JP3673518B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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本発明は、現像剤担持体表面の現像領域部分に現像剤を穂立ちさせて現像処理するための現像主磁極を備えた現像装置、及び当該現像装置に用いるトナーに関するものである。
一般に、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの電子写真式や静電記録式などによる各種画像形成装置においては、感光体ドラムや感光体ベルトなどからなる潜像担持体上に画像情報に対応した静電潜像が形成され、現像装置によって現像動作が実行されて、可視像を得る。このように現像動作を実行するにあたり、転写性、ハーフトーンの再現性、温度・湿度に対する現像特性の安定性などの観点から、トナーとキャリアからなる2成分現像剤を用いた磁気ブラシ現像方式が主流になってきている。このような方式の現像装置では、現像剤担持体上に2成分現像剤がブラシチェーン状に穂立ちされて保持されながら、潜像担持体に対向する現像領域に搬送されて、現像剤中のトナーを潜像担持体上の静電潜像部分に供給するものである。
上記現像剤担持体は、通常円筒状に形成されたスリーブ(現像スリーブ)を備えて構成されると共に、当該スリーブ表面に現像剤を穂立ちさせるように磁界を形成する磁石体(磁石ローラ)をスリーブ内部に有している。
上記スリーブと磁石体の少なくとも一方が動くことでスリーブ表面に穂立ちされた現像剤が移動するようになっている。現像領域に搬送された現像剤は上記現像主磁極から発せられる磁力線に沿って穂立ちし、この現像剤のチェーン穂は撓むように潜像担持体表面に接触し、接触した現像剤のチェーン穂が潜像担持体との相対線速差に基づいて静電潜像と擦れ合いながら、トナー供給を行い、現像が行われる。
公知例として、特許文献1(特開2000―305360)、特許文献2(特開2000―347506号)公報などに示されている画像改良技術がある。
この技術は高濃度部と低濃度部との双方同時に改善するため、非磁性体のスリーブと当該スリーブ内に固定配置され複数の磁極を備えた磁石ローラとを備えて構成され、前記スリーブを回転させ、その外周面に磁性を有した現像剤を磁気吸着させて磁気ブラシを形成し、対向する潜像担持体に当該磁気ブラシを摺擦させ、その摺擦領域で潜像担持体上の潜像を可視化する現像装置において、上記摺擦領域の法線方向磁束密度の減衰率、また、摺擦領域に係る主磁極と隣り合う磁極の法線方向磁束密度の減衰率、あるいは摺擦領域に係る主磁極と隣り合う磁極との角度を規定したものである。
しかしながら、このような現像主極の磁力が高く、更に短い穂立ちの現像剤が感光体の表面を1.5〜3.0倍の周速比(公知例では1.1から3.0となっているが実用的には1.5から3.0倍が最適である)を持って摺擦して現像する現像効率の高い現像方法においても、感光体周速比を1.0倍の等速とした場合、トナーの補給は不足し画像濃度は不足し濃度低下となり、又、ボソツキ画像となる。そのため周速比を1.5倍以上にしなければならない。その結果、後端白抜けが発生し易くなる。後端白抜けは、現像剤の穂の先端が、感光体と摺擦する条件で周速比が1.0より大きい場合に発生し易くなる。原因としては感光体に対する現像ローラの周速比が大きくなると、画像部では現像剤の流れが悪くなり後端部に剤が多くなり剤溜りが発生する。これは周速比が大きくなるほど多くなる。
従って現像主極の磁力が高く、現像穂が短い状態で現像するプロセスにおいて、この後端白抜けを防止し、且つ十分な画像濃度及び画質を得る為には、他の手段で現像能力を高くする必要がある。
また、現在、市場からの高画質化の要望から、サプライ開発の中では、トナーは小粒径化が望まれている。
トナーを小粒径化した場合、それに伴ってトナーの微紛成分の増加はまぬがれない事象である。小粒径トナーの検討経緯で分かったことであるが、著しい現像スリーブ汚染が発生することが確認された。この現象のメカニズムとしては、まず非画像部位のトナーが現像スリーブに引き付ける電界によって、現像スリーブに押し付けられる。そして、通常であれば次の瞬間にキャリア表面に接触した瞬間に静電引力によって回収されるが、本発明で言っているところのトナーの微粒子側は、極めて流動性(粉体特性上の)が悪い為に、一旦現像スリーブに付着すると再度キャリア表面に静電引力的に回収されにくい。つまり現像スリーブに対する付着強度が極めて強いと考えられる。更に、それが現像スリーブ上で何度もキャリアによって摺擦される過程で融着まで進行すると考えられる。この現象を本発明者等はスリーブ固着と呼んでいるが、このスリーブ固着が発生した場合、画像濃度がランニング経時で薄くなってしまう現象が生じる。特に、10万枚も通紙が終わった時点で、ベタ画像を連続して4枚もとっていくと、一枚目から4枚目にかけてだんだんと画像濃度が薄くなっていくのがよく分かる。つまり、このスリーブ固着によって導電性スリーブ表面にトナー成分による絶縁層ができたため、現像バイアスの実効バイアスが低くなり、現像能力が低下したものと考えられる。
特許文献3(特開2000−10336)では、現像スリーブ表面を球体粒子によりブラスト処理をし、滑らかな凹凸部を持たせることにより現像スリーブへのトナーの付着を防ぐ提案がなされている。この方法では確かにスリーブへの付着はある程度防ぐことができても近年の高速機への使いこなしにおいてはスリーブ上現像剤の搬送性が不充分であり、高画質を得ることは困難である。
一方、定着時の離型性を得るためにトナー中にワックスを含有させることが従来行われている。
そもそもワックスはバインダー樹脂にくらべて分子量が小さく軟らかいために、キャリアや感光体に移行するいわゆるフィルミング現象が発生しやすい。キャリアへのフィルミング(これをスペントという)現象が起きると、トナーとの適度な摩擦帯電ができず、結果帯電不良が生じ、地汚れが悪化することがわかっている。また、感光体フィルミング現象が起きるとハーフトーン画像上に白帯状の異常画像が発生する。また上述のスリーブ固着に対しても同様に不利となり、これら不具合はコピープロセスの繰り返しにより次第に悪化していき、初期画像の状態を保つことが困難になっていく。
また、現像装置内はコピープロセスの繰り返しにより温度上昇することが知られているが、これに伴ってニップ領域の雰囲気温度も上昇する。上記のような現像剤のチェーン穂の密度が高い現像方法においてはこの熱が従来よりも滞留しやすく、領域外に逃げにくくなるため、現像剤にかかる熱的負荷も大きくなる。その結果、トナー中のワックスはよりブリードアウトしやすくなり、スリーブ固着や感光体、キャリアフィルミングに対して更に厳しい。
特開2000―305360 特開2000―347506 特開2000−10336
本発明は、こうした実情の下に後端白抜けの発生が抑制され、高画質で安定した画像が長期に亘って得られる画像形成方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは鋭意検討した結果、現像スリーブ表面に適度な間隔で凹部を設けることで現像スリーブの表面の現像穂の密度を高くし、かつ、超微粉の含有量を規制することでスリーブ固着、感光体及びキャリアへのフィルミングを防止することが前記課題解決に有効であることを見出し、本発明に至った。
(1)非磁性体のスリーブと当該スリーブ内に固定配置され複数の磁極を備えた磁石ローラ体とを備えて構成された現像スリーブ上に、該現像スリーブを回転させてその外周面に磁性を有した現像剤を磁気吸着させて磁気ブラシを形成し、対向する潜像担持体に当該磁気ブラシを摺擦させ、その摺擦領域で潜像担持体上の潜像を可視化する現像装置と、トナー及びキャリアからなる二成分現像剤を用いる画像形成方法であって、前記現像スリーブとして前記摺擦領域で潜像担持体に対向する位置に主磁石とそれに隣り合う補助磁石からなる現像主磁極を設け、前記摺擦領域法線方向磁束密度を100〜200mT、半値幅を25°以下、主磁極と隣り合う補助磁極の法線方向磁束密度の減衰率(スリーブ表面上の法線方向磁束密度のピーク値とスリーブ表面から1mm離れたところでの法線方向磁束密度のピーク値の差をスリーブ表面上の法線方向磁束密度のピーク値で割った比率)を40%以上、該隣り合う磁極との角度間隔を35度以内とし、該スリーブ表面の長軸方向に長い筋状で、回転方向に対して周期が0.4〜0.6mm、深さが0.1〜0.2mmの凹部を設けた現像スリーブを用い、かつ該トナーとして体積平均粒径が4.0〜7.0μmであり、フロー式粒子像分析装置で測定したときの円相当径2μm以下の微粉量が20個数%以下であるトナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
(2)トナーがワックス、バインダー樹脂を少なくとも含有し、該トナーを透過型電子顕微鏡で観察したときのトナ−表面から内部に1μmまでの領域におけるワックスの占める面積の割合が、5〜30%であることを特徴とする(1)に記載の画像形成方法。
(3)トナーがその内部に分散して存在するワックスのうち、トナーの表面近傍(トナー粒子の表面と中心の部分との距離の中間部分(2等分した中間点)を結んだ曲線よりもトナー表面側)に存在するワックスが全ワックスの65個数%以上であることを特徴とする(2)に記載の画像形成方法。
(4)トナーがその内部に分散して存在するワックスが、トナーの表面には露出していなことを特徴とする(2)又は(3)に記載の画像形成方法。
(5)トナーがその内部に分散して存在するワックスの分散径が0.5〜3μmである分散ワックス粒子が70個数%以上を占めることを特徴とする(2)〜(4)のいずれか一つに記載の画像形成方法。
(6)ワックスとして、脱遊離脂肪酸カルナウバワックス、ライスワックス、モンタン系ワックスのいずれか、もしくはいずれかを組みあわせて用いることを特徴とする(2)〜(5)のいずれか一つに記載の画像形成方法。
本発明は特定の磁極特性を有する現像スリーブを備えた現像装置を使用し、かつ該装置に適合した特定の粒径特性を有するトナーを選択することにより、高品質の画像を形成することができる。
本体、現像装置の説明
本発明の詳細を、図に示す例に基づいて説明する。実施例はリコーImagioMF7070の現像部を改良した装置を用いた。先ず本発明に係る現像装置を含む感光体ユニット全体について説明する。図1において、静電潜像担持体である感光体ドラムAの周囲には、当該ドラム表面を帯電するための帯電装置2、一様帯電処理面に潜像を形成するためのレーザー光線でなる露光3、ドラム表面の潜像に帯電トナーを付着することでトナー像を形成する現像装置4、形成されたドラム上のトナー像を記録紙へ転写するための転写装置5、ドラム上の残留トナーを除去するためのクリーニング装置6が順に配設されている。このような構成において、帯電装置2の帯電チャージャーによって表面を一様に帯電された感光体Aは、露光3によって静電潜像を形成され、現像装置4によってトナー像を形成される。当該トナー像は、転写ベルトなどでなる転写装置5によって、感光体ドラムA表面から、不図示の給紙トレイから搬送された記録紙へ転写される。この転写の際に感光体ドラムに静電的に付着した記録紙は、分離爪によって感光体ドラムAから分離される。そして未定着の記録紙上のトナー像は不図示の定着器によって記録紙に定着される。一方、転写されずに感光体ドラム上に残留したトナーは、クリーニング装置6によって除去され回収される。残留トナーを除去されて初期化され、次回の画像形成プロセスに供される。
上記現像装置4の構成を更に説明する。現像装置4内には、現像剤担持体である現像スリーブ46が感光体ドラムAに近接するように配置されていて、双方の対向部分に現像領域が形成される。現像スリーブ46では、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂などの非磁性体を円筒形に形成してなる現像スリーブが不図示の回転駆動機構によって反時計回り方向に回転されるようになっている。本例においては、感光体ドラムAのドラム径が100mmで、ドラム線速が330mm/秒に設定され、現像スリーブ46のスリーブ径が25mmで、スリーブ線速が660mm/秒に設定されている。したがって、ドラム線速に対するスリーブ線速の比は2.0である。また感光体ドラムAと現像スリーブ46との間隔である現像ギャップは0.5mmに設定されている。
又、通常、該現像スリーブ表面は、0.7〜1.0mmの周期で巾0.2mm程度の凹部の加工を施し、スリーブ表面を粗しているが、本発明では、該周期を0.4〜0.6mmとする事でスリーブの見かけ上の表面積を増やし、現像穂の密度をあげている。
現像剤の搬送方向(図で見て反時計回り方向)における現像領域の上流側部分には、現像剤チェーン穂の穂高さ、即ち、現像スリーブ上の現像剤量を規制するドクタブレード47が設置されている。このドクタブレード47と現像スリーブ46との間隔であるドクタギャップは0.48mmに設定されている。更に現像ローラの感光体ドラムとは反対側領域には、現像ケーシング40内の現像剤を攪拌しながら現像ローラ46へ汲み上げるためのスクリュー45が設置されている。
現像スリーブ磁気特性の説明
現像スリーブ内の磁石配置を図2で詳細に説明する。上記現像スリーブ46内には、当該現像スリーブ46の周表面に現像剤を穂立ちさせるように磁界を形成する磁石ローラ体が固定状態で備えられている。この磁石ローラ体から発せられる法線方向磁力線に沿うように、現像剤のキャリアが現像スリーブ46上にチェーン状に穂立ちされ、このチェーン状に穂立ちされたキャリアに帯電トナーが付着されて、磁気ブラシが構成される。当該磁気ブラシは現像スリーブ46の回転によって現像スリーブ46と同方向(図で見て反時計回り方向)に移送されることとなる。
従来の現像主極1極の例を図4に示した。現像主極P1はN極であり、磁気ブラシを形成し、現像する。
本発明の上記磁石ローラ体は、潜像担持体と磁気ブラシとの摺擦領域に対応する位置に設ける現像主極として複数の磁極(磁石P1a、P1b、P1c)を備えている。
図2に示されるように、上記現像主極群P1は、P1a、P1b、P1cの順で上流側から並ぶ横断面の小さな磁石から構成されている。そして、P1bを主磁石とし、P1a、P1cを補助磁石とする。横断面の小さいこれら磁石は希土類金属合金により作製されている。
磁気特性は以下の特性で示される。
磁束密度は現像スリーブ表面上の法線方向の磁束密度を測定した円チャートグラフ(図2、図3の実線)である。使用した計測装置はADS社製ガウスメーター(HGM−8300)並びにADS社製A1型アキシャルプローブであり、これらで測定し円チャートレコーダにて記録した。
法線方向磁束密度の減衰率を定義する。減衰率は、前記現像スリーブ表面上法線方向の磁束密度(ピーク値)を基準として、現像スリーブ表面から1mm離れたところでの法線方向の磁束密度(ピーク値)を%で表わしたものである。後者の磁束密度は、図2及び図4の点線で示したグラフである。
更に、半値中央角がある。法線方向の磁力分布曲線の最高法線磁力(頂点)或いはピーク磁束密度の半分の値(例えばN極によって作製されている磁石の最高法線磁力が120mT(ミリテスラ)であった場合、半値というと60mTである。)を指す部分の角度幅のことである。半値中央角度幅、半値幅と称することもある。
その他、磁極角度を規定している。
本例では、現像主磁石P1bと、現像スリーブ46上に現像剤を汲み上げるための磁石P4と、汲み上げられた現像剤を現像領域まで搬送する磁石P6と、現像後の領域で現像剤を搬送する磁極P2、P3がN極をなし、現像主磁極磁力の形成を補助する主磁極磁力形成補助磁石P1a、P1cと、汲み上げられた現像剤を搬送する磁石P5がS極をなしている。主磁石P1bとしては現像ローラ上で120mT以上の法線方向磁力を有する磁石が用いられた。当該主磁石P1bより回転下流側の主磁極磁力形成補助磁石P1cと共に例えば100mT以上の磁力を有すれば、キャリア付着などの異常画像の発生が無いことが確認されている。これよりも小さい磁力の場合にはキャリア付着が発生した。キャリア付着に関係する磁力は接線磁力であり、この接線磁力を大きくするためにはP1b、P1cの磁力を大きくする必要があるが、どちらかを十分に大きくすることでキャリア付着の発生を抑えることができる。磁石P1a、P1b、P1cの磁石幅は2mmであった。この時のP1bの半値中央角は16°であった。主磁極の半値中央角は25°を境に、それより大きくすると異常画像の発生があることが確認された。対照のため、図4に従来の磁石ローラでの磁力詳細を概略的に示す。
主磁極磁力形成補助磁石P1a、P1cの半値中央角は35°以下に形成する。また主磁石P1bと主磁極磁力形成補助磁石P1a、P1cの位置関係は、図3に示されたように、主磁石P1bの両側にある主磁極磁力形成補助磁石P1a、P1cによる挟角を35°以下に形成する。上記の例では、主磁極での半値中央角を16°に設定するために当該挟角は25°とした。更に主磁極磁力形成補助磁石P1a、P1cと当該補助磁石の外側にある磁石P2、P6とによる変極点(0mT:磁力がN極からS極、S極からN極に変わる点)の挟角を120°以下にする。
各磁極の特性は、主磁極P1bのスリーブ表面上の法線方向の磁束密度は120mTを示し、スリーブ表面から1mm離れた部分での法線方向磁束密度は55.8mTであり、磁束密度の変化量は64.2mTの磁力差を観測した。この時の法線方向磁束密度の減衰率(スリーブ表面上の法線方向磁束密度のピーク値からとスリーブ表面から1mm離れたところでの法線方向磁束密度のピーク値の差をスリーブ表面上の法線方向磁束密度のピーク値で割った比率)は53.5%である。主磁極P1bの上流側に位置する主磁極磁力形成補助磁石P1aのスリーブ表面上の法線方向磁束密度は100mTを示し、スリーブ表面上から1mm離れた部分での法線方向磁束密度は53.3mTであり、磁束密度の変化量は46.7mTの磁力差を測定した。この時の法線方向磁束密度の減衰率は46.7%である。主磁極P1bの下流側に位置する主磁極磁力形成補助磁石P1cのスリーブ表面上の法線方向磁束密度は120mTを示し、スリーブ表面上から1mm離れた部分での法線方向磁束密度は67.4mTであり、磁束密度の変化量は52.6mTの磁力差を測定した。この時の法線方向磁束密度の減衰率は43.8%である。
本例では、磁石ローラ上に発生した磁力線に沿って現像剤で形成された磁気ブラシは、主磁極P1bに形成されるブラシ部分のみが感光体に接し、感光体上の静電潜像を顕像化する。この際、感光体が接しない状態とすると当該箇所での磁気ブラシの長さは約1mmで、従来の磁石ローラで形成される磁気ブラシよりも穂立ちが短く、密になった状態を作り出すことが可能となった。現像剤規制部材と現像スリーブの間の距離が従来と同じである場合には、現像剤規制部材を通過する現像剤量が同じであるので、現像領域にある磁気ブラシは短く、密になっていることが確認できた。この現象は、現像スリーブ表面から1mm離れたところでの法線磁束密度が大きく減少しているので、磁気ブラシは現像スリーブより離れたところではブラシチェーンを形成することができず、磁気ブラシが短く現像スリーブ表面に密に形成することとなる。
ちなみに図4に示した従来の磁石ローラでは主磁極のスリーブ表面上の法線方向磁束密度は90mTを示し、スリーブ表面上から1mm離れた部分での法線方向磁束密度は63.9mTであり、磁束密度の変化量は26.1mTの磁力差を測定した。この時の法線方向磁束密度の減衰率は29%である。
本発明の画像形成方法においては、主磁極と隣り合う補助磁極の放線方向への磁束密度の減衰率が40%以上である。該法線方向への磁束密度の減衰率が40%以上であるということは、磁気ブラシが短く密になることを意味している。この理由は、減衰率が高い場合には現像ローラから離れるに従い磁力が急速に小さくなるために、磁気ブラシの先端位置における磁力が磁気ブラシを維持する事ができないほど弱まり、その結果磁気ブラシ先端のキャリアが磁力の強い現像ローラ表面に引き付けられるためと考えられる。該減衰率が40%未満であると、磁気ブラシは長くなり、本実施形態では現像ギャップが狭いので、現像ニップ領域に達する前の感光体ドラム表面部分に磁気ブラシが接触してしまい、適正な現像処理を行うことができない。減衰率を高めるためには、現像磁極を形成する磁石の材料を選択する手段や、現像磁極から出る磁力力線の回り込みを強める手段が考えられる。このうち現像磁極から出る磁力力線の回り込みを強める手段としては、例えば現像磁極を、磁気ブラシを穂立ちさせる主磁極および現像剤担持体の移動方向に沿って主磁極の上流、下流に存在する主磁極と逆の極性を有する補助磁極とから構成する事が考えられる。また現像磁極から出る磁力力線の回り込みを強める別の手段としては、例えば現像剤担持体に搬送磁極等、現像磁極以外の磁極が存在する場合に、現像磁極の半値幅を狭めることで現像磁極から出る磁力線の大部分を搬送磁極へ回り込ませる事が考えられる。当該半値幅を22°以下、望ましくは18°以下で構成するのが良い。実験的には磁極の半値幅を狭くすることで、その減衰率が大きくなることが判明しており、25°を超えると放線方向磁束密度を大きくとることが難しくなり、結果として密度の高い磁気ブラシとすることが困難となる。
また、補助磁極(P1a、P1c)の存在により主磁極(P1b)の磁力線の回り込みを一層強めることが可能となる。さらに、現像領域において磁気ブラシが長手方向にばらつかず充分均一になり、長手方向にわたる全領域で後端白抜けが低減される。
また、現像領域における現像スリーブ表面の曲率中心軸から見たときの現像スリーブ表面移動方向における角度幅を35°以下とすることで、上記減衰率が40%以上又は上記半値角度幅を25°以下という磁力分布の形成をより実用的に実現することができる。
以上の条件を満たすことにより、主磁極での磁気ブラシが感光体に接触して現像する方式では、現像ニップが現像剤粒径以上で2mm以下となり、後端白抜けがなく、横細線や1ドットのように小さい画像であっても十分に形成することができる。
次に本発明に使用するトナーについて説明する。
本発明者らは、検討の結果、上記現像装置に使用するトナーとして体積平均粒径が4.0〜7.0μmの小粒径トナーを用いた場合、スリーブ固着の進行にはトナー中の微粉成分、特には2μm以下の超微粉の寄与が大きいことを発見した。スリーブとの付着力は、トナーの粒径分布においてより微紛側の方が大きいと考えられるため、トナーの微紛含有量が多くなると、スリーブ固着が進行しやすいと考えられる。つまり、フロー式粒子像分析装置で測定したときの粒径(円相当径)2μm以下微粉量が20個数%以下であるとき、後端寄りがない、高画質の画像を長期にわたり安定して得ることが可能になった。
そもそもトナーの粒径を測定する手段としては従来からコールターカウンター等が用いられてきたが、これは、トナーが細孔を通過する際の抵抗変化の計測で測定しているため、2μm以下の微粒子はノイズによる影響が大きく、測定精度に欠け測定できなかったのに対して、画像解析により計測を行なうフロー式粒子像分析装置では2μm以下の微粒子の測定が可能となり、フロー式粒子像分析装置で測定される円相当経2μm以下の超微粉を少なくすることによって、繰り返し使用において現像スリーブへのトナー固着を長期にわたって発生しないことが判明した。
円相当径における個数%の測定は(株)SYSMEX製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて測定することができる。測定は、1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液に調整した後0.45μmのフィルターを通した液50〜100mlに分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、試料を1〜10mg加える。これを、超音波分散機で1分間の分散処理を行ない、粒子濃度を5000〜15000個/μlに調整した分散液を用いて測定を行なった。粒子個数の測定は、CCDカメラで撮像した2次元の画像面積と、同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出を行なう。CCDの画素の精度から、円相当径で0.6μm以上を有効とし粒子の測定データを得た。
また、トナー中に存在するワックスのうち、トナーの表面から内部に1μmまでの領域に存在するワックスの占める面積が、5〜30%であること、特にワックスがトナーの表面近傍に全ワックスの65個数%以上分散して存在することにより、定着時に十分なワックスが染み出すことが可能となり、離型性を確保することともに、トナーの最表面に存在するワックスを少なくすることができるため、感光体や現像スリーブへのワックスの移行を防止することが可能になることがわかった。また特に磁気ブラシが感光体に摺擦するニップ領域において密な磁気ブラシが形成され、現像プロセスにより熱的、機械的な負荷がかかる現像条件下ではこの効果が大きい。
トナ−の表面から内部に1μmまでの領域に存在するワックスの占める面積が、5%よりも少ない場合には、離型性性が不十分になることがあり、また、30%よりも多い場合には、感光体や現像スリーブへのフィルミングが著しく悪化することがある。
また、本発明のトナー中に存在するワックス分散径の分布は0.5〜3μmの粒子が70個数%以上、より好ましくは1μm〜2μmの粒子が70個数%以上である。0.5μmより小さい粒子が多いと、充分な離型性を発現できない。また、3μmより大きい粒子が多いと、凝集性を示して流動性が悪化したり、フィルミングを生じたりするばかりか、カラートナーにおいては色再現性や光沢性を著しく低下させてしまう。
(ワックス、存在状態と分散径の測定)
本発明においては、ワックスの最大方向の粒径をもってワックス分散径とした。具体的には、トナーをエポキシ樹脂に包埋して約100μmに超薄切片化し、四酸化ルテニウムにより染色した後、透過型電子顕微鏡(TEM)により倍率10000倍でトナーの断面観察を行い、写真撮影し、この写真20点(20個のトナー)を画像評価することにより、ワックスの分散状態を観察し分散径を測定した。
トナー表面から内部に1μmまでの領域のワックスの占有面積割合は、トナーの表面および表面から1μmまでの領域のワックスの存在割合を、面積比で求める。また、トナーに含有させる量は、2.0〜12重量部が好ましいが、4.0〜8.0重量部が定着性との両立を図る上で更に好ましい。
トナー表面には存在せずにトナーの表面近傍に存在するワックスとは、トナー粒子の表面と中心の部分との距離の中間部分(2等分した中間点)を結んだ曲線よりもトナーの表面側に存在しているものを示す。(但し、表面と中心の部分との距離の中間部分を結んだ曲線上にワックスが存在する場合は、中央側に存在すると判断する。)
また、ワックスは特に脱遊離脂肪酸カルナバワックス、ライスワックス、モンタン系エステルワックスを用いることが好ましいが、特に脱遊離脂肪酸カルナバワックスは揮発成分が少ないため感光体へのフィルミングやキャリアへのスペントに対する効果が高い。また、定着時に速やかにトナー表面にしみ出る事によって離型性を発揮させるため、特に遊離脂肪酸脱離した低酸価タイプのものが好ましく酸価値5KOHmg/g以下であることが好ましい。
以下本発明の現像剤を構成するトナーの材料について詳述する。
(変性ポリエステル系樹脂)
本発明において、変性ポリエステル系樹脂としてイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーを用いることが出来る。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)としては、ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(3)と反応させた物などが挙げられる。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
ポリオール(1)としては、ジオール(1−1)および3価以上のポリオール(1−2)が挙げられ、(1−1)単独、または(1−1)と少量の(1−2)の混合物が好ましい。ジオール(1−1)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオール(1−2)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
ポリカルボン酸(2)としては、ジカルボン酸(2−1)および3価以上のポリカルボン酸(2−2)が挙げられ、(2−1)単独、および(2−1)と少量の(2−2)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(2−1)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(2−2)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(2)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(1)と反応させてもよい。
ポリオール(1)とポリカルボン酸(2)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
ポリイソシアネート(3)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
ポリイソシアネート(3)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(3)構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、架橋及び/又は伸長後の変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
(架橋剤及び伸長剤)
本発明において、架橋剤及び/又は伸長剤として、アミン類を用いることができる。アミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
さらに、必要により架橋及び/又伸長は停止剤を用いて反応終了後の変性ポリエステルの分子量を調整することができる。停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2より大きかったり1/2未満では、ウレア変性ポリエステル(i)の分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
(未変性ポリエステル)
本発明においては、前記変性されたポリエステル(A)単独使用だけでなく、この(A)と共に、変性されていないポリエステル(C)をトナーバインダー成分として含有させることが重要である。(C)を併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上する。(C)としては、前記(A)のポリエステル成分と同様なポリオール(1)とポリカルボン酸(2)との重縮合物などが挙げられ、好ましいものも(C)と同様である。また、(C)は無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。(A)と(C)は少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、(A)のポリエステル成分と(C)は類似の組成が好ましい。(A)を含有させる場合の(A)と(C)の重量比は、通常5/95〜75/25、好ましくは10/90〜25/75、さらに好ましくは12/88〜25/75、特に好ましくは12/88〜22/78である。(A)の重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
(C)のピーク分子量は、通常1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、10000を超えると低温定着性が悪化する。(C)の水酸基価は5以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。(C)の酸価は通常0.5〜40、好ましくは5〜35である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。また、酸価及び水酸基価がそれぞれこの範囲を越えるものは高温高湿度下、低温低湿度下の環境下において、環境の影響を受けやすく、画像の劣化を招きやすい。
(着色剤)
本発明の着色剤としては公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
本発明で用いる着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。 マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、先にあげた変性、未変性ポリエステル樹脂の他にポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
本マスターバッチはマスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得る事ができる。この際着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。またいわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
(帯電制御剤)
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩(フッ素変性四級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
本発明において荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらのはマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練する事もできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。更には、ヘンシェルミキサー等で外添混合してもよい。
(外添剤)
本発明で得られた着色粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5mμ〜2μmであることが好ましく、特に5mμ〜500mμであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい.無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
この他高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような流動化剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1μmのものが好ましい。
本発明において現像剤を構成するキャリアの核体粒子としては、公知のものでよく例えば鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属;マグネタイト、ヘマタイト、フェライトなどの合金や化合物;前記強磁性体微粒子と樹脂との複合体等が挙げられる。
本発明で用いられるキャリアはより耐久性を長くする目的で、表面を樹脂で被覆する構成になっている。
被覆層を形成する樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、アクリル(例えばポリメチルメタクリレート)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂又はその変成品(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成品);ポリテトラフルオロエチレン、ポリ弗化ビニル、ポリ弗化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン等の弗素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素−ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂等が挙げられるが、中でも本発明で使用する被覆樹脂としてはトナースペントに対する余裕度が高いシリコーン樹脂又はその変成品である。
シリコーン樹脂としては、従来から知られているいずれのシリコーン樹脂であってもよく、下記式(1)で示されるオルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコーン及びアルキド、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどで変成したシリコーン樹脂が挙げられる。
Figure 0003673518
上式中R1は水素原子、炭素原子1〜4のアルキル基又はフェニル基、R2及びR3は水素基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、炭素原子数2〜4のアリケニル基、炭素原子数2〜4のアルケニルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エチレンオキシド基、グリシジル基又は下記式(2)で示される基である。
Figure 0003673518
上記式中R4、R5はヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシ基、炭素原子数2〜4のアルケニル基、炭素原子数2〜4のアルケニルオキシ基、フェニル基、フェノキシ基、k、l、m、n、o、pは1以上の整数を示す。
上記各置換基は未置換のもののほか、例えばアミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、メルカプト基、アルキル基、フェニル基、エチレンオキサイド基、グリシジル基、ハロゲン原子のような置換基を有してもよい。
また本発明で用いられるキャリアは、その体積固有抵抗を制御するために被覆層中に導電性付与材料を分散しても良い。分散される導電性材付与は従来より公知の物でよく、例えば鉄、金、銅等の金属;フェライト、マグネタイト等の酸化鉄;カーボンブラック等の顔料が挙げられる。
この中でも特にカーボンブラックの一つであるファーネスブラックとアセチレンブラックの混合物を用いることにより、少量の導電性微粉末の添加で効果的に導電性の調整が可能で、更に被覆層の耐摩耗性に優れたキャリアを得ることが可能となった。これらの導電性微粉末は、粒径0.01〜10μm程度のものが好ましく、被覆樹脂100重量部に対して2〜30重量部添加されることが好ましく、さらには5〜20重量部が好ましい。
また、キャリア被覆層中には核体粒子との接着性を向上させたり導電性付与剤の分散性を向上させる目的でシランカップリング剤、チタンカップリング剤等を添加しても良い。
本発明用いるシランカップリング剤としては下記一般式(3)で示される化合物である。
YRSiX (3)
式(3)中、Xはけい素原子に結合している加水分解基で、例えばクロル基、アルコキシ基、アセトキシ基、アルキルアミノ基、プロペノキシ基、Yは有機マトリックスと反応する有機官能基で、例えばビニル基、メタクリル基、エポキシ基、グリシドキシ基、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。Rは炭素数1〜20のアルキル基又はアルキレン基である。
前記シランカップリング剤の中でも、特に負帯電性を有する現像剤を得るにはYにアミノ基を有するアミノシランカップリング剤が好ましく、正帯電性を有する現像剤を得るにはYにエポキシ基を有するエポキシシランカップリング剤が好ましい。
被覆層の形成法としては、従来と同様、キャリア核体粒子の表面に被覆層形成液を噴霧法、浸漬法等の手段で塗布すればよい。被覆層の厚さは0.1〜20μmが好ましい。
次にトナーの製造方法について詳述する。
本発明に使用するトナーの製造方法については、従来の公知の方法で製造されたものを使用できる。具体的には、結着樹脂、極性制御剤、必要に応じて任意の添加剤より成る混合物を熱ロールミルで溶融混練した後、冷却固化せしめ、これを粉砕分級し、必要に応じて外添剤を混合してトナー粒子を得る粉砕法を用いることも可能であり、また有機溶媒中に活性水素と反応可能な変性ポリエステル系樹脂からなるトナーバインダーを含むトナー組成分(を溶解又は分散させ、該溶解又は分散物を樹脂微粒子を含む水系媒体中で、分散させ、かつ架橋剤及び/又は伸長剤と反応させ、得られた分散液から溶媒を除去した後必要に応じ外添剤を混合してトナー粒子を得る重合法を用いることも可能であるがここでは具体的に重合トナーについて説明する。
(水系媒体中でのトナー製造法)
本発明に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
トナー粒子は、水系媒体中でイソシアネート基を有するプレポリマー(A)からなる分散体を、アミン類(B)と反応させて形成しても良いし、あらかじめ製造したウレア変性ポリエステル(i)を用いても良い。水系媒体中でウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成物を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。プレポリマー(A)と他のトナー組成物である(以下トナー原料と呼ぶ)着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、荷電制御剤、未変性ポリエステル樹脂などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させた方がより好ましい。また、本発明においては、着色剤、離型剤、荷電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。高温なほうが、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)を含むトナー組成物100部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
プレポリマー(A)からウレア変性ポリエステル(i)を合成する工程は水系媒体中でトナー組成物を分散する前にアミン類(B)を加えて反応させても良いし、水系媒体中に分散した後にアミン類(B)を加えて粒子界面から反応を起こしても良い。この場合製造されるトナー表面に優先的にウレア変性ポリエステルが生成し、粒子内部で濃度勾配を設けることもできる。
トナー組成物が分散された油性相を水が含まれる液体に乳化、分散するための分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性荊、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
またフルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及びその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、(ダイキン工業社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族一級、二級もしくは三級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−l32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
また水に難溶の無機化合物分散剤としてリン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いる事が出来る。
また高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエ一テル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長および/または架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
さらに、トナー組成物の粘度を低くするために、ウレア変性ポリエステル(i)やプレポリマー(A)が可溶の溶剤を使用することもできる。溶剤を用いたほうが粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は沸点が100℃未満の揮発性であることが除去が容易である点から好ましい。該溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。プレポリマー(A)100部に対する溶剤の使用量は、通常0〜300部、好ましくは0〜100部、さらに好ましくは25〜70部である。溶剤を使用した場合は、伸長および/または架橋反応後、常圧または減圧下にて加温し除去する。
伸長および/または架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、または粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
また、図6に示すものは、プロセスカートリッジの説明図であり、現像手段としてこれまで述べてきた本発明の現像装置と現像剤からなる現像手段を用いるものである。
実施例1
トナーA
製造例1
(有機微粒子エマルションの合成)
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、0.10μmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは57℃であった。
製造例2
(水相の調製)
水990部、[微粒子分散液1]80部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7:三洋化成工業製)40部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
製造例3
(低分子ポリエステルの合成)
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物220部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物561部、テレフタル酸218部、アジピン酸48部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸45部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル1]を得た。[低分子ポリエステル1〕は、数平均分子量2500、重量平均分子量6700、Tg43℃、酸価25であった。
製造例4
(プレポリマーの合成)
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリツト酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5、水酸基価49であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]411部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネート重量%は、1.53%であった。
製造例5
(ケチミンの合成)
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は418であった。
製造例6
(マスターバッチの合成)
カーボンブラック(キャボット社製 リーガル400R):40部、結着樹脂:ポリエステル樹脂(三洋化成RS−801 酸価10、Mw20000、Tg64℃):60部、水:30部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、パルベライザーで1mmφの大きさに粉砕し、[マスターバッチ1]を得た。
製造例7
(油相の作成)
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、カルナバワックス110部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1324部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料・WAX分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
製造例8
(乳化)
[顔料・WAX分散液1]648部、[プレポリマー1]を154部、[ケチミン化合物1]6.6部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
製造例10
(脱溶剤)
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、30℃で8時間脱溶剤した後、45℃で4時間熟成を行い、[分散スラリー1]を得た。
(洗浄⇒乾燥)
[分散スラリー1]100部を減圧濾過した後、
(1):濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(2):(1)の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液1OO部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。この超音波アルカリ洗浄を再度行った(超音波アルカリ洗浄2回)。
(3):(2)の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
(4):(3)の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、[トナー母体1]を得た。この母体トナー100部に疎水性シリカ0.5部と、疎水化酸化チタン0.5部をヘンシェルミキサーにて混合して、本発明のトナーAを得た。
キャリア製造例1
湿式法により作成したマグネタイト100重量部に対してポリビニルアルコール2重量部、水60重量部をボールミルに入れ12時間混合してマグネタイトのスラリーを調整した。このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧造粒し、平均粒径54μmの球形粒子とした。
この粒子を窒素雰囲気中で1000℃の温度で3時間焼成後冷却し核体粒子1を得た。
シリコーン樹脂溶液 100重量部
トルエン 100重量部
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 6重量部
カーボンブラック 10重量部
上記混合物をホモミキサーで20分間分散し、被覆層形成液1を調整した。
この被覆層形成液を流動床型コーティング装置を用いて核体粒子1を1000重量部の表面にコーティングして、シリコーン樹脂被覆キャリアを得た。
また、これを前記トナーAとトナー濃度4.0重量%で混合し、二成分現像剤として使用した。
比較例1
表面の凹部の周期を0.65mmに加工した現像スリーブを用い、実施例1の二成分現像剤を用いて評価を行った。
実施例2及び比較例2〜4
実施例1における母体トナーの体積平均粒径、及び円相当径2μm以下微粉含有率を任意に変える方法としては、水相調製時における微粒子分散液の投入量を変えたり、母体トナーを風力分級機を使って分級することによりトナーの体積平均粒径、及び円相当径2μm以下微粉含有率を任意に変えたトナーをトナーB、G、H、I、Jとした以外は実施例1と同様な方法で二成分現像剤として使用した。
実施例3〜5
トナー中におけるワックスの分散状態は、まず分散径については、油相作成における原料の攪拌条件を変更することにより制御可能であり、トナー表面近傍への分散については、乳化工程における熟成温度や時間を変更することにより制御可能である。
これら条件を変更しトナ−表面から内部に1μmまでの領域におけるワックスの占める面積の割合を任意に変え作成して得たトナーをトナーC、D、Eとした以外は実施例1と同様な方法で二成分現像剤として使用した。
実施例6
実施例1のワックス種類をエステルワックスから脱遊離脂肪酸カルナウバワックスに変更しトナーFとした以外は同様な方法で二成分現像剤として使用した。
以上をまとめたものを表1に示す。
Figure 0003673518
[評価項目]
本発明の実施例及び比較例においては、上記のように作製した現像剤を(株)リコー製複写機imagioMF7070の現像装置を改造した機械を用いて通紙試験を行い以下の項目について評価を行った。この現像装置は上述した実施形態で説明したものであり、主磁極P1bの法線方向磁束密度の最高値は120mTで、その法線方向磁束密度の減衰率は53.5%であり、主磁極P1bの半値角度幅は16°隣り合う磁極との角度間隔は25°である。また、現像スリーブ表面は深さ0.2mmの凹部を0.5mm周期で設けた表面形状を有するスリーブを用いた。
(画像濃度)
初期(1枚目)、2万枚、10万枚コピー後、内部パターンを用いて黒ベタ(A3面積)を4枚連続通紙し、4枚目後半の画像濃度をマクベス濃度計を用いて測定した。
(後端白抜け)
50%の網点ハーフトーン画像において回転方向15mmの画像部で、中央部の画像濃度と端部の画像濃度差から、濃度差0.10以下を○、0.11〜0.20を△、0.20以上を×とした。測定はマクベス濃度計で5φの範囲での測定結果である。
(ハーフトーン白帯)
連続10万枚(印字率6%)コピー後、1dotX1dotハーフトーン画像を出力し、白帯の発生の有無について評価する。未発生を○、発生しているが許容レベルのものを△、NGレベルで発生しているものを×として評価した。
(画像濃度)
10万枚コピー後、内部パターンを用いて黒ベタ(A3面積)を4枚連続通紙し、4枚目後半の画像濃度をマクベス濃度計を用いて測定した。
(細線再現性)
縦線、横線がそれぞれ1mmあたり2.0、2.2、2.5、2.8、3.2、3.6、4.0、4.5、5.0、5.6、6.3、7.1本の線が等間隔に並んでいる線画像を出力し、複写画像が線間をどこまで忠実に再現できているかを以下の判断基準により5段階で評価した。
◎:6.3〜7.1
○:5.0〜5.6
□:4.0〜4.5
△:2.8〜3.6
X:2.0〜2.5
評価結果を表2に示す。
Figure 0003673518
以下に後端白抜けについて説明する。
図6に2成分現像剤を用いた磁気ブラシ現像方式の一例であるネガポジ現像の現像部を示す。図右側には現像剤担持体である現像ローラが、図左側には潜像担持体である感光体が示されている。現像ローラは方向Dへと移動する現像スリーブと、内部に固定された現像磁極とからなり、その表面を非磁性トナーと磁性キャリアとを含む2成分現像剤が現像スリーブの移動により感光体との対向部付近へと運ばれている。2成分現像剤は感光体との対向部付近では現像磁極の磁力によりキャリアが穂立ちし、磁気ブラシを形成する。図6において小さな丸がトナー、大きな丸がキャリアを意味しているが、図面の理解容易のために感光体との対向部内の1本の磁気ブラシだけを実線で示し、他の磁気ブラシは破線で示すと共にトナーも省略してある。一方、感光体はその表面に静電潜像を保持しつつ方向Cに回転している。図6では静電潜像はAに示すように非画像部が負に帯電しているものとする。感光体と現像ローラとの対向部において磁気ブラシは感光体上の潜像に摺擦され、画像部には現像電界によってトナーが付着する。その結果、Bに示すように現像部の下流側では感光体上の潜像の画像部にトナー像が形成される。以下、感光体表面に沿って磁気ブラシが感光体に摺擦する感光体の移動方向の長さをニップと呼ぶ。なお、感光体上の一点に対し現像剤担持体の一点のみが摺擦すると画像濃度が出ないので、感光体上の一点に対し現像剤担持体の複数点が摺擦するように感光体と現像スリーブの速度に差を設けるのが一般的であるので、現像スリーブは感光体よりも早く移動するものとする。
このような2成分現像方式を例にとり図7に後端白抜けのメカニズムを示す。図7において(a)〜(c)はいずれも図6の感光体と現像スリーブの対向部付近を拡大した図であり、左側の感光体に対し、右側の磁気ブラシ先端が近づいてくる。(a)、(b)、(c)は時系列な磁気ブラシの動きを表し、(a)、(b)、(c)の順番で時間が経過していく。図7において感光体と現像ローラの対向部はちょうど非画像部と黒ベタ画像との境界を現像している状態、すなわち「後端白抜け」が発生する状態にあり、感光体の回転下流側には現像されたばかりのトナー像が形成されている。この状態の感光体に向かい、現像スリーブ上の1つの磁気ブラシが近づいてくる。ここで感光体は実際には時計回りに回転しているが、上述のように現像スリーブが感光体よりも早く移動しているため、磁気ブラシは感光体を追い越していく。そのため図(a)〜(c)においては感光体は静止しているものとしてモデルを簡略化する。(a)において感光体に近づいてくる磁気ブラシは、現像すべき画像部位置Aに至るまでの間に非画像部を通ることになり、このときマイナス電荷同士の反発力Bによりトナーは次第に感光体から離れスリーブ側に移動していく。この現象を以下「トナードリフト」と呼ぶ。トナードリフト現象の結果、(b)のように磁気ブラシが位置Aに到達する頃には感光体近くの磁気ブラシは正に帯電したキャリアが剥き出しの状態になっている。このため、位置Aの潜像に付着するトナーは存在せず、位置Aは現像されない。さらに(c)において磁気ブラシが位置Cに到達すると、トナーと感光体との付着力が弱い場合には一度感光体に付着したトナーが静電気力によりキャリアにより再付着することもある。この結果、画像部と非画像との境界では現像が行なわれない事があり、これが「後端白抜け」の原因となっていた。
本発明に使用する電子写真用現像装置の説明図である。 本発明に使用する現像装置における現像スリーブ内の現像主極磁石配置及び磁束密度の説明図である。 本発明に使用する現像装置における現像スリーブ内の現像主極磁石配置及び磁束密度の説明図である。 従来の現像装置における現像スリーブ内の磁極配置及び磁束密度の説明図である。 現像手段として本発明の現像装置と現像剤からなる現像手段を用いたプロセスカートリッジの説明図である。 2成分現像剤を用いた磁気ブラシ現像方式の一例であるネガポジ現像の現像部の説明図である。 後端白抜けのメカニズムの説明図である。

Claims (7)

  1. 非磁性体のスリーブと当該スリーブ内に固定配置され複数の磁極を備えた磁石ローラ体とを備えて構成された現像スリーブ上に、該現像スリーブを回転させてその外周面に磁性を有した現像剤を磁気吸着させて磁気ブラシを形成し、対向する潜像担持体に当該磁気ブラシを摺擦させ、その摺擦領域で潜像担持体上の潜像を可視化する現像装置と、トナー及びキャリアからなる二成分現像剤を用いる画像形成方法であって、前記現像スリーブとして前記摺擦領域で潜像担持体に対向する位置に主磁石とそれに隣り合う補助磁石からなる現像主磁極を設け、前記摺擦領域法線方向磁束密度を100〜200mT、半値幅を25°以下、主磁極と隣り合う補助磁極の法線方向磁束密度の減衰率(スリーブ表面上の法線方向磁束密度のピーク値とスリーブ表面から1mm離れたところでの法線方向磁束密度のピーク値の差をスリーブ表面上の法線方向磁束密度のピーク値で割った比率)を40%以上、該隣り合う磁極との角度間隔を35度以内とし、該スリーブ表面の長軸方向に長い筋状で、回転方向に対して周期が0.4〜0.6mm、深さが0.1〜0.2mmの凹部を設けた現像スリーブを用い、かつ該トナーとして体積平均粒径が4.0〜7.0μmであり、フロー式粒子像分析装置で測定したときの円相当径2μm以下の微粉量が20個数%以下であるトナーを用いることを特徴とする画像形成方法。
  2. トナーがワックス、バインダー樹脂を少なくとも含有し、該トナーを透過型電子顕微鏡で観察したときのトナ−表面から内部に1μmまでの領域におけるワックスの占める面積の割合が、5〜30%であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. トナーがその内部に分散して存在するワックスのうち、トナーの表面近傍(トナー粒子の表面と中心の部分との距離の中間部分(2等分した中間点)を結んだ曲線よりもトナー表面側)に存在するワックスが全ワックスの65個数%以上であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成方法。
  4. トナーがその内部に分散して存在するワックスが、トナーの表面には露出していなことを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成方法。
  5. トナーがその内部に分散して存在するワックスの分散径が0.5〜3μmである分散ワックス粒子が70個数%以上を占めることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載の画像形成方法。
  6. ワックスとして、脱遊離脂肪酸カルナウバワックス、ライスワックス、モンタン系ワックスのいずれか、もしくはいずれかを組みあわせて用いることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の画像形成方法。
  7. 感光体と、帯電手段、現像手段、クリーニング手段より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、前記現像手段が請求項1〜6に記載の現像装置と現像剤からなることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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