nmに保たれていた。またプロピオニル基の置換度は2.4、結晶化度は40%であった。
セルロースナノファイバーAを乾燥質量で1g相当分と0.0125gのTEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル)及び0.125gの臭化ナトリウムを水100mlに分散させた後、13質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、次亜塩素酸ナトリウムの量が2.5mmolとなるように次亜塩素酸ナトリウムを加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10.5に保った。pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なし、反応物をガラスフィルターにてろ過した後、十分な量の水による水洗、ろ過を5回繰り返し、さらに超音波分散機にて1時間処理をし、70℃で乾燥させてセルロースナノファイバーFを得た。平均繊維径4nmであった。
セルロースナノファイバーAをセルロースナノファイバーFに変更して、製造例2を同様にして、プロピオニル基で置換したセルロースナノファイバーHを得た。得られたセルロースナノファイバーHは走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径は4nmに保たれていた。またプロピオニル基の置換度は1.2、結晶化度は79%であった。
セルロースナノファイバーAをセルロースナノファイバーFに変更して、製造例3を同様にして、プロピオニル基で置換したセルロースナノファイバーIを得た。得られたセルロースナノファイバーIは走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径は4nmに保たれていた。またプロピオニル基の置換度は1.8、結晶化度は48%であった。
70℃で乾燥前のセルロースナノファイバーAの水分500質量部と35質量%塩酸水溶液10質量部を加え、均一になるまで攪拌をした後、温度を10℃に調節した。そのときの混合液のpHは0.5であった。次いで、10℃に保持された混合液を攪拌しながらプロピオンアルデヒド7.0質量部を温度10〜15℃に調節しながら連続的に添加混合した。添加開始約15分後に攪拌を停止した。その後反応系を60℃に昇温し、1時間保持した。反応終了後、40℃まで冷却し、1モル%の水酸化ナトリウム水溶液を添加して前記混合液をpH9に調整した。ろ過により洗浄・脱水を実施した。70℃で乾燥させて、プロピオニル基で置換したセルロースナノファイバーKを得た。得られたセルロースナノファイバーKは走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径は32nmに保たれていた。またプロピオニル基の置換度は0.7、結晶化度は89%であった。
無水プロピオン酸を無水酢酸に変更した以外は、製造例2を同様にして、アセチル基で置換したセルロースナノファイバーLを得た。得られたセルロースナノファイバーLは走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径は32nmに保たれていた。またアセチル基の置換度は1.0、結晶化度は82%であった。
無水プロピオン酸を無水ブタン酸に変更した以外は、製造例2を同様にして、アセチル基で置換したセルロースナノファイバーMを得た。得られたセルロースナノファイバーMは走査型電子顕微鏡観察結果より、平均繊維径は32nmに保たれていた。またブタノイル基の置換度は0.5、結晶化度は90%であった。
製造例1において、無水プロピオン酸/ピリジン(モル比1/1)溶液500質量部に、セルロースナノファイバーAの10質量部を添加して分散させ、室温で1時間攪拌した後、エタノールで洗浄及び溶媒置換し、固形分濃度を10質量%になるまでエタノールを蒸発させ、ゲル状のプロピオニル基で置換したセルロースナノファイバーNを得た。得られたセルロースナノファイバーを乾燥させ、走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均繊維径は32nmに保たれていた。またプロピオニル基の置換度は0.8、結晶化度は89%であった。
セルロースナノファイバーAと無水プロピオン酸/ピリジン(モル比1/1)溶液の撹拌時間を3時間に変更した以外は、製造例11を同様にして、ゲル状のプロピオニル基で置換したセルロースナノファイバーOを得た。得られたセルロースナノファイバーOを乾燥させ、走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均繊維径は32nmに保たれていた。またプロピオニル基の置換度は1.3、結晶化度は62%であった。
セルロースナノファイバーAを乾燥質量で1g相当分と0.0125gのTEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル)及び0.125gの臭化ナトリウムを水100mlに分散させた後、13質量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、次亜塩素酸ナトリウムの量が2.5mmolとなるように次亜塩素酸ナトリウムを加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10.5に保った。pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なし、反応物をガラスフィルターにてろ過した後、十分な量のピリジンで溶媒置換した。
無水プロピオン酸を添加後の撹拌時間を6時間に変更した以外は、製造例13を同様にして、ゲル状のプロピオニル基で置換したセルロースナノファイバーQを得た。得られたセルロースナノファイバーQ維を乾燥させ、走査型電子顕微鏡で観察したところ、平均繊維径は4nmに保たれていた。またプロピオニル基の置換度は1.2、結晶化度は77%であった。
〈分散液キャスト製膜方法〉
表1に示すセルロースナノファイバーを用いた下記分散液(組成物)を、攪拌しながら密閉容器に投入し、加熱、撹拌しながら、混合した。この分散液を流延する温度まで下げて一晩静置し、脱泡操作を施した後、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し分散液を得た。
セルロースナノファイバー液(固形分10質量%) *1 840質量部
トリフェニルフォスフェート 10質量部
エチルフタリルエチルグリコレート 5質量部
メチレンクロライド 140質量部
架橋剤(E−5) *2 5質量部
*1 セルロースナノファイバーA〜Qをエタノールで固形分10質量%分散液に調製。光学フィルムNo.6用はセルロースナノファイバーBをメチレンクロライドで固形分10質量%溶液に調製。
得られた光学フィルムを残留溶媒量が35質量%未満となったところで、予熱後ロール速度差によりフィルム搬送方向に延伸(長手延伸)、次いでテンター式延伸機に導き、フィルム搬送方向に直交する方向に延伸(幅手延伸)した。延伸倍率は長手延伸1.5倍、幅手延伸1.5倍とした。
得られたフィルムまたは不織布シートを、由利ロール社製ロールプレス装置を使用して、カレンダー処理を施した。上部下部ともに金属ロールで、ロール温度として200℃に設定して、線圧0.5トンで2m/minの走行速度でカレンダー処理を行った。
金属支持体上に3か所のダイコーターを配置し、表1の層構成の組成、膜厚比になるように製膜した。
得られたフィルムを、由利ロール社製ロールプレス装置を使用して、カレンダー処理を施した。上部下部ともに金属ロールで、ロール温度として200℃に設定して、線圧0.5トンで2m/minの走行速度でカレンダー処理を行った。
得られた光学フィルムについて、以下の評価を行った。
光学フィルムについて、20〜200℃の範囲内で温度を変化させ、線膨張係数を測定した。測定装置としてSII(セイコーインスツルメンツ)社EXSTAR6000 TMA/SS6100を用いた。
光学フィルムをヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH2000)を用いてヘイズ値(%)を測定し、これを透明性の尺度とした。
光学フィルムを、2枚の偏光板を直行(クロスニコル)状態にしたものの間に設置して、所定面積あたりの欠陥の個数(個/mm2)を、偏光顕微鏡(オリンパス株式会社製のBX51)を用いて測定した。
○:欠陥の個数が0.3個/mm2以上0.6個/mm2未満である
△:欠陥の個数が0.6個/mm2以上2.0個/mm2以下である
×:欠陥の個数が2.0個/mm2を超える。
光学フィルムを10cm×10cmの大きさに切り出し、各端部の浮き上がり量を測定。四点の平均値をカール値とした。
光学フィルムを200℃のオーブン中で60分加熱処理を施した。その後、処理を施した光学フィルムについて、上記と同様の方法で、透明性、カール評価を行い、耐熱性の目安とした。
Claims (6)
- 樹脂成分として、セルロースナノファイバーのみを含有する光学フィルムの製造方法であって、
少なくともプロピオニル基で置換され、かつ、その置換度が0.1〜1.5、結晶化度が50〜95%であるセルロースナノファイバーを、一部溶解または膨潤する溶媒に分散し、該分散液を流延し製膜することを特徴とする光学フィルムの製造方法。 - 前記セルロースナノファイバーが、プロピオニル基の置換度と結晶化度が異なる混合物であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記製膜した後、加熱カレンダー処理することを特徴とする請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
- 前記製膜した後、延伸することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法により得られた光学フィルムを用いることを特徴とする素子用基板。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法により得られた光学フィルムを用いることを特徴とする有機デバイス素子用基板。
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