JP2004242491A - スイッチング電源回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】 力率改善機能を備えるスイッチング電源回路として、電力変換効率の向上、及び回路の小型軽量化を図る。
【解決手段】 複合共振形コンバータとして、少なくとも、一次側にハーフブリッジ結合方式による電流共振形コンバータに対して、部分共振電圧回路を組み合わせた構成とする。力率改善は、力率改善用トランス(疎結合トランスVFT)によって、複合共振形コンバータのスイッチング出力を整流電流経路に電圧帰還して、整流ダイオードにより整流電流を断続させ、これにより交流入力電流の導通角を拡大させることで行う。これにより、例えば力率改善回路を備える電源回路としては、商用交流電源ラインに対してチョークコイルを挿入する構成を採る必要はなくなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、力率改善のための回路を備えたスイッチング電源回路に関するものである。
近年、高周波の比較的大きい電流及び電圧に耐えることができるスイッチング素子の開発によって、商用電源を整流して所望の直流電圧を得る電源回路としては、大部分がスイッチング方式の電源回路になっている。
スイッチング電源回路はスイッチング周波数を高くすることによりトランスその他のデバイスを小型にすると共に、大電力のDC−DCコンバータとして各種の電子機器の電源として使用される。
ところで、一般に商用電源を整流すると平滑回路に流れる電流は歪み波形になるため、電源の利用効率を示す力率が損なわれるという問題が生じる。
また、歪み電流波形となることによって発生する高調波を抑圧するための対策が必要とされている。
そこで、力率改善のための構成を付加したスイッチング電源回路が各種提案されている。このようなスイッチング電源回路の1つとして、商用交流電源ラインに対してパワーチョークコイルを直列に挿入することで、交流入力電流の導通角を拡大して力率改善を図るように構成した、いわゆるチョークインプット方式のものが知られている(特許文献1参照)。
図27は、上記したようなチョークインプット方式により力率改善を図るように構成されたスイッチング電源回路の一例が示されている。この図に示す電源回路は、先に本出願人が提案している複合共振形コンバータとしての構成に対して、チョークインプット方式としての力率改善の構成を付加している。
なお、この図に示す電源回路は、[負荷電力Po=150W以上、交流入力電圧VAC=100V系]の条件に対応した構成とされている。
この図に示す電源回路において、先ず、商用交流電源ACに対して、コモンモードチョークコイルCMCと2本のアクロスコンデンサCLを接続して形成される、コモンモードノイズフィルタが設けられる。このコモンモードノイズフィルタにより、例えばスイッチングコンバータ側から商用交流電源ACに伝わるノイズを抑制する。
また、商用交流電源ACのラインに対しては、図示するようにしてブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiから成る整流平滑回路が備えられる。この整流平滑回路が商用交流電源ACを入力して整流平滑動作を行うことで、平滑コンデンサCiの両端に、交流入力電圧VACの等倍に対応するレベルの整流平滑電圧Eiが得られる。この整流平滑電圧Eiは、後段のスイッチングコンバータに対して直流入力電圧として供給される。
そして、力率改善のための構成として、商用交流電源ACのラインに対してパワーチョークコイルPCHを直列に挿入する。この場合には、パワーチョークコイルPCHは、商用交流電源ACの負極ラインに対して挿入されている。
このようにして、商用交流電源ACのラインに対してパワーチョークコイルPCHを挿入することで、周知のようにして、パワーチョークコイルPCHのインダクタンスLpchの作用によって、商用交流電源ACからブリッジ整流回路Diを形成する整流ダイオードに流入する交流入力電流は、その高調波が抑制されることになる。つまり、交流入力電流IACの導通角が拡大されて力率改善が図られる。
この図に示す電源回路においては、上記した整流平滑電圧Eiを入力して動作するスイッチングコンバータとして、複合共振形コンバータが備えられる。ここでの複合共振形コンバータとは、スイッチングコンバータの動作を共振形とするために備えられる共振回路に加えて、さらに一次側又は二次側に対して共振回路を付加し、これら複数の共振回路を1スイッチングコンバータ内において複合的に動作させる構成のスイッチングコンバータをいう。
この図27に示す電源回路において、上記複合共振形コンバータとして備えられる共振形コンバータは電流共振形とされる。そして、この場合の電流共振形コンバータとしては、図示するようにして、MOS−FETによる2本のスイッチング素子Q1,Q2をハーフブリッジ結合により接続している。スイッチング素子Q1,Q2の各ドレイン−ソース間に対しては、図示する方向により、それぞれダンパーダイオードDD1,DD2を並列に接続している。
また、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間に対しては、部分共振コンデンサCpが並列に接続される。この部分共振コンデンサCpのキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1によっては並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成する。そして、スイッチング素子Q1,Q2のターンオフ時にのみ電圧共振する、部分電圧共振動作が得られるようになっている。
この電源回路においては、スイッチング素子Q1,Q2をスイッチング駆動するのにあたり、コントロールIC2が設けられる。このコントロールIC2は、電流共振形コンバータを他励式により駆動するための発振回路、制御回路、及び保護回路等を備えて構成されるもので、内部にバイポーラトランジスタを備えた汎用のアナログIC(Integrated Circuit)とされる。
このコントロールIC2は、電源入力端子Vccに入力される直流電圧により動作する。また、電源入力端子Vccには、起動抵抗Rsを介した整流平滑電圧Eiが起動電圧として入力されている。コントロールIC2は、電源起動時において、この電源入力端子Vccに入力される起動電圧によって起動される。
そして、コントロールIC2においては、スイッチング素子に対してドライブ信号(ゲート電圧)を出力するための端子として、2つのドライブ信号出力端子VGH,VGLが備えられる。
ドライブ信号出力端子VGHからは、ハイサイドのスイッチング素子をスイッチング駆動するためのドライブ信号が出力され、ドライブ信号出力端子VGLからは、ローサイドのスイッチング素子をスイッチング駆動するためのドライブ信号が出力される。
そして、この場合には、ドライブ信号出力端子VGHは、ハイサイドのスイッチング素子Q1のゲートと接続される。また、ドライブ信号出力端子VGLは、ローサイドのスイッチング素子Q2のゲートと接続される。
これにより、ドライブ信号出力端子VGHから出力されるハイサイド用のドライブ信号は、スイッチング素子Q1のゲートに対して印加され、ドライブ信号出力端子VGLから出力されるローサイド用のドライブ信号は、スイッチング素子Q2のゲートに対して印加されることになる。
また、この図では図示を省略しているが、コントロールIC2に対しては、外付けの回路として、1組のブートストラップ回路が接続される。このブートストラップ回路によりドライブ信号出力端子VGHから出力されるハイサイド用のドライブ信号は、スイッチング素子Q1を適正にドライブ可能なレベルとなるようにレベルシフトされる。
コントロールIC2では、内部の発振回路により所要の周波数の発振信号を生成する。そして、コントロールIC2では、上記発振回路にて生成された発振信号を利用して、ハイサイド用のドライブ信号と、ローサイド用のドライブ信号を生成する。ここで、ハイサイド用のドライブ信号と、ローサイド用のドライブ信号は、互いに180°の位相差を有する関係となるようにして生成される。そして、ハイサイド用のドライブ信号をドライブ信号出力端子VGHから出力し、ローサイド用のドライブ信号をドライブ信号出力端子VGLから出力するようにされる。
このようなハイサイド用のドライブ信号と、ローサイド用のドライブ信号が、スイッチング素子Q1,Q2に対してそれぞれ印加されることによって、ドライブ信号がHレベルとなる期間に応じては、スイッチング素子Q1,Q2のゲート電圧がゲート閾値以上となってオン状態となる。またドライブ信号がLレベルとなる期間では、ゲート電圧がゲート閾値以下となってオフ状態となる。これにより、スイッチング素子Q1,Q2は、交互にオン/オフとなるタイミングによって所要のスイッチング周波数によりスイッチング駆動されることになる。
絶縁コンバータトランスPITは、上記スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力を一次側から二次側に伝送するために設けられる。
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の一方の端部は、一次側直列共振コンデンサC1を介してスイッチング素子Q1,Q2の接続点(スイッチング出力点)に対して接続され、他方の端部は一次側アースに接続される。ここで、直列共振コンデンサC1は、自身のキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンス(L1)とによって一次側直列共振回路を形成する。この一次側直列共振回路は、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力が供給されることで共振動作を生じるが、これによって、スイッチング素子Q1,Q2から成るスイッチング回路の動作を電流共振形とする。
このようにして、図27に示す回路における一次側スイッチングコンバータとしては、一次側直列共振回路(L1−C1)による電流共振形としての動作と、前述した部分電圧共振回路(Cp//L1)とによる部分電圧共振動作とが得られることになる。
つまり、この図に示す電源回路は、一次側スイッチングコンバータを共振形とするための共振回路に対して他の共振回路が組み合わされた、複合共振形コンバータとしての形式を採っている。
絶縁コンバータトランスPITの二次側には二次巻線N2が巻装される。
この場合の二次巻線N2に対しては、図示するようにしてセンタータップを設けて二次側アースに接続した上で、整流ダイオードDO1,DO2、及び平滑コンデンサCOから成る両波整流回路を接続している。これにより、平滑コンデンサCOの両端電圧として二次側直流出力電圧EOが得られる。この二次側直流出力電圧EOは、図示しない負荷側に供給されるとともに、制御回路1のための検出電圧としても分岐して入力される。
制御回路1では、入力される二次側直流出力電圧EOのレベルに応じてそのレベルが可変された電圧又は電流を制御出力としてコントロールIC2の制御入力端子Vcに供給する。コントロールIC2では、制御入力端子Vcに入力された制御出力に応じて、例えば発振信号の周波数を可変することで、ドライブ信号出力端子VGH,VGLから出力すべきドライブ信号の周波数を可変する。これにより、スイッチング素子Q1,Q2は、スイッチング周波数が可変制御されることになるが、このようにしてスイッチング周波数が可変されることによっては、二次側直流出力電圧E01のレベルが一定となるように制御される。つまり、スイッチング周波数制御方式による安定化が行われる。
図28は、上記図27に示した電源回路についての、交流入力電圧VAC=100V時、負荷電力Po=150W〜0Wの負荷変動範囲における力率PF、電力変換効率ηAC→DC、及び整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)のレベルの各特性を実線により示している。
また、ここでは、比較として、図27に示した電源回路において力率改善を行わない場合の構成を採った場合の特性を破線により示している。つまり、パワーチョークコイルPCHのインダクタンスLpchの成分を、商用交流電源ACのラインから省略した場合の特性である。
また、図29には、図27に示した電源回路について、負荷電力Po=150W時で、交流入力電圧VAC=80V〜120Vの電圧レベル変動範囲における力率PF、整流平滑電圧Ei、電力変換効率ηAC→DCの各特性を示している。
なお、上記図28及び図29に示した実験結果を得るのにあたり、図27に示す電源回路においては、各部を次のように選定している。

パワーチョークコイルPCH Lpch=10mH
絶縁コンバータトランスPIT:EER35フェライトコア、ギャップ長1mm、
一次巻線N1=25T
二次巻線N2:センタータップを分割位置として23T+23T
一次側直列共振コンデンサC1=0.082μF
部分共振コンデンサCp=680pF
また、図28において破線で示される特性を示す、図27の回路からパワーチョークコイルPCH(インダクタンスLpch)を省略した構成の電源回路では、各部は次のように変更される。

絶縁コンバータトランスPIT:EER35フェライトコア、ギャップ長1mm、
一次巻線N1=31T
二次巻線N2:センタータップを分割位置として23T+23T
一次側直列共振コンデンサC1=0.068μF
部分共振コンデンサCp=680pF
図28に示すようにして、実線及び破線により示す電力変換効率ηAC→DCとしては、共に、負荷電力が重負荷の条件となるのに従って高くなっていく傾向を有している。そして、実線によるインダクタンスLpchが挿入された図27に示す回路については、負荷電力Po=150W時において、ηAC→DC=87.5%で最大となる特性が示されている。
また、実線及び破線により示す整流平滑電圧Eiについては、重負荷の条件となるのに従って緩やかに低下する特性が得られている。実線によるインダクタンスLpchが挿入された場合の特性は、負荷電力Po=0W→150Wの変動に対して、Ei=134V→115Vという変化を示す。
また、力率PFの特性は、負荷電力が重負荷の条件となるのに従って高くなるが、負荷電力Po=75W以上からはほぼフラットな特性となっている。そして、負荷電力Po=150W時においては力率PF=0.75が得られている。
また、図29によると、交流入力電圧VACの変化に対して力率PFは、ほぼ0.75で一定となる。また、電力変換効率ηAC→DCは、交流入力電圧VACが上昇するのに応じて緩やかに高くなる傾向となっている。また、整流平滑電圧Eiは、交流入力電圧VACにほぼ比例するようにして上昇している。
また、チョークインプット方式により力率改善を図る構成の複合共振形コンバータとしての他の例を、図30に示す。この図に示す電源回路は、[負荷電力Po=250W以上、交流入力電圧VAC=100V系]の条件に対応可能な構成となっている。なお、この図において、図27と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
この図に示す電源回路は、図27の電源回路よりも重負荷の条件に対応することとなる。このため、整流平滑電圧Eiを生成する整流平滑回路としては、倍電圧整流回路が備えられる。この場合の倍電圧整流回路は、図示するようにして、商用交流電源ACに対して、2本の整流ダイオードDia,Dib、及び直列接続された2本の平滑コンデンサCi1,Ci2を接続して形成される。
この倍電圧整流回路が交流入力電圧VACを入力して整流平滑動作を行うことで、平滑コンデンサCi1−Ci2の直列接続回路の両端には、交流入力電圧VACの2倍のレベルに対応する整流平滑電圧Eiが生成される。
後段の一次側スイッチングコンバータは、このようにして生成される整流平滑電圧Eiを直流電圧として入力してスイッチング動作を行うことになる。
図31は、上記図30に示した電源回路についての、負荷電力Po=300W〜0Wの負荷変動範囲における力率PF、電力変換効率ηAC→DC、及び整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)のレベルの各特性を実線により示している。
また、この図においても、比較として、図30に示した電源回路において力率改善を行わない場合(パワーチョークコイルPCH(インダクタンスLpch)無しの場合)の構成を採った場合の特性を破線により示している。
また、図32には、負荷電力Po=300W、交流入力電圧VAC=80V〜120Vの変動範囲における力率PF、整流平滑電圧Ei、電力変換効率ηAC→DCの各特性を示している。
そして、上記図31及び図32に示した実験結果を得るのにあたり、図30に示す電源回路においては、各部を次のように選定している。

パワーチョークコイルPCH Lpch=5mH
絶縁コンバータトランスPIT:EER35フェライトコア、ギャップ長1mm、
一次巻線N1=28T
二次巻線N2:センタータップを分割位置として25T+25T
一次側直列共振コンデンサC1=0.039μF
部分共振コンデンサCp=680pF

また、図30の回路からパワーチョークコイルPCH(インダクタンスLpch)を省略した構成の電源回路では、次のように変更される。この構成による電源回路が、図31において破線で示される特性を示す。

絶縁コンバータトランスPIT:EER42フェライトコア、ギャップ長1mm
一次巻線N1=32T
二次巻線N2=25T
一次側直列共振コンデンサC1=0.033μF
部分共振コンデンサCp=680pF
図31に示すようにして、実線及び破線により示す電力変換効率ηAC→DCとしては、共に、負荷電力Po=100W程度以上の範囲で、ほぼ一定となる特性を有している。実線によるインダクタンスLpchが挿入された図30に示す回路については、負荷電力Po=300W時において、ηAC→DC=91.1%となる特性が示されている。
また、実線及び破線により示す整流平滑電圧Eiについては、重負荷の条件となるのに従って緩やかに低下する特性が得られている。実線によるインダクタンスLpchが挿入された場合の特性は、負荷電力Po=0W→300Wの変動に対して、Ei=264V→244Vという変化を示す。
また、力率PFの特性は、負荷電力が重負荷の条件となるのに従って高くなる傾向となっている。そして、負荷電力Po=300W時においては力率PF=0.75が得られている。
また、図32によると、力率PFは、交流入力電圧VACが高くなるのに応じて緩やかに低下してはいるが、この程度の傾きであれば、交流入力電圧VACの変化に対してほぼ0.75で一定であるといえる。また、電力変換効率ηAC→DCは、交流入力電圧VACが上昇するのに応じて緩やかに高くなる傾向となっている。また、整流平滑電圧Eiは、交流入力電圧VACにほぼ比例するようにして上昇している。
これまでの説明のようにして、図27及び図30に示した電源回路では、チョークインプット方式によって力率改善を図っている。これにより、例えばカラーテレビジョン受像機についての電源高調波歪規制値をクリアするのには充分な程度の力率PFの値が得られるようにしている。
特開平7−263262号公報(図19)
しかしながら、上記図27及び図30に示した構成による電源回路では次のような問題を有している。
図27及び図30の電源回路において力率改善のために備えられるパワーチョークコイルPCHは、例えば珪素鋼板のコアと、銅線による巻線とによって構成される。このため、コアの鉄損と、銅線の抵抗による銅損が生じ、その分、このパワーチョークコイルPCHの部分での電力損失が増加することになる。
また、チョークコイルのインダクタンスと抵抗成分によって、交流入力電圧VACの電圧降下も生じることになるが、これにより、交流入力電圧VACを整流して得られる直流入力電圧(整流平滑電圧Ei)も低下することになる。
このようなことから、直流入力電圧を入力して動作する複合共振形コンバータとしての電力変換効率は低下して、交流入力電力も増加することとなる。
例えば図27に示す電源回路の場合、パワーチョークコイルPCHの挿入によって、力率PFは0.55から0.75に改善されるが、総合的な電力変換効率ηAC→DCは、90.6%から87.5%となって3.1%低下する。また、交流入力電力Pinは、165.5Wから171.4Wとなって5.9W増加する。ちなみに、整流平滑電圧Eiは、134Vから115Vとなって19V低下する。
また、図30に示す電源回路の場合では、パワーチョークコイルPCHの挿入により、力率PFは0.60から0.75に改善される。しかし、電力変換効率ηAC→DCは、92.8%から91.1%となって1.7%低下する。また、交流入力電力Pinは、320Wから326.0Wとなって6.0W増加する。整流平滑電圧Eiは、264Vから244Vとなって20V低下する。
また、パワーチョークコイルPCHは、電源回路を構成する部品の中でも大型で重量があることから、基板における占有面積が大きく、また、回路基板も重量化してしまうという問題を有している。
パワーチョークコイルPCHについて、できるだけ漏洩磁束を少ないものとする場合、コアを目字形(EE型若しくはEI型)とすることが行われる。そして、例として、このような目字形コアの場合のパワーチョークコイルPCHの重量及び基板占有面積は、図27に示す電源回路では、153g、11平方cmであり、図30に示す電源回路では、240g、19平方cmとなる。
さらに、上記もしているように、パワーチョークコイルPCHは、漏洩磁束の発生も比較的大きい部品となるが、部品の配置や、漏洩磁束量などの条件によっては、パワーチョークコイルPCHの漏洩磁束が負荷側に影響を与える場合がある。このような場合には、パワーチョークコイルPCHから輻射する漏洩磁束を抑える対策として、磁気シールドなどの部品を追加することになり、基板の大型化、重量化が助長されてしまうことがある。
つまり、チョークインプット方式により力率改善を図る構成の電源回路では、パワーチョークコイルの挿入に起因する電力変換効率の低下、及び電源回路の大型重量化、さらには高コスト化が避けられないという問題を有している。
そこで本発明は上記した課題を考慮してスイッチング電源回路として次のようにして構成する。
つまり、交流入力電圧を整流する整流素子、及びこの整流素子により整流された電圧を平滑する平滑コンデンサを備えて整流平滑電圧を生成する整流平滑手段と、この整流平滑手段により生成される整流平滑電圧の供給を受けてスイッチング動作を行い、ハーフブリッジ結合された2つのスイッチング素子を備えて形成されるスイッチング手段と、上記2つのスイッチング素子を交互オン/オフするようにしてスイッチング駆動するスイッチング駆動手段とを備える。
また、スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線に得られたスイッチング出力としての交番電圧が励起される二次巻線とを少なくとも巻装するとともに、所要の結合係数による疎結合とされる状態が得られるように、所定長のギャップを形成して形成される絶縁コンバータトランスと、少なくとも、一次巻線の漏洩インダクタンス成分と一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、スイッチング手段からのスイッチング出力の供給を受けてスイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路とを備える。
また、二次巻線に得られる交番電圧を入力して、整流動作を行うことで二次側直流出力電圧を生成するように構成された直流出力電圧生成手段と、二次側直流出力電圧のレベルに応じてスイッチング駆動手段を制御して、スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、二次側直流出力電圧に対する定電圧制御を行うように構成された定電圧制御手段を備える。
そして、このようにして構成されるスイッチング電源回路において、一次側直列共振回路に対して直列に挿入される力率改善用一次巻線と、整流平滑手段として形成される整流電流経路に挿入される力率改善用二次巻線とを巻装する力率改善用トランスをさらに備えることとした。そして、整流平滑手段の整流素子は、力率改善用一次巻線によって力率改善用二次巻線に励起される交番電圧に基づいてスイッチング動作を行うように構成することとした。
また、スイッチング電源回路として次のようにも構成することとした。
つまり、交流入力電圧が正/負の各期間においてそれぞれ整流を行う複数の低周波整流素子、及びこの低周波整流素子により整流された電圧を平滑する平滑コンデンサを有する整流平滑手段と、この整流平滑手段により生成される整流平滑電圧の供給を受けてスイッチング動作を行い、ハーフブリッジ結合された2つのスイッチング素子を備えて形成されるスイッチング手段と、上記2つのスイッチング素子を交互オン/オフするようにしてスイッチング駆動するスイッチング駆動手段とを備える。
また、スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線に得られたスイッチング出力としての交番電圧が励起される二次巻線とを少なくとも巻装するとともに、所要の結合係数による疎結合とされる状態が得られるように、所定長のギャップを形成して形成される絶縁コンバータトランスを備える。
また、少なくとも、一次巻線の漏洩インダクタンス成分と一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、スイッチング手段からのスイッチング出力の供給を受けてスイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路を備える。
また、二次巻線に得られる交番電圧を入力して、整流動作を行うことで二次側直流出力電圧を生成するように構成された直流出力電圧生成手段と、二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング駆動手段を制御して、スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、二次側直流出力電圧に対する定電圧制御を行うように構成された定電圧制御手段を備える。
そして、このようにして構成されるスイッチング電源回路において、一次側直列共振回路に対して直列に挿入される力率改善用一次巻線と、整流平滑手段として形成される所定の整流電流経路に対して並列に接続される力率改善用二次巻線とを巻装する力率改善用トランスと、力率改善用二次巻線に対して直列に接続されるもので、交流入力電圧の周波数と比較しては高周波である、力率改善用一次巻線によって力率改善用二次巻線に励起される交番電圧が正/負の各期間において、それぞれスイッチング動作を行う複数の高周波整流素子とを、さらに備えて構成することとした。
また、スイッチング電源回路として次のようにも構成することとした。
つまり、交流入力電圧が正/負の各期間においてそれぞれ整流を行う複数の整流素子、及びこの整流素子により整流された電圧を平滑する平滑コンデンサを有する整流平滑手段と、この整流平滑手段により生成される整流平滑電圧の供給を受けてスイッチング動作を行い、ハーフブリッジ結合された2つのスイッチング素子を備えて形成されるスイッチング手段と、上記2つのスイッチング素子を交互オン/オフするようにしてスイッチング駆動するスイッチング駆動手段とを備える。
また、スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線に得られたスイッチング出力としての交番電圧が励起される二次巻線とを少なくとも巻装するとともに、所要の結合係数による疎結合とされる状態が得られるように、所定長のギャップを形成して形成される絶縁コンバータトランスを備える。
また、少なくとも、一次巻線の漏洩インダクタンス成分と一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、スイッチング手段からのスイッチング出力の供給を受けてスイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路を備える。
また、二次巻線に得られる交番電圧を入力して整流動作を行うことで二次側直流出力電圧を生成するように構成された直流出力電圧生成手段と、二次側直流出力電圧のレベルに応じてスイッチング駆動手段を制御して、スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、二次側直流出力電圧に対する定電圧制御を行うように構成された定電圧制御手段とを備える。
そして、上記構成によるスイッチング電源回路において、一次側直列共振回路に対して直列に挿入される力率改善用一次巻線と、整流平滑手段として形成される所定の整流電流経路に対して並列に接続される力率改善用二次巻線とを巻装する力率改善用トランスをさらに備えて、整流平滑手段の整流素子は、力率改善用一次巻線によって力率改善用二次巻線に励起される交番電圧に基づいてスイッチング動作を行うように構成することとした。
上記各構成による本発明のスイッチング電源回路は、複合共振形コンバータとして、一次側にハーフブリッジ結合方式による電流共振形コンバータを備えた構成を採っていることになる。また、力率改善は、力率改善用トランスによって、複合共振形コンバータのスイッチング出力を整流電流経路に電圧帰還して、整流ダイオードにより整流電流を断続し、これにより交流入力電流の導通角を拡大して力率改善を図る構成が採られる。
このことから本発明は、力率改善機能を有するスイッチング電源回路として、いわゆるチョークインプット方式といわれる、商用交流電源ラインに対してパワーチョークコイルを挿入する構成を採る必要は無いということになる。これによって、チョークインプット方式により力率改善を図る場合よりも電力変換効率が大幅に向上されるという効果を有している。
図1は、本発明の第1の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成例を示している。この図に示す電源回路は、交流入力電圧VAC=100V系のいわゆる単レンジで、負荷電力Po=150W以上の条件に対応する。つまり、対応する負荷条件としては、先に図27に示した電源回路と同様となる。
この図に示す電源回路においては、先ず、商用交流電源ACに対して、コモンモードチョークコイルCMCと1本のアクロスコンデンサCLを接続して形成される、コモンモードノイズフィルタが設けられる。コモンモードノイズフィルタは、例えばスイッチングコンバータ側から商用交流電源ACに伝わるノイズを抑制する。
そして、本実施の形態の電源回路では、商用交流電源ACに対して、整流回路系を含んで形成される力率改善回路3が接続される構成を採る。この力率改善回路3は、図示するようにして、ブリッジ整流回路Di、平滑コンデンサCi、フィルタコンデンサCN、及び疎結合トランスVFT(力率改善用トランス)を備えて形成される。
ブリッジ整流回路Diの正極入力端子は、疎結合トランスVFTの二次巻線N12の直列接続を介して、商用交流電源ACの正極ラインと接続される。また、ブリッジ整流回路Diの負極入力端子は、商用交流電源ACの負極ラインと接続される。
ブリッジ整流回路Diの正極出力端子は、平滑コンデンサCiの正極端子に接続される。平滑コンデンサCiの負極端子は、一次側アースに接続される。また、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子は、一次側アースと接続される。
このようにして形成される力率改善回路3の整流回路系の動作としては、商用交流電源ACから供給される交流入力電圧VACが正/負の各期間において、ブリッジ整流回路Diにより整流された整流出力によって平滑コンデンサCiに対して充電が行われる、いわゆる全波整流動作が得られることになる。つまり、整流回路系の基本構成としては、各1組のブリッジ整流回路及び平滑コンデンサから成る全波整流回路とされる。そして、この全波整流回路の整流動作により、平滑コンデンサCiの両端に、交流入力電圧VACの等倍に対応するレベルの整流平滑電圧Eiを生成する。
そのうえで、力率改善回路3においては、ブリッジ整流回路Diを形成する各整流ダイオード(整流素子)Da〜Ddについて、高速リカバリ型(高周波整流素子)が選定される。これは、後述するようにして、力率改善のための動作として、整流ダイオードDa〜Ddが整流電流をスイッチングすることに対応している。
また、商用交流電源ACの正極ラインに対して疎結合トランスVFTの二次巻線N12を挿入した回路構成を採っている。これは、疎結合トランスVFTの二次巻線N12が整流回路系に直列に挿入されていることを意味する。そして、これによって、結果的には、整流回路系に流れる整流電流の導通角を拡大させる動作が得られて、力率改善が図られる。なお、力率改善回路3による力率改善動作については後述する。
ここで、疎結合トランスVFTの構造例を図2に示しておく。
この図に示すように、疎結合トランスVFTは、フェライト材によるE型コアCR1、CR2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コアを備える。
そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成される、ボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線N11が巻装される。また、他方の巻装部に対して二次巻線N12が巻装される。このようにして一次巻線及び二次巻線が巻装されたボビンBを上記EE型コア(CR1,CR2)に取り付けることで、一次側巻線及び二次側巻線とがそれぞれ異なる巻装領域により、EE型コアの中央磁脚に巻装される状態となる。これにより疎結合トランスVFT全体としての構造が得られる。
また、中央磁脚の接合部分に対して所要のギャップ長のギャップGを形成するようにしており、これにより、所要の結合係数による疎結合の状態が得られるようにしている。この第1の実施の形態、及び後述する第2、第3、第4の実施の形態では、例えばギャップGのギャップ長を1.5mm程度として、結合係数について0.75以下となるようにしている。
図1において、上記整流平滑電圧Eiを直流入力電圧として入力して動作するスイッチングコンバータとしては、この場合、電流共振形コンバータとしての基本構成に対して少なくとも一次側に部分電圧共振回路を備えた、複合共振形コンバータとしての構成を採る。
そして、ここでは、図示するようにして、MOS−FETによる2本のスイッチング素子Q1(ハイサイド),Q2(ローサイド)をハーフブリッジ結合により接続している。スイッチング素子Q1,Q2の各ドレイン−ソース間に対しては、図示する方向により、それぞれダンパーダイオードDD1,DD2を並列に接続している。
また、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間に対しては、部分共振コンデンサCpが並列に接続される。この部分共振コンデンサCpのキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1によっては並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成する。そして、スイッチング素子Q1,Q2のターンオフ時にのみ電圧共振する、部分電圧共振動作が得られるようになっている。なお、この場合には、実際においては、部分電圧共振回路としては、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と直列接続された疎結合トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンス成分L11も含まれることになる。
コントロールIC2は、電流共振形コンバータを他励式により駆動するための発振回路、制御回路、及び保護回路等を備えて構成されるもので、内部にバイポーラトランジスタを備えた汎用のアナログIC(Integrated Circuit)とされる。
このコントロールIC2は、電源入力端子Vccに入力される直流電圧(18V)により動作する。また、電源入力端子Vccは、起動抵抗Rsを介して整流平滑電圧Eiのラインとも接続されている。コントロールIC2は、電源起動時においては、この起動抵抗Rsを介して入力される整流平滑電圧Eiにより起動する。また、このコントロールIC2は、アース端子Eにより一次側アースに接地させるようにしている。
そして、コントロールIC2においては、スイッチング素子に対してドライブ信号(ゲート電圧)を出力するための端子として、2つのドライブ信号出力端子VGH,VGLが備えられる。
ドライブ信号出力端子VGHからは、ハイサイドのスイッチング素子をスイッチング駆動するためのドライブ信号が出力され、ドライブ信号出力端子VGLからは、ローサイドのスイッチング素子をスイッチング駆動するためのドライブ信号が出力される。
そして、ドライブ信号出力端子VGHから出力されるハイサイド用のドライブ信号は、スイッチング素子Q1のゲートに対して印加され、ドライブ信号出力端子VGLから出力されるローサイド用のドライブ信号は、スイッチング素子Q2のゲートに対して印加されるようになっている。
なお、ここでは図示していないが、実際には、コントロールIC2には、周辺の外付け部品により形成されるブートストラップ回路が接続される。このブートストラップ回路は、ハイサイドのスイッチング素子Q1に対して印加されるドライブ信号について、スイッチング素子Q1を適正にドライブ可能なレベルとなるように、レベルシフトするためのものである。
また、実際には、スイッチング素子Q1,Q2には、ゲート抵抗や、ゲート−ソース間抵抗などの部品素子も接続されるが、ここでも、これらの図示は省略している。
コントロールIC2では、内部の発振回路により所要の周波数の発振信号を生成する。なお、この発振回路は、後述するようにして制御回路1から端子Vcに入力される制御出力のレベルに応じて、発振信号の周波数を可変するようにされている。
そして、コントロールIC2では、上記発振回路にて生成された発振信号を利用して、ハイサイド用のドライブ信号と、ローサイド用のドライブ信号を生成する。そして、ハイサイド用のドライブ信号をドライブ信号出力端子VGHから出力し、ローサイド用のドライブ信号をドライブ信号出力端子VGLから出力する。
上記ハイサイド用のドライブ信号と、ローサイド用のドライブ信号は、1スイッチング周期内において、正極性による矩形波のパルスが発生するオン期間と、0Vとなるオフ期間が得られる波形を有する。そして、上記した波形を共に有するものとされた上で、互いに180°の位相差を有する出力タイミングを有する。
このような波形がスイッチング素子Q1,Q2に印加されることで、スイッチング素子Q1,Q2は、交互にオン/オフするようにしてスイッチング動作を行うことになる。
なお、実際のスイッチング動作としては、スイッチング素子Q1がターンオフしてスイッチング素子Q2がターンオンするまでの間と、スイッチング素子Q2がターンオフして、スイッチング素子Q1がターンオンするまでの間に、スイッチング素子Q1,Q2が共にオフとなる、短時間のデッドタイムが形成されるようになっている。
このデッドタイムは、スイッチング素子Q1,Q2が共にオフとなる期間である。このデッドタイムは、部分電圧共振動作として、スイッチング素子Q1,Q2がターンオン/ターンオフするタイミングでの短時間において、部分共振コンデンサCpにおける充放電の動作が確実に得られるようにすることを目的として形成している。そして、このようなデッドタイムとしての時間長は、例えばコントロールIC2側で設定することができるようになっており、コントロールIC2では、設定された時間長による期間tdが形成されるように、ドライブ信号出力端子VGH,VGLから出力すべきドライブ信号についてのパルス幅のデューティ比を可変する。
絶縁コンバータトランスPITはスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力を二次側に伝送するものであり、この場合には、一次巻線N1と二次巻線N2が巻装される。
この場合、絶縁トランスPITの一次巻線N1の一端は、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとの接続点(スイッチング出力点)に対して、疎結合トランスVFTの一次巻線N11−直列共振コンデンサC1の直列接続を介して接続される。また、一次巻線N1の他端は、一次側アースに接続される。
上記した接続態様によると、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力点に対して、直列共振コンデンサC1−疎結合トランスVFTの一次巻線N11−絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の直列回路が接続されていることになる。
従って、この場合には、上記直列共振コンデンサC1のキャパシタンスと、一次巻線N1を含む絶縁コンバータトランスPITのリーケージインダクタンスL1、及び疎結合トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンス成分L11とによって、一次側直列共振回路が形成される。そして、上記のようにして、この一次側直列共振回路がスイッチング出力点に対して接続されていることで、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力が一次側直列共振回路に伝達されることになる。一次側直列共振回路では伝達されたスイッチング出力に応じて共振動作するが、これによって、一次側スイッチングコンバータの動作を電流共振形とする。
従って、この図に示す一次側スイッチングコンバータとしては、一次側直列共振回路(C1−L11−L1)による電流共振形としての動作と、前述した部分電圧共振回路(Cp//L1(-L11))とによる部分電圧共振動作とが得られることになる。
つまり、この図に示す電源回路は、一次側スイッチングコンバータを共振形とするための共振回路に対して、他の共振回路とが組み合わされた形式を採っていることになる。つまり、複合共振形コンバータとしての構成を採っている。
ここでの図示による説明は省略するが、絶縁コンバータトランスPITの構造としては、例えばフェライト材によるE型コアを組み合わせたEE型コアを備える。そして、一次側と二次側とで巻装部位を分割したうえで、一次巻線N1と、次に説明する二次巻線N2を、EE型コアの中央磁脚に対して巻装している。
そして、この第1の実施の形態、及び後述する第2、第3、第4の実施の形態としては、EE型コアの中央磁脚に対しては1.0mm〜1.5mmのギャップを形成するようにしている。これによって、0.7〜0.8程度の結合係数による疎結合の状態を得るようにしている。
絶縁コンバータトランスPITの二次側には、二次巻線N2が巻装されている。この二次巻線N2には、一次巻線N1に伝達されたスイッチング出力に応じた交番電圧が励起される。
二次巻線N2に対しては、図示するようにしてセンタータップを設けて二次側アースに接続した上で、整流ダイオードDO1,DO2、及び平滑コンデンサCOから成る両波整流回路を接続している。これにより、平滑コンデンサCOの両端電圧として二次側直流出力電圧EOが得られる。この二次側直流出力電圧EOは、図示しない負荷側に供給されるとともに、次に説明する制御回路1のための検出電圧としても分岐して入力される。
制御回路1は、例えば二次側の直流出力電圧EOのレベルに応じて、そのレベルが可変される電流又は電圧を制御出力として得る。この制御出力は、コントロールIC2の制御端子Vcに対して出力される。
コントロールIC2では、制御端子Vcに入力された制御出力レベルに応じて、ドライブ信号出力端子VGH,VGLから出力すべきハイサイド用のドライブ信号と、ローサイド用のドライブ信号とについて、互いに交互にオン/オフさせるタイミングを保たせたうえで、各ドライブ信号の周波数を同期させた状態で可変するように動作する。
これにより、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数は、制御端子Vcに入力された制御出力レベル(つまり二次側直流出力電圧レベル)に応じて、可変制御されることになる。
スイッチング周波数が可変されることによっては、一次側直列共振回路における共振インピーダンスが変化することになる。このようにして共振インピーダンスが変化することによっては、一次側直列共振回路の一次巻線N1に供給される電流量が変化して二次側に伝送される電力も変化することになる。これにより、二次側直流出力電圧E0のレベルが変化することとなって定電圧制御が図られることになる。
続いて、先に説明した構成による力率改善回路3の動作を図3の波形図を参照して説明する。
例えば図3(a)示す周期により交流入力電圧VACが得られているとすると、商用交流電源ACから整流電流経路に流れようとする交流入力電流IACは、図3(b)に示すようにして、交流入力電圧VACが正/負の期間において、それぞれ正極性/負極性となるようにして流れる。
また、商用交流電源ACのラインにおけるフィルタコンデンサCNと疎結合トランスVFTの二次巻線N12の端部との接続点と、一次側アースとの間の電位V1は、図3(c)により示す波形が得られる。
ブリッジ整流回路Diの正極入力端子と一次側アース間の電位V2は、図3(e)に示す波形が得られる。
ここで、疎結合トランスVFTにおいては、一次巻線N11に対して一次側スイッチングコンバータのスイッチング出力が伝達される。これに応じて、疎結合トランスVFTの二次巻線N12には、交番電圧が励起されることになる。疎結合トランスVFTの二次巻線N12は、前述もしたように、整流電流経路に挿入されているから、疎結合トランスVFTによっては、一次側スイッチングコンバータのスイッチング出力を整流電流経路に電圧帰還する動作が得られることになる。
上記図3(c)(e)に示す電位V1,V2は、図示するようにして、交流入力電圧IACの導通期間以外の期間において、交番波形成分が重畳されている。これは、上記のようにして、一次側スイッチングコンバータのスイッチング出力が電圧帰還されることで得られる。
そして、これに応じて、商用交流電源ACのラインから疎結合トランスVFTの二次巻線N12に流れようとする電流I2は、図3(f)に示すようにして、定常的な交番波形として流れる。この電流I2は、0レベルを中心に一定の振幅とされたうえで、交流入力電流IACの導通期間に対応して、正極性の整流電流I1の成分が重畳された波形として得られる。
そして、交流入力電圧VACが正極性/負極性となる期間の各々において、図3(c)に示した電位V1が、それぞれ最大/最小となる近傍のタイミングでは、電位V1のレベルが整流平滑電圧Eiよりも高くなる期間が生じ、この期間において、ブリッジ整流回路Diから平滑コンデンサCiに対して、図3(d)に示す整流電流I1が流れる。
ブリッジ整流回路Diを形成する高速リカバリ型の整流ダイオード(Da〜Dd)に整流電流が流れるとき、これらの整流ダイオードでは、疎結合トランスVFTの二次巻線N12に励起された交番電圧に応じて、スイッチング動作を行う。これにより、整流ダイオードに流れる整流電流は断続されることになり、整流電流I1としては、図3(d)に示すようにして交番波形となる。
整流電流I1は、交流入力電圧VACが正の期間内では、フィルタコンデンサCNから商用交流電源ACの正極ラインを介して、二次巻線N12→ブリッジ整流回路Diの整流ダイオードDa→平滑コンデンサCi→一次側アース→整流ダイオードDd→商用交流電源ACの負極ラインによる整流電流経路で流れる。
また、交流入力電圧VACが負の期間内では、フィルタコンデンサCNから商用交流電源ACの負極ラインを介して、整流ダイオードDc→平滑コンデンサCi→一次側アース→整流ダイオードDb→二次巻線N12による整流電流経路で流れる。
このようにして、高速リカバリ型の整流ダイオード(Da〜Dd)によって、整流電流がスイッチングされるようにして断続されることで、整流出力電圧レベルが整流平滑電圧Eiのレベルよりも低いとされる期間にも平滑コンデンサCiへの充電電流が流れるようにされる。
この結果、交流入力電流の平均的な波形が交流入力電圧の波形に近付くようにされることで、図3(b)に示すようにして、交流入力電流IACの導通角が拡大される。このようにして、交流入力電流IACの導通角が拡大される結果、力率改善が図られることになる。
図4には、図1に示した構成による電源回路の特性として、交流入力電圧VAC=100V時における、負荷電力Po=0〜150Wの変動に対する電力変換効率(ηAC/DC)、力率PF、及び整流平滑電圧Eiの変化を示している。
また、図5には、図1に示した構成による電源回路の特性として、負荷電力Po=150W時における、交流入力電圧VAC=85V〜120Vの変動に対する電力変換効率(ηAC/DC)、力率PF、及び整流平滑電圧Eiの変化を示している。
また、参考として、上記図4及び図5に示した実験結果を得るにあたっての、図1に示した回路の各部の定数を示しておく。

フィルタコンデンサCN=1μF
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1=32T
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2:センタータップを分割位置として23T+23T(ターン)
一次側直列共振コンデンサC1=0.068μF
一次側部分共振コンデンサCp=680pF
疎結合トランスVFT:EE−28のフェライトコア、ギャップ長=1.5mm
一次巻線N11のインダクタンスL11=75μH
二次巻線N12のインダクタンスL12=50μH
これら図4及び図5に基づいて、負荷電力Po=150W時における、図1に示す電源回路と、先に図27に示した先行技術としての電源回路とを比較してみると次のようになっている。なお、先行技術としては、図27及び図30の2つの電源回路を示しているが、ここでは図1の電源回路と同等の負荷条件に対応すべき構成を採る図27の回路を比較対象としている。
先ず、力率に関しては、図1に示す回路では力率PF=0.78となっており、先に図27に示した電源回路の力率PF=0.75よりも向上していることが分かる。
また、図1に示す回路の電力変換効率は(ηAC→DC)、ηAC→DC=90.6%であるのに対して、図27に示す回路では、ηAC→DC=87.5%であったから、3.1%向上していることになる。従って、交流入力電力Pinについては、図27に示した回路が171.4Wであるのに対して、図1に示す回路では165.5Wとなっており、5.9W低下していることになる。これは、図27に示す回路構成において、パワーチョークコイルPCHを挿入しない(力率改善無し)の構成と同等の電力変換効率となっている。
整流平滑電圧Eiのレベルについては、図1に示す回路では、Ei=143Vとなっている。図27に示す回路において、パワーチョークコイルPCHを挿入しない(力率改善無し)の構成の場合にはEi=134Vであり、本実施の形態では、これよりも高いレベルの整流平滑電圧Eiが得られていることになる。このような整流平滑電圧Eiの上昇は、整流平滑電圧Eiとして、スイッチング出力の電圧帰還分が重畳されることで得られるものである。
また、図1に示す回路では、パワーチョークコイルPCHが省略され、代わりに、疎結合トランスVFTが設けられている。
図27に示す回路のパワーチョークコイルPCHは、その重量が153gであり、基板占有面積は11平方cmであった。これに対して、図1に示す回路では、疎結合トランスVFTとフィルタコンデンサCNを総合しても、重量が48gであり、図27に示す回路のパワーチョークコイルPCHの約31%にまで軽減されている。また、基板占有面積は9平方cmであるから、約82%程度にまで縮小が図られていることになる。
このようにして、図1に示す電源回路は、力率改善機能を有する負荷電力Po=150W以上に対応可能な電源回路として、図27に示す電源回路よりも、小型、軽量化が図られることになる。
また、パワーチョークコイルPCHが省略されることで、このパワーチョークコイルPCHにて発生する漏洩磁束による負荷側への影響も考慮する必要がない。このため、例えばパワーチョークコイルPCHに磁気シールド板を施すような対策も不要となるから、この点でも、回路の小型軽量化に寄与することになる。
図6は、本発明の第2の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成例を示している。この図に示す電源回路も、交流入力電圧VAC=100V系の単レンジで、負荷電力Po=150W以上の条件に対応する。なお、この図において、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
この図に示す電源回路においては、先ず、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2に対して、並列共振コンデンサC2を並列に接続している。
この並列共振コンデンサC2は、自身のキャパシタンスと二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2によって、二次側並列共振回路を形成するものとされる。そして、並列共振コンデンサC2のキャパシタンスとしては、1000pF〜3300pFが選定される。そして、実際に選定されるキャパシタンスの値により、この二次側並列共振回路は、二次側の整流回路の動作を電圧共振形とする電圧共振回路、又は、部分電圧共振動作を得るための部分電圧共振回路として形成されることになる。
つまり、第2の実施の形態の電源回路は、複合共振形コンバータとして、二次側にも共振回路を備える構成を採っている。このようにして、二次側に共振回路を備えることによっては、より安定したスイッチング動作を得たり、また、より重負荷の条件に対応することが可能となる。
また、この図6に示す電源回路の力率改善回路3は、図1に示した力率改善回路3と比較すると、構成部品として、高速リカバリ型の整流ダイオード(高周波整流素子)D1,D2,D3が追加されている。つまり、この場合には、ブリッジ整流回路Diの整流ダイオードによっては、整流電流をスイッチングにより断続することは行わない。そして、整流電流経路内において、整流電流をスイッチングするためのダイオードとして、上記整流ダイオードD1,D2,D3を備えるものである。また、この場合のブリッジ整流回路Diの整流ダイオードDa〜Ddは、整流電流をスイッチングしないことに対応して、低速リカバリ型(低周波整流素子)とされることになる。
そして、この場合のブリッジ整流回路Diの正極入力端子は、商用交流電源ACと直接接続される。また、ブリッジ整流回路Diの正極入力端子は、疎結合トランスVFTの二次巻線N12の直列接続から、整流ダイオードD1のアノード→カソードを介して平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。また、整流ダイオードD2は、カソードが整流ダイオードD1のアノードと接続され、アノードが一次側アースと接続される。
また、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子は、整流ダイオードD3のアノード→カソードを介して、平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。
また、この場合のフィルタコンデンサCNは、ブリッジ整流回路Diの正極入力端子と、平滑コンデンサCiの正極端子(整流ダイオードD1,D3の各アノードの接続点)との間に挿入される。フィルタコンデンサCNは、次に説明するようにして流れる整流電流がスイッチングされることで得られる高周波成分の電流経路となる。
上記のようにして形成される力率改善回路3の動作は次のようになる。
力率改善回路3において、交流入力電流IACは、商用交流電源ACの正極ラインから、ブリッジ整流回路Diを形成するダイオードDaを介して流れる第1整流電流I1と、商用交流電源ACの正極ラインから、疎結合トランスVFTの二次巻線N12を流れる第2整流電流I2とに分岐して流れることになる。
先ず、交流入力電圧VACが正の期間において、第1整流電流I1は、商用交流電源ACの正極ライン→整流ダイオードDa(ブリッジ整流回路Di)→整流ダイオードD3→平滑コンデンサCi→整流ダイオードDd(ブリッジ整流回路Di)→商用交流電源ACの負極ラインの経路で流れる。
また、第2整流電流I2は、商用交流電源ACの正極ラインから分岐して、二次巻線N12(疎結合トランスVFT)→整流ダイオードD1の経路で流れ、平滑コンデンサCiに流入する。
また、交流入力電圧VACが負の期間では、第1整流電流I1は、商用交流電源ACの負極ライン→整流ダイオードDc(ブリッジ整流回路Di)→整流ダイオードD3→平滑コンデンサCi→整流ダイオードDb(ブリッジ整流回路Di)→商用交流電源ACの正極ラインの経路で流れる。
また、第2整流電流I2は、商用交流電源ACの負極ライン→整流ダイオードDc(ブリッジ整流回路Di)→整流ダイオードD1→平滑コンデンサCiに流れた後に分岐して、整流ダイオードD2→二次巻線N12(疎結合トランスVFT)→商用交流電源ACの正極ラインの経路で流れる。
そして、力率改善回路3内には、疎結合トランスVFTの二次巻線N12に励起された交番電圧によって、スイッチング出力が電圧帰還されている。このため、上記のようにして整流電流が流れる過程において、第1整流電流I1は、高速リカバリ型の整流ダイオードD3により、第2整流電流I2は、高速リカバリ型の整流ダイオードD1,D2(及びD3)により、それぞれスイッチングされることで交番波形となる。
なお、このようにしてスイッチング周期により交番波形として得られる高周波の電流成分は、フィルタコンデンサCNにて充放電されるようにして吸収され、ノーマルモードノイズが抑制される。
このようにして、高速リカバリ型の整流ダイオードD1,D2,D3によって、整流電流がスイッチングされるようにして断続される結果、交流入力電流IACの導通角が拡大され、力率改善が図られる。
そして、このような構成による図6に示す電源回路においても、図1に示した電源回路と同様に、図27の電源回路と比較した場合には、電力変換効率の向上、回路基板の小型軽量化が図られることになる。
また、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と平滑コンデンサCiの正極との間に挿入される整流ダイオードD3は、例えば交流入力電圧VACがほぼピークレベルとなる近辺においてのみ整流電流をスイッチングして流すように動作する。これにより、整流ダイオードD1,D2側に流れる整流電流についての、交流入力電圧VACのピークに応じて生じるピークレベルが抑制されることになり、整流ダイオードD1,D2におけるスイッチング損失と、これに伴う発熱を低減することができる。
図7は、本発明の第3の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。先に図1及び図6に示した、第1及び第2の実施の形態の電源回路が、交流入力電圧VAC=100V系の単レンジで、負荷電力Po=150W以上の条件に対応するのに対し、この第3の実施の形態としての電源回路は、同じ交流入力電圧VAC=100V系の単レンジであっても、負荷電力Po=250W以上の条件に対応する。従って、対応可能な負荷条件としては、図30に示した電源回路と同様となる。
なお、この図において、図1又は図6と同一部分には同一符号を付し、同様となる構成部位についての説明は省略する。
この図に示す電源回路においては、力率改善回路3内に備えられる整流回路系の基本的な構成として、倍電圧整流回路が形成される。
つまり、2本の直列接続した平滑コンデンサCi1,Ci2を備え、この平滑コンデンサCi1−Ci2の直列回路を、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と一次側アース間に対して並列に挿入する。
そして、商用交流電源ACの負極ラインを、平滑コンデンサCi1−Ci2の接続点に対して接続する。代わりに、ブリッジ整流回路Diの負極入力端子は、同じブリッジ整流回路Diの正極入力端子に接続して、整流電流経路内において、ブリッジ整流回路Diを形成する整流ダイオードDa,Dcが並列に接続されるようにする。
また、この場合のブリッジ整流回路Diの各整流ダイオードDa〜Ddは、整流電流をスイッチングすることに対応して、高速リカバリ型とされている。
このようにして形成される倍電圧整流回路は、後述するような整流動作によって、交流入力電圧VACの2倍のレベルに対応する整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を生成する。倍電圧整流回路によって、整流平滑電圧Eiのレベルを上昇させることで、例えば図1及び図6に示した回路よりも重負荷の条件に対応可能な構成としているものである。
上記した力率改善回路3の力率改善動作について、図8の波形図を参照して説明する。また、ここでは力率改善回路3の力率改善動作と共に、この力率改善回路3に含まれるとされる、倍電圧整流回路の整流動作についても説明する。
ここで、図8(a)示す周期により交流入力電圧VACが入力されているとすると、図8(c)に示す電位V1は、図示するようにして、交流入力電圧VACが正となる期間で最大値となり、交流入力電圧VACが負となる期間で0Vの最小値となる正弦波となる。この電位V1は、図示するようにして、第2整流電流I2が流れる経路である、商用交流電源ACの正極ラインにおけるフィルタコンデンサCNと疎結合トランスVFTの二次巻線N12の接続点と、一次側アースとの間の電位である。
そして、この第2整流電流I2は、交流入力電圧VACの絶対値が、上記図8(c)に示す電位V1の絶対値よりも高いとされる正/負の各期間において、交流入力電流IACを基として流れることになる。第2整流電流I2は、図8(e)に示すようにして、交流入力電圧VACが正極性/負極性の各期間において、それぞれ正極性/負極性により、図示する交番波形により流れる。
先ず、商用交流電源VACが正極性となる期間においては、第2整流電流I2は、フィルタコンデンサCNから商用交流電源ACの正極ラインを介して、疎結合トランスVFTの二次巻線N12を流れ、さらに、ブリッジ整流回路Diの整流ダイオードDa//Dcの並列回路を流れる。そして、整流ダイオードDa//Dcの並列回路を経由した電流は、第1整流電流I1として、平滑コンデンサCi1の正極端子→負極端子に流入して、さらに、商用交流電源ACの負極ラインからフィルタコンデンサCNに流入する。
また、交流入力電圧VACが負となる期間においては、第2整流電流は、フィルタコンデンサCNから商用交流電源ACの負極ラインを経由して、平滑コンデンサCi2の正極端子→負極端子に流入し、さらに一次側アースを介するようにして、ブリッジ整流回路Diの整流ダイオードDbに流れる。そして、整流ダイオードDbを経由した整流電流I2は、疎結合トランスVFTの二次巻線N12を介して、商用交流電源ACの正極ラインからフィルタコンデンサCNに流入する。
上記したような整流電流の流れによると、先ず、整流動作としては、交流入力電圧VACが正極性の期間において平滑コンデンサCi1に対する充電が行われることになって、この平滑コンデンサCi1には、交流入力電圧VACに対して等倍となるレベルの整流平滑電圧が得られる。同様にして、交流入力電圧VACが負極性の期間においては、平滑コンデンサCi2に対する充電が行われるので、この平滑コンデンサCi2にも、交流入力電圧VACに対して等倍レベルの整流平滑電圧が得られる。
この結果、平滑コンデンサCi1−Ci2の直列接続回路の両端電圧としては、交流入力電圧VACの2倍のレベルに対応する整流平滑電圧Eiが得られることになる。つまり、倍電圧整流動作が得られることになる。
なお、上記第2整流電流I2は、交流入力電圧VACが正極性となる期間のみではあるが、整流ダイオードの並列回路(Da//Dc)に流すようにしている。これは、図7に示す電源回路が、図1又は図6に示す実施の形態の電源回路よりも重負荷の条件であることに対応している。つまり、重負荷の条件となるのに従って整流電流量は増加するのであるが、上記のように整流電流を整流ダイオードに並列に流すようにすれば、整流ダイオードに流れる電流量が低減されることになるので、それだけ、整流ダイオードにかかる負担を軽減することができるものである。
また、このような回路構成による力率改善回路3においても、疎結合トランスVFTの二次巻線N2に交番電圧が励起され、整流電流経路にスイッチング周期の交番電圧成分が重畳されることになる。つまり、整流電流経路に対してスイッチング出力が電圧帰還される。そして、スイッチング周期の交番電圧成分が重畳されることによって、ブリッジ整流回路Diの整流ダイオードは、整流電流をスイッチングする動作が得られる。
つまり、上記した整流電流経路からも分かるように、交流入力電圧VACが正極性の期間では、整流ダイオードDa,Dcにおいて整流電流をスイッチングして断続する動作が得られ、結果的に、図8(d)(e)に示すようにして、第1整流電流I1、第2整流電流I2は、スイッチング周期による交番波形となって整流電流経路を流れる。
また、交流入力電圧VACが負極性の期間では、整流ダイオードDbにおいて整流電流をスイッチングして断続する動作が得られることになり、図8(e)に示すようにして、負極性方向により流れる交番波形となるものである。
そして、このようにして、ブリッジ整流回路Diの整流ダイオードによって整流電流がスイッチングされることによっては、これまで説明してきたように、図8(b)に示すように交流入力電流IACの導通角が拡大され、力率改善が図られることとなる。
図9に、図7に示した構成による電源回路の特性として、交流入力電圧VAC=100Vにおける、負荷電力Po=0〜300Wの変動に対する電力変換効率(ηAC/DC)、力率PF、及び整流平滑電圧Eiの変化を示す。
また、図10に、図7に示した構成による電源回路の特性として、負荷電力Po=300Wにおける、交流入力電圧VAC=85V〜120Vの変動に対する電力変換効率(ηAC/DC)、力率PF、及び整流平滑電圧Eiの変化を示している。
また、参考として、上記図9及び図10に示した実験結果を得るにあたっての、図7に示した回路の各部の定数を示しておく。

フィルタコンデンサCN=1μF
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1=35T
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2:センタータップを分割位置として25T+25T(ターン)
一次側直列共振コンデンサC1=0.039μF
一次側部分共振コンデンサCp=680pF
疎結合トランスVFT:EE−28のフェライトコア、ギャップ長=1.5mm
一次巻線N11のインダクタンスL11=130μH
二次巻線N12のインダクタンスL12=100μH
これら図9及び図10に示す実験結果から、図7に示す電源回路と、先行技術として示した図30に示す回路とについて、負荷電力Po=300Wの負荷条件での比較を行うと、次のようになる。
先ず、力率に関しては、図7に示す回路では力率PF=0.80となっており、図30に示す電源回路の力率PF=0.75よりも向上していることが分かる。
また、図7に示す回路の電力変換効率(ηAC→DC)は、ηAC→DC=93.5%であるのに対して、図30に示す回路では、ηAC→DC=91.1%であったから、2.4%向上していることになる。従って、交流入力電力Pinについては、図30に示した回路が326.0Wであるのに対して、図7に示す回路では317.5Wとなっており、8.5W低下していることになる。これは、図30に示す回路構成において、パワーチョークコイルPCHを挿入しない(力率改善無し)の構成と比較しても、さらに電力変換効率が向上されているという結果が得られている。
整流平滑電圧Eiのレベルについては、図7に示す回路では、Ei=269Vとなっている。図30に示す回路において、パワーチョークコイルPCHを挿入しない(力率改善無し)の構成の場合にはEi=264Vであり、本実施の形態では、これよりも高いレベルの整流平滑電圧Eiが得られていることになる。
そして、この図7に示す回路についても、実装部品の観点から図30の回路と比較を行った場合には、パワーチョークコイルPCHが省略される代わりに、疎結合トランスVFTが設けられていることになる。
図30に示す回路の場合には、より重負荷の条件に対応するために、パワーチョークコイルPCHの重量は240gであり、基板占有面積は19平方cmであった。これに対して、図7に示す回路においては、疎結合トランスVFT及びフィルタコンデンサCNの総重量は48gであり、また、疎結合トランスVFTの占有面積は9平方cmであるから、重量は20%程度にまで軽減され、占有面積は、47%程度と大幅に縮小されている。
このように、図7に示す電源回路としても、力率改善機能を有する負荷電力Po=250W以上に対応可能な電源回路として、図30に示す電源回路と比較して大幅に小型、軽量化が図られることになる。
また、図7の電源回路についても、パワーチョークコイルPCHにて発生する漏洩磁束による負荷側への影響を考慮した、磁気シールド板等の対策が不要となる。
図11は、本発明の第4の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。この第4の実施の形態としての電源回路も、図7に示した第3の実施の形態の電源回路と同様にして、交流入力電圧VAC=100V系の単レンジで、負荷電力Po=250W以上の条件に対応した構成を採る。なお、図1、図6、及び図7と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
先ず、この図に示す電源回路においても、負荷電力Po=250W以上の条件に対応するために、力率改善回路3内に備えられる整流回路系としては、倍電圧整流回路が形成され、直列接続された平滑コンデンサCi1−Ci2の両端に得られる整流平滑電圧Eiとしては、交流入力電圧VACの2倍に対応したレベルを有する。
但し、この図11に示すブリッジ整流回路Diを形成する整流ダイオードDa〜Ddには、低速リカバリ型が選定される。つまり、この場合には、ブリッジ整流回路Diの整流ダイオードによっては、整流電流をスイッチングにより断続することは行わない。そして、整流電流経路内において、整流電流をスイッチングするためのダイオードとして、高速リカバリ型の整流ダイオードD1,D2が備えられる。
この場合のブリッジ整流回路Diの正極入力端子は、商用交流電源ACの正極ラインとフィルタコンデンサCNの接続点に対して接続される。また、ブリッジ整流回路Diの正極入力端子は、疎結合トランスVFTの二次巻線N12−整流ダイオードD1(アノード→カソード)を介して平滑コンデンサCi1の正極端子に接続される。整流ダイオードD2は、アノードを一次側アースに接続し、カソードを整流ダイオードD2のカソードに接続するようにされる。
また、この場合のブリッジ整流回路Diの負極入力端子も、同じブリッジ整流回路Diの正極入力端子と接続することで、後述するようにして形成される整流電流経路内において、整流ダイオードDa//Dcの並列回路が形成されるようにしている。
上記のようにして形成される力率改善回路3において、交流入力電圧VACが正極性となる期間の整流電流は、商用交流電源ACのラインから、整流ダイオードDa→平滑コンデンサCi1→商用交流電源ACの負極ラインの経路により流れる第1整流電流I1の成分と、疎結合トランスVFTの二次巻線N12→整流ダイオードD1→平滑コンデンサCi1→商用交流電源ACの負極ライン→フィルタコンデンサCNの経路により流れる第2整流電流I2の成分とに分岐することになる。
ここで、整流ダイオードDaはスイッチングを行わないので、第1整流電流I1は交番波形とは成らないが、疎結合トランスVFTの二次巻線N12に励起された交番波形によって、整流ダイオードD1がスイッチングを行うことで、第2整流電流I2は交番波形となる。
一方、交流入力電圧VACが負極性となる期間では、整流電流は、商用交流電源ACの負極ライン側から、先ず、平滑コンデンサCi2に流れる。そして、この後において、整流ダイオードDb→商用交流電源ACの正極ラインの経路と、整流ダイオードD2→疎結合トランスVFTの二次巻線N12→商用交流電源ACの正極ライン→フィルタコンデンサCNの経路とに分岐して流れる。後者の経路により流れる整流電流が、この場合には、第2整流電流I2となる。
なお、この場合にも、整流ダイオードDbはスイッチングを行わないので、前者の経路で流れる整流電流は交番波形とは成らない。これに対して、疎結合トランスVFTの二次巻線N12に励起された交番波形によって、整流ダイオードD2がスイッチングを行うことで、後者の経路で流れる第2整流電流I2は交番波形となる。
このようにして、図11に示す力率改善回路では、交流入力電圧VACが正極性/負極性となる各期間において、整流電流は、ブリッジ整流回路Diの所要の整流ダイオードを流れる経路と、高速リカバリ型の整流ダイオードD1又はD2を流れる経路とにより、並列的に分岐して流れる経路部分が形成される。
そして、高速リカバリ型の整流ダイオードD1又はD2側の経路で流れる整流電流が、これら整流ダイオードD1又はD2によりスイッチングされることになるが、これによって、これまでの説明と同様に、交流入力電流IACの導通角は拡大されて力率改善が図られることになる。
また、上記した整流電流経路によると、整流動作としては、この図11に示す電源回路においても、交流入力電圧VACが正極性の期間において平滑コンデンサCi1に対する充電が行われ、交流入力電圧VACが負極性の期間においては、平滑コンデンサCi2に対する充電が行われる。従って、この場合にも、平滑コンデンサCi1−Ci2の直列接続回路の両端電圧として、交流入力電圧VACの2倍のレベルに対応する整流平滑電圧Eiを生成する倍電圧整流動作となっていることが分かる。
また、図11に示す電源回路においては、図6に示した第2の実施の形態の場合と同様に、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2に対して、並列共振コンデンサC2を並列に接続している。
この場合の並列共振コンデンサC2も、自身のキャパシタンスと二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2によって、二次側の整流回路の動作を電圧共振形とする電圧共振回路、又は、部分電圧共振動作を得るための部分電圧共振回路を形成する。
なお、このような二次側並列共振回路は、図1及び図7に示した第1及び第3の実施の形態の電源回路に備えても構わない。また、例えば二次巻線N2に対して共振コンデンサを直列的に接続して形成される二次側直列共振回路(電流共振回路)を備えることも考えられる。
図12は、本発明の第5の実施の形態としての電源回路の構成を示している。
この第5の実施の形態としての電源回路は、例えば商用交流電源AC=200V系の単レンジで、負荷電力Po=250W以上の条件に対応した構成を採る。なお、図1、図6、図7、及び図11と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
先ず、この図に示す電源回路においては、ドライブ制御回路4が示されているが、これは、例えば先に説明した各実施の形態の電源回路の回路図において備えられていた制御回路1とコントロールIC2とを一括し、1つの回路部として示しているものである。
また、この図に示す力率改善回路3としては、ブリッジ整流回路Diと1本の平滑コンデンサCiから成る全波整流回路が形成されており、この全波整流回路に対して、高速リカバリ型の整流ダイオードD1,D2と疎結合トランスVFTを備えた力率改善のための回路構成が付加される。
この場合、ブリッジ整流回路Diを形成する各整流ダイオードDa〜Ddには低速リカバリ型が選定される。そして、この場合には、ブリッジ整流回路Diの正極入力端子(Da-Dbの接続点)を商用交流電源ACの正極ライン側におけるコモンモードチョークコイルCMCとフィルタコンデンサCNの接続点に対して接続している。
このブリッジ整流回路Diの正極入力端子は、力率改善用の疎結合トランスVFTの二次巻線N12−整流ダイオードD1(アノード→カソード)の直列接続を介して、平滑コンデンサCiの正極端子(整流平滑電圧Eiの正極ライン)とも接続される。これは、疎結合トランスVFTの二次巻線N12−整流ダイオードD1の直列接続が、ブリッジ整流回路Diの整流ダイオードDaに対して並列に接続されているものとみることができる。
また、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子(Da-Dcの接続点)は、平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。
また、ブリッジ整流回路Diの負極入力端子(Dc-Ddの接続点)は、商用交流電源ACの負極ライン側におけるコモンモードチョークコイルCMCとフィルタコンデンサCNの接続点に対して接続される。ブリッジ整流回路Diの負極出力端子は一次側アースに接続される。
また、疎結合トランスVFTの二次巻線N12と整流ダイオードD1のアノードとの接続点に対しては、整流ダイオードD2のカソードが接続される。整流ダイオードD2のアノードは、一次側アースに対して接続される。
上記のようにして形成される力率改善回路3において、交流入力電圧VACが正極性となる期間では、整流電流は、商用交流電源ACの正極ライン→整流ダイオードDa→平滑コンデンサCi→整流ダイオードDd→商用交流電源ACの負極ラインの整流電流経路により流れる第1整流電流の成分と、商用交流電源ACの正極ライン→疎結合トランスVFTの二次巻線N12→整流ダイオードD1→平滑コンデンサCi→整流ダイオードDd→商用交流電源ACの負極ライン→フィルタコンデンサCNの整流電流経路により流れる第2整流電流の成分とに分岐する。
ここで、第1整流電流が流れる整流電流経路において整流を行う整流ダイオードDa,Ddは低速リカバリ型であり、スイッチング周期によるスイッチング動作は行わない。従って、第1整流電流は交番波形とはならない。
一方、第2整流電流が流れる経路においては、疎結合トランスVFTの二次巻線N12に励起される交番電圧によって、整流ダイオードD1において整流電流をスイッチングする動作が得られることになる。これにより、第2整流電流は、交番波形となって平滑コンデンサCiに流入する。
また、交流入力電圧VACが負極性となる期間では、整流電流は、商用交流電源ACの負極ライン→整流ダイオードDc→平滑コンデンサCi→整流ダイオードDb→商用交流電源ACの正極ラインによる整流電流経路により流れる第1整流電流と、商用交流電源ACの負極ライン→整流ダイオードDc→平滑コンデンサCi→整流ダイオードD2→疎結合トランスVFTの二次巻線N12→商用交流電源ACの負極ライン→フィルタコンデンサのCNの経路で流れる第2整流電流とに分岐する。
ここで、交流入力電圧VACが負極性となる期間における第1整流電流を整流する整流ダイオードDc,Dbは低速リカバリ型であり、スイッチング動作は行わないので、第1整流電流は交番波形とはならない。
これに対して、第2整流電流は、疎結合トランスVFTの二次巻線N12に励起される交番電圧によってスイッチング動作を行う高速リカバリ型の整流ダイオードD2によってスイッチングされることになり、交番波形となるものである。
このようにして、図12に示す電源回路の力率改善回路3としても、交流入力電圧VACが正極性/負極性となる各期間において、疎結合トランスVFTにより電圧帰還されたスイッチング出力に応じて整流電流がスイッチングされて交番波形となる。これによって、これまでの説明と同様に、交流入力電流IACの導通角は拡大されて力率改善が図られることになる。
ここで、図12に示す第5の実施の形態の電源回路において備えられる疎結合トランスVFTとしても、先に図2に示した構造をとればよいものとされる。ただし、この図12に示す電源回路の場合には、疎結合トランスVFTのEE型コアの中央磁脚に形成するギャップ長としては1mm程度として、一次巻線N11と二次巻線N12の結合係数を0.8程度となるように設定することとしている。例えば先の各第1〜第4の各実施の形態においては、その結合係数は、0.75以下となるように、ギャップ長は1.5mm程度に設定されていた。
このような本実施の形態における疎結合トランスVFTの結合係数の変更は、絶縁コンバータトランスPITにおいて設定する結合係数と関連している。この点について説明する。
ここで、図12に示す電源回路として、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と二次巻線N2側との結合係数について、先の各実施の形態の場合と同様に、0.7〜0.8程度の結合係数による疎結合の状態を設定しているとした場合の、等化回路を図14に示す。
図12に示した回路の場合、疎結合トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンス(LN11)は、一次巻線N11における励磁インダクタンスLe11と、リーケージインダクタンスLk11の直列接続として示すことができる。
また、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のインダクタンス(LN1)は、この一次巻線N1における励磁インダクタンスLe1と、リーケージインダクタンスLk1の直列接続として示すことができる。
そして、図12からも分かるように、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と、疎結合トランスVFTの一次巻線N11とは、一次側直列共振回路内において直列接続されている関係にある。
従って、図14に示す等化回路によると、絶縁コンバータトランスPIT側からみた、一次巻線N1のリーケージインダクタンスは、一次巻線N11における励磁インダクタンスLe11と、一次巻線N11におけるリーケージインダクタンスLk11と、一次巻線N1におけるリーケージインダクタンスLk1の直列接続として表されることになる。つまり、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のリーケージインダクタンスの実際は、
Lk11+Lk1
として表されることになる。これは、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に対して疎結合トランスVFTの一次巻線N11が直列接続されていることで、実際には、絶縁コンバータトランスPIT単体で得られるリーケージインダクタンスよりも大きな値のリーケージインダクタンスが、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1側で生じることを意味する。
これにより、電源回路全体として見た場合の一次側と二次側の結合係数は、0.8以下となることが分かっている。
例えば電源回路における結合係数が0.8以下となるような状態では、負荷電力が大幅に変動する場合において、軽負荷の条件となるのに従って直流入力電圧が上昇して電圧変動特性が大きくなる。
そこで、例えば交流入力電圧の定格電圧の±20%から負荷オープンまでの定電圧制御範囲を保証するのにあたり、整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を生成するための平滑コンデンサ(Ci)、スイッチング素子(Q1,Q2)、及び一次側直列共振コンデンサC1等について相応の高耐圧品を選定する必要が生じる。これは、例えば部品素子の大型化に伴う回路基板の大型重量化やコストアップを招くことになる。
また、軽負荷となるのに応じて直流入力電圧が上昇することによっては、特に軽負荷の条件となっていくのに従って、MOS−FETとしてのスイッチング素子におけるオン抵抗が増加して、スイッチング損失も増加する。これにより、AC/DC電力変換効率が低下していくということにもなる。
また、軽負荷となるのに応じて直流入力電圧が上昇するということは、直流入力電圧の変動幅が大きいということになるが、これにより、定電圧化のためのスイッチング周波数制御範囲が拡大し制御範囲が縮小する。また、これと同時に安定化制御される二次側直流出力電圧については、最大負荷と軽負荷の間での過渡応答特性が低下する場合がある。
そこで本実施の形態としては、絶縁コンバータトランスPIT単体で、0.90以上の結合係数が得られるように構成することとする。
絶縁コンバータトランスPITの構造としては、例えば図13に示すように、フェライト材によるE型コアCR11、CR12を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コアを備える。
そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成される、ボビンBを備える。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線N1を巻装し、他方の巻装部に対して二次巻線N2を巻装する。このようにして一次巻線及び二次巻線が巻装されたボビンBを上記EE型コア(CR11,CR12)に取り付けることで、一次側巻線及び二次側巻線とがそれぞれ異なる巻装領域により、EE型コアの中央磁脚に巻装される状態となる。これにより、絶縁コンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。
そして、この場合においては、中央磁脚の接合部分に形成されるギャップGのギャップ長を設定することにより、0.90以上の結合係数を得るようにされる。ここで、結合係数を0.90以上とするためには、例えばギャップ長を約0.5mm以下(ギャップ長=0mmの場合も含む)の範囲で適宜設定すればよい。
このようにして、絶縁コンバータトランスPITの結合係数を0.90以上に設定した場合における、図12の電源回路の等化回路を図15に示す。
この図に示すようにして、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と疎結合トランスVFTの一次巻線N11との直列接続回路の部位については、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の励磁インダクタンスLe1と、疎結合トランスVFTの一次巻線N11の励磁インダクタンスLe11との間に、1つのリーケージインダクタンス成分(Lk11+LK1)が直列に接続されるものとしてみることができる。
そして、上記図15に示す等化回路により示されることを前提として、絶縁コンバータトランスPITについては、
EER−40コア
ギャップ長=0.4mm
一次巻線N1=22T
二次巻線N2:センタータップを分割位置として14T+14T
とすることで、0.93の結合係数とした。これにより、
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のインダクタンスLN1=319μH
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のリーケージインダクタンスLK1=49μH
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2のインダクタンスLN2=111μH
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のリーケージインダクタンスLK2=17μH
という各インダクタンス値が得られた。また、疎結合トランスVFTとしては前述もしたように0.8程度の結合係数とするのであるが、実際には、EE−28のフェライトコアとしたうえで、ギャップ長を1mmに設定して結合係数は0.79としたところ、
疎結合トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンスLN11=70μH
疎結合トランスVFTの二次巻線N12のインダクタンスLN12=17μH
という各インダクタンス値が得られた。
そしてこの結果、図12に示す構成の電源回路として、図15の等化回路として示される回路全体の結合係数は、0.84となり、0.80よりも大きな結合係数が得られることとなっている。
図16は、上記のようにして、図15の等化回路として0.84の結合係数を有する、図12の電源回路についての実験結果として、交流入力電圧VAC=230V時で、負荷電力Po=0W〜250Wの変動に対する、AC/DC電力変換効率(ηAC/DC)、力率PF、及び整流平滑電圧Eiの変化を示している。なお、この図に示す実験結果を得るのにあたっては、一次側直列共振コンデンサC1については、0.039μFを選定した。
図16によると、整流平滑電圧Eiのレベルは、負荷電力Po=0W〜250Wの変動に対して336V〜327Vで9Vの変動範囲となっており、その変動幅が充分に抑制されている。つまり、回路全体としての結合係数について所要以上(例えば0.8以上)を維持していることで、軽負荷の条件となるのに従って整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)が大幅に上昇する現象が生じなくなっているものである。
そして、AC/DC電力変換効率は、負荷電力Po=0Wから重負荷の条件となるのに従って高くなっていく傾向となっている。ここで、負荷変動範囲は異なるが、例えば先の第1の実施の形態の電源回路の特性として示した図4と比較してみると、軽負荷とされる負荷変動範囲(例えば図16では、負荷電力Poが約100W以下の範囲)における曲線の変化が、より緩やかなものとなっていることが確認できる。つまり、軽負荷とされる負荷条件での電力変換効率の低下が抑制されている。
また、力率としては、負荷電力Po=100W〜250Wの範囲でPF>0.75を維持しており、電源高調波歪み規制をクリアする。
上記図16に示した実験結果に示すようにして、整流平滑電圧Eiのレベル変動幅が抑制されることで、図12に示す電源回路としては、例えば交流入力電圧の定格電圧の±20%から負荷オープンまでの定電圧制御範囲を保証するのにあたり、平滑コンデンサCi、スイッチング素子(Q1,Q2)、及び一次側直列共振コンデンサC1等についての耐圧を高いものとする必要がないこととなる。これにより、回路基板の小型軽量化及び低コスト化を図ることが可能となる。
また、上記図16に示しているように、軽負荷の条件におけるAC/DC電力変換効率の低下も抑制されている。また、軽負荷の条件での直流入力電圧の変動幅が抑制されることで、相対的に、スイッチング周波数制御範囲に対する定電圧制御レベル幅が小さなものとなる。つまり、スイッチング周波数制御範囲は、相対的に拡大することとなって、これにより、レギュレーション範囲も拡大するようにして改善される。また、これに伴って、二次側直流出力電圧を安定化する際における、最大負荷と軽負荷の間での過渡応答特性も改善されることになる。
また、先に記述したように、絶縁コンバータトランスPITの実際の構成としては、一次巻線N1=22Tと設定されているが、これは、ギャップ長を短くして結合係数を高めたことによって、例えば結合係数が0.8以下の場合と比較して、そのターン数が少なくなっていることを示している。
例えば、結合係数を0.8以下として構成する場合には、一次巻線N1のターン数については33T程度が必要となる。
このようにしてターン数が削減されることで、1つあたりの絶縁コンバータトランスPITについての、巻線としての線材のコストが削減されることになる。線材としては例えば60μφ/150束のリッツ線が選定される。また、ターン数が少なくなる分、巻線工程の時間も短縮され、製造能率の向上にもつながることになる。
図12に示した第5の実施の形態の電源回路についての変形例について説明しておく。
先ず第1例としては、図12の回路の二次側において破線で括って示すようにして、この第5の実施の形態の電源回路としても、先に図6に示した第2の実施の形態のようにして、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2に対して、並列共振コンデンサC2を並列に接続して構成する。
この場合の並列共振コンデンサC2も、自身のキャパシタンスと二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2によって、二次側並列共振回路を形成するものとされる。そして、実際に選定される並列共振コンデンサC2のキャパシタンスの値により、この二次側並列共振回路は、二次側の整流回路の動作を電圧共振形とする電圧共振回路、又は、部分電圧共振動作を得るための部分電圧共振回路として形成される。
また、変形例の第2例としては、力率改善回路3として、図12に示す構成に代えて、図1に示した回路構成とするものである。この場合、回路構成的には、図1と同様となるが、絶縁コンバータトランスPIT及び疎結合トランスVFTの結合係数について、先に説明したようにして設定することで、第5の実施の形態としての構成の電源回路が得られることになる。
何れの例を採用するにせよ、第5の実施の形態としては、回路全体として所要の結合係数が得られるようにして、力率改善用トランスと絶縁コンバータトランスの結合係数を設定することとし、特に絶縁コンバータトランスについては、疎結合ではないとされる所要の結合係数となるように設定することで、負荷変動に応じた直流入力電圧(整流平滑電圧)の変化幅を抑制することとしている。これにより、スイッチング素子、及び直流入力電圧生成用の平滑コンデンサなどについて高耐圧品を選定する必要が無くなり、それだけ、コストダウンや回路基板の小型軽量化を図ることを可能としている。また、これによっても電力変換効率についての低下の抑制、若しくは向上が促進され、さらには、定電圧制御範囲の拡大も図られる。
続いては、第6の実施の形態としての電源回路について説明する。この第6の実施の形態の電源回路は、上記第5の実施の形態としての電源回路の構成を基本としている。
ただし、第5の実施の形態の電源回路が電源回路が、例えば商用交流電源AC=200V系の単レンジで、負荷電力Po=250W以上の条件に対応しているのに対して、第6の実施の形態としての電源回路は、商用交流電源AC=100V系の単レンジで、負荷電力Po=250W以上の条件に対応する。
第6の実施の形態の電源回路は、商用交流電源AC=100V系が入力されるのに対応して、整流回路系を含む力率改善回路3としての構成が変更されている。
図17は、第6の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。なお、この図において、第1〜第5の実施の形態の電源回路としての構成を示した各図(図1、図6、図7、図11、図12等)と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
この図に示す電源回路の力率改善回路3においては、商用交流電源ACが100V系であることに対応して、倍電圧整流回路が備えられる。
先ず、整流回路Diとしては低速リカバリ型の整流ダイオードDa,Dbから成る。整流ダイオードDaのアノードは商用交流電源ACの正極ライン側のコモンモードチョークコイルCMCとフィルタコンデンサCNの接続点に対して接続され、カソードは、平滑コンデンサCi1の正極端子(整流平滑電圧Eiの正極ライン)に対して接続される。
また、整流ダイオードDbのアノードは一次側アースに接続され、カソードは、整流ダイオードDaのアノードと接続される。
また、平滑コンデンサは、2本の直列接続した平滑コンデンサCi1−Ci2を備える。平滑コンデンサCi1の正極端子は、上記したように、整流ダイオードDaのカソードと接続される。平滑コンデンサCi2の負極端子は一次側アースに接続される。また、平滑コンデンサCi1の負極端子と平滑コンデンサCi2の正極端子の接続点は、商用交流電源ACの負極ライン側のコモンモードチョークコイルCMCとフィルタコンデンサCNの接続点に対して接続される。
また、力率改善回路3において、商用交流電源ACの正極ライン側のコモンモードチョークコイルCMCとフィルタコンデンサCNの接続点と、平滑コンデンサCi1の正極端子(整流平滑電圧Eiの正極ライン)との間には、疎結合トランスVFTの二次巻線N12と高速リカバリ型の整流ダイオードD1の直列回路が接続される。この場合、整流ダイオードD1は、アノードが二次巻線N12と接続され、カソードが平滑コンデンサCi1の正極端子と接続される。
また、整流ダイオードD1のアノードと、疎結合トランスVFTの二次巻線N12の接続点に対しては、高速リカバリ型の整流ダイオードD2のカソードが接続され、アノードは一次側アースと接続される。
このようにして構成される力率改善回路3において、交流入力電圧VACが正極性となる期間の整流電流としては、先ず、商用交流電源ACの正極ラインから、整流ダイオードDa→平滑コンデンサCi1→商用交流電源ACの負極ラインの経路により流れる第1整流電流が得られる。また、商用交流電源ACの正極ラインから、疎結合トランスVFTの二次巻線N12→整流ダイオードD1→平滑コンデンサCi1→商用交流電源ACの負極ライン→フィルタコンデンサCNの経路により流れる第2整流電流が得られる。
この場合においても、低速リカバリ型の整流ダイオードDaはスイッチング動作を行わないので、上記第1整流電流は交番波形とは成らない。これに対して、第2整流電流は、疎結合トランスVFTの二次巻線N12に得られる交番電圧によってスイッチング動作する高速リカバリ型の整流ダイオードD1によって断続され、交番波形となって平滑コンデンサCi1に流入する。
また、交流入力電圧VACが負極性となる期間では、整流電流は、商用交流電源ACの負極ラインから、平滑コンデンサCi2→整流ダイオードDb→商用交流電源ACの正極ラインの経路により流れる第1整流電流と、商用交流電源ACの負極ライン側から平滑コンデンサCi2→整流ダイオードD2→疎結合トランスVFTの二次巻線N12→商用交流電源ACの正極ライン→フィルタコンデンサCNの経路で流れる第2整流電流とに分岐する。
そして、この場合においても、低速リカバリ型の整流ダイオードDbはスイッチング動作を行わないことで、第1整流電流は交番波形とは成らないのに対して、第2整流電流は、疎結合トランスVFTの二次巻線N12に得られる交番電圧の印加によりスイッチング動作する整流ダイオードD2によって断続され、交番波形となって平滑コンデンサCi2に流入することになる。
従って、この場合においても、交流入力電圧VACが正極性/負極性となる各期間において、整流電流は、整流回路Diの所要の整流ダイオードを流れる経路と、高速リカバリ型の整流ダイオードD1又はD2を流れる経路とにより、並列的に分岐して流れる経路部分が形成される。
そして、整流ダイオードD1又はD2側の経路で流れる整流電流が、これら整流ダイオードD1又はD2によりスイッチングされることになる。これにより、これまでの説明と同様に、交流入力電流IACの導通角は拡大されて力率改善が図られることになる。
また、上記した整流電流経路によると、整流動作としては、交流入力電圧VACが正極性の期間において平滑コンデンサCi1に対する充電が行われ、交流入力電圧VACが負極性の期間においては、平滑コンデンサCi2に対する充電が行われる。従って、この場合にも、平滑コンデンサCi1−Ci2の直列接続回路の両端電圧として、交流入力電圧VACの2倍のレベルに対応する整流平滑電圧Eiを生成する倍電圧整流動作が得られている。
ここで、図17に示す第6の実施の形態の電源回路として、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と二次巻線N2側との結合係数について、0.7〜0.8程度の結合係数による疎結合の状態を設定した場合の等化回路としては、図20に示すものとなる。
この図20に示す回路においても、疎結合トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンス(LN11)は、一次巻線N11における励磁インダクタンスLe11と、リーケージインダクタンスLk11の直列接続として示される。
また、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のインダクタンス(LN1)は、この一次巻線N1における励磁インダクタンスLe1と、リーケージインダクタンスLk1の直列接続として示される。
そして、この場合においても、図17に示すようにして、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と、疎結合トランスVFTの一次巻線N11とは、一次側直列共振回路内において直列接続されている関係にある。
従って、図20に示す等化回路によると、絶縁コンバータトランスPIT側からみた、一次巻線N1のリーケージインダクタンスは、一次巻線N11における励磁インダクタンスLe11と、一次巻線N11におけるリーケージインダクタンスLk11と、一次巻線N1におけるリーケージインダクタンスLk1の直列接続として表されることになる。つまり、この場合の絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のリーケージインダクタンスの実際としても、図14の場合と同様に、
Lk11+Lk1
として表され、結果として、電源回路全体として見た場合の一次側と二次側の結合係数も、0.8以下となる。
そこで、この第6の実施の形態の電源回路としても、絶縁コンバータトランスPIT単体で、0.90以上の結合係数が得られるように構成することとする。このための絶縁コンバータトランスPITの構造は、例えば図13に示したものとなることから、ここでの説明は省略する。
このようにして、絶縁コンバータトランスPITの結合係数を0.90以上に設定した場合における、図17の電源回路の等化回路は、図21に示すものとなる。
この図に示すようにして、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と疎結合トランスVFTの一次巻線N11との直列接続回路の部位については、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の励磁インダクタンスLe1と、疎結合トランスVFTの一次巻線N11の励磁インダクタンスLe11との間に、1つのリーケージインダクタンス成分(Lk11+LK1)が直列に接続されるものとしてみることができる。
そして、上記図21に示す等化回路により示されることを前提として、絶縁コンバータトランスPITの実際としては、例えば
EER−40コア
ギャップ長=0.4mm
一次巻線N1=22T
二次巻線N2:センタータップを分割位置として14T+14T
とすることで、0.93の結合係数とした。これにより、
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のインダクタンスLN1=319μH
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のリーケージインダクタンスLK1=49μH
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2のインダクタンスLN2=111μH
絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2のリーケージインダクタンスLK2=17μH
という各インダクタンス値が得られた。また、疎結合トランスVFTは、結合係として約0.8とするのにあたり、実際には、EE−28フェライトコア、1.5mmのギャップ長として、結合係数は0.75を得た。これにより、
疎結合トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンスLN11=95μH
疎結合トランスVFTの二次巻線N12のインダクタンスLN12=43μH
という各インダクタンス値が得られた。
そしてこの結果、図17に示す構成の電源回路として、図21の等化回路として示される回路全体の結合係数は、0.84となり、0.80よりも大きな結合係数が得られることとなっている。
図22は、上記のようにして、図21の等化回路として0.84の結合係数を有する、図17の電源回路についての実験結果として、交流入力電圧VAC=100V時で、負荷電力Po=0W〜250Wの変動に対する、AC/DC電力変換効率(ηAC/DC)、力率PF、及び整流平滑電圧Eiの変化を示している。なお、この図に示す実験結果を得るのにあたっては、一次側直列共振コンデンサC1については、0.022μFを選定している。
図22によると、この場合にも、整流平滑電圧Eiのレベルは、負荷電力Po=0W〜250Wの変動に対して270V〜312Vで42Vの変動範囲となっている。この実験結果は、商用交流電源AC=100V系で、負荷電力Po=250W以上に対応する倍電圧整流回路を備える複合共振形コンバータとして、直流入力電圧レベルの変動幅が充分に抑制されていることを示している。
また、この図に示されるAC/DC電力変換効率の特性としても、軽負荷とされる負荷変動範囲における曲線の変化は緩やかなものとなっており、軽負荷とされる負荷条件での電力変換効率の低下が抑制されていることを示す。
また、力率としては、負荷電力Po=15W〜250Wの範囲でPF>0.75を維持しており、電源高調波歪み規制をクリアする。
このような特性からも分かるように、第6の実施の形態の電源回路としても、平滑コンデンサCi、スイッチング素子(Q1,Q2)、及び一次側直列共振コンデンサC1等についての耐圧を高いものとする必要がなくなり、回路基板の小型軽量化及び低コスト化が図られる。
また、軽負荷の条件におけるAC/DC電力変換効率の低下も抑制されている。また、軽負荷の条件での直流入力電圧の上昇が抑制されることで、スイッチング周波数制御による定電圧化のための制御範囲が拡大して、二次側直流出力電圧の安定化制御に際しての最大負荷と軽負荷の間での過渡応答特性も改善される。
続いては、第6の実施の形態としての電源回路についての変形例として2例を挙げておくこととする。
図18に第1例としての変形例の構成を示す。
この第1例の変形例としては、先ず、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2に対して、並列共振コンデンサC2を並列に接続することで、二次側の整流回路の動作を電圧共振形とする電圧共振回路、又は、部分電圧共振動作を得るための部分電圧共振回路としての二次側並列共振回路を形成することとしている。
また、力率改善回路3内においては、先の図17において、低速リカバリ型の整流ダイオードDa,Dbを備えて形成されていた整流回路Diを省略している。この回路構成の場合、交流入力電圧VACが正の期間の整流電流の全ての成分は、高速リカバリ型の整流ダイオードD1によりスイッチングされ、交流入力電圧VACが負の期間の整流電流の全ての成分は、高速リカバリ型の整流ダイオードD2によりスイッチングされて交番波形となる。
また、図19に、第2例としての変形例の構成を示す。
この図に示す力率改善回路3としても、図18と同様にして、2本の高速リカバリ型の整流ダイオードD1,D2と、2本の平滑コンデンサCi1,Ci2を備えるが、その接続形態が異なっている。
この場合には、商用交流電源ACの正極ライン側のコモンモードチョークコイルCMCとフィルタコンデンサCNの接続点に対して、平滑コンデンサCi2の負極端子が接続される。平滑コンデンサCi2の正極端子は、疎結合トランスVFTの二次巻線N12の直列接続を介して、整流ダイオードD1のアノードと、整流ダイオードD2のカソードとの接続点に対して接続される。
整流ダイオードD1のカソードは平滑コンデンサCi1の正極端子と接続され、整流ダイオードD2のアノードは、商用交流電源ACの負極ライン側のコモンモードチョークコイルCMCとフィルタコンデンサCNの接続点に対して接続される。
また、この場合には、商用交流電源ACの負極ライン側のコモンモードチョークコイルCMCとフィルタコンデンサCNの接続点は、一次側アースと接続されることでアース電位となっており、平滑コンデンサCi2の負極端子は一次側アースと接続されるようになっている。
そして、後段のスイッチング素子Q1,Q2の直列接続回路は、平滑コンデンサCi1に対して並列に接続される。つまり、この場合の直流入力電圧(整流平滑電圧Ei)は、平滑コンデンサCi1の両端電圧として得られる。
このような構成における力率改善回路3の動作は次のようになる。
先ず、交流入力電圧VACが負極性となる期間においては、整流電流は、商用交流電源ACの負極ラインから、整流ダイオードD2→疎結合トランスVFTの二次巻線N12→平滑コンデンサCi2→商用交流電源ACの負極ラインの経路で流れる。
上記した整流電流経路によって整流電流が流れることによっては、平滑コンデンサCi2に対して充電が行われることになるが、これにより、平滑コンデンサCi2の両端電圧としては、交流入力電圧VACの等倍に対応するレベルの電位が得られることになる。
また、この際、整流ダイオードD2では、疎結合トランスVFTの二次巻線N12に励起された交番電圧が印加されることで、整流電流をスイッチングして断続する動作を行い、これにより、整流電流はスイッチング周期の交番波形となる。なお、このスイッチング周期の高周波成分は、上記した整流電流経路内において、フィルタコンデンサCNを流れるようにして吸収される。
そして、次の交流入力電圧VACが負極性となる期間においては、整流電流は、商用交流電源ACの正極ラインから、平滑コンデンサCi2→疎結合トランスVFTの二次巻線N12→整流ダイオードD1→平滑コンデンサCi1→商用交流電源ACの負極ライン(一次側アース)の経路で流れることになる。
上記した整流電流経路によって整流電流が流れることによっては、交流入力電圧VACのレベルに対して、平滑コンデンサCi2の両端に得られている電位が重畳されるようにして、平滑コンデンサCi1への充電が行われることになる。これによって、平滑コンデンサCi1の両端電圧としては、交流入力電圧VACの2倍に対応するレベルの整流平滑電圧Eiが得られることになる。つまり、倍電圧整流動作が得られているものである。
また、上記した整流電流経路においては、疎結合トランスVFTの二次巻線N12に励起された交番電圧が整流ダイオードD1に印加されることになり、整流ダイオードD1では、整流電流をスイッチングする動作が得られることになる。
従って、この場合にも、交流入力電圧VACが正/負の各期間において、疎結合トランスVFTにより電圧帰還されるスイッチング出力によって、整流電流がスイッチングされることになる。つまり、力率改善動作が得られているものである。
なお、変形例として図18に示した二次側並列共振回路は、例えば、図17又は図19に示した力率改善回路3としての構成を採る、第6の実施の形態としての各電源回路に対して設けられてよいものである。つまり、二次側並列共振回路は、力率改善回路3の構成に限定されることなく付加することができる。
続いては、第7の実施の形態としての電源回路について説明する。この第7の実施の形態の電源回路は、商用交流電源AC=100V系とAC=200V系とに対応する、いわゆるワイドレンジ対応の電源回路とされる。また、負荷電力Po=250W以上に対応する点では、第5及び第6の実施の形態の電源回路と同様となる。
図23は、第7の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。なお、この図において、第1〜第5の実施の形態の電源回路としての構成を示した各図と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
この図に示す力率改善回路3においては、先ず、先に図12に示した第5の実施の形態の電源回路の力率改善3と同様の接続態様によって、1本のフィルタコンデンサCNと、低速リカバリ型の整流ダイオードDa〜Ddより成るブリッジ整流回路Di、及び2本の高速リカバリ型の整流ダイオードD1,D2が接続される。
そしてこの場合においては、整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)を生成する平滑コンデンサとしては2本の平滑コンデンサCi1,Ci2が備えられる。これら平滑コンデンサCi1,Ci2は、図示するように直列接続したうえで、平滑コンデンサCi1の正極端子を整流平滑電圧Eiのブリッジ整流回路Diの正極出力端子と高速リカバリ型の整流ダイオードD1の接続点に対して接続し、平滑コンデンサCi2の負極端子を一次側アースに対して接続するようにされる。
また、直列接続される平滑コンデンサCi1の負極端子と平滑コンデンサCi2の正極端子の接続点は、スイッチSを介して、商用交流電源ACの負極ライン側におけるコモンモードチョークコイルCMCとフィルタコンデンサCNの接続点に対して接続される。
スイッチSは、AC100V系に対応する交流入力電圧VAC=150V以下が入力されているときにオンとなり、AC200V系に対応する交流入力電圧VAC=150V以上が入力されているときにオフとなるように切り換えが行われる。このようなスイッチSの切り換え制御のための回路部は、図23においては図示していないが、例えばスイッチSについてはリレースイッチを用いることとする。そして、交流入力電圧VACのレベルが150V以上/以下であることを検出して、その検出結果に応じて電磁リレーを駆動することで、上記スイッチSを切り換えるように構成された回路部を設けるようにすればよい。
上記のようにして構成される整流回路系を備える力率改善回路3の動作は次のようになる。
先ず、商用交流電源AC=100V系に対応して150V以下の交流入力電圧VACが入力されてスイッチSがオンとなっている場合には、次のようにして倍電圧整流回路が形成される。
つまり、交流入力電圧VACが正極性のときには、商用交流電源ACの正極ライン→整流ダイオードDa→平滑コンデンサCi1→スイッチS→商用交流電源ACの負極ラインの経路第1整流電流が流れ、商用交流電源ACの正極ラインから疎結合トランスVFTの二次巻線N12→整流ダイオードD1→平滑コンデンサCi1→スイッチS→商用交流電源ACの負極ライン→フィルタコンデンサCNの経路で第2整流電流が流れる。
そして、上記第1整流電流及び第2整流電流によって平滑コンデンサCi1に対する充電が行われることで、平滑コンデンサCi1の両端電圧としては、交流入力電圧VACの等倍に対応するレベルの直流電圧が得られることになる。
また、第2整流電流が流れる整流電流経路においては、高速リカバリ型の整流ダイオードD1が、疎結合トランスVFTの二次巻線N12に励起された交番電圧によって、第2整流電流をスイッチングする動作が得られる。つまり、第2整流電流としては交番波形となる。
また、交流入力電圧VACが負極性のときには、整流電流は、商用交流電源ACの負極ライン→平滑コンデンサCi2→スイッチS→→整流ダイオードDc→商用交流電源ACの正極ラインの経路で第1整流電流が流れ、商用交流電源ACの負極ラインからスイッチSを介して、平滑コンデンサCi2→整流ダイオードD2→疎結合トランスVFTの二次巻線N12→商用交流電源ACの正極ライン→フィルタコンデンサCNの経路で第2整流電流が流れる。
そして、上記第1整流電流及び第2整流電流によって平滑コンデンサCi2に対する充電が行われることで、平滑コンデンサCi2の両端電圧としても、交流入力電圧VACの等倍に対応するレベルの直流電圧が得られる。
この結果、平滑コンデンサCi1−Ci2の直列接続回路の両端電圧としては、交流入力電圧VACの2倍に対応するレベルの直流電圧である、整流平滑電圧Eiが得られることになる。つまり、倍電圧整流動作が得られている。
また、交流入力電圧VACが負極性となる期間においても、第2整流電流が流れる整流電流経路においては、高速リカバリ型の整流ダイオードD2が、疎結合トランスVFTの二次巻線N12に励起された交番電圧によって、第2整流電流をスイッチングするので、第2整流電流としては交番波形となる。
従って、交流入力電圧VACが正/負の両期間において、第2整流電流は、高速リカバリ型の整流ダイオードD1又はD2によってスイッチングされて交番波形となって流れるようにされる。このようにして整流電流成分が交番波形とされる結果、これまで説明したように、交流入力電流IACの導通角が拡大されて力率改善が図られることになる。
また、商用交流電源AC=200V系に対応して150V以上の交流入力電圧VACが入力された場合、スイッチSはオフとなる。スイッチSがオフとなる場合の力率改善回路3の回路構成としては、先に図12に示した第5の実施の形態の電源回路の力率改善回路3と同様となる。つまり、この場合においては、平滑コンデンサCi1−Ci2の直列接続回路に対して、全波整流動作による整流電流の充電が行われる。これにより、平滑コンデンサCi1−Ci2の直列接続回路の両端電圧として、交流入力電圧VACの等倍に対応するレベルの整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)が得られる。
また、この場合においても、先に図12により説明したようにして、交流入力電圧VACが正/負の両期間において第2整流電流を、高速リカバリ型の整流ダイオードD1,D2によりスイッチングする動作が得られ、これにより、力率改善が図られる。
この図23に示す第7の実施の形態の電源回路として、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と二次巻線N2側との結合係数について、0.7〜0.8程度の結合係数による疎結合の状態を設定した場合の等化回路としては、先に説明した図20に示すものとなる。従って、この場合の絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のリーケージインダクタンスの実際としても、
Lk11+Lk1
として表され、結果として、電源回路全体として見た場合の一次側と二次側の結合係数も、0.8以下となる。
このため、第7の実施の形態の電源回路としても、例えば先に図13により説明したようにして、絶縁コンバータトランスPIT単体で、0.90以上の結合係数が得られるように構成するようにされる。
そして、絶縁コンバータトランスPITの結合係数を0.90以上に設定した場合における、図23の電源回路の等化回路は、図21に示すものとなる。
従って、図23に示す電源回路についても、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1と疎結合トランスVFTの一次巻線N11との直列接続回路の部位については、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の励磁インダクタンスLe1と、疎結合トランスVFTの一次巻線N11の励磁インダクタンスLe11との間に、1つのリーケージインダクタンス成分(Lk11+LK1)が直列に接続されるものとしてみることができる。
そして、上記図21に示す等化回路により示されることを前提として、この第7の実施の形態の電源回路における絶縁コンバータトランスPITの実際としては、先の第6の実施の形態と同様に構成することで、0.93の結合係数とした。これにより、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のインダクタンスLN1、リーケージインダクタンスLK1、二次巻線N2のインダクタンスLN2、リーケージインダクタンスLK2についても、第6の実施の形態において記述したのと同じ値が得られる。
また、疎結合トランスVFTとしても、第6の実施の形態の場合と同様の実際の構成とすることで、0.75の結合係数を得た。また、疎結合トランスVFTの一次巻線N11のインダクタンスLN11、二次巻線N12のインダクタンスLN12についても、第6の実施の形態と同じ値を得た。
そしてこの結果、図23に示す構成の電源回路として、図21の等化回路として示される回路全体の結合係数は、0.84となり、0.80よりも大きな結合係数が得られることとなっている。
図25及び図26は、図21の等化回路として0.84の結合係数を有する、図17の電源回路についての実験結果として、負荷電力Po=0W〜250Wの変動に対する、AC/DC電力変換効率(ηAC/DC)、力率PF、及び整流平滑電圧Eiの変化を示している。図25は、交流入力電圧VAC=100V時(AC100V系時)の特性を示し、図26は、交流入力電圧VAC=230V時(AC200V系時)の特性を示している。また、この図に示す実験結果を得るのにあたっては、一次側直列共振コンデンサC1については、0.022μFを選定している。
図25及び図26によると、整流平滑電圧Eiのレベルは、負荷電力Po=0W〜250Wの変動に対して、交流入力電圧VAC=100V時では46V、交流入力電圧VAC=230V時では19Vの変動範囲となっている。この実験結果としても、AC100V系時、AC200V系時とで共に、負荷電力Po=250W以上に対応する複合共振形コンバータとして、直流入力電圧レベルの変動幅が充分に抑制されていることを示している。
また、これらの図に示されるAC/DC電力変換効率の特性としても、軽負荷とされる負荷変動範囲における曲線の変化は緩やかなものとなっており、軽負荷とされる負荷条件での電力変換効率の低下の抑制、或いは電力変換効率の向上が図られていることを示す。
また、力率としては、交流入力電圧VAC=100V時では、負荷電力Po=15W〜250Wの範囲でPF>0.80を維持しており、交流入力電圧VAC=230V時では、負荷電力Po=100W〜250Wの範囲でPF>0.75を維持しており、何れの交流入力電圧VACの入力条件の場合にも電源高調波歪み規制をクリアする。
このような特性が得られることで、第7の実施の形態の電源回路についても、先に説明した第5、第6の各実施の形態と同様の効果が得られることになる。
図24は、第7の実施の形態としての電源回路の変形例について示している。なお、この図において、図23と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
先ず、この図に示す回路の力率改善回路3においては、図23に示されていた高速リカバリ型の整流ダイオードD1,D2が削除されている。かわりに、この場合にはブリッジ整流回路Diを形成する整流ダイオードDa〜Ddについて高速リカバリ型が選定される。
また、この場合の平滑コンデンサCi1−Ci2の接続点は、リレースイッチS1の端子t2と接続される。
リレースイッチS1は、いわゆる2接点のスイッチであり、後述する電磁リレーRLにより、端子t1が端子t2,t3の何れかに対して択一的に接続されるようにして切り換えが行われる。
この場合、疎結合トランスVFTの二次巻線N12の一端は、整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)の正極ラインに対して接続される。他端は、商用交流電源ACの正極ラインと、ブリッジ整流回路Diの正極入力端子に対して接続される。
また、この場合の疎結合トランスVFTの一次巻線N11は、タップを介して巻線部N11A,N11Bに分割されるようにして形成される。巻線部N11Aの端部は、直列共振コンデンサC1を介してスイッチング出力点に対して接続される。また、巻線部N11A,N11Bの接続点はリレースイッチS2の端子t2と接続される。巻線部N11Bの端部は、リレースイッチS2の端子t3と接続される。
リレースイッチS2も2接点のスイッチであり、電磁リレーRLによって、端子t1が端子t2,t3の何れかに対して択一的に接続されるようにして切り換えられる。
この図では、リレーRLを駆動するための回路部として、整流回路切換モジュール5が備えられる。この場合の整流回路切換モジュール5の端子T14に対しては、ダイオードD10及びコンデンサC10から成る半波整流回路により得られる直流電圧が検出電圧として入力される。この半波整流回路(D10,C10)は、商用交流電源ACを入力して整流動作を行うようにされているので、整流回路切換モジュール5では交流入力電圧VACのレベルを検出することになる。
また、整流回路切換モジュール5の端子T12、T13間に対して、電磁リレーが接続されている。整流回路切換モジュール5では、端子T12、T13間に流すべき電流のオン/オフをコントロールすることで、電磁リレーをRLを駆動し、リレースイッチS1,S2の切り換えを行うようにされる。
ここで、整流回路切換モジュール5では、交流入力電圧VACの検出レベルが150V以下(AC100V系時)である場合には、リレースイッチS1,S2について、端子t1−t2が接続されるように電磁リレーRLを駆動する。
先ず、リレースイッチS1において端子t1−t2が接続されることによっては、力率改善回路3において、倍電圧整流回路が形成されることになる。
つまり、交流入力電圧VACが正極性となる期間では、商用交流電源ACの正極ライン→整流ダイオードDa→平滑コンデンサCi1→(リレースイッチS1)→商用交流電源ACの負極ライン(フィルタコンデンサCN)の経路による整流電流が流れる。また、このときには、商用交流電源ACの正極ライン→疎結合トランスVFTの二次巻線N12→平滑コンデンサCi1→(リレースイッチS1)→商用交流電源ACの負極ライン(フィルタコンデンサCN)の経路によっても電流が流れる。
このようにして、上記整流電流によって平滑コンデンサCi1への充電が行われることで、平滑コンデンサCi1の両端電圧としては、交流入力電圧VACの等倍レベルの直流電圧が得られる。
また、上記のようにして疎結合トランスVFTの二次巻線N2が挿入されていることで、この整流電流経路にはスイッチング周期の交番電圧が重畳され、第1整流電流は、高速リカバリ型の整流ダイオードDaによりスイッチングされて交番波形となる。
また、交流入力電圧VACが負極性となる期間では、商用交流電源ACの負極ライン→(リレースイッチS1)→平滑コンデンサCi2→整流ダイオードDc→商用交流電源ACの正極ライン(フィルタコンデンサCN)の経路による整流電流が流れる。
このときには、整流電流によって平滑コンデンサCi2への充電が行われることで、平滑コンデンサCi2の両端電圧としても、交流入力電圧VACの等倍レベルの直流電圧が得られる。これにより、直列接続された平滑コンデンサCi1−Ci2の両端電圧としては、交流入力電圧VACの2倍に対応するレベルの直流電圧である整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)が得られることになる。つまり、倍電圧整流動作が得られているものである。
また、疎結合トランスVFTの二次巻線N2は、整流ダイオードDcのカソード側と接続されており、従って、上記の経路で流れる整流電流は、高速リカバリ型の整流ダイオードDcによりスイッチングされて交番波形となる。
また、リレースイッチS2側において、端子t1−t2が接続されることによっては、疎結合トランスVFTの一次巻線N11として、巻線部N11Aのみが有効とされることになる。
続いて、交流入力電圧VACの検出レベルが150V以上(AC200V系時)である場合には、整流回路切換モジュール5では、リレースイッチS1,S2について、端子t1−t3が接続されるように電磁リレーRLを駆動する。
リレースイッチS1にて端子t1−t3が接続される場合、端子t3はオープンとなっているから、平滑コンデンサCi1−Ci2の接続点と、商用交流電源ACの負極ラインは接続されないことになって、整流回路としては全波整流回路が形成される。
つまり、交流入力電圧VACが正極性の場合には、商用交流電源ACの正極ライン→平滑コンデンサCi1−Ci2→整流ダイオードDd→商用交流電源ACの負極ライン(フィルタコンデンサCN)の経路により整流電流が流れる。また、この際には、分岐して、商用交流電源ACの正極ラインから疎結合トランスVFTの二次巻線N12を介しても、平滑コンデンサCi1−Ci2への充電電流が流れる。
また、交流入力電圧VACが負極性の場合には、商用交流電源ACの負極ライン→整流ダイオードDb→平滑コンデンサCi1−Ci2→整流ダイオードDc→商用交流電源ACの正極ライン(フィルタコンデンサCN)の経路で整流電流が流れる。
このようにして、交流入力電圧VACが正/負の各期間において、直列接続された平滑コンデンサCi1−Ci2に対して整流電流が充電されることとなるので、平滑コンデンサCi1−Ci2の両端電圧としては、交流入力電圧VACの等倍に対応するレベルの整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)が得られることになる。つまり、全波整流動作が得られているものである。
またリレースイッチS2側において、端子t1−t3が接続されることによっては、疎結合トランスVFTの一次巻線N11として、巻線部N11A−N11Bの直列接続が有効とされることになる。
これまでの説明から、図24に示す電源回路としても、図23に示した電源回路と同様にして、整流平滑電圧Eiを生成する整流回路系としては、AC100V系時では倍電圧整流動作となり、AC200V系時では全波整流動作となるようにして切り換えが行われる構成を採ることで、ワイドレンジ対応としていることが分かる。
また、AC100V系時とAC200V系時のいずれにおいても、交流入力電圧VACが正/負となる各期間において、ブリッジ整流回路Diを形成する整流ダイオードDa〜Ddの何れかによって整流電流をスイッチングしていることから、力率改善動作も得られていることになる。
また、図24に示す回路においては、疎結合トランスVFTの一次巻線N11について、交流入力電圧VACが150V以下(AC100V系時)とされる場合には、巻線部N11Aのみが有効となり、交流入力電圧VACが150V以上(AC200V系時)となる場合には、巻線部N11A−N11Bの直列接続が有効となるように切り換えが行われることになる。つまり、AC200V系時には、AC100V系時よりも、疎結合トランスVFTの一次巻線N11の巻線数が増加するようにして切り換えが行われるようにされる
疎結合トランスVFTの一次巻線N11の巻線数が変化すれば、二次巻線N12との巻線比が変化することになって、二次巻線N12に励起されて整流電流経路に帰還されるべき交番電圧レベルも変化することになる。
この結果、本実施の形態では、例えばAC100V系時において、負荷電力Po=250W程度の条件のもとで、力率について、0.75程度となるようにされ、電力変換効率が向上されることになる。
また、例えばこれまで説明してきた各実施の形態としての電源回路のようにして、疎結合トランスVFTによりスイッチング出力を整流電流経路に電圧帰還して力率改善を図る構成では、直流入力電圧(整流平滑電圧)Eiに高周波成分のリップル電圧が重畳することがわかっている。
そこで、図24に示す回路では、一次巻線N1の一端を、疎結合トランスVFTの一次巻線N11から一次側直列共振コンデンサC1を介して、スイッチング出力点に対して接続する一方で、他方の一次巻線N1の端部を平滑コンデンサCi1の正極端子に接続することとしている。つまり、一次側直列共振回路の一端を、一次側アースに接地させるのではなく、整流平滑電圧Eiの正極ラインに接続する構成としている。
このような構成とした場合には、例えば、疎結合トランスVFTの一次巻線N11に流れる一次側共振電流と、疎結合トランスVFTの二次巻線N12に流れる交番波形の整流電流とについて逆位相となるように設定することができる。
このようにして、一次巻線N1の一方の端部が平滑コンデンサCi1の正極端子に対して接続された上で、一次側共振電流と力率改善回路3内に流れる電流とが逆位相とされることで、スイッチング出力としての一次側共振電流の高周波成分は、力率改善回路3において電圧帰還される逆位相のスイッチング出力成分により打ち消し合うようになる。
そして、この結果、直流入力電圧Eiのリップル電圧成分が抑制されることになる。
なお、上記のように一次側共振電流と力率改善回路3内に流れる電流とを逆位相とする設定は、例えば疎結合トランスVFTの各巻線(N11、N12)の巻き方向により行うことが可能である。
また、この他にも、例えば疎結合トランスVFTの各巻線(N11、N12)と、絶縁コンバータトランスPITの各巻線(N1、N2)の巻き方向との相対関係により設定することも可能である。
また、図24に示す電源回路においても、絶縁コンバータトランスPITの二次巻線N2に対して、並列共振コンデンサC2を並列に接続することで、二次側の整流回路の動作を電圧共振形とする電圧共振回路、又は、部分電圧共振動作を得るための部分電圧共振回路としての二次側並列共振回路を形成している。
することとしている。
なお、この第7の実施の形態としても、二次側並列共振回路は、例えば、図23に示した回路構成に対して付加されてもよいものである。
また、本発明としては、これまでに説明した電源回路の構成に限定されるものではない。
例えばスイッチング素子としては、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)など、他励式に使用可能な素子であれば、MOS−FET以外の素子が採用されて構わない。また、先に説明した各部品素子の定数なども、実際の条件等に応じて変更されて構わない。
また、本発明としては、自励式でハーフブリッジ結合方式による電流共振形コンバータを備えて構成することも可能とされる。この場合には、スイッチング素子として例えばバイポーラトランジスタを選定することができる。
さらには、例えば絶縁コンバータトランスPITの二次側において二次側直流出力電圧を生成するための回路構成としても、適宜変更されて構わない。
また、力率改善回路3の構成としても、上記各実施の形態として示したもの以外に限定されるものではなく、これまでに本出願人が提案してきた各種の電圧帰還方式による回路構成のうちから、適用可能なものを採用してよい。
本発明の第1の実施の形態としての電源回路の構成例を示す回路図である。 疎結合トランスの構造例を示す断面図である。 第1の実施の形態の電源回路の要部の動作を商用交流電源周期により示す波形図である。 第1の実施の形態の電源回路についての、負荷変動に対する力率、電力変換効率、整流平滑電圧レベルの特性を示す図である。 第1の実施の形態の電源回路についての、交流入力電圧の変化に対する力率、電力変換効率、整流平滑電圧レベルの特性を示す図である。 第2の実施の形態としての電源回路の構成例を示す回路図である。 第3の実施の形態としての電源回路の構成例を示す回路図である。 第3の実施の形態の電源回路の要部の動作を商用交流電源周期により示す波形図である。 第3の実施の形態の電源回路についての、負荷変動に対する力率、電力変換効率、整流平滑電圧レベルの特性を示す図である。 第3の実施の形態の電源回路についての、交流入力電圧の変化に対する力率、電力変換効率、整流平滑電圧レベルの特性を示す図である。 第4の実施の形態としての電源回路の構成例を示す回路図である。 第5の実施の形態としての電源回路の構成例を示す回路図である。 実施の形態の絶縁コンバータトランスの構造例を示す断面図である。 図12に示す回路の等化回路図(絶縁コンバータトランスの結合係数0.8以下の場合)である。 図12に示す回路の等化回路図(絶縁コンバータトランスの結合係数0.90以上の場合)である。 第5の実施の形態の電源回路についての、負荷変動に対する力率、電力変換効率、整流平滑電圧レベルの特性を示す図である。 第6の実施の形態としての電源回路の構成例を示す回路図である。 第6の実施の形態としての電源回路の変形例を示す回路図である。 第6の実施の形態としての電源回路の変形例を示す回路図である。 図17に示す回路の等化回路図(絶縁コンバータトランスの結合係数0.8以下の場合)である。 図17に示す回路の等化回路図(絶縁コンバータトランスの結合係数0.90以上の場合)である。 第6の実施の形態の電源回路についての、負荷変動に対する力率、電力変換効率、整流平滑電圧レベルの特性を示す図である。 第7の実施の形態としての電源回路の構成例を示す回路図である。 第7の実施の形態の電源回路の変形例を示す回路図である。 第7の実施の形態の電源回路についての、負荷変動に対する力率、電力変換効率、整流平滑電圧レベルの特性(VAC=100V時)を示す図である。 第7の実施の形態の電源回路についての、負荷変動に対する力率、電力変換効率、整流平滑電圧レベルの特性(VAC=230V時)を示す図である。 先行技術としての電源回路の構成例を示す回路図である。 図27に示す電源回路についての、負荷変動に対する力率、電力変換効率、整流平滑電圧レベルの特性を示す図である。 図27に示す電源回路についての、交流入力電圧の変化に対する力率、電力変換効率、整流平滑電圧レベルの特性を示す図である。 先行技術としての電源回路の他の構成例を示す回路図である。 図30に示す電源回路についての、負荷変動に対する力率、電力変換効率、整流平滑電圧レベルの特性を示す図である。 図30に示す電源回路についての、交流入力電圧の変化に対する力率、電力変換効率、整流平滑電圧レベルの特性を示す図である。
符号の説明
1 制御回路、2 コントロールIC、3 力率改善回路、4 ドライブ制御回路、5 整流回路切換モジュール、Di ブリッジ整流回路、Da〜Dd,D1,D2,D3 整流ダイオード、Ci,Ci1,Ci2 平滑コンデンサ、Q1,Q2 スイッチング素子、PIT 絶縁コンバータトランス、C1 一次側直列共振コンデンサ、Cp 部分共振コンデンサ、N1 一次巻線(絶縁コンバータトランス)、N2 二次巻線(絶縁コンバータトランス)、CN フィルタコンデンサ、VFT 疎結合トランス、N11 一次巻線(疎結合トランス)、N12 二次巻線(疎結合トランス)、C2 並列共振コンデンサ

Claims (9)

  1. 交流入力電圧を整流する整流素子、及び該整流素子により整流された電圧を平滑する平滑コンデンサを備えて整流平滑電圧を生成する整流平滑手段と、
    上記整流平滑手段により生成される整流平滑電圧の供給を受けてスイッチング動作を行い、ハーフブリッジ結合された2つのスイッチング素子を備えて形成されるスイッチング手段と、
    上記2つのスイッチング素子を交互オン/オフするようにしてスイッチング駆動するスイッチング駆動手段と、
    上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、該一次巻線に得られたスイッチング出力としての交番電圧が励起される二次巻線とを少なくとも巻装するとともに、所要の結合係数による疎結合とされる状態が得られるように、所定長のギャップを形成して形成される絶縁コンバータトランスと、
    少なくとも、上記一次巻線の漏洩インダクタンス成分と上記一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、上記スイッチング手段からのスイッチング出力の供給を受けて上記スイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路と、
    上記二次巻線に得られる交番電圧を入力して、整流動作を行うことで二次側直流出力電圧を生成するように構成された直流出力電圧生成手段と、
    上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング駆動手段を制御して、上記スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、上記二次側直流出力電圧に対する定電圧制御を行うように構成された定電圧制御手段を備えるスイッチング電源回路において、
    上記一次側直列共振回路に対して直列に挿入される力率改善用一次巻線と、上記整流平滑手段として形成される整流電流経路に挿入される力率改善用二次巻線とを巻装する力率改善用トランスをさらに備え、
    上記整流平滑手段の整流素子は、上記力率改善用一次巻線によって上記力率改善用二次巻線に励起される交番電圧に基づいてスイッチング動作を行う、
    ことを特徴とするスイッチング電源回路。
  2. 上記整流平滑手段は、
    上記交流入力電圧が正の期間において整流素子により交流入力電圧を整流した電圧を平滑化する平滑コンデンサと、上記交流入力電圧が負の期間において整流素子により交流入力電圧を整流した電圧を平滑化する平滑コンデンサとの2つの平滑コンデンサを備え、
    上記2つの平滑コンデンサの両端電圧を積み上げるようにして得られる電圧が上記整流平滑電圧となるようにして形成される倍電圧整流平滑手段である、
    ことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  3. 交流入力電圧が正/負の各期間においてそれぞれ整流を行う複数の低周波整流素子、及び該低周波整流素子により整流された電圧を平滑する平滑コンデンサを有する整流平滑手段と、
    上記整流平滑手段により生成される整流平滑電圧の供給を受けてスイッチング動作を行い、ハーフブリッジ結合された2つのスイッチング素子を備えて形成されるスイッチング手段と、
    上記2つのスイッチング素子を交互オン/オフするようにしてスイッチング駆動するスイッチング駆動手段と、
    上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、該一次巻線に得られたスイッチング出力としての交番電圧が励起される二次巻線とを少なくとも巻装するとともに、所要の結合係数による疎結合とされる状態が得られるように、所定長のギャップを形成して形成される絶縁コンバータトランスと、
    少なくとも、上記一次巻線の漏洩インダクタンス成分と上記一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、上記スイッチング手段からのスイッチング出力の供給を受けて上記スイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路と、
    上記二次巻線に得られる交番電圧を入力して、整流動作を行うことで二次側直流出力電圧を生成するように構成された直流出力電圧生成手段と、
    上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング駆動手段を制御して、上記スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、上記二次側直流出力電圧に対する定電圧制御を行うように構成された定電圧制御手段を備えるスイッチング電源回路において、
    上記一次側直列共振回路に対して直列に挿入される力率改善用一次巻線と、上記整流平滑手段として形成される所定の整流電流経路に対して並列に接続される力率改善用二次巻線とを巻装する力率改善用トランスと、
    上記力率改善用二次巻線に対して直列に接続されるもので、上記交流入力電圧の周波数と比較しては高周波である、上記力率改善用一次巻線によって力率改善用二次巻線に励起される交番電圧が正/負の各期間において、それぞれスイッチング動作を行う複数の高周波整流素子とを、さらに備える、
    ことを特徴とするスイッチング電源回路。
  4. 上記整流平滑手段は、
    上記交流入力電圧が正の期間において整流素子により交流入力電圧を整流した電圧を平滑化する平滑コンデンサと、上記交流入力電圧が負の期間において整流素子により交流入力電圧を整流した電圧を平滑化する平滑コンデンサとの2つの平滑コンデンサを備え、
    上記2つの平滑コンデンサの両端電圧を積み上げるようにして得られる電圧が上記整流平滑電圧となるようにして形成される倍電圧整流平滑手段である、
    ことを特徴とする請求項3に記載のスイッチング電源回路。
  5. 交流入力電圧が正/負の各期間においてそれぞれ整流を行う複数の整流素子、及び該整流素子により整流された電圧を平滑する平滑コンデンサを有する整流平滑手段と、
    上記整流平滑手段により生成される整流平滑電圧の供給を受けてスイッチング動作を行い、ハーフブリッジ結合された2つのスイッチング素子を備えて形成されるスイッチング手段と、
    上記2つのスイッチング素子を交互オン/オフするようにしてスイッチング駆動するスイッチング駆動手段と、
    上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、該一次巻線に得られたスイッチング出力としての交番電圧が励起される二次巻線とを少なくとも巻装するとともに、所要の結合係数による疎結合とされる状態が得られるように、所定長のギャップを形成して形成される絶縁コンバータトランスと、
    少なくとも、上記一次巻線の漏洩インダクタンス成分と上記一次巻線に直列接続された一次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成され、上記スイッチング手段からのスイッチング出力の供給を受けて上記スイッチング手段の動作を電流共振形とする一次側直列共振回路と、
    上記二次巻線に得られる交番電圧を入力して、整流動作を行うことで二次側直流出力電圧を生成するように構成された直流出力電圧生成手段と、
    上記二次側直流出力電圧のレベルに応じて上記スイッチング駆動手段を制御して、上記スイッチング手段のスイッチング周波数を可変することで、上記二次側直流出力電圧に対する定電圧制御を行うように構成された定電圧制御手段を備えるスイッチング電源回路において、
    上記一次側直列共振回路に対して直列に挿入される力率改善用一次巻線と、上記整流平滑手段として形成される所定の整流電流経路に対して並列に接続される力率改善用二次巻線とを巻装する力率改善用トランスをさらに備え、
    上記整流平滑手段の整流素子は、上記力率改善用一次巻線によって上記力率改善用二次巻線に励起される交番電圧に基づいてスイッチング動作を行う、
    ことを特徴とするスイッチング電源回路。
  6. 上記力率改善用一次巻線と上記力率改善用二次巻線とについて、所要の結合係数による疎結合としての状態が得られるようにされているとともに、
    上記スイッチング電源回路全体としての結合係数について所要の結合係数を得ることに対応して、上記絶縁コンバータトランスについては所要以上の結合係数を得るために、上記絶縁コンバータトランスのギャップを所定以内の長さに設定している、
    ことを特徴とする請求項1、請求項3、及び請求項5のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
  7. 上記2つのスイッチング素子のうち、少なくとも一方のスイッチング素子に対して並列接続された部分電圧共振コンデンサのキャパシタンスと、上記一次巻線の漏洩インダクタンス成分と、を少なくとも含むことによって形成され、上記各スイッチング素子がターンオン又はターンオフするタイミングに応じてのみ電圧共振動作が得られる一次側部分電圧共振回路ををさらに備える、
    ことを特徴とする請求項1、請求項3、及び請求項5のいずれかに記載のスイッチング電源回路。
  8. 上記整流平滑手段は、ブリッジ接続された4本の整流素子と、直列接続される2つの平滑コンデンサを備えて、上記ブリッジ接続された4本の整流素子により、上記2つの平滑コンデンサの直列接続に対して全波整流による整流電流の充電が行われるようにして回路が形成されていると共に、
    上記2つの平滑コンデンサと商用交流電源ラインとの間をオン/オフするようにして挿入されるスイッチ手段と、
    上記商用交流電源のレベルが所定以上のときに上記スイッチ手段をオフとし、上記商用交流電源のレベルが所定以下のときに上記スイッチ手段をオンとするようにして制御するスイッチ制御手段と、をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項5に記載のスイッチング電源回路。
  9. 上記力率改善用一次巻線は、タップを介して2つに分割したうえで、分割した一方の力率改善用一次巻線の端部を上記一次側直列共振コンデンサと接続すると共に、
    絶縁コンバータトランスの一次巻線の端部に接続すべき部位として、分割した他方の力率改善用一次巻線の端部と、上記タップの端子とを選択して切り換える切換手段と、
    上記商用交流電源のレベルが所定以上のときに上記切換手段により上記他方の力率改善用一次巻線の端部を選択させ、上記商用交流電源のレベルが所定以下のときに上記切換手段により上記タップの端子を選択させるように制御する切換制御手段と、をさらに備える、
    ことを特徴とする請求項5に記載のスイッチング電源回路。
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