JP2007267516A - スイッチング電源回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワイドレンジ化に対応するとともに、高効率なるスイッチング電源回路を提供する。
【解決手段】コンバータトランスPITの漏洩インダクタンスL1と1次側直列共振コンデンサC1による1次側直列共振回路と、漏洩インダクタンスL2と、ブリッジ整流回路Doを形成する少なくともひとつの整流ダイオードに並列に接続される2次側並列共振コンデンサC3による2次側並列共振回路を具備する。そして、1次側直列共振周波数よりも2次側並列共振周波数の方が高い周波数となるように設定され、効率の改善が図られるとともに、広範囲な直流入力電圧に対応できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種電子機器の電源として備えられるスイッチング電源回路に関する。
先に本出願人は、1次側に共振形コンバータを備えた電源回路を各種提案している(特許文献1を参照)。図34は、先に本出願人により出願された発明に基づいて構成される共振形コンバータを備えるスイッチング電源回路の一例を示す回路図である。この図34に示される電源回路のスイッチングコンバータとしては、ハーフブリッジ結合方式による他励式の電流共振形コンバータに対して、スイッチング中のターンオフ時にのみ電圧共振動作を行う部分電圧共振回路を組み合わせた構成を採る。この図に示されるスイッチング電源回路は、例えばプリンタ装置の電源として用いられる。プリンタ装置は、例えば負荷電力が100W程度以上から無負荷までの比較的広範囲の負荷変動の条件となる。
まず、図34に示すスイッチング電源回路においては、商用交流電源ACに対して2組のフィルタコンデンサCLおよび1組のコモンモードチョークコイルCMCから成るコモンモードノイズフィルタが接続されている。そして、商用交流電源ACから直流入力電圧を生成する整流平滑回路としては、このコモンモードノイズフィルタの後段に対して、ブリッジ整流回路Diおよび平滑コンデンサCiとから成る全波整流回路が備えられる。ブリッジ整流回路Diの整流出力は、平滑コンデンサCiに対して充電され、これによって平滑コンデンサCiの両端には、交流入力電圧VACの等倍のレベルに対応する整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)が得られることになる。
整流平滑電圧Eiを入力してスイッチングする電流共振形コンバータとしては、図示するようにして、MOS−FETによる2本のスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2をハーフブリッジ結合により接続したスイッチング回路系を備える。スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2の各ドレインとソース間に対しては、図示する方向により、それぞれボディダイオードによるダンパーダイオードDD1、ダンパーダイオードDD2が並列に接続される。
また、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間に対しては、1次側部分電圧共振コンデンサCpが並列に接続される。この1次側部分電圧共振コンデンサCpのキャパシタンスと1次巻線N1に生じるリーケージインダクタンス(漏洩インダクタンス)L1によって、並列共振回路(部分電圧共振回路)が形成される。この部分電圧共振回路によりスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2のターンオフ時にのみ電圧共振する、部分電圧共振動作が得られるようになっている。リーケージインダクタンスL1は1次巻線N1によって発生し、2次巻線N2と鎖交しない磁束(漏れ磁束)によって生じるインダクタンスである。そして、2次巻線N2についても同様に、2次巻線N2によって発生し、1次巻線N1と鎖交しない磁束(漏れ磁束)によって生じるインダクタンスであるリーケージインダクタンス(漏洩インダクタンス)L2が発生する。
この電源回路においては、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2をスイッチング駆動するために、例えば汎用のICによる発振・ドライブ回路2が設けられる。この発振・ドライブ回路2は、発振回路、駆動回路を有して、所要の周波数によるドライブ信号(ゲート電圧)をスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2の各ゲートに対して印加する。これにより、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2は、所要のスイッチング周波数により交互にオン/オフするようにしてスイッチング動作を行う。
コンバータトランスPIT (Powewr Isolation Transformer)は、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2 のスイッチング出力を2次側に伝送する。この場合のコンバータトランスPITの1次巻線N1 の一端は、スイッチング素子Q1 のソースとスイッチング素子Q2 のドレインの接続点(スイッチング出力点)に接続されることで、スイッチング出力が得られるようにされる。また、1次巻線N1の他端は、図示するように1次側直列共振コンデンサC1を介して1次側アースに接続されている。
この場合、1次側直列共振コンデンサC1および1次巻線N1は直列に接続されているが、この1次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンス、およびコンバータトランスPITの1次巻線N1に生じるリーケージインダクタンスL1により、スイッチングコンバータの動作を電流共振形とするための1次側直列共振回路を形成している。
ここまでの説明によると、この図に示す1次側スイッチングコンバータとしては、1次側直列共振回路(L1とC1)による電流共振形としての動作と、上述した部分電圧共振回路(CpとL1)とによる部分電圧共振動作とが得られることになる。つまり、この図に示す電源回路は、1次側スイッチングコンバータを共振形とするための共振回路に対して、他の共振回路が組み合わされた形式を採っていることになる。以下、このようなスイッチングコンバータについて「複合共振形コンバータ」ということにする。
図35を参照して、コンバータトランスPITの構造を説明する。コンバータトランスPITは、フェライト材によるE型コアCR1とE型コアCR2とを組み合わせたEE型コアを備える。そして、ボビンBを用いて1次側と2次側とで巻装部位を分割したうえで、1次巻線N1と2次巻線N2とを、EE型コアの内磁脚に対して巻装している。また、コンバータトランスPITのEE型コアの内磁脚に対しては、0.8mm程度のギャップGを形成するようにしている。これによって、1次巻線N1と2次巻線N2とで、0.8から0.85程度の結合係数を得るようにしている。
コンバータトランスPITの2次巻線N2に対しては、整流ダイオードDo1と、整流ダイオードDo2と、平滑コンデンサCoとにより形成される両波整流回路が備えられる。これにより、平滑コンデンサCoの両端電圧として、2次巻線N2に誘起される交番電圧の等倍レベルに対応する直流電圧である2次側直流出力電圧Eoが得られる。この2次側直流出力電圧Eoは、直流電源として、図示しない負荷に供給されるとともに、制御回路1に対して定電圧制御のための検出電圧としても付与される。
制御回路1は、2次側直流出力電圧Eoのレベルに対応してレベルが可変される電圧又は電流としての制御信号を発振・ドライブ回路2に出力する。発振・ドライブ回路2では制御回路1から入力される制御信号に基づいて、発振・ドライブ回路2内の発振回路により生成する発振信号周波数を可変するようにして、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2の各ゲートに印加するスイッチング駆動信号の周波数を変化させる。これにより、スイッチング周波数が可変される。このように、2次側直流出力電圧Eoのレベルに応じてスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2のスイッチング周波数が可変制御されることで、1次側直列共振回路の共振インピーダンスが変化して1次側直列共振回路を形成する1次巻線N1から2次側に伝送されるエネルギーも可変とされ、2次側直流出力電圧Eoのレベルも可変制御される。これにより、2次側直流出力電圧Eoの定電圧制御が図られることになる。なお、以降においては、このようにスイッチング周波数を可変制御することによって安定化を図る定電圧制御方式を「スイッチング周波数制御方式」ということにする。
図36の波形図は、上述の図34に示した電源回路における要部の動作中の波形を示している。このとき、交流入力電圧VAC=100Vで一定として、負荷電力Poは200W(ワット)とするものである。波形は、上から、電圧V1(図34を参照)、電流IQ2(図34を参照)、電流I1(図34を参照)、電流I2(図34を参照)の各々を示す。なお、図37に示す波形は、図36の波形との対応を分かり易くするために同一のページに記載されているが、これについては後述する。
矩形波状の電圧V1は、スイッチング素子Q2の両端電圧であり、スイッチング素子Q2のオン/オフのタイミングに応じて変化するものである。電圧V1が0レベルとなる期間が、スイッチング素子Q2が導通するオン期間であり、このオン期間においては、スイッチング素子Q2およびダンパーダイオードDD2から成るスイッチング回路系には、図示する波形によるスイッチングの電流IQ2が流れる。また、電圧V1が整流平滑電圧Eiのレベルでクランプされる期間は、スイッチング素子Q2がオフとなる期間であり、電流IQ2は図示するようにして0レベルとなる。
また、図示していないが、他方のスイッチング素子Q1の両端電圧、およびスイッチング回路(Q1、DD1)に流れる電流としては、電圧V1、および電流IQ2を180°位相をずらした波形として得られる。つまり、前述したように、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とは、交互にオン/オフするタイミングでスイッチング動作を行う。
また、1次側直列共振回路(C1−L1)を流れる1次側直列共振電流としては、これらのスイッチング回路(Q1、DD1)およびスイッチング回路(Q2、DD2)に流れる電流が合成されることで、電流I1として図示するものとなる。
図38は、交流入力電圧VAC=100Vの入力電圧条件の下での負荷変動に対する交流ACに対する直流DCの電力変換効率ηAC→DC(以下、電力変換効率ηAC→DCと省略する)、およびスイッチング周波数の特性を示している。図38の一点鎖線に示す曲線は、図34に示した電源回路について、それらの各々を示している。スイッチング周波数fsとしては、定電圧制御動作が行われることに応じて、重負荷の傾向となるのに従って低くなっているが、負荷変動に対してリニアとなる変化特性ではなく、例えば負荷電力Poが50W程度から0Wまでの範囲では、スイッチング周波数fsが急峻に上昇していく傾向となっている。具体的には、スイッチング周波数fsの値は76kHzから173kHzの範囲となっており、変化幅Δfsの値は97kHzである。
また、同様に、図38の一点鎖線で示す電力変換効率ηAC→DCとしては、負荷電力Poの上昇に伴って高くなっていく傾向となっている。
図38に示す特性によれば、スイッチング周波数fsの値が大きき変化するところから、例えば、交流入力電圧VACの範囲として85Vから264Vの範囲で動作させる、いわゆる、ワイドレンジ対応とすることは、困難であることが分かる。
図39は、このような観点から、ワイドレンジ対応とする別のスイッチング電源回路である。以下において、図34に示すスイッチング電源回路と同一の部分には同一の符号を付して説明を省略する。図39に示すスイッチング電源回路と図34に示すスイッチング電源回路との相違点は、図39に示すスイッチング電源回路では、2次側に2次側直列共振コンデンサC2を有する点である。このように、2次側にも共振回路を有するコンバータを「多重共振形コンバータ」ということとする。ここで、図39に示すスイッチング電源回路の1次側は、「複合共振形コンバータ」でもあるので、このようなコンバータを、「多重複合共振形コンバータ」ということとする。
図39に示すスイッチング電源回路においては、各部を以下のように設定している。コンバータトランスPITのEE型コアの内磁脚に対するギャップに関しては、図34に示すスイッチング電源回路における0.8mm程度のギャップよりもさらにギャップを拡大して、2mm程度としている。この結果、0.75以下の結合係数を得るようにしている。
また、1次巻線N1に生じるリーケージインダクタンスL1と1次側直列共振コンデンサC1とで定まる1次側直列共振回路の共振周波数を共振周波数fso1、2次巻線N2に生じるリーケージインダクタンスL2と2次側直列共振コンデンサC2とで定まる2次側直列共振回路の共振周波数を共振周波数fso2とする場合において、共振周波数fso1<共振周波数fso2となる関係に設定すると、ワイドレンジ化を図ることができる。
ここで、図37の波形図は、上述の図39に示した電源回路における要部の動作中の波形を示している。このとき、交流入力電圧VAC=100Vで一定として、負荷電力Poは200W(ワット)とするものである。波形は、上から、電圧V1(図39を参照)、電流IQ2(図39を参照)、電流I1(図39を参照)、電流I2(図39を参照)の各々を示す。図36に示す電流IQ2、電流I1の値に較べて図37に示す電流IQ2、電流I1の値は、より抑圧されたものとなっている点が注目すべき点である。
また、図38の実線および破線に示す曲線は、図39に示した電源回路について、実線は交流入力電圧VAC=100Vにおける特性を示し、破線は交流入力電圧VAC=230Vにおける特性を示すものである。すなわち、各々の交流入力電圧の条件の下での負荷変動に対する電力変換効率ηAC→DC、およびスイッチング周波数の特性を示している。スイッチング周波数fsとしては、定電圧制御動作が行われることに応じて、変化するが、負荷電力Poが200W程度から0Wまでの範囲では、スイッチング周波数fsの変化幅Δfsの値は9kHzと小さいものである。
このように、多重複合共振形コンバータとすることによって、スイッチング周波数fsの変化幅Δfsの値は小さく抑えられるので、スイッチング周波数fsの変化幅Δfsの特性を見る限りでは、ワイドレンジ化が可能であると考えられる。
特開2003−235259号公報
しかしながら、図38の実線および破線で示す電力変換効率ηAC→DCに関しては、以下の問題を有していることが、図38から分かる。すなわち、図38に示す特性によれば、破線で示す交流入力電圧VAC=230Vにおける電力変換効率ηAC→DCは、負荷電力Po=200Wにおいては、一点鎖線で表す図34に示すスイッチング電源回路におけるものよりも1%程度、高効率となるものの、負荷電力Po=150W以下においては、図34に示すスイッチング電源回路におけるものよりも下まわっている。
本発は、上述の課題を解決し、ワイドレンジ化に対応するとともに、高効率なるスイッチング電源回路を提供するものである。
本発明のスイッチング電源回路は、直流入力電圧を入力して交流電力を発生する1次側回路と、前記交流電力を2次側回路に伝送するための1次巻線および2次巻線がコアに巻装されて形成されるコンバータトランスと、前記2次側回路から負荷に供給される2次側直流出力電圧が定電圧となるように1次側回路を制御する定電圧制御手段と、を備えるスイッチング電源回路であって、前記1次側回路は、前記定電圧制御手段によってスイッチング周波数が制御されるスイッチング素子を備えて形成されるスイッチング手段と、前記コンバータトランスの1次巻線に生じる漏洩インダクタンス成分と、前記1次巻線に直列接続される1次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって1次側直列共振周波数が支配されるようにして形成され、前記スイッチング手段の動作を電流共振形とする1次側直列共振回路と、を具備し、前記2次側回路は、前記2次巻線に得られる交流電力を整流して前記2次側直流出力電圧を生成するブリッジ整流回路を有する2次側直流出力電圧生成手段と、前記コンバータトランスの2次巻線の漏洩インダクタンス成分と、前記ブリッジ整流回路を形成する少なくともひとつの整流ダイオードに並列に接続される2次側並列共振コンデンサのキャパシタンスと、によって2次側並列共振周波数が支配されるようにして形成される2次側並列共振回路と、を具備し、前記1次側直列共振周波数よりも前記2次側並列共振周波数の方が高い周波数となるように設定される。
このスイッチング電源回路は、コンバータトランスの1次巻線に生じる漏洩インダクタンス成分と、1次巻線に直列接続される1次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって1次側直列共振周波数が支配されるようにして形成され、スイッチング手段の動作を電流共振形とする1次側直列共振回路を具備する。また、コンバータトランスの2次巻線の漏洩インダクタンス成分と、ブリッジ整流回路を形成する少なくともひとつの整流ダイオードに並列に接続される2次側並列共振コンデンサのキャパシタンスと、によって2次側並列共振周波数が支配されるようにして形成される2次側並列共振回路を具備する。そして、1次側直列共振周波数よりも2次側並列共振周波数の方が高い周波数となるように設定され、効率の改善が図られるとともに、広範囲な直流入力電圧に対応できる。
本発明の別のスイッチング電源回路は、直流入力電圧を入力して交流電力を発生する1次側回路と、前記交流電力を2次側回路に伝送するための1次巻線および2次巻線がコアに巻装されて形成されるコンバータトランスと、前記2次側回路から得られる2次側直流出力電圧が定電圧となるように1次側回路を制御する定電圧制御手段と、を備えるスイッチング電源回路であって、前記1次側回路は、前記定電圧制御手段によってスイッチング周波数が制御されるスイッチング素子を備えて形成されるスイッチング手段と、前記コンバータトランスの1次巻線に生じる漏洩インダクタンス成分と、前記1次巻線に直列接続される1次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって1次側直列共振周波数が支配されるようにして形成され、前記スイッチング手段の動作を電流共振形とする1次側直列共振回路と、を具備し、前記2次側回路は、前記コンバータトランスの2次巻線の漏洩インダクタンス成分と、前記2次巻線に直列接続される2次側直列共振コンデンサのキャパシタンスと、によって2次側直列共振周波数が支配されるようにして形成される2次側直列共振回路と、前記2次巻線の漏洩インダクタンス成分と、前記2次巻線に直接または前記2次側直列共振コンデンサを介して並列に接続される2次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって2次側並列共振周波数が支配されるようにして形成される2次側並列共振回路と、前記2次側直列共振回路および前記2次側並列共振回路に得られる共振出力を整流して前記2次側直流出力電圧を生成する2次側直流出力電圧生成手段と、を具備し、前記2次側直列共振周波数よりも前記1次側直列共振周波数の方が高い周波数となるように設定され、前記1次側直列共振周波数よりも前記2次側並列共振周波数の方が高い周波数となるように設定される。
このスイッチング電源回路は、コンバータトランスの1次巻線に生じる漏洩インダクタンス成分と、1次巻線に直列接続される1次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって1次側直列共振周波数が支配されるようにして形成され、スイッチング手段の動作を電流共振形とする1次側直列共振回路を具備する。また、コンバータトランスの2次巻線の漏洩インダクタンス成分と、2次巻線に直列接続される2次側直列共振コンデンサのキャパシタンスと、によって2次側直列共振周波数が支配されるようにして形成される2次側直列共振回路を具備する。また、2次巻線の漏洩インダクタンス成分と、2次巻線に直接または2次側直列共振コンデンサを介して並列に接続される2次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって2次側並列共振周波数が支配されるようにして形成される2次側並列共振回路を具備する。そして、2次側直列共振周波数よりも1次側直列共振周波数の方が高い周波数となるように設定され、1次側直列共振周波数よりも2次側並列共振周波数の方が高い周波数となるように設定され、効率の改善が図られるとともに、広範囲な直流入力電圧に対応できる。
本発明によれば、ワイドレンジ化に対応するとともに、高効率なるスイッチング電源回路を提供することができる。
「第1実施形態」
図1に示す第1実施形態のスイッチング電源回路は、整流平滑電圧Eiとして得られる直流入力電圧を入力して高周波の交流電力を発生する1次側回路と、この交流電力を2次側回路に伝送するための1次巻線N1および2次巻線N2がコアに巻装されて形成されるコンバータトランスPITと、2次側回路から負荷(図示せず)に供給される2次側直流出力電圧Eoが定電圧となるように1次側回路を制御する定電圧制御手段として機能する制御回路1および発振・ドライブ回路2と、を備えるスイッチング電源回路である。ここで、1次側回路と2次側回路とはコンバータトランスの1次巻線N1と2次巻線N2とで分離され、図1の紙面の1次巻線N1よりも左側が1次側回路であり、図1の紙面の2次巻線N2よりも右側が2次側回路である。
そして、1次側回路は、定電圧制御手段を構成する発振・ドライブ回路2によってスイッチング周波数が制御されるスイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2を備えて形成されるスイッチング手段と、コンバータトランスPITの1次巻線N1に生じる漏洩インダクタンス成分であるリーケージインダクタンスL1と、1次巻線N1に直列接続される1次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンスとによって1次側直列共振周波数が支配されるようにして形成され、スイッチング手段の動作を電流共振形とする1次側直列共振回路と、を具備している。ここで、1次側直列共振周波数が支配されるとは、リーケージインダクタンスL1と1次側直列共振コンデンサC1とが共振周波数fso1を定める主要因となることを言うものである。
また、2次側回路は、2次巻線N2に得られる交流電力を整流して2次側直流出力電圧Eoを生成するブリッジ整流回路Doと平滑コンデンサCoとを有する2次側直流出力電圧生成手段と、コンバータトランスPITの2次巻線N2の漏洩インダクタンス成分であるリーケージインダクタンスL2と、ブリッジ整流回路を形成する整流ダイオードDo1ないし整流ダイオードDo4の少なくともいずれかひとつの整流ダイオードに並列に接続される2次側並列共振コンデンサC3のキャパシタンスと、によって2次側並列共振周波数が支配されるようにして形成される2次側並列共振回路と、を具備する。ここで、2次側並列共振周波数が支配されるとは、リーケージインダクタンスL2と2次側並列共振コンデンサC3とが共振周波数fpo2を定める主要因となることを言うものである。ここで、第1実施形態では、1次側直列共振周波数よりも2次側並列共振周波数の方が高い周波数となるように設定されることを特徴とするものである。以下、第1実施形態についてより詳細に説明する。
図1は、第1実施形態のスイッチング電源回路の構成を示す図である。この図に示す電源回路は、1次側の基本構成として、ハーフブリッジ結合方式による他励式の電流共振形コンバータに対して部分電圧共振回路が組み合わされた構成を採る。また、この第1実施形態の電源回路は、100V系(交流入力電圧VACの値が100V付近とする電圧系統)と200V系(交流入力電圧VACの値が200V付近とする電圧系統)のいずれの商用交流電源入力にも対応して動作する、いわゆるワイドレンジ対応としての構成を採る。また、対応負荷電力としては、例えば、負荷電力Po=200W程度からPo=0W(無負荷)までの変動範囲に対応する。
図1に示すスイッチング電源回路について、入力側から出力側に至る電力経路について以下、順に説明する。まず、商用交流電源ACに対しては、フィルタコンデンサCLおよびコモンモードチョークコイルCMCによるコモンモードノイズフィルタが形成されている。
そして、ノイズフィルタの後段となる商用交流電源ACに対しては、ブリッジ整流回路Diおよび平滑コンデンサCiから成る全波整流回路が接続される。この全波整流回路が商用交流電源ACを入力して全波整流動作を行うことによって、平滑コンデンサCiの両端には整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)が得られる。この場合の整流平滑電圧Eiは、交流入力電圧VACの等倍に対応したレベルとなる。
この整流平滑電圧Eiを入力してスイッチング(断続)する電流共振形コンバータとしては、図示するようにして、MOS−FETによる2本のスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2をハーフブリッジ結合により接続したスイッチング回路を備える。スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2の各ドレイン−ソース間に対しては、ダンパーダイオードDD1、DD2が並列に接続される。ダンパーダイオードDD1のアノード、カソードは、それぞれスイッチング素子Q1のソース、ドレインと接続される。同様にして、ダンパーダイオードDD2のアノード、カソードは、それぞれスイッチング素子Q2のソース、ドレインと接続される。ダンパーダイオードDD1、DD2は、それぞれスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2が備えるボディダイオードとされ、MOS−FETの製造プロセス上、当然に付随して形成される素子である。
また、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間に対しては、1次側部分電圧共振コンデンサCpが並列に接続される。この1次側部分電圧共振コンデンサCpのキャパシタンスと1次巻線N1のリーケージインダクタンス(漏洩インダクタンス)L1によって、並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成する。そして、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2のターンオフ時にのみ電圧共振する部分電圧共振動作が得られるようになっている。
また、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2をスイッチング駆動するために、発振・ドライブ回路2が設けられる。この発振・ドライブ回路2は、発振回路、駆動回路を有しており、例えばこの場合には、汎用のICを用いることができる。発振・ドライブ回路2の発振回路は、所要周波数の発振信号を発生させ、駆動回路は、発振信号を利用してMOS−FETをスイッチング駆動するためのゲート電圧であるスイッチング駆動信号を生成して、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2のゲートに印加するようにされる。これにより、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2は、スイッチング駆動信号の周期に応じたスイッチング周波数に従って、両方のスイッチング素子が交互にオン/オフするようにして連続的にスイッチング動作を行う。
コンバータトランスPITは、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2のスイッチング出力を2次側に伝送するために設けられる。このコンバータトランスPITは、背景技術として図35に示すと同様の構成を有するものである。この1次巻線N1の一方の端部は、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとの接続点(スイッチング出力点)に接続されることで、スイッチング出力が伝達されるようになっている。また、1次巻線N1の他方の端部は1次側直列共振コンデンサC1を介して、1次側アースと接続される。
ここで、コンバータトランスPITのEE型コアの内磁脚のギャップとしては、例えばギャップ長1.6mm程度を設定し、これによって1次側と2次側との結合係数kの値としては、0.72程度の疎結合の状態を得るようにしている。なお、ギャップは、図35に示すE型コアCR1、E型コアCR2の内磁脚を、2本の外磁脚よりも短くすることで形成することができる。また、E型コアCR1、E型コアCR2のコア材は、EER−35(コア材の型番号)とした。コンバータトランスPITは、このような構造によって1次巻線N1に所定のリーケージインダクタンスL1を生じさせる。なお、第1実施形態においては、結合係数kの値としては、0.7〜0.8程度の範囲で同様の性能を得ることができ、このときのギャップは、1mm〜2mm程度の範囲であった。
そして、1次巻線N1と1次側直列共振コンデンサC1とは直列に接続されている。従って、1次巻線N1のリーケージインダクタンスL1と1次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンスとによって直列共振回路(1次側直列共振回路)が形成されることになる。ここで、1次巻線N1の巻数は28T(ターン)とし、1次側直列共振コンデンサC1の容量は0.068μF(マイクロ・ファラッド)とした。このときの1次側直列共振回路の共振周波数fso1は60.8kHz(キロ・ヘルツ)であった。
そして、この1次側直列共振回路は、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2のスイッチング出力点に対して接続されている。従って、スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2のスイッチング出力は、1次側直列共振回路に伝達されることになる。1次側直列共振回路では、伝達されたスイッチング出力により共振動作を行うことで、1次側スイッチングコンバータの動作を電流共振形とする。
また、図1に示すスイッチングコンバータの1次側は、1次巻線N1に発生するリーケージインダクタンスL1と1次側部分電圧共振コンデンサCpとで形成される並列共振回路である1次側部分電圧共振回路を有している。ここで、1次側部分電圧共振コンデンサCpの値は680pF(ピコ・ファラッド)としている。
このようにして、図1に示す第1実施形態のスイッチング電源回路の1次側は、1次巻線N1に発生するリーケージインダクタンスL1と1次側直列共振コンデンサC1とによって電流共振回路が形成されるとともに、1次巻線N1のリーケージインダクタンスL1と1次側部分電圧共振コンデンサCpとによって形成される並列共振回路である1次側部分電圧共振回路を有する「複合共振形コンバータ」として構成されている。そして、1次側直列共振回路の1次側直列共振回路の共振周波数fso1がリーケージインダクタンスL1と1次側直列共振コンデンサC1とによって略定まるとともに、1次側部分電圧共振回路の共振周波数fpo1がリーケージインダクタンスL1と1次側部分電圧共振コンデンサCpとによって略定まる。
次に、第1実施形態のスイッチング電源回路の2次側について説明をする。コンバータトランスPITの2次巻線N2には、整流ダイオードDo1、整流ダイオードDo2、整流ダイオードDo3および整流ダイオードDo4からなるブリッジ整流回路Doが接続されるによって、2次側直流出力電圧Eoを得るようになされている。また、2次側並列共振コンデンサC3がコンバータトランスPITの2次巻線N2の一端と2次側の接地点との間に接続されている。
このような、2次側の接続によって、2次巻線N2に流れる電流I2は、2次側並列共振コンデンサC3に流れる電流I3とブリッジ整流回路Doを経て負荷(図示せず)が接続される側である負荷側に流れる電流I4との和の電流であり、2次巻線の一端の電圧を電圧V2とする場合に、電圧V2の正負に応じて、以下のように流れる。
電圧V2が正である場合には、電流I3は2次巻線N2の一端から、2次側並列共振コンデンサC3、整流ダイオードDo4、2次巻線N2の他端の順に流れ、電流I4は2次巻線N2の一端から、整流ダイオードDo1、平滑コンデンサCo、整流ダイオードDo4、2次巻線N2の他端の順に流れ、電流I2は電流I3と電流I4との和の電流となる。
一方、電圧V2が負である場合には、電流I3は2次巻線N2の他端から、整流ダイオードDo3、平滑コンデンサCo、2次側並列共振コンデンサC3、2次巻線N2の一端の順に流れ、電流I4は2次巻線N2の他端から、整流ダイオードDo3、平滑コンデンサCo、整流ダイオードDo2、2次巻線N2の一端の順に流れ、電流I2は電流I3と電流I4との和の電流となる。
ここで、2次側並列共振コンデンサC3の静電容量の値と平滑コンデンサCoの静電容量の値とは、Co>>C3(平滑コンデンサCoの静電容量の値が2次側並列共振コンデンサC3の静電容量の値よりも非常に大なるもの)として定められている。そのために、2次側電圧共振回路は、2次巻線N2に発生するリーケージインダクタンス(漏洩インダクタンス)L2と2次側並列共振コンデンサC3の静電容量によって、2次側電圧共振回路の共振周波数fpo2が略定まるようにして形成される。ここで、共振周波数fpo2の値は76.3kHzに設定している。
そして、上述したように共振周波数fso1(60.8kHz)<共振周波数fpo2(76.3kHz)のごとく、設定する場合には、2次巻線N2と2次側並列共振コンデンサC3とに流れる電流I3は、整流ダイオードDo4または整流ダイオードDo3が導通し、平滑コンデンサCoに流れる電流I4が流れる期間に流れるので、負荷電力Poの減少に伴って電流I4の値が低下するとともに電流I3の値も低下する。このようにして、電流I4および電流I3のピーク電流の値が低下するとによって、負荷電力Poの値が小さいときに、電力変換効率ηAC→DCの値はより1に近いものとなり電力変換効率は改善する。すなわち、電流I3によって生じる損失は、2次側並列共振コンデンサC3の損失と2次巻線N2に生じる銅損と整流ダイオードDo3または整流ダイオードDo4の損失とであり、電流I4によって生じる損失は、整流ダイオードDo1ないし整流ダイオードDo4の損失と平滑コンデンサCoの損失と2次巻線N2に生じる銅損である。共振周波数fso1<共振周波数fpo2となるように定めることによって、電流の2乗に比例する損失の大きさは、電流を一部の素子に集中することなく多くの素子に分散することによって装置全体としてみれば、総合的には低減されることとなる。
また、電流I3のほとんどの部分は、無効な電力となることはなく、2次巻線N2、整流ダイオードDo3、整流ダイオードDo4、平滑コンデンサCo、2次側並列共振コンデンサC3の経路を流れて負荷に最終的に供給されるために、負荷電力Poの値が最大負荷電力に近い場合においても総合的な損失は低減されることとなり、電力変換効率ηAC→DCの値は良好なものとなる。
なお、上述したように、共振周波数fso1<共振周波数fpo2のごとく各々の共振周波数が設定される1次側直列共振回路および2次側並列共振回路に加えて、共振周波数fpo1を有する1次側部分電圧共振回路を設け、共振周波数fso1<共振周波数fpo1と設定することによってスイッチング素子における損失を減少させ、さらに、良好なる特性を得ている。
制御回路1について説明する。制御回路1は、2次側直流出力電圧Eoをスイッチング周波数制御方式により安定化するために設けられる。この場合の制御回路1は、検出入力である2次側直流出力電圧Eoのレベル変化に応じた検出出力を発振・ドライブ回路2に供給する。発振・ドライブ回路2では、入力された制御回路1の検出出力に応じてスイッチング周波数が可変されるようにしてスイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2を駆動する。このためには、内部の発振回路により生成する発振信号の周波数を可変することになる。スイッチング素子Q1、スイッチング素子Q2のスイッチング周波数が可変されることで、1次側直列共振回路の共振インピーダンスが変化し、コンバータトランスPITの1次巻線N1から2次巻線N2側に伝送される電力量が変化するが、これにより2次側直流出力電圧Eoのレベルを安定化させるように動作する。
図2、図3は、図1に示した電源回路の各部の動作波形を示している。これらの図において、図2では、負荷電力Po=200W(最大負荷電力)時の動作波形を示し、図3では、負荷電力Po=0W(無負荷電力)時の動作波形を示している。なお、これらの図では、交流入力電圧VAC=100Vで一定とした場合の実験結果を示している。この図2、図3の結果は、上述したように1次側直列共振周波数である共振周波数fso1の値は60.8kHz、2次側並列共振周波数である共振周波数fpo2の値は76.3kHzとして測定されたものである。
これら図2、図3において、電圧V1は、スイッチング素子Q2の両端電圧であり、スイッチング素子Q2のオン/オフタイミングを示すものとなる。つまり、電圧V1が0レベルとなる期間には、図示するスイッチング素子Q2の電流IQ2が流れ、この期間はスイッチング素子Q2がオンする。また、電圧V1が図示するように整流平滑電圧Eiのレベルでクランプされる期間には、電流IQ2が0レベルとなり、この期間はスイッチング素子Q2がオフすることがわかる。また、図示はしないが一方のスイッチング素子Q1の両端電圧としては、電圧V1の位相を180度シフトした波形として得られる。同様に、スイッチング素子Q1の電流としても、電流IQ2の位相を180度シフトした波形が得られる。つまり、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2は交互にオン/オフするようにされている。
これら図2、図3において、電流I1は、1次側直列共振回路を流れる共振電流であり、略、スイッチング素子Q1の電流と電流IQ2との波形が合成された、図のような波形となるものである。
図2と図3とに示した電圧V1、電流IQ2の波形を相互に比較した場合には、図3に示すこれらの波形の周期に対して図4に示すこれらの波形の周期のほうが短くなっている。このことは、重負荷から軽負荷の傾向となるのに従って、スイッチング周波数が高くなるように制御されていることを示している。すなわち、安定化制御として、重負荷となって2次側直流出力電圧Eoのレベルが低下する場合には、スイッチング周波数を低くし、また軽負荷となって2次側直流出力電圧Eoのレベルが上昇する場合にはスイッチング周波数を高くするように制御が行われていることを示している。そして、重負荷の条件となりスイッチング周波数が低く制御される場合は、図2に示されるように電流IQ2のピークレベルは4.6A(アンペア)となる。一方、軽負荷の条件となりスイッチング周波数が高くなるように制御される場合では、電流IQ2のピークレベルは2Aとなるが、このときの電流IQ2の波形と電圧V1の波形とを比較すると、両者の位相は90°異なっており、電力の損失が生じていないことが分かる。
1次側直列共振電流が流れることにより、コンバータトランスPITの2次巻線N2には、図示する電圧V2が励起される。この電圧V2の正負のピークレベルに等しいものとして2次側直流出力電圧Eoのレベルが得られる。このような交流の電圧V2が得られることで、2次側におけるブリッジ整流回路Doでは、整流ダイオードDo1ないし整流ダイオードDo4、および、2次側並列共振コンデンサC3の作用によって2次巻線N2に電流I2を流す。
これら図2、図3において、電流I2は、電圧V2の正負に応じて正負に対称なものとして流れる。また、電流I3は、整流ダイオードDo4と整流ダイオードDo3とが、周期ごとに交互にオンとなるようにして流れ、電流I4は、整流ダイオードDo1および整流ダイオードDo4が周期ごとに同時にオンとなって、整流ダイオードDo2および整流ダイオードDo3が周期ごとに同時にオンとなって図示するように流れる。負荷電力Po=0W時においては、電流I2、電流I3、および、電流I4の値はいずれも零となっている。
図4は、図1に示す第1実施形態のスイッチング電源回路の、負荷電力Poを横軸にして、負荷電力Poの値が0Wから200Wまでの範囲における、スイッチング周波数fs、電力変換効率ηAC→DCの値を示している。ここで、一点鎖線は、図34に背景技術として示すスイッチング電源回路の交流入力電圧VAC=100Vにおける各々の特性を示すものであり、実線は交流入力電圧VAC=100Vにおける各々の波形を示し、破線は交流入力電圧VAC=230Vにおける各々の波形を示すものである。図4に示されるがごとく、以下の特性を有している。交流入力電圧VAC=100V、負荷電力Po=200Wにおける電力変換効率ηAC→DCの値は91.5%である。また、交流入力電圧VAC=100V、負荷電力Po=200Wから0Wまでの範囲におけるスイッチング周波数fsの値は71.4kHzから100kHzである。また、交流入力電圧VAC=230V、負荷電力Po=200Wにおける電力変換効率ηAC→DCの値は92.5%である。また、交流入力電圧VAC=230V、負荷電力Po=200Wから0Wまでの範囲におけるスイッチング周波数fsの値は143.5kHzから171.2kHzである。
すなわち、スイッチング周波数fsに関しては、図34に背景技術として示すスイッチング電源回路におけるものよりもその可変範囲は狭く、そして、電力変換効率ηAC→DCの値に関しては、図34に背景技術として示すスイッチング電源回路におけるよりも負荷電力Poの0Wから200Wまでの全範囲でより良好なものとなっている。
図5は、交流入力電圧VAC=80Vから交流入力電圧VAC=260Vの範囲におけるスイッチング周波数fsおよび電力変換効率ηAC→DCの値を示している。このように広範囲な交流入力電圧VACに対して、スイッチング周波数fsの範囲は、十分に狭く、電力変換効率ηAC→DCの値は良好なものとなりワイドレンジ化が図られる。
図6ないし図11に第1実施形態と組み合わせて好適なる2次側回路の他の例を示す。図6は、2次側並列共振コンデンサC3に直列に低い値の抵抗R3を接続するものである。図7は、図6の接続における電流I3を示すものであり、このようにすることによって、図2における電流I3に表れたような高周波のリンギング電流が抑圧されていることが分かる。この高周波のリンギング電流は、整流ダイオードDo3、整流ダイオードDo4の空乏層容量と平滑コンデンサCoの等価インダクタンス(ESL)とによって生じるものであるが、抵抗R3を2次側並列共振コンデンサC3に直列に接続することによって、いわゆる、Qダンプがなされて、このような効果が生じるものである。図7に示す波形は、抵抗R3の値として、0.47Ω(オーム)を採用する場合の例であり、この場合には電力損失が2W生じた。しかしながら、リンギング電流が発生する高周波が外部機器に与えるノイズの発生は防止することができることとなる。
図8は2次側並列共振コンデンサC3を整流ダイオードDo4と並列にする場合であり、図9は2次側並列共振コンデンサC3を整流ダイオードDo1と並列にする場合であり、図10は2次側並列共振コンデンサC3を整流ダイオードDo3と並列にする場合であり、図8ないし図10の各々は、図1に示すように、2次側並列共振コンデンサC3を整流ダイオードDo1と並列にする場合と同様の作用を奏し、同様の効果を得ることができるものである。また、図11は2次側を大電流低電圧の整流平滑回路として構成するに適した回路構成であり、2次巻線N2を二つ、2次側並列共振コンデンサC3を二つ、ブリッジ整流回路Doを二つ有して構成される。このような構成とすることによって、2次巻線N2、2次側並列共振コンデンサC3、ブリッジ整流回路Doの各々に流れる電流の大きさが半分となって、このような回路に使用する素子の選択範囲が広がると同時に電流の2乗に比例して発生する損失を低減し、電力損失を低減できるものである。
すなわち、第1実施形態のスイッチング回路は、このようにして、1次巻線N1に発生するリーケージインダクタンスL1と1次側直列共振コンデンサC1とによって電流共振回路が形成されるとともに、1次巻線N1のリーケージインダクタンスL1と1次側部分電圧共振コンデンサCpとによって形成される並列共振回路である1次側部分電圧共振回路を有する「複合共振形コンバータ」として1次側が構成されて、リーケージインダクタンスL2と2次側並列共振コンデンサC3とで形成される並列共振回路として2次側が構成される多重複合共振形コンバータであって、1次側直列共振回路の共振周波数fso1<2次側並列共振回路の共振周波数fpo2と設定されることによって構成されている。このような、第1実施形態の構成のスイッチング電源回路と、背景技術として図34に示すスイッチング電源回路とを比較する場合には、以下の効果を生じるものである。
背景技術として図34に示すスイッチング電源回路には存在しない、2次側並列共振コンデンサC3の作用によって、1次側直列共振に流れる電流I1および2次側並列共振回路に流れる電流I2が減少して無負荷から最大負荷までの負荷範囲において、電力変換効率ηAC→DCの値が向上する。第1実施形態では、無負荷時の損失である交流電力が7.5Wから6.0Wに減少している。
また、背景技術として図34に示すスイッチング電源回路におけるコンバータトランスPITの仕様は、コア材としては、EER−40、ギャップは0.8mm、1次巻線N1は20T、2次巻線N2は25T×2であるが、第1実施形態においては、コア材としては、EER−40よりもコア材の量が少ないEER−35とし、ギャップは1.6mm、1次巻線N1は28T、2次巻線N2は22Tであり小型軽量化が図れる。
交流入力電圧VACの電圧値が100Vから85Vに低下した場合、背景技術として図34に示すスイッチング電源回路においては、電力変換効率ηAC→DCの値が2%程度低下するが、第1実施形態では2次側並列共振回路に流れる電流I3を増加させることによって電力変換効率ηAC→DCの値を0.5%程度の低下に抑えることができる。
「第2実施形態、第3実施形態」
図12、図23を参照して第2実施形態および第3実施形態のスイッチング電源回路の説明をする。これらのスイッチング電源回路は、整流平滑電圧Eiとして直流入力電圧を入力して高周波の交流電力を発生する1次側回路と、交流電力を2次側回路に伝送するための1次巻線N1および2次巻線N2がコアに巻装されて形成されるコンバータトランスPITと、2次側回路から得られる2次側直流出力電圧Eoが定電圧となるように1次側回路を制御する定電圧制御手段である制御回路1および発振・ドライブ回路2と、を備えるスイッチング電源回路である。
そして、1次側回路は、定電圧制御手段によってスイッチング周波数が制御されるスイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2を備えて形成されるスイッチング手段と、コンバータトランスPITの1次巻線N1に生じる漏洩インダクタンス成分であるリーケージインダクタンスL1と、1次巻線N1に直列接続される1次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンスとによって1次側直列共振周波数が支配されるようにして形成され、スイッチング手段の動作を電流共振形とする1次側直列共振回路と、を具備する。ここで、1次側直列共振周波数が支配されるとは、リーケージインダクタンスL1と1次側直列共振コンデンサC1とが共振周波数fso1を定める主要因となることを言うものである。
また、2次側回路は、コンバータトランスPITの2次巻線N2の漏洩インダクタンス成分であるリーケージインダクタンスL2と、2次巻線N2に直列接続される2次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって2次側直列共振周波数が支配されるようにして形成される2次側直列共振回路と、コンバータトランスPITの2次巻線N2の漏洩インダクタンス成分であるリーケージインダクタンスL2と、2次巻線N2に直接または2次側直列共振コンデンサC2を介して並列に接続される2次側並列共振コンデンサC3のキャパシタンスと、によって2次側並列共振周波数が支配されるようにして形成される2次側並列共振回路と、2次側直列共振回路および2次側並列共振回路に得られる共振出力を整流して2次側直流出力電圧Eoを生成する整流ダイオードDo1ないし整流ダイオードDo4および平滑コンデンサCoを有してなる2次側直流出力電圧生成手段と、を具備する。
ここで、2次側直列共振周波数が支配されるとは、リーケージインダクタンスL2と2次側直列共振コンデンサC2とが共振周波数fso2を定める主要因となることを言うものである。また、2次側並列共振周波数が支配されるとは、リーケージインダクタンスL2と2次側並列共振コンデンサC3とが共振周波数fpo2を定める主要因となることを言うものである。
また、図12に示す第2実施形態ではコンバータトランスPITの2次巻線N2の漏洩インダクタンス成分であるリーケージインダクタンスL2と、2次巻線N2に直接に接続される2次側並列共振コンデンサC3のキャパシタンスと、によって2次側並列共振回路が形成され、図23に示す第3実施形態ではコンバータトランスPITの2次巻線N2の漏洩インダクタンス成分であるリーケージインダクタンスL2と、2次巻線N2に2次側直列共振コンデンサC2を介して並列に接続される2次側並列共振コンデンサC3のキャパシタンスと、によって2次側並列共振回路が形成されるものである。
そして、2次側直列共振周波数(fso2)よりも1次側直列共振周波数(fso1)の方が高い周波数となるように設定され、1次側直列共振周波数(fso1)よりも2次側並列共振周波数(fpo2)の方が高い周波数となるように設定されることを特徴とするものである。以下、より詳細に第2実施形態および第3実施形態について説明をする。
「第2実施形態」
図12は、第2実施形態のスイッチング電源回路の構成を示す図である。この図に示す電源回路は、図1に示す第1実施形態のスイッチング電源回路と同様に、1次側の基本構成として、ハーフブリッジ結合方式による他励式の電流共振形コンバータに対して部分電圧共振回路の組み合わせを有し、2次側には並列共振回路を有する構成を採用するものである。それに加えて、2次側に直列共振回路をさらに有するものである。また、この第2実施形態の電源回路は、100V系(交流入力電圧VACの値が100V付近とする電圧系統)と200V系(交流入力電圧VACの値が200V付近とする電圧系統)の何れの商用交流電源入力にも対応して動作する、いわゆるワイドレンジ対応としての構成を採る。また、対応負荷電力としては、例えば、負荷電力Po=200W程度からPo=0W(無負荷)までの変動範囲に対応する。
以下の第2実施形態の説明において、図1に示す第1実施形態のスイッチング電源回路におけると同一部分については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
まず、1次側部分に関しては、第1実施形態と基本的に同一の構成を採用し、その作用、効果も同様である。第2実施形態における1次側の各部の具体的な常数の値は、以下のように定めた。コンバータトランスPITのコア材としては、EER−35とした。また、ギャップ1mm〜2mmの範囲で0.7〜0.8程度の範囲の結合係数kの値を得ることができるが、結合係数kの値としては0.72とし、ギャップとしては1.6mmとした。また、1次巻線N1の巻数は28Tとし、1次側直列共振コンデンサC1の容量は0.068μFとし、1次側部分電圧共振コンデンサCpの値は680pFとした。このときの1次側直列共振回路の共振周波数fso1は60.8kHz(キロ・ヘルツ)であった。
次に、第2実施形態のスイッチング電源回路の2次側について説明をする。コンバータトランスPITの2次巻線N2には、2次側並列共振コンデンサC3がコンバータトランスPITの2次巻線N2の一端と2次側の接地点との間に接続されている。また、コンバータトランスPITの2次巻線N2には、2次側直列共振コンデンサC2を介して、整流ダイオードDo1、整流ダイオードDo2、整流ダイオードDo3および整流ダイオードDo4からなるブリッジ整流回路Doが接続されるによって、2次側直流出力電圧Eoを得るようになされている。
このような、2次側の接続によって、2次巻線N2に流れる電流I2は、2次側並列共振コンデンサC3に流れる電流I3と2次側直列共振コンデンサC2を介してブリッジ整流回路Doを経て負荷側に流れる電流I4との和の電流であり、2次巻線の一端の電圧を電圧V2とする場合に、電圧V2の正負に応じて、以下のように流れる。
電圧V2が正である場合には、電流I3は2次巻線N2の一端から、2次側並列共振コンデンサC3、整流ダイオードDo4、2次巻線N2の他端の順に流れ、電流I4は2次巻線N2の一端から、2次側直列共振コンデンサC2、整流ダイオードDo1、平滑コンデンサCo、整流ダイオードDo4、2次巻線N2の他端の順に流れ、電流I2は電流I3と電流I4との和の電流となる。
一方、電圧V2が負である場合には、電流I3は2次巻線N2の他端から、整流ダイオードDo3、平滑コンデンサCo、2次側並列共振コンデンサC3、2次巻線N2の一端の順に流れ、電流I4は2次巻線N2の他端から、整流ダイオードDo3、平滑コンデンサCo、整流ダイオードDo2、2次側直列共振コンデンサC2、2次巻線N2の一端の順に流れ、電流I2は電流I3と電流I4との和の電流となる。
ここで、2次側直列共振コンデンサC2および2次側並列共振コンデンサC3の静電容量の値と平滑コンデンサCoの静電容量の値とは、Co>>C2、C3(平滑コンデンサCoの静電容量の値が、2次側直列共振コンデンサC2および2次側並列共振コンデンサC3の静電容量の値よりも非常に大なるもの)として定められている。そのために、2次側直列共振回路は、2次巻線N2に発生するリーケージインダクタンスL2と2次側直列共振コンデンサC2の静電容量によって、2次側直列共振回路の共振周波数fso2が略定まるようにして形成され、2次側電圧共振回路は、2次巻線N2に発生するリーケージインダクタンスL2と2次側並列共振コンデンサC3の静電容量によって、2次側電圧共振回路の共振周波数fpo2が略定まるようにして形成される。ここで、共振周波数fso2の値は69.1kHzに設定して、共振周波数fpo2の値は83.2kHzに設定している。ここで、2次巻線N2の巻数は22T、2次側直列共振コンデンサC2の値は0.068μF、2次側並列共振コンデンサC3の値は0.047μFとしている。
そして、上述したように共振周波数fso1(60.8kHz)<共振周波数fso2(69.1kHz)<共振周波数fpo2(83.2kHz)のごとく、設定する場合には、2次巻線N2と2次側並列共振コンデンサC3とに流れる電流I3は、整流ダイオードDo4または整流ダイオードDo3が導通し、平滑コンデンサCoに流れる電流I4が流れる期間に流れるので、負荷電力Poの減少に伴って電流I4の値が低下するとともに電流I3の値も低下する。このようにして、電流I4および電流I3のピーク電流の値が低下するとによって、負荷電力Poの値が小さいときに、電力変換効率ηAC→DCの値はより1に近いものとなり電力変換効率は改善する。すなわち、電流I3によって生じる損失は、2次側並列共振コンデンサC3の損失と2次巻線N2に生じる銅損と整流ダイオードDo3または整流ダイオードDo4の損失とであり、電流I4によって生じる損失は、整流ダイオードDo1ないし整流ダイオードDo4の損失と平滑コンデンサCoの損失と2次巻線N2に生じる銅損であるが、共振周波数fso1<共振周波数fpo2となるように定めることによって、電流の2乗に比例する電力損が低減して総合的な損失は低減されることとなる。
また、電流I3のほとんどの部分は、無効な電力となることはなく、2次巻線N2、整流ダイオードDo3または整流ダイオードDo4、平滑コンデンサCo、2次側並列共振コンデンサC3の経路を流れて負荷に最終的に供給されるために、負荷電力Poの値が最大負荷電力に近い場合においても総合的な損失は低減されることとなり、電力変換効率ηAC→DCの値は良好なものとなる。
なお、上述したように、共振周波数fso1<共振周波数fso2<共振周波数fpo2のごとく各々の共振周波数が設定される1次側直列共振回路、2次側直列共振回路および2次側並列共振回路に加えて、共振周波数fpo1を有する1次側部分電圧共振回路を設け、共振周波数fso1<共振周波数fpo1と設定することによってスイッチング素子における損失を減少させ、さらに、良好なる特性を得ている。
制御回路1、発振・ドライブ回路2の構成およびその作用については第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
図13、図14は、図12に示した電源回路の各部の動作波形を示している。これらの図において、図13では、負荷電力Po=200W(最大負荷電力)時の動作波形を示し、図14では、負荷電力Po=0W(無負荷電力)時の動作波形を示している。なお、これらの図では、交流入力電圧VAC=100Vで一定とした場合の実験結果を示している。この図13、図14の結果は、上述したように1次側直列共振周波数である共振周波数fso1の値は60.8kHz、2次側直列共振周波数である共振周波数fso2の値は69.1kHz、2次側並列共振周波数である共振周波数fpo2の値は83.2kHzとして測定されたものである。
これら図13、図14において、電圧V1は、スイッチング素子Q2の両端電圧であり、スイッチング素子Q2のオン/オフタイミングを示すものとなる。つまり、電圧V1が0レベルとなる期間には、図示するスイッチング素子Q2の電流IQ2が流れ、この期間はスイッチング素子Q2がオンする。また、電圧V1が図示するように整流平滑電圧Eiのレベルでクランプされる期間には、電流IQ2が0レベルとなり、この期間はスイッチング素子Q2がオフすることがわかる。また、図示はしないが一方のスイッチング素子Q1の両端電圧としては、電圧V1の位相を180度シフトした波形として得られる。同様に、スイッチング素子Q1の電流としても、電流IQ2の位相を180度シフトした波形が得られる。つまり、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2は交互にオン/オフするようにされている。
これら図13、図14において、電流I1は、1次側直列共振回路を流れる共振電流であり、略、スイッチング素子Q1の電流と電流IQ2との波形が合成された、図のような波形となるものである。
図13と図14とに示した電圧V1、電流IQ2の波形を相互に比較した場合には、図13に示すこれらの波形の周期に対して図14に示すこれらの波形の周期のほうが短くなっている。このことは、重負荷から軽負荷の傾向となるのに従って、スイッチング周波数が高くなるように制御されていることを示している。すなわち、安定化制御として、重負荷となって2次側直流出力電圧Eoのレベルが低下する場合には、スイッチング周波数を低くし、また軽負荷となって2次側直流出力電圧Eoのレベルが上昇する場合にはスイッチング周波数を高くするように制御が行われていることを示している。そして、重負荷の条件となりスイッチング周波数が低く制御される場合は、図13に示されるように電流IQ2のピークレベルは4.5A(アンペア)となる。一方、軽負荷の条件となりスイッチング周波数が高くなるように制御される場合では、電流IQ2のピークレベルは2Aとなるが、このときの電流IQ2の波形と電圧V1の波形とを比較すると、両者の位相は90°異なっており、電力の損失が生じていないことが分かる。
1次側直列共振電流が流れることにより、コンバータトランスPITの2次巻線N2には、図示する電圧V2が励起される。この電圧V2の正負のピークレベルと等しいものとして2次側直流出力電圧Eoのレベルが得られる。このような交流の電圧V2が得られることで、2次側におけるブリッジ整流回路Doでは、整流ダイオードDo1ないし整流ダイオードDo4、1次側2次側直列共振コンデンサC2および2次側並列共振コンデンサC3の作用によって2次巻線N2に電流I2を流す。
これら図13、図14において、電流I2は、電圧V2の正負に応じて正負に対称なものとして流れる。また、電流I3は、整流ダイオードDo4と整流ダイオードDo3とが、周期ごとに交互にオンとなるようにして流れ、電流I4は、整流ダイオードDo1および整流ダイオードDo4が周期ごとに同時にオンとなって、整流ダイオードDo2および整流ダイオードDo3が周期ごとに同時にオンとなって図示するように流れる。負荷電力Po=0W時においては、電流I2、電流I3、および、電流I4の値はいずれも零となっている。
図15は、図12に示す第2実施形態のスイッチング電源回路の、負荷電力Poを横軸にして、負荷電力Poの値が0Wから200Wまでの範囲における、スイッチング周波数fs、電力変換効率ηAC→DCの値を示している。ここで、一点鎖線は、図34に背景技術として示すスイッチング電源回路の交流入力電圧VAC=100Vにおける各々の特性を示すものであり、実線は交流入力電圧VAC=100Vにおける各々の波形を示し、破線は交流入力電圧VAC=230Vにおける各々の波形を示すものである。図4に示されるがごとく、以下の特性を有している。交流入力電圧VAC=100V、負荷電力Po=200Wにおける電力変換効率ηAC→DCの値は92.2%である。また、交流入力電圧VAC=100V、負荷電力Po=200Wから0Wまでの範囲におけるスイッチング周波数fsの値は72.5kHzから100kHzである。また、交流入力電圧VAC=230V、負荷電力Po=200Wにおける電力変換効率ηAC→DCの値は92.8%である。また、交流入力電圧VAC=230V、負荷電力Po=200Wから0Wまでの範囲におけるスイッチング周波数fsの値は149.3kHzから179.5kHzである。
すなわち、スイッチング周波数fsに関しては、図34に背景技術として示すスイッチング電源回路におけるものよりもその可変範囲は狭く、そして、電力変換効率ηAC→DCの値に関しては、図34に背景技術として示すスイッチング電源回路におけるよりも負荷電力Poの0Wから200Wまでの全範囲でより良好なものとなっている。
図16は、交流入力電圧VAC=80Vから交流入力電圧VAC=260Vの範囲におけるスイッチング周波数fsおよび電力変換効率ηAC→DCの値を示している。このように広範囲な交流入力電圧VACに対して、スイッチング周波数fsの範囲は、十分に狭く、電力変換効率ηAC→DCの値は良好なものとなりワイドレンジ化が図られる。
図17ないし図22に第2実施形態と組み合わせて好適なる2次側回路の他の例を示す。図17は、2次側並列共振コンデンサC3に直列に低い値の抵抗R3を接続するものである。図18は、図17の接続における電流I3を示すものであり、このようにすることによって、図13における電流I3に表れたような高周波のリンギング電流が抑圧されていることが分かる。この高周波のリンギング電流は、整流ダイオードDo3、整流ダイオードDo4の空乏層容量と平滑コンデンサCoの等価インダクタンス(ESL)とによって生じるものであるが、抵抗R3を2次側並列共振コンデンサC3に直列に接続することによって、いわゆる、Qダンプがなされて、このような効果が生じるものである。図18に示す波形は、抵抗R3の値として、0.47Ω(オーム)を採用する場合の例であり、この場合には電力損失が0.5W生じた。しかしながら、リンギング電流が発生する高周波が外部機器に与えるノイズの発生は防止することができることとなる。
図19は2次側並列共振コンデンサC3を整流ダイオードDo4と並列にする場合であり、図20は2次側並列共振コンデンサC3を整流ダイオードDo1と並列にする場合であり、図21は2次側並列共振コンデンサC3を整流ダイオードDo3と並列にする場合であり、図19ないし図21に示す各々において、図12に示すように、2次側並列共振コンデンサC3を整流ダイオードDo1と並列にする場合と同様の作用を奏し、同様の効果を得ることができるものである。また、図22は2次側を大電流低電圧の整流平滑回路として構成するに適した回路構成であり、2次巻線N2を二つ、2次側並列共振コンデンサC3を二つ、2次側直列共振コンデンサC2を二つ、ブリッジ整流回路Doを二つ有して構成される。このような構成とすることによって、2次巻線N2、2次側並列共振コンデンサC3、2次側直列共振コンデンサC2、ブリッジ整流回路Doの各々に流れる電流の大きさが半分となって、このような回路に使用する素子の選択範囲が広がると同時に電流の2乗に比例して発生する損失を低減し、電力損失を低減できるものである。
すなわち、第2実施形態のスイッチング回路は、このようにして、1次巻線N1に発生するリーケージインダクタンスL1と1次側直列共振コンデンサC1とによって電流共振回路が形成されるとともに、1次巻線N1のリーケージインダクタンスL1と1次側部分電圧共振コンデンサCpとによって形成される並列共振回路である1次側部分電圧共振回路を有する「複合共振形コンバータ」として1次側が構成されて、リーケージインダクタンスL2と2次側並列共振コンデンサC3とで形成される並列共振回路およびリーケージインダクタンスL2と2次側直列共振コンデンサC2を有して2次側が構成される多重複合共振形コンバータであって、1次側直列共振回路の共振周波数fso1<2次側直列共振回路の共振周波数fso2<2次側並列共振回路の共振周波数fpo2と設定されることによって構成されている。このような、第2実施形態の構成のスイッチング電源回路と、背景技術として図34に示すスイッチング電源回路とを比較する場合には、以下の効果を生じるものである。
背景技術として図34に示すスイッチング電源回路には存在しない、2次側並列共振コンデンサC3および2次側直列共振コンデンサC2の作用によって、1次側直列共振に流れる電流I1および2次側並列共振回路に流れる電流I2が減少して無負荷から最大負荷までの負荷範囲において、電力変換効率ηAC→DCの値が向上する。第1実施形態では、無負荷時の損失である交流電力が7.5Wから6.4Wに減少している。
また、背景技術として図34に示すスイッチング電源回路におけるコンバータトランスPITの仕様は、コア材としては、EER−40、ギャップは0.8mm、1次巻線N1は20T、2次巻線N2は25T×2であるが、第1実施形態においては、コア材としては、EER−35、ギャップは1.6mm、1次巻線N1は28T、2次巻線N2は22Tであり小型軽量化が図れる。
交流入力電圧VACの電圧値が100Vから85Vに低下した場合、背景技術として図34に示すスイッチング電源回路においては、電力変換効率ηAC→DCの値が2%程度低下するが、第1実施形態では2次側並列共振回路に流れる電流I3を増加させることによって電力変換効率ηAC→DCの値を0.5%程度の低下に抑えることができる。
「第3実施形態」
図23は、第3実施形態のスイッチング電源回路の構成を示す図である。この図に示す電源回路は、図12に示す第2実施形態のスイッチング電源回路と同様に、1次側の基本構成として、ハーフブリッジ結合方式による他励式の電流共振形コンバータに対して部分電圧共振回路の組み合わせを有し、2次側には、並列共振回路および直列共振回路を有するものである。しかしながら、第3実施形態と第2実施形態とは、2次巻線N2とブリッジ整流素子との関係において、2次側並列共振回路を形成するための2次側並列共振コンデンサC3の接続関係および2次側直列共振回路を形成するための2次側直列共振コンデンサC2の接続関係が異なるものである。また、この第3実施形態の電源回路は、100V系(交流入力電圧VACの値が100V付近とする電圧系統)と200V系(交流入力電圧VACの値が200V付近とする電圧系統)の何れの商用交流電源入力にも対応して動作する、いわゆるワイドレンジ対応としての構成を採る。また、対応負荷電力としては、例えば、負荷電力Po=200W程度からPo=0W(無負荷)までの変動範囲に対応する。
以下の第3実施形態の説明において、図1に示す第1実施形態のスイッチング電源回路または図12に示す第2実施形態のスイッチング電源回路におけると同一部分については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
まず、1次側部分に関しては、第1実施形態および第2実施形態におけると基本的に同一の構成を採用し、その作用、効果も同様である。第3実施形態における1次側の各部の具体的な常数の値は、以下のように定めた。コンバータトランスPITのコア材としては、EER−35とした。ギャップ1mm〜2mmの範囲で0.7〜0.8程度の範囲の結合係数kの値を得ることができるが、結合係数kの値としては0.72とし、ギャップとしては1.6mmとした。また、1次巻線N1の巻数は28Tとし、1次側直列共振コンデンサC1の容量は0.068μFとし、1次側部分電圧共振コンデンサCpの値は680pFとした。このときの1次側直列共振回路の共振周波数fso1は60.8kHz(キロ・ヘルツ)であった。
次に、第2実施形態のスイッチング電源回路の2次側について説明をする。コンバータトランスPITの2次巻線N2と、ブリッジ整流回路Doの入力側と、2次側直列共振コンデンサC2が直列に接続され、2次側並列共振コンデンサC3がブリッジ整流回路Doを構成する整流ダイオードDo2と並列に接続されている。そして、ブリッジ整流回路Doの出力側には平滑コンデンサCoが接続されて、2次側直流出力電圧Eoを得るようになされている。
このような、2次側の接続によって、2次巻線N2に流れる電流I2は、2次側並列共振コンデンサC3に流れる電流I3とブリッジ整流回路Doを経て図示しない負荷側に流れる電流I4との和の電流であり、2次巻線の一端の電圧を電圧V2とする場合に、電圧V2の正負に応じて、以下のように流れる。
電圧V2が正である場合には、電流I3は2次巻線N2の一端から、2次側直列共振コンデンサC2、2次側並列共振コンデンサC3、整流ダイオードDo4、2次巻線N2の他端の順に流れ、電流I4は2次巻線N2の一端から、2次側直列共振コンデンサC2、整流ダイオードDo1、平滑コンデンサCo、整流ダイオードDo4、2次巻線N2の他端の順に流れ、電流I2は電流I3と電流I4との和の電流となる。
一方、電圧V2が負である場合には、電流I3は2次巻線N2の他端から、整流ダイオードDo3、平滑コンデンサCo、2次側並列共振コンデンサC3、2次側直列共振コンデンサC2、2次巻線N2の一端の順に流れ、電流I4は2次巻線N2の他端から、整流ダイオードDo3、平滑コンデンサCo、整流ダイオードDo2、2次側直列共振コンデンサC2、2次巻線N2の一端の順に流れ、電流I2は電流I3と電流I4との和の電流となる。
ここで、2次側直列共振コンデンサC2および2次側並列共振コンデンサC3の静電容量の値と平滑コンデンサCoの静電容量の値とは、Co>>C2、C3(平滑コンデンサCoの静電容量の値が、2次側直列共振コンデンサC2および2次側並列共振コンデンサC3の静電容量の値よりも非常に大なるもの)として定められている。そのために、2次側直列共振回路は、2次巻線N2に発生するリーケージインダクタンスL2と2次側直列共振コンデンサC2の静電容量によって、2次側直列共振回路の共振周波数fso2が略定まるようにして形成され、2次側電圧共振回路は、2次巻線N2に発生するリーケージインダクタンスL2と2次側並列共振コンデンサC3と2次側直列共振コンデンサC2との直列接続による合成の静電容量によって、2次側電圧共振回路の共振周波数fpo2が略定まるようにして形成される。ここで、共振周波数fso2の値は31.4kHzに設定して、共振周波数fpo2の値は88.8kHzに設定している。ここで、2次巻線N2の巻数は22T、2次側直列共振コンデンサC2の値は0.33μF、2次側並列共振コンデンサC3の値は0.047μFとしている。
そして、上述したように共振周波数fso2(31.4kHz)<共振周波数fso1(60.8kHz)<共振周波数fpo2(88.8kHz)のごとく、設定する場合には、2次巻線N2と2次側並列共振コンデンサC3とに流れる電流I3は、整流ダイオードDo4または整流ダイオードDo3が導通し、平滑コンデンサCoに流れる電流I4が流れる期間に流れるので、負荷電力Poの減少に伴って電流I4の値が低下するとともに電流I3の値も低下する。このようにして、電流I4および電流I3のピーク電流の値が低下するとによって、負荷電力Poの値が小さいときに、電力変換効率ηAC→DCの値はより1に近いものとなり電力変換効率は改善する。
また、電流I3のほとんどの部分は、無効な電力となることはなく、2次側並列共振コンデンサC3、2次側直列共振コンデンサC2、次巻線N2、整流ダイオードDo3、整流ダイオードDo4、平滑コンデンサCoの経路を流れて負荷に最終的に供給されるために、負荷電力Poの値が最大負荷電力に近い場合においても総合的な損失は低減されることとなり、電力変換効率ηAC→DCの値は良好なものとなる。
なお、上述したように、共振周波数fso2<共振周波数fso1<共振周波数fpo2のごとく各々の共振周波数が設定される1次側直列共振回路、2次側直列共振回路および2次側並列共振回路に加えて、共振周波数fpo1を有する1次側部分電圧共振回路を設け、共振周波数fso1<共振周波数fpo1と設定することによってスイッチング素子における損失を減少させ、さらに、良好なる特性を得ている。
制御回路1、発振・ドライブ回路2の構成およびその作用については第1実施形態および第2実施形態と同様であるので、説明は省略する。
図24、図25は、図23に示した電源回路の各部の動作波形を示している。これらの図において、図24では、負荷電力Po=200W(最大負荷電力)時の動作波形を示し、図25では、負荷電力Po=0W(無負荷電力)時の動作波形を示している。なお、これらの図では、交流入力電圧VAC=100Vで一定とした場合の実験結果を示している。この図24、図25の結果は、上述したように1次側直列共振周波数である共振周波数fso1の値は60.8kHz、2次側直列共振周波数である共振周波数fso2の値は31.4kHz、2次側並列共振周波数である共振周波数fpo2の値は88.8kHzとして測定されたものである。
これら図24、図25において、電圧V1は、スイッチング素子Q2の両端電圧であり、スイッチング素子Q2のオン/オフタイミングを示すものとなる。つまり、電圧V1が0レベルとなる期間には、図示するスイッチング素子Q2の電流IQ2が流れ、この期間はスイッチング素子Q2がオンする。また、電圧V1が図示するように整流平滑電圧Eiのレベルでクランプされる期間には、電流IQ2が0レベルとなり、この期間はスイッチング素子Q2がオフすることがわかる。また、図示はしないが一方のスイッチング素子Q1の両端電圧としては、電圧V1の位相を180度シフトした波形として得られる。同様に、スイッチング素子Q1の電流としても、電流IQ2の位相を180度シフトした波形が得られる。つまり、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2は交互にオン/オフするようにされている。
これら図24、図25において、電流I1は、1次側直列共振回路を流れる共振電流であり、略、スイッチング素子Q1の電流と電流IQ2との波形が合成された、図のような波形となるものである。
図24と図25とに示した電圧V1、電流IQ2の波形を相互に比較した場合には、図24に示すこれらの波形の周期に対して図25に示すこれらの波形の周期のほうが短くなっている。このことは、重負荷から軽負荷の傾向となるのに従って、スイッチング周波数が高くなるように制御されていることを示している。すなわち、安定化制御として、重負荷となって2次側直流出力電圧Eoのレベルが低下する場合には、スイッチング周波数を低くし、また軽負荷となって2次側直流出力電圧Eoのレベルが上昇する場合にはスイッチング周波数を高くするように制御が行われていることを示している。そして、重負荷の条件となりスイッチング周波数が低く制御される場合は、図24に示されるように電流IQ2のピークレベルは4.4A(アンペア)となる。一方、軽負荷の条件となりスイッチング周波数が高くなるように制御される場合では、電流IQ2のピークレベルは1.9Aとなるが、このときの電流IQ2の波形と電圧V1の波形とを比較すると、両者の位相は90°異なっており、電力の損失が生じていないことが分かる。
1次側直列共振電流が流れることにより、コンバータトランスPITの2次巻線N2には、図示する電圧V2が励起される。この電圧V2の正負のピークレベルと等しいものとして2次側直流出力電圧Eoのレベルが得られる。このような交流の電圧V2が得られることで、2次側におけるブリッジ整流回路Doでは、整流ダイオードDo1ないし整流ダイオードDo4、1次側2次側直列共振コンデンサC2および2次側並列共振コンデンサC3の作用によって2次巻線N2に電流I2を流す。
これら図24、図25において、電流I2は、電圧V2の正負に応じて正負に対称なものとして流れる。また、電流I3は、整流ダイオードDo4と整流ダイオードDo3とが、周期ごとに交互にオンとなるようにして流れ、電流I4は、整流ダイオードDo1および整流ダイオードDo4が周期ごとに同時にオンとなって、整流ダイオードDo2および整流ダイオードDo3が周期ごとに同時にオンとなって図示するように流れる。負荷電力Po=0W時においては、電流I2、電流I3、および、電流I4の値はいずれも零となっている。
図26は、図23に示す第3実施形態のスイッチング電源回路の、負荷電力Poを横軸にして、負荷電力Poの値が0Wから200Wまでの範囲における、スイッチング周波数fs、電力変換効率ηAC→DCの値を示している。ここで、一点鎖線は、図34に背景技術として示すスイッチング電源回路の交流入力電圧VAC=100Vにおける各々の特性を示すものであり、実線は交流入力電圧VAC=100Vにおける各々の波形を示し、破線は交流入力電圧VAC=230Vにおける各々の波形を示すものである。図4に示されるがごとく、以下の特性を有している。交流入力電圧VAC=100V、負荷電力Po=200Wにおける電力変換効率ηAC→DCの値は91.3%である。また、交流入力電圧VAC=100V、負荷電力Po=200Wから0Wまでの範囲におけるスイッチング周波数fsの値は68.8kHzから106kHzである。また、交流入力電圧VAC=230V、負荷電力Po=200Wにおける電力変換効率ηAC→DCの値は91.8%である。また、交流入力電圧VAC=230V、負荷電力Po=200Wから0Wまでの範囲におけるスイッチング周波数fsの値は144.5kHzから180.2kHzである。
すなわち、スイッチング周波数fsに関しては、図34に背景技術として示すスイッチング電源回路におけるものよりもその可変範囲は狭く、そして、電力変換効率ηAC→DCの値に関しては、図34に背景技術として示すスイッチング電源回路におけるよりも負荷電力Poの0Wから200Wまでの全範囲でより良好なものとなっている。
図27は、交流入力電圧VAC=80Vから交流入力電圧VAC=260Vの範囲におけるスイッチング周波数fsおよび電力変換効率ηAC→DCの値を示している。このように広範囲な交流入力電圧VACに対して、スイッチング周波数fsの範囲は、十分に狭く、電力変換効率ηAC→DCの値は良好なものとなりワイドレンジ化が図られる。
図28ないし図33に第3実施形態と組み合わせて好適なる2次側回路の他の例を示す。図28は、2次側並列共振コンデンサC3に直列に低い値の抵抗R3を接続するものである。図29は、図28の接続における電流I3を示すものであり、このようにすることによって、図24における電流I3に表れたような高周波のリンギング電流が抑圧されていることが分かる。この高周波のリンギング電流は、整流ダイオードDo3、整流ダイオードDo4の空乏層容量と平滑コンデンサCoの等価インダクタンス(ESL)とによって生じるものであるが、抵抗R3を2次側並列共振コンデンサC3に直列に接続することによって、いわゆる、Qダンプがなされて、このような効果が生じるものである。図29に示す波形は、抵抗R3の値として、0.47Ω(オーム)を採用する場合の例であり、この場合には電力損失が1W生じた。しかしながら、リンギング電流が発生する高周波が外部機器に与えるノイズの発生は防止することができることとなる。
図30は2次側並列共振コンデンサC3を整流ダイオードDo4と並列にする場合であり、図31は2次側並列共振コンデンサC3を整流ダイオードDo1と並列にする場合であり、図32は2次側並列共振コンデンサC3を整流ダイオードDo3と並列にする場合であり、図30ないし図32に示す各々において、図23に示すように、2次側並列共振コンデンサC3を整流ダイオードDo1と並列にする場合と同様の作用を奏し、同様の効果を得ることができるものである。また、図33は2次側を大電流低電圧の整流平滑回路として構成するに適した回路構成であり、2次巻線N2を二つ、2次側並列共振コンデンサC3を二つ、2次側直列共振コンデンサC2を二つ、ブリッジ整流回路Doを二つ有して構成される。このような構成とすることによって、2次巻線N2、2次側並列共振コンデンサC3、2次側直列共振コンデンサC2、ブリッジ整流回路Doの各々に流れる電流の大きさが半分となって、このような回路に使用する素子の選択範囲が広がると同時に電流の2乗に比例して発生する損失を低減し、電力損失を低減できるものである。
すなわち、第3実施形態のスイッチング回路は、このようにして、1次巻線N1に発生するリーケージインダクタンスL1と1次側直列共振コンデンサC1とによって電流共振回路が形成されるとともに、1次巻線N1のリーケージインダクタンスL1と1次側部分電圧共振コンデンサCpとによって形成される並列共振回路である1次側部分電圧共振回路を有する「複合共振形コンバータ」として1次側が構成されて、リーケージインダクタンスL2と2次側並列共振コンデンサC3および2次側直列共振コンデンサC2の直列接続の合成の静電容量とで形成される並列共振回路およびリーケージインダクタンスL2と2次側直列共振コンデンサC2を有して2次側が構成される多重複合共振形コンバータであって、2次側直列共振回路の共振周波数fso2<1次側直列共振回路の共振周波数fso1<2次側並列共振回路の共振周波数fpo2として設定されることによって構成されている。このような、第2実施形態の構成のスイッチング電源回路と、背景技術として図34に示すスイッチング電源回路とを比較する場合には、以下の効果を生じるものである。
背景技術として図34に示すスイッチング電源回路には存在しない、2次側並列共振コンデンサC3および2次側直列共振コンデンサC2の作用によって、1次側直列共振に流れる電流I1および2次側並列共振回路に流れる電流I2が減少して無負荷から最大負荷までの負荷範囲において、電力変換効率ηAC→DCの値が向上する。第1実施形態では、無負荷時の損失である交流電力が7.5Wから6.4Wに減少している。
また、背景技術として図34に示すスイッチング電源回路におけるコンバータトランスPITの仕様は、コア材としては、EER−40、ギャップは0.8mm、1次巻線N1は20T、2次巻線N2は25T×2であるが、第1実施形態においては、コア材としては、EER−35、ギャップは1.6mm、1次巻線N1は28T、2次巻線N2は22Tであり小型軽量化が図れる。
交流入力電圧VACの電圧値が100Vから85Vに低下した場合、背景技術として図34に示すスイッチング電源回路においては、電力変換効率ηAC→DCの値が2%程度低下するが、第1実施形態では2次側並列共振回路に流れる電流I3を増加させることによって電力変換効率ηAC→DCの値を0.5%程度の低下に抑えることができる。
第1実施形態の電源回路の構成例を示す回路図である。 第1実施形態の電源回路の各部の動作波形を示す図である。 第1実施形態の電源回路の各部の動作波形を示す図である。 第1実施形態のスイッチング電源回路の、負荷電力に対するスイッチング周波数、電力変換効率を示す図である。 第1実施形態のスイッチング電源回路の交流入力電圧に対するスイッチング周波数、電力変換効率を示す図である。 第1実施形態の他の2次側回路を示す回路図である。 図6に示す2次側回路の動作を示す図である。 第1実施形態の他の2次側回路を示す回路図である。 第1実施形態の他の2次側回路を示す回路図である。 第1実施形態の他の2次側回路を示す回路図である。 第1実施形態の他の2次側回路を示す回路図である。 第2実施形態のスイッチング電源回路の構成を示す図である。 第2実施形態の電源回路の各部の動作波形を示す図である。 第2実施形態の電源回路の各部の動作波形を示す図である。 第2実施形態のスイッチング電源回路の、負荷電力に対するスイッチング周波数、電力変換効率を示す図である。 第2実施形態のスイッチング電源回路の交流入力電圧に対するスイッチング周波数、電力変換効率を示す図である。 第2実施形態の他の2次側回路を示す回路図である。 図17に示す2次側回路の動作を示す図である。 第2実施形態の他の2次側回路を示す回路図である。 第2実施形態の他の2次側回路を示す回路図である。 第2実施形態の他の2次側回路を示す回路図である。 第2実施形態の他の2次側回路を示す回路図である。 第3実施形態のスイッチング電源回路の構成を示す図である。 第3実施形態の電源回路の各部の動作波形を示す図である。 第3実施形態の電源回路の各部の動作波形を示す図である。 第3実施形態のスイッチング電源回路の負荷電力に対するスイッチング周波数、電力変換効率を示す図である。 第3実施形態のスイッチング電源回路の交流入力電圧に対するスイッチング周波数、電力変換効率を示す図である。 第3実施形態の他の2次側回路を示す回路図である。 図28に示す2次側回路の動作を示す図である。 第3実施形態の他の2次側回路を示す回路図である。 第3実施形態の他の2次側回路を示す回路図である。 第3実施形態の他の2次側回路を示す回路図である。 第3実施形態の他の2次側回路を示す回路図である。 背景技術のスイッチング電源回路の構成を示す図である。 背景技術のコンバータトランスの構成を示す図である。 背景技術のスイッチング電源回路の各部の動作波形を示す図である。 背景技術のスイッチング電源回路の各部の動作波形を示す図である。 背景技術のスイッチング電源回路の負荷電力に対するスイッチング周波数、電力変換効率を示す図である。 背景技術の他のスイッチング電源回路の構成を示す図である。
符号の説明
1 制御回路、2 発振・ドライブ回路、AC 商用交流電源、C1 1次側直列共振コンデンサ、C2 2次側直列共振コンデンサ、C3 2次側並列共振コンデンサ、Ci 平滑コンデンサ、CL フィルタコンデンサ、CMC コモンモードチョークコイル、Co 平滑コンデンサ、Cp 1次側部分電圧共振コンデンサ、CR1、CR2 E型コア、DD1、DD2 ダンパーダイオード、Di、Do ブリッジ整流回路、Do1、Do2、Do3、Do4 整流ダイオード、Ei 整流平滑電圧、Eo 2次側直流出力電圧、I1、I2、I3、I4、IQ2 電流、L1、L2 リーケージインダクタンス、N1 1次巻線、N2 2次巻線、PIT コンバータトランス、Q1、Q2 スイッチング素
R3 抵抗、V1、V2 電圧、VAC 交流入力電圧

Claims (6)

  1. 直流入力電圧を入力して交流電力を発生する1次側回路と、
    前記交流電力を2次側回路に伝送するための1次巻線および2次巻線がコアに巻装されて形成されるコンバータトランスと、
    前記2次側回路から負荷に供給される2次側直流出力電圧が定電圧となるように1次側回路を制御する定電圧制御手段と、を備えるスイッチング電源回路であって、
    前記1次側回路は、
    前記定電圧制御手段によってスイッチング周波数が制御されるスイッチング素子を備えて形成されるスイッチング手段と、
    前記コンバータトランスの1次巻線に生じる漏洩インダクタンス成分と、前記1次巻線に直列接続される1次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって1次側直列共振周波数が支配されるようにして形成され、前記スイッチング手段の動作を電流共振形とする1次側直列共振回路と、を具備し、
    前記2次側回路は、
    前記2次巻線に得られる交流電力を整流して前記2次側直流出力電圧を生成するブリッジ整流回路を有する2次側直流出力電圧生成手段と、
    前記コンバータトランスの2次巻線の漏洩インダクタンス成分と、前記ブリッジ整流回路を形成する少なくともひとつの整流ダイオードに並列に接続される2次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって2次側並列共振周波数が支配されるようにして形成される2次側並列共振回路と、を具備し、
    前記1次側直列共振周波数よりも前記2次側並列共振周波数の方が高い周波数となるように設定されることを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. 直流入力電圧を入力して交流電力を発生する1次側回路と、
    前記交流電力を2次側回路に伝送するための1次巻線および2次巻線がコアに巻装されて形成されるコンバータトランスと、
    前記2次側回路から得られる2次側直流出力電圧が定電圧となるように1次側回路を制御する定電圧制御手段と、を備えるスイッチング電源回路であって、
    前記1次側回路は、
    前記定電圧制御手段によってスイッチング周波数が制御されるスイッチング素子を備えて形成されるスイッチング手段と、
    前記コンバータトランスの1次巻線に生じる漏洩インダクタンス成分と、前記1次巻線に直列接続される1次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって1次側直列共振周波数が支配されるようにして形成され、前記スイッチング手段の動作を電流共振形とする1次側直列共振回路と、を具備し、
    前記2次側回路は、
    前記コンバータトランスの2次巻線の漏洩インダクタンス成分と、前記2次巻線に直列接続される2次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって2次側直列共振周波数が支配されるようにして形成される2次側直列共振回路と、
    前記2次巻線の漏洩インダクタンス成分と、前記2次巻線に直接または前記2次側直列共振コンデンサを介して並列に接続される2次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって2次側並列共振周波数が支配されるようにして形成される2次側並列共振回路と、
    前記2次側直列共振回路および前記2次側並列共振回路に得られる共振出力を整流して前記2次側直流出力電圧を生成する2次側直流出力電圧生成手段と、を具備し、
    前記2次側直列共振周波数よりも前記1次側直列共振周波数の方が高い周波数となるように設定され、前記1次側直列共振周波数よりも前記2次側並列共振周波数の方が高い周波数となるように設定されることを特徴とするスイッチング電源回路。
  3. 前記2次側並列共振コンデンサに直列に抵抗を付加することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスイッチング電源回路。
  4. 前記コンバータトランスの前記1次巻線に生じる前記漏洩インダクタンス成分と、前記1次巻線に前記1次側直列共振コンデンサを介して並列接続される1次側部分電圧共振コンデンサのキャパシタンスとによって1次側部分電圧共振周波数が支配されるようにして形成され、前記スイッチング手段の動作を複合共振形とする1次側部分電圧共振回路を、さらに、有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のスイッチング電源回路。
  5. 前記2次側回路は、前記2次巻線を2個以上有し、前記2次巻線の各々に接続される2個以上の前記2次側並列共振回路および前記2次側直流出力電圧生成手段を有して形成され、
    前記2次側直流出力電圧生成手段からの各々の前記2次側直流出力電圧は並列接続されて前記負荷に供給されることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  6. 前記2次側回路は、前記2次巻線を2個以上有し、前記2次巻線の各々に接続される2個以上の前記2次側並列共振回路と前記2次側直列共振回路と前記2次側直流出力電圧生成手段とを有して形成され、
    前記2次側直流出力電圧生成手段からの各々の前記2次側直流出力電圧は並列接続されて前記負荷に供給されることを特徴とする請求項2に記載のスイッチング電源回路。
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JP2012019568A (ja) * 2010-07-06 2012-01-26 Hitachi Ltd 電力変換器、及びこれを用いたモータ駆動装置
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