JP4810196B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置の定着装置に係り、詳しくは、加圧部材または定着部材等のった定着ニップ形成部材と定着ニップ部通過後の記録媒体とを分離する定着分離部材を備えた定着装置、及びこれを有する画像形成装置に関するものである。
従来、定着装置において、加熱ローラや定着ベルト等の加熱部材からの熱により融解された記録媒体上のトナーが加熱部材の外周面に貼り付き、定着ニップ通過後の記録媒体が加熱部材に巻き付くことがあった。このような加熱部材への記録媒体の巻き付きを防止して加熱部材に対する記録媒体の分離性能を高めるため、定着分離部材(定着分離爪)が設けたものがある。この定着分離爪は、記録媒体の搬送方向に沿った加圧ローラ等の加圧部材と加熱部材との定着ニップ部より下流側に位置付けられ、先端部を加熱部材の外周面に押し当てられている。そして、記録媒体が加熱部材の外周面に貼り付いても、記録媒体の搬送に伴い加熱部材の外周面と記録媒体との間に定着分離爪が入り込むことにより記録媒体を加熱部材から分離させ、加熱部材への記録媒体の巻き付きが防止される。
また、定着装置では、記録媒体上のトナーが静電的な力やファンデルワールス力等により加熱部材に付着する現象が発生する場合がある。記録媒体から加熱部材へのトナー付着が発生すると、このトナーは加熱部材と接触する定着分離爪にも付着することがある。
なお、定着分離爪は、加熱部材に対してカウンター方向にその先端が接触するブレード形状や楔形状である。そして、定着分離爪が接触する加熱部材の表面上の分離爪接触位置よりも加熱部材の表面移動方向下流側の加熱部材表面と対向する面(以下、分離爪対向面と呼ぶ)を定着分離爪は備えている。
定着分離爪にトナーが付着する際、この分離爪対向面にもトナーが付着する。
定着分離爪の分離爪対向面に付着したトナーは装置の駆動による振動などの偶発的な要因によって、記録媒体上に落下する。この定着分離爪から落下するトナーが、分離爪対向面上で堆積することなく小さな塊の状態であれば、画像品質上問題はない。一方、小さな塊の状態で落下せずに分離爪対向面上で堆積し、大きな塊となったトナー塊が偶発的な要因によって記録媒体上に落下すると、大きなトナー塊の状態で記録媒体上に付着し、画像品質上問題となるほどに画像を汚すことになる。
一方、加圧部材については、通紙終了後しばらく回転しつづける後処理中や、記録媒体が連続通紙される場合の記録媒体の間隔(いわゆる紙間)など、定着ニップ部に記録媒体が存在しないときに加熱部材からトナーが転写、付着する場合がある。
また、記録媒体が静電的な力などにより、加圧部材にも巻き込みが発生するおそれがあるので、加圧部材に接触する定着分離爪を設けても良い。
そして、加圧部材に定着分離爪を設けた構成であっても加圧部材にトナーが塊状で付着することにより、定着分離爪を加熱部材の設けたものと同様に、加圧部材表面と対向する定着分離爪の分離爪対向面にトナーが堆積する。この分離爪対向面に堆積したトナーが塊となって記録媒体に落下し、記録媒体の裏面を汚すことがある。
特許文献1では、加熱部材や加圧部材、定着分離爪に付着したトナーを除去し、定着分離爪上で大きく成長したトナー塊が記録媒体上に落下することによる記録媒体上の画像汚れを防止する定着装置が提案されている。
しかし、特許文献1に記載された定着装置は加熱部材や加圧部材、定着分離爪に付着したトナーを除去するクリーニングモードを有し、そのクリーニングモードの選択時には画像形成作業を中断してクリ−ニングを行うものである。よって、画像形成を行いながらクリーニングを行うことが出来ず、クリーニング時には画像形成動作を中断しなくてはならないために生産性の低下に繋がりやすい。
また、特許文献2では、定着分離爪の加熱部材に接触する箇所の幅を1[mm]以下とするにより、トナー塊が大きく成長することを防止しようとする定着装置が提案されている。加熱部材または加圧部材の表面移動方向と直交する方向である幅方向の定着分離爪上に形成されるトナー塊の最大幅は、加熱部材または加圧部材に接触する接触部の爪幅と大きな関係がある。トナー塊の幅については接触部の爪幅を小さくすることによって、その最大幅を小さくすることができる。分離爪対向面に付着したトナーは、上述したように偶発的要因で落下するので、定着分離爪に付着したトナーを除去するクリーニングモードを設ける必要がなく、生産性を維持することができる。
特開2000−112279号公報 特開2004−271760号公報
しかしながら、特許文献2に記載された定着装置では、上記幅方向のトナー塊の最大幅は小さくできるが、加熱部材または加圧部材の表面移動方向と平行な方向のトナー塊の大きさを制限することはできない。加熱部材または加圧部材の表面移動方向と平行な方向については、堆積しているトナーが後から付着するトナーに押されながら繋がって、リボン状に成長することにより大きなトナー塊となる場合があり、これが記録媒体に落下するとライン状の汚れとなる。
本発明は、以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、定着分離部材に付着したトナーが、定着ニップ形成部材の表面移動方向に平行な方向にリボン状に成長し、大きな塊となることを防止することにより、画像品質を維持することができる定着装置、及びこれを備えた画像形成装置を提供することである。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、記録媒体を搬送しながら該記録媒体上の未定着トナー像を該記録媒体上に定着する定着ニップ部を形成し、無端移動するように構成された2つの定着ニップ形成部材と、該定着ニップ部に対して該記録媒体搬送方向下流側に位置し、先端部を該定着ニップ形成部材の外周面に接触させることにより、該定着ニップ部を通過した記録媒体を該定着ニップ形成部材から分離する定着分離部材とを有する定着装置において、該定着分離部材と該定着ニップ形成部材との接触位置よりも該定着ニップ形成部材の表面移動方向下流側の表面と対向する該定着分離部材の分離部材対向面に貫通孔を設け、該貫通孔の内部に段差を備え、該貫通孔の開口部が階段状の形状を持つことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の定着装置において、上記貫通孔は上記分離部材対向面に対して略垂直方向に貫通していることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1または2の定着装置において、上記分離部材対向面での上記貫通孔の開口部は上記定着ニップ形成部材の表面移動方向に対して直交する方向に伸びた直線状の淵を備えていることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1、2または3の定着装置において、上記分離部材対向面での上記貫通孔の開口面積に対して、該分離部材対向面側とは反対側の面での該貫通孔の開口面積の方が大きいことを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項1、2、3または4の定着装置において、上記貫通孔の内部の段差が複数であることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1、2、3、4または5の定着装置において、上記分離部材対向面での上記定着ニップ形成部材との接触位置とは上記貫通孔の開口部を挟んで反対側に、該定着ニップ形成部材の表面移動方向に対して直交する方向に延在する突起形状を有することを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1、2、3、4、5または6の定着装置において、上記貫通孔が複数であることを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項1、2、3、4、5、6または7の定着装置において、上記定着ニップ形成部材に対して上記定着分離部材は一箇所のみで接触することを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項1、2、3、4、5、6、7または8の定着装置において、上記2つの定着ニップ形成部材は加熱部材と加圧部材とであり、上記定着分離部材は該加熱部材と該加圧部材との少なくとも一方に接触するものであることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、像担持体と、像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、該像担持体上の潜像を現像しトナー像を形成する現像手段と、該像担持体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段と、該転写手段により転写材に転写されたトナー象を定着する定着手段とを備える画像形成装置において、該定着手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の定着装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項10の画像形成装置において、上記トナー像を形成するトナーとして、有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマー、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物、およびトナー組成分を溶解又は分散させ、溶解又は分散させた物を水系媒体中で架橋反応及び/又は伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られた重合トナーを用いることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項11の画像形成装置において、上記重合トナーの中に分散された顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.5[μm]以下であり、その個数平均径が0.7[μm]以上の個数割合が5[個数%]以下である電子写真用トナーを用いることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項11または12の画像形成装置において、上記重合トナーの中に分散された顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.3[μm]以下であり、その個数平均径が0.5[μm]以上の個数割合が10[個数%]以下であることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項11,12または13の画像形成装置において、上記重合トナーの重量平均粒径が3.0[μm]以上、7.0[μm]以下であり、粒径分布が1.00≦Dv/Dn≦1.20(Dv:重量平均粒径、Dn:個数平均粒径)であることを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項11、12、13または14の画像形成装置において、上記重合トナーの円形度が0.900〜0.960であることを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項11、12、13、14または15の画像形成装置において、上記重合トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、その分子量2500〜10000の領域にメインピークが存在し、その数平均分子量が2500〜50000の範囲にあることを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項11、12、13、14、15または16の画像形成装置において、上記重合トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のガラス転移点が40〜65[℃]であり、その酸価が1〜30[mgKOH/g]であることを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、請求項11、12、13、14、15、16または17の画像形成装置において、上記重合トナーの油性分散液が、アミンと非反応性のポリエステル系樹脂を溶解していることを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、請求項11、12、13、14、15、16、17または18の画像形成装置において、上記重合トナーとキャリアとを含有する現像剤を用いることを特徴とするものである。
上記請求項1乃至19の定着装置においては、定着分離部材の定着ニップ形成部材との接触する接触位置よりも定着ニップ形成部材の表面移動方向下流側の表面と対向する分離部材対向面に貫通孔を設け、貫通孔の内部に段差を備えることにより、定着分離部材に付着したトナーがリボン状に成長することを防止し、大きな塊となることを防止できる。
請求項1乃至19の発明によれば、定着分離部材に付着したトナーが大きな塊となることを防止することができるので、定着分離部材から落下し、記録媒体上に付着するトナーによる画像品質に対する影響を抑制することができ、画像品質を維持することができるという優れた効果がある。
1は、本発明を適用可能な画像形成装置としてのプリンタ20全体の概略構成図である図1に示すプリンタ20は、フルカラー画像を形成可能な複写機あるいはプリンタが用いられる。本発明を適用可能な画像形成装置としては、この他に、受信した画像信号に基づき上述した複写機およびプリンタと同様な画像形成処理が可能なファクシミリ装置がある。また、本発明を適用可能な画像形成装置としては、プリンタ20のようなカラー画像を対象とするだけでなく、単一色の画像を対象とする画像形成装置も勿論含まれる。
図1を用いて、プリンタ20の構成について説明する。
箱状のプリンタ20本体内には、原稿画像に応じた各色毎の画像を形成する、複数個の作像ユニット21C、21Y、21M、21Bkが設置されている。各符号の数字の後に付されたC,Y,M,Bkは、シアン、イエロー、マゼンダ、ブラック用の部材であることを示している(以下同様)。プリンタ20本体内の中央部には記録媒体担持体としての転写ベルト31を備えた転写装置22を備えている。転写ベルト31は、プリンタ20本体の対角線方向に斜めに配置されている。このように、転写ベルト31が斜めに延在させているので、水平方向での転写装置22の占有スペースを小さくすることができる。
転写ベルト31は駆動ローラ32、従動ローラ33、及び2つのテンションローラ34によって張架され、駆動ローラ32の回転によって、図中矢印A方向に回転する。転写ベルト31の上部走行面の内側には、各色作像ユニット21C、21Y、21M、21Bkの感光体25C、25Y、25M、25Bkにそれぞれ対向する位置に、転写手段を構成する一次転写ローラ31C、31Y、31M、31Bkが接触している。
この一次転写ローラ31C、31Y、31M、31Bkには、トナーの帯電極性(本実施形態ではマイナス極性)とは逆極性(プラス極性)の転写バイアスが印加される。また、従動ローラ33の上部には、転写ベルト31を挟んで紙吸着ローラ36が設けられている。記録媒体としての記録紙は、従動ローラ33と紙吸着ローラ36との間から転写ベルト31上に送り出され、紙吸着ローラ36に印加されたバイアス電圧によって静電的に転写ベルト31上に吸着された状態で搬送される。
作像ユニット21C、21Y、21M、21Bkは、像担持体としてのドラム状の感光体25C、25Y、25M、25Bkを備え、各感光体の表面が転写ベルト31と接触するように、転写ベルト31の上方に配設されている。感光体25C、25Y、25M、25Bkとしては、ドラム状に限らずベルト状の感光体を用いてもよい。
各作像ユニット21C、21Y、21M、21Bkは、感光体25C、25Y、25M、25Bk上にC、Y、M、Bk各色のトナー像を形成するものであり、用いるトナーの色が異なるが、プリンタ20本体に配置される場所を除いては同一構成となっている。以下、シアン用の作像ユニット21Cを各作像ユニット21C、21Y、21M、21Bkの代表例として説明する。
作像ユニット21Cは、静電潜像担持体としての感光体25C、感光体25Cの回転方向に沿って順に配置されている帯電装置27C、現像装置26C、クリーニング装置28Cを有している。そして、帯電装置27Cと現像装置26Cとの間で露光装置29からの露光光29Cを受ける周知の構成が用いられる。
各作像ユニット21C、21Y、21M、21Bkの上方には露光手段としての露光装置29が配置され、作像ユニット21C、21Y、21M、21Bkの下方には両面ユニット37が配置されている。両面ユニット37の下方には、サイズの異なる転写材が収納可能な2つの給紙カセット24が配設されている。また、各作像ユニット21C、21Y、21M、21Bkの図中右側には手差しトレイ23を備えている。給紙カセット24及び手差しトレイ23は、各作像ユニット21C、21Y、21M、21Bkと転写装置22とが対向する転写領域に各種シート状媒体を供給するシート状媒体供給手段である。
また、各作像ユニット21C、21Y、21M、21Bkと転写ベルト31との対向部よりも記録体の搬送方向上流側には、レジストローラ30が備えられている。レジストローラ30は、手差しトレイ23、給紙カセット24から搬送されてきた記録体を作像ユニット21C、21Y、21M、21BKによる作像のタイミングに合わせて転写装置22に供給するものである。
さらに、各作像ユニット21C、21Y、21M、21Bkと転写ベルト31との対向部よりも記録紙の搬送方向下流側には転写領域で記録紙上に転写されたトナー像を定着する定着装置1が配置されている。
プリンタ20では、不図示の操作部により画像形成が指示されると、感光体25Cが不図示の駆動源により回転駆動され図中時計周り方向に回転する。作像ユニット21Cの帯電装置27Cの帯電ローラは、図示しない電源から帯電バイアスが印加されて感光体25Cを一様に帯電させる。感光体25Cは、帯電ローラにより一様に帯電された後に露光装置29にて、C色の画像データで変調されたレーザ光である露光光29Cにより露光されて、表面に静電潜像が形成される。感光体25C上の静電潜像は、現像装置26Cにより現像されてC色のトナー像となる。他の作像ユニット21Y、21M、21Bkにおいても同様の動作により、各感光体25Y、25M、25Bk上に各色のトナー像が形成される。
一方、2つの給紙カセット24のうち選択された方の給紙カセットからは、1枚の記録紙が分離されて、作像ユニット21Cよりも給紙側に配置されたレジストローラ30に突き当たる。そして、記録紙は、各色トナー像の転写タイミングに同期するようにして、転写ベルト31より搬送され、各感光体25C、25Y、25M、25Bkに対向する転写位置に至る。この転写位置には、転写ベルト31の裏面側に配置された一次転写ローラ35に印加されるバイアスの作用により転写電界が形成される。この転写電界により、各感光体25C、25Y、25M、25Bk上の各色トナー像は、記録紙上に互いに重ね合わさるように順次転写される。なお、モノクロ画像をプリントする場合は、黒用の作像ユニット21Bkの感光体25Bkにのみ黒トナーによるトナー像を形成する。そして、このトナー像の転写タイミングに同期するようにして転写ベルト31により記録紙を搬送して、黒トナー像のみ転写を行う。
このようにして、各色トナー像が転写された記録紙は、駆動ローラ32の位置で転写ベルト31から曲率分離され定着装置1に送られる。そして、定着装置1の定着ニップ部を通過する際、熱と圧力により、各色トナー像が記録紙上に定着される。定着を終えた記録紙は、装置本体の上面に設けられた排紙トレイ39に排紙されるか、プリンタ20本体の図中左側に備えた両面装置90へ受け渡され、両面ユニット37に送られ、裏面の画像形成のためレジストローラ30に搬送される。
画像形成装置としてのプリンタ20は、一般にコピー等に用いられる普通紙(以下単に普通紙という)と、OHPシートや、カード、ハガキといった90K紙、坪量約100[g/m]相当以上の厚紙や、封筒等の、用紙よりも熱容量が大きないわゆる特殊シート(以下単に特殊シートという)との何れをも記録媒体として用いることが可能である。
次に、本実施形態の特徴部分である定着装置1について説明する。
図2は、定着装置1の概略構成図である。図2に示す、定着装置1は、2つの無端移動する定着ニップ形成部材である加熱部材としての定着ベルト2と加圧部材としての加圧ローラ5とによって定着ニップ部Nを形成している。具体的には、トナー像が定着されるシート状の記録媒体である記録紙Pを搬送するための無端状の定着ベルト2と、定着ベルト2を張架する加熱ローラ3及び定着ローラ4と、定着ベルト2を介して定着ローラ4に対向して配置される加圧ローラ5とを有している。さらに、加熱ローラ3の内部にはベルト加熱ヒータ6、加圧ローラ5の内部にはローラ加熱ヒータ7を備えており、定着ベルト2及び加圧ローラ5に対向して配置されそれぞれの温度を検知する温度検知手段としてのサーミスタ8を有している。
定着装置1では、バネなどの図示しない弾性体により定着ベルト2内側からテンションローラ120を付勢されることにより、定着ベルト2に適当な所定の張力を与えるようになっている。
定着ローラ4は、芯金9と、この芯金9を被覆する耐熱多孔質層の弾性体層10とを有する。定着ローラ4は、バネなどの図示しない弾性体により加圧ローラ5に圧接する向きに付勢されている。また、定着装置1の入口には、定着されるトナー像を担持した記録紙Pを定着ニップ部Nに向けて案内する定着ガイド12を備えている。
定着装置1に搬送された記録紙Pは、定着ニップ部Nで定着ベルト2及び加圧ローラ5とに挟まれ、搬送されながら加熱及び加圧されることによって、その表面に未定着トナーを定着される。
ここで加熱ローラ3の内部に備えられたベルト加熱ヒータ6、加圧ローラ5の内部に備えられたローラ加熱ヒータ7の容量は、ローラ加熱ヒータ7に比べ、ベルト加熱ヒータ6の方が容量を大きく構成している。これは、定着ベルト2の熱容量が加圧ローラ5に比べて低いこと、コールドスタート時に加圧ローラ5はローラ加熱ヒータ7だけでなく定着ベルト2表面から加圧ローラ5表面を加熱することにより立ち上がり時間の短縮が図れること等の理由からである。定着装置1では、100[V]印加時の電力が、ベルト加熱ヒータ6は1100[W]、ローラ加熱ヒータ7は200[W]のものを用いている。
定着分離部材としての定着分離爪11は定着ニップ部より下流側に位置付けられ、先端部を定着ベルト2の外周面に押し当てられている。そして、記録紙Pが定着ベルト2の外周面に貼り付いても、記録紙Pの搬送に伴い定着ベルト2の外周面と記録紙Pとの間に定着分離爪11が入り込むことにより記録紙Pを定着ベルト2から分離させ、定着ベルト2への記録紙Pの巻き付きが防止される。
また静電的な力やファンデルワールス力などによる定着ベルト2へのトナー付着防止のために、定着ベルト2とトナーとの離型性向上を目的として、シリコーンオイルを定着ベルト2表面に塗布する構成を用いた。微量にオイル塗布を行う媒体として微量オイル塗布ローラ121を用いた。微量オイル塗布ローラ121は芯金の周りにシリコーンオイルを含浸させたスポンジ状の発泡体を具備し、その外周に微細な孔のある半透膜を一重、もしくは二重に巻いた構成となっており、発泡体のシリコーンオイルが半透膜を通してしみ出し、対向する部材に微量のオイルを塗布する部材である。この際、微量オイル塗布ローラ121の表層膜は、ペーパージャム時などにトナーが付着した際に、微量オイル塗布ローラ121表面にトナーが固着しないように、離型性の良い材質を採用している。微量オイル塗布ローラ121表面にトナーが固着すると、オイルがしみ出す微孔が塞がれてしまい、オイル塗布が出来なくなるためである。ここでは表層膜に離型性優先した材料としてゴアテックス膜を用いた。なお、図2に示す定着装置1では微量オイル塗布ローラ121を加圧ローラ5に接触させて、加圧ローラ5を介して、定着ベルト2にシリコーンオイルを供給する構成であるが、微量オイル塗布ローラ121を定着ベルト2に直接接触させる構成であってもよい。
詳細は後述する重合トナーおよびキャリアを用い、作像中の定着ベルト2表面のトナー付着を確認したところ、微量ながら記録紙P上のトナー像を形成するトナーが静電的な力やファンデルワールス力などのために定着ベルト2に付着する現象が発生していた。ここで記録紙P上のトナー付着量は0.5[mg/cm]、作像線速は125[mm/sec]、定着制御温度は175[℃]の条件である。また加圧ロ−ラ5に対しても通紙終了後しばらく回転し続ける処理中や、記録紙Pが連続通紙される場合には連続する記録紙Pの間隔(いわゆる紙間)で定着ベルト2からトナーが転写、付着する現象が発生していた。記録紙Pから定着ベルト2へのトナー付着が発生すると、このトナーは定着分離爪11に付着堆積し、定着分離爪11上で次第に大きなトナー塊へと成長するおそれがある。
図3は、従来の定着分離爪11の説明図である。図3(a)は、定着分離爪11の側面図及び正面図であり、図中右に示すものが図2と同じ方向から見た側面図、図中左側に示すものが図2中矢印B方向から定着分離爪11を見た正面図である。図3(b)は、図3(a)に破線で示す先端領域α周辺の拡大図であり、図3(c)は、定着分離爪11を定着ベルト2に接触させた状態の先端部周辺領域α周辺の拡大図である。
定着分離爪11は耐熱樹脂(例えばPPS)で一体整形されており、離型性向上のために定着ベルト2との接触部である分離爪先端部11aには厚さ10〜30[μm]でPFAコートが施されている。従来の定着分離爪11上では図3(c)に示すように定着分離爪11と定着ベルト2の間でトナー塊Tが成長する。このトナー塊Tは、全面ベタ画像のような高画像面積で連続通紙した場合には長さが4〜5[mm]となることがあり、定着分離爪11から分離したトナー塊が記録紙P上に付着することにより3[mm]以上のトナー固着として顕在化することにより画像を汚した。
そこで、実施形態では、定着分離部材である定着分離爪11と定着ニップ形成部材である定着ベルト2との接触位置よりも該定着ニップ形成部材の表面移動方向下流側の表面と対向する分離部材対向面である分離爪対向面11bにトナー塊成長防止手備える。
参考構成1
図4は、トナー塊成長防止手段として分離爪対向面11bに段差を設けた一つ目の参考構成例(以下、参考構成例1と呼ぶ)の定着分離爪11の説明図である。図4(a)は、定着分離爪11の側面図及び正面図であり、図中右に示すものが図2と同じ方向から見た側面図、図中左側に示すものが図2中矢印B方向から定着分離爪11を見た正面図である。図4(b)は、図4(a)に破線で示す先端領域α周辺の拡大図であり、図4(c)は、定着分離爪11を定着ベルト2に接触させた状態の先端部周辺領域α周辺の拡大図である。
参考構成例1の定着分離爪11は、定着分離爪11の定着ベルト2との接触部である分離爪先端部11aを備えた平面である接触面としての分離爪対向面11bに、トナー塊成長防止手段を設けている。具体的には、図中矢印Cで示す定着ベルト2の表面移動方向に対して直交する方向に延在する溝形状(図4(a)の右図参照)のトナー塊成長防止手段である段差として2本の分離爪溝101が具備されている。具体的には定着分離爪11の先端からL=1.5[mm]の位置から深さ0.3[mm]、幅0.5[mm]の溝が具備してあり、0.5[mm]間隔で同様の溝が具備してある。また、図中Lで示す分離爪対向面11bの定着ベルト2の表面移動方向と平行な方向の長さは、4[mm]である。従来の定着分離爪11同様、材質は耐熱樹脂(例えばPPS)で一体整形されており、離型性向上のために定着ベルト2との接触部である分離爪先端部11aには厚さ10〜30[μm]でPFAコートが施した。
図4に記載の定着分離爪11上では、定着分離爪11と定着ベルト2の間でトナー塊Tが成長しようとすると、図4(c)に示すように分離爪対向面11bに具備した分離爪溝101に入り込み、トナー塊Tの先端部が先に進めなくなる。この先端部が先に進めなくなったトナー塊Tに対し、定着ベルト2との接触部から供給されたオフセットトナーによりトナー塊を押す力が働き、トナー塊Tは大きく成長する前に分割される。
また、図4(b)に示すように、分離爪溝101の側面である溝側面101aは分離爪対向面11bと垂直な面となっている。分離爪対向面11bに沿って成長するトナー塊Tが分離爪溝101に入り込んだときに、分離爪溝101の壁面である溝側面101aにトナー塊Tの先端部がひっかかる。溝側面101aが分離爪対向面11bに対して垂直となっていることにより、先端部が先に進むことをより確実に防止することができる。
分離爪溝101を設けることにより、全面ベタ画像のような高画像面積で連続通紙した場合でも、分離爪対向面11b上のトナー塊Tの長さは2[mm]程度となった。そして、更に細かく分割されて定着分離爪11から分離し、トナー塊Tが記録紙P上に付着するため、記録紙P上に顕在化するトナー固着の長さは0.5[mm]以下となり、画像品質上、ほぼ問題のないレベルとなった。
参考構成例2
図5は、二つ目の参考構成例(以下、参考構成例2と呼ぶ)の定着分離爪11の説明図である。図5(a)は、定着分離爪11の側面図及び正面図であり、図中右に示すものが図2と同じ方向から見た側面図、図中左側に示すものが図2中矢印B方向から定着分離爪11を見た正面図である。図5(b)は、図5(a)に破線で示す先端領域α周辺の拡大図であり、図5(c)は、定着分離爪11を定着ベルト2に接触させた状態の先端部周辺領域α周辺の拡大図である。
参考構成例2の定着分離爪11は、分離爪対向面11bに、図中矢印Cで示す定着ベルト2の表面移動方向に対して直交する方向に延在する突起形状(図5(a)の右図参照)のトナー塊成長防止手段である段差として2本の分離爪突起102が具備されている。具体的には定着分離爪11の先端からL=1.5[mm]の位置から高さ0.3[mm]、幅0.5[mm]の突起が具備してあり、0.5[mm]間隔で同様の突起が具備してある。従来の定着分離爪11同様、材質は耐熱樹脂(例えばPPS)で一体整形されており、離型性向上のために定着ベルト2との接触部には厚さ10〜30[μm]でPFAコートが施した。
図5に記載の定着分離爪11上では、定着分離爪11と定着ベルト2の間でトナー塊Tが成長しようとすると、図5(c)に示すように分離爪対向面11bに具備した分離爪突起102に乗り上げ、トナー塊Tの先端部が先に進めなくなる。この先端部が先に進めなくなったトナー塊Tに対し、定着ベルト2との接触部から供給されたオフセットトナーによりトナー塊を押す力が働き、トナー塊は大きく成長する前に分割される
また、図5(b)に示すように、分離爪突起102の側面である突起側面102aは分離爪対向面11bと垂直な面となっている。分離爪対向面11bに沿って成長するトナー塊Tが分離爪突起102に突き当たるときに、分離爪突起102の壁面である突起側面102aにトナー塊Tの先端部がひっかかる。突起側面102aが分離爪対向面11bに対して垂直となっていることにより、先端部が先に進むことをより確実に防止することができる。
分離爪突起102を設けることにより、全面ベタ画像のような高画像面積で連続通紙した場合でも、図4で示した定着分離爪11と同様にトナー塊Tの長さが2[mm]程度となった。そして、更に細かく分割されて定着分離爪11から分離し、トナー塊Tが記録紙P上に付着するため、記録紙P上に顕在化するトナー固着の長さは0.5[mm]以下となり、画像品質上、ほぼ問題のないレベルとなった。
図6は、三つ目の参考構成例(以下、参考構成例3と呼ぶ)の定着分離爪11の説明図である。図6(a)は、定着分離爪11の側面図及び正面図であり、図中右に示すものが図2と同じ方向から見た側面図、図中左側に示すものが図2中矢印B方向から定着分離爪11を見た正面図である。図6(b)は、図6(a)に破線で示す先端領域α周辺の拡大図であり、図6(c)は、定着分離爪11を定着ベルト2に接触させた状態の先端部周辺領域α周辺の拡大図である。
参考構成例3の定着分離爪11は、分離爪対向面11bに、図中矢印Cで示す定着ベルト2の表面移動方向に対して直交する方向に各段の平面が延在する階段形状(図6(a)の右図参照)のトナー塊成長防止手段である段差として二段の分離爪階段部103が具備されている。具体的には定着分離爪11の先端からL=1.5[mm]の位置から深さ0.3[mm]、幅1.3[mm]の階段状の凹が具備してあり、連続して同様の階段状の凹が具備してある。従来の定着分離爪11同様、材質は耐熱樹脂(例えばPPS)で一体整形されており、離型性向上のために定着ベルト2との接触部には厚さ10〜30[μm]でPFAコートが施した。
図6に記載の定着分離爪11上では、定着分離爪11と定着ベルト2の間でトナー塊が成長しようとすると、図6(c)に示すように分離爪対向面11bに具備した分離爪階段部103の凹に入り込み、トナー塊Tの先端部が先に進めなくなる。この先端部が先に進めなくなったトナ−塊Tに対し、定着ベルト2との接触部から供給されたオフセットトナーによりトナー塊を押す力が働き、トナー塊は大きく成長する前に分割される。
分離爪階段部103を設けることにより、全面ベタ画像のような高画像面積で連続通紙した場合でも、図4で示した定着分離爪11と同様にトナー塊Tの長さが2[mm]程度となった。そして、更に細かく分割されて定着分離爪11から分離し、トナー塊Tが記録紙P上に付着するため、記録紙P上に顕在化するトナー固着の長さは0.5[mm]以下となり、画像品質上、ほぼ問題のないレベルとなった。
なお、定着分離爪11の定着ベルト2との接触面である分離爪対向面11b側の段差の形状等により、定着分離爪11が定着ベルト2に対して複数箇所で接触する可能性がある。特に、図5で示した参考構成例2の定着分離爪11のように分離爪突起102を有する場合にはその可能性が高くなる。図7は、参考構成例2で説明した定着分離爪11が、分離爪先端部11aだけでなく、分離爪突起102も定着ベルト2に接触した状態を示している。分離爪突起102を備えた定着分離爪11と定着ベルト2との接触箇所が複数箇所であることにより、定着ベルト2の摩耗量が増加する。一般的に定着ベルト2の表層はPFAなどの離型性に優れた材質が15〜30[μm]程度の厚みでコートされており、このコート層が摩耗すると更なるオフセットトナー量の増加や離型不良による巻き付きジャム等が発生しやすくなる。以上のように定着ベルト2や、分離手段を加圧ローラ5に接触している場合には加圧ローラ5の高寿命化のために複数箇所での接触(面、線、点を含む)は避け、一箇所のみで接触するように構成すべきである。
また、定着分離爪11の分離爪溝101、分離爪突起102、分離爪階段部103等の数値は説明に用いたプリンタ20に対する固有の値であり、説明に用いた値に限定されるものではない。
[実施形態]
上述の各参考構成例では、分離爪対向面11bに付着したトナーが成長することを防止するトナー塊成長防止手段として、分離爪対向面11bに段差を設ける構成について説明した。
以下、トナー塊成長防止手段として分離爪対向面11bに、貫通孔を設ける本発明の実施形態について説明する。なお、実施形態に係るプリンタ及び定着装置の基本構成は、図1及び図2を用いて説明した構成であり、本実施形態は分離爪対向面11bに貫通孔を設けた点で上述した各参考構成例と相違する。参考構成例と共通する点についての説明は省略し、その相違点について説明する。
実施形態では、定着分離部材である定着分離爪11と定着ニップ形成部材である定着ベルト2との接触位置よりも該定着ニップ形成部材の表面移動方向下流側の表面と対向する分離部材対向面である分離爪対向面11bにトナー塊成長防止手段として貫通孔を設けている。なお、分離爪対向面11bに貫通孔を設けることで、トナー塊が成長することを防止するだけではなく、分割したトナー塊が再度、熱によって融合し大きなトナー塊に成長することを防止するとともに、再度大きな塊となる前にトナーの逃げ口を確保することができる。
参考構成例4
図8は、つ目の参考構成例(以下、参考構成例4と呼ぶ)の定着分離爪11の説明図である。図8(a)は、定着分離爪11の側面図及び正面図であり、図中右に示すものが図2と同じ方向から見た側面図、図中左側に示すものが図2中矢印B方向から定着分離爪11を見た正面図である。図8(b)は、図8(a)に破線で示す先端領域αを正面図側から見た領域βの拡大図、図8(c)は、図8(a)に破線で示す先端領域α周辺の拡大図、図8(d)は、定着分離爪11を定着ベルト2に接触させた状態の先端部周辺領域α周辺の拡大図である。
参考構成例4の定着分離爪11は、定着分離爪11の定着ベルト2との接触部である分離爪先端部11aを備えた平面である接触面としての分離爪対向面11bにトナー塊成長防止手段である貫通孔110が具備されている。具体的には定着分離爪11の先端からL=1.5[mm]の位置に0.5(=L)×1.2[mm]の楕円形の貫通穴が具備してある。従来の定着分離爪11同様、材質は耐熱樹脂(例えばPPS)で一体整形されており、離型性向上のために定着ベルト2との接触部には厚さ10〜30[μm]でPFAコートが施した。
図8に記載の定着分離爪11上では、定着分離爪11と定着ベルト2の間でトナー塊Tが成長しようとすると図8(d)に示すように分離爪対向面11bに設けた貫通孔110に入り込み、トナー塊Tの先端部が先に進めなくなる。この先端部が進めなくなったトナー塊Tに対し、定着ベルト2との接触部から供給されたオフセットトナーによりトナー塊を押す力が働き、トナー塊Tは大きく成長する前に分割される。分割されたトナー塊Tは、貫通孔110を通って分離爪対向面11bとは反対側の面である分離爪裏面11c側から排出される。
貫通孔110を設けることにより、全面ベタ画像のような高画像面積で連続通紙した場合でも、定着分離爪11に付着したトナー塊Tの長さは2[mm]程度となった。そして、更に細かく分割されて定着分離爪11から分離し、トナー塊Tが記録紙P上に付着するため、記録紙P上に顕在化するトナー固着の長さは0.5[mm]以下となり、画像品質上、ほぼ問題のないレベルとなった。
また、貫通孔110は分離爪対向面11bに対して略垂直方向に貫通している。これにより、分離爪対向面11bに沿って成長するトナー塊Tが貫通孔110に入り込んだときに、貫通孔110内の壁面にトナー塊Tの先端部がひっかかり、先端部が先に進むことをより確実に防止することができる。さらに、分割されたトナー塊Tを容易に分離爪裏面11c側から排出することができる。
参考構成例5
図9は、図8を用いて説明した参考構成例5に係る定着分離爪11を備えたプリンタ20で画像形成を行ったあとの、図8(b)で示した領域βの拡大図である。図8の定着分離爪11のように貫通孔110の形状が楕円形では、図9の矢印Cで示す定着ベルト表面移動方向の下流側となる奥側の一部分にトナー塊Tが集中するトナー集中点110Tが生じる場合があり、トナー塊Tが比較的大きく分割される場合がある。
以下、このような不具合を解決することができる、つ目の参考構成例(以下、参考構成例5と呼ぶ)について説明する。
図10は、参考構成例5に係る定着分離爪11の説明図である。図10(a)は、定着分離爪11の側面図及び正面図であり、図中右に示すものが図2と同じ方向から見た側面図、図中左側に示すものが図10中矢印B方向から定着分離爪11を見た正面図である。図10(b)は、図10(a)に破線で示す先端領域αを正面図側から見た領域βの拡大図、図10(c)は、図10(a)に破線で示す先端領域α周辺の拡大図、図10(d)は、定着分離爪11を定着ベルト2に接触させた状態の先端部周辺領域α周辺の拡大図である。
参考構成例5の定着分離爪11の分離爪対向面11bでの開口部が図中矢印C方向に定着ベルト2の表面移動方向に対して直交する方向に伸びた直線状の淵を備えた貫通孔110が設けられている。具体的には、定着分離爪11の先端からL=1.5[mm]の位置から0.5(=L)×2.0[mm]の長方形の貫通孔110が具備してある。従来の定着分離爪11同様、材質は耐熱樹脂(例えばPPS)で一体整形されており、離型性向上のために定着ベルト2との接触部には厚さ10〜30[μm]でPFAコートが施した。
図9を用いて説明したように図8に記載の定着分離爪11のような楕円形の貫通穴では奥側の一部分が、トナー集中点110Tとなりトナー塊Tが集中する場合があり、トナー塊が比較的大きく分割される場合があった。
一方、図10のように貫通孔110の開口部を長方形として、定着ベルト2の表面移動方向に対して直交する方向に伸びた直線状の淵を備えた開口部とすることで、トナー塊Tが集中することなく、より確実に細かく分割される。これにより、参考構成例4の定着分離爪11よりも確実に記録紙P上に顕在化するトナー固着の長さが0.5[mm]以下となり、画像品質上問題のないレベルが維持できるようになった。
参考構成例6
図11は、つ目の参考構成例(以下、参考構成例6と呼ぶ)の定着分離爪11の説明図である。図11(a)は、定着分離爪11の側面図及び正面図であり、図中右に示すものが図2と同じ方向から見た側面図、図中左側に示すものが図2中矢印B方向から定着分離爪11を見た正面図である。図11(b)は、図11(a)に破線で示す先端領域αを正面図側から見た領域βの拡大図、図11(c)は、図11(a)に破線で示す先端領域α周辺の拡大図、図11(d)は、定着分離爪11を定着ベルト2に接触させた状態の先端部周辺領域α周辺の拡大図である。
参考構成例6の定着分離爪11は、分離爪対向面11b側の開口部に対して、分離爪対向面11bとは反対側の面である分離爪裏面11c側の開口部の方が開口面積の大きい貫通孔110を設けている。すなわち、分離爪対向面11b側の開口幅をL、分離爪裏面11c側の開口幅をLとすると、L<Lとなるような貫通孔110を設ける。
具体的には分離爪対向面11b側は定着分離爪11の先端からL=1.5[mm]の位置から0.5(=L)×2.0[mm]の長方形の開口部となり、分離爪裏面11c側には1.0(=L)×2.0[mm]の長方形の開口部となる貫通孔110が具備してある。従来の定着分離爪11同様、材質は耐熱樹脂(例えばPPS)で一体整形されており、離型性向上のために定着ベルト2との接触部には厚さ10〜30[μm]でPFAコートが施した。
出口側である分離爪裏面11c側の開口面積を広くすることにより、トナーの滞留をより効果的に防止することが可能となり、記録紙P上に顕在化するトナー固着の長さは0.5[mm]以下で、画像品質上、問題のないレベルが維持できるようになった。
[実施例
図12は、本実施形態に係るつ目の実施例(以下、実施例と呼ぶ)の定着分離爪11の説明図である。図12(a)は、定着分離爪11の側面図及び正面図であり、図中右に示すものが図2と同じ方向から見た側面図、図中左側に示すものが図2中矢印B方向から定着分離爪11を見た正面図である。図12(b)は、図12(a)に破線で示す先端領域αを正面図側から見た領域βの拡大図、図12(c)は、図12(a)に破線で示す先端領域α周辺の拡大図、図12(d)は、定着分離爪11を定着ベルト2に接触させた状態の先端部周辺領域α周辺の拡大図である。
実施例の定着分離爪11は、内部に段差を備えた貫通孔110を備えている。具体的には、貫通孔通路110aの最も狭い部分は0.5(=L)×2.0[mm]の長方形であるが、分離爪対向面11b側の開口面を広くし、幅L=0.3[mm]、深さL=0.3[mm]の貫通孔溝110bが開口部の外周に設けられている。貫通孔110が内部に段差を備え、開口部が階段状の形状を持つことにより、定着ベルト2との接触部から供給されたオフセットトナーによりトナー塊Tを押す力が働くことによるトナー塊を大きく成長する前に分割する力がより効率よく働く。すなわち、トナー塊Tが貫通孔110を通って分離爪裏面11cに抜ける間に、貫通孔溝110bの段差で分割され、さらに、貫通孔溝110bから貫通孔通路110aに落ちる際の段差で分割される。これにより、記録紙P上に顕在化するトナー固着の長さをより確実に0.5[mm]以下とすることができ、画像品質上、問題のないレベルが維持できるようになった。
[実施例
図13は、本実施形態に係るつ目の実施例(以下、実施例と呼ぶ)の定着分離爪11の説明図である。図13(a)は、定着分離爪11の側面図及び正面図であり、図中右に示すものが図2と同じ方向から見た側面図、図中左側に示すものが図2中矢印B方向から定着分離爪11を見た正面図である。図13(b)は、図13(a)に破線で示す先端領域αを正面図側から見た領域βの拡大図、図13(c)は、図13(a)に破線で示す先端領域α周辺の拡大図、図13(d)は、定着分離爪11を定着ベルト2に接触させた状態の先端部周辺領域α周辺の拡大図である。
実施例の定着分離爪11は、内部に複数段の段差を備えた貫通孔110を備えている。具体的には、貫通孔通路110aの最も狭い部分は0.5(=L)×2.0[mm]の長方形であるが、分離爪対向面11b側の開口面を広くし、幅L10(及びL11)=0.3[mm]、深さ0.3[mm]の貫通孔溝110b(及び110c)が二周分、開口部の外周に設けられている。
これにより、実施例に記載の定着分離爪11よりも、さらに効率よくトナー塊Tが大きく成長する前に分割する力が働く。よって、記録紙P上に顕在化するトナー固着の長さをより確実に0.5[mm]以下とすることができ、画像品質上、問題のないレベルが維持できるようになった。
参考構成例7
図14は、つ目の参考構成例(以下、参考構成例7と呼ぶ)の定着分離爪11の説明図である。図14(a)は、定着分離爪11の側面図及び正面図であり、図中右に示すものが図2と同じ方向から見た側面図、図中左側に示すものが図2中矢印B方向から定着分離爪11を見た正面図である。図14(b)は、図14(a)に破線で示す先端領域αを正面図側から見た領域βの拡大図、図14(c)は、図14(a)に破線で示す先端領域α周辺の拡大図、図14(d)は、定着分離爪11を定着ベルト2に接触させた状態の先端部周辺領域α周辺の拡大図である。
参考構成例7の定着分離爪11は、分離爪対向面11bでの定着ベルト2との接触位置とは貫通孔110の開口部を挟んで反対側に、定着ベルト2の表面移動方向に対して直交する方向に延在する突起形状を有している。具体的には、分離爪対向面11bに垂直方向の貫通孔110が具備されており、貫通孔110の開口部の分離爪先端部11aとは反対側を囲むように幅w=0.3[mm]、高さh=0.3[mm]の突起形状の分離爪開口部突起115が開口部の外周に設けられている。開口部に分離爪開口部突起115を具備すると、トナー塊Tの先端が開口部を通過しにくくなり定着ベルト2との接触部から供給されたオフセットトナーによりトナー塊Tを押す力が働くことによるトナー塊Tが大きく成長する前に分割する力がより効率よく働く。これにより、記録紙P上に顕在化するトナー固着の長さをより確実に0.5[mm]以下とすることができ、画像品質上、問題のないレベルが維持できるようになった。
なお、図12及び図13を用いて説明した、実施例及び実施例の貫通孔110の内部に段差を備える形状を具備することによりさらに効率よくトナー塊Tを分割することができるようになる。
参考構成例8
図15は、つ目の参考構成例(以下、参考構成例8と呼ぶ)の定着分離爪11の説明図である。図15(a)は、定着分離爪11の側面図及び正面図であり、図中右に示すものが図2と同じ方向から見た側面図、図中左側に示すものが図2中矢印B方向から定着分離爪11を見た正面図である。図15(b)は、図15(a)に破線で示す先端領域αを正面図側から見た領域βの拡大図、図15(c)は、図15(a)に破線で示す先端領域α周辺の拡大図、図15(d)は、定着分離爪11を定着ベルト2に接触させた状態の先端部周辺領域α周辺の拡大図である。
参考構成例8の定着分離爪11は、複数の貫通孔110を備えている。具体的には、分離爪対向面11bに開口部が0.5(=L12、L14)×2.0[mm]の長方形の貫通孔110が2個、0.5[mm](=L13)の間隔で設けてある。貫通孔110を2個、並列することにより、分離爪先端部11a側の貫通孔110で分割もしくは落下しなかったトナー塊Tが、分離爪先端部11aからは離れた側の貫通孔110で分割、落下される。これにより、記録紙P上に顕在化するトナー固着の長さをより確実に0.5[mm]以下とすることができ、画像品質上、問題のないレベルが維持できるようになった。
なお、定着分離爪11の定着ベルト2との接触面である分離爪対向面11b側の段差の形状等により、定着分離爪11が定着ベルト2に対して複数箇所で接触する可能性がある。特に、図14で示した参考構成例7の定着分離爪11のように分離爪開口部突起115を有する場合にはその可能性が高くなる。図16は、参考構成例7で説明した定着分離爪11が、分離爪先端部11aだけでなく、分離爪開口部突起115も定着ベルト2に接触した状態を示している。分離爪開口部突起115を備えた定着分離爪11と定着ベルト2との接触箇所が複数箇所であることにより、定着ベルト2の摩耗量が増加する。一般的に定着ベルト2の表層はPFAなどの離型性に優れた材質が15〜30[μm]程度の厚みでコートされており、このコート層が摩耗すると更なるオフセットトナー量の増加や離型不良による巻き付きジャム等が発生しやすくなる。以上のように定着ベルト2や、分離手段を加圧ローラ5に接触している場合には加圧ローラ5の高寿命化のために複数箇所での接触(面、線、点を含む)は避け、一箇所のみで接触するように構成すべきである。
また、定着分離爪11の貫通孔110の大きさ、形状等の数値は説明に用いたプリンタ20に対する固有の値であり、説明に用いた値に限定されるものではない
以上、ここまでの説明は加熱部材として定着ベルトを採用したベルト方式の熱定着装置を例に説明を行ったが、加熱部材として定着ローラを採用したローラ方式の熱定着装置についても同様の構成を採用することができる。
参考構成例9
図17は、九つ目の参考構成例(以下、参考構成例9と呼ぶ)の説明図である。図17には定着分離爪11に貫通孔110を設ける代わりに切り欠き140を設けた構成を示す。定着分離爪11の強度的な問題が解決される材質が選択できる場合には、図17に示した構成であっても同様の効果を得ることができる。
次に、実施形態で説明した定着分離爪11を備えた定着装置1を有する画像形成装置であるプリンタ20で用いることができる現像剤について説明する。
従来から電子写真法や静電記録法を利用した画像形成装置を用いることにより、静電潜像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。例えば、電子写真法においては、画像情報は、帯電工程に続く露光工程により感光体上に静電潜像とされた後、現像剤で顕像化され、次いで転写工程及び定着工程を経て画像情報が再生される。この場合、現像剤としては、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる一成分現像剤と、トナーとキャリアからなる二成分現像剤とがある。
このような現像剤に用いられる電子写真用トナーは、通常、熱可塑性樹脂を、顔料、必要に応じてワックス等の離型剤や帯電制御剤と共に溶融混練した後、微粉砕し、更に分級する混練粉砕法により製造されている。このようにして得られるトナーには、必要ならば、流動性やクリーニング性を改善するために、無機または有機の微粒子をトナー粒子表面に添加することが行なわれている。
通常の混練粉砕法により得られるトナーは、一般的には、不定形で、その粒径分布はブロードで、流動性が低く、転写性が低く、定着エネルギーが高く、トナー粒子間で帯電量が不均一で、帯電安定性が低いと言う問題点があった。さらに、このようなトナーから得られる画像は、その画質が未だ不満足のものであった。
一方、混練粉砕法による前記トナーの問題点を克服するために、重合法によるトナーの製造方法が提案されている。この方法は、粉砕工程が含まれていないため、そのトナーの製造には練り工程及び粉砕工程が必要でなく、エネルギーの節約、生産時間の短縮、製品収率の向上等のコスト削減の寄与が大きい。また、このような重合法により得られる重合トナー粒子における粒度分布も、粉砕法によるトナーの粒度分布に比べてシャープな分布の形成が容易である上、ワックスの内包化も容易で、トナーの流動性を大きく向上させることもできる。また、球形トナーを得ることも容易である。
しかし、重合法によるトナーには未だ解消されていない課題も多い。重合法で得られるトナーは、重合過程において表面張力が作用するため、混練粉砕法に比較すると、粒子の真球度が高いものではあるが、そのトナー物性は未だ十分ではない。また、この方法ではトナーの形状をコントロール(異型化)することは容易でない。しかし、この方法は、帯電安定性、転写性については有利である。
重合法の内で広く行われている懸濁重合法によるトナーの製造方法では、それに用いるバインダー(結着樹脂)用モノマーは人体に対して有害性のスチレンモノマーやアクリルモノマーに限られ、そして得られるトナーにはこれらの成分が含まれるため、環境上の問題がある。また、得られるトナーは、ワックスを内包化するため、トナーを実践に使用したときに、トナーの感光体への付着は低減されるものの、トナーの定着性については、ワックスが粒子界面状に存在する粉砕法に比べて、内包化されている分、ワックスがトナー表面に染み出にくく定着効率の悪いトナーとなる。従って、重合トナーは、消費電力に対しては不利なトナーとなってしまう。さらに、重合トナーの場合、その定着性向上を図るためワックスを増量したり、ワックスの分散粒径を大きくすると、カラートナーとして用いる場合、そのカラー画像の透明性が悪化するため、OHPによるプレゼンテーション画像形成用トナーとして用いるには不適なものとなる。
重合トナーの製造法には、懸濁重合法の他、異型化が比較的可能な乳化重合法などもある。乳化重合法においても、そのモノマーはスチレンモノマーに限られる。この方法の場合も、その未反応モノマー分のトナー粒子からの完全除去や、乳化剤、分散剤のトナー粒子からの完全除去はむずかしく、トナーによる環境問題をも生じるようになってきている。
トナーの製造法として溶解懸濁法が知られている。この方法の場合、低温定着が可能なポリエステル樹脂を使用できるメリットはあるが、この方法の場合、低温定着性樹脂や着色剤を溶剤に溶解又は分散する工程において高分子量成分を加えるため、液粘度が上がり生産性上の問題が発生するようになる。さらに、この溶解懸濁法においては、トナーの表面形状に関し、球形で且つ表面を凹凸形状にすることによりトナーのクリーニングの改善を図っている(特開平9−15903号公報)が、このようなトナーは規則性のない不定形トナーであるため、帯電安定性にかけ、さらに耐久性や離型性にも問題があり、満足すべきトナー品質は得られていない。
特開平11−133665号公報によれば、トナーの流動性改良、低温定着性改良、ホットオフセット性改良を目的に、トナーバインダーとしてウレタン変性されたポリエステルの伸長反応物からなる実用球形度が0.90〜1.00の乾式トナーが提案されている。また、小粒径トナーとした場合の粉体流動性、転写性に優れるとともに、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れた乾式トナーが特開平11−149180号公報及び2000−292981号公報等に記載されている。これらの公報に記載されたトナーの製造方法は、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーを水系媒体中でアミンと重付加反応させる高分子量化工程を含むものである。
しかしながら、前記のような重合法により得られる重合トナーの場合、顔料の分散が悪く、顔料はトナー中に不均一に分散しているために、このトナーにより得られた画像は、透明性が低く、彩度(鮮やかさ)に劣るという問題点を有するものであった。特に、前記トナーを用いてOHPシート上にカラー画像を形成した場合、その画像は暗い画像となる欠点を生じた。
以上の問題点に鑑み、実施形態では、以下に説明する重合トナーを用いた。実施形態で用いた重合トナーは、有機溶媒中に少なくとも、イソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマーAが溶解し、顔料系着色剤が分散し、離型剤が溶解ないし分散している油性分散液を水系媒体中に無機微粒子及び/又はポリマー微粒子の存在下で分散させるとともに、この分散液中で該プレポリマーAをポリアミン及び/又は活性水素含有基を有するモノアミンBと反応させてウレア基を有するウレア変性ポリエステル系樹脂Cを形成させ、このウレア変性ポリエステル系樹脂Cを含む分散液からそれに含まれる液状媒体を除去することにより得られるものである。
ウレア変性ポリエステル系樹脂Cにおいて、そのTgは40〜65[℃]、好ましくは45〜60[℃]である。その数平均分子量Mnは2500〜50000、好ましくは2500〜30000である。その重量平均分子量Mwは1万〜50万、好ましくは3万〜10万である。
このトナーは、該プレポリマーAと該アミンBとの反応によって高分子量化されたウレア結合を有するウレア変性ポリエステル系樹脂Cをバインダー樹脂として含む。そして、そのバインダー樹脂中には着色剤が高分散している。
前記トナーについて鋭意検討を重ねた結果、トナー粒子中に含まれる顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径を0.5[μm]以下に規定するとともに、その個数平均径が0.7[μm]以上の個数割合を5[%]以下にコントロールすることにより、低温定着性、帯電安定性及び流動性にすぐれるとともに、高品質の画像を与え、特に、透明性の良い光沢性にすぐれたカラー画像を与えるトナーが得られることを見出した。
さらに検討した結果、該着色剤の分散粒径を個数平均径で0.3[μm]以下に規定するとともに、個数平均径が0.5[μm]以上の個数割合を10[%]以下にコントロールすることにより、さらに高品質のトナーが得られることを知見した。このようなトナーは、画像解像力にすぐれ、デジタル方式の現像装置用トナーとして好適なものとなる。特に、本実施形態によるカラートナーの場合、解像力及び透明性にすぐれ、色再現性の良い高品質のカラー画像を与える。
着色剤が均一に分散した前記トナーを得るには、トナーの製造条件に工夫を講ずることが必要であり、従来の製造条件では、前記した如き高品質のトナーを得ることはできない。
本実施形態の場合、前記高品質トナーを得るには、プレポリマーA、着色剤及び離型剤を含む油性分散液を形成させるに際し、該着色剤を粉砕する工程(湿式粉砕工程)を採用することが必要である。この場合の湿式粉砕工程を実施するための湿式粉砕装置としては、液体中で着色剤に衝撃力を与えて微粉砕し得る装置であればよく、任意のものを用いることができる。このようなものとしては、従来公知の各種の湿式粉砕装置、例えば、ボールミルやビーズミル等が挙げられる。
前記湿式粉砕工程において、その温度は5〜20[℃]、好ましくは15〜20[℃]である。
前記湿式粉砕条件を調節することにより、トナー粒子中に含まれる着色剤の分散粒径及び粒度分布を前記範囲にコントールすることができる。前記湿式粉砕工程は、必要に応じ、反応後の分散液に対しても適用することができる。さらに、本実施形態の場合、前記高品質トナーを得るには、樹脂中に着色剤を高濃度で分散させたマスターバッチ着色剤粒子を着色剤材料として有機溶媒中に添加し、攪拌分散させる方法を好ましく採用することができる。このマスターバッチ粒子を用いることにより、分散粒径の小さな着色剤が均一に分散した、透明性の良いカラー画像を与えるトナーを得ることができる。
このようなマスターバッチ着色剤粒子を好ましく製造するには、熱溶融性の樹脂と着色剤との混合物をその樹脂の溶融温度で高せん断力で混練し、得られた混練物を冷却固化し、この固化物を粉砕する。前記樹脂としては、前記プレポリマーA由来のウレア変性ポリエステル系樹脂Cと混和性の良い熱可塑性樹脂が用いられる。本実施形態の場合、ポリエステル系樹脂が好ましく用いられる。前記熱可塑性樹脂において、その軟化点は100〜200[℃]、好ましくは120〜160[℃]であり、その数平均分子量Mnは、2500〜50000、好ましくは2500〜30000である。前記マスターバッチ着色剤粒子中の着色剤濃度は、10〜60重量[%]、好ましくは25〜55重量[%]である。
次に、トナー中の顔料系着色剤の分散粒径等のトナー物性の測定法について詳述する。トナー中の着色剤の分散粒径及び粒度分布を測定するには、トナーをエポキシ樹脂に包埋し、ミクロトームMT6000−XL(盟和商事)にてトナーを約100nmに超薄切片化した測定サンプルを用意する。これを電子顕微鏡(日立製作所社製 H−9000NAR)を用いて加速電圧100kVにしてTEM写真を10000〜40000倍にて複数個撮影し、その画像情報をIMAGE ANALYZERの画像処理解析装置LUZEX IIIにて画像データに変換する。対象顔料系着色剤粒子は粒径にして0.1[μm]以上の粒径を有する粒子について無作為にサンプリングが300回を超えるまで測定を繰り返し、平均粒径と粒度(粒径)分布を求める。
本実施形態のトナーにおいて、その重量平均粒径(Dv)は3〜7[μm]であり、その個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.00≦Dv/Dn≦1.20である。Dv/Dnをこのように規定することにより、高解像度、高画質のトナーを得ることが可能となる。また、より高品質の画像を得るには、着色剤の重量平均粒径(Dv)を3〜7[μm]にし、個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)を1.00≦Dv/Dn≦1.20にし、且つ3[μm]以下の粒子を個数[%]で1〜10個数[%]にするのがよく、より好ましくは、重量平均粒径を3〜6[μm]にし、Dv/Dnを1.00≦Dv/Dn≦1.15にするのがよい。このようなトナーは、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の光沢性に優れ、更に二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナーの粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。
一般的には、トナーの粒子径は小さければ小さい程、高解像で高画質の画像を得る為に有利であると言われているが、逆に、転写性やクリーニング性に対しては不利である。また、本実施形態で規定した範囲よりもトナーの体積平均粒子径が小さい場合、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着して、キャリアの帯電能力を低下させる。一方、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着が発生しやすくなる。これらの現象は、トナー中の微粉の含有率が大きく関係し、特に3[μm]以下の粒子含有量が10[%]を超えると、トナーのキャリアへの付着が生じにくくなる上、高いレベルで帯電の安定性を図ることがむつかしくなる。
逆に、トナーの粒子径が本実施形態で規定した範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。また、重量平均粒子径/個数平均粒子径が1.20よりも大きい場合も同様であることが明らかとなった。
トナーの平均粒径及び粒度分布は、カーコールターカウンター法により測定される。トナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)があげられる。本実施形態においてはコールターカウンターTA−II型を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科技研社製)と、PC9801パーソナルコンピューター(NEC製)とを接続し測定した。
次に、トナーの個数分布及び体積分布の測定方法について述べる。
まず、電解水溶液100〜150[ml]中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩)を0.1〜5[ml]加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて形成した約1[%]NaCl水溶液である。例えば、ISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20[mg]加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100[μm]アパーチャーを用いて、トナー粒子の体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。
チャンネルとしては、2.00〜2.52[μm]未満;2.52〜3.17[μm]未満;3.17〜4.00[μm]未満;4.00〜5.04[μm]未満;5.04〜6.35[μm]未満;6.35〜8.00[μm]未満;8.00〜10.08[μm]未満;10.08〜12.70[μm]未満;12.70〜16.00[μm]未満;16.00〜20.20[μm]未満;20.20〜25.40[μm]未満;25.40〜32.00[μm]未満;32.00〜40.30[μm]未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00[μm]以上乃至40.30[μm]未満の粒子を対象とする。本実施形態のトナーに係わる体積分布から求めた体積基準の重量平均粒径(Dv)と、その個数分布から求めた個数平均粒径(Dn)により、その比Dv/Dnを求めた。
トナーの耐ホットオフセット性に関しては、これまでにもバインダー樹脂の分子量分布の制御を含む様々な検討が行われてきた。低温定着性と耐ホットオフセット性という相反する性質の両立を図るための方法としては、分子量分布の広いバインダー樹脂を用いる方法や、分子量が数十万〜数百万の高分子量成分と、分子量が数千から数万の低分子量成分を含む少なくとも2つの分子量ピークを有する混合樹脂を用いる方法等がある。高分子量成分が架橋構造を持っているか又はゲルの状態であると、ホットオフセットにはより効果的である。しかし、光沢性や透明性なども求められているフルカラートナーにおいては、高分子量成分の多量の導入は好ましくない。本実施形態の場合、トナーはウレア結合を有する高分子量のウレア変性ポリエステル系樹脂を含むことから、透明性や光沢性を満足しながら、耐ホットオフセット性をも達成することが可能になった。
トナー中に含まれるバインダー樹脂成分の分子量分布は、GPCにより以下のようにして測定される。40[℃]のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラム溶媒としてTHFを毎分1[ml]の流速で流し、試料濃度として0.05〜0.6重量[%]に調整した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定操作を行う。試料の分子量測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical Co.あるいは東洋ソーダ工業社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いる。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。
トナー中に含まれる前記バインダー成分の分子量分布におけるそのメインピーク分子量は、通常2500〜10000、好ましくは2500〜8000、さらに好ましくは2500〜6000である。分子量1000未満の成分の量が増えると耐熱保存性が悪化する傾向となる。一方、分子量30000以上の成分が増えると単純には低温定着性が低下傾向になるが、バランスコントロールでその低下を極力押さえることも可能である。分子量30000以上の成分の含有量は1[%]〜10[%]で、トナー材料により異なるが、好ましくは3〜6[%]である。1[%]未満では充分な耐ホットオフセット性が得られず、10[%]超では光沢性、透明性が悪化するようになる。トナー中に含まれるバインダー樹脂のMnは2500〜50000で、Mw/Mnの値は10以下である。10を超えると、シャープメルト性に欠け、光沢性が損なわれる。
本実施形態に係るトナーの円形度は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2000(シスメックス(株)製)により計測される。本実施形態に係るトナーの平均円形度は0.900〜0.960であり、特定の形状と形状の分布を有すことが重要である。平均円形度が0.900未満ではトナーは不定形の形状を示し、満足した転写性やチリのない高画質画像を与えない。不定形のトナー粒子は感光体等への平滑性媒体への接触点が多く、また突起先端部に電荷が集中することから、ファンデルワールス力や鏡像力が比較的球形な粒子よりも高い。そのため静電的な転写工程においては、不定形粒子と球形の粒子の混在したトナーでは球形の粒子が選択的に移動し、文字部やライン部画像抜けが起る。また、残されたトナーは次の現像工程のために除去しなければならず、クリーナ装置が必要であったり、トナーイールド(画像形成に使用されるトナーの割合)が低かったりする不具合点が生じる。粉砕トナーの円形度は本装置で計測した場合、通常0.910〜0.920である。
トナー形状(円形度)の計測方法としては、粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。この手法では粒子の投影面積が得られるが、円形度は、この投影面積と面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である。この値はフロー式粒子像分析装置FPIA−2000により平均円形度として計測した値である。具体的な測定方法としては、容器中の予め不純固形物を除去した水100〜150[ml]中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスフォン酸塩を0.1〜0.5[ml]加え、更に測定試料を0.1〜0.5[g]程度加える。試料を分散した懸濁液は超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行ない、分散液濃度を3000〜1[万個/μl]として前記装置によりトナーの形状及びトナーの形状分布を測定する。
本実施形態に係るトナーを製造する方法は、無機微粒子及び/又はポリマー微粒子を含む水系媒体中に分散させたイソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーAをアミンBと反応させる高分子量化工程を含む。この場合、イソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマー(A)は、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(PIC)と反応させることによって得ることができる。この場合、ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
前記ポリオール(PO)としては、ジオール(DIO)および3価以上のポリオール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)の混合物が好ましい。ジオール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
前記ポリカルボン酸(PC)としては、ジカルボン酸(DIO)および3価以上のポリカルボン酸(TC)が挙げられ、(DIO)単独、および(DIO)と少量の(TC)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(DIO)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(PO)と反応させてもよい。
ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
前記ポリイソシアネート(PIC)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2、6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α、α、α’、α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
イソシアネート基を有するポリエステル系プレポリマーを得る場合、ポリイソシアネート(PIC)と活性水素を有するポリエステル系樹脂(PE)との比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]との当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量[%]、好ましくは1〜30重量[%]、さらに好ましくは2〜20重量[%]である。0.5重量[%]未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量[%]を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステル系プレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、得られるウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
前記アミン(B)としては、ポリアミン及び/又は活性水素含有基を有するモノアミンが用いられる。この場合の活性水素含有基には、水酸基やメルカプト基が包含される。このようなアミンには、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
さらに、プレポリマーAとアミンBとを反応させる場合、必要により伸長停止剤を用いてポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、活性水素含有基を有しないモノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。その添加量は、生成するウレア変性ポリエステルに所望する分子量との関係で適宜選定される。
アミン(B)とイソシアネート基を有するプレポリマー(A)との比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン(B)中のアミノ基[NHx](xは1〜2の数を示す)の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
本実施形態においては、水系媒体中でイソシアネート基含有プレポリマーAとアミンBとを反応させる際に、該水系媒体中には、必要に応じ、アミンと非反応性のポリエステル系樹脂Dを存在させることができる。このポリエステル系樹脂Dにおいて、そのTgは35〜65[℃]、好ましくは45〜60[℃]であり、そのMnは2000〜10000、好ましくは2500〜8000である。このポリエステル系樹脂Dとしては、ウレア変性ポリエステル(UMPE)を用いることができるが、このポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10[%]未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル(UMPE)は、ワンショット法などの公知の方法により製造される。ウレア変性ポリエステル(UMPE)の重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜50万、さらに好ましくは3万〜10万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。
本実施形態においては、必要に応じて用いる前記ウレア結合で変性されたポリエステル系樹脂(UMPE)は単独使用だけでなく、このものと共に、変性されていないポリエステル系樹脂(PE)をトナーバインダー成分として含有させることもできる。(PE)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、(UMPE)の単独使用の場合よりも好ましい。(PE)としては、前記(UMPE)のポリエステル成分と同様なポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)との重縮合物などが挙げられ、好ましいPEの分子量は(UMPE)の場合と同様である。また、(PE)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(UMPE)と(PE)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(UMPE)のポリエステル成分と(PE)は類似の組成が好ましい。(PE)を含有させる場合の(UMPE)と(PE)の重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。(UMPE)の重量比が5[%]未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
(PE)の水酸基価は5以上であることが好ましい。(PE)の酸価[mgKOH/g]は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには紙への定着時、紙とトナーの親和性がよく、低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性特に環境変動に対し悪化傾向がある。プレポリマーAとアミンBとの重付加反応においては酸価がふれると造粒工程でのぶれにつながり乳化における制御がむずかしくなる。
本実施形態において、トナーバインダーのガラス転移点(Tg)は通常45〜65[℃]、好ましくは45〜60[℃]である。45[℃]未満では耐熱性が悪化し65[℃]を超えると低温定着性が不十分となる。
顔料系着色剤としては、従来公知の各種の顔料が使用できる。このようなものは、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナー中、通常、1〜15重量[%]、好ましくは3〜10重量[%]である。
着色剤は、前記したように、樹脂と複合化されたマスターバッチ着色剤粒子として用いることが好ましい。
マスターバッチの製造において着色剤とともに混練されるバインダー樹脂としては、先にあげた変性、未変性のポリエステル系樹脂の他に、ポリスチレン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独あるいは混合して使用される。
マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練して得る事ができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
トナーには、トナーバインダー、着色剤とともに離型剤(ワックス)を含有させる。このワックスとしては従来公知の各種のものが使用できる。このようなものとしては、例えば、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワッックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。ワックスの融点は、通常40〜160[℃]であり、好ましくは50〜120[℃]、さらに好ましくは60〜90[℃]である。融点が40[℃]未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160[℃]を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。また、ワックスの溶融粘度は、融点より20[℃]高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、さらに好ましくは10〜100cpsである。1000cpsを超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。トナー中のワックスの含有量は、通常0〜40重量[%]であり、好ましくは3〜30重量[%]である。
トナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知の各種のものが使用できる。このようなものには、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩(フッ素変性四級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物等が挙げられる。
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤、離型剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練する事もできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
本実施形態で得られた着色剤含有トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3[μm]〜2[μm]であることが好ましく、特に5×10−3[μm]〜0.5[μm]であることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500[m/g]であることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量[%]であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量[%]であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
この他、高分子系微粒子を用いることができる。このようなものとしては、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような外添剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においてもその流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルを好ましいものとして挙げることができる。
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1[μm]のものが好ましい。
次に、トナーの製造法について詳述する。トナーを製造するには、先ず、油性分散液調製工程において、有機溶媒中に、イソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーAが溶解し、着色剤が分散し、離型剤が溶解ないし分散している油性分散液を調製する。この油性分散液体は、それに含まれている着色剤を微粉砕し、均一分散させるために、これを、湿式粉砕工程において、湿式粉砕装置を用いて粉砕処理する。この場合、その粉砕処理時間は30〜120分程度である。
次に、前記のようにして得られた油性分散液は、これを、分散(乳化)工程において、水系媒体に無機微粒子及び/又はポリマー微粒子の存在下で分散(乳化)させて水中油型の分散液(乳化液)を形成させるとともに、この分散液中でそれに含まれるイソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーAを、反応工程において、アミンBと反応させてウレア結合を有するウレア変性ポリエステル系樹脂Cを生成させる。前記有機溶媒としては、ポリエステル系樹脂を溶解し、水に不溶であるか難溶もしくは微溶のものが用いられる。その沸点は、通常、60〜150[℃]、好ましくは70〜120[℃]である。このようなものとしては、例えば、酢酸エチルや、メチルエチルケトン等が挙げられる。着色剤としては、前記したマスターバッチ着色剤粒子を用いることが好ましく、これによって、着色剤の均一分散を効率良く行うことができる。有機溶媒には、補助成分として、アミンに対して非反応性のポリエステル系樹脂Dを溶解させるのが好ましい。また、このポリエステル系樹脂Dは、水系媒体に分散させることもできる。
油性分散液を水系媒体中に分散させる場合、その分散装置としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の分散機が適用できる。分散粒子の粒径を2〜20[μm]にするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000[rpm]、好ましくは5000〜20000[rpm]である。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150[℃](加圧下)、好ましくは40〜98[℃]である。高温なほうが、分散液の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
油性分散液中に含まれるプレポリマーA、着色剤、離型剤及びポリエステル系樹脂D等のトナー固形物100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー固形物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。2000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。湿式粉砕処理した油性液体をその処理後水系媒体中に分散させるまでの時間は、できるだけ短時間であることが好ましい。
水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
トナー固形物を含む油性相を水が含まれる液体(水系媒体)に乳化、分散するためには、分散剤として、各種の界面活性剤(乳化剤)を用いることができるが、このようなものとしては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性荊、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N、N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ〕−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、(タイキン工莱社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEFーl32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
水系媒体中に存在させる無機微粒子としては、水に不溶ないし難溶の従来公知の各種の無機化合物が用いられる。このようなものとしては、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなどが挙げられる。
水系媒体中に存在させるポリマー微粒子としては、水に不溶ないし難溶性の従来公知の各種のものが用いられる。このようなものとしては、炭化水素系樹脂、含フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂等の疎水性高分子の微粒子が挙げられる。
前記微粒子の粒径は、通常、トナーの粒径よりも小さくなり、粒径均一性の観点から、粒径比[微粒子の体積平均粒径]/[トナーの体積平均粒径]の値が0.001〜0.3の範囲であるのが好ましい。かかる粒径比が、0.3より大きいと微粒子がトナーの表画に効率よく吸着しないため、得られるトナーの粒度分布が広くなる傾向がある。
微粒子の体積平均粒径は、所望の粒径のトナーを得るのに適した粒径になるように、上記粒径比の範囲で適宜調整することができる。例えば、体積平均粒子径5[μm]のトナーを得たい場合には、好ましくは0.0025〜1.5[μm]、特に好ましくは0.005〜1.0[μm]の範囲、10[μm]のトナーを得た場合には、好ましくは0.005〜3[μm]、特に好ましくは0.05〜2[μm]である。
本実施形態では、水系媒体中には、分散安定剤として水系媒体中で高分子系保護コロイドを形成する各種の親水性高分子物質を存在させることができる。このような高分子物質において、それを構成するモノマー成分を示すと、以下のものを示すことができる。
アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸又は無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコール又はビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、又はビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ピニル、プロピオン酸ピニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ピニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、又はその複素環を有するものなどのホモポリマー又は共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
本実施形態において好ましく用いることのできる他の高分子物質としては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類が挙げられる。
本実施形態において、プレポリマーAとアミンBとの重付加反応後に得られた乳化分散液からそれに含まれる液状媒体を除去するためには、液状媒体除去工程において、系全体を徐々に昇温し、有機溶媒を蒸発除去する工程を含む方法を採用することができる。この有機溶媒の除去前の液攪拌の強さと有機溶媒の除去時間によりトナー円形度の制御が可能となる。ゆっくり脱溶媒することにより形状はより真球円形度で表わすと0.980以上になり攪拌を強く短時間に脱溶媒を行うことにより、凹凸状や不定形になり円形度で表わすと0.900〜0.950になる。水系媒体中に乳化分散させさらに反応させた後の乳化液を脱液媒中に攪拌槽にて温度30〜50[℃]の強い攪拌力で攪拌しながら脱液媒を行うことにより、円形度の制御が可能で0.850〜0.990の範囲の形状制御が可能となる。これは造粒中に含有される酢酸エチル等の有機溶媒が急激に除去されることにより体積収縮が起ったものと考えられる。
前記液状媒体の除去は、乳化分散液を乾燥雰囲気中に噴霧して、有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成するとともに、水系分散剤を蒸発除去する方法を採用することも可能である。乳化分散液が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、好ましくは使用される最高沸点の液状媒体のその沸点以上の温度に加熱された各種気流が用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で高品質トナーが得られる。反応後の分散液を、その反応後脱溶媒するまでの時間は、短時間であることが好ましいが、通常、25時間以内である。
なお、無機微粒子としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、そのリン酸カルシウム塩等の無機微粒子を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー粒子から無機微粒子を除去することができる。その他、酵素による分解操作によっても除去できる。
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、プレポリマーAとアミンBとの反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
さらに、反応後の分散液の粘度を低くするために、水系媒体中には、プレポリマーやウレア変性ポリエステルが可溶の溶剤を添加することもできる。溶剤を用いたほうが粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は沸点が100[℃]未満の揮発性であることがその除去が容易である点から好ましい。該溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。などを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1、2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。プレポリマー(A)100部に対する溶剤の使用量は、通常0〜300部、好ましくは0〜100部、さらに好ましくは25〜70部である。溶剤を使用した場合は、プレポリマーAとアミンBとの反応後、常圧または減圧下にて加温してその溶剤を除去する。
プレポリマーAとアミンBとの反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150[℃]、好ましくは40〜98[℃]である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
プレポリマーAとアミンBとの反応後の乳化分散液中のトナー粒子の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行うときには、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。この場合の分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、または粗粒子はウェットの状態でも構わない。用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
乾燥後のトナー粒子を、必要に応じての離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子などの異種粒子と混合して使用する場合、その混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって、トナー粒子表面でその異種粒子を固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
本実施形態のトナーを2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良い。この現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200[μm]程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。またポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。また、必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1[μm]以下のものが好ましい。平均粒子径が1[μm]よりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。また、本実施形態のトナーは、キャリアを使用しない1成分系の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
以下トナー例として実施形態に使用可能なトナーを更に説明する。本発明はこれに限定されるものではない。以下、部は重量部を示す。なお、各トナー例を表1に示す。
<トナー例1>
[添加用ポリエステルの製造例]
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物690部、テレフタル酸230部を常圧下、210[℃]で10時間重縮合し、次いで10〜15[mmHg]の減圧で5時間反応した後160[℃]まで冷却し、これに18部の無水フタル酸を加えて2時間反応し変性されていないポリエステル(a)(重量平均分子量Mw:85000)を得た。
[プレポリマーの製造例]
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物800部、イソフタル酸160部、テレフタル酸60部、およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230[℃]で8時間反応し、さらに10〜15[mm/Hg]の減圧で脱水しながら5時間反応した後、160[℃]まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80[℃]まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー(1)(Mw:35000)を得た。
[ケチミン化合物の製造例]
攪拌棒および温度計のついた反応槽中にイソホロンジアミン30部とメチルエチルケトン70部を仕込み、50[℃]で5時間反応を行いケチミン化合物(1)を得た。
[トナーの製造例]
ビーカー内に前記のプレポリマー(1)14.3部、ポリエステル(a)55部、酢酸エチル78.6部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、離型剤であるライスWAX(融点83[℃])10部、銅フタロシアニンブルー顔料4部を入れ、40[℃]にてTK式ホモミキサーで12000[rpm]で5分攪拌した後、ビーズミルで30分間20[℃]において粉砕処理した。これをトナー材料油性分散液(1)とする。
ビーカー内にイオン交換水306部、リン酸三カルシウム10[%]懸濁液265部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を入れ、TK式ホモミキサーで12000[rpm]に攪拌しながら、この水分散液(1)に上記トナー材料油性分散液(1)及びケチミン化合物(1)2.7部を加え、攪拌を続けながらウレアー反応させた。反応後の分散液(粘度:3500mP・s)を減圧下1.0時間以内に50[℃]以下の温度で有機溶剤を除去した後、濾別、洗浄、乾燥し、次いで風力分級し、球形状のトナー母体粒子(1)を得た。
次に、得られた母体粒子(1)100部、帯電制御剤(オリエント化学社製 ボントロン E−84) 0.25部をQ型ミキサー(三井鉱山社製)に仕込み、タービン型羽根の周速を50[m/sec]に設定して混合処理した。この場合、その混合操作は、2分間運転、1分間休止を5サイクル行い、合計の処理時間を10分間とした。
さらに、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)を0.5部添加し、混合処理した。この場合、その混合操作は、周速を15[m/sec]として30秒混合1分間休止を5サイクル行った。
以上のようにして、シアントナー(1)を得た。この顔料系着色材平均分散粒径は0.4[μm]で、0.7[μm]以上の個数[%]は3.5[%]であった。このトナーの性状及びその評価結果を表1、2に示す。
<トナー例2>
[マゼンタマスターバッチ粒子の作製]
水 600部
Pigment Red 57 含水ケーキ(固形分50[%]) 200部
をフラッシャーでよく撹拌する。ここに、ポリエステル樹脂(酸価;3、水酸基価;25、Mn;3500、Mw/Mn;4.0、Tg;60[℃])1200部を加え、150[℃]で30分混練後、キシレン1000部を加えさらに1時間混練した後、水とキシレンを除去後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、さらに3本ロールミルで2パスしマゼンタ色のマスターバッチ顔料(MB1−M)(平均粒径約0.2[μm])を得た。
[プレポリマーの製造例]
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物856部、イソフタル酸200部、テレフタル酸20部、およびジブチルチンオキサイド4部を入れ、常圧で250[℃]で6時間反応し、さらに50〜100[mm/Hg]の減圧で脱水しながら5時間反応した後、160[℃]まで冷却して、これに18部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80[℃]まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー(2)(Mw:25000)を得た。
[トナーの製造例]
ビーカー内に前記のプレポリマー(1)15.4部、ポリエステル(a)50部、酢酸エチル95.2部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、カルナバワックス(分子量1800、酸価2.5、針進入度1.5[mm]/40[℃])を10部、トナー例2のマスターバッチ粒子10部を入れ、85[℃]にてTK式ホモミキサーで10000[rpm]で攪拌した後、トナー例1同様にビーズミルにより湿式粉砕処理して、トナー材料油性分散液(2)を得た。次いで、トナー例1と同様にして得た水分散液(2)を用いた以外はトナー例1と同様にして球形状の母体トナー粒子(2)を得た。
次いで、帯電制御材としてオリエント製 ボントロン E−84をE−89に変更する以外はトナー例1と同様にしてトナー(2)を得た。このトナー中の顔料系着色剤の平均分散粒径は0.25[μm]で、0.5[μm]以上の個数[%]は1.0[%]であった。そのトナーの性状及びその評価結果を表1、2に示す。
<トナー例3>
[プレポリマーの製造例]
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物755部、イソフタル酸195部、テレフタル酸15部、およびジブチルチンオキサイド4部を入れ、常圧で220[℃]で8時間反応し、さらに50〜100[mm/Hg]の減圧で脱水しながら5時間反応した後、160[℃]まで冷却して、これに10部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80[℃]まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー(3)(Mw:25000)を得た。
[トナーの製造例]
ビーカー内に前記のプレポリマー(3)15.4部、ポリエステル(a)50部、酢酸エチル95.2部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、カルナバワックス(分子量1800、酸価2.5、針進入度1.5[mm]/40[℃])を10部、トナー例2のマスターバッチ粒子15部を入れ、85[℃]にてTK式ホモミキサーで14000[rpm]で攪拌し、均一に分散させた後、ビーズミルにて15[℃]にて60分湿式粉砕処理した。これをトナー材料油性分散液(3)とする。ビーカー内にイオン交換水465部、炭酸ナトリウム10[%]懸濁液245部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.4部を入れ、攪拌して水分散液(3)を得た。次いでこの分散液(3)を40[℃]に昇温し、TK式ホモミキサーで12000[rpm]に攪拌しながら、上記トナー材料油性分散液(4)を投入し10分間攪拌した後、ケチミン化合物(1)2.7部を加え反応させた。その後40[℃]1時間以内で溶剤を除去し、次いでトナー例2と同様にして、濾別、洗浄、乾燥した後、球形状の母体粒子を(3)を得た。
次に、この母体トナー粒子を用いた以外はトナー例1同様にして、トナー(3)を得た。このトナー中の顔料系着色剤の平均分散粒径は0.15[μm]で0.5[μm]以上の個数[%]は3.0[%]であった。そのトナーの性状及びその評価結果を表1、2に示す。
<比較トナー例1>
[トナーバインダーの合成]
ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物354部およびイソフタル酸166部をジブチルチンオキサイド2部を触媒として重縮合し、比較トナーバインダー(11)を得た。この比較トナーバインダー(11)のTgは57[℃]であった。
[トナーの作製]
ビーカー内に前記の比較トナーバインダー(1)100部、酢酸エチル溶液200部、銅フタロシアニンブルー顔料4部、トナー例1で使用したライスワックス5部を入れ、50[℃]にてTK式ホモミキサーで12000[rpm]で攪拌し、比較分散液(11)を得た。この分散液(11)を用いた以外は、トナー例1と同様にトナー化し、体積平均粒径6[μm]の比較トナー(11)を得た。このトナー中の顔料系着色剤の平均分散粒径は0.70[μm]で、0.7[μm]以上の個数[%]は35[%]であった。トナーの性状及びその評価結果を表1、2に示す。
<比較トナー例2>
[トナーバインダーの合成]
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物343部、イソフタル酸166部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230[℃]で8時間反応し、さらに10〜15[mm/Hg]の減圧で5時間反応した後、80[℃]まで冷却し、トルエン中にてトルエンジイソシアネート14部を入れ110[℃]で5時間反応を行い、次いで脱溶剤し、ピークトップ分子量7000のウレタン変性ポリエステルを得た。ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物363部、イソフタル酸166部をトナー例1と同様に重縮合し、ピーク分子量3800、酸価7の変性されていないポリエステルを得た。上記ウレタン変性ポリエステル350部と変性されていないポリエステル650部をトルエンに溶解、混合後、脱溶剤し、比較トナーバインダー母体粒子(12)を得た。この比較トナーバインダー(12)のTgは58[℃]であった。
[トナーの作製]
比較トナーバインダー(12)100部、トナー例2に使用したマスターバッチ粒子とカルナバワックズをそれぞれ10部を加え下記の方法でトナー化した。
まず、ヘンシェルミキサーを用いて予備混合した後、連続式混練機)で混練した。ついでジェット粉砕機微粉砕した後、気流分級機で分級し、体積平均粒径6[μm]のトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100部に疎水性シリカ0.5部と、疎水化酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにて混合して比較トナー(12)を得た。このトナー中の顔料系着色剤の平均分散粒径は0.7[μm]で、0.5[μm]以上の個数[%]は15.0[%]であった。そのトナーの性状及び評価結果を表1、2に示す。
Figure 0004810196
Figure 0004810196
[評価方法]
(1)Tg測定法
Tgの測定方法について概説する。Tgを測定する装置として、理学電機社製TG−DSCシステムTAS−100を使用した。
まず、試料約10[mg]をアルミ製試料容器に入れ、それをホルダユニットにのせ、電気炉中にセットする。まず、室温から昇温速度10[℃/min]で150[℃]まで加熱した後、150[℃]で10[min]間放置、室温まで試料を冷却して10[min]放置、窒素雰囲気下で再度150[℃]まで昇温速度10[℃/min]で加熱してDSC測定を行った。Tgは、TAS−100システム中の解析システムを用いて、Tg近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点から算出した。
(2)酸価測定方法
JISK0070に規定の方法による。但し、サンプルが溶解しない場合は溶媒にジオキサンまたはテトラヒドロフラン等を用いる。
(3)粉体流動性
ホソカワミクロン製パウダーテスターを用いてかさ密度[g/ml]を測定した。流動性の良好なトナーほど、かさ密度は大きい。以下の4段階で評価した。
×:0.25未満
△:0.25〜0.30
○:0.30〜0.35
◎:0.35以上
(4)定着下限温度
定着ローラとしてテフロン(登録商標)からなる表層を備えたテフロンローラーを使用した複写機[(株)リコー製複写機 MF−200]の定着部を改造した装置を用いて、これにリコー製のタイプ6200紙をセットし複写テストを行った。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70[%]以上となる定着ロール温度をもって定着下限温度とした。
(5)ホットオフセット発生温度(HOT)
上記定着下限温度と同様にして定着評価し、定着画像へのホットオフセットの有無を目視評価した。ホットオフセットが発生した定着ロール温度をもってホットオフセット発生温度とした。
(6)光沢発現温度(GLOSS)
市販カラー複写機(PRETER550;リコー製)の定着装置を用いて定着評価した。定着画像の60゜光沢が10[%]以上となる定着ロール温度をもって光沢発現温度とした
(7)ヘイズ度:
直読ヘーズコンピューター(HGM−2DP型)による。
上述の実施形態で使用可能なトナーは、高画質、高精細の画像と低温定着性とホットオフセット性を両立したトナーであり、トナーを用いたプリンタ20にて形成される画像は透明性及び彩度にすぐれ、OHP紙にフルカラー画像を形成した時十分な透明性が得られる。このトナーは、帯電安定性及び色再現性に優れたトナーである。
上述した重合トナーを用いた場合、粉砕法で製造したトナーに比べて小粒径で、均一な形状に形成されるために高画質の画像形成に適しているが、その反面、粉砕法で製造したトナーに比べて球形に近い形状をしていることから加熱ローラや定着ベルトに付着しやすく、粘度が高い。これにより、記録媒体の搬送方向にリボン状に成長することにより大きなトナー塊となり、記録媒紙上に付着することにより画像汚れが発生することがある。この画像汚れは、定着分離爪の加熱ローラや定着ベルトに対する接触部を1[mm]以下としても完全には防止できなかった。
トナー粘度を表す特性値として一般的にG’(貯蔵弾性率)が用いられるが、従来の粉砕トナーのG'(貯蔵弾性率)はゲル成分を含まないために200[Pa]〜400[Pa]であるのに対し、上述の重合トナーのG’(貯蔵弾性率)は周波数1[Hz]、温度180[℃]において2000[Pa]〜4000[Pa]であることより、粘度が高いトナーであることが分かる。
このような粘度の高いトナーを用いた場合においても、実施形態で説明した定着分離爪11を備える画像形成装置としてのプリンタ20を用いることにより、定着分離爪11上で記録媒体の搬送方向に大きな塊状に成長することを防止することができる。これにより、高画質でかつ画像汚れのない画像形成を行うことができる。
以上、参考構成例1によれば、定着分離部材としての定着分離爪11の定着ニップ形成部材としての定着ベルト2との接触する接触位置よりも定着ベルト2の表面移動方向下流側の表面と対向する分離部材対向面としての分離爪対向面11bにトナー塊成長防止手段である段差として、定着ベルト2の表面移動方向に対して直交する方向に延在する溝形状である分離爪溝101を備えることにより、定着分離爪11に付着したトナー塊Tがリボン状に成長することを防止し、大きな塊となることを防止できる。よって、定着分離爪11から落下し、記録紙P上に付着するトナーが画像品質上問題のない程度の大きさとなり、画像品質を維持することができる。
また、参考構成例2は、トナー塊成長防止手段である段差として、定着ベルト2の表面移動方向に対して直交する方向に延在する突起形状である分離爪突起102を備えることにより、定着分離爪11に付着したトナー塊Tがリボン状に成長することを防止し、大きな塊となることを防止できる。
また、参考構成例3は、トナー塊成長防止手段である段差として、定着ベルト2の表面移動方向に対して直交する方向に各段の平面が延在する階段形状である分離爪階段部103を備えることにより、定着分離爪11に付着したトナー塊Tがリボン状に成長することを防止し、大きな塊となることを防止できる。
また、図7に示す構成では、段差部である分離爪溝101または分離爪突起102を二つ備えることにより、1つのみの場合よりも、確実に定着分離爪11に付着したトナー塊Tがリボン状に成長することを防止し、大きな塊となることを防止できる。
また、各参考構成例では、段差部である分離爪溝101または分離爪突起102が、分離爪対向面11bと略垂直な面を備えることにより、分離爪対向面11bに沿って成長するトナー塊Tが、分離爪溝101または分離爪突起102の分離爪対向面11bと略垂直な面にその先端部がひっかかり、先端部が先に進むことをより確実に防止することができる。
以上、実施形態によれば、定着分離部材としての定着分離爪11の定着ニップ形成部材としての定着ベルト2との接触する接触位置よりも定着ベルト2の表面移動方向下流側の表面と対向する分離部材対向面としての分離爪対向面11bにトナー塊成長防止手段である貫通孔110を備えることにより、定着分離爪11に付着したトナー塊Tがリボン状に成長することを防止し、大きな塊となることを防止できる。よって、定着分離爪11から落下し、記録紙P上に付着するトナーが画像品質上問題のない程度の大きさとなり、画像品質を維持することができる。
また、貫通孔110は分離爪対向面11bに対して略垂直方向に貫通している。これにより、分離爪対向面11bに沿って成長するトナー塊Tが貫通孔110に入り込んだときに、貫通孔110内の壁面にトナー塊Tの先端部がひっかかり、先端部が先に進むことをより確実に防止することができる。さらに、分割されたトナー塊Tを容易に分離爪裏面11c側から排出することができる。
また、定着分離爪11の貫通孔110が、分離爪対向面11bでの開口部が定着ベルト2の表面移動方向に対して直交する方向に伸びた直線状の淵を備えることにより、トナー塊Tが集中することなく、より確実に細かく分割される。
また、定着分離爪11の貫通孔110が、分離爪対向面11b側の開口部に対して、分離爪対向面11bとは反対側の面である分離爪裏面11c側の開口部の方が開口面積の大きいことにより、トナーの滞留をより効果的に防止することが可能となる。
また、定着分離爪11の貫通孔110が内部に段差を備え、開口部が階段状の形状を持つことにより、定着ベルト2との接触部から供給されたオフセットトナーによりトナー塊Tを押す力が働くことによるトナー塊を大きく成長する前に分割する力がより効率よく働く。すなわち、トナー塊Tが貫通孔110を通って分離爪裏面11cに抜ける間に、貫通孔溝110bの段差で分割され、さらに、貫通孔溝110bから貫通孔通路110aに落ちる際の段差で分割される。
また、貫通孔110の内部に複数段の段差を備えることにより、段差が一段の場合よりもさらに効率よくトナー塊Tが大きく成長する前に、分割する力が働く。
また、定着分離爪11が、分離爪対向面11bでの定着ベルト2との接触位置とは貫通孔110の開口部を挟んで反対側に、定着ベルト2の表面移動方向に対して直交する方向に延在する突起形状を有することにより、トナー塊Tの先端が開口部を通過しにくくなり定着ベルト2との接触部から供給されたオフセットトナーによりトナー塊Tを押す力が働くことによるトナー塊Tが大きく成長する前に分割する力がより効率よく働く。
また、定着分離爪11が、複数の貫通孔110を備えることにより、分離爪先端部11a側の貫通孔110で分割もしくは落下しなかったトナー塊Tが、分離爪先端部11aから離れた側の貫通孔110で分割、落下され、記録紙P上に顕在化するトナー固着の長さをより確実に小さくすることができ、画像品質上、問題のないレベルが維持できる。
また、定着分離爪11が定着ベルト2に対して分離爪先端部11aのみで接触することにより、離型性に優れたコート層が摩耗することを抑制し、更なるオフセットトナー量の増加や離型不良による巻き付きジャム等の発生を抑制する。
また、画像形成装置としてのプリンタ20の定着手段として、実施形態に記載の定着分離爪11を備えた定着装置1を用いることにより、定着時の画像品質を維持することができる。
また、プリンタ20のトナーとして上述の重合トナーを用いることにより、色再現、彩度、透明性に優れた画像を形成可能となる。さらに、プリンタ20はトナー塊成長防止手段を備える定着分離爪11を備えることにより、粘度が高く、トナー塊が大きくなり易い重合トナーを用いても、画像品質を維持することができる。
本実施形態に係るプリンタの概略構成図。 同プリンタの定着装置の概略構成図。 従来の定着分離爪の説明図。(a)は、定着分離爪の側面図及び正面図、(b)は先端領域周辺の拡大説明図、(c)は定着分離爪を定着ベルトに接触させた状態の先端部周辺領域周辺の拡大説明図。 参考構成例1の定着分離爪の説明図。(a)は、定着分離爪の側面図及び正面図、(b)は先端領域周辺の拡大説明図、(c)は定着分離爪を定着ベルトに接触させた状態の先端部周辺領域周辺の拡大説明図。 参考構成例2の定着分離爪の説明図。(a)は、定着分離爪の側面図及び正面図、(b)は先端領域周辺の拡大説明図、(c)は定着分離爪を定着ベルトに接触させた状態の先端部周辺領域周辺の拡大説明図。 参考構成例3の定着分離爪の説明図。(a)は、定着分離爪の側面図及び正面図、(b)は先端領域周辺の拡大説明図、(c)は定着分離爪を定着ベルトに接触させた状態の先端部周辺領域周辺の拡大説明図。 参考構成例2に係る定着分離爪が定着ベルトに対して複数箇所で接触している状態の説明図。 参考構成例4の定着分離爪の説明図。(a)は、定着分離爪の側面図及び正面図、(b)は先端領域周辺の拡大正面図、(c)は先端領域周辺の拡大側図、(c)は定着分離爪を定着ベルトに接触させた状態の先端部周辺領域周辺の拡大説明図。 画像形成を行った後の先端部領域周辺の拡大正面図。 参考構成例5の定着分離爪の説明図。(a)は、定着分離爪の側面図及び正面図、(b)は先端領域周辺の拡大正面図、(c)は先端領域周辺の拡大側図、(c)は定着分離爪を定着ベルトに接触させた状態の先端部周辺領域周辺の拡大説明図。 参考構成例6の定着分離爪の説明図。(a)は、定着分離爪の側面図及び正面図、(b)は先端領域周辺の拡大正面図、(c)は先端領域周辺の拡大側図、(c)は定着分離爪を定着ベルトに接触させた状態の先端部周辺領域周辺の拡大説明図。 実施例の定着分離爪の説明図。(a)は、定着分離爪の側面図及び正面図、(b)は先端領域周辺の拡大正面図、(c)は先端領域周辺の拡大側図、(c)は定着分離爪を定着ベルトに接触させた状態の先端部周辺領域周辺の拡大説明図。 実施例の定着分離爪の説明図。(a)は、定着分離爪の側面図及び正面図、(b)は先端領域周辺の拡大正面図、(c)は先端領域周辺の拡大側図、(c)は定着分離爪を定着ベルトに接触させた状態の先端部周辺領域周辺の拡大説明図。 参考構成例7の定着分離爪の説明図。(a)は、定着分離爪の側面図及び正面図、(b)は先端領域周辺の拡大正面図、(c)は先端領域周辺の拡大側図、(c)は定着分離爪を定着ベルトに接触させた状態の先端部周辺領域周辺の拡大説明図。 参考構成例8の定着分離爪の説明図。(a)は、定着分離爪の側面図及び正面図、(b)は先端領域周辺の拡大正面図、(c)は先端領域周辺の拡大側図、(c)は定着分離爪を定着ベルトに接触させた状態の先端部周辺領域周辺の拡大説明図。 発明を適用可能な定着分離爪が定着ベルトに対して複数箇所で接触している状態の説明図。 参考構成例9に係る定着分離爪の斜視説明図。
符号の説明
1 定着装置
2 定着ベルト
3 加熱ローラ
4 定着ローラ
5 加圧ローラ
6 ベルト加熱ヒータ
7 ローラ加熱ヒータ
8 サーミスタ
9 芯金
10 弾性体層
11 定着分離爪
11a 分離爪先端部
11b 分離爪対向面
11c 分離爪裏面
12 定着ガイド
20 プリンタ
21 作像ユニット
22 転写装置
23 手差しトレイ
24 給紙カセット
25 感光体
26 現像装置
27 帯電装置
28 クリーニング装置
29 露光装置
30 レジストローラ
31 転写ベルト
32 駆動ローラ
33 従動ローラ
34 テンションローラ
36 紙吸着ローラ
37 両面ユニット
39 排紙トレイ
90 両面装置
101 分離爪溝
102 分離爪突起
103 分離爪階段部
110 貫通孔
110a 貫通孔通路
110b 貫通孔溝
110T トナー集中点
115 分離爪開口部突起
120 テンションローラ
121 微量オイル塗布ローラ
P 記録紙
T トナー塊

Claims (19)

  1. 記録媒体を搬送しながら該記録媒体上の未定着トナー像を該記録媒体上に定着する定着ニップ部を形成し、無端移動するように構成された2つの定着ニップ形成部材と、
    該定着ニップ部に対して該記録媒体搬送方向下流側に位置し、先端部を該定着ニップ形成部材の外周面に接触させることにより、該定着ニップ部を通過した記録媒体を該定着ニップ形成部材から分離する定着分離部材とを有する定着装置において、
    該定着分離部材と該定着ニップ形成部材との接触位置よりも該定着ニップ形成部材の表面移動方向下流側の表面と対向する該定着分離部材の分離部材対向面に貫通孔を設け、該貫通孔の内部に段差を備え、該貫通孔の開口部が階段状の形状を持つことを特徴とする定着装置。
  2. 請求項1の定着装置において、
    上記貫通孔は上記分離部材対向面に対して略垂直方向に貫通していることを特徴とする定着装置。
  3. 請求項1または2の定着装置において、
    上記分離部材対向面での上記貫通孔の開口部は上記定着ニップ形成部材の表面移動方向に対して直交する方向に伸びた直線状の淵を備えていることを特徴とする定着装置。
  4. 請求項1、2または3の定着装置において、
    上記分離部材対向面での上記貫通孔の開口面積に対して、該分離部材対向面側とは反対側の面での該貫通孔の開口面積の方が大きいことを特徴とする定着装置。
  5. 請求項1、2、3または4の定着装置において、
    上記貫通孔の内部の段差が複数であることを特徴とする定着載置。
  6. 請求項1、2、3、4または5の定着装置において、
    上記分離部材対向面での上記定着ニップ形成部材との接触位置とは上記貫通孔の開口部を挟んで反対側に、該定着ニップ形成部材の表面移動方向に対して直交する方向に延在する突起形状を有することを特徴とする定着装置。
  7. 請求項1、2、3、4、5または6の定着装置において、
    上記貫通孔が複数であることを特徴とする定着装置。
  8. 請求項1、2、3、4、5、6または7の定着装置において、
    上記定着ニップ形成部材に対して上記定着分離部材は一箇所のみで接触することを特徴とする定着装置。
  9. 請求項1、2、3、4、5、6、7または8の定着装置において、
    上記2つの定着ニップ形成部材は加熱部材と加圧部材とであり、上記定着分離部材は該加熱部材と該加圧部材との少なくとも一方に接触するものであることを特徴とする定着装置。
  10. 像担持体と、像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、該像担持体上の潜像を現像しトナー像を形成する現像手段と、該像担持体上のトナー像を転写材上に転写する転写手段と、該転写手段により転写材に転写されたトナー象を定着する定着手段とを備える画像形成装置において、
    該定着手段として、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9の定着装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項10の画像形成装置において、
    上記トナー像を形成するトナーとして、
    有機溶媒中に変性ポリエステル系樹脂から成るプレポリマー、該プレポリマーと伸長または架橋する化合物、およびトナー組成分を溶解又は分散させ、溶解又は分散させた物を水系媒体中で架橋反応及び/又は伸長反応させ、得られた分散液から溶媒を除去することにより得られた重合トナーを用いることを特徴とする画像形成装置。
  12. 請求項11の画像形成装置において、
    上記重合トナーの中に分散された顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.5[μm]以下であり、その個数平均径が0.7[μm]以上の個数割合が5[個数%]以下である電子写真用トナーを用いることを特徴とする画像形成装置。
  13. 請求項11または12の画像形成装置において、
    上記重合トナーの中に分散された顔料系着色剤の分散粒径が個数平均径で0.3[μm]以下であり、その個数平均径が0.5[μm]以上の個数割合が10[個数%]以下であることを特徴とする画像形成装置。
  14. 請求項11、12または13の画像形成装置において、
    上記重合トナーの重量平均粒径が3.0[μm]以上、7.0[μm]以下であり、粒径分布が1.00≦Dv/Dn≦1.20(Dv:重量平均粒径、Dn:個数平均粒径)であることを特徴とする画像形成装置。
  15. 請求項11、12、13または14の画像形成装置において、
    上記重合トナーの円形度が0.900〜0.960であることを特徴とする画像形成装置。
  16. 請求項11、12、13、14または15の画像形成装置において、
    上記重合トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のテトラヒドロフラン可溶分の分子量分布において、その分子量2500〜10000の領域にメインピークが存在し、その数平均分子量が2500〜50000の範囲にあることを特徴とする画像形成装置。
  17. 請求項11、12、13、14、15または16の画像形成装置において、
    上記重合トナー中に含まれるポリエステル系樹脂のガラス転移点が40〜65[℃]であり、その酸価が1〜30[mgKOH/g]であることを特徴とする画像形成装置。
  18. 請求項11、12、13、14、15、16または17の画像形成装置において、
    上記重合トナーの油性分散液が、アミンと非反応性のポリエステル系樹脂を溶解していることを特徴とする画像形成装置。
  19. 請求項11、12、13、14、15、16、17または18の画像形成装置において、
    上記重合トナーとキャリアとを含有する現像剤を用いることを特徴とする画像形成装置。
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