JP2008043152A - スイッチング電源回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】力率改善機能を有し、電力変換効率の向上、回路構成部品の削減を図るスイッチング電源回路を提供する。
【解決手段】コンバータ部は、パワーチョークコイルPCCと、コンバータトランスPITと、パワーチョークコイルPCCのインダクタL3とともに第1の共振回路を形成し、漏れインダクタL1とともに第2の1次側直列共振回路を形成する1次側直列共振コンデンサC1とを有し、スイッチング素子Q1によってこれらの共振回路に交流電力を供給する。また、力率改善回路13と、力率改善回路13と交流電源ACとの間に配置されたコモンモードフィルタ部とを具備する。そして、1次側整流素子Diの入力側に1次側直列共振コンデンサC1を接続し、力率改善回路13の高速スイッチングダイオードを1次側整流素子Diと共用し、力率改善回路13とコモンモードフィルタ部のコンデンサをコンデンサCNLで共用した。
【選択図】図5
【解決手段】コンバータ部は、パワーチョークコイルPCCと、コンバータトランスPITと、パワーチョークコイルPCCのインダクタL3とともに第1の共振回路を形成し、漏れインダクタL1とともに第2の1次側直列共振回路を形成する1次側直列共振コンデンサC1とを有し、スイッチング素子Q1によってこれらの共振回路に交流電力を供給する。また、力率改善回路13と、力率改善回路13と交流電源ACとの間に配置されたコモンモードフィルタ部とを具備する。そして、1次側整流素子Diの入力側に1次側直列共振コンデンサC1を接続し、力率改善回路13の高速スイッチングダイオードを1次側整流素子Diと共用し、力率改善回路13とコモンモードフィルタ部のコンデンサをコンデンサCNLで共用した。
【選択図】図5
Description
本発明は、各種電子機器の電源として備えられるスイッチング電源回路に関する。
近年、商用電源を整流して所望の直流電圧を得る電源回路としては、大部分がスイッチング方式の電源回路とされている。スイッチング電源回路はスイッチング周波数を高くすることによりトランスその他のデバイスを小型にすると共に、大電力のDC−DCコンバータとして各種の電子機器の電源として使用されている。
ところで、商用電源は正弦波の交流電圧であるが、商用電源を整流素子と平滑コンデンサとを用いる平滑・整流回路において整流および平滑を行う場合には、平滑・整流回路のピークホールド作用のために、商用電源からスイッチング電源回路には、交流電圧のピーク電圧付近の短時間だけ電流が流れ込むこととなり、商用電源から電源回路に流れ込む電流は、正弦波とは大きく異なる歪み波形になってしまう。そして、電源の利用効率を示す力率が損なわれるという問題が生じる。また、このような歪み電流波形となることによって発生する商用電源周期の高調波を抑圧するための対策が必要とされてしまう。これらの問題を解決するために、従来において力率改善を図る技術として、いわゆるアクティブフィルタを用いる手法が知られている(例えば特許文献1参照)。
図14にこのようなアクティブフィルタの基本構成を示す。図14においては、商用の交流電源ACにコモンモードノイズを抑圧するためのコモンモードチョークコイルCMC1およびコモンモードチョークコイルCMC2の2個コモンモードチョークコイルと、3個のアクロスコンデンサCLとからなるコモンモードフィルタを介して、交流電源ACにブリッジ整流器として構成される1次側整流素子Diの入力側を接続している。この1次側整流素子Diの出力側の正極/負極ラインに対しては、ノーマルモードノイズを防止するためのインダクタLNと2個のコンデンサCNとで構成されるノーマルモードフィルタを介してステップアップ型のコンバータが接続され、その出力には並列に2次側平滑コンデンサCoutが接続され、その両端電圧として直流電圧Voutが得られる。この直流電圧Voutは、DC−DCコンバータ110の入力電圧として供給される。そして、DC−DCコンバータ110の2次側には出力直流電圧Eoutが得られる。
そして、力率改善のための構成としては、インダクタL100、高速リカバリ型の高速スイッチングダイオードD100、スイッチング素子Q100からなるステップアップ型のコンバータ、および乗算器111を主なる構成要素とするステップアップ型のコンバータの制御部と、を備える。インダクタL100、高速スイッチングダイオードD100は、1次側整流素子Diの正極出力端子と、2次側平滑コンデンサCoutの正極端子との間に、直列に接続されて挿入される。抵抗Riは、1次側整流素子Diの負極出力端子(1次側アース)と2次側平滑コンデンサCoutの負極端子との間に挿入される。また、スイッチング素子Q100は、例えば、MOS−FETとされ、インダクタL100と高速スイッチングダイオードD100の接続点と、1次側アース間に挿入される。また、高速スイッチングダイオードD100の空乏層容量と漏れインダクタンスとで生じる共振を吸収するための抵抗RsnとコンデンサCsnとから成るスナバ回路が設けられている。
乗算器111に対しては、電流検出ラインLiおよび波形入力ラインLwが接続され、さらに電圧検出ラインLvが接続される。そして、乗算器111は、電流検出ラインLiから入力される1次側整流素子Diの負極出力端子に流れる整流電流Iinに応じた信号を抵抗Riの両端から検出する。また、波形入力ラインLwから入力される1次側整流素子Diの正極出力端子の整流電圧Vinに応じた信号を検出する。この整流電圧Vinは、商用の交流電源ACからの交流入力電圧の波形を絶対値化したものである。さらに、電圧検出ラインLvから入力される2次側平滑コンデンサCoutの直流電圧Voutと所定の基準電圧との差分である誤差電圧を検出する。そして、乗算器111からは、スイッチング素子Q100を駆動するためのドライブ信号が出力される。
乗算器111によって制御部されるステップアップ型のコンバータでは、電流検出ラインLiから検出した整流電流Iinに応じた信号と、上記電圧検出ラインLvから検出した誤差電圧とを乗算し、この乗算結果と、波形入力ラインLwから検出した整流電圧Vinに応じた信号との誤差を検出する。そしてこの誤差信号を増幅した後に、PWM(Pulse Width Modulation)変換を行い、ハイレベルとローレベルとの2値信号によって、スイッチング素子Q100を制御する。このようにして、2入力フィードバック系が構成され、直流電圧Voutの値が所定の値とされるとともに、整流電圧Vinに対して整流電流Iinを相似形の波形とする。この結果、商用の交流電源ACから1次側整流素子Diに印加される交流入力電圧VACと、1次側整流素子Diに流れ込む交流入力電流IACの波形も相似形となって、力率がほぼ1に近付くようにして力率改善が図られることになる。
しかしながら、図14に示した構成による電源回路では、次のような問題を有している。図14に示す電源回路における電力変換効率としては、前段のアクティブフィルタに対応するAC電力からDC電力への変換効率と、後段のDC−DCコンバータ110におけるDC電力からDC電力への変換効率とを総合したものとなる。つまり、図14に示される回路の総合的な電力変換効率(総合効率)としては、これらの電力変換効率の値を乗算した値となるものであり、各々1以下となる数の積であるので、総合効率は低下してしまう。
また、アクティブフィルタ回路はハードスイッチング動作であることから、ノイズの発生が大きいため、厳重なノイズ抑制対策が必要となる。このため、図14に示した回路では、商用の交流電源ACのラインに対して、コモンモードノイズに対応するためにコモンモードチョークコイルCMC1とコモンモードチョークコイルCMC2、アクロスコンデンサCLによるコモンノイズフィルタを設けている。また、ノーマルモードノイズに対応するために、1個のインダクタLNと2個のコンデンサCNから成るノーマルモードノイズフィルタを設けている。さらに、整流用の高速リカバリ型の高速スイッチングダイオードD100に対しては、抵抗RsnとコンデンサCsnとから成るスナバ回路を設けている。このようにして、多くの部品点数によるノイズ対策が必要であり、コストアップおよび電源回路基板の実装面積の大型化を招いている。
さらに、スイッチング素子Q100のスイッチング周波数は、例えば、60kHzの固定の周波数であるのに対して、後段のDC/DCコンバータ110においては、例えば、電流共振コンバータのようなスイッチング周波数を変化させて出力直流電圧Eoutを一定に保つ定電圧制御方式とするコンバータを採用する場合には、そのスイッチング周波数は80kHz〜200kHzの範囲で可変となる。このようにして両者のスイッチングタイミング(クロック)は別個独立であるので、各々のクロックを基準に働く両者のスイッチング動作により、アース電位は干渉しあって不安定になり、例えば異常発振が生じやすくなる。これにより、例えば回路設計が難しいものとなったり、信頼性を劣化させたりするなどの問題も招くことになる。
特開平6−327246号公報
本発明は、上述した課題を解決し、従来に較べて、ノイズの発生をより少なくし、より効率の向上を図り、部品点数をより少なくした力率改善機能を有するスイッチング電源回路を提供することを目的とする。
本発明のスイッチング電源回路は、交流電源からの入力交流電力を1次側直流電力に変換する1次側整流平滑部と、前記1次側直流電力を交流電力に変換し、さらに2次側直流電力に変換するコンバータ部と、力率を改善する力率改善部と、前記力率改善部と前記交流電源との間に介在されるコモンモードフィルタ部と、を備えるスイッチング電源回路であって、前記1次側整流平滑部は、交流電源からの入力交流電力を入力して整流する1次側整流素子と、前記1次側整流素子からの電力を平滑する1次側平滑コンデンサと、を具備し、前記コンバータ部は、前記1次平滑コンデンサに一端が接続されるパワーチョークコイルと、前記パワーチョークコイルの他端に接続される1次巻線と、前記1次巻線と磁気的に疎結合とされる2次巻線と、を有するコンバータトランスと、前記1次側整流平滑部から供給される前記1次側直流電力を、前記交流電力に変換するスイッチング素子と、前記スイッチング素子をオン・オフ駆動する発振・ドライブ回路と、前記パワーチョークコイルとともに第1の1次側直列共振回路を形成し、前記1次巻線に生じる漏れインダクタとともに第2の1次側直列共振回路を形成する1次側直列共振コンデンサと、前記2次巻線に生じる漏れインダクタとともに2次側直列共振回路を形成する2次側直列共振コンデンサと、前記2次側直列共振回路に接続される2次側整流素子と、前記2次側整流素子に接続されて平滑された出力直流電圧を得るようにされる2次側平滑コンデンサと、前記出力直流電圧の値を所定の値とするように周波数が可変とされる制御信号を前記発振・ドライブ回路に供給する制御回路と、を具備し、前記力率改善部は、前記1次側直列共振コンデンサが前記1次側整流素子の入力側の一端に接続され、前記1次側整流素子が前記1次側整流平滑部の整流素子として機能するとともに、前記コンバータ部の1次側に流れる共振電流を整流できるように高速スイッチング素子で形成され、前記1次側整流素子の入力側に力率改善用インダクタとコンデンサとの直列接続回路を具備し、前記コモンモードフィルタ部は、コモンモードチョークコイルと前記コモンモードチョークコイルのアクロスコンデンサとして機能する前記力率改善部の前記コンデンサを具備する。
このスイッチング電源回路では、1次側整流平滑部は、1次側整流素子と、前記1次側整流素子からの電力を平滑する1次側平滑コンデンサと、を具備しており、交流電源からの入力交流電力を入力して整流する。また、コンバータ部は、パワーチョークコイルと、コンバータトランスと、スイッチング素子と、発振・ドライブ回路と、1次側直列共振コンデンサと、2次側直列共振回路と、2次側整流素子と、2次側平滑コンデンサと、制御回路とを具備する。パワーチョークコイルは1次平滑コンデンサとコンバータトランスの1次巻線との間に介在している。発振・ドライブ回路はスイッチング素子をオン・オフ駆動して、スイッチング素子によって発生される交流電力は、パワーチョークコイルと1次側直列共振コンデンサとを要素とする第1の1次側直列共振回路および1次巻線に発生するインダクタと1次側直列共振コンデンサとを要素とする第2の1次側直列に印加され、1次巻線と磁気的に結合される2次巻線を有するコンバータトランスPITの2次側に交流電力を伝送する。2次側には、2次巻線に発生するインダクタと2次側直列共振コンデンサとを要素とする2次側直列共振回路と、これに接続される2次側整流素子と2次側平滑コンデンサとを有しており、出力直流電圧を出力する。制御回路は、出力直流電圧の値を所定の値とするように周波数が可変とされる制御信号を前記発振・ドライブ回路に供給して、出力直流電圧の値を制御する。また、力率改善部は、1次側直列共振コンデンサが1次側整流素子の入力側の一端に接続された接続態様を採用し、1次側整流素子が1次側整流平滑部の整流素子として機能するとともに、コンバータ部の1次側に流れる共振電流を整流できるように高速スイッチング素子で形成され、1次側整流素子の入力側に力率改善用インダクタとコンデンサとの直列接続回路を具備しているので、共振電流を1次側平滑コンデンサに帰還することができる。また、コモンモードフィルタ部は、コモンモードチョークコイルとアクロスコンデンサとして機能する力率改善部のコンデンサを具備している。
本発明のスイッチング電源回路によれば、従来に較べて、部品点数をより少なくし、ノイズの発生もより少なくし、より効率の改善を図る力率改善機能を有するスイッチング電源回路を提供することができる。
まず、力率改善機能と、定電圧機能とをDC/DCコンバータに持たせたワンコンバータ方式の電源について説明する。
図1ないし図3のいずれもが、1次側のスイッチング素子としては、1個のみスイッチング素子Q1を有するものである。そして、1次側は、I級スイッチング回路またはE級スイッチング回路として機能するものである。
ここで、I級スイッチング回路とは、1次側に2つの直列共振回路を設け、一方の共振周波数を他方の共振周波数の略2倍とするものである。このようなI級スイッチング回路では、負荷電力を広範囲に変化させてもZVS(Zero Voltage Switching)特性を良好に保つことができる利点を有する。
また、E級スイッチング回路とは、直流電源からの電力を、インダクタを介して1次側共振回路を有するコンバータに供給して、スイッチング素子に流れる電流とスイッチング素子に印加される電圧との両方が共に正弦波の一部となることを特徴とするものである。E級スイッチング回路は、負荷電力が適正である場合には、スイッチング素子のターンオン(オフからオンとなる状態)時においてはスイッチング素子に流れる電流の値およびスイッチング素子に印加される電圧の値をいずれも零とする零電圧・零電流スイッチング動作となる。このような動作状態を最適E級動作と称する。負荷電力が大きくなる場合には、最適E級動作からはずれて、スイッチング素子に並列に接続されたボディダイオードに電流が流れるようになる。このような動作状態を準E級動作と称する。負荷電力が小さくなる場合にも、最適E級動作からはずれて、スイッチング素子がオフになるときに、スイッチング素子に印加される電圧は零とはならない。
図1にワンコンバータ方式のスイッチング電源回路の一実施形態を示す。図1に示すワンコンバータ方式の電源回路は、1次側にスイッチング素子Q1を1個有し、1次巻線N1と2次巻線N2とが磁気的に疎結合とされるコンバータトランスPITを有している。また、コンバータトランスPITの1次巻線N1と接続されるパワーチョークコイルPCCを有している。ここで、疎結合とは、1次巻線N1と2次巻線N2との磁気的な結合係数の値が、1以下であることを言うものであり、例えば、結合係数の値が0.7程度である場合を言うものである。すなわち、結合係数が1以下であるということは、1次巻線N1には鎖交し2次巻線N2には鎖交しない磁束が存在し、また、2次巻線N2には鎖交し1次巻線N1には鎖交しない磁束が存在するということである。この相互に鎖交しない磁束によって、1次巻線N1には漏れインダクタL1(以下、インダクタL1と省略する)が生じ、2次巻線N2には漏れインダクタL2(以下、インダクタL2と省略する)が生じることとなる。
そして、パワーチョークコイルPCCのインダクタンスと1次側直列共振コンデンサC1とで形成される第1の1次側直列共振回路を形成し、1次巻線N1に生じる漏れインダクタL1と1次側直列共振コンデンサC1とで第2の1次側直列共振回路を形成し、コンバータトランスPITの2次巻線N2に発生する漏れインダクタL2と2次側直列共振コンデンサC2とで形成される2次側電流共振回路を具備し、この2次側電流共振回路に接続された全波整流回路から出力直流電圧Eoを得るようにされたDC/DCコンバータである。そしてこのDC/DCコンバータは、いわゆる、多重共振形コンバータとして形成され、定電圧機能を有する。
ここで、第1の1次側直列共振回路の共振周波数の値を第2の1次側直列共振回路の共振周波数の値の2倍程度に設定する場合には、この多重共振形コンバータは、I級スイッチング回路として働くこととなる。また、例えば、パワーチョークコイルPCCのインダクタンスの値が大きく、I級スイッチング回路の動作条件を満たさない場合で、負荷電力の大きさによっては最適E級動作を含む動作をする場合には、図1に示すスイッチング電源回路は、E級スイッチング回路として働くこととなる。
なお、図1においては、2次側回路としては全波整流を備えるものであるが、これに替えて、2次側回路としては両波整流回路または倍圧整流回路を備えるものとしても良いものである。
コンバータトランスPITは、フェライト材によるコアと1次巻線N1と2次巻線N2とによって構成されている。このコンバータトランスPITにおいては上述したように1次巻線N1と2次巻線N2との磁気的な結合は疎結合とされて、大きなインダクタンスの値を漏れインダクタンス成分として得るようにしている。
また、スイッチング素子Q1は、MOS−FETが選定され、ソース−ドレイン間に並列にボディダイオードDD1を内蔵する。
コンバータトランスPITの2次側では、1次巻線N1により誘起された交番電圧に相似した電圧波形が2次巻線N2に発生する。この2次巻線N2に対して2次側整流素子Doを接続している。この2次側整流素子Doは高速スイッチングダイオードDo1ないし高速スイッチングダイオードDo4をブリッジ接続して構成されており、2次側整流素子Doの出力側には2次側平滑コンデンサCoが接続されている。これにより、2次側平滑コンデンサCoの両端から出力直流電圧Eoを得ている。
制御回路1は、入力された出力直流電圧Eoと所定の値の基準電圧値との差に応じた検出出力(誤差電圧)を発振・ドライブ回路2に供給する。発振・ドライブ回路2では、入力された制御回路1の検出出力に応じて主としてはスイッチング周波数を可変するようにして、スイッチング素子Q1を駆動する。
このようにしてスイッチング素子Q1のスイッチング周波数が可変制御されることにより、この可変制御の周波数に対してコンバータトランスPITの1次巻線N1から2次巻線N2側に伝送される電力量、また、2次側整流回路から負荷に供給すべき電力量が変化することになる。これにより、出力直流電圧Eoの大きさを基準電圧と一致させる動作が得られることになる。つまり、出力直流電圧Eoの安定化が図られる。
図1に示すスイッチング電源回路は、さらに、力率改善回路10を組み合わせて力率改善機能を有するものである。図1に示すワンコンバータ方式のスイッチング電源回路における力率改善回路10では、パワーチョークコイルPCCに設けられた巻線N3と磁気的に結合した巻線N4に発生する1次側共振回路に流れる電流に応じた電圧を高速スイッチングダイオードD1で整流して、1次側平滑コンデンサCiに電圧帰還するようにしている。高速スイッチングダイオードD1のアノードと、1次側平滑コンデンサCiと巻線N4との接続点との間に接続されたコンデンサCNはノーマルモードのノイズを抑制するためのコンデンサである。このような接続態様によって、巻線N4に発生する共振パルス電圧を1次側平滑コンデンサCiに帰還して、1次側整流素子Diにおける流通角を拡大して力率を改善している。このような力率改善回路を電圧帰還方式の力率改善回路と総称する。
また、図2に示すのは別の方式の力率改善回路11である。1次側整流素子Diの交流入力側については、記載を省略したが、図1に示すものと同様な構成を有するものとされている。力率改善回路11では、パワーチョークコイルPCCに設けられた巻線N3に発生する1次側共振回路に流れる電流に応じた電圧を高速スイッチングダイオードD1で整流して、1次側平滑コンデンサCiに電圧帰還するようにしている。高速スイッチングダイオードD1のアノードと、1次側平滑コンデンサCiと巻線N4との接続点との間に接続されたコンデンサCNはノーマルモードのノイズを抑制するためのコンデンサである。なお、図2に一部を示すスイッチング電源回路はI級スイッチング回路として機能している。
また、図3に示すのはさらに別の方式の力率改善回路12である。力率改善回路12では、1次側直列共振コンデンサC1に流れる1次側共振電流を力率改善用インダクタLoに流して、1次側平滑コンデンサCiに共振電流を帰還するようにして、1次側整流素子Diにおける流通角を拡大して力率を改善している。このような力率改善回路を電力帰還方式の力率改善回路と総称する。
図1に示すスイッチング電源回路の力率改善回路10を構成するための部品は、パワーチョークコイルPCCに設けられた巻線N4、高速スイッチングダイオードD1およびコンデンサCNの3点である。また、図2に示すスイッチング電源回路の力率改善回路11を構成するための部品は、高速スイッチングダイオードD1およびコンデンサCNの2点である。図3に示すスイッチング電源回路の力率改善回路10を構成するための部品は、力率改善用インダクタLo、高速スイッチングダイオードD1およびコンデンサCNの3点である。いずれも、少ない部品点数で力率改善の効果を生じることができる。
図1ないし図3のスイッチング電源回路を代表するものとして、図3に示す力率改善回路12を備えるスイッチング電源回路について、その特性を説明する。
図4は、負荷電力Poの値が、0W(無負荷)から300Wの範囲での負荷変動に対する力率PF、および交流入力電力に対する直流出力電力の電力変換効率ηAC→DCを示している。
ここで、高調波歪規制値のクラスA規格では交流入力電力が75W以上の場合が規制の対象となるものである。したがって、図3に示す回路のみならず、図1に示す回路および図2に示す回路の各々において、各部の定数の設定を適切なものとしている。例えば、図3に示す回路において、交流入力電圧VACの値が100V、負荷電力Poが70Wのとき力率PFの値を0.75となるように力率改善用インダクタLoの値を設定している。なお、このときの300Wにおける電力変換効率ηAC→DCの値は91%程度であった。
以上述べたように、図1ないし図3に示すスイッチング電源回路では、高調波歪規制値のクラスA規格を満たし、部品点数も背景技術に示すものに較べて大幅に少なくすることができ、電力変換効率ηAC→DCの値も良好なものとできる。しかしながら、上述した図1ないし図3に示すスイッチング電源回路を医療機器に用いる場合には、交流電源ACのラインに対する電源妨害である雑音端子電圧の規格は、家庭用の電機機器(家電機器)の規格よりも低レベルであり、さらに、ノイズの発生のレベルを低下させることが望ましい。
上述した、電源妨害、電力変換効率、力率改善について、より良好なる特性を有するのが図5に示す回路および図5の変形例としての図10ないし図13に示す回路である。各々のスイッチング電源回路の細部の説明をする前に、それらに、共通する技術的特徴を以下に簡単に説明する。なお、図10ないし図13では、回路のすべてが記載されておらず、その一部が記載されており、図10ないし図13において記載されていない部分は図5に示すと同一の構成を有している。
まず、図5および図10ないし図13に示すスイッチング電源回路に共通する部分の説明を最初にして、その後、基本となる図5に示すスイッチング電源回路について回路図に沿って説明する。
上述した各々の図に示すスイッチング電源回路は、交流電源からの入力交流電力を1次側直流電力に変換する1次側整流平滑部と、1次側直流電力を交流電力に変換しさらに2次側直流電力に変換するコンバータ部と、力率を改善する力率改善部と、前記力率改善部と前記交流電源との間に介在されるコモンモードフィルタ部と、を備えるスイッチング電源回路である。
そして、1次側整流平滑部は、交流電源からの入力交流電力を入力して整流する1次側整流素子と、1次側整流素子からの電力を平滑する1次側平滑コンデンサとを具備する。
また、コンバータ部は、パワーチョークコイルと、1次巻線と1次巻線と磁気的に疎結合とされる2次巻線とを有するコンバータトランスと、上述した1次側整流平滑部から供給される1次側直流電力を交流電力に変換する1個のスイッチング素子と、このスイッチング素子をオン・オフ駆動する発振・ドライブ回路と、パワーチョークコイルと1次側直列共振コンデンサとによって形成される第1の1次側直列共振回路と、1次巻線に生じる漏れインダクタと1次側直列共振コンデンサとによって形成される第2の1次側直列共振回路と、2次巻線に生じる漏れインダクタと2次側直列共振コンデンサと、によって形成される2次側直列共振回路と、2次側直列共振回路に接続される2次側整流素子と、この2次側整流素子に接続され出力直流電圧を得るようにされた2次側平滑コンデンサと、出力直流電圧の値を所定の値とするような制御信号を発振・ドライブ回路に供給する制御回路と、を具備する。ここで、2次側の整流回路については、全波整流回路、全波倍電圧整流回路、倍電流整流回路のいずれを用いるものとしても良いものである。
上述したように、実施形態のスイッチング電源回路は、いずれも、1次側に第1の1次側直列共振回路および第2の1次側直列共振回路を有し、2次側に2次側直列共振回路を有する多重共振コンバータとして構成されているので、スイッチング素子の損失を低減しつつ、スイッチング素子のオン・オフの周波数を可変として出力直流電圧を所定の値に保つことができる。ここで、特に、この多重共振コンバータの第1の1次側直列共振回路の共振周波数の値と第2の1次側直列共振回路の共振周波数の値との関係を設定することによって、I級スイッチング回路として動作させることができ、また、同時に負荷電力を所定値として最適E級動作をするE級スイッチング回路として動作させることができる。
具体的には、上述したように、第1の直列共振回路の共振周波数の値を第2の直列共振回路の共振周波数の値の略2倍とすることによって、I級スイッチング回路として機能させることができ、ZVS領域を拡大することができる。したがって、交流入力電圧VACの値が広範に変化する場合、負荷電力が広範囲に変化する場合において、I級スイッチング回路として、スイッチング電源回路を働かせることは良好なる電力効率を得る上で好ましいものである。
また、負荷電力が所定範囲である場合には、例えば、負荷変動がほとんど生じない負荷に電力を供給する場合には、第1の直列共振回路の共振周波数および第2の直列共振回路の共振周波数が設定して、この所定範囲の電力において、スイッチング素子に流れる電流とスイッチング素子に印加される電圧との両方が共に正弦波の一部となし、スイッチング素子のターンオフの時点において、スイッチング素子に流れる電流を零とするとともにスイッチング素子に印加される電圧を零とする最適E級動作とすることができる。
具体的には、例えば、パワーチョークコイルのインダクタンス値、コンバータトランスに生じる漏れインダクタンスの値を適切に設定し、スイッチング素子に可変周波数の範囲を適切に設定することによって最適E級動作とすることができる。また、負荷電力が多少増加する方向に変化した場合であっても準E級動作として、スイッチング素子に印加される電圧を零とすることができる。したがって、負荷電力の変化が所定範囲内である場合においては特に、E級スイッチング回路として、スイッチング電源回路を働かせることは良好なる電力効率を得る上で好ましいものである。
また、力率改善部(力率改善回路)は、1次側直列共振コンデンサが1次側整流素子の入力側の一端に接続され、1次側整流素子が1次側整流平滑部の整流素子として機能するとともに、上述した1次側整流素子は、力率改善部の一部としても同時に機能するように、コンバータ部の1次側に流れる共振電流を整流できるように高速スイッチング素子で形成されている。また、前記1次側整流素子の入力側に力率改善用インダクタとコンデンサとの直列接続回路を具備している。このように、1次側整流素子を高速スイッチングダイオードによって構成することによって、1次側整流の機能と力率改善の機能とを共通の部品としての高速スイッチングダイオードによって奏することができるので、電力を取り扱う部品点数を削減して電力効率の改善を図ることができる。
また、コモンモードフィルタ部は、コモンモードチョークコイルとアクロスコンデンサとして機能する力率改善部のコンデンサである、コンデンサを具備する。
そして、力率改善部の構成部分のコンデンサとコモンモードフィルタ部の構成部分のコンデンサとを共用して用い、部品点数を減らすものである。このように重複した機能を有する共用部品を採用することによって部品点数の削減を図り効率を向上するとともに、これらの部品の高周波特性を良好なるものとして、電源妨害(ノイズ)を抑圧することができる。
まず、図5に示すスイッチング電源回路について説明する。図5に示すスイッチング電源回路は交流電源ACからの入力交流電力を1次側直流電力に変換する1次側整流平滑部と、前記1次側直流電力を交流電力に変換しさらに2次側直流電力に変換するコンバータ部と、力率を改善する力率改善部(力率改善回路)と、前記力率改善部と前記交流電源との間に介在されるコモンモードフィルタ部と、を備えるものである。
コンバータ部は、パワーチョークコイルPCCと、1次巻線N1と、1次巻線N1と磁気的に疎結合とされる2次巻線N2と、を有するコンバータトランスPITと、1次側整流平滑部から供給される1次側直流電力を、商用周波数よりも高い周波数の交流電力に変換するスイッチング素子であるスイッチング素子Q1と、これらのスイッチング素子をオン・オフ駆動する発振・ドライブ回路2と、パワーチョークコイルとともに第1の1次側直列共振回路を形成し、1次巻線に生じる漏れインダクタとともに第2の1次側直列共振回路を形成する1次側直列共振コンデンサと、2次巻線N2に生じる漏れインダクタL2と2次側直列共振コンデンサC2とによって形成される2次側直列共振回路と、2次側直列共振回路に接続される2次側整流素子Doと、2次側整流素子Doに接続され出力直流電圧Eoを得るようにされた2次側平滑コンデンサCoと、出力直流電圧Eoの値を所定の値とするような制御信号を発振・ドライブ回路に供給する制御回路1と、を具備する。
ここで、第1の1次側直列共振回路の共振周波数はパワーチョークコイルPCCの巻線N3に生じるインダクタL3と1次側直列共振コンデンサC1とによって主として定まることとなるが、コンデンサCp等によっても共振周波数は影響を受けるものである。また、第2の1次側直列共振回路の共振周波数は1次巻線N1に生じる漏れインダクタL1と1次側直列共振コンデンサC1とによって主として定まることとなるが、コンデンサCp等によっても共振周波数は影響を受けるものである。図5に示すスイッチング電源回路では、コンバータ部の第1の1次側直列共振回路の共振周波数の値は、第2の1次側直列共振回路の共振周波数の値の略2倍とされており、これによってI級スイッチング回路として機能するようになされている多重共振形コンバータである。また、2次側整流回路の2次側整流素子Doは、高速スイッチングダイオードDo1ないし高速スイッチングダイオードDo4で形成されるブリッジ接続を採用する。
また、力率改善部は、多重共振コンバータの1次側に流れる共振電流(共振パルス)を整流できるスイッチング速度を有するように1次側整流素子Diを高速スイッチングダイオードDi1ないし高速スイッチングダイオードDi4によって形成する。1次側直列共振コンデンサC1が1次側整流素子Diの入力側の一端に接続され、1次側整流素子Diの入力側に力率改善用インダクタLoとコンデンサCNLとの直列接続回路とを具備している。このようにして、巻線N3に生じる電圧を用いて力率を改善する電圧帰還方式力率改善回路とされている。また、力率改善用インダクタLoとコンデンサCNLとによってローパスフィルタを形成している。
また、コモンモードフィルタ部は、コモンモードチョークコイルCMCとアクロスコンデンサを具備する。ここで、コモンモードフィルタ部はアクロスコンデンサを2個有しており、アクロスコンデンサCLが交流電源ACの入力側に配され、コンデンサCNLが1次側整流素子Diの入力側に配され、コンデンサCNLはアクロスコンデンサとしても機能するようになされている。
図5に示すスイッチング電源回路の主要部について、その作用についても言及しながら、より詳細に説明を加える。
交流電力は、1次整流平滑部で整流されて、平滑される。ここで、整流は、ブリッジ接続された1次側整流素子Diでおこなわれ、平滑は1次側平滑コンデンサCiでおこなわれる。これによって直流電圧である整流平滑電圧Eiを1次側平滑コンデンサCiの両端に得ることができる。
このようにして1次側直流電力に変換された1次側平滑コンデンサCiからの直流電力はコンバータ部に供給される。コンバータ部は、1次側平滑コンデンサCiからの直流電力をパワーチョークコイルPCCの巻線N3を介してコンバータトランスPITの1次巻線N1の一端に供給し、1次巻線N1の他端にスイッチング素子Q1の一端を接続し、スイッチング素子Q1と並列にコンデンサCpが接続され、1次巻線N1の一端とスイッチング素子Q1の他端との間に1次側直列共振コンデンサC1を接続する接続態様を採用している。このようにして、コンバータ部の1次側には、共振周波数が主として1次側直列共振コンデンサC1とパワーチョークコイルPCCの巻線N3に生じるインダクタL3とによって定まる第1の1次側直列共振回路と、共振周波数が主として1次側直列共振コンデンサC1とコンバータトランスPITの1次巻線N1に生じるインダクタL1とによって共振周波数が定まる第2の1次側直列共振回路とが形成されている。また、2次側には、共振周波数が主として2次側直列共振コンデンサC2とコンバータトランスPITの2次巻線N2に生じるインダクタL2とによって主として定まる2次側直列共振回路が形成されている。このようにして、多重共振コンバータとしてコンバータ部は構成されている。
ここで、第1の1次側直列共振回路の共振周波数が主として1次側直列共振コンデンサC1とパワーチョークコイルPCCの巻線N3に生じるインダクタL3とによって定まる、または、第2の1次側直列共振回路の共振周波数が主として1次側直列共振コンデンサC1とインダクタL1とによって定まるとは、例えば、コンデンサCp、1次側平滑コンデンサCi等もこれらの共振回路の共振周波数に影響を与えるが、これらが共振周波数に与える影響は小さいことを意味するものである。同様に2次側直列共振回路の共振周波数が主として2次側直列共振コンデンサC1とインダクタL2とによって定まるとは、例えば、1次側の条件、負荷の条件等もこの共振回路の共振周波数に影響を与えるが、これらが共振周波数に与える影響は小さいことを意味するものである。
上述した接続態様では、第1の1次側直列共振回路および第2の1次側直列共振回路にはスイッチング素子Q1をスイッチングすることによって発生する交流電力が印加される。ここで、スイッチング素子Q1はMOS―FETが用いられ、ドレインとソースとの間がスイッチング素子として作用する。また、第1の1次側直列共振回路の共振周波数および第2の1次側直列共振回路の共振周波数に関係する各部の定数は、以下のようにされている。1次巻線N1の巻数は34T(ターン)、2次巻線N2の巻数は30T、巻線N3の巻数は30T、インダクタL3のインダクタンスの値は480μH(マイクロ・ヘンリー)、コンデンサCpのキャパシタンス値は8200pF(ピコ・ファラッド)、1次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンス値は0.033(マイクロ・ファラッド)、2次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンス値は0.082μFである。
上述した各部の定数の設定によって、第1の1次側直列共振回路の共振周波数の値は、第2の1次側直列共振回路の共振周波数の値の略2倍されており、この多重共振コンバータはI級スイッチング回路として機能することとなる。
なお、第1の直列共振回路の共振周波数および第2の直列共振回路の共振周波数の設定を適宜なものとすることによってE級コンバータとして機能させることもできる。例えば、パワーチョークコイルPCCのインダクタンスの値をより大きなものとして、負荷電力の大きさがある程度の範囲では最適E級動作とさせることができ、このような最適E級動作を含む動作をする場合には、図5に示すスイッチング電源回路は、E級スイッチング回路として機能することとなる。
漏れインダクタL1を発生させるコンバータトランスPITの構造を以下に説明する。コンバータトランスPITは、1次側と2次側とを絶縁するとともに電圧の変換を行う機能を有するが、さらに、インダクタL1およびインダクタL2としても機能する。ここで、インダクタL1のインダクタンスは、コンバータトランスPITによって形成される漏れインダクタンスである。このような漏れインダクタンスをどのようにして生じさせるかについて、図6に示すコンバータトランスPITの断面図を示して具体的に説明する。
コンバータトランスPITは、フェライト材によるE型コアCR1とE型コアCR2とを互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コア(EE字形コア)を備える。そして、1次側と2次側の巻装部については、相互に独立するようにして分割し、例えば樹脂などによって形成されるボビンBが備えられる。そして、1次側の巻装部として1次巻線N1、2次側の巻装部として2次巻線N2が巻装されたボビンBをEE字形コアに取り付けることで、1次巻線N1が一の領域に巻装され、2次巻線N2がこの一の領域とは異なる巻装領域に分離され、EE字形コアの中央磁脚に巻装される状態となる。このようにしてコンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。
このEE字形コアの中央磁脚に対しては、2.2mm(ミリ・メータ)のギャップGを形成する。これによって、1次側と2次側との結合係数kの値としては、結合係数kの値を1よりも小さくする。すなわち、疎結合とすることによって、1次巻線N1に発生する磁束の一部は2次巻線N2と鎖交しなくなり、この鎖交しない磁束の効果によってインダクタL1を形成して大きなインダクタンスの値を得るようにしている。なお、ギャップGは、E型コアCR1およびE型コアCR2の中央磁脚を、2本の外磁脚よりも短くすることで形成している。コア材は、EER―35(コア材名称)とした。また、パワーチョークコイルPCCもコンバータトランスPITと同様な構成とされており、コア材は、EE―28(コア材名称)、ギャップGの大きさは1mmとした。
このようにして形成された多重共振コンバータの1次巻線N1に印加される交流電力の周波数を変化させて、上述したように2次側に伝送される電力量を可変とし、よって、出力直流電圧Eoの値を負荷が消費する電力量にかかわらずに一定とできる多重共振コンバータが構成される。
図5に示す力率改善回路13の構成について説明する。力率改善回路13は、1次側整流素子Diとして、高速スイッチングダイオードDi1ないし高速スイッチングダイオードDi4を用いるものであり、図1ないし図3においては、1次側整流素子Diとして、低速度の整流ダイオードを用いるものである点において異なる。
また、力率改善回路13では1次側整流素子Diの入力側の端子には力率改善用インダクタLoとコンデンサCNLとの直列回路が接続されおり、これらは、力率改善の作用を生じるとともに、このコンデンサCNLと力率改善用インダクタLoとでローパスフィルタを構成して、これによって、スイッチング素子Q1がスイッチングすることに基づいて発生するノーマルモードノイズがコンバータ部から交流電源ACの側へ漏れ出すことを阻止している。ここで、力率改善用インダクタLoの値は56μH、コンデンサCNLの値は1μFとした。
力率改善回路13の作用を説明する。力率改善回路13は1次側に生じる共振作用に基づく電流を1次側平滑コンデンサCiに帰還する電力回生方式の力率改善回路(力率改善部)とされている。力率改善回路13の基本的な作用は以下に示すものである。第1の1次側直列共振回路および第2の1次側直列共振回路を構成する1次側直列共振コンデンサC1が1次側整流素子Diの入力側に接続されているので、共振電流である電流Ioが力率改善回路に流れる。電流Ioは整流されて1次側平滑コンデンサCiに流れ、これによって、電流Ioの両方向の電流は、ともに1次側平滑コンデンサCiおよび1次側整流素子Diを流れ、1次側整流素子Diに入力交流電流IACが流れる時間(流通角)を拡大する。このようにして、多重共振コンバータの1次側を流れる電流Ioは、最終的には1次側平滑コンデンサCiに帰還される。
コンデンサCNLは、図1ないし図3に示すアクロスコンデンサCL2と同じ位置、すなわち、コモンモードチョークコイルCMCの両端の間に配置されたアクロスコンデンサとしても機能してコモンモードノイズを抑圧する作用も同時におこなう。すなわち、図1ないし図3に示すコンデンサCNはノーマルモードフィルタの一部として機能するのに対して、図5に示すコンデンサCNLはノーマルモードフィルタおよびコモンモードフィルタの両者の一部として機能する。このような構成を採用することによって、図1ないし図3に示すコモンモードノイズの発生を抑圧するアクロスコンデンサCL1と、ノーマルモードノイズの発生を抑圧するコンデンサCNとの2個のコンデンサの各々が奏する作用を1個のコンデンサであるコンデンサCNLによって奏することができる。
図5に示す力率改善回路13を有するスイッチング電源回路では、交流ライン側である1次側整流素子Diの入力側にコンデンサCNLおよび力率改善用インダクタLoの直列回路を備え、1次側整流素子Diの出力側にパワーチョークコイルPCCの巻線N3と1次側平滑コンデンサCiとの直列回路を備えることによって力率の改善をおこない、少ない部品の点数で、力率の改善の機能を有するとともに、ノーマルモードノイズを抑圧するノーマルモードフィルタの機能を有するものとすることができる。このようにして、回路の簡略化、部品の低減による装置コストの低価格化を可能とすることができる。
このような高周波電流が流れるコンデンサにおいては誘電体損失が大きな損失の要素となる。したがって、高周波電流が流れるコンデンサの数が多くなる程スイッチング電源回路における損失は増加する傾向となる。したがって、上述したように、コンデンサの高周波特性を良好となし、さらに、スイッチング電源回路で採用するコンデンサの数を少なくすることによって、効率の改善を図ることができる。
コストの低価格化が可能となる大きな理由は以下に述べるものである。まず、コモンモードチョークコイルCMCの両端の間に配置されたアクロスコンデンサに対しては、耐圧に対する要求が厳格であり、また、このようなアクロスコンデンサの高周波特性が良好でない場合には、コモンモードノイズを抑圧する作用が十分得られないところから、高周波特性が良好であるコンデンサがアクロスコンデンサとしの特性として要求されるので、価格も高価なものになりがちであった。一方、高速スイッチングダイオードDi1ないし高速スイッチングダイオードDi4の4つの高速スイッチングダイオードの中の2つ高速スイッチングダイオードと力率改善用インダクタLoに流れる電流Ioの高周波成分を抑圧するノーマルモードフィルタに用いるコンデンサの高周波特性は良好なるものでなければならず、同様に高価なものになりがちであった。図5に示す力率改善回路13では、このような高価なコンデンサを一つにすることができるので装置の低価格化が実現できる。また、コンデンサを一つにすることで、コンデンサの二個分のコストを投じることができるので、高周波特が良好でノイズの削減効果が高い高価なコンデンサを用いることができるものである。
制御回路1は、入力された出力直流電圧Eoと所定の値の基準電圧値との差に応じた検出出力を発振・ドライブ回路2に供給する。発振・ドライブ回路2では、入力された制御回路1の検出出力に応じて主としてはスイッチング周波数を可変するようにして、スイッチング素子Q1を駆動する。
このようにしてスイッチング素子Q1のスイッチング周波数が可変制御されることにより、スイッチング周波数に応じて第1の1次側直列共振回路、第2の1次側直列共振回路および2次側直列共振回路のインピーダンスが変化し、コンバータトランスPITの1次巻線N1から2次巻線N2側に伝送される電力量、また、2次側整流回路から負荷に供給すべき電力量が変化することになる。これにより、出力直流電圧Eoの大きさを基準電圧と一致させる動作が得られることになる。つまり、出力直流電圧Eoの安定化が図られる。
図5に示すスイッチング電源回路の要部の動作波形を図7および図8に示し、図5に示すスイッチング電源回路によって得られる特性の測定データを図9に示す。
図7は、交流入力電圧100V、最大負荷電力である負荷電力Poが300Wにおける主要部の動作波形を商用の交流電源周期により示している。上段より下段に向かって、交流電源から入力される電圧である交流入力電圧VAC(図5を参照)、交流電源から流れる電流である交流入力電流IAC(図5を参照)、1次側整流素子Diの出力側の電圧である電圧V2(図5を参照)、多重共振コンバータの1次側に流れる共振電流である電流Io(図5を参照)、負荷に供給される供給電圧としての出力直流電圧Eo(図5を参照)に含まれるリップル電圧成分である電圧ΔEoの各々を示す。図7の電圧V2、電流Ioの縦線を施した部分の各々は、スイッチング素子Q1のスイッチング周期と同じ周期でスイッチングしていることを示すものである。
図7の交流入力電圧VACと交流入力電流IACとの関係を見ると、交流入力電流IACの流れる期間である流通角は、力率改善回路13を設けることがない場合に較べて拡大している。すなわち、図5において、図示しないが、1次側整流素子Diに1次側直列共振コンデンサC1を接続しない場合には、図7の交流入力電圧VACのピーク電圧付近でのみパルス状に交流入力電流IACが流れることとなる。一方、図5に示す力率改善回路13を設ける場合においてはこのようなことはなく、交流入力電圧VACと交流入力電流IACとの関係は略相似形となっている。
また、図8は、交流入力電圧100V、最大負荷電力である負荷電力Poが300Wにおける主要部の動作波形をスイッチング素子Q1のスイッチング周期により示している。スイッチング素子Q1の両端の電圧である電圧V1(図5を参照)、コンバータトランスPITの1次巻線N1に発生するパルス電圧である電圧V3(図5を参照)、コンバータトランスPITの1次巻線N1に流れる電流である電流I1(図5を参照)、スイッチング素子Q1に流れる電流である電流IQ1(図5を参照)、2次巻線N2に流れる電流である電流I2(図5を参照)、ブリッジ整流器である2次側整流素子Doの入力側に印加される電圧である電圧V5(図5を参照)の各々を示す。
図9は、交流入力電圧VACの値が100Vの条件下において負荷電力Poの値が、0W(無負荷)から300Wの範囲、出力直流電圧Eoの値が175Vのときの負荷変動に対する整流平滑電圧Ei、力率PF、および交流入力電力に対する直流出力電力の電力変換効率ηAC→DCを示している。
図9から読み取れる代表特性の一部を紹介する。力率改善用インダクタLoのインダクタンス値とコンバータトランスPITの1次巻線N1の巻数(インダクタL1のインダクタンス値)とを適切に設定することによって、広範囲な負荷変動の範囲で良好なる力率PFの特性を有することができるものとなる。例えば、図9に示すように、負荷電力Poの値については、無負荷から最大負荷である300Wの範囲の中間点で最良となるように設定する場合に広範囲な負荷変動に対して良好なる力率PFの値を有することができる。例えば、300Wにおける力率の値として、0.83を得ている。
また、図9においては、電力変換効率ηAC→DCの値としては、交流入力電圧VACの値が100Vの場合で、負荷電力Poの値が最大負荷の300Wのときに92%であった。この値は、図2に示すスイッチング電源回路におけるものと較べると改善されたものとなっている。これは、ダイオードに流れる電流が通過する経路に存在するダイオードの個数を減らし、高周波電流が流れるコンデンサの個数を減らす等によって部品点数を減らしたことによって得られる効果、すなわち、力率改善回路13の構成態様として、力率改善用インダクタLoとコンデンサCNLと、1次側直列共振コンデンサC1を1次側整流素子Diの入力側に接続する接続態様と、1次側整流素子Diを高速スイッチングダイオードで構成することと、によって得られる効果である。
すなわち、図1ないし図3に示すスイッチング電源回路では、1次側整流素子Diの中の2個の整流ダイオードおよび高速スイッチングダイオードD1を合わせた3個のダイオードに高周波の電流および整流電流が流れ、これによって生じる順方向電力損失およびスイッチング損失が電力損失となったが、図5に示すスイッチング電源回路では、高周波の電流および整流電流が流れるダイオードの数を2個としてダイオードにおける電力損失を減らしている。この電力損失の低減は、電力効率の改善に換算すると負荷電力Poの値が300Wの場合には、1.5%の電力効率の向上に相当する。
また、図5のスイッチング電源回路では、アクティブフィルタを不要としたことで、回路構成部品の点数削減が図られる。つまり、図14に示すアクティブフィルタは、スイッチング素子Q100と、これらを駆動するための乗算器111等を始め、多くの部品により構成される。これに対し、実施形態のスイッチング電源回路においては、力率改善のために必要な追加部品として、コンデンサCNL、力率改善用インダクタLoおよび1次側整流素子Diとして高速整流素子を備えればよく、アクティブフィルタと比較すれば部品点数を少ないものとすることができる。
また、図1ないし図3に示すスイッチング回路と比較した場合には、ノイズの低減効果は極めて良好であり、部品点数を少なくして低コストなものとすることができる。
また、図5のスイッチング電源回路では、多重共振形のコンバータ部および力率改善部の動作はいわゆるソフトスイッチング動作であるから、図14に示したアクティブフィルタを用いる回路と比較すればスイッチングノイズのレベルは大幅に低減される。
また、2次側整流素子Doを構成する2次側の高速スイッチングダイオードである高速スイッチングダイオードDo1ないし高速スイッチングダイオードDo4、1次側整流素子Doを構成する1次側の高速スイッチングダイオードDi1ないし高速スイッチングダイオードDi4などもスイッチング素子Q1および補助スイッチング素子Q2に同期してスイッチングの動作をするものである。したがって、アース電位としては、図14のスイッチング電源回路のように、アクティブフィルタ側と、その後段のスイッチングコンバータとの間で干渉することが無く、スイッチング周波数の変化に関わらず安定させることができる。
さらに、図1ないし図3においては、交流電流が、アクロスコンデンサCL1、アクロスコンデンサCL2、コンデンサCNの3個に流れるのに対して、図5では、アクロスコンデンサCLとコンデンサCNLとの2個に流れるようにして、高周波電流が流れるコンデンサの数を減らし、結果としてコンデンサにおける電力損失を減らしている。
また、力率改善用インダクタLoのインダクタンス値とコンバータトランスPITの1次巻線N1を適切に設定することによって、中間負荷時(負荷電力Poの値が無負荷と最大負荷との間付近の値を言う)における力率PFの値を最良のものとして、力率PFを広範囲に良好なるものとすることができる。
また、図1ないし図3に示すスイッチング電源回路との比較においては、力率改善用インダクタLoとコンデンサCNLとでローパスフィルタを構成してノーマルモードノイズが大幅に低減できた。このような接続態様によって、1次側整流素子Diにおけるスイッチングノイズもこのローパスフィルタは減衰させる効果も生じるものである。
さらに、DC/DCコンバータに追加する力率改善のための追加の部品の点数は、図5に示す力率改善回路13を採用する場合においては、力率改善回路を有しない場合に較べて、力率改善用インダクタLoを設けるだけあり、部品点数を削減することができる。
図5に示すスイッチング電源回路の種々の変形例を以下の図10ないし図13に示す。なお、以下に示す種々の変形例においては、スイッチング電源回路の全体は記載されておらず、その一部のみが記載されており、記載されていない部分については、図5に示すものと同一である。
図10に示すスイッチング電源回路は、図5に示すスイッチング電源回路において、力率改善回路と2次側の回路とを変形するものである。図10においては、力率改善回路13とは異なる力率改善回路14を採用し、2次側の回路は全波整流回路に替えて倍圧整流回路を採用するものである。
図10に示す力率改善回路14においては、コンデンサCNLに替えてコンデンサCNL1およびコンデンサCNL2の直列接続回路を採用している。ここで、コンデンサCNL1およびコンデンサCNL2は、図1ないし図3に示すアクロスコンデンサCL2と同じ位置、すなわち、コモンモードチョークコイルCMCの両端の間に配置されたアクロスコンデンサとしても機能してコモンモードノイズを抑圧する作用も同時におこなう。そして、コンデンサCNL1およびコンデンサCNL2の接続点は1次側の基準電位となる1次側接地点に接続されているので、図5に示すような力率改善回路13で採用する回路構成と較べた場合にコモンモードノイズの低減効果はさらに良好となる。
すなわち、コンデンサCNL1およびコンデンサCNL2の接続点は高周波的には接地電位とされ、この接続点を接地しない場合に較べて、コモンモードノイズの発生のレベルが低いものとされている。それに加えて、コンデンサCNLのみを設ける場合と同様に、コモンモードチョークコイルCMCの出力側の2本のライン間の高周波の電位を同一として、コモンモードチョークコイルCMCの作用を効果的にしている。
図10に示す2次側の回路は、漏れインダクタL2と2次側直列共振コンデンサC2で第1の2次側直列共振回路を形成し、漏れインダクタL2’と2次側直列共振コンデンサC2’で第2の2次側直列共振回路を形成している。ここで、2次巻線N2の巻数と2次巻線N2’の巻数は同一とされており、センタータップを基準として逆位相の電圧が発生している。また、漏れインダクタL2と漏れインダクタL2’のインダクタンスの値は巻数が等しいので略同様の値であり、2次側直列共振コンデンサC2と次側2次側直列共振コンデンサC2’の値も等しいものに選ばれ、第1の2次側直列共振回路の共振周波数と第2の2次側直列共振回路の共振周波数は等しいものとされている。
2次側直列共振コンデンサC2は高速スイッチングダイオードDo6に流れる電流によって充電される。また、2次側直列共振コンデンサC2を通過した交流電圧は高速スイッチングダイオードDo6に印加されて2次側平滑コンデンサCoに充電電流を整流して供給する。この場合に、2次側直列共振コンデンサC2の充電電圧は高速スイッチングダイオードDo5に直列に加算方向に加えられているので、2次側平滑コンデンサCoに発生する電圧は2次巻線N2に発生する電圧の2倍となる。以上の動作は交流の半周期の動作である。他の半周期では、2次側直列共振コンデンサC2’は高速スイッチングダイオードDo8に流れる電流によって充電される。また、2次側直列共振コンデンサC2’を通過した交流電圧は高速スイッチングダイオードDo7に印加されて2次側平滑コンデンサCoに充電電流を整流して供給する。この場合に、2次側直列共振コンデンサC2’の充電電圧は高速スイッチングダイオードDo7に直列に加算方向に加えられているので、2次側平滑コンデンサCoに発生する電圧は2次巻線N2に発生する電圧の2倍となる。このようにして倍電圧全波整流回路が構成される。
図11に示すスイッチング電源回路は、図5に示すスイッチング電源回路において、2次側の回路を変形するものである。図11の回路構成は図10の回路構成の半周期が動作する部分のみを2次側の回路として構成した倍電圧半波整流回路である。
図12に示すスイッチング電源回路は、図5に示すスイッチング電源回路において、力率改善回路と2次側の回路を変形するものである。
図12に示す力率改善回路15においては、コンデンサCNL1およびコンデンサCNL2に加えてコンデンサCNL3を有するので、コンデンサCNL3がない場合に較べてノーマルモードノイズの発生はさらに少ないものとなる。さらに、コンデンサCNL1およびコンデンサCNL2の接続点を高周波的に接地電位とすることによって上述したようにコモンモードノイズの抑圧の効果は良好なるものとなる。また、コンデンサCNL3はコモンモードチョークコイルCMCの出力側の両方の極性の端子間の電圧を同一として、コモンモードチョークコイルCMCのコモンモード抑圧の作用をより効果的なものとする。
また、図12に示す2次側の整流回路は、漏れインダクタL2と2次側直列共振コンデンサC2とで2次側直列共振回路を構成する。2次巻線N2の一方の端子に接続される第1の2次側整流素子である高速スイッチングダイオードDo1を介して磁気エネルギーを蓄え、高速スイッチングダイオードDo2を介してこの磁気エネルギーを放出する第1の2次側インダクタであるインダクタLs1と、高速スイッチングダイオードDo2を介して磁気エネルギーを蓄え、高速スイッチングダイオードDo1を介してこの磁気エネルギーを放出する第2の2次側インダクタであるインダクタLs2と、高速スイッチングダイオードDo1に流れる電流および高速スイッチングダイオードDo2に流れる電流を充電するように接続されて出力直流電圧Eoを得るようにされた2次側平滑コンデンサCoと、を有するものである。
このような2次側整流回路の接続態様では、2次巻線N2からの電圧の極性が高速スイッチングダイオードDo1をオンとする極性である場合には、2次巻線N2からの電流とインダクタLs2からの電流が加算されて高速スイッチングダイオードDo1を流れ、同一の電力を負荷に供給する場合には、高速スイッチングダイオードDo1に流れるピーク電流の大きさは、インダクタLs2が無い場合に較べて低減する。また、2次巻線N2からの電圧の極性が高速スイッチングダイオードDo2をオンとする極性である場合には、2次巻線N2からの電流とインダクタLs1からの電流が加算されて高速スイッチングダイオードDo2を流れ、同一の電力を負荷に供給する場合には、高速スイッチングダイオードDo2に流れるピーク電流の大きさは、インダクタLs1が無い場合に較べて低減する。このような、2次側整流回路の構成態様を倍電流整流回路と称する。
また、図13に示すスイッチング電源回路は、図5に示すスイッチング電源回路において、コンバータトランスPITの補助巻線Ngが設けられ、このコンバータトランスPITの補助巻線Ngからの電圧が抵抗R1と抵抗R2とで分圧されて補助スイッチング素子Q2として機能するMOSFETのゲートに加えられるようになされている。補助スイッチング素子Q2のドレインには、クランプ用コンデンサC3が接続されている。すなわち、クランプ用コンデンサC3と補助スイッチング素子Q2とは直列回路を形成している。そして、このクランプ用コンデンサと補助スイッチング素子Q2との直列回路は、1次側平滑コンデンサCiとスイッチング素子Q1のドレインとの間に接続されている。なお、コンバータトランスPITの補助巻線Ngは、1次巻線N1から積み上げるように巻かれているが、補助スイッチング素子Q2として機能するMOSFETFETのソースが1次巻線N1の一方の端子に接続されているので、巻線を積み上げるように接続されているのであり、別巻線として設けても何の問題もない。また、抵抗R1と抵抗R2とは補助巻線Ngに生じる電圧を分圧するものである。
クランプ用コンデンサC3と補助スイッチング素子Q2の直列回路における補助スイッチング素子Q2は、スイッチング素子Q1が非導通のときに導通するようになされている。補助スイッチング素子Q2はボディダイオードDD2を内蔵しており、両方向に電流を通過させることができるようになされている。このようにして、スイッチング素子Q1に印加されるオフ時の電圧をクランプしてスイッチング素子Q1の耐圧を低下させることができるようにしている。特に、スイッチング素子Q1の導通時におけるオン抵抗の値は、スイッチング素子Q1がMOS-FETである場合には、その耐電圧の2.5乗に比例することが知られており、高耐圧のスイッチング素子Q1の使用は損失の増大と装置のコスト高につながるものである。特に、交流入力電圧VACの値が大きくなる場合には、スイッチング素子Q1の耐圧の問題は重要なものとなる。
このような自励ドライブ方式のアクテイブクランプ回路をコンバータ部に設けることによって、スイッチング電源回路の交流入力電圧VACの範囲を85Vから288Vとして、ワイドレンジ化を図ることができる。例えば、スイッチング素子Q1および補助スイッチング素子Q2の耐圧は、このようなアクテイブクランプ回路の採用によって、交流入力電圧VACが288Vの場合でも900Vとすることができた。また、交流入力電圧VACの値を広範囲とする場合においても、ZVS(Zero Voltage Switching)特性を得ることができるという利点も生じる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施形態は必要に応じて変更することができるものである。
1 制御回路、2 発振・ドライブ回路、10、11、12、13、14、15 力率改善回路、AC 交流電源、B ボビン、C1 1次側直列共振コンデンサ、C2、C2’ 2次側直列共振コンデンサ、Ci、 1次側平滑コンデンサ、CL、CL1、CL2、CL3 アクロスコンデンサ、CMC コモンモードチョークコイル、CNL、CNL1、CNL2、CNL3 コンデンサ、Co、 2次側平滑コンデンサ、DD1 ボディダイオード、Di 1次側整流素子、Do 2次側整流素子、D1、Di1、Di2、Di3、Di4、Do1、Do2、Do3、Do4、Do5,Do6、Do7、Do8 高速スイッチングダイオード、Ei 整流平滑電圧、Eo 出力直流電圧、G ギャップ、IAC 交流入力電流、L1、L2、Ls1、Ls2 インダクタ、Lo 力率改善用インダクタ、N1 1次巻線、N2、N2’ 2次巻線、N3、N4 巻線、PIT コンバータトランス、Q1 スイッチング素子、Q2 補助スイッチング素子、VAC 交流入力電圧、R1、R2 抵抗
Claims (6)
- 交流電源からの入力交流電力を1次側直流電力に変換する1次側整流平滑部と、前記1次側直流電力を交流電力に変換し、さらに2次側直流電力に変換するコンバータ部と、力率を改善する力率改善部と、前記力率改善部と前記交流電源との間に介在されるコモンモードフィルタ部と、を備えるスイッチング電源回路であって、
前記1次側整流平滑部は、
交流電源からの入力交流電力を入力して整流する1次側整流素子と、
前記1次側整流素子からの電力を平滑する1次側平滑コンデンサと、
を具備し、
前記コンバータ部は、
前記1次平滑コンデンサに一端が接続されるパワーチョークコイルと、
前記パワーチョークコイルの他端に接続される1次巻線と、前記1次巻線と磁気的に疎結合とされる2次巻線と、を有するコンバータトランスと、
前記1次側整流平滑部から供給される前記1次側直流電力を、前記交流電力に変換するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子をオン・オフ駆動する発振・ドライブ回路と、
前記パワーチョークコイルとともに第1の1次側直列共振回路を形成し、前記1次巻線に生じる漏れインダクタとともに第2の1次側直列共振回路を形成する1次側直列共振コンデンサと、
前記2次巻線に生じる漏れインダクタとともに2次側直列共振回路を形成する2次側直列共振コンデンサと、
前記2次側直列共振回路に接続される2次側整流素子と、
前記2次側整流素子に接続されて平滑された出力直流電圧を得るようにされる2次側平滑コンデンサと、
前記出力直流電圧の値を所定の値とするように周波数が可変とされる制御信号を前記発振・ドライブ回路に供給する制御回路と、を具備し、
前記力率改善部は、
前記1次側直列共振コンデンサが前記1次側整流素子の入力側の一端に接続され、前記1次側整流素子が前記1次側整流平滑部の整流素子として機能するとともに、前記コンバータ部の1次側に流れる共振電流を整流できるように高速スイッチング素子で形成され、
前記1次側整流素子の入力側に力率改善用インダクタとコンデンサとの直列接続回路を具備し、
前記コモンモードフィルタ部は、
コモンモードチョークコイルとアクロスコンデンサとして機能する前記力率改善部の前記コンデンサを具備する、
スイッチング電源回路。 - 前記コンバータ部は、
前記第1の1次側直列共振回路の共振周波数の値が前記第2の1次側直列共振回路の共振周波数の値の略2倍に設定されることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。 - 前記コンバータ部は、
前記2次側平滑コンデンサと接続される負荷に供給される負荷電力が所定の値である場合に、前記スイッチング素子のターンオフ時における前記スイッチング素子に流れる電流の値および前記スイッチング素子に印加される電圧の値をいずれも零とするように前記第1の直列共振回路の共振周波数および前記第2の直列共振回路の共振周波数が設定されることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。 - 前記力率改善部のコンデンサは、
第1コンデンサと第2コンデンサとの直列接続回路によって形成され、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの接続点が前記1次側整流素子の出力側の基準電位点に接続されることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。 - 前記力率改善部のコンデンサは、
第1コンデンサと第2コンデンサとの直列接続回路および前記直列接続回路に並列に接続された第3のコンデンサによって形成され、
前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの接続点が前記1次側整流素子の出力側の基準電位点に接続されることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。 - 前記コンバータ部は、さらに、
前記スイッチング素子が非導通のときに導通する補助スイッチング素子とクランプ用コンデンサとの直列回路とによって前記スイッチング素子の両端に生じる電圧をクランプするアクティブ電圧クランプ回路を有する請求項1に記載のスイッチング電源回路。
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JP2006217705A JP2008043152A (ja) | 2006-08-10 | 2006-08-10 | スイッチング電源回路 |
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JP2008043152A true JP2008043152A (ja) | 2008-02-21 |
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US9954329B2 (en) | 2014-08-05 | 2018-04-24 | Sony Corporation | Common plug for AC/DC and common equipment for AC/DC |
-
2006
- 2006-08-10 JP JP2006217705A patent/JP2008043152A/ja active Pending
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