JP2014172940A - 蛍光体分散セラミックプレート - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体発光素子と組み合わせて使用する、発光輝度が高く、熱伝導率が高い波長変換層を提供する。
【解決手段】蛍光体分散セラミックプレートは、少なくとも蛍光体と蛍光体分散媒体とからなり、前記蛍光体はCe付活ガーネット蛍光体であり、前記蛍光体分散媒体はフッ化バリウム(BaF)であることを特徴としている。発光輝度が高く、かつ熱伝導率が高く、さらに発光色の方向依存性が少ない優れた蛍光体分散セラミックプレートとなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、波長変換に用いられる蛍光体を分散させたセラミックプレートに関する。
近年、新しい光源として、いわゆる白色LEDが開発され、従来の白熱電球や蛍光灯などの白色光源に代わり、新たな光源として応用が進んでいる。
この白色LEDの発光部は、少なくとも青色または近紫外光を発光する半導体発光素子と、この半導体発光素子からの発光の一部を吸収して別の波長の光を発する波長変換層とからなる。そして例えば半導体発光素子が発する青色光と、波長変換層が発する黄色光とが混合することで白色光が得られる。この波長変換層は、蛍光体と、該蛍光体の分散媒体としての透明な樹脂との混合物からなる。そして、この混合物は例えば樹脂製の封止材料の一部または全部として、半導体発光素子上に充填されるなどして具備される。
しかしながら、有機物である透明な樹脂は、長時間使用により劣化し、例えば透明性が低下したり、あるいは変色したりするなどの問題点がある。また、波長変換層を封止材料の一部または全部として半導体発光素子上に充填するなどして具備した場合、観察する角度により、青色光が波長変換層中を通過する移動距離が異なることに起因して、観察する角度により白色光の色が変動するといった問題がある。また樹脂中における蛍光体の分散状況のばらつきによって、製品毎の個体差から白色光の色のばらつきが生じるという問題がある。
このため、蛍光体の分散媒体として、経時変化の小さいフリットガラス等の低融点ガラスなどを用い、これと蛍光体との混合物を波長変換層とした特許がある(例えば、特許文献1参照。)。
また、蛍光体分散媒体を、上記低融点ガラスの代わりに、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム及びフッ化ランタンのうちいずれか1種とした蛍光体セラミックスの特許出願がある(例えば、特許文献2参照。)。
なお、特許文献1や特許文献2のように、波長変換層をプレート状に薄く成型し、半導体発光素子上に配置することにより、上記の製品毎の個体差から白色光の色のばらつきが生じるという問題は改善される。
特許第4158012号公報 国際公開第2009/154193号
特に照明用途などのLEDでは、照度向上のため高出力タイプの半導体発光素子が用いられるが、高出力タイプの半導体発光素子は発熱量も多く、隣接する波長変換層の温度も高くなる。このため、波長変換層の熱伝導率が低いと、波長変換層の熱が逃げにくく温度上昇しやすくなり、温度上昇に伴う発光特性の低下が問題となる。なお、前記透明な有機樹脂の一例として、有機シリコーン樹脂の熱伝導率は0.15〜0.2W/mK程度であり、上記フリットガラス材料は0.5〜1W/mK程度である。また、蛍光体として広く用いられているYAl12:Ce蛍光体(YAG:Ce蛍光体)は、11〜15W/mK程度であり、蛍光体の分散媒体としてガラスを使った波長変換層は、熱伝導率が低いという問題がある。
また、上記フッ化カルシウムの熱伝導率は9〜10W/mK程度であり、フッ化ストロンチウムの熱伝導率は1〜2W/mK程度、フッ化ランタンの熱伝導率は5W/mK程度である。熱伝導率の観点からは、特にフッ化カルシウムを用いる場合フリットガラスより好ましいが、特許文献2のように上記のフッ化物に蛍光体を分散させて波長変換層とした場合に、発光輝度がまだ低いという問題がある。
また特許文献2では、特に上記フッ化カルシウムを用いる場合、高い透明性を得るため熱間等方圧加圧(HIP)処理により、500〜2000kg/cmの圧力を加えながら、700〜1200℃に加熱する方法が用いられている。この方法を用いれば、透明性の高いセラミックが得られるが、製造コストが極めて高価になる欠点がある。また、高温高圧による蛍光体自体の劣化のおそれもある。
ところで、波長変換層は単に透明性が高いだけでは、半導体発光素子と組み合わせてLED装置とした場合に、発光色の均一性を確保することができない。すなわち、例えば青色を発光する半導体発光素子と、この半導体発光素子からの発光の一部を吸収して青の補色であるより長波長の黄色光を発する波長変換層とで構成されているLED装置において、波長変換層の透明性が極めて高いと該波長変換層の蛍光体により吸収されない青色光はそのまま直進する。これに対して、蛍光体により吸収され変換された黄色光は全立体角方向に放出される。このため、LED装置を正面から見たときの発光色は青色が強く、斜めから見たときは黄色が強くなるというような、発光色の方向依存性(色むら)が問題になる。
このような色むら問題を解決するため、波長変換層の光拡散性を高める方法がある。たとえば、波長変換層に非発光の光拡散物質粒子をあえて導入する特許出願等も多数ある。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、高い発光輝度を有し、かつ高い熱伝導率を有し、さらに発光色の方向依存性が少ない波長変換層を提供することを目的とする。
発明者らは、様々な波長変換層の材料を検討した結果、以下の構成の蛍光体分散セラミックプレートが波長変換層として好ましいことを見出した。
第1の発明に係る蛍光体分散セラミックプレートは、少なくとも蛍光体と蛍光体分散媒体とからなり、前記蛍光体はCe付活ガーネット蛍光体であり、前記蛍光体分散媒体はフッ化バリウム(BaF)であることを特徴としている。そして、この構成とすることで、発光輝度が高く、かつ熱伝導率が高く、さらに発光色の方向依存性が少ない優れた蛍光体分散セラミックプレートとなる。
第2の発明に係る蛍光体分散セラミックプレートは、第1の発明において前記蛍光体分散媒体のフッ化バリウム(BaF)の一部を10モル%まで、フッ化カルシウム(CaF)およびフッ化ストロンチウム(SrF)の少なくとも一つで置換したことを特徴としている。そして、この構成とすることで、発光輝度が高く、かつ熱伝導率が高く、さらに発光色の方向依存性が少ない優れた蛍光体分散セラミックプレートとなる。
第3の発明に係る蛍光体分散セラミックプレートは、第1または第2の発明において前記Ce付活ガーネット蛍光体がYAl12:Ce蛍光体、YAl12:Ce蛍光体のYの一部をGd、Lu、Tbの少なくとも一つで置換あるいはAlの一部をGaで置換した蛍光体、TbAl12:Ce蛍光体、LuAl12:Ce蛍光体の少なくとも一つであることを特徴としている。そして、上記のガーネット蛍光体とすることで、発光輝度が高く、かつ熱伝導率が高く、さらに発光色の方向依存性が少ない優れた蛍光体分散セラミックプレートとなる。
本発明の蛍光体分散セラミックプレートによれば、色の個体差による色のばらつきも少なく、発光色の方向依存性も少なく、発光輝度も高く、かつ熱伝導率が高いという特性のため、高出力タイプの半導体発光素子と組合せても、高温による発光特性が低下しにくく、高輝度で発光色の方向依存性が少ない優れた高出力タイプのLEDを得ることができる。
本発明の一実施形態である試料1−(1)の3000倍のSEM写真である。
次に、本発明の一実施形態として、蛍光体分散セラミックプレートを製造する工程を説明する。
本発明を構成する蛍光体分散媒体は、フッ化バリウム(BaF)が好ましい。また、フッ化バリウム(BaF)の一部を10モル%まで、フッ化カルシウム(CaF)およびフッ化ストロンチウム(SrF)の少なくとも一つで置換してもよい。
本発明を構成する蛍光体は、Ce付活ガーネット蛍光体が好ましい。例えば、YAl12:Ce蛍光体(YAG:Ce蛍光体)、YAG:Ce蛍光体のYの一部をGdやLuやTbで置換あるいはAlの一部をGaで置換した蛍光体、TbAl12:Ce蛍光体(TAG:Ce蛍光体)およびLuAl12:Ce蛍光体(LuAG:Ce蛍光体)などを好適に用いることができる。
フッ化バリウム(BaF)は、YAl12:Ce蛍光体に代表される上記Ce付活ガーネット蛍光体の合成に際して、フラックス(融剤)として多用されている。フッ化バリウムをフラックスとして用いることで、結晶性が良く、粒子径の揃ったCe付活ガーネット蛍光体が得られ、発光輝度の向上に有効である。
また、前記フッ化バリウムの密度は4.89g/cmであり、YAl12:Ce蛍光体の密度は4.56g/cmである。両者の密度が非常に近いことから、製造工程において両者を混合する際に、均一に混合分散できるため、蛍光体が均一に分散した好ましい蛍光体分散セラミックプレートを得ることができる。
本発明の蛍光体分散セラミックプレートは、次のように製造される。すなわち、まず、蛍光体分散媒体の原料粉末であるフッ化バリウム粉末、フッ化カルシウム粉末、フッ化ストロンチウム粉末を準備し、これらを所定量の割合で秤量する。これらをCe付活ガーネット蛍光体と混合して、セラミックプレートの原料であるセラミック組成物を調製する。このセラミック組成物を圧縮成型し、焼結してインゴットにした後に、所定の大きさにカットして、蛍光体分散セラミックプレートを得る。
蛍光体分散セラミックプレート原料の混合は、いろいろな方法があるが、乾式混合よりも溶媒中で混合する湿式混合の方がより均一な混合物が得られることからより好ましい。この湿式混合は、溶媒としては水やアルコール等の有機溶媒を用い、ボールミル等の方法で行うことができる。湿式混合した場合は、その後混合物を乾燥させて、セラミック組成物とする。
次に、調製したセラミック組成物を成形して成形体とする。セラミック組成物の成形方法としては、圧縮成型法が好ましい。圧縮成形法には、一軸加圧成型法、冷間等方圧加圧法(CIP法)、熱間等方圧加圧法(HIP法)などを用いることができる。具体的には、例えば、金型にセラミック組成物を充填して、一軸加圧成形を行い成形体を得る。その後、さらに冷間等方圧加圧法(CIP法)で98〜294MPa(約1000〜3000kgf/cm)程度の圧力で成型体の緻密化を行う方法が好ましい。
次いで、得られた成形体を焼結して、蛍光体分散セラミックインゴットを得る。焼結は、還元ないし中性雰囲気中で、温度は700〜1100℃の条件で1〜10時間の範囲で行うことが好ましい。この焼結は条件を変えて複数回行ってもよい。
焼結後、得られた蛍光体分散セラミックインゴットを取り出し、ダイヤモンドカッターやワイヤソー等の切断加工により、所定の大きさおよび厚さのプレート状に切り出し、蛍光体分散セラミックプレートを得る。なお、プレート厚さ調整のため研磨等の加工を行ってもよい。
蛍光体分散セラミックプレートのプレート厚さは0.1mm以上0.5mm以下であることが好ましい。0.1mmよりも薄いと機械的に割れやすくなり、0.5mmより厚くなるとプレートの透過率が下がる。より好ましい厚さの範囲は0.15mm〜0.3mmである。
蛍光体分散セラミックプレート中の蛍光体含有量は、プレートの単位面積あたりの適量範囲がある。プレート厚さが薄くなれば増量し、厚くなれば減量するといった、蛍光体含有量の調整が適宜必要である。この調整は主に蛍光体の体積に依存する。蛍光体分散媒体の組成の変化に伴いプレート全体の密度が若干変化することを考慮して、蛍光体含有量を微調整するとよい。プレートの単位面積あたりの蛍光体の体積を一定にすることで、発光色の色度変化を小さくできる。
また、蛍光体の粒子径が小さくなると、半導体発光素子から発せられる青色光に対する隠蔽力が増加するため、蛍光体の必要量は減少する効果があるが、蛍光体の粒子径が小さくなりすぎると、発光輝度が低下する問題が生じる。
蛍光体の適量範囲は体積に依存するため、蛍光体の密度が高くなる場合、蛍光体の必要量(質量)も増加する。
次に、上記一実施形態の実施例として、本発明の蛍光体分散セラミックプレートとその特性について説明する。
蛍光体は、まずYAl12:Ce蛍光体(YAG:Ce蛍光体)を合成した。
蛍光体原料として、酸化イットリウム(Y)1.46モル(329.7g)、酸化セリウム(CeO)0.08モル(13.8g)、アルミナ(Al)2.5モル(254.9g)を混合し、さらにフラックスとしてフッ化バリウム(BaF)18gを添加し充分に混合する。これをアルミナルツボに充填し、水素3%+窒素97%の還元ガス雰囲気中にて1400℃で5時間焼成した。得られた焼成体を水中でボールミルし、硝酸溶液で洗浄および脱イオン水での洗浄後、水篩を行い、篩い残を分離し、乾燥してY2.92Ce0.08Al12で表されるYAG:Ce蛍光体を得た。この得られた蛍光体を蛍光体試料Aとする。蛍光体試料Aの粒度分布をレーザー回折式粒度分布測定装置(型式:SALD−2100 島津製作所製)で測定した結果、D50は19.2μmであった。
次に、蛍光体分散媒体として粒度分布のD50が2.5μmであるフッ化バリウム(BaF)95.3gと、上記蛍光体試料A4.7gとをポリビニルアルコールを0.1質量%溶解した純水100ccに懸濁拡散する。その後、ポットに入れてボールミルを1時間実施し、充分に混合して混合スラリーを調製する。このスラリーを乾燥して、セラミック組成物とする。このセラミック組成物を金型に入れて、約1MPa(約10.2kgf/cm)の圧力で、50mm×50mm×20mmのペレットに加工する。このペレットを更に生ゴム袋に入れて、冷間等方圧加圧法(CIP法)により196MPa(約2000kgf/cm)の圧力を加えて緻密化し、成型体を得る。
得られた成形体を、水素5%窒素95%の還元雰囲気中、800℃で10時間焼成し、黄色の体色を有する蛍光体分散セラミックインゴットを得た。得られたインゴットを取り出し、まずワイヤソーで2mm×2mm×0.25mmのプレート状に切り出し、研磨工程を経て蛍光体分散セラミックプレートを得た。これを試料1−(1)とした。試料1−(1)のSEM写真を図1に示す。
同様に、蛍光体分散媒体として、フッ化バリウム(BaF)の他に、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化ストロンチウム(SrF)を表1に示す組成(モル比)となるように配合した他は試料1−(1)と同じ方法で蛍光体分散セラミックプレートを製造し、これを試料1−(2)ないし試料1−(5)とした。この際、蛍光体分散セラミックプレートに含まれる蛍光体試料Aの体積比率を一定とするため、蛍光体試料Aの質量%を表1に示すように微調整した。
また、目的のプレート厚さを0.15mmとするために、蛍光体試料Aの質量%を表1に示すように調整した以外は試料1−(1)ないし試料1−(5)と同じ方法で蛍光体分散セラミックインゴットを得た。得られたインゴットを最終的に2mm×2mm×0.15mmの蛍光体分散セラミックプレートとした。これらを試料1−(6)ないし試料1−(10)とした。
比較のため、表1の比較例1ないし比較例5に示す組成および質量%となるように蛍光体分散媒体と蛍光体試料Aの量を変化させた試料も製造した。
これら試料1−(1)ないし試料1−(10)および比較例1ないし比較例5について、発光輝度および色度x,yを測定した。測定方法は、発光ピーク波長470nmの青色LED素子(発光領域1mm角)の前面に蛍光体分散セラミックプレートを配置し、透過光を輝度計(型式:CS−100A コニカミノルタ製)で測定した。なお、発光輝度は、比較例1を100とした相対値とし、色度x,yと併せて表1に示した。
この表1に示す結果より、蛍光体分散媒体がCaFである比較例1に対して、BaFのみの試料1−(1)は、ほぼ同一の色度を保ちつつ発光輝度の相対値が114と向上していることがわかる。BaFの一部を10モル%までCaFまたはSrFに置換した試料1−(2)ないし試料1−(5)も、同様に輝度向上していることがわかる。
プレート厚さを0.25mmから0.15mmに変更した試料1−(6)ないし試料1−(10)についても、同様に輝度向上効果があることがわかる。
一方、比較例2,4,5では比較例1を下回る発光輝度となっている。さらに比較例3は蛍光体分散セラミックプレートの体色が灰色となり、蛍光は測定不能であった。
BaFの一部をCaFまたはSrFに置換する割合が10モル%を越えると、発光輝度が低下する。
また、成形体の焼結条件として、窒素100%の中性雰囲気中、1000℃4時間焼成した場合についても確認したところ、同様の効果が得られた。
このように、YAG:Ce蛍光体である蛍光体試料Aに、蛍光体分散媒体としてBaFを用いた場合、発光輝度の高い優れた蛍光体分散セラミックプレートを製造できることがわかる。
次に、YAG:Ce蛍光体以外のCe付活ガーネット蛍光体を合成して、同様に蛍光体分散セラミックプレートを製造する。
まず、YAG:Ce蛍光体のYの一部をGdで置換した蛍光体を合成した。
蛍光体原料として、酸化イットリウム(Y)1.015モル(229.7g)、酸化ガドリニウム(Gd)0.435モル(157.69g)、酸化セリウム(CeO)0.1モル(17.2g)、アルミナ(Al)2.5モル(254.9g)を混合し、さらにフラックスとしてフッ化バリウム(BaF)26gを添加し充分に混合する。これをアルミナルツボに充填し、水素3%+窒素97%の還元ガス雰囲気中にて1430℃で10時間焼成した。得られた焼成体を水中でボールミルし、硝酸溶液で洗浄および脱イオン水での洗浄後、水篩を行い、篩い残を分離し、乾燥してY2.03Gd0.87Ce0.1Al12で表されるガーネット蛍光体を得た。この得られた蛍光体を蛍光体試料Bとする。蛍光体試料Bの粒度分布を測定した結果、D50は8.8μmであった。
次に、YAG:Ce蛍光体のAlの一部をGaで置換した蛍光体を合成した。
蛍光体原料として、酸化イットリウム(Y)1.4625モル(330.25g)、酸化セリウム(CeO)0.075モル(12.9g)、アルミナ(Al)2.05モル(209.02g)、酸化ガリウム(Ga)0.45モル(84.35g)を混合し、さらにフラックスとしてフッ化バリウム(BaF)20gを添加し充分に混合する。これをアルミナルツボに充填し、水素3%+窒素97%の還元ガス雰囲気中にて1400℃で10時間焼成した。得られた焼成体を水中でボールミルし、硝酸溶液で洗浄および脱イオン水での洗浄後、水篩を行い、篩い残を分離し、乾燥してY2.925Ce0.075Al4.1Ga0.912で表されるガーネット蛍光体を得た。この得られた蛍光体を蛍光体試料Cとする。蛍光体試料Cの粒度分布を測定した結果、D50は17.2μmであった。
次に、TbAl12:Ce蛍光体(TAG:Ce蛍光体)を合成した。
蛍光体原料として、酸化テルビウム(Tb)1.47モル(537.8g)、酸化セリウム(CeO)0.06モル(10.33g)、アルミナ(Al)2.5モル(254.9g)を混合し、さらにフラックスとしてフッ化バリウム(BaF)20gを添加し充分に混合する。これをアルミナルツボに充填し、水素3%+窒素97%の還元ガス雰囲気中にて1410℃で8時間焼成した。得られた焼成体を水中でボールミルし、硝酸溶液で洗浄および脱イオン水での洗浄後、水篩を行い、篩い残を分離し、乾燥してTb2.94Ce0.06Al12で表されるTAG蛍光体を得た。この得られた蛍光体を蛍光体試料Dとする。蛍光体試料Dの粒度分布を測定した結果、D50は8.3μmであった。
次に、LuAl12:Ce蛍光体(LuAG:Ce蛍光体)を合成した。
蛍光体原料として、酸化ルテチウム(Lu)1.485モル(590.93g)、酸化セリウム(CeO)0.03モル(5.16g)、アルミナ(Al)2.5モル(254.9g)を混合し、さらにフラックスとしてフッ化バリウム(BaF)48gを添加し充分に混合する。これをアルミナルツボに充填し、水素3%+窒素97%の還元ガス雰囲気中にて1500℃で5時間焼成した。得られた焼成体を水中でボールミルし、硝酸溶液で洗浄および脱イオン水での洗浄後、水篩を行い、篩い残を分離し、乾燥してLu2.97Ce0.03Al12で表されるLuAG蛍光体を得た。この得られた蛍光体を蛍光体試料Eとする。蛍光体試料Eの粒度分布を測定した結果、D50は9.9μmであった。
上記、蛍光体試料B、C、D、Eを用いて、実施例1の試料1−(1)と同様の方法で蛍光体分散セラミックプレートを製造する。蛍光体分散媒体は、試料1−(1)に相当するBaFまたは試料1−(2)に相当する0.95BaF・0.05CaFを選択し、比較例用には、比較例1に相当するCaFを選択した。この他、表2ないし表5に示す条件以外は、すべて実施例1の試料1−(1)と同様の方法で、蛍光体分散セラミックプレートを製造し、それぞれ、試料2−(1)ないし試料2−(5)、および比較例6ないし比較例9とした。得られた試料を、実施例1と同じ手段で測定し、併せて表2ないし表5に示した。
この表2ないし表5に示す結果より、YAG:Ce蛍光体以外のCe付活ガーネット蛍光体である、蛍光体試料B、C、D、Eを用いた場合でも、蛍光体分散媒体にBaFを用いた試料2−(1)、試料2−(3)ないし試料2−(5)、およびBaFの5モル%をCaFに置換した試料2−(2)は、各々に対応する比較例6ないし9と比較して相対輝度が113以上と、輝度向上しているのがわかる。
なお、蛍光体分散媒体として、BaFの一部をSrFに置換したものであっても、同様な効果が得られることを別途実験により確認した。
この他のCe付活ガーネット蛍光体として、例えば(Y,Tb)Al12:Ce蛍光体や(Y,Lu)Al12:Ce蛍光体であっても、同様の効果が得られることを実験により確認した。
このように、YAG:Ce蛍光体に代表されるCe付活ガーネット蛍光体に、BaFまたはBaFの一部を10モル%までCaFまたはSrFに置換したものを蛍光体分散媒体として組み合わせた場合、発光輝度の高い蛍光体分散セラミックプレートを得ることができることがわかる。
発明者らは、この理由を以下のように推察する。
BaFは、上記YAG:Ce蛍光体に代表されるCe付活ガーネット蛍光体の合成時に融剤(フラックス)として多用される物質である。BaFは、蛍光体合成のための焼成工程時に、高温下では蛍光体原料と互いに溶融して液相状態となる。しかし、焼成工程終了後の温度下降時に、BaFは蛍光体と固溶体になることなく分離する。この時、蛍光体粒子が液相から結晶成長することで、結晶性が良く粒径の揃った蛍光体が得られる。
しかし、例えば別のフッ化物、例えばCaFやSrFの場合、BaFに比べてCaやSrのイオン半径が小さいため、Ce付活ガーネット蛍光体の結晶構造に悪影響を与えてしまう。さらにMgFは、比較例3のように蛍光体粒子に重大な悪影響を与えて、蛍光体を失活させる事実を確認している。このことから、BaFが特に選択的に上記YAG:Ce蛍光体に代表されるCe付活ガーネット蛍光体と相性が良く、蛍光体分散媒体としてもBaFが好適であり、実施例1ないし2のとおりの効果が得られると推察される。
また、上記の通り、上記YAG:Ce蛍光体に代表されるCe付活ガーネット蛍光体の合成時に、フラックスとしてBaFを使用した場合、合成された蛍光体表面にBaFが若干量残留していることを確認している。このため、蛍光体分散媒体としてBaFを用いた場合、蛍光体表面に残留した微量のBaFの存在のため、蛍光体粒子表面と分散媒体との濡れ性が良くなり、蛍光体粒子表面と分散媒体との境界に気相が残存する可能性が低くなると推察される。仮に濡れ性が悪く、蛍光体粒子表面に気相が存在すると、蛍光体から発せられた光が、気相により反射されるため、外部へ光が有効に放出されにくくなり、輝度低下を招く。このことから、フラックスとしてBaFを使用したCe付活ガーネット蛍光体と、蛍光体分散媒体としてのBaFは濡れ性の面でも相性が良く、輝度向上に効果を有していると推察される。
さらに、製造方法から得られる効果についても推察する。
本発明において蛍光体分散セラミックプレートを得るための好ましい方法の一つとして、原料を冷間等方圧加圧法(CIP法)で圧縮成型した後に加熱焼成をして、蛍光体分散セラミックインゴットを得ている。ところで、例えば光学レンズやシンチレーター等の透光性セラミックの製造に従来からよく用いられる方法として、特許文献2に記載されている熱間等方圧加圧法(HIP法)がある。このHIP法では例えばアルゴンなどの不活性雰囲気中で500〜2000kgf/cmの圧力を加えながら、同時に700〜1200℃の高温に加熱する方法が用いられている。このHIP法を用いれば、透明性の高い透光性セラミックが得られるが、プロセスコストが極めて高い。
またHIP法で得られた透光性セラミックは、透明性が高すぎるため、逆に本発明のように波長変換目的の蛍光体分散セラミックプレートの製造には適していない。すなわち、透明性が極めて高いと、青色光が蛍光体分散セラミックプレートを通過する際に、蛍光体粒子に吸収された青色光は波長変換され長波長の例えば黄色光になり全立体角方向に放出されるが、蛍光体粒子に吸収されない青色光はそのまま直進してセラミックプレートを通過してしまう。このため、LED装置の正面から観察すると青色が強く、斜めから観察すると黄色が強くなるというような、発光色の方向依存性の問題を生じやすい。
一方、本発明のように蛍光体分散媒体としてBaFを選択した上で、CIP法による原料を一度圧縮成型した後に、加熱焼成した場合、HIP法のように高圧下で加熱するわけではないため、蛍光体分散媒体の粒界が消失することなく、また分散媒体中に微細な気孔が残りやすい。この蛍光体分散媒体の粒界や微細な気孔が光学的な散乱中心として作用する。このため、本発明の蛍光体分散セラミックプレート中を青色光が通過する場合、蛍光体粒子に吸収されない青色光であっても、前記散乱中心にヒットすることで様々な立体角方向に散乱し、蛍光体粒子に吸収される確率が高まる。本発明の好ましい製造方法の一例、すなわち蛍光体分散媒体としてBaFを選択した上で、CIP法による原料を一度圧縮成型した後に、加熱焼成して得られる蛍光体分散セラミックプレートでは、この散乱中心の生成により、発光色の方向依存性を改善し、効率よく波長変換が行われる。
以上のとおり、本発明の蛍光体分散セラミックプレートは、発光色の方向依存性も少なく、発光輝度も高く、かつ熱伝導率が高いという優れた特性を有していることがわかる。
本発明の蛍光体分散セラミックプレートは、半導体発光素子と組み合わせてLED用に好適に用いることができる。特に、高出力タイプの半導体発光素子と組合せても発光特性の低下が起こりにくいことから、高輝度で発光色の方向依存性が少ない優れた高出力タイプのLEDを得ることができる。

Claims (3)

  1. 少なくとも蛍光体と蛍光体分散媒体とからなる蛍光体分散セラミックプレートであって、前記蛍光体はCe付活ガーネット蛍光体であり、前記蛍光体分散媒体はフッ化バリウム(BaF)であることを特徴とした蛍光体分散セラミックプレート。
  2. 前記蛍光体分散媒体のフッ化バリウム(BaF)の一部を10モル%まで、フッ化カルシウム(CaF)およびフッ化ストロンチウム(SrF)の少なくとも一つで置換したことを特徴とした、請求項1記載の蛍光体分散セラミックプレート。
  3. 前記Ce付活ガーネット蛍光体は、YAl12:Ce蛍光体、YAl12:Ce蛍光体のYの一部をGd、Lu、Tbの少なくとも一つで置換あるいはAlの一部をGaで置換した蛍光体、TbAl12:Ce蛍光体、LuAl12:Ce蛍光体の少なくとも一つであることを特徴とした請求項1または2記載の蛍光体分散セラミックプレート。
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