JP6238408B2 - 波長変換部材 - Google Patents
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Description
この白色LEDの発光部は、少なくとも青色ないしは近紫外光を発光する半導体発光素子と、この半導体発光素子からの発光の一部を吸収して別の波長の光を発する波長変換部材とからなる。この波長変換部材は、蛍光体と透明な樹脂との混合物からなる。
しかしながら、有機物である透明な樹脂は、長時間使用により劣化し、例えば透明性が低下したり、あるいは変色したりするなどの問題点がある。このため、経時変化の小さいフリットガラス等の低融点ガラスなどと蛍光体の混合物を波長変換部材とした特許がある(例えば、特許文献1および2参照。)。
ガラス粉末の粒径は、D50で2μm〜50μmが好ましい。この範囲内において、波長変換部材の透過性の著しい低下、輝度や色度が不均一になりムラが生じるといった問題がない。より好ましいガラス粉末の粒径は、D50で5μm〜25μmである。
焼成後、得られた焼成体を取り出し、ダイヤモンドカッターやワイヤソー等の切断加工により、例えば板形状等の所定の形状や大きさに切り出して波長変換部材を得る。この際、大きさの微調整や表面粗さの調製のため、研磨等の加工を行ってもよい。
蛍光体原料として、酸化イットリウム(Y2O3)1.46モル(329.7g)、酸化セリウム(CeO2)0.08モル(13.8g)、アルミナ(Al2O3)2.5モル(254.9g)を混合し、さらにフラックスとしてフッ化バリウム(BaF2)18gを添加し充分に混合する。これをアルミナルツボに充填し、水素3%+窒素97%の還元ガス雰囲気中にて1400℃で5時間焼成した。得られた焼成体を水中でボールミルし、硝酸溶液で洗浄および脱イオン水での洗浄後、水篩を行い、篩い残を分離し、乾燥してY2.92Ce0.08Al5O12で表されるYAG:Ce蛍光体を得た。この得られた蛍光体を蛍光体試料(1)とする。蛍光体試料(1)の粒度分布をレーザー回折式粒度分布測定装置(型式:SALD−2100 島津製作所製)で測定した結果、D50は13.2μmであった。
次に機械的強度を評価するため、3点曲げ強度を測定した。測定方法は、支点間距離を20mmとして、万能試験機(モデル5565、インストロン製)を用いて測定した。この結果をMPaで表3に示した。
これら表3および図2に示す結果より、Ba3La6(SiO4)6結晶の含有量によって、輝度および3点曲げ強度が変化することがわかる。Ba3La6(SiO4)6結晶が0.3%と微量でも含まれる場合は、輝度を損なわずに3点曲げ強度が向上していることがわかる。Ba3La6(SiO4)6結晶の含有量の増加に伴い、輝度は若干低下する傾向にあるが、3点曲げ強度は向上することがわかる。3点曲げ強度は含有量6%付近でピークに達し、以後は低下していく傾向がある。輝度の低下と3点曲げ強度の向上のバランスを鑑みると、Ba3La6(SiO4)6結晶の含有量は0.3%以上8%が実用可能であり、0.8%以上5%以下の範囲がより好ましいことがわかる。
なお、波長変換部材の切断加工や研磨加工の際に、上記の3点曲げ強度が80MPa以上になると研磨等の加工時に破損し難くなるという利点があり、90MPa以上になると、研磨等の加工時に破損はほぼ発生しなくなるという利点がある。
また、上記の結果より、Ba3La6(SiO4)6結晶の含有量の制御は、成型体の焼成温度や焼成時間などの焼成条件によって制御可能であることがわかる。ガラス粉末の組成にあわせて焼成条件を適宜調整できる。
Y2.03Gd0.87Ce0.1Al5O12で表される蛍光体(D50:16.8μm)を合成し蛍光体試料(2)とした。Y2.925Ce0.075Al4.1Ga0.9O12で表される蛍光体(D50:15.2μm)を合成し蛍光体試料(3)とした。Tb2.94Ce0.06Al5O12で表される蛍光体(D50:8.3μm)を合成し蛍光体試料(4)とした。Lu2.97Ce0.03Al5O12で表される蛍光体(D50:9.9μm)を合成し蛍光体試料(5)とした。
Ca0.8Eu0.05Si9.45Al2.55O0.85N15.15で表されるα型サイアロン蛍光体(D50:18.2μm)を合成し蛍光体試料(8)とした。Si5.75Al0.25O0.25N7.75:Eu0.003で表されるβ型サイアロン蛍光体(D50:15.0μm)を合成し蛍光体試料(9)とした。
得られた波長変換部材の各試料について、実施例1と同様の手段で、輝度、色度x,y、3点曲げ強度、粉末X線回折分析によるBa3La6(SiO4)6結晶の含有量を測定した。その結果、蛍光体試料(2)ないし蛍光体試料(11)と実施例1のガラス粉末を用いて製造した波長変換部材においても、Ba3La6(SiO4)6結晶の含有量によって、輝度および3点曲げ強度が変化し、実施例1と同様の効果、すなわち輝度を大きく損なうことなく、3点曲げ強度が向上する効果を得られることを確認した。
Claims (7)
- 少なくとも蛍光体とガラスマトリックスとからなる波長変換部材であって、
前記蛍光体は、アルミン酸塩系蛍光体、リン酸塩系蛍光体、および酸化物系蛍光体の少なくとも一つであり、
前記ガラスマトリックス中にBa3La6(SiO4)6結晶を含むことを特徴とした波長変換部材。 - 少なくとも蛍光体とガラスマトリックスとからなる波長変換部材であって、
前記蛍光体は、Y 3 Al 5 O 12 :Ce蛍光体、Y 3 Al 5 O 12 :Ce蛍光体のYの一部をGd、Lu、Tbの少なくとも一つで置換あるいはAlの一部をGaで置換した蛍光体、Tb 3 Al 5 O12:Ce蛍光体、Lu 3 Al 5 O 12 :Ce蛍光体、MSi 2 O 2 N 2 :Eu蛍光体(ただしMはSrおよびBaの少なくとも一つ)、前記MSi 2 O 2 N 2 :Eu蛍光体のOの一部をClで置換した蛍光体、Eu付活α型サイアロン蛍光体、Eu付活β型サイアロン蛍光体、SrAl 2 O 4 :Eu蛍光体、SrAl 2 O 4 :Eu,Dy蛍光体、BaMgAl 10 O 17 :Eu蛍光体、およびSr 5 (PO 4 ) 3 Cl:Eu蛍光体の少なくとも一つであり、
前記ガラスマトリックス中にBa3La6(SiO4)6結晶を含むことを特徴とした波長変換部材。 - 少なくとも蛍光体とガラスマトリックスとからなる波長変換部材であって、
前記蛍光体は、アルミン酸塩系蛍光体、リン酸塩系蛍光体、および酸化物系蛍光体の少なくとも一つであり、
前記ガラスマトリックスは少なくともケイ素(Si)、ランタン(La)およびバリウム(Ba)を含み、前記ガラスマトリックス中にBa3La6(SiO4)6結晶を含むことを特徴とした波長変換部材。 - 少なくとも蛍光体とガラスマトリックスとからなる波長変換部材であって、
前記蛍光体は、Y 3 Al 5 O 12 :Ce蛍光体、Y 3 Al 5 O 12 :Ce蛍光体のYの一部をGd、Lu、Tbの少なくとも一つで置換あるいはAlの一部をGaで置換した蛍光体、Tb 3 Al 5 O12:Ce蛍光体、Lu 3 Al 5 O 12 :Ce蛍光体、MSi 2 O 2 N 2 :Eu蛍光体(ただしMはSrおよびBaの少なくとも一つ)、前記MSi 2 O 2 N 2 :Eu蛍光体のOの一部をClで置換した蛍光体、Eu付活α型サイアロン蛍光体、Eu付活β型サイアロン蛍光体、SrAl 2 O 4 :Eu蛍光体、SrAl 2 O 4 :Eu,Dy蛍光体、BaMgAl 10 O 17 :Eu蛍光体、およびSr 5 (PO 4 ) 3 Cl:Eu蛍光体の少なくとも一つであり、
前記ガラスマトリックスは少なくともケイ素(Si)、ランタン(La)およびバリウム(Ba)を含み、前記ガラスマトリックス中にBa3La6(SiO4)6結晶を含むことを特徴とした波長変換部材。 - 少なくとも蛍光体とガラスマトリックスとからなる波長変換部材であって、
前記蛍光体は、アルミン酸塩系蛍光体、リン酸塩系蛍光体、および酸化物系蛍光体の少なくとも一つであり、
前記ガラスマトリックスの組成は、質量%でSiO2 40〜60%、La2O3 1〜15%、BaO 1〜10%、CaO 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO+CaO+SrO 1〜10%、K2O 0〜10%、Li2O 0〜5%、Na2O 0〜5%、K2O+Li2O+Na2O 1〜10%、B2O3 10〜40%、Al2O3 1〜10%、ZnO 1〜10%、およびZrO2 1〜10%であり、前記ガラスマトリックス中にBa3La6(SiO4)6結晶を含むことを特徴とした波長変換部材。 - 少なくとも蛍光体とガラスマトリックスとからなる波長変換部材であって、
前記蛍光体は、Y 3 Al 5 O 12 :Ce蛍光体、Y 3 Al 5 O 12 :Ce蛍光体のYの一部をGd、Lu、Tbの少なくとも一つで置換あるいはAlの一部をGaで置換した蛍光体、Tb 3 Al 5 O12:Ce蛍光体、Lu 3 Al 5 O 12 :Ce蛍光体、MSi 2 O 2 N 2 :Eu蛍光体(ただしMはSrおよびBaの少なくとも一つ)、前記MSi 2 O 2 N 2 :Eu蛍光体のOの一部をClで置換した蛍光体、Eu付活α型サイアロン蛍光体、Eu付活β型サイアロン蛍光体、SrAl 2 O 4 :Eu蛍光体、SrAl 2 O 4 :Eu,Dy蛍光体、BaMgAl 10 O 17 :Eu蛍光体、およびSr 5 (PO 4 ) 3 Cl:Eu蛍光体の少なくとも一つであり、
前記ガラスマトリックスの組成は、質量%でSiO2 40〜60%、La2O3 1〜15%、BaO 1〜10%、CaO 0〜10%、SrO 0〜10%、BaO+CaO+SrO 1〜10%、K2O 0〜10%、Li2O 0〜5%、Na2O 0〜5%、K2O+Li2O+Na2O 1〜10%、B2O3 10〜40%、Al2O3 1〜10%、ZnO 1〜10%、およびZrO2 1〜10%であり、前記ガラスマトリックス中にBa3La6(SiO4)6結晶を含むことを特徴とした波長変換部材。 - 前記Ba3La6(SiO4)6結晶の含有量は、波長変換部材に対して質量%で0.3%以上8%以下であることを特徴とした、請求項1ないし6いずれか1項記載の波長変換部材。
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