JP2006304391A - スイッチング電源回路 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一次側スイッチングコンバータをE級共振形として構成し、このE級共振形コンバータの一次側直列共振回路のチョークコイルを絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1とするスイッチング電源回路を構成する。絶縁コンバータトランスPIT自体の結合係数と、チョークコイルL10と一次巻線N1との等価的並列接続により、一次側の二次側との総合結合係数については0.65程度を設定する。また、二次側には二次側直列共振回路を形成する。
【選択図】図1
Description
しかし、現在、例えば高耐圧スイッチング素子の特性が改善されてきている状況にあり、電圧共振形コンバータを実用化するにあたっての耐圧の問題はクリアされてきている状況にある。また、1石のスイッチング素子によるシングルエンド方式で構成した電圧共振形コンバータについては、1石の電流共振形フォワードコンバータと比較して、入力帰還ノイズや直流出力電圧ラインのノイズ成分などの点で有利であることも知られている。
なお、商用交流電源ACのラインに対しては、1組のコモンモードチョークコイルCMCと、2本のアクロスコンデンサCLから成り、コモンモードのノイズを除去するノイズフィルタが設けられている。
絶縁コンバータトランスPITの構造としては、例えば、フェライト材によるE型コアを組み合わせたEE型コアを備える。そして、一次側と二次側とで巻装部位を分割したうえで、一次巻線N1と、二次巻線N2を、EE型コアの中央磁脚に対して巻装している。
そのうえで、絶縁コンバータトランスPITのEE型コアの中央磁脚に対しては1.0mm程度のギャップを形成するようにしており、これによって、一次側と二次側との間で、k=0.80〜0.85程度の結合係数kを得るようにしている。この程度の結合係数kは疎結合としてみてよい結合度であり、その分、飽和状態が得られにくくなる。また、この結合係数kの値が、リーケージインダクタンス(L1)の設定要素となる。
そのうえで、この二次側直列共振回路に対して、図示するようにして整流ダイオードDo1,Do2、及び平滑コンデンサCoを接続することで、倍電圧半波整流回路を形成している。この倍電圧半波整流回路は、二次巻線N2に誘起される交番電圧V2の2倍に対応するレベルの二次側直流出力電圧Eoを、平滑コンデンサCoの両端電圧として生成する。二次側直流出力電圧Eoは負荷に供給されると共に、定電圧制御用の検出電圧として、制御回路1に入力される。
発振・ドライブ回路2は、入力される検出出力が示す二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じて、二次側直流出力電圧Eoが所定のレベルで一定となるようにして、スイッチング素子Q1のスイッチング動作を制御する。つまり、制御すべきスイッチング動作を得るためのドライブ信号を生成して出力する。これにより、二次側直流出力電圧Eoの安定化制御が行われる。
絶縁コンバータトランスPITは、コアにEER-35を選定し、中央磁脚のギャップについては、1mmのギャップ長を設定する。また、一次巻線N1及び二次巻線N2のターン数T(巻数)については、それぞれN1=39T、N2=23Tとし、二次巻線N2の1ターン(T)あたりの誘起電圧レベルについては、3V/Tを設定した。絶縁コンバータトランスPITの結合係数kについてはk=0.81を設定した。
また、一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスについてはCr=3900pF、二次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスについてはC2=0.1μFを選定した。これに応じて、一次側並列共振回路の共振周波数fo1=230kHz、二次側直列共振回路の共振周波数fo2=82kHzが設定される。この場合、共振周波数fo1,fo2の相対的関係としては、fo1≒2.8×fo2と表すことができる。
二次側直流出力電圧Eoの定格レベルは135Vであり、対応負荷電力は、最大負荷電力Pomax=200W〜最小負荷電力Pomin=0Wである。
電圧V1は、スイッチング素子Q1の両端に得られる電圧であり、スイッチング素子Q1がオンとなる期間TONにおいて0レベルで、オフとなる期間TOFFにおいて正弦波状の共振パルスとなる波形である。この電圧V1の共振パルス波形が、一次側スイッチングコンバータの動作が電圧共振形であることを示している。
一次巻線N1に流れる一次巻線電流I1は、期間TONにおいて上記スイッチング電流IQ1として流れる電流成分と、期間TOFFにおいて一次側並列共振コンデンサCrに流れる電流とを合成したものとなる。
二次巻線N2に流れる二次巻線電流I2は、整流電流ID1,ID2が合成された波形として得られる。
先ず、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)を見てみると、負荷電力Po=50W〜200Wまでの広範囲で90%以上となる高効率が得られていることが分かる。このような特性は、シングルエンド方式による電圧共振形コンバータに、二次側直列共振回路を組み合わせた場合に得られるものであることを、先に本出願の発明者は実験で確認している。
図12に示す電源回路では、一次側並列共振回路と二次側直列共振回路を備えることから、一次側並列共振回路の共振周波数fo1に応じた共振インピーダンス特性と、二次側直列共振回路の共振周波数fo2に応じた共振インピーダンス特性との2つの共振インピーダンス特性を複合的に有することになる。また、図12に示す電源回路では、fo1≒2.8×fo2の関係を有しているとされるので、図15にも示しているように、一次側並列共振周波数fo1に対して二次側直列共振周波数fo2が低い関係となる。
そのうえで、或る一定の交流入力電圧VACの条件でのスイッチング周波数fsに対する定電圧制御特性を想定すると、図示するようにして、一次側並列共振回路の共振周波数fo1に応じた共振インピーダンスの下での最大負荷電力Pomax時/最小負荷電力Pomin時の各定電圧制御特性としては、それぞれ特性曲線A,Bとして示され、二次側直列共振回路の共振周波数fo2に応じた共振インピーダンスの下での最大負荷電力Pomax時/最小負荷電力Pomin時の各定電圧制御特性としては、それぞれ特性曲線C,Dで示されるものとなる。そして、この図15に示す特性の下で、二次側直流出力電圧Eoの定格レベルであるtgにより定電圧制御を図ろうとすると、そのために必要なスイッチング周波数fsの可変範囲(必要制御範囲)は、Δfsで示される区間として表すことができる。
このために、図12に示す電源回路の定電圧制御動作としては、スイッチング周波数fsはほぼ固定とされたうえで、1スイッチング周期における期間TON/TOFFの時比率を変化させるPWM制御の状態により、スイッチング駆動制御を行うものとなる。なお、このことは、図13(a)(b)(c)に示す最大負荷電力Pomax=200W時、負荷電力Po=100W時、最小負荷電力Pomin=0W時に示される1スイッチング周期(TOFF+TON)の期間長についてはほぼ一定とされたうえで、期間TOFF,TONの幅が変化していることによっても示されている。
このような動作は、電源回路における負荷変動に応じた共振インピーダンス特性として、一次側並列共振回路の共振周波数fo1の共振インピーダンス(容量性インピーダンス)が支配的となる状態と、二次側直列共振回路の共振周波数fo2(誘導性インピーダンス)が支配的となる状態との間での遷移が、狭いスイッチング周波数の可変範囲(Δfs)のもとで行われることにより得られるものであるとされる。
先に説明した図13の波形図において、図13(a)に示される最大負荷電力Pomax時のスイッチング電流IQ1は、ターンオンタイミングであるオフ期間TOFFの終了時点に至るまでは0レベルで、オン期間TONに至ると、先ず負極性の電流がボディダイオードDDに流れ、この後に反転してスイッチング素子Q1のドレイン−ソースを流れるようにして動作する。この動作は、ZVS(Zero Voltage Switching)が適正に行われている状態を示している。
これに対して、図13(b)に示される、中間負荷に対応するPo=120W時のスイッチング電流IQ1は、ターンオンタイミングのオフ期間TOFFの終了時点に至る以前のタイミングで、スイッチング電流IQ1がノイズ的に流れる動作が得られている。この動作は、ZVSが適正に行われていない異常動作である。
二次側直列共振回路を備える電圧共振形コンバータは、先にも説明したように、傾向としては負荷変動に対して高効率が良好に維持できる特性を本来有しているが、図13(b)のスイッチング電流IQ1として示すように、スイッチング素子Q1のターンオン時において相応のピーク電流が流れることになるので、これによるスイッチング損失の増加を招き、電力変換効率の低下要因を抱えることになる。
また、いずれにせよ、上記のような異常動作が生じることで、例えば定電圧制御回路系の位相−ゲイン特性にずれが生じることとなって、異常発振状態でのスイッチング動作となる。このために、実用化することは、現実的には困難であるとの認識が現状においては強い。
つまり、
少なくとも整流素子と平滑コンデンサを備えて形成され、商用交流電源を入力して整流平滑化することで、上記平滑コンデンサの両端電圧として整流平滑電圧を生成する整流平滑回路と、整流平滑電圧を直流電圧として入力してスイッチングを行うスイッチング素子と、スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段とを備える。
また、整流平滑電圧がスイッチング素子に入力される経路に対して直列に挿入される第1のインダクタと、スイッチング素子に対して並列となる関係により接続され、少なくとも第1のインダクタのインダクタンスと自身のキャパシタンスとによって、所定の第1の共振周波数が設定される一次側並列共振回路を形成する一次側並列共振コンデンサを備える。
また、第2のインダクタと、この第2のインダクタと直列となる関係により接続されることで、少なくとも第2のインダクタのインダクタンスと自身のキャパシタンスとによって、所定の第2の共振周波数が設定される一次側直列共振回路を形成し、第2のインダクタと自身との直列接続回路がスイッチング素子に対して並列となる関係により接続されるようにして設けられる一次側直列共振コンデンサを備える。
また、第2のインダクタを一次巻線として巻装するとともに、この一次巻線に得られたスイッチング出力により交番電圧が誘起される二次巻線を巻装して形成され、疎結合とみなされる所要の一次側と二次側との総合結合係数が得られるようにして、自身の結合係数が設定されるコンバータトランスを備える。
また、絶縁コンバータトランスの二次巻線に対して直列となる関係により二次側直列共振コンデンサを接続することで、少なくとも、二次巻線を含む漏洩インダクタンス成分と二次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、所定の第3の共振周波数が設定される二次側直列共振回路を備えることとした。
また、コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番電圧を入力して整流動作を行って、二次側直流出力電圧を生成するように構成された二次側直流出力電圧生成手段とを備えることとした。
また、このような構成では、コンバータトランスの一次側と二次側との総合結合係数は、コンバータトランス自身の結合係数と、第1のインダクタとコンバータトランスの一次巻線(第2のインダクタ)との等価的な並列回路により得られる一次側のリーケージインダクタンスにより決定される。本発明は、このようにして総合結合係数が設定されることを考慮したうえで、疎結合としてみなされる所要の総合結合係数が得られるようにして、コンバータトランス自身の結合係数を設定するようにしている。このような総合結合係数の設定とすることで、中間負荷とされる負荷条件でのZVS動作が得られなくなる状態を回避する一要因となる。
このようにして総合結合係数を設定することにより、中間負荷とされる負荷条件範囲の下でZVS(Zero Voltage Switching:ゼロ電圧スイッチング)動作が得られなくなる異常動作を解消して、適正なZVS動作を得ている。
また、商用交流電源から整流平滑電圧(直流入力電圧)を生成する整流平滑回路の平滑コンデンサからスイッチングコンバータに流入する電流が直流となることで、上記平滑コンデンサとしての部品素子のキャパシタンスについて小さい値を選定し、また、汎用品を選定することが可能になり、例えば平滑コンデンサの低コスト化や小型化などの効果が得られる。
図10は、E級スイッチングコンバータとしての基本構成を示している。この図に示すE級スイッチングコンバータは、E級共振形で動作するDC-ACインバータとしての構成を採る。
この図に示すE級スイッチングコンバータは、1石のスイッチング素子Q1を備える。この場合のスイッチング素子Q1はMOS−FETであることとしている。このMOS−FETとしてのスイッチング素子Q1には、ボディダイオードDDが、ドレイン−ソース間に対して並列接続されるようにして形成される。この場合のボディダイオードDDの順方向は、ソースからドレインへの方向に沿ったものとなる。
また、同じくスイッチング素子Q1のドレイン−ソース間に対しては、並列共振コンデンサCrが並列に接続される。
スイッチング電圧V1は、スイッチング素子Q1の両端に得られる電圧であり、スイッチング素子Q1がオンとなる期間TONにおいて0レベルで、オフとなる期間TOFFにおいて正弦波状のパルスとなる波形である。このスイッチングパルス波形は、上記並列共振回路の共振動作(電圧共振動作)により得られる。
また、E級スイッチングコンバータの出力として、上記直列共振回路に流れるとされる電流I2は、スイッチング素子Q1(及びボディダイオードDD)に流れるスイッチング電流IQ1と、電流と並列共振コンデンサCrに流れる電流とを合成したものとなり、正弦波成分を含む波形となる。
この図に示すスイッチング電源回路においては、まず、商用交流電源ACのラインに対して、図示するようにして、1組のコモンモードチョークコイルCMCと、2本のアクロスコンデンサCLが挿入される。これらコモンモードチョークコイルCMC、及びアクロスコンデンサCL,CLにより、商用交流電源ACのラインに重畳するコモンモードのノイズを除去するノイズフィルタが形成される。
この場合のスイッチング素子Q1には高耐圧のMOS−FETが選定されている。また、この場合のE級スイッチングコンバータの駆動方式は、発振・ドライブ回路2によりスイッチング素子をスイッチング駆動する他励式である。
スイッチング素子Q1のゲートに対しては、発振・ドライブ回路2から出力されるスイッチング駆動信号(電圧)が印加されるようになっている。
一次側並列共振コンデンサCrは、自身のキャパシタンスと絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のリーケージ(漏洩)インダクタンスL1とによって、スイッチング素子Q1に流れるスイッチング電流に対する一次側並列共振回路(電圧共振回路)を形成する。この一次側並列共振回路が共振動作を行うことによって、スイッチング素子Q1のスイッチング動作として、1つには電圧共振形の動作が得られる。これに応じて、スイッチング素子Q1の両端電圧(ドレイン−ソース間電圧)V1としては、そのオフ期間において正弦波状の共振パルス波形が得られる。
図2は、図1の電源回路が備える絶縁コンバータトランスPITの構造例を示す断面図である。
この図に示すように、絶縁コンバータトランスPITは、フェライト材によるE型コアCR1、CR2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コア(EE字形コア)を備える。
そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成される、ボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線N1を巻装する。また、他方の巻装部に対して二次巻線N2を巻装する。
このようにして一次側巻線及び二次側巻線が巻装されたボビンBを上記EE型コア(CR1,CR2)に取り付けることで、一次側巻線及び二次側巻線とがそれぞれ異なる巻装領域により、EE型コアの中央磁脚に巻装される状態となる。このようにして絶縁コンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。
この二次巻線N2に対しては、二次側直列共振コンデンサC2を直列となる接続関係によりに接続している。これにより、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって二次側直列共振回路を形成する。この二次側直列共振回路は、後述する二次側整流回路の整流動作に応じて共振動作を行うが、これにより、二次巻線N2に流れる二次巻線電流は正弦波状となる。つまり、二次側において電流共振動作が得られる。
先ず、二次巻線N2に誘起される交番電圧である二次巻線N2の両端電圧(二次巻線電圧)の一方の極性に対応する半周期においては、整流ダイオードDo2に順方向電圧が印加されることになるので、整流ダイオードDo2が導通し、整流電流を二次側直列共振コンデンサC2に対して充電する動作が得られる。これによって、二次側直列共振コンデンサC2には、二次巻線N2に誘起される交番電圧レベルの等倍に対応したレベルの両端電圧が生成される。次の、二次巻線電圧V2の他方の極性に対応する半周期においては、整流ダイオードDo2に順方向電圧が印加されて導通する。このとき、平滑コンデンサCoに対しては、二次巻線電圧V1の電位と、上記二次側直列共振コンデンサC2の両端電圧とが重畳された電位により充電が行われる。
これによって平滑コンデンサCoの両端電圧としては、二次巻線N2に励起される交番電圧レベルの2倍に対応したレベルによる二次側直流出力電圧Eoが得られることになる。
この整流動作では、平滑コンデンサCoに対しては、二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期にのみ充電が行われる。つまり、倍電圧半波としての整流動作が得られている。また、このような整流動作では、二次巻線N2と二次側直列共振コンデンサC2の直列接続により形成される二次側直列共振回路の共振出力について整流動作を行っているものとしてみることができる。
このようにして生成される二次側直流出力電圧Eoは、負荷に供給される。また、分岐して制御回路1に対して検出電圧として出力される。
このことから、本実施の形態の一次側スイッチングコンバータは、E級共振形のスイッチング動作を行うE級スイッチングコンバータとして形成されている、ということがいえる。そして、この一次側スイッチングコンバータのスイッチング動作により得られるスイッチング出力(交番出力)を、絶縁コンバータトランスPITにおける磁気結合を介するようにして、チョークコイルL11に相当する一次巻線N1から二次巻線N2に伝達し、二次側にて整流を行って直流出力電圧Eoを得るようにされている。つまり、図1に示す実施の形態の電源回路は一次側にE旧スイッチングコンバータを備えるDC-DCコンバータとして構成される。
また、本実施の形態のようにして形成される一次側のE級スイッチングコンバータは、チョークコイルL10、及び一次側並列共振コンデンサCrとともに電圧共振形コンバータを形成するスイッチング素子Q1(及びボディダイオードDD)、に対して、一次側直列共振回路を形成する一次巻線N1及び一次側直列共振コンデンサC11の直列接続回路を並列接続した、複合共振形コンバータ、ソフトスイッチング電源の構成であるともみることができる。
先ず、絶縁コンバータトランスPITについては、コアについてEER-35を選定して、ギャップGについては1.6mmのギャップ長を設定した。一次巻線N1及び二次巻線N2の各巻数(ターン数)Tについては、N1=59T、N2=30Tを選定した。これにより、絶縁コンバータトランスPITの結合係数kについてはk=0.75が設定される。
なお、上記EERのコアは、よく知られているように、製品としてのコアの型式、規格の1つであり、この型式には、EEのあることも知られている。本願においてEE型という場合には、断面がEE字形状であることに応じて、EER、EEの何れのタイプについてもEE型のコアであるとして扱うものとする。
また、チョークコイルL10については、EER-28のコアを選定して、中央磁脚に形成するギャップ長については1.2mmを設定し、インダクタンス(リーケージインダクタンス)としては1.05mHが設定されるようにした。
また、一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスについてはCr=5600pFを選定した。この一次側並列共振コンデンサCrについてのキャパシタンス設定と、上記チョークコイルL10のインダクタンスとにより、一次側並列共振回路の共振周波数fo1(p)=65.8kHzが設定される。
また、一次側直列共振コンデンサC11は、0.027μFを選定しており、このキャパシタンス設定と、次に説明する絶縁コンバータトランスPITの一次側の総合結合係数ktに応じた一次側のリーケージインダクタンスとにより、一次側直列共振回路の共振周波数fo1(s)=45kHzが設定される。
また、二次側直列共振コンデンサC2は、0.082μFを選定しており、このキャパシタンス設定と、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2とにより、二次側直列共振回路の共振周波数fo2=48kHzを設定している。
これら共振周波数fo1(p),fo1(s),fo2の相対的な関係としては、共振周波数fo1(s),fo2についてはほぼ同等として、これら共振周波数fo1(s),fo2に対して、共振周波数fo1(p)が1.4倍〜1.5倍程度となるようにして設定している、ということがいえる。また、図12に示した従来の電源回路における一次側並列回路の共振周波数fo1と二次側直列共振回路の共振周波数fo2との比較では、共振周波数fo1(p),fo1(s),fo2は、全体としてより低い周波数が設定され、また、共振周波数fo1(p),fo1(s),fo2での間の周波数差も縮小されている。
対応負荷電力は、最大負荷電力Pomax=300W、最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)とし、二次側直流出力電圧Eoの定格レベルは175Vとしている。
このために、絶縁コンバータトランスPITそのものとしての結合係数kとしては、前述したように、例えばk=0.75程度が設定されるのであるが、上記のようにして、絶縁コンバータトランスPITの一次側のリーケージインダクタンスが増加することで、電源回路内における絶縁コンバータトランスPITの総合的な結合係数としては、0.75よりも低い値が得られることになる。つまり、電源回路としてみた、絶縁コンバータトランスPITの一次側と二次側の間の総合的な結合度としては、絶縁コンバータトランスPITの構造自体による結合係数kに対して、より低く設定されることになる。この結合度についての数値を、ここでは、総合結合係数ktとして扱う。
本実施の形態としては、例えば、チョークコイルL10について、先に説明した所定のインダクタンス値を設定することで、総合結合係数ktについて、0.7程度またはそれ以下の疎結合とみなされる値を設定することとし、実際としては、kt=0.65を設定することとしている。この場合の総合結合係数ktの設定要素としては、絶縁コンバータトランスPITの構造自体による結合係数kと、チョークコイルL10のインダクタンスであることになる。上記もしているように、一次巻線N1と一次側直列共振コンデンサC11とを直列接続することで形成される一次側直列共振回路については、総合結合係数ktに応じた一次側のリーケージインダクタンスと、一次側直列共振コンデンサC11のキャパシタンスとにより設定される。
入力電流I1は、平滑コンデンサCiから一次側スイッチングコンバータに流入しようとする電流である。入力電流I1がスイッチング素子Q1側に流入する経路である、平滑コンデンサCoの正極端子とスイッチング素子Q1のドレイン側との間のラインには、一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1よりも大きなインダクタンスが設定されたチョークコイルL10が挿入されていることで、入力電流I1は、チョークコイルL10を介するようにして流れることになる。このために、入力電流I1は平均値I0の脈流となる。このような波形の入力電流I1は、直流としてみることができる。つまり、本実施の形態では、平滑コンデンサCiからスイッチングコンバータに流入する電流は直流となる。チョークコイルL10を介して流れた入力電流I1は、一次巻線N1−一次側直列共振コンデンサC11の直列回路と、スイッチング素子Q1(及びボディダイオードDD)、一次側並列共振コンデンサCrに対して分流するようにして流れる。
スイッチング電流IQ1は、期間TOFFにおいては0レベルであり、この期間TOFFが終了して期間TONが開始されてターンオンタイミングに至ると、先ず、ボディダイオードDDを流れることで負極性の波形となり、続いて反転してドレインからソースに流れることで正極性による波形となる。
そして、スイッチング電圧V1としての電圧共振パルス波形が0レベルにまで降下したとされると、先ず、ボディダイオードDDが導通して負極性の一次巻線電流I2を流すことになる。このときスイッチング電圧V1は0レベルであり、一定期間においてボディダイオードDDに一次巻線電流I2が流れると、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間がオンとなって、正極性の一次巻線電流I2を流す。このようにして期間TONにおいて、スイッチング素子Q1(及びボディダイオードDD)に一次巻線電流I2が流れることで、スイッチング電流IQ1の波形が得られる。このような動作は、スイッチング素子Q1のターンオン、ターンオフ時において、一次側並列共振回路によるZVS動作、及び一次側直列共振回路によるZCS動作が得られていることを示す。
二次巻線N2と二次側直列共振コンデンサC2の直列接続回路の両端電圧であり、二次側整流回路が入力する二次側交番電圧V3は、二次側交番電圧V3の半周期の期間ごとに、整流ダイオードDo1,Do2に対して順方向電圧を印加し、これに応じて整流ダイオードDo1,Do2が交互に導通する。これにより、二次側交番電圧V3は、整流ダイオードDo1,Do2の導通期間に応じて二次側直流出力電圧Eoに応じた絶対値レベルによりクランプされた交番波形となる。
二次側整流電流ID1,ID2は、図示するようにして、半波の正弦波形状により交互となるようにして平滑コンデンサCoに対して流れる。二次巻線N2に流れる二次巻線電流I2は、二次側整流電流ID1,ID2を合成して得られ、図示するようにして正弦波状となる。
この図に示すようにして、スイッチング周波数fsについては、最大負荷電力Pomax=300Wから最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)までの範囲で、軽負荷の傾向となるのに応じてほぼ一定の傾きにより高くなっていく傾向で変化している。
また、スイッチング素子Q1がオンとなる期間TONの時間長は、最小負荷電力Pomin=0Wから最大負荷電力Pomax=300Wまでの範囲において、重負荷の傾向となっていくのに応じてほぼ一定の傾きにより増加する傾向となっている。これに対して、スイッチング素子Q1がオフとなる期間TOFFの時間長は、最小負荷電力Pomin=0Wから最大負荷電力Pomax=300Wまでの範囲において、重負荷の傾向となっていくのに応じてほぼ一定の傾きにより低下する傾向となっている。傾きの度合いは、期間TONのほうが期間TOFFよりも大きくなっている。
このことから、本実施の形態ではスイッチング周波数制御とPWM制御とが同時に行われる複合的な定電圧制御動作となっているということがいえる。このような複合制御は制御感度が高い。
先ず、交流入力電圧VAC=100Vで、最大負荷電力Pomax=300W〜最小負荷電力Pomin=0Wの負荷変動に対して二次側直流出力電圧Eoを175Vで安定化するために必要とされるスイッチング周波数fsの可変範囲(Δfs)は17.8KHzであり、また、期間TONの変動範囲(ΔTON)は3.4μs、期間TOFFの変動範囲(ΔTOFF)=1.6μsとなった
一般的に、一次側に電圧共振形コンバータを備える電源回路は、負荷電力の制御範囲が狭く、また、軽負荷時におけるZVSが維持できないために、そのままでは実用化は不可能であると考えられている。そこで、図12に示したように、一次側電圧共振形コンバータに対して二次側直列共振回路を設け、二次側整流回路として倍電圧半波整流回路を形成した電源回路を構成して本願発明者が実験を行ったところ、それまでの電圧共振形コンバータを備える電源回路よりも、実現化に近づく特性が得られることが確認された。
しかしながら、図12の電源回路では、図13により説明したように、中間負荷時において、スイッチング素子Q1のオフ期間(TOFF)が終了しないうちにスイッチング素子Q1に正極方向(この場合はドレイン→ソース方向)に電流が流れてZVSの動作が得られないという異常動作を生じる。このために、図12の電源回路の構成であっても、依然として実用化は困難な状況であった。
これに対して、図1に示した実施の形態の電源回路では、図3の波形図によっても説明したように、対応負荷電力の全領域にわたってZVS動作が得られている。つまり、中間負荷時における異常動作は解消されている。E級スイッチングコンバータの基本構成は、1石のスイッチング素子と並列共振回路とを含んでいるので、本実施の形態の電源回路は、シングルエンド方式の電圧共振形コンバータの回路構成を備えるスイッチングコンバータとして、実用化が容易に実現可能となっている、ということがいえる。
従来として説明した中間負荷時の異常動作は、電圧共振形コンバータが二次側直列共振回路を備える場合に生じることが確認されている。つまり、電圧共振形コンバータを形成する一次側並列共振回路と、二次側直列共振回路とが同時に動作することによる相互作用が原因となっている。
そこで、本実施の形態の電源回路のようにして、絶縁コンバータトランスPITの一次側と二次側の総合結合係数ktについて、従来よりも低い所要値を設定すれば、上記した一次側並列共振回路と二次側直列共振回路の相互作用は希薄となって、中間負荷時における異常動作も無くなっていくことになる。具体的には、例えば図13(b)に示した、期間TOFFの終了タイミングの前後で正極性のスイッチング電流IQ1が流れる現象が観察されなくなり、通常のZVSに対応するスイッチング電流IQ1の波形が得られることになる。
平滑コンデンサCiとしての部品素子には高耐圧が要求されることなどに応じてアルミ電解コンデンサがしばしば採用される。アルミ電解コンデンサは、他の種類のコンデンサなどと比較して、高周波で動作させると静電容量が低下すると共に損失角の正接が増加しやすい性質を有している。このために、平滑コンデンサCiに使用するアルミ電解コンデンサには、ESR(等価直列抵抗)が低く、また、許容リップル電流が多い特殊品を選定する必要がある。また、平滑コンデンサCiとしての素子のキャパシタンスについても相応に大きな値を選定する必要が出てくる。例えば図12の電源回路の構成で、本実施の形態と同等の最大負荷電力Pomax=300Wに対応させる場合には、1000μF程度を選定することになる。このようなアルミ電解コンデンサは、汎用のアルミ電解コンデンサよりも高価であり、また、キャパシタンスの増加に応じた部品価格の上昇も含めてコスト的に不利となる。
例えば、図12に示した電源回路の構成のもとで、0.65程度の総合結合係数kを得ようとすれば、絶縁コンバータトランスPIT自体の結合係数ktについて0.65程度が設定されるようにすることになる。このためには、例えば、絶縁コンバータトランスPITが図2に示した構造を採る場合には、ギャップGについて2mm以上に拡大してコアを形成すればよい。しかし、ギャップ長の拡大は渦電流による損失(渦電流損)を増加させる要因となるので、いたずらにギャップ長を拡大していくことは好ましいことではなく、条件などによっては、渦電流損による電力損失が無視できなくなる場合も出てくる可能性がある。
本実施の形態の場合には、上記のようにして一次巻線N1のリーケージインダクタンスの増加分により、0.65程度の総合結合係数ktの値を得ていることで、絶縁コンバータトランスPIT自体の結合係数kについては0.75程度までの低下で抑えることができている。そして、これに伴って、絶縁コンバータトランスPITのコアに形成するギャップGについては1.6mm程度のギャップ長を設定できる。この程度のギャップ長であれば、渦電流損について特に考慮する必要はない。
このように、本実施の形態の絶縁コンバータトランスPIT自体が有する結合係数kにまで疎結合の状態とすることは、従来の電圧共振形コンバータでは、一次側から二次側への電力伝送ロスの増加による電力変換効率の低下を招くということを理由に、これまで行われてこなかったという背景がある。
また、直流入力電圧がスイッチングコンバータに流入するラインに比較的大きいインダクタンスのチョークコイルL10を挿入することによる電力損失も相応に生じる。
しかしながら、本実施の形態では、図4の実験結果としても示したように、対応負荷電力のほぼ全領域にわたって、良好とみてよい電力変換効率特性を得ている。
先ず、電圧共振形コンバータに対して二次側直列共振回路を備える電源回路の構成は、本来、電力変換効率に関しては有利であることが知られている。特に、この構成は、最大負荷電力から軽負荷の傾向となるのにしたがって、電力変換効率が増加していくという特徴的な性質を有しており、軽負荷傾向に応じて電力変換効率が低下する傾向となる電流共振形コンバータと比較すれば、負荷変動に対する電力変換効率特性としては非常に良好であるということがいえる。また、電圧共振形コンバータとしてシングルエンド方式を採用してスイッチング素子を必要最小限の1石とすることで、例えばハーフブリッジ結合方式、フルブリッジ結合方式、プッシュプル方式などの複数のスイッチング素子を備える構成と比較してスイッチング損失を減少させていることも、電力変換効率の向上要因となっている。
本実施の形態のE級スイッチングコンバータも、一次側並列共振回路と1石のスイッチング素子が組み合わされた構成を含むことで、シングルエンド方式の電圧共振形コンバータの構成を含んでいるということがいえ、上記したような電圧共振形コンバータとしての良好な電力変換効率特性を引き継いでいる。
このスイッチング電流IQ1の波形は、先に図3にて説明したように、二次巻線電流I2の正弦波形に応じたものである。つまり、二次側直列共振回路の共振動作により得られる電流共振波形に応じた波形成分を持っている。二次巻線電流I2の波形は、共振周波数fo1(p)に対する共振周波数fo1(s)の設定によって決まる。
このことから、図1に示す電源回路のスイッチング電流IQ1の波形は、一次側並列共振回路と二次側直列共振回路の各共振周波数fo1(p),fo1(s)のしかるべき設定により得られているものである、ということになる。
図3に示されるスイッチング電流IQ1の波形は、ターンオフ時におけるスイッチング電流IQ1のレベルが抑制されているということを意味する。ターンオフ時のスイッチング電流IQ1のレベルが抑制されれば、その分、ターンオフ時のスイッチング損失は低減され、電力変換効率が向上することになる。
なお、この図において図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
この第2の実施の形態の電源回路としても、絶縁コンバータトランスPITについては図2に示したのと同様の構造を採り、絶縁コンバータトランスPIT自体の結合係数kとして、0.75程度を設定する。絶縁コンバータトランスPITの一次側と二次側との総合結合係数ktについては、一次巻線N1とチョークコイルL10とが等価的に並列接続されることで、0.65程度が設定される。
このようにして二次側部分電圧共振コンデンサCp2が接続されることで、絶縁コンバータトランスPITの二次側に得られるリーケージインダクタンスと、二次側部分電圧共振コンデンサCp2とのキャパシタンスとによって、整流ダイオードDo1、Do2がターンオフ/ターンオンするタイミングにおいてのみ電圧共振動作を行う、二次側部分電圧共振回路が形成される。なお、二次側部分電圧共振コンデンサCp2は、二次側直列共振コンデンサC2よりもはるかに小さなキャパシタンスが設定されるので、二次側直列共振コンデンサC2を含む二次側直列共振回路の共振周波数fo1(s)などに影響を与えるものではない。
また、この場合の二次側交番電圧V3は、部分電圧共振動作が生じるのに応じて、波形の立ち上がり/立ち下がりの傾斜が、図1の場合よりも緩やかになる。
ただし、第2の実施の形態では、二次側部分電圧共振回路が動作して、図6に示したようにして、整流ダイオードDo1、Do2のターンオン/ターンオフ時において、これら整流ダイオードDo1、Do2に流れようとする電流が、二次側部分共振電流I4として二次側部分電圧共振コンデンサCp2を介して流れるようにされている。これにより、ターンオン/ターンオフ時における整流ダイオードDo1、Do2のスイッチング損失は低減される。この結果、AC→DC電力変換効率としては、第1の実施の形態よりも良好な特性が得られる。
図7(a)の回路図は、変形例1として、第1の実施の形態に対応する二次側の構成例を示し、図7(b)の回路図は、変形例1として、第2の実施の形態に対応する二次側の構成例を示している。
なお、この図において、図1、図5と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。この図に示す電源回路としても、一次側の構成は、図1、図5と同様となる。また、絶縁コンバータトランスPITについては図2に示したのと同様の構造を採り、絶縁コンバータトランスPIT自体の結合係数kとして、0.75程度を設定する。絶縁コンバータトランスPITの一次側と二次側との総合結合係数ktについては、一次巻線N1とチョークコイルL10とが等価的に並列接続されることで、0.65程度が設定される。これらの点については、後述する図8(a)(b)、図9(a)(b)の電源回路についても同様である。
この場合、二次巻線N2の巻き終わり端部は、二次側直列共振コンデンサC2を介して整流ダイオードDo1のアノードと整流ダイオードDo2のカソードの接続点に接続する。また、二次巻線N2の巻始め端部を、整流ダイオードDo3のアノードと整流ダイオードDo4のカソードの接続点に接続する。整流ダイオードDo1のカソードと整流ダイオードDo3のカソードを平滑コンデンサCoの正極端子に接続する。平滑コンデンサCoの負極端子は二次側アース電位にて、整流ダイオードDo2のアノードと整流ダイオードDo4のアノードの接続点と接続される。
これによって平滑コンデンサCoの両端電圧として、二次巻線N2に誘起される交番電圧のレベルの等倍に対応したレベルの二次側直流出力電圧Eoが生成される。
この場合の倍電圧全波整流回路としては、先ず、二次巻線N2についてセンタータップを施すことで、このセンタータップを境界にして二次巻線部N2A,N2Bに2分割する。二次巻線部N2A,N2Bには、同じ所定巻数(ターン数)が設定される。二次巻線N2のセンタータップは、二次側アースに接続される。
また、二次巻線N2における二次巻線部N2A側の端部に対しては二次側直列共振コンデンサC2Aを直列に接続し、二次巻線N2における二次巻線部N2B側の端部に対しては二次側直列共振コンデンサC2Bを直列に接続する。これにより、二次巻線部N2Aのリーケージインダクタンス成分と二次側直列共振コンデンサC2Aのキャパシタンスから成る第1の二次側直列共振回路と、二次巻線部N2Bのリーケージインダクタンス成分と二次側直列共振コンデンサC2Bのキャパシタンスから成る第2の二次側直列共振回路とが形成される。
整流ダイオードDo1,Do3の各カソードは、平滑コンデンサCoの正極端子に接続する。平滑コンデンサCoの負極端子は二次側アースに接続される。また、整流ダイオードDo2,Do4の各アノードの接続点は二次側アースに接続する。
第1の倍電圧半波整流回路では、二次巻線N2に誘起される交番電圧の、一方の極性の半周期の期間において、[二次巻線部N2A→整流ダイオードDo2→二次側直列共振コンデンサC2A→二次巻線部N2A]の整流電流経路により整流動作を行い、二次巻線部N2Aの交番電圧(V2)の電位により二次側直列共振コンデンサC2Aに対する充電を行う。他方の極性の半周期の期間において、[二次巻線部N2A→二次側直列共振コンデンサC2A→整流ダイオードDo1→平滑コンデンサCo→二次巻線部N2A]の整流電流経路により整流動作を行うことで、二次側直列共振コンデンサC2Aの両端電圧と二次巻線N2Aの交番電圧の重畳電位により、平滑コンデンサCoに対する充電を行う。
また、第2の倍電圧半波整流回路は、二次巻線N2に誘起される交番電圧の、上記他方の極性の半周期の期間において、[二次巻線部N2B→整流ダイオードDo4→二次側直列共振コンデンサC2B→二次巻線部N2B]の整流電流経路により整流動作を行って、二次巻線部N2Aの交番電圧(V2で同等)の電位により、二次側直列共振コンデンサC2Bを充電し、上記一方の極性の半周期の期間において、[二次巻線部N2B→二次側直列共振コンデンサC2B→整流ダイオードDo3→平滑コンデンサCo→二次巻線部N2B]の整流電流経路により整流動作を行って、二次側直列共振コンデンサC2Bの両端電圧と二次巻線N2Bの交番電圧の重畳電位により平滑コンデンサCoに対する充電を行う。
このような接続態様により、絶縁コンバータトランスPITの二次側のリーケージインダクタンスと、二次側部分電圧共振コンデンサCp2のキャパシタンスとにより、二次側部分電圧共振回路が形成される。また、この回路構成では、二次側部分電圧共振回路の共振動作は、第1の倍電圧半波整流回路と第2の倍電圧半波整流回路に対して共通に動作するものとなる。そして、この場合にも、二次側部分電圧共振回路が共振動作を行うことで、整流ダイオードDo1、Do2、Do3、Do4がそれぞれターンオン/ターンオフするタイミングで、これら整流ダイオードに流れようとする電流が二次側部分電圧共振コンデンサCp2に流れることとなって、上記整流ダイオードにおけるスイッチング損失が低減される。
この場合には、二次巻線N2の巻き終わり端部に対して整流ダイオードDo1のアノードと整流ダイオードDo2のカソードを接続する。整流ダイオードDo1のカソードは平滑コンデンサCo1の正極端子に接続する。
平滑コンデンサCo1,Co2は、平滑コンデンサCo1の負極端子と平滑コンデンサCo2の正極端子を接続するようにして直列接続し、この平滑コンデンサCo1,Co2の接続点に対しては二次巻線N2の巻始め端部を接続する。
二次側アースに対しては、平滑コンデンサCo2の負極端子及び整流ダイオードDo2のアノードを接続する。
例えば、図1に示した電源回路と同等レベルの二次側直流出力電圧Eoを得るのであれば、二次巻線N2の巻数(ターン数)については、図1の二次巻線N2の巻数の約1/2程度とすることができる。これにより、二次巻線N2の巻線工程を簡略化できる。
また、メインスイッチング素子(及び補助スイッチング素子)については、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、バイポーラトランジスタなど、MOS−FET以外の素子を選定することも考えられる。また、上記各実施の形態では、他励式のスイッチングコンバータを挙げているが、自励式として構成した場合にも本発明は適用できる。
Claims (1)
- 少なくとも整流素子と平滑コンデンサを備えて形成され、商用交流電源を入力して整流平滑化することで、上記平滑コンデンサの両端電圧として整流平滑電圧を生成する整流平滑回路と、
上記整流平滑電圧を直流電圧として入力してスイッチングを行うスイッチング素子と、
上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段と、
上記整流平滑電圧がスイッチング素子に入力される経路に対して直列に挿入される第1のインダクタと、
上記スイッチング素子に対して並列となる関係により接続され、少なくとも上記第1のインダクタのインダクタンスと自身のキャパシタンスとによって、所定の第1の共振周波数が設定される一次側並列共振回路を形成する一次側並列共振コンデンサと、
第2のインダクタと、
上記第2のインダクタと直列となる関係により接続されることで、少なくとも上記第2のインダクタのインダクタンスと自身のキャパシタンスとによって、所定の第2の共振周波数が設定される一次側直列共振回路を形成し、上記第2のインダクタと自身との直列接続回路が上記スイッチング素子に対して並列となる関係により接続されるようにして設けられる一次側直列共振コンデンサと、
上記第2のインダクタを一次巻線として巻装するとともに、該一次巻線に得られたスイッチング出力により交番電圧が誘起される二次巻線を巻装して形成され、疎結合とみなされる所要の一次側と二次側との総合結合係数が得られるようにして、自身の結合係数が設定されるコンバータトランスと、
上記絶縁コンバータトランスの二次巻線に対して直列となる関係により二次側直列共振コンデンサを接続することで、少なくとも、上記二次巻線を含む漏洩インダクタンス成分と、上記二次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成される二次側直列共振回路と、
上記コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番電圧を入力して整流動作を行って、二次側直流出力電圧を生成するように構成された二次側直流出力電圧生成手段とを備える、
ことを特徴とするスイッチング電源回路。
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