次に、本発明を実施するための形態を図面と共に説明する。
履歴現象(ゴースト現象)の発生メカニズムは、詳細は明らかではないが以下のように考えている。直前の画像履歴に応じ現像剤担持体上へトナーが付着し、現像スリーブ上に付着したトナーが持つ電位に応じ、次画像のトナー現像量が変動する。つまり、直前の画像履歴によって次画像のトナー現像量が変動することに起因すると考えている。
より詳細に述べると、非画像部では、画像部とは逆に、感光体から現像スリーブ方向へトナーが移動するポテンシャルが形成されるため、トナーが現像スリーブ上へ付着してしまう(現像スリーブ上へのトナー付着が発生する)。このように現像スリーブ上にトナーが付着した状態で、次回現像時に画像部を現像する場合、現像スリーブ上へ付着したトナーは帯電しているため、現像スリーブ上のトナーによる電位分だけ現像ポテンシャルが嵩上げされ、トナーの現像量が増加してしまう。また、現像スリーブ上へ付着したトナーは、現像時に消費されるため、付着しているトナーの量は一定ではなく、直前画像の履歴により変動する。即ち、直前に、非画像部や用紙と用紙の間隔部がある場合は、その後の画像部の現像には、上述の現像ポテンシャルの嵩上げが起こり、その後の画像濃度は高くなる。一方、直前画像が画像面積の多い画像の場合には、現像スリーブ上に付着したトナーは、直前画像を現像した際に消費され、上述の現像ポテンシャルの嵩上げの効果は少なくなるため、その後の画像濃度は高くならない。
以上のように、履歴現象は、直前画像の影響により現像スリーブ上のトナーの付着量が変動し、その変動の影響を受け、次画像の濃度変動が現れる現象である。
さらに、長期に亘る使用においては、トナーの劣化、つまりトナーの外添剤の埋没、離脱によるトナーの付着力の増加が上記の現象を悪化させることも明らかとなった。
つまり、トナーは外添剤によって、現像スリーブ及びキャリアとの付着力を軽減し、感光体上への現像を行う設計を行っている。
現像スリーブ及びキャリアへの付着力について更に説明すると、現像スリーブとの付着力は、外添剤によるスペーサー効果により、図14に示すように、軽減している。キャリアについても同様に非静電的付着力は軽減しているが、図1A、図1Bに示すように非静電的な相互作用を利用することで、現像スリーブよりはキャリアへ付着するように制御している。
トナーの外添剤の埋没、離脱が起こると、現像スリーブとは、図13に示すように近接することで、ファンデルワールス力などによる付着力の増加がおこる一方で、キャリアとの付着力は、図12に示すように軽減され、その結果、トナーは現像スリーブ上に残りやすくなり、ゴースト現象を加速することとなる。
トナーの外添剤の埋没、離脱の原因としては、比重の大きなキャリアとの接触が考えられており、低比重のキャリアを用いることで、上記現象の抑制を検討した。
しかし、低比重のキャリアは、現像スリーブからの磁気的拘束力が低い為に、キャリア付着が悪化してしまった。
ここで、キャリア付着の中でも非画像部のキャリア付着の改善に大幅に寄与するものであり、以下説明する。
非画像部キャリア付着の原因がキャリアに発生するカウンターチャージによるものであることは知られているが、カウンターチャージが発生するメカニズムとして、感光体との物理的接触、及び、非画像部でのポテンシャルによってトナーがドリフトすることが原因であることが鋭意検討の結果明らかとなった。
非画像部のキャリア付着について詳細に説明する。
画像領域では、現像スリーブから感光体へトナー(ここではマイナス帯電とする)が移動するようなポテンシャルが形成されている。一方、非画像部では、トナー(マイナス帯電)が感光体上へ移動(飛散、チリ)しないように、逆のポテンシャル、つまりトナーが現像スリーブ上へ移動するようなポテンシャルが形成されている。キャリアはプラス帯電であるためにプラスの電荷が発生すれば、感光体へ移動する力が働き、感光体へ付着することで非画像部のキャリア付着となる。
しかし、非画像領域において、一般的なトナー濃度(TC7〜10%)に制御されている場合は、キャリアの表面にはトナーが100%被覆に近い状態で付着しているために、キャリアにプラス帯電が発生することはない。しかし、非画像部でのポテンシャルによる力、及びキャリアの穂先端が感光体に接触する際の物理的な擦れによって、特にキャリア穂先端からトナーが移動してしまうことが明らかとなった。
トナーが移動することで、キャリアにプラス帯電(カウンターチャージ)が発生し、非画像部のポテンシャルによって感光体へ移動してしまうこととなる。
本発明者らは、画像濃度変動および、非画像キャリア付着の悪化を達成すべく鋭意検討した結果、キャリアの凹凸形状及び保護層の凹凸を規定の範囲とすることで、非画像時に現像スリーブ上でキャリアが転がりにくくなるために、現像スリーブ上へのトナーの付着量が安定すること、更に、キャリアの凹凸が所定の値であることで、被覆後のキャリアは部分的に芯粒子の抵抗に近い低抵抗部を作ることが可能であり、非画像時に現像スリーブ上に付着したトナーが、印刷時に消費されにくくなること、トナーの外添剤が非球形であることで、トナーとの非静電的な相互作用によって、現像スリーブ上へのトナーの移行を抑制できること、キャリアを低比重化することで、トナーの外添剤の埋没、離脱等の劣化を抑制し、画像濃度の変動を抑えることを知見した。
更に、キャリアの凹凸形状及び保護層の凹凸、トナーの外添剤を非球形化することで、感光体との接触、非画像部のポテンシャルによってキャリアからのトナーの移動を抑制し、カウンターチャージの発生を抑制することで非画像部のキャリア付着の悪化を長期にわたり抑える現像剤が得られることを知見した。
現像剤は、トナー及びキャリアを有し、トナーは、着色剤、離型剤及び結着樹脂を含む母体粒子と、非球形の外添剤を有し、キャリアは、バインダー樹脂中に磁性粒子が分散しており、表面に平均高低差が0.02μm以上3.0μm以下の凹凸が形成されている。
(キャリア)
キャリアは、芯粒子と、前記芯粒子上に形成されている保護層とを含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
キャリアの低比重化により、トナーへのハザードを減らすことで、トナーの外添剤の劣化を抑制し、トナーの付着力(静電的、非静電的)の増加を抑制すると共に、低比重化による副作用となるキャリア付着をキャリア及び、キャリアの保護層の凹凸とトナーの外添剤の凹凸との間に働く相互作用によって非静電的な結びつきを強くすることで、キャリアからトナーが移動しにくくすることを狙うものである。
詳しくは、キャリアにおいて、キャリアの芯粒子に由来するキャリアの表面の凹凸によりキャリアとトナーとの接点を増やすこと、及び保護層に含まれる粒子による微細な凹凸を保護層の表面に設けてキャリアがトナーの外添剤と接触することで、キャリアのトナー保持力を上げることを狙うものである。
キャリアのトナー保持力を上げることで、非画像部において、感光体から現像スリーブの方向へバイアスが掛かった際に、トナーが現像スリーブへ付着してしまうことを抑制し、画像履歴によるゴースト現象を抑制しているものと考えられる。
以下に、キャリアのトナー保持力の向上について、図を用いて説明する。図1Aは、トナーがキャリア表面に接近した状態を示す模式図である。図1Bは、トナーがキャリアの表面に保持された状態を示す模式図である。
図1Bにおいて、2つの丸い破線で示すように、キャリアの芯粒子111に由来する凹凸によってトナー101とキャリアとが複数個所で接触している。また、それぞれの丸い破線の示す範囲においては、キャリアの保護層に含まれる樹脂112と粒子113とが形成する微細な凹凸により、キャリアとトナー101の外添剤とが接触している。このように、キャリアとトナーとが多くの接点を有することにより、キャリアの凹凸とトナーの凹凸との間に働く相互作用によって非静電的な結びつきが強くなり、キャリアのトナー保持力が高くなるものと考えられる。
−キャリアの算術平均粗さRa−
キャリアにおける算術平均粗さRaとしては、0.50μm〜0.90μmであり、0.60μm〜0.85μmが好ましい。
前記算術平均粗さRaが0.50μm未満であると、現像スリーブ上でのキャリアが回転し易く、現像スリーブの回転速度に対し、現像剤が追従しないため、現像スリーブ上で現像剤が滑ってしまうことがある。これにより、現像スリーブと現像剤が速度差を持ち、現像スリーブ上への非画像時のトナー付着量が増えてしまうことがある。また、低抵抗部、即ち保護層が薄く芯粒子の露出に近い部分が少ないために、非画像時に現像スリーブ上に付着したトナーが、印刷時に消費されてしまい、現像スリーブ上のトナーの量が大きく変動してしまうことがある。
一方、前記算術平均粗さRaが0.90μmを超えると、キャリア自体の凹凸が大きすぎ、キャリアの磨耗が凸部に偏ってしまうため、保護層の磨耗が顕著となることがある。
またトナーとの関係においては、前記算術平均粗さRaが0.90μmを超えると、キャリア自体の凹凸が大きすぎるために、トナーに対するハザードが高くなってしまい、トナーの外添剤が母体粒子へ埋め込まれること及びトナーの外添剤が母体粒子の凹部へ転がることを促進してしまい、トナーの外添剤の機能が失われやすくなる。
ここで、算術平均粗さRaとは、キャリアの表面における凹凸を表し、現像スリーブ上へのトナーの付着量に寄与する。
ここで、図2は、通常のトナーを示す模式図である。図3は、トナーの外添剤が母体粒子の凹部へ転動された様子を示す模式図である。図4は、図3に示すトナーとキャリアとが接触する様子を示す模式図である。
図2に示す通常のトナー101は、母体粒子102の表面に外添剤103が均一に分布している。一方、図3に示すトナー101は、母体粒子102の凹部へ外添剤103が転動された結果、母体粒子102の表面の外添剤103の分布が不均一になっている。図3に示すトナーは、凹凸が大きいキャリアとの接触により得られやすい。図3に示すトナーは、母体粒子102の表面の外添剤103の分布が不均一であるために、図4に示すように、キャリアとトナー101とが近接する丸い破線で示す範囲において、トナーの外添剤とキャリアとの良好な接触状態が得られにくい。また、外添剤がトナーに埋没する場合にも、トナーとキャリアとの良好な接触状態は得られにくい。球形の外添剤を用いると、トナーの転動や埋没はより起こりやすくなり、良好な接触状態が得られにくい傾向はより大きくなる。
前記算術平均粗さRaは、以下の測定方法により求めることができる。LASERTEC社製のOPTELICS C130を用いて、対物レンズ倍率を50倍、Resolutionを0.20μmとして画像を取り込んだ後、キャリアの頂点部を中心にして観察エリアを10μm×10μmとし、キャリア100個を測定した値を用いる。
<芯粒子>
芯粒子の製造法について述べる。
即ち、芯粒子を構成する球状磁性複合体粒子は、水性媒体中でフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下、強磁性酸化鉄粒子を共存させてフェノール類とアルデヒド類とを反応させて得ることができる。
まず、強磁性酸化鉄粒子について述べる。
キャリアに含まれる強磁性酸化鉄粒子は、芯粒子の表面の凹凸を出し、芯粒子の表面積を増やすことで保護層と芯粒子の接着性を上げるため、また、保護層をコートした後の凹凸を出すことを目的とするため、平均粒子径の異なる強磁性酸化鉄粒子aと強磁性酸化鉄粒子bとによって構成される。
平均粒子径が相対的に大きい強磁性酸化鉄粒子aの平均粒子径をra、平均粒子径が相対的に小さい強磁性酸化鉄粒子bの平均粒子径をrbとしたとき、芯粒子表面の凹凸に対して平均粒子径比ra/rbが重要になる。より好ましい平均粒子径の比ra/rbは1.1〜10.0であり、更に好ましくは1.1〜9.0であり、更により好ましくは1.2〜5.0である。
キャリアに含まれる強磁性酸化鉄粒子aと強磁性酸化鉄粒子bとの混合比は特に限定されないが、強磁性酸化鉄粒子bより強磁性酸化鉄粒子aの含有量が少ない方が全体的に球形かつ表面に適度な凹凸を設けられる点で有利である。強磁性酸化鉄粒子aと強磁性酸化鉄粒子bとの総量を100質量部として1〜50質量部の範囲内で強磁性酸化鉄粒子aを含有することが好ましく、より好ましくは10〜45質量部である。
強磁性酸化鉄粒子aが1質量部未満であると、芯部を形成する強磁性酸化鉄粒子bが粒子表面に現れやすくなるため、強磁性酸化鉄粒子aからなる表層部が形成されなくなり、十分な表面凹凸が得られなくなる。
強磁性酸化鉄粒子aの平均粒子径raは、0.25μm〜5.0μmが好ましい。平均粒子径raが0.25μm未満の場合は、磁性キャリア表面に十分な凹凸が得られなくなる。また、平均粒子径raが5.0μmを超える場合には、表面凹凸の凸部にかかる負荷が大きくなり、強磁性酸化鉄粒子aが脱離して凹凸の脱離、または、保護層をコートした後の攪拌ストレスに対する十分な破損耐久性が得られなくなる。より好ましい平均粒子径raは0.25〜2.0μmである。
強磁性酸化鉄粒子bの平均粒子径rbは、0.05μm〜0.25μmが好ましい。平均粒子径rbが0.05μm未満の場合は、磁性酸化鉄粒子bの凝集力が大きくなり、磁性キャリアの作製が困難なものとなる。また、平均粒子径rbが0.25μmを超える場合には、強磁性酸化鉄粒子aとの粒径差がなくなり、強磁性酸化鉄粒子aによる安定した表層部の形成が困難なものとなる。
強磁性酸化鉄粒子a及び強磁性酸化鉄粒子bとしては、マグネタイト粒子、マグヘマタイト粒子等の磁性酸化鉄粒子である。
また、強磁性酸化鉄粒子aと強磁性酸化鉄粒子bの粒子形状は、球状、六面体、八面体、多面体、不定形から選ばれるいずれかであり、その組み合わせは、同じ形状同士でも、または形状が異なったものを組み合わせても構わない。
強磁性酸化鉄粒子a及び強磁性酸化鉄粒子bは、粒子表面がAl、Mg、Mn、Zn、Ni、Cu、Ti、Siから選ばれる1種又は2種以上の化合物によって被覆された強磁性酸化鉄粒子を用いてもよい。
上記化合物が被覆されたものを使用する場合、強磁性酸化鉄粒子の表面に存在する被覆元素の量は強磁性酸化鉄粒子の全体量に対して0.35〜4.0質量%が好ましく、より好ましくは、0.4〜3.5質量%である。
表面がAl、Mg、Mn、Zn、Ni、Cu、Ti、Siから選ばれる1種又は2種以上の化合物によって被覆された強磁性酸化鉄粒子を用いることによって電気抵抗値の高い磁性キャリアを容易に得ることができる。
表面がAl、Mg、Mn、Zn、Ni、Cu、Ti、Siから選ばれる1種又は2種以上の化合物によって被覆された強磁性酸化鉄粒子は以下の製造方法によって得ることができる。
表面が被覆された強磁性酸化鉄粒子は、常法に従って、マグネタイトの核粒子を製造し、次いで、前記核粒子を含有するスラリーを70〜95℃の温度範囲に保持し、スラリーのpHを制御して被覆元素塩を核粒子に対して0.015質量%/分以下の割合で添加した後、30分以上熟成し、次いで、pH調整した後、常法に従って、水洗、乾燥することによって、得ることができる。
表面が被覆された強磁性酸化鉄粒子を得るための核粒子には、要求される磁気特性・分散性などの観点から様々な形状・粒子径のものが選択可能であり、その製造方法も多様に存在するが、表面処理をより均一に行う観点から、核粒子スラリー中には、表面処理の阻害因子となりやすい物質、例えば、未反応の水酸化鉄粒子等の混入がないことが好ましい。
核粒子を含むスラリーを得るための手段には様々な方法が挙げられるが、例えばFe2+水溶液の酸化反応中のpHを所定の値に制御することで、八面体・多面体・六面体・球状・凹凸形状のものを得ることができる。
また、酸化反応中の粒子の成長条件を制御することで所望の粒子径の核粒子を得ることができる。
また、核粒子の表面平滑性は、酸化反応終盤での成長条件を制御したり、一般に知られているようにシリカ成分やアルミ成分やカルシウム成分などの成分や亜鉛・マンガンなどのスピネルフェライト結晶構造を形成しやすい成分を添加したりすることでも制御できる。
Fe2+水溶液としては、例えば、硫酸第一鉄や塩化第一鉄などの一般的な鉄化合物を用いることができる。
また、水酸化鉄を得るためもしくはpH調整剤としてのアルカリ溶液には、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等の水溶液を用いることができる。
各々の原料は、経済性や反応効率等を考慮して選択すればよい。
Al表面処理時のスラリーのpHは8.0〜9.0が好ましく、より好ましいpHは8.2〜8.8である。スラリーのpHが8.0未満の場合には、Al成分が核粒子表面に被覆されずAl化合物単独で析出し、電気抵抗値の低いものとなり、また、BET比表面積値が高くなり吸湿性が高くなり好ましくない。スラリーのpHが9.0を超える場合にも、Al成分が核粒子表面に被覆されずAl化合物単独で析出し、電気抵抗値の低いもととなり、また、BET比表面積値が高くなり吸湿性が高くなり好ましくない。
Mg表面処理時のスラリーのpHは9.5〜10.5、Mn表面処理時のスラリーのpHは8.0〜9.0、Zn表面処理時のスラリーのpHは8.0〜9.0、Ni表面処理時のpHは7.5〜8.5、Cu表面処理時のpHは6.5〜7.5、Ti表面処理時のpHは8.0〜9.0、Si表面処理時のpHは6.5〜7.5が好ましい。上記pHの範囲外の場合は電気抵抗値の低いものとなり、また吸湿性が高くなり好ましくない。
被覆成分を表面処理するスラリーの温度範囲は70〜95℃が好ましい。スラリーの温度が70℃未満の場合には、BET比表面積値の高いものとなり、強磁性酸化鉄粒子自体の吸湿性の観点からも好ましくない。条件値は特に限定はないが、水系のスラリーであるため、生産性やコストを考慮すると95℃程度が上限となる。
核粒子を含有するスラリーへの被覆化合物の添加速度は、核粒子に対して被覆元素0.015質量%/分以下で添加することが好ましい。より好ましくは核粒子に対して被覆元素0.01質量%/分以下で添加することが好ましい。被覆元素を0.015質量%/分より大きな添加速度とすると、被覆化合物が核粒子表面に被覆されず単独で析出し、強磁性酸化鉄粒子自体の電気抵抗値の低いものとなり、またBET比表面積値の大きなものとなり強磁性酸化鉄粒子自体の吸湿性の高いものとなる。下限は特に限定はないが生産性を考慮すると0.002質量%/分が下限となる。
被覆化合物添加後には30分以上熟成を行うことが被覆化合物を核粒子表面に均一に処理するため好ましい。上限は特に限定はないが生産性を考慮すると240分程度が上限となる。
また、スラリーはよく攪拌されていることが好ましい。
熟成後は、スラリーのpHを4.0〜10.0の範囲に制御することが好ましい。より好ましいスラリーのpHは6.0〜8.0の範囲である。pHが4.0未満の場合、被覆化合物層を核粒子表面に均一に形成することが困難である。pHが10.0を超える場合にも被覆化合物層を核粒子表面に均一に形成することが困難である。
制御に際しては、スラリーはよく攪拌されていることが好ましい。
反応後は、常法に従って、水洗、乾燥を行えばよい。
強磁性酸化鉄粒子a及び強磁性酸化鉄粒子bは、あらかじめ表面を親油化処理しておくことが望ましい。
親油化処理することによって、より容易に球形を呈した磁性キャリアを得ることが可能となる。
親油化処理は、強磁性酸化鉄粒子a及び強磁性酸化鉄粒子bをシランカップリング剤やチタネートカップリング剤等のカップリング剤で処理する方法や界面活性剤を含む水性溶媒中に強磁性酸化鉄粒子を分散させて、粒子表面に界面活性剤を吸着させる方法が好適である。
シランカップリング剤としては、疎水性基、アミノ基、エポキシ基を有するものが挙げられ、疎水性基を有するシランカップリング剤としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル・トリス(β−メトキシ)シラン等がある。
アミノ基、エポキシ基を有するシランカップリング剤としては前記アミノ基を有するシランカップリング剤、前記エポキシ基を有するシランカップリング剤を用いればよい。
チタネートカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート等を用いればよい。
界面活性剤としては、市販の界面活性剤を使用することができ、強磁性酸化鉄粒子や該粒子表面に有する水酸基と結合が可能な官能基を有するものが望ましく、イオン性はカチオン性又はアニオン性のものが好ましい。
フェノール樹脂との接着性を考慮するとアミノ基あるいはエポキシ基を有するシランカップリング剤による処理が好ましい。
前記カップリング剤又は界面活性剤の処理量は強磁性酸化鉄粒子a及び強磁性酸化鉄粒子bに対して0.1〜10質量%が好ましい。
前記強磁性酸化鉄粒子a及び強磁性酸化鉄粒子bは、予め混合してから前記親油化処理を行っても、別々に処理を行っても構わないが、反応の際には強磁性酸化鉄粒子a及び強磁性酸化鉄粒子bが十分に混合された状態で使用することを必須とする(以下、強磁性酸化鉄粒子a及び強磁性酸化鉄粒子bが十分に混合された状態を「ブレンド粉末」という)。
ブレンド粉末とフェノール樹脂とからなる球状磁性複合体粒子の製造方法は以下のとおりである。
フェノール類としては、フェノールのほか、m−クレゾール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−プロピルフェノール等のアルキルフェノール類や、アルキル基の一部又は全部が塩素原子、臭素原子で置換されたハロゲン化フェノール類等のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられる。
フェノール類として球状磁性複合体粒子におけるブレンド粉末の全含有量は、球状磁性複合体粒子に対して80〜99質量%が好ましく、80質量%未満の場合には樹脂分が多くなり、大粒子が出来やすくなる。99質量%を超える場合には樹脂分が不足して十分な強度が得られない。より好ましくは、85〜99質量%である。
アルデヒド類としては、ホルマリン又はパラアルデヒドのいずれかの形態のホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、フルフラール、グリオキサール、アクロレイン、クロトンアルデヒド、サリチルアルデヒド及びグルタールアルデヒド等が挙げられるが、ホルムアルデヒドが最も好ましい。
アルデヒド類はフェノール類に対してモル比で1.0〜4.0が好ましく、アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が1.0未満の場合には、粒子の生成が困難であったり、樹脂の硬化が進行し難かったりするために、得られる粒子の強度が弱くなる傾向がある。4.0を超える場合には、反応後に水性媒体中に残留する未反応のアルデヒド類が増加する傾向がある。より好ましくは1.2〜3.0である。
塩基性触媒としては、通常のレゾール樹脂の製造に使用されている塩基性触媒が使用できる。例えば、アンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン及びジメチルアミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミン等のアルキルアミンが挙げられ、特にアンモニア水が好ましい。
塩基性触媒はフェノール類に対してモル比で0.05〜1.50が好ましい。0.05未満の場合には、硬化が十分に進行せず造粒が困難となる。1.50を超える場合には、フェノール樹脂の構造に影響するため造粒性が悪くなり、粒子径の大きな粒子を得ることが困難となる。
反応は水性媒体中で行われるが、水性媒体中の固形分濃度が30〜95質量%になるようにすることが好ましく、特に、60〜90質量%となるようにすることが好ましい。
塩基性触媒を添加した反応溶液は60〜95℃の温度範囲まで昇温し、この温度で30〜300分間、好ましくは60〜240分間反応させ、フェノール樹脂の重縮合反応を行って硬化させる。
このとき、球形度の高い球状磁性複合体粒子を得るために、ゆるやかに昇温させることが望ましい。
昇温速度は0.3〜1.5℃/minが好ましく、より好ましくは0.5〜1.2℃/minである。
このとき、粒径を制御するために、攪拌速度を制御することが望ましい。
攪拌速度は100〜1000rpmが好ましい。
硬化させた後、反応物を40℃以下に冷却すると、バインダー樹脂中にブレンド粉末が分散し、その構造は、強磁性酸化鉄粒子aによって表層部が形成された球状磁性複合体粒子の水分散液が得られる。
前記球状磁性複合体粒子を含む水分散液を濾過、遠心分離の常法に従って固・液を分離した後、洗浄・乾燥して球状磁性複合体粒子を得る。
また、キャリアは、後述のコーティングを行うことが望まれる。
−芯粒子の算術平均粗さRa−
前記芯粒子の算術平均粗さRaは、前記芯粒子の表面粗さを規定する。
前記芯粒子の算術平均粗さRaとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.50μm〜1.50μmが好ましく、0.60μm〜1.30μmがより好ましい。前記算術平均粗さRaが、0.50μm未満であると、キャリアを製造する際に所望の表面粗さを得ることが難しくなることがあり、1.50μmを超えると、キャリアを製造する際に表面粗さが大きくなりすぎることがある。一方、前記算術平均粗さRaが、前記より好ましい範囲内であると、キャリアを製造する際に、現像スリーブ上へのトナーの付着量をより制御できる点で有利である。
なお、前記算術平均粗さRaの値は、前述の前記算術平均粗さRaの測定方法と同様の方法によって求めることができる。
前記芯粒子の算術平均粗さRaに対する前記キャリアの算術平均粗さRaの比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.60〜1.00が好ましく、0.70〜0.90がより好ましい。前記比が、0.60未満であると、キャリアを製造する際に芯粒子の凹凸を埋めてしまい、現像スリーブ上へのトナーの付着量が増加することがある。前記比が1.00に近いことは、芯粒子の凹凸とキャリアの凹凸の程度が近いことを意味している。この場合、芯粒子に由来するキャリアの凹凸では、トナーとキャリアとが複数点で接触することによるキャリアのトナー保持ができにくいため、現像剤スリーブ上へのトナーの付着量が増加してしまうことがある。また、保護層中の耐久性を担うフィラーが十分に添加されていない、あるいは添加されていてもその粒径が小さい為に、耐久性の効果が不十分になることがある。
一方、前記比が、前記より好ましい範囲内であると、現像スリーブ上へのトナーの付着量の制御、及び耐久性の両立の点で有利である。
ここで、図5は、前記比が0.60未満である場合のキャリアとトナーの外添剤との接触状態を示す模式図である。図5に示すように、前記比が0.60未満である場合には、キャリアを製造する(保護層を形成する)際に保護層が芯粒子の凹凸を埋めてしまっており、キャリアとトナーの外添剤との接触が少なくなる。
そのため、現像スリーブ上へのトナーの付着量が増加することがある。
また、図6及び図7は、前記比が1.00に近い場合のキャリアとトナーの外添剤との接触状態を示す模式図である。図6は、微粒子が少ない場合であり、図7は、微粒子が小さい場合である。図6及び図7に示すように、前記比が1.00に近い場合には、芯粒子に由来するキャリアの凹凸では、トナーとキャリアとが複数点で接触することによるキャリアのトナー保持ができにくいため、現像スリーブ上へのトナーの付着量が増加してしまうことがある。
<保護層>
前記保護層は、樹脂及び粒子を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有する。前記保護層は、例えば、樹脂及び粒子を含有する保護層形成溶液を前記芯粒子の塗布することにより形成することができる。
ただし芯粒子に樹脂を用いる為に保護層は必ずしも必要とはならない。
前記保護層の厚みは、前記樹脂の芯粒子に対する含有量により制御することができる。前記キャリアにおける前記樹脂の前記芯粒子に対する含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、保護層の厚みにより局所的な低抵抗状態を形成することができる点で、0.5質量%〜3.0質量%が好ましい。
前記保護層の平均厚みhとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.2μm〜2μmが好ましく、0.2μm〜0.5μmがより好ましい。前記平均厚みが、0.2μm未満であると、現像装置内で現像剤を攪拌する際、容易に前記芯粒子が前記保護層の表面に露出してしまい、抵抗値の変化が大きくなることがあり、2μmを超えると、前記芯粒子の凸部は露出せず、局所的な低抵抗状態を作ることが難しくなることがある。前記平均厚みが、前記好ましい範囲内であると、局所的な低抵抗状態を有するキャリアを製造することができる点で有利である。
前記保護層の厚みは、前記樹脂の前記芯粒子に対する含有量により制御することができる。
前記保護層の平均厚みhは、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリア断面を観察し、キャリア表面を覆う保護層の樹脂部の厚みを測定し、その平均値から求めることができる。具体的には、前記キャリア断面から任意の50点について芯粒子表面から保護層表面までの距離を測定し、測定値の平均を求める。
−平均高低差−
前記保護層の平均高低差は、0.02μm〜3.0μmであり、0.15μm〜0.40μmが好ましい。
前記平均高低差が0.02μm未満であると、キャリアの表面に粒子による凹凸が殆どないため、キャリアとトナーの外添剤との微小な接触による付着力が生じにくいため、現像スリーブ上へトナーが移行し易くなってしまい、ゴースト現象の原因となってしまうことがある。また、感光体との接触、非画像ポテンシャルによってキャリア表面からトナーが移動し、非画像キャリア付着が悪化することがある。また、所謂フィラー効果が十分でないため、保護層の耐磨耗性が悪化することがある。更に、キャリア表面に凹凸が殆どないため、トナースペント物の掻き取りが十分でなく、帯電の安定性も課題となることがある。前記平均高低差が3.0μmを超えると、樹脂が粒子を拘束する力が十分でないために、粒子の離脱、それに基づく樹脂の磨耗が課題となることがある。また、キャリアのトナー保持力の低下による現像スリーブへのトナーの移行が増加することによって、ゴースト現象が悪化することがある。
ここで、前記保護層の平均高低差とは、前記保護層に含有される粒子によって生じる凹凸を表し、トナーの外添剤との接触によるトナー保持力を利用した現像スリーブ上へのトナーの移動の抑制、感光体との接触時、及び非画像ポテンシャルによるキャリアの表面からのトナーの移動、キャリアの抵抗調整、耐磨耗性、及びトナースペントの掻き取りに寄与している。
前記平均高低差の測定は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリア断面を観察し、キャリア表面を覆う保護層の樹脂部の厚みを測定することで求めることができる。具体的には、前記キャリア断面において、任意の50点について芯粒子表面から保護層の表面までの距離を測定し、得られた測定値の数値の大きい値から5点の平均値と数値の小さい値から5点の平均値との差とする。
<樹脂>
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル樹脂、アミノ樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンとフッ化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンと非フッ化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂が好ましい。
また、前記樹脂としては、シランカップリング剤及びシリコーン樹脂を含有する混合物の硬化物を含む樹脂も好適に用いることができる。
前記シリコーン樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記シリコーン樹脂は、市販品であってもよい。前記市販品としては、例えば、SR2410(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも下記一般式(A)で表されるA部分、及び下記一般式(B)で表されるB部分を含む共重合体を加水分解し、シラノール基を生成して縮合することにより得られる架橋物を含有する樹脂が好ましい。
ただし、前記一般式(A)中、R1は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R2は、炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、mは、1〜8の整数を表し、Xは、前記共重合体におけるモル比を表し、10モル%〜90モル%を表す。
ただし、前記一般式(B)中、R1は、水素原子及びメチル基のいずれかを表し、R2は、炭素原子数1〜4のアルキル基を表し、R3は、炭素原子数1〜8のアルキル基及び炭素原子数1〜4のアルコキシ基のいずれかを表し、mは、1〜8の整数を表し、Yは、前記共重合体におけるモル比を表し、10モル%〜90モル%を表す。
前記シランカップリング剤は、前記粒子を安定して分散させることができる。前記シランカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロライド、γ−クロルプロピルメチルジメトキシシラン、メチルトリクロルシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン、メタクリルオキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記シランカップリング剤は、適宜調製したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよく、該市販品としては、例えば、AY43−059、SR6020、SZ6023、SH6020、SH6026、SZ6032、SZ6050、AY43−310M、SZ6030、SH6040、AY43−026、AY43−031、sh6062、Z−6911、sz6300、sz6075、sz6079、sz6083、sz6070、sz6072、Z−6721、AY43−004、Z−6187、AY43−021、AY43−043、AY43−040、AY43−047、Z−6265、AY43−204M、AY43−048、Z−6403、AY43−206M、AY43−206E、Z6341、AY43−210MC、AY43−083、AY43−101、AY43−013、AY43−158E、Z−6920、Z−6940(以上、東レ・シリコーン社製)などが挙げられる。
前記シランカップリング剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記樹脂に対して、0.1質量%〜10質量%が好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、前記芯粒子乃至前記粒子と前記樹脂との接着性が低下して、長期間の使用中に保護層が脱落することがあり、10質量%を超えると、長期間の使用中にトナーのフィルミングが発生することがある。
前記保護層は、例えば、前記シラノール基及び/又は加水分解性官能基を有するシリコーン樹脂、重合触媒、必要に応じて、シラノール基及び/又は加水分解性官能基を有するシリコーン樹脂以外の樹脂、溶剤を含む保護層用組成物を用いて形成することができる。
具体的には、前記保護層用組成物で芯粒子を被覆しながら、シラノール基を縮合させることにより形成してもよいし、前記保護層用組成物で芯粒子を被覆した後に、シラノール基を縮合させることにより形成してもよい。
前記保護層用組成物で芯粒子を被覆しながら、シラノール基を縮合させる方法としては、特に限定されないが、例えば、熱、光等を付与しながら、保護層用組成物で芯粒子を被覆する方法などが挙げられる。
また、前記保護層用組成物で芯粒子を被覆した後に、シラノール基を縮合させる方法としては、特に限定はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記保護層用組成物で芯粒子を被覆した後に加熱する方法などが挙げられる。
<粒子>
前記粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルミナ、シリカ、チタン、バリウム、スズ、及びカーボンの少なくともいずれかを含むことが好ましい。
前記粒子としては、導電性粒子及び非導電性粒子のいずれも用いることができ、導電性粒子と非導電性粒子とを併用してもよい。
ここで、前記導電性粒子とは、粉体比抵抗が100Ω・cm以下である粒子を指し、前記非導電性粒子とは、粉体比抵抗が100Ω・cmを超える粒子を指す。
前記粉体比抵抗は、例えば、次のようにして測定することができる。内径が1インチの円筒状の塩化ビニル管の中に、試料を5g入れ、その上下を電極で挟む。これら電極をプレス機により、10kg/cm2の圧力を加える。続いて、この加圧した状態で、LCRメータ(4216A、横河−HEWLETT−PACKARD社製)を接続する。接続直後の抵抗r(Ω)を読み取りノギスで全長L(cm)を測定し粉体比抵抗(Ω・cm)を算出する。計算式は、以下の式に示すものである。
粉体比抵抗(Ω・cm)={(2.54/2)2×π}×r/(L−11.35)
r:接続直後の抵抗
L:試料を充填した場合の全長
11.35:試料を充填しない場合の全長
前記導電性粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化珪素、硫酸バリウム、酸化ジルコニウム等の基体に二酸化スズ、酸化インジウム等を層として形成した導電性粒子;カーボンブラックを用いて形成する導電性粒子などが挙げられる。これらの中でも、酸化アルミニウム、二酸化チタン、又は硫酸バリウムの基体に二酸化スズ、又は酸化インジウムを層として形成した導電性粒子が好ましい。
前記非導電性粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、二酸化珪素、硫酸バリウム、酸化ジルコニウムなどが挙げられる。
前記粒子の粉体比抵抗の常用対数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、−3[log(Ω・cm)]〜3Log[log(Ω・cm)]が好ましい。前記粉体比抵抗が、−3[log(Ω・cm)]未満であると、粒子の抵抗が低すぎるため、トナーとの摩擦帯電の際に十分に帯電することができないことがあり、3[log(Ω・cm)]を超えると、キャリア抵抗調整能力が十分でないため、エッジ効果及び画像の精細性が悪化することがある。
前記粒子の体積平均粒径Dとしては、50nm〜700nmが好ましく、300nm〜600nmがより好ましい。前記範囲内の粒径を有することで、保護層の表面から粒子が出やすくなり、部分的な低抵抗を作りやすく、更にはキャリア表面のスペント物を掻き取り易く、耐摩耗性にも優れる。
前記粒子の体積平均粒径Dは、例えば、超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA−700(株式会社堀場製作所製)を用いて測定することができる。具体的には、以下の手順で測定を行う。
ジューサーミキサーにアミノシラン(SH6020、東レ・ダウコーニング株式会社製)30mLにトルエン溶液300mLを入れる。試料を6.0gを加え、ミキサー回転速度をlowにセットし3分間分散する。1,000mLビーカーに予め用意されたトルエン溶液500mLの中に分散液を適量加えて希釈する。得られた希釈液はホモジナイザーにて常に攪拌を続ける。超遠心式自動粒度分布測定装置CAPA−700(株式会社堀場製作所製)にて体積平均粒径を測定する。
−測定条件−
測定条件回転速度:2,000rpm
最大粒度:2.0μm
最小粒度:0.1μm
粒度間隔:0.1μm
分散媒粘度:0.59mPa・s
分散媒密度:0.87g/cm3
粒子密度:乾式自動嵩密度計アキュピック1330(株式会社島津製作所製)を用いて測定した真比重値
前記保護層における前記粒子の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、樹脂100質量部に対して、50質量部〜500質量部が好ましく、100質量部〜300質量部がより好ましい。
前記含有量が、50質量部未満であると、保護層の削れや剥れを防止する効果が減少することがあり、500質量部を超えると、キャリア表面に出てくる樹脂の割合が相対的に小さくなり、トナーがキャリア表面にスペントし易くなることがある。一方、前記含有量が前記好ましい範囲内であると、現像装置で長期間使用した際の保護層の削れや剥れを抑制することが可能になる。
前記保護層の平均厚みh(μm)に対する前記粒子の体積平均粒径D(μm)の比(D/h)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.01〜1.00が好ましく、0.10〜1.00がより好ましい。
前記D/hが、0.01未満であると、粒子に起因する凹凸はほとんど見られず、保護層の表面が平らになり、トナーの固着による帯電性能の低下等が発生し、画像品質が低下することがあり、1.00を超えると、低画像面積でのランニングを行った場合に、保護層の粒子に起因する凸部が削れることにより抵抗の低下等が発生し、画像品質が低下することがある。一方、前記D/hが前記より好ましい範囲内であると、耐久性が良好であり、キャリア付着を抑制することが可能である点で有利である。
前記粒子の保護層における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量%〜90質量%が好ましく、40質量%〜85質量%がより好ましく、50質量%〜80質量%が特に好ましい。
前記含有量が、10質量%未満であると、キャリアの表面における粒子の割合が少ないため、樹脂への強い衝撃を伴う接触を緩和する効果が小さくなることがあり、90質量%を超えると、キャリアの表面における樹脂の割合が少ないため、帯電性能が低下すること、樹脂による粒子の保持能力が不十分となることがある。
なお、前記粒子の含有量は、下記式で表される。
粒子の含有量(質量%)={粒子/(粒子+樹脂固形分総量)}
<キャリアの製造方法>
前記キャリアの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜
選択することができるが、流動床型コーティング装置を使用して、前記芯粒子の表面に、前記樹脂及び前記粒子を含有する保護層形成溶液を塗布することにより製造する方法が好ましい。なお、前記保護層形成溶液を塗布する際に、前記保護層に含有される樹脂の縮合を進めてもよいし、前記保護層形成溶液を塗布した後に、前記保護層に含有される樹脂の縮合を進めてもよい。前記樹脂の縮合方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記保護層形成溶液に、熱、光等を付与して樹脂を縮合する方法などが挙げられる。
<キャリアの体積固有抵抗値>
前記キャリアの体積固有抵抗値としては、体積固有抵抗値が1×109Ω・cm以上1×1017Ω・cm以下が好ましく、1×109Ω・cm以上1×1012Ω・cm以下がより好ましい。前記体積固有抵抗値が1×109Ω・cm未満であると、非画像時に現像剤担持体上に付着するトナー量(例えば、現像スリーブ方向へのバイアスによって、現像スリーブに付着するトナー量)が増えてしまい、画像の均一性が得られないことがある。前記体積固有抵抗値が1×1017Ω・cmを超えると、印刷時に現像剤担持体上に付着したトナーが消費されてしまい、画像の均一性が得られないことがある。なお、ハイレジスト計の測定可能下限を下回った場合には、実質的には体積固有抵抗値は得られず、ブレークダウンしたものとして扱うことにする。
前記体積固有抵抗値は、以下の方法により測定することができる。
まず、電極間距離が2mm、表面積が2cm×4cmの電極、電極を収容したフッ素樹脂製容器からなるセルにキャリアを充填し、タッピングマシンPTM−1型(三協パイオテク社製)を用いて、タッピングスピード30回/minにて1分間タッピング操作を行う。次いで、両極間に1,000Vの直流電圧を印加し、ハイレジスタンスメーター4329A(4329A+LJK5HVLVWDQFH 0HWHU;横川ヒューレットパッカード株式会社製)により直流抵抗を測定して電気抵抗率RΩ・cmを求め、LogRを算出する。
<キャリアの重量平均粒径Dw>
前記キャリアの重量平均粒径Dwは、レーザー回折・散乱法によって求めた前記芯粒子の粒度分布における積算値50%での粒径をいう。
前記キャリアの重量平均粒径Dwとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm〜65μmであることが好ましい。前記重量平均粒径が前記範囲内であることにより、キャリア付着や画質などに対する改善効果が顕著である。これは、重量平均粒径が20μm未満の場合は、粒子の均一性が低下することと、20μm未満の微粉は現像時の遠心力や現像バイアスの注入によるベタキャリア付着が起こりやすくマシン側で充分使いこなす技術が確立できていないことにより、キャリア付着などの問題が生じることがある。一方、65μmを超える場合には、画像細部の再現性が悪く精細な画像が得られないことがある。
前記重量平均粒径Dwは、個数基準で測定された粒子の粒径分布(個数頻度と粒径との関係)に基づいて算出されるものである。
この場合の重量平均粒径Dwは次式(1)で表される。
Dw={1/Σ(nD2)}×{Σ(nD4)}・・・(1)
(式(1)中、Dは各チャネルに存在する粒子の代表粒径(μm)を示し、nは各チャネルに存在する粒子の総数を示す)
なお、チャネルとは、粒径分布図における粒径範囲を測定幅単位に分割するための長さを示すもので、2μmの等分長さ(粒径分布幅)を採用する。
また、各チャネルに存在する粒子の代表粒径としては、各チャネルに保存する粒子粒径の下限値を採用する。
また、個数平均粒径Dpは、個数基準で測定された粒子の粒径分布に基づいて算出されるものである。
この場合の個数平均粒径Dpは以下の式(2)で表される。
Dp=(1/N)×(ΣnD)・・・(2)
ただし、上記式(2)中、Nは計測した全粒子数を示し、nは各チャネルに存在する粒子の総数を示し、Dは各チャネル(2μm)に存在する粒子粒径の下限値を示す。
粒径分布を測定するための粒度分析計としては、マイクロトラック粒度分析計(モデルHRA9320−X100、Honewell社製)を用いる。その測定条件は以下の通りである。
−測定条件−
[1]粒径範囲:100nm〜8μm
[2]チャネル長さ(チャネル幅):2μm
[3]チャネル数:46
[4]屈折率:2.42
<キャリアの磁化>
前記キャリアの磁化(磁気モーメント)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1kOeの磁場において、40Am2/kg〜90Am2/kgが好ましい。
なお、前記磁化の測定には、例えば、高感度振動試料型磁力計(VSM−P7−15、東英工業株式会社製)を用いることができる。具体的な測定方法としては、キャリア約0.15gを秤量し、内径が2.4mm、高さが8.5mmのセル(図8参照)に前記キャリアを充填し、1,000エルステット(Oe)の磁場下で測定する。図8に示すセルは、電極間距離が0.2cm、表面積が2.5cm×4cmの電極1a、電極1bを収容したフッ素樹脂製容器2からなるセルであり、キャリア3が充填されている。
(現像剤)
現像剤は、キャリアとトナーとを含む。
前記トナーは、母体粒子と、非球形の外添剤とを有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記トナーは、前記非球形の外添剤を含有することにより、高流動性を実現し、現像装置内で攪拌されるなどしてトナーに負荷が与えられた場合においても、外添剤の埋没や転動が抑制されることで、キャリアのトナー保持力を経時で保つことに優れる。
ここで、図を用いて外添剤の転動の一例について説明する。図9A、図10A、及び図11Aは、外添剤を含有するトナーの模式図である。図9Aに示すトナー101の外添剤103の形状は、球形である。図10Aに示すトナー101の外添剤103の形状は、非球形(紡錘形)である。図11Aに示すトナー101の外添剤103は、非球形の合着粒子である。
図9Aに示すトナー101は、外添剤103の形状が球形であるため、トナー101に負荷が与えられた場合、外添剤103が、母体粒子102表面を矢印の方向に転動し、母体粒子102の凹部などに集まり、結果として、外添剤103が不均一になる(図9B参照)。
図10A及び図11Aに示すトナー101は、外添剤103の形状が非球形であるため、トナー101に負荷が与えられた場合でも、外添剤103は転動しにしくい(図10B及び図11B参照)。
外添剤の埋没、又は転動が起こると、図1Bで得られていた、キャリアの凹凸とトナーの凹凸との間に働く相互作用による結びつきが、図12に示すようにキャリアの保護層(樹脂112と粒子113を含む保護層)の微細な凹凸と、外添剤との接触が十分に得られにくい(図12の丸い破線部分参照)。
トナーは、キャリアの表面に付着しているが、感光体との接触や、非画像部のポテンシャルの影響によって、キャリアの表面から移動してしまうことがある。トナーが移動してしまうことで、キャリアにカウンターチャージが発生し、非画像部のキャリア付着となってしまうことがあり、キャリアの表面にトナーを固定化することが重要となる。
また、外添剤の埋没、又は転動が起こることで、母体粒子と現像スリーブとの距離が短くなり(図13参照)、トナーと現像スリーブとの付着力が上がってしまうことがある。
一方、外添剤の埋没、又は転動が抑制されると、母体粒子と現像スリーブとの距離を保つことができ(図14参照)、トナーと現像スリーブとの非静電的な付着力を低く保つことができる。
即ち、トナーにおける外添剤の埋没、又は転動を抑制し、トナーとキャリアとの間の保持力(付着力)を大きく保ち、かつ現像スリーブとの付着力を低く保つことで、非画像部において、感光体から現像スリーブの方向へバイアスが掛かった際に、トナーが現像スリーブへ付着してしまうことを抑制し、画像履歴によるゴースト現象をより抑制することができる。
更に、前記非球形の外添剤が、合着粒子であって、前記合着粒子の合着度Gが1.5〜4.0であることで上記効果は顕著となる。
通常、電子写真式の画像形成装置において、小粒径トナーを用いた場合には、トナーと感光体、又はトナーと中間転写体との非静電的付着力が増加するため、転写効率が低下する。特に、高速機において小粒径トナーを使用した場合には、トナーの小粒径化により中間転写体との非静電的付着力が増加した上に、高速化に伴い転写のニップ部、特に二次転写のニップ部においてトナーが転写電界を受ける時間が短くなるため、二次転写での転写効率の低下が顕著となることが知られている。
しかし、前記非球形の外添剤を含有するトナーを用いることにより、トナーの非静電的付着力が低減され、高速機のように転写時間が短くなった場合においても、定着性を阻害することなく十分な転写効率を得ることができる。更に、高速機のように経時での機械的ストレスの大きい場合においても、外添剤が凹部に転がり、外添剤の機能が消失することが無くなり、長期的にも十分な転写効率を維持することが可能である。
前記外添剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、非球形の外添剤を含有することが好ましい。
前記非球形の外添剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、紡錘形の外添剤、合着粒子などが挙げられる。
−合着粒子−
前記合着粒子は、一次粒子同士が合着されてなる非球形の粒子、即ち、図15に示すように、一次粒子(符号1A〜1D)が複数合一(凝集)された二次粒子をいう。なお、前記「合着粒子」を「二次粒子」と称することがある。
−一次粒子−
前記一次粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の無機粒子、有機粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリカが、母体粒子への外添剤の埋没及び離脱を防ぐことができる点で好ましい。
前記二次粒子の体積平均粒子径、即ち、合着粒子の体積平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15nm〜400nmが好ましく、50nm〜300nmがより好ましい。前記体積平均粒子径が、15nm未満であると、前記外添剤が埋没しやすく、十分な耐久性を維持できす、クリーニング性が不十分となることがあり、400nmを超えると、トナーへの外添剤の付着が著しく劣り、トナーから外添剤が離脱しやすくなるため、転写性が維持できなくなることがある。
前記二次粒子の体積平均粒子径の測定は、前記二次粒子を適切な溶剤(THF等)に分散させた後、基板上で溶剤を除去して乾固させたサンプルを、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM、加速電圧:5kV〜8kV、観察倍率:8,000倍〜10,000倍)にて視野中の二次粒子の粒子径を計測することにより行い、具体的には、合着している二次粒子の外枠から全体像を予測し、全体像の最長長さ(図2に示す矢印の長さ)を計測(計測した粒子数:100個以上)することにより行う。
−合着粒子の製造方法−
前記合着粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゾルゲル法により製造する方法が好ましく、具体的には、一次粒子と、処理剤とを混合乃至焼成することにより化学結合させて二次凝集させ、二次粒子(合着粒子)とすることにより製造する方法が好ましい。なお、前記ゾルゲル法により合成する際には、前記処理剤を共存させて、一段反応にて合着粒子を調製してもよい。下記に製造例の一例を示すが、これに限るものではない。
−処理剤−
前記処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シラン系処理剤、エポキシ系処理剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記一次粒子として、シリカを用いた場合には、前記シラン系処理剤が形成するSi−O−Si結合の方が、前記エポキシ系処理剤が形成するSi−O−C結合よりも、熱に対して安定である点で、シラン系処理剤が好ましい。また、必要に応じて、処理助剤(水、1質量%酢酸水溶液等)を使用してもよい。
−シラン系処理剤−
前記シラン系処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコキシシラン類(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等);シランカップリング剤(γ−アミノプロピルトルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン等);ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、N,N'−ビス(トリメチルシリル)ウレア、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ジメチルトリメチルシリルアミン、ヘキサメチルジシラザン、サイクリックシラザンの混合物などが挙げられる。
前記シラン系処理剤は、以下に示すように、前記一次粒子(例えば、シリカ一次粒子)を化学結合にさせて二次凝集を形成させる。
前記シラン系処理剤として、前記アルコキシシラン類、前記シラン系カップリング剤等を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、下記式(A)に示すように、前記シリカ一次粒子に結合するシラノール基とシラン系処理剤に結合するアルコキシ基が反応し、脱アルコールにより、新たなSi−O−Si結合を形成して二次凝集する。
前記シラン系処理剤として、前記クロロシラン類を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、前記クロロシラン類のクロル基と、前記シリカ一次粒子に結合するシラノール基とが脱塩化水素反応により、新たなSi−O−Si結合するシラノール基が脱水反応により、新たなSi−O−Si結合を形成して二次凝集する。また、前記シラン系処理剤として、前記クロロシラン類を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、系に水が共存する際には、まずクロロシラン類が水に加水分解してシラノール基を生成し、該シラノール基とシリカ一次粒子に結合するシラノール基が脱水反応により、新たなSi−O−Si結合を形成して二次凝集する。
前記シラン系処理剤として、シラザン類を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、アミノ基とシリカ一次粒子に結合するシラノール基が脱アンモニアすることにより、新たなSi−O−Si結合を形成して二次凝集する。
ただし、前記式(A)中、Rは、アルキル基を示す。
−エポキシ系処理剤−
前記エポキシ系処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フエノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
前記エポキシ系処理剤は、下記式(B)に示すように、前記シリカ一次粒子を化学結合させて二次凝集を形成させる。前記エポキシ系処理剤を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、前記シリカ一次粒子に結合するシラノール基が、前記エポキシ系処理剤のエポキシ基酸素原子及びエポキシ基に結合する炭素原子を付加することにより、新たなSi−O−C結合を形成して二次凝集する。
前記処理剤と前記一次粒子との混合質量比(一次粒子:処理剤)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100:0.01〜100:50が好ましい。なお、前記処理剤の量が多いほど、合着度が高くなる傾向にある。
前記処理剤と前記一次粒子との混合方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の混合機(スプレードライヤー等)により混合する方法などが挙げられる。なお、前記混合する際は、前記一次粒子を調製した後に前記処理剤を混合して調製してもよいし、前記一次粒子を調製する際に前記処理剤を共存させて、一段反応にて調製してもよい。
本製造方法によれば、平均二次粒子径Dの粒度分布においてD50/D10が1.2以下であることが必要であり、特に1.15以下が好ましい。ここで、D50はFE−SEMにより観測される二次粒子径の小粒子側から計測した50%目の平均粒子径、D10は小粒子側から計測した10%目の平均粒子径を表している。D50/D10は、二次粒子径の小粒子と中心径粒子の割合を示しており、この値が大きくなることは二次粒子径の小さい粒子が多いことを表している。すなわち、合着が進んでいない一次粒子の状態で存在している粒子Aか、あるいは合着は進んでいるが、一次粒子自体が小さな粒子径である粒子Bが多いかのどちらか、あるいは両方であることを意味する。このような粒子AあるいはBはそれぞれ十分な機能を有さない。粒子Aについては異形添加剤としての機能が果たしきれず、耐埋没性に劣るため、異常画像発生の懸念があり、一方のBはスペーサー効果の機能を果たすことができず、外部ストレスによる埋没を抑制できない可能性が高い。これらの粒子を低減する、すなわち、D10は大きいことが望ましい。D50/D10が1.2を超えると、上記の粒子AおよびBが多すぎるため、埋没抑制のために特徴づけている異形添加剤としての機能を果たしにくい。
前記合着粒子は、下記式(1)を満たせば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記合着粒子は、一定の攪拌条件下においても、一次粒子同士の凝集力(合着力)が維持されるため、トナーの耐久性が高まる。
(Nx/1000)×100≦30・・・(1)
ただし、前記式(1)中、Nxは、前記外添剤の粒子1,000個中に占める合着していない一次粒子の個数を示す。なお、前記粒子1,000個中に占める合着していない一次粒子の個数は、50mLの瓶に入れた前記外添剤0.5g及びキャリア49.5gに対し、67Hz、10分間の条件でロッキングミル(株式会社セイワ技研製)を用いて攪拌した後、走査電子顕微鏡にて観察して選択する。
前記合着粒子の凝集力が強い場合(図16Cに示すように、前記合着粒子1,000個中に占める合着していない一次粒子(例えば、図16C中、黒枠内で示される粒子)の割合が30%以下である場合)、トナー中の外添剤が現像器などの負荷によって割れ乃至崩壊をおこす粒子(割れ乃至崩壊粒子)が少なくなり、外添剤の埋没や転動が抑制され、経時でのゴーストなどの異常画像発生を抑制できる。
前記式(1)中、前記合着していない一次粒子とは、前記一次粒子として単独して存在する粒子を指し、前記ペイントコンディショナーを用いて前記攪拌条件にて前記合着粒子を攪拌した後に割れ乃至崩壊が生じた粒子であり、例えば、図16Bの符号2や図16C、図16Dで示すように、前記一次粒子が合着されずに、粒子単独で存在している粒子などが挙げられる。
前記式(1)中、前記合着していない一次粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、図16Bの符号2で示すように、球形の状態で存在することが多い。
前記式(1)中、前記合着していない一次粒子が存在していることを確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、走査電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより、粒子単独で存在していることを確認する方法が好ましい。
前記合着していない一次粒子の体積平均粒子径の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、走査電子顕微鏡(FE−SEM、加速電圧:5kV〜8kV、観察倍率:8,000倍〜10,000倍)にて視野中の合着していない一次粒子の粒子径の平均値を計測(計測した粒子数:100個以上)することにより行う。
前記式(1)中、前記粒子1,000個中に占める合着していない一次粒子の計測としては、前記攪拌した後、走査電子顕微鏡にて観察し、図Jの符号2や図K〜Lの黒枠内で示される粒子のように、粒子単独で存在している粒子を、合着していない一次粒子1個として計測する。
前記式(1)中、前記粒子1,000個中に占める割れ乃至崩壊粒子の個数を計測する際、前記走査電子顕微鏡にて複数個の粒子が合着されてなる合着粒子が確認された場合、前記合着粒子は、粒子1個として計測する。
前記式(1)中、前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルミナ粒子を含むアクリル樹脂及びシリコーン樹脂の保護層形成溶液を焼成フェライト粉表面に塗布乃至乾燥して得られる被覆フェライト粉を用いることが好ましい。
前記式(1)中、前記50mLの瓶としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、市販されているガラス瓶(日電理化硝子株式会社製)などが挙げられる。
−合着粒子の特性−−
前記合着粒子の合着度(二次粒子の体積平均粒子径/一次粒子の体積平均粒子径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.5〜4.0が好ましい。前記合着度が、1.5未満であると、前記外添剤が前記母体粒子の表面の凹部に転がりやすく、転写性に優れないことがあり、4.0を超えると、トナーから前記外添剤が剥がれやすく、キャリア汚染や感光体に対して傷付けたりするため、経時での画像欠陥となることがある。
前記合着粒子の一次粒子同士が合着されていることを確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、走査電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより、一次粒子同士が合着されていることを確認する方法が好ましい。
前記合着粒子を用いることにより、トナーの高流動性を実現し、現像器内にて攪拌されるなどトナーに負荷が与えられた場合においても外添剤の埋没や転動が抑制されることで経時での高転写率を維持することが可能となる。
前記外添剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、母体粒子100質量部に対して、0.1質量部〜5.0質量部が好ましい。
−乾式法−
前記乾式法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、図17に示すような装置を用いて行うことができる。
図17に示す装置は、原料の珪素化合物を気化して供給するための蒸発器501、原料の珪素化合物ガスを供給するための供給管502、可燃性ガスを供給するための供給管503、支燃性ガスを供給するための供給管504、これらの供給管502、503、504に接続したバーナー505、反応器506(火炎加水分解反応を行う)、反応器506の下流側に連結された冷却管507A、507B、507C、製造されたシリカ粉末を回収する回収装置508、回収装置508の下流に設置された排ガス処理装置509A、及び排風機509Bを有する。
例えば、供給管504を開いて酸素ガスをバーナーに供給し、着火用バーナーに点火した後、供給管503を開いて水素ガスをバーナーに供給して火炎を形成し、これに四塩化珪素を蒸発器501にてガス化して供給して、火炎加水分解反応を行わせ、生成したシリカ粉末を回収装置508のバグフィルターで回収する。粉末回収後の排ガスは排ガス処理装置509Aで処理し、排風機509Bを通じて排気する。
前記外添剤における前記非球形の外添剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10質量%〜90質量%が好ましく、25質量%〜60質量%がより好ましく、35質量%〜55質量%が特に好ましい。
前記トナーにおける前記外添剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、母体粒子100質量部に対して、0.5質量部〜8.0質量部が好ましく、2.0質量部〜7.0質量部がより好ましく、3.5質量部〜5.5質量部が特に好ましい。
トナーに用いる結着樹脂としては、特に制限はなく、少なくとも2種類以上の樹脂を含むことが好ましく、ポリエステル系樹脂、シリコーン樹脂、スチレン・アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ジエン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、クマリン樹脂、アミドイミド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂等、公知の結着樹脂を用いることができる。
この中でもトナー用の樹脂相には、定着時にシャープメルトし、画像表面を平滑化できる点で、低分子量化しても十分な可とう性を有しているポリエステル樹脂が好ましく、ポリエステル系樹脂にさらに他の樹脂を組み合せて用いても良い。ポリエステル系樹脂とは、一般式
A−(OH)m・・・(1)
[式中、Aは炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有していてもよい芳香族基若しくはヘテロ環芳香族基を表す。mは2〜4の整数を表す。]
で表される1種若しくは2種以上のポリオールと、一般式
B−(COOH)n・・・(2)
[式中、Bは炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有していてもよい芳香族基若しくはヘテロ環芳香族基を表す。nは2〜4の整数を表す。]
で表される1種若しくは2種以上のポリカルボン酸とをポリエステル化したものである。
一般式(1)で表される具体的なポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタン
トリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールA酸化エチレン付加物、ビスフェノールA酸化プロピレン付加物、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA酸化エチレン付加物、水素化ビスフェノールA酸化プロピレン付加物等が挙げられる。
一般式(2)で表される具体的なポリカルボン酸としては、マレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ
(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(トリメリット酸)等が挙げられる。
(活性水素基含有化合物)
活性水素基含有化合物は、水系媒体中で、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体が伸長反応、架橋反応等する際の伸長剤、架橋剤等として作用する。活性水素基含有化合物としては、活性水素基を有していれば特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、該活性水素基含有化合物と反応可能な重合体がイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)である場合には、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)と伸長反応、架橋反応等の反応により高分子量化可能な点で、アミン類(B)が好適である。
活性水素基としては、活性水素基を有すれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基又はフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、等を用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルコール性水酸基が特に好ましい。
アミン類(B)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)、などを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジアミン(B1)、ジアミン(B1)と少量の3価以上のポリアミン(B2)との混合物、が特に好ましい。
ジアミン(B1)としては、例えば、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン、等が挙げられる。該芳香族ジアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'ジアミノジフェニルメタン等が挙げられる。該脂環式ジアミンとしては、例えば、4,4'−ジアミノ−3,3'ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等が挙げられる。該脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。
3価以上のポリアミン(B2)としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、等が挙げられる。また、アミノアルコール(B3)としては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリン、等が挙げられる。また、アミノメルカプタン(B4)としては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタン、等が挙げられる。また、アミノ酸(B5)としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸、等が挙げられる。
B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、例えば、B1からB5のいずれかのアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物、等が挙げられる。
活性水素基含有化合物と活性水素基含有化合物と反応可能な重合体との伸長反応、架橋反応等を停止させるには、反応停止剤を用いる。反応停止剤を用いると、接着性基材の分子量等を所望の範囲に制御することができる点で好ましい。該反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン等)、又はこれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)、などを用いることができる。
アミン類(B)と、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)との混合比率としては、イソシアネート基含有プレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3〜3/1であることが好ましく、1/2〜2/1であることがより好ましく、1/1.5〜1.5/1であることが特に好ましい。何故なら、混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3未満であると、低温定着性が低下することがあり、3/1を超えると、ウレア変性ポリエステル樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがあるからである。
(活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)
活性水素基含有化合物と反応可能な重合体(以下「プレポリマー」)としては、活性水素基含有化合物と反応可能な部位を少なくとも有しているものであれば特に制限はなく、公知の樹脂等の中から適宜選択することができ、例えば、ポリオール樹脂、ポリアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、これらの誘導体樹脂、等を用いることができる。これらの中でも、溶融時の高流動性、透明性の点で、ポリエステル樹脂が特に好ましい。なお、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
プレポリマーにおける活性水素基含有化合物と反応可能な部位としては、特に制限はなく、公知の置換基等の中から適宜選択することができるが、例えば、イソシアネート基、エポキシ基、カルボン酸、酸クロリド基、等が挙げられる。これらは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。これらの中でも、イソシアネート基が特に好ましい。プレポリマーの中でも、高分子成分の分子量を調節し易く、乾式トナーにおけるオイルレス低温定着特性、特に定着用加熱媒体への離型オイル塗布機構のない場合でも良好な離型性及び定着性を確保できる点で、ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)が特に好ましい。
ウレア結合生成基としては、例えば、イソシアネート基、等が挙げられる。ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)における該ウレア結合生成基が該イソシアネート基である場合、該ポリエステル樹脂(RMPE)としては、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)等が特に好適である。イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物であり、かつ活性水素基含有ポリエステル樹脂をポリイソシアネート(PIC)と反応させてなるもの、等が挙げられる。ポリオール(PO)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール(DIO)、3価以上のポリオール(TO)、ジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合物、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジオール(DIO)単独、又はジオール(DIO)と少量の3価以上のポリオール(TO)との混合物、が好ましい。ジオール(DIO)としては、例えば、アルキレングリコール、アルキレンエーテルグリコール、脂環式ジオール、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、等が挙げられる。
アルキレングリコールとしては、炭素数2〜12のものが好ましく、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。アルキレンエーテルグリコールとしては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。また、脂環式ジオールとしては、例えば、1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等が挙げられる。また、脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、脂環式ジオールに対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物としたもの等が挙げられる。また、ビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等が挙げられる。また、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、ビスフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物としたもの等が挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等が好ましく、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物と炭素数2〜12のアルキレングリコールとの混合物が特に好ましい。
3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価又はそれ以上のものが好ましく、例えば、3価以上の多価脂肪族アルコール、3価以上のポリフェノール類、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、等が挙げられる。また、3価以上の多価脂肪族アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。また、3価以上のポリフェノール類としては、例えば、トリスフェノール体(本州化学工業株式会社製のトリスフェノールPAなど)、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。また、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物としては、例えば、3価以上のポリフェノール類に対し、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加物したもの等が挙げられる。
ジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合物におけるジオール(DIO)と3価以上のポリオール(TO)との混合質量比(DIO:TO)としては、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
ポリカルボン酸(PC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジカルボン酸(DIC)、3価以上のポリカルボン酸(TC)、ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸との混合物、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジカルボン酸(DIC)単独、又はジカルボン酸(DIC)と少量の3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物が好ましい。
ジカルボン酸(DIC)としては、例えば、アルキレンジカルボン酸、アルケニレンジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、等が挙げられる。また、アルキレンジカルボン酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等が挙げられる。また、アルケニレンジカルボン酸としては、炭素数4〜20のものが好ましく、例えば、マレイン酸、フマール酸等が挙げられる。また、芳香族ジカルボン酸としては、炭素数8〜20のものが好ましく、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。これらの中でも、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸、炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が好ましい。
3価以上のポリカルボン酸(TC)としては、3〜8価又はそれ以上のものが好ましく、例えば、芳香族ポリカルボン酸、等が挙げられる。また、芳香族ポリカルボン酸としては、炭素数9〜20のものが好ましく、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
ポリカルボン酸(PC)としては、ジカルボン酸(DIC)、3価以上のポリカルボン酸(TC)、及び、ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸との混合物、から選択されるいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステル物を用いることもできる。低級アルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。
ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合物におけるジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合質量比(DIC:TC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)とを重縮合反応させる際の混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリオール(PO)における水酸基[OH]と、ポリカルボン酸(PC)におけるカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が、通常、2/1〜1/1であるのが好ましく、1.5/1〜1/1であるのがより好ましく、1.3/1〜1.02/1であるのが特に好ましい。
ポリオール(PO)のイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%が特に好ましい。何故なら、含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、トナーの耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがあるからである。
ポリイソシアネート(PIC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート、イソシアヌレート類、これらのフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタム等でブロックしたもの、などが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。また、脂環式ポリイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。また、芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4'−ジイソシアネート、4,4'−ジイソシアナト−3,3'−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4'−ジイソシアネート等が挙げられる。また、芳香脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。また、イソシアヌレート類としては、例えば、トリス(イソシアナトアルキル)イソシアヌレート、トリイソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート等が挙げられる。これらは、1種単独でも使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリイソシアネート(PIC)と、活性水素基含有ポリエステル樹脂(例えば水酸基含有ポリエステル樹脂)とを反応させる際の混合比率としては、ポリイソシアネート(PIC)におけるイソシアネート基[NCO]と水酸基含有ポリエステル樹脂における水酸基[OH]との混合当量比([NCO]/[OH])が、通常、5/1〜1/1であるのが好ましく、4/1〜1.2/1でるのがより好ましく、3/1〜1.5/1であるのが特に好ましい。何故なら、イソシアネート基[NCO]が、5を超えると、低温定着性が悪化することがあり、1未満であると、耐オフセット性が悪化することがあるからである。
ポリイソシアネート(PIC)のイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5〜40質量%が好ましく、1〜30質量%がより好ましく、2〜20質量%がさらに好ましい。何故なら、含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性とを両立させることが困難になることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化するからである。
イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)の1分子当たりに含まれるイソシアネート基の平均数としては、1以上が好ましく、1.2〜5がより好ましく、1.5〜4がより好ましい。何故なら、イソシアネート基の平均数が1未満であると、ウレア結合生成基で変性されているポリエステル樹脂(RMPE)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化するからである。
活性水素基含有化合物と反応可能な重合体の重量平均分子量(Mw)としては、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、3,000〜40,000が好ましく、4,000〜30,000がより好ましい。何故なら、重量平均分子量(Mw)が、3,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、40,000を超えると、低温定着性が悪化することがあるからである。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による分子量分布の測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。すなわち、まず、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度でカラム溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度を0.05〜0.6質量%に調整した樹脂のテトラヒドロフラン試料溶液を50〜200μl注入して測定する。試料における分子量の測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical Co.又は東洋ソーダ工業社製の分子量が6×102、2.1×102、4×102、1.75×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、及び4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いることが好ましい。なお、検出器としてはRI(屈折率)検出器を用いることができる。
(安定化剤)
トナー組成物が分散された油性相を水が含まれる液体には、乳化、分散するための各種の安定化剤が用いられる。このような分散剤には、界面活性剤、無機粒子分散剤、ポリマー粒子分散剤等が包含される。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ビス(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102、(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F−150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級もしくは三級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
また、水に難溶の無機化合物分散剤としてリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等も用いることができる。
また、粒子ポリマーも無機分散剤と同様な効果が確認された。例えばMMAポリマー粒子1μm、及び3μm、スチレン粒子0.5μm及び2μm、スチレン−アクリロニトリル粒子ポリマー1μm、(PB−200H(花王製)SGP(総研)、テクノポリマーSB(積水化成品工業)、SGP−3G(総研)ミクロパール(積水ファインケミカル))等がある。
また、上記の無機分散剤、粒子ポリマーと併用して使用可能な分散剤としては、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ピニル、プロピオン酸ピニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
(その他の成分)
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、離型剤、帯電制御剤、無機粒子、流動性向上剤、クリーニング性向上剤、磁性材料、金属石鹸、等が挙げられる。
(着色剤)
トナー用の着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料及び顔料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
着色剤のトナーにおける含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1〜15質量%が好ましく、3〜10質量%がより好ましい。着色剤の含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良が起こり、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして使用してもよい。樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ポリエステル、スチレン又はその置換体の重合体、スチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記スチレン又はその置換体の重合体としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン、等が挙げられる。前記スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレンービニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレンーアクリロニトリルーインデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体、等が挙げられる。
マスターバッチは、マスターバッチ用樹脂と、着色剤とを高せん断力をかけて混合又は混練して製造することができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶媒を添加することが好ましい。また、いわゆるフラッシング法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができ、乾燥する必要がない点で好適である。このフラッシング法は、着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶媒とともに混合又は混練し、着色剤を樹脂側に移行させて水分及び有機溶媒成分を除去する方法である。前記混合又は混練には、例えば、三本ロールミル等の高せん断分散装置が好適に用いられる。着色剤は2樹脂に対する親和性の差を利用することで、第一の樹脂相、第二の樹脂相いずれにも任意に含有させることが出来る。着色剤はトナー表面に存在した際にトナーの帯電性能を悪化させることが良く知られている。そのため内層に存在する第一の樹脂相に選択的に着色剤を含有させることで、トナーの帯電性能(環境安定性、電荷保持能、帯電量等)を向上させることが出来る。
(離型剤)
離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、融点が50〜120℃の低融点の離型剤が好ましい。低融点の離型剤は、前記樹脂と分散されることにより、離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これによりオイルレス(定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布しない)でもホットオフセット性が良好である。
離型剤としては、例えば、ロウ類、ワックス類、等が好適に挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、例えば、カルナウバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス;ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス;オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス;パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス;などの天然ワックスが挙げられる。また、これら天然ワックスのほか、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス;エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス;などが挙げられる。更に、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド;低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等);側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子、などを用いてもよい。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50〜120℃が好ましく、60〜90℃がより好ましい。融点が、50℃未満であると、ワックスが耐熱保存性に悪影響を与えることがあり、120℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。離型剤の溶融粘度としては、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、10〜100cpsがより好ましい。溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0〜40質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が悪化することがある。
離型剤は2樹脂に対する親和性の差を利用することで、第一の樹脂相、第二の樹脂相いずれにも任意に含有させることが出来る。トナー外層に存在する第二の樹脂相に選択的に含有させることで、離型剤の染み出しが定着時の短い加熱時間でも充分生じるため、充分な離型性を得ることができる。また、離型剤を内層に存在する第一の樹脂相に選択的に含有させることで、感光体、キャリア等の他の部材への離型剤のスペントを抑制させることができる。離型剤の配置を比較的自由に設計することがあり、各々の画像形成プロセスに応じて任意の配置を取ることが出来る。
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系化合物などが挙げられる。
前記帯電制御剤の商品名としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージNEG VP2036、NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、LR−147(以上、日本カーリット社製)などが挙げられる。
前記帯電制御剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがある。前記帯電制御剤は、マスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後、溶解分散させてもよく、前記有機溶剤に、直接溶解乃至分散する際に加えてもよく、トナー表面にトナー粒子を作成した後に固定化させてもよい。
前記母体粒子は、前記変性ポリエステル樹脂、前記未変性ポリエステル樹脂及び前記着色剤を含有し、かつ前記母体粒子は、前記変性ポリエステル樹脂の前駆体である前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体、前記活性水素基含有化合物、前記未変性ポリエステル樹脂、並びに前記着色剤を有機溶剤中に添加し乳化乃至分散させて乳化乃至分散液を得た後、前記乳化乃至分散液中で前記活性水素基含有化合物及び前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体を伸長乃至架橋反応させて得られることが好ましい。
<トナーの製造方法>
前記トナーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉砕法により製造する方法、重合法により製造する方法などが挙げられる。これらの中でも、トナーを小粒径化することができる点で、重合法により製造する方法が好ましい。
<粉砕法>
前記粉砕法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トナー材料を溶融乃至混練し、粉砕乃至分級することにより母体粒子を製造する
方法などが挙げられる。なお、前記トナーの平均円形度を0.97〜1.0にする目的で、得られたトナーの母体粒子に対し、機械的衝撃力を与えて形状を制御してもよい。この場合、該機械的衝撃力を与える方法としては、例えば、ハイブリタイザー、メカノフュージョンなどの装置を用いる方法などが挙げられる。また、このようにして製造された母体粒子に対し、外添剤で処理することにより、トナーが得られる。
<重合法>
前記重合法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、懸濁重合法、溶解懸濁重合法、乳化重合凝集法などが挙げられる。これらの中でも、乳化重合凝集法が好ましく、溶解懸濁法がより好ましい。
−溶解懸濁法−
前記溶解懸濁法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水系造粒により製造する方法が好ましく、油相調製工程、水相調製工程、乳化乃至分散工程、溶剤除去工程、洗浄乃至乾燥工程、及び外添剤処理工程を含むことにより製造する
方法がより好ましい。
前記溶解懸濁法の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも前記結着樹脂及び前記着色剤を有機溶剤中に溶解乃至分散させて得られるトナー材料の溶解乃至分散液を水相中に添加し乳化乃至分散させて乳化乃至分散液を得た後、前記乳化乃至分散液中から前記有機溶剤を除去して得られる母体粒子と、外添剤とを混合して、トナーを製造する方法が好ましい。
前記溶解懸濁法の中でも、エステル伸長法が好ましく、該エステル伸長法の具体例としては、少なくとも前記活性水素基含有化合物、前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体、前記結着樹脂、及び前記着色剤を有機溶剤中に溶解乃至分散させて得られるトナー材料の溶解乃至分散液を、水相中に添加し乳化乃至分散させて乳化乃至分散液を得た後、前記乳化乃至分散液中で前記活性水素基含有化合物及び前記活性水素基含有化合物と反応可能な部位を有する重合体を伸長乃至架橋反応させ、該乳化乃至分散液から前記有機溶剤を除去して得られる母体粒子と、外添剤とを混合して、トナーを製造する方法が好ましい。
−油相調製工程−
前記油相調製工程は、少なくとも前記結着樹脂、及び前記着色剤などを含むトナー材料を、有機溶剤に溶解乃至分散させて油相(トナー材料の溶解乃至分散液)を調製する工程である。また、前記トナー材料における前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体な部位を有する重合体以外の成分は、後述する水相の調製において、水系媒体中に添加混合してもよいし、トナー材料の溶解乃至分散液を水系媒体に添加する際に、溶解乃至分散液と共に水系媒体に添加してもよい。
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、溶剤除去が容易である点で、沸点が150℃未満の有機溶剤が好ましい。前記沸点が150℃未満の有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以
上を併用してもよい。これらの中でも、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等が好ましく、酢酸エチルが好ましい。前記有機溶剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー材料100質量部に対し40質量部〜300質量部が好ましく、60質量部〜140質量部がより好ましく、80質量部〜120質量部が特に好ましい。
−水相調製工程−
前記水相調製工程は、水相(水系媒体)を調製する工程である。前記水相としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、水と混和可能な溶剤、これらの混合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水が好ましい。前記混和可能な溶剤としては、例えば、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ(登録商標)等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)などが挙げられる。
−乳化乃至分散工程−
前記乳化乃至分散工程は、前記油相を、前記水相中に分散させて乳化乃至分散物を得る工程である。前記トナー材料は、必ずしも、前記水相中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよく、例えば、前記着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。前記トナー材料100質量部に対する水相の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50質量部〜2,000質量部が好ましく、100質量部〜1,000質量部がより好ましい。前記使用量が、50質量部未満であると、前記トナー材料の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られないことがあり、2,000質量部を超えると、経済的でないことがある。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
前記乳化乃至分散工程において使用される分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤、フルオロアルキル基を有するカチオン界面活性剤、無機化合物(リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等)、粒子ポリマー(MMAポリマー粒子1μm、MMAポリマー粒子3μm、スチレン粒子0.5μm、スチレン粒子2μm、スチレン−アクリロニトリル粒子ポリマー1μm等)などが挙げられる。これらの中でも、非常に少量でその効果をあげることができる点で、フルオロアルキル基を有する界面活性剤が好ましい。
前記分散剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、樹脂粒子分散液の場合、0.01質量%〜1質量%が好ましく、0.02質量%〜0.5質量%がより好ましく、0.1質量%〜0.2質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.01質量%未満の場合、乳化乃至分散物のpHが十分に塩基性でない状態で凝集が生じることがある。前記分散剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、着色剤分散液又は離型剤分散液の場合、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましく、0.5質量%〜0.2質
量%が特に好ましい。前記含有量が、0.01質量%未満では、凝集時に各粒子間の安定性が異なるため、特定粒子の遊離が生じることがあり、10質量%を超えると、粒子の粒度分布が広くなったり、粒子径の制御が困難になることがある。
前記分散剤の商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−l21(以上、旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29、FC−135(以上、住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、DS−202(以上、ダイキン工業社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−150、F−191、F−812、F−824、F−833(以上、大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、132、306A、501、201、204、(以上、トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F−300、F150(以上、ネオス社製)、SGP、SGP−3G(以上、総研社製)、PB−200H(花王社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)などが挙げられる。
前記分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、トナーの帯電面の点で、反応後、洗浄除去することが好ましい。更に、粒度分布がシャープとなり、トナー材料の粘度を低くする点で、ポリエステルプレポリマーの反応後の変性ポリエステル樹脂を可溶する溶剤を使用することが好ましい。前記溶剤としては、除去が容易である点で、沸点が100℃未満の揮発性の溶剤が好ましく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼ
ン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、メタノールなどの水混和性溶剤が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。
前記乳化乃至分散工程において使用される分散機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機などが挙げられる。これらの中でも、分散体(油滴)の粒子径を2μm〜20μmに制御することができる点で、高速せん断式分散機が好ましい。
前記高速せん断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度等の条件は、目的に応じて適宜選択することができる。
前記回転数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000rpm〜30,000rpmが好ましく、5,000rpm〜20,000rpmがより好ましい。
前記分散時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、バッチ方式の場合、0.1分間〜5分間が好ましい。
前記分散温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、加圧下において、0℃〜150℃が好ましく、40℃〜98℃がより好ましい。なお、一般に、前記分散温度が高温である方が分散は容易である。
−溶剤除去工程−
前記溶剤除去工程は、前記乳化乃至分散物(乳化スラリー等の分散液)から有機溶剤を除去する工程である。前記有機溶剤を除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、反応系全体を徐々に昇温させて油滴中の有機溶剤を蒸発させる方法、分散液を乾燥雰囲気(空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体)中に噴霧(スプレードライヤー、ベルトドライアー、ロータリーキルン等)して油滴中の有機溶剤を除去する方法などが挙げられる。この方法により短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。前記有機溶剤が除去されると、母体粒子が形成される。
−洗浄乃至乾燥工程−
前記洗浄乃至乾燥工程は、前記母体粒子を洗浄乃至乾燥する工程である。前記母体粒子は、更に分級等を行ってもよい。前記分級は、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離などにより、微粒子部分を取り除くことにより行ってもよいし、乾燥後に分級操作を行ってもよい。なお、得られた不要の微粒子又は粗粒子は、再び微粒子の形成に用いることができる。その際、微粒子又は粗粒子は、ウェット状態でも構わない。
−外添剤処理工程−
前記外添剤処理工程は、乾燥後の前記母体粒子と、前記外添剤とを混合して処理する工程である。前記母体粒子と、前記外添剤とを混合することにより、前記トナーが得られる。前記混合に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)が好ましい。なお、前記母体粒子の表面から前記外添剤等の粒子が脱離することを抑制するために、機械的衝撃力を印加してもよい。前記機械的衝撃力を印加する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高速で回転する羽根を用いて混合物に衝撃力を印加する方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させて粒子同士又は粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などが挙げられる。前記方法に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
<トナーの特性>
前記トナーにおける体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.30以下が好ましく、1.00〜1.30がより好ましい。前記比(Dv/Dn)が、1.00未満であると、現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力の低下やクリーニング性の悪化につながり易くなることがある。前記比(Dv/Dn)が、1.30を超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
前記トナーの平均円形度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.95〜0.98が好ましい。前記平均円形度が、0.95未満であると、現像時の画像均一性が悪化し、感光体から中間転写体又は中間転写体から記録材へのトナー転写効率が低下し均一転写が得られなくなることがある。溶解懸濁法による製造方法は、水系媒体中で乳化処理をしてトナーを作製するものであり、特にカラートナーにおける小粒径化や、平均円形度が上記の範囲の形状を得るために効果的である。
前記平均円形度の測定は、例えば、フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000;シスメックス社製)を用いて測定を行うことができる。所定の容器に、予め不純固形物を除去した水100mL〜150mLを入れ、分散剤として界面活性剤0.1mL〜0.5mLを加え、更に、測定試料0.1g〜9.5g程度を加える。試料を分散した懸濁液を超音波分散器で約1分間〜3分間、分散処理を行ない、分散液濃度を3,000個/μL〜10,000個/μLにしてトナーの形状及び分布を測定する。
<現像剤の製造方法>
前述の現像剤の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記キャリアと、前記トナーとを混合して、タービュラーミキサーにより攪拌することにより製造する方法などが挙げられる。
(補給用現像剤)
補給用現像剤は、前述のキャリアと、前述のトナーとを含む。また、前記補給用現像剤は、現像装置内の余剰の現像剤を排出しながら画像形成を行う画像形成装置に適用することができる。また、前記補給用現像剤を用いる現像装置は、極めて長期に渡って安定した画像品質が得ることができる。即ち、前記補給用現像剤を用いた画像形成装置は、現像装置内の劣化したキャリアと、補給用現像剤中の劣化していないキャリアを入れ替え、長期間に渡って帯電量を安定に保つことができるため、安定した画像を得ることができる。本方式は、特に高画像面積印字時に有効である。高画像面積印字時の劣化は、キャリアへのトナースペントによるキャリア帯電能力低下が主なキャリアの劣化であるが、本方式を用いることで、高画像面積時には、キャリア補給量も多くなるため、劣化したキャリアが入れ替わる頻度が高くなる。
前記補給用現像剤中のキャリアの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3質量%以上30質量%未満が好ましい。
補給用現像剤の混合比率は、キャリア1質量部に対してトナーを2質量部〜50質量部、好ましくは、5質量部〜12質量部の配合割合とすることが好ましい。トナーが2質量部未満の場合には、補給キャリア量が多すぎ、キャリア供給過多となり現像装置中のキャリア濃度が高くなりすぎるため、トナーの帯電量が増加しやすい。又、トナーの帯電量が上がることにより、現像能力が下がり画像濃度が低下してしまう。また50質量部を超えると、補給用現像剤中のキャリア割合が少なくなるため、画像形成装置中のキャリアの入れ替わりが少なくなり、キャリア劣化に対する効果が期待できなくなる。
(現像装置)
前記現像装置は、前述の現像剤を備えてなり、必要に応じて適宜その他の構造を有してなる。前記現像剤が、形状が容易に変形する収納容器に充填されてなり、前述の補給用現像剤を吸引ポンプで吸引して前記現像装置に供給する現像剤補給装置を有することが好ましい。
図18は、現像装置の一例を示す図である。感光体20に対向して配設された現像装置40は、現像スリーブ41、現像剤収容部材42、ドクターブレード43、支持ケース44等からなる。
感光体20側に開口を有する支持ケース44には、内部にトナー21を収容するトナー収容部としてのトナーホッパー45が接合されている。トナーホッパー45に隣接した、トナー21と、キャリア23からなる現像剤を収容する現像剤収容部46には、トナー21とキャリア23を撹拌し、トナー21に摩擦/剥離電荷を付与するための、現像剤撹拌機構47が設けられている。トナーホッパー45の内部には、図示しない駆動手段によって回動されるトナー供給手段としてのトナーアジテータ48及びトナー補給機構49が配設されている。トナーアジテータ48及びトナー補給機構49は、トナーホッパー45内
のトナー21を現像剤収容部46に向けて撹拌しながら送り出す。感光体20とトナーホッパー45との間の空間には、現像スリーブ41が配設されている。図示を省略している駆動手段で図の矢印方向に回転駆動される現像スリーブ41は、キャリア23による磁気ブラシを形成するために、その内部に現像装置40に対して相対位置不変に配設された、磁界発生手段としての図示しない磁石を有する。現像剤収容部材42の、支持ケース44に取り付けられた側と対向する側には、ドクターブレード43が一体的に取り付けられている。ドクターブレード43は、この例では、その先端と現像スリーブ41の外周面との
間に一定の隙間を保った状態で配設されている。
(画像形成装置及び画像形成方法)
画像形成装置は、感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、前記感光体上に形成された静電潜像を、前述の現像剤を用いて現像してトナー像を形成する、前記現像剤を収容する現像手段と、前記感光体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着手段とを含む。前記現像手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、磁気ブラシが形成された現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する手段が好ましい。前記現像手段とし
ては、例えば、前記現像装置などが挙げられる。
画像形成方法は、感光体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記感光体上に形成された静電潜像を、前述の現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する現像工程と、前記感光体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に転写されたトナー像を定着させる定着工程とを含む。前記現像工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、磁気ブラシが形成された現像剤を用いて現像し、トナー像を形成する工程が好ましい。
画像形成装置の実施形態について、図19を用いて説明する。
図19に示されるように、まず、感光体20が所定の周速度で回転駆動され、帯電装置32により、感光体20の周面が正又は負の所定電位に均一に帯電される。次に、露光装置33により感光体20の周面が露光され、静電潜像が順次形成される。更に、感光体20の周面に形成された静電潜像は、現像装置40により、キャリア及びトナーを含む現像剤を用いて現像され、トナー像が形成される。次に、感光体20の周面に形成されたトナー像は、感光体20の回転と同期され、給紙部から感光体20と転写装置50との間に給紙された転写紙に、順次転写される。更に、トナー像が転写された転写紙は、感光体20の周面から分離されて定着装置に導入されて定着された後、複写物(コピー)として、画像形成装置の外部へプリントアウトされる。一方、トナー像が転写された後の感光体20の表面は、クリーニング装置60により、残留したトナーが除去されて清浄化された後、除電装置70により除電され、繰り返し画像形成に使用される。
画像形成装置は、前述の補給用現像剤を前記現像装置に補給するとともに、前記現像装置内の余剰となった現像剤を排出しながら現像を行うことが好ましい。また、前記補給用現像剤が、形状が容易に変形する収納容器に充填されてなり、前記補給用現像剤を吸引ポンプで吸引して前記現像装置に供給する現像剤補給装置を備えることが好ましい。
図20は、画像形成装置の他の例を示す図である。感光体20は、導電性支持体上に少なくとも感光層が設けられており、駆動ローラ24a、24bにより駆動され、帯電装置32による帯電、露光装置33による像露光、現像装置40による現像、コロナ帯電器を有する転写装置50を用いる転写、クリーニング前露光光源26によるクリーニング前露光、ブラシ状クリーニング手段64及びクリーニングブレード61によるクリーニング、除電装置70による除電が繰り返し行われる。感光体20(勿論この場合は支持体が透光性である)に支持体側よりクリーニング前露光が行われる。
(プロセスカートリッジ)
プロセスカートリッジは、感光体と、該感光体上に形成された静電潜像を、前述の現像剤を用いて現像する現像手段とを有し、画像形成装置に支持される。
プロセスカートリッジの実施形態について、図21を用いて説明する。
図21に示されるように、プロセスカートリッジ10は、感光体11、該感光体11を帯電する帯電装置12、該感光体上に形成された静電潜像を前述の現像剤を用いて現像してトナー像を形成する現像装置13、及び該感光体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写した後、該感光体上に残留したトナーを除去するクリーニング装置14を有し、複写機、プリンタ等の画像形成装置の本体に対して着脱可能である。
前記プロセスカートリッジとしては、余剰の現像剤を排出し、新たに現像剤が補充されるものであることが好ましく、静電潜像が形成される感光体と、前記感光体上の静電潜像を可視像化する現像装置とが一体に支持されてなり、前記補給用現像剤を前記現像装置に補給するとともに、前記現像装置から現像剤を排出する画像形成装置本体に着脱可能に備えられることが好ましい。また、プロセスカートリッジ内の現像装置が、前記現像装置内現像剤を有することが好ましい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は実施例に限定されない。
尚、以下の説明において「部」及び「%」は、特に断りのない限り、「質量部」及び「質量%」を意味する。
<芯粒子製造方法>
芯粒子の製造例を以下に述べる。
まず、強磁性酸化鉄粒子a及び強磁性酸化鉄粒子bとして使用する強磁性酸化鉄粒子の諸特性を表1に示す。
(親油化処理1)
フラスコに酸化鉄粒子1を1000部仕込み十分に攪拌した後、エポキシ基を有するシラン系カップリング剤(商品名:KBM−403 信越化学社製)5.0部を添加し、約100℃まで昇温し30分間良く混合攪拌することによりカップリング剤で被覆されている強磁性酸化鉄粒子aを得た。
(親油化処理2)
フラスコに酸化鉄粒子2を1000部仕込み十分に攪拌した後、エポキシ基を有するシラン系カップリング剤(商品名:KBM−403 信越化学社製)10.0部を添加し、約100℃まで昇温し30分間良く混合攪拌することによりカップリング剤で被覆されている強磁性酸化鉄粒子bを得た。
フラスコに親油化処理1を行った強磁性酸化鉄粒子a30部と親油化処理2を行った強磁性酸化鉄粒子b70部とを仕込み(ra/rb=1.5)、250rpmの攪拌速度で30分間良く混合攪拌した。
<球状磁性複合体粒子(芯粒子1)の製造>
フェノール10部
37%ホルマリン15部
強磁性酸化鉄粒子a粉末及びb粉末の混合粉末100部
25%アンモニア水3.5部
水15部
上記材料を1Lの四つ口フラスコに入れ、250rpmの攪拌速度で攪拌しながら60分間で85℃に昇温させた後、同温度で120分間反応・硬化させることにより、強磁性酸化鉄粒子と硬化したフェノール樹脂からなる複合磁性体粒子の生成を行った。
次に、フラスコ内の内容物を30℃まで冷却後、上澄み液を除去し、さらに下層の沈殿物を水洗した後、風乾した。
次いで、これを減圧下(5mmHg以下)に150〜200℃で乾燥して球状磁性複合体粒子(芯粒子1)を得た。
得られた芯粒子は、平均粒子径が37μmであり、比重が3.82g/cm3であり、嵩密度は1.92であった。
<芯粒子2〜8の製造>
強磁性酸化鉄粒子a及びbの種類及び混合比、親油化処理剤の種類、芯粒子の製造条件を種々変化させた以外は、芯粒子1と同一の条件で操作を行って芯粒子2〜8を得た。製造条件を表2及び表3に示す。
得られた芯粒子2は、平均粒子径が42μmであり、比重が3.50g/cm
3であり、嵩密度は1.95であった。また、得られた芯粒子3は、平均粒子径が36μmであり、比重が3.90g/cm
3であり、嵩密度は2.08であった。
<芯粒子9の製造>
Fe2O3を74部、MnO2を20部、Mg(OH)2を5部、ZnOを1部計量した後、湿式ボールミルで25時間混合し、粉砕してスプレードライヤーにより造粒、乾燥し、電気炉にて800℃、7時間の仮焼成1を行った。
得られた仮焼成物1を、湿式ボールミルで2時間粉砕した後、スプレードライヤーにより造粒、乾燥し、電気炉にて900℃、6時間の仮焼成2を行った。
得られた仮焼成物2を、湿式ボールミルで5時間粉砕した後、スプレードライヤーにより造粒、乾燥し、電気炉にて900℃、12時間の本焼成を行いMn−Mgフェライト粒子(芯粒子9)を得た。
得られた芯粒子9は、平均粒子径が36μmであり、比重が5.20g/cm3であり、嵩密度は2.43であった。
<導電性粒子1の製造>
酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、AKP−30)100gを水1リットルに分散させ懸濁液とし、この液を70℃に加温した。その懸濁液に塩化第二スズ100g及び五酸化リン3gを2N塩酸1リットルに溶かした溶液と12質量%アンモニア水とを懸濁液のpHが7〜8になるように2時間かけて滴下した。滴下後、懸濁液を濾過、洗浄して得られたケーキを110℃で乾燥した。次いで、この乾燥粉末を窒素気流中、500℃で1時間処理して導電性粒子1を得た。
得られた導電性粒子1の体積固有抵抗値は8Ω・cmであった。
<導電性粒子2の製造>
酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、AKP−30)100gを水1リットルに分散させ懸濁液とし、この液を70℃に加温した。その懸濁液に塩化第二スズ10g及び五酸化リン0.30gを2N塩酸100mLに溶かした溶液と12質量%アンモニア水とを懸濁液のpHが7〜8になるように12分間かけて滴下した。滴下後、懸濁液を濾過、洗浄して得られたケーキを110℃で乾燥した。次いで、この乾燥粉末を窒素気流中で500℃で1時間処理して導電性粒子2を得た。
得られた導電性粒子2は、体積平均粒径が300nmで、体積固有抵抗が1,200Ω・cmであった。
<導電性粒子3の製造>
酸化アルミニウム(住友化学株式会社製、AKP−30)100gを水1リットルに分散させ懸濁液とし、この液を70℃に加温した。その懸濁液に塩化第二スズ150g及び五酸化リン4.5gを2N塩酸1.5リットルに溶かした溶液と12質量%アンモニア水とを懸濁液のpHが7〜8になるように3時間かけて滴下した。滴下後、懸濁液を濾過、洗浄して得られたケーキを110℃で乾燥した。次いで、この乾燥粉末を窒素気流中、500℃で1時間処理して導電性粒子3を得た。
得られた導電性粒子3は、体積平均粒径が300nmで、体積固有抵抗が3Ω・cmであった。
<導電性粒子4の製造>
BET表面積50m2/gの酸化スズ微粉末(一次粒径50nm)を窒素雰囲気下、アセトンガスと接触させながら加熱し、300℃の温度下で2時間保持することによって表面改質処理を行い、導電性粒子4を得た。
<導電性粒子5>
導電性粒子5としてBlack Pearls−2000(Cabot社製、比表面積1,500mm2/g、アスペクト比3)を用いた。
<樹脂1の合成>
撹拌機付きフラスコにトルエン300gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。次いで、これに3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン84.4g(200mmol、サイラプレーン TM−0701T、チッソ株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン39g(150mmol)、メタクリル酸メチル65.0g(650mmol)、及び2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3mmol)の混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、更に、2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3mmol)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2'−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g、3.3mmol)、90℃〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体(樹脂1)を得た。得られた樹脂1の重量平均分子量は、33,000であった。次いで、この樹脂1の不揮発分が25質量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた樹脂1溶液の粘度は、8.8mm2/sであり、比重は、0.91であった。
<樹脂2の合成>
製造例3−1において、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン39g(150mmol)を3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン37.2g(150mmol)に代えた以外は、樹脂1と同様にして、ラジカル共重合させてメタクリル系共重合体(樹脂2)を得た。
得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は、34,000であった。次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25質量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の粘度は、8.7mm2/sであり、比重は、0.91であった。
<樹脂3>
樹脂3としてシリコーン樹脂溶液(SR2410、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を用いた。
<樹脂4の調製>
118.69質量部の50質量%のアクリル樹脂溶液(ヒタロイド3001、日立化成工業株式会社製)と、37.18質量部の70質量%のグアナミン溶液(マイコート106、三井サイテック株式会社製)と、0.68質量部の40質量%の酸性触媒(キャタリスト4040、三井サイテック株式会社製)とを混合し、保護層塗布液(樹脂4の塗布液)を得た。
<母体粒子Aの作製>
<<トナー材料の溶解乃至分散液の調製>>
−未変性ポリエステル樹脂(低分子量ポリエステル樹脂)の合成−
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物67質量部、ビスフェノールAプロピオンオキサイド3モル付加物84質量部、テレフタル酸274質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を投入し、常圧下、230℃にて8時間反応させた。次いで、得られた反応液を10mmHg〜15mmHgの減圧下にて5時間反応させて、未変性ポリエステル樹脂を合成した。
得られた未変性ポリエステル樹脂は、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が5,600、ガラス転移温度(Tg)が55℃であった。
−マスターバッチ(MB)の調製−
水1,000質量部、及びカーボンブラック(「Printex35」;デグサ社製、DBP吸油量=42mL/100g、pH=9.5)540質量部、及び前記未変性ポリエステル樹脂1,200質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)を用いて混合した。該混合物を二本ロールで150℃にて30分混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン社製)で粉砕して、マスターバッチを調製した。
−トナー材料相の調製−
ビーカー内に前記未変性ポリエステル樹脂100質量部、及び酢酸エチル130質量部を、攪拌し溶解させた。次いで、カルナウバワックス(分子量=1,800、酸価=2.5、針入度=1.5mm(40℃))10質量部、及び前記マスターバッチ10質量部を仕込み、ビーズミル(「ウルトラビスコミル」;アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/s、及び0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスして原料溶解液を調製し、トナー材料の溶解乃至分散液(トナー材料相)を調製した。
−樹脂粒子1の調製−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683質量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業株式会社製)16質量部、スチレン83質量部、メタクリル酸83質量部、アクリル酸ブチル110質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分間で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。更に、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[樹脂粒子分散液1]を得た。[樹脂粒子分散液1]の体積平均粒径をLA−920(株式会社堀場製作所製)で測定したところ、9nmであった。
−水系媒体相の調製−
水660質量部、前記[樹脂粒子分散液1]25質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%の水溶液(「エレミノールMON−7」;三洋化成工業株式会社製)25質量部、及び酢酸エチル60質量部を混合撹拌し、乳白色の液体(水系媒体相1)を得た。
−乳化乃至分散液の調製−
水系媒体相1 150質量部を容器に入れ、TK式ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用い、回転数12,000rpmで攪拌し、これに前記トナー材料の溶解乃至分散液100質量部を添加し、10分間混合して乳化乃至分散液(乳化スラリーA)を得た。
−有機溶剤の除去−
脱気用配管、攪拌機及び温度計をセットしたフラスコに、乳化スラリーA100質量部を仕込み、攪拌周速20m/分で攪拌しながら30℃にて12時間減圧下、脱溶剤し脱溶剤スラリーAを得た。
−洗浄−
脱溶剤スラリーAの全量を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合、再分散(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過した。得られた濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数12,000rpmにて10分間)した後濾過する操作を3回行い、洗浄スラリーAを得た。
−加熱処理−
得られた洗浄スラリーAを45℃で10時間熟成を行い、濾過して加熱処理後ケーキを得た。
−乾燥−
上記加熱処理後ケーキを順風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmのメッシュで篩い、母体粒子Aを得た。
<母体粒子Bの作製>
−結晶性ポリエステル樹脂の合成−
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,6−ヘキサンジオール2,300g、フマル酸2,530g、無水トリメリット酸291g、及びハイドロキノン4.9gを入れ、160℃で5時間反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させ、さらに8.3kPaにて1時間反応させて結晶性ポリエステル樹脂1を得た。
−非晶性ポリエステル樹脂(低分子ポリエステル樹脂)樹脂の合成−
窒素導入管、脱水管、攪拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物229質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529質量部、テレフタル酸208質量部、アジピン酸46質量部及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧で230℃で7時間反応し、さらに10mmHg〜15mmHgの減圧で4時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸44質量部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、非晶性ポリエステル樹脂を得た。
−ポリエステルプレポリマー(プレポリマー)の合成−
冷却管、撹拌機及び窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10mmHg〜15mmHgの減圧で5時間反応し、[中間体ポリエステル]を得た。[中間体ポリエステル]は、数平均分子量2,100、重量平均分子量9,500、Tg55℃、酸価0.5mgKOH/g、水酸基価51mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル]410質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー]を得た。[プレポリマー]の遊離イソシアネート質量%は、1.53%であった。
−ケチミン化合物の合成−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170質量部及びメチルエチルケトン75質量部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、[ケチミン化合物]を得た。[ケチミン化合物]のアミン価は418であった。
−マスターバッチ(MB)の合成−
水1,200質量部、カーボンブラック(Printex35デクサ製)〔DBP吸油量=42mL/100mg、pH=9.5〕540質量部、上記で合成した非晶性ポリエステル樹脂1,200質量部を加え、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分間混練後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕して、[マスターバッチ]を得た。
−顔料・WAX分散液の調製−
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、[非晶性ポリエステル樹脂]378質量部、カルナバWAX110質量部、及びCCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業株式会社製)22質量部、及び酢酸エチル947質量部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ]500質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液]を得た。
[原料溶解液]1,324質量部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[非晶性ポリエステル樹脂]の65質量%酢酸エチル溶液1,042.3質量部を加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液]を得た。[顔料・WAX分散液]の固形分濃度(130℃、30分)は50質量%であった。
−結晶性ポリエステル分散液の調製−
金属製2L容器に[結晶性ポリエステル樹脂]を100g、及び酢酸エチル400gを入れ、75℃で加熱溶解させた後、氷水浴中で27℃/分間の速度で急冷した。これにガラスビーズ(直径3mm)500mLを加え、バッチ式サンドミル装置(カンペハピオ株式会社製)で10時間粉砕を行い、[結晶性ポリエステル分散液]を得た。
−有機粒子エマルションの合成−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683質量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30:三洋化成工業株式会社製)11質量部、スチレン138質量部、メタクリル酸138質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分間で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し、5時間反応させた。さらに、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナト
リウム塩の共重合体)の水性分散液[樹脂粒子分散液2]を得た。[樹脂粒子分散液2]をLA−920で測定した体積平均粒径は、0.14μmであった。
−水系媒体相2の調製−
水990質量部、[樹脂粒子分散液2]83質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業株式会社製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、乳白色の液体(水系媒体相2)を得た。
−乳化・脱溶剤−
[顔料・WAX分散液2]664質量部、[プレポリマー]109.4質量部、[結晶性ポリエステル分散液]73.9質量部、及び[ケチミン化合物]4.6質量部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水系媒体相2]1,200質量部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間混合し[乳化スラリー2]を得た。
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリー2]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、[分散スラリー2]を得た。
−洗浄・乾燥−
[分散スラリー2]100質量部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3):(2)の濾過ケーキに10質量%塩酸100質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300質量部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[濾過ケーキ2]を得た。
[濾過ケーキ2]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmのメッシュで篩い、母体粒子Bを得た。
<外添剤の作製>
−合着粒子(シラン系処理シリカ)(シリカ1〜3及びシリカ6〜8)の調製−
合着粒子の作製では、種々の平均粒径を有するシリカ1次粒子を用いて種々の処理剤により2次凝集させた合着シリカを製造した。合着度の調整は、使用したシリカ1次粒子の平均粒子径、処理剤、シリカ1次粒子と処理剤の混合比、処理条件(焼成温度、焼成時間)により行った。シリカ1次粒子と処理剤との混合はスプレードライヤーを用いて行った。
−合着粒子(非球形乾式シリカ)(シリカ4及び5)の調製−
図17に示す装置を用いて乾式法により合着粒子を製造した。
<トナーAの作製>
母体粒子A 100質量部に対して、表1における合着シリカ(シリカ1)2.0質量部と、平均粒子径10nm〜20nmのシリカ2.0質量部と、平均粒径20nmの酸化チタン0.6質量部とをヘンシェルミキサーにて混合し、目開き500メッシュの篩を通過させ、トナーAを得た。
<トナーB〜E、G〜Jの調製>
シリカ1をシリカに代えた以外は、トナーAと同様にして、トナーB〜E、G〜Jを得た。
<トナーFの調製>
母体粒子Aを母体粒子Bに代え、シリカ1をシリカ4に代えた以外は、トナーAと同様にして、トナーFを得た。
(実施例1)
<キャリアの製造>
キャリアの保護層の形成のため、下記組成の保護層形成溶液A(固形分10質量%)を調製した。この保護層形成溶液Aを1,000質量部の芯粒子1に塗布して乾燥させた。ここで、塗布乃至乾燥は、流動槽内の温度を各70℃に制御した流動床型コーティング装置を使用して行った。得られたキャリアを電気炉中にて、180℃/2時間焼成し、キャリアを得た。キャリアの特性を、表4に示す。
−保護層形成溶液Aの組成−
・保護層用樹脂(樹脂1、固形分75質量%)・・・30質量部
・導電性粒子1・・・56質量部
・触媒・・・4質量部
(チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート))
(オルガチックスTC−750、マツモトファインケミカル社製)
・シランカップリング剤・・・0.6質量部
(SH6020、東レ・ダウコーニング社製)
・トルエン・・・残部
<現像剤の作製>
上記で得られたキャリア(930質量部)、及び市販のデジタルフルカラープリンター(RICOH Pro C901、株式会社リコー製)用のトナー(70質量部)を混合して、タービュラーミキサーを用いて81rpmで5分間攪拌し、評価用現像剤を作製した。また、補給用現像剤は、表4のプレミックス率(補給用現像剤中のキャリアの含有割合(質量%))となるように、前記キャリア及び前記トナーを用いて作製した。
(評価)
現像剤を以下に示す各種評価項目により評価した。結果を表6に示す。
<ゴースト画像の評価>
作製した各現像剤及び各補給用現像剤を、市販のデジタルフルカラープリンター(株式会社リコー製、RICOH Pro C901)にセットし、画像面積8%の文字チャート(1文字の大きさ:2mm×2mm程度)を100,000枚出力した。その後、図22に示す縦帯チャートを印刷し、スリーブ一周分(a)と一周後(b)の濃度差を測定することにより、直前画像履歴による影響を評価した。前記測定は、色彩値測定器(X−Rite938、X−Rite社製)を用いた。前記スリーブのセンター、リア、及びフロントの3箇所について測定してその平均濃度差をΔIDとした。なお、評価基準は以下の通りとした。
<<評価基準>>
◎:ΔIDが0.01以下である
○:ΔIDが0.01超、0.03以下である
△:ΔIDが0.03超、0.06以下である
×:ΔIDが0.06超である
ここで、◎、○、△、及び×は、それぞれ、◎:非常に良好、○:良好、△:許容、×:実用上使用できないレベルであり、◎、○及び△を合格とし、×を不合格とした。
<初期キャリア付着の評価>
市販のデジタルフルカラープリンター(株式会社リコー製、RICOH Pro C901)を改造した改造機に前記各現像剤をセットし、地肌ポテンシャルを150Vに固定し、無画像チャート、及び1cm×1cmのBOXが3mm間隔で並ぶチャートを現像した。
無画像チャート時には感光体表面に付着しているキャリアの個数をルーペ観察により、5視野カウントし、その平均の100cm2当たりのキャリア付着個数をもってキャリア付着量とした。
<<評価基準>>
◎:20個以下
○:21個以上60個以下
△:61個以上80個以下
×:81個以上
◎、○及び△を合格とし、×を不合格とした。
BOXチャート時には、転写電流を2μAまで落とし、A3画像上の白抜けを評価した。
<<評価基準>>
◎:5個以下
○:6個以上10個以下
△:11個以上30個以下
×:31個以上
◎、○及び△を合格とし、×を不合格とした。
<エッジ効果の評価>
市販のデジタルフルカラープリンター(株式会社リコー製、RICOH Pro C901)を改造した改造機に前記各現像剤をセットし、大面積の画像を有するテストパターンを出力した。得られた画像パターンにおいて、中央部の画像濃度と端部の画像濃度との差を目視により下記評価基準に従って評価した。
<<評価基準>>
◎:差がない
○:若干差がある
△:差はあるが許容できる
×:許容できないレベルまで差が生じている
◎、○及び△を合格とし、×を不合格とした。
<画像の精細性の評価>
作製した各現像剤を市販のデジタルフルカラープリンター(株式会社リコー製、RICOH Pro C901)改造機にセットし、画像面積5%の文字チャート(1文字の大きさ:2mm×2mm程度)を出力し、その文字画像部の再現性により評価し、次のようにランク分けした。
<<評価基準>>
◎:非常に良好
○:良好
△:許容できるレベル
×:実用できないレベル
◎、○及び△を合格とし、×を不合格とした。
<トナーチリの評価>
画像の精細性の評価と同じ画像形成条件で画像形成した際の、文字部以外(白部)へのトナーチリについて、目視により観察し、以下の評価基準で評価した。
<<評価基準>>
◎:トナー汚れがまったく観察されず良好な状態である。
○:トナー汚れがわずかに観察されるが良好な状態である。
△:わずかに汚れが観察される程度であり問題とならない。
×:許容範囲外で非常に汚れがあり問題となる。
◎、○及び△を合格とし、×を不合格とした。
<混色の評価>
色汚れ(混色)評価は、市販のデジタルフルカラープリンター(株式会社リコー製、RICOH Pro C901)に前記各現像剤をセットし、現像ユニット単独で1時間攪拌することで実施した。こうして得た現像剤を現像及び定着し、画像濃度が1.5となる箇所のCIE表色系のL*1、a*1、b*1値を求めた。一方、色汚れのない画像を得るために、キャリアと接触させることなくトナー単独で画像化(定着を含む)したものを作成し、前記と同様に画像濃度が1.5となる箇所のCIE表色系のL*0、a*0、b*0値を求めた。こうして得た2つの画像の色差ΔEを下式により求め、ΔE≦3.0であれば実使用上問題ないので合格(○)とし、ΔE>3.0は実使用上問題であるので不合格(×)とした。
ΔE={(L*0−L*1)2+(a*0−a*1)2+(b*0−b*1)2}1/2
<耐久性の評価>
作製した各現像剤を、市販のデジタルフルカラープリンター(株式会社リコー製、RICOH Pro C901)を改造した改造機にセットし、単色による100,000枚のランニング評価を行った。このランニングを終えた後のキャリアのキャリア付着、帯電低下量、及び抵抗低下量を評価した。なお、前記キャリア付着は、前述した初期キャリア付着の評価と同様の方法及び評価基準で評価した。
<<抵抗低下量の評価>>
前記抵抗低下量は、ランニング前のキャリアを抵抗計測平行電極(ギャップ2mm)の電極間に投入し、直流1,000Vを印加し、30秒間後の抵抗値をハイレジスト計(4329A+LJK 5HVLVWDQFH 0HWHU;横川ヒューレットパッカード株式会社製)で計測した値を体積抵抗率に変換した値(R1)から、ランニング後の現像剤中のトナーを前記ブローオフ装置(図23参照)にて除去し得たキャリアを、前記抵抗測定方法と同様の方法で測定した値(R2)を差し引いた量とした。図23において、符号3はキャリアを示し、符号5はトナーを示し、符号7はブローゲージを示す。
前記抵抗低下量は、絶対値で3.0Log(Ω・cm)以内であれば、実使用上問題ないレベルである。
また、抵抗変化の原因は、キャリアの樹脂膜の削れ、トナー成分のスペント、キャリア被覆膜中の大きな粒径の粒子脱離などであるため、抵抗変化量によりこれらの発生を評価することができる。
<<帯電低下量の評価>>
前記帯電低下量は、ランニング前のキャリア93質量%に対しトナー7質量%の割合で混合し摩擦帯電させたサンプルを、一般的なブローオフ法(東芝ケミカル株式会社製、TB−200)にて測定した帯電量(Q1)から、ランニング後の現像剤中のトナーを前記ブローオフ装置にて除去し得たキャリアを、前記方法と同様の方法で測定した帯電量(Q2)を差し引いた量とした。
前記帯電低下量は、10.0μc/g以内であれば、実使用上問題ないレベルである。また、帯電量の低下の原因は、キャリア表面へのトナースペントであるため、トナースペントを帯電低下量により評価することができる。
(実施例2〜21及び比較例1〜10)
芯粒子の種類、粒子の種類、分散方法、製造方法などを表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、キャリアを作製した。
実施例1において、表4に示すキャリアを用いた以外は、実施例1と同様にして、現像剤を作製し、評価を行った。結果を表6に示す。
(実施例22〜50及び比較例11〜21)
実施例22〜50及び比較例11〜21では、表5に示すトナーを用いた。
実施例1のキャリアの製造において、芯粒子の種類、粒子の種類、分散方法、製造方法などを表4に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、キャリアを作製した。
実施例1において、表5に示すトナー及び表4に示すキャリアを用いた以外は、実施例1と同様にして、現像剤を作製し、評価を行った。結果を表6に示す。なお、実施例22〜50及び比較例11〜21では、以下に示す評価も行った。
表4において、分散手段とは、保護層形成溶液中に導電性粒子を分散させる際の分散手段を表す。