JP2015212770A - 画像形成装置 - Google Patents

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朋子 高橋
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太一 浦山
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昌彦 赤藤
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Hiroyuki Sugiyama
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悦典 中川
翔太郎 星
Shotaro Hoshi
翔太郎 星
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亮太 木寺
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Abstract

【課題】フィルミング抑制の処理動作によるダウンタイムの発生を抑制することを課題とする。【解決手段】潜像担持体の表面上のフィルミング量を示すフィルミングカウント値Fを計測するフィルミング指標値計測手段と、潜像担持体表面上にトナーを付着させる帯電装置、露光装置、現像装置等のトナー付着手段と、フィルミングカウント値Fが所定の閾値(0.8)を超えたら、前記トナー付着手段を制御して、連続画像形成動作中における画像間の非画像領域に対応する潜像担持体の表面部分にトナーを付着させ、潜像担持体表面とクリーニング部材との摺擦箇所へ所定量のトナーを供給する制御手段とを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、潜像担持体の表面上に静電潜像を形成し、現像手段を用いてトナーにより該静電潜像を現像してトナー像とした後、該トナー像を最終的に記録材上に転写して画像形成を行う画像形成装置に関するものである。
この種の画像形成装置としては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ等が挙げられる。
特許文献1及び特許文献2には、画像形成動作が所定の枚数分行われるたびに画像形成動作を中断させてフィルミング除去モードを実行する画像形成装置が開示されている。特許文献1に開示の画像形成装置では、フィルミング除去モード時に、磁気ブラシクリーニング装置を画像形成動作時より低速で作動させつつ、感光体ドラム(潜像担持体)を回転させる。これにより、感光体ドラムをクリーニングする領域にキャリアの溜りが生じ、キャリア(磁気ブラシ)の感光体ドラムに対する接触圧、摩擦力が増加することによって感光体ドラムのフィルミングを除去する。特許文献2に開示の画像形成装置では、フィルミング除去モード時に、基布に編み込まれた導電性の金属繊維よりなるブラシローラを回転駆動し、潜像担持体の表面をブラシで摺擦してフィルミングを削り取る。この画像形成装置では、潜像担持体上に形成した基準画像の表面電位を電位センサで検出した結果から、所定期間内の電位上昇量に応じてフィルミング除去モードの実施頻度を上げる制御を行う。
電子写真方式の画像形成装置においては、省エネルギー化の要求が高まっている。消費エネルギーに最も影響するのは、樹脂製のトナーを熱エネルギーにより軟化、溶融させることで、記録材上に定着する定着工程である。そのため、省エネルギー化の要求に応える有効な手段として、近年、低温で定着可能な樹脂で構成されるトナー(低温定着トナー)が注目されている。一般に、樹脂は、ガラス転移温度Tgにおいて結晶転移を起こすと同時に、固体状態から急激に溶融して粘度が低下し、記録材への定着機能を発現する。トナーの樹脂として、例えば結晶性ポリエステル樹脂を使用することにより、樹脂のガラス転移温度Tgや分子量を下げすぎることなく、良好な低温定着トナーを得ることができる。
低温定着トナーを使用する画像形成装置においては、経時使用により、感光体等の潜像担持体の表面に微量のトナーがフィルム状に固着するフィルミング現象が生じやすい。このようなフィルミング現象が生じると、潜像担持体上に適切なトナー像を形成することが難しくなり、画質劣化を引き起こす。そのため、多くの画像形成装置では、ブレードによって潜像担持体の表面を少しずつ削りながら使用することで、フィルミング現象の発生を抑制している。フィルミング現象の発生を抑制する必要性は、低温定着トナーを用いた画像形成装置に限られず、トナーやその添加剤によって潜像担持体表面にフィルム状の膜が形成される画像形成装置全般において存在する。
ところが、従来の画像形成装置においては、画像形成動作を中断してフィルミングを除去する専用の処理動作を実施して、フィルミングを除去したりフィルミングの進行を抑制したりする。そのため、フィルミング除去の処理動作を実行するたびに、画像形成動作を実行できないダウンタイムが発生するという問題があった。
上述した課題を解決するために、本発明は、表面移動する潜像担持体の表面を帯電手段により一様に帯電させた後に静電潜像形成手段により画像情報に応じた静電潜像を形成し、現像手段を用いてトナーにより該静電潜像を現像してトナー像とした後、転写手段を用いて該トナー像を中間転写体を介して又は直接に記録材上に転写して画像形成を行うとともに、前記潜像担持体の表面を摺擦するクリーニング部材を有するクリーニング手段により該潜像担持体の表面上の不要物を除去する画像形成装置において、前記潜像担持体の表面上のフィルミング量を示すフィルミング指標値を計測するフィルミング指標値計測手段と、前記潜像担持体の表面上にトナーを付着させるトナー付着手段と、前記フィルミング指標値計測手段が計測したフィルミング指標値が所定の閾値を超えたら、前記トナー付着手段を制御して、連続画像形成動作中における画像間の非画像領域に対応する潜像担持体の表面部分にトナーを付着させ、前記潜像担持体の表面と前記クリーニング部材との摺擦箇所へ所定量のトナーを供給する制御手段とを有することを特徴とする。
本発明によれば、フィルミング抑制の処理動作によるダウンタイムの発生を抑制することができるという優れた効果が奏される。
実施形態におけるフィルミング抑制の処理動作の流れの一例を示すフローチャートである。 実施形態における複写機の概略構成図である。 同複写機における感光体クリーニング装置のブレード部材が感光体に当接する部分を感光体の回転軸方向から見たときの説明図である。 実施形態におけるフィルミング処理の実行に関わる制御ブロック図である。 温度環境に応じた補正係数の一例を示す表である。 画像面積率に応じた補正係数の一例を示す表である。 図5及び図6に示す表をまとめた補正係数の表である。 フィルミングカウンタのカウント値の変動の一例を示す表である。 図8に示す表をグラフ化したものである。 トナー付着量が異なるトナーパターンの例を示す説明図である。 効果確認試験の結果を示す表である。 変形例1におけるフィルミング抑制の処理動作の流れの一例を示すフローチャートである。 変形例1において同じ画像を4枚連続して形成する場合のフィルミング抑制処理の内容を説明する説明図である。 変形例2において同じ画像を4枚連続して形成する場合のフィルミング抑制処理の内容を説明する説明図である。 変形例3におけるフィルミング抑制の処理動作の流れの一例を示すフローチャートである。 変形例3において同じ画像を2枚連続して形成する第1の画像形成ジョブと、同じ画像(第1の画像形成ジョブの画像とは異なる画像)を2枚連続して形成する画像形成ジョブとを実施する場合のフィルミング抑制処理の内容を説明する説明図である。 変形例4において同じ画像を2枚連続して形成する第1の画像形成ジョブと、同じ画像(第1の画像形成ジョブの画像とは異なる画像)を2枚連続して形成する画像形成ジョブとを実施する場合のフィルミング抑制処理の内容を説明する説明図である。 実施形態のトナーにおける外添剤の一例を示す写真である。 実施形態のトナーにおける外添剤の一例を示す写真である。
以下、本発明を画像形成装置としての複写機に適用した一実施形態について説明する。
図2は、本実施形態における複写機500の概略構成図である。
本実施形態の複写機500は、プリンタ部100、給紙部200及びプリンタ部100上に取り付けるスキャナ部300から構成される。
プリンタ部100は、4つのプロセスユニットとしてのプロセスカートリッジ1Y,1M,1C,1K、複数の張架ローラに張架されて図2中の矢印A方向に移動する中間転写体としての中間転写ベルト7、静電潜像形成手段としての露光装置6、定着手段としての定着装置12等を備えている。符号の後に付されるY、M、C、Kという添字は、それぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、黒用の部材であることを示している。4つのプロセスカートリッジ1Y,1M,1C,1Kは、それぞれ使用するトナーの色が異なる他はほぼ同様の構成になっているので、以下、Y、M、C、Kという添字を適宜省略して説明する。
プロセスカートリッジ1は、潜像担持体である感光体2、帯電手段である帯電部材3、現像手段である現像装置4、及び、クリーニング手段である感光体クリーニング装置5を一体的に支持したユニット構成となっている。各プロセスカートリッジ1は、それぞれの不図示のストッパーを解除することにより、複写機500本体に対して着脱可能となっている。
感光体2は、図中の矢印で示すように、図中の時計周り方向に回転する。帯電部材3は、ローラ状の帯電ローラであり、感光体2の表面に圧接されており、感光体2の回転により従動回転する。作像時には、帯電部材3には図示しない高圧電源により所定のバイアスが印加され、感光体2の表面を一様に帯電する。本実施形態では、帯電手段として、感光体2の表面に接触するローラ状の帯電部材3を用いているが、帯電手段としてはこれに限るものではなく、コロナ帯電などの非接触帯電方式を用いてもよい。
露光装置6は、スキャナ部300で読み込んだ原稿画像の画像情報またはパーソナルコンピュータ等の外部装置から入力される画像情報に基づいて感光体2の表面を露光し、感光体2の表面に静電潜像を形成する。プリンタ部100が備える露光装置6は、レーザーダイオードを用いたレーザービームスキャナ方式を用いているが、露光手段としてはLEDアレイを用いるものなど他の構成でも良い。
感光体クリーニング装置5は、中間転写ベルト7と対向する位置を通過した感光体2の表面上に残留する転写残トナーのクリーニングを行う。その詳細については後述する。
4つのプロセスカートリッジ1は、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色トナー像をそれぞれの感光体2上に形成する。4つのプロセスカートリッジ1は、中間転写ベルト7の表面移動方向に並列に配設され、それぞれの感光体2上に形成されたトナー像を中間転写ベルト7に順に重ね合わせるように転写し、中間転写ベルト7上に可視像を形成する。
図2において、各感光体2に対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置には一次転写手段としての一次転写ローラ8が配置されている。一次転写ローラ8には不図示の高圧電源により一次転写バイアスが印加され、感光体2との間で一次転写電界を形成する。感光体2と一次転写ローラ8との間で一次転写電界が形成されることにより、感光体2の表面上に形成されたトナー像が中間転写ベルト7の表面に転写される。中間転写ベルト7を張架する複数の張架ローラのうちの一つが不図示の駆動モータによって回転することによって中間転写ベルト7が図中の矢印A方向に表面移動する。表面移動する中間転写ベルト7の表面上に各色のトナー像が順次重ねて転写されることによって、中間転写ベルト7の表面上にフルカラー画像が形成される。
4つのプロセスカートリッジ1が中間転写ベルト7と対向する位置に対して、中間転写ベルト7の表面移動方向下流側には、張架ローラの一つである二次転写対向ローラ9aに対して中間転写ベルト7を挟んで対向する位置に二次転写ローラ9が配置され、中間転写ベルト7との間で二次転写ニップを形成する。二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に所定の電圧を印加して二次転写電界を形成する。給紙部200から給紙され、図2中の矢印C方向に搬送される記録材である転写紙Pが二次転写ニップを通過する際に、中間転写ベルト7の表面上に形成されたフルカラー画像が、二次転写ローラ9と二次転写対向ローラ9aとの間に形成された二次転写電界によって転写紙Pに転写される。
二次転写ニップに対して転写紙Pの搬送方向下流側に、定着装置12が配置されている。二次転写ニップを通過した転写紙Pは定着装置12に到達し、定着装置12における加熱及び加圧によって転写紙P上に転写されたフルカラー画像が定着され、画像が定着された転写紙Pは複写機500の装置外に出力される。一方、二次転写ニップで転写紙Pに転写されず中間転写ベルト7の表面上に残留したトナーは、転写ベルトクリーニング装置11によって回収される。
図2に示すように、中間転写ベルト7の上方には、各色トナーを収容するトナーボトル400Y,400M,400C,400Kが複写機500本体に対して着脱可能に配置されている。各色トナーボトル400に収容されたトナーは、各色に対応する不図示のトナー補給装置によって、各色の現像装置4に供給される。
次に、本実施形態における感光体クリーニング装置5について、説明する。
図3は、感光体クリーニング装置5のブレード部材5Aが感光体2に当接する部分を感光体2の回転軸方向から見たときの説明図である。
感光体クリーニング装置5は、複数の層から構成される弾性体をクリーニングブレードとして使用した積層構造のブレード部材5Aと、ブレード部材5Aの一端を保持するブレードホルダ5Bとを有する。ブレード部材5Aは、複数層として互いに永久伸びの値が異なる材質からなるエッジ層5c及びバックアップ層5dの二つの層によって構成されており、感光体2と当接する層がエッジ層5cであり、エッジ層5cの背面の層がバックアップ層5dである。そして、感光体クリーニング装置5は、ブレード部材5Aのブレードホルダ5Bによって保持される保持位置側とは反対側の端部のエッジ部5eを図3中の矢印C方向に表面移動する感光体2の表面に当接させて、感光体2の表面をクリーニングする構成である。エッジ部5eを備えるエッジ層5cはバックアップ層5dに比べて永久伸びの値が大きい材質によって形成されている。
エッジ層5cには、永久伸びが大きく、100%モジュラスの値が大きい材料を用い、バックアップ層5dにはエッジ層5cに比べて永久伸びが小さく、100%モジュラスの値が小さい材料を用いる。そして、エッジ層5cとバックアップ層5dとをあわせた積層構造のブレード部材5Aは、感光体クリーニング装置5に組み付けた状態での、線圧低下率が90[%]以上となるように適宜エッジ層5c及びバックアップ層5dの厚さを調整する。
感光体2に対するブレード部材5Aの食込み量d[mm]や当接圧f[g/cm]、当接角度α[°]などの設定は、エッジ層5cとバックアップ層5dと合わせたブレード部材5Aの材料物性を測定し、それに応じて設定すればよい。例えば、dは0<d<1.5、fは10≦f≦80、αは5≦α≦25の範囲で適宜設定すればよい。
上述のように、感光体2と当接するエッジ層5cには、高硬度で、100%モジュラスの値が高い材料を用いる。これは、感光体2と当接させたときに、ニップ幅が不必要に大きくなることがなく、近年の小粒径で円形度の高いトナーを阻止するのに必要な高いピーク圧力を得ることができるからである。また、画像パターンが異なることによって発生するブレードと感光体との間の摩擦力の変動に対しても、高硬度で100%モジュラスの値が高い材料を用いることで、ニップ幅の変動が小さく、当接圧力、ピーク圧力の変動を抑制することができる。このため、クリーニング性能の変動を抑え、安定したクリーニング性能(フィルミング抑制性能)を維持することができる。
一方、バックアップ層5dには、エッジ層5cに比べて低硬度で、100%モジュラスの値が小さく、永久伸び値が小さな材料を用いる。エッジ層5cに用いるのに適した高硬度で、100%モジュラスの値が大きく、永久伸びの値が大きい材質のみからなるブレード部材では、そのヘタリによって経過時間や環境の変化によって安定した線圧を維持できなかった。これに対して、バックアップ層5dに低硬度で、100%モジュラスの値が小さく、永久伸びの値が小さい材質を用いることで、ブレード全体のヘタリを抑制する構成である。感光体2と当接するエッジ層5cには永久伸びが2[%]以上で100%モジュラスの値が高い材料を用い、バックアップ層5dには永久伸びが2[%]以下の材料を用いることにより、小粒径、球形の重合トナーに対しても、ヘタリの発生がなく、初期から長期にわたって良好なクリーニング性能(フィルミング抑制性能)を維持することができる。
また、本実施形態のブレード部材5Aとしては、エッジ層5cの粘弾性特性の環境変動を抑えることが望ましい。このため、エッジ層5cに用いるゴム材料は、反発弾性係数の変動が小さいゴム材料とする。また、エッジ層5cの反発弾性係数の温度変化が小さくすることに加え、バックアップ層5dにもエッジ層同様(100%モジュラスの値、永久伸び値はエッジ層よりも小さく設定する)に、反発弾性係数の温度変化が小さい材料を用いることにより、環境変動に対する安定したトナー除去性能や、安定した耐久性能を得ることができる。すなわち、反発弾性係数の温度依存性が低ければ、温度依存に寄らず安定したクリーニングが行えるため、経時に渡って安定したクリーニング性能(フィルミング抑制性能)を維持することが出来る。
また、エッジ層5c及びバックアップ層5dに用いるゴム材料としては、tanδピーク温度が10[℃]未満のものを用いる。これにより、10[℃]という低温環境でも、エッジ層5c及びバックアップ層5dがゴム材料として機能し、所望のクリーニング性を得ることができる。また、tanδピーク温度が10[℃]未満のゴム材料としては、tanδピーク温度が5[℃]未満の材料であれば5[℃]以上の環境下、tanδピーク温度が−20[℃]未満の材料であれば−20[℃]以上の環境下、でエッジ層5c及びバックアップ層5dがゴム材料として機能し、所望のクリーニング性を得ることができる。すなわち、エッジ層5c及びバックアップ層5dに用いるゴム材料のtanδピーク温度の値が低ければ低いほどより低温環境下での使用が可能になる。
なお、ブレード部材5Aはカウンター方式で感光体2に当接する構成であるが、当接方式としては、トレーリング方式でも適用可能である。
ここで、本実施形態の特徴部分である、フィルミングによる画質劣化の抑制方法について説明する。
本実施形態においては、上述した感光体クリーニング装置5を用いて長期的に高いフィルミング抑制性能を維持することでフィルミングの発生を抑制できているが、それでも完全にフィルミングを除去することはできず、経時においてはフィルミングが発生する。そして、フィルミングが発生すると、トナーに含まれる吸湿性を有する添加剤によるフィルミング部分が感光体周囲の空気中の水分を取り込むことで電気抵抗値を下げる。これにより、そのフィルミング部分の近傍に形成される静電潜像が適正な電位を保持できなくなる。詳しくは、感光体2の電荷発生層で発生した電荷は、本来、電荷輸送層を通じて所望の静電潜像箇所へ輸送され、帯電部材3により帯電された感光体表面の電荷を打ち消すことで、当該静電潜像箇所が所望の電位となる。しかしながら、水分を含んで電気抵抗値が下がったフィルミング部分が当該静電潜像箇所に存在すると、電荷輸送層を通じて輸送されてきた電荷が当該フィルミング部分内で拡散するなどして、所望の静電潜像箇所へ輸送されず、当該静電潜像箇所が所望の電位とならない。このように静電潜像箇所が所望の電位を保持できなくなると、その静電潜像箇所にトナーが付着せず、白抜け画像が形成されるなどの画質劣化を引き起こす。このようなフィルミングによる画質劣化は、特にハーフトーン画像を形成したときに顕在化する。
ここで、感光体2の表面上のフィルミング抑制には、ブレード部材5Aと感光体2の表面との摺擦箇所(以下「クリーニング箇所」という。)に滞留するトナーによって感光体表面上のフィルミングを掻き取ることが効果的である。ただし、画像面積率が少ない画像を連続的に形成した場合や、転写率が高くて転写残トナーが少ない場合など、通常の画像形成動作によりクリーニング箇所に滞留するトナーの量が少ない場合がある。この場合、トナーによる十分なフィルミング抑制効果が得られず、フィルミング量が増大してしまう。そのため、画像形成動作とは別に、クリーニング箇所にトナーを供給するフィルミング抑制の処理動作を実行して、クリーニング箇所に十分な量のトナーが滞留するようにする。
ただし、このフィルミング抑制の処理動作によりトナーを付着させた感光体表面部分は、画像形成に用いることができないので、画像形成動作が実行できないダウンタイムを生じさせ得る。
本実施形態におけるフィルミング抑制処理は、連続画像形成動作中における画像間の非画像領域に対応する感光体2の表面部分にトナーを付着させ、クリーニング箇所へ所定量のトナーを供給するというものである。これにより、フィルミング抑制の処理動作によるダウンタイムの発生を抑制しつつ、又は、ダウンタイムを発生させることなく、クリーニング箇所に十分な量のトナーを滞留させることができる。
ここで、本実施形態におけるフィルミング抑制処理は、トナーを画像形成に寄与しないまま消費させることから、フィルミング発生の初期段階から継続的又は断続的に実行すると、トナー消費量の増大を招く。
そこで、本実施形態においては、感光体2の表面上のフィルミング量を示すフィルミング指標値を計測し、そのフィルミング指標値が所定の閾値を超えたら、フィルミング抑制処理を実行することとしている。このフィルミング指標値としては、例えば、画像形成動作の動作時間又は該動作時間に相関関係のあるパラメータ値に基づく動作指標値を累積した累積動作指標値を用いることができる。本実施形態では、このような累積動作指標値を、フィルミング指標値であるフィルミングカウンタのカウント値として用い、これが所定の閾値を超えたらフィルミング抑制処理を実行する。以下、この制御内容について具体的に説明する。
図4は、本実施形態におけるフィルミング処理の実行に関わる制御ブロック図である。
本実施形態で用いるフィルミングカウンタは、画像形成動作の動作時間に相関関係のあるパラメータ値として感光体2の走行距離を用い、これに基づく動作指標値を累積して得られる累積動作指標値をカウントするものである。感光体2の表面に付着するフィルミングの量は、おおよそ画像形成動作の動作時間に比例して増大するので、この累積動作指標値であるフィルミングカウンタのカウント値Fから感光体2の表面に付着しているフィルミング量を推定することが可能である。
ただし、感光体2の周囲温度が変わると、ブレード部材5Aの硬度が変動して、ブレード部材5Aによるフィルミング抑制性能が変動する。また、感光体2の周囲温度が変わると、トナーの外添剤が感光体2の表面に固着しやすくなる。よって、このようなブレード部材5Aによるフィルミング抑制性能の変動やトナーの外添剤の固着しやすさ等を考慮し、感光体2の周囲温度に応じて感光体2の走行距離を補正して累積すれば、より適正なフィルミング量を推定することが可能である。そのため、本実施形態では、感光体2の走行距離に対し、温度環境に応じた補正係数Aiを乗じたものを累積したカウント値(累積動作指標値)をフィルミングカウンタによりカウントし、このカウント値Fが所定の閾値を超えたら、フィルミング抑制処理を実行する。
また、形成される画像の内容によって、その画像形成により感光体2の表面上に付着するトナー付着量が異なるので、その画像形成による転写残トナーがクリーニング箇所に入力される量も異なる。具体的には、画像面積率が高い画像を形成した場合には、クリーニング箇所に入力されるトナー量は多いが、画像面積率が低い画像を形成した場合には、クリーニング箇所に入力されるトナー量は少ない。上述したとおり、クリーニング箇所に滞留するトナー量が少ないほど、トナーによるフィルミング抑制効果が低く、フィルミング量が増大しやすくなる。よって、形成画像のトナー付着量の違いに起因したトナーによるフィルミング抑制効果の影響を考慮し、形成画像のトナー付着量に応じて感光体2の走行距離を補正して累積すれば、より適正なフィルミング量を推定することが可能である。
そのため、本実施形態では、感光体2の走行距離に対し、形成画像のトナー付着量を示すトナー付着量指標値として形成画像の画像面積率を用い、形成画像の画像面積率に応じた補正係数Bjを乗じたものを累積したカウント値(累積動作指標値)をフィルミングカウンタによりカウントし、このカウント値Fが所定の閾値を超えたら、フィルミング抑制処理を実行する。
画像面積率は、1画素が2値で表される場合には、画像データに基づいて画像を構成する画素数をカウントすればよい。また、1画素が3値以上で表される場合には、画素数を画素値の大きさで重み付けしてカウントすればよい。また、簡易的には、画像階調値に応じたトナー付着量から概算してもよい。このとき、ハーフトーン処理から各階調における単位面積あたりの平均トナー付着量を割り出し、階調とトナー付着量との関係を予め保持しておくことで、トナー付着量を算出できる。例えば、ベタ階調では全面ドットが形成され、50%階調においてはチェッカーボード状にドットが形成されるハーフトーン処理であったとする場合、100%階調の画像は100%の画像面積率とし、50%階調の画像は平均50%の画像面積率として算出できる。
図5は、温度環境に応じた補正係数の一例を示す表である。
図6は、画像面積率に応じた補正係数の一例を示す表である。
図7は、図5及び図6に示す表をまとめた補正係数の表である。
図8は、フィルミングカウンタのカウント値の変動の一例を示す表である。
図9は、図8に示す表をグラフ化したものである。
本実施形態では、感光体2の走行距離が1km増えるごとに、フィルミングカウンタをカウントする。フィルミングカウンタをカウントする際、温度センサ601で温度を検知し、その温度に対応する環境区分A1〜A7を図5に示す表に従って特定する。また、入力される画像データに基づいて、その画像面積率に対応する画像面積率区分B1〜B4を図6に示す表に従って特定する。そして、特定した環境区分及び画像面積率区分に対応する補正係数Ai×Bjを選択し、その補正係数Ai×Bjと走行距離(1km)とを掛け合わせて、補正後の走行距離(個別フィルミングカウンタ計算値)を算出し、これをフィルミングカウンタのカウント値に加算する。
本実施形態においては、図5に示す表からわかるように、温度が低い環境においては、ブレード部材5Aの硬度が高く維持されて高いフィルミング抑制性能が発揮される結果、フィルミング量を減らす効果が得られる。そのため、フィルミングカウンタのカウント値Fは上下動することになる。ただし、本実施形態の複写機内には、定着装置12に代表される多くの熱源が存在するので、画像形成動作が継続されると、フィルミング量を減らす効果が得られる低温環境を維持することは難しく、フィルミング量は徐々に増大する。
また、温度が高い環境(20℃以上のとき)の場合、ブレード部材5Aの硬度が低くなってブレード部材によるフィルミング抑制性能が低下する。この場合でも、形成画像の画像面積率が高い場合には、クリーニング箇所に入力されるトナー量が多く維持されて、トナーによるフィルミング抑制効果が得られる。そのため、本実施形態においては、図6に示す表に示すように、温度が高い環境(20℃以上のとき)の場合には、形成画像の画像面積率が高いほどフィルミングカウンタのカウントアップが少なくなるように補正される。
一方、温度が低い環境(20℃未満のとき)の場合、ブレード部材5Aの硬度が高く、ブレード部材によるフィルミング抑制性能が高い。この状態で、クリーニング箇所に入力されるトナー量が多いと、フィルミングの原因となるトナーの外添剤が感光体2の表面に付着する量を増大させる結果となり、かえってフィルミング量を増大させることになる。そのため、本実施形態においては、図6に示す表に示すように、温度が低い環境(20℃未満のとき)の場合には、形成画像の画像面積率が高いほどフィルミングカウンタのカウントアップが多くなるように補正される。
本実施形態では、フィルミングカウンタのカウント値Fが1を超えると、フィルミングによる画質劣化(ハーフトーン画像の白抜け等)が顕在化する。そのため、本実施形態では、例えば閾値を0.9とし、フィルミングカウンタのカウント値Fがこの閾値を超えたら、フィルミング抑制処理を実行するという制御を行う。
本実施形態のフィルミング抑制処理は、連続画像形成動作中の画像間の非画像領域に対応する感光体2の表面部分に、所定のトナーパターンを形成することにより行う。具体的には、当該感光体2の表面部分を帯電部材3により一様帯電した後に、露光装置6によって所定の潜像パターンを形成し、これを現像装置4によって現像することでトナーパターンを形成する。このトナーパターンの画像形成条件(帯電バイアス、露光パワー、現像バイアスなど)を変更することにより、トナーパターンの単位面積当たりのトナー付着量、トナーパターンの面積、トナーを付着させる動作時間、トナーを付着させる動作頻度などを制御することで、クリーニング箇所に供給するトナーの量をコントロールすることができる。
トナーパターンの単位面積当たりのトナー付着量は、例えば、感光体2の帯電バイアスや現像バイアスの制御あるいは感光体2への露光パワーの制御により、トナーパターンを構成するトナー層の厚みを変えることで、制御することができる。また、トナーパターンの面積は、例えば、トナーパターンの外形寸法を変更したり、図10に示すように、トナーパターンの外形寸法を固定したまま、そのパターン内部のトナー付着面積を変更したりして、制御することができる。また、トナーを付着させる動作時間を制御することで、例えば、露光時間を制御してトナーパターンの副走査方向長さを変えることができる。また、トナーを付着させる動作頻度は、トナーパターンの形成数や形成タイミングを変更することで制御することができる。
なお、本実施形態のフィルミング抑制処理とは異なる方法で、クリーニング箇所にトナーを供給するようにしてもよく、例えば、クリーニング箇所にトナーを供給するための専用のトナー付着手段を設けてもよい。
図1は、本実施形態におけるフィルミング抑制の処理動作の流れの一例を示すフローチャートである。
本実施形態においては、感光体2の走行距離1kmごとのタイミングを所定の計測タイミングとし、このタイミングに達した後に新たな画像形成動作の指示が無くなって画像形成ジョブを終了するときに、温度センサ601の検知結果に基づく環境区分及び画像データに基づく画像面積率区分に対応した補正係数Ai×Bjと感光体走行距離とからフィルミングカウンタをカウントする(S1)。各タイミングでの環境区分は、例えば、前回のタイミングから今回のタイミングまでの期間に定期又は不定期に測定した温度センサ601の検知結果をメモリに蓄積しておき、その平均温度から図5に示す表に従って環境区分を特定する。また、各タイミングでの画像面積率区分は、例えば、前回のタイミングから今回のタイミングまでの期間に形成した画像データから、その期間中に形成した画像の画像面積率の平均値を算出し、その平均値から図6に示す表に従って画像面積率区分を特定する。
本実施形態においては、カウント値Fが0.8(閾値)を超えているか否かを判断し(S2)、0.8以下であれば(S2のNo)、フィルミング抑制処理(S5)を実施することなく終了する。一方、カウント値Fが0.8を超えている場合には(S2のYes)、次の画像形成ジョブが開始されて(S3)、1枚目の画像を形成した後(S4)、その画像の直後の非画像領域にトナーパターンを形成するフィルミング抑制処理を実施する(S5)。このフィルミング抑制処理によって感光体2の表面に付着したトナーパターンの少なくとも一部は、一次転写領域を通過して、クリーニング箇所へ供給される。
トナーパターンは、例えば、クリーニング箇所の主走査方向全域にわたる帯状のトナーパターン(主走査方向に長尺なトナーパターン)としてもよいし、主走査方向に複数のトナーパターンを並べたものであってもよい。
このとき、トナーパターンが一次転写領域を通過する際には、その直前の画像を一次転写する際の一次転写バイアスよりも小さい一次転写バイアスに切り換えるか、一次転写バイアスをオフにするのが好ましい。この場合、中間転写ベルト7上に転写されてクリーニング箇所に供給されないトナーの量を少なく抑えることができ、トナーパターンを構成するトナーを無駄なくクリーニング箇所へ供給することができる。
その後、トナーパターンの形成によってクリーニング箇所に供給されるトナー量が予め決められたトナー供給量に達したかどうかを判断し(S6)、達していなければ(S6のNo)、画像形成ジョブが終了かどうかを判断する(S7)。この判断において画像形成ジョブが終了でなければ(S7のNo)、次の画像を形成した後(S4)、その画像の直後の非画像領域に再びトナーパターンを形成するフィルミング抑制処理を実施する(S5)。
前記処理ステップS7の判断において画像形成ジョブが終了であれば(S7のYes)、次の画像形成ジョブの開始まで待機し(S3)、次の画像形成ジョブが開始されたら(S3のYes)、その1枚目の画像の直後の非画像領域に再びトナーパターンを形成するフィルミング抑制処理を実施する(S5)。
なお、フィルミング抑制処理を実施した場合には、フィルミングカウンタのカウント値Fを減少させる。このときのカウント値Fの減少量の計算は、フィルミングカウンタのカウント値Fをカウントするときと同様の考え方で行えばよいが、フィルミング抑制処理実施後のカウント値減少用のテーブルや計算式を用いてもよい。これは、例えば、同じトナー付着量であっても、画像形成動作時にクリーニング箇所に供給されるトナー供給量と、フィルミング抑制処理時にクリーニング箇所に供給されるトナー供給量との間で違いが出る場合に有効である。例えば、フィルミング抑制処理時のトナーパターン形成条件が、画像形成時の条件とは異なる場合である。具体的には、フィルミング抑制処理時に転写バイアスを小さくしたりオフにしたり、あるいは、現像バイアスや露光パワーの設定条件が変更したりする場合などである。例えば、転写率が90%である場合、転写バイアスをオフにしたときのクリーニング箇所へのトナー供給量は、転写バイアスをオンにしたときの約1/10になる。
以上の処理ステップを繰り返し行い、トナーパターンの形成によってクリーニング箇所に供給されるトナー量が予め決められたトナー供給量に達したら(S6のYes)、終了する。
本実施形態では、温度を考慮してフィルミングカウントのカウント値Fをカウントしているが、湿度を考慮に入れても良い。具体的には湿度検出手段としての湿度センサを設け、感光体の表面周囲の絶対湿度又は相対湿度を検知し、その検知結果に応じた補正係数を用いる。感光体周囲の湿度が上昇すると、感光体2の表面上のフィルミング物質が水分を取り込んで電気抵抗値が下がり、そのフィルミングによる画質劣化が顕在化しやすくなるからである。
また、本実施形態では、フィルミングカウントのカウント値Fとして、感光体走行距離を温度と形成画像の画像面積率とで補正したものを用いているが、感光体2表面上のフィルミング量と相関関係のあるパラメータを考慮に入れたものであれば、これに限られるものではない。したがって、感光体走行距離を補正せずに用いてもよいし、感光体走行距離を温度だけで補正したものや画像面積率だけで補正したものであってもよい。
また、フィルミングは、クリーニング箇所へのトナー入力速度(単位時間当たりのトナー付着量)も影響するという知見がある。例えば、画像全体のトナー付着量が同じであっても、ハーフトーン画像のように少しずつ長い時間をかけてクリーニング箇所へトナーが入力されるケースと、ベタ画像のように短時間のうちに一度にトナーが入力されるケースとで、フィルミングの増加度合いが異なる。詳しくは、前者のケースではフィルミング量が増大しやすく、後者のケースではフィルミング量の増加が少ないか、逆にフィルミング量を減少させる。これについては詳しいメカニズムは分かっていないが、前者のケースでは、クリーニング箇所でトナーの添加剤等をそのまま感光体に付着させてしまいフィルミング量を増大させる結果を招く一方、後者のケースでは、大量のトナーがクリーニング箇所に短期に入力されることで、感光体2の表面に付着している添加剤を巻き込んで掻き取る作用が得られるものと考えられる。
よって、フィルミングカウントのカウント値Fは、クリーニング箇所へのトナー入力速度を考慮してカウントしてもよい。例えば、副走査方向における単位長さ当たりの潜像画素数を、クリーニング箇所へのトナー入力速度の指標値として用いることができる。この場合、この指標値が大きいほど、フィルミングカウント値Fが増えやすいようにカウント値Fをカウントする。
また、本実施形態において、フィルミング抑制処理時にクリーニング箇所に供給する目標のトナー供給量は、固定値であってもよいし、何らかのパラメータ値に基づいて変動する変動値であってもよい。
図11は、効果確認試験の結果を示す表である。
本効果確認試験においては、リコー社製MPC3503を用い、画像面積率5%相当のチャートを、図8に示した例に従った温度環境変化及び画像面積率変化の中で画像形成し、感光体走行距離5kmごとにハーフトーン画像を出力して、フィルミングによる画質劣化(白抜け)を評価した。この評価では、ハーフトーン画像上での白抜けが確認できない場合を「◎」とし、ハーフトーン画像上での白抜けは確認されたが、その数が非常に少ない場合を「○」とし、ハーフトーン画像上での白抜けが目立つ場合を「×」とした。
実施例1は、閾値を0.8とし、フィルミングカウンタのカウント値Fがこの閾値を超えたときにクリーニング抑制処理を実行したものである。
実施例2は、閾値を0.9とし、フィルミングカウンタのカウント値Fがこの閾値を超えたときにクリーニング抑制処理を実行したものである。
比較例1は、閾値を1.0とし、フィルミングカウンタのカウント値Fがこの閾値を超えたときにクリーニング抑制処理を実行したものである。
図11に示すように、フィルミングによる画質劣化(ハーフトーン画像の白抜け)が顕在化する前に、すなわち、フィルミングカウンタのカウント値Fが1.0を超える前にクリーニング抑制処理を実行した実施例1及び実施例2については、フィルミングカウンタのカウント値Fが1.0を超えた後も、ハーフトーン画像の白抜けが許容レベルで抑制できている。したがって、感光体2の表面上に画質劣化を引き起こすほどの量のフィルミングが発生していても、そのフィルミングによる画質劣化が顕在化することを抑制できる。
〔変形例1〕
次に、本実施形態におけるフィルミング抑制処理の一変形例(以下、本変形例を「変形例1」という。)について説明する。
上述した実施形態のフィルミング抑制処理では、主走査方向に長尺な帯状のトナーパターンを用いて、クリーニング箇所の主走査方向全域にわたってほぼ同量のトナーを供給する。しかしながら、クリーニング箇所に滞留するトナーの量は、通常、形成画像における主走査方向のトナー量分布に応じて異なるものとなる。すなわち、画像面積率が同じ画像であっても、その主走査方向におけるトナー量分布に応じて、クリーニング箇所における主走査方向各部に入力されるトナー量は変わってくる。そのため、画像全体の画像面積率からはフィルミング抑制処理(トナーパターンの形成)が必要ないと判断されるケースでも、滞留するトナー量が相対的に少ない主走査方向部分で局所的にフィルミング量が増大していてフィルミング抑制処理が必要な場合がある。
そこで、本変形例1においては、主走査方向に区分けされた複数のブロック(処理単位領域)を設定し、画像データからブロックごとの画像面積率を取得して、ブロックごとに画像面積率区分を特定する。そして、ブロックごとにフィルミングカウンタのカウント値F1〜FN(Nはブロック数)をカウントする。これにより、主走査方向のどのブロックでフィルミング量が増大しているかを把握することができる。その結果、滞留するトナー量が相対的に少なく局所的にフィルミング量が増大している主走査方向部分を適切に把握することができ、そのような部分にフィルミングによる画質劣化が局所的に現れる事態を回避することが可能となる。
本変形例1においては、いずれかのブロックのフィルミングカウンタのカウント値F1〜FNが閾値を超えたときにフィルミング抑制処理を実行する。このフィルミング抑制処理で形成するトナーパターンは、例えば、上述した実施形態と同様、主走査方向に長尺な帯状のトナーパターンを用いてクリーニング箇所の主走査方向全域にわたってほぼ同量のトナーを供給するようにしてもよいが、カウント値F1〜FNが閾値を超えたブロックに対応する主走査方向部分についてのみトナーが付着するように形成してもよい。
ブロックの区切り方については特に限定はしないが、ブロック数が多い方がより細かく主走査方向位置に応じたフィルミング抑制処理を実施することができる。主走査方向のブロック単位の目安としては、例えば、主走査方向の画像面積は画像解像度と対応して変動するため、基本的には主走査方向の各ブロックの最小解像度は作像解像度以下に設定する。例えば、主走査方向の解像度が600dpiであれば、ブロックは最大で600個を設定することができる。
図12は、本変形例1におけるフィルミング抑制の処理動作の流れの一例を示すフローチャートである。
本変形例1においては、1枚の画像形成ごとのタイミングを所定の計測タイミングとし、その画像データを取得するとともに温度センサ601から温度データを取得する(S11)。そして、制御部600は、画像データからブロックごとの画像面積率を取得して、ブロックごとに画像面積率区分を特定するとともに、温度センサ601の検知結果から環境区分を特定し、これらの区分に対応した補正係数Ai×Bjと感光体走行距離とから、各ブロックのフィルミングカウンタのカウント値F1〜FNをカウントする(S12)。
その後、各ブロックのカウント値F1〜FNが0.8(閾値)を超えているか否かを判断し(S13)、0.8以下であるブロックについては(S13のNo)、フィルミング抑制処理(S15)を実施することなく終了する。一方、カウント値F1〜FNが0.8を超えているブロックについては(S13のYes)、本画像データに基づく画像を形成した後(S14)、その画像の直後の非画像領域における当該ブロックの主走査方向位置に対応する部分にトナーパターンを形成するフィルミング抑制処理を実施する(S15)。
図13は、本変形例1において同じ画像を4枚連続して形成する場合のフィルミング抑制処理の内容を説明する説明図である。
図13においては、図中上側から順に1枚目から4枚目の画像(黒い塗り潰し部分が画像部分である。)が図示されており、各画像の図中右側には、主走査方向ブロックごとのフィルミングカウント値が示されている。なお、ここでは、説明を簡略化するため、主走査方向ブロックは、画像を主走査方向に3分割し、図中左側から順に、ブロック1、ブロック2、ブロック3とする。また、説明を簡略化するため、フィルミングカウント値を自然数で表し、閾値を「10」とする。
本変形例1において、1枚目の画像が形成されると、画像面積率が100%であるブロック1のフィルミングカウント値F1は増加しないが、画像面積率が0%であるブロック2のフィルミングカウント値F2は「10」増加し、画像面積率が30%であるブロック3のフィルミングカウント値F3は「5」増加する。この時点では、閾値「10」を超えるブロックは存在しない。
次に、2枚目の画像が形成されると、1枚目の画像と同様に各フィルミングカウント値F1〜F3が増加し、それぞれのフィルミングカウント値F1〜F3が、「0」、「20」、「10」となる。その結果、ブロック2のフィルミングカウント値F2は閾値を超えることになるので、2枚目の画像の直後の非画像領域におけるブロック2の主走査方向位置に対応する部分に、トナーパターンTPを形成するフィルミング抑制処理が実施される。
本変形例1におけるフィルミング抑制処理によりクリーニング箇所に供給すべき目標のトナー供給量は、予め決められた固定値である。すなわち、各ブロックに形成されるトナーパターンTPは、常に同じものである。よって、フィルミング抑制処理の実施後におけるカウント値の減少量も一定(ここでは「−15」とする。)である。よって、2枚目の画像の直後にフィルミング抑制処理が実施された結果、ブロック2のフィルミングカウント値F2は、「5」に減算される。
次に、3枚目の画像が形成されると、1枚目、2枚目の画像と同様に各フィルミングカウント値F1〜F3が増加し、それぞれのフィルミングカウント値F1〜F3が、「0」、「15」、「15」となる。その結果、ブロック2とブロック3のフィルミングカウント値F2,F3が閾値を超えることになるので、3枚目の画像の直後の非画像領域におけるブロック2及びブロック3の主走査方向位置に対応する各部分に、トナーパターンTPを形成するフィルミング抑制処理が実施される。
そして、このフィルミング抑制処理が実施された結果、ブロック2及びブロック3の各フィルミングカウント値F2,F3は「0」に減算される。よって、その後、4枚目の画像が形成されると、1枚目の画像の場合と同じ状況になる。
〔変形例2〕
次に、本実施形態におけるフィルミング抑制処理の他の変形例(以下、本変形例を「変形例2」という。)について説明する。
本変形例2のフィルミング抑制処理の基本的な動作は、前記変形例1と同様であるが、フィルミング抑制処理の実行時にクリーニング箇所へ供給する目標のトナー供給量が変動値である点で、前記変形例1と相違する。
図14は、本変形例2において同じ画像を4枚連続して形成する場合のフィルミング抑制処理の内容を説明する説明図である。
なお、画像の例やフィルミングカウント値等の条件は、図13に示したものと同様である。
本変形例2において、2枚目の画像まで形成されると、前記変形例1の場合と同様、各ブロック1〜3のフィルミングカウント値F1〜F3は、「0」、「20」、「10」となる。その結果、ブロック2のフィルミングカウント値F2は閾値を超えることになるので、2枚目の画像の直後の非画像領域におけるブロック2の主走査方向位置に対応する部分に、トナーパターンTPを形成するフィルミング抑制処理が実施される。
このときに形成されるトナーパターンTPのトナー付着量は、対応するブロックの画像面積率あるいはフィルミングカウント値に応じて異なる。具体的には、画像面積率が小さいほどあるいはフィルミングカウント値が大きいほどトナー付着量が多くなるようにトナーパターンTPが形成される。本変形例では、トナーパターンTPの副走査方向長さを変更することによりトナーパターンTPのトナー付着量を変更している。
また、フィルミング抑制処理の実施後におけるカウント値の減少量は、トナーパターンTPのトナー付着量に応じて変更する。ここでは、ブロック2のフィルミングカウント値F2が「20」であったため、トナー付着量が比較的多いトナーパターンTPが形成された結果、そのフィルミング抑制処理実施後におけるカウント値は比較的多く減少させる(ここでは「−20」とする。)。よって、2枚目の画像の直後にフィルミング抑制処理が実施された結果、ブロック2のフィルミングカウント値F2は、「0」に減算される。
次に、3枚目の画像が形成されると、1枚目、2枚目の画像と同様に各フィルミングカウント値F1〜F3が増加し、それぞれのフィルミングカウント値F1〜F3が、「0」、「10」、「15」となる。その結果、ブロック3のフィルミングカウント値F3が閾値を超えることになるので、3枚目の画像の直後の非画像領域におけるブロック3の主走査方向位置に対応する部分に、トナーパターンTPを形成するフィルミング抑制処理が実施される。
このときにブロック3について形成されるトナーパターンTPのトナー付着量は、2枚目の画像形成時におけるブロック2の場合よりも、画像面積率が大きくあるいはフィルミングカウント値が小さいため、トナー付着量が比較的少ないトナーパターンTPが形成される。そして、このフィルミング抑制処理が実施された結果、ブロック3のフィルミングカウント値F3は比較的少なく減少され(ここでは「−10」とする。)、「5」に減算される。
次に、4枚目の画像が形成されると、各フィルミングカウント値F1〜F3が同様に増加し、それぞれのフィルミングカウント値F1〜F3が、「0」、「20」、「10」となる。その結果、4枚目の画像が形成されると、2枚目の画像の場合と同じ状況になる。
〔変形例3〕
次に、本実施形態におけるフィルミング抑制処理の更に他の変形例(以下、本変形例を「変形例3」という。)について説明する。
本変形例3のフィルミング抑制処理の基本的な動作は、前記変形例1と同様であるが、フィルミング抑制処理により形成するトナーパターンを画像形成ジョブ中の画像間における非画像領域に形成するのではなく、画像形成ジョブ間における非画像領域、すなわち、先の画像形成ジョブの最後の画像と後の画像形成ジョブの最初の画像との間における非画像領域に形成する点で、前記変形例1と相違する。
図15は、本変形例3におけるフィルミング抑制の処理動作の流れの一例を示すフローチャートである。
本変形例3においては、1枚の画像形成ごとのタイミングを所定の計測タイミングとし、その画像データを取得するとともに温度センサ601から温度データを取得する(S21)。その後、制御部600は、各ブロックのフィルミングカウンタのカウント値F1〜FNをカウントするとともに(S22)、当該画像データに基づく画像形成を行う(S23)。このようにして、制御部600は、画像形成ジョブが終了するまでの間(S24)、フィルミングカウンタのカウント値F1〜FNをカウントする。
画像形成ジョブが終了したら(S24のYes)、各ブロックのカウント値F1〜FNが0.8(閾値)を超えているか否かを判断し(S25)、カウント値F1〜FNが0.8を超えているブロックについては(S25のYes)、当該画像形成ジョブの最後の画像の直後の非画像領域における当該ブロックの主走査方向位置に対応する部分にトナーパターンを形成するフィルミング抑制処理を実施する(S26)。
その後、次の画像形成ジョブが存在する場合には(S27のNo)、再び、処理ステップS21に戻り、処理を繰り返す。次の画像形成ジョブが存在しなければ(S27のYes)、画像形成動作を終了する。
図16は、本変形例3において同じ画像を2枚連続して形成する第1の画像形成ジョブと、同じ画像(第1の画像形成ジョブの画像とは異なる画像)を2枚連続して形成する画像形成ジョブとを実施する場合のフィルミング抑制処理の内容を説明する説明図である。
なお、第1の画像形成ジョブにおける画像内容は、前記変形例1の画像内容と同じである。
本変形例3において、第1の画像形成ジョブにおける1枚目の画像が形成されると、画像面積率が100%であるブロック1のフィルミングカウント値F1は増加しないが、画像面積率が0%であるブロック2のフィルミングカウント値F2は「10」増加し、画像面積率が30%であるブロック3のフィルミングカウント値F3は「5」増加する。この時点では、閾値「10」を超えるブロックは存在しない。
次に、第1の画像形成ジョブにおける2枚目の画像が形成されると、1枚目の画像と同様に各フィルミングカウント値F1〜F3が増加し、それぞれのフィルミングカウント値F1〜F3が、「0」、「20」、「10」となる。その結果、ブロック2のフィルミングカウント値F2は閾値を超えることになる。このとき、当該2枚目の画像は、当該第1の画像形成ジョブにおける最後の画像であるため、本変形例3では、当該2枚目の画像の直後の非画像領域におけるブロック2の主走査方向位置に対応する部分に、トナーパターンTPを形成するフィルミング抑制処理が実施される。その後、ブロック2のカウント値が「−15」とされる結果、ブロック2のフィルミングカウント値F2は「5」に減算される。
続いて、別の画像を形成する第2の画像形成ジョブにおける1枚目の画像が形成されると、画像面積率が0%であるブロック1のフィルミングカウント値F1は「10」増加し、画像面積率が100%であるブロック2のフィルミングカウント値F2は増加せず、画像面積率が30%であるブロック3のフィルミングカウント値F3は「5」増加する。その結果、それぞれのフィルミングカウント値F1〜F3は、「10」、「5」、「15」となり、ブロック3のフィルミングカウント値F3が閾値を超えることになる。このとき、当該1枚目の画像は、当該第2の画像形成ジョブにおける最後の画像ではないため、本変形例3では、当該1枚目の画像の直後の非画像領域にはトナーパターンTPを形成しないまま、次の画像形成が行われることになる。
次に、第2の画像形成ジョブにおける2枚目の画像が形成されると、1枚目の画像と同様に各フィルミングカウント値F1〜F3が増加し、それぞれのフィルミングカウント値F1〜F3が、「20」、「5」、「20」となる。その結果、ブロック1及びブロック3のフィルミングカウント値F1,F3が閾値を超えることになる。このとき、当該2枚目の画像は、当該第2の画像形成ジョブにおける最後の画像であるため、当該2枚目の画像の直後の非画像領域におけるブロック1及びブロック3の主走査方向位置に対応する各部分に、トナーパターンTPを形成するフィルミング抑制処理が実施される。その後、ブロック1及びブロック3のカウント値が「−15」とされる結果、ブロック1及びブロック3のフィルミングカウント値F2は「5」に減算される。
〔変形例4〕
次に、本実施形態におけるフィルミング抑制処理の更に他の変形例(以下、本変形例を「変形例4」という。)について説明する。
本変形例4のフィルミング抑制処理の基本的な動作は、前記変形例3と同様であるが、フィルミング抑制処理の実行時にクリーニング箇所へ供給する目標のトナー供給量が変動値である点で、前記変形例3と相違する。
図17は、本変形例4において同じ画像を2枚連続して形成する第1の画像形成ジョブと、同じ画像(第1の画像形成ジョブの画像とは異なる画像)を2枚連続して形成する画像形成ジョブとを実施する場合のフィルミング抑制処理の内容を説明する説明図である。
なお、画像の例やフィルミングカウント値等の条件は、図16に示したものと同様である。
本変形例4において、第1の画像形成ジョブにおける2枚目の画像まで形成されると、前記変形例3の場合と同様、各ブロック1〜3のフィルミングカウント値F1〜F3は、「0」、「20」、「10」となる。その結果、ブロック2のフィルミングカウント値F2は閾値を超えることになる。そして、当該2枚目の画像は、当該第1の画像形成ジョブにおける最後の画像であるため、当該2枚目の画像の直後の非画像領域におけるブロック2の主走査方向位置に対応する部分に、トナーパターンTPを形成するフィルミング抑制処理が実施される。
このときに形成されるトナーパターンTPのトナー付着量は、対応するブロックの画像面積率あるいはフィルミングカウント値に応じて異なる。具体的には、画像面積率が小さいほどあるいはフィルミングカウント値が大きいほどトナー付着量が多くなるようにトナーパターンTPが形成される。本変形例4では、上述した変形例2と同様の条件に従って、トナーパターンTPを形成する。また、フィルミング抑制処理の実施後におけるカウント値の減少量についても、上述した変形例2と同様の条件に従って設定する。
したがって、第1の画像形成ジョブの終了時点において、フィルミングカウント値F2が「20」であるブロック2については、トナー付着量が比較的多いトナーパターンTPが形成され、これに応じてブロック2のカウント値F2はフィルミング抑制処理実施後に比較的多く減少させる(「−20」)。よって、第1の画像形成ジョブにおける2枚目の画像の直後にフィルミング抑制処理が実施された結果、ブロック2のフィルミングカウント値F2は「0」に減算される。
次に、第2の画像形成ジョブにおける1枚目の画像が形成されると、前記変形例3の場合と同様に各フィルミングカウント値F1〜F3が増加し、それぞれのフィルミングカウント値F1〜F3は、「10」、「0」、「15」となる。その結果、ブロック3のフィルミングカウント値F3が閾値を超えることになるが、当該1枚目の画像は、当該第2の画像形成ジョブにおける最後の画像ではないため、当該1枚目の画像の直後の非画像領域にはトナーパターンTPを形成しないまま、次の画像形成が行われることになる。
次に、第2の画像形成ジョブにおける2枚目の画像が形成されると、1枚目の画像と同様に各フィルミングカウント値F1〜F3が増加し、それぞれのフィルミングカウント値F1〜F3が、「20」、「0」、「20」となる。その結果、ブロック1及びブロック3のフィルミングカウント値F1,F3が閾値を超えることになる。このとき、当該2枚目の画像は、当該第2の画像形成ジョブにおける最後の画像であるため、当該2枚目の画像の直後の非画像領域におけるブロック1及びブロック3の主走査方向位置に対応する各部分に、トナーパターンTPを形成するフィルミング抑制処理が実施される。
このときにブロック1及びブロック3について形成されるトナーパターンTPについても、トナー付着量が比較的多いものが形成され、これに応じてブロック1及びブロック3のカウント値F1,F3はフィルミング抑制処理実施後に比較的多く減少させる(「−20」)。その結果、ブロック1及びブロック3のカウント値F1,F3は「0」に減算される。
本実施形態(上述した変形例を含む。)においては、画像間の非画像領域内にトナーパターンを形成してクリーニング箇所にトナーを供給する。そのため、当該非画像領域の副走査方向長さや単位面積当たりのトナー付着量などの関係から、1つの非画像領域内に形成されるトナーパターンでクリーニング箇所に供給できるトナー量には制約がある。そのため、1つの非画像領域内ではなく、2以上の非画像領域内にトナーパターンを形成して、目標のトナー供給量をクリーニング箇所に供給するようにしてもよい。
また、本実施形態(上述した変形例を含む。)においては、フィルミングカウント値が閾値を超えるまではフィルミング抑制処理を実施せずトナーパターンが形成されない例である。フィルミングカウント値が閾値以下の状況下で所定量のトナーをクリーニング箇所に供給することを排除するものではない。例えば、フィルミングカウント値が閾値以下の状況において、現像装置内の劣化トナーを吐き出す目的でトナーを感光体2の表面上の非画像領域に付着させる場合などが挙げられる。
また、本実施形態(上述した変形例を含む。)においては、フィルミングカウント値を初期時から累積してカウントしているが、所定の直近期間内におけるフィルミングカウント値をカウントしたものであってもよい。フィルミングはすでに成長しきってしまったものをクリーニング箇所へトナー供給して改善することは難しいので、クリーニング箇所へのトナー供給は、フィルミングが成長過渡状態にあるうちにトナーによって成長を抑制する(遅らせる)ことに主な効果がある。また、過去にクリーニング箇所へのトナー供給量が多くても、直近でのトナー供給量が少なければ、フィルミングの成長は進んでしまう。このため、直近期間におけるフィルミングカウント値の情報が重要であり、直近期間におけるフィルミングカウント値に応じてフィルミング抑制処理を実施するのが有効である。
なお、この直近期間は、固定期間であってもよいが、温度や湿度などの環境情報に応じて変化する可変期間としてもよい。例えば、高温環境においてはフィルミングが進行しやすいため、直近期間を短くし、直近でのトナー供給量を重視することが好ましい。
また、本実施形態(上述した変形例を含む。)においては、温度や湿度などの環境情報に基づく環境区分に応じてフィルミングカウント値Fを補正しているが、環境区分に応じて閾値を補正しても同様の効果が得られる。この場合、フィルミングカウント時の処理負荷が軽減される。環境区分に応じて閾値を補正する場合、例えば、フィルミングの発生しやすい高温環境では閾値を低くし、フィルミングの発生しにくい低温環境では閾値を高く設定すればよい。
また、本実施形態(上述した変形例を含む。)においては、プロセスカートリッジ1Y,1M,1C,1Kごとに独立してフィルミング抑制の処理動作を実行している。具体的には、プロセスカートリッジ1Y,1M,1C,1Kそれぞれの感光体上に形成される画像の画像面積率に応じて、各プロセスカートリッジ1Y,1M,1C,1Kのフィルミングカウント値を補正している。しかしながら、中間転写ベルト表面移動方向に沿って感光体2が4つ並べられたタンデム型の構成においては、中間転写ベルト表面移動方向上流側で一次転写されたトナー画像の一部がその下流側の感光体2の一次転写領域において当該感光体表面に逆転写する。そのため、当該下流側の感光体2にはこのように逆転写したトナーもクリーニング箇所に入力されることになる。
したがって、より正確なフィルミング抑制処理を実行しようとするならば、この逆転写トナーも考慮することが好ましい。例えば、中間転写ベルト7の表面移動方向最下流に位置する黒用のプロセスカートリッジ1Kの場合、その上流側に位置する3つのプロセスカートリッジ1Y,1M,1Cで形成される各色トナー画像からの逆転写トナーがクリーニング箇所に入力される。各プロセスカートリッジ1Y,1M,1C,1Kの転写率が90%であり、逆転写率が5%だとすると、黒用のプロセスカートリッジ1Kのクリーニング箇所には、プロセスカートリッジ1Y,1M,1Cの各感光体上に形成された画像のトナー付着量の90%×5%=4.5%に相当する逆転写トナーが入力されることになる。
なお、転写率や逆転写率などの条件は、予め求めたプロセスカートリッジごとの特性をもとに算出することができる。望ましくは、環境ごとの転写率、逆転写率を調査してテーブルとして実装し、それを参照することで逆転写トナーの入力量を推定することが好ましい。転写率や逆転写率を調査する方法としては、中間転写ベルト上の画像濃度をフォトセンサ等で検知して画像濃度調整制御を実行する場合には、そのときの画像濃度検知結果から推定する方法が挙げられる。ただし、逆転写トナーの量は、自らのプロセスカートリッジで形成された転写残トナーの量と比べて少ないので、必ずしも考慮する必要はない。
また、本実施形態(上述した変形例を含む。)においては、プロセスカートリッジ1Y,1M,1C,1Kごとに、フィルミングカウント値及び閾値を管理しているが、いずれか一方を共通管理することもできる。例えば、本実施形態では、環境区分や画像面積率区分に応じてフィルミングカウント値を補正しているため、フィルミングカウント値はプロセスカートリッジ1Y,1M,1C,1Kごとに異なるものとなるが、閾値についてはプロセスカートリッジ1Y,1M,1C,1K間で共通のものを用いることができる。また、環境区分に応じて閾値を変更する構成であっても、環境区分はプロセスカートリッジ1Y,1M,1C,1K間で共通に用いられる場合、やはり閾値を共通管理できる。
また、フィルミングカウント値や閾値の少なくとも一方の計算処理に関しては、プロセスカートリッジ1Y,1M,1C,1Kに応じた重み付けを利用して行い、大部分の計算処理を共通化してもよい。プロセスカートリッジ1Y,1M,1C,1Kでは異なるトナーが使用されるところ、トナーの種類が異なると、トナー種のベースが同じでも色によってフィルミングに対する特性に違いが出る場合があるためである。また、仮に各トナーのフィルミングに対する特性が同じであっても、感光体2やクリーニングブレードの組成や構成によってはフィルミングに対する特性に違いが出る場合もある。また、装置内のメカレイアウトや気流設計の問題や動作状態により、機内の温湿度条件にプロセスカートリッジ1Y,1M,1C,1K間で差が出る場合もある。例えば、使用状況からモノクロ印刷が多く続くことで、黒用のプロセスカートリッジ1Kが他のプロセスカートリッジ1Y,1M,1Cよりも長く動作して温度が高まるような場合が挙げられる。
重み付けとしては、例えば、トナー種や温度条件を振った場合のクリーニング箇所へ入力されるトナー量とフィルミングの成長速度との関係を実験的に求めておき、パラメータとして持たせればよい。例えば、トナー種Aがトナー種Bよりフィルミングが20%進行しやすいのであれば、トナー種Aを用いるプロセスカートリッジについてのフィルミングカウント値は、トナー種Bを用いるプロセスカートリッジよりも20%増加しやすく設定する。
このとき、中間転写ベルト7の表面移動方向上流側のプロセスカートリッジが形成するトナー画像の逆転写トナーを考慮する場合、逆転写トナーについては、当該上流側のプロセスカートリッジで用いるトナーの種類に応じて重み付けを行うのが好ましい。すなわち、フィルミングカウント値を計算するプロセスカートリッジで用いるトナー種よりも、上流側のプロセスカートリッジで用いるトナー種の方がフィルミングを20%進行させやすい場合、逆転写によって入力されるトナーについては、そのトナー種に応じた重み付けを行ってフィルミングカウント値や閾値に反映させる。
また、プロセスカートリッジ1Y,1M,1C,1Kごとに個別に温度センサや湿度センサを設けて、プロセスカートリッジ1Y,1M,1C,1Kごとに個別の環境区分を特定するようにしてもよい。また、同じプロセスカートリッジ1Y,1M,1C,1Kでも、装置手前側、中央部、装置奥側などの部位ごとに温度センサや湿度センサを設けて温湿度取得を取得し、フィルミングカウント値等に反映させてもよい。
本実施形態(上述した変形例を含む。)によれば、ダウンタイムの発生を抑制しつつも、適切にフィルミングを抑制して、高寿命で画像不具合の少ない画像形成装置を提供することが可能になる。特に、潤滑剤を非搭載とする画像形成装置においては、フィルミングによる画質劣化は大きな課題であるため、特に有効である。また、直流バイアスによる帯電処理によって感光体表面を帯電させるシステムを用いる場合、交流バイアスによる耐電処理を行う場合よりも電位制御性が悪く、感光体の表面状態によって電位が変動しやすい。この電位変動が画像スジやムラなどに直結するため、これらの構成を持つ画像形成装置においても特に有効に働く。
次に、長期間使用しても、低温定着性、耐熱保存性、転写性、及びフィルミング性のいずれも満足するトナーとして、好適に使用可能な一例を説明する。
本実施形態のトナーは、トナー母体粒子と、外添剤とを含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
<外添剤>
前記外添剤としては、少なくとも合着粒子を含有すれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
<<合着粒子>>
前記合着粒子は、一次粒子同士が合着されてなる非球形の二次粒子である。
なお、前記外添剤は、少なくとも前記合着粒子(二次粒子)を含めばよく、前記合着粒子(二次粒子)の他に、前記合着粒子の一次粒子の状態のものを含有させてもよい。
−一次粒子−
前記一次粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の無機微粒子、有機微粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリカが、トナー母体粒子への外添剤の埋没及び離脱を防ぐことができる点で好ましい。
前記一次粒子の体積平均粒子径(Da)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20nm〜150nmが好ましく、35nm〜150nmがより好ましい。前記一次粒子が、20nm未満であると、スペーサー効果の機能を果たすことができず、外部ストレスによるトナー母体粒子への外添剤の埋没を抑制できないことがあり、150nmを超えると、トナーからの遊離が発生しやすく、感光体フィルミングを引き起こしやすくなることがある。
前記一次粒子の体積平均粒子径(Da)は、前記合着粒子中の一次粒子の粒子径(図18に示す全ての矢印の長さ)をもとに測定した。前記測定は、前記二次粒子を適切な溶剤(テトラヒドロフラン(THF)等)に分散させた後、基板上で溶剤を抑制して乾固させたサンプルを、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM、加速電圧:5kV〜8kV、観察倍率:8,000倍〜10,000倍)にて視野中の一次粒子の粒子径を計測することにより行う。前記一次粒子の粒子径の測定は、凝集した各粒子の最長長さ(図18に示す全ての矢印の長さ)の平均値を計測(計測した粒子数:100個以上200個以下)することにより行う。
−−二次粒子−−
前記二次粒子とは、上述のとおり、即ち合着粒子を指す。
前記二次粒子としては、例えば、前記一次粒子を後述する処理剤により化学結合させ、二次凝集させた粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゾルゲルシリカが好ましい。
前記二次粒子の体積平均粒子径(Db)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80nm〜200nmが好ましく、100nm〜180nmがより好ましく、100nm〜160nmが特に好ましい。前記体積平均粒子径が、80nm未満であると、スペーサー効果の機能を果たしにくく、外部ストレスによる埋没を抑制しにくく、200nmを超えると、トナーからの遊離が発生しやすく、感光体フィルミングを引き起こしやすくなる。
前記二次粒子の体積平均粒子径(Db)の測定は、前記二次粒子を適切な溶剤(テトラヒドロフラン(THF)等)に分散させた後、基板上で溶剤を抑制して乾固させたサンプルを、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM、加速電圧:5kV〜8kV、観察倍率:8,000倍〜10,000倍)にて視野中の合着粒子の粒子径を計測することにより行う。前記二次粒子の粒子径の測定は、凝集した粒子の最長長さ(図19に示す矢印の長さ)を計測(計測した粒子数:100個以上200個以下)することにより行う。
−合着粒子の合着度−
前記合着度(G)は、前記合着粒子(二次粒子)の体積平均粒子径と、前記合着粒子に含まれる一次粒子の体積平均粒子径との比(二次粒子の体積平均粒子径/一次粒子の体積平均粒子径)で表され、各体積平均粒子径は、上述の方法により測定されて算出される。
前記合着粒子の合着度(G)(二次粒子の体積平均粒子径/一次粒子の体積平均粒子径)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.5〜4.0が好ましく、2.0〜3.0がより好ましい。前記合着度(G)が、1.5未満であると、前記外添剤が前記トナー母体粒子表面の凹部へ転がり埋没しやすく、転写性に優れないことがあり、4.0を超えると、トナーから前記外添剤が剥がれやすく、キャリア汚染や感光体に対して傷付けたりするため、経時での劣化にやや弱い。
前記合着度が1.3未満である合着粒子のトナー中における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー中の合着粒子に対して、10個数%以下が好ましい。前記合着粒子は、製造上、分布を有しており、前記合着度が1.3未満の粒子は、合着が進行していない粒子であり、ほぼ球形に近い状態として存在している。そのため、埋没抑制のために特徴づけている異形添加剤としての機能を果たしにくい。前記合着度が1.3未満の前記合着粒子の含有量の測定は、上述の方法により、前記一次粒子及び前記二次粒子の体積平均粒子径を100個以上200個以下測定した後、得られた測定値から各合着粒子の合着度を算出し、前記合着度が1.3未満となる粒子の個数を測定個数で除して算出する。
−合着粒子の粒度分布指標−
前記合着粒子の粒度分布指標として、下記式(1)を満たす粒子を用いることにより、特に、トナーにおけるフィルミング性の問題を解決することができる。前記合着粒子として、下記式(1)で表されるように、粒度分布がシャープな粒子を用いることにより、特に、フィルミング性に優れるトナーとすることができる。
ただし、前記式(1)中、Db50は、前記合着粒子の粒子径(nm)を横軸とし、前記合着粒子の累積値(個数%)を縦軸としたときの前記合着粒子の累積分布を小粒子側から描いたときに、前記累積値が50個数%となる前記合着粒子の粒子径を表し、Db10は、前記累積値が10個数%となる前記合着粒子の粒子径を表す。
前記Db50は、例えば、前記合着粒子の粒子径(nm)を横軸とし、前記合着粒子の累積値(個数%)を縦軸としたときの前記合着粒子の累積分布により表され、計測した前記合着粒子の粒子数が200個であれば100個目、150個であれば75個目の前記合着粒子の粒子径をいう。
前記Db50の測定は、前記合着粒子を適切な溶剤(テトラヒドロフラン(THF)等)に分散させた後、基板上で溶剤を抑制して乾固させたサンプルを、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM、加速電圧:5kV〜8kV、観察倍率:8,000倍〜10,000倍)にて視野中の合着粒子の粒子径を計測して、前記累積値が50%となる前記合着粒子の粒子径を測定することにより行う。前記合着粒子の粒子径は、凝集した粒子の最長長さ(図19に示す矢印の長さ)を計測(計測した粒子数:100個以上200個以下)することにより行う。
前記Db10は、例えば、前記合着粒子の粒子径(nm)を横軸とし、前記合着粒子の累積値(個数%)を縦軸としたときの前記合着粒子の累積分布により表され、計測した前記合着粒子の粒子数が200個であれば20個目、150個であれば15個目の前記合着粒子の粒子径をいう。
前記Db10の測定は、前記合着粒子を適切な溶剤(テトラヒドロフラン(THF)等)に分散させた後、基板上で溶剤を抑制して乾固させたサンプルを、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM、加速電圧:5kV〜8kV、観察倍率:8,000倍〜10,000倍)にて視野中の合着粒子の粒子径を計測して、前記累積値が10%となる前記合着粒子の粒子径を測定することにより行う。前記合着粒子の粒子径は、凝集した粒子の最長長さ(図19に示す矢印の長さ)を計測(計測した粒子数:100個以上200個以下)することにより行う。
前記「Db50/Db10」としては、1.2以下であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.15以下が好ましい。前記「Db50/Db10」が1.2を超えると、合着粒子の粒度分布が幅広く、小粒径の粒子が多くなる。即ち、「小粒径の粒子A」(合着が進んでおらず、一次粒子の状態で存在している粒子)又は「小粒径の粒子B」(合着は進んでいるが、一次粒子自体が小粒径である粒子)の少なくともどちらか一方が多いことを意味する。前記「小粒径の粒子A」が多いと、非球形の外添剤としての機能が果たしきれず、耐埋没性に劣るため、異常画像が発生することがあり、前記「小粒径の粒子B」が多いと、スペーサー効果の機能を果たすことができず、外部ストレスによるトナー母体粒子への外添剤の埋没を抑制できないことがある。そのため、前記「小粒径の粒子A」及び前記「小粒径の粒子B」を低減させる必要がある。
前記「小粒径の粒子A」及び前記「小粒径の粒子B」を低減させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分級処理により、予め小粒径の粒子を抑制する方法が好ましい。
−合着粒子の形状−
前記合着粒子の形状としては、粒子同士が合着されてなる非球形の形状を有すれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、図18〜図19に示すように、粒子同士が2個以上合着されてなる非球形の形状などが挙げられる。前記合着粒子を用いることにより、トナーの高流動性を実現し、現像器内にて攪拌されるなどトナーに負荷が与えられた場合においても外添剤の埋没や転動が抑制されることで経時での高転写率を維持することが可能となる。また、前記合着粒子は、一定の攪拌条件下においても、粒子同士の凝集力(合着力)が維持されるため、トナーの耐久性が高い。
前記合着粒子の粒子同士が合着されていることを確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)にて観察することにより、確認する方法が好ましい。
−合着粒子の製造方法−
前記合着粒子の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゾルゲル法により製造する方法が好ましく、具体的には、前記一次粒子と、下記に説明する処理剤とを混合乃至焼成することにより化学結合させて二次凝集させ、前記二次粒子(合着粒子)とすることにより製造する方法が好ましい。なお、前記ゾルゲル法により合成する際には、前記処理剤を共存させて、一段反応にて合着粒子を調製してもよい。
−−処理剤−−
前記処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シラン系処理剤、エポキシ系処理剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記一次粒子として、シリカを用いた場合には、前記シラン系処理剤が形成するSi−O−Si結合の方が、前記エポキシ系処理剤が形成するSi−O−C結合よりも、熱に対して安定である点で、シラン系処理剤が好ましい。また、必要に応じて、処理助剤(水、1質量%酢酸水溶液等)を使用してもよい。
−−−シラン系処理剤−−−
前記シラン系処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコキシシラン類(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等);シランカップリング剤(γ−アミノプロピルトルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン等);ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、N,N'−ビス(トリメチルシリル)ウレア、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ジメチルトリメチルシリルアミン、ヘキサメチルジシラザン、サイクリックシラザンの混合物などが挙げられる。
前記シラン系処理剤は、以下に示すように、前記一次粒子(例えば、シリカ一次粒子)を化学結合にさせて二次凝集を形成させる。
前記シラン系処理剤として、前記アルコキシシラン類、前記シラン系カップリング剤等を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、下記式(A)に示すように、前記シリカ一次粒子に結合するシラノール基とシラン系処理剤に結合するアルコキシ基が反応し、脱アルコールにより、新たなSi−O−Si結合を形成して二次凝集する。
前記シラン系処理剤として、前記クロロシラン類を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、前記クロロシラン類のクロル基と、前記シリカ一次粒子に結合するシラノール基とが脱塩化水素反応により、新たなSi−O−Si結合するシラノール基が脱水反応により、新たなSi−O−Si結合を形成して二次凝集する。また、前記シラン系処理剤として、前記クロロシラン類を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、系に水が共存する際には、まずクロロシラン類が水に加水分解してシラノール基を生成し、該シラノール基とシリカ一次粒子に結合するシラノール基が脱水反応により、新たなSi−O−Si結合を形成して二次凝集する。
前記シラン系処理剤として、シラザン類を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、アミノ基とシリカ一次粒子に結合するシラノール基が脱アンモニアすることにより、新たなSi−O−Si結合を形成して二次凝集する。
ただし、前記式(A)中、Rは、アルキル基を示す。
−−−エポキシ系処理剤−−−
前記エポキシ系処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フエノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
前記エポキシ系処理剤は、下記式(B)に示すように、前記シリカ一次粒子を化学結合させて二次凝集を形成させる。前記エポキシ系処理剤を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、前記シリカ一次粒子に結合するシラノール基が、前記エポキシ系処理剤のエポキシ基酸素原子及びエポキシ基に結合する炭素原子を付加することにより、新たなSi−O−C結合を形成して二次凝集する。
前記処理剤と前記一次粒子との混合質量比(一次粒子:処理剤)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100:0.01〜100:50が好ましい。なお、前記処理剤の量が多いほど、合着度が高くなる傾向にある。
前記処理剤と前記一次粒子との混合方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の混合機(スプレードライヤー等)により混合する方法などが挙げられる。なお、前記混合する際は、前記一次粒子を調製した後に前記処理剤を混合して調製してもよいし、前記一次粒子を調製する際に前記処理剤を共存させて、一段反応にて調製してもよい。
前記処理剤と前記一次粒子との焼成温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100℃〜2,500℃が好ましい。なお、前記焼成温度が高いほど、合着度が高くなる傾向にある。
前記処理剤と前記一次粒子との焼成時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5時間〜30時間が好ましい。
前記外添剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー母体粒子100質量部に対して、0.5質量部〜4.0質量部が好ましい。
<トナー母体粒子>
前記トナー母体粒子は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有する。
<<結着樹脂>>
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、スチレン・アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ジエン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、クマリン樹脂、アミドイミド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、低温定着性に優れ、画像表面を平滑化できる点で、低分子量化しても十分な可撓性を有する点で、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂と前記他の結着樹脂とを組み合わせた樹脂が好ましい。
−ポリエステル樹脂−
前記ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、未変性ポリエステル樹脂、変性ポリエステル樹脂が好ましい。前記未変性ポリエステル樹脂及び前記変性のポリエステル樹脂は、低温定着性及び耐ホットオフセット性を向上する点で、少なくとも一部が相溶していることが好ましい。このため、変性ポリエステル樹脂及び未変性ポリエステル樹脂は、類似の組成であることが好ましい。
−−未変性ポリエステル樹脂−−
前記未変性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂等の未変性のポリエステル樹脂などが挙げられる。
前記未変性ポリエステル樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1KOHmg/g〜50KOHmg/gが好ましく、5KOHmg/g〜30KOHmg/gがより好ましい。前記酸価が50KOHmg/gを超えると、帯電安定性、特に環境変動に対する帯電安定性が低下することがある。一方、前記酸価が好ましい範囲であると、帯電性安定性に優れ、紙への定着時に紙とトナーとの親和性が良くなり、低温定着性が向上する点で有利である。
前記未変性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5KOHmg/g以上が好ましい。なお、前記水酸基価の測定方法は、例えば、JIS K0070−1966に準拠した方法を用いて測定する方法などが挙げられる。前記測定方法について、具体例に説明する。まず、試料0.5gを100mLのメスフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5mLを加える。次に、100±5℃の温浴中で1時間〜2時間加熱した後、フラスコを温浴から取り出して放冷する。更に、水を加えて振り動かして無水酢酸を分解する。次に、無水酢酸を完全に分解させるために、再びフラスコを温浴中で10分以上加熱して放冷した後、有機溶剤でフラスコの壁を十分に洗う。更に、電位差自動滴定装置DL−53 Titrator(メトラー・トレド社製)及び電極DG113−SC(メトラー・トレド社製)を用いて、23℃で水酸基価を測定し、解析ソフト(LabX Light Version 1.00.000)を用いて解析する。前記装置の校正は、トルエン120mLとエタノール30mLの混合溶剤を用いる。前記水酸基価の測定条件は、表1に記載の通りである。
−−−未変性ポリエステル樹脂の合成方法−−−
前記未変性ポリエステル樹脂の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(1)で表されるポリオールと、下記一般式(2)で表されるポリカルボン酸とをポリエステル化することにより合成する方法などが挙げられる。
ただし、前記一般式(1)中、Aは、炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有してもよい芳香族基又はヘテロ環芳香族基を表し、mは、2〜4の整数を表す。
ただし、前記一般式(2)中、Bは、炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有してもよい芳香族基又はヘテロ環芳香族基を表し、nは、2〜4の整数を表す。
−−−−ポリオール−−−−
前記一般式(1)で表されるポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールA酸化エチレン付加物、ビスフェノールA酸化プロピレン付加物、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA酸化エチレン付加物、水素化ビスフェノールA酸化プロピレン付加物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−−−−ポリカルボン酸−−−−
前記一般式(2)で表されるポリカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(トリメリット酸)等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−−変性ポリエステル樹脂−−
前記変性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、「活性水素基含有化合物」及び「前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体」を、伸長反応乃至架橋反応して得られる樹脂などが挙げられる。
−−−活性水素基含有化合物−−−
前記「活性水素基含有化合物」は、水相中で、前記「活性水素基含有化合物と反応可能な重合体」が伸長反応乃至架橋反応する際の伸長剤、架橋剤等として作用する化合物であって、活性水素基を有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記「活性水素基含有化合物と反応可能な重合体」が後述するイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーである場合、高分子量化が可能となる点で、アミン類が好ましい。
前記活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基又はフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。これらは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
前記活性水素基含有化合物である前記アミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジアミン、3価以上のポリアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸、これらのアミン類のアミノ基をブロックしたものなどが挙げられる。前記ジアミンとしては、例えば、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4'−ジアミノ−3,3'ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)などが挙げられる。前記3価以上のポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。前記アミノアルコールとしては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。前記アミノメルカプタンとしては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。前記アミノ酸としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。前記これらのアミン類のアミノ基をブロックしたものとしては、例えば、前記これらのアミン類(ジアミン、3価以上のポリアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸等)のいずれかとケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジアミン、ジアミンと少量の3価以上のポリアミンとの混合物が好ましい。
−−−活性水素基含有化合物と反応可能な重合体−−−
前記「活性水素基含有化合物と反応可能な重合体」としては、前記「活性水素基含有化合物」と反応可能な基を少なくとも有する重合体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、溶融時の高流動性及び透明性に優れ、高分子成分の分子量を調節し易く、低温定着性及び離型性に優れる点で、ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)が好ましく、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(以下、「ポリエステルプレポリマー」と称する)がより好ましい。
前記ポリエステルプレポリマーの1分子当たりに含まれるイソシアネート基の平均数としては、1以上が好ましく、1.2〜5がより好ましく、1.5〜4がより好ましい。前記平均数が、1未満であると、ウレア結合生成基で変性されているポリエステル樹脂(RMPE)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記ポリエステルプレポリマーの質量平均分子量(Mw)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、3,000〜40,000が好ましく、4,000〜30,000がより好ましい。前記質量平均分子量(Mw)が、3,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、40,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。前記質量平均分子量(Mw)の測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。まず、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度でカラム溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mLの流速で流し、試料濃度を0.05質量%〜0.6質量%に調整した樹脂のテトラヒドロフラン試料溶液を50μL〜200μL注入して測定する。試料における分子量の測定は、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、及び4.48×10のポリスチレン試料(Pressure Chemical Co.又は東洋ソーダ工業社製)を用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いることが好ましい。なお、検出器としてはRI(屈折率)検出器を用いることができる。
前記ポリエステルプレポリマーの合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリオールとポリカルボン酸との重縮合物、及び活性水素基含有ポリエステル樹脂を、ポリイソシアネートと反応させて合成することができ、具体的には、前記ポリオールと前記ポリカルボン酸とを公知のエステル化触媒(チタンテトラブトキシド、ジブチルチンオキサイド等)の存在下、150℃〜280℃に加熱し、必要により適宜減圧しながら生成し、水を溜去して水酸基含有ポリエステルを得た後に、40℃〜140℃にて、前記水酸基含有ポリエステル樹脂に前記ポリイソシアネートを反応させることにより合成する方法などが挙げられる。
−−−−ポリオール−−−−
前記ポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等)、アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等)、脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)、前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物、前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物等のジオール;多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等)、3価以上のフェノール類(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等の3価以上のポリオール;ジオールと3価以上のポリオールとの混合物;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ポリオールは、前記ジオール単独、前記ジオールと少量の前記3価以上のポリオールとの混合物が好ましい。前記ジオールとしては、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物(ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物等)が好ましい。
前記ポリオールのイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、2質量%〜20質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、トナーの耐熱保存性と低温定着性との両立が困難となることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
−−−−ポリカルボン酸−−−−
前記ポリカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸等);炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等);3価以上のポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸等)、ジカルボン酸と3価以上のポリカルボン酸との混合物などが挙げられ、これらのポリカルボン酸から選択されるいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステル物を用いてもよい。前記低級アルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。前記ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合質量比(DIC:TC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
前記ポリオールと前記ポリカルボン酸とを重縮合反応させる際の混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリオールにおける水酸基[OH]と、ポリカルボン酸(PC)におけるカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が、通常、2/1〜1/1が好ましく、1.5/1〜1/1がより好ましく、1.3/1〜1.02/1が特に好ましい。
−−−−ポリイソシアネート−−−−
前記ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4'−ジイソシアネート、4,4'−ジイソシアナト−3,3'−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4'−ジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアヌレート類(トリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌレート、トリイソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート等);これらのフェノール誘導体;オキシム、カプロラクタム等でブロックしたものなどが挙げられる。これらは、1種単独でも使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネートの前記ポリエステルプレポリマー中における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、2質量%〜20質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性との両立が困難となることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記ポリイソシアネートのイソシアネート基[NCO]と前記活性水素基含有ポリエステル樹脂(水酸基含有ポリエステル樹脂の場合)の水酸基[OH]との当量比[NCO]/[OH]としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5/1〜1/1が好ましく、4/1〜1.2/1がより好ましく、3/1〜1.5/1が特に好ましい。前記当量比[NCO]/[OH]が、1/1未満であると、耐オフセット性が悪化することがあり、5/1を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記ポリイソシアネートと、前記水酸基含有ポリエステル樹脂とを反応させる場合、必要に応じて、有機溶剤を用いることができ、該有機溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等);エーテル類(テトラヒドロフラン等)等のイソシアネート基に対して不活性な溶剤などが挙げられる。
−−−変性ポリエステル樹脂の合成方法−−−
前記変性ポリエステル樹脂の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を含むトナー材料の溶解乃至分散液を、前記活性水素基含有化合物と共に、水系媒体(水相)中に乳化乃至分散させ、油滴を形成し、該水系媒体中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより合成させてもよく、(2)前記トナー材料の溶解乃至分散液を、予め前記活性水素基含有化合物を添加した水系媒体中に乳化乃至分散させ、油滴を形成し、該水系媒体中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより合成させてもよく、(3)前記トナー材料の溶解乃至分散液を、水系媒体中に添加混合させた後で、前記活性水素基含有化合物を添加し、油滴を形成し、該水系媒体中で粒子界面から両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより合成させてもよい。なお、(3)の場合、生成するトナー表面に優先的に変性ポリエステル樹脂が生成され、該トナー粒子に濃度勾配を設けることが可能となる。前記伸長反応乃至架橋反応は、必要に応じて、反応停止剤(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、ケチミン化合物等のモノアミンをブロックしたものなど)により停止させてもよい。本発明のトナーは、前記架橋反応乃至伸長反応したポリエステル樹脂が共存しているので、従来のポリエステル系トナーと比較してガラス転移温度が低くても良好な耐熱保存性を示す。
前記変性ポリエステル樹脂の数平均分子量として、前記ウレア変性ポリエステル樹脂の場合、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000〜10,000が好ましく、1,500〜60,00がより好ましい。
前記変性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30℃〜70℃が好ましく、40℃〜65℃がより好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)が、30℃未満であると、トナーの耐熱保存性が悪化することがあり、70℃を超えると、低温定着性が十分でないことがある。なお、前記ガラス転移温度(Tg)の測定は、TG−DSCシステムTAS−100(理学電機社製)を用いて、以下の方法により測定する。まず、トナー約10mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットにのせ、電気炉中にセットする。室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置し、室温まで試料を冷却して10min放置する。その後、窒素雰囲気下、150℃まで昇温速度10℃/minで加熱して示差走査熱量計(DSC)によりDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線から、TG−DSCシステムTAS−100システム中の解析システムを用いて、ガラス転移温度(Tg)近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点からガラス転移温度(Tg)を算出する。
前記変性ポリエステル樹脂としては、前記合成方法により得られる樹脂であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ウレア変性ポリエステル樹脂が好ましい。
−−−ウレア変性ポリエステル樹脂−−−
前記ウレア変性ポリエステル樹脂は、ウレア結合のほかに、ウレタン結合を含んでいてもよい。この場合、該ウレア結合と該ウレタン結合との含有モル比(ウレア結合/ウレタン結合)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100/0〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が特に好ましい。前記含有モル比(ウレア結合/ウレタン結合)におけるウレア結合が10未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記ウレア変性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)〜(10)に記載の樹脂などが挙げられる。
(1)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(2)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(3)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(4)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(5)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーを、ヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(6)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(7)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをエチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(8)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(9)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸/ドデセニルコハク酸無水物の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(10)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をトルエンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
前記ウレア変性ポリエステル樹脂の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ワンショット法により製造することができ、具体的には、前記活性水素基含有化合物としてのアミン類と、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体としてのイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーとを水系媒体中で伸長反応乃至架橋反応させて製造する方法などが挙げられる。前記伸長反応乃至架橋反応としては、特に制限はなく、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体と前記活性水素基含有化合物との組み合わせに応じて適宜選択することができ、反応時間としては、10分間〜40時間が好ましく、2時間〜24時間がより好ましい。
前記ウレア変性ポリエステル樹脂の合成において、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーと、前記アミン類との混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ポリエステルプレポリマー中のイソシアネート基[NCO]と、前記アミン類中のアミノ基[NHx]との混合当量比[NCO]/[NHx]として、1/3〜3/1が好ましく、1/2〜2/1がより好ましく、1/1.5〜1.5/1が特に好ましい。前記混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3未満であると、低温定着性が低下することがあり、3/1を超えると、ウレア変性ポリエステル樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記ウレア変性ポリエステル樹脂の合成において、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーと、前記アミン類とを反応させる場合、必要に応じて、有機溶剤を用いることができ、該溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等);エーテル類(テトラヒドロフラン等)等のイソシアネート基に対して不活性な溶剤などが挙げられる。
<<着色剤>>
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料、顔料等、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントレッド、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の前記トナーに対する含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
前記着色剤としては、前記樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、スチレン又はその置換体の重合体(ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等)、スチレン系共重合体(スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレンービニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレンーアクリロニトリルーインデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記マスターバッチの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記マスターバッチ用の樹脂、前記着色剤、及び有機溶剤等を高せん断力で混合乃至混練して製造する方法などが挙げられる。なお、前記有機溶剤は、前記着色剤と前記結着樹脂との相互作用を高めるために添加される。また、前記マスターバッチの他の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができ、乾燥させる必要がない点で、フラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを、前記結着樹脂及び有機溶剤とともに混合乃至混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を抑制して製造する方法が好ましい。なお、前記混合乃至混練する際には、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、離型剤、層状無機鉱物、磁性材料、クリーニング性向上剤、流動性向上剤、帯電制御剤などが挙げられる。
−離型剤−
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植物系ワックス(カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等)、動物系ワックス(ミツロウ、ラノリン等)、鉱物系ワックス(オゾケライト、セルシン等)、石油ワックス(パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等)等のロウ類及びワックス類;合成炭化水素ワックス(フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等)、合成ワックス(エステル、ケトン、エーテル等)等の天然ワックス以外のもの;1,2−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド;低分子量の結晶性高分子であるポリメタクリル酸n−ステアリル、ポリメタクリル酸n−ラウリル等のポリアクリレートのホモポリマー又はコポリマー(アクリル酸n−ステアリルーメタクリル酸エチル共重合体等)等の側鎖に長鎖アルキル基を有する結晶性高分子;などが挙げられる。これらの中でも、定着ローラとトナー界面の間で離型剤として効果的に作用することができるため、定着ローラにオイル等の離型剤を塗布しなくても高温耐オフセット性を向上させることができる点で、融点が50℃〜120℃のワックスが好ましい。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜120℃が好ましく、60℃〜90℃がより好ましい。融点が、50℃未満であると、ワックスが保存性に悪影響を与えることがあり、120℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。なお、前記離型剤の融点は、示差走査熱量計(TG−DSCシステム、TAS−100、理学電機社製)を用いて、最大吸熱ピークを測定することにより求められる。
前記離型剤の溶融粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5cps〜1,000cpsが好ましく、10cps〜100cpsがより好ましい。前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40質量%以下が好ましく、3質量%〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が悪化する。
前記離型剤は、前記トナー母体粒子中に分散した状態で存在することが好ましく、そのためには、前記離型剤と前記結着樹脂とは相溶しないことが好ましい。前記離型剤が、前記トナー母体粒子中に微分散する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トナー製造時の混練の剪断力をかけて分散させる方法などが挙げられる。
前記離型剤の分散状態は、トナー粒子の薄膜切片を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより確認することができる。前記離型剤の分散径は、小さい方が好ましいが、小さすぎると定着時の染み出しが不十分な場合がある。したがって、倍率1万倍で前記離型剤を確認することができれば、前記離型剤が分散した状態で存在していることになる。1万倍で前記離型剤が確認できない場合、微分散していたとしても、定着時の染出しが不十分となる。
−層状無機鉱物−
前記変性層状無機鉱物としては、数nmの厚みの層が積層された無機鉱物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト、セピオライト、これらの混合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トナーを造粒する際に異形化でき、電荷調節機能を果たすと共に、低温定着に優れる点で、変性層状無機鉱物が好ましく、モンモリロナイト系の基本結晶構造を持つ層状無機鉱物を有機カチオンで変性させた変性層状無機鉱物がより好ましく、トナー特性に影響を与えず、容易に粘度調整ができる点で、有機変性モンモリロナイト、ベントナイトが特に好ましい。
前記変性層状無機化合物は、前記層状無機鉱物を少なくとも一部を有機物イオンにより変性させることが好ましい。前記層状無機鉱物を少なくとも一部を有機物イオンで変性することにより、適度な疎水性を持ち、トナー組成物及び/又はトナー組成物前駆体を含む油相が非ニュ−トニアン粘性を持ち、トナーを異形化することができる。
前記変性層状無機鉱物のトナー母体粒子中における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.05質量%〜5質量%が好ましい。
−磁性材料−
磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライトなどが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
−クリーニング性向上剤−
前記クリーニング性向上剤としては、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を抑制するためにトナーに添加される剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。前記ポリマー微粒子の体積平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、0.01μm〜1μmがより好ましい。
−流動性向上剤−
流動性向上剤とは、表面処理を行って疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止する剤のことであり、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。なお、前記流動性向上剤を、シリカ、酸化チタン等により表面処理してもよく、この場合、疎水性シリカ、疎水性酸化チタン等として使用することが好ましい。
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系化合物などが挙げられる。
前記帯電制御剤の商品名としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージNEG VP2036、NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、LR−147(以上、日本カーリット社製)などが挙げられる。
前記帯電制御剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがある。前記帯電制御剤は、マスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後、溶解分散させてもよく、前記有機溶剤に、直接溶解乃至分散する際に加えてもよく、トナー表面にトナー粒子を作成した後に固定化させてもよい。
<トナーの製造方法>
前記トナーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉砕法により製造する方法、重合法により製造する方法などが挙げられる。これらの中でも、トナーを小粒径化することができる点で、重合法により製造する方法が好ましい。
<<粉砕法>>
前記粉砕法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トナー材料を溶融乃至混練し、粉砕乃至分級することによりトナー母体粒子を製造する方法などが挙げられる。なお、前記トナーの平均円形度を0.97〜1.0にする目的で、得られたトナーの母体粒子に対し、機械的衝撃力を与えて形状を制御してもよい。この場合、該機械的衝撃力を与える方法としては、例えば、ハイブリタイザー、メカノフュージョンなどの装置を用いる方法などが挙げられる。また、このようにして製造されたトナー母体粒子に対し、外添剤で処理することにより、本発明のトナーが得られる。
<<重合法>>
前記重合法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、懸濁重合法、溶解懸濁重合法、乳化重合凝集法などが挙げられる。これらの中でも、乳化重合凝集法が好ましく、溶解懸濁法がより好ましい。
−乳化重合凝集法−
前記乳化重合凝集法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、凝集工程、融合工程、洗浄乃至乾燥工程、及び外添処理工程を含むことが好ましく、具体的には、トナー組成物又はトナー組成物前駆体を含む油相を、水相(水系媒体)に分散乃至乳化して造粒することによりトナー母体粒子を製造する方法などが挙げられる。また、このようにして製造されたトナー母体粒子に対し、外添剤で処理することにより、本発明のトナーが得られる。
−−凝集工程−−
前記凝集工程は、乳化重合させて調製した樹脂粒子分散液、少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物、及び着色剤分散液、必要に応じて離型剤分散液を混合し、凝集粒子分散液を調製する工程である。前記凝集粒子分散液中の凝集粒子は、ヘテロ凝集により凝集されている。前記凝集粒子の安定化、及び粒径/粒度分布制御を目的として、前記凝集粒子とは極性が異なるイオン性界面活性剤や、金属塩等の一価以上の電荷を有する化合物を添加することができる。
前記凝集工程は、乳化剤の乳化力をpHで調整して凝集を発生させ、凝集粒子を調整することができる。同時に粒子の凝集を安定かつ迅速に、より狭い粒度分布を持つ凝集粒子を得る方法ために、凝集剤を添加しても良い。前記凝集剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、一価以上の電荷を有する化合物が好ましく、具体的には、ノニオン性界面活性剤等の水溶性界面活性剤類、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸等の酸類、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硝酸アルミニウム、硝酸銀、硫酸銅、炭酸ナトリウム等の無機酸の金属塩、酢酸ナトリウム、蟻酸カリウム、シュウ酸ナトリウム、フタル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム等の脂肪族酸、芳香族酸の金属塩、ナトリウムフェノレート等のフェノール類の金属塩、アミノ酸の金属塩、トリエタノールアミン塩酸塩、アニリン塩酸塩等の脂肪族、芳香族アミン類の無機酸塩類などが挙げられる。これらの中でも、無機酸の金属塩が、前記凝集粒子の安定性、凝集剤の熱や経時に対する安定性、及び洗浄時の抑制に優れる点で、好ましい。前記凝集剤の添加量としては、特に制限はなく、電荷の価数により異なるが、一価の場合は3質量%以下、二価の場合は1質量%以下、三価の場合は0.5質量%以下が好ましい。前記添加量としては、少ない方が好ましく、価数の多い化合物の方が添加量を少なくすることができる点で有利である。
−−融合工程−−
前記融合工程は、前記凝集粒子分散液を加熱融合して前記トナー母体粒子を形成する工程である。前記融合工程の前段で、凝集粒子分散液にその他の微粒子分散液を添加混合して凝集粒子の表面に微粒子を均一に付着して付着粒子を形成する付着工程を設けることができる。また、少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物の付着を強固なものにするために、少なくとも一部を有機物イオンで変性した層状無機鉱物を付着させ、その他の微粒子分散液を添加混合して凝集粒子の表面に微粒子を均一に付着して付着粒子を形成する付着工程を設けることができる。これらの付着粒子はヘテロ凝集等により形成される。この付着粒子分散液も前記と同様に樹脂粒子のガラス転移点以上の温度に加熱して融合し、融合粒子を形成する。前記融合粒子は、水系媒体中に着色融合粒子分散液として存在しており、これを洗浄工程において水系媒体から融合粒子を取り出すのと同時に、前記各工程において混入した不純物等を抑制乃至乾燥し、粉体としてのトナーを得る。
−−洗浄工程−−
前記洗浄工程は、前記融合粒子に対して、酸性又は塩基性の水を数倍量加えて攪拌した後、ろ過して得られた固形分に対して、酸性又は塩基性の水を数倍量加えて攪拌した後、ろ過を行う。これを数回繰り返し、ろ液のpHが約7になるまで繰り返し、着色されたトナーを得る。
−−乾燥工程−−
前記乾燥工程は、前記洗浄工程で得たトナーをガラス転移点未満の温度で乾燥する。この時、必要に応じて乾燥空気を循環させてもよいし、真空条件下で加熱してもよい。
−溶解懸濁法−
前記溶解懸濁法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水系造粒により製造する方法が好ましく、油相調製工程、水相調製工程、乳化乃至分散工程、溶剤抑制工程、洗浄乃至乾燥工程、及び外添剤処理工程を含むことにより製造する方法がより好ましい。
前記溶解懸濁法の具体例としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、少なくとも前記結着樹脂及び前記着色剤を有機溶媒中に溶解乃至分散させ、該溶解乃至分散物を水相中に添加し乳化乃至分散させ、該乳化乃至分散液から前記有機溶媒を抑制して得られるトナー母体粒子と、外添剤とを混合して、トナーを製造する方法が好ましい。
前記溶解懸濁法の中でも、エステル伸長法が好ましく、該エステル伸長法の具体例としては、少なくとも前記活性水素基含有化合物、前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体、前記結着樹脂、及び前記着色剤を有機溶媒中に溶解乃至分散させ、該溶解乃至分散物を水相中に添加し乳化乃至分散させ、該乳化乃至分散液中で前記活性水素基含有化合物及び前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を伸長乃至架橋反応させ、該乳化乃至分散液から前記有機溶媒を抑制して得られるトナー母体粒子と、外添剤とを混合して、トナーを製造する方法が好ましい。
−−油相調製工程−−
前記油相調製工程は、少なくとも前記結着樹脂、及び前記着色剤などを含むトナー材料を、有機溶剤に溶解乃至分散させて油相(トナー材料の溶解乃至分散液)を調製する工程である。また、前記トナー材料における前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体以外の成分は、後述する水相の調製において、水系媒体中に添加混合してもよいし、トナー材料の溶解乃至分散液を水系媒体に添加する際に、溶解乃至分散液と共に水系媒体に添加してもよい。前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、溶剤抑制が容易である点で、沸点が150℃未満の有機溶剤が好ましい。前記沸点が150℃未満の有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等が好ましく、酢酸エチルが好ましい。前記有機溶剤の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー材料100質量部に対し40質量部〜300質量部が好ましく、60質量部〜140質量部がより好ましく、80質量部〜120質量部が特に好ましい。
−−水相調製工程−−
前記水相調製工程は、水相(水系媒体)を調製する工程である。前記水相としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、水と混和可能な溶剤、これらの混合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水が好ましい。前記混和可能な溶剤としては、例えば、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ(登録商標)等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)などが挙げられる。
−−乳化乃至分散工程−−
前記乳化乃至分散工程は、前記油相を、前記水相中に分散させて乳化乃至分散物を得る工程である。前記トナー材料は、必ずしも、前記水相中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよく、例えば、前記着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。前記トナー材料100質量部に対する水相の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50質量部〜2,000質量部が好ましく、100質量部〜1,000質量部がより好ましい。前記使用量が、50質量部未満であると、前記トナー材料の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られないことがあり、2,000質量部を超えると、経済的でないことがある。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
前記乳化乃至分散工程において使用される分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤、フルオロアルキル基を有するカチオン界面活性剤、無機化合物(リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等)、微粒子ポリマー(MMAポリマー微粒子1μm、MMAポリマー微粒子3μm、スチレン微粒子0.5μm、スチレン微粒子2μm、スチレン−アクリロニトリル微粒子ポリマー1μm等)などが挙げられる。これらの中でも、非常に少量でその効果をあげることができる点で、フルオロアルキル基を有する界面活性剤が好ましい。
前記分散剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、樹脂微粒子分散液の場合、0.01質量%〜1質量%が好ましく、0.02質量%〜0.5質量%がより好ましく、0.1質量%〜0.2質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.01質量%未満の場合、乳化乃至分散物のpHが十分に塩基性でない状態で凝集が生じることがある。前記分散剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、着色剤分散液又は離型剤分散液の場合、0.01質量%〜10質量%が好ましく、0.1質量%〜5質量%がより好ましく、0.5質量%〜0.2質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.01質量%未満では、凝集時に各粒子間の安定性が異なるため、特定粒子の遊離が生じることがあり、10質量%を超えると、粒子の粒度分布が広くなったり、粒子径の制御が困難になることがある。
前記分散剤の商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−l21(以上、旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29、FC−135(以上、住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、DS−202(以上、ダイキン工業社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−150、F−191、F−812、F−824、F−833(以上、大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、132、306A、501、201、204、(以上、トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F−300、F150(以上、ネオス社製)、SGP、SGP−3G(以上、総研社製)、PB−200H(花王社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)などが挙げられる。
前記分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、トナーの帯電面の点で、反応後、洗浄抑制することが好ましい。更に、粒度分布がシャープとなり、トナー材料の粘度を低くする点で、ポリエステルプレポリマーの反応後の変性ポリエステルを可溶する溶剤を使用することが好ましい。前記溶剤としては、抑制が容易である点で、沸点が100℃未満の揮発性の溶剤が好ましく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、メタノールなどの水混和性溶剤が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。
前記分散剤を使用した場合には、分散安定剤を用いることが好ましい。前記分散安定剤として高分子系保護コロイドを用いた場合には、水に不溶な有機微粒子等により分散液滴を安定化させる物質であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸等の酸類;アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等のビニルアルコール又はビニルアルコールのエ一テル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルアルコールとカルボキシル基含有化合物とのエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド及びこれらのメチロール化合物;アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類;ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の窒素原子又はその複素環を有する化合物等のホモポリマー又は共重合体;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン系;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類;などが使用できる。
前記分散安定剤として、リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能な化合物などを用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を抑制することが好ましい。なお、前記リン酸カルシウム塩の抑制は、その他酵素による分解などの操作によって行ってもよい。
前記乳化乃至分散工程において使用される分散機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機などが挙げられる。これらの中でも、分散体(油滴)の粒子径を2μm〜20μmに制御することができる点で、高速せん断式分散機が好ましい。前記高速せん断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度等の条件は、目的に応じて適宜選択することができる。前記回転数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000rpm〜30,000rpmが好ましく、5,000rpm〜20,000rpmがより好ましい。前記分散時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、バッチ方式の場合、0.1分間〜5分間が好ましい。前記分散温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、加圧下において、0℃〜150℃が好ましく、40℃〜98℃がより好ましい。なお、一般に、前記分散温度が高温である方が分散は容易である。
−−溶剤抑制工程−−
前記溶剤抑制工程は、前記乳化乃至分散物(乳化スラリー等の分散液)から有機溶剤を抑制する工程である。前記有機溶剤を抑制する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、反応系全体を徐々に昇温させて油滴中の有機溶剤を蒸発させる方法、分散液を乾燥雰囲気(空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体)中に噴霧(スプレードライヤー、ベルトドライアー、ロータリーキルン等)して油滴中の有機溶剤を抑制する方法などが挙げられる。この方法により短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。前記有機溶剤が抑制されると、トナー母体粒子が形成される。
−−洗浄乃至乾燥工程−−
前記洗浄乃至乾燥工程は、前記トナー母体粒子を洗浄乃至乾燥する工程である。前記トナー母体粒子は、更に分級等を行ってもよい。前記分級は、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離などにより、微粒子部分を取り除くことにより行ってもよいし、乾燥後に分級操作を行ってもよい。なお、得られた不要の微粒子又は粗粒子は、再び微粒子の形成に用いることができる。その際、微粒子又は粗粒子は、ウェット状態でも構わない。
−−外添剤処理工程−−
前記外添剤処理工程は、乾燥後の前記トナー母体粒子と、本発明において規定する特定のパラメータを満たす前記合着粒子を含有する前記外添剤とを混合して処理する工程である。前記トナー母体粒子と、前記外添剤とを混合することにより、本発明のトナーが得られる。前記混合に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製)が好ましい。なお、前記トナー母体粒子の表面から前記外添剤等の粒子が脱離することを抑制するために、機械的衝撃力を印加してもよい。前記機械的衝撃力を印加する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高速で回転する羽根を用いて混合物に衝撃力を印加する方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させて粒子同士又は粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などが挙げられる。前記方法に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
<<トナーの特性>>
前記トナーにおける質量平均粒径(Dw)と個数平均粒径(Dn)との比(Dw/Dn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.30以下が好ましく、1.00〜1.30がより好ましい。前記比(Dw/Dn)が1.00未満であると、二成分現像剤では、現像装置における長期の撹拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力の低下やクリーニング性の悪化につながり易く、一成分現像剤では、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化するためブレード等の部材へのトナー融着が発生し易くなることがある。前記比(Dw/Dn)が1.30を超えると、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなり、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなることがある。
前記トナーの平均円形度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.94〜0.99が好ましい。前記平均円形度が、0.94未満であると、現像時の画像均一性が悪化し、電子写真感光体から中間転写体又は中間転写体から記録材へのトナー転写効率が低下し均一転写が得られなくなることがある。また、本発明のトナーは、水系媒体中で乳化処理をして作成されたものであり、特にカラートナーにおける小粒径化や、平均円形度が前記の範囲の形状を得るために効果的である。前記平均円形度の測定は、フロー式粒子像分析装置(FPIA−2000;シスメックス社製)を用いて測定を行なった。所定の容器に、予め不純固形物を抑制した水100mL〜150mLを入れ、分散剤として界面活性剤0.1mL〜0.5mLを加え、更に、測定試料0.1g〜9.5g程度を加えた。試料を分散した懸濁液を超音波分散器で約1分間〜3分間、分散処理を行ない、分散液濃度を3,000個/μL〜10,000個/μLにしてトナーの形状及び分布を測定した。
(現像剤)
前記現像剤は、少なくとも本発明のトナー、及び前記キャリアを含む。なお、前記現像剤が、2成分系現像剤である場合には、本発明のトナーとキャリアとを混合して用いればよく、1成分系現像剤である場合には、本発明のトナーを1成分系の磁性トナー又は非磁性トナーとして用いればよい。
<キャリア>
前記キャリアは、磁性を有する芯粒子、及び該芯粒子を被覆する被覆樹脂を含み、更に必要に応じて導電性微粉末、シランカップリング剤等を含む。前記キャリア及び前記キャリアの骨格となる芯粒子の粒子径の選定が重要である。
前記キャリアと前記トナーとの含有量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記キャリア100質量部に対して、前記トナーを1質量部〜10質量部含むことが好ましい。
前記キャリアの重量平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、15μm〜40μmであることが好ましい。前記重量平均粒径が、15μm未満であると、転写時にキャリアも転写されるキャリア付着が生じることがあり、40μmを超えると、キャリア付着は起りにくいが、高画像濃度を得るためにトナー濃度を高くした場合、地汚れが発生しやすくなる。また、潜像のドット径が小さい場合、ドット再現性のバラツキが大きくなり、ハイライト部の粒状性が悪くなることがある。
−芯粒子−
前記芯粒子としては、前記キャリアに1,000エルステッド(Oe)の磁場を印加したときに、磁化量が40emu/g以上となる芯粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄、コバルトなどの強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、MnZn系フェライト、CuZn系フェライト、NiZn系フェライト、Ba系フェライト、Mn系フェライトなどが挙げられる。前記芯粒子は、磁性材料の破砕物粒子を、フェライト、マグネタイト等の芯粒子を用いる場合には、焼成前の一次造粒品を分級し、焼成した粒子を、分級処理により異なる粒度分布をもつ粒子粉体に分級した後、複数の粒子粉体を混合することで得ることができる。
前記芯粒子を分級する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ふるい分け機、重力分級機、遠心分級機、慣性分級機などの従来公知の分級方法を使用することができるが、生産性が良好で分級点の変更が容易にできることから重力分級機、遠心分級機、慣性分級機といった風力分級機を使用することが好ましい。
−被覆樹脂−
前記被覆樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ系樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニリデン系樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂が好ましい。
−キャリアの製造方法−
前記キャリアの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記芯粒子の表面に被覆層を形成することにより製造する方法などが挙げられる。前記芯粒子の表面に被覆層を形成するための方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スプレードライ法、浸漬法、パウダーコーティング法などが挙げられるが、均一な被覆層の形成に有効な点で、流動層型コーティング装置を用いる方法が好ましい。
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様A)
表面移動する感光体2等の潜像担持体の表面を帯電部材3等の帯電手段により一様に帯電させた後に露光装置6等の静電潜像形成手段により画像情報に応じた静電潜像を形成し、現像装置4等の現像手段を用いてトナーにより該静電潜像を現像してトナー像とした後、一次転写ローラ8等の転写手段を用いて該トナー像を中間転写体を介して又は直接に記録材上に転写して画像形成を行うとともに、前記潜像担持体の表面を摺擦するブレード部材5A等のクリーニング部材を有する感光体クリーニング装置5等のクリーニング手段により該潜像担持体の表面上の転写残トナー等の不要物を抑制する画像形成装置において、前記潜像担持体の表面上のフィルミング量を示すフィルミングカウント値F等のフィルミング指標値を計測する制御部600等のフィルミング指標値計測手段と、前記潜像担持体の表面上にトナーを付着させる帯電部材3、露光装置6、現像装置4等のトナー付着手段と、前記フィルミング指標値計測手段が計測したフィルミング指標値が所定の閾値を超えたら、前記トナー付着手段を制御して、連続画像形成動作中における画像間の非画像領域に対応する潜像担持体の表面部分にトナーを付着させ、前記潜像担持体の表面と前記クリーニング部材との摺擦箇所(クリーニング箇所)へ所定量のトナーを供給する制御部600等の制御手段とを有することを特徴とする。
潜像担持体表面上のフィルミング抑制には、クリーニング部材と潜像担持体表面との摺擦箇所(クリーニング箇所)に滞留するトナーによって潜像担持体表面上のフィルミングあるいはフィルミングの原因物質(トナーの添加剤等)を掻き取ることが効果的である。本態様によれば、潜像担持体の表面上のフィルミング量を示すフィルミング指標値が所定の閾値を超えたら、トナー付着手段を制御して潜像担持体の表面上にトナーを付着させ、当該摺擦箇所へ所定量のトナーを供給する。フィルミング量とそのフィルミングに起因した画質劣化が発生する時期との間にはある程度の相関関係がある。よって、前記所定の閾値を適切に設定することで、トナー付着手段によりトナー供給を行わないままではフィルミングに起因した画質劣化が発生してしまう時点よりも前の適切なタイミングで、当該トナー付着手段によりトナーを潜像担持体の表面に付着させることができる。これにより、クリーニング箇所へ所定量のトナーを供給して、クリーニング箇所に滞留するトナーによる掻き取り効果が発揮され、フィルミングを減少させあるいはフィルミングの成長を抑制できる。その結果、潜像担持体の寿命を延ばすことができる。しかも、本態様において、トナー付着手段によりトナーが付着する潜像担持体表面部分は、連続画像形成動作中における画像間の非画像領域に対応する。この非画像領域は、連続画像形成動作中に既存のものあることから、本態様におけるフィルミング抑制の処理動作、すなわち、この非画像領域にトナーを付着させてクリーニング部材と潜像担持体表面との摺擦箇所にトナーを供給するという処理動作であれば、その処理動作のためのダウンタイムの発生を抑制し、あるいは、ダウンタイムを発生させずに済む。
(態様B)
前記態様Aにおいて、前記制御手段は、連続画像形成動作中における画像間の非画像領域に対応する潜像担持体の表面部分だけでなく、該連続画像形成動作中における最終画像の直後に隣接する非画像領域に対応する潜像担持体の表面部分にもトナーを付着させるように、前記トナー付着手段を制御することを特徴とする。
これによれば、連続画像形成動作中における画像間の非画像領域という限られた領域内だけではクリーニング箇所に目標量のトナーを供給できないような場合でも、目標量のトナーを供給できるようになる。
(態様C)
前記態様A又はBにおいて、前記制御手段は、単一画像形成動作中における当該単一画像の直後に隣接する非画像領域に対応する潜像担持体の表面部分にトナーを付着させるように、前記トナー付着手段を制御することを特徴とする。
これによれば、単一画像形成動作の際にもクリーニング箇所にトナーを供給してフィルミングを抑制することができる。
(態様D)
前記態様A〜Cのいずれかの態様において、前記転写手段は、前記潜像担持体の表面と前記中間転写体又は前記記録材との間の一次転写領域等の転写領域に転写バイアスを印加して、該潜像担持体の表面上のトナー像を該中間転写体又は記録材へ転写するものであり、前記トナー付着手段は、前記現像手段からトナーを前記潜像担持体の表面上に付着させるものであり、前記制御手段は、前記潜像担持体の前記表面部分に付着させたトナーが前記転写領域を通過する期間の少なくとも一部の期間に、前記潜像担持体の表面上のトナー像を転写するときの転写バイアスよりも小さい転写バイアスを印加するか、転写バイアスを印加しないように、前記転写手段を制御することを特徴とする。
これによれば、トナー付着手段により付着させたトナーが転写領域を通過する際に転写バイアスの作用で潜像担持体表面上から除外されてしまう量を少なくできる。よって、トナー付着手段により付着させたトナーを効率よくクリーニング箇所に供給することができる。
(態様E)
前記態様A〜Dのいずれかの態様において、前記画像情報に基づき、潜像担持体表面移動方向に対して直交する幅方向(主走査方向)に予め設定された複数の処理単位領域(ブロック)ごとのトナー付着量を示す画像面積率等のトナー付着量指標値を取得する制御部600等のトナー付着量指標値取得手段を有し、前記フィルミング指標値計測手段は、前記トナー付着量指標値取得手段が取得する前記処理単位領域ごとのトナー付着量指標値から該処理単位領域ごとに前記フィルミング指標値を計測し、前記制御手段は、前記フィルミング指標値計測手段が計測したフィルミング指標値が所定の閾値を超えた処理単位領域に対応する幅方向位置の潜像担持体表面上にトナーを選択的に付着させるように、前記トナー付着手段を制御することを特徴とする。
これによれば、クリーニング箇所に滞留するトナー量について主走査方向にムラがある場合、クリーニング箇所に滞留するトナー量が相対的に少ない部分でフィルミングが局所的に生じやすい。このような場合でも、クリーニング箇所に滞留するトナー量が相対的に少ない部分に適切にトナーを供給できるので、局所的なフィルミングを適切に抑制できる。
(態様F)
前記態様A〜Eのいずれかの態様において、前記制御手段は、前記トナー付着手段による単位面積当たりのトナー付着量、トナーを付着させる面積、トナーを付着させる動作時間、トナーを付着させる動作頻度のうちの少なくとも1つを制御して、前記潜像担持体の前記表面部分に目標量のトナーを付着させることを特徴とする。
これによれば、適切な量のトナーをクリーニング箇所へ供給することができる。
(態様G)
前記態様Fにおいて、前記目標量は、前記摺擦箇所へトナー供給すべき前記所定量に基づいて算出されることを特徴とする。
これによれば、転写領域を通過する際の転写率などを考慮して適切な量のトナーをクリーニング箇所へ供給することができる。
(態様H)
前記態様A〜Gのいずれかの態様において、前記フィルミング指標値計測手段は、前記フィルミング指標値を計測するタイミングよりも前の直近期間等の所定期間内における画像形成動作の動作時間若しくは前記潜像担持体の表面移動距離又はこれらに相関関係のある相関値を累積した値に応じて、前記フィルミング指標値を計測することを特徴とする。
これによれば、フィルミングに影響のある直近の期間内についてのフィルミング指標値に基づいてトナー付着手段を制御することができるので、より適切にフィルミングを抑制することができる。
(態様I)
前記態様Hにおいて、画像形成装置内部の温度又は湿度の少なくとも一方の環境情報を検出する温度センサ601や湿度センサ等の環境情報検出手段を有し、前記フィルミング指標値計測手段は、前記環境情報検出手段が検出した環境情報に応じて、前記所定期間を変更することを特徴とする。
これによれば、より適切にフィルミングを抑制することができる。
(態様J)
前記態様A〜Iのいずれかの態様において、画像形成装置内部の温度又は湿度の少なくとも一方の環境情報を検出する温度センサ601や湿度センサ等の環境情報検出手段を有し、前記フィルミング指標値計測手段は、前記環境情報検出手段が検出した環境情報に応じて、前記フィルミング指標値を計測するか又は前記所定の閾値を変更することを特徴とする。
これによれば、より適切にフィルミングを抑制することができる。
(態様K)
前記態様A〜Jのいずれかの態様において、前記フィルミング指標値計測手段は、画像形成動作により前記摺擦箇所へ入力されるトナーの量に応じて、前記フィルミング指標値を計測するか又は前記所定の閾値を変更することを特徴とする。
これによれば、より適切にフィルミングを抑制することができる。
(態様L)
前記態様A〜Kのいずれかの態様において、前記フィルミング指標値計測手段は、画像形成動作の単位時間あたり又は潜像担持体表面移動距離の単位距離あたりに前記摺擦箇所へ入力されるトナー量に応じて、前記フィルミング指標値を計測するか又は前記所定の閾値を変更することを特徴とする。
これによれば、クリーニング箇所へのトナー入力速度を考慮して、適切にフィルミングを抑制することができる。
(態様M)
前記態様A〜Lのいずれかの態様において、前記潜像担持体は、前記中間転写体又は前記記録材の搬送方向に沿って複数並べられており、前記フィルミング指標値計測手段は、前記搬送方向の下流側に位置する下流側潜像担持体については、該下流側潜像担持体よりも該搬送方向の上流側に位置する上流側潜像担持体から前記中間転写体又は前記記録材に転写されて該下流側潜像担持体へ逆転写されるトナーの量に応じて、前記フィルミング指標値を計測するか又は前記所定の閾値を変更することを特徴とする。
これによれば、クリーニング箇所へ入力される逆転写トナーの量を考慮して、適切にフィルミングを抑制することができる。
(態様N)
前記態様A〜Mのいずれかの態様において、前記潜像担持体は、前記中間転写体又は前記記録材の搬送方向に沿って複数並べられており、前記フィルミング指標値計測手段は、潜像担持体ごとに異なる条件で、各潜像担持体についての前記フィルミング指標値を計測するか又は前記所定の閾値を変更することを特徴とする。
潜像担持体ごとに異なるフィルミングの特性を考慮して、それぞれの潜像担持体に対して適切にフィルミングを抑制することができる。
(態様O)
前記態様A〜Nのいずれかの態様において、前記クリーニング部材は、互いに永久伸びの値が異なる材質からなる複数の層によって構成される積層構造のブレード部材と、該ブレード部材の一端を保持する保持部材とから構成されており、前記クリーニング手段は、前記ブレード部材の他端の先端稜線部であるエッジ部を前記潜像担持体の表面に当接させて該潜像担持体の表面上の不要物を抑制するものであり、前記ブレード部材を前記潜像担持体に当接させた状態で所定の方法で測定する線圧低下率が90[%]以上であることを特徴とする。
これによれば、長期にわたって安定してブレード部材によるフィルミング抑制性能を維持することができる。
(態様P)
前記態様Oにおいて、前記ブレード部材の複数の層のうち前記エッジ部を備えるエッジ層は、他の層に比べて永久伸びの値が大きい材質によって形成されることを特徴とする。
これによれば、より高いフィルミング抑制性能を得ることができる。
(態様Q)
前記態様O又はPにおいて、前記ブレード部材の複数の層のうち前記エッジ部を備えるエッジ層を形成する材料の、23[℃]における100%モジュラスの値が6[MPa]以上12[MPa]以下であることを特徴とする。
これによれば、潜像担持体の表面に対するブレード部材の当接圧を上げることができ、より高いフィルミング抑制性能を得ることができる。
(態様R)
前記態様A〜Qのいずれかの態様において、前記トナーに含まれる外添剤は、少なくとも合着粒子を含有し、該合着粒子が一次粒子同士で合着されてなる非球形の二次粒子であることを特徴とする。
これによれば、外添剤がトナー母体粒子から離脱しにくく、長期間使用しても感光体の表面にフィルミングしにくい。よって、フィルミングによる画質劣化が起きにくい。
(態様S)
前記態様A〜Rのいずれかの態様において、前記トナーは、少なくとも結晶性ポリエステルを含有することを特徴とする。
これによれば、フィルミングしにくいので、フィルミングによる画質劣化が起きにくい。
1 プロセスカートリッジ
2 感光体
3 帯電部材
4 現像装置
5 感光体クリーニング装置
5A ブレード部材
5B ブレードホルダ
5c エッジ層
5d バックアップ層
5e エッジ部
6 露光装置
7 中間転写ベルト
12 定着装置
100 プリンタ部
200 給紙部
300 スキャナ部
400 トナーボトル
500 複写機
600 制御部
601 温度センサ
特開平5−72853号公報 特開2000−147953号公報

Claims (19)

  1. 表面移動する潜像担持体の表面を帯電手段により一様に帯電させた後に静電潜像形成手段により画像情報に応じた静電潜像を形成し、現像手段を用いてトナーにより該静電潜像を現像してトナー像とした後、転写手段を用いて該トナー像を中間転写体を介して又は直接に記録材上に転写して画像形成を行うとともに、前記潜像担持体の表面を摺擦するクリーニング部材を有するクリーニング手段により該潜像担持体の表面上の不要物を抑制する画像形成装置において、
    前記潜像担持体の表面上のフィルミング量を示すフィルミング指標値を計測するフィルミング指標値計測手段と、
    前記潜像担持体の表面上にトナーを付着させるトナー付着手段と、
    前記フィルミング指標値計測手段が計測したフィルミング指標値が所定の閾値を超えたら、前記トナー付着手段を制御して、連続画像形成動作中における画像間の非画像領域に対応する潜像担持体の表面部分にトナーを付着させ、前記潜像担持体の表面と前記クリーニング部材との摺擦箇所へ所定量のトナーを供給する制御手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置において、
    前記制御手段は、連続画像形成動作中における画像間の非画像領域に対応する潜像担持体の表面部分だけでなく、該連続画像形成動作中における最終画像の直後に隣接する非画像領域に対応する潜像担持体の表面部分にもトナーを付着させるように、前記トナー付着手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1又は2に記載の画像形成装置において、
    前記制御手段は、単一画像形成動作中における当該単一画像の直後に隣接する非画像領域に対応する潜像担持体の表面部分にトナーを付着させるように、前記トナー付着手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記転写手段は、前記潜像担持体の表面と前記中間転写体又は前記記録材との間の転写領域に転写バイアスを印加して、該潜像担持体の表面上のトナー像を該中間転写体又は記録材へ転写するものであり、
    前記トナー付着手段は、前記現像手段からトナーを前記潜像担持体の表面上に付着させるものであり、
    前記制御手段は、前記潜像担持体の前記表面部分に付着させたトナーが前記転写領域を通過する期間の少なくとも一部の期間に、前記潜像担持体の表面上のトナー像を転写するときの転写バイアスよりも小さい転写バイアスを印加するか、転写バイアスを印加しないように、前記転写手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記画像情報に基づき、潜像担持体表面移動方向に対して直交する幅方向に予め設定された複数の処理単位領域ごとのトナー付着量を示すトナー付着量指標値を取得するトナー付着量指標値取得手段を有し、
    前記フィルミング指標値計測手段は、前記トナー付着量指標値取得手段が取得する前記処理単位領域ごとのトナー付着量指標値から該処理単位領域ごとに前記フィルミング指標値を計測し、
    前記制御手段は、前記フィルミング指標値計測手段が計測したフィルミング指標値が所定の閾値を超えた処理単位領域に対応する幅方向位置の潜像担持体表面上にトナーを選択的に付着させるように、前記トナー付着手段を制御することを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記制御手段は、前記トナー付着手段による単位面積当たりのトナー付着量、トナーを付着させる面積、トナーを付着させる動作時間、トナーを付着させる動作頻度のうちの少なくとも1つを制御して、前記潜像担持体の前記表面部分に目標量のトナーを付着させることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項6に記載の画像形成装置において、
    前記目標量は、前記摺擦箇所へトナー供給すべき前記所定量に基づいて算出されることを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記フィルミング指標値計測手段は、前記フィルミング指標値を計測するタイミングよりも前の所定期間内における画像形成動作の動作時間若しくは前記潜像担持体の表面移動距離又はこれらに相関関係のある相関値を累積した値に応じて、前記フィルミング指標値を計測することを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項8に記載の画像形成装置において、
    画像形成装置内部の温度又は湿度の少なくとも一方の環境情報を検出する環境情報検出手段を有し、
    前記フィルミング指標値計測手段は、前記環境情報検出手段が検出した環境情報に応じて、前記所定期間を変更することを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    画像形成装置内部の温度又は湿度の少なくとも一方の環境情報を検出する環境情報検出手段を有し、
    前記フィルミング指標値計測手段は、前記環境情報検出手段が検出した環境情報に応じて、前記フィルミング指標値を計測するか又は前記所定の閾値を変更することを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記フィルミング指標値計測手段は、画像形成動作により前記摺擦箇所へ入力されるトナーの量に応じて、前記フィルミング指標値を計測するか又は前記所定の閾値を変更することを特徴とする画像形成装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記フィルミング指標値計測手段は、画像形成動作の単位時間あたり又は潜像担持体表面移動距離の単位距離あたりに前記摺擦箇所へ入力されるトナー量に応じて、前記フィルミング指標値を計測するか又は前記所定の閾値を変更することを特徴とする画像形成装置。
  13. 請求項1乃至12のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記潜像担持体は、前記中間転写体又は前記記録材の搬送方向に沿って複数並べられており、
    前記フィルミング指標値計測手段は、前記搬送方向の下流側に位置する下流側潜像担持体については、該下流側潜像担持体よりも該搬送方向の上流側に位置する上流側潜像担持体から前記中間転写体又は前記記録材に転写されて該下流側潜像担持体へ逆転写されるトナーの量に応じて、前記フィルミング指標値を計測するか又は前記所定の閾値を変更することを特徴とする画像形成装置。
  14. 請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記潜像担持体は、前記中間転写体又は前記記録材の搬送方向に沿って複数並べられており、
    前記フィルミング指標値計測手段は、潜像担持体ごとに異なる条件で、各潜像担持体についての前記フィルミング指標値を計測するか又は前記所定の閾値を変更することを特徴とする画像形成装置。
  15. 請求項1乃至14のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記クリーニング部材は、互いに永久伸びの値が異なる材質からなる複数の層によって構成される積層構造のブレード部材と、該ブレード部材の一端を保持する保持部材とから構成されており、
    前記クリーニング手段は、前記ブレード部材の他端の先端稜線部であるエッジ部を前記潜像担持体の表面に当接させて該潜像担持体の表面上の不要物を抑制するものであり、
    前記ブレード部材を前記潜像担持体に当接させた状態で所定の方法で測定する線圧低下率が90[%]以上であることを特徴とする画像形成装置。
  16. 請求項15に記載の画像形成装置において、
    前記ブレード部材の複数の層のうち前記エッジ部を備えるエッジ層は、他の層に比べて永久伸びの値が大きい材質によって形成されることを特徴とする画像形成装置。
  17. 請求項15又は16に記載の画像形成装置において、
    前記ブレード部材の複数の層のうち前記エッジ部を備えるエッジ層を形成する材料の、23[℃]における100%モジュラスの値が6[MPa]以上12[MPa]以下であることを特徴とする画像形成装置。
  18. 請求項1乃至17のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記トナーに含まれる外添剤は、少なくとも合着粒子を含有し、該合着粒子が一次粒子同士で合着されてなる非球形の二次粒子であることを特徴とする画像形成装置。
  19. 請求項1乃至18のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
    前記トナーは、少なくとも結晶性ポリエステルを含有することを特徴とする画像形成装置。
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