JP2007074779A - スイッチング電源回路 - Google Patents

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昌之 安村
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Abstract

【課題】 力率改善機能を有する電源回路として、電力変換効率の向上、回路構成部品の削減を図る。
【解決手段】 交流電源からの整流平滑電圧Eiを整流平滑回路で生成し、整流平滑電圧Eiを、チョークコイルPCCを介して漏れインダクを有するコンバータトランスPITに入力し、一次側直列共振コンデンサC2と漏れインダクタL1による一次側直列共振回路と、漏れインダクタL1およびチョークコイルPCCと一次側並列共振コンデンサC1とで、E級動作の電圧・電流共振コンバータとし、二次側直列共振コンデンサC3と漏れインダクタL2による二次側直列共振回路とを備えた多重共振コンバータによって電力の変換をするとともに、一次側直列共振コンデンサC2に発生する共振電圧をチョークコイルPCCの中間タップから取り出して力率改善回路10に帰還するスイッチング電源とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、各種電子機器の電源として備えられるスイッチング電源回路に関する。
近年、商用電源を整流して所望の直流電圧を得る電源回路としては、大部分がスイッチング方式の電源回路になっている。スイッチング電源回路はスイッチング周波数を高くすることによりトランスその他のデバイスを小型にすると共に、大電力のDC−DCコンバータとして各種の電子機器の電源として使用される。
ところで、商用電源は正弦波の交流電圧であるが、商用電源を整流素子と平滑コンデンサとを用いる平滑・整流回路において整流および平滑を行う場合には、平滑・整流回路のピークホールド作用のために、商用電源からスイッチング電源回路には、交流電圧のピーク電圧付近の短時間だけ電流が流れ込むこととなり、正弦波とは大きく異なる歪み波形になってしまう。そして、電源の利用効率を示す力率が損なわれるという問題が生じる。また、このような歪み電流波形となることによって発生する商用電源周期の高調波を抑圧するための対策が必要とされてしまう。これらの問題を解決するために、従来において力率改善を図る技術として、いわゆるアクティブフィルタを用いる手法が知られている(例えば特許文献1参照)。
図15にこのようなアクティブフィルタの基本構成を示す。図15においては、商用交流電源ACにブリッジ整流回路Diを接続している。このブリッジ整流回路Diの正極/負極ラインに対してはステップアップ型のコンバータが接続され、その出力には並列に平滑コンデンサCoutが接続され、その両端電圧として直流電圧Voutが得られる。この直流電圧Voutは、例えば後段のDC−DCコンバータなどの負荷110に入力電圧として供給される。
そして、力率改善のための構成としては、インダクタL、高速リカバリ型の高速スイッチングダイオードD、スイッチング素子Qからなるステップアップ型のコンバータ、および乗算器111を主なる構成要素とするステップアップ型のコンバータの制御部と、を備える。インダクタL、高速スイッチングダイオードDは、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、平滑コンデンサCoutの正極端子との間に、直列に接続されて挿入される。抵抗Riは、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子(一次側アース)と平滑コンデンサCoutの負極端子との間に挿入される。また、スイッチング素子Qは、例えば、MOS−FETとされ、インダクタLと高速スイッチングダイオードDの接続点と、一次側アース間に挿入される。
乗算器111に対しては、電流検出ラインLIおよび波形入力ラインLWが接続され、さらに電圧検出ラインLVが接続される。そして、乗算器111は、電流検出ラインLIから入力される、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子に流れる整流電流Iinに応じた信号を抵抗Riの両端から検出する。また、波形入力ラインLWから入力される、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子の整流電圧Vinに応じた信号を検出する。この整流電圧Vinは、商用交流電源ACからの交流入力電圧VACの波形を絶対値化したものである。さらに、電圧検出ラインLVから入力される、平滑コンデンサCoutの直流電圧Voutに基づいて、直流入力電圧の変動差分(所定の基準電圧と直流電圧Voutとの差分を増幅した信号を変動差分と称して以下においても同様に用いる)を検出する。そして、乗算器111からは、スイッチング素子Qを駆動するためのドライブ信号が出力される。
乗算器111(ステップアップ型のコンバータの制御部)、ステップアップ型のコンバータ、では、電流検出ラインLIから検出した整流電流Iinに応じた信号と、上記電圧検出ラインLVから検出した直流入力電圧の変動差分とを乗算し、この乗算結果と、波形入力ラインLWから検出した整流電圧Vinに応じた信号との誤差を検出する。そしてこの誤差信号を増幅した後に、PWM(Pulse Width Modulation)変換を行い、ハイレベルとローレベルとの2値信号によって、スイッチング素子Qを制御する。このようにして、2入力フィードバック系が構成され、直流電圧Voutの値が所定の値とされるとともに、整流電圧Vinに対して整流電流Iinを相似形の波形とする。この結果、商用交流電源ACからブリッジ整流回路Diに印加される交流電圧と、ブリッジ整流回路Diに流れ込む交流電流の波形も相似形となって、力率がほぼ1に近付くようにして力率改善が図られることになる。
図16(a)は、図15に示したアクティブフィルタ回路が適切に動作する場合における整流電圧Vinと整流電流Iinとを示すものである。また、図16(b)は、平滑コンデンサCoutに入出力するエネルギー(電力)変化Pchgを示す。破線で示すラインは入出力するエネルギー(電力)平均値Pinを示すものである。すなわち、平滑コンデンサCoutは、整流電圧Vinが高いときにエネルギーを蓄え、整流電圧Vinが低いときにエネルギーを放出して、出力電力の流れを維持する。図16(c)は、上記平滑コンデンサCoutに対する充放電電流Ichgの波形を示している。また、図16(d)には、平滑コンデンサCoutの両端の電圧である直流電圧Voutを示す。直流電圧Voutは整流電圧Vinの周期の第2高調波成分を主とするリップル電圧が直流電圧(例えば、375Vの直流電圧)に重畳している。
図17は、図15に示した構成に基づくアクティブフィルタの後段に対して電流共振形コンバータを接続して成る電源回路の構成例を示している。この図に示す電源回路は、交流入力電圧VACの値が85Vから264Vの範囲において、負荷電力Poが300Wから0Wの範囲に対応可能な構成を採っている。また、電流共振形コンバータとしては、他励式のハーフブリッジ結合方式による構成を採る。
この図17に示す電源回路を交流入力側から順に説明する。2個のラインフィルタトランスLFTと3個のアクロスコンデンサCLによるコモンモードノイズフィルタが設けられ、この後段にブリッジ整流回路Diが接続される。また、ブリッジ整流回路Diの整流出力ラインには、インダクタLNと、フィルタコンデンサ(フィルムコンデンサ)CNとから成るパイ型構成のノーマルモードノイズフィルタ125が接続される。
ブリッジ整流回路Diの正極出力端子は、上記インダクタLNとチョークコイルPCC(インダクタLpcとして機能する)と高速リカバリ型の高速スイッチングダイオードD20の直列接続とを介して、平滑コンデンサCiの正極端子と接続される。この平滑コンデンサCiは、図15における平滑コンデンサCoutと同様の機能を有するものである。また、チョークコイルPCCのインダクタLpcと、高速スイッチングダイオードD20は、それぞれ、図15に示したインダクタLと高速スイッチングダイオードDと同様の機能を有するものである。また、この図における高速スイッチングダイオードD20には、コンデンサCsn、抵抗Rsnの直列接続から成るRCスナバ回路が並列に接続される。
スイッチング素子Q103は、図15におけるスイッチング素子Qに相当する。力率・出力電圧制御用IC120は、この場合には力率を1に近づけるように力率改善を行うアクティブフィルタの動作を制御する集積回路(IC)とされており、乗算器、除算器、誤差電圧増幅器、PWM制御回路、およびスイッチング素子Q103を駆動するためのドライブ信号を出力するドライブ回路等を備えて構成される。そして、平滑コンデンサCiの両端電圧(整流平滑電圧Ei)を分圧抵抗R5、分圧抵抗R6により分圧した電圧を、力率・出力電圧制御用IC120の端子T1に入力するようにして整流平滑電圧Eiを所定の値とする第1のフィードバック制御回路が形成される。
また、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と一次側アース間に対して、分圧抵抗R101と分圧抵抗R102の直列接続を設け、この分圧抵抗R101と分圧抵抗R102との接続点を端子T5と接続するようにしている。これにより、端子T5には、ブリッジ整流回路Diの整流電圧が分圧されて入力されることになる。また、端子T2には抵抗103の電圧、すなわち、スイッチング素子Q103のソース電流に応じた電圧が入力されている。ここで、スイッチング素子Q103のソース電流は、チョークコイルPCCに流れる電流I1のうち、磁気エネルギーを蓄えることに寄与する電流である。そして、力率・出力電圧制御用IC120の端子T5に入力される整流電圧に応じた信号と端子T2に入力される電圧の包絡線(すなわち電流I1の包絡線)に応じた信号とを相似形とする第2のフィードバック制御回路が形成される。
また、端子T4には、力率・出力電圧制御用IC120の動作電源が供給される。この端子T4には、チョークコイルPCCにおける、インダクタLpcとトランス結合された巻線N5に励起された交番電圧が、図示する整流ダイオードD11およびコンデンサC11とから成る半波整流回路により低圧直流電圧に変換されて供給される。また、端子T4は、起動抵抗Rsを介して、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と接続される。商用交流電源ACが投入された後、巻線N5に電圧が励起されるまでの立ち上がり時間においては、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子にて得られる整流出力が起動抵抗Rsを介して端子T4に供給される。力率・出力電圧制御用IC120は、このようにして供給される整流電圧を起動用電源として、動作を開始する。
また、端子T3からは、スイッチング素子を駆動するためのドライブ信号(ゲート電圧)がスイッチング素子Q103のゲートに対して出力される。すなわち、上述した分圧抵抗R5および分圧抵抗R6により分圧した電圧値を所定の値とする第1のフィードバック制御回路と、整流平滑電圧Eiに対して電流I1の包絡線を相似形とする第2のフィードバック制御回路との二つのフィードバック制御回路を動作させるドライブ信号がスイッチング素子Q103のゲートに対して出力される。これによって、商用交流電源ACから流入する交流入力電流IACの波形が、交流入力電圧VACの波形とほぼ同じとなり、力率がほぼ1となるように制御されることになる。つまり、力率改善が図られる。
ここで、図17に示すアクティブフィルタの力率改善動作について、各部の波形を図18および図19により示す。先ず、図18においては、負荷変動に応じたスイッチング素子Q103のスイッチング動作(オン:導通とオフ:切断の動作)、チョークコイルPCCのインダクタLpcに流れる電流I1が示される。図18(a)は、軽負荷時の動作を示し、図18(b)は中間負荷時の動作を示し、図18(c)は重負荷時の動作を示す。図18(a)、図18(b)、図18(c)を比較して分かるように、スイッチング素子Q103は、スイッチング周期が一定とされたうえで、重負荷の傾向となるのにしたがってオン期間が長くなっていく。このようにして負荷条件に応じて、インダクタLpcを介して平滑コンデンサCiに流入する電流I1を調整することで、交流入力電圧VACの電圧変動と負荷変動とに対する整流平滑電圧Eiの安定化が図られる。例えば、交流入力電圧VACの値が85Vから264Vの範囲に対して、整流平滑電圧Eiの値は380Vで定電圧化するようにされる。整流平滑電圧Eiは、平滑コンデンサCiの両端電圧であり、後段の電流共振形コンバータに対する直流入力電圧となる。
また、図19に、交流入力電流IACおよび整流平滑電圧Eiの波形を、交流入力電圧VACとの対比により示す。なお、この図においては、交流入力電圧VACの値が100V時の実験結果を示している。この図に示されるように、交流入力電圧VACの波形と交流入力電流IACの波形とは時間の経過に対してほぼ相似形の波形となっている。つまり、力率の改善が図られている。また、このような力率の改善と共に、整流平滑電圧Eiは、380Vの平均値で安定化されることが示されている。また、図示するように、380Vに対して10Vp−pのリップル変動を有している。
再び図17に戻って、アクティブフィルタの後段の電流共振形コンバータについて説明する。電流共振形コンバータは、整流平滑電圧Eiを入力して電力変換のためのスイッチング動作を行うもので、スイッチング素子Q101、Q102によるハーフブリッジ接続したスイッチング回路を備える電流共振形コンバータを形成している。この場合の電流共振形コンバータは他励式とされ、スイッチング素子Q101、スイッチング素子Q102には、MOS−FETが用いられている。これらのMOS−FETには、それぞれ並列にボディダイオードDD101、ボディダイオードDD102が接続されている。スイッチング素子Q101、スイッチング素子Q102は、発振・ドライブ回路102によって、交互にオン/オフとなるタイミングによって所要のスイッチング周波数によりスイッチング駆動される。また、発振・ドライブ回路2は、制御回路1からの信号で制御され、制御回路1は、二次側直流出力電圧Eoのレベルに応じて、スイッチング周波数を可変制御するように動作し、これにより、二次側直流出力電圧Eoの安定化を図るようにされる。
コンバータトランスPITは、スイッチング素子Q101、スイッチング素子Q102のスイッチング出力を一次側から二次側に伝送するために設けられる。コンバータトランスPITの一次巻線N1の一方の端部は、スイッチング素子Q101、スイッチング素子Q102の接続点(スイッチング出力点)に一次側直列共振コンデンサC2を介して接続され、一次巻線N1の他方の端部は接地される。ここで、一次側直列共振コンデンサC2と一次側の漏れインダクタL1とによって直列共振回路を形成する。この直列共振回路は、スイッチング素子Q101、スイッチング素子Q102によって、スイッチング出力が供給されることで共振動作を生じる。
コンバータトランスPITの二次側には二次巻線N2が巻装される。この場合の二次巻線N2は、図示するようにしてセンタータップを施した二次巻線部N2Aと二次巻線部N2Bとを有し、このセンタータップを二次側アースに接続した上で、二次巻線部N2Aと二次巻線部N2Bの各々を整流ダイオードDo1、整流ダイオードDo2の各々のアノードに接続し、整流ダイオードDo1、整流ダイオードDo2の各々のカソードを平滑コンデンサCoに接続することで両波整流回路を形成している。これにより、平滑コンデンサCoの両端電圧として二次側直流出力電圧Eoが得られる。この二次側直流出力電圧Eoは、図示しない負荷側に供給されるとともに、上述した制御回路1に入力される。
図20は、負荷変動に対するAC電力からDC電力への電力変換効率ηAC→DC(総合効率)、力率PF、および整流平滑電圧Eiの各特性を示している。この図では、交流入力電圧VACの値が100Vにおける負荷電力Poの値が300Wから0Wの変動に対する特性が示されている。また、図17は、交流入力電圧VACの変動に対する電力変換効率ηAC→DC(総合効率)、力率PF、および整流平滑電圧Eiの各特性を示している。この図では、負荷電力Poの値が300Wで一定の負荷条件の下での、交流入力電圧VACの値が85Vから264Vの変動に対する特性が示される。
先ず、電力変換効率(総合効率)は、図20に示すようにして、負荷電力Poが重負荷の条件となるのにしたがって低下していく。また、交流入力電圧VACの変動に対しては、同じ負荷条件の下では、図21に示されるように、交流入力電圧VACのレベルが高くなっていくのに応じて高くなっていく傾向となっている。例えば、負荷電力Poが300Wの負荷条件で、交流入力電圧VACが100V時には、電力変換効率(総合効率)は、83.0%程度となり、交流入力電圧VACが230V時には電力変換効率(総合効率)は、89.0%程度となり、さらに、交流入力電圧VACが85V時には電力変換効率(総合効率)は、80.0%程度となる結果が得られている。
また、力率PFについては、図20に示すように、負荷電力Poの変動に対してほぼ一定となる特性が得られている。また、交流入力電圧VACの変動に対する力率PFの変動特性も、図21に示すように、交流入力電圧VACの上昇に応じて低下する傾向ではあるものの、ほぼ一定とみてよい特性となっていることが分かる。例えば、負荷電力Poが300Wの負荷条件で、交流入力電圧VACが100V時には力率PFの値は、0.96程度、交流入力電圧VACが230V時には力率PFの値は、0.94程度が得られる。
また、整流平滑電圧Eiについては、図20、図21に示されるように、負荷電力Po、交流入力電圧VACの変動に対してほぼ一定となる結果が得られている。
特開平6−327246号公報
これまでの説明から分かるように、図17に示した電源回路は、従来から知られている図15に示したアクティブフィルタを実装して構成され、このような構成を採ることによって、力率改善を図っている。
しかしながら、図17に示した構成による電源回路では、次のような問題を有している。先ず、図17に示す電源回路における電力変換効率としては、前段のアクティブフィルタに対応するAC電力からDC電力への変換効率と、後段の電流共振形コンバータのDC電力からDC電力への変換効率とを総合したものとなる。つまり、図17に示される回路の総合的な電力変換効率(総合効率)としては、これらの電力変換効率の値を乗算した値となるものであり、各々1以下となる数の積であるので、総合効率は低下してしまう。
また、アクティブフィルタ回路はハードスイッチング動作であることから、ノイズの発生が大きいため、厳重なノイズ抑制対策が必要となる。このため、図17に示した回路では、商用交流電源ACのラインに対して、2個のラインフィルタトランスと、3個のアクロスコンデンサによるノイズフィルタを形成している。また、整流出力ラインに対しては、1個のインダクタLNと、2個のフィルタコンデンサCNから成るノーマルモードノイズフィルタを設けている。さらに、整流用の高速リカバリ型の高速スイッチングダイオードD20に対しては、RCスナバ回路を設けている。このようにして、多くの部品点数によるノイズ対策が必要であり、コストアップおよび電源回路基板の実装面積の大型化を招いている。
さらに、汎用ICとしての力率・出力電圧制御用IC120によって動作するスイッチング素子Q103のスイッチング周波数は60kHzで固定であるのに対して、後段の電流共振形コンバータのスイッチング周波数は80kHz〜200kHzの範囲で可変する。このようにして両者のスイッチングタイミング(クロック)は別個独立であるので、各々のクロックを基準に働く両者のスイッチング動作により、アース電位は干渉しあって不安定になり、例えば異常発振が生じやすくなる。これにより、例えば回路設計が難しいものとなったり、信頼性を劣化させたりするなどの問題も招くことになる。
本発明のスイッチング電源回路は、交流電源からの交流電力を入力して整流平滑化する整流素子と平滑コンデンサとを具備して形成され、前記平滑コンデンサの両端電圧として整流平滑電圧を生成する整流平滑回路と、前記整流平滑電圧が一方の端子に印加される中間タップを有するチョークコイルと、前記チョークコイルの他方の端子に一次巻線の一方の端子が接続される漏れインダクを有するコンバータトランスと、前記コンバータトランスに交流電圧を印加するためのスイッチング素子と、前記コンバータトランスの一次巻線の前記一方の端子が一次側直列共振コンデンサと接続され、前記漏れインダクタの生成する一次側インダクタンス成分と前記一次側直列共振コンデンサの容量とによって支配される一次側直列共振周波数を有する一次側直列共振回路と、前記漏れインダクタの生成する一次側インダクタンス成分および前記チョークコイルのインダクタンスと一次側並列共振コンデンサの容量とによって支配される一次側並列共振周波数を有する一次側並列共振回路と、前記スイッチング素子を駆動する発振・ドライブ回路と、前記コンバータトランスの二次巻線が二次側直列共振コンデンサと接続され、前記漏れインダクタの生成する二次側インダクタンス成分と前記二次側直列共振コンデンサの容量とによって支配される二次側共振周波数を有する二次側直列共振回路と、前記二次側直列共振回路から二次側整流回路によって出力される二次側直流出力電圧の値を所定の値とするような制御信号を前記発振・ドライブ回路に供給する制御回路と、 前記チョークコイルの前記中間タップに一方の端子が接続され、他方の端子が前記整流素子に接続される力率改善ダイオードと、前記力率改善ダイオードの前記他方の端子と前記整流平滑コンデンサとに各々の端子が接続されるフィルタコンデンサとを具備する力率改善回路と、を備える。
すなわち、このスイッチング電源回路は、整流平滑回路が、交流電源からの交流電力を入力して整流平滑電圧を生成する。そして、整流平滑電圧を、チョークコイルを介してコンバータトランスに入力する。コンバータトランスの漏れインダクタと一次側直列共振コンデンサとで一次側直列共振回路、前記漏れインダクタの生成する一次側インダクタンス成分および前記チョークコイルのインダクタンスと一次側並列共振コンデンサの容量とで一次側並列共振回路、コンバータトランスの漏れインダクタと二次側直列共振コンデンサとで一次側直列共振回路を各々形成する。発振・ドライブ回路によって制御されるスイッチング素子は、一次側直列共振回路および一次側並列共振回路を駆動し、制御回路は、二次側直流出力電圧の値を所定の値とするような制御信号を発振・ドライブ回路に供給する。そして、一次側直列共振コンデンサの共振電圧と交流的に同電位となるチョークコイルの中間タップからの電圧を力率改善回路に電圧帰還して力率を改善する。
本発明のスイッチング電源回路によれば、アクティブフィルタを省略して力率改善機能を備えることができる。アクティブフィルタが省略されることで、スイッチング電源回路の電力変換効率特性が向上する。そして、放熱板などの省略、縮小ができる。また、アクティブフィルタを備える構成と比較すると部品点数も大幅に削減されることとなり、回路の小型軽量化、および低コスト化が図られる。また、アクティブフィルタはハードスイッチング動作であるのに対して、本発明のスイッチングコンバータは、共振形コンバータを基としていることで、ソフトスイッチング動作となる。これによっては、スイッチングノイズが大幅に低減されるから、ノイズフィルタの小型軽量化および低コスト化に寄与することになる。さらに、異なる周波数の複数クロックが存在することはないために、複数のクロック周波数による相互干渉の問題も発生せず、信頼性も向上し、また、回路基板のパターン設計なども容易となる。
(第1実施形態)
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施の形態という)について説明するのに先立ち、本実施の形態の背景技術となる、E級共振形によりスイッチング動作するスイッチングコンバータ(以下、E級スイッチングコンバータともいう)の基本構成について、図13及び図14を参照して説明しておく。
図13は、E級スイッチングコンバータとしての基本構成を示している。この図に示すE級スイッチングコンバータは、E級共振形で動作するDC−ACインバータとしての構成を採る。
この図に示すE級スイッチングコンバータは、スイッチング素子Q1を備える。この場合のスイッチング素子Q1は、例えば、MOS−FETである。このMOS−FETとしてのスイッチング素子Q1には、ボディダイオードDDが、ドレイン−ソース間に対して並列接続されるようにして形成される。また、同じくスイッチング素子Q1のドレイン−ソース間に対しては、一次側並列共振コンデンサCrが並列に接続される。
スイッチング素子Q1のドレインは、チョークコイルL10の直列接続を介して、直流入力電圧Einの正極と接続される。スイッチング素子Q1のソースは、直流入力電圧Einの負極と接続される。また、スイッチング素子Q1のドレインに対しては、チョークコイルL11の一端が接続され、他端には直列共振コンデンサC11が直列に接続される。直列共振コンデンサC11と直流入力電圧Einの負極との間には、負荷となるインピーダンスZが挿入される。ここでのインピーダンスZは、二次側の負荷を一次側に換算したものである。
このような構成のE級スイッチングコンバータは、チョークコイルL10のインダクタンスと一次側並列共振コンデンサCrのキャパシタンスとにより形成される並列共振回路と、チョークコイルL11のインダクタンスと直列共振コンデンサC11のキャパシタンスとにより形成される直列共振回路とを備える複合共振形コンバータの一形態であるとみることができる。また、スイッチング素子を1つのみ備えて形成される点では、シングルエンド方式の電圧共振形コンバータと同じであるといえる。
図14は、上記図13に示した構成のE級スイッチングコンバータについての要部の動作を示している。
スイッチング電圧V1は、スイッチング素子Q1の両端に得られる電圧であり、スイッチング素子Q1がオンとなる期間TONにおいて0レベルで、オフとなる期間TOFFにおいて正弦波状のパルスとなる波形である。このスイッチングパルス波形は、上記並列共振回路の共振動作(電圧共振動作)により得られる。
スイッチング電流IQ1は、スイッチング素子Q1(及びボディダイオードDD)に流れる電流であり、期間TOFFでは0レベルで、期間TONにおいては、先ず開始時点から一定期間において、ボディダイオードDDを流れることで負極性となり、この後に反転して正極性となって、スイッチング素子Q1のドレインからソースに流れる。
また、E級スイッチングコンバータの出力として、上記直列共振回路に流れるとされる電流I2は、スイッチング素子Q1(及びボディダイオードDD)に流れるスイッチング電流IQ1と、一次側並列共振コンデンサCrに流れる電流とを合成したものとなり、正弦波成分を含む波形となる。
また、上記スイッチング電流IQ1とスイッチング電圧V1との関係によっては、スイッチング素子Q1のターンオフタイミングにおいてZVS動作が得られており、ターンオンタイミングにおいてZVS及びZCS動作が得られていることも示される。
また、直流入力電圧Einの正極端子からチョークコイルL10を流れるようにしてE級スイッチングコンバータに流入する電流I1は、チョークコイルL10,L11のインダクタンスについて、L10>L11の関係を設定していることで、図示するようにして所定の平均レベルをとる脈流波形となる。このような脈流波形は、近似的な直流としてみることができる。
本実施の形態としては、上記基本構成に基づくE級スイッチングコンバータを電源回路に適用する。そこで先ず、第1の実施の形態の電源回路の構成例を図1の回路図に示す。第1実施形態のスイッチング電源回路は、所謂、E級スイッチングコンバータを電源回路に適用するとともに、電流共振および電圧共振の重畳による共振電圧を平滑コンデンサに電圧帰還することによって力率の改善をするものである。
図1に示す第1実施形態のスイッチング電源回路について、商用交流電源AC側から、順に以下に説明する。商用交流電源ACの2相の入力ラインは、コモンモードチョークコイルCMCと2個のアクロスコンデンサCLとからなるコモンモードノイズフィルタを介して整流素子の一種であるブリッジ整流回路Diに接続される。ここで、コモンモードノイズフィルタは、商用交流電源ACのラインとスイッチング電源回路の二次側との間に発生するコモンモードノイズを除去する機能を有している。
交流電力は、4本の低速型の整流素子(ダイオード)をブリッジ接続して形成したブリッジ整流回路Diにより整流され、脈流電力を発生させ、その脈流電力は、スイッチング速度の速い力率改善ダイオードD1およびチョークコイルPCCを介して平滑コンデンサCiに充電される。これにより平滑コンデンサCiの両端電圧として整流平滑電圧Eiが得られる。すなわち、ブリッジ整流回路Diと平滑コンデンサCiとで、整流平滑回路を構成する。ここにおいて、力率改善ダイオードD1は後述する力率改善回路10の一部を構成し、交流電源からの電流が力率改善ダイオードD1を介して平滑コンデンサCiに充電される過程については、力率改善回路10の作用とともに後述する。ここで、整流平滑電圧Eiは、交流入力電圧VACの等倍に対応したレベルとなる。この整流平滑電圧Eiが、後段のE級スイッチングコンバータのための直流入力電圧となる。
E級スイッチングコンバータは、チョークコイルPCC、コンバータトランスPIT、一次側直列共振コンデンサC2、一次側並列共振コンデンサC1およびスイッチング素子Q1を主要部として形成される。すなわち、E級スイッチングコンバータは以下のように構成される。整流平滑電圧EiがチョークコイルPCCの一方の端子に印加される。そして、チョークコイルPCCの他方の端子に、漏れインダクを有するコンバータトランスPITの一次巻線N1の一方の端子が接続される。また、一次巻線N1のこの一方の端子が一次側直列共振コンデンサC2と接続され、漏れインダクタの生成する一次側インダクタンス成分(図1において、インダクタL1で表す等価インダクに対応するインダクタンス成分)と一次側直列共振コンデンサC2の容量とによって支配される一次側直列共振周波数を有する一次側直列共振回路が形成される。また、一次巻線に発生する漏れインダクタンスL1とチョークコイルPCCのインダクタンスLoとの合成インダクタンスと一次側並列共振コンデンサC1が交流的には並列に接続されており、一次側並列共振周波数を有する一次側並列共振回路が形成される。そして、一次側直列共振回路および一次側並列共振回路に交流電力を供給するスイッチング素子Q1が一次巻線の他方の端子に接続される。ここで、発振・ドライブ回路2がスイッチング素子Q1を駆動し、スイッチング素子Q1はMOS−FETとされ、コンバータトランスPITは、結合係数kの値を小さくして、比較的漏れインダクタンスの値が大きい構造とされている。コンバータトランスPITの構造については後述する。
そして、コンバータトランスの二次巻線N2が二次側直列共振コンデンサC3と接続され、漏れインダクタの生成する二次側インダクタンス成分(図1において、インダクタL2で表す等価インダクに対応するインダクタンス成分)と前記二次側直列共振コンデンサの容量とによって支配される二次側共振周波数を有する二次側直列共振回路を形成する。そして、二次側直列共振回路から二次側整流回路(整流ダイオードDo1および整流ダイオードDo2と平滑コンデンサCoで形成される)によって出力される二次側直流出力電圧Eoの値を所定の値とするような制御信号を前記発振・ドライブ回路2に供給する制御回路1を備えている。
さらに、ブリッジ整流回路Diからの電流を平滑コンデンサCiに流すとともに、一次側直列共振コンデンサC2の両端に発生する電圧のうちの所定量をチョークコイルPCCに設けた中間タップから平滑コンデンサCiに帰還して力率を改善する、力率改善回路10を備えている。そして、力率改善回路10は、力率改善ダイオードD1とフィルタコンデンサCNとから形成されている。なお、フィルタコンデンサCNはノーマルモードノイズを除去するためのフィルタとしても機能する。
すなわち、上述したように、第1実施形態では、一次側がE級スイッチング動作の電圧・電流共振コンバータであり、二次側が電流共振回路を有する多重共振コンバータによって電力電送を行うことと、E級スイッチング動作の電圧・電流共振コンバータを構成する一次側直列共振コンデンサC2の電圧が平滑コンデンサCiに電圧帰還されるように、一次側直列共振コンデンサC2が力率改善回路10と接続されており、この一次側直列共振コンデンサC2に発生する共振電圧を、力率改善ダイオードD1を介して平滑コンデンサCiに帰還する点に特徴を有している。さらに、二次側直流出力電圧の値を所定の値とするために、制御回路1を備え、制御回路1からの信号を発振・ドライブ回路2に加え、発振・ドライブ回路2から出力される駆動信号によってスイッチング素子Q1のゲートを駆動する。
以下に、図1に示す第1実施形態のスイッチング電源回路のより細部の構成について説明をする。
コンバータトランスPITは、一次側と二次側とを絶縁するとともに電圧の変換を行う機能を有するが、さらに、E級スイッチングコンバータを機能させるための共振回路の一部を構成するインダクタL1としても機能する。ここで、インダクタL1は、コンバータトランスPITの漏れインダクタによって形成されるインダクタンス成分である。図2に示すコンバータトランスPITの断面図に沿って、第1実施形態におけるコンバータトランスPITの具体的な構造を説明する。
コンバータトランスPITは、フェライト材によるE型コアCR1とE型コアCR2とを互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コア(EE字形コア)を備える。そして、一次側と二次側の巻装部については、相互に独立するようにして分割し、例えば樹脂などによって形成されるボビンBが備えられる。このボビンBの一方の巻装領域に対して一次巻線N1を巻装する。また、他方の巻装領域に対して二次巻線N2を巻装する。このようにして一次巻線N1および二次巻線N2が巻装されたボビンBをEE字形コアに取り付けることで、一次巻線N1および二次巻線N2がそれぞれ異なる巻装領域により、EE字形コアの中央磁脚に巻装される状態となる。このようにしてコンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。
このEE字形コアの中央磁脚に対しては、2.2mmのギャップGを形成する。これによって、一次側と二次側との結合係数kの値としては、0.67を得ている。このようにして、一次側と二次側とを望ましくは、0.7以下の結合係数となる疎結合として、大きなインダクタンス値の漏れインダクタL1を得るようにしている。なお、ギャップGは、E型コアCR1およびE型コアCR2の中央磁脚を、2本の外磁脚よりも短くすることで形成している。また、一次巻線N1の巻数は36T(ターン)、二次巻線N2の巻数は30T(ターン)とし、コア材は、EER―35(コア材名称)とした。
スイッチング素子Q1は、上述したようにMOS−FETが選定され、ソース−ドレイン間に並列にボディダイオードDDを内蔵する。また、チョークコイルのコア材としては、EER−28を用い、インダクタLo(チョークコイルPCC)のインダクタンス値は、巻線N3によって形成されるインダクタL3のインダクタンス値は、482μH(マイクロ・ヘンリー)、巻線N4によって形成されるインダクタL4のインダクタンス値は、96μHと、巻線N3と巻線N4とを直列に接続したインダクタLoのインダクタンス値は1mH(ミリ・ヘンリー)とした。ここで、巻線N3と巻線N4との巻方向は、図1において巻始めを黒丸印で示すように磁束が加算される方向、すなわち巻線N3と巻線N4との接続点が中間タップとなるような巻き方とした。また、一次側直列共振コンデンサC2の値は0.033μF(マイクロ・ファラッド)とし、一次側並列共振コンデンサC1の値は、7500pF(ピコ・ファラッド)とした。
コンバータトランスPITの二次側では、一次巻線N1により誘起された交番電圧に相似した電圧波形が二次巻線N2に発生する。この二次巻線N2に対しては、二次側直列共振コンデンサC3を直列に接続している。これにより、二次巻線N2側から見た漏れインダクタL2と二次側直列共振コンデンサC3とによって二次側直列共振回路を形成する。この二次側直列共振回路の共振周波数は、上述した一次側直列共振コンデンサC2と漏れインダクタL1とによって定まる一次側直列共振周波数の周波数とほぼ等しくなるように設定されている。
また、二次側整流回路は、二次側直列共振コンデンサC3が直列接続された二次巻線N2に対して、高速で働く、整流ダイオードDo1および整流ダイオードDo2と平滑コンデンサCoを接続することで、倍電圧半波整流回路として形成される。この倍電圧半波整流回路は、二次巻線N2の一の端部に対して、二次側直列共振コンデンサC3を介して整流ダイオードDo1のアノードと、整流ダイオードDo2のカソードを接続する。また、整流ダイオードDo1のカソードを平滑コンデンサCoの正極端子に接続する。二次巻線N2の他の端部と、整流ダイオードDo2のアノードと、平滑コンデンサCoの負極端子とは、二次側アースに対して接続されている。ここで、二次側直列共振コンデンサC3の値は0.082μFとした。
制御回路1は、入力された二次側直流出力電圧Eoと所定の値の基準電圧値との差に応じた検出出力を発振・ドライブ回路2に供給する。発振・ドライブ回路2では、入力された制御回路1の検出出力に応じて主としてはスイッチング周波数を可変するようにして、スイッチング素子Q1を駆動する。また、スイッチング周波数とともに一周期におけるスイッチング素子Q1のオンとなる時間の比率である時比率を変化させるようにしても良い。
このようにしてスイッチング素子Q1のスイッチング周波数が可変制御されることにより、電源回路における一次側、二次側の共振インピーダンスが変化し、コンバータトランスPITの一次巻線N1から二次巻線N2側に伝送される電力量、また、二次側整流回路から負荷に供給すべき電力量が変化することになる。これにより、二次側直流出力電圧Eoの大きさを基準電圧と一致させる動作が得られることになる。つまり、二次側直流出力電圧Eoの安定化が図られる。
続いて、力率改善回路10について説明する。この力率改善回路10は、上述したように、商用交流電源ACから整流平滑電圧Eiを得るための整流平滑回路における整流電流経路に対して挿入されるようにして設けられる。第1実施形態の力率改善回路10は、力率改善ダイオードD1、およびフィルタコンデンサCNを備えて成る。そして、力率改善ダイオードD1のカソードにチョークコイルPCCの中間タップが接続され、力率改善ダイオードD1のアノードにブリッジ整流回路Diが接続されている。また、フィルタコンデンサCNの端子は、ブリッジ整流回路Diと平滑コンデンサCiとに各々接続されている。ここで、フィルタコンデンサCNの値は1μF(マイクロ・ファラッド)とした。
次に、第1実施形態のスイッチング電源回路の各部の作用を順に説明する。まず、第1実施形態の一の要部であるE級スイッチングコンバータの作用を説明する。話を簡単にするために、最初は、力率改善回路10がないとして、E級スイッチングコンバータの作用を説明する。E級スイッチングコンバータは、等価的には、一次側の一次側直列共振コンデンサC2と一次側並列共振コンデンサC1と一次巻線に発生する漏れインダクタンスL1とチョークコイルPCCのインダクタンスLoと二次側に接続される負荷インピーダンスを一次側に換算した一次側換算負荷インピーダンスとスイッチング素子Q1(ボディダイオードDDを含む、以下の説明において特に断らない限り同様とする)とで構成される電圧・電流共振コンバータへ、インダクタLoを介して整流平滑電圧Eiが供給されるものと考えることができる。
このような構成のE級スイッチングコンバータは、スイッチング素子Q1をオン・オフすることによって、交流的に共振周波数に大きく影響する部分のみに注目すると以下の共振現象を引き起こす。まず、一次側の一次側直列共振コンデンサC2と漏れインダクタL1とによって電流共振が生じ、一次側並列列共振コンデンサC1と一次巻線に発生する漏れインダクタンスL1とチョークコイルPCCのインダクタンスLoとによって電圧共振が生じ、これによって一次側直列共振コンデンサC2には電流共振による電流と電圧共振による電流とが重畳して流れるが、共振回路のQ値が高いので、このときに一次側直列共振コンデンサC2に流れる電流は、ほぼ正弦波電流となる。
一方、インダクタLo(チョークコイルPCC)のインダクタンス値は、この共振回路の共振周波数に対しては、非常に大きなインピーダンスを有するようになされているので、インダクタLoを流れる電流は直流に近いものとなる。この結果、インダクタLoの両端に生じる電圧も正弦波にちかいものとなる。そして、コンバータトランスPITの一次巻線N1および二次巻線N2に発生する電圧もほぼ正弦波となる。
次に二次側の作用について説明する。二次巻線N2に得られる交番電圧の一方の極性に対応する半周期においては、整流ダイオードDo2に順方向電圧が印加されることになるので、整流ダイオードDo2が導通し、整流電流を二次側直列共振コンデンサC3に対して充電する動作が得られる。これによって、二次側直列共振コンデンサC3には、二次巻線N2に誘起される交番電圧レベルの等倍に対応したレベルの両端電圧が生成される。二次巻線に得られる交番電圧の他方の極性に対応する半周期においては、整流ダイオードDo2に順方向電圧が印加されて導通する。このとき、平滑コンデンサCoに対しては、二次巻線N2に発生する電圧と、二次側直列共振コンデンサC3の両端電圧とが重畳された電位により充電が行われる。これによって平滑コンデンサCoの両端電圧としては、二次巻線N2に誘起される交番電圧レベルの2倍に対応したレベルによる二次側直流出力電圧Eoが得られることになる。この整流動作では、平滑コンデンサCoに対しては、二次巻線N2に励起される交番電圧の一方の半周期にのみ充電が行われる。つまり、倍電圧半波としての整流動作が得られている。この二次側直流出力電圧Eoは、負荷に供給される。また、分岐して制御回路1に対して検出電圧として出力される。
ここで、一次側の共振回路の共振周波数と二次側の共振回路の共振周波数の共振周波数がほぼ等しく設定されているので、一次側から二次側への周波数に対する電力電送特性は、僅かな周波数の変動によって極めて敏感なものとなる。すなわち、第1実施形態においては、E級スイッチングコンバータを用いることによって一次側の共振回路のQ値を高くし、さらに、二次側にもほぼ一次側と同様な共振周波数の直列共振回路を配することによって、僅かな周波数の違いによって電送する電力の量を大きく変化させることができるものである。このことは、二次側直流出力電圧Eoを所定の値に保つ場合においては、広範囲な負荷変動にもかかわらず、制御回路1がごく僅かに周波数を変化させる信号を、発振・ドライブ回路2を介してスイッチング素子Q1に供給すれば、安定した定電圧特性が得られること意味するものである。このようにしてスイッチング素子Q1のスイッチング周波数が可変制御されることにより、電源回路における一次側、二次側の共振インピーダンスが変化し、コンバータトランスPITの一次巻線N1から二次巻線N2に伝送される電力量が変化することになる。これにより、二次側直流出力電圧Eoの値が所定値に保たれる。なお、本実施形態においては、一次側の共振回路の共振周波数と二次側の共振回路の共振周波数の共振周波数がほぼ等しく設定したが、相互の周波数の関係は適宜定め得るものである。
次に、第1実施形態の他の要部である力率改善回路10の作用を説明する。上述のE級スイッチングコンバータの作用の説明においては、力率改善回路10が存在しないものとして説明をしたが、実際には、力率改善回路10に電圧を帰還する機能も第1実施形態のE級スイッチングコンバータは有する。すなわち、一次側直列共振コンデンサC2とインダクタLo(チョークコイルPCC)とは接続されており、交流的には一次側直列共振コンデンサC2の両端の電位とインダクタLoの巻線両端の電圧とは同電位となる。そして、この共振電圧は、チョークコイルPCCの中間タップによって分圧されて力率改善ダイオードD1のカソードに印加されており、この分圧された高周波電圧は、力率改善ダイオードD1によって整流されて一方向の電流のみが力率改善ダイオードD1を電流I1として流れる。この電流I1は、電圧V2が電圧V3より低くなるときに電流I1が流れ、この電流I1の低域成分は交流入力電流IACとなる。この結果、平滑コンデンサCiの両端電圧である整流平滑電圧Eiの値が、電圧V3よりも大きい場合にも、電流I2を流すように作用し、結果的には、平滑コンデンサCiに電流I1に応じて電力が帰還されることとなって力率を改善する。ここで、チョークコイルPCCに中間タップを設けたのは、平滑コンデンサCiへの電圧帰還量を最適なものとするためである。このチョークコイルPCCの中間タップの効果として、重負荷時における整流平滑電圧Eiの上昇が図られる。
すなわち、力率改善回路10がなければ、平滑コンデンサCiの電圧がブリッジ整流回路Diから得られる脈流電圧の大きさよりも大きい場合には、ブリッジ整流回路Diからの電流は途切れ、短時間しか流れることはないが、力率改善回路10を設けることによって、ブリッジ整流回路Diから平滑コンデンサCiに対して、共振電圧に基づく電流が流れることとなり、脈流電流の導通期間が長くなる。そして、交流入力電流IACの導通期間も、この整流電流の導通期間にほぼ一致したものとなり、力率の改善が図られることとなる。さらに、共振電圧の帰還量をチョークコイルPCCの中間タップに位置によって適宜定め得るので、力率改善効果および整流平滑電圧Eiの安定化に大きな効果を生じることとなる。
(第1実施形態の要部の動作波形と測定データ)
図1に示す第1実施形態のスイッチング電源回路の要部の動作波形を図3に示し、測定データを図4および図5に示す。
図3は、入力交流電圧100V、最大負荷電力の300Wにおける力率改善回路10の主要部の動作波形を商用交流電源周期により示している。図3の上段より下段に向かって、交流入力電圧VAC(図1を参照)、交流入力電流IAC(図1を参照)、電圧V2(図1を参照)、電流I1(図1を参照)、電流I2(図1を参照)、電圧V3(図1を参照)、二次側直流出力電圧Eoのリップル成分であるΔEoの各々を示す。図3の電圧V2および電流I1の波形図において、斜線を施した部分は、スイッチング素子Q1のスイッチング波形と同じ周期でスイッチングしていることを示すものである。ここで、力率改善ダイオードD1に流れる電流I1は、上述したように共振電圧に基づくものであり、この電圧によって交流入力電流IACの流通期間が拡大されることを図3は表している。また、二次側直流出力電圧Eoは、所定値である175V(ボルト)を平均値として、交流入力電圧VACの半分の周期のリップル電圧が重畳する。
図4は、交流入力電圧VACの値が100Vの入力電圧条件下において負荷電力Poの値が、0W(無負荷)から300W(最大負荷電力)の範囲での負荷変動に対する整流平滑電圧Ei、力率PF、および交流入力電力に対する直流出力電力の電力変換効率ηAC→DCを示している。また、図5は、負荷電力を300W(最大負荷電力)一定とする負荷条件下で、交流入力電圧VACの値を85Vから144Vまで変化させた範囲における、整流平滑電圧Ei、力率PFおよび電力変換効率ηAC→DCを示している。
整流平滑電圧Eiは、図4に示すように、チョークコイルPCCに中間タップを設けて共振電圧の帰還を行った効果が顕著に表れ、整流平滑電圧Eiの変動幅は僅かに2Vの範囲に収まっている。一方、交流入力電圧VACの変化に対しては、ほぼ比例して変化するものとなる。また、図4に示すように、50Wから300Wの範囲では、力率PFの値は0.75以上を維持しており、実用上充分な力率値が得られているといえる。なお、交流入力電圧VACの変動に対しては、図5に示すように、ほぼ一定とみてよい特性となる。
また、電力変換効率ηAC→DCについては、図4および図5に示すようにして、負荷変動に対しては、ほぼ一定とみてよい特性で、負荷電力25Wから負荷電力300Wの範囲で90%以上の電力変換効率ηAC→DCが得られている。さらに、交流入力電圧VACの変動に対しては、85Vから144Vの範囲で、ほぼ一定の90%以上を維持している。
図1に示した第1実施形態のスイッチング電源回路では、図17に背景技術として示すスイッチング電源回路の場合よりも電力変換効率ηAC→DCが向上している。具体的には、300Wの出力において、背景技術においては、83%であったが、本実施形態においては91.5%まで向上している。このために、交流入力電力は32.9W低減しており省電力化が図られるのみならず、装置の熱設計が容易となっている。これは、主としては、力率改善回路10を備える構成としたことで、アクティブフィルタを不要としたことによる。すなわち、本実施形態では、アクティブフィルタを備える場合のように前段と後段の2つの電力変換効率値の積により総合効率が低下することはない。
また、第1実施形態のスイッチング電源回路では、アクティブフィルタを不要としたことで、回路構成部品の点数削減が図られる。つまりアクティブフィルタは、図17を参照した説明からも分かるように、スイッチング素子Q103と、これらを駆動するための力率・出力電圧制御用IC120等を始め、多くの部品により構成される。これに対し、第1実施形態のスイッチング電源回路においては、力率改善のために必要な追加部品として、フィルタコンデンサCN、力率改善ダイオードD1を備えればよく、アクティブフィルタと比較すれば非常に少ない部品点数とすることができる。これにより、力率改善機能を有する電源回路として、図17に示す回路よりもはるかに低コストとすることができる。また、部品点数が大幅に削減されることで、回路基板についても有効に小型軽量化を図ることができる。力率の改善特性については、具体的には、出力電力が300Wから20Wの範囲で力率PFの値は0.75以上であり、国内の電源高調波歪規制値を満たすものである。さらに、チョークコイルPCCの巻線N3と巻線N4との巻数比を調整することにより、力率PFと電力変換効率ηAC→DCとのバランスを適切に保つことが可能となり、設計における自由度が大きく増大する。
また、第1実施形態のスイッチング電源回路では、E級スイッチングコンバータおよび力率改善回路10の動作はいわゆるソフトスイッチング動作であるから、図17に示したアクティブフィルタを用いる回路と比較すればスイッチングノイズのレベルは大幅に低減される。特に、E級スイッチングコンバータに入力される電流を直流電流にちかづけることができるのでスイッチングノイズのレベルは非常に小さなものとできる。
さらに加えて、第1実施形態のスイッチング回路においては、一次側の直列共振回路および一次側の並列共振回路とともに二次側の直列共振回路を備えるので極めて僅かな周波数の変化によって二次側直流出力電圧Eoを所定電圧に維持することができ、ノイズフィルタの設計も容易なものとできる。このような理由から、1個のコモンモードチョークコイルCMCと2個のアクロスコンデンサCLから成る1段のノイズフィルタを備えれば、電源妨害規格をクリアすることが充分に可能とされる。また、整流出力ラインのノーマルモードノイズについては、1個のフィルタコンデンサCNのみにより十分な対策が可能である。
また、スイッチング素子Q1と二次側の整流ダイオードDo1および整流ダイオードDo2、さらに、力率改善ダイオードD1などもスイッチング素子Q1に同期して動作するものである。したがって、アース電位としては、図17の電源回路のように、アクティブフィルタ側と、その後段のスイッチングコンバータとの間で干渉することが無く、スイッチング周波数の変化に関わらず安定させることができる。
また、第1実施形態のスイッチング電源回路により得られる力率PFとしては、図4および図5にて示したように極めて良好な特性を有し、このような力率特性によれば、電源高調波歪み規制をクリアすることができ、実用上充分な力率が得られているといえる。このようにして図1に示す本実施形態の電源回路は、アクティブフィルタを備える電源回路が有する各種の問題を解決した力率改善電源を提供するものである。
(第2実施形態)
図6に、第1実施形態のスイッチング電源回路の変形例である第2実施形態のスイッチング電源回路を示す。この図において、図1に示すと同一部分については同一符号を付して説明を省略する。第2実施形態のスイッチング電源回路においては力率改善回路11が備えられる。この力率改善回路11では、図1に示した力率改善回路10の構成に対して、低速型のバイパスダイオードD1Aを追加して設けている。このバイパスダイオードD1Aは、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子にアノードを接続し、平滑コンデンサCiの正極端子にカソードを接続している。したがって、この力率改善回路11においては、力率改善回路10の入力側に対してバイパスダイオードD1Aが並列に接続されていることになる。このようにすることによって、ブリッジ整流回路Diからの整流電流は、バイパスダイオードD1Aにも分岐して流れることになるので、力率改善ダイオードD1に流れる整流電流量は低減する。これにより、力率改善ダイオードD1におけるスイッチング損失が低減され電力変換効率が向上する。特に、重負荷傾向となる力率改善ダイオードD1に流れる電流の量が大きくなるので、効率の改善効果が顕著となる。
(第3実施形態)
図7に、第1実施形態のスイッチング電源回路の変形例の第3実施形態のスイッチング電源回路を示す。この図において、図1に示すと同一部分については同一符号を付して説明を省略する。この変形例においては、一次側の並列共振回路を構成する一次側並列共振コンデンサC1の位置を第1実施形態と異ならせたものである。
(第4実施形態)
図8に、第1実施形態のスイッチング電源回路の変形例である第4実施形態のスイッチング電源回路を示す。この図において、図1に示すと同一部分については同一符号を付して説明を省略する。第1実施形態のスイッチング電源回路と第4実施形態のスイッチング電源回路との差異は、一次側直列共振コンデンサC2に並列に接続する補助共振コンデンサC4とこの補助共振コンデンサC4を一次側直列共振コンデンサC2に並列接続するか否かを、導通および切断によって制御する容量調整スイッチング素子Q2とを備え、さらに、容量調整スイッチング素子Q2を制御するための、コンバータトランスPITに配された制御巻線Ng、コンデンサCg、抵抗Rg1、抵抗Rg2、力率制御回路3、さらに、整流平滑電圧Eiを分圧して信号SEiを検出する抵抗R52および抵抗R53およびブリッジ整流回路Diに流れる電流に応じた信号SDiを検出する抵抗R51を備える点にある。
ここで、容量調整スイッチング素子Q2は、MOS−FETが選定され、ソース−ドレイン間に並列にボディダイオードDDを内蔵する。そして、容量調整スイッチング素子Q2のゲートには、制御巻線Ngからの電圧が、コンデンサCgと抵抗Rg1とを介して、抵抗Rg2で分圧されて印加される。ここで、制御巻線Ngの電圧の極性は、スイッチング素子Q1が切断のときに容量調整スイッチング素子Q2が導通し、スイッチング素子Q1が導通のときに容量調整スイッチング素子Q2が切断するように、すなわち、スイッチング素子Q1と容量調整スイッチング素子Q2とが相補的に導通および切断を繰り返すような極性に選定されている。また、容量調整スイッチング素子Q2が導通する時間は、整流平滑電圧Eiが大きくなると短くなり、また、負荷に供給される電力が減少するに伴って短くなるように、力率制御回路3で制御される。このために、力率制御回路3には、整流平滑電圧Eiに応じた信号として信号SEiが入力され、負荷に供給される電力に応じた信号として信号SDiが供給される。
ここで、力率制御回路3によって制御される容量調整スイッチング素子Q2の導通時間が、信号SEiによって制御される場合には、入力交流電圧VACの変動に対して力率を最適なものとし、信号SDiによって制御される場合には、負荷電力の変動に対して力率を最適なものできる。また、信号SEiおよび信号SDiによって容量調整スイッチング素子Q2の導通時間を制御する場合には、入力交流電圧VACの変動および負荷電力の変動に対して力率を最適なものできる。すなわち、容量調整スイッチング素子Q2の導通時間に応じて、補助共振コンデンサC4の等価的な容量値が変化することによって、一次側直列共振コンデンサC2と等価的な補助共振コンデンサC4との合成容量の値を変化させて発生する共振電圧の値の変化に応じて平滑コンデンサCiへの電圧帰還量を変化させて、力率の改善を図っている。
なお、第4の実施形態における諸元は以下のように定めた。コンバータトランスPITについては、コア材はEER−35、ギャップGは2.2mm、一次巻線N1は36T、二次巻線N2は30T、結合係数kは0.67とした。また、チョークコイルPCCについては、コア材はEER−28、ギャップGは1mm、巻線N3によって形成されるインダクタL3のインダクタンス値は482μH、巻線N4によって形成されるインダクタL4のインダクタンス値は96μH、一次側並列共振コンデンサC1の値は8200pF、一次側直列共振コンデンサC2の値は0.033μF、二次側直列共振コンデンサC3の値は0.068μF、補助共振コンデンサC4の値は0.033μF、フィルタコンデンサCNの値は1μFとした。
(第4実施形態の測定データ)
第4実施形態における要部の動作波形は、図3におけると同様であるので省略する。図9は、交流入力電圧VACの値が100Vの入力電圧条件下において負荷電力Poの値が、0W(無負荷)から300W(最大負荷電力)の範囲での負荷変動に対する整流平滑電圧Ei、力率PF、および交流入力電力に対する直流出力電力の電力変換効率ηAC→DCを示している。ここで、点線で示すグラフは力率制御回路3を働かせない場合であり、実線は力率制御回路3を働かせた場合のグラフである。また、図10は、負荷電力を300W(最大負荷電力)一定とする負荷条件下で、交流入力電圧VACの値を85Vから144Vまで変化させた範囲における、整流平滑電圧Ei、力率PFおよび電力変換効率ηAC→DCを示している。
図9に示すように、50Wから300Wの範囲では、力率PFの値は0.96と高い値を維持しており、負荷電力の大きさに関わりなく高い値を保っている。また、図10に示すように、力率制御回路3の作用によって、入力電圧VACの変動に関わりなく高い力率を保っている。
また、電力変換効率ηAC→DCについては、図9および図10に示すようにして、負荷変動に対しては、ほぼ一定とみてよい特性で、負荷電力25Wから負荷電力300Wの範囲で90%以上の電力変換効率ηAC→DCが得られている。
(二次側回路の変形例)
その他の第1実施形態ないし第4実施形態のいずれにおいても置き換え可能な二次側回路の変形例を図11および図12に示す。
図11に示す二次側整流回路は、ブリッジ全波整流回路を構成する。すなわち、二次巻線N2と二次側直列共振コンデンサC3の直列接続回路(二次側直列共振回路)に接続される二次側整流回路として、4本の整流ダイオードDo1、整流ダイオードDo2、整流ダイオードDo3、整流ダイオードDo4から成るブリッジ整流回路と、1本の平滑コンデンサCoから成るブリッジ全波整流回路を備える。二次巻線N2の巻き終わり端部は、二次側直列共振コンデンサC3を介して整流ダイオードDo1のアノードと整流ダイオードDo2のカソードの接続点に接続する。また、二次巻線N2の巻始め端部を、整流ダイオードDo3のアノードと整流ダイオードDo4のカソードの接続点に接続する。整流ダイオードDo1のカソードと整流ダイオードDo3のカソードを平滑コンデンサCoの正極端子に接続する。平滑コンデンサCoの負極端子は二次側アース電位にて、整流ダイオードDo2のアノードと整流ダイオードDo4のアノードの接続点と接続される。
このようにして形成される全波整流回路によっては、二次巻線N2に誘起される交番電圧の一方の半周期において、ブリッジ整流回路の整流ダイオードDo1、整流ダイオードDo4の組が導通して、平滑コンデンサCoに対して整流電流を充電する動作が得られる。また、二次巻線N2に誘起される交番電圧の他方の半周期においては、整流ダイオードDo2、整流ダイオードDo3の組が導通して平滑コンデンサCoに対して整流電流を充電する動作が得られる。これによって平滑コンデンサCoの両端電圧として、二次巻線N2に誘起される交番電圧レベルの等倍に対応したレベルの二次側直流出力電圧Eoが生成される。
図12に示す二次側整流回路は、倍電圧全波整流回路を構成する。すなわち、二次巻線N2についてセンタータップを施すことで、このセンタータップを境界にして二次巻線部N2A、二次巻線部N2Bに2分割する。二次巻線部N2A、二次巻線部N2Bには、同じ所定巻数(ターン数)が設定される。二次巻線N2のセンタータップは、二次側アースに接続される。また、二次巻線N2における二次巻線部N2A側の端部に対しては二次側直列共振コンデンサC3Aを直列に接続し、二次巻線N2における二次巻線部N2B側の端部に対しては二次側直列共振コンデンサC3Bを直列に接続する。これにより、二次巻線部N2Aの漏れインダクタンス成分と二次側直列共振コンデンサC3Aのキャパシタンスから成る第1の二次側直列共振回路と、二次巻線部N2Bの漏れインダクタンス成分と二次側直列共振コンデンサC3Bのキャパシタンスから成る第2の二次側直列共振回路とが形成される。
そして、二次巻線N2における二次巻線部N2A側の端部を、二次側直列共振コンデンサC3Aの直列接続を介して整流ダイオードDo1のアノードと整流ダイオードDo2のカソードとの接続点に対して接続する。また、二次巻線N2における二次巻線部N2B側の端部を、二次側直列共振コンデンサC3Bの直列接続を介して、整流ダイオードDo3のアノードと整流ダイオードDo4のカソードとの接続点に対して接続する。そして、整流ダイオードDo1、整流ダイオードDo3の各カソードは、平滑コンデンサCoの正極端子に接続する。平滑コンデンサCoの負極端子は二次側アースに接続される。また、整流ダイオードDo2、整流ダイオードDo4の各アノードの接続点は二次側アースに接続する。
このようにして、二次巻線部N2A,二次側直列共振コンデンサC3A、整流ダイオードDo1、整流ダイオードDo2、および平滑コンデンサCoから成る、第1の二次側直列共振回路を備える第1の倍電圧半波整流回路と、二次巻線部N2B,二次側直列共振コンデンサC3B、整流ダイオードDo1、整流ダイオードDo2、および平滑コンデンサCoから成る、第2の二次側直列共振回路を備える第2の倍電圧半波整流回路とが形成されることになる。このようにして平滑コンデンサCoに対しては、二次巻線N2の交番電圧の、一方の極性の半周期では、二次巻線部N2Bの誘起電圧と二次側直列共振コンデンサC3Bの両端電圧の重畳電位による整流電流の充電が行われ、他方の極性の半周期では、二次巻線部N2Aの誘起電圧と二次側直列共振コンデンサC3Aの両端電圧の重畳電位による整流電流の充電が行われることとなる。これにより、平滑コンデンサCoの両端電圧である二次側直流出力電圧Eoとしては、二次巻線部N2A、二次巻線部N2Bの誘起電圧レベルの2倍に対応するレベルが得られることになる。つまり、倍電圧全波整流回路が得られる。
なお、これまでに説明した実施形態の電源回路の具体的設計例は、交流入力電圧VACは、100Vの商用交流電源が入力されることを前提としているのであるが、本発明は、交流入力電圧VACの値として、特に限定があるものではない、例えば、200Vの商用交流電源入力に対応した設計として場合にも、本願発明に基づいた構成とすることで同様の効果が得られる。また、例えば、一次側電圧共振形コンバータの細部の回路形態や、二次側直列共振回路を含んで形成する二次側整流回路の構成などは他にも考えられるものである。また、スイッチング素子については、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、バイポーラトランジスタなど、MOS−FET以外の素子を選定することも考えられる。また、上記各実施形態では、他励式のスイッチングコンバータを挙げているが、自励式として構成した場合にも本発明は適用できる。
第1実施形態のスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。 実施形態のスイッチング電源回路が備えるコンバータトランスの構造例を示す断面図である。 第1実施形態の電源回路における要部の動作を商用交流電源周期により示す波形図である。 第1実施形態の電源回路についての、負荷変動に対する整流平滑電圧、力率、および電力変換効率の特性を示す図である。 第1実施形態の電源回路についての、交流入力電圧変動に対する整流平滑電圧、力率、および電力変換効率の特性を示す図である。 第2実施形態のスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。 第3実施形態のスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。 第4実施形態のスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。 第4実施形態の電源回路についての、負荷変動に対する整流平滑電圧、力率、および電力変換効率の特性を示す図である。 第4実施形態の電源回路についての、交流入力電圧変動に対する整流平滑電圧、力率、および電力変換効率の特性を示す図である。 実施形態の二次側回路の変形例である。 実施形態の二次側回路の変形例である。 E級スイッチングコンバータの基本構成例を示す回路図である。 図13に示すE級スイッチングコンバータの動作を示す波形図である。 背景技術に示すアクティブフィルタの構成図である。 背景技術に示すアクティブフィルタの動作を説明する波形図である。 背景技術に示すスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。 背景技術に示すアクティブフィルタの動作を説明する波形図である。 背景技術に示すアクティブフィルタを実装した電源回路における交流入力電圧、交入力電流および平滑電圧を商用交流電源周期により示す波形図である。 背景技術に示すアクティブフィルタを実装した電源回路の負荷変動に対する電力変換効率、力率、整流平滑電圧の各特性について示した特性図である。 背景技術に示すアクティブフィルタを実装した電源回路の交流入力電圧変動に対する電力変換効率、力率、整流平滑電圧の各特性について示した特性図である。
符号の説明
1 制御回路、2 発振・ドライブ回路、3 力率制御回路、10、11、12 力率改善回路、AC 商用交流電源、C1 一次側並列共振コンデンサ、C2 一次側直列共振コンデンサ、C3、C3A,C3B 二次側直列共振コンデンサ、C4 補助共振コンデンサ、CL アクロスコンデンサ、CMC コモンモードチョークコイル、CN フィルタコンデンサ、Ci、Co 平滑コンデンサ、Cg コンデンサ、CR1、CR2、CR11、CR12 コア、D1 力率改善ダイオード、Do1、Do2、Do3,Do4 整流ダイオード、D1A バイパスダイオード、DD ボディダイオード、Di ブリッジ整流回路、Ei 整流平滑電圧、Eo 二次側直流出力電圧、G ギャップ、I1、I2 電流、IAC 交流入力電流、L1 インダクタ(一次巻線N1の漏れインダクタ)、Lo インダクタ(PCC チョークコイル)、LFT ラインフィルタトランス、N1 一次巻線、N2 二次巻線、N2A、N2B 二次巻線部、Ng 制御巻線、PF 力率、PIT コンバータトランス、Q1 スイッチング素子、Q2 容量調整スイッチング素子、R51、R52、R53、Rg1、Rg2 抵抗、SDi、SEi 信号、V1、V2、V3 電圧、VAC 交流入力電圧、ηAC→DC 電力変換効率

Claims (3)

  1. 交流電源からの交流電力を入力して整流平滑化する整流素子と平滑コンデンサとを具備して形成され、前記平滑コンデンサの両端電圧として整流平滑電圧を生成する整流平滑回路と、
    前記整流平滑電圧が一方の端子に印加される中間タップを有するチョークコイルと、
    前記チョークコイルの他方の端子に一次巻線の一方の端子が接続される漏れインダクを有するコンバータトランスと、
    前記コンバータトランスに交流電圧を印加するためのスイッチング素子と、
    前記コンバータトランスの一次巻線の前記一方の端子が一次側直列共振コンデンサと接続され、前記漏れインダクタの生成する一次側インダクタンス成分と前記一次側直列共振コンデンサの容量とによって支配される一次側直列共振周波数を有する一次側直列共振回路と、
    前記漏れインダクタの生成する一次側インダクタンス成分および前記チョークコイルのインダクタンスと一次側並列共振コンデンサの容量とによって支配される一次側並列共振周波数を有する一次側並列共振回路と、
    前記スイッチング素子を駆動する発振・ドライブ回路と、
    前記コンバータトランスの二次巻線が二次側直列共振コンデンサと接続され、前記漏れインダクタの生成する二次側インダクタンス成分と前記二次側直列共振コンデンサの容量とによって支配される二次側共振周波数を有する二次側直列共振回路と、
    前記二次側直列共振回路から二次側整流回路によって出力される二次側直流出力電圧の値を所定の値とするような制御信号を前記発振・ドライブ回路に供給する制御回路と、
    前記チョークコイルの前記中間タップに一方の端子が接続され、他方の端子が前記整流素子に接続される力率改善ダイオードと、前記力率改善ダイオードの前記他方の端子と前記整流平滑コンデンサとに各々の端子が接続されるフィルタコンデンサとを具備する力率改善回路と、
    を備えるスイッチング電源回路。
  2. さらに、前記整流素子からの整流電流を前記平滑コンデンサにバイパスするバイパスダイオードを前記整流素子と前記平滑コンデンサとの間に接続する請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  3. さらに、前記一次側直列共振コンデンサと並列に接続される、補助共振コンデンサと容量調整スイッチング素子との直列接続回路を備え、前記スイッチング素子と前記容量調整スイッチング素子とは相補的に導通および切断を繰り返すとともに、前記整流素子に流れる電流の大きさまたは/および前記整流平滑電圧の大きさに応じて前記容量調整スイッチング素子の導通時間を制御することを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。







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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN101980435A (zh) * 2010-04-20 2011-02-23 陈浩 获取稳定低压的直流/直流变换器以及电话机供电电路

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