共振形によるいわゆるソフトスイッチング電源としては、1石のスイッチング素子によるシングルエンド方式で構成した電圧共振形コンバータが知られている。
図22は、シングルエンド方式による電圧共振形コンバータを備えるスイッチング電源回路の一構成例を示している。
この図に示すスイッチング電源回路においては、商用交流電源ACからの交流電力を、4個のダイオードDi1ないしダイオードDi4のブリッジ接続として形成される一次側整流素子Diおよび一次側平滑コンデンサCiから成る整流平滑回路により整流平滑化することで、一次側平滑コンデンサCiの両端電圧として、直流入力電圧Eiを生成している。なお、商用交流電源ACのラインに対しては、コモンモードチョークコイルCMCと、2個のアクロスコンデンサCLとから成り、コモンモードのノイズを除去するノイズフィルタが設けられている。
この直流入力電圧Eiは、電圧共振形コンバータに対して入力される。この電圧共振形コンバータは、1石のスイッチング素子Q1を備えたシングルエンド方式による構成を採る。また、この場合の電圧共振形コンバータとしては他励式となっており、MOS−FETのスイッチング素子Q1を、発振・ドライブ回路2によりスイッチング駆動するようにされている。
スイッチング素子Q1に対しては、MOS−FETのボディダイオードDDが並列に接続される。また、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間に対して一次側並列共振コンデンサCrが並列に接続される。
一次側並列共振コンデンサCrと、コンバータトランスPITの一次巻線N1の発生するリーケージ(漏れ)インダクタとして形成される漏れインダクタL1とによって共振周波数が支配される一次側並列共振回路(電圧共振回路)を形成している。そして、この一次側並列共振回路によって、スイッチング素子Q1のスイッチング動作として電圧共振形の動作が得られるようにされている。ここで、共振周波数が支配されるとは、主として、一次巻線N1の漏れインダクタL1と一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスによって共振周波数が定まることをいうものである。
発振・ドライブ回路2は、スイッチング素子Q1をスイッチング駆動するために、スイッチング素子Q1のゲートに対して、ドライブ信号としてのゲート電圧を印加する。これにより、スイッチング素子Q1は、ドライブ信号の周期に応じたスイッチング周波数によりスイッチング動作を行う。
コンバータトランスPITは、スイッチング素子Q1のスイッチング出力を二次側に伝送する。コンバータトランスPITの構造としては、例えば、フェライト材によるE字形状コアであるコアを組み合わせたEE字形コアを備える。そして、一次側と二次側とで巻装部位を分割したうえで、一次巻線N1と、二次巻線N2を、EE字形コアの中央磁脚に対して、ボビンの上に巻装している。そのうえで、コンバータトランスPITのEE字形コアの中央磁脚に対しては、例えば、0.8mm(ミリ・メータ)〜1mmのギャップを形成するようにしており、これによって、一次側と二次側との間で、結合係数kの値として、k=0.80〜0.85程度を得るようにしている。この程度の結合係数kは疎結合としてみてよい結合度であり、結合係数kの値を小さくすることによってコンバータトランスは飽和し難くなる。また、この結合係数kの値が、1未満であることが、一次巻線N1に漏れインダクタL1が発生するための条件となる。
コンバータトランスPITの一次巻線N1は、スイッチング素子Q1と一次側平滑コンデンサCiの正極端子間に挿入されるようになっていることで、スイッチング素子Q1のスイッチング出力が、一次巻線N1に伝達されるようになっている。コンバータトランスPITの二次巻線N2には、一次巻線N1により誘起された交番電圧が発生する。
この場合、二次巻線N2の一端に対して二次側直列共振コンデンサC5を直列に接続していることで、二次巻線N2のリーケージ(漏れ)インダクタである漏れインダクタL2と二次側直列共振コンデンサC5のキャパシタンスとによって共振周波数が支配される二次側直列共振回路(電流共振回路)が形成される。ここで、共振周波数が支配されるとは、主として、二次巻線N2のリーケージ(漏れ)インダクタL2と二次側直列共振コンデンサC5のキャパシタンスによって共振周波数が定まることをいうものである。
そのうえで、この二次側直列共振回路に対して、図示するようにしてダイオードDo1,Do2、および二次側平滑コンデンサCoを接続することで、倍電圧半波整流回路を形成している。この倍電圧半波整流回路は、二次巻線N2に誘起される交番電圧V22の2倍に対応するレベルの二次側直流出力電圧Eoを、二次側平滑コンデンサCoの両端電圧として生成する。二次側直流出力電圧Eoは負荷に供給されると共に、定電圧制御用の検出電圧として、制御回路1に入力される。
制御回路1は、検出電圧として入力される二次側直流出力電圧Eoのレベルを検出して得られる検出出力を発振・ドライブ回路2に入力する。発振・ドライブ回路2は、入力される検出出力が示す二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じて周波数などを可変したドライブ信号を出力することで、二次側直流出力電圧Eoが所定のレベルで一定となるようにして、スイッチング素子Q1のスイッチング動作を制御する。これにより、二次側直流出力電圧Eoの安定化制御が行われる。
図23および図24は、上述した図22に示した構成の電源回路についての実験結果を示している。なお、図23および図24の結果を得る実験にあたっては、図22の電源回路の要部について下記のようにして設定している。
コンバータトランスPITは、コアにEER−35(コア材の名称)を選定し、中央磁脚のギャップについては、1mmのギャップ長を設定する。また、一次巻線N1および二次巻線N2のターン数T(巻数)については、それぞれN1=39T、N2=23Tとし、二次巻線N2の1ターン(T)あたりの誘起電圧レベルについては、3V/Tを設定した。コンバータトランスPITの結合係数kについてはk=0.81を設定した。
また、一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスについてはCr=3900pF、二次側直列共振コンデンサC5のキャパシタンスについてはC5=0.1μFを選定した。これに応じて、一次側並列共振回路の一次側並列共振周波数fo1p=230kHz、二次側直列共振回路の二次側直列共振周波数fo2s=82kHzが設定される。この場合、一次側並列共振周波数fo1p、二次側直列共振周波数fo2sの相対的関係としては、fo1p≒2.6×fo2sと表す関係とされている。
二次側直流出力電圧Eoの定格レベルは135Vであり、対応負荷電力は、最大負荷電力Pomaxである200Wから最小負荷電力Pominである0Wである。
図23は、図22に示した電源回路における要部の動作をスイッチング素子Q1のスイッチング周期により示す波形図であり、図23(A)には、最大負荷電力Pomax=200W時における電圧V1、スイッチング電流IQ1、一次巻線電流I21、二次巻線電流I22、二次側整流電流ID1、ID2が示されている。図23(B)には、中間の負荷電力Po=120W時における電圧V1、スイッチング電流IQ1、一次巻線電流I21、二次巻線電流I22が示されている。図23(C)には最小負荷電力Pomin=0W時における電圧V1、スイッチング電流IQ1が示される。
電圧V1は、スイッチング素子Q1の両端に得られる電圧であり、スイッチング素子Q1がオンとなる期間TONにおいて0レベルで、オフとなる期間TOFFにおいて正弦波状の共振パルスとなる波形である。この電圧V1の共振パルス波形が、一次側スイッチングコンバータの動作が電圧共振形であることを示している。
スイッチング電流IQ1は、スイッチング素子Q1に流れる電流であり、期間TONにおいて図示する波形により流れ、期間TOFFにおいて0レベルとなる波形として得られる。一次巻線N1に流れる一次巻線電流I21は、期間TONにおいて上述したスイッチング電流IQ1として流れる電流成分と、期間TOFFにおいて一次側並列共振コンデンサCrに流れる電流とを合成したものとなる。
また、図23(A)おいて示している、二次側整流回路を形成するダイオードDo1,Do2に流れる整流電流ID1,ID2は、それぞれ図示するようにして正弦波状に流れるものとなる。この場合、整流電流ID1の波形のほうが、整流電流ID2よりも、二次側直列共振回路の共振動作が支配的に現れたものとなっている。
二次巻線N2に流れる二次巻線電流I22は、整流電流ID1,ID2が合成された波形として得られる。
図24は、図22に示した電源回路についての、負荷変動に対するスイッチング周波数fs、スイッチング素子Q1のオンの期間TON、オフの期間TOFF、およびAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)を示している。
まず、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)を見てみると、負荷電力Po=50W〜200Wまでの広範囲で90%以上となる高効率が得られていることが分かる。このような特性は、シングルエンド方式による電圧共振形コンバータに、二次側直列共振回路を組み合わせた場合に得られるものであることを、先に本出願の願書に記載の発明者(以下、本願発明者と省略する)は実験で確認している。
また、図24のスイッチング周波数fs、オンの期間TON、オフの期間TOFFによっては、図22に示す電源回路についての負荷変動に対する定電圧制御特性としてのスイッチング動作が示されることになる。この場合、スイッチング周波数fsは、負荷変動に対してほぼ一定となっている。これに対して、オンの期間TON、オフの期間TOFFが図示するようにして相互に逆傾向となるようにしてリニアに変化を示している。このことは、二次側直流出力電圧Eoの変動に対してスイッチング周波数(スイッチング周期)はほぼ一定とされたうえで、オンの期間とオフの期間との時比率を変化させるようにしてスイッチング動作を制御しているということを示す。このような制御は、1周期内のオン/オフの期間を可変する、PWM(Puls Width Modulation)制御であるとみることができる。このPWM制御によって、図22に示す電源回路では、二次側直流出力電圧Eoについての安定化が図られる。
図25は、図22に示す電源回路の定電圧制御特性を、スイッチング周波数fs(kHz)と二次側直流出力電圧Eoとの関係により、模式的に示している。図22に示す電源回路では、一次側並列共振回路と二次側直列共振回路を備えることから、一次側並列共振回路の一次側並列共振周波数fo1pに応じた共振インピーダンス特性と、二次側直列共振回路の二次側直列共振周波数fo2sに応じた共振インピーダンス特性との2つの共振インピーダンス特性を複合的に有することになる。また、図22に示す電源回路では、fo1p≒2.8×fo2sの関係を有しているとされるので、図25にも示しているように、一次側並列共振周波数fo1pに対して二次側直列共振周波数fo2sの方がより周波数が低い関係となる。
そのうえで、或る一定の交流入力電圧VACの条件でのスイッチング周波数fsに対する定電圧制御特性を想定すると、図示するようにして、一次側並列共振回路の一次側並列共振周波数fo1pに応じた共振インピーダンスの下での最大負荷電力Pomax時/最小負荷電力Pomin時の各定電圧制御特性としては、それぞれ特性曲線A,Bとして示され、二次側直列共振回路の二次側直列共振周波数fo2sに応じた共振インピーダンスの下での最大負荷電力Pomax時/最小負荷電力Pomin時の各定電圧制御特性としては、それぞれ特性曲線C,Dで示されるものとなる。そして、この図25に示す特性の下で、二次側直流出力電圧Eoの定格レベルであるtgにより定電圧制御を図ろうとすると、そのために必要なスイッチング周波数fsの可変範囲(必要制御範囲)は、Δfsで示される区間として表すことができる。
図25に示される必要なる周波数の制御範囲である可変範囲Δfsは、二次側直列共振回路の二次側直列共振周波数fo2sに応じた最大負荷電力Pomax時の特性曲線Cから、一次側並列共振回路の一次側並列共振周波数fo1pに応じた最小負荷電力Pomin時の特性曲線Bまでに至るもので、その間に、二次側直列共振回路の二次側直列共振周波数fo2sに応じた最小負荷電力Pomin時の特性曲線Dと、一次側並列共振回路の一次側並列共振周波数fo1pに応じた最大負荷電力Pomax時の特性曲線Aをまたぐ。このために、図22に示す電源回路の定電圧制御動作としては、スイッチング周波数fsはほぼ固定とされたうえで、1スイッチング周期における期間TON/TOFFの時比率を変化させるPWM制御の状態により、スイッチング駆動制御を行うものとなる。なお、このことは、図23(A)、図23(B)、図23(C)に示す最大負荷電力Pomax=200W時、負荷電力Po=100W時、最小負荷電力Pomin=0W時に示される1スイッチング周期(TOFF+TON)の期間長についてはほぼ一定とされたうえで、期間TOFF,期間TONの幅が変化していることによっても示されている。
このような動作は、電源回路における負荷変動に応じた共振インピーダンス特性として、一次側並列共振回路の一次側並列共振周波数fo1pの共振インピーダンス(容量性インピーダンス)が支配的となる状態と、二次側直列共振回路の二次側直列共振周波数fo2s(誘導性インピーダンス)が支配的となる状態との間での遷移が、狭いスイッチング周波数の可変範囲(Δfs)のもとで行われることにより得られるものであるとされる。
ここで、図22に示す電源回路では次のような問題を有している。先に説明した図23の波形図において、図23(A)に示される最大負荷電力Pomax時のスイッチング電流IQ1は、ターンオンタイミングであるオフの期間TOFFの終了時点に至るまでは0レベルで、オンの期間TONに至ると、まず負極性の電流がボディダイオードDDに流れ、この後に反転してスイッチング素子Q1のドレインとソースの間を流れるようにして動作する。この動作は、ZVS(Zero Voltage Switching)が適正に行われている状態を示している。
これに対して、図23(B)に示される、中間負荷に対応するPo=120W時のスイッチング電流IQ1は、ターンオンタイミングのオフの期間TOFFの終了時点に至る以前のタイミングで、スイッチング電流IQ1がノイズ的に流れる動作が得られている。この動作は、ZVSが適正に行われていない異常動作である。つまり、図22に示されるようにして、二次側直列共振回路を備える電圧共振形コンバータでは、中間負荷時においてZVSが適正に実行されない異常動作となることが分かっている。図22の電源回路の実際としては、例えば図24に示す区間RAとしての負荷変動範囲の領域で、このような異常動作となることが確認されている。
二次側直列共振回路を備える電圧共振形コンバータは、先にも説明したように、傾向としては負荷変動に対して高効率が良好に維持できる特性を本来有しているが、図23(B)のスイッチング電流IQ1として示すように、スイッチング素子Q1のターンオン時において相応のピーク電流が流れることになるので、これによるスイッチング損失の増加を招き、電力変換効率の低下要因を抱えることになる。また、いずれにせよ、上述したような異常動作が生じることで、例えば定電圧制御回路系の位相−ゲイン特性にずれが生じることとなって、異常発振状態でのスイッチング動作となる。このために、実用化することは、現実的には困難であるとの認識が現状においては強い。
これを改善するものとして、電圧共振形コンバータと電流共振形コンバータとを組み合わせたコンバータとして、図26に示す、いわゆる、E級スイッチングコンバータの実用化が図られている。図26に示すE級スイッチングコンバータは、スイッチング素子Q1を備える。この場合のスイッチング素子Q1はMOS−FETであることとしている。このMOS−FETとしてのスイッチング素子Q1には、ボディダイオードDDが、ドレインとソースの間に対して並列接続されるようにして形成される。この場合のボディダイオードDDの順方向は、ソースからドレインへの方向に沿ったものとなる。
また、同じくスイッチング素子Q1のドレイン−ソース間に対しては、一次側並列共振コンデンサCrが並列に接続される。スイッチング素子Q1のドレインは、インダクタL10として機能するチョークコイルの直列接続を介して、直流入力電圧Einの正極と接続される。スイッチング素子Q1のソースは、直流入力電圧Einの負極と接続される。
また、スイッチング素子Q1のドレインに対しては、インダクタL11として機能するチョークコイルの一端が接続され、インダクタL11の他端には直列共振コンデンサC11が直列に接続される。直列共振コンデンサC11と直流入力電圧Einの負極との間には、負荷となるインピーダンスZが挿入される。ここでのインピーダンスZの具体例には圧電トランス、高周波対応の蛍光灯などを挙げることができる。
なお、インダクタL10のインダクタンス値は、インダクタL10のインダクタンス値よりも相当大きく設定されるので、このような構成のE級スイッチングコンバータは、インダクタL10と一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスとにより形成される一次側並列共振回路と、インダクタL11と直列共振コンデンサC11とにより形成される一次側直列共振回路とを備える複合共振形コンバータの一形態であるとみることができる。ここで、一次側並列共振回路の共振周波数は、略、インダクタL10のインダクタンスと一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスとにより支配され、一次側直列共振回路振回路の共振周波数は、略、インダクタL11のインダクタンスと直列共振コンデンサC11のキャパシタンスとにより支配される。
図27は、上述した図26に示した構成のE級スイッチングコンバータについての要部の動作を、電圧V1(図26を参照)、電流I11(図26を参照)、電流I12(図26を参照)、電流IQ1(図26を参照)を参照して示している。スイッチング電圧V1は、スイッチング素子Q1の両端に得られる電圧であり、スイッチング素子Q1がオンとなる期間TONにおいて0レベルで、オフとなる期間TOFFにおいて正弦波状のパルスとなる波形である。このスイッチングパルス波形は、上述した並列共振回路の共振動作(電圧共振動作)により得られる。
スイッチング電流IQ1は、スイッチング素子Q1に流れる電流(ボディダイオードDDに流れる電流を含む、以下同様)であり、期間TOFFでは0レベルで、期間TONにおいては、まず開始時点から一定期間において、ボディダイオードDDを流れることで負極性となり、この後に反転して正極性となって、スイッチング素子Q1のドレインからソースに流れる。
また、コンバータトランスに流れる電流I12は、スイッチング素子Q1に流れるスイッチング電流IQ1と、一次側並列共振コンデンサCrに流れる電流と、を合成したものとなり、正弦波成分を含む波形となる。
また、上述したスイッチング電流IQ1とスイッチング電圧V1との関係によっては、スイッチング素子Q1のターンオフタイミングにおいてZVS特性となる動作が得られており、ターンオンタイミングにおいてZVS特性およびZCS(Zero Current Switching)特性の動作が得られていることも示される。
また、直流入力電圧Einの正極端子からインダクタL10を流れるようにしてE級スイッチングコンバータに流入する電流I11は、インダクタL10、インダクタL11の各々のインダクタンスについて、L10のインダクタンスの値>L11のインダクタンスの値となる関係を設定していることで、図示するようにして所定の平均レベルをとる脈流波形となる。このような脈流波形は、近似的な直流としてみることができる。
特開2000−134925号公報
本実施形態のスイッチング電源回路は、直流電力を交流電力に変換後さらに二次側直流電力に変換するスイッチング電源回路であって、直流電力が供給されるチョークコイルと、このチョークコイルからの電力が供給される一次側の一次巻線と、二次側の二次巻線とを有するコンバータトランスと、一次側共振回路を形成する一次側直列共振コンデンサおよび一次側並列共振コンデンサと、一次巻線に交流電力を供給するスイッチング素子と、スイッチング素子をオン・オフ駆動する発振・ドライブ回路と、二次巻線に接続される二次側整流回路によって出力される二次側直流出力電圧の値を所定の値とするような制御信号を前記発振・ドライブ回路に供給する制御回路と、を具備するものである。
そして、一次側に形成される共振回路は、電圧共振回路と、電流共振回路である一次側第1直列共振回路および一次側第2直列共振回路と、を結合した電圧・電流共振形のスイッチング回路(このような回路構成を採用してZVS動作をさせるものを、以下、I級スイッチング回路と称する)を有し、二次側は、全波整流回路、両波整流回路、半波整流回路、倍電圧整流回路、部分電圧共振回路、並列共振回路、直列共振回路等の各種構成を有するものである。
さらに、本願発明者の実験結果から得た知見に基づいて、特に、広範囲に負荷の電力が変化する場合において、良好なるZVS特性を得ることができる各々の共振周波数を、より好ましくは、以下の範囲に定めるものである。すなわち、一次側第1直列共振回路の共振周波数を一次側第2直列共振回路の共振周波数の略2倍とし、一次側並列共振回路の共振周波数を一次側第1直列共振周波数の略1.5倍以上となるように設定するものである。ここで、略2倍とは、中心値である2倍に対して3割程度の広がりを有する範囲を含むものである。この中心値からの広がりの範囲が広くなるほど、ZVS特性を呈する負荷電力の変化の範囲が狭まり、この中心値からの広がりの範囲が狭くなるほど、ZVS特性を呈する負荷電力の変化の範囲が広くなるものである。また、略1.5倍以上とは、同様に、3割程度の広がりを有する範囲を含むものである。この値が大きくなるほど、ZVS特性を呈する負荷電力の変化の範囲が狭まり、この値が小さくなるほど、ZVS特性を呈する負荷電力の変化の範囲が狭くなるものである。しかしながら、この値が、2倍以上大きくなるとZVS特性を呈する領域は広くなるが、ZVS特性が発生することによる効果自体は少なくなるので、3割程度の範囲であることが望ましいものである。
また、本願発明者の別の実験結果から得た知見に基づいて、負荷の電力が比較的に大きな場合において、良好なるZVS特性を得ることができる各々の共振周波数を、より好ましくは、以下の範囲に定めるものである。すなわち、一次側並列共振回路の共振周波数と二次側並列共振回路の共振周波数とを略等しいものとし、一次側第1直列共振回路の共振周波数は一次側第2直列共振回路の共振周波数の共振周波数よりも高いものとし、一次側第1直列共振回路の共振周波数および一次側第2直列共振回路の共振周波数は、一次側並列共振回路の共振周波数および二次側並列共振回路の共振周波数の略1/2倍以下の周波数とするものである。ここで、一次側並列共振回路の共振周波数と二次側並列共振回路の共振周波数とを略等しくとは、両者が相互に2割以内の範囲であることをいうものである。一次側並列共振回路の共振周波数と二次側並列共振回路の共振周波数とが一致する点から離れるほど、ZVS特性を呈する負荷電力の変化の範囲が狭まり、この中心値からの広がりの範囲が狭くなるほど、ZVS特性を呈する負荷電力の変化の範囲が広くなるものである。また、一次側並列共振回路の共振周波数および二次側並列共振回路の共振周波数の略1/2倍以下とは、一次側並列共振回路の共振周波数に対して、1/1.5倍から1/3倍、程度の広がりを有する範囲内であるか、二次側並列共振回路の共振周波数に対しても、1/1.5倍から1/3倍、程度の広がりを有する範囲内であるかの、いずれかの範囲を含むものである。すなわち、1/2倍が好適な点であり、この点からのずれ量が大きくなるほど、ZVS特性を呈する負荷電力の変化の範囲が狭まるものである。
本実施形態のスイッチング電源回路は、このような構成を有することによって、特定の負荷電力となる区間で異常動作となることがなく、装置に用いるチョークコイルのインダクタの大きさも小さくできるスイッチング電源回路を得ることができるものである。以下に、より詳細に具体例を挙げて説明をする。
(第1実施形態)
図1に第1実施形態のスイッチング電源回路を示す。このスイッチング電源回路は、一次側に、インダクタLoとして機能するチョークコイルPCCおよび一次巻線N1に発生する漏れインダクタL1と一次側並列共振コンデンサCrとによって共振周波数が支配される電圧共振タイプの一次側並列共振回路と、インダクタLoと一次側直列共振コンデンサC2によって共振周波数が支配される電流共振タイプの一次側第1直列共振回路および漏れインダクタL1と一次側直列共振コンデンサC2によって共振周波数が支配される電流共振タイプの一次側第2直列共振回路の電流共振回路を有する。また、二次側は、二次巻線N2に二次側部分電圧共振コンデンサC3を接続した部分電圧共振回路を有し、二次側直流出力電圧Eoを得るためのダイオードD1ないしダイオードD4からなる二次側整流素子Doと二次側平滑コンデンサCoとを有する全波ブリッジ整流回路を具備し、全体として、多重共振コンバータを構成する。
そして、一次側第1直列共振回路の共振周波数である一次側第1直列共振周波数を一次側第2直列共振回路の共振周波数である一次側第2直列共振周波数の略2倍の周波数となるように設定する。また、一次側並列共振回路の共振周波数である一次側並列共振周波数を一次側第1直列共振周波数の略1.5倍以上となるように設定する。また、二次側の部分電圧共振回路は、二次側整流素子Doがオンまたはオフと反転した直後の短い時間のみ共振電流が流れるようにする。
図1に示すスイッチング電源回路においては、まず、商用交流電源ACのラインに対して、図示するようにして、コモンモードチョークコイルCMCと、2個のアクロスコンデンサCLが挿入される。これらコモンモードチョークコイルCMC、およびアクロスコンデンサCL,CLにより、商用交流電源ACのラインに重畳するコモンモードのノイズを除去するノイズフィルタが形成される。
商用交流電源ACから供給される交流電力は、4個のダイオードをブリッジ接続とした一次側整流素子Diにより整流され、その整流出力は一次側平滑コンデンサCiに充電される。つまり、一次側整流素子Diおよび一次側平滑コンデンサCiから成る整流平滑回路により商用交流電源を整流平滑化する。これにより一次側平滑コンデンサCiの両端電圧として直流入力電圧Eiが得られる。この直流入力電圧Eiが、後段のスイッチングコンバータのための直流入力電圧となる。
上述した直流入力電圧Eiを直流入力電圧として入力してスイッチング動作を行うスイッチングコンバータは、背景技術に示したE級スイッチングコンバータを変形した、I級スイッチング回路として形成される。この場合のスイッチング素子Q1には高耐圧のMOS−FETが選定されている。また、この場合のI級スイッチング回路の駆動方式は、発振・ドライブ回路2によりスイッチング素子をスイッチング駆動する他励式である。
スイッチング素子Q1のドレインは、コンバータトランスPITの一次巻線N1およびチョークコイルPCCの直列接続を介して一次側平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。スイッチング素子Q1のソースは一次側アースに接続される。スイッチング素子Q1のゲートに対しては、発振・ドライブ回路2から出力されるスイッチング駆動信号が印加されるようになっている。
この場合のスイッチング素子Q1には、MOS−FETが選定されていることから、図示するようにして、ソース−ドレイン間に対して並列に接続されるようにしてボディダイオードDDを内蔵する。このボディダイオードDDとしては、アノードがスイッチング素子Q1のソースと接続され、カソードがスイッチング素子Q1のドレインと接続されて形成されている。このボディダイオードDDは、スイッチング素子Q1のオン/オフ動作(スイッチング動作)により生じる、逆方向のスイッチング電流を流す経路を形成する。
また、スイッチング素子Q1のドレインとソースの間に対しては、一次側並列共振コンデンサCrが並列に接続される。この一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスとコンバータトランスPITの一次巻線N1のリーケージ(漏れ)インダクタL1によるインダクタンスおよびインダクタLoとして機能するチョークコイルPCCによるインダクタンスとによって共振周波数が支配される。すなわち、一次側並列共振コンデンサCrとインダクタL1とインダクタLoとが、一次側並列共振回路(電圧共振回路)を形成する。この一次側並列共振回路が共振動作を行うことによって、スイッチング素子Q1のスイッチング動作として、電圧共振形の動作が得られる。これに応じて、スイッチング素子Q1の両端電圧(ドレインとソース間の電圧)V1としては、そのオフの期間において正弦波状の共振パルス波形が得られる。
また、後述するコンバータトランスPITの一次巻線N1と一次側直列共振コンデンサC2とから成る直列接続回路がスイッチング素子Q1と並列に接続される。この場合には、一次巻線N1の他端をスイッチング素子Q1のドレインと接続し、一次巻線N1の一端を一次側直列共振コンデンサC2の一端と接続し、一次側直列共振コンデンサC2の一次巻線N1と接続されない側の端子は、一次側アース電位にてスイッチング素子Q1のソースと接続される。また、この一次側直列共振コンデンサC2は、一次側平滑コンデンサCiを介してチョークコイルPCCと直列に接続されている。このようにして、一次側第1直列共振回路と一次側第2直列共振回路とが得られる。
発振・ドライブ回路2は、例えば他励式によりスイッチング素子Q1を駆動するために、発振回路と、この発振回路により得られた発振信号に基づいて、MOS−FETをスイッチング駆動するためのゲート電圧であるドライブ信号を生成して、スイッチング素子Q1のゲートに印加するようにされる。これにより、スイッチング素子Q1は、ドライブ信号波形に応じて連続的にオン/オフ動作を行う。つまり、スイッチング動作を行う。
コンバータトランスPITは、一次側と二次側とを直流的に絶縁した状態で、一次側スイッチングコンバータのスイッチング出力を二次側に伝送するもので、このために、一次巻線N1と二次巻線N2が巻装される。
この場合のコンバータトランスPITの構造としては、一例として、フェライト材によるE字形状コアを組み合わせたEE字形コアを備える。そして、一次巻線N1と二次巻線N2とで巻装部位を分割したうえで、EE字形コアの中央磁脚に対して巻装している。また、コンバータトランスPITのEE字形コアの中央磁脚に対してはギャップを形成するようにしており、これによって、一次側と二次側との間で、疎の結合係数kを得るようにしている。疎結合とすることによって、漏れインダクタL1と漏れインダクタL2とを生じさせることができ、さらに、EE字形コアにおいて磁束が飽和し難いようになっている。
コンバータトランスPITの一次巻線N1は、このようにして、漏れインダクタL1を発生させ、I級スイッチング回路における一次側第2直列共振回路および一次側並列共振回路を形成するための要素であり、さらに、一次巻線N1はスイッチング素子Q1のスイッチング出力に応じた交番電圧が印加されて、二次巻線N2と結合して、二次側に電力を伝送する機能を有する。
コンバータトランスPITの二次側では、一次巻線N1により誘起されたEE字形コアにおける磁束に基づき交番電圧が二次巻線N2に発生する。この二次巻線N2に対しては、二次側部分電圧共振コンデンサC3を並列となる接続関係によりに接続している。これにより、二次巻線N2の漏れインダクタL2と二次側部分電圧共振コンデンサC3とによって二次側部分共振回路を形成する。この二次側部分共振回路により、二次側整流素子Doを構成する各々のダイオードDo1ないしダイオードDo4のオンとオフの切り替えの直後に生じる電力損失を低減している。第1実施形態では二次側部分電圧共振コンデンサC3のキャパシタンス(容量)は1000pF(ピコ・ファラッド)とした。
この場合の二次側整流回路は、二次側部分電圧共振コンデンサC3が並列接続された二次巻線N2に対して、4本のダイオードDo1ないしダイオードDo4によって構成された二次側整流素子Doの入力側を接続し、その二次側整流素子Doの出力側には二次側平滑コンデンサCoを接続することで、全整流回路として形成される。これによって二次側平滑コンデンサCoの両端電圧としては、二次巻線N2に励起される交番電圧レベルに対応したレベルによる二次側直流出力電圧Eoが得られることになる。このようにして生成される二次側直流出力電圧Eoは、負荷に供給される。また、分岐して制御回路1に対して検出電圧として出力される。
制御回路1は、入力された二次側直流出力電圧Eoのレベル変化に応じた検出出力を発振・ドライブ回路2に供給する。発振・ドライブ回路2では、入力された制御回路1の検出出力に応じてスイッチング周波数を可変し、また、これに伴って、1スイッチング周期におけるオンの期間TONとオフの期間TOFFの時比率(導通角)を可変するようにして、スイッチング素子Q1を駆動する。この動作が二次側直流出力電圧に対する定電圧制御動作となる。
このようにしてスイッチング素子Q1のスイッチング周波数および導通角が可変制御されることにより、電源回路における一次側、二次側の共振インピーダンス、電力伝送有効期間が変化し、コンバータトランスPITの一次巻線N1から二次巻線N2側に伝送される電力量、また、二次側整流回路から負荷に供給すべき電力量が変化することになる。これにより、二次側直流出力電圧Eoのレベル変動がキャンセルされるようにして、二次側直流出力電圧Eoのレベルを制御する動作が得られることになる。つまり、二次側直流出力電圧Eoの安定化が図られる。
ところで、上述したように、一般的に、一次側に電圧共振形コンバータを備える電源回路は、負荷電力の制御範囲が狭く、また、軽負荷時におけるZVS特性が維持できないために、そのままでは実用化は不可能であると考えられている。
しかしながら、本願発明者は、種々にパラメータを変化させた、多数の実験結果に基づき以下の事実を見出した。すなわち、一次側に一次側第1直列共振回路、一次側第2直列共振回路および一次側並列共振回路を備え、これらの3つの共振回路の周波数を所定の関係、すなわち、一次側並列共振回路の共振周波数を一次側第1直列共振周波数よりも高くして、それに加え、一次側第1直列共振回路の共振周波数を一次側第2直列共振回路の共振周波数よりも高くすることによって広範囲な負荷電力Poの値に対してZVS特性を維持するコンバータ回路が可能となることを見出した。また、一次側第1直列共振回路の共振周波数を一次側第2直列共振回路の共振周波数の略2倍とし、一次側並列共振回路の共振周波数を一次側第1直列共振周波数の略1.5倍以上となるように保つことによって、より広範囲な負荷電力Poの値に対してZVS特性を維持する、より安定したコンバータ回路が可能となることも見出したのである。
従来の図26に示すE級コンバータにおいて必要とされたインダクタL10として機能するチョークコイルと同様のインダクタLoとしてのチョークコイルPCCを、本実施形態のI級スイッチング回路においては用いるが、このような共振周波数の設定においては、このインダクタLoのインダクタンスの値は、インダクタL10のインダクタンスの値よりも必然的に小さくなるものである。具体的には、背景技術に示すE級コンバータでは、このインダクタL10のインダクタンスは、例えば1mH程度とされて、インダクタL11に相当するコンバータトランスPITの一次巻線N1に生じるL1のインダクタンスと比較して、相当に大きなインダクタンスを有するものとされていた。このために、インダクタL10における鉄損、銅損などによる電力損失も相応に大きく、これにより、電源回路全体としての電力変換効率の低下も相応に顕著なものとなっていた。例えば、図26に示すE級コンバータを具体化したスイッチング電源回路のAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)の値は、図22の電源回路との比較では、1%程度低下することが実験により確認されている。また、図26の電源回路では、上述したようにして、インダクタL10について相当に大きいとされるインダクタンスを設定する必要上から、例えば、インダクタL10を構成するためのコアなどについて比較的大型の部品を選定することになる。このことがコストダウンや、回路の小型化などを促進することの妨げの要因になっていた。
この点、本実施形態の要部であるI級スイッチング回路を用いたコンバータの一次側回路は、その共振回路の構成が、従来にはない特殊なものであり、これによって、E級コンバータと略同様に広範囲な領域でのZVS特性とチョークコイルPCCの小型化とを実現している。以下、この点について詳細に説明する。
一次側の共振回路は、一次側並列共振周波数fo1pを有する一次側並列共振回路と、一次側第1直列共振周波数fo11sを有する一次側第1直列共振回路と、一次側第2直列共振周波数fo12sを有する一次側第2直列共振回路との3つの共振回路を有する。
一次側並列共振回路は、インダクタLoとして機能するチョークコイルPCCおよび漏れインダクタL1と、一次側並列共振コンデンサCrとを構成要素として形成されている。また、一次側第1直列共振回路は、インダクタLoと一次側直列共振コンデンサC2とを構成要素として形成されている。一次側第2直列共振回路は、漏れインダクタL1と一次側直列共振コンデンサC2とを構成要素として形成されている。
ここで、一次側並列共振周波数fo1pの周波数は、一次側第1直列共振周波数fo11sの周波数よりも高く、一次側第1直列共振周波数fo11sの周波数は、一次側第2直列共振周波数fo12sの周波数よりも高い関係を有している。ここで、一次側第1直列共振周波数fo11sは、一次側第2直列共振周波数fo12sの略2倍程度であり、このときのインダクタLoとしてのチョークコイルPCCのインダクタンスの値は、背景技術に示したE級コンバータにおけるインダクタンス1mHに対して、68μHと略1/10以下となっている。
本願発明者は、一次側並列共振周波数fo1p、一次側第1直列共振周波数fo11sおよび一次側第2直列共振周波数fo12sの三者の関係を種々なものとして、ZVS特性を呈する領域を調べた。その結果、一次側並列共振周波数fo1pの周波数が一次側第1直列共振周波数fo11sの周波数の略1.5倍以上、一次側第1直列共振周波数fo11sの周波数が一次側第2直列共振周波数fo12sの周波数の略2倍となる場合が最もZVS特性を呈する負荷電力Poの領域が広くなることを見出した。第1実施形態においては、一次側並列共振周波数fo1pの値としては103kHz(キロ・ヘルツ)、一次側第1直列共振周波数fo11sの値としては65.5kHz、一次側第2直列共振周波数fo12sの値としては30kHzとしている。
なお、上述の各々の共振周波数の関係は、最も、ZVS特性を呈する領域が広くなる場合の一例である。したがって、負荷電力Poの領域がより狭い場合には、上述した一次側並列共振周波数fo1pの周波数が一次側第1直列共振周波数fo11sの周波数の略1.5倍以上、または、一次側第1直列共振周波数fo11sの周波数が一次側第2直列共振周波数fo12sの周波数の略2倍の、各々の数値の範囲はより広くても良いものであり、3割程度の範囲で、上述した1.5倍または2倍の各々の値が変化した場合でも良好なる特性を有することができるものである。
また、このようにZVS特性となる領域が拡大した結果、コンバータトランスPITのギャップをさらに小さくすることが可能となり、結合係数kの値を0.8以上とする構成としている。
ここで、一次側共振回路の動作をより詳細に説明する。スイッチング素子Q1がスイッチング動作を行うのに応じて、一次側並列共振回路の電圧共振動作により、スイッチング素子Q1がオフとなる期間において一次側並列共振コンデンサCrに対して充放電電流を流す。この充放電電流により、一次側並列共振コンデンサCrの両端電圧として、略半波の正弦波状の共振パルス電圧が発生する。図1の回路では、一次側並列共振回路は一次側直列共振コンデンサC2を介して一次巻線N1が挿入されていることから、一次巻線N1においては、スイッチング電流に応じて生じる交番電圧に対して、この共振パルス電圧が重畳される動作が生じる。
このとき、一次側平滑コンデンサCiのキャパシタンスおよび一次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスのいずれもが、一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスに較べて遙かに大きく選定されているので、これらは、等価的には短絡と見なせ、インダクタLoとして機能するチョークコイルPCCのインダクタンスと漏れインダクタL1のインダクタンスと一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスの値とによって一次側並列共振周波数fo1pの大体の周波数は決まるものである。すなわち、一次側並列共振周波数fo1pは、インダクタLoのインダクタンスと漏れインダクタL1のインダクタンスと一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスの値とによって支配されるものである。第1実施形態では、一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスとしては5600pF、インダクタLoのインダクタンスの値は68μH(マイクロ・ヘンリ)としている。
また、一次側第1直列共振回路は、スイッチング素子Q1のスイッチング動作に応じて、一次側直列共振コンデンサC2とチョークコイルPCCと一次側平滑コンデンサCiの直列経路を共振電流が流れるようにして共振動作を行う。ここで、一次側平滑コンデンサCiのキャパシタンスは、一次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスに較べて遙かに大きいので、等価的には、一次側平滑コンデンサCiは短絡と見なせ、チョークコイルPCCのインダクタンスと一次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスの値とによって一次側第1直列共振周波数fo11sの大体の周波数は決まるものである。すなわち、一次側第1直列共振周波数fo11sは、インダクタLoのインダクタンスの値と一次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスの値とによって支配されるものである。第1実施形態では、一次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスは0.082μFとしている。
また、一次側第2直列共振回路は、スイッチング素子Q1のオン時において、一次側直列共振コンデンサC2と一次巻線N1とスイッチング素子Q1との直列の経路で共振電流が流れるようにして共振動作を行う。ここで、スイッチング素子Q1のオン時においては、スイッチング素子Q1の導通抵抗の値は極めて小さく、スイッチング素子Q1のオフ時においては、ボディダイオードDDを共振電流が流れ、この場合のボディダイオードDDの導通抵抗の値も極めて小さいものであるので、等価的には、スイッチング素子Q1は短絡と見なせ、漏れインダクタL1のインダクタンスの値と一次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスの値とによって一次側第2直列共振周波数fo12sの大体の周波数は決まるものである。すなわち、一次側第2直列共振周波数fo12sは、漏れインダクタL1のインダクタンスの値と一次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスの値とによって支配されるものである。
図2に本実施形態のスイッチング電源回路に備えられるコンバータトランスPITの構造例を示す。この図に示すように、コンバータトランスPITは、フェライト材によるE字形状コアCR1、E字形状コアCR2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コア(EE字形コア)を備える。そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成される、ボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線N1を巻装する。また、他方の巻装部に対して二次巻線N2を巻装する。このようにして一次巻線N1および二次側巻線が巻装されたボビンBを上述したEE字形コア(CR1、CR2)に取り付けることで、一次巻線N1および二次巻線N2と、がそれぞれ異なる巻装領域により、EE字形コアの中央磁脚に巻装される状態となる。このようにしてコンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。
そのうえで、EE字形コアの中央磁脚に対しては、0.8mm程度のギャップGを形成するようにしており、これによって、一次側と二次側との間で、k=0.82程度の結合係数kを得るようにしている。この程度の結合係数kは疎結合としてみてよい結合度であり、疎結合とすることによって、漏れインダクタL1と漏れインダクタL2とを生じさせることができ、さらに、EE字形コアにおいて磁束が飽和し難いようになされている。第1実施形態においては、コア材として、EER―35を用い、一次巻線N1の巻数を40T(ターン)、二次巻線N2の巻数を33Tに設定した。
チョークコイルPCCについても、所定形状サイズのEE字形コアに対して巻線を施す構造とすることで構成できる
第1実施形態のスイッチング電源回路における対応負荷電力は、最大負荷電力Pomaxとして300W、最小負荷電力Pominとして0W(無負荷)とし、二次側直流出力電圧Eoの定格レベルは175Vとしている。また、交流入力電圧VACとしては100V系統に対応可能なものとしている。
図1に示す第1実施形態の電源回路の実験結果として、図3(A)、図3(B)の波形図を挙げる。この図3(A)では、最大負荷電力Pomax=300W、交流入力電圧VAC=100Vの条件での、スイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、チョークコイル電流Io、一次巻線電流I1、一次側直列共振コンデンサの電圧V2、二次側整流素子電流I2、二次側交番電圧V3の各々を示している。
また、図3(B)では、最小負荷電力Pomin=0W、交流入力電圧VAC=100Vの条件での、スイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、チョークコイル電流Io、一次巻線電流I1、一次側直列共振コンデンサの電圧(両端の電圧)V2、二次側整流素子電流I2、二次側交番電圧V3の各々を示している。
図3(A)に示す波形図についてより詳細に説明を加える。スイッチング電圧V1は、一次側平滑コンデンサCiの直流入力電圧Eiを入力してスイッチング動作を行うスイッチング素子Q1のドレイン−ソース間の電圧である。ここで、スイッチング周期は、スイッチング素子Q1がオンとなるべき期間TONと、オフとなるべき期間TOFFとを1周期とするものであり、スイッチング電圧V1は、期間TONにおいては0レベルで、期間TOFFにおいて共振パルスが得られる波形となる。このスイッチング電圧V1の電圧共振パルスは、一次側並列共振回路の共振動作により、正弦波状の共振波形として得られる。
スイッチング電流IQ1は、スイッチング素子Q1のドレイン側からソース側に、またはボディダイオードDDに、流れる電流である。スイッチング電流IQ1は、期間TOFFにおいては0レベルであり、この期間TOFFが終了して期間TONが開始されてターンオンタイミングに至ると、まず、ボディダイオードDDを流れることで負極性の波形となり、続いて反転してドレインからソースに流れることで正極性による波形となる。
チョークコイル電流Ioは、一次側平滑コンデンサCiからI級スイッチング回路に流入する電流である。チョークコイル電流Ioは、脈流となる。
一次巻線電流I1は、スイッチング素子Q1のスイッチング動作に応じて一次巻線N1に流れる電流であり、スイッチング電流IQ1と一次側並列共振コンデンサCrに流れる電流とを合成して得られる電流波形となる。スイッチング素子Q1がオン/オフ動作を行うことにより、期間TOFFのスイッチング電圧V1である共振パルス電圧が一次側第1直列共振回路および一次側第2直列共振回路に印加される。これにより一次側第1直列共振回路および一次側第2直列共振回路が共振動作を行い、一次巻線電流I1は、正弦波にちかい波形のスイッチング周期に応じた交番波形となる。
一次側直列共振コンデンサの電圧V2は、一次側第1直列共振回路および一次側第2直列共振回路に流れる電流の合成電流によって生じる電圧であり各々の略正弦波の波形が加算された電圧である
二次側整流素子電流I2は、二次側整流素子Doに流れ込む電流であり、電圧極性切り替点における電流が0となっている。これは、部分電圧共振回路による効果である。ここで、二次側部分電圧共振コンデンサC3の値としては、330pFから1000pFの範囲で良好なる効率の改善効果が得られ、部分共振回路を付加することによって、部分共振回がない場合に較べて、後述する電力変換効率(ηAC→DC)としては、0.2%程度向上した。
また、二次側交番電圧V3は、二次巻線N2と二次側部分電圧共振コンデンサC3との接続回路と二次側の接地点の間の電圧である。そして、二次側交番電圧V3は、二次側整流素子Doに入力され、二次側交番電圧V3の半周期の期間ごとに、ダイオードDo1,Do4に対して順方向電圧を印加し、これに応じてダイオードDo1,Do4が導通する。これにより、二次側交番電圧V3は、二次側直流出力電圧Eoとして二次側平滑コンデンサCoにて平滑される。また、二次側交番電圧V3の他の半周期の期間ごとに、ダイオードDo2,Do3に対して順方向電圧を印加し、これに応じてダイオードDo2,Do3が導通する。これにより、二次側交番電圧V3は、二次側直流出力電圧Eoとして二次側平滑コンデンサCoにて平滑される。
図4は、第1実施形態のスイッチング電源回路の交流入力電圧VAC=100Vの入力条件で、最大負荷電力Pomax=300Wから最小負荷電力Pomin=0Wまでの負荷変動に対する、スイッチング周波数fs、スイッチング電源回路の入力から出力までの電力変換効率(ηAC→DC)、期間TONと期間TOFFの各々を示すものである。
この負荷電力変動に対応したスイッチング周波数fsに必要とされる可変範囲Δfsは、Δfs=1.8kHzと極めて狭い範囲で済み、この結果、負荷電力が急激に変化した場合における良好なる過渡応答特性を有している。
ここで、最大負荷電力Pomax=300Wから最小負荷電力Pomin=0Wまでの間でZVS特性を有することが確認されている。また、インダクタLoであるチョークコイルPCCのインダクタンスは68μHと小さいので、チョークコイルPCCにおける損失も少ないものである。さらに、コンバータトランスの結合係数の値は、0.82と従来に較べて大きくされている。これらは、すべて電力変換効率の向上という結果に結びついており、交流入力電圧VAC=100V、最大負荷電力Pomax=300Wの条件下で、92.5%の高効率が得られた。なお、コンバータトランスの結合係数の値として、従来よりも高めの結合係数である0.8から0.85の範囲に設定しても、十分にZVS特性を呈することが確認され、また、電力変換効率としても、十分に高い値を維持することが確かめられている。
このように、I級スイッチング回路を採用する本実施形態によれば、中間負荷時における異常動作を解消して、適正なZVS動作が得られるようにしている。背景技術として図23(B)に示したように、この異常動作の現象としては、ターンオン(期間TON開始)より以前のタイミングでスイッチング素子Q1がオンとなって、正極性のスイッチング電流IQ1がソースとドレイン間を流れる動作となるのであるが、本実施形態のI級スイッチング回路におけるスイッチング電流IQ1の動作によっては、このような電流が流れることはなく、従来のような異常動作は発生しない。このことが、電力変換効率の向上要因の1つとなっているものである。
さらに、本実施の形態では、チョークコイルPCCを有するので、入力側の電流Ioの波形は、より正弦波にちかいものとなっているが、これによる高周波ノイズの低減効果も得られる。そして、この場合のチョークコイルPCCのインダクタンスの値は68μHと小さいものである。そのために、チョークコイルPCCの小型化、ひいては装置の小型化を図ることができ、さらに装置の価格を低減することができる。
また、背景技術と示す図26のスイッチング電源回路との比較においては、図26のスイッチング電源回路の一次側の接続態様によっては、本実施の形態における一次側第2直列共振回路は形成されるが、一次側第1直列共振回路は形成されない。この場合、一次側に流れる直列共振電流は、そのまま一次巻線電流I1として流れることになる。一方、これに対して、本実施の形態では、一次側直列共振回路として一次側第1直列共振回路と一次側第2直列共振回路との二組を備えることで、一次側に流れるべき直列共振電流は、一次巻線N1とチョークコイルPCCとに分流して流れるようにされる。これによって一次巻線電流I1の大きさは低減して効率が向上する。
また、二次側に関しては、二次側整流素子Doがターンオン/ターンオフするタイミングで部分電圧共振動作を行い、二次側整流素子Doに流れようとする電流が、二次側部分電圧共振コンデンサに流れ、ダイオードにおける導通損、スイッチング損失が低減される。
なお、上述した第1実施形態、後述する第2実施形態および第3実施形態のいずれにおいても、一次側には、一次側整流素子Diおよび一次側平滑コンデンサCiを備え、一次側に入力される電力は交流電力として、上述の説明をおこなってきたが、各々の実施形態において、一次側に入力される電力を直流電力とする場合においては、入力される直流電力の極性に応じて一次側整流素子Diの4個のダイオードの中の2個が導通状態となる点以外、本実施形態の各々のスイッチング電源回路の要部の作用および、その奏する効果に特段の差異が生じるものではない。さらに、一次側整流素子Diを設けず、一次側平滑コンデンサCiの値をより小さなものとして、入力電力として直流電力を加える場合においても、交流電力を入力電力とするか直流電力を入力電力とするかの点以外、本実施形態の各々のスイッチング電源回路の要部の作用および、その奏する効果に特段の差異が生じるものではない。
(第1実施形態の変形例について)
上述した第1実施形態の変形例としては種々の態様が可能であるが、代表的な例を以下に示す。まず、図5にI級スイッチング回路の変形例を示す。第1実施形態では、一次側直列共振コンデンサC2を接地したが、図5に示すように、一次側平滑コンデンサCiに接続しても、第1実施形態におけると同様の作用と効果が得られる。すなわち、一次側平滑コンデンサCiのキャパシタンスは、一次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスに較べて極めて大きく、高周波の等価回路では、一次側平滑コンデンサCiは短絡と見なせるので、一次側直列共振コンデンサC2を一次側平滑コンデンサCiによって接地したと同様の効果が得られるからである。
次に、図6に第1実施形態における二次側の変形回路の代表例を示す。二次側巻線および二次側整流平滑回路は、上述の態様に限らず、図6(A)に示す両波整流回路としても、上述の実施の形態と同様な効果が得られる。また、図6(B)に示す倍電圧整流回路としても上述の実施の形態と同様な効果が得られる。これらの場合には、部分電圧共振コンデンサを有しないので、電力変換効率としては、部分電圧共振回路を有する場合に較べて略0.2%程度の効率の低下が生じる。
(第2実施形態)
図7に第2実施形態のスイッチング電源回路を示す。このスイッチング電源回路における、上述した第1実施形態のスイッチング電源回路と同一の構成部品には同一の符号を付して、説明の詳細については省略する。第2実施形態のスイッチング電源回路の第1実施形態のスイッチング電源回路との異なる点は、第1実施形態のスイッチング電源回路が二次側に共振回路を有さないか、部分電圧共振回路を具備しているのに対して、第2実施形態のスイッチング電源回路は、部分電圧共振コンデンサのキャパシタンスの値よりもキャパシタンスの値が大なる二次側並列共振コンデンサを有する二次側並列共振回路を備える点である。
このスイッチング電源回路は、一次側に、チョークコイルPCCのインダクタンスおよび一次巻線N1に発生する漏れインダクタL1と一次側並列共振コンデンサCrとによって共振周波数が支配される一次側並列共振回路と、インダクタLoと一次側直列共振コンデンサC2によって共振周波数が支配される一次側第1直列共振回路および漏れインダクタL1と一次側直列共振コンデンサC2によって共振周波数が支配される一次側第2直列共振回路の二組の電流共振回路を有する。また、二次側は、二次巻線N2に二次側並列共振コンデンサC4を接続した二次側並列共振回路を有し、二次側直流出力電圧Eoを得るためのダイオードD1ないしダイオードD4からなる二次側整流素子Doと二次側平滑コンデンサCoとを有する全波ブリッジ整流回路を具備し、全体として、多重共振コンバータを構成する。
そして、一次側第1直列共振回路の共振周波数である一次側第1直列共振周波数を一次側第2直列共振回路の共振周波数である一次側第2直列共振周波数の略2倍の周波数となるように設定する。また、一次側並列共振回路の共振周波数である一次側並列共振周波数を一次側第1直列共振周波数の略1.5倍以上となるように設定する。また、二次側の二次側並列共振回路には、共振電流が流れるようにする。
図7に示す第2実施形態のスイッチング電源回路の仕様、各部の具体的な定数の主要なるものを以下に示す。第2実施形態のスイッチング電源回路の負荷電力は、最大の負荷電力Pomax=300Wで、最小の負荷電力Pomin=0Wである。この範囲で、ZVS特性を維持している。また、交流入力電圧VACの値は100V、二次側直流出力電圧Eoの値は175Vである。
チョークコイルPCCのインダクタンスの値は68μHとし、コンバータトランスPITのコアの材料はEER―35、コアのギャップGは0.8mm、一次巻線N1は40T、二次巻線N2は33T、コンバータトランスの結合係数は0.82、一次側並列共振回路の一次側並列共振コンデンサCrの値は5600pF、一次側直列共振コンデンサC2の値は0.1μF、二次側並列共振コンデンサC4の値は0.015μFとしている。このような諸定数を有する第2実施形態においては、一次側並列共振周波数fo1pの値としては119kHz、一次側第1直列共振周波数fo11sの値としては59kHz、一次側第2直列共振周波数fo12sの値としては33kHz、二次側並列共振周波数fo2pの値としては、一次側並列共振周波数と略等しい値の115kHzとしている。
図7に示す第2実施形態の電源回路の実験結果として、図8(A)、図8(B)の波形図を挙げる。この図8(A)では、最大負荷電力Pomax=300W、交流入力電圧VAC=100Vの条件での、スイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、チョークコイル電流Io、一次巻線電流I1、一次側直列共振コンデンサの電圧V2、二次巻線電流I4、二次側交番電圧V3の各々を示している。
また、図8(B)では、最小負荷電力Pomin=0W、交流入力電圧VAC=100Vの条件での、スイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、チョークコイル電流Io、一次巻線電流I1、一次側直列共振コンデンサの電圧(両端の電圧)V2、二次巻線電流I4、二次側交番電圧V3の各々を示している。
図8(A)、図8(B)に示す波形の特徴点は、例えば、二次巻線電流I4は二次側並列共振回路の作用によって、正弦波にちかい電流が流れ、二次側交番電圧V3も、立ち上がり、立ち下がり特性がなだらかになって、二次側回路におけるスイッチング損失を低減している。
図9は、第2実施形態のスイッチング電源回路の交流入力電圧VAC=100Vの入力条件で、最大負荷電力Pomax=300Wから最小負荷電力Pomin=0Wまでの負荷変動に対する、スイッチング周波数fs、スイッチング電源回路の入力から出力までの電力変換効率(ηAC→DC)、期間TONと期間TOFFの各々を示すものである。
スイッチング周波数fsの可変範囲Δfsは、Δfs=33kHzとなっている。この、可変範囲Δfsについては、実験結果によれば、ギャップGの値に関係することが分かっており、例えば、ギャップGの値を1.6mmに拡大して、可変範囲Δfs=10kHz程度と狭くすることができることが確かめられている。
また、最大負荷電力Pomax=300Wから最小負荷電力Pomin=0Wまでの間でZVS特性を有することが確認されている。また、チョークコイルPCCのインダクタンスは68μHと小さいので、チョークコイルPCCにおける損失も少ないものである。さらに、コンバータトランスの結合係数の値は、0.82と従来に較べて大きくされている。これらは、すべて電力変換効率の向上という結果に結びついており、交流入力電圧VAC=100V、最大負荷電力Pomax=300Wの条件下で、91.6%の高効率が得られた。なお、コンバータトランスの結合係数の値として、従来よりも高めの0.8から0.85の範囲に設定しても、十分にZVS特性を呈することが確認されている。
このように、I級スイッチング回路と二次側並列共振回路とを採用する本実施形態によれば、第1実施形態と同様な作用効果を有するI級スイッチング回路を採用して、中間負荷時における異常動作を解消して、適正なZVS動作が得られるようにしている。また、二次側に関しては、二次側並列共振回路を採用して、ダイオードにおける導通損、スイッチング損失が低減される。
(第2実施形態の変形例について)
上述した第2実施形態の変形例としては種々の態様が可能であるが、代表的な例を以下に示す。まず、図10にI級スイッチング回路の変形例を示す。第2実施形態では、一次側直列共振コンデンサC2を接地したが、図10に示すように、一次側平滑コンデンサCiに接続しても、第1実施形態におけると同様の作用と効果が得られる。すなわち、一次側平滑コンデンサCiのキャパシタンスは、一次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスに較べて極めて大きく、高周波の等価回路では、一次側平滑コンデンサCiは短絡と見なせるので、一次側直列共振コンデンサC2を一次側平滑コンデンサCiによって接地したと同様の効果が得られるからである。
次に、図11に第2実施形態における二次側の変形回路の代表例を示す。二次側巻線および二次側整流平滑回路は、上述の態様に限らず、図6(A)に示すように、二次側並列共振コンデンサC4を有する両波整流回路としても、第2実施形態と同様な効果が得られる。また、図10(B)に示すように、二次側並列共振コンデンサC4を有する倍電圧整流回路としても第2実施形態と同様な効果が得られる。さらに、図10(C)に示すように、二次側並列共振コンデンサC4を有する半波整流回路としても、I級スイッチング回路については第2実施形態におけると同様な効果が得られる。
(第3実施形態)
図12に第3実施形態のスイッチング電源回路を示す。このスイッチング電源回路における、上述した第1実施形態のスイッチング電源回路または第2実施形態のスイッチング電源回路と同一の構成部品には同一の符号を付して、説明の詳細については省略する。第3実施形態のスイッチング電源回路の第1実施形態のスイッチング電源回路または第2実施形態のスイッチング電源回路との異なる点は、第1実施形態のスイッチング電源回路が二次側に共振回路を有さないか、部分電圧共振回路を有しており、第2実施形態においては、二次側に並列共振回路を有しているのに対して、第3実施形態のスイッチング電源回路は、二次側直列共振コンデンサを有する二次側直列共振回路を備える点である。
このスイッチング電源回路は、一次側に、インダクタLoであるチョークコイルPCCおよび一次巻線N1に発生する漏れインダクタL1と一次側並列共振コンデンサCrとによって共振周波数が支配される一次側並列共振回路と、インダクタLoと一次側直列共振コンデンサC2によって共振周波数が支配される一次側第1直列共振回路および漏れインダクタL1と一次側直列共振コンデンサC2によって共振周波数が支配される一次側第2直列共振回路の二組の電流共振回路を有する。また、二次側は、二次巻線N2に二次側直列共振コンデンサC5を接続した二次側直列共振回路を有し、二次側直流出力電圧Eoを得るためのダイオードD1ないしダイオードD4からなる二次側整流素子Doと二次側平滑コンデンサCoとを有する全波ブリッジ整流回路を具備し、全体として、多重共振コンバータを構成する。
そして、一次側第1直列共振回路の共振周波数である一次側第1直列共振周波数を一次側第2直列共振回路の共振周波数である一次側第2直列共振周波数の略2倍の周波数となるように設定する。また、一次側並列共振回路の共振周波数である一次側直列共振周波数を一次側第1直列共振周波数の略1.5倍以上となるように設定する。また、二次側の二次側直列共振回路には、共振電流が流れるようにする。
図12に示す第3実施形態のスイッチング電源回路の仕様、各部の具体的な定数の主要なるものを以下に示す。第3実施形態のスイッチング電源回路の負荷電力は、最大の負荷電力Pomax=300Wで、最小の負荷電力Pomin=0Wである。この範囲で、ZVS特性を維持している。また、交流入力電圧VACの値は100V、二次側直流出力電圧Eoの値は175Vである。
チョークコイルPCCのインダクタンスの値は68μHとし、コンバータトランスPITのコアの材料はEER―35、コアのギャップGは0.8mm、一次巻線N1は40T、二次巻線N2は33T、コンバータトランスの結合係数は0.82、一次側並列共振回路の一次側並列共振コンデンサCrの値は4700pF、一次側直列共振コンデンサC2の値は0.1μF、二次側直列共振コンデンサC5の値は0.15μFとしている。このような諸定数を有する第2実施形態においては、一次側並列共振周波数fo1pの値としては113kHz、一次側第1直列共振周波数fo11sの値としては59kHz、一次側第2直列共振周波数fo12sの値としては27kHz、二次側直列共振周波数fo2sの値としては、一次側第2直列共振周波数fo12sの値と略等しい値の27kHzとしている。
図12に示す第3実施形態の電源回路の実験結果として、図13(A)、図13(B)の波形図を挙げる。この図13(A)では、最大負荷電力Pomax=300W、交流入力電圧VAC=100Vの条件での、スイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、チョークコイル電流Io、一次巻線電流I1、一次側直列共振コンデンサの電圧V2、二次巻線電流I4、二次側交番電圧V3の各々を示している。
また、図13(B)では、最小負荷電力Pomin=0W、交流入力電圧VAC=100Vの条件での、スイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、チョークコイル電流Io、一次巻線電流I1、一次側直列共振コンデンサの電圧(両端の電圧)V2、二次巻線電流I4、二次側交番電圧V3の各々を示している。
図14は、第3実施形態のスイッチング電源回路の交流入力電圧VAC=100Vの入力条件で、最大負荷電力Pomax=300Wから最小負荷電力Pomin=0Wまでの負荷変動に対する、スイッチング周波数fs、スイッチング電源回路の入力から出力までの電力変換効率(ηAC→DC)、期間TONと期間TOFFの各々を示すものである。
スイッチング周波数fsの可変範囲Δfsは、Δfs=8.1kHzとなっている。このように、可変範囲Δfsが狭い範囲となっている結果、負荷電力が急激に変化した場合における良好なる過渡応答特性を有している。
また、最大負荷電力Pomax=300Wから最小負荷電力Pomin=0Wまでの間でZVS特性を有することが確認されている。また、チョークコイルPCCのインダクタンスは68μHと小さいので、チョークコイルPCCにおける損失も少ないものである。さらに、コンバータトランスの結合係数の値は、0.82と従来に較べて大きくされている。これらは、すべて電力変換効率の向上という結果に結びついており、交流入力電圧VAC=100V、最大負荷電力Pomax=300Wの条件下で、93.1%の高効率が得られた。なお、コンバータトランスの結合係数の値として、従来よりも高めの0.8から0.85の範囲に設定しても、十分にZVS特性を呈することが確認されている。
このように、I級スイッチング回路と二次側直列共振回路とを採用する本実施形態によれば、第1実施形態と同様な作用効果のI級スイッチング回路を採用して、中間負荷時における異常動作を解消して、適正なZVS動作が得られるようにしている。また、二次側に関しては、二次側直列共振回路を採用しているので、図1(A)の二次巻線電流I4と二次側交番電圧V3との関係から見られるようにダイオードDo1ないしダイオードDo4はZCS特性を有しており、ダイオードDo1ないしダイオードDo4における導通損、スイッチング損失が低減される。
(第3実施形態の変形例について)
上述した第3実施形態の変形例としては種々の態様が可能であるが、代表的な例を以下に示す。まず、図15にI級スイッチング回路の変形例を示す。第3実施形態では、一次側直列共振コンデンサC2を接地したが、図15に示すように、一次側平滑コンデンサCiに接続しても、第1実施形態におけると同様の作用と効果が得られる。すなわち、一次側平滑コンデンサCiのキャパシタンスは、一次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスに較べて極めて大きく、高周波の等価回路では、一次側平滑コンデンサCiは短絡と見なせるので、一次側直列共振コンデンサC2を一次側平滑コンデンサCiによって接地したと同様の効果が得られるからである。また、図15に示すように二次側に二次側部分電圧共振コンデンサC3をさらに有するものとして、二次側部分電圧共振回路を備えることによって、さらに、電力変換効率(ηAC→DC)として、0.2%改善することができる。
次に、図16に第3実施形態における二次側の変形回路の代表例を示す。二次側巻線および二次側整流平滑回路は、上述の態様に限らず、図16(A)に示すように、二次側直列共振コンデンサC5Aおよび二次側直列共振コンデンサC5Bを有する両波整流回路としても、I級スイッチング回路の動作としては、第3実施形態と同様な効果が得られる。また、図16(B)に示すように、二次側直列共振コンデンサC5を有する倍電圧整流回路としても第3実施形態と同様な効果が得られる。
(第4実施形態)
図17に第4実施形態のスイッチング電源回路を示す。このスイッチング電源回路における、上述した第1実施形態のスイッチング電源回路と同一の構成部品には同一の符号を付して、説明の詳細については省略する。第4実施形態のスイッチング電源回路と第1実施形態のスイッチング電源回路との異なる点は、第1実施形態のスイッチング電源回路で設定した、一次側並列共振回路の共振周波数と、二次側並列共振回路の共振周波数と、一次側第1直列共振回路の共振周波数と、一次側第2直列共振回路の共振周波数との相互の関係が第1実施形態とは異なる点である。第4実施形態では、一次側並列共振回路の共振周波数と二次側並列共振回路の共振周波数とが略等しいものとされ、一次側第1直列共振回路の共振周波数は一次側第2直列共振回路の共振周波数の共振周波数よりも高いものとされ、一次側並列共振回路の共振周波数および二次側並列共振回路の共振周波数のいずれもが、一次側第1直列共振回路の共振周波数および一次側第2直列共振回路の共振周波数のいずれもの2倍以上となるように設定されるものである。すなわち、一次側第1直列共振回路の共振周波数および一次側第2直列共振回路の共振周波数が、一次側並列共振回路の共振周波数および二次側並列共振回路の共振周波数の略1/2倍以下の周波数に設定されるものである。ここで、第4実施形態においては、二次側の共振回路は並列共振回路として作用するが、第1実施形態においては、二次側の共振回路は部分電圧共振回路として作用するという違いがある。
図17に示すスイッチング電源回路の各々の構成部品の構成、スイッチング電源回路の作用については、第1実施形態におけると異なる部分のみについて説明をし、それ以外については説明を省略し、各々の共振周波数の相互の関係に関する部分を中心として説明をする。
このスイッチング電源回路では、インダクタLoであるチョークコイルPCCおよび一次巻線N1に発生する漏れインダクタL1と一次側並列共振コンデンサCrとによって共振周波数が支配される電圧共振タイプの一次側並列共振回路と、2次巻線N2に生じる漏れインダクタL2と二次巻線N2に並列に接続される二次側並列共振コンデンサC4とによって共振周波数が支配される電圧共振タイプの二次側並列共振回路とを有し、一次側並列共振回路の一次側並列共振周波数fo1pと二次側並列共振回路の二次側並列共振周波数fo2pとは略等しく設定されている。また、インダクタLoと一次側直列共振コンデンサC2によって共振周波数が支配される電流共振タイプの一次側第1直列共振回路の一次側第1直列共振周波数fo11sは、インダクタL1と一次側直列共振コンデンサC2によって共振周波数が支配される電流共振タイプの一次側第2直列共振回路の一次側第2直列共振周波数fo12sよりも高く設定され、一次側第1直列共振回路の一次側第1直列共振周波数fo11sおよび一次側第2直列共振回路の一次側第2直列共振周波数fo12sのいずれもが、一次側並列共振回路の一次側並列共振周波数fo1pおよび二次側並列共振回路の二次側並列共振周波数fo2pのいずれもの略1/2倍以下となるように設定される。
図17に示す第4実施形態のスイッチング電源回路の仕様、各部の具体的な定数の主要なるものを以下に示す。第4実施形態のスイッチング電源回路の負荷電力は、最大の負荷電力Pomax=300Wで、最小の負荷電力Pomin=0Wである。この範囲で、ZVS特性を維持している。また、交流入力電圧VACの値は100V(対応可能な電圧範囲は90V〜144V)、二次側直流出力電圧Eoの値は175Vである。
チョークコイルPCCの材料はEER―25、インダクタLoのインダクタンスの値は350μHとし、コンバータトランスPITのコアの材料はEER―40、コアのギャップGは1.4mm、一次巻線N1は60T、二次巻線N2は45T、コンバータトランスの結合係数は0.70、一次側並列共振回路の一次側並列共振コンデンサCrの値は6800pF、一次側直列共振コンデンサC2の値は0.056μF、二次側並列共振コンデンサC4の値は0.015μFとしている。このような諸定数を有する第4実施形態においては、一次側並列共振周波数fo1pの値としては68.8kHz、一次側第1直列共振周波数fo11sの値としては34kHz、一次側第2直列共振周波数fo12sの値としては28kHz、二次側並列共振周波数fo2pの値としては、一次側並列共振周波数fo1pの値と略等しい値の70.5kHzとしている。スイッチング素子Q1は10A/900VのMOS−FETである。
図17に示す第4実施形態の電源回路の実験結果として、図18(A)、図18(B)の波形図を挙げる。この図18(A)では、最大負荷電力Pomax=300W、交流入力電圧VAC=100Vの条件での、スイッチング電圧V1(図17を参照)、スイッチング電流IQ1(図17を参照)、チョークコイル電流Io、一次巻線電流I1(図17を参照)、一次側直列共振コンデンサの電圧V2(図17を参照)、二次側交番電圧V3(図17を参照)、二次巻線電流I4(図17を参照)、ダイオードに流れる電流I5(図17を参照)の各々を示している。
また、図18(B)では、最小負荷電力Pomin=0W、交流入力電圧VAC=100Vの条件での、スイッチング電圧V1、スイッチング電流IQ1、チョークコイル電流Io、一次巻線電流I1、一次側直列共振コンデンサの電圧V2、二次側交番電圧V3、二次巻線電流I4、ダイオードに流れる電流I5の各々を示している。
図19は、第4実施形態のスイッチング電源回路の交流入力電圧VAC=100Vの入力条件で、最大負荷電力Pomax=300Wから最小負荷電力Pomin=0Wまでの負荷変動に対する、スイッチング周波数fs、スイッチング電源回路の入力から出力までの電力変換効率(ηAC→DC)、期間TONと期間TOFFの各々を示すものである。
また、最大負荷電力Pomax=300Wから最小負荷電力Pomin=0Wまでの間でZVS特性を有することが確認されている。交流入力電圧VAC=100V、最大負荷電力Pomax=300Wの条件下で、91.4%の高効率が得られた。また、負荷電力として300Wから75Wの範囲で90%以上を得ている。
このように、I級スイッチング回路と二次側直列共振回路とを採用する本実施形態によれば、第1実施形態と同様な作用および効果を有するI級スイッチング回路を採用して、適正なZVS動作が得られるようにしている。また、二次側に関しては、I級スイッチング回路を採用して、2次側のダイオードの電流I5のアンバランスが低減する。また、スイッチング周波数fsに必要とされる可変範囲は周波数71kHzから周波数130kHzの範囲である。このように、第4実施形態のスイッチング電源回路では、200W以上の負荷電力の領域においても、良好なるZVS特性を有する定電圧電源回路を得ることができる。
この多重共振コンバータのスイッチング素子として、MOS―FETに替えて、1800V程度の耐電圧特性を有するIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を用いることによって、1石構成によって、交流入力電圧VACの値として100V系から230V系まで、広範囲に対応できる、所謂、ワイドレンジ化ができるものである。
また、I級スイッチング電源回路の特徴として、E級スイッチング電源回路と同様に、一次側平滑コンデンサから流入する電流は直流に近い脈流であり、一次側平滑コンデンサに生じるリップル電圧の大きさは小さいものとなる。それに加えてI級スイッチング電源回路では、チョークコイルのインダクタンスの値は、E級スイッチング電源回路におけるチョークコイルのインダクタンスの値に較べ、約1/2とでき、これによって、装置の小型化および軽量化ができる。
(第4実施形態の変形例について)
上述した第4実施形態の変形例としては種々の態様が可能であるが、代表的な例として2次側の変形例を以下に示す。図20に示すスイッチング電源回路は、2次側として両波整流回路を用いるものである。2次側の巻線はセンタータップで分離された2次巻線N2と2次巻線N2’との2つの巻線を有して構成され、2次側並列共振コンデンサC4は2次側巻線の両端に接続されている。図21に示すスイッチング電源回路は、2次側として半波整流回路を用いるものである。
本発明としては、上述した各実施の形態として示した構成に限定されるものではない。例えば、メインスイッチング素子(および補助スイッチング素子)については、例えばIGBT、バイポーラトランジスタなど、MOS−FET以外の素子を選定することも考えられる。また、上述した各実施の形態では、他励式のスイッチングコンバータを挙げているが、自励式として構成した場合にも本発明は適用できる。
1 制御回路、2 発振・ドライブ回路、C2 一次側直列共振コンデンサ、C3 二次側部分電圧共振コンデンサ、C4 二次側並列共振コンデンサ、C5 二次側直列共振コンデンサ、C5A 二次側直列共振コンデンサ、C5B 二次側直列共振コンデンサ、Ci 一次側平滑コンデンサ、Co 二次側平滑コンデンサ、Di 一次側整流素子、Do 二次側整流素子、Cr 一次側並列共振コンデンサ、Lo インダクタ、L1、L2 漏れインダクタ、N1 一次巻線、N2、N2’ 二次巻線、C11 一次側直列共振コンデンサ、Do1、Do2、Do3、Do4、 ダイオード、 Q1 スイッチング素子、PIT コンバータトランス、PCC チョークコイル