JP2008029053A - スイッチング電源回路 - Google Patents

スイッチング電源回路 Download PDF

Info

Publication number
JP2008029053A
JP2008029053A JP2006195650A JP2006195650A JP2008029053A JP 2008029053 A JP2008029053 A JP 2008029053A JP 2006195650 A JP2006195650 A JP 2006195650A JP 2006195650 A JP2006195650 A JP 2006195650A JP 2008029053 A JP2008029053 A JP 2008029053A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
winding
capacitor
primary
voltage
circuit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2006195650A
Other languages
English (en)
Inventor
Masayuki Yasumura
昌之 安村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP2006195650A priority Critical patent/JP2008029053A/ja
Publication of JP2008029053A publication Critical patent/JP2008029053A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】力率改善機能を有し、電力変換効率の向上、回路構成部品の削減を図るスイッチング電源回路を提供する。
【解決手段】力率を改善するスイッチング電源回路である。1次側の整流回路は、倍電圧整流回路と等倍整流回路とを切替スイッチSWで切り替える。コンバータ部は、漏れインダクタL1と1次側直列共振コンデンサC1で形成される1次側直列共振回路、漏れインダクタンスL1と部分電圧共振コンデンサCpで形成される部分電圧共振回路および漏れインダクタンスL2と2次側直列共振コンデンサC2で形成される2次側直列共振回路を有する多重共振コンバータである。力率改善回路13と交流電源ACとの間のコモンモードフィルタ部とを具備する。コンデンサCNLおよび電圧帰還トランスVFTとノーマルモードフィルタとにおけるインダクタを共用して、ノイズの発生を低減する。部品点数の削減によって効率の改善を図った。
【選択図】図5

Description

本発明は、各種電子機器の電源として備えられるスイッチング電源回路に関する。
近年、商用電源を整流して所望の直流電圧を得る電源回路としては、大部分がスイッチング方式の電源回路とされている。スイッチング電源回路はスイッチング周波数を高くすることによりトランスその他のデバイスを小型にすると共に、大電力のDC−DCコンバータとして各種の電子機器の電源として使用されている。
ところで、商用電源は正弦波の交流電圧であるが、商用電源を整流素子と平滑コンデンサとを用いる平滑・整流回路において整流および平滑を行う場合には、平滑・整流回路のピークホールド作用のために、商用電源からスイッチング電源回路には、交流電圧のピーク電圧付近の短時間だけ電流が流れ込むこととなり、商用電源から電源回路に流れ込む電流は、正弦波とは大きく異なる歪み波形になってしまう。そして、電源の利用効率を示す力率が損なわれるという問題が生じる。また、このような歪み電流波形となることによって発生する商用電源周期の高調波を抑圧するための対策が必要とされてしまう。これらの問題を解決するために、従来において力率改善を図る技術として、いわゆるアクティブフィルタを用いる手法が知られている(例えば特許文献1参照)。
図15にこのようなアクティブフィルタの基本構成を示す。図15においては、商用の交流電源ACにコモンモードノイズを抑圧するためのコモンモードチョークコイルCMC1およびコモンモードチョークコイルCMC2の2個コモンモードチョークコイルと、3個のアクロスコンデンサCLとからなるコモンモードフィルタを介して、交流電源ACにブリッジ整流器として構成される1次側整流素子Diの入力側を接続している。この1次側整流素子Diの出力側の正極/負極ラインに対しては、ノーマルモードノイズを防止するためのインダクタLNと2個のコンデンサCNとで構成されるノーマルモードフィルタを介してステップアップ型のコンバータが接続され、その出力には並列に2次側平滑コンデンサCoutが接続され、その両端電圧として直流電圧Voutが得られる。この直流電圧Voutは、DC−DCコンバータ110の入力電圧として供給される。そして、DC−DCコンバータ110の2次側には出力直流電圧Eoutが得られる。
そして、力率改善のための構成としては、インダクタL100、高速リカバリ型の高速スイッチングダイオードD100、スイッチング素子Q100からなるステップアップ型のコンバータ、および乗算器111を主なる構成要素とするステップアップ型のコンバータの制御部と、を備える。インダクタL100、高速スイッチングダイオードD100は、1次側整流素子Diの正極出力端子と、2次側平滑コンデンサCoutの正極端子との間に、直列に接続されて挿入される。抵抗Riは、1次側整流素子Diの負極出力端子(1次側アース)と2次側平滑コンデンサCoutの負極端子との間に挿入される。また、スイッチング素子Q100は、例えば、MOS−FETとされ、インダクタL100と高速スイッチングダイオードD100の接続点と、1次側アース間に挿入される。また、高速スイッチングダイオードD100の空乏層容量と漏れインダクタンスとで生じる共振を吸収するための抵抗RsnとコンデンサCsnとから成るスナバ回路が設けられている。
乗算器111に対しては、電流検出ラインLiおよび波形入力ラインLwが接続され、さらに電圧検出ラインLvが接続される。そして、乗算器111は、電流検出ラインLiから入力される1次側整流素子Diの負極出力端子に流れる整流電流Iinに応じた信号を抵抗Riの両端から検出する。また、波形入力ラインLwから入力される1次側整流素子Diの正極出力端子の整流電圧Vinに応じた信号を検出する。この整流電圧Vinは、商用の交流電源ACからの交流入力電圧の波形を絶対値化したものである。さらに、電圧検出ラインLvから入力される2次側平滑コンデンサCoutの直流電圧Voutと所定の基準電圧との差分である誤差電圧を検出する。そして、乗算器111からは、スイッチング素子Q100を駆動するためのドライブ信号が出力される。
乗算器111によって制御部されるステップアップ型のコンバータでは、電流検出ラインLiから検出した整流電流Iinに応じた信号と、上記電圧検出ラインLvから検出した誤差電圧とを乗算し、この乗算結果と、波形入力ラインLwから検出した整流電圧Vinに応じた信号との誤差を検出する。そしてこの誤差信号を増幅した後に、PWM(Pulse Width Modulation)変換を行い、ハイレベルとローレベルとの2値信号によって、スイッチング素子Q100を制御する。このようにして、2入力フィードバック系が構成され、直流電圧Voutの値が所定の値とされるとともに、整流電圧Vinに対して整流電流Iinを相似形の波形とする。この結果、商用の交流電源ACから1次側整流素子Diに印加される交流入力電圧VACと、1次側整流素子Diに流れ込む交流入力電流IACの波形も相似形となって、力率がほぼ1に近付くようにして力率改善が図られることになる。
しかしながら、図15に示した構成による電源回路では、次のような問題を有している。図15に示す電源回路における電力変換効率としては、前段のアクティブフィルタに対応するAC電力からDC電力への変換効率と、後段のDC−DCコンバータ110におけるDC電力からDC電力への変換効率とを総合したものとなる。つまり、図15に示される回路の総合的な電力変換効率(総合効率)としては、これらの電力変換効率の値を乗算した値となるものであり、各々1以下となる数の積であるので、総合効率は低下してしまう。
また、アクティブフィルタ回路はハードスイッチング動作であることから、ノイズの発生が大きいため、厳重なノイズ抑制対策が必要となる。このため、図15に示した回路では、商用の交流電源ACのラインに対して、コモンモードノイズに対応するためにコモンモードチョークコイルCMC1とコモンモードチョークコイルCMC2、アクロスコンデンサCLによるコモンノイズフィルタを設けている。また、ノーマルモードノイズに対応するために、1個のインダクタLNと2個のコンデンサCNから成るノーマルモードノイズフィルタを設けている。さらに、整流用の高速リカバリ型の高速スイッチングダイオードD100に対しては、抵抗RsnとコンデンサCsnとから成るスナバ回路を設けている。このようにして、多くの部品点数によるノイズ対策が必要であり、コストアップおよび電源回路基板の実装面積の大型化を招いている。
さらに、スイッチング素子Q100のスイッチング周波数は、例えば、60kHzの固定の周波数であるのに対して、後段のDC/DCコンバータ110においては、例えば、電流共振コンバータのようなスイッチング周波数を変化させて出力直流電圧Eoutを一定に保つ定電圧制御方式とするコンバータを採用する場合には、そのスイッチング周波数は80kHz〜200kHzの範囲で可変となる。このようにして両者のスイッチングタイミング(クロック)は別個独立であるので、各々のクロックを基準に働く両者のスイッチング動作により、アース電位は干渉しあって不安定になり、例えば異常発振が生じやすくなる。これにより、例えば回路設計が難しいものとなったり、信頼性を劣化させたりするなどの問題も招くことになる。
スイッチング素子Q100のスイッチング周波数が固定の周波数であるのに対応して、電流共振コンバータの周波数が変化することによって生じる上述した欠点を改善する別のスイッチング電源回路として一個のDC/DCコンバータによって力率改善機能と定電圧機能とを有するスイッチング電源回路が知られている(特許文献2を参照)。
特許文献2に開示された図16に示すスイッチング電源回路は、1次側が電流共振回路と部分電圧共振回路を備える複合共振コンバータとして構成され、1次側の入力電圧平滑用電界コンデンサに共振パルス電圧を帰還する電圧帰還方式の力率改善回路を備えるものである。
この図16に示すスイッチング電源回路においては、商用の交流電源ACからの交流電力は、力率改善整流回路210内に設けられている4個の高速リカバリ型ダイオード(高速スイッチングダイオード)によって形成される1次側整流素子Diによって全波整流される。そして、整流出力は、インダクタL210、3次巻線N203を介して1次側平滑コンデンサCiに充電され、整流平滑電圧Eiが得られることになる。
この図16に示すスイッチング電源回路には、力率改善整流回路210の後段として、上述したDC/DCコンバータ110と同様な構成を有するDC/DCコンバータが接続されている。
このDC/DCコンバータは、1次側平滑コンデンサCiの両端電圧である整流平滑電圧Eiを動作電源とし、自励方式で動作する2つのバイポーラトランジスタであるスイッチング素子Q201、スイッチング素子Q202をハーフブリッジ結合している。また、スイッチング素子Q201、スイッチング素子Q202の各ベース−エミッタ間には各々、ボディダイオードDD1とボディダイオードDD2とが挿入される。
ここで、1次側直列共振コンデンサC1と1次巻線N201とは直列に接続されているが、この1次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンス及び1次巻線N201によって形成される漏洩インダクタ(リーケージインダク)L201の生じるインダクタンスとにより、スイッチングコンバータの動作を電流共振形とするための1次側電流共振回路を形成している。さらに、スイッチング素子Q202のコレクタ−エミッタ間に対して並列に部分電圧共振コンデンサCpが接続され、この部分電圧共振コンデンサCpと1次巻線N201によって発生するリーケージインダクタンスをインダクタンス成分とするインダクタL201によってスイッチング素子Q201、スイッチング素子Q202のターンオフ時にのみ電圧共振動作が得られる部分電圧共振回路が形成される。
この力率改善整流回路210は、交流入力電力の整流作用を有するとともに、交流電力の入力側からみたDC/DCコンバータの力率を1にちかづける作用、すなわち、力率改善作用を有するものとされる。力率改善整流回路210においては、交流ラインに対して、コンデンサCNとインダクタLNによるノーマルモードノイズ抑圧用のフィルタが形成される。
3次巻線N203に誘起する電圧は、1次側電流共振コンバータのスイッチング動作に基づいて誘起する電圧であり、1次巻線N201の両端に発生する電圧に3次巻線N203と1次巻線N201の巻数比(N203/N201)を掛けた電圧に相応したパルス電圧である。このパルス電圧が、交流入力電圧VACの正負の絶対値が1/2以上の期間にブリッジ整流回路に電圧帰還される。
このように交流入力電圧VACの正負の絶対値が1/2以上の期間に、電流I1によって1次側整流素子Diをスイッチング動作させることにより、整流出力電圧レベルが1次側平滑コンデンサCiの両端電圧よりも低い期間にも1次側平滑コンデンサCiへの充電電流が流れるようにされる。この結果、交流入力電流の平均的な波形が交流入力電圧の波形に近付くようにされて交流入力電流の導通角が拡大され、力率改善が図られることになる。
コンバータトランスPITの2次側に発生する電圧は、高速スイッチングダイオードDo201ないし高速スイッチングダイオードDo204によって整流されて、2次側平滑コンデンサCo201および2次側平滑コンデンサCo202によって平滑されて、出力直流電圧Eout1および出力直流電圧Eout2を得るようになされている。また、ドライブトランスPRTはスイッチング素子Q201およびスイッチング素子Q202を駆動するとともに、制御回路201によってスイッチング素子周波数を可変制御することにより定電圧制御をおこなうために設けられるものである。
また、上述した図15に示すコモンモードフィルタは、コモンモードノイズを抑圧するためのフィルタであり、上述した図15および図16に示すノーマルモードフィルタはノーマルモードを抑圧するためのフィルタであるが、電子機器において発生するノイズであって電源ラインに悪影響を与える成分としては、ノーマルモードノイズとコモンモードノイズとがあることが広く知られている。ここで、ノーマルモードノイズとは、2本の電源ラインを互いに逆向きに流れるノイズ電流によって生じるノイズであり、コモンモードノイズは、2本の2本の電源ラインを同じ向きに流れるノイズ電流によって生じるノイズである。スイッチング電源回路においては、この両方のノイズ成分は、スイッチング素子がスイッチングして交流電力を回路において取り扱うことから生じるものであるが、いずれのノイズ成分も電源を経由して、他の電子機器に妨害を与えることとなるので、十分に抑圧すべきであることも知られている。
特開平6−327246号公報 特開2003−189616号公報
これまでの説明から分かるように、図16に示した電源回路は、従来から知られている図15に示したアクティブフィルタを実装して構成されるスイッチング電源回路に較べて、構成部品の点数も少なく、ソフトスイッチング動作であるので、ノイズの発生はより少ないものである。しかしながら、スイッチング電源回路は、現在では、商用交流電源からの電力で動作するあらゆる電子機器に採用され、それらの機器の中には、装置全体のコストを安価なものとする必要があるものも多く、この観点よりスイッチング電源回路の低価格化が望まれている。
また、図16に示すスイッチング電源回路においては、負荷電力の減少に伴って力率が低下する。例えば、交流入力電圧VACの値が230Vのときにおいて、入力電力が75Wの時の力率は、0.75程度である。このときの最大負荷時の150Wのときの力率は0.9である。また、交流入力電圧VACの値が100Vのときにおいて、最大負荷時の150Wのときの力率は0.95以上となる。しかしながら、力率の改善に伴い電力損失が増加して電力効率は低減する。しかしながら、装置の小型化、環境問題に対する省電力化の要望の観点から電力損失をさらに小さなものとすることに対して、より一層の要求がなされている現状を鑑みる場合には、図15に示す回路および図16に示す回路におけるよりも電源効率をより良好なものとすることが望ましい。
さらに、スイッチング電源回路の用途は従来になく拡大しており、例えば、通信機、医療機器等にかかるスイッチング電源が採用されるような傾向があるところから、上述したコモンモードノイズ、ノーマルモードノイズのいずれについても、より、その発生のレベルを抑圧することが望まれている。
本発明は、上述した課題を解決し、従来に較べて、ノイズの発生をより少なくし、より効率の向上を図り、部品点数をより少なくした力率改善機能を有するスイッチング電源回路を提供することを目的とする。
本発明のスイッチング電源回路は、交流電源からの入力交流電力を1次側直流電力に変換する1次側整流平滑部と、前記1次側直流電力を交流電力に変換しさらに2次側直流電力に変換するコンバータ部と、力率を改善する力率改善部と、前記力率改善部と前記交流電源との間に介在されるコモンモードフィルタ部と、を備えるスイッチング電源回路であって、前記1次側整流平滑部は、交流電源からの入力交流電力を入力して整流する1次側整流素子と、1次側第1平滑コンデンサと1次側第2平滑コンデンサとの直列接続回路からなる前記1次側整流素子からの電力を平滑する1次側平滑コンデンサと、倍電圧整流の場合には前記1次側整流素子の入力側と前記1次側平滑コンデンサの直列接続の接続点とを導通し、等倍圧整流の場合には、前記1次側整流素子の入力側と前記1次側平滑コンデンサの直列接続の接続点とを切断する切替スイッチと、を具備し、前記コンバータ部は、1次巻線および前記1次巻線と磁気的に疎結合とされる2次巻線を有するコンバータトランスと、前記1次側整流平滑部から供給される前記1次側直流電力を、前記交流電力に変換して前記1次巻線に供給するスイッチング素子と、前記スイッチング素子をオン・オフ駆動する発振・ドライブ回路と、前記1次巻線に生じる漏れインダクタと1次側直列共振コンデンサとによって形成され、前記スイッチング素子から電力が供給される1次側直列共振回路と、前記1次巻線に生じる漏れインダクタと部分電圧共振コンデンサとによって形成され、前記スイッチング素子と並列に接続される部分電圧共振回路と、前記2次巻線に生じる漏れインダクタと2次側直列共振コンデンサとによって形成される2次側直列共振回路と、前記2次側直列共振回路に接続される整流素子と、前記整流素子に接続され出力直流電圧を得るようにされた2次側平滑コンデンサと、前記出力直流電圧の値を所定の値とするような制御信号を前記発振・ドライブ回路に供給する制御回路と、を具備し、前記力率改善部は、第1巻線と第2巻線とが磁気的結合を有して形成される電圧帰還トランスと、前記1次側整流素子の入力側の各々の端子の間に接続されたコンデンサと、を具備し、前記1次側整流素子の出力側の各々の極性端子に前記電圧帰還トランスの前記第1巻線の一方の端子と前記電圧帰還トランスの前記第2巻線の一方の端子とが各々接続され、前記1次側整流素子の出力側のいずれかの極性端子に前記直列共振コンデンサが接続され、前記電圧帰還トランスの前記第1巻線の他方の端子と前記第2巻線の他方の端子との間に前記1次側平滑コンデンサが接続されて形成され、前記コモンモードフィルタ部は、コモンモードチョークコイルとアクロスコンデンサとして機能する前記力率改善部の前記コンデンサと、を具備する。
このスイッチング電源回路は、1次側整流平滑部の1次側整流素子からの電力を平滑する1次側平滑コンデンサとして、1次側第1平滑コンデンサと1次側第2平滑コンデンサとの直列接続回路を有しており、切替スイッチは、倍電圧整流の場合には1次側整流素子の入力側と1次側平滑コンデンサの直列接続の接続点とを導通し、等倍圧整流の場合には、1次側整流素子の入力側と1次側平滑コンデンサの直列接続の接続点とを切断し、交流電源の広範囲な電圧の範囲に対応できる。コンバータ部として、1次側に1次側直列共振回路と部分電圧共振回路を有し、2次側に2次側直列共振回路を有する多重共振コンバータとして構成され、発振・ドライブ回路と、制御回路とによって2次側平滑コンデンサの両端から得られる出力直流電圧の値を所定の値とする。また、力率改善部は、第1巻線と第2巻線とが磁気的結合を有して形成される電圧帰還トランスと、1次側整流素子の入力側の各々の端子の間に接続されたコンデンサと、を具備しフィルタを形成している。そして、1次側整流素子の出力側の各々の極性端子に電圧帰還トランスの第1巻線の一方の端子と電圧帰還トランスの第2巻線の一方の端子とが各々接続され、1次側整流素子の出力側のいずれかの極性端子に直列共振コンデンサが接続され、電圧帰還トランスの第1巻線の他方の端子と第2巻線の他方の端子との間に1次側平滑コンデンサが接続されて形成されている。そして、共振パルス電圧を第1巻線と第2巻線とに誘起して、1次側平滑コンデンサに帰還し、1次側整流素子の導通角を拡大して力率改善を図る。また、コモンモードフィルタ部は、コモンモードチョークコイルと、アクロスコンデンサとを具備し、アクロスコンデンサは、上述した力率改善部のコンデンサとしても機能する。
本発明のスイッチング電源回路によれば、従来に較べて、部品点数をより少なくし、ノイズの発生もより少なくし、より効率の改善を図る力率改善機能を有するスイッチング電源回路を提供することができる。
まず、力率改善機能と、定電圧機能とをDC/DCコンバータに持たせたワンコンバータ方式の電源について説明する。
図1にワンコンバータ方式のスイッチング電源回路の一実施形態を示す。図1に示すワンコンバータ方式の電源回路は、1次側電流共振回路と1次側部分電圧共振回路とを組み合わせ、1次巻線N1と2次巻線N2とが磁気的に疎結合とされるコンバータトランスPITの2次巻線N2に接続された全波整流回路から出力直流電圧Eoを得るようにされたDC/DCコンバータである。そしてこのDC/DCコンバータは、いわゆる、複合共振形コンバータとして形成され、定電圧機能を有する。さらに、力率改善回路10を組み合わせて力率改善機能を有するものである。ここで、疎結合とは、1次巻線N1と2次巻線N2との磁気的な結合係数の値が、1以下であることを言うものであり、例えば、結合係数の値が0.8である場合を言うものである。すなわち、結合係数が1以下であるということは、1次巻線N1には鎖交し2次巻線N2には鎖交しない磁束が存在し、また、2次巻線N2には鎖交し1次巻線N1には鎖交しない磁束が存在するということである。
なお、図1においては、2次側回路としては全波整流を備えるものであるが、これに替えて、2次側回路としては両波整流回路または倍圧整流回路を備えるものとしても良いものである。
また、図1に示す切替スイッチSWは、交流入力電圧VACの値が100V系統であるか、交流入力電圧VACの値が230V系統であるかに応じて切り替えるようになされている。すなわち、交流入力電圧VACの値が100V系統である場合には、切替スイッチSWは、接続(ON)とされる。そして、切替スイッチSWが接続とされた場合には、1次側平滑コンデンサCi1、1次側平滑コンデンサCi2、1次側整流素子Diによって倍電圧整流回路が形成され、1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2との直列接続回路の両端の電圧は、交流入力電圧VACの値の2倍に応じたものとなる。
一方、交流入力電圧VACの値が200V系統である場合には、切替スイッチSWは、切断(OFF)とされる。そして、切替スイッチSWが切断とされた場合には、1次側平滑コンデンサCi1、1次側平滑コンデンサCi2、1次側整流素子Diによって全波整流回路が形成され、1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2との直列接続の両端の電圧は、交流入力電圧VACの値の等倍に応じたものとなる。このように、交流入力電圧VACの値が100V系統であるか、200V系統であるかによって、切替スイッチSWを導通または切断とすることによって、1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2との直列接続回路の両端の電圧を略一定のものとできる。
このようにして、切替スイッチSWを切り替えて、倍電圧整流回路とするか、全波整流回路とするかを切り替える場合には、それ以降の回路の動作範囲を狭いものとできるので、回路設計がより、容易とできる。例えば、力率、効率等の最適点が狭い範囲のものとできる。すなわち、切替スイッチSWを切り替えない場合には、100V系統から200V系統の範囲の電圧に対応して、1次側整流回路より以降のコンバータ回路は広範囲な電圧で適切な動作をすることが要求される。しかしながら、切替スイッチSWを切り替える場合には、200V系統の電圧のみに、コンバータ回路は対応すれば良いこととなる。
図1に示すワンコンバータ方式のスイッチング電源回路におけるDC/DCコンバータ部の説明を簡単にする。
コンバータトランスPITは、1次側と2次側とを絶縁するとともに電圧の変換を行う機能を有するが、さらに、複合共振スイッチングコンバータとして機能させるための共振回路の一部を構成するインダクタL1としても機能する。ここで、インダクタL1は、コンバータトランスPITのコアに巻回される1次巻線N1の両端に発生する漏れインダクタンスをそのインダクタンスの値として有するものである。
コンバータトランスPITは、フェライト材によるコアと1次巻線N1と2次巻線N2とによって構成されている。このコンバータトランスPITにおいては1次巻線N1と2次巻線N2との磁気的な結合は疎結合とされている。このようにして、大きなインダクタンスの値を漏れインダクタンス成分として得るようにしている。
また、スイッチング素子Q1は、MOS−FETが選定され、ソース−ドレイン間に並列にボディダイオードDD1を内蔵する。また、スイッチング素子Q2は、MOS−FETが選定され、ソース−ドレイン間に並列にボディダイオードDD2を内蔵する。このような、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とが、相補的にスイッチング動作をすることによって、1次側直列共振コンデンサC1とインダクタL1とによって形成される1次側直列共振回路に直列共振電流を流し、部分電圧共振コンデンサCpとインダクタL1とによって形成される1次側部分電圧共振回路に部分共振電流を流す。
コンバータトランスPITの2次側では、1次巻線N1により誘起された交番電圧に相似した電圧波形が2次巻線N2に発生する。この2次巻線N2に対して2次側整流素子Doを接続している。この2次側整流素子Doは高速スイッチングダイオードDo1ないし高速スイッチングダイオードDo4をブリッジ接続して構成されており、2次側整流素子Doの出力側には2次側平滑コンデンサCoが接続されている。これにより、2次側平滑コンデンサCoの両端から出力直流電圧Eoを得ている。
制御回路1は、入力された出力直流電圧Eoと所定の値の基準電圧値との差に応じた検出出力(誤差電圧)を発振・ドライブ・OCP回路2に供給する。発振・ドライブ・OCP回路2では、入力された制御回路1の検出出力に応じて主としてはスイッチング周波数を可変するようにして、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2を駆動する。また、スイッチング周波数とともに一周期におけるスイッチング素子Q1のオンまたはスイッチング素子Q2のオンとなる時間の比率である時比率を変化させるようにしても良い。ここで、直列共振周波数以上の周波数で周波数を制御する、いわゆる、アッパーサイド制御が通常、用いられている。すなわち、直列共振周波数よりも周波数が高い場合に2次側への電力の伝送量は小さく、共振周波数にちかづくにしたがって2次側への電力の伝送量は大きくなる。したがって、負荷の電力が大きくなって、出力直流電圧Eoの値が低下する場合には、直列共振周波数にスイッチング周波数をちかづけて出力直流電圧Eoの値を一定にするようにしている。
このようにしてスイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2のスイッチング周波数が可変制御されることにより、この可変制御の周波数に対して1次側直列共振回路のインピーダンスが変化し、コンバータトランスPITの1次巻線N1から2次巻線N2側に伝送される電力量、また、2次側整流回路から負荷に供給すべき電力量が変化することになる。これにより、出力直流電圧Eoの大きさを基準電圧と一致させる動作が得られることになる。つまり、出力直流電圧Eoの安定化が図られる。ここで、1次側部分電圧共振回路は、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2のオンとオフの切り替えのタイミングにおける損失を低減するように作用する。
図1に示すワンコンバータ方式のスイッチング電源回路における力率改善回路10では、コンバータトランスPITに設けられた3次巻線N3の一方の巻端に高速スイッチングダイオードD1と力率改善用インダクタLoとの直列回路を接続し、さらに、高速スイッチングダイオードD1と高速スイッチングダイオードD2とが接続され、3次巻線N3の他方の巻端と力率改善用インダクタLoに接続されない側の高速スイッチングダイオードD1の端子との間にノーマルモードのノイズを抑制するためのコンデンサCNを接続している。
力率改善回路10のこのような接続態様によって、3次巻線N3に発生する共振パルス電圧を1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2とに帰還して力率の改善を図っている。このように共振動作に応じて発生する電圧を1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2とに帰還して力率を改善する方式を電圧帰還方式の力率改善回路と総称する。
また、図2に示すのは別の方式の力率改善回路11である。1次側整流素子Diの交流入力側については、記載を省略したが、図1に示すものと同様な構成を有するものとされている。力率改善回路11では、1次側直列共振コンデンサC1と1次巻線N1の一端とに対して直列に電圧帰還トランスVFTの第2巻線Lo’を接続して、電圧帰還トランスVFTの第2巻線Lo’に1次側直列共振電流を流している。そして、電圧帰還トランスVFTの第2巻線Lo’に誘起する共振パルス電圧を1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2との直列接続回路に帰還して、第1巻線Loによって1次側整流素子Diにおける流通角を拡大して力率を改善する電圧帰還方式の力率改善回路である。また、2次側は、高速スイッチングダイオードDo1と高速スイッチングダイオードDo2と2次側平滑コンデンサCoとを有する両波整流回路で構成されている。
また、図3に示すのはさらに別の方式の力率改善回路12である。力率改善回路12では、1次側直列共振コンデンサC1と1次巻線N1の一端とが接続される直列回路の一方の側に対して、スイッチング素子Q1とボディダイオードDD1との並列回路とスイッチング素子Q2とボディダイオードDD2との並列回路の接続点を接続し、1次側直列共振コンデンサC1と1次巻線N1の一端とが接続される直列回路の他方の側に対して、力率改善用インダクタLoを接続している。そして、力率改善用インダクタLoを介して1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2とに直列共振電流を流して、力率改善用インダクタLoに誘起する共振パルス電圧を1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2とに帰還して力率改善を図っている。このようにして、誘起する共振パルス電圧を1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2とに帰還して、このときに高速スイッチングダイオードD1に流れる電流に対応する電流を交流電源AC側から流して力率を改善する電力帰還方式の力率改善回路である。また、2次側は、高速スイッチングダイオードDo1と高速スイッチングダイオードDo2と2次側平滑コンデンサCo1と2次側平滑コンデンサCo2とを有する倍電圧整流回路で構成されている。
上述した、図1および図3に示すスイッチング電源回路では、力率改善回路10および力率改善回路13を構成するための部品は、力率改善用インダクタLo、高速スイッチングダイオードD1およびコンデンサCNの3点である。また、図2に示すスイッチング電源回路では、力率改善回路11を構成するための部品は、電圧帰還トランスVFT、高速スイッチングダイオードD1およびコンデンサCNの3点である。
図1ないし図3のいずれの回路においても、1次巻線N1の一端に抵抗Rが接続され、抵抗Rの両端から1次巻線N1に流れる電流に応じた信号VOPが検出されるようになされている。この信号VOPは、発振・ドライブ・OCP回路2に入力されて、過負荷が生じた場合には1次巻線に流れる電流の値が所定値よりも大きくなることを検出し、これによって過負荷を検出して、スイッチング電源回路の発熱を防止するものである。発振・ドライブ・OCP回路2における発熱の防止回路については、後述する。
図1ないし図3のスイッチング電源回路を代表するものとして、図2に示す力率改善回路11を備えるスイッチング電源回路について、その特性を説明する。
図4は、交流入力電圧VACの値が100Vまたは230Vの入力電圧条件下において負荷電力Poの値が、0W(無負荷)から300Wの範囲での負荷変動に対する力率PF、および交流入力電力に対する直流出力電力の電力変換効率ηAC→DCを示している。実線は交流入力電圧VACの値が100Vのときの特性、破線は交流入力電圧VACの値が230Vのときの特性を各々示すものである。
ここで、高調波歪規制値のクラスA規格では交流入力電力が75W以上の場合が規制の対象となるものである。したがって、負荷電力Poの値として、いくぶん余裕をみて、負荷電力Poが70Wにおいて、力率PFの値を0.75以上に設定するのが規制をクリアする観点からは望ましいこととなる。このために、図3に示す回路において、交流入力電圧VACの値が230V、負荷電力Poが70Wのとき力率PFの値を0.75となるように電圧帰還トランスVFTの値を設定している。
図4から明らかなように、負荷電力Poが大きくなる程、力率PFの値は1にちかづき良好なるものになる。このようにして、負荷電力Poが70Wにおいて、力率PFの値を0.75以上となるように電圧帰還トランスVFTの値を設定することによって、交流入力電圧VACの値が100Vのときも含めて、高調波歪規制値のクラスA規格を満たすこととなる。
上述した条件を満たすように、電圧帰還トランスVFTの第1巻線Loおよび第2巻線Lo’に生じるインダクタンスの値を選定して、負荷電力Poの値が300Wにおける効率の低下を防止している。
ここで、交流入力電力に対する直流出力電力の電力変換効率ηAC→DCの値に注目すると、高速スイッチングダイオードD1と1次側整流素子DiとDC/DCコンバータとの損失によって効率は1以下となり、交流入力電圧VACの値が100Vにおいて、負荷電力Poの値が300Wである場合には、電力変換効率ηAC→DCの値は91%程度となり、交流入力電圧VACの値が230Vにおいて、負荷電力Poの値が300Wである場合には、電力変換効率ηAC→DCの値は92%程度となる。
以上述べたように、図1ないし図3に示すスイッチング電源回路では、高調波歪規制値のクラスA規格を満たし、部品点数も背景技術に示すものに較べて大幅に少なくすることができ、電力変換効率ηAC→DCの値も良好なものとできる。しかしながら、上述した図1ないし図3に示すスイッチング電源回路を医療機器に用いる場合には、交流電源ACのラインに対する電源妨害である雑音端子電圧の規格は、家庭用の電機機器(家電機器)の規格よりも低レベルであり、さらに、ノイズの発生のレベルを低下させることが望ましい。
上述した、電源妨害、電力変換効率、力率改善について、より良好なる特性を有するのが図5に示す回路および図5の変形例としての図10ないし図13に示す回路である。これらのスイッチング電源回路は、いずれも、1次側に1次側直列共振回路と部分電圧共振回路を有し、2次側に2次側直列共振回路を有する、多重共振コンバータとして構成されている。また、この多重共振コンバータは、力率を改善する力率改善部(力率改善回路)と、力率改善部と交流電源との間に介在して、コモンモードノイズを抑圧するコモンモードフィルタ部と、を備えるものである。そして、力率改善部の構成部分のコンデンサとコモンモードフィルタ部の構成部分のコンデンサとを共用して用い、部品点数を減らすものである。また、実施形態によってはノーマルモードノイズを抑圧するためのインダクタとコモンモードチョークコイルとを共用するものである。このように重複した機能を有する共用部品を採用することによって部品点数の削減を図り効率を向上するとともに、これらの部品の高周波特性を良好なるものとして、電源妨害(ノイズ)を抑圧する。さらに、1次側整流平滑部は、1次側の商用入力電圧が低電圧(100V系統)である場合には倍電圧整流回路とし、1次側の商用入力電圧が高電圧(200V系統)である場合には等倍電圧整流回路とする切替スイッチを有している。
まず、図5および図10ないし図13に示すスイッチング電源回路に共通した部分の説明をする。その後、図5、図10ないし図13に示すスイッチング電源回路の個別の特徴部分について説明する。
図5および図10ないし図13に示すスイッチング電源回路は、交流電源ACからの入力交流電力を1次側直流電力に変換する1次側整流平滑部と、1次側直流電力を交流電力に変換しさらに2次側直流電力に変換するコンバータ部と、力率を改善する力率改善部と、前記力率改善部と前記交流電源との間に介在されるコモンモードフィルタ部と、を備えるスイッチング電源回路である。
そして、1次側整流平滑部は、交流電源からの入力交流電力を入力して整流する1次側整流素子Diと、1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2との直列接続回路からなる1次側整流素子Diからの電力を平滑する1次側平滑コンデンサと、倍電圧整流の場合には1次側整流素子Diの入力側と1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2との接続点とを導通し、等倍圧整流の場合には、1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2との接続点とを切断する切替スイッチSWとを具備する。
また、コンバータ部は、1次巻線N1およびこの1次巻線N1と磁気的に疎結合とされる2次巻線N2を有するコンバータトランスPITと、1次側整流平滑部から供給される1次側直流電力を、交流電力に変換して1次巻線N1に供給するスイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2と、このスイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2をオン・オフ駆動する発振・ドライブ・OCP回路2に含まれる発振・ドライブ回路と、1次巻線N1に生じる漏れインダクタL1と1次側直列共振コンデンサC1とによって形成され、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2から電力が供給される1次側直列共振回路と、1次巻線N1に生じる漏れインダクタL1と部分電圧共振コンデンサCpとによって形成され、スイッチング素子Q2と並列に接続される部分電圧共振回路と、2次巻線N2(または、2次巻線N2および2次巻線N2’)に生じる漏れインダクタL2(または、漏れインダクタおよびL2漏れインダクタL2’)と2次側直列共振コンデンサC2(または、2次側直列共振コンデンサC2および2次側直列共振コンデンサC2’)とによって形成される2次側直列共振回路と、2次側直列共振回路に接続される整流素子Do(または、高速スイッチングダイオードDo1ないし高速スイッチングダイオードDo4)と、この整流素子Do等に接続され出力直流電圧Eoを得るようにされた2次側平滑コンデンサCo(または、2次側平滑コンデンサCo1および2次側平滑コンデンサCo2)と、出力直流電圧Eoの値を所定の値とするような制御信号を発振・ドライブ・OCP回路2に供給する制御回路1と、を具備する。
また、力率改善部は、第1巻線Loと第2巻線Lo’とが磁気的結合を有して形成される電圧帰還トランスVFTと、1次側整流素子Diの入力側の各々の端子の間に接続されたコンデンサCNL(または、コンデンサCNL1、コンデンサCNL2およびコンデンサCNL3)と、を具備するものとされている。また、1次側整流素子Diの出力側の各々の極性端子に電圧帰還トランスVFTの第1巻線Loの一方の端子と電圧帰還トランスVFTの第2巻線Lo’の一方の端子とが各々接続され、1次側整流素子Diの出力側のいずれかの極性端子に1次側直列共振コンデンサC1が接続され、電圧帰還トランスVFTの第1巻線Loの他方の端子と第2巻線Lo’の他方の端子との間に1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2とが接続されて形成されている。
また、コモンモードフィルタ部は、コモンモードチョークコイルとアクロスコンデンサとして機能する力率改善部のコンデンサである、コンデンサCNL(または、コンデンサCNL1、コンデンサCNLおよびコンデンサCNL3)を具備する。
まず、図5に示すスイッチング電源回路について説明する。図5に示すスイッチング電源回路の1次側整流平滑部は、倍電圧整流の場合には1次側整流素子Diの入力側と1次側平滑コンデンサCi1および1次側平滑コンデンサCi2の直列接続の接続点とを導通し、等倍圧整流の場合には、1次側平滑コンデンサCi1および1次側平滑コンデンサCi2の直列接続の接続点とを切断する切替スイッチと、を具備している。
また、コンバータ部は、1次巻線N1と、1次巻線N1と磁気的に疎結合とされる2次巻線N2とを有するコンバータトランスPITと、1次側整流平滑部から供給される1次側直流電力を、商用周波数よりも高い周波数の交流電力に変換して1次巻線N1に供給するスイッチング素子であるスイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2と、これらのスイッチング素子をオン・オフ駆動する発振・ドライブ・OCP回路2に含まれる発振・ドライブ回路と、1次巻線N1に生じる漏れインダクタL1と1次側直列共振コンデンサC1とによって形成され、スイッチング素子から電力が供給される1次側直列共振回路と、1次巻線に生じる漏れインダクタと部分電圧共振コンデンサCpとによって形成され、スイッチング素子Q2と並列に接続される部分電圧共振回路と、2次巻線N2に生じる漏れインダクタL2と2次側直列共振コンデンサC2とによって形成される2次側直列共振回路と、2次側直列共振回路に接続される2次側整流素子Doと、2次側整流素子Doに接続され出力直流電圧Eoを得るようにされた2次側平滑コンデンサCoと、出力直流電圧Eoの値を所定の値とするような制御信号を発振・ドライブ回路に供給する制御回路1と、を具備する。
また、2次側には2次巻線N2に生じる漏れインダクタンスL2と2次側直列共振コンデンサC2とによって形成される2次側直列共振回路を具備し、この2次側共振回路に2次側整流素子Doが接続されている。2次側整流回路の2次側整流素子Doは、高速スイッチングダイオードDo1ないし高速スイッチングダイオードDo4で形成されるブリッジ接続を採用して全波整流をおこなう。そして、2次側整流回路の2次側整流素子Doの出力側には、2次側平滑コンデンサCoが接続されて、出力直流電圧Eoが得られる。
また、力率改善部は、第1巻線Loと第2巻線Lo’とが磁気的結合を有して形成される電圧帰還トランスVFTと、1次側整流素子Diの入力側の各々の端子の間に接続されたコンデンサCNLと、を具備するものとされている。そして、1次側整流素子Diの出力側の負極性端子に電圧帰還トランスVFTの第1巻線Loの巻き終わり端子が接続され、1次側整流素子Diの出力側の正極性端子に電圧帰還トランスVFTの第2巻線Lo’の巻始め端子が接続されている。また1次側整流素子Diの出力側の負極性端子に1次側直列共振コンデンサC1が接続され、電圧帰還トランスVFTの第1巻線Loの巻始め端子と第2巻線Lo’の巻き終わり端子との間に1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2との直列接続回路が接続されている。
また、コモンモードフィルタ部は、コモンモードチョークコイルCMCとアクロスコンデンサとして機能するコンデンサCNLと、を具備する。ここで、コンデンサCNLは、ローパスフィルタの一部として作用するとともに、コモンモードフィルタのアクロスコンデンサとしても機能する。すなわち、コンデンサCNLが接続されることによって、コモンモードチョークコイルCMCの両端の電位が同一電位とされ、コモンモードノイズの抑圧の作用が効果的とされる。また、コンデンサCNLの両端に交流電源ACからの交流電圧が印加され1次側整流素子Diの入力側に交流電力が供給される。
図5に示すスイッチング電源回路の主要部について、より詳細に説明を加える。
交流電力は、1次側整流平滑部で整流される。この1次側整流平滑部は、交流電源ACからの入力交流電力を入力して整流する1次側整流素子Diと、1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2との直列接続回路と、を具備する。このスイッチング電源回路では、1次側整流素子Diは後述する力率改善回路の一部として機能し、1次側整流素子Diとしては、高速スイッチングダイオードが採用されており、その仕様は3A/600Vのものとした。
また、図5に示すスイッチング電源回路は、切替スイッチSWを具備している。切替スイッチSWは、交流入力電圧VACの値が100V系統であるか、交流入力電圧VACの値が230V系統であるかに応じて切り替えるようになされている。すなわち、交流入力電圧VACの値が100V系統である場合には、切替スイッチSWは、接続(ON)とされる。そして、切替スイッチSWが接続とされた場合には、1次側平滑コンデンサCi1、1次側平滑コンデンサCi2、1次側整流素子Diによって倍電圧整流回路が形成され、1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2との直列接続回路の両端の電圧は、交流入力電圧VACの値の2倍に応じたものとなる。
一方、交流入力電圧VACの値が200V系統である場合には、切替スイッチSWは、切断(OFF)とされる。そして、切替スイッチSWが切断とされた場合には、1次側平滑コンデンサCi1、1次側平滑コンデンサCi2、1次側整流素子Diによって全波整流回路が形成され、1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2との直列接続の両端の電圧は、交流入力電圧VACの値の等倍に応じたものとなる。このように、交流入力電圧VACの値が100V系統であるか、200V系統であるかによって、切替スイッチSWを導通または切断とすることによって、1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2との直列接続回路の両端の電圧を略一定のものとできる。このようにして、切替スイッチSWを切り替えて、倍電圧整流回路とするか、全波整流回路とするかを切り替えている。
このようにして、1次側直流電力に変換された電力はコンバータ部に供給されるが、コンバータ部は、いわゆる、DC/DCコンバータの中でも、多重共振形コンバータとして構成されており、1次巻線N1の両端に生じると漏れインダクタL1と1次側直列共振コンデンサC1とによって1次側直列共振回路が形成されており、この1次側直列共振回路には、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとの接続点が接続されており、これによって交流電力が1次側直列共振回路に印加される。また、スイッチング素子Q2に並列に接続された部分電圧共振コンデンサCpと漏れインダクタL1とによって部分電圧共振回路を構成する。さらに、2次巻線N2の両端に生じると漏れインダクタL2と2次側直列共振コンデンサC2とによって2次側直列共振回路が形成されている。
このようにして、多重共振形コンバータが構成され、交流電力の周波数に応じて2次巻線N2に1次巻線N1から伝送される電力量が変化する。ここで、1次側直列共振回路の共振周波数は、漏れインダクタL1のインダクタンスの値と1次側直列共振コンデンサC1のキャパシタンスの値とによって定められるものであり、1次側直列共振コンデンサC1の値は、0.018μF(マイクロ・ファラッド)とした。また、2次側直列共振回路の共振周波数は、漏れインダクタL2のインダクタンスの値と2次側直列共振コンデンサC2のキャパシタンスの値とによって定められるものであり、2次側直列共振コンデンサC2の値は、0.018μFとした。このようにして、2つの直列共振回路の共振周波数は、1次側直列共振コンデンサC1と2次側直列共振コンデンサC2との値を選択することによって、各々、独立に定め得るものであるので、多重共振コンバータとしての所望の動作、例えば、スイッチング周波数の可変範囲を狭くする等に合わせて、1次側直列共振周波数と2次側直列共振周波数は自由に設定が可能とされている。また、部分電圧共振回路は、スイッチング素子のオン・オフの切り替えによって生じる電力損失を低減する。部分電圧共振コンデンサCpのキャパシタンスの値は、例えば、680pF(ピコ・ファラッド)とした。このような、多重共振コンバータの技術自体は公知の技術である。
漏れインダクタL1を発生させるコンバータトランスPITの構造を以下に説明する。コンバータトランスPITは、1次側と2次側とを絶縁するとともに電圧の変換を行う機能を有するが、さらに、インダクタL1としても機能する。ここで、インダクタL1のインダクタンスは、コンバータトランスPITによって形成される漏れインダクタンスである。このような漏れインダクタンスをどのようにして生じさせるかについて、図6に示すコンバータトランスPITの断面図を示して具体的に説明する。
コンバータトランスPITは、フェライト材によるE型コアCR1とE型コアCR2とを互いの磁脚が対向するように組み合わせたEE型コア(EE字形コア)を備える。そして、1次側と2次側の巻装部については、相互に独立するようにして分割し、例えば樹脂などによって形成されるボビンBが備えられる。そして、1次側の巻装部として1次巻線N1および2次側の巻装部として2次巻線N2が巻装されたボビンBをEE字形コアに取り付けることで、1次巻線N1が一の領域に巻装され、2次巻線N2がこの一の領域とは異なる巻装領域に分離され、EE字形コアの中央磁脚に巻装される状態となる。このようにしてコンバータトランスPIT全体としての構造が得られる。
このEE字形コアの中央磁脚に対しては、2.0mmのギャップGを形成する。これによって、1次側と2次側との結合係数kの値としては、0.71を得ている。このように結合係数kの値を1よりも小さくする、すなわち、疎結合とすることによって、1次巻線N1に発生する磁束の一部は2次巻線N2と鎖交しなくなり、この鎖交しない磁束の効果によってインダクタL1を形成して大きなインダクタンスの値を得るようにしている。なお、ギャップGは、E型コアCR1およびE型コアCR2の中央磁脚を、2本の外磁脚よりも短くすることで形成している。また、1次巻線N1の巻数は38T(ターン)、2次巻線N2の巻数は26T、コア材は、EER―40(コア材名称)とした。
このようにして形成された1次側直列共振回路に印加される交流電力の周波数を変化させて、上述したように2次側に伝送される電力量を可変として、よって、出力直流電圧Eoの値を負荷が消費する電力量にかかわらずに一定とできる多重共振コンバータが構成される。
スイッチング素子Q1は、MOS−FETが選定され、ソース−ドレイン間に並列にボディダイオードDD1を内蔵する。また、スイッチング素子Q2は、MOS−FETが選定され、ソース−ドレイン間に並列にボディダイオードDD2を内蔵する。このような、スイッチング素子Q1とスイッチング素子Q2とが相補的にスイッチング動作をすることによって、部分電圧共振コンデンサCpとインダクタL1とによって形成される部分電圧共振回路に部分共振電流を流し、1次側直列共振コンデンサC1とインダクタL1とによって形成される1次側直列共振回路に直列共振電流を流す。
制御回路1は、入力された出力直流電圧Eoと所定の値の基準電圧値との差に応じた検出出力を発振・ドライブ・OCP回路2に供給する。発振・ドライブ・OCP回路2では、入力された制御回路1の検出出力に応じて主としてはスイッチング周波数を可変するようにして、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2を駆動する。また、スイッチング周波数とともに一周期におけるスイッチング素子Q1のオンまたはスイッチング素子Q2のオンとなる時間の比率である時比率を変化させるようにしても良い。
このようにしてスイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2のスイッチング周波数が可変制御されることにより、スイッチング周波数に応じて1次側直列共振回路および2次側直列共振回路のインピーダンスが変化し、コンバータトランスPITの1次巻線N1から2次巻線N2側に伝送される電力量、また、2次側整流回路から負荷に供給すべき電力量が変化することになる。これにより、出力直流電圧Eoの大きさを基準電圧と一致させる動作が得られることになる。つまり、出力直流電圧Eoの安定化が図られる。
また、力率改善回路17は、第1巻線Loと第2巻線Lo’とが磁気的結合を有して形成される電圧帰還トランスVFTを具備する。また、1次側整流素子Diの入力側である、高速スイッチングダイオードDi1のアノードと高速スイッチングダイオードDi2のカソードとの接続点および高速スイッチングダイオードDi3のアノードと高速スイッチングダイオードDi4のカソードとの接続点の、各々の端子の間に接続されたコンデンサCNLを具備する。そして、1次側整流素子Diの出力側である、高速スイッチングダイオードDi1のカソードと高速スイッチングダイオードDi3のカソードとの接続点である正極性端子および高速スイッチングダイオードDi2のアノードと高速スイッチングダイオードDi4のアノードとの接続点である負極性端子の各々の極性端子に電圧帰還トランスVFTの第1巻線Loの一方の端子と第2巻線Lo’の一方の端子とが各々接続されている。また、1次側整流素子Diの出力側の正極性端子または負極性端子のいずれかの極性端子である負極性端子に1次側直列共振コンデンサC1が接続され、電圧帰還トランスVFTの第1巻線Loの他方の端子と第2巻線Lo’の他方の端子との間にコンデンサCNLが接続されている。これによってコンデンサCNLはノーマルモードノイズを抑制するフィルタの一部として機能する。
電圧帰還トランスVFTについて説明する。電圧帰還トランスVFTの第1巻線Loと第2巻線Lo’とは結合係数kを有して磁気的結合されている。第1巻線Loと第2巻線Lo’との磁気結合の結合係数の値をkとする場合で、第1巻線Loによって構成されるインダクタLoのインダクタンスの値をLoとし、第2巻線Lo’によって構成されるインダクタLo’のインダクタンスの値をLo’とし、減極性の場合には、その合成のインダクタンスLNkの値は、(式1)で表されるものとなる。なお、第1巻線Loの生じるインダクタンスの測定においては第2巻線Lo’の両端を解放とし、第2巻線Lo’の生じるインダクタンスの測定においては第1巻線Loの両端を解放とする。また、(式1)では第1巻線Loと第2巻線Lo’の巻数とを等しくして、インダクタンスLoとインダクタンスLo’との値は等しいものとされている。
LNk=2×Lo×(1−k)・・・・(式1)
ここで、k=1であれば、インダクタンスLNkの値は0となる。kの値が1にちかい密結合として電圧帰還トランスVFTを構成する場合の構成例としては、例えば、コアにギャップを設けることなく、第1巻線Loと第2巻線Lo’とを近接して配置することによって磁気的結合度を1にちかづけることができる。また、疎結合とする場合の構成例は、第1巻線Loと第2巻線Lo’との両方に共通に鎖交する磁束の量を減らすために、両方の巻線コイルを離間させるようにしても良く、または、両方の巻線の間にギャップを設けて、そのギャップから磁束を漏らして、両者の鎖交磁束の量を減らす構造としても良いものである。
また、加極性の場合には、その合成のインダクタンスLNkの値は、(式2)で表されるものとなる。
LNk=2×Lo×(1+k)・・・・(式2)
なお、図5、図10、図12、に示すスイッチング電源回路おいては、電圧帰還トランスVFTは加極性となるように接続され、図13に示すスイッチング電源回路においては、電圧帰還トランスVFTは減極性となるように接続されている。
ここで、力率改善回路における電圧帰還トランスVFTの第1巻線Loと第2巻線Lo’との巻線方向の関係と流れる電流の方向とによって加極性となるか減極性となるかは決定される。電圧帰還トランスVFTに黒丸(●)を付した巻線端が巻線の巻始めを表すものとされ、第1巻線Loと第2巻線Lo’とのいずれの巻線に対しても、黒丸を付した巻線端から電流が流入する場合に磁束が加算される加極性となるものである。一方の巻線については黒丸を付した巻線端から電流が流入し、一方の巻線については黒丸を付した巻線端から電流が流出する場合には磁束が減算され減極性となるものである。
図5においては、力率改善回路13の具体的な定数は以下のように設定した。電圧帰還トランスVFTの構造は図6に示すトランスPITと類似したものとし、トランスPITの1次巻線N1に替えて電圧帰還トランスVFTの第1巻線Loを配し、トランスPITの2次巻線N2に替えて電圧帰還トランスVFTの第2巻線Lo’を配した。ここで、フェライトコアのコア材は、EER−40よりも小型のEER−28とし、ギャップは1.5mmとした。第1巻線Loと第2巻線Lo’との有するインダクタンスの値は、各々、47μHとした。1次側整流素子Diはいずれも高速スイッチングダイオードである。コンデンサCNLの値は1μFとした。
図5における力率改善回路13の作用を説明する。1次側整流素子Diの入力側の一端に電圧帰還トランスVFTの第1巻線Loが接続され、1次側整流素子Diの入力側の他端に電圧帰還トランスVFTの第2巻線Lo’が接続されている。このような電圧帰還トランスVFTの第1巻線Loに1次側直列共振コンデンサC1が接続されているので、直列共振電流が第1巻線Loに流れ、電圧帰還トランスVFTの第2巻線Lo’に共振パルス電圧が誘起し、この共振パルス電圧が1次側平滑コンデンサCi1および1次側平滑コンデンサCi2の直列接続からなる1次側平滑コンデンサに帰還される電圧帰還方式力率改善回路として機能する。このようにして、1次側整流素子Diの流通角を拡大して力率の改善を図る。
また、電圧帰還トランスVFTは加極性とされているので、(式2)で示すように電圧帰還トランスVFTはインダクタとして機能して、このインダクタとコンデンサCNLとでローパスフィルタを構成して、ノーマルモードノイズを抑圧する効果を生じる。すなわち、1次側整流素子Diの入力側の負極性端子に第1巻線Loの巻終わりが接続され、1次側整流素子Diの入力側の正極性端子に第2巻線Lo’の巻き始めが接続されて加極性接続とされている。いるので、電圧帰還トランスVFTはインダクタとして機能することとなる。ここで、巻始め、巻き終わりの用語は、第1巻線Loと第2巻線Lo’との相対関係を意味するものであるので、巻始めを巻き終わりに変え、巻き終わりを巻始めに変えて用いても、その用語の意味するところは同じものである。
コンデンサCNLは、図1ないし図3に示すアクロスコンデンサCL2と同じ位置、すなわち、コモンモードチョークコイルCMCの両端の間に配置されたアクロスコンデンサとしても機能してコモンモードノイズを抑圧する作用も同時におこなう。すなわち、図1ないし図3に示すコンデンサCNはノーマルモードフィルタの一部として機能するのに対して、図15に示すコンデンサCNLはノーマルモードフィルタおよびコモンモードフィルタの両者の一部として機能する。このような構成を採用することによって、図1ないし図3に示すコモンモードノイズの発生を抑圧するアクロスコンデンサCL1と、ノーマルモードノイズの発生を抑圧するコンデンサCNとの2個のコンデンサの各々が奏する作用を1個のコンデンサであるコンデンサCNLによって奏することができる。
すなわち、図5に示す力率改善回路13を有するスイッチング電源回路では、交流ライン側、1次側整流素子Diの入力側にコンデンサCNLを備え、1次側整流素子Diの出力側に電圧帰還トランスVFTを備えることによって、少ない部品の点数で、力率改善回路とノーマルモードノイズを抑圧するノーマルモードフィルタとの両方を実現することができる。これによって、回路の簡略化、部品の低減によるコストの低価格化を可能とすることができる。
また、このような高周波電流が流れるコンデンサにおいては誘電体損失が大きな損失の要素となる。したがって、高周波電流が流れるコンデンサの数が多くなる程スイッチング電源回路における損失は増加する傾向となる。したがって、上述したように、コンデンサの高周波特性を良好となし、さらに、スイッチング電源回路で採用するコンデンサの数を少なくすることによって、効率の改善を図ることができる。
コストの低価格化が可能となる大きな理由は以下に述べるものである。まず、コモンモードチョークコイルCMCの両端の間に配置されたアクロスコンデンサに対しては、耐圧に対する要求が厳格であり、また、このようなアクロスコンデンサの高周波特性が良好でない場合には、コモンモードノイズを抑圧する作用が十分得られないところから、高周波特性が良好であるコンデンサがアクロスコンデンサとしの特性として要求されるので、価格も高価なものになりがちであった。一方、高速スイッチングダイオードDi1ないし高速スイッチングダイオードDi4の4つの高速スイッチングダイオードの中の2つ高速スイッチングダイオードと力率改善用インダクタLoに流れる電流I1の高周波成分を抑圧するノーマルモードフィルタに用いるコンデンサの高周波特性は良好なるものでなければならず、同様に高価なものになりがちであった。図5に示す力率改善回路13では、このような高価なコンデンサを一つにすることができるので装置の低価格化が実現できる。
図5に示すスイッチング電源回路の要部の動作波形を図7および図8に示し、図5に示すスイッチング電源回路によって得られる特性の測定データを図9に示す。
図7は、交流入力電圧100V、最大負荷電力である負荷電力Poが150Wにおける主要部の動作波形を商用の交流電源周期により示している。上段より下段に向かって、交流入力電圧VAC(図5を参照)、交流入力電流IAC(図5を参照)、電圧V1(図5を参照)、電流I1(図5を参照)の各々を示す。図7の電圧V1、電流I1の縦線を施した部分の各々は、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2のスイッチング周期と同じ周期でスイッチングしていることを示すものである。
図7の交流入力電圧VACと交流入力電流IACとの関係を見ると、交流入力電流IACの流れる期間である流通角は、力率改善回路13を設けることがない場合に較べて拡大している。すなわち、図5において、電圧帰還トランスVFTを備えることがない場合、すなわち、図示しないが、1次側整流素子Diの出力側の端子に1次側平滑コンデンサCi1と1次側平滑コンデンサCi2との直列接続回路を直接に接続する場合には、図7の交流入力電圧VACのピーク電圧付近でのみパルス状に交流入力電流IACが流れることとなる。一方、図5に示す力率改善回路13を設ける場合においてはこのようなことはなく、交流入力電圧VACと交流入力電流IACとの関係は略相似形となっている。
また、図8は、交流入力電圧230V、最大負荷電力である負荷電力Poが150Wにおける主要部の動作波形を商用の交流電源周期により示している。上段より下段に向かって、交流入力電圧VAC(図5を参照)、交流入力電流IAC(図5を参照)、電圧V1(図5を参照)、電流I1(図5を参照)の各々を示す。図7の電圧V1、電流I1の縦線を施した部分の各々は、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2のスイッチング周期と同じ周期でスイッチングしていることを示すものである。図8に示す交流入力電圧VACと交流入力電流IACとの関係から明らかなように、交流入力電圧230Vにおいても、交流入力電流IACの流通角は拡大して、交流入力電圧VACと交流入力電流IACとの関係は略相似形となっている。
図9は、交流入力電圧VACの値が100Vまたは230Vの入力電圧の条件下において負荷電力Poの値が、0W(無負荷)から300Wの範囲での負荷変動に対する整流平滑電圧Ei、力率PF、および交流入力電力に対する直流出力電力の電力変換効率ηAC→DCを示している。実線は交流入力電圧VACの値が100Vの特性、破線は交流入力電圧VACの値が230Vの特性を示すものである。
図9から読み取れる代表特性の一部を紹介する。電圧帰還トランスVFTの第1巻線Loと第2巻線Lo’のインダクタンスの値および第1巻線Loと第2巻線Lo’との巻線比の値を適切に設定することによって、広範囲な負荷変動の範囲で良好なる力率PFの特性を有することができるものとなった。例えば、図9に示すように、負荷電力Poの値については、無負荷から最大負荷である300Wの範囲の中間点で最良となるように設定する場合に広範囲な負荷変動に対して良好なる力率PFの値を有することができる。
また、図9においては、電力変換効率ηAC→DCの値としては、交流入力電圧VACの値が100Vの場合で、負荷電力Poの値が最大負荷の300Wのときに92.5%であり、交流入力電圧VACの値が230Vの場合で、負荷電力Poの値が最大負荷の300Wのときに94%であった。この値は、図1ないし図3に示すスイッチング電源回路よりも、電力変換効率ηAC→DCの値が向上している。これは、ダイオードに流れる電流が通過する経路に存在するダイオードの個数を減らし、高周波電流が流れるコンデンサの個数を減らす等によって部品点数を減らしたことによって得られる効果、すなわち、力率改善回路13の構成態様として、力率改善用インダクタLoをACライン側に挿入することによって得られる効果である。
また、図5のスイッチング電源回路では、アクティブフィルタを不要としたことで、回路構成部品の点数削減が図られる。つまり、図15に示すアクティブフィルタは、スイッチング素子Q100と、これらを駆動するための乗算器111等を始め、多くの部品により構成される。これに対し、実施形態のスイッチング電源回路においては、力率改善のために必要な追加部品として、コンデンサCNL、電圧帰還トランスVFTおよび1次側整流素子Diとして高速整流素子を備えればよく、アクティブフィルタと比較すれば部品点数を少ないものとすることができる。
また、図16に示すスイッチング回路と比較した場合には、ノイズの低減効果は極めて良好であり、さらに、図1ないし図3に示すスイッチングに較べてもノイズの低減効果を極めて良好とするとともに、部品点数を少なくして低コストなものとすることができる。
また、図5のスイッチング電源回路では、多重共振形のコンバータ部および力率改善部の動作はいわゆるソフトスイッチング動作であるから、図15に示したアクティブフィルタを用いる回路と比較すればスイッチングノイズのレベルは大幅に低減される。
また、2次側の高速スイッチングダイオードである高速スイッチングダイオードDo1および高速スイッチングダイオードDo2、高速スイッチングダイオードDi1ないし高速スイッチングダイオードDi4などもスイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2に同期してスイッチングの動作をするものである。したがって、アース電位としては、図15のスイッチング電源回路のように、アクティブフィルタ側と、その後段のスイッチングコンバータとの間で干渉することが無く、スイッチング周波数の変化に関わらず安定させることができる。
また、図1ないし図3に示すスイッチング電源回路では、1次側整流素子Diの中の2個の整流ダイオードおよび高速スイッチングダイオードD1を合わせた3個のダイオードに高周波の電流および整流電流が流れ、これによって生じる順方向電力損失およびスイッチング損失が電力損失となったが、図5に示すスイッチング電源回路では、高周波の電流および整流電流が流れるダイオードの数を2個としてダイオードにおける電力損失を減らしている。この電力損失の低減は、電力効率の改善に換算すると負荷電力Poの値が300Wの場合には、1.5%の電力効率の向上に相当する。
さらに、図1ないし図3においては、交流電流が、アクロスコンデンサCL1、アクロスコンデンサCL2、コンデンサCNの3個に流れるのに対して、図5では、アクロスコンデンサCLとコンデンサCNLとの2個に流れるようにして、高周波電流が流れるコンデンサの数を減らし、結果としてコンデンサにおける電力損失を減らしている。
このようにして、ダイオードとコンデンサにおける電力損失を低減することによって、図1ないし図3に示すスイッチング電源回路に較べて図5に示すスイッチング電源回路では、出力直流電圧Eoの値が175Vのとき、最大負荷である負荷電力Poの値が300Wにおいて、交流入力電圧VACの値が100Vの場合で、1.5%程度、交流入力電圧VACの値が230Vの場合で、2.0%程度の電力変換効率ηAC→DCの値の改善がなされた。
また、電圧帰還トランスVFTの第1巻線Loと第2巻線Lo’のインダクタンスの値および第1巻線Loと第2巻線Lo’との巻線比の値を適切に設定することによって、中間負荷時(負荷電力Poの値が無負荷と最大負荷との間の値を言う)における力率PFの値を最良のものとして、力率PFを広範囲に良好なるものとすることができ、交流入力電圧VACの値が100Vの場合および交流入力電圧VACの値が230Vの場合のいずれにおいても最大負荷時の力率PFを同程度にすることができる。
図16、図1ないし図3に示すスイッチング電源回路との比較においては、電圧帰還トランスVFTおよびコンデンサCNLがノーマルモードを低減するフィルタとして機能するので、ノーマルモードノイズが大幅に低減できた。
さらに、DC/DCコンバータに追加する力率改善のための追加の部品の点数は、図5に示す力率改善回路13においては、電圧帰還トランスVFTの1点であり、部品点数を削減することができる。
図5に示すスイッチング電源回路の力率改善回路13の変形例を図10に示す。図10においては、力率改善回路13とは異なる力率改善回路14を採用し、全波整流回路に替えて倍圧整流回路を採用する点で図5に示すスイッチング電源回路と異なる。
また、図10に示す力率改善回路14においては、コンデンサCNLに替えてコンデンサCNL1およびコンデンサCNL2の直列接続回路を採用している。ここで、コンデンサCNL1およびコンデンサCNL2は、図1ないし図3に示すアクロスコンデンサCL2と同じ位置、すなわち、コモンモードチョークコイルCMCの両端の間に配置されたアクロスコンデンサとしても機能してコモンモードノイズを抑圧する作用も同時におこなう。そして、コンデンサCNL1およびコンデンサCNL2の接続点は1次側の基準電位となる1次側接地点に接続されているので、図5に示すような力率改善回路13で採用する回路構成と較べた場合にコモンモードノイズの低減効果はさらに良好となる。
すなわち、コンデンサCNL1およびコンデンサCNL2の接続点は高周波的には接地電位とされ、この接続点を接地しない場合に較べて、コモンモードノイズの発生のレベルが低いものとされている。それに加えて、コンデンサCNLのみを設ける場合と同様に、コモンモードチョークコイルCMCの出力側の2本のライン間の高周波の電位を同一として、コモンモードチョークコイルCMCの作用を効果的にしている。
図10に示す2次側の回路は、漏れインダクタL2と2次側直列共振コンデンサC2で第1の2次側直列共振回路を形成し、漏れインダクタL2’と2次側直列共振コンデンサC2’で第2の2次側直列共振回路を形成している。ここで、2次巻線N2の巻数と2次巻線N2’の巻数は同一とされており、センタータップを基準として逆位相の電圧が発生している。また、漏れインダクタL2と漏れインダクタL2’のインダクタンスの値は巻数が等しいので略同様の値であり、2次側直列共振コンデンサC2と次側2次側直列共振コンデンサC2’の値も等しいものに選ばれ、第1の2次側直列共振回路の共振周波数と第2の2次側直列共振回路の共振周波数は等しいものとされている。
2次側直列共振コンデンサC2は高速スイッチングダイオードDo2に流れる電流によって充電される。また、2次側直列共振コンデンサC2を通過した交流電圧は高速スイッチングダイオードDo1に印加されて2次側平滑コンデンサCoに充電電流を整流して供給する。この場合に、2次側直列共振コンデンサC2の充電電圧は高速スイッチングダイオードDo1に直列に加算方向に加えられているので、2次側平滑コンデンサCoに発生する電圧は2次巻線N2に発生する電圧の2倍となる。以上の動作は交流の半周期の動作である。他の半周期では、2次側直列共振コンデンサC2’は高速スイッチングダイオードDo4に流れる電流によって充電される。また、2次側直列共振コンデンサC2’を通過した交流電圧は高速スイッチングダイオードDo3に印加されて2次側平滑コンデンサCoに充電電流を整流して供給する。この場合に、2次側直列共振コンデンサC2’の充電電圧は高速スイッチングダイオードDo3に直列に加算方向に加えられているので、2次側平滑コンデンサCoに発生する電圧は2次巻線N2に発生する電圧の2倍となる。このようにして倍電圧全波整流回路が構成される。
図11に示す2次側の回路は、図5に示すと同様な1次側の構成において、2次側のみに変更を加えた構成例である。図11の回路構成は図10の回路構成の半周期が動作する部分のみを回路として構成した倍電圧半波整流回路である。
図12に示す回路は、図5に示すと同様な1次側の構成において、力率改善回路15と2次側のみに変更を加えた構成例である。
2次側整流回路は、漏れインダクタL2と2次側直列共振コンデンサC2とで2次側直列共振回路を構成する。2次巻線N2の一方の端子に接続される第1の2次側整流素子である高速スイッチングダイオードDo1を介して磁気エネルギーを蓄え、高速スイッチングダイオードDo2を介してこの磁気エネルギーを放出する第1の2次側インダクタであるインダクタLs1と、高速スイッチングダイオードDo2を介して磁気エネルギーを蓄え、高速スイッチングダイオードDo1を介してこの磁気エネルギーを放出する第2の2次側インダクタであるインダクタLs2と、高速スイッチングダイオードDo1に流れる電流および高速スイッチングダイオードDo2に流れる電流を充電するように接続されて出力直流電圧Eoを得るようにされた2次側平滑コンデンサCoと、を有するものである。
このような2次側整流回路の接続態様では、2次巻線N2からの電圧の極性が高速スイッチングダイオードDo1をオンとする極性である場合には、2次巻線N2からの電流とインダクタLs2からの電流が加算されて高速スイッチングダイオードDo1を流れ、同一の電力を負荷に供給する場合には、高速スイッチングダイオードDo1に流れるピーク電流の大きさは、インダクタLs2が無い場合に較べて低減する。また、2次巻線N2からの電圧の極性が高速スイッチングダイオードDo2をオンとする極性である場合には、2次巻線N2からの電流とインダクタLs1からの電流が加算されて高速スイッチングダイオードDo2を流れ、同一の電力を負荷に供給する場合には、高速スイッチングダイオードDo2に流れるピーク電流の大きさは、インダクタLs1が無い場合に較べて低減する。このような、2次側整流回路の構成態様を倍電流整流回路と称する。
図12に示す力率改善回路15においては、コンデンサCNL1およびコンデンサCNL2に加えてコンデンサCNL3を有するので、コンデンサCNL3がない場合に較べてノーマルモードノイズの発生はさらに少ないものとなる。さらに、コンデンサCNL1およびコンデンサCNL2の接続点を高周波的に接地電位とすることによって上述したようにコモンモードノイズの抑圧の効果は良好なるものとなる。また、コンデンサCNL3はコモンモードチョークコイルCMCの出力側の両方の極性の端子間の電圧を同一として、コモンモードチョークコイルCMCのコモンモード抑圧の作用をより効果的なものとする。
また、図13に示す力率改善回路16においては、電圧帰還トランスVFTの第1巻線Loと第2巻線Lo’とは減極性となる接続とされている。これによって、電圧帰還トランスVFTはコモンモードチョークコイルとして機能するとともに、疎結合とされており、(式1)で表すように、インダクタとしても機能して力率改善の効果を生じる。
図14に発振・ドライブ・OCP回路2の一部である過負荷制限部の構成の一例を示す。過負荷制限部は絶対値検出(ABS)部51、平均値検出(ABS)部52、コンパレータ(COMP)部53、第1アンド(AND1)部54、第2アンド(AND2)部55、第1ドライバ(DRIVE1)部56、第2ドライバ(DRIVE2)部57の各部を有している。絶対値検出部51は高速のスイッチングダイオードとオペアンプとから構成されている。また、平均値検出部52は抵抗とコンデンサのローパスフィルタとから構成されている。また、第1アンド部54および第2アンド部55はトランジスタの組み合わせで構成されたアンドロジックであり、2つの入力のいずれもがハイレベルの場合に出力がハイレベルとなるようになされている。第1ドライバ部56はスイッチング素子Q1のゲートをドライブするようにレベルシフトと電力増幅とをおこなう部分であり、第2ドライバ部57はスイッチング素子Q2のゲートをドライブするようにレベルシフトと電力増幅とをおこなう部分である。
発振・ドライブ・OCP回路2に入力された信号VOPは、絶対値検出部51で絶対値に変換される。すなわち、図1および図2に示すスイッチング電源回路では、信号VOPは正負の両極性の電圧であるが、絶対値検出部51を経ることによって正極性のみの電圧となる。この場合において負極性の電圧は極性が反転されることとなる。また、図3に示すスイッチング電源回路では、信号VOPは負極性の電圧であるが絶対値検出部51を経ることによって正極性の電圧となる。
絶対値検出部51からの電圧は脈流電圧であるが、平均値検出部52は所定時定数でこれを平均化する部分である。これによって、平均値検出部52からの所定時定数で変化する直流電圧とされる。ここで、所定時定数の大きさは、必要以上に頻繁に過負荷制限部が動作することなく、スイッチング電源回路が破壊に至る前に過負荷を検出できるように選択されている。
コンパレータ部53は、平均値検出部52からの所定時定数で変化する直流電圧の値と予め定めた基準電圧VTHの値とを比較する。そして、平均値検出部52からの直流電圧の値が基準電圧VTHよりも小さい場合には、コンパレータ部53からの電圧はハイレベルであり、平均値検出部52からの直流電圧の値が基準電圧VTHよりも大きい場合には、コンパレータ部53からの電圧はローレベルである。ここで、基準電圧VTHの定め方によって、どの程度の過負荷でこの過負荷制限部を機能させるかが定められることとなる。例えば、最大負荷電力を仮に150Wとする場合には、150Wの2割を越える180W以上の負荷電力に対応する過電流によって過負荷制限部がその動作を開始するようにしている。
つまり、負荷に供給される電力の大きさが180Wに相応する以上の電流が抵抗Rに流れる場合には、第1アンド部54および第2アンド部55の各々の一方の入力端子に入力される信号がローレベルとなって、第1アンド部54に入力されるスイッチング素子Q1を制御する信号である信号PWM1および第2アンド部55に入力されるスイッチング素子Q2を制御する信号である信号PWM2のハイレベルまたはローレベルの如何にかかわらず、第1アンド部54の出力および第2アンド部55の出力の各々がローレベルとされる。この結果として、第1ドライバ部56および第2ドライバ部57からのスイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2の各々のゲートをドライブするための信号がローレベルとされる。そして、過負荷からスイッチング電源回路を保護する機能を生ずるようになる。
なお、このような、1次側の過電流を検出する過負荷の検出方式では、過負荷のみならずスイッチング電源回路の他の部分の動作の異常によって抵抗Rに過電流が流れた場合においても過電流を検出することができる。そして、スイッチング素子Q1およびスイッチング素子Q2のゲートを制御できる限りは、過電流に対する保護特性を有するものであり、このような過電流検出方式によって、過電流が流れる原因の如何にかかわらずスイッチング電源回路の異常発熱等を防止することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、実施形態は必要に応じて変更することができるものである。
実施形態のスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。 実施形態のスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。 実施形態のスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。 実施形態の電源回路の負荷電力に対する力率および電源効率の特性を示す図である。 実施形態のスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。 実施形態のコンバータトランスの構成例を示す図である。 実施形態のスイッチング電源回路の要部の波形を示す図である。 実施形態のスイッチング電源回路の要部の波形を示す図である。 実施形態の電源回路の負荷電力に対する力率および電源効率の特性を示す図である。 実施形態のスイッチング電源回路の構成例の一部を示す回路図である。 実施形態のスイッチング電源回路の構成例の一部を示す回路図である。 実施形態のスイッチング電源回路の構成例の一部を示す回路図である。 実施形態のスイッチング電源回路の構成例の一部を示す回路図である。 実施形態の過負荷制限部の構成の一例を示す図である。 背景技術に示すスイッチング電源回路の構成例を示す図である。 背景技術に示すスイッチング電源回路の構成例を示す回路図である。
符号の説明
1 制御回路、2 発振・ドライブ・OCP回路、10、11、12、13、14、15、16、17 力率改善回路、51 絶対値検出部、52 平均値検出部、53 コンパレータ部、54、55 アンド部、56、57 ドライバ部、AC 交流電源、B ボビン、C1 1次側直列共振コンデンサ、C2、C2’ 2次側直列共振コンデンサ、Ci、Ci1、Ci2 1次側平滑コンデンサ、CL、CL1、Cl2 アクロスコンデンサ、CMC コモンモードチョークコイル、CNL、CNL1、CNL2、CNL3 コンデンサ、Co、Co1、Co2 2次側平滑コンデンサ、Cp 部分電圧共振コンデンサ、DD1、DD2 ボディダイオード、Di 1次側整流素子、Do 2次側整流素子、Di1、Di2、Di3、Di4、Do1、Do2、Do3、Do4 高速スイッチングダイオード、Ei 整流平滑電圧、Eo 出力直流電圧、G ギャップ、I1、I2 電流、IAC 交流入力電流、L1、L2、Ls1、Ls2 インダクタ、Lo 第1巻線(力率改善用インダクタ、インダクタ)、Lo’ 第2巻線、N1 1次巻線、N2、N2’ 2次巻線、N3 3次巻線、PIT コンバータトランス、Q1、Q2 スイッチング素子、R、R1、R2 抵抗、V1 電圧、VAC 交流入力電圧、VFT 電圧帰還トランス、VOP 信号

Claims (5)

  1. 交流電源からの入力交流電力を1次側直流電力に変換する1次側整流平滑部と、前記1次側直流電力を交流電力に変換しさらに2次側直流電力に変換するコンバータ部と、力率を改善する力率改善部と、前記力率改善部と前記交流電源との間に介在されるコモンモードフィルタ部と、を備えるスイッチング電源回路であって、
    前記1次側整流平滑部は、
    交流電源からの入力交流電力を入力して整流する1次側整流素子と、
    1次側第1平滑コンデンサと1次側第2平滑コンデンサとの直列接続回路からなる前記1次側整流素子からの電力を平滑する1次側平滑コンデンサと、
    倍電圧整流の場合には前記1次側整流素子の入力側と前記1次側平滑コンデンサの直列接続の接続点とを導通し、等倍圧整流の場合には、前記1次側整流素子の入力側と前記1次側平滑コンデンサの直列接続の接続点とを切断する切替スイッチと、を具備し、
    前記コンバータ部は、
    1次巻線および前記1次巻線と磁気的に疎結合とされる2次巻線を有するコンバータトランスと、
    前記1次側整流平滑部から供給される前記1次側直流電力を、前記交流電力に変換して前記1次巻線に供給するスイッチング素子と、
    前記スイッチング素子をオン・オフ駆動する発振・ドライブ回路と、
    前記1次巻線に生じる漏れインダクタと1次側直列共振コンデンサとによって形成され、前記スイッチング素子から電力が供給される1次側直列共振回路と、
    前記1次巻線に生じる漏れインダクタと部分電圧共振コンデンサとによって形成され、前記スイッチング素子と並列に接続される部分電圧共振回路と、
    前記2次巻線に生じる漏れインダクタと2次側直列共振コンデンサとによって形成される2次側直列共振回路と、
    前記2次側直列共振回路に接続される整流素子と、
    前記整流素子に接続され出力直流電圧を得るようにされた2次側平滑コンデンサと、
    前記出力直流電圧の値を所定の値とするような制御信号を前記発振・ドライブ回路に供給する制御回路と、を具備し、
    前記力率改善部は、
    第1巻線と第2巻線とが磁気的結合を有して形成される電圧帰還トランスと、前記1次側整流素子の入力側の各々の端子の間に接続されたコンデンサと、を具備し、
    前記1次側整流素子の出力側の各々の極性端子に前記電圧帰還トランスの前記第1巻線の一方の端子と前記電圧帰還トランスの前記第2巻線の一方の端子とが各々接続され、
    前記1次側整流素子の出力側のいずれかの極性端子に前記直列共振コンデンサが接続され、
    前記電圧帰還トランスの前記第1巻線の他方の端子と前記第2巻線の他方の端子との間に前記1次側平滑コンデンサが接続されて形成され、
    前記コモンモードフィルタ部は、
    コモンモードチョークコイルとアクロスコンデンサとして機能する前記力率改善部の前記コンデンサと、を具備する、
    スイッチング電源回路。
  2. 前記1次側整流素子の出力側の正極性端子に前記電圧帰還トランスの前記第2巻線の巻始めが接続され、前記1次側整流素子の出力側の負極性端子に前記電圧帰還トランスの前記第1巻線の巻き終わりが接続されて加極性接続とされることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  3. 前記1次側整流素子の出力側の正極性端子に前記電圧帰還トランスの前記第1巻線の巻き終わりが接続され、前記1次側整流素子の出力側の負極性端子に前記電圧帰還トランスの前記第2巻線の巻き終わりが接続されて減極性接続とされ、前記第1巻線と前記第2巻線とが磁気的に疎結合とされることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  4. 前記力率改善部のコンデンサは、
    第1コンデンサと第2コンデンサとの直列接続回路によって形成され、
    前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの接続点が前記1次側整流素子の出力側の基準電位点に接続されることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
  5. 前記力率改善部のコンデンサは、
    第1コンデンサと第2コンデンサとの直列接続回路および前記直列接続回路に並列に接続された第3のコンデンサによって形成され、
    前記第1コンデンサと前記第2コンデンサとの接続点が前記1次側整流素子の出力側の基準電位点に接続されることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源回路。
JP2006195650A 2006-07-18 2006-07-18 スイッチング電源回路 Pending JP2008029053A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006195650A JP2008029053A (ja) 2006-07-18 2006-07-18 スイッチング電源回路

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006195650A JP2008029053A (ja) 2006-07-18 2006-07-18 スイッチング電源回路

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008029053A true JP2008029053A (ja) 2008-02-07

Family

ID=39119151

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006195650A Pending JP2008029053A (ja) 2006-07-18 2006-07-18 スイッチング電源回路

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008029053A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014521285A (ja) * 2011-07-01 2014-08-25 リナック エー/エス 出力整流器を備えた電源
US9042132B2 (en) 2011-10-25 2015-05-26 Apple Inc. Noise suppression circuit for power adapter

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014521285A (ja) * 2011-07-01 2014-08-25 リナック エー/エス 出力整流器を備えた電源
US9042132B2 (en) 2011-10-25 2015-05-26 Apple Inc. Noise suppression circuit for power adapter

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7656686B2 (en) Switching power supply circuit
US20080025052A1 (en) Switching power supply circuit
US7054167B2 (en) Switching power supply circuit
US20070195560A1 (en) Switching power supply circuit
KR20070037384A (ko) 스위칭 전원 회로
JP3575465B2 (ja) スイッチング電源回路
JP2008029053A (ja) スイッチング電源回路
JP2008043008A (ja) スイッチング電源回路
JP2008029054A (ja) スイッチング電源回路
JP2008043060A (ja) スイッチング電源回路
JP2008043122A (ja) スイッチング電源回路
JP2007189780A (ja) スイッチング電源回路
JP2007329992A (ja) スイッチング電源回路
JP2007325394A (ja) スイッチング電源回路
JP2008017599A (ja) スイッチング電源回路
JP2007074779A (ja) スイッチング電源回路
JP2008043152A (ja) スイッチング電源回路
JP2007318934A (ja) スイッチング電源回路
JP2007185075A (ja) スイッチング電源回路
JP2007049864A (ja) スイッチング電源回路
JP2007043787A (ja) スイッチング電源回路
JP2007014139A (ja) スイッチング電源回路
JP4479722B2 (ja) スイッチング電源回路
JP2007143263A (ja) スイッチング電源回路
JP2003189616A (ja) スイッチング電源回路