JP2007043875A - スイッチング電源回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】力率改善機能を有する電源回路として、電力変換効率の向上、回路構成部品の削減を図るとともに、二次側直列共振回路を備える電圧共振形コンバータの実用化を図る。
【解決手段】絶縁コンバータトランスPITの結合係数k=0.7程度以下として、中間負荷時において、スイッチング素子のオフ期間が終了する以前のタイミングでスイッチング素子に電流が流れる異常動作を解消する。また、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に得られるスイッチング出力電流を電力として回生してスイッチングダイオードD1が挿入された整流電流経路に帰還する、電力回生方式による力率改善回路10を備える。
【選択図】図1
【解決手段】絶縁コンバータトランスPITの結合係数k=0.7程度以下として、中間負荷時において、スイッチング素子のオフ期間が終了する以前のタイミングでスイッチング素子に電流が流れる異常動作を解消する。また、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1に得られるスイッチング出力電流を電力として回生してスイッチングダイオードD1が挿入された整流電流経路に帰還する、電力回生方式による力率改善回路10を備える。
【選択図】図1
Description
本発明は、各種電子機器の電源として備えられるスイッチング電源回路に関する。
近年、高周波の比較的大きい電流及び電圧に耐えることができるスイッチング素子の開発によって、商用電源を整流して所望の直流電圧を得る電源回路としては、大部分がスイッチング方式の電源回路になっている。
スイッチング電源回路はスイッチング周波数を高くすることによりトランスその他のデバイスを小型にすると共に、大電力のDC−DCコンバータとして各種の電子機器の電源として使用される。
スイッチング電源回路はスイッチング周波数を高くすることによりトランスその他のデバイスを小型にすると共に、大電力のDC−DCコンバータとして各種の電子機器の電源として使用される。
ところで、一般に商用電源を整流すると平滑回路に流れる電流は歪み波形になるため、電源の利用効率を示す力率が損なわれるという問題が生じる。
また、このような歪み電流波形となることによって発生する、高調波を抑圧するための対策が必要とされている。
そこで、従来において力率改善を図る技術として、いわゆるアクティブフィルタを用いる手法が知られている(例えば上記特許文献1参照)。
また、このような歪み電流波形となることによって発生する、高調波を抑圧するための対策が必要とされている。
そこで、従来において力率改善を図る技術として、いわゆるアクティブフィルタを用いる手法が知られている(例えば上記特許文献1参照)。
このようなアクティブフィルタの基本構成としては、例えば図16に示すようになる。
図16においては、商用交流電源ACにブリッジ整流回路Diを接続している。このブリッジ整流回路Diの正極/負極ラインに対しては並列に出力コンデンサCoutが接続される。ブリッジ整流回路Diの整流出力が出力コンデンサCoutに供給されることで、出力コンデンサCoutの両端電圧として直流電圧Voutが得られる。この直流電圧Voutは、例えば後段のDC−DCコンバータなどの負荷110に入力電圧として供給される。
図16においては、商用交流電源ACにブリッジ整流回路Diを接続している。このブリッジ整流回路Diの正極/負極ラインに対しては並列に出力コンデンサCoutが接続される。ブリッジ整流回路Diの整流出力が出力コンデンサCoutに供給されることで、出力コンデンサCoutの両端電圧として直流電圧Voutが得られる。この直流電圧Voutは、例えば後段のDC−DCコンバータなどの負荷110に入力電圧として供給される。
また、力率改善のための構成としては、図示するようにして、インダクタL、高速リカバリ型のダイオードD、抵抗Ri、スイッチング素子Q、及び乗算器111を備える。
インダクタL、ダイオードDは、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、出力コンデンサCoutの正極端子との間に、直列に接続されて挿入される。
抵抗Riは、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子(一次側アース)と出力コンデンサCoutの負極端子との間に挿入される。
また、スイッチング素子Q1は、この場合にはMOS−FETが選定されており、図示するようにしてインダクタLとダイオードDの接続点と、一次側アース間に挿入される。
インダクタL、ダイオードDは、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、出力コンデンサCoutの正極端子との間に、直列に接続されて挿入される。
抵抗Riは、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子(一次側アース)と出力コンデンサCoutの負極端子との間に挿入される。
また、スイッチング素子Q1は、この場合にはMOS−FETが選定されており、図示するようにしてインダクタLとダイオードDの接続点と、一次側アース間に挿入される。
乗算器111に対しては、フィードフォワード回路として、電流検出ラインLI及び波形入力ラインLwが接続され、フィードバック回路として電圧検出ラインLVが接続される。
乗算器111は、電流検出ラインLIから入力される、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子に流れる整流電流レベルを検出する。
また、波形入力ラインLwから入力される、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子の整流電圧波形を検出する。これは、即ち、商用交流電源AC(交流入力電圧)の波形を絶対値化して検出していることに相当する。
また、電圧検出ラインLVから入力される、出力コンデンサCoutの直流電圧Voutに基づいて、直流入力電圧の変動差分を検出する。
そして、乗算器111からは、スイッチング素子Qを駆動するためのドライブ信号が出力される。
乗算器111は、電流検出ラインLIから入力される、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子に流れる整流電流レベルを検出する。
また、波形入力ラインLwから入力される、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子の整流電圧波形を検出する。これは、即ち、商用交流電源AC(交流入力電圧)の波形を絶対値化して検出していることに相当する。
また、電圧検出ラインLVから入力される、出力コンデンサCoutの直流電圧Voutに基づいて、直流入力電圧の変動差分を検出する。
そして、乗算器111からは、スイッチング素子Qを駆動するためのドライブ信号が出力される。
電流検出ラインLIから乗算器111に対しては、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子に流れる整流電流が入力される。乗算器111では、この電流検出ラインLIから入力された整流電流レベルを検出する。また、電圧検出ラインLVから入力される、出力コンデンサCoutの直流電圧Voutに基づいて、直流入力電圧の変動差分を検出する。また、波形入力ラインLwから入力される、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子の整流電圧波形を検出する。これは、即ち、商用交流電源AC(交流入力電圧)の波形を絶対値化して検出していることに相当する。
乗算器111では、先ず、上記のようにして電流検出ラインLIから検出した整流電流レベルと、上記電圧検出ラインLVから検出した直流入力電圧の変動差分と乗算する。そして、この乗算結果と、波形入力ラインLwから検出した交流入力電圧の波形とによって、交流入力電圧VACと同一波形の電流指令値を生成する。
さらに、この場合の乗算器111では、上記電流指令値と実際の交流入力電流レベル(電流検出ラインL1からの入力に基づいて検出される)を比較し、この差に応じてPWM信号についてPWM制御を行い、PWM信号に基づいたドライブ信号を生成する。そして、スイッチング素子Qは、このドライブ信号によってスイッチング駆動される。この結果、交流入力電流は交流入力電圧と同一波形となるように制御されて、力率がほぼ1に近付くようにして力率改善が図られることになる。また、この場合には、乗算器によって生成される電流指令値は、整流平滑電圧の変動差分に応じて振幅が変化するように制御されるため、整流平滑電圧の変動も抑制されることになる。
図17(a)は、図16に示したアクティブフィルタ回路に入力される入力電圧Vin及び入力電流Iinを示している。電圧Vinは、ブリッジ整流回路Diの整流出力としての電圧波形に対応し、電流Iinは、ブリッジ整流回路Diの整流出力としての電流波形に対応する。ここで、電流Iinの波形は、ブリッジ整流回路Diの整流出力電圧(電圧Vin)と同じ導通角となっているが、これは、商用交流電源ACからブリッジ整流回路Diに流れる交流入力電流の波形も、この電流Iinと同じ導通角となっていることを示す。つまり、ほぼ1に近い力率が得られている。
また、図17(b)は、出力コンデンサCoutに入出力するエネルギー(電力)Pchgの変化を示す。出力コンデンサCoutは、入力電圧Vinが高いときにエネルギーを蓄え、入力電圧Vinが低いときにエネルギーを放出して、出力電力の流れを維持する。
図17(c)は、上記出力コンデンサCoutに対する充放電電流Ichgの波形を示している。この充放電電流Ichgは、上記図17(b)の入出力エネルギーPchgの波形と同位相となっていることからも分かるように、出力コンデンサCoutにおけるエネルギーPchgの蓄積/放出動作に対応して流れる電流である。
図17(c)は、上記出力コンデンサCoutに対する充放電電流Ichgの波形を示している。この充放電電流Ichgは、上記図17(b)の入出力エネルギーPchgの波形と同位相となっていることからも分かるように、出力コンデンサCoutにおけるエネルギーPchgの蓄積/放出動作に対応して流れる電流である。
上記充放電電流Ichgは、入力電流Iinとは異なり、交流ライン電圧(商用交流電源AC)の第2高調波とほぼ同一の波形となる。交流ライン電圧には、出力コンデンサCoutとの間のエネルギーの流れによって、図17(d)に示すようにして、第2高調波成分にリップル電圧Vdcが生じる。このリップル電圧Vdcは、無効なエネルギー保存のために、図17(c)に示す充放電電流Ichgに対して、90°の位相差を有する。出力コンデンサCoutの定格は、第2高調波のリップル電流と、その電流を変調するブースト・コンバータ・スイッチからの高周波リップル電流を処理することを考慮して決定するようにされる。
また、図17には、先の図16の回路構成を基として、基本的なコントロール回路系を備えたアクティブフィルタの構成例を示している。なお、図16と同一とされる部分については同一符号を付して説明を省略する。
ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、出力コンデンサCoutの正極端子間には、スイッチングプリレギュレータ115が備えられる。このスイッチングプリレギュレータ115は、図16においては、スイッチング素子Q、インダクタL、及びダイオードDなどにより形成される部位となる。
ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、出力コンデンサCoutの正極端子間には、スイッチングプリレギュレータ115が備えられる。このスイッチングプリレギュレータ115は、図16においては、スイッチング素子Q、インダクタL、及びダイオードDなどにより形成される部位となる。
そして、乗算器111を含むコントロール回路系は、他に、電圧誤差増幅器112、除算器113、二乗器114を備えて成る。
電圧誤差増幅器112では、出力コンデンサCoutの直流電圧Voutを、分圧抵抗Rvo−Rvdにより分圧してオペアンプ112aの非反転入力に入力する。オペアンプ112aの反転入力には基準電圧Vrefが入力される。オペアンプ112aでは、基準電圧Vrefに対する分圧された直流電圧Voutの誤差に応じたレベルの電圧を、帰還抵抗Rvl、コンデンサCvlによって決定される増幅率により増幅して、誤差出力電圧Vveaとして除算器113に出力する。
電圧誤差増幅器112では、出力コンデンサCoutの直流電圧Voutを、分圧抵抗Rvo−Rvdにより分圧してオペアンプ112aの非反転入力に入力する。オペアンプ112aの反転入力には基準電圧Vrefが入力される。オペアンプ112aでは、基準電圧Vrefに対する分圧された直流電圧Voutの誤差に応じたレベルの電圧を、帰還抵抗Rvl、コンデンサCvlによって決定される増幅率により増幅して、誤差出力電圧Vveaとして除算器113に出力する。
また、二乗器114には、いわゆるフィードフォワード電圧Vffが入力される。このフィードフォワード電圧Vffは、入力電圧Vinを平均化回路116(Rf11,Rf12,Rf13,Cf11,Cf12)により平均化した出力(平均入力電圧)とされる。二乗器114では、このフィードフォワード電圧Vffを二乗して除算器113に出力する。
除算器113では、電圧誤差増幅器112からの誤差出力電圧Vveaについて、二乗器114から出力された平均入力電圧の二乗値により除算を行い。この除算結果としての信号を乗算器111に出力する。
つまり、電圧ループは、二乗器114、除算器113、乗算器111の系から成るものとされる。そして、電圧誤差増幅器112から出力される誤差出力電圧Vveaは、乗算器111で整流入力信号Ivacにより乗算される前の段階で、平均入力電圧(Vff)の二乗により除算されることになる。この回路によって、電圧ループの利得は、平均入力電圧(Vff)の二乗として変化することなく、一定に維持される。平均入力電圧(Vff)は、電圧ループ内において順方向に送られる開ループ補正の機能を有する。
つまり、電圧ループは、二乗器114、除算器113、乗算器111の系から成るものとされる。そして、電圧誤差増幅器112から出力される誤差出力電圧Vveaは、乗算器111で整流入力信号Ivacにより乗算される前の段階で、平均入力電圧(Vff)の二乗により除算されることになる。この回路によって、電圧ループの利得は、平均入力電圧(Vff)の二乗として変化することなく、一定に維持される。平均入力電圧(Vff)は、電圧ループ内において順方向に送られる開ループ補正の機能を有する。
乗算器111には、上記除算器113により誤差出力電圧Vveaを除算した出力と、抵抗Rvacを介したブリッジ整流回路Diの正極出力端子(整流出力ライン)の整流出力(Iac)が入力される。ここでは、整流出力を電圧によるのではなく、電流(Iac)として示している。乗算器111では、これらの入力を乗算することによって、電流プログラミング信号(乗算器出力信号)Imoを生成して出力する。これは、図16にて説明した電流指令値に相当する。出力電圧Voutは、この電流プログラミング信号の平均振幅を可変することで制御される。つまり、電流プログラミング信号の平均振幅の変化に応じたPWM信号が生成され、このPWM信号に基づいたドライブ信号によってスイッチング駆動が行われることによって、出力電圧Voutのレベルをコントロールするものである。
したがって、電流プログラミング信号は、入力電圧と出力電圧を制御する平均振幅の波形を有する。なお、アクティブフィルタは、出力電圧Voutのみではなく、入力電流Vinも制御するようになっている。そして、フィードフォワード回路における電流ループは、整流ライン電圧によってプログラムされるということがいえるので、後段のコンバータ(負荷110)への入力は抵抗性になる。
したがって、電流プログラミング信号は、入力電圧と出力電圧を制御する平均振幅の波形を有する。なお、アクティブフィルタは、出力電圧Voutのみではなく、入力電流Vinも制御するようになっている。そして、フィードフォワード回路における電流ループは、整流ライン電圧によってプログラムされるということがいえるので、後段のコンバータ(負荷110)への入力は抵抗性になる。
図19は、図16に示した構成に基づくアクティブフィルタの後段に対して電流共振形コンバータを接続して成る電源回路の構成例を示している。この図に示す電源回路は、交流入力電圧VAC=85V〜264Vとして示される商用交流電源入力レベルに対応し、負荷電力Po=300W〜0Wの条件に対応可能な構成を採っている。また、電流共振形コンバータとしては、他励式のハーフブリッジ結合方式による構成を採る。
この図19に示す電源回路においては、商用交流電源ACに対して、図示する接続態様により、2組のラインフィルタトランスLFTと3組のアクロスコンデンサCLによるコモンモードノイズフィルタが設けられ、この後段にブリッジ整流回路Diが接続される。
また、ブリッジ整流回路Diの整流出力ラインには、1組のチョークコイルLNと、2組のフィルタコンデンサ(フィルムコンデンサ)CN,CNを図示するようにして接続して成るノーマルモードノイズフィルタ125が接続される。
また、ブリッジ整流回路Diの整流出力ラインには、1組のチョークコイルLNと、2組のフィルタコンデンサ(フィルムコンデンサ)CN,CNを図示するようにして接続して成るノーマルモードノイズフィルタ125が接続される。
ブリッジ整流回路Diの正極出力端子は、上記チョークコイルLNと、パワーチョークコイルPCCのインダクタLpcと、高速リカバリ型の整流ダイオードD20の直列接続を介して、平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。この平滑コンデンサCiは、図16、図17における出力コンデンサCoutに相当する。また、パワーチョークコイルPCCのインダクタLpcと、ダイオードD20は、それぞれ、図16に示したインダクタLとダイオードDに相当する。
また、この図における整流ダイオードD20には、コンデンサCsn、抵抗Rsnの直列接続から成るRCスナバ回路が並列に接続される。
また、この図における整流ダイオードD20には、コンデンサCsn、抵抗Rsnの直列接続から成るRCスナバ回路が並列に接続される。
スイッチング素子Q3は、図16におけるスイッチング素子Q10に相当する。つまり、実際にアクティブフィルタのスイッチング素子を実装するのにあたって、この場合にはスイッチング素子Q3をパワーチョークコイルLpcと高速リカバリ型の整流ダイオードD20の接続点と、一次側アース(抵抗R3を介する)との間に挿入するようにしている。
この場合のスイッチング素子Q3にはMOS−FETが選定されている。
この場合のスイッチング素子Q3にはMOS−FETが選定されている。
力率・出力電圧制御用IC120は、この場合には力率を1に近づけるように力率改善を行うアクティブフィルタの動作を制御する集積回路(IC)とされている。
この場合、力率・出力電圧制御回路20は、乗算器、除算器、誤差電圧増幅器、PWM制御回路、及びスイッチング素子をスイッチング駆動するためのドライブ信号を出力するドライブ回路等を備えて構成される。図17に示した乗算器111、電圧誤差増幅器112、除算器113、及び二乗器114などに相当する回路部は、この力率・出力電圧制御IC20内に含められる。
この場合、力率・出力電圧制御回路20は、乗算器、除算器、誤差電圧増幅器、PWM制御回路、及びスイッチング素子をスイッチング駆動するためのドライブ信号を出力するドライブ回路等を備えて構成される。図17に示した乗算器111、電圧誤差増幅器112、除算器113、及び二乗器114などに相当する回路部は、この力率・出力電圧制御IC20内に含められる。
この場合、フィードバック回路は平滑コンデンサCiの両端電圧(整流平滑電圧Ei)を分圧抵抗R5,R6により分圧した電圧値を、力率・出力電圧制御IC20の端子T1に入力するようにして形成される。
また、フィードフォワード回路としては、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と一次側アース間に対して、分圧抵抗R1−R2の直列接続を設け、この分圧抵抗R1−R2の接続点を端子T5と接続するようにしている。これにより、端子T5には、ブリッジ整流回路Diの整流出力が分圧されて入力されることになる。このようにして、図16における電流検出ラインLIに相当するラインとしてのフィードフォワード回路が形成されている。
また、端子T4には、力率・出力電圧制御IC20の動作電源が供給される。この端子T4には、パワーチョークコイルPCCにおける、インダクタLpcとトランス結合された巻線N5に励起された交番電圧が、図示するダイオードD11及びコンデンサC11とから成る半波整流回路により低圧直流電圧に変換されて供給される。
また、端子T4は、起動抵抗Rsを介して、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と接続される。商用交流電源ACが投入されてこの電源回路が起動するときには、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子にて得られる整流出力が起動抵抗Rsを介して端子T4に供給される。力率・出力電圧制御IC20は、このようにして供給される整流出力を起動用電源として、動作を開始する。
また、端子T4は、起動抵抗Rsを介して、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と接続される。商用交流電源ACが投入されてこの電源回路が起動するときには、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子にて得られる整流出力が起動抵抗Rsを介して端子T4に供給される。力率・出力電圧制御IC20は、このようにして供給される整流出力を起動用電源として、動作を開始する。
また、端子T3からは、スイッチング素子を駆動するためのドライブ信号(ゲート電圧)がスイッチング素子Q3のゲートに対して出力される。
スイッチング素子Q3は、印加されるドライブ信号に応じてスイッチング動作を行う。
スイッチング素子Q3は、印加されるドライブ信号に応じてスイッチング動作を行う。
また、スイッチング素子Q3のソースと一次側アース間には抵抗R3を挿入しており、このスイッチング素子Q3のソースと抵抗R3との接続点を端子T2と接続するようにしている。この場合の抵抗R3は、スイッチング素子Q3に流れる過電流を電圧として検出するために設けられる。過電流に対応するとされるレベルの電圧が端子T2にて検出されると、力率・出力電圧制御IC20は、例えばスイッチング素子Q3のスイッチング動作を停止させるなどの保護動作を行うようにされている。
そして、スイッチング素子Q3のスイッチング駆動は、図16及び図17により説明したようにして、整流出力電流の導通角が、整流出力電圧波形とほぼ同等の導通角となるように、PWM制御に基づくドライブ信号によって行われる。整流出力電流の導通角が整流出力電圧波形とほぼ同等の導通角となるということは、即ち、商用交流電源ACから流入する交流入力電流の導通角が、交流入力電圧VACの波形とほぼ同じ導通角となることであり、結果的に、力率がほぼ1となるように制御されることになる。つまり、力率改善が図られる。
ここで、実際における上記構成によるアクティブフィルタの力率改善動作について、図20及び図21により示す。
先ず、図20においては、負荷変動に応じたスイッチング素子Q3のスイッチング動作と、パワーチョークコイルPCCのインダクタLpcに流れる電流I1が示される。図20(a)は、軽負荷時の動作を示し、図20(b)は中間負荷時の動作を示し、図20(c)は重負荷時の動作を示す。
図20(a)(b)(c)を比較して分かるように、スイッチング素子Q3は、スイッチング周期が一定とされたうえで、重負荷の傾向となるのに従ってオン期間が長くなっていくスイッチング動作となっている。つまり、PWM制御によるスイッチング駆動が行われている。
このようなスイッチング動作に応じて、電流I1は、軽負荷時においては、導通しない期間が形成される不連続モードで流れる。また、中間負荷とされる条件では臨界モードにより流れる。そして、重負荷とされる負荷条件範囲では、連続モードで流れるようにされる。このような電流I1の動作モードの遷移は、インダクタLpcの選定により得られるもので、例えば実際には、100V系の商用交流電源の入力に対応させる場合にはLpc=140μHを選定する。このようにして負荷条件に応じて、インダクタLpcを介して平滑コンデンサCiに流入する電流I1を調整することで、商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)のレベル変動と負荷変動とに対する整流平滑電圧Eiの安定化が図られる。この場合には、交流入力電圧VAC=85V〜264Vの範囲に対して、380Vで定電圧化するようにされる。整流平滑電圧Eiは、平滑コンデンサCiの両端電圧であり、図17ではVoutに相当し、後段の電流共振形コンバータに対する直流入力電圧となる。
先ず、図20においては、負荷変動に応じたスイッチング素子Q3のスイッチング動作と、パワーチョークコイルPCCのインダクタLpcに流れる電流I1が示される。図20(a)は、軽負荷時の動作を示し、図20(b)は中間負荷時の動作を示し、図20(c)は重負荷時の動作を示す。
図20(a)(b)(c)を比較して分かるように、スイッチング素子Q3は、スイッチング周期が一定とされたうえで、重負荷の傾向となるのに従ってオン期間が長くなっていくスイッチング動作となっている。つまり、PWM制御によるスイッチング駆動が行われている。
このようなスイッチング動作に応じて、電流I1は、軽負荷時においては、導通しない期間が形成される不連続モードで流れる。また、中間負荷とされる条件では臨界モードにより流れる。そして、重負荷とされる負荷条件範囲では、連続モードで流れるようにされる。このような電流I1の動作モードの遷移は、インダクタLpcの選定により得られるもので、例えば実際には、100V系の商用交流電源の入力に対応させる場合にはLpc=140μHを選定する。このようにして負荷条件に応じて、インダクタLpcを介して平滑コンデンサCiに流入する電流I1を調整することで、商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)のレベル変動と負荷変動とに対する整流平滑電圧Eiの安定化が図られる。この場合には、交流入力電圧VAC=85V〜264Vの範囲に対して、380Vで定電圧化するようにされる。整流平滑電圧Eiは、平滑コンデンサCiの両端電圧であり、図17ではVoutに相当し、後段の電流共振形コンバータに対する直流入力電圧となる。
また、図21に、交流入力電流IAC及び整流平滑電圧Eiの波形を、交流入力電圧VACとの対比により示す。なお、この図においては、交流入力電圧VAC=100V時の実験結果を示している。
この図に示されるように、交流入力電圧VAC=100Vの入力に応じた交流入力電流IACとしては、交流入力電圧VACの導通期間とほぼ一致するようにされた波形となっている。つまり、力率の改善が図られている。
また、このような力率の改善と共に、整流平滑電圧Eiは、380Vの平均値で安定化されることが示される。また、実際の整流平滑電圧Eiの波形としては、図示するように、380Vに対して10Vp-pのリップル変動を持つ。
この図に示されるように、交流入力電圧VAC=100Vの入力に応じた交流入力電流IACとしては、交流入力電圧VACの導通期間とほぼ一致するようにされた波形となっている。つまり、力率の改善が図られている。
また、このような力率の改善と共に、整流平滑電圧Eiは、380Vの平均値で安定化されることが示される。また、実際の整流平滑電圧Eiの波形としては、図示するように、380Vに対して10Vp-pのリップル変動を持つ。
アクティブフィルタの後段の電流共振形コンバータは、上記整流平滑電圧Eiを直流入力電圧として入力して電力変換のためのスイッチング動作を行うもので、図示するようにして、2石のスイッチング素子Q1,Q2を備えて成る。この場合には、スイッチング素子Q1がハイサイドで、スイッチング素子Q2がローサイドとなるようにしてハーフブリッジ接続し、整流平滑電圧Ei(直流入力電圧)に対して並列に接続している。つまり、ハーフブリッジ結合方式による電流共振形コンバータを形成している。
この場合の電流共振形コンバータは他励式とされ、これに対応して上記スイッチング素子Q1,Q2には、MOS−FETが用いられている。これらスイッチング素子Q1,Q2に対しては、それぞれ並列にクランプダイオードDD1,DD2が接続され、これによりスイッチング回路が形成される。これらクランプダイオードDD1,DD2は、スイッチング素子Q1,Q2のターンオフ時における逆方向電流を流す経路を形成する。
スイッチング素子Q1,Q2は、発振・ドライブ回路2によって、交互にオン/オフとなるタイミングによって所要のスイッチング周波数によりスイッチング駆動される。また、発振・ドライブ回路2は、図示する制御回路1が実行する二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じた制御に基づき、スイッチング周波数を可変制御するように動作し、これにより、二次側直流出力電圧Eoの安定化を図るようにされる。
スイッチング素子Q1,Q2は、発振・ドライブ回路2によって、交互にオン/オフとなるタイミングによって所要のスイッチング周波数によりスイッチング駆動される。また、発振・ドライブ回路2は、図示する制御回路1が実行する二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じた制御に基づき、スイッチング周波数を可変制御するように動作し、これにより、二次側直流出力電圧Eoの安定化を図るようにされる。
絶縁コンバータトランスPITは、上記スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力を一次側から二次側に伝送するために設けられる。
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の一方の端部は、スイッチング素子Q1,Q2の接続点(スイッチング出力点)に対して接続され、他方の端部は、直列共振コンデンサC1を介して一次側アースに接続される。ここで、直列共振コンデンサC1は、自身のキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンス(L1)とによって直列共振回路を形成する。この直列共振回路は、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力が供給されることで共振動作を生じるが、これによって、スイッチング素子Q1,Q2から成るスイッチング回路の動作を電流共振形とする。
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の一方の端部は、スイッチング素子Q1,Q2の接続点(スイッチング出力点)に対して接続され、他方の端部は、直列共振コンデンサC1を介して一次側アースに接続される。ここで、直列共振コンデンサC1は、自身のキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンス(L1)とによって直列共振回路を形成する。この直列共振回路は、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング出力が供給されることで共振動作を生じるが、これによって、スイッチング素子Q1,Q2から成るスイッチング回路の動作を電流共振形とする。
絶縁コンバータトランスPITの二次側には二次巻線N2が巻装される。
この場合の二次巻線N2に対しては、図示するようにしてセンタータップを施し、このセンタータップを二次側アースに接続した上で、図示するようにして整流ダイオードDo1,Do2、及び平滑コンデンサCoを設けることで両波整流回路を形成している。これにより、平滑コンデンサCoの両端電圧として二次側直流出力電圧Eoが得られる。この二次側直流出力電圧Eoは、図示しない負荷側に供給されるとともに、制御回路1のための検出電圧としても分岐して入力される。制御回路1は、入力される二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じた制御信号を発振・ドライブ回路2に対して供給する。発振・ドライブ回路2は、この制御信号に応じて二次側直流出力電圧Eoが安定化されるようにスイッチング周波数を可変するようにしてスイッチング素子Q1,Q2を駆動するようにされる。つまり、スイッチング周波数制御方式による安定化が行われるものである。
この場合の二次巻線N2に対しては、図示するようにしてセンタータップを施し、このセンタータップを二次側アースに接続した上で、図示するようにして整流ダイオードDo1,Do2、及び平滑コンデンサCoを設けることで両波整流回路を形成している。これにより、平滑コンデンサCoの両端電圧として二次側直流出力電圧Eoが得られる。この二次側直流出力電圧Eoは、図示しない負荷側に供給されるとともに、制御回路1のための検出電圧としても分岐して入力される。制御回路1は、入力される二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じた制御信号を発振・ドライブ回路2に対して供給する。発振・ドライブ回路2は、この制御信号に応じて二次側直流出力電圧Eoが安定化されるようにスイッチング周波数を可変するようにしてスイッチング素子Q1,Q2を駆動するようにされる。つまり、スイッチング周波数制御方式による安定化が行われるものである。
図22は、負荷変動に対するAC→DC電力変換効率(総合効率)、力率、及び整流平滑電圧Eiの各特性を示している。この図では、交流入力電圧VAC=100V時(AC100V系)における負荷電力Po=300W〜0Wの変動に対する特性が示されている。また、図23は、交流入力電圧VACの変動に対するAC→DC電力変換効率(総合効率)、力率、及び整流平滑電圧Eiの各特性を示している。この図では、負荷電力Po=300Wで一定の負荷条件の下での、交流入力電圧VAC=85V〜264Vの変動に対する特性が示される。
先ず、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)は、図22に示すようにして、負荷電力Poが重負荷の条件となるのに従って低下していく。また、交流入力電圧VACの変動に対しては、同じ負荷条件の下では、図23に示されるように、交流入力電圧VACのレベルが高くなっていくのに応じて高くなっていく傾向となっている。
実際においては、負荷電力Po=300Wの負荷条件で、交流入力電圧VAC=100V時には、ηAC→DC=83.0%程度となり、交流入力電圧VAC=230V時にはηAC→DC=89.0%程度となる結果が得られている。
実際においては、負荷電力Po=300Wの負荷条件で、交流入力電圧VAC=100V時には、ηAC→DC=83.0%程度となり、交流入力電圧VAC=230V時にはηAC→DC=89.0%程度となる結果が得られている。
また、力率PFについては、図22に示すように、負荷電力Poの変動に対してほぼ一定となる特性が得られている。また、交流入力電圧VACの変動に対する力率PFの変動特性も、図23に示すようにして、交流入力電圧VACの上昇に応じて低下する傾向ではあるものの、ほぼ一定とみてよい特性となっていることが分かる。
実際としては、負荷電力Po=300Wの負荷条件で、交流入力電圧VAC=100V時には力率PF=0.96程度、交流入力電圧VAC=230V時には力率PF=0.94程度が得られる。
実際としては、負荷電力Po=300Wの負荷条件で、交流入力電圧VAC=100V時には力率PF=0.96程度、交流入力電圧VAC=230V時には力率PF=0.94程度が得られる。
また、整流平滑電圧Eiについては、図22、図23に示されるように、負荷電力Po、交流入力電圧VACの変動に対して一定となる結果が得られている。
これまでの説明から分かるように、図19に示した電源回路は、従来から知られている図16及び図17に示したアクティブフィルタを実装して構成されている。このような構成を採ることによって、力率改善を図っている。
しかしながら、図19に示した構成による電源回路では、次のような問題を有している。
先ず、図19に示す電源回路における電力変換効率としては、図示もしているように、前段のアクティブフィルタに対応するAC→DC電力変換効率と、後段の電流共振形コンバータのDC→DC電力変換効率とを総合したものとなる。
つまり、図19に示される回路の総合的な電力変換効率としては、これらの電力変換効率の値を乗算した値となるものであり、その分低下傾向となってしまう。
実験によれば、図19の回路におけるアクティブフィルタに対応する部分でのAC→DC電力変換効率は、交流入力電圧VAC=100V時ではηAC→DC=88.5%程度、交流入力電圧VAC=230Vの条件ではηAC→DC=95%程度となる。また、電流共振形コンバータ側でのDC→DC電力変換効率は、負荷電力Po=300W、整流平滑電圧Ei=380V時にηDC→DC=94%程度である。
従って、図19の回路における総合的なAC→DC電力変換効率としては、先にも説明したように、交流入力電圧VAC=100V時ではηAC→DC=83.0%程度に低下し、交流入力電圧VAC=230V時としてもηAC→DC=89.0%程度に低下してしまう。
先ず、図19に示す電源回路における電力変換効率としては、図示もしているように、前段のアクティブフィルタに対応するAC→DC電力変換効率と、後段の電流共振形コンバータのDC→DC電力変換効率とを総合したものとなる。
つまり、図19に示される回路の総合的な電力変換効率としては、これらの電力変換効率の値を乗算した値となるものであり、その分低下傾向となってしまう。
実験によれば、図19の回路におけるアクティブフィルタに対応する部分でのAC→DC電力変換効率は、交流入力電圧VAC=100V時ではηAC→DC=88.5%程度、交流入力電圧VAC=230Vの条件ではηAC→DC=95%程度となる。また、電流共振形コンバータ側でのDC→DC電力変換効率は、負荷電力Po=300W、整流平滑電圧Ei=380V時にηDC→DC=94%程度である。
従って、図19の回路における総合的なAC→DC電力変換効率としては、先にも説明したように、交流入力電圧VAC=100V時ではηAC→DC=83.0%程度に低下し、交流入力電圧VAC=230V時としてもηAC→DC=89.0%程度に低下してしまう。
また、アクティブフィルタ回路はハードスイッチング動作であることから、ノイズの発生レベルが非常に大きいため、比較的重度のノイズ抑制対策が必要となる。
このため、図19に示した回路では、商用交流電源ACのラインに対して、2組のラインフィルタトランスと、3組のアクロスコンデンサによるノイズフィルタを形成している。つまり、2段以上のフィルタが必要となっている。
また、整流出力ラインに対しては、1組のチョークコイルLNと、2組のフィルタコンデンサCNから成るノーマルモードノイズフィルタを設けている。さらに、整流用の高速リカバリ型のダイオードD20に対しては、RCスナバ回路を設けている。
このようにして、実際の回路としては非常に多くの部品点数によるノイズ対策が必要であり、コストアップ及び電源回路基板の実装面積の大型化を招いている。
このため、図19に示した回路では、商用交流電源ACのラインに対して、2組のラインフィルタトランスと、3組のアクロスコンデンサによるノイズフィルタを形成している。つまり、2段以上のフィルタが必要となっている。
また、整流出力ラインに対しては、1組のチョークコイルLNと、2組のフィルタコンデンサCNから成るノーマルモードノイズフィルタを設けている。さらに、整流用の高速リカバリ型のダイオードD20に対しては、RCスナバ回路を設けている。
このようにして、実際の回路としては非常に多くの部品点数によるノイズ対策が必要であり、コストアップ及び電源回路基板の実装面積の大型化を招いている。
さらに、汎用ICとしての力率・出力電圧制御用IC120によって動作するスイッチング素子Q3のスイッチング周波数は60kHzで固定であるのに対して、後段の電流共振形コンバータのスイッチング周波数は80kHz〜200kHzの範囲で可変する。このようにして両者のスイッチングタイミングが個々に独立して行われることで、両者のスイッチング動作により、一次側アース電位は干渉しあって不安定になり、例えば異常発振が生じやすくなる。これにより、例えば回路設計が難しいものとなったり、信頼性を劣化させたりするなどの問題も招くことになる。
そこで本発明は上記した課題を考慮して、スイッチング電源回路として次のように構成することとした。
つまり、商用交流電源を入力して整流平滑電圧を生成する整流平滑手段と、整流平滑電圧を直流入力電圧として入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段とを備える。
また、少なくとも、スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線に得られたスイッチング出力により交番電圧が誘起される二次巻線とを巻装して形成され、中間負荷とされる所定の負荷条件範囲においても適正なゼロ電圧スイッチングが得られるようにして、絶縁コンバータトランスの一次側と二次側の結合係数が設定された構造を有する絶縁コンバータトランスを備える。
少なくとも、絶縁コンバータトランスの一次巻線を含む漏洩インダクタンス成分と一次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成されて、スイッチング手段の動作を電圧共振形とする一次側並列共振回路を備える。
また、絶縁コンバータトランスの二次巻線に対して直列となる関係により二次側直列共振コンデンサを接続することで、二次巻線を含む漏洩インダクタンス成分と二次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成される二次側直列共振回路を備える。
また、絶縁コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番電圧を入力して整流動作を行って、二次側直流出力電圧を生成するように構成された二次側直流出力電圧生成手段を備える。
また、スイッチング出力を帰還する動作として、スイッチング手段のスイッチング動作により一次巻線に得られるスイッチング出力電流を電力として回生するようにして整流平滑手段を形成する平滑コンデンサに帰還する動作を少なくとも含み、帰還されたスイッチング出力に応じて整流平滑手段における整流動作によって得られる整流電流を力率改善用スイッチング素子により断続するようにされた力率改善手段を備えることとした。
-01
つまり、商用交流電源を入力して整流平滑電圧を生成する整流平滑手段と、整流平滑電圧を直流入力電圧として入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段とを備える。
また、少なくとも、スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、この一次巻線に得られたスイッチング出力により交番電圧が誘起される二次巻線とを巻装して形成され、中間負荷とされる所定の負荷条件範囲においても適正なゼロ電圧スイッチングが得られるようにして、絶縁コンバータトランスの一次側と二次側の結合係数が設定された構造を有する絶縁コンバータトランスを備える。
少なくとも、絶縁コンバータトランスの一次巻線を含む漏洩インダクタンス成分と一次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成されて、スイッチング手段の動作を電圧共振形とする一次側並列共振回路を備える。
また、絶縁コンバータトランスの二次巻線に対して直列となる関係により二次側直列共振コンデンサを接続することで、二次巻線を含む漏洩インダクタンス成分と二次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成される二次側直列共振回路を備える。
また、絶縁コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番電圧を入力して整流動作を行って、二次側直流出力電圧を生成するように構成された二次側直流出力電圧生成手段を備える。
また、スイッチング出力を帰還する動作として、スイッチング手段のスイッチング動作により一次巻線に得られるスイッチング出力電流を電力として回生するようにして整流平滑手段を形成する平滑コンデンサに帰還する動作を少なくとも含み、帰還されたスイッチング出力に応じて整流平滑手段における整流動作によって得られる整流電流を力率改善用スイッチング素子により断続するようにされた力率改善手段を備えることとした。
-01
-01 なお、本願発明において「結合係数」とは、電磁的な結合の度合いを示すものであり、-01 数値として1が最も結合の度合いが高いことを示し、数値として0が最も結合の度合いが-01 低い(結合していない)ことを示す。
上記構成による本願発明の電源回路は、一次側電圧共振形コンバータに二次側直列共振回路を備えたスイッチングコンバータとしての基本構成を採る。そのうえで、力率改善を図るのにあたっては、スイッチング素子のスイッチング出力に応じて絶縁コンバータトランスの一次巻線に得られる電流(スイッチング出力電流)を電力として回生して、整流電流経路(整流平滑電圧生成のための平滑コンデンサ)に対して帰還し、この帰還された電圧により力率改善用スイッチング素子が整流電流をスイッチングするようにして構成する。
これにより、例えば力率改善回路を備える電源回路を構成するのにあたっては、スイッチングコンバータへの直流入力電圧の安定化を図るアクティブフィルタを備える必要は無いこととなる。
これにより、例えば力率改善回路を備える電源回路を構成するのにあたっては、スイッチングコンバータへの直流入力電圧の安定化を図るアクティブフィルタを備える必要は無いこととなる。
上記のようにして本発明のスイッチング電源回路は、力率改善機能を備えるスイッチング電源回路としてアクティブフィルタを省略することができる。アクティブフィルタが省略されることで、スイッチング電源回路の電力変換効率特性が向上する。このことは、例えば放熱版などの省略、縮小につながる。また、アクティブフィルタを備える構成と比較すると部品点数も大幅に削減されることとなり、回路の小型軽量化、及び低コスト化が図られる。また、アクティブフィルタはハードスイッチング動作であるのに対して、本発明のスイッチングコンバータは、電圧共振形コンバータを基としていることで、ソフトスイッチング動作となる。これによっては、スイッチングノイズが大幅に低減されるから、ノイズフィルタを強化する必要もなくなるので、上記小型軽量化及び低コスト化に寄与することになる。
さらに、本発明としての構成によれば、異なるスイッチング周波数が同時的に動作することはないために、一次側と二次側のアース電位の干渉の問題も解消されるので、アース電位が安定することとなって、信頼性も向上し、また、回路基板のパターン設計なども容易となる。
さらに、本発明としての構成によれば、異なるスイッチング周波数が同時的に動作することはないために、一次側と二次側のアース電位の干渉の問題も解消されるので、アース電位が安定することとなって、信頼性も向上し、また、回路基板のパターン設計なども容易となる。
図1は、本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態ともいう)における、第1の実施の形態としてのスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。この図に示す電源回路は、シングルエンド方式による電圧共振形スイッチングコンバータとしての基本構成を採る。
この図に示すスイッチング電源回路においては、まず、商用交流電源ACのラインに対して、図示するようにして、1組のコモンモードチョークコイルCMCと、2本のアクロスコンデンサCLが挿入される。これらコモンモードチョークコイルCMC、及びアクロスコンデンサCL,CLにより、商用交流電源ACのラインに重畳するコモンモードのノイズを除去するノイズフィルタが形成される。
この図に示すスイッチング電源回路においては、まず、商用交流電源ACのラインに対して、図示するようにして、1組のコモンモードチョークコイルCMCと、2本のアクロスコンデンサCLが挿入される。これらコモンモードチョークコイルCMC、及びアクロスコンデンサCL,CLにより、商用交流電源ACのラインに重畳するコモンモードのノイズを除去するノイズフィルタが形成される。
商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)は、4本の低速型の整流素子(ダイオード)をブリッジ接続して形成したブリッジ整流回路Diにより整流され、その整流出力は平滑コンデンサCiに充電される。これにより平滑コンデンサCiの両端電圧として整流平滑電圧Eiが得られる。この場合の整流平滑電圧Eiは、交流入力電圧VACの等倍に対応したレベルとなる。この整流平滑電圧Eiが、後段のスイッチングコンバータのための直流入力電圧となる。
ただし、本実施の形態においては、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、平滑コンデンサCiの正極端子との間のラインには、力率改善回路10が介在するようにして設けられる。この力率改善回路10の構成及びその動作については後述する。
ただし、本実施の形態においては、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、平滑コンデンサCiの正極端子との間のラインには、力率改善回路10が介在するようにして設けられる。この力率改善回路10の構成及びその動作については後述する。
この図において、上記整流平滑電圧Eiを直流入力電圧として入力してスイッチング動作を行うスイッチングコンバータは、例えば1石のスイッチング素子Q1を備えたシングルエンド方式の電圧共振形コンバータとして形成される。この場合のスイッチング素子Q1には高耐圧のMOS−FETが選定されている。また、この場合の電圧共振形コンバータの駆動方式は、発振・ドライブ回路2によりスイッチング素子をスイッチング駆動する他励式である。
スイッチング素子Q1のゲートに対しては、発振・ドライブ回路2から出力されるスイッチング駆動信号(電圧)が印加されるようになっている。
また、スイッチング素子Q1のドレインは、後述する絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の巻始め端部と接続される。一次巻線N1の巻き終わり端部は、後述する力率改善回路10の高周波チョークコイルL10を介するようにして平滑コンデンサEiの正極端子と接続される。つまり、この場合には、直流入力電圧(Ei)は、一次巻線N1の直列接続を介してスイッチング素子Q1に供給されるようになっている。スイッチング素子Q1のソースは一次側アースに接続される。
また、スイッチング素子Q1のドレインは、後述する絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の巻始め端部と接続される。一次巻線N1の巻き終わり端部は、後述する力率改善回路10の高周波チョークコイルL10を介するようにして平滑コンデンサEiの正極端子と接続される。つまり、この場合には、直流入力電圧(Ei)は、一次巻線N1の直列接続を介してスイッチング素子Q1に供給されるようになっている。スイッチング素子Q1のソースは一次側アースに接続される。
この場合のスイッチング素子Q1には、MOS−FETが選定されていることから、図示するようにして、ソース−ドレイン間に対して並列に接続されるようにしてボディダイオードDDを内蔵する。このボディダイオードDDとしては、アノードがスイッチング素子Q1のソースと接続され、カソードがスイッチング素子Q1のドレインと接続される状態を形成する。このボディダイオードDDは、スイッチング素子Q1のオン/オフ動作(スイッチング動作)により生じる、逆方向のスイッチング電流を流す経路を形成する。
そして、スイッチング素子Q1のドレイン−ソース間に対しては、一次側並列共振コンデンサCrが並列に接続される。
一次側並列共振コンデンサCrは、自身のキャパシタンスと絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のリーケージ(漏洩)インダクタンスL1とによって、スイッチング素子Q1に流れるスイッチング電流に対する一次側並列共振回路(電圧共振回路)を形成する。この一次側並列共振回路が共振動作を行うことによって、スイッチング素子Q1のスイッチング動作として電圧共振形の動作が得られる。これに応じて、スイッチング素子Q1の両端電圧(ドレイン−ソース間電圧)V1としては、そのオフ期間において正弦波状の共振パルス電圧波形が得られる。
一次側並列共振コンデンサCrは、自身のキャパシタンスと絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1のリーケージ(漏洩)インダクタンスL1とによって、スイッチング素子Q1に流れるスイッチング電流に対する一次側並列共振回路(電圧共振回路)を形成する。この一次側並列共振回路が共振動作を行うことによって、スイッチング素子Q1のスイッチング動作として電圧共振形の動作が得られる。これに応じて、スイッチング素子Q1の両端電圧(ドレイン−ソース間電圧)V1としては、そのオフ期間において正弦波状の共振パルス電圧波形が得られる。
発振・ドライブ回路2は、例えば他励式によりスイッチング素子Q1を駆動するために、発振回路と、この発振回路により得られた発振信号に基づいて、MOS−FETをスイッチング駆動するためのゲート電圧であるドライブ信号を生成して、スイッチング素子Q1のゲートに印加するようにされる。これにより、スイッチング素子Q1は、ドライブ信号の周期に応じたスイッチング周波数に従って連続的にオン/オフ動作を行う。つまり、スイッチング動作を行う。
絶縁コンバータトランスPITは、一次側と二次側とを直流的に絶縁した状態で、一次側スイッチングコンバータのスイッチング出力を二次側に伝送する。
図2は、図1の電源回路が備える絶縁コンバータトランスPITの構造例を示す断面図である。
この図に示すように、絶縁コンバータトランスPITは、フェライト材によるE字形状コアCR1、CR2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コア(EE字形コア)を備える。
そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成される、ボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線N1を巻装する。また、他方の巻装部に対して二次巻線N2を巻装する。
このようにして一次側巻線及び二次側巻線が巻装されたボビンBを上記EE字形コア(CR1,CR2)に取り付けることで、一次側巻線及び二次側巻線とがそれぞれ異なる巻装領域により、EE字形コアの中央磁脚に巻装される状態となる。このようにして絶縁コンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。
図2は、図1の電源回路が備える絶縁コンバータトランスPITの構造例を示す断面図である。
この図に示すように、絶縁コンバータトランスPITは、フェライト材によるE字形状コアCR1、CR2を互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コア(EE字形コア)を備える。
そして、一次側と二次側の巻装部について相互に独立するようにして分割した形状により、例えば樹脂などによって形成される、ボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装部に対して一次巻線N1を巻装する。また、他方の巻装部に対して二次巻線N2を巻装する。
このようにして一次側巻線及び二次側巻線が巻装されたボビンBを上記EE字形コア(CR1,CR2)に取り付けることで、一次側巻線及び二次側巻線とがそれぞれ異なる巻装領域により、EE字形コアの中央磁脚に巻装される状態となる。このようにして絶縁コンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。
そのうえで、EE字形コアの中央磁脚に対しては、図のようにして、例えばギャップ長1.6mm程度以上のギャップGを形成する。これによって、結合係数kとしては、例えばk≒0.75程度による疎結合の状態を得るようにしている。つまり、従来技術として図21に示した電源回路の絶縁コンバータトランスPITよりも、さらに疎結合の状態としている。なお、ギャップGは、E型コアCR1,CR2の中央磁脚を、2本の外磁脚よりも短くすることで形成することができる。
絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1の一端は、前述もしたように、スイッチング素子Q1のドレインと接続されている。これにより、スイッチング素子Q1のスイッチング出力が一次巻線N1に伝達され、一次巻線N1には交番電圧が生じる。
絶縁コンバータトランスPITの二次側では、一次巻線N1により誘起された交番電圧が二次巻線N2に発生する。
この二次巻線N2に対しては、二次側直列共振コンデンサC2を直列となる接続関係によりに接続している。これにより、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって二次側直列共振回路を形成する。この二次側直列共振回路は、後述する二次側整流回路の整流動作に応じて共振動作を行うが、これにより、二次巻線N2に流れる二次巻線電流は正弦波状となる。つまり、二次側において電流共振動作が得られる。
この二次巻線N2に対しては、二次側直列共振コンデンサC2を直列となる接続関係によりに接続している。これにより、二次巻線N2のリーケージインダクタンスL2と二次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスとによって二次側直列共振回路を形成する。この二次側直列共振回路は、後述する二次側整流回路の整流動作に応じて共振動作を行うが、これにより、二次巻線N2に流れる二次巻線電流は正弦波状となる。つまり、二次側において電流共振動作が得られる。
この場合の二次側整流回路は、上記のようにして二次側直列共振コンデンサC2が直列接続された二次巻線N2に対して、2本の整流ダイオードDo1,Do2と、1本の平滑コンデンサCoを接続することで、倍電圧半波整流回路として形成される。この倍電圧半波整流回路の接続態様としては、まず、整流回路二次巻線N2の巻き終わり端部側に対して、二次側直列共振コンデンサC2を介して整流ダイオードDo1のアノードと、整流ダイオードDo2のカソードを接続する。また、整流ダイオードDo1のカソードを平滑コンデンサCoの正極端子に接続する。二次巻線N2の巻始め端部と、整流ダイオードDo2のアノードと、平滑コンデンサCoの負極端子は、二次側アースに対して接続する。
このようにして形成される倍電圧半波整流回路の整流動作は次のようになる。
先ず、二次巻線に得られる交番電圧の一方の極性に対応する半周期においては、整流ダイオードDo2に順方向電圧が印加されることになるので、整流ダイオードDo2が導通し、整流電流を二次側直列共振コンデンサC2に対して充電する動作が得られる。これによって、二次側直列共振コンデンサC2には、二次巻線N2に誘起される交番電圧レベルの等倍に対応したレベルの両端電圧が生成される。次の、二次巻線に得られる交番電圧の他方の極性に対応する半周期においては、整流ダイオードDo2に順方向電圧が印加されて導通する。このとき、平滑コンデンサCoに対しては、二次巻線電圧V1の電位と、上記二次側直列共振コンデンサC2の両端電圧とが重畳された電位により充電が行われる。
これによって平滑コンデンサCoの両端電圧としては、二次巻線N2に誘起される交番電圧レベルの2倍に対応したレベルによる二次側直流出力電圧Eoが得られることになる。この整流動作では、平滑コンデンサCoに対しては、二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期にのみ充電が行われる。つまり、倍電圧半波としての整流動作が得られている。
この二次側直流出力電圧Eoは、負荷に供給される。また、分岐して制御回路1に対して検出電圧として出力される。
先ず、二次巻線に得られる交番電圧の一方の極性に対応する半周期においては、整流ダイオードDo2に順方向電圧が印加されることになるので、整流ダイオードDo2が導通し、整流電流を二次側直列共振コンデンサC2に対して充電する動作が得られる。これによって、二次側直列共振コンデンサC2には、二次巻線N2に誘起される交番電圧レベルの等倍に対応したレベルの両端電圧が生成される。次の、二次巻線に得られる交番電圧の他方の極性に対応する半周期においては、整流ダイオードDo2に順方向電圧が印加されて導通する。このとき、平滑コンデンサCoに対しては、二次巻線電圧V1の電位と、上記二次側直列共振コンデンサC2の両端電圧とが重畳された電位により充電が行われる。
これによって平滑コンデンサCoの両端電圧としては、二次巻線N2に誘起される交番電圧レベルの2倍に対応したレベルによる二次側直流出力電圧Eoが得られることになる。この整流動作では、平滑コンデンサCoに対しては、二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期にのみ充電が行われる。つまり、倍電圧半波としての整流動作が得られている。
この二次側直流出力電圧Eoは、負荷に供給される。また、分岐して制御回路1に対して検出電圧として出力される。
制御回路1は、入力された二次側直流出力電圧Eoのレベル変化に応じた検出出力を発振・ドライブ回路2に供給する。発振・ドライブ回路2では、入力された制御回路1の検出出力に応じてスイッチング周波数、あるいは1スイッチング周期におけるオン期間TONとオフ期間TOFFの時比率(導通角)を可変するようにして、スイッチング素子Q1を駆動する。この動作が二次側直流出力電圧に対する定電圧制御動作となる。
電圧共振形コンバータの基本的な定電圧制御動作は、スイッチング素子Q1のオフ期間TOFFは一定とされたうえで、オン期間TONを可変制御してスイッチング周波数を可変する動作となる。しかしながら、本実施の形態のようにして、二次側直列共振回路を備える場合には、上記もしているように、1スイッチング周期内の導通角を制御する、PWM(Pulse Width Modulation)制御としての定電圧制御動作も生じる。つまり、定電圧制御動作全体としては、スイッチング周波数制御とPWM制御との複合的な制御が行われるものとなる。
上記のようにしてスイッチング素子Q1のスイッチング周波数及び導通角が可変制御されることにより、電源回路における一次側、二次側の共振インピーダンス、電力伝送有効期間が変化し、絶縁コンバータトランスPITの一次巻線N1から二次巻線N2側に伝送される電力量、また、二次側整流回路から負荷に供給すべき電力量が変化することになる。これにより、二次側直流出力電圧Eoのレベル変動がキャンセルされるようにして、二次側直流出力電圧Eoのレベルを制御する動作が得られることになる。つまり、二次側直流出力電圧Eoの安定化が図られる。
続いて、力率改善回路10について説明する。
この力率改善回路10は、商用交流電源ACから直流入力電圧(Ei)を得るための整流平滑回路における整流電流経路に対して挿入されるようにして設けられるもので、電力回生方式として磁気結合形により力率改善を図る構成を採る。
この力率改善回路10は、商用交流電源ACから直流入力電圧(Ei)を得るための整流平滑回路における整流電流経路に対して挿入されるようにして設けられるもので、電力回生方式として磁気結合形により力率改善を図る構成を採る。
力率改善回路10においては、先ず、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子に対して、高速リカバリ型であるスイッチングダイオードD1(力率改善用スイッチング素子)のアノードが接続され、スイッチングダイオードD1のカソードは、高周波チョークコイルL10の直列接続を介して、平滑コンデンサCiの正極端子に対して接続される。つまり、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と平滑コンデンサCiの正極端子間に対して、スイッチングダイオードD1(アノード→カソード)−高周波チョークコイルL10の直列接続回路が挿入される。
また、上記スイッチングダイオードD1−高周波チョークコイルL10の直列接続回路に対しては、フィルタコンデンサCNを並列に接続している。フィルタコンデンサCNは、ノーマルモードノイズを抑制するために設けられる。
そして、この場合のスイッチング出力帰還点である、高周波チョークコイルL10と、スイッチングダイオードD1のカソードとの接続点に対して、一次巻線N1の一方の端部(この場合は巻き終わり端部)を接続する。
また、上記スイッチングダイオードD1−高周波チョークコイルL10の直列接続回路に対しては、フィルタコンデンサCNを並列に接続している。フィルタコンデンサCNは、ノーマルモードノイズを抑制するために設けられる。
そして、この場合のスイッチング出力帰還点である、高周波チョークコイルL10と、スイッチングダイオードD1のカソードとの接続点に対して、一次巻線N1の一方の端部(この場合は巻き終わり端部)を接続する。
このような力率改善回路10の回路構成によると、スイッチング素子Q1のスイッチング動作に応じて一次巻線N1に得られるスイッチング出力電流(一次側並列共振回路の共振動作により得られる一次側並列共振電流)を電力として回生して、高周波チョークコイルL10により得られるものとされる磁気結合を介するようにして平滑コンデンサCiに帰還する動作が得られることになる。
これにより、例えば一次側直列共振コンデンサC1と力率改善回路10側との接続点と、一次側アース間の電圧は、整流平滑電圧Eiに対して、スイッチング周期による交番電圧成分がさらに重畳した波形として得られる。高速リカバリ型のスイッチングダイオードD1は、このような整流平滑電圧Eiに重畳される交番電圧成分の印加により、例えば交流入力電圧VACの正/負の絶対値が、そのピーク値の約1/2以上のときにスイッチング動作を行い、平滑コンデンサCiに流入しようとする整流電流を断続する。
上記のようにして流れる整流電流のエンベロープの導通期間は、ブリッジ整流回路Diから出力される整流出力電圧レベルが平滑コンデンサCiの両端電圧よりも低いとされる期間にも流れるものとなっている。そして、交流入力電圧VACを基として流れる交流入力電流IACの導通期間も、この整流電流の導通期間にほぼ一致したものとなる。つまり、交流入力電流IACの導通角は、力率改善回路を備えない場合よりも拡大されているものであり、交流入力電流IACの波形としては、交流入力電圧VACの波形に近付くものとなっている。つまり、力率改善が図られていることになる。
これにより、例えば一次側直列共振コンデンサC1と力率改善回路10側との接続点と、一次側アース間の電圧は、整流平滑電圧Eiに対して、スイッチング周期による交番電圧成分がさらに重畳した波形として得られる。高速リカバリ型のスイッチングダイオードD1は、このような整流平滑電圧Eiに重畳される交番電圧成分の印加により、例えば交流入力電圧VACの正/負の絶対値が、そのピーク値の約1/2以上のときにスイッチング動作を行い、平滑コンデンサCiに流入しようとする整流電流を断続する。
上記のようにして流れる整流電流のエンベロープの導通期間は、ブリッジ整流回路Diから出力される整流出力電圧レベルが平滑コンデンサCiの両端電圧よりも低いとされる期間にも流れるものとなっている。そして、交流入力電圧VACを基として流れる交流入力電流IACの導通期間も、この整流電流の導通期間にほぼ一致したものとなる。つまり、交流入力電流IACの導通角は、力率改善回路を備えない場合よりも拡大されているものであり、交流入力電流IACの波形としては、交流入力電圧VACの波形に近付くものとなっている。つまり、力率改善が図られていることになる。
上記構成による図1の電源回路の実際として、後述する実験結果を得るのにあたっては、要部を下記のように選定した。
先ず、絶縁コンバータトランスPITについては、図2に示す構造を基としてEE字形コア(CR1,CR2)についてEER-35を選定して、ギャップG1については2.2mmのギャップ長を設定した。一次巻線N1及び二次巻線N2の各巻数(ターン数)Tについては、N1=38T、N2=30Tを選定した。上記した絶縁コンバータトランスPITの構造により、絶縁コンバータトランスPIT自体における一次側と二次側との結合係数kについては、例えばk=0.67程度の、0.7より小さいとされる値が設定される。
また、高周波チョークコイルL10については、EE−22を選定して、1.4mmのギャップを形成し、インダクタンスL10=27μHとなるようにして構成した。
なお、上記EER、EEのコアは、よく知られているように、製品としてのコアの型式、規格の1つであり、この型式には、ERのあることも知られている。本願においてE字形状、EE字形などという場合には、断面がE字、あるいはEE字形状であることに応じて、EER、ER、EEの何れのタイプの場合についてもE字形状、あるいはEE字形のコアであるとして扱うものとする。
また、一次側並列共振コンデンサCr、フィルタコンデンサCN、及び二次側直列共振コンデンサC2の各キャパシタンスについては、
Cr=7500pF
CN=1μF
C2=0.047μF
を選定した。
対応負荷電力は、最大負荷電力Pomax=300W、最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)とし、二次側直流出力電圧Eoの定格レベルは175Vとしている。
先ず、絶縁コンバータトランスPITについては、図2に示す構造を基としてEE字形コア(CR1,CR2)についてEER-35を選定して、ギャップG1については2.2mmのギャップ長を設定した。一次巻線N1及び二次巻線N2の各巻数(ターン数)Tについては、N1=38T、N2=30Tを選定した。上記した絶縁コンバータトランスPITの構造により、絶縁コンバータトランスPIT自体における一次側と二次側との結合係数kについては、例えばk=0.67程度の、0.7より小さいとされる値が設定される。
また、高周波チョークコイルL10については、EE−22を選定して、1.4mmのギャップを形成し、インダクタンスL10=27μHとなるようにして構成した。
なお、上記EER、EEのコアは、よく知られているように、製品としてのコアの型式、規格の1つであり、この型式には、ERのあることも知られている。本願においてE字形状、EE字形などという場合には、断面がE字、あるいはEE字形状であることに応じて、EER、ER、EEの何れのタイプの場合についてもE字形状、あるいはEE字形のコアであるとして扱うものとする。
また、一次側並列共振コンデンサCr、フィルタコンデンサCN、及び二次側直列共振コンデンサC2の各キャパシタンスについては、
Cr=7500pF
CN=1μF
C2=0.047μF
を選定した。
対応負荷電力は、最大負荷電力Pomax=300W、最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)とし、二次側直流出力電圧Eoの定格レベルは175Vとしている。
図1の電源回路の実験結果として、図3の波形図を挙げる。図3は、上記構成による図1の電源回路における要部の動作を、商用交流電源周期により示している。
先ず、力率改善回路10において、スイッチングダイオードD1から高周波チョークコイルL10に流れる電流I1は、図示するようにして、交流入力電圧VACの絶対値が所定以上となる期間に応じて、半波の正弦波状のエンベロープにより流れるスイッチング周期(スイッチング素子Q1のスイッチング周期)の交番電流となる。交番電流となるのは、スイッチング出力帰還点に対してスイッチング出力電流が電流として帰還されるのに応じて交番電圧が重畳し、この重畳分によりスイッチングダイオードD1が整流電流をスイッチングするからである。
また、平滑コンデンサCiに流入する電流I2は、図示する波形により流れるスイッチング周期の交番電流であり、上記電流I1と、一次巻線N1に得られる一次巻線電流とが合成されたうえで、高周波チョークコイルL10を流れて得られるものとなる。
また、スイッチング出力帰還点であるスイッチングダイオードD1と高周波チョークコイルL10の接続点と、一次側アースとの間の電位である電圧V2は、図示するようにして所要交流電源周期に対応したブリッジ整流回路Diの整流出力電圧に対して、電流I1の非導通期間にほぼ対応してスイッチング周期の交番波形が重畳する波形となる。電流I1の導通期間には、スイッチングダイオードD1がスイッチング周期によりオン/オフすることで、交番波形の成分は電圧V2には現れない。
そして、ブリッジ整流回路Diの出力端の電圧V3には、フィルタコンデンサCNの作用によって高周波数の信号が重畳することはない。
そして、この場合の交流入力電流IACは、図示するようにして、電流I1の導通期間に対応して発生する半波の正弦波が、交流入力電圧VACの極性に応じて反転する波形となる。このような波形は、例えば図1に示した回路から力率改善回路10を省略した構成と比較した場合には、導通角が拡大されているものであり、その分の力率改善が図られているものであるとしてみることができる。
先ず、力率改善回路10において、スイッチングダイオードD1から高周波チョークコイルL10に流れる電流I1は、図示するようにして、交流入力電圧VACの絶対値が所定以上となる期間に応じて、半波の正弦波状のエンベロープにより流れるスイッチング周期(スイッチング素子Q1のスイッチング周期)の交番電流となる。交番電流となるのは、スイッチング出力帰還点に対してスイッチング出力電流が電流として帰還されるのに応じて交番電圧が重畳し、この重畳分によりスイッチングダイオードD1が整流電流をスイッチングするからである。
また、平滑コンデンサCiに流入する電流I2は、図示する波形により流れるスイッチング周期の交番電流であり、上記電流I1と、一次巻線N1に得られる一次巻線電流とが合成されたうえで、高周波チョークコイルL10を流れて得られるものとなる。
また、スイッチング出力帰還点であるスイッチングダイオードD1と高周波チョークコイルL10の接続点と、一次側アースとの間の電位である電圧V2は、図示するようにして所要交流電源周期に対応したブリッジ整流回路Diの整流出力電圧に対して、電流I1の非導通期間にほぼ対応してスイッチング周期の交番波形が重畳する波形となる。電流I1の導通期間には、スイッチングダイオードD1がスイッチング周期によりオン/オフすることで、交番波形の成分は電圧V2には現れない。
そして、ブリッジ整流回路Diの出力端の電圧V3には、フィルタコンデンサCNの作用によって高周波数の信号が重畳することはない。
そして、この場合の交流入力電流IACは、図示するようにして、電流I1の導通期間に対応して発生する半波の正弦波が、交流入力電圧VACの極性に応じて反転する波形となる。このような波形は、例えば図1に示した回路から力率改善回路10を省略した構成と比較した場合には、導通角が拡大されているものであり、その分の力率改善が図られているものであるとしてみることができる。
また、図3においては二次側直流出力電圧Eoが示されている。二次側直流出力電圧Eoは、安定化目標の定格レベル(175V)を平均値として、商用交流電源の2倍とされる周期によるリップルが重畳する。この場合には、リップルの電圧レベルは、100mVp-pとなっている。
図4は、図1に示した電源回路ついての実験結果として、交流入力電圧VAC=100Vの入力電圧条件で、最大負荷電力Pomax=300W〜最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)の範囲での負荷変動に対する整流平滑電圧(直流入力電圧)Ei、力率(PF)、及びAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)を示している。
また、図5は、図1に示した電源回路についての実験結果として、最大負荷電力Pomax=300Wで一定とする負荷条件で、交流入力電圧VAC=85V〜144Vの範囲での変動に対する、整流平滑電圧(直流入力電圧)Ei、力率(PF)、及びAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)を示している。
また、図5は、図1に示した電源回路についての実験結果として、最大負荷電力Pomax=300Wで一定とする負荷条件で、交流入力電圧VAC=85V〜144Vの範囲での変動に対する、整流平滑電圧(直流入力電圧)Ei、力率(PF)、及びAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)を示している。
先ず、スイッチングコンバータの直流入力電圧となる整流平滑電圧Eiは、図5に示すようにして、交流入力電圧VACに対応して変化するものとなる。また、負荷変動に対しては、図4に示すようにして、軽負荷の傾向となるのに従って上昇する傾向で、負荷電力Po=100W以上では130V〜140Vの範囲内で変動する特性となっている。また、整流平滑電圧Eiは、負荷電力Po=300W〜0Wの範囲に対して、23.0Vの変動幅(ΔEo)であることが計測されており、負荷変動に対するΔEoの変化量が良好に抑制されている。
また、力率改善回路10の動作に応じて得られる力率PFについては、図4に示されるようにして、重負荷の傾向となるのに従って高くなっていく傾向となっている。負荷変動に対する力率PFの特性としては、負荷電力Po=300W〜50Wの変動範囲に対して、PF=0.75以上であり、最大負荷電力Pomax=300W時では、PF=0.88が測定されており、実用上充分な力率値が得られているといえる。なお、交流入力電圧VACの変動に対しては、図5に示すようにして、交流入力電圧VACが高くなっていくのに応じて緩やかな傾きで低下していく特性となる。
また、力率改善回路10の動作に応じて得られる力率PFについては、図4に示されるようにして、重負荷の傾向となるのに従って高くなっていく傾向となっている。負荷変動に対する力率PFの特性としては、負荷電力Po=300W〜50Wの変動範囲に対して、PF=0.75以上であり、最大負荷電力Pomax=300W時では、PF=0.88が測定されており、実用上充分な力率値が得られているといえる。なお、交流入力電圧VACの変動に対しては、図5に示すようにして、交流入力電圧VACが高くなっていくのに応じて緩やかな傾きで低下していく特性となる。
また、AC→DC電力変換効率(ηAC→DC)については、図4及び図5に示すようにして、負荷変動に対してはほぼ一定で、交流入力電圧の変動に対しては、交流入力電圧VACの上昇に応じて緩やかな傾きにより高くなる特性となっている。最大負荷電力Po=300W、交流入力電圧VAC=100V時における測定結果としては、ηAC→DC=92.3%となる結果が得られた。比較として、図19に示した電源回路では、同じ最大負荷電力Pomax=300W、交流入力電圧VAC=100時におけるAC→DC電力変換効率としては、83%であり、9.3%程度の向上が図られている。また、これにともなって、交流入力電力は、図19の電源回路と比較して、本実施の形態では36.5W程度低減されている。
これまでに説明した実施の形態の電源回路と、アクティブフィルタを備えることにより力率改善を図る先行技術である、図19に示した電源回路とを比較した場合には、次のようなことがいえる。
先ず、上記図4及び図5により示した実験の説明からもわかるように、図1に示した電源回路では、図19の電源回路の場合よりも電力変換効率(ηAC→DC)が向上している。
これは、主としては、電力回生方式による力率改善回路を備える構成としたことで、アクティブフィルタを不要としたことによる。すなわち、本実施の形態では、アクティブフィルタを備える場合のように前段と後段の2つの電力変換効率値の積により総合効率が低下することはない。
先ず、上記図4及び図5により示した実験の説明からもわかるように、図1に示した電源回路では、図19の電源回路の場合よりも電力変換効率(ηAC→DC)が向上している。
これは、主としては、電力回生方式による力率改善回路を備える構成としたことで、アクティブフィルタを不要としたことによる。すなわち、本実施の形態では、アクティブフィルタを備える場合のように前段と後段の2つの電力変換効率値の積により総合効率が低下することはない。
また、図1に示した回路では、アクティブフィルタを不要としたことで、回路構成部品の点数削減が図られる。
つまりアクティブフィルタは、1組のコンバータを構成するものであり、図19による説明からも分かるように、実際には、1本のスイッチング素子と、これらを駆動するためのIC等を始め、多くの部品点数により構成される。
これに対し、図1に示す電源回路においては、力率改善のために必要な追加部品として、少なくともフィルタコンデンサCN、スイッチングダイオードD1、高周波チョークコイルL10、力率改善用並列共振コンデンサCrを備えればよく、アクティブフィルタと比較すれば非常に少ない部品点数とすることができる。
これにより、図1に示す電源回路としては、力率改善機能を有する電源回路として、図23に示す回路よりもはるかに低コストとすることができる。また、部品点数が大幅に削減されることで、回路基板についても有効に小型軽量化を図ることができる。特に、高周波チョークコイルL10のようなインダクタとしての部品は大型な部類であるが、本実施の形態では、先にも述べたように、高周波チョークコイルL10に設定できるインダクタンスは27μHと小さく、例えばEE-22などの小型のコアを選定できることから、回路基板の小型軽量化を妨げない。比較として、例えば、図19に示したパワーチョークコイルPCCは、140μH程度が必要となるので、EE-22よりも大型のEER-35が選定される。
つまりアクティブフィルタは、1組のコンバータを構成するものであり、図19による説明からも分かるように、実際には、1本のスイッチング素子と、これらを駆動するためのIC等を始め、多くの部品点数により構成される。
これに対し、図1に示す電源回路においては、力率改善のために必要な追加部品として、少なくともフィルタコンデンサCN、スイッチングダイオードD1、高周波チョークコイルL10、力率改善用並列共振コンデンサCrを備えればよく、アクティブフィルタと比較すれば非常に少ない部品点数とすることができる。
これにより、図1に示す電源回路としては、力率改善機能を有する電源回路として、図23に示す回路よりもはるかに低コストとすることができる。また、部品点数が大幅に削減されることで、回路基板についても有効に小型軽量化を図ることができる。特に、高周波チョークコイルL10のようなインダクタとしての部品は大型な部類であるが、本実施の形態では、先にも述べたように、高周波チョークコイルL10に設定できるインダクタンスは27μHと小さく、例えばEE-22などの小型のコアを選定できることから、回路基板の小型軽量化を妨げない。比較として、例えば、図19に示したパワーチョークコイルPCCは、140μH程度が必要となるので、EE-22よりも大型のEER-35が選定される。
また、図1に示す電源回路では、共振形コンバータ及び力率改善回路10の動作はいわゆるソフトスイッチング動作であるから、図19に示したアクティブフィルタと比較すればスイッチングノイズのレベルは大幅に低減される。
このため、図1にも示したように、例えば1組のコモンモードチョークコイルCMCと2つのアクロスコンデンサCLから成る1段のノイズフィルタを備えれば、電源妨害規格をクリアすることが充分に可能とされる。また、整流出力ラインのノーマルモードノイズについては、図1にも示しているように、1つのフィルタコンデンサCNのみにより対策を行っている。
このようにしてノイズフィルタとしての部品点数が削減されることによっても、電源回路のコストダウンと、回路基板の小型軽量化は促進される。
このため、図1にも示したように、例えば1組のコモンモードチョークコイルCMCと2つのアクロスコンデンサCLから成る1段のノイズフィルタを備えれば、電源妨害規格をクリアすることが充分に可能とされる。また、整流出力ラインのノーマルモードノイズについては、図1にも示しているように、1つのフィルタコンデンサCNのみにより対策を行っている。
このようにしてノイズフィルタとしての部品点数が削減されることによっても、電源回路のコストダウンと、回路基板の小型軽量化は促進される。
また、図1に示す電源回路の場合、一次側のスイッチングコンバータを形成するスイッチング素子は1石であり、二次側の整流ダイオードなどもスイッチング素子Q1に同期してスイッチング動作するものである。従って、一次側アース電位としては、図19の電源回路のように、アクティブフィルタ側と、その後段のスイッチングコンバータとの間で干渉することが無く、スイッチング周波数の変化に関わらず安定させることができる。
なお、図1に示す電源回路により得られる力率PFとしては、図4及び図5にて説明した通りであり、このような力率特性によれば、例えば電源高調波歪み規制をクリアすることができ、実用上充分な力率が得られているといえる。
このようにして図1に示す本実施の形態の電源回路は、アクティブフィルタを備える電源回路が有する各種の問題を解決した力率改善電源を得ているものである。
このようにして図1に示す本実施の形態の電源回路は、アクティブフィルタを備える電源回路が有する各種の問題を解決した力率改善電源を得ているものである。
また、本実施の形態の電源回路は、その基本構成として、一次側においてシングルエンド方式の電圧共振形コンバータを備える。
一般的に、一次側に電圧共振形コンバータを備える電源回路は、負荷電力の制御範囲が狭く、また、軽負荷時におけるZVS(Zero Voltage Switching:ゼロ電圧スイッチング)が維持できないために、そのままでは実用化は不可能であると考えられている。そこで、本願発明者は、一次側電圧共振形コンバータに対して二次側直列共振回路を設け、二次側整流回路として倍電圧半波整流回路を形成した電源回路を構成して実験を行った。この実験対象となった電源回路の回路形態としては、図1に示す電源回路から力率改善回路10を省略し、一次巻線N1の巻き終わり端部を平滑コンデンサCiの正極端子に対して接続したものとなる。
また、絶縁コンバータトランスPITについても、基本的には図2と同様の構造を採るが、ギャップGについては1mmのギャップ長を設定し、結合係数kについてはk=0.81程度を設定している。このようにして構成した電源回路について実験を行ったところ、それまでの電圧共振形コンバータを備える電源回路よりも、実現化に近付く特性が得られることが確認された。
しかしながら、この実験対象の電源回路では、中間負荷時において、スイッチング素子Q1のオフ期間(TOFF)が終了しないうちにスイッチング素子Q1に正極方向(この場合はドレイン→ソース方向)に電流が流れてZVSの動作が得られないという異常動作を生じることが確認された。このために、実験対象の電源回路の構成であっても、依然として実用化は困難な状況であった。
一般的に、一次側に電圧共振形コンバータを備える電源回路は、負荷電力の制御範囲が狭く、また、軽負荷時におけるZVS(Zero Voltage Switching:ゼロ電圧スイッチング)が維持できないために、そのままでは実用化は不可能であると考えられている。そこで、本願発明者は、一次側電圧共振形コンバータに対して二次側直列共振回路を設け、二次側整流回路として倍電圧半波整流回路を形成した電源回路を構成して実験を行った。この実験対象となった電源回路の回路形態としては、図1に示す電源回路から力率改善回路10を省略し、一次巻線N1の巻き終わり端部を平滑コンデンサCiの正極端子に対して接続したものとなる。
また、絶縁コンバータトランスPITについても、基本的には図2と同様の構造を採るが、ギャップGについては1mmのギャップ長を設定し、結合係数kについてはk=0.81程度を設定している。このようにして構成した電源回路について実験を行ったところ、それまでの電圧共振形コンバータを備える電源回路よりも、実現化に近付く特性が得られることが確認された。
しかしながら、この実験対象の電源回路では、中間負荷時において、スイッチング素子Q1のオフ期間(TOFF)が終了しないうちにスイッチング素子Q1に正極方向(この場合はドレイン→ソース方向)に電流が流れてZVSの動作が得られないという異常動作を生じることが確認された。このために、実験対象の電源回路の構成であっても、依然として実用化は困難な状況であった。
これに対して、図1に示した本実施の形態の電源回路では、中間負荷時においてZVSが得られなくなる異常動作が解消され、所定の対応負荷電力(Po:300W〜0W)の全範囲において正常なスイッチング動作が得られることが実験により確認された。つまり、本実施の形態の電源回路は、二次側直列共振回路を備えるシングルエンド方式の電圧共振形コンバータとして、実用化が実現されている。
このような中間負荷時における異常動作の解消は、主としては、絶縁コンバータトランスPITについて、例えば結合係数k≒0.7程度以下とされる疎結合の状態としたことにより得られている。
先に説明した中間負荷時の異常動作は、電圧共振形コンバータが二次側直列共振回路を備える場合に生じ易いことが確認されている。つまり、電圧共振形コンバータを形成する一次側並列共振回路と、二次側直列共振回路とが同時に動作することによる相互作用が原因となっている。
そこで、本実施の形態の電源回路のようにして、絶縁コンバータトランスPITの結合係数kについて、従来よりも低い所要値を設定すれば、上記した一次側並列共振回路と二次側直列共振回路の相互作用は希薄となって、中間負荷時における異常動作も無くなっていくことになる。
先に説明した中間負荷時の異常動作は、電圧共振形コンバータが二次側直列共振回路を備える場合に生じ易いことが確認されている。つまり、電圧共振形コンバータを形成する一次側並列共振回路と、二次側直列共振回路とが同時に動作することによる相互作用が原因となっている。
そこで、本実施の形態の電源回路のようにして、絶縁コンバータトランスPITの結合係数kについて、従来よりも低い所要値を設定すれば、上記した一次側並列共振回路と二次側直列共振回路の相互作用は希薄となって、中間負荷時における異常動作も無くなっていくことになる。
本実施の形態の絶縁コンバータトランスPITが有する結合係数kにまで疎結合の状態とすることは、従来の電圧共振形コンバータでは、一次側から二次側への電力伝送ロスの増加による電力変換効率の低下を招くということを理由に、これまで行われてこなかったという背景がある。
しかしながら、本実施の形態では、一次側電圧共振形コンバータを備える電源回路としてみた場合においても、良好な電力変換効率特性を有する。
しかしながら、本実施の形態では、一次側電圧共振形コンバータを備える電源回路としてみた場合においても、良好な電力変換効率特性を有する。
本実施の形態において高電力変換効率が得られているのは、次のような構成に基づいている。
先ず、電圧共振形コンバータに対して二次側直列共振回路を備える電源回路の構成は、本来、電力変換効率に関しては有利であることが知られている。また、電圧共振形コンバータとしてシングルエンド方式を採用してスイッチング素子を必要最小限の1石とすることで、例えばハーフブリッジ結合方式、フルブリッジ結合方式、プッシュプル方式などの複数のスイッチング素子を備える構成と比較してスイッチング損失を減少させていることも、電力変換効率の向上要因となっている。
先ず、電圧共振形コンバータに対して二次側直列共振回路を備える電源回路の構成は、本来、電力変換効率に関しては有利であることが知られている。また、電圧共振形コンバータとしてシングルエンド方式を採用してスイッチング素子を必要最小限の1石とすることで、例えばハーフブリッジ結合方式、フルブリッジ結合方式、プッシュプル方式などの複数のスイッチング素子を備える構成と比較してスイッチング損失を減少させていることも、電力変換効率の向上要因となっている。
そのうえで、本実施の形態としては、上記もしているように中間負荷時における異常動作を解消して、適正なZVS動作が得られるようにしている。この異常動作の現象としては、ターンオンより以前のタイミングでスイッチング素子Q1がオンとなって、正極性のスイッチング電流がソース−ドレイン間を流れる動作となるのであるが、このようなスイッチング電流の動作によっては、スイッチング損失を増加させる。本実施の形態では、異常動作に対応するスイッチング電流の動作が生じないことで、これによるスイッチング損失の増加も無くなり、このことが、電力変換効率の向上要因の1つとなっているものである。
また、本願発明者によっては、一次側並列共振回路と二次側直列共振回路の各共振周波数fo1,fo2を変更することによっても、電力変換効率特性(ηAC→DC)が変化することが確認されている。このことから、本実施の形態の電源回路は、できるだけ良好な電力変換効率特性が得られるようにして、一次側並列共振回路と二次側直列共振回路の各共振周波数fo1,fo2を設定することによっても、電力変換効率を向上させることができる。
例えば、一次側並列共振回路と二次側直列共振回路の各共振周波数fo1,fo2の関係を変更するのに応じては、スイッチング素子Q1に流れるスイッチング電流の波形が、共振周波数の影響で変化することが確認された。一例として、或る一次側並列共振回路と二次側直列共振回路の各共振周波数fo1,fo2の関係設定によっては、スイッチング素子Q1に流れるスイッチング電流の波形について、ターンオフ以前のタイミングでピークが得られ、ターンオフ時にはピークより低いレベルとなる波形が得られる。このときの波形は、二次側直列共振回路の共振動作により得られる電流共振波形に応じた波形成分を持っている。このようにして、ターンオフ時におけるスイッチング電流のレベルが抑制されれば、その分、ターンオフ時のスイッチング損失は低減され、電力変換効率が向上することになる。
このようにして、本実施の形態にあっては、一次側並列共振回路の共振周波数fo1と二次側直列共振回路の共振周波数fo2は、電源回路の動作の安定性などを考慮したうえで、できるだけ高い電力変換効率の値が得られるように、最適化されるようにして設定されるものとなる。
例えば、一次側並列共振回路と二次側直列共振回路の各共振周波数fo1,fo2の関係を変更するのに応じては、スイッチング素子Q1に流れるスイッチング電流の波形が、共振周波数の影響で変化することが確認された。一例として、或る一次側並列共振回路と二次側直列共振回路の各共振周波数fo1,fo2の関係設定によっては、スイッチング素子Q1に流れるスイッチング電流の波形について、ターンオフ以前のタイミングでピークが得られ、ターンオフ時にはピークより低いレベルとなる波形が得られる。このときの波形は、二次側直列共振回路の共振動作により得られる電流共振波形に応じた波形成分を持っている。このようにして、ターンオフ時におけるスイッチング電流のレベルが抑制されれば、その分、ターンオフ時のスイッチング損失は低減され、電力変換効率が向上することになる。
このようにして、本実施の形態にあっては、一次側並列共振回路の共振周波数fo1と二次側直列共振回路の共振周波数fo2は、電源回路の動作の安定性などを考慮したうえで、できるだけ高い電力変換効率の値が得られるように、最適化されるようにして設定されるものとなる。
さらに、図1に示す電源回路では、絶縁コンバータトランスPITについて一定以下の結合係数kによる疎結合の状態としていることで、二次巻線N2の偏磁を解消しており、これにより、二次側整流回路の整流ダイオードDo1,Do2に流れる二次側整流電流ID1,ID2のピークレベルの偏りが解消され同等となる。整流電流のアンバランスは整流ダイオードにおける導通損により、電力損失の増加を招く。そこで、本実施の形態のようにして、二次側整流電流のピークレベルのアンバランスが解消されていれば、このことによる電力損失も無くなり、電力変換効率の向上要因がさらに得られることとなる。
図6は、第2の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。なお、この図において、図1と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。
この図に示す電源回路においては力率改善回路11が備えられる。この力率改善回路11では、先に第1の実施の形態として図1に示した力率改善回路10の構成に対して、低速型の整流ダイオードD1Aを追加して設けている。
この整流ダイオードD1Aは、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子にアノードを接続し、平滑コンデンサCiの正極端子にカソードを接続している。従って、この力率改善回路11においては、スイッチングダイオードD1−高周波チョークコイルL10の直列接続回路に対して、ダイオードD1Aが並列となる関係により接続されていることになる。なお、この場合のフィルタコンデンサCNは、これらスイッチングダイオードD1−高周波チョークコイルL10の直列接続回路、及び整流ダイオードD1Aに対して、並列となる関係により接続されることになる。
この図に示す電源回路においては力率改善回路11が備えられる。この力率改善回路11では、先に第1の実施の形態として図1に示した力率改善回路10の構成に対して、低速型の整流ダイオードD1Aを追加して設けている。
この整流ダイオードD1Aは、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子にアノードを接続し、平滑コンデンサCiの正極端子にカソードを接続している。従って、この力率改善回路11においては、スイッチングダイオードD1−高周波チョークコイルL10の直列接続回路に対して、ダイオードD1Aが並列となる関係により接続されていることになる。なお、この場合のフィルタコンデンサCNは、これらスイッチングダイオードD1−高周波チョークコイルL10の直列接続回路、及び整流ダイオードD1Aに対して、並列となる関係により接続されることになる。
このようにして形成される力率改善回路11を備える第2の実施の形態の電源回路では、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子の整流出力として得られる整流電流は、スイッチングダイオードD1−高周波チョークコイルL10の直列接続回路と、整流ダイオードD1Aとに分岐するようにして流れることになる。このような動作であっても、力率改善回路11における基本的な動作としては、力率改善回路10と同様となる。つまり、スイッチング出力電流を電力として回生して帰還することで整流電流経路にスイッチング周期の交番電圧を重畳し、これによりスイッチングダイオードD1により整流電流をスイッチングさせて、交流入力電流IACの導通角を拡大させることにより力率改善を図る。
そのうえで、上記もしているようにブリッジ整流回路Diからの整流電流は、整流ダイオードD1Aにも分岐して流れることになるので、スイッチングダイオードD1に流れる側の整流電流量は低減する。これにより、スイッチングダイオードD1におけるスイッチング損失が低減され電力変換効率が向上する。特に、重負荷傾向となるのに従って電源回路に流れる電流が増加するのに伴ってこの効果が顕著になる。
そのうえで、上記もしているようにブリッジ整流回路Diからの整流電流は、整流ダイオードD1Aにも分岐して流れることになるので、スイッチングダイオードD1に流れる側の整流電流量は低減する。これにより、スイッチングダイオードD1におけるスイッチング損失が低減され電力変換効率が向上する。特に、重負荷傾向となるのに従って電源回路に流れる電流が増加するのに伴ってこの効果が顕著になる。
図7は、第3の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。なお、この図において、図1及び図6と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
この図に示す電源回路においては、力率改善回路12を備える。この力率改善回路12に備えられる高周波チョークコイルL10は、その巻線における所定の巻き数位置に対してタップを設けることで、このタップを境界にして、2つのチョークコイル巻線部L10A、L10Bに分割される。チョークコイル巻線部L10Aのセンタータップされない側の端部(高周波チョークコイルL10の巻始め端部)は、スイッチングダイオードD1のカソードと接続され、チョークコイル巻線部L10Bのセンタータップされない側の端部(高周波チョークコイルL10の巻き終わり端部)は、平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。
そして、この場合のスイッチング出力帰還点は、高周波チョークコイルL10のタップ(チョークコイル巻線部L10A、L10Bの接続点)となり、ここに一次巻線N1の巻き終わり端部が接続される。また、フィルタコンデンサCNは、スイッチングダイオードD1−高周波チョークコイルL10(チョークコイル巻線部L10A−L10B)の直列接続回路に対して並列接続される。
この図に示す電源回路においては、力率改善回路12を備える。この力率改善回路12に備えられる高周波チョークコイルL10は、その巻線における所定の巻き数位置に対してタップを設けることで、このタップを境界にして、2つのチョークコイル巻線部L10A、L10Bに分割される。チョークコイル巻線部L10Aのセンタータップされない側の端部(高周波チョークコイルL10の巻始め端部)は、スイッチングダイオードD1のカソードと接続され、チョークコイル巻線部L10Bのセンタータップされない側の端部(高周波チョークコイルL10の巻き終わり端部)は、平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。
そして、この場合のスイッチング出力帰還点は、高周波チョークコイルL10のタップ(チョークコイル巻線部L10A、L10Bの接続点)となり、ここに一次巻線N1の巻き終わり端部が接続される。また、フィルタコンデンサCNは、スイッチングダイオードD1−高周波チョークコイルL10(チョークコイル巻線部L10A−L10B)の直列接続回路に対して並列接続される。
このようにして形成される力率改善回路12においては、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子から出力される整流電流は、スイッチングダイオードD1→高周波チョークコイルL10(L10A→L10B)の経路を介するようにして平滑コンデンサCiに流入するようにされる。このとき、スイッチング出力帰還点であるチョークコイル巻線部L10A、L10Bに対しては、一次巻線N1に得られたスイッチング出力電流が電力として回生された状態で、高周波チョークコイルL10を介するようにして平滑コンデンサCiに帰還されることになる。また、チョークコイル巻線部L10A,L10Bは、本来は同じインダクタにタップを形成することで分割されたものであるから、チョークコイル巻線部L10A,L10Bの磁気結合の関係としては相互に密結合(結合係数は1)であるとみることができる。すると、力率改善回路12に対してスイッチング出力を帰還する動作としては、一次巻線N1に伝達されるスイッチング出力に応じた交番電圧を一方のチョークコイル巻線部(L10B)に電圧として誘起させ、さらに、チョークコイル巻線部L10A,L10B間の密結合を介して他方のチョークコイル巻線部(L10A)に誘起させる、電圧帰還としての動作も生じているものとみることができる。このようにして、力率改善回路12では、磁気結合形による電力回生方式と、同じ磁気結合形による電圧帰還方式とが併用されたスイッチング出力の帰還方式を採る。そして、このようにしてスイッチング出力が帰還されるのに応じては、これまでの実施の形態と同様にしてスイッチングダイオードD1が整流電流をスイッチングするように動作し、力率改善が図られるようにされる。
図8は、第4の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。なお、この図において、図1、図6、及び図7と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
この図に示す力率改善回路13においても、高周波チョークコイルL10については所定の巻線位置に対してタップが設けられることで、このタップを境界にしてチョークコイル巻線部L10A,L10Bに分割される。ただし、この実施の形態にあっては、高周波チョークコイルL10A,L10Bの接続点であるタップをスイッチングダイオードD1のカソードと接続しており、一次巻線N1の巻き終わり端部は、高周波巻線部L10Bのセンタータップされない側の端部(高周波チョークコイルL10の巻き終わり端部)と接続される。また、高周波巻線部L10Aのセンタータップされない側の端部(高周波チョークコイルL10の巻き始め端部)は、平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。
このような接続態様では、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子から平滑コンデンサCiの正極端子との間の整流電流が流れるラインに対して、スイッチングダイオードD1−高周波巻線部L10Aの直列接続回路が挿入されることになる。また、一次巻線N1は、高周波巻線部LBのインダクタンスを介するようにして、スイッチング出力帰還点であるチョークコイル巻線部L10A,L10Bの接続点(タップ)に接続されることになる。
この図に示す力率改善回路13においても、高周波チョークコイルL10については所定の巻線位置に対してタップが設けられることで、このタップを境界にしてチョークコイル巻線部L10A,L10Bに分割される。ただし、この実施の形態にあっては、高周波チョークコイルL10A,L10Bの接続点であるタップをスイッチングダイオードD1のカソードと接続しており、一次巻線N1の巻き終わり端部は、高周波巻線部L10Bのセンタータップされない側の端部(高周波チョークコイルL10の巻き終わり端部)と接続される。また、高周波巻線部L10Aのセンタータップされない側の端部(高周波チョークコイルL10の巻き始め端部)は、平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。
このような接続態様では、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子から平滑コンデンサCiの正極端子との間の整流電流が流れるラインに対して、スイッチングダイオードD1−高周波巻線部L10Aの直列接続回路が挿入されることになる。また、一次巻線N1は、高周波巻線部LBのインダクタンスを介するようにして、スイッチング出力帰還点であるチョークコイル巻線部L10A,L10Bの接続点(タップ)に接続されることになる。
上記のようにして構成される力率改善回路13では、先ず、一次巻線N1に得られるスイッチング出力電流を電力として回生して、高周波巻線部L10Bからさらに高周波巻線部L10Aを介するようにして平滑コンデンサCiに帰還する動作が得られる。つまり、磁気結合形の電力回生方式によるスイッチング出力の帰還が行われる。これとともに、一次巻線N1に伝達されるスイッチング出力に応じた交番電圧をチョークコイル巻線部L10Bに電圧として誘起させ、さらに、チョークコイル巻線部L10A,L10B間の密結合を介してチョークコイルL10Aに誘起させる、電圧帰還としての動作も生じているものとみることができる。このようにして、力率改善回路13としても、磁気結合形による電力回生方式と、磁気結合形による電圧帰還方式とが併用されたスイッチング出力の帰還方式が採られているものであり、このような動作により帰還されたスイッチング出力に応じてスイッチングダイオードD1が整流電流をスイッチングすることで力率改善が図られる。
上記第3及び第4の実施の形態として示したように、高周波チョークコイルL10についてタップを施したうえで、一次巻線N1経由でスイッチング出力を帰還させる構成とした場合には、重負荷傾向での電力変換効率が向上する。これは、上記しているように、電力回生と電圧帰還が複合的に生じる力率改善の動作としていることによる。電力回生と電圧帰還の動作が複合的に生じることで、スイッチング出力の帰還量は増加することとなる。このために所要値の力率を得るのにあたっては、上記したスイッチング出力帰還量の増加分に応じて、一次巻線N1にて必要とされる電力量を低減した電源回路設計を行えることになり、このことが電力損失の低減につながる。
なお、第3及び第4の実施の形態の構成おいては、力率値については、高周波巻線部L10A、L10Bの巻線数(巻線比)より変更設定が可能である。高周波巻線部L10B側の巻線比を大きくすれば、力率は高くなるようにして可変できるが、その分の電力損失が生じることが確認されている。本実施の形態では、必要とする力率と電力損失との兼ね合いから、高周波巻線部L10A、L10Bの巻線数について、L10A>L10Bの関係が成立するようにして設定している。
また、第3及び第4の実施の形態については、第2の実施の形態の概念を適用することができる。つまり、第3及び第4の実施の形態の力率改善回路12、13において、低速リカバリ型の整流ダイオードD1Aを設けることで、ブリッジ整流回路Diからの整流電流を、スイッチングダイオードD1を含む経路と、整流ダイオードD1Aの経路とに分岐させるものである。整流ダイオードD1Aの具体的な接続態様としては、第3、第4の実施の形態(力率改善回路12(図7)、13(図8))のいずれの場合においても、整流ダイオードD1Aのアノードをブリッジ整流回路Diの正極出力端子と接続し、整流ダイオードD1Aのカソードを平滑コンデンサCiの正極端子と接続する。このような構成により、重負荷傾向での電力変換効率のさらなる向上効果を期待できる。
なお、第3及び第4の実施の形態の構成おいては、力率値については、高周波巻線部L10A、L10Bの巻線数(巻線比)より変更設定が可能である。高周波巻線部L10B側の巻線比を大きくすれば、力率は高くなるようにして可変できるが、その分の電力損失が生じることが確認されている。本実施の形態では、必要とする力率と電力損失との兼ね合いから、高周波巻線部L10A、L10Bの巻線数について、L10A>L10Bの関係が成立するようにして設定している。
また、第3及び第4の実施の形態については、第2の実施の形態の概念を適用することができる。つまり、第3及び第4の実施の形態の力率改善回路12、13において、低速リカバリ型の整流ダイオードD1Aを設けることで、ブリッジ整流回路Diからの整流電流を、スイッチングダイオードD1を含む経路と、整流ダイオードD1Aの経路とに分岐させるものである。整流ダイオードD1Aの具体的な接続態様としては、第3、第4の実施の形態(力率改善回路12(図7)、13(図8))のいずれの場合においても、整流ダイオードD1Aのアノードをブリッジ整流回路Diの正極出力端子と接続し、整流ダイオードD1Aのカソードを平滑コンデンサCiの正極端子と接続する。このような構成により、重負荷傾向での電力変換効率のさらなる向上効果を期待できる。
図9は、第5の実施の形態としての電源回路の構成例を示している。なお、この図において、図1と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
なお、各部の定数は、絶縁コンバータトランスPITのコア材はEER−35で、ギャップGは2.2mm、一次巻線N1は36T、二次巻線N2は30T、結合係数kは0.67、一次側並列共振コンデンサCrは6800pF、二次側直列共振コンデンサC2は0.047μFとした。
この図に示す力率改善回路14においては、先に第1の実施の形態として図1に示した力率改善回路10における高周波チョークコイルL10に替えて可変高周波チョークコイルPRTが用いられている。
図10に可変高周波チョークコイルPRTの一の構造例を示す。可変高周波チョークコイルPRTは、4本の磁極を有し、同一形状のコアCR11とコアCR12とを組み合わせた立体コアと、高周波チョークコイル巻線N10と、力率改善用制御巻線Ncとを有して形成される。そして、高周波チョークコイル巻線N10と力率改善用制御巻線Ncとは、図8に示すように直交して磁極に巻回されている。このような構造を有する可変高周波チョークコイルPRTの高周波チョークコイル巻線N10の両端から見ると、インダクタL10として機能する。そして、この立体コアは力率改善用制御巻線Ncに流れる電流の大きさに応じて飽和量を変える可飽和コアであるので、そのインダクタンスの大きさは、力率改善用制御巻線Ncに流れる電流の大きさによって制御することができる。ここで、可変高周波チョークコイルPRTのコアは16×16×22mmのフェライト磁芯であり、高周波チョークコイル巻線N10は10T、力率改善用制御巻線Ncは1000Tとしている。
なお、各部の定数は、絶縁コンバータトランスPITのコア材はEER−35で、ギャップGは2.2mm、一次巻線N1は36T、二次巻線N2は30T、結合係数kは0.67、一次側並列共振コンデンサCrは6800pF、二次側直列共振コンデンサC2は0.047μFとした。
この図に示す力率改善回路14においては、先に第1の実施の形態として図1に示した力率改善回路10における高周波チョークコイルL10に替えて可変高周波チョークコイルPRTが用いられている。
図10に可変高周波チョークコイルPRTの一の構造例を示す。可変高周波チョークコイルPRTは、4本の磁極を有し、同一形状のコアCR11とコアCR12とを組み合わせた立体コアと、高周波チョークコイル巻線N10と、力率改善用制御巻線Ncとを有して形成される。そして、高周波チョークコイル巻線N10と力率改善用制御巻線Ncとは、図8に示すように直交して磁極に巻回されている。このような構造を有する可変高周波チョークコイルPRTの高周波チョークコイル巻線N10の両端から見ると、インダクタL10として機能する。そして、この立体コアは力率改善用制御巻線Ncに流れる電流の大きさに応じて飽和量を変える可飽和コアであるので、そのインダクタンスの大きさは、力率改善用制御巻線Ncに流れる電流の大きさによって制御することができる。ここで、可変高周波チョークコイルPRTのコアは16×16×22mmのフェライト磁芯であり、高周波チョークコイル巻線N10は10T、力率改善用制御巻線Ncは1000Tとしている。
第5の実施の形態においては、さらに、第1の実施の形態の構成に加えて、可変高周波チョークコイルPRTを制御するために、ブリッジ整流回路Diに流れる電流に応じた信号SDiを検出する回路、整流平滑電圧Eiの大きさに応じた信号SEiを検出する回路、信号SDiの大きさおよび/または信号SEiの大きさに応じて可変高周波チョークコイルPRTの高周波チョークコイル巻線N10に発生するインダクタL10のインダクタンスの大きさを制御する力率制御回路3を備えている。
ブリッジ整流回路Diに流れる電流に応じた信号SDiの検出は、抵抗R51の両端の電圧を検出することによって行い、整流平滑電圧Eiの大きさに応じた信号SEiの検出は、整流平滑電圧Eiを抵抗R52と抵抗R53とで分圧することによって行っている。
ブリッジ整流回路Diに流れる電流に応じた信号SDiの検出は、抵抗R51の両端の電圧を検出することによって行い、整流平滑電圧Eiの大きさに応じた信号SEiの検出は、整流平滑電圧Eiを抵抗R52と抵抗R53とで分圧することによって行っている。
ここで、力率制御回路3は以下のような制御を行う。整流平滑電圧Eiの大きさに応じた信号SDi、および/または、商用交流電源ACからブリッジ整流回路Diへ流れる電流の絶対値の大きさに応じた信号SEiに基づく電流を力率改善用制御巻線Ncに流して可変高周波チョークコイルPRTのインダクタL10のインダクタンスの大きさを制御している。具体的には、力率改善用制御巻線Ncに流す電流が50mA(ミリアンペア)から5mAの範囲でインダクタL10の値は10μH(マイクロヘンリー)から50μHの範囲で変化をしている。
このように、信号SDi、および/または、信号SEiに基づく電流を力率改善用制御巻線Ncに流して可変高周波チョークコイルPRTのインダクタL10のインダクタンスの大きさを制御し、並列共振電流の大きさを変化させることができる。すなわち、負荷電力の変化、入力交流電圧VACの変化に応じてインダクタL10のインダクタンスの大きさを制御して力率を良好なものとできる。
図11は、第5の実施の形態に示した電源回路ついての実験結果として、交流入力電圧VAC=100Vの入力電圧条件で、最大負荷電力Pomax=300W〜最小負荷電力Pomin=0W(無負荷)の範囲での負荷変動に対する整流平滑電圧(直流入力電圧)Ei、力率(PF)、及びAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)を示している。ここで、破線は、力率改善用制御巻線Ncを設けない場合の特性であり、実線は、力率改善用制御巻線Ncを設けて、力率制御回路3を動作させる場合の特性である。
また、図12は、第5の実施の形態に示した電源回路についての実験結果として、最大負荷電力Pomax=300Wで一定とする負荷条件で、交流入力電圧VAC=85V〜144Vの範囲での変動に対する、整流平滑電圧(直流入力電圧)Ei、力率(PF)、及びAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)を示している。
また、図12は、第5の実施の形態に示した電源回路についての実験結果として、最大負荷電力Pomax=300Wで一定とする負荷条件で、交流入力電圧VAC=85V〜144Vの範囲での変動に対する、整流平滑電圧(直流入力電圧)Ei、力率(PF)、及びAC→DC電力変換効率(ηAC→DC)を示している。
図11、図12から明らかなように、このように、力率改善用制御巻線Ncを設けて、力率制御回路3によってインダクタL10のインダクタンス値を制御する第5の実施の形態の電源回路においては、上述した第1の実施の形態の電源回路が有する種々の効果に加え、負荷の変動にかかわらず、0.85以上の良好なる力率の値を示すものである。
なお、制御回路3は、信号SDiと信号SEiのいずれか一方を用いて制御するものであっても良い。
なお、制御回路3は、信号SDiと信号SEiのいずれか一方を用いて制御するものであっても良い。
図13は、第5の実施の形態の変形例としての第6の実施の形態の電源回路の構成例を示している。なお、この図において、図9と同一部分については同一符号を付して説明を省略する。図13に示す電源回路においては力率改善回路15が備えられる。また、絶縁コンバータトランスPITは、一次巻線N1、二次巻線N2に加え、三次巻線N3を備える。第6の実施の形態においては、一次巻線N1に得られるスイッチング出力電流の一方向の成分を平滑コンデンサCiに流すための可変高周波チョークコイルL10と、三次巻線3に得られるスイッチング出力電流の他方向(上述した一方向とは逆方向である)の成分をブリッジ整流回路Diに流すためのスイッチングダイオードD1と、上記一次巻線に得られるスイッチング出力電流をバイパスするためのフィルタコンデンサCNと、を備えている。
このように可変高周波チョークコイルL10に流す電流とスイッチングダイオードD1に流す電流とを異なる巻線から得ることによって、力率をより改善し、回路設計における自由度を増やすことができる。
このように可変高周波チョークコイルL10に流す電流とスイッチングダイオードD1に流す電流とを異なる巻線から得ることによって、力率をより改善し、回路設計における自由度を増やすことができる。
続いて、本発明の第1〜第6の実施の形態に共通の変形例として、二次側整流回路のバリエーションを、図14、図15に示す。
なお、これら図14、図15については、二次巻線N2及び二次側整流回路の構成のみが抜き出されて示されているが、図示されていない他の部分は、絶縁コンバータトランスPITの構造も含めて、先に説明した実施の形態としての構成が採られればよい。
なお、これら図14、図15については、二次巻線N2及び二次側整流回路の構成のみが抜き出されて示されているが、図示されていない他の部分は、絶縁コンバータトランスPITの構造も含めて、先に説明した実施の形態としての構成が採られればよい。
先ず、図14に示す電源回路では、二次巻線N2と二次側直列共振コンデンサC2の直列接続回路(二次側直列共振回路)に接続される二次側整流回路として、4本の整流ダイオードDo1,Do2,Do3,Do4から成るブリッジ整流回路と、1本の平滑コンデンサCoから成るブリッジ全波整流回路を備える。
この場合、二次巻線N2の巻き終わり端部は、二次側直列共振コンデンサC2を介して整流ダイオードDo1のアノードと整流ダイオードDo2のカソードの接続点に接続する。また、二次巻線N2の巻始め端部を、整流ダイオードDo3のアノードと整流ダイオードDo4のカソードの接続点に接続する。整流ダイオードDo1のカソードと整流ダイオードDo3のカソードを平滑コンデンサCoの正極端子に接続する。平滑コンデンサCoの負極端子は二次側アース電位にて、整流ダイオードDo2のアノードと整流ダイオードDo4のアノードの接続点と接続される。
この場合、二次巻線N2の巻き終わり端部は、二次側直列共振コンデンサC2を介して整流ダイオードDo1のアノードと整流ダイオードDo2のカソードの接続点に接続する。また、二次巻線N2の巻始め端部を、整流ダイオードDo3のアノードと整流ダイオードDo4のカソードの接続点に接続する。整流ダイオードDo1のカソードと整流ダイオードDo3のカソードを平滑コンデンサCoの正極端子に接続する。平滑コンデンサCoの負極端子は二次側アース電位にて、整流ダイオードDo2のアノードと整流ダイオードDo4のアノードの接続点と接続される。
上記のようにして形成される全波整流回路によっては、二次巻線N2に誘起(励起)される交番電圧の一方の半周期において、ブリッジ整流回路の整流ダイオード[Do1,Do4]の組が導通して、平滑コンデンサCoに対して整流電流を充電する動作が得られる。また、二次巻線N2に誘起される交番電圧の他方の半周期においては、整流ダイオード[Do2,Do3]の組が導通して平滑コンデンサCoに対して整流電流を充電する動作が得られる。
これによって平滑コンデンサCoの両端電圧として、二次巻線N2に誘起される交番電圧のレベルの等倍に対応したレベルの二次側直流出力電圧Eoが生成される。
これによって平滑コンデンサCoの両端電圧として、二次巻線N2に誘起される交番電圧のレベルの等倍に対応したレベルの二次側直流出力電圧Eoが生成される。
また、図15に示す電源回路は、二次側整流回路として倍電圧全波整流回路を備える。
この場合の倍電圧全波整流回路としては、先ず、二次巻線N2についてセンタータップを施すことで、このセンタータップを境界にして二次巻線部N2A,N2Bに2分割する。二次巻線部N2A,N2Bには、同じ所定巻数(ターン数)が設定される。二次巻線N2のセンタータップは、二次側アースに接続される。
また、二次巻線N2における二次巻線部N2A側の端部に対しては二次側直列共振コンデンサC2Aを直列に接続し、二次巻線N2における二次巻線部N2B側の端部に対しては二次側直列共振コンデンサC2Bを直列に接続する。これにより、二次巻線部N2Aのリーケージインダクタンス成分と二次側直列共振コンデンサC2Aのキャパシタンスから成る第1の二次側直列共振回路と、二次巻線部N2Bのリーケージインダクタンス成分と二次側直列共振コンデンサC2Bのキャパシタンスから成る第2の二次側直列共振回路とが形成される。
この場合の倍電圧全波整流回路としては、先ず、二次巻線N2についてセンタータップを施すことで、このセンタータップを境界にして二次巻線部N2A,N2Bに2分割する。二次巻線部N2A,N2Bには、同じ所定巻数(ターン数)が設定される。二次巻線N2のセンタータップは、二次側アースに接続される。
また、二次巻線N2における二次巻線部N2A側の端部に対しては二次側直列共振コンデンサC2Aを直列に接続し、二次巻線N2における二次巻線部N2B側の端部に対しては二次側直列共振コンデンサC2Bを直列に接続する。これにより、二次巻線部N2Aのリーケージインダクタンス成分と二次側直列共振コンデンサC2Aのキャパシタンスから成る第1の二次側直列共振回路と、二次巻線部N2Bのリーケージインダクタンス成分と二次側直列共振コンデンサC2Bのキャパシタンスから成る第2の二次側直列共振回路とが形成される。
そして、二次巻線N2における二次巻線N2A側の端部を、上記二次側直列共振コンデンサC2Aの直列接続を介して整流ダイオードDo1のアノードと整流ダイオードDo2のカソードとの接続点に対して接続する。また、二次巻線N2における二次巻線N2B側の端部を、二次側直列共振コンデンサC2Bの直列接続を介して、整流ダイオードDo3のアノードと整流ダイオードDo4のカソードとの接続点に対して接続する。
整流ダイオードDo1,Do3の各カソードは、平滑コンデンサCoの正極端子に接続する。平滑コンデンサCoの負極端子は二次側アースに接続される。また、整流ダイオードDo2,Do4の各アノードの接続点は二次側アースに接続する。
整流ダイオードDo1,Do3の各カソードは、平滑コンデンサCoの正極端子に接続する。平滑コンデンサCoの負極端子は二次側アースに接続される。また、整流ダイオードDo2,Do4の各アノードの接続点は二次側アースに接続する。
上記接続形態では、二次巻線部N2A,二次側直列共振コンデンサC2A、整流ダイオードDo1,Do2、及び平滑コンデンサCoから成る、第1の二次側直列共振回路を備える第1の倍電圧半波整流回路と、二次巻線部N2B,二次側直列共振コンデンサC2B、整流ダイオードDo1,Do2、及び平滑コンデンサCoから成る、第2の二次側直列共振回路を備える第2の倍電圧半波整流回路とが形成されることになる。
第1の倍電圧半波整流回路では、二次巻線N2に誘起される交番電圧の、一方の極性の半周期の期間において、[二次巻線部N2A→整流ダイオードDo2→二次側直列共振コンデンサC2A→二次巻線部N2A]の整流電流経路により整流動作を行い、二次巻線部N2Aの交番電圧の電位により二次側直列共振コンデンサC2Aに対する充電を行う。他方の極性の半周期の期間において、[二次巻線部N2A→二次側直列共振コンデンサC2A→整流ダイオードDo1→平滑コンデンサCo→二次巻線部N2A]の整流電流経路により整流動作を行うことで、二次側直列共振コンデンサC2Aの両端電圧と二次巻線N2Aの交番電圧の重畳電位により、平滑コンデンサCoに対する充電を行う。
また、第2の倍電圧半波整流回路は、二次巻線N2に誘起される交番電圧の、上記他方の極性の半周期の期間において、[二次巻線部N2B→整流ダイオードDo4→二次側直列共振コンデンサC2B→二次巻線部N2B]の整流電流経路により整流動作を行って、二次巻線部N2Aの交番電圧の電位により、二次側直列共振コンデンサC2Bを充電し、上記一方の極性の半周期の期間において、[二次巻線部N2B→二次側直列共振コンデンサC2B→整流ダイオードDo3→平滑コンデンサCo→二次巻線部N2B]の整流電流経路により整流動作を行って、二次側直列共振コンデンサC2Bの両端電圧と二次巻線N2Bの交番電圧の重畳電位により平滑コンデンサCoに対する充電を行う。
第1の倍電圧半波整流回路では、二次巻線N2に誘起される交番電圧の、一方の極性の半周期の期間において、[二次巻線部N2A→整流ダイオードDo2→二次側直列共振コンデンサC2A→二次巻線部N2A]の整流電流経路により整流動作を行い、二次巻線部N2Aの交番電圧の電位により二次側直列共振コンデンサC2Aに対する充電を行う。他方の極性の半周期の期間において、[二次巻線部N2A→二次側直列共振コンデンサC2A→整流ダイオードDo1→平滑コンデンサCo→二次巻線部N2A]の整流電流経路により整流動作を行うことで、二次側直列共振コンデンサC2Aの両端電圧と二次巻線N2Aの交番電圧の重畳電位により、平滑コンデンサCoに対する充電を行う。
また、第2の倍電圧半波整流回路は、二次巻線N2に誘起される交番電圧の、上記他方の極性の半周期の期間において、[二次巻線部N2B→整流ダイオードDo4→二次側直列共振コンデンサC2B→二次巻線部N2B]の整流電流経路により整流動作を行って、二次巻線部N2Aの交番電圧の電位により、二次側直列共振コンデンサC2Bを充電し、上記一方の極性の半周期の期間において、[二次巻線部N2B→二次側直列共振コンデンサC2B→整流ダイオードDo3→平滑コンデンサCo→二次巻線部N2B]の整流電流経路により整流動作を行って、二次側直列共振コンデンサC2Bの両端電圧と二次巻線N2Bの交番電圧の重畳電位により平滑コンデンサCoに対する充電を行う。
上記した整流動作によれば、平滑コンデンサCoに対しては、二次巻線N2の交番電圧の、一方の極性の半周期では、二次巻線部N2Bの誘起電圧と二次側直列共振コンデンサC2Bの両端電圧の重畳電位による整流電流の充電が行われ、他方の極性の半周期では、二次巻線部N2Aの誘起電圧と二次側直列共振コンデンサC2Aの両端電圧の重畳電位による整流電流の充電が行われることとなる。これにより、平滑コンデンサCoの両端電圧である二次側直流出力電圧Eoとしては、二次巻線部N2A,N2Bの誘起電圧レベルの2倍に対応するレベルが得られることになる。つまり、倍電圧全波整流回路が得られている。
なお、本発明としては、上記各実施の形態として示した構成に限定されるものではない。例えば、一次側電圧共振形コンバータの細部の回路形態や、二次側直列共振回路を含んで形成する二次側整流回路の構成などは他にも考えられるものである。
また、スイッチング素子については、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、バイポーラトランジスタなど、MOS−FET以外の素子を選定することも考えられる。また、上記各実施の形態では、他励式のスイッチングコンバータを挙げているが、自励式として構成した場合にも本発明は適用できる。
また、スイッチング素子については、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、バイポーラトランジスタなど、MOS−FET以外の素子を選定することも考えられる。また、上記各実施の形態では、他励式のスイッチングコンバータを挙げているが、自励式として構成した場合にも本発明は適用できる。
1 制御回路、2 発振・ドライブ回路、10,11,12,13 力率改善回路、Di ブリッジ整流回路、Ci 平滑コンデンサ、Q1 スイッチング素子、PIT 絶縁コンバータトランス、Cr 一次側並列共振コンデンサ、C2 二次側直列共振コンデンサ、N1 一次巻線、N2 二次巻線、N3 三次巻線、Do1〜Do4 (二次側)整流ダイオード、Co (二次側)平滑コンデンサ、CN フィルタコンデンサ、D1 スイッチングダイオード、L10 高周波チョークコイル、L10A,L10B チョークコイル巻線部 PRT 可変高周波チョークコイル
Claims (4)
- 商用交流電源を入力して整流平滑電圧を生成する整流平滑手段と、
上記整流平滑電圧を直流入力電圧として入力してスイッチングを行うスイッチング素子を備えて形成したスイッチング手段と、
上記スイッチング素子をスイッチング駆動するスイッチング駆動手段と、
少なくとも、上記スイッチング手段のスイッチング動作により得られるスイッチング出力が供給される一次巻線と、該一次巻線に得られたスイッチング出力により交番電圧が誘起される二次巻線とを巻装して形成され、中間負荷とされる所定の負荷条件範囲においても適正なゼロ電圧スイッチングが得られるようにして、一次側と二次側の結合係数が設定された構造を有する絶縁コンバータトランスと、
少なくとも、上記絶縁コンバータトランスの一次巻線を含む漏洩インダクタンス成分と一次側並列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成されて、上記スイッチング手段の動作を電圧共振形とする一次側並列共振回路と、
上記絶縁コンバータトランスの二次巻線に対して直列となる関係により二次側直列共振コンデンサを接続することで、上記二次巻線を含む漏洩インダクタンス成分と、上記二次側直列共振コンデンサのキャパシタンスとによって形成される二次側直列共振回路と、
上記絶縁コンバータトランスの二次巻線に誘起される交番電圧を入力して整流動作を行って、二次側直流出力電圧を生成するように構成された二次側直流出力電圧生成手段と、
スイッチング出力を帰還する動作として、上記スイッチング手段のスイッチング動作により上記一次巻線に得られるスイッチング出力電流を電力として回生するようにして上記整流平滑手段を形成する平滑コンデンサに帰還する動作を少なくとも含み、帰還されたスイッチング出力に応じて、上記整流平滑手段における整流動作によって得られる整流電流を力率改善用スイッチング素子により断続するようにされた力率改善手段と、
を備えることを特徴とするスイッチング電源回路。 - 上記力率改善手段は、
上記一次巻線に得られるスイッチング出力電流の一方向の成分を上記平滑コンデンサに流すための高周波チョークコイルと、上記一次巻線に得られるスイッチング出力電流の上記一方向とは逆方向である他方向の成分を上記整流素子に流すためのスイッチングダイオードD1と、上記一次巻線に得られるスイッチング出力電流をバイパスするためのフィルタコンデンサと、を備える請求項1に記載のスイッチング電源回路。 - 上記高周波チョークコイルは、
上記一次巻線に得られるスイッチング出力電流の一方向の成分を上記平滑コンデンサに流すための高周波チョークコイル巻線と、力率改善用制御巻線とが、可飽和コアに巻装して形成される可変高周波チョークコイルであり、上記整流平滑電圧の大きさ、および/または、上記商用交流電源から上記整流平滑手段へ流れる電流の絶対値の大きさに応じた電流を上記力率改善用制御巻線に流して上記高周波チョークコイル巻線に発生するインダクタンスの値を制御する請求項2に記載のスイッチング電源回路。 - 上記絶縁コンバータトランスは、
上記スイッチング出力の電圧をさらに昇圧する三次巻線を備え、
上記力率改善手段は、
上記一次巻線に得られるスイッチング出力電流の一方向の成分を上記平滑コンデンサに流すための高周波チョークコイルと、上記三次巻線に得られるスイッチング出力電流の上記一方向とは逆方向である他方向の成分を上記整流素子に流すためのスイッチングダイオードと、上記一次巻線に得られるスイッチング出力電流をバイパスするためのフィルタコンデンサと、を備える請求項1に記載のスイッチング電源回路。
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-
2005
- 2005-08-19 JP JP2005238473A patent/JP2007043875A/ja not_active Abandoned
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007236162A (ja) * | 2006-03-03 | 2007-09-13 | Sony Corp | スイッチング電源回路 |
JP4525617B2 (ja) * | 2006-03-03 | 2010-08-18 | ソニー株式会社 | スイッチング電源回路 |
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