JP2014178528A - 静電荷像現像用トナー、二成分現像剤及び画像形成装置 - Google Patents

静電荷像現像用トナー、二成分現像剤及び画像形成装置 Download PDF

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Tomoki Murayama
智紀 村山
Junichi Awamura
順一 粟村
Nobuyasu Nagatomo
庸泰 長友
Tomoyuki Kojima
智之 小島
Shingo Sakashita
真悟 阪下
Masaya Fukuda
将也 福田
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Abstract

【課題】高温高湿環境に対する保存性に優れ、高温高湿環境ストレスを受けた場合であっても、流動性、転写性、耐フィルミング性及び低温定着性に優れ、超高速プリントシステムに適用可能なトナーの提供。
【解決手段】結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー母体と、外添剤とを含み、前記トナー母体の表面に前記外添剤が付着してなる静電荷像現像用トナーであって、前記外添剤が、シリカの一次粒子同士が合着されてなる非球形シリカを含み、前記トナーからのシリカ遊離量A(質量%)が、下記式(i)の関係を満たし、かつ、40℃、70%RH、及び14日間の高温高湿環境ストレスを受けた後の前記トナーからのシリカ遊離量B(質量%)の前記シリカ遊離量Aに対する低下量が、40%以下である静電荷像現像用トナー。
0.4≦A≦1.0 ・・・式(i)
【選択図】なし

Description

本発明は、静電荷像現像用トナー、二成分現像剤及び画像形成装置に関する。
画像形成装置は、静電潜像担持体表面の画像形成領域を均一に帯電させる帯電工程、静電潜像担持体への書き込みを行う露光工程、静電潜像担持体上に摩擦帯電させたトナーにより画像を形成する現像工程、印刷用紙に直接、あるいは中間転写体を介して間接的に静電潜像担持体上の画像を転写する転写工程を経た後、画像を印刷用紙に定着させる。また、静電潜像担持体上に転写しきれずに残った転写残トナーは、クリーニング工程により静電潜像担持体上から掻き落とされ、次画像形成プロセスに入る。
近年、省エネルギー化を達成するために、ガラス転移温度を低くする目的で結着樹脂に結晶性ポリエステルを使用することにより、従来よりも低温で定着するトナーが製造されている。しかし、結晶性ポリエステルを使用することにより、トナーが低温で溶融してしまうため、高温高湿環境に対して保存性が悪化してしまう傾向がある。また、トナーの形状が変化しやすく外添剤の埋没を促進し、優れた転写性が得られない傾向がある。この低温定着性と高温高湿環境に対する保存性との両立、及び転写性が大きな課題となっている。
保存性を向上させるために、乾式製法シリカよりも大粒径まで制御可能な湿式製法シリカを使用することで、スペーサー効果をもたせてトナー同士の接触を防ぐことが提案されている。例えば、結晶性樹脂と、シリコーンオイル処理された平均一次粒径が50nm以上150nm以下であるシリカを含有することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この提案の粒径範囲には、120nm〜150nmといった大粒径のシリカも含まれているので、シリカ遊離に伴う異常画像が発生しやすくなるという問題がある。
また、このようなトナーでは、トナー同士の摩擦によりシリカが遊離しやすく、キャリアへのスペントが起こりやすくなるため、著しい帯電低下を引き起こしやすくなる。また、感光体上にもスペントしやすくなるため、フィルミングや画像ボケと言った異常画像の発生も懸念される。更に、キャリア及び現像ユニットとの衝突と摩擦によってシリカがトナー粒子に埋没することにより、トナー帯電性が不均一になり、優れた転写性性が得られず、異常画像の発生も懸念されるという問題がある。
シリカの遊離や埋没を防ぐために、非球形のシリカを外添剤として含有するトナーが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この提案では、母体との接触面積を大きくすることでトナー同士やキャリアとの摩擦などによる外添剤の遊離や埋没を抑制している。
また、外添剤の種類を変更する以外の手段としては、外添剤混合条件を工夫することにより、トナー同士やキャリアとの摩擦などによる外添剤の遊離率を一定範囲にコントロールすることが提案されている(例えば、特許文献3〜5参照)。
外添剤の遊離率は、トナー同士やキャリアとの摩擦などの他に、高温高湿環境のストレスによっても影響を受ける。しかし、これらの提案では、結晶性ポリエステルを含み、従来よりも低温で定着するトナーにおいて、高温高湿環境下のストレスに対して外添剤の遊離率をコントロールすることについての解決策が十分に開示されていない。
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、高温高湿環境に対する保存性に優れ、高温高湿環境ストレスを受けた場合であっても、流動性、転写性及び低温定着性に優れ、超高速プリントシステムに適用可能なトナーを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
本発明の静電荷像現像用トナーは、結着樹脂及び離型剤を含有するトナー母体と、外添剤とを含み、前記トナー母体の表面に前記外添剤が付着してなる静電荷像現像用トナーであって、
前記外添剤が、シリカの一次粒子同士が合着されてなる非球形シリカを含み、
前記トナーからのシリカ遊離量A(質量%)が、下記式(i)の関係を満たし、
40℃、70%RH、及び14日間の高温高湿環境ストレスを受けた後の前記トナーからのシリカ遊離量B(質量%)の前記シリカ遊離量Aに対する低下量が、40%以下であり、
前記シリカ遊離量A及びBが、トナー試料3.75gを、110mLバイアル中の0.5質量%ポリオキシアルキレンアルキルエーテル分散液50mLに分散し、20kHz、750ワットで1分間超音波振動を付与したときの前記トナー試料からのシリカの遊離量を、前記トナー試料に対する量(質量%)で表した値であることを特徴とする。
0.4≦A≦1.0 ・・・式(i)
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、高温高湿環境に対する保存性に優れ、高温高湿環境ストレスを受けた場合であっても、流動性、転写性及び低温定着性に優れ、超高速プリントシステムに適用可能なトナーを提供することができる。
図1は、本発明のトナーにおける外添剤の一例を示す写真である。 図2は、本発明のトナーにおける外添剤の一例を示す写真である。 図3は、実施例の外添剤の評価結果の一例を示す写真である。 図4は、本発明で用いられる画像形成装置の一例を示す概略説明図である。 図5は、本発明で用いられる画像形成装置の他の例を示す概略説明図である。 図6は、本発明で用いられる画像形成装置の他の例を示す概略説明図である。 図7は、図6に示す画像形成装置の一部を示す概略説明図である。
(静電荷像現像用トナー)
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」と称することがある)は、少なくともトナー母体と、外添剤とを含み、前記トナー母体の表面に前記外添剤が付着してなる静電荷像現像用トナーであって、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記外添剤は、シリカの一次粒子同士が合着されてなる非球形シリカを含む。
前記トナーからのシリカ遊離量A(質量%)が、下記式(i)の関係を満たし、
40℃、70%RH、及び14日間の高温高湿環境ストレスを受けた後の前記トナーからのシリカ遊離量B(質量%)の前記シリカ遊離量Aに対する低下量が、40%以下であり、
前記シリカ遊離量A及びBが、トナー試料3.75gを、110mLバイアル中の0.5質量%ポリオキシアルキレンアルキルエーテル分散液50mLに分散し、20kHz、750ワットで1分間超音波振動を付与したときの前記トナー試料からのシリカの遊離量を、前記トナー試料に対する量(質量%)で表した値である。
0.4≦A≦1.0 ・・・式(i)
外添剤としてシリカの一次粒子同士が合着されてなる二次粒子形状の前記非球形シリカを使用し、外添剤とトナーとの接触面積を大きくすることにより、球形シリカに比べて外部から受けるストレス(即ちトナーへ埋没させる力)が分散されるので、外添剤のトナーへの埋没が抑制される。また、外添剤が感光体上に遊離したとしても、球形シリカに比べてクリーニングブレードによってかき取られ易く、感光体上へ残らないため、感光体上に遊離したシリカに起因する異常画像の発生を抑制できる。また、外添剤が適度にトナーに埋没することにより、遊離するシリカを低減できる。
また、高温高湿環境のストレスによる外添剤の埋没を抑制し、トナーに適度な流動性を持たせることにより、異常画像の発生を抑制できる。ここで、異常画像とは、画像面積が大きい画像を印刷した際、画像が均一に印刷されず紙の色が見えてしまったり、濃淡のムラが出てしまったりすることであり、画像形成装置内で転写の際に、トナー特性が不均一となり、転写が正確にできないために起こる。ここでは、高温高湿環境のストレスによる、シリカの遊離量を適切に制御することが重要となる。
結着樹脂として低温定着性に有利かつ紙との親和性の高いポリエステル樹脂を用いた場合、ポリエステル樹脂は、紙との親和性が良い一方極性が高いがゆえに、湿度に対して弱い。そのため、湿度によるポリエステル樹脂の改質によって、外添剤のトナー母体表面に対する埋没が生じる。外添剤として、前記非球形シリカを用いることで、高温高湿環境下でのポリエステル樹脂の改質と外添剤の埋没を抑制し、シリカ遊離量の変化を抑えることができる。
<外添剤>
前記外添剤としては、少なくとも非球形シリカを含み、更に必要に応じてその他の外添剤を含む。
<<非球形シリカ>>
前記非球形シリカは、シリカの一次粒子同士が合着されてなる二次粒子である。
−一次粒子−
前記一次粒子の平均粒径(Da)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20nm〜150nmが好ましく、35nm〜150nmがより好ましい。前記一次粒子が、20nm未満であると、前記二次粒子がスペーサー効果の機能を果たすことができず、外部ストレスによるトナー母体への外添剤の埋没を抑制できないことがあり、150nmを超えると、トナーからの遊離が発生しやすく、感光体フィルミングを引き起こしやすくなることがある。
前記一次粒子の平均粒径(Da)は、前記非球形シリカ中の一次粒子の粒径(図1に示す全ての矢印の長さ)をもとに測定した。前記一次粒子の平均粒径の測定は、前記二次粒子を適切な溶剤(テトラヒドロフラン(THF)等)に分散させた後、基板上で溶剤を除去して乾固させたサンプルを、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM、加速電圧:5kV〜8kV、観察倍率:8,000倍〜10,000倍)にて視野中の凝集した各一次粒子の最長長さ(図1に示す全ての矢印の長さ)の平均値を計測(計測した粒子数:100個以上200個以下)することにより行う。
−非球形シリカ−
前記非球形シリカとは、上述の通り、シリカの一次粒子同士が合着されてなる二次粒子である。
前記非球形シリカとしては、例えば、前記一次粒子を後述する処理剤により化学結合させ、二次凝集させた粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゾルゲル法により得られることが好ましい。
前記非球形シリカの平均粒径(Db)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80nm〜200nmが好ましく、100nm〜180nmがより好ましく、100nm〜160nmが特に好ましい。前記平均粒径が、80nm未満であると、スペーサー効果の機能を果たしにくく、外部ストレスによる埋没を抑制しにくく、200nmを超えると、トナーからの遊離が発生しやすく、遊離したシリカが感光体に付着することで、感光体上に固着し、望ましい耐フィルミング性が得られないことがある。一方、前記平均粒径が80nm〜200nmであると、トナーへの埋没が抑制され、流動性、転写性が向上する点で有利である。
前記非球形シリカの平均粒径(Db)の測定は、前記二次粒子を適切な溶剤(テトラヒドロフラン(THF)等)に分散させた後、基板上で溶剤を除去して乾固させたサンプルを、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM、加速電圧:5kV〜8kV、観察倍率:8,000倍〜10,000倍)にて視野中の二次粒子の最長長さ(図2に示す矢印の長さ)の平均値を計測(計測した粒子数:100個以上200個以下)することにより行う。
−非球形シリカの合着度−
各々の前記非球形シリカの合着度(G)は、前記非球形シリカ(二次粒子)の粒径と、前記二次粒子に含まれる一次粒子の平均粒径との比(二次粒子の粒径/一次粒子の平均粒径)で表され、前記非球形シリカ(二次粒子)の粒径及び前記一次粒子の平均粒径は、上述の方法により測定されて算出される。
前記合着度(G)は、一次粒径の調整、後述する処理剤の種類及び量、並びに処理条件によって任意に制御できる。
前記非球形シリカの合着度(G)(二次粒子の粒径/一次粒子の平均粒径)の平均値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.5〜4.0が好ましく、2.0〜3.0がより好ましい。前記合着度(G)の平均値が、1.5未満であると、前記外添剤が前記トナー母体表面の凹部へ転がり埋没しやすく、転写性に優れないことがあり、4.0を超えると、トナーから前記外添剤が剥がれやすく、キャリア汚染による帯電低下や感光体への傷の発生により経時での画像欠陥となる恐れがある。
前記合着度が1.3未満である非球形シリカの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記トナー中の非球形シリカに対して、10個数%以下が好ましい。前記非球形シリカは、製造上、分布を有しており、前記合着度が1.3未満の粒子は、合着が進行していない粒子であり、ほぼ球形に近い状態として存在している。そのため、埋没抑制のために特徴づけている異形添加剤としての機能を果たしにくい。前記合着度が1.3未満の前記非球形シリカの含有量の測定は、上述の方法により、前記一次粒子及び前記二次粒子の粒径を100個以上200個以下の非球形シリカにおいて測定した後、得られた測定値から各非球形シリカの合着度を算出し、前記合着度が1.3未満となる粒子の個数を測定個数で除して算出する。
−非球形シリカの撹拌に対する指標−
前記非球形シリカとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記式(ii)を満たすことが、一定の撹拌条件下においても、一次粒子同士の凝集力(合着力)が維持され、トナーの耐久性が高まる点で好ましく、下記式(ii−1)を満たすことがより好ましい。
Nx/1,000×100≦30% ・・・式(ii)
Nx/1,000×100≦20% ・・・式(ii−1)
ただし、前記式(ii)及び(ii−1)中、Nxは、50mLの瓶に入れた前記非球形シリカ0.5g及びキャリア49.5gに対し、67Hz、10分間の条件で混合撹拌機にて撹拌した後、走査電子顕微鏡にて観察したときの、前記非球形シリカ1,000個が観察される領域に単独で存在する一次粒子の個数を示す。
前記非球形シリカの凝集力が強い場合(図3に示すように、前記非球形シリカ1,000個に対して、単独で存在する前記一次粒子(例えば、図3中、符号Bで示される粒子)の割合が30%以下である場合)、トナー中の外添剤が現像器などの負荷によって割れ乃至崩壊をおこして一次粒子となる粒子数が少なくなり、外添剤の埋没や転動が抑制され、経時での高転写率を維持できる。
前記非球形シリカの凝集力が弱い場合(前記二次粒子1,000個に対して、単独で存在する前記一次粒子(例えば、図3中、符号Bで示される粒子)の割合が30%を超える場合)、トナー中の外添剤が現像器などの負荷によって割れ乃至崩壊をおこして一次粒子となる粒子数が多くなり、球状の一次粒子の割合が増加し、外添剤の移動や埋没が起こりやすく、経時での高転写率を維持しにくくなる。
前記一次粒子が過小粒径(例えば80nm未満)の粒子の場合、外添剤が母体へ埋没しやすく、また外添剤が凹部へ転がりやすいなどにより転写性及び帯電性を維持できない恐れがある。前記一次粒子が過大粒径(例えば200nm超)の粒子の場合には、トナーから外添剤が剥れやすく、キャリア汚染による帯電低下や感光体への傷の発生により経時での画像欠陥となる恐れがある。
前記式(ii)及び(ii−1)中、前記一次粒子とは、前記混合撹拌機を用いて前記撹拌条件にて前記二次粒子を撹拌した後に一次粒子同士が合着されておらず、単独で存在している粒子を指し、前記撹拌後に割れ乃至崩壊が生じて一次粒子となった粒子、及び前記撹拌を行う前から前記一次粒子単独で存在していた粒子を含み、例えば、図3の符号Bで示される粒子のように、前記一次粒子同士が合着されていない粒子などが含まれる。
前記式(ii)及び(ii−1)中、前記一次粒子の形状としては、粒子同士が合着されていない形状であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、図3の符号Bで示される粒子のように、略球状の状態で存在することが多い。
前記式(ii)及び(ii−1)中、前記一次粒子が存在していることを確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、走査電子顕微鏡(SEM)にて観察することにより、粒子単独で存在していることを確認する方法が好ましい。
前記一次粒子の平均粒径の測定方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、走査電子顕微鏡(FE−SEM、加速電圧:5kV〜8kV、観察倍率:8,000倍〜10,000倍)にて視野中の前記一次粒子の粒径の平均値を計測(計測した粒子数:100個以上)することにより行う。
前記式(ii)及び(ii−1)中、前記非球形シリカ1,000個に対する、単独で存在する前記一次粒子の個数の計測において、前記撹拌した後、走査電子顕微鏡にて観察し、図3の符号Bで示される粒子のように、粒子単独で存在している粒子を、一次粒子1個として計測する。
前記走査電子顕微鏡にて複数個の粒子が合着されてなる二次粒子が確認された場合、前記二次粒子を、二次粒子1個として計測する。
前記式(ii)及び(ii−1)中、前記非球形シリカ1,000個に対する、単独で存在する前記一次粒子の個数の計測方法としては、例えば、それぞれの非球形シリカ及び一次粒子の輪郭が判別可能な粒子密度及び観察倍率で前記走査電子顕微鏡にて観察したときの観察領域における、前記非球形シリカ1,000個当たりの前記一次粒子の個数で示すことができる。前記観察領域としては、例えば、前記走査電子顕微鏡における任意の複数の視野乃至領域、好ましくは隣接する複数の視野乃至領域を、観察される前記非球形シリカが1,000個以上となるように適宜設定することができる。
前記混合撹拌機としては、ロッキングミル(株式会社セイワ技研製)を使用する。
前記キャリアとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、アルミナ粒子を含むアクリル樹脂及びシリコーン樹脂の被覆層形成溶液を焼成フェライト粉表面に塗布乃至乾燥して得られる被覆フェライト粉を用いることが好ましい。
前記50mLの瓶としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、市販されているガラス瓶(日電理化硝子株式会社製)などが挙げられる。
−非球形シリカの粒度分布指標−
前記非球形シリカの粒度分布指標としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記式(iii)を満たすことが、特に、トナーにおけるフィルミング性の問題を解決することができる点で好ましい。前記非球形シリカとして、下記式(iii)で表されるように、粒度分布がシャープな粒子を用いることにより、特に、フィルミング性に優れるトナーとすることができる。
Db50/Db10≦1.20 ・・・式(iii)
ただし、前記式(iii)中、Db50は、前記非球形シリカの粒径(nm)を横軸とし、前記非球形シリカの累積値(個数%)を縦軸としたときの前記非球形シリカの累積分布を小粒子側から描いたときに、前記累積値が50個数%となる前記非球形シリカの粒径を表し、Db10は、前記累積値が10個数%となる前記非球形シリカの粒径を表す。
前記Db50は、例えば、前記非球形シリカの粒径(nm)を横軸とし、前記非球形シリカの累積値(個数%)を縦軸としたときの前記非球形シリカの累積分布により表され、計測した前記非球形シリカの粒子数が200個であれば100個目、150個であれば75個目の前記非球形シリカの粒径をいう。
前記Db50の測定は、前記非球形シリカを適切な溶剤(テトラヒドロフラン(THF)等)に分散させた後、基板上で溶剤を除去して乾固させたサンプルを、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM、加速電圧:5kV〜8kV、観察倍率:8,000倍〜10,000倍)にて視野中の非球形シリカの粒径を計測して、前記累積値が50%となる前記非球形シリカの粒径を測定することにより行う。前記非球形シリカの粒径の測定は、凝集した二次粒子の最長長さ(図2に示す矢印の長さ)を計測(計測した粒子数:100個以上200個以下)することにより行う。
前記Db10は、例えば、前記非球形シリカの粒径(nm)を横軸とし、前記非球形シリカの累積値(個数%)を縦軸としたときの前記非球形シリカの累積分布により表され、計測した前記非球形シリカの粒子数が200個であれば20個目、150個であれば15個目の前記非球形シリカの粒径をいう。
前記Db10の測定は、前記非球形シリカを適切な溶剤(テトラヒドロフラン(THF)等)に分散させた後、基板上で溶剤を除去して乾固させたサンプルを、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM、加速電圧:5kV〜8kV、観察倍率:8,000倍〜10,000倍)にて視野中の非球形シリカの粒径を計測して、前記累積値が10%となる前記非球形シリカの粒径を測定することにより行う。前記非球形シリカの粒径の測定は、凝集した粒子の最長長さ(図2に示す矢印の長さ)を計測(計測した粒子数:100個以上200個以下)することにより行う。
前記「Db50/Db10」としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1.20以下が好ましく、1.15以下がより好ましい。前記「Db50/Db10」が1.20を超えると、非球形シリカの粒度分布が幅広く、小粒径の粒子が多くなることがある。即ち、「小粒径の粒子A」(合着が進んでおらず、一次粒子の状態で存在している粒子)又は「小粒径の粒子B」(合着は進んでいるが、一次粒子自体が小粒径である粒子)の少なくともどちらか一方が多いことを意味する。前記「小粒径の粒子A」が多いと、非球形の外添剤としての機能が果たしきれず、耐埋没性に劣るため、異常画像が発生することがある。前記「小粒径の粒子B」が多いと、スペーサー効果の機能を果たすことができず、外部ストレスによるトナー母体への外添剤の埋没を抑制できないことがある。そのため、前記「小粒径の粒子A」及び前記「小粒径の粒子B」を低減させる必要がある。
前記「小粒径の粒子A」及び前記「小粒径の粒子B」を低減させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分級処理により、予め小粒径の粒子を除去する方法が好ましい。
−非球形シリカの形状−
前記非球形シリカの形状としては、粒子同士が合着されてなる非球形の形状を有すれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、図1〜図2に示すように、粒子同士が2個以上合着されてなる非球形の形状などが挙げられる。前記非球形シリカを用いることにより、トナーの高流動性を実現し、現像器内にて撹拌されるなどトナーに負荷が与えられた場合においても外添剤の埋没や転動が抑制されることで経時での高転写率を維持することが可能となる。また、前記非球形シリカは、一定の撹拌条件下においても、粒子同士の凝集力(合着力)が維持されるため、トナーの耐久性が高い。
前記非球形シリカにおいて前記一次粒子同士が合着されていることを確認する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)にて観察することにより、確認する方法が好ましい。
−非球形シリカの製造方法−
前記非球形シリカの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゾルゲル法、乾式法などが挙げられる。これらの中でも、ゾルゲル法により製造する方法が好ましく、具体的には、前記一次粒子と、下記に説明する処理剤とを混合乃至焼成することにより化学結合させて二次凝集させ、前記非球形シリカ(二次粒子)とすることにより製造する方法が好ましい。なお、前記ゾルゲル法により合成する際には、前記処理剤を共存させて、一段反応にて非球形シリカを調製してもよい。
ゾルゲル法により製造される非球形シリカは、粒径制御が乾式法より容易であり、粒度分布がシャープ、水分吸着性に優れるという点で好ましく、粒度分布がシャープなため、過小粒径によるトナーへの埋没や、過大粒径によるトナーからの遊離が抑制できる。
また、ゾルゲル法により製造される非球形シリカは、乾式シリカにはない多孔質であり、水分を吸着すると考えられるのでポリエステル樹脂に対する湿度影響を低減でき、形状の変化の抑制並びに保存性の向上が見込まれる。
−−処理剤−−
前記処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シラン系処理剤、エポキシ系処理剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。前記シリカの一次粒子を用いた場合には、前記シラン系処理剤が形成するSi−O−Si結合の方が、前記エポキシ系処理剤が形成するSi−O−C結合よりも、熱に対して安定である点で、シラン系処理剤が好ましい。また、必要に応じて、処理助剤(水、1質量%酢酸水溶液等)を使用してもよい。
−−−シラン系処理剤−−−
前記シラン系処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルコキシシラン類(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等);シランカップリング剤(γ−アミノプロピルトルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン等);ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、N,N’−ビス(トリメチルシリル)ウレア、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ジメチルトリメチルシリルアミン、ヘキサメチルジシラザン、サイクリックシラザンの混合物などが挙げられる。
前記シラン系処理剤は、以下に示すように、前記一次粒子(シリカ一次粒子)を化学結合にさせて二次凝集を形成させる。
前記シラン系処理剤として、前記アルコキシシラン類、前記シラン系カップリング剤等を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、下記式(A)に示すように、前記シリカ一次粒子に結合するシラノール基とシラン系処理剤に結合するアルコキシ基が反応し、脱アルコールにより、新たなSi−O−Si結合を形成して二次凝集する。
前記シラン系処理剤として、前記クロロシラン類を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、前記クロロシラン類のクロル基と、前記シリカ一次粒子に結合するシラノール基とが脱塩化水素反応により、新たなSi−O−Si結合するシラノール基が脱水反応により、新たなSi−O−Si結合を形成して二次凝集する。また、前記シラン系処理剤として、前記クロロシラン類を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、系に水が共存する際には、まずクロロシラン類が水に加水分解してシラノール基を生成し、該シラノール基とシリカ一次粒子に結合するシラノール基が脱水反応により、新たなSi−O−Si結合を形成して二次凝集する。
前記シラン系処理剤として、シラザン類を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、アミノ基とシリカ一次粒子に結合するシラノール基が脱アンモニアすることにより、新たなSi−O−Si結合を形成して二次凝集する。
ただし、前記式(A)中、Rは、アルキル基を示す。
−−−エポキシ系処理剤−−−
前記エポキシ系処理剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フエノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
前記エポキシ系処理剤は、下記式(B)に示すように、前記シリカ一次粒子を化学結合させて二次凝集を形成させる。前記エポキシ系処理剤を用いて前記シリカ一次粒子を処理した場合、前記シリカ一次粒子に結合するシラノール基が、前記エポキシ系処理剤のエポキシ基酸素原子及びエポキシ基に結合する炭素原子を付加することにより、新たなSi−O−C結合を形成して二次凝集する。
前記処理剤と前記一次粒子との混合質量比(一次粒子:処理剤)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100:0.01〜100:50が好ましい。なお、前記処理剤の量が多いほど、合着度が高くなる傾向にある。
前記処理剤と前記一次粒子との混合方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の混合機(スプレードライヤー等)により混合する方法などが挙げられる。なお、前記混合する際は、前記一次粒子を調製した後に前記処理剤を混合して調製してもよいし、前記一次粒子を調製する際に前記処理剤を共存させて、一段反応にて調製してもよい。
前記処理剤と前記一次粒子との焼成温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100℃〜2,500℃が好ましい。なお、前記焼成温度が高いほど、合着度が高くなる傾向にある。
前記処理剤と前記一次粒子との焼成時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5時間〜30時間が好ましい。
前記外添剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、トナー母体100質量部に対して、0.5質量部〜4.0質量部が好ましい。
<<その他の外添剤>>
前記その他の外添剤としては、例えば、一次粒子、シリカ以外の一次粒子同士が合着されてなる二次粒子などが挙げられる。
<<<一次粒子>>>
前記一次粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素等の無機微粒子、有機微粒子などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<<シリカ以外の一次粒子同士が合着されてなる二次粒子>>>
−一次粒子−
前記一次粒子としては、前記その他の外添剤における前記一次粒子のうち、シリカ以外のものを用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリカが、トナー母体への外添剤の埋没及び離脱を防ぐことができる点で好ましい。
−二次粒子−
前記二次粒子としては、シリカ以外の一次粒子同士が合着されてなる二次粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記シリカ以外の一次粒子を前記処理剤により化学結合させ、二次凝集させた粒子などが挙げられる。
前記二次粒子の平均粒径、合着度などの物性、及び製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて前記非球形シリカにおける前記二次粒子と同様の事項を適宜選択することができる。
<トナー母体>
前記トナー母体は、少なくとも結着樹脂、着色剤及び離型剤を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記トナー母体は、少なくとも結着樹脂及び離型剤を有機溶媒中に溶解乃至分散させ、得られた溶解乃至分散物を水相中に添加し、得られた分散液から前記有機溶媒を除去することにより得られることが好ましく、少なくとも結着樹脂前駆体及び離型剤を有機溶媒中に溶解乃至分散させ、得られた溶解乃至分散物を水相中に添加して前記結着樹脂前駆体を架橋乃至伸長反応させ、前記有機溶媒を除去することにより得られることがより好ましい。
<<結着樹脂>>
前記結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ジエン系樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、クマリン樹脂、アミドイミド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、低分子量化しても十分な可撓性を有する点で、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂と前記ポリエステル樹脂以外の他の上記結着樹脂とを組み合わせた樹脂が好ましく、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含むことがより好ましい。
−ポリエステル樹脂−
前記ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、未変性ポリエステル樹脂、変性ポリエステル樹脂が好ましい。前記未変性ポリエステル樹脂及び前記変性のポリエステル樹脂は、低温定着性及び耐ホットオフセット性を向上する点で、少なくとも一部が相溶していることが好ましい。このため、変性ポリエステル樹脂及び未変性ポリエステル樹脂は、類似の組成であることが好ましい。
また、前記未変性ポリエステル樹脂として、結晶性ポリエステル分散液に用いた非結晶性ポリエステル樹脂も未変性であれば、用いることができる。
−−未変性ポリエステル樹脂−−
前記未変性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂等の未変性のポリエステル樹脂などが挙げられる。
前記未変性ポリエステル樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1KOHmg/g〜50KOHmg/gが好ましく、5KOHmg/g〜30KOHmg/gがより好ましい。前記酸価が50KOHmg/gを超えると、帯電安定性、特に環境変動に対する帯電安定性が低下することがある。一方、前記酸価が好ましい範囲であると、帯電性安定性に優れ、紙への定着時に紙とトナーとの親和性が良くなり、低温定着性が向上する点で有利である。
前記未変性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5KOHmg/g以上が好ましい。なお、前記水酸基価の測定方法は、例えば、JIS K0070−1966に準拠した方法を用いて測定する方法などが挙げられる。前記測定方法について、具体例に説明する。まず、試料0.5gを100mLのメスフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5mLを加える。次に、100±5℃の温浴中で1時間〜2時間加熱した後、フラスコを温浴から取り出して放冷する。更に、水を加えて振り動かして無水酢酸を分解する。次に、無水酢酸を完全に分解させるために、再びフラスコを温浴中で10分以上加熱して放冷した後、有機溶剤でフラスコの壁を十分に洗う。
更に、電位差自動滴定装置DL−53 Titrator(メトラー・トレド社製)及び電極DG113−SC(メトラー・トレド社製)を用いて、23℃で水酸基価を測定し、解析ソフト(LabX Light Version 1.00.000)を用いて解析する。前記装置の校正は、トルエン120mLとエタノール30mLの混合溶剤を用いる。前記水酸基価の測定条件は、表1に記載の通りである。
−−−未変性ポリエステル樹脂の合成方法−−−
前記未変性ポリエステル樹脂の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(1)で表されるポリオールと、下記一般式(2)で表されるポリカルボン酸とをポリエステル化することにより合成する方法などが挙げられる。
A−(OH) ・・・ 一般式(1)
ただし、前記一般式(1)中、Aは炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有していてもよい芳香族基又はヘテロ環芳香族基を表し、mは2〜4の整数を表す。
B−(COOH) ・・・ 一般式(2)
ただし、前記一般式(2)中、Bは炭素数1〜20のアルキル基、アルキレン基、置換基を有していてもよい芳香族基又はヘテロ環芳香族基を表し、nは2〜4の整数を表す。
−−−−ポリオール−−−−
前記一般式(1)で表されるポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールA酸化エチレン付加物、ビスフェノールA酸化プロピレン付加物、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA酸化エチレン付加物、水素化ビスフェノールA酸化プロピレン付加物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−−−−ポリカルボン酸−−−−
前記一般式(2)で表されるポリカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキセンジカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(トリメリット酸)等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
−−変性ポリエステル樹脂−−
前記変性ポリエステル樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、「活性水素基含有化合物」及び「前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体」を、伸長反応乃至架橋反応して得られる樹脂などが挙げられる。
−−−活性水素基含有化合物−−−
前記「活性水素基含有化合物」は、水相中で、前記「活性水素基含有化合物と反応可能な重合体」が伸長反応乃至架橋反応する際の伸長剤、架橋剤等として作用する化合物であって、活性水素基を有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記「活性水素基含有化合物と反応可能な重合体」が後述するイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーである場合、高分子量化が可能となる点で、アミン類が好ましい。
前記活性水素基としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水酸基(アルコール性水酸基又はフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられる。これらは、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が含まれていてもよい。
前記活性水素基含有化合物である前記アミン類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジアミン、3価以上のポリアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸、これらのアミン類のアミノ基をブロックしたものなどが挙げられる。前記ジアミンとしては、例えば、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタン等);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミン等);脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等)などが挙げられる。前記3価以上のポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。前記アミノアルコールとしては、例えば、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。前記アミノメルカプタンとしては、例えば、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。前記アミノ酸としては、例えば、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。前記これらのアミン類のアミノ基をブロックしたものとしては、例えば、前記これらのアミン類(ジアミン、3価以上のポリアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸等)のいずれかとケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)から得られるケチミン化合物、オキサゾリゾン化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ジアミン、ジアミンと少量の3価以上のポリアミンとの混合物が好ましい。
−−−活性水素基含有化合物と反応可能な重合体−−−
前記「活性水素基含有化合物と反応可能な重合体」としては、前記「活性水素基含有化合物」と反応可能な基を少なくとも有する重合体であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、溶融時の高流動性及び透明性に優れ、高分子成分の分子量を調節し易く、低温定着性及び離型性に優れる点で、ウレア結合生成基含有ポリエステル樹脂(RMPE)が好ましく、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(以下、「ポリエステルプレポリマー」と称する)がより好ましい。
前記ポリエステルプレポリマーの1分子当たりに含まれるイソシアネート基の平均数としては、1以上が好ましく、1.2〜5がより好ましく、1.5〜4がより好ましい。前記平均数が、1未満であると、ウレア結合生成基で変性されているポリエステル樹脂(RMPE)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記ポリエステルプレポリマーの重量平均分子量(Mw)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量分布で、3,000〜40,000が好ましく、4,000〜30,000がより好ましい。前記重量平均分子量(Mw)が、3,000未満であると、耐熱保存性が悪化することがあり、40,000を超えると、低温定着性が悪化することがある。前記重量均分子量(Mw)の測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。まず、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度でカラム溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mLの流速で流し、試料濃度を0.05質量%〜0.6質量%に調整した樹脂のテトラヒドロフラン試料溶液を50μL〜200μL注入して測定する。試料における分子量の測定は、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、及び4.48×10のポリスチレン試料(Pressure Chemical Co.又は東ソー株式会社製)を用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いることが好ましい。なお、検出器としてはRI(屈折率)検出器を用いることができる。
前記ポリエステルプレポリマーの合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ポリオールとポリカルボン酸との重縮合物、及び活性水素基含有ポリエステル樹脂を、ポリイソシアネートと反応させて合成することができ、具体的には、前記ポリオールと前記ポリカルボン酸とを公知のエステル化触媒(チタンテトラブトキシド、ジブチルチンオキサイド等)の存在下、150℃〜280℃に加熱し、必要により適宜減圧しながら生成し、水を溜去して水酸基含有ポリエステルを得た後に、40℃〜140℃にて、前記水酸基含有ポリエステル樹脂に前記ポリイソシアネートを反応させることにより合成する方法などが挙げられる。
−−−−ポリオール−−−−
前記ポリオールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール等)、アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等)、脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールA等)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)、前記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物、前記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等)付加物等のジオール;多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等)、3価以上のフェノール類(フェノールノボラック、クレゾールノボラック等)、3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物等の3価以上のポリオール;ジオールと3価以上のポリオールとの混合物;などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ポリオールは、前記ジオール単独、前記ジオールと少量の前記3価以上のポリオールとの混合物が好ましい。前記ジオールとしては、炭素数2〜12のアルキレングリコール、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物(ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物等)が好ましい。
前記ポリオールのイソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、0.5質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、2質量%〜20質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、トナーの耐熱保存性と低温定着性との両立が困難となることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
−−−−ポリカルボン酸−−−−
前記ポリカルボン酸としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸等);炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマル酸等);炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等);3価以上のポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸等の炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸等)、ジカルボン酸と3価以上のポリカルボン酸との混合物などが挙げられ、これらのポリカルボン酸から選択されるいずれかの酸無水物又は低級アルキルエステル物を用いてもよい。前記低級アルキルエステルとしては、例えば、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル等が挙げられる。前記ジカルボン酸(DIC)と3価以上のポリカルボン酸(TC)との混合質量比(DIC:TC)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100:0.01〜10が好ましく、100:0.01〜1がより好ましい。
前記ポリオールと前記ポリカルボン酸とを重縮合反応させる際の混合比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ポリオールにおける水酸基[OH]と、ポリカルボン酸(PC)におけるカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が、通常、2/1〜1/1が好ましく、1.5/1〜1/1がより好ましく、1.3/1〜1.02/1が特に好ましい。
−−−−ポリイソシアネート−−−−
前記ポリイソシアネートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、テトラデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート、テトラメチルヘキサンジイソシアネート等);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネート等);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、ジフェニレン−4,4'−ジイソシアネート、4,4'−ジイソシアナト−3,3'−ジメチルジフェニル、3−メチルジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルエーテル−4,4'−ジイソシアネート等);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等);イソシアヌレート類(トリス−イソシアナトアルキル−イソシアヌレート、トリイソシアナトシクロアルキル−イソシアヌレート等);これらのフェノール誘導体;オキシム、カプロラクタム等でブロックしたものなどが挙げられる。これらは、1種単独でも使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ポリイソシアネートの前記ポリエステルプレポリマー中における含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.5質量%〜40質量%が好ましく、1質量%〜30質量%がより好ましく、2質量%〜20質量%が特に好ましい。前記含有量が、0.5質量%未満であると、耐ホットオフセット性が悪化し、耐熱保存性と低温定着性との両立が困難となることがあり、40質量%を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記ポリイソシアネートのイソシアネート基[NCO]と前記活性水素基含有ポリエステル樹脂(水酸基含有ポリエステル樹脂の場合)の水酸基[OH]との当量比[NCO]/[OH]としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5/1〜1/1が好ましく、4/1〜1.2/1がより好ましく、3/1〜1.5/1が特に好ましい。前記当量比[NCO]/[OH]が、1/1未満であると、耐オフセット性が悪化することがあり、5/1を超えると、低温定着性が悪化することがある。
前記ポリイソシアネートと、前記水酸基含有ポリエステル樹脂とを反応させる場合、必要に応じて、有機溶剤を用いることができ、該有機溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等);エーテル類(テトラヒドロフラン等)等のイソシアネート基に対して不活性な溶剤などが挙げられる。
−−−変性ポリエステル樹脂の合成方法−−−
前記変性ポリエステル樹脂の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体を含むトナー材料の溶解乃至分散液を、前記活性水素基含有化合物と共に、水系媒体(水相)中に乳化乃至分散させ、油滴を形成し、該水系媒体中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより合成させてもよく、(2)前記トナー材料の溶解乃至分散液を、予め前記活性水素基含有化合物を添加した水系媒体中に乳化乃至分散させ、油滴を形成し、該水系媒体中で両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより合成させてもよく、(3)前記トナー材料の溶解乃至分散液を、水系媒体中に添加混合させた後で、前記活性水素基含有化合物を添加し、油滴を形成し、該水系媒体中で粒子界面から両者を伸長反応乃至架橋反応させることにより合成させてもよい。なお、(3)の場合、生成するトナー表面に優先的に変性ポリエステル樹脂が生成され、該トナー粒子に濃度勾配を設けることが可能となる。前記伸長反応乃至架橋反応は、必要に応じて、反応停止剤(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミン、ケチミン化合物等のモノアミンをブロックしたものなど)により停止させてもよい。本発明のトナーは、前記架橋反応乃至伸長反応したポリエステル樹脂が共存しているので、従来のポリエステル系トナーと比較してガラス転移温度が低くても良好な耐熱保存性を示す。
前記変性ポリエステル樹脂の数平均分子量として、前記ウレア変性ポリエステル樹脂の場合、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000〜10,000が好ましく、1,500〜6,000がより好ましい。
前記変性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30℃〜70℃が好ましく、40℃〜65℃がより好ましい。前記ガラス転移温度(Tg)が、30℃未満であると、トナーの耐熱保存性が悪化することがあり、70℃を超えると、低温定着性が十分でないことがある。なお、前記ガラス転移温度(Tg)の測定は、TG−DSCシステムTAS−100(理学電機社製)を用いて、以下の方法により測定する。まず、トナー約10mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットにのせ、電気炉中にセットする。室温から昇温速度10℃/分間で150℃まで加熱した後、150℃で10分間放置し、室温まで試料を冷却して10分間放置する。その後、窒素雰囲気下、150℃まで昇温速度10℃/分間で加熱して示差走査熱量計(DSC)によりDSC曲線を計測する。得られたDSC曲線から、TG−DSCシステムTAS−100システム中の解析システムを用いて、ガラス転移温度(Tg)近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点からガラス転移温度(Tg)を算出する。
前記変性ポリエステル樹脂としては、上記合成方法により得られる樹脂であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ウレア変性ポリエステル樹脂が好ましい。
−−−ウレア変性ポリエステル樹脂−−−
前記ウレア変性ポリエステル樹脂は、ウレア結合のほかに、ウレタン結合を含んでいてもよい。この場合、該ウレア結合と該ウレタン結合との含有モル比(ウレア結合/ウレタン結合)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100/0〜10/90が好ましく、80/20〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が特に好ましい。前記含有モル比(ウレア結合/ウレタン結合)におけるウレア結合が10未満であると、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記ウレア変性ポリエステル樹脂と前記未変性ポリエステル樹脂とを併用した結着樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)〜(10)に記載の樹脂などが挙げられる。
(1)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(2)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(3)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(4)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをイソホロンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(5)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーを、ヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(6)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(7)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物をイソホロンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをエチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(8)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(9)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸/ドデセニルコハク酸無水物の重縮合物をジフェニルメタンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物/ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物及びテレフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
(10)ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物をトルエンジイソシアネートと反応させたポリエステルプレポリマーをヘキサメチレンジアミンでウレア化したものと、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物及びイソフタル酸の重縮合物との混合物を含む樹脂。
前記ウレア変性ポリエステル樹脂の合成方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ワンショット法により製造することができる。
一例として、ウレア変性ポリエステル樹脂を製造方法について説明する。
まず、ポリオールとポリカルボン酸を、テトラブトキシチタネート、ジブチルスズオキサイド等の触媒の存在下で、150℃〜280℃に加熱し、必要に応じて、減圧しながら生成する水を除去して、水酸基を有するポリエステル樹脂を得る。次に、水酸基を有するポリエステル樹脂とポリイソシアネートを40℃〜140℃で反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを得る。更に、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーとアミン類を0℃〜140℃で反応させ、ウレア変性ポリエステル樹脂を得る。
前記ウレア変性ポリエステル樹脂の合成において、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーと、前記アミン類との混合比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ポリエステルプレポリマー中のイソシアネート基[NCO]と、前記アミン類中のアミノ基[NHx]との混合当量比[NCO]/[NHx]として、1/3〜3/1が好ましく、1/2〜2/1がより好ましく、1/1.5〜1.5/1が特に好ましい。前記混合当量比([NCO]/[NHx])が、1/3未満であると、低温定着性が低下することがあり、3/1を超えると、ウレア変性ポリエステル樹脂の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化することがある。
前記ウレア変性ポリエステル樹脂の合成において、前記イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマーと、前記アミン類とを反応させる場合、必要に応じて、有機溶剤を用いることができ、該溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレン等);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等);エステル類(酢酸エチル等);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等);エーテル類(テトラヒドロフラン等)等のイソシアネート基に対して不活性な溶剤などが挙げられる。
なお、未変性のポリエステル樹脂を併用する場合は、水酸基を有するポリエステル樹脂と同様に製造したものを、ウレア変性ポリエステル樹脂の反応後の溶液に混合してもよい。
前記トナーの製造において、油相に含有される結着樹脂成分としては、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶性ポリエステル樹脂、ポリエステルプレポリマー(前記活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)、未変性ポリエステル樹脂を併用してもよく、更にこれらの樹脂以外の結着樹脂成分を含有してもよい。前記結着樹脂成分としては、ポリエステル樹脂を含有することが好ましく、ポリエステル樹脂を50質量%以上含有することがより好ましく、結着樹脂成分のいずれもがポリエステル樹脂であることが特に好ましい。ポリエステル樹脂の含有量が50質量%未満であると、低温定着性が低下することがある。
なお、ポリエステル樹脂以外の結着樹脂成分としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(p−クロロスチレン)、ポリビニルトルエン等のスチレン又はスチレン置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロロメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。
<<着色剤>>
前記着色剤としては、特に制限はなく、公知の染料、顔料等、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントレッド、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の前記トナーに対する含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1質量%〜15質量%が好ましく、3質量%〜10質量%がより好ましい。前記含有量が、1質量%未満であると、トナーの着色力の低下が見られ、15質量%を超えると、トナー中での顔料の分散不良、着色力の低下、及びトナーの電気特性の低下を招くことがある。
前記着色剤としては、前記樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、スチレン又はその置換体の重合体(ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエン等)、スチレン系共重合体(スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレンービニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレンーアクリロニトリルーインデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等)、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記マスターバッチの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記マスターバッチ用の樹脂、前記着色剤、及び有機溶剤等を高せん断力で混合乃至混練して製造する方法などが挙げられる。なお、前記有機溶剤は、前記着色剤と前記結着樹脂との相互作用を高めるために添加される。また、前記マスターバッチの他の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができ、乾燥させる必要がない点で、フラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを、前記結着樹脂及び有機溶剤とともに混合乃至混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去して製造する方法が好ましい。なお、前記混合乃至混練する際には、3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
<<離型剤>>
前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、植物系ワックス(カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等)、動物系ワックス(ミツロウ、ラノリン等)、鉱物系ワックス(オゾケライト、セルシン等)、石油ワックス(パラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等)等のロウ類及びワックス類;合成炭化水素ワックス(フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等)、合成ワックス(エステル、ケトン、エーテル等)等の天然ワックス以外のもの;1,2−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド;低分子量の結晶性高分子であるポリメタクリル酸n−ステアリル、ポリメタクリル酸n−ラウリル等のポリアクリレートのホモポリマー又はコポリマー(アクリル酸n−ステアリルーメタクリル酸エチル共重合体等)等の側鎖に長鎖アルキル基を有する結晶性高分子;などが挙げられる。これらの中でも、定着ローラとトナー界面の間で離型剤として効果的に作用することができるため、定着ローラにオイル等の離型剤を塗布しなくても高温耐オフセット性を向上させることができる点で、融点が50℃〜120℃のワックスが好ましい。
前記離型剤の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜120℃が好ましく、60℃〜90℃がより好ましい。融点が、50℃未満であると、ワックスが保存性に悪影響を与えることがあり、120℃を超えると、低温での定着時にコールドオフセットを起こし易いことがある。なお、前記離型剤の融点は、示差走査熱量計(TG−DSCシステム、TAS−100、株式会社リガク製)を用いて、最大吸熱ピークを測定することにより求められる。
前記離型剤の溶融粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該ワックスの融点より20℃高い温度での測定値として、5cps〜1,000cpsが好ましく、10cps〜100cpsがより好ましい。前記溶融粘度が、5cps未満であると、離型性が低下することがあり、1,000cpsを超えると、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果が得られなくなることがある。
前記離型剤の前記トナーにおける含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、40質量%以下が好ましく、3質量%〜30質量%がより好ましい。前記含有量が、40質量%を超えると、トナーの流動性が悪化する。
前記離型剤は、前記トナー母体中に分散した状態で存在することが好ましく、そのためには、前記離型剤と前記結着樹脂とは相溶しないことが好ましい。前記離型剤が、前記トナー母体中に微分散する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トナー製造時の混練の剪断力をかけて分散させる方法などが挙げられる。
前記離型剤の分散状態は、トナー粒子の薄膜切片を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察することにより確認することができる。前記離型剤の分散径は、小さい方が好ましいが、小さすぎると定着時の染み出しが不十分な場合がある。したがって、倍率1万倍で前記離型剤を確認することができれば、前記離型剤が分散した状態で存在していることになる。1万倍で前記離型剤が確認できない場合、微分散していたとしても、定着時の染出しが不十分となる。
<<その他の成分>>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁性材料、クリーニング性向上剤、流動性向上剤、帯電制御剤などが挙げられる。
−磁性材料−
磁性材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄粉、マグネタイト、フェライトなどが挙げられる。これらの中でも、色調の点で白色のものが好ましい。
−クリーニング性向上剤−
前記クリーニング性向上剤としては、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためにトナーに添加される剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸等の脂肪酸金属塩、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子等のソープフリー乳化重合により製造されたポリマー微粒子などが挙げられる。前記ポリマー微粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、比較的粒度分布が狭いものが好ましく、0.01μm〜1μmがより好ましい。
−流動性向上剤−
流動性向上剤とは、表面処理を行って疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止する剤のことであり、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが挙げられる。なお、前記流動性向上剤を、シリカ、酸化チタン等により表面処理してもよく、この場合、疎水性シリカ、疎水性酸化チタン等として使用することが好ましい。
−帯電制御剤−
前記帯電制御剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体又は化合物、タングステンの単体又は化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、サリチル酸誘導体の金属塩、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系化合物などが挙げられる。
前記帯電制御剤の商品名としては、例えば、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業株式会社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージNEG VP2036、NX VP434(以上、クラリアント社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(以上、日本カーリット株式会社製)などが挙げられる。
前記サリチル酸金属塩又はサリチル酸誘導体の金属塩は、下記一般式(3)によって表すことができる。
一般式(3)
(ただし、前記一般式(3)中、R、R及びRは、互いに同一であってもよいし異なっていてもよく、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜10のアルキル基又はアリール基を表す。また、Meは亜鉛、ニッケル、コバルト、鉛、及びクロムから選ばれるいずれかの金属原子を示す。)
前記帯電制御剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.2質量部〜5質量部がより好ましい。前記含有量が、10質量部を超えると、トナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招くことがある。前記帯電制御剤は、マスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後、溶解分散させてもよく、前記有機溶剤に、直接溶解乃至分散する際に加えてもよく、トナー表面にトナー粒子を作成した後に固定化させてもよい。
有機溶剤に直接溶解、分散する際に加える場合は、トナー粒子中に内包され、該トナーの表面近傍(トナー表面から、トナーの中心方向に向かって、トナー表面上の任意の点とトナー中心を1:2に内分する点までの深さまでの部分)から内部(該内分する点からトナーの中心までの部分)に亘って存在し、かつトナーの表面近傍に存在する帯電制御剤の濃度が、トナーの内部に存在する帯電制御剤の濃度よりも高いことが好ましい。
<トナーの製造方法>
前記トナーの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、粉砕法により製造する方法、重合法により製造する方法などが挙げられる。これらの中でも、トナーを小粒径化することができる点で、重合法により製造する方法が好ましく、水系媒体中で製造する方法がより好ましい。
前記水系媒体中でトナーを製造する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、水相調製工程、油相調製工程、乳化乃至分散工程、溶剤除去工程、洗浄乃至乾燥工程、及び外添剤処理工程を含むことが好ましく、具体的には、有機溶媒中に、少なくとも着色剤、結着樹脂前駆体、その他の成分等を溶解乃至分散させて得られる油相に、前記結着樹脂前駆体と伸長又は架橋する化合物を溶解させた後、前記油相を前記分散剤の存在下で、水相に分散させて乳化乃至分散物を得て、前記乳化乃至分散物中で、前記結着樹脂前駆体を架橋反応乃至伸長反応させ、有機溶媒を除去して得られるトナー母体に、前記外添剤を添加して製造する方法が好ましい。
<<油相調製工程>>
前記油相調製工程は、有機溶剤中に、少なくとも前記結着樹脂、及び前記着色剤などを含むトナー材料を、有機溶剤に溶解乃至分散させて油相(トナー材料の溶解乃至分散液)を調製する工程である。前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、溶剤除去が容易である点で、沸点が150℃未満の有機溶剤が好ましい。前記沸点が150℃未満の有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等が好ましく、酢酸エチルが好ましい。
<<水相調製工程>>
前記水相調製工程は、水相(水系媒体)を調製する工程である。前記水相としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、水と混和可能な溶剤、これらの混合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水が好ましい。前記混和可能な溶剤としては、例えば、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコール等)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブ(登録商標)等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)などが挙げられる。
<<乳化乃至分散工程>>
前記乳化乃至分散工程は、前記油相を、前記水相中に分散させて乳化乃至分散物を得る工程である。前記トナー材料は、必ずしも、前記水相中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよく、例えば、前記着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。前記トナー材料100質量部に対する水相の使用量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100質量部〜1,000質量部が好ましい。前記使用量が、100質量部未満であると、前記トナー材料の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られないことがあり、1,000質量部を超えると、経済的でないことがある。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
前記乳化乃至分散工程において使用される分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
前記陰イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステル、フルオロアルキル基を有する陰イオン界面活性剤などが好適に挙げられる。これらの中でも、非常に少量でその効果をあげることができる点で、フルオロアルキル基を有する界面活性剤が好ましい。
前記フルオロアルキル基を有する陰イオン界面活性剤としては、例えば、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及びその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
前記フルオロアルキル基を有する陰イオン界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−l21(いずれも、旭硝子株式会社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29、FC−135(いずれも、住友3M株式会社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、DS−202(いずれも、ダイキン工業株式会社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−150、F−191、F−812、F−824、F−833(いずれも、DIC株式会社製)、エフトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、132、306A、501、201、204、(いずれも、株式会社トーケムプロダクツ製)、フタージェントF−100、F−300、F150(いずれも、ネオス社製)などが挙げられる。
前記陽イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型界面活性剤;アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の四級アンモニウム塩型界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、フルオロアルキル基を有する脂肪族一級、二級又は三級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩等の脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などが好適に挙げられる。
前記陽イオン界面活性剤の市販品としては、例えば、サーフロンS−121(旭硝子株式会社製);フロラードFC−135(住友3M株式会社製);ユニダインDS−202(ダイキン工業株式会社製)、メガファックF−150、F−824(DIC株式会社製);エクトップEF−132(株式会社トーケムプロダクツ製);フタージェントF−300(ネオス社製)などが好適に挙げられる。
前記非イオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどが挙げられる。
前記分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、トナーの帯電面の点で、反応後、洗浄除去することが好ましい。
更に、粒度分布がシャープとなり、トナー材料の粘度を低くする点で、ポリエステルプレポリマーの反応後の変性ポリエステルを可溶する溶剤を使用することが好ましい。前記溶剤としては、除去が容易である点で、沸点が100℃未満の揮発性の溶剤が好ましく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、メタノールなどの水混和性溶剤が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。前記溶剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ポリエステルプレポリマー100質量部に対して、0質量部〜300質量部が好ましく、0質量部〜100質量部がより好ましく、25質量部〜70質量部が特に好ましい。前記溶剤を使用した場合は、伸長及び/又は架橋反応後、常圧又は減圧下にて加温し除去する。
前記ポリエステルプレポリマーと前記活性水素基を有する化合物を反応させる方法としては、水系媒体中でトナー組成物を分散する前に活性水素基を有する化合物を加えて反応させてもよいし、水系媒体中に分散した後に活性水素基を有する化合物を加えて粒子界面から反応を起こしてもよい。この場合、製造されるトナー表面に優先的にポリエステルプレポリマーによる変性したポリエステルが生成し、粒子内部で濃度勾配を設けることもできる。
伸長及び/又は架橋反応時間は、ポリエステルプレポリマーと活性水素基を有する化合物の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分間〜40時間、好ましくは30分間〜24時間である。反応温度は、通常0℃〜100℃、好ましくは10℃〜50℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することもできる。具体的にはトリエチルアミンなどの3級アミンやイミダゾールなどをあげることができる。
前記分散剤を使用した場合には、分散安定剤を用いることが好ましい。前記分散安定剤としては、高分子系保護コロイド、水に不溶な有機微粒子等により分散液滴を安定化させる物質であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸又は無水マレイン酸等の酸類;アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド等の水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等のビニルアルコール又はビニルアルコールのエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルアルコールとカルボキシル基含有化合物とのエステル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド及びこれらのメチロール化合物;アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライド等の酸クロライド類;ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン等の窒素原子又はその複素環を有する化合物等のホモポリマー又は共重合体;ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステル等のポリオキシエチレン系;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類;などが使用できる。
前記分散安定剤として、リン酸カルシウム塩等の酸、アルカリに溶解可能な化合物などを用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去することが好ましい。なお、前記リン酸カルシウム塩の除去は、その他酵素による分解などの操作によって行ってもよい。
前記乳化乃至分散工程において使用される分散機としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波分散機などが挙げられる。これらの中でも、分散体(油滴)の粒径を2μm〜20μmに制御することができる点で、高速せん断式分散機が好ましい。前記高速せん断式分散機を用いた場合、回転数、分散時間、分散温度等の条件は、目的に応じて適宜選択することができる。前記回転数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1,000rpm〜30,000rpmが好ましく、5,000rpm〜20,000rpmがより好ましい。前記分散時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、バッチ方式の場合、0.1分間〜5分間が好ましい。前記分散温度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、加圧下において、0℃〜150℃が好ましく、40℃〜98℃がより好ましい。なお、一般に、前記分散温度が高温である方が分散は容易である。
<<溶剤除去工程>>
前記溶剤除去工程は、前記乳化乃至分散物(乳化スラリー等の分散液)から溶剤を除去する工程である。前記溶剤を除去する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、反応系全体を徐々に昇温させて、油滴中の有機溶剤を蒸発させる方法、分散液を乾燥雰囲気(空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体)中に噴霧(スプレードライヤー、ベルトドライヤー、ロータリーキルン等)して、油滴中の溶剤を除去する方法などが挙げられる。前記乳化乃至分散物が噴霧される乾燥雰囲気としては、例えば、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体雰囲気などが挙げられ、中でも、最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気体雰囲気が好ましい。これらの方法により、短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。前記溶剤が除去されると、トナー母体が形成される。
<<洗浄乃至乾燥工程>>
前記洗浄乃至乾燥工程は、前記トナー母体を洗浄乃至乾燥する工程である。前記トナー母体は、更に分級等を行ってもよい。前記分級は、液中でサイクロン、デカンター、遠心分離などにより、微粒子部分を取り除くことにより行ってもよいし、乾燥後に分級操作を行ってもよい。なお、得られた不要の微粒子又は粗粒子は、再び微粒子の形成に用いることができる。その際、微粒子又は粗粒子は、ウェット状態でも構わない。
乳化乃至分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
前記分散剤は得られた乳化乃至分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、前記分級と同時に行うのが好ましい。
<<外添剤処理工程>>
前記外添剤処理工程は、乾燥後の前記トナー母体と、前記外添剤とを混合して処理する工程である。前記トナー母体と、前記外添剤とを混合することにより、本発明のトナーが得られる。前記混合に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)が好ましい。なお、前記トナー母体の表面から前記外添剤等の粒子が脱離することを抑制するために、機械的衝撃力を印加してもよい。前記機械的衝撃力を印加する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、高速で回転する羽根を用いて混合物に衝撃力を印加する方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させて粒子同士又は粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などが挙げられる。前記方法に用いる装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、オングミル(ホソカワミクロン株式会社製)、I式ミル(日本ニューマチック工業株式会社製)を改造して粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(株式会社奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業株式会社製)、自動乳鉢などが挙げられる。
<トナーの特性>
[シリカ遊離量]
超音波振動法により測定した、前記トナーからのシリカ遊離量A(質量%)は、下記式(i)の関係を満たす。
0.4≦A≦1.0 ・・・式(i)
前記超音波振動法により測定した前記シリカ遊離量Aは、トナー試料3.75gを、110mLバイアル中の0.5質量%ポリオキシアルキレンアルキルエーテル分散液50mLに分散し、20kHz、750ワットで1分間超音波振動を付与したときの前記トナー試料からのシリカの遊離量を、前記トナー試料に対する量(質量%)で表した値である。
前記シリカ遊離量Aが0.4未満であると、高温高湿環境のストレスでシリカが埋没し、十分な転写性が得られないことがある。前記シリカ遊離量Aが1.0を超えると、高温高湿環境のストレスを受ける前の(初期の)トナーで、フィルミングが発生する。
前記シリカ遊離量Aは、0.5以上であることが、転写性悪化に対する余裕度が向上する点で好ましく、0.8以下であることが、耐フィルミング性の余裕度が向上する点で好ましい。
[高温高湿環境ストレス後のシリカ遊離量の低下量]
40℃、70%RH、及び14日間の高温高湿環境ストレスを受けた後の前記トナーからのシリカ遊離量B(質量%)の前記シリカ遊離量Aに対する低下量は、40%以下である。
前記シリカ遊離量Bは、トナー試料(高温高湿環境ストレスを受けた後のトナー)3.75gを、110mLバイアル中の0.5質量%ポリオキシアルキレンアルキルエーテル分散液50mLに分散し、20kHz、750ワットで1分間超音波振動を付与したときの前記トナー試料からのシリカの遊離量を、高温高湿環境ストレスを受ける前の前記トナー試料に対する量(質量%)で表した値である。
前記低下量は、高温高湿環境ストレスを受ける前のシリカ遊離量A、前記高温高湿環境ストレスを受けた後のシリカ遊離量Bとした場合、(A−B)/A×100(%)で表される。
前記低下量は、30%以下であることがより好ましい。ここでいう高温高湿環境ストレスとは、40℃、70%RH(絶対湿度0.033kg/kgDA以下)、14日間である。
前記低下量が40%を超えると、高温高湿環境ストレスにより外添剤がトナーに過度に埋没し、優れた流動性又は転写性が得られず異常画像が発生する。一方、前記低下量が40%以下であると、外添剤の埋没が抑制され、優れた流動性及び転写性が得られる。前記低下量30%以下であることがより好ましく、この場合、前記埋没による流動性又は転写性の余裕度を向上させる。低下量が小さいほど、外添剤の埋没による転写不良を抑制し、良好な画像品質が得られる。
前記高温高湿環境ストレスとしては、温度は40℃を上限とし、湿度は40℃以下で相対湿度70%RHとの組み合わせにより算出される絶対湿度0.033kg/kgDAを上限とし、保管期間は輸送時間や滞留期間等を想定して14日間を最長とする限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
40℃、50%RH、及び14日間の高温高湿環境ストレスを受けた後のトナーからのシリカ遊離量B’(質量%)のシリカ遊離量Aに対する低下量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30%以下であることが好ましい。
なお、前記シリカ遊離量B’は、高温高湿環境ストレスを40℃、50%RH、及び14日間に変更したこと以外は、前記シリカ遊離量Bと同様にして測定した値である。
[超音波振動法によるシリカ遊離量の測定]
トナーからのシリカ遊離量A(質量%)、高温高湿環境ストレスを受けた後のトナーからのシリカ遊離量B(質量%)、及びシリカ遊離量Bのシリカ遊離量Aに対する低下量(%)は、より具体的には、以下の手順により測定及び算出した値である。
500mLビーカーに、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(ノイゲンET−165、第一工業製薬株式会社製)10g、純水300mL入れ、1時間超音波にかけて分散を行い、分散液Aを得る。その後、2Lのメスフラスコに分散液Aを移してメスアップをし、1時間超音波にかけて溶かし、0.5%ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む分散液Bを得る。
分散液B50mLを110mLスクリュー管に注入し、更にサンプルとなるトナー試料を3.75g加える。スクリュー管が分散液Bになじむまで、30分間〜90分間撹拌して液Cを得る。この時、できるだけ回転を小さくして泡が立たないようにする。十分にトナーを分散させてから、超音波ホモジナイザー(VCX750、SONICS&Materials,Inc.製、20kHz、750ワット)にて、振動部を液Cに2.5cm進入させ、出力エネルギー40%で、1分間超音波振動を付与し、液Dを作製する。
液Dを50mL遠沈管に入れ、2,000rpmにて2分間遠心分離を行い、上澄み液と沈殿物を得る。沈殿物を60mLの純水で洗い込みながらセパロートに注ぎ、吸引ろ過により洗浄水を除去する。
ろ過後の沈殿物を再度ミニカップに入れ、純水60mLをミニカップに注ぎ入れ、スパチュラの柄で5回かき混ぜる。この時あまり激しくかき混ぜない。再度吸引ろ過により洗浄水を除去し、ろ紙上残ったトナーを回収し、40℃恒温槽で8時間乾燥させる。乾燥後得られたトナー3g、自動加圧成型機(T−BRB−32、Maekawa社製;荷重6.0t、加圧時間60秒間)にて直径3mm、厚み2mmにペレット成型し、処理後サンプルトナーとする。
上記処理をしていない初期サンプルトナーを、同様に直径3mm、厚み2mmにペレット成型し、処理前サンプルトナーとする。
蛍光X線装置(ZSX−100e、株式会社リガク製)にて定量分析で、ペレット成型したサンプルトナーのシリカの部数を測定する。使用する検量線は、予めトナー100部に対するシリカ含有量が0.1質量部、1質量部、1.8質量部のトナーサンプルで作成する。
下記の式によってシリカ遊離量(質量%)及び低下量(%)を算出する。
シリカ遊離量A(質量%)=[処理前サンプルトナーのシリカ含有量(部)−処理後サンプルトナーのシリカ含有量(部)]/処理前サンプルトナー(部)×100
シリカ遊離量B(質量%)=[処理前サンプルトナーのシリカ含有量(部)−高温高湿環境ストレスを受けた後のトナーにおける処理後サンプルトナーのシリカ含有量(部)]/処理前サンプルトナー(部)×100
低下量(%)=(シリカ遊離量A−シリカ遊離量B)/シリカ遊離量A×100
(現像剤)
本発明の現像剤は、少なくとも本発明のトナーを含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。前記現像剤は、一成分現像剤であってもよく、二成分現像剤であってもよい。なお、前記現像剤が、二成分現像剤である場合には、本発明のトナーとキャリアとを混合して用いればよく、一成分現像剤である場合には、本発明のトナーを一成分系の磁性トナー又は非磁性トナーとして用いればよい。
前記現像剤は、少なくとも本発明の前記トナーと、前記キャリアとを含む二成分現像剤であることが好ましい。
<キャリア>
前記キャリアは、磁性を有する芯粒子、及び該芯粒子を被覆する被覆樹脂を含み、更に必要に応じて導電性微粉末等を含む。
−芯粒子−
前記芯粒子としては、前記キャリアに1,000エルステッド(Oe)の磁場を印加したときに、磁化量が40emu/g以上となる芯粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、鉄、コバルトなどの強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、MnZn系フェライト、CuZn系フェライト、NiZn系フェライト、Ba系フェライト、Mn系フェライトなどが挙げられる。前記芯粒子は、磁性材料の破砕物粒子を、フェライト、マグネタイト等の芯粒子を用いる場合には、焼成前の一次造粒品を分級し、焼成した粒子を、分級処理により異なる粒度分布をもつ粒子粉体に分級した後、複数の粒子粉体を混合することで得ることができる。
前記芯粒子を分級する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ふるい分け機、重力分級機、遠心分級機、慣性分級機などの従来公知の分級方法を使用することができるが、生産性が良好で分級点の変更が容易にできることから重力分級機、遠心分級機、慣性分級機といった風力分級機を使用することが好ましい。
−被覆樹脂−
前記被覆樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アミノ系樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリビニリデン系樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、シリコーン樹脂が好ましい。
前記シリコーン樹脂としては、例えば、ストレートシリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂などが挙げられる。前記ストレートシリコーン樹脂としては、例えば、KR271、KR272、KR282、KR252、KR255、KR152(信越化学工業株式会社製)、SR2400、SR2406(東レ・ダウコーニング株式会社製)などが挙げられる。
前記変性シリコーン樹脂としては、例えば、エポキシ変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、アルキッド変性シリコーンなどが挙げられる。上記変性シリコーン樹脂の具体例としては、エポキシ変性物:ES−1001N、アクリル変性シリコーン:KR−5208、ポリエステル変性物:KR−5203、アルキッド変性物:KR−206、ウレタン変性物:KR−305(以上、信越化学工業株式会社製)、エポキシ変性物:SR2115、アルキッド変性物:SR2110(東レ・ダウコーニング株式会社製)などが挙げられる。
更に、以下に示す樹脂を単独又は前記シリコーン樹脂と混合して使用することも可能である。
このような樹脂としては、例えば、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体などのスチレン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、メラミン樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
また、前記シリコーン樹脂を含む被覆層にアミノシランカップリング剤を含有させることにより、耐久性の良好なキャリアを得ることができる。
前記アミノシランカップリング剤の前記被覆樹脂に対する含有量としては、0.001質量%〜30質量%が好ましい。
前記被覆樹脂により形成される被覆層の厚みとしては、通常0.02μm〜1μm、好ましくは0.03μm〜0.8μmである。前記被覆層の厚みは極めて小さいことから、芯材粒子表面上に被覆層を形成したキャリアと前記芯材粒子の粒径は実質的に同じである。
−導電性微粉末−
前記導電性微粉末としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性ZnO、Al等の金属;酸化セリウム、アルミナ、例えば表面を疎水化したSiO、TiO等の金属酸化物;種々の方法で調製されたSnO又は種々の元素をドープしたSnO;TiB、ZnB、MoB等のホウ化物;炭化ケイ素、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリ(パラ−フェニレンスルフィド)ポリピロール、ポリエチレン等の導電性高分子;ファーネスブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラックなどが挙げられる。前記導電性微粉末の重量平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以下が好ましい。前記重量平均粒径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になることがある。
−キャリアの製造方法−
前記キャリアの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記芯粒子の表面に被覆層を形成することにより製造する方法などが挙げられる。前記芯粒子の表面に被覆層を形成するための方法としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スプレードライ法、浸漬法、パウダーコーティング法などが挙げられるが、均一な被覆層の形成に有効な点で、流動層型コーティング装置を用いる方法が好ましい。
前記導電性微粉末を前記芯材粒子に被着させてキャリアを製造する方法としては、例えば、コーティングに使用する溶媒、あるいは被覆用樹脂溶液に導電性微粉末を投入後、ボールミル、ビーズミルなどメディアを使用した分散機、あるいは高速回転する羽根を備えた撹拌機を使用することによって均一に分散させて被覆層形成用分散液を調製し、この被覆層形成用分散液を用いて芯材粒子に被着させてキャリアを製造する方法などが挙げられる。
前記キャリアと前記トナーとの含有量比としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記キャリア100質量部に対して、前記トナーを1質量部〜10質量部含むことが好ましい。
前記キャリアの重量平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm〜45μmであることが好ましい。
前記重量平均粒径が、20μm未満であると、磁気ブラシの至るところに磁化の小さな粒子が存在するようになり、転写時にキャリアも転写されるキャリア付着が生じることがある。前記重量平均粒径が、45μmを超えると、キャリア付着は起りにくいが、高画像濃度を得るためにトナー濃度を高くした場合、地汚れが発生しやすくなる。また、潜像のドット径が小さい場合、ドット再現性のバラツキが大きくなり、ハイライト部の粒状性が悪くなることがある。
前記重量平均粒径が22μm〜32μmのキャリアにおいて、36μmより小さい粒子が80質量%以上(より好ましくは82質量%以上)、44μmより小さい粒子の含有量が90質量%以上となるシャープな粒径分布の樹脂で被覆されたキャリアは、各キャリア粒子の磁化のばらつきが小さくなり、直流バイアスを印加する現像方法によって、キャリア付着を大幅に改善できる。
特に、20μmより小さい粒径を有する粒子の含有量が0質量%〜7質量%、36μmより小さい粒子の含有量が80質量%〜100質量%、44μmより小さい粒子の含有量が90質量%〜100質量%の範囲となるシャープな粒度分布の樹脂で被覆されたキャリアは、各キャリア粒子の磁化のバラツキが小さくなり、キャリア付着を大幅に改善することができる。
前記キャリアとしては、より粒度分布がシャープで粒度の揃ったものが好ましく、前記重量平均粒径(Dw)に加えて、個数平均粒径(Dp)で規制されたキャリア及びキャリア芯材粒子が使用されることが好ましい。
前記粒径分布を測定するための粒度分析計としては、例えば、マイクロトラック粒度分析計(モデルHRA9320−X100、Honewell社製)を用いることができる。
また、前記キャリアにおいては、磁気ブラシを形成する必要から所定の磁化が必要となるが、このようなキャリアの磁化量としては、1,000エルステッド(Oe)の磁場を印加したときの磁化量が、40emu/g〜100emu/gが好ましく、50emu/g〜90emu/gがより好ましい。40emu/gより小さくなるとキャリア付着が生じ易く、100emu/g以上になると、磁気ブラシの穂跡が強くなる。
前記磁化量は、次のようにして測定することができる。
B−Hトレーサー(BHU−60、理研電子株式会社製)を使用し、円筒のセルにキャリア芯材粒子1gを詰めて装置にセットする。磁場を徐々に大きくし、3,000エルステッドまで変化させ、次に徐々に小さくして零にした後、反対向きの磁場を徐々に大きくし3,000エルステッドとする。更に、徐々に磁場を小さくして零にした後、最初と同じ方向に磁場をかける。このようにして、B−Hカーブを描図し、その図より1,000エルステッドの磁気モーメントを算出する。
このようなキャリアの磁化量は、基本的には、芯材粒子となる磁性材料によって基本的には決定され、1,000エルステッド(Oe)の磁場を印加したときに、40emu/g以上となる芯材粒子を用いることにより得られる。
前記キャリアの電気抵抗率(logR)としては、11.0Ω・cm〜17.0Ω・cmが好ましく、11.5Ω・cm〜16.5Ω・cmがより好ましい。前記電気抵抗率が11.0Ω・cm未満であると、現像ギャップ(感光体と現像スリーブ間の最近接距離)が狭くなった場合、キャリアに電荷が誘導されてキャリア付着が発生し易くなる。前記電気抵抗率が17.0Ω・cmを超えると、エッジ効果が強くなり、ベタ画像部の画像濃度が低くなり、また、トナーと反対極性の電荷が溜まりやすくなり、キャリアが帯電してキャリア付着が起き易くなる。
前記キャリアの電気抵抗率を調整する方法としては、例えば、芯材粒子上の被覆樹脂の抵抗を調整する方法、被覆層厚を制御する方法、前記導電性微粉末を被覆樹脂層に添加する方法などが挙げられる。
前記キャリアの嵩密度としては、2.15g/cm〜2.70g/cmが好ましく、2.25g/cm〜2.60g/cmがより好ましい。前記キャリアの嵩密度がキャリア付着に影響する。キャリアが多孔性、又は表面の凹凸が大きくなり、前記嵩密度が2.15g/cm未満となると、芯材粒子の1KOeの磁化量(emu/g)が大きくても、1粒子当たりの実質的な磁化の値が小さくなるため、キャリア付着に対して不利である。
前記嵩密度を大きくするには、焼成温度を高くすることなどにより可能であるが、芯材粒子同士が融着し易くなり、解砕し難くなるため2.70g/cm未満が好ましく、2.60g/cm未満がより好ましい。
前記キャリアの嵩密度は、金属粉−見掛密度試験方法(JIS−Z−2504)に従って測定することができる。具体的には、直径2.5mmのオリフィスからキャリアを自然に流出させ、その直下においた25cmのステンレス製の円柱状容器にキャリアをあふれるまで流し込んだ後、容器の上面を非磁性の水平なへらを用いて容器の上端に沿って一回の操作で平らに掻き取る。もし、直径2.5mmのオリフィスでは流動しにくい場合は、直径5mmのオリフィスからキャリアを自然流出させる。この操作により、容器に流入したキャリア重量を、容器の体積25cmで割ることにより、1cm当りのキャリアの重量を求める。これを、キャリアの嵩密度と定義する。
(画像形成装置、及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体(以下、「感光体」と称することがある。)と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有し、更に必要に応じて、その他の手段を有する。
前記画像形成装置は、前記現像手段において本発明の前記トナーを用いる。
また、前記画像形成装置は、前記記録媒体の送り方向を前記記録媒体の短手方向として、A4サイズの前記記録媒体に対して画像形成したときに、55枚/分間以上の速度で画像形成が可能であることが好ましい。
前記画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。前記画像形成方法は、前記現像工程において本発明の前記トナーを用いる。
前記画像形成方法は、前記画像形成装置により好適に行うことができ、前記静電潜像形成工程は、前記静電潜像形成手段により好適に行うことができ、前記現像工程は、前記現像手段により好適に行うことができ、前記転写工程は、前記転写手段により好適に行うことができ、前記定着工程は、前記定着手段により好適に行うことができ、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
<静電潜像担持体>
前記静電潜像担持体の材質、構造、大きさとしては、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、その材質としては、例えば、アモルファスシリコン、セレン等の無機感光体、ポリシラン、フタロポリメチン等の有機感光体などが挙げられる。これらの中でも、長寿命性の点でアモルファスシリコンが好ましい。
前記アモルファスシリコン感光体としては、例えば、支持体を50℃〜400℃に加熱し、該支持体上に真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD(化学気相成長、Chemical Vapor Deposition)法、光CVD法、プラズマCVD法等の成膜法によりa−Siからなる光導電層を有する感光体を用いることができる。これらの中でも、プラズマCVD法、即ち、原料ガスを直流又は高周波あるいはマイクロ波グロー放電によって分解し、支持体上にa−Si堆積膜を形成する方法が好適である。
前記静電潜像担持体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、円筒状が好ましい。前記円筒状の前記静電潜像担持体の外径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、3mm〜100mmが好ましく5mm〜50mmがより好ましく、10mm〜30mmが特に好ましい。
<静電潜像形成手段及び静電潜像形成工程>
前記静電潜像形成手段としては、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記静電潜像担持体の表面を帯電させる帯電部材と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光部材とを少なくとも有する手段などが挙げられる。
前記静電潜像形成工程としては、前記静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記静電潜像担持体の表面を帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段を用いて行うことができる。
−帯電部材及び帯電−
前記帯電部材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、導電性又は半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器などが挙げられる。
前記帯電は、例えば、前記帯電部材を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電部材の形状としては、ローラの他にも、磁気ブラシ、ファーブラシ等どのような形態をとってもよく、前記画像形成装置の仕様や形態にあわせて選択することができる。
前記帯電部材として前記磁気ブラシを用いる場合、該磁気ブラシとしては、例えば、Zn−Cuフェライト等の各種フェライト粒子を帯電部材として用い、これを支持させるための非磁性の導電スリーブ、これに内包されるマグネットロールによって構成される。
前記帯電部材として前記ファーブラシを用いる場合、該ファーブラシの材質としては、例えば、カーボン、硫化銅、金属又は金属酸化物により導電処理されたファーを用い、これを金属や他の導電処理された芯金に巻き付けたり張り付けたりすることで帯電部材とすることができる。
前記帯電部材としては、前記接触式の帯電部材に限定されるものではないが、帯電部材から発生するオゾンが低減された画像形成装置が得られるので、接触式の帯電部材を用いることが好ましい。
−露光部材及び露光−
前記露光部材としては、前記帯電部材により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系等の各種露光部材などが挙げられる。
前記露光部材に用いられる光源としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物全般などが挙げられる。
また、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。
前記露光は、例えば、前記露光部材を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
<現像手段及び現像工程>
前記現像手段としては、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を現像して可視像を形成する、トナーを備える現像手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記現像工程としては、前記静電潜像担持体に形成された前記静電潜像を、トナーを用いて現像して可視像を形成する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記現像手段により行うことができる。
前記トナーは、本発明の前記トナーである。
前記現像手段は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよい。また、単色用現像手段であってもよいし、多色用現像手段であってもよい。
前記現像手段としては、前記トナーを摩擦撹拌させて帯電させる撹拌器と、内部に固定された磁界発生手段を有し、かつ表面に前記トナーを含む現像剤を担持して回転可能な現像剤担持体を有する現像装置が好ましい。
前記現像手段内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合撹拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
<転写工程及び転写手段>
前記転写手段としては、可視像を記録媒体に転写する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
前記転写工程としては、可視像を記録媒体に転写する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましい。
前記転写工程は、例えば、前記可視像を、転写帯電器を用いて前記感光体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。
ここで、前記記録媒体上に二次転写される画像が複数色のトナーからなるカラー画像である場合に、前記転写手段により、前記中間転写体上に各色のトナーを順次重ね合わせて当該中間転写体上に画像を形成し、前記中間転写手段により、当該中間転写体上の画像を前記記録媒体上に一括で二次転写する構成とすることができる。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルトなどが好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記感光体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写器としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器などが挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
<定着工程及び定着手段>
前記定着手段としては、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧部材が好ましい。前記加熱加圧部材としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組合せなどが挙げられる。
前記定着工程としては、前記記録媒体に転写された可視像を定着させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着工程は、前記定着手段により行うことができる。
前記加熱加圧部材における加熱は、通常80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記定着工程における面圧としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10N/cm〜80N/cmであることが好ましい。
<その他の手段及びその他の工程>
前記その他の手段としては、例えば、トナー移送手段、クリーニング手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段などが挙げられる。
前記その他の工程としては、例えば、トナー移送工程、クリーニング工程、除電工程、リサイクル工程、制御工程などが挙げられる。
−トナー移送工程及びトナー移送手段−
前記トナー移送手段は、画像形成に伴い消費されたトナー量に応じて、収納容器に収納された補給用トナーを現像手段に補給する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記トナー移送工程は、画像形成に伴い消費されたトナーの量に応じて、収納容器に収納された補給用トナーを現像手段に補給する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記トナー移送手段により行うことができる。
−クリーニング工程及びクリーニング手段−
前記クリーニング手段としては、前記感光体上に残留する前記トナーを除去できる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナなどが挙げられる。
前記クリーニング工程としては、前記感光体上に残留する前記トナーを除去できる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記クリーニング手段により行うことができる。
−除電工程及び除電手段−
前記除電手段としては、前記感光体に対し除電バイアスを印加して除電する手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除電ランプなどが挙げられる。
前記除電工程としては、前記感光体に対し除電バイアスを印加して除電する工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記除電手段により行うことができる。
−リサイクル工程及びリサイクル手段−
前記リサイクル手段としては、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像装置にリサイクルさせる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の搬送手段などが挙げられる。
前記リサイクル工程としては、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像装置にリサイクルさせる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記リサイクル手段により行うことができる。
−制御工程及び制御手段−
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御できる手段であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器などが挙げられる。
前記制御工程としては、前記各工程の動きを制御できる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記制御手段により行うことができる。
[画像形成装置の実施形態]
以下では、図面を用いて、本発明の画像形成装置の実施形態について説明する。
図4に、本発明で用いる画像形成装置の一例を示す。画像形成装置100Aは、像担持体としてのドラム状の感光体としての感光体10と、帯電手段としての帯電装置20と、露光手段としての露光装置30と、現像手段としての現像装置40と、中間転写体50と、クリーニング手段としてのクリーニング装置60と、除電手段としての除電ランプ70とを備える。
図4に示す中間転写体50は、無端ベルトであり、矢印方向に移動することができるように3個のローラ51で張架されている。3個のローラ51の一部は、中間転写体50へ所定の転写バイアス(一次転写バイアス)を印加することができる転写バイアスローラとしても機能する。中間転写体50の近傍には、クリーニングブレードを有するクリーニング装置90が配置されている。また、記録媒体95に可視像(トナー像)を転写(二次転写)するための転写バイアスを印加することができる転写手段としての転写ローラ80が対向して配置されている。中間転写体50の周囲には、中間転写体50上のトナー像に電荷を付与するためのコロナ帯電器58が、中間転写体50の回転方向において、感光体10と中間転写体50との接触部と、中間転写体50と記録媒体(転写紙)95との接触部の間に配置されている。
図4に示す現像装置40は、現像剤担持体としての現像ベルト41と、現像ベルト41の周囲に併設したブラック現像器45K、イエロー現像器45Y、マゼンタ現像器45M及びシアン現像器45Cとから構成されている。なお、ブラック現像器45Kは、現像剤収容部42Kと現像剤供給ローラ43Kと現像ローラ44Kを備えており、イエロー現像器45Yは、現像剤収容部42Yと現像剤供給ローラ43Yと現像ローラ44Yとを備えており、マゼンタ現像器45Mは、現像剤収容部42Mと現像剤供給ローラ43Mと現像ローラ44Mを備えており、シアン現像器45Cは、現像剤収容部42Cと現像剤供給ローラ43Cと現像ローラ44Cを備えている。また、現像ベルト41は、無端ベルトであり、矢印方向に移動することができるように複数のベルトローラで張架され、一部が感光体10と接触している。
図4に示す画像形成装置100Aにおいて、帯電装置20は、感光体10を一様に帯電させた後、露光装置30を用いて感光体10に露光を行い、静電潜像を形成する。次に、感光体10上に形成された静電潜像に現像装置40から現像剤を供給することにより、現像してトナー像を形成する。更に、トナー像がローラ51により印加された電圧により中間転写体50上に転写(一次転写)され、更に記録媒体95上に転写(二次転写)される。この結果、記録媒体95上に転写像が形成される。なお、感光体10上に残存したトナーは、クリーニングブレードを有するクリーニング装置60により除去され、感光体10の帯電電荷は、除電ランプ70により除去される。
図5に、本発明で用いる画像形成装置の他の例を示す。画像形成装置100Bは、現像ベルト41を備えず、感光体10の周囲に、ブラック現像ユニット45K、イエロー現像ユニット45Y、マゼンタ現像ユニット45M、及びシアン現像ユニット45Cが対向して配置されている以外は、画像形成装置100Aと同様の構成を有し、同様の作用効果を示す。なお、図5において、図4におけるものと同じものは、同符号で示した。
図6に、本発明で用いる画像形成装置の他の例を示す。画像形成装置100Cは、タンデム型カラー画像形成装置である。画像形成装置100Cは、複写装置本体150と、給紙テーブル200と、スキャナ300と、原稿自動搬送装置400とを備えている。複写装置本体150には、無端ベルト状の中間転写体50が中央部に設けられている。中間転写体50は、図中、時計回りに移動することができるように、支持ローラ14、15及び16に張架されている。支持ローラ15の近傍には、中間転写体50上に残留したトナーを除去するための中間転写体クリーニング装置17が配置されている。支持ローラ14及び15により張架された中間転写体50には、その搬送方向に沿って、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色の画像形成手段18が対向して並置されたタンデム型現像器120が配置されている。タンデム型現像器120の近傍には、露光装置21が配置されている。中間転写体50のタンデム型現像器120が配置された側と反対側には、二次転写装置22が配置されている。二次転写装置22は、無端ベルトである二次転写ベルト24が一対のローラ23に張架されており、二次転写ベルト24上を搬送される記録紙と中間転写体50は、互いに接触可能である。二次転写装置22の近傍には定着装置25が配置されている。定着装置25は、無端ベルトである定着ベルト26と、定着ベルト26に押圧して配置された加圧ローラ27を備えている。なお、画像形成装置100Cは、二次転写装置22及び定着装置25の近傍に、転写紙を反転させるシート反転装置28が配置されている。これにより、記録紙の両面に画像を形成することができる。
図7に、本発明で用いる画像形成装置の他の例として、タンデム型現像器120を用いたフルカラー画像の形成(カラーコピー)について説明する。なお、図7において、図6におけるものと同じものは、同符号で示した。タンデム型現像器120における各色の画像形成手段18は、それぞれ、感光体10と、感光体10を一様に帯電させる帯電器59と、各色の画像情報に基づいて感光体10を露光(図中、L)することにより、感光体10上に静電潜像を形成する露光装置21と、各色のトナーを用いて静電潜像を現像することにより、感光体10上に各色のトナー像を形成する現像器61と、各色のトナー像を中間転写体50上に転写する転写帯電器62と、感光体クリーニング装置63と、除電器64を備えている。
図7に示すタンデム型現像器120は、まず、原稿自動搬送装置400の原稿台130上に原稿をセットするか、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じる。スタートスイッチ(不図示)を押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットした時は、原稿がコンタクトガラス32上へ搬送された後で、一方、コンタクトガラス32上に原稿をセットした時は、直ちに、スキャナ300が駆動し、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。このとき、第1走行体33により照射された光の原稿面からの反射光は、第2走行体34におけるミラーで反射され、結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に受光される。これにより、カラー原稿(カラー画像)が読み取られ、ブラック、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色の画像情報とされる。この各色の画像情報は、タンデム型現像器120における各色の画像形成手段18にそれぞれ伝達され、各色のトナー像が形成される。ブラック用感光体10K上のトナー像、イエロー用感光体10Y上のトナー像、マゼンタ用感光体10M上のトナー像及びシアン用感光体10C上のトナー像は、中間転写体50上に、順次転写(一次転写)される。そして、中間転写体50上で各色のトナー像が重ね合わされて合成カラー画像(カラー転写像)が形成される。
一方、図7に示す給紙テーブル200は、給紙ローラ142aの一つを選択的に回転させ、ペーパーバンク143に多段に備える給紙カセット144の一つから記録紙を繰り出し、分離ローラ145aで1枚ずつ分離して給紙路146に送り出し、搬送ローラ147で搬送して複写機本体150内の給紙路148に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。又は、給紙ローラ142bを回転させて手差しトレイ52上の記録紙を繰り出し、分離ローラ145bで1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。レジストローラ49は、一般には接地されて使用されるが、シートの紙粉除去のためにバイアスが印加された状態で使用してもよい。そして、中間転写体50上に形成されたカラー転写像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転させ、中間転写体50と二次転写装置22との間に記録紙を送り出すことにより、記録紙上にカラー転写像が形成される。カラー転写像が形成された記録紙は、二次転写装置22により定着装置25に搬送されて、熱と圧力によりカラー転写像が記録紙上に定着される。その後、記録紙は、切り換え爪55で切り換えて排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。又は、切り換え爪55で切り換えてシート反転装置28により反転されて再び転写位置へと導き、裏面にも画像を形成した後、排出ローラ56により排出され、排紙トレイ57上にスタックされる。なお、転写後の中間転写体50上に残留するトナーは、中間転写体クリーニング装置17によりクリーニングされる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、各種改変できるものである。
以下、本発明を実施例及び比較例にて更に詳細に説明する。なお、本発明は、ここに例示される実施例及び比較例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」は、特に記載がなければ「質量部」及び「質量%」を表す。
(外添剤の製造)
<製造例1:外添剤A1の製造>
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた3リットルのガラス製反応器にメタノール693.0部、水46.0部、28%アンモニア水55.3部を添加して混合した。得られた溶液を42℃に調整し、撹拌しながらテトラメトキシシラン1293.0部(8.5モル)及び5.4%アンモニア水464.5部を同時に添加開始し、前者は6時間、そして後者は4時間かけて滴下した。テトラメトキシシラン滴下後も0.5時間撹拌を続け加水分解を行い、シリカ微粒子の懸濁液を得た。得られた懸濁液に室温でヘキサメチルジシラザン547.4部(3.39モル)を添加し、120℃に加熱して3時間反応させ、シリカ微粒子をトリメチルシリル化した。その後、溶媒を減圧下で留去して平均一次粒径68nmのシリカ553.0部を得た。
次いで、処理剤(ヘキサメチルジシラザン)を用いたゾルゲル法により、焼成温度800℃、及び焼成時間3時間でシリカの一次粒子同士が合着されてなる非球形シリカ(平均二次粒径160nm)である[外添剤A1]を製造した。シリカ一次粒子と処理剤との混合は、スプレードライヤーを用いて行った。
なお、前記処理剤として、メチルトリメトキシシラン1部に対して、処理助剤(水又は1%酢酸水溶液)0.1部を添加して調製したものを用いた。
前記二次粒子の平均粒径の測定は、前記二次粒子をテトラヒドロフランに分散させた後、基板上で溶剤を除去して乾固させたサンプルを、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM、加速電圧:2.5kV、観察倍率:80,000倍)にて視野中の二次粒子の粒径を計測することにより行い、具体的には、合着している二次粒子の外枠から全体像を予測し、全体像の最長長さ(図2に示す矢印の長さ)の平均値を計測(計測した粒子数:100個以上)することにより行った。
<製造例2〜18:外添剤A2〜A18の製造>
製造例1において、表2に示す平均一次粒径を有する一次粒子を用い、表2に示す通り、焼成温度を変更して非球形シリカの合着度を調整したこと以外は、製造例1と同様にして、非球形シリカである[外添剤A2〜A18]を製造した。
<製造例16:外添剤A16の製造>
撹拌機、滴下ロート、温度計を備えた3リットルのガラス製反応器にメタノール693.0部、水46.0部、28%アンモニア水55.3部を添加して混合した。得られた溶液を42℃に調整し、撹拌しながらテトラメトキシシラン1293.0部(8.5モル)及び5.4%アンモニア水464.5部を同時に添加開始し、前者は6時間、そして後者は4時間かけて滴下した。テトラメトキシシラン滴下後も0.5時間撹拌を続け加水分解を行い、シリカ微粒子の懸濁液を得た。得られた懸濁液に室温でヘキサメチルジシラザン547.4部(3.39モル)を添加し、120℃に加熱して3時間反応させ、シリカ微粒子をトリメチルシリル化した。その後、溶媒を減圧下で留去し、平均一次粒径80nmの[シリカA15]553.0部を得た。
<製造例17:外添剤A17の製造>
製造例16において、撹拌温度を40℃に変更した以外は、製造例16と同様にして、平均一次粒径130nmの[シリカA17]553.0部を得た。
<製造例18:外添剤A18の製造>
製造例16において、撹拌温度を35℃に変更した以外は、製造例16と同様にして、平均一次粒径160nmの[シリカA18]553.0部を得た。
(合成例1:非結晶性ポリエステル(低分子ポリエステル)樹脂の合成)
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに、ビスフェノールAエチレンオキサイドサイド2モル付加物229部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物529部、テレフタル酸208部、アジピン酸46部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧、230℃で7時間反応し、更に10mmHg〜15mmHgの減圧で4時間反応した後、反応容器に無水トリメリット酸44部を入れ、180℃、常圧で2時間反応させて[非結晶性ポリエステル]を得た。
(合成例2:結晶性ポリエステル樹脂の合成)
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,6−ヘキサンジオール2,300g、フマル酸2,530g、無水トリメリット酸291g、ハイドロキノン4.9gを入れ、160℃で5時間反応させた後、200℃に昇温して1時間反応させ、更に8.3kPaにて1時間反応させて[結晶性ポリエステル樹脂]を得た。
(合成例3:結晶性ポリエステルの分散液の作製)
金属製2L容器に[結晶性ポリエステル樹脂]100g、及び酢酸エチル400gを入れ、75℃で加熱溶解させた後、氷水浴中で27℃/分間の速度で急冷した。これにガラスビーズ(直径3mm)500mLを加え、バッチ式サンドミル装置(株式会社カンペハピオ製)で10時間粉砕を行い、[結晶性ポリエステル分散液]を得た。
(合成例4:ポリエステルプレポリマーの合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリット酸22部及びジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、更に10mmHg〜15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル]を得た。[中間体ポリエステル]は、数平均分子量Mnが2,100、重量平均分子量Mwが9,500、ガラス転移温度Tgが55℃、酸価が0.5KOHmg/g、水酸基価が51KOHmg/gであった。
次に、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル]を410部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ、100℃で5時間反応させて[プレポリマー]を得た。
(合成例5:ケチミンの合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部、及びメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、[ケチミン化合物]を得た。[ケチミン化合物]のアミン価は418KOHmg/gであった。
(合成例6:マスターバッチ(MB)の合成)
水1,200部、カーボンブラック(Printex35、DBP吸油量=42mL/100mg、pH=9.5、エボニックデクサ社製)540部、[非結晶性ポリエステル]1,200部を加え、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)で混合し、混合物を2本ロールを用いて150℃で30分間混練後、圧延冷却し、パルペライザーで粉砕して、[マスターバッチ]を得た。
(実施例1)
<トナー母体Aの作製>
−油相Aの調製−
撹拌棒及び温度計をセットした容器に、[非結晶性ポリエステル]378部、カルナバワックス110部、帯電制御剤(CCA、サリチル酸金属錯体E−84、オリエント化学工業株式会社製)22部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液A]を得た。
[原料溶解液A]1,324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス株式会社製)を用いて、送液速度1kg/時間、ディスク周速度6m/秒間、直径0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、ワックスの分散を行った。次いで、[非結晶性ポリエステル]の65%酢酸エチル溶液を1042.3部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[油相A]を得た。[油相A]の固形分濃度(130℃、30分間)は50%であった。
−水相Aの調製−
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業株式会社製)11部、スチレン138部、メタクリル酸138部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分間で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し、5時間反応させた。更に、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液]を得た。[微粒子分散液]をLA−920(株式会社堀場製作所)で測定した体積平均粒径は、0.14μmであった。[微粒子分散液]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。
水990部、[微粒子分散液]83部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)37部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相A]とした。
−乳化乃至分散−
[油相A]664部、[プレポリマー]を109.4部、[結晶性ポリエステル分散液]を120.1部、[ケチミン化合物]4.6部を容器に入れ、TKホモミキサー(プライミクス株式会社製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相A]1,200部を加え、TKホモミキサーで、回転数8,000rpmで60秒間混合し、[乳化スラリーA]を得た。
−溶剤除去−
撹拌機及び温度計をセットした容器に、[乳化スラリーA]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、[分散スラリーA]を得た。
−洗浄乃至乾燥−
[分散スラリーA]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[濾過ケーキA]を得た。
[濾過ケーキA]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、[トナー母体A]を得た。
<外添剤処理>
[トナー母体A]100部に対して、外添剤A(大粒径シリカ)として[外添剤A1]1.1部、外添剤Bとして小粒径シリカ(H1303VP、クラリアント社製、平均一次粒径23nm)を0.6部、外添剤Cとして平均粒径20nmの酸化チタン(JMT−150IB、テイカ株式会社製)1.0部を、ヘンシェルミキサー(日本コークス工業株式会社製)にて混合(周速40m/秒間、6分間)した。混合順として、1段目に外添剤Aのみ添加して混合、2段目に外添剤Cを追加して混合、3段目に外添剤Bを添加して混合した。混合後は、目開き500meshの篩を通過させ、[トナーA]を得た。
<高温高湿環境ストレス>
[トナーA]を40℃70%RH(0.033kg/kgDA)の高温高湿環境下に14日間保管し、[トナー1]を得た。
(実施例2)
実施例1において、高温高湿環境ストレスを40℃70%RHから35℃92%RH(0.033kg/kgDA)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして[トナー2]を得た。
(実施例3)
実施例1において、高温高湿環境ストレスを0.033kg/kgDAから0.023kg/kgDA(40℃50%RH)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして[トナー3]を得た。
(実施例4)
実施例1において、高温高湿環境ストレスを0.033kg/kgDAから0.025kg/kgDA(35℃70%RH)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして[トナー4]を得た。
(実施例5)
実施例1において、[外添剤A1]を1.4部、外添剤Bを0.9部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして[トナー5]を得た。
(実施例6)
実施例5において、高温高湿環境ストレスを0.033kg/kgDAから0.023kg/kgDA(40℃50%RH)に変更したこと以外は、実施例5と同様にして[トナー6]を得た。
(実施例7)
実施例1において、[外添剤A1]を1.3部、外添剤Bを0.8部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして[トナー7]を得た。
(実施例8)
実施例7において、高温高湿環境ストレスを0.033kg/kgDAから0.023kg/kgDA(40℃50%RH)に変更したこと以外は、実施例7と同様にして[トナー8]を得た。
(実施例9)
実施例1において、[外添剤A1]を0.9部、外添剤Bを0.4部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして[トナー9]を得た。
(実施例10)
実施例9において、高温高湿環境ストレスを0.033kg/kgDAから0.023kg/kgDA(40℃50%RH)に変更したこと以外は、実施例9と同様にして[トナー10]を得た。
(実施例11)
実施例1において、[外添剤A1]を1.0部、外添剤Bを0.5部に変更したこと以外は、実施例1と同様にして[トナー11]を得た。
(実施例12)
実施例11において、高温高湿環境ストレスを0.033kg/kgDAから0.023kg/kgDA(40℃50%RH)に変更したこと以外は、実施例11と同様にして[トナー12]を得た。
(実施例13〜26)
実施例1において、[外添剤A1]を表2に示す[外添剤A2〜A15]にそれぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にしてそれぞれ[トナー13〜26]を得た。
(実施例27)
<トナー母体Bの製造>
−油相Bの作製−
ビーカー内に[非結晶性ポリエステル]100部、及び酢酸エチル130部を、撹拌して溶解させた。次いで、カルナウバワックス(分子量=1,800、酸価=2.5KOHmg/g、針入度=1.5mm(40℃))10部、及び[マスターバッチ]10部、帯電制御剤(サリチル酸金属錯体E−84、オリエント化学工業株式会社製)22部を仕込み、[結晶性ポリエステル分散液]を結晶性ポリエステルを固形分として10質量%追加し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス株式会社製)を用いて、送液速度1kg/時間、ディスク周速度6m/秒間、及び直径0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填した条件で3パスして原料溶解液を調製し、[油相2]を調製した。[油相2]の固形分濃度(130℃、30分間)は50%であった。
実施例1において、[油相1]に代えて[油相2]を用いたこと以外は、実施例1と同様にして[トナー27]を得た。
(実施例28〜41)
実施例27において、[外添剤A1]を表2に示す[外添剤A2〜A15]にそれぞれ変更したこと以外は、実施例27と同様にしてそれぞれ[トナー28〜41]を得た。
(比較例1〜3)
実施例1において、[外添剤A1]を表2に示す[外添剤A16〜A18]にそれぞれ変更したこと以外は、実施例1と同様にしてそれぞれ比較例1〜3の[トナー42〜44]を得た。
[キャリアの作製]
次に、トナーの実機評価に用いたキャリアを下記手順により作製した。
−キャリア原料−
アクリル樹脂溶液(固形分50%) 21.0部
グアナミン溶液(固形分70%) 6.4部
アルミナ粒子[0.3μm、固有抵抗1014(Ω・cm)] 7.6部
シリコーン樹脂溶液 65.0部
(SR2410、東レ・ダウコーニング株式会社製、固形分23%)
アミノシラン 1.0部
(SH6020、東レ・ダウコーニング株式会社製、固形分100%)
トルエン 60部
ブチルセロソルブ 60部
前記キャリア原料をホモミキサーで10分間分散し、アルミナ粒子を含むアクリル樹脂及びシリコーン樹脂の被覆膜形成溶液を得た。芯材として焼成フェライト粉[(MgO)1.8(MnO)49.5(Fe48.0、重量平均粒径:25μm]に前記被覆膜形成溶液を芯材表面に膜厚0.15μmになるようにスピラコーター(岡田精工株式会社製)により塗布し乾燥し被覆フェライト粉を得た。得られた被覆フェライト粉を電気炉中にて150℃で1時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き106μmの篩を用いて解砕し、重量平均粒径35μmの[キャリア]を得た。
なお、透過型電子顕微鏡にてキャリア断面を観察することにより、キャリア表面を覆う被覆膜を観察することができるため、その膜厚の平均値をもって被覆膜の膜厚とした。
[2成分系現像剤の作製]
[トナー1〜44]と[キャリア]とを用い、[キャリア]100部に対し各トナー7部を、容器が転動して撹拌される型式のターブラミキサーを用いて均一混合し帯電させ、2成分系現像剤である[現像剤1〜44]をそれぞれ作製した。
(評価)
実施例及び比較例で製造したトナーについて、下記の通り、シリカ遊離量、並びに高温高湿環境ストレスを受けた後の流動性、転写性、耐フィルミング性及び低温定着性についての評価を行った。結果を表3に示す。
<超音波振動法によるシリカ遊離量測定>
以下の手順により、トナーからのシリカ遊離量A(質量%)、高温高湿環境ストレスを受けた後のトナーからのシリカ遊離量B(質量%)、及びシリカ遊離量Bのシリカ遊離量Aに対する低下量(%)を測定した。
500mLビーカーに、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(ノイゲンET−165、第一工業製薬株式会社製)10g、純水300mL入れ、1時間超音波にかけて分散を行い、分散液Aを得た。その後、2Lのメスフラスコに分散液Aを移してメスアップをし、1時間超音波にかけて溶かし、0.5%ポリオキシアルキレンアルキルエーテルを含む分散液Bを得た。
分散液B50mLを110mLスクリュー管に注入し、更にサンプルとなるトナーを3.75g加えた。スクリュー管が分散液Bになじむまで、30分間〜90分間撹拌して液Cを得た。この時、できるだけ回転を小さくして泡が立たないようにした。十分にトナーを分散させてから、超音波ホモジナイザー(VCX750、SONICS&Materials,Inc.製、20kHz、750ワット)にて、振動部を液Cに2.5cm進入させ、出力エネルギー40%で、1分間超音波振動を付与し、液Dを作製した。
液Dを50mL遠沈管に入れ、2,000rpmにて2分間遠心分離を行い、上澄み液と沈殿物を得た。沈殿物を60mLの純水で洗い込みながらセパロートに注ぎ、吸引ろ過により洗浄水を除去した。
ろ過後の沈殿物を再度ミニカップに入れ、純水60mLをミニカップに注ぎ入れ、スパチュラの柄で5回かき混ぜた。この時あまり激しくかき混ぜない。再度吸引ろ過により洗浄水を除去し、ろ紙上残ったトナーを回収し、40℃恒温槽で8時間乾燥させた。乾燥後得られたトナー3g、自動加圧成型機(T−BRB−32、Maekawa社製;荷重6.0t、加圧時間60秒間)にて直径3mm、厚み2mmにペレット成型し、処理後サンプルトナーとした。
上記処理をしていない初期サンプルトナーを、同様に直径3mm、厚み2mmにペレット成型し、処理前サンプルトナーとした。
蛍光X線装置(ZSX−100e、株式会社リガク製)にて定量分析で、ペレット成型したサンプルトナーのシリカの部数を測定した。使用する検量線は、予めトナー100部に対するシリカ含有量が0.1部、1部、1.8部のサンプルトナーで作成した。
下記の式によってシリカ遊離量(質量%)及び低下量(%)を算出した。
シリカ遊離量A(質量%)=[処理前サンプルトナーのシリカ含有量(部)−処理後サンプルトナーのシリカ含有量(部)]/処理前サンプルトナー(部)×100
シリカ遊離量B(質量%)=[処理前サンプルトナーのシリカ含有量(部)−高温高湿環境ストレスを受けた後のトナーにおける処理後サンプルトナーのシリカ含有量(部)]/処理前サンプルトナー(部)×100
低下量(%)=(シリカ遊離量A−シリカ遊離量B)/シリカ遊離量A×100
<流動性>
流動性をトナー凝集度で判断した。トナー凝集度は、トナー間の接着力を表わす指標であり、その値が大きいとトナー間の接着力が大きく現像飛翔性が悪化する。
トナー凝集度は、パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)を用い、目開き75μmの篩(上段)、45μmの篩(中段)及び22μmの篩(下段)をこの順に上から並べ、目開き75μmの篩に2gのトナーを投入し、振幅1mmで30秒間振動を与え、振動後各篩上のトナー質量を測定し、下記式に示す通り、それぞれに1、0.6及び0.2の重みをかけ加算し、トナー質量に対する百分率(%)で算出したものである。下記基準により評価した。なお、「◎」、「○」及び「△」を合格とし、「×」を不合格として判定した。
トナー凝集度(%)=a+b+c
a:(上段の篩に残った粉体の質量/試料採取量)×100
b:(中段の篩に残った粉体の質量/試料採取量)×100×0.6
c:(下段の篩に残った粉体の質量/試料採取量)×100×0.2
試料採取量:トナー質量(2g)
〔評価基準〕
◎:15%未満
○:15%以上19%未満
△:19%以上23%未満
×:23%以上
<転写性>
図6に示す複写機として、デジタルフルカラー複写機(imagio MP C6000、株式会社リコー製)を用いた。また、記録媒体の送り方向を前記記録媒体の短手方向として、A4サイズの前記記録媒体に対して画像形成したときに、55枚/分間以上の速度となる線速300mm/secで画像形成を行った。記録媒体として、タイプ6200紙(株式会社リコー製)を用いた。
画像面積率20%チャートを感光体から記録媒体に転写後、クリーニングの直前における感光体上の転写残トナーをスコッチテープ(住友スリーエム株式会社製)で白紙に移し、それをマクベス反射濃度計RD514型で測定し、下記基準により評価した。なお、「◎」、「○」及び「△」を合格とし、「×」を不合格として判定した。
〔評価基準〕
◎:ブランクとの差が0.005未満である
○:ブランクとの差が0.005以上0.011未満である
△:ブランクとの差が0.011以上0.020未満である
×:ブランクとの差が0.020以上である
<フィルミング性>
図6に示す複写機として、デジタルフルカラー複写機(imagio MP C6000、株式会社リコー製)を用いた。また、記録媒体の送り方向を前記記録媒体の短手方向として、A4サイズの前記記録媒体に対して画像形成したときに、55枚/分間以上の速度となる線速300mm/secで画像形成を行った。記録媒体として、タイプ6200紙(株式会社リコー製)を用いた。
画像面積率100%、75%、及び50%の帯チャートを1,000枚出力後の現像ローラ、及び感光体上のフィルミングを観察し、下記基準で評価した。なお、「◎」、「○」及び「△」を合格とし、「×」を不合格として判定した。
〔評価基準〕
◎:全くフィルミングが発生していない
○:うっすらとフィルミングの発生を確認できる
△:スジ状にフィルミングが発生している
×:全面にフィルミングが発生している
<低温定着性>
定着ローラとしてテフロン(登録商標)ローラを使用した、複写機MF2200(株式会社リコー製)の定着部を改造した装置を用いて、タイプ6200紙(株式会社リコー製)に複写テストを行った。
具体的には、定着温度を変化させてコールドオフセット温度(定着下限温度)を求めた。定着下限温度は、得られた定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって定着下限温度とした。
定着下限温度の評価条件は、紙送りの線速度を120mm/秒間〜150mm/秒間、面圧を1.2kgf/cm、ニップ幅を3mmとした。
なお、従来の低温定着トナーの定着下限温度は、140℃程度である。「◎」、「○」及び「△」を合格とし、「×」を不合格として判定した。
〔評価基準〕
◎:120℃未満
○:120℃以上130℃未満
△:130℃以上140℃未満
×:140℃以上
表3に、実施例1〜41、及び比較例1〜3で製造した[トナー1〜44]を用いた[現像剤1〜44]の評価結果を示す。
本発明のトナーは、高温高湿環境に対する保存性に優れ、高温高湿環境ストレスを受けた場合であっても、流動性、転写性、耐フィルミング性及び低温定着性に優れ、超高速プリントシステムに適用可能であることが明らかになった。
本発明の態様としては、例えば、以下の通りである。
<1> 結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー母体と、外添剤とを含み、前記トナー母体の表面に前記外添剤が付着してなる静電荷像現像用トナーであって、
前記外添剤が、シリカの一次粒子同士が合着されてなる非球形シリカを含み、
前記トナーからのシリカ遊離量A(質量%)が、下記式(i)の関係を満たし、
40℃、70%RH、及び14日間の高温高湿環境ストレスを受けた後の前記トナーからのシリカ遊離量B(質量%)の前記シリカ遊離量Aに対する低下量が、40%以下であり、
前記シリカ遊離量A及びBが、トナー試料3.75gを、110mLバイアル中の0.5質量%ポリオキシアルキレンアルキルエーテル分散液50mLに分散し、20kHz、750ワットで1分間超音波振動を付与したときの前記トナー試料からのシリカの遊離量を、前記トナー試料に対する量(質量%)で表した値であることを特徴とする静電荷像現像用トナーである。
0.4≦A≦1.0 ・・・式(i)
<2> 40℃、50%RH、及び14日間の高温高湿環境ストレスを受けた後のトナーからのシリカ遊離量B’(質量%)のシリカ遊離量Aに対する低下量が、30%以下である前記<1>に記載の静電荷像現像用トナーである。
<3> 非球形シリカが、ゾルゲル法により得られる前記<1>から<2>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーである。
<4> 非球形シリカが、下記式(ii)を満たす前記<1>から<3>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーである。
Nx/1,000×100≦30% ・・・式(ii)
ただし、前記式(ii)中、Nxは、50mLの瓶に入れた前記非球形シリカ0.5g及びキャリア49.5gに対し、67Hz、10分間の条件で混合撹拌機にて撹拌した後、走査電子顕微鏡にて観察したときの、前記非球形シリカ1,000個が観察される領域に単独で存在する一次粒子の個数を示す。
<5> 非球形シリカの粒度分布指標が、下記式(iii)を満たす前記<1>から<4>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーである。
Db50/Db10≦1.20 ・・・式(iii)
ただし、前記式(iii)中、Db50は、前記非球形シリカの粒径(nm)を横軸とし、前記非球形シリカの累積値(個数%)を縦軸とし、前記非球形シリカの累積分布を小粒子側から描いたときに、前記累積値が50個数%となる前記非球形シリカの粒径を表し、Db10は、前記累積値が10個数%となる前記非球形シリカの粒径を表す。
<6> 非球形シリカの平均粒径Dbが、80nm〜200nmである前記<1>から<5>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーである。
<7> 結着樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含む前記<1>から<6>のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーである。
<8> 前記<1>から<7>のいずれかに記載のトナーとキャリアとを含むことを特徴とする二成分現像剤である。
<9> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを備え、該トナーを用いて該静電潜像を現像して可視像を形成する現像手段と、該静電潜像担持体上の該可視像を記録媒体上に転写する転写手段と、該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着手段とを有し、前記トナーが前記<1>から<7>のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置である。
<10> 記録媒体の送り方向を前記記録媒体の短手方向として、A4サイズの前記記録媒体に対して画像形成したときに、55枚/分間以上の速度で画像形成が可能である前記<9>に記載の画像形成装置である。
100A、100B、100C 画像形成装置
特開2009−98194号公報 特開2010−224502号公報 特開2006−323367号公報 特開2006−058502号公報 特開2011−002557号公報

Claims (10)

  1. 結着樹脂、着色剤、及び離型剤を含有するトナー母体と、外添剤とを含み、前記トナー母体の表面に前記外添剤が付着してなる静電荷像現像用トナーであって、
    前記外添剤が、シリカの一次粒子同士が合着されてなる非球形シリカを含み、
    前記トナーからのシリカ遊離量A(質量%)が、下記式(i)の関係を満たし、
    40℃、70%RH、及び14日間の高温高湿環境ストレスを受けた後の前記トナーからのシリカ遊離量B(質量%)の前記シリカ遊離量Aに対する低下量が、40%以下であり、
    前記シリカ遊離量A及びBが、トナー試料3.75gを、110mLバイアル中の0.5質量%ポリオキシアルキレンアルキルエーテル分散液50mLに分散し、20kHz、750ワットで1分間超音波振動を付与したときの前記トナー試料からのシリカの遊離量を、前記トナー試料に対する量(質量%)で表した値であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
    0.4≦A≦1.0 ・・・式(i)
  2. 40℃、50%RH、及び14日間の高温高湿環境ストレスを受けた後のトナーからのシリカ遊離量B’(質量%)のシリカ遊離量Aに対する低下量が、30%以下である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 非球形シリカが、ゾルゲル法により得られる請求項1から2のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 非球形シリカが、下記式(ii)を満たす請求項1から3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
    Nx/1,000×100≦30% ・・・式(ii)
    ただし、前記式(ii)中、Nxは、50mLの瓶に入れた前記非球形シリカ0.5g及びキャリア49.5gに対し、67Hz、10分間の条件で混合撹拌機にて撹拌した後、走査電子顕微鏡にて観察したときの、前記非球形シリカ1,000個が観察される領域に単独で存在する一次粒子の個数を示す。
  5. 非球形シリカの粒度分布指標が、下記式(iii)を満たす請求項1から4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
    Db50/Db10≦1.20 ・・・式(iii)
    ただし、前記式(iii)中、Db50は、前記非球形シリカの粒径(nm)を横軸とし、前記非球形シリカの累積値(個数%)を縦軸とし、前記非球形シリカの累積分布を小粒子側から描いたときに、前記累積値が50個数%となる前記非球形シリカの粒径を表し、Db10は、前記累積値が10個数%となる前記非球形シリカの粒径を表す。
  6. 非球形シリカの平均粒径Dbが、80nm〜200nmである請求項1から5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  7. 結着樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂及び非結晶性ポリエステル樹脂を含む請求項1から6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
  8. 請求項1から7のいずれかに記載のトナーとキャリアとを含むことを特徴とする二成分現像剤。
  9. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、トナーを備え、該トナーを用いて該静電潜像を現像して可視像を形成する現像手段と、該静電潜像担持体上の該可視像を記録媒体上に転写する転写手段と、該記録媒体上に転写された転写像を定着させる定着手段とを有し、前記トナーが請求項1から7のいずれかに記載のトナーであることを特徴とする画像形成装置。
  10. 記録媒体の送り方向を前記記録媒体の短手方向として、A4サイズの前記記録媒体に対して画像形成したときに、55枚/分間以上の速度で画像形成が可能である請求項9に記載の画像形成装置。
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