JP2014180127A - 高電圧インバータ - Google Patents

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Abstract

【課題】高電圧インバータの出力電圧の波高値が所望の値になるように容易に調整できるようにする。
【解決手段】入力電圧をスイッチングしてトランス10の励磁巻線に励磁電流を流し、その出力巻線から入力電圧より高い交流電圧を出力する高電圧インバータであり、そのトランス10を、同一の特性を持つ個別の複数のトランスT1〜T4によって構成し、その各励磁巻線Np1〜Np4を並列に接続して同時に励磁させ、各出力巻線Ns1〜Ns4を直列に接続している。各トランスT1〜T4は、それぞれ独立した閉磁路を持つ中足を有する同一形状のコアを有し、そのコアの中足の周囲に励磁巻線と出力巻線を重ね巻きされ、そのコアの中足に設けたギャップが、励磁巻線に励磁電流を流した状態で無段階に調整可能に構成されており、各トランスT1〜T4励磁インダクタンスが同一の所定値になるようにギャップの大きさが調整されている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、商用交流、直流電圧若しくは直流成分に脈流が重畳された入力電圧をスイッチングして、トランスの一次側の励磁巻線に励磁電流を流し、そのトランスの二次側の出力巻線から交流高電圧を出力する高電圧インバータに関する。
プラズマ発生装置、大型プラズマディスプレイ用放電管、オゾン発生装置などの放電用電源装置等として、交流高電圧を出力する高電圧インバータが多用されている。
例えば、誘電体バリア放電によって発生する大気圧プラズマは、表面処理の一つの手段として、表面の改質や汚染物の除去等、様々な工業製品に応用されている。樹脂等に接着や印刷、コーティング等を施す場合に、大気圧プラズマにより前処理を行うと、表面の濡れ性を向上させて、接着や印刷あるいはコーティング等を容易に仕上りよく行うことが可能になる。
このような大気圧プラズマを生成する誘電体バリア放電を安定して発生させるには、高電圧インバータによって数KVから数十KVの交流高電圧による高電力を、放電器の誘電体を介して対向する放電電極とカウンタ電極間に安定的に供給する必要がある。
一般のスイッチングレギュレータ(AC−DC又はDC−DCコンバータ)には、出力電力値が数W程度のものが多く使用されているが、プラズマ発生装置などには、出力電圧が十数KVで電力値が数十W以上の交流の出力を持つ高電圧インバータが使用される。
一般のスイッチングレギュレータは、電圧変換用のトランスの一次側の励磁巻線に、直流電圧をスイッチング素子でスイッチングして断続的に印加し、そのトランスの二次側の出力巻線に発生する交流電流を整流及び平滑して直流電圧を出力する。
その出力電圧を一定電圧に維持するために、例えば特許文献1に見られるように、出力電圧を検出してフィードバック電圧を生成し、それによってスイッチング素子のオン時間とオフ時間の比率(デューティ比)を制御するパルス幅変調(PWM)制御を行なっている。
これは、出力電圧が下がったときには、スイッチングパルスのON幅を広げて出力電力不足を補い、逆に出力電圧が上がった時には、ON幅を狭くして過剰な出力電力を制限することによって、出力電圧を一定に制御するものである。
一方、インバータ装置は、上述と同様に電圧変換用のトランスの一次側の励磁巻線に、直流電圧をスイッチング素子でスイッチングして断続的に印加し、二次側の出力巻線に発生する交流電圧をそのまま負荷へ出力する。
その場合、例えば特許文献2に見られるように、出力電圧の代わりに出力電流を検出して、それを電圧に変換してスイッチング素子に対するPWM制御を行うようにしたものもある。
前述した大気圧プラズマを生成する誘電体バリア放電を安定して発生させるには、数KVから数十KVの交流高電圧による高電力を供給する必要がある。そのような用途に適した高電圧インバータを本発明者は既に開発しており、それは例えば、特許文献3に開示されている。
その高電圧インバータは、基本的には図14に示すような構成を有しており、直流電圧若しくは直流成分に脈流が重畳された入力電圧Vinを、スイッチング素子Qによってスイッチングして共振トランス3の一次側の励磁巻線に励磁電流を流す。そして、その共振トランス3の二次側の出力巻線から交流高電圧の出力電圧Vout を出力する。
この高電圧インバータの特徴は、電圧を変換するための共振トランス3を、同一の特性を持つ個別の複数(図示の例では2個)のトランスT1,T2によって構成したことである。そして、その複数のトランスT1,T2の各励磁巻線Np1,Np2を並列に接続して同時に励磁させるようにし、各出力巻線Ns1,Ns2を直列に接続して、その各出力電圧を積み上げるように加算して出力する。そのため、各出力巻線Ns1,Ns2の出力電圧波形の時間軸が同期するようにしている。
図15は、この高電圧インバータにおけるスイッチング信号Sp、FETによるスイッチング素子Qのソース・ドレイン間に流れる電流Id(Q)、出力電圧Vout 及び負荷に流す出力電流Ioの各波形を示している。
スイッチング信号Spは、図示していない制御回路で発生するパルス幅変調(PWM)された矩形波パルスの信号であり、スイッチング素子Qのゲートに印加される。そして、このスイッチング信号Spが、1周期のうちハイ(High)の期間にスイッチング素子QをONにし、ローの期間はスイッチング素子QをOFFにする。
スイッチング素子QがONの期間には電流Id(Q)が流れ、トランスT1,T2の各励磁巻線Np1,Np2に同時に励磁電流を流す。この期間にトランスT1,T2にエネルギーを蓄積する。そして、スイッチング素子QがOFFになるとトランスT1,T2が蓄えたエネルギーを放出して、各出力巻線Ns1,Ns2に正弦波の半波に似た波形のパルス状の高電圧を発生する。その各出力巻線Ns1,Ns2に発生する高電圧が加算されて出力電圧Vout となる。
図14に示した高電圧インバータもフライバック型電圧共振インバータである。したがって、上述したように、スイッチング素子Qがオン(ON)の期間にトランスT1,T2の励磁巻線Np1,Np2に励磁エネルギーをため、オフ(OFF)の期間に、出力巻線Ns1,Ns2から交流高電圧の出力電圧Voutを出力する。その出力電圧Voutを、負荷である例えば放電器4の電極間に印加する。
なお、ここでいう「交流高電圧」とは正負均等な正弦波交流の高電圧ではなく、トランスの励磁電流の断続によって、その出力巻線に発生するフライバックパルスによるパルス状あるいは脈流状の交番波形の高電圧である。
その出力電圧Voutは、出力巻線Ns1,Ns2の総合インダクタンスLsと、総合分布容量Cs及び負荷である放電器4の等価容量(負荷容量)Coとの合成容量とによる並列共振回路によって発生する。そのため、その出力電圧Voutは励磁巻線Np1,Np2と出力巻線Ns1,Ns2の巻数比に応じるが、それより遥かに大きい昇圧比の高電圧になる。
高電圧インバータをこのように構成することによって、各トランスT1,T2の励磁巻線Np1,Np2に偏磁が生じることがなく、共振トランス3全体として、出力巻線の巻数を多くすることができる。そのため、昇圧比が高い高電圧を連続して安定に、しかも安全に得ることができる。
大気圧プラズマを発生させる誘電体バリヤ放電(無声放電とも言われる)は、一般的に常圧で6KV以上で発生するといわれている。その放電器4内の誘電体バリヤ放電を発生する対向する電極間の等価容量をCoとすると、図14に示した共振トランス3の二次側の並列共振回路の共振定数はLs、Cs、Coとなる。それによって出力経路上に強磁場がかかるため、出力電圧波形は完全に基本波のみとはならず歪が入った波形となり、フーリエ展開すると高次数の交番され減衰されていく電圧に分解される。
ここで共振定数の総合インダクタンスLsと総合分布容量Csは、磁路が分離された複数個のトランスT1,T2の合成特性である。個々のトランスT1,T2の出力インダクタンスは、トランスの数が2個の場合略Ls/2、分布容量は略2・Csとなる。出力電圧Voutは交番された電圧であり、その値は数KVないし数十KVで、平均出力電力は数Wないし数十KWの範囲にある。
したがって、出力電圧Voutは、Vout(t)=(√2Vout)sin(ωt)による基本波の場合は、正弦波の関数上にある。ここでVoutは、出力電圧値の実効値となる。
この交番された電圧の波高値を制御するには、その波高値のピンポイントを時間のずれなく制御するのが望ましい。
しかし、現実的には、数十KVとなる交番された高電圧ためピンポイントでの検出は困難になるばかりか、仮に検出した信号が取り出せたとしても、電力変換するスイッチング素子をドライブするまでには少なくても数msec程度の時間を要する。それがスイッチング周波数ごとに繰り返される。
そのため、出力電圧の波高値は、少なくとも数msecごとに抑制が起きる波打った出力電圧波形となってしまう。
出力電圧が直流のスイッチングレギュレータの場合には、前述した特許文献1に記載されているように、その出力電圧を検出して、スイッチング素子をON/OFF制御するスッチングパルスをPWM制御することが可能である。
また、出力側に平滑回路の電解コンデンサなどが接続されているため、それによる保持時間があるため、制御の応答性が問題になることもない。
しかし、インバータ装置の高電圧出力は交流であるために、全波であろうが半波であろうが、その波高値(ピーク電圧値)を一定に制御するのは困難であった。
その理由は、波高値の時間が1点であること、制御の遅延があり、出力電圧波形が繰り返される周波数が高くなればなるほどその遅延の影響が顕著になって、波高値電圧が降下し過ぎたり上昇し過ぎたりすることにある。
このように、出力が交流であって、スイッチング周波数が数十KHzと高く、出力の波高値電圧も十数KVのように高い場合は、上述した制御の応答性の問題に加えて、出力電圧検出手段や部品の耐圧の問題等も生じる。
そのため、このような高電圧インバータでは、入力供給電圧を一定に制御するだけで、出力電圧値は無制御であるのが一般であった。
前述した特許文献2に記載されているように、出力電圧値の代わりに出力電流を検出して、それを負帰還してスイッチング素子に対するPWM制御を行うようにしたものもあるが、出力電圧の波高値を監視してそれを制御することはできない。
この発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、出力が交流でその波高値電圧が十数KVのような高電圧インバータにおいて、その出力電圧の波高値が所望の値になるように容易に調整できるようにすることを目的とする。
この発明は上記の目的を達成するため、直流電圧若しくは直流成分に脈流が重畳された電圧を入力電圧とし、その入力電圧をスイッチングしてトランスの一次側の励磁巻線に励磁電流を流し、そのトランスの二次側の出力巻線から交流高電圧を出力する高電圧インバータであって、上記トランスを、同一の特性を持つ個別の複数のトランスによって構成し、その複数のトランスの各励磁巻線を並列に接続して同時に励磁させるようにし、その複数のトランスの各出力巻線を直列に接続し、かつ各出力巻線の出力電圧波形の時間軸が同期するようにする。
そして、上記複数のトランスは、それぞれ独立した閉磁路を持つ中足を有する同一形状のコアを有し、そのコアの中足の周囲に上記励磁巻線と出力巻線を重ね巻きしており、そのコアの中足はギャップを有し、且つ上記励磁巻線に励磁電流を流した状態でギャップの大きさを無段階に調整可能に構成されており、それぞれ励磁インダクタンス(Lp)が同一の所定値になるように、上前記ギャップの大きさが調整されたことを特徴とする。
この発明による高電圧インバータは、その出力電圧の波高値が所望の値になるように容易に調整できるようにすることができる。
この発明による高電圧インバータの一実施形態の構成を示す回路図である。 図1に示した高電圧インバータにおける共振トランス10を構成する各トランスの配置とその接続例を模式的に示す平面図である。 トランスの励磁電流のモデル図である。 コアのギャップの大きさをパラメータとした直流重畳特性とインダクション係数の特性を示す曲線図である。 出力電圧が一定の場合にギャップの大きさをパラメータとした、出力電流と出力電力の関係を示す曲線図である。
2磁路のトランスの外観例を示す概略正面図である。 図6に示した巻線部の右半部の縦断面図である。 ギャップ調整手段を有するコアの第1実施例の正面図とその左側面図である。 同じくその第2実施例の正面図とその左側面図である。 同じくその第3実施例の正面図とその左側面図である。 同じくその第4実施例の正面図とその左側面図である。 同じくその第5実施例の正面図とその左側面図である。 同じくその第6実施例の正面図とその左側面図である。 この発明の対象とする高電圧インバータの基本的な構成例を示す回路図である。 図14に示した高電圧インバータの動作を説明するための波形図である。
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
まず、この発明による高電圧インバータの一実施形態の構成を図1及び図2によって説明する。この実施形態の高電圧インバータも、図14によって前述した高電圧インバータの構成と基本的には同様な構成であるが、この実施形態では、電圧変換用の共振トランスを同一の特性を持つ個別の4個のトランスによって構成している。
表面改質処理等を行うための大気圧プラズマ発生装置に用いる高電圧インバータにおいては、安定的な高電圧出力を得るためには大型のトランス等による昇圧が必要となる。高電圧の出力を得るに際し、トランスの励磁巻線と出力巻線の巻数比を大きくすると、その巻線抵抗や線間容量の増大による損失増加や使用可能周波数帯域の制限、コアの磁気飽和やコア及び巻線の発熱等の問題が生じる。
そのため、この実施形態の高電圧インバータは、共振トランス10を4個の個別のトランスT1〜T4に分割して構成し、その各トランスT1〜T4を同時に励磁して、その出力を積み上げることによって高電圧又は大電力が得られるようにしている。
図1に示す高電圧インバータ装置は、入力端子1a,1bから供給される直流電圧若しくは直流成分に脈流が重畳されたSELV(安全特別低電圧)以内の電圧を入力電圧Vinとする。その入力電圧Vinをスイッチング素子Qによってスイッチングして、共振トランス10を構成する4個のトランスT1〜T4の一次側の励磁巻線Np1〜Np4に、断続的に励磁電流を流す。
それによって、トランスT1〜T4の二次側の出力巻線Ns1〜Ns4からそれぞれ高電圧を出力し、それを加算して出力端子2a,2bから交流高電圧の出力電圧Voutを出力する。出力端子2a,2bの間に放電器等の負荷を接続した場合は、その出力回路に出力電流Ioが流れる。
入力電圧Vinは、商用電源からの交流(日本では50Hz又は60Hzで実効電圧100V)を整流回路で整流し、平滑回路で平滑して得る。
共振トランス10を構成するトランスT1〜T4は、いずれも同一の特性を持つ別個のトランスである。その各T1〜T4の各励磁巻線Np1〜Np4を並列に接続し、FETによるスイッチング素子Qのドレイン・ソース間と直列に、入力端子1a,1b間に接続している。そのトランスT1〜T4の各出力巻線Ns1〜Ns4は直列に接続し、その両端を出力端子2a,2bに繋げている。そのアース側の端子は、負側の入力端子1bにも接続している。
以下の説明において、励磁巻線Np1〜Np4をまとめて励磁巻線Npとも称し、出力巻線Ns1〜Ns4をまとめて出力巻線Nsとも称す。
なお、出力端子2aに繋がる出力線の途中に、直流成分をカットするためのコンデンサを挿入するようにしてもよい。
制御回路5は、発振回路を含む制御IC(集積回路)であり、入力電圧Vinによって動作する。そして、保護抵抗Rを介してスイッチング素子Qのゲートに矩形波パルスのスイッチング信号Spを印加して、そのスイッチング素子Qをオン・オフさせる。
それによって、スイッチング素子Qのソース・ドレイン間に断続的に電流Id(Q)が流れ、共振トランス10の励磁巻線Npにも断続的に電流が流れるため、出力巻線Nsにパルス波形の高電圧を発生する。それが加算されて交流高電圧の出力電圧Vout となる。
これらのスイッチング信号Sp、スイッチング素子Qに流れる電流Id(Q)、出力電圧Vout及び負荷を接続した場合の出力電流Ioの各波形は、図15に示した例と同様である。
なお、スイッチング素子Qは、ドレインが共振トランス10の励磁巻線Npの一端に接続され、ソースは制御回路5内で負側の入力端子1bに接続されている。
共振トランス10の励磁巻線Npと並列に接続されたコンデンサCとダイオードDの直列回路は、スナバ回路を構成している。このスナバ回路は、各トランスT1〜T4のリセット用及びスイッチング素子Qの電圧抑圧用に設けられている。
この高電圧インバータにおいて、スイッチング素子Qがオン(ON)の期間に、共振トランス10の各トランスT1〜T4の励磁巻線Np〜Np4に励磁エネルギーを溜める。そして、スイッチング素子Qがオフ(OFF)の期間に、その各トランスT1〜T4がその溜めたエネルギーを放出して、各出力巻線Ns1〜Ns4に半波交流波形の高電圧を出力し、それが加算されて出力電圧Voutとなる。
その出力電圧Voutは、各トランスT1〜T4の出力巻線Ns1〜Ns4の各インダクタンスの合成インダクタンスと、その出力巻線Ns〜Ns4の各分布容量及び負荷の等価容量(負荷容量)の合成容量とによる並列共振回路によって発生する。これらのインダクタンス及び分布容量は図示を省略している。
その出力電圧Voutは、入力電圧Vinに対して、共振トランス10を構成する各トランスT1〜T4の励磁巻線Np1〜Np4と出力巻線Ns1〜Ns4の巻数比と、上記共振の鋭さを示すQ値、及びトランスの個数nに応じて増加する。
なお、各トランスT1〜T4の出力巻線Ns1〜Ns4の出力電圧波形の時間軸が同期するようにしている。そのために、トランスT1〜T4の特性が同じであることに加えて、スイッチング素子Qのドレイン端子と各トランスの励磁巻線Npの負極側端子との各接続線の長さが略同じになるように、スイッチング素子Qを配置するのが望ましい。
この高電圧インバータ装置は、磁路が全く違う別個のコアで同じ特性を持つトランスを少なくとも4個設け、その各励磁巻線を同時に励磁し、出力側において各出力巻線の出力電圧を加算あるいは乗算する。したがって、複数の励磁巻線に偏磁が生じることがなく、出力巻線の巻数を多くすることができるので、昇圧比が高い高電圧を連続して安定に、しかも安全に得ることができる。
同一の出力電圧に対してトランス1個あたりの電圧の低減、励磁側(スイッチング素子Q側)にかかる電圧の低減、それに伴う熱損失の低減などの効果も得られる。トランスが磁気飽和を起こすこともなくなる。
このような高電圧インバータによってさらに高電圧の出力を得るためには、共振トランス10を構成するトランスの数をさらに増加すればよい。
図2は、図1に示した高電圧インバータ装置における共振トランス10を構成する4個のトランスの配置と接続の例を模式的に示す平面図である。
トランスT1〜T4は、それぞれ独立した閉磁路を持つ中足を有する同一形状のコアを有し、そのコアの中足の周囲に励磁巻線Npと出力巻線Nsが重ね巻きされているが、その平面形状を簡略化して示している。
S1〜S4は、それぞれトランスT1〜T4の励磁巻線Np1〜Np4の巻き始め端、E1〜E4は同じくその巻き終わり端を示している。また、Ss1〜Ss4は、それぞれトランスT1〜T4の出力巻線Ns1〜Ns4の巻き始め端、Es1〜Es4は同じくその巻き終わり端を示している。
トランスT1〜T4は、長手方向に一列に配置され、励磁巻線Np1〜Np4の各巻き始め端S1〜S4は共通に接続されて入力端子1aに接続され、その各巻き終わり端E1〜E4も共通に接続されてスイッチング素子Qのドレインに接続される。
トランスT1の出力巻線Ns1の巻き始め端Ss1は出力端子2aに接続され、その巻き終わり端Es1はトランスT2の出力巻線Ns2の巻き始め端Ss2に接続される。さらに、その巻き終わり端Es2はトランスT3の出力巻線Ns3の巻き始め端Ss3に、その巻き終わり端Es3はトランスT4の出力巻線Ns4の巻き始め端Ss4に順次接続される。そして、その出力巻線Ns4の巻き終わり端Es4は、入力端子1bと出力端子2bに接続される。
この発明は、AC若しくはDC、若しくはDCに脈流が重畳された入力電圧をスイッチングして、数KVないし数十KVの高電圧で数十Wないし数KWの高出力を、出力電圧変動が少ない出力として得ようとしている。
そのために、複数個の各トランスの励磁巻線に励磁電流を流し、図15における電流Id(Q)に示したような略直角三角形の形状の頂点の電流値を調整する。そのため、励磁電流が流れている時間と、直角三角形の斜辺(電流Id(Q)の傾き)を決定する励磁インダクタンスの値と入力電圧Vinとを監視して、励磁電流Id(Q)の頂点の電流値を制御する。それによって、出力電圧偏差の少ない高電圧インバータを提供する。
図3は、トランスの励磁電流のモデル図である。ここでは、トランスの励磁電流をId(Q)で示している。Tonは励磁電流が流れている時間を示す。
ここで、使用するトランスの数を4個とした場合、4個のトランス(1個のトランスの励磁インダクタンスLp)に蓄積される励磁エレルギーεは、トランス4個の励磁電流Id(Q)の最終値で決まるから、次式によって求められる。
ε=1/2・Lp/4・(Id(Q)) ・・・(1)
また、スイッチング素子QがONし始めてから、OFFするまでの時間をTonとすると、ごく短い時間軸では微分となり、励磁巻線の励磁電流Id(Q)の最終値は、次式によって求められる。
Id(Q)=Vin/Lp・Ton ・・・・・・(2)
したがって、(1)式に(2)式を代入すると、蓄積される励磁エレルギーεは次式によって求められる。
ε=1/8・Lp・(Vin・Ton/Lp)
=(Vin・Ton)/8Lp ・・・・・(3)
このεが、スイッチングの1周期における4個のトランスに蓄積されるエネルギー量になる。
したがって、使用するトランスの数がn個の場合に蓄積されるエネルギー量εは、次式によって求められる。
ε=(Vin・Ton)/(2n・Lp) ・・・・・(4)
出力電圧Voutは、共振トランス10を構成する複数個のトランスに、(3)式又は(4)式によるエネルギーを如何に溜め込むかにかかっている。それは、図3に示す励磁電流が流れる時間Tonが一定であれば、励磁電流Id(Q)の変化を示す直角三角形の斜辺の傾き、すなわち(2)式のVin/Lpに依存する。
この傾きによって、励磁電流Id(Q)の波高値(直角三角形の頂点の高さ)が決まり、それによって出力電圧Vout の波高値も決まってくる。
Vinは入力電圧であるから、蓄積されるエネルギー量εは1/Lpに依存することになる。この各トランス励磁インダクタンスLpは、直流重畳特性NI(AT)のリニヤな部分のみに依存する。Nは励磁巻線の巻数、Iは励磁電流であり、直流重畳特性NIはその積である。また、この励磁インダクタンスLpは、Lp=AL・N2でも求められる。ALはインダクション係数であり、Nは励磁巻線の巻数である。
これらの値は、トランスのコアにおける磁路の磁気抵抗となるギャップ(間隙)によって変化する。例えば、ギャップを大きく取るほど蓄えられる磁気エネルギーは大きくなり、インダクション係数ALの値は小さくなり、励磁インダクタンスLpも小さくなる。
図4に、コアに設けられたギャップの大きさ(ギャップ長)をパラメータとした、直流重畳特性NI(AT)と、インダクション係数AL(nH/N×N)の特性曲線を示す。
図4においてgap 0、gap 0.1、gap 1.0はギャップ長(mm)である。
そこで、図1に及び図2に示した高電圧インバータの共振トランス10を構成する各トランスT1〜T4は、何れもギャップを設けた中足を有するコアを使用し、その中足のギャプの大きさを調整可能に構成している。
ギャップが大きなるほど磁気飽和しにくくなるため、励磁電流を多く流すことができ、直流重畳特性NI(AT)を大きくすることができる。インダクション係数ALの値は小さくなり、蓄えられる磁気エネルギーは大きくなる。
図5は、出力電圧Vout が一定の場合に、図4と同様にギャップの大きさ(ギャップ長)をパラメータとした、出力電流Iout
と出力電力Poutの関係を示す特性曲線を示す。
この図から明らかなように、ギャップが大きくなるほど、出力電流Iout も出力電力Poutも増加する。
この発明による高電圧インバータは、共振トランスを構成する各トランスに関して、上述した特性に基づいて、コアのギャップを調整して、所望の出力電圧及び出力電力、特に所定の波高値が得られるようにしている。
そこで、まず図1及び図2に示した高電圧インバータにおいて、共振トランス10を構成する各トランスT1〜T4の構造について以下に説明する。
図6は2磁路のトランスの外観例を示す概略正面図であり、ギャップ調整手段の図示は省略している。図7はその巻線部の右半部の縦断面図である。
図6において、11はフェライト等の磁性材からなるEE型又はEER型のコアであり、E型の2個のコア材を3本の足を互いに向かい合わせ、両側部を密着させて固定される。その固定は、このコア11の外周を取り囲むように、銅又はアルミニウムのような非磁性の金属バンドを周回させて固定することによって行われる。その両側部の密着面11rも、各磁路に対する磁気抵抗になるが僅かである。
このコア11の方形の枠部の互いに平行な図6で上下の2辺の中央部から、互いに対向する方向に他の2辺に平行に延びているのが中足11a,11bであり、その対向する端面間でギャップ11Gを形成している。このギャップ11Gが磁気抵抗の殆どを構成し、コア11の磁束飽和を抑制している。
この中足11a,11bの周囲を覆うように予め樹脂製のボビン(図示を省略)を装着し、その上に巻線部12を巻装するとよい。
その巻線部12は、例えば図7の断面図に示すように、コア11の中足11a付近から出力巻線Nsを略同じ巻き幅Wの複数層の巻線Nsa〜Nsdに分割(この例では4分割)して積層して巻装している。さらに、その外側に誘電体でなる主絶縁層Epsを介して励磁巻線Npを出力巻線Nsと略同じ巻き幅Wで巻装している。その出力巻線Nsの分割された各層の最下層の巻線Nsaと中足11a,11bとの間、および隣接する各層間にも、それぞれ誘電体の層間絶縁層Is1〜Is4を設けている。
このように、巻線部12は、コア11の中足11a,11bの周囲に励磁巻線Npと出力巻線Nsとを重ね巻きしている。
すなわち、出力巻線Nsは、コア11の中足11aに絶縁層Is1を介して第1層の巻線Nsaを巻き、その上に層間絶縁層Is2を介して第2層の巻線Nsbを巻く。その上に層間絶縁層Is3を介して第3層の巻線Nscを巻き、さらにその上に層間絶縁層Is4を介して第4層の巻線Nsdを巻く。その上に主絶縁層Is5を介して励磁巻線Npを巻いている。さらに、この実施例では励磁巻線Npの外側に絶縁被覆層12aを設けている。
上記各絶縁層Is1〜Is5はいずれも、フッ素樹脂フィルムからなるテープを1枚もしくは複数枚重ねて巻いて形成する。そして、主絶縁層Is5の厚さを絶縁層Is1及び各層間絶縁層Is2〜Is4の厚さより厚くする。
このように、ギャップ11Gを形成する中足11a,11bの周囲を巻線部12で囲むことにより、漏れ磁束を内部に閉じ込められるため、漏洩磁束を低減することができる。
ここで、上述したコア11におけるギャップ調整手段の実施例を図8〜図13によって説明する。
図8〜図13は、ギャップ調整手段を有するコアの第1〜第6実施例を示し、それぞれ(a)は正面図、(b)はその左側面図である。これらの図において、図6と対応する部部には同一の符号を付してあり、図8〜図13の相互においても、対応する部分には同一の符号を付している。
これらのコア11は、いずれもフェライト等の磁性材からなり、方形の枠部110と、その枠部110の互いに平行な2辺の枠辺部111,112の中央部から、互いに対向する方向に他の2辺の枠辺部に平行に延びる円柱状の中足11a、11bとを備えている。
その円柱状の中足11aは一方の枠辺部111に一体に形成された固定中足部であり、以下の説明では固定中足部11aと称す。その固定中足部11aと対向する中足11bは、他方の枠辺部112にねじ込まれた可動中足部であり、以下の説明では可動中足部11bと称す。
その固定中足部11aと可動中足部11bの対向する端面間でギャップ11Gを形成し、可動中足部11bの固定中足部11aと対向しない方の端部が、外部から回転操作可能に形成されている。
そのため、図8〜図11に示す第1〜第4実施例では、枠辺部112の長手方向の中央部に、可動中足部11bの外周に対応する対向した凹曲面112aを有する切欠部を形成し、その凹曲面112aに雌ねじ112bを形成している。
一方、可動中足部11bの固定中足部11aと対向しない方の端部側の外周面には雄ねじ11cを形成している。
図12、図13に示す第5、第6実施例では、枠辺部112の長手方向の中央部に、幅方向に外方へ凸曲面状に膨出させて、そこに可動中足部11bの外周に対応する円筒状の雌ねじ孔112cを形成している。可動中足部11bの固定中足部11aと対向しない方の端部側の外周面には雄ねじ11cを形成している。
このように構成したいずれの実施例においても、可動中足部11bを枠辺部112にねじ込むことができる。
さらに、図8、図10、図12に示す第1、第3、第5実施例では、可動中足部11bの固定中足部11aと対向しない方の端部の端面11dに、マイナスドライバを挿入可能なマイナス溝11e又はプラスドライバを挿入可能なプラス溝11fを形成している。
図示の例では、図8及び図12に示す例ではプラス溝11fを、図10に示す例ではマイナス溝11eを形成しているが、どの実施例でもいずれの溝を形成してもよい。好ましくは、マイナスドライバもプラスドライバも挿入可能なプラス溝11fを形成するとよい。
また、図示の各実施例では可動中足部11bの固定中足部11aと対向しない方の端部の端面11dを枠辺部112の外表面から若干突出させているが、突出させなくてもよい。
これらの実施例によれば、可動中足部11bの端面11dに形成されたマイナス溝11e又はプラス溝11fに、マイナスドライバ又はプラスドライバを挿入して、可動中足部11bを回転させることにより、ギャップ11Gの大きさ(ギャップ長)を調整できる。
図9、図11、図13に示す第2、第4、第6実施例では、可動中足部11bの固定中足部11aと対向しない方の端部に、指で摘んで回転操作できる摘み部11hを設けている。摘み部11hの外径を可動中足部11bの外径より大きくしており、その外周面にローレット溝などの滑り止め加工を施して操作しやすくするとよい。
これらの実施例によれば、摘み部11hを指で摘んで可動中足部11bを回転させることができ、それによってギャップ11Gの大きさ(ギャップ長)を容易に調整できる。
摘み部11hの端面にギャップ11Gの大きさに対応するメモリや、ギャップの増減方向を示す矢印などを付けて、摘み部11hをダイヤルとしても使用することができる。
図8〜図11に示す第1〜第4実施例では、可動中足部11bと枠辺部112のねじ結合部の面積を少なくしているので、可動中足部11bを比較的小さい力で回転させることができる。また可動中足部11bの雄ねじ11cを形成した外周面の一部が枠辺部112の側面から露出しているので、ドライバを使用しなくても、そこを指で挟んで可動中足部11bを回転させることも可能である。
図10に示した第3実施例では、凹曲面112aを有する切欠部に向かって幅を狭めているので、可動中足部11bと枠辺部112のねじ結合部の面積をより少なくでき、可動中足部11bの雄ねじ11cを形成した外周面の露出量も多くなる。そのため、可動中足部11bを一層小さい力で回転させることができ、ドライバを使用しなくても容易に調整可能である。
また、図12、図13に示す第5、第6実施例は、図6に示した例と同様に、E型の2個のコア材を3本の足を互いに向かい合わせ、両側部を密着させてコア11を構成している。11rはその密着面である。この場合も、コア11の枠辺部112の雌ねじ孔12cのある部分を除く全周を、非磁性の金属バンド又は保持枠で囲んで固定する。
このようにすれば、ボビンに出力巻線と励磁巻線を重ね巻きした巻線部を作製してから、その巻線部を容易にコア11の固定中足部11a及び可動中足部11bを装着することができる。
図8〜図11に示す第1〜第4実施例でも、コア11の固定支持を確実に行うようにすれば、2個のコア部材に分割して構成することができる。
これらの各実施例によれば、コアに巻線を施してトランスとして完成させ、且つ前記励磁巻線に励磁電流を流した状態でも、可動中足部11bを外部から回転させて、ギャップ11Gの大きさを無段階に調整することが可能である。それによって励磁インダクタンスLpを変化させて、所望の出力電圧又は出力電力が得られるように調整することができる。
具体的には、コアサイズがEER49で、そのギャップ長は、0.25mmから2.00mmの範囲と極めて狭い間隔の調整が必要になる。そのときの直流重畳特性NIの限界は、ギャップ長が1.0mmで130ATとなる。これによって励磁巻線の巻数とそれに流す電流が抑制されることになる。
なお、ギャップ長が大きくなるとインダクション係数ALが下がり、直流重畳特性NIは伸びるものの、励磁インダクタンスLpが小さくなり、図3に示した励磁電流Id(Q)の傾きが急峻になるので、その頂点すなわち波高値が高くなる。
逆に、ギャップ長が短くなると、励磁電流Id(Q)の頂点が低くなり、(4)式から分かるように蓄積エネルギーεが減少するため、出力電力が低下する。
図1及び図2に示した高電圧インバータでは共振トランス10を、同じ特性のトランスを4個使用して構成したが、100Wからおおよそ1KW範囲の出力が得られている。そのときの出力電圧変動は0〜2%であった。
この場合、共振トランス10を構成する4個のトランスT1〜T4について、個別に所定の入力電圧、スイッチング周期及びデューティで励磁電流Id(Q)を流し、その波形を波形表示装置で監視しながら、その頂点が所望の高さになるように、ギャップを調整する。それによって、全てのトランスT1〜T4の励磁インダクタンスLpが同一の所定値になるように、前記ギャップの大きさが調整されることになる。
しかしながら、現実には実装パターン間のごく短い距離で電流の波形観測をするのは量産時には困難なため、結果として生み出される出力電圧を監視しながら調整する。
インバータ装置のトランスのコアは一般にフェライトで形成され、そのギャップ長は設計時に決まるが、フェライトを焼結する際に若干の寸法変化が生じ、設計どおりに完成しない場合がある。その場合、あらかじめ鏡面加工した中足のギャップ形成面を修正加工しなければならなかったが、それには多くの工数を要し、しかもギャップ長を短くするのは困難であった。また、トランスに励磁電流を流して実際に動作させながら、ギャップ長を調整するようなことはできなかった。
この発明によれば、トランス又は高電圧インバータの検査時に、所望の出力電力値にあわせて、ギャップ調整を行うことができる。
なお、コアの両側部にギャップを設けると、漏れ磁束が増大し、トランスのQ(共振鋭さ)が低下するとともに、外部に放射するノイズも増大するため、中足にギャップを設けている。特に、この高電圧インバータは、高電圧、高出力を得るものであるから、このことも重要である。
ギャップは、空隙が一般的であるが、調整するねじ溝部分多少のバックラッシュが必要なため、高精度の調整が難しい場合には、空隙部分に非磁性のクッション材を介挿して、ギャップの間隔を拡げる方向に弾性力を与えるようにしてもよい。
以上、この発明の実施形態について説明してきたが、この発明はそれらに限定されるものではない。例えば共振トランスを構成する個別のトランスは2個以上であれば何個でもよい。
この発明による高電圧インバータは、誘電体バリア放電発生装置に限らず、高圧放電灯、静電塗装装置、エッチング装置、薄膜形成装置、オゾン発生装置、オゾン水生成装置、集塵装置、洗剤のいらない洗濯機など、種々の装置の電源として利用できる。
また、この発明は上述した各実施形態は、種々の変更、追加、あるいは省略が可能であり、各実施形態は、矛盾しない限り適宜組み合わせて実施することも可能であることは言うまでもない。
1a,1b:入力端子 2a,2b:出力端子 5:制御回路
3,10:共振トランス(トランス) 4:放電器(負荷)
11:コア 11a:中足(固定中足部) 11b:中足(可動中足部)
11c:雄ねじ 11d:可動中足部の端面 11e:マイナス溝
11f:プラス溝 11G:ギャップ 11h:摘み部 11r:密着面
12:巻線部 12a:絶縁被覆層
110:コアの枠部 111,112:枠辺部
112a:凹曲面 112b:雌ねじ 112c:雌ねじ孔
T1〜T4:トランス Np,Np1〜Np4:励磁巻線
Ns,Ns1〜Ns4:出力巻線 Q:スイッチング素子
Vin:入力電圧 Vout:出力電圧 Io:出力電流
Sp:スイッチング信号
特開2009−11144号公報 国際公開第2007/060941号パンフレット 特開2012−186984号公報

Claims (5)

  1. 直流電圧若しくは直流成分に脈流が重畳された電圧を入力電圧とし、該入力電圧をスイッチングしてトランスの一次側の励磁巻線に励磁電流を流し、該トランスの二次側の出力巻線から交流高電圧を出力する高電圧インバータであって、
    前記トランスを、同一の特性を持つ個別の複数のトランスによって構成し、該複数のトランスの各励磁巻線を並列に接続して同時に励磁させるようにし、該複数のトランスの各出力巻線を直列に接続し、かつ該各出力巻線の出力電圧波形の時間軸が同期するようにし、
    前記複数のトランスは、
    それぞれ独立した閉磁路を持つ中足を有する同一形状のコアを有し、
    該コアの前記中足の周囲に前記励磁巻線と前記出力巻線を重ね巻きしており、
    前記コアの中足はギャップを有し、且つ前記励磁巻線に励磁電流を流した状態で前記ギャップの大きさを無段階に調整可能に構成されており、
    それぞれ励磁インダクタンス(Lp)が同一の所定値になるように、前記ギャップの大きさが調整された
    ことを特徴とする高電圧インバータ。
  2. 前記所定値は、所望の出力電力を得るための前記励磁電流の波高値に応じた値であることを特徴とする請求項1に記載の高電圧インバータ。
  3. 前記複数のトランスの各コアは、方形の枠部と、該枠部の互いに平行な2辺の中央部から、互いに対向する方向に他の2辺に平行に延びる円柱状の固定中足部と可動中足部とからなり、前記可動中足部は前記平行な2辺の一方にねじ込まれており、前記固定中足部と可動中足部の対向する端面間で前記ギャップを形成し、前記可動中足部の前記固定中足部と対向しない方の端部が、外部から回転操作可能に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の高電圧インバータ。
  4. 前記可動中足部の前記固定中足部と対向しない方の端部の端面に、マイナスドライバを挿入可能なマイナス溝又はプラスドライバを挿入可能なプラス溝が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の高電圧インバータ。
  5. 前記可動中足部の前記固定中足部と対向しない方の端部に、指で摘んで回転操作できる摘み部を設けたことを特徴とする請求項3に記載の高電圧インバータ。
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