JP6897387B2 - 焼結蛍光体、発光装置、照明装置、画像表示装置および車両用表示灯 - Google Patents

焼結蛍光体、発光装置、照明装置、画像表示装置および車両用表示灯 Download PDF

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Description

本発明は、窒化物蛍光体及びフッ化物無機バインダを含む焼結蛍光体、当該焼結蛍光体
を用いた発光装置、当該発光装置を用いた照明装置および画像表示装置、車両用表示灯に
関する。
発光ダイオード(LED) は、光スペクトルの特定の領域にピーク波長を有する光を
発生させることが可能な半導体発光装置、または半導体光源として、広く知られている。
通常LEDは、照明器、標識、車載ヘッドランプおよびディスプレイの光源として使用さ
れる。LEDと蛍光体を用いた発光デバイスとして、青色の発光を行うLEDチップと、
青色光を黄色に変換するYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)蛍光体と、
を組み合わせた白色に発光する発光デバイスが知られている。YAG蛍光体は、エポキシ
樹脂やシリコーン樹脂に分散させた波長変換発光層として、LEDチップの周囲に配置さ
れる。また、前記樹脂に分散させた波長変換発光層以外に、蛍光体からなるセラミック層
、あるいは蛍光体をセラミックに分散させた、無機材料のみからなる波長変換発光層(発
光セラミック層)が例示される(特許文献1)。
一方、近年、三元系以上の元素から構成される窒化物について、多くの新規物質が製造
されており、特に最近では、窒化珪素をベースとした多元系窒化物や酸窒化物において、
優れた特性を有する蛍光体材料が開発され、波長変換発光層に用いられている。これらの
蛍光体材料は、青色LED又は近紫外LEDによって励起され、黄色ないし赤色の発光を
示すことが知られており、酸化物系蛍光体に比べて、高輝度であり、高変換効率であり、
更に発光効率の温度依存性が優れている(特許文献2)。
従来、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂などの有機バインダに分散させた波長変換発光層
では、耐久性、耐熱性、発光強度が十分ではなかった。そのため、より耐久性、耐熱性に
優れた波長変換発光層を得るために、特許文献1に例示されるように、無機材料のみから
なる波長変換発光層(発光セラミック層)を作製する方法が研究されている。
特許文献3では、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム及びフッ化ランタンのうち
のいずれか1種からなるか、又は、フッ化カルシウム及びフッ化ストロンチウムからなる
無機バインダ中に、YAG:Ce蛍光体粒子を分散させた蛍光体セラミックスが例示され
ている。
特許文献4では、Y(Al,Ga)12:Ce酸化物蛍光体、LuAl
:Ce酸化物蛍光体とCaSiAlN:Eu窒化物蛍光体の組み合わせを、放電プラ
ズマ焼結法を用いて、200℃以上のガラス転移点を持つガラス粉末を溶融させることで
、無機材料のみからなる波長変換発光層を作製している。
特表2008−502131号公報 国際公開第2008/132954号 国際公開第2009/154193号 特開2009−91546号公報
しかし、特許文献1では、発光セラミック層として、アルミニウムガーネット蛍光体を
用いている。これは、Y、Al(99.999%)、CeOからYAG粉
末を作製し、YAG粉末のみからなる成型体を得た後、1300℃で焼成することにより
得られたYAG焼結蛍光体を発光セラミック層として使用している。該発光セラミック層
は、無機バインダを用いておらず、YAG酸化物系蛍光体のみで焼結体を形成している。
そのため、高輝度であり、高変換効率であり、更に発光効率の温度依存性に優れた窒化物
蛍光体の焼結蛍光体が求められていた。
また、特許文献3に例示されているとおり、YAG酸化物蛍光体相とフッ化物マトリッ
クス相とのセラミック複合体は、内部量子効率がいずれも55%以下という低い値である
という問題があった。
特許文献4では、YAG酸化物蛍光体又はLuAG酸化物蛍光体とCASN窒化物蛍光
体の組み合わせを、ガラス粉末を溶融させることで、ガラス中に分散させて波長変換発光
層を作製しているが、無機バインダがガラスであるため、耐熱性はあるものの、熱伝導率
は2〜3W/mKと低く、更に放熱性が低いために、蛍光体の温度が上昇し輝度が低下(
蛍光体の劣化)するという課題がある。
本発明は、上記課題を鑑みて、内部量子効率及び透過率が高いLED用焼結蛍光体を提
供する。特に、色温度の低い発光の得ることのできる焼結蛍光体を提供する。また、該焼
結蛍光体を用いることで、発光効率が高く、高輝度で、かつ、励起光強度及び温度の変化
による明るさ変化・色ズレが少なく、赤色成分の多い低色温度の光を発する発光装置、並
びに、当該発光装置を用いた照明装置及び車両用表示灯を提供する。
従来、酸化物蛍光体とフッ化物無機バインダを焼結させると、一般的には、蛍光体の酸
素と無機バインダのフッ素のイオン半径が近いため固溶置換が起こり、酸フッ化物を形成
し、内部量子効率の低下を招くと考えられていた。そこで、窒化物蛍光体とフッ化物無機
バインダとを混合し、焼結させたところ、本来の窒化物蛍光体の内部量子効率を維持する
ことが可能となることを、本発明者らは見出した。これは、イオン半径に差のある窒素と
フッ素では容易に固溶置換が起こらず、内部量子効率の低下を防ぐことが可能となったた
めと考えられる。
また、フッ化物無機バインダを用いることで、例えばAlを無機バインダとして
用いた場合に比べて、焼結温度を下げることができるために、窒化物蛍光体と無機バイン
ダとの反応を抑制させることができる。このようにして、内部量子効率の高い窒化物蛍光
体の焼結蛍光体が得られることに、本発明者らは想到した。
更に、例えば三方晶系であるAlは複屈折を有するため、焼結体とするとAl
が多結晶体となり透光性が不十分であるのに対し、CaF、BaF、SrF
の結晶系が立方晶のフッ化物無機バインダを用いれば、複屈折がなく、透明性の高い焼結
蛍光体を製造することが可能である。
更に、使用する窒化物蛍光体として特定の物性・性質をもつものを使用することにより
、特に低色温度の照明として好適な焼結蛍光体が得られることを見いだした。
これにより、本発明者らは、特定の窒化物蛍光体を用いることで、赤色成分の多い低色
温度の発色が可能で、内部量子効率および透過率が高いLED用焼結蛍光体を発明するに
至った。更に該焼結蛍光体を用い、発光効率が高く、高輝度で、かつ、励起光強度及び温
度の変化による明るさ変化・色ズレの少ない、赤色成分の多い低色温度の光を発すること
が出来る優れた発光装置及び照明装置を発明するに至った。
即ち、本発明は、窒化物蛍光体及びフッ化物無機バインダを含む焼結蛍光体であって、
該窒化物蛍光体が、下記式[1]で表される結晶相を含む蛍光体であることを特徴とする
焼結蛍光体、発光装置、照明装置、画像表示装置および車両用表示灯に存する。
LaSi [1]
(式中のM元素は付活元素から選ばれる1種以上の元素を表し、
A元素は、Laおよび付活元素以外の希土類元素から選ばれる1種以上の元素を表し、
2.0≦w≦4.0、
0<x≦1.5、
8.0≦y≦14.0、
0.05≦z≦1.0)
本発明により、内部量子効率および透過率が高いLED用焼結蛍光体を提供することが
できる。特に、色温度の低い発光の得ることのできる焼結蛍光体を提供できる。また、該
焼結蛍光体を用いることで、発光効率が高く、高輝度で、かつ、励起光強度及び温度の変
化による明るさ変化・色ズレが少なく、赤色成分の多い低色温度の光を発する発光装置、
並びに、当該発光装置を用いた照明装置及び車両用表示灯を提供することができる。
本発明の実施態様に係る半導体発光装置の構成例を示す模式図である。 本発明の実施態様に係る半導体発光装置の構成例を示す模式図である。 実施例1に使用された蛍光体の粉末X線回折パターンである。 実施例2に使用された蛍光体の粉末X線回折パターンである。 実施例1および実施例2の焼結蛍光体のLED励起による発光スペクトル図である。 実施例3の焼結蛍光体のLED励起による発光スペクトルのシミュレーション結果を表す図である。 実施例4の焼結蛍光体のLED励起による発光スペクトルのシミュレーション結果を表す図である。 実施例5〜8の焼結蛍光体のLED励起による発光スペクトルのシミュレーション結果を表す図である。 実施例9〜12の焼結蛍光体のLED励起による発光スペクトルのシミュレーション結果を表す図である。 実施例13、14の焼結蛍光体のLED励起による発光スペクトルを示す図である。
{焼結蛍光体}
本発明の実施形態に係る焼結蛍光体は、窒化物蛍光体、及びフッ化物無機バインダを含
み、該窒化物蛍光体が前記式[1]で表される結晶相を含む蛍光体(以下、「式[1]蛍
光体」と称する場合がある)である。
[焼結蛍光体の形態]
本発明における焼結蛍光体は、式[1]蛍光体を含む窒化物蛍光体及びフッ化物無機バ
インダから構成された複合体であれば特に制限はないが、好ましくは、窒化物蛍光体がフ
ッ化物無機バインダ中に分散された状態であり、主として結晶性無機バインダ同士が焼結
することにより蛍光体を保持する複合体であって、窒化物蛍光体とフッ化物無機バインダ
が物理的及び/または化学的な結合によって、一体化された複合体である。イオン半径の
異なる窒化物とフッ化物を組み合わせることで、焼結時の窒化物蛍光体とフッ化物無機バ
インダとの反応を抑制させ、高い内部量子効率を有する焼結蛍光体を得ることが可能であ
る。
このような焼結蛍光体の形態は、走査電子顕微鏡による焼結蛍光体の表面観察、焼結蛍
光体を切断することで断面を切り出す、あるいはクロスセクションポリッシャーによる焼
結蛍光体断面を作製した後、走査電子顕微鏡による焼結蛍光体断面観察、等の観察方法に
て、観察が可能である。
[窒化物蛍光体]
本発明の実施形態に係る焼結蛍光体において、窒化物蛍光体が存在することを確認する
ための手法としては、X線回折による窒化物蛍光体相の同定、エネルギー分散型X線分析
装置による粒子の元素分析、蛍光X線による元素分析などが挙げられる。
本実施形態の焼結蛍光体は、下記式[1]で表される結晶相を含む蛍光体を含有する。
LaSi [1]
(式[1]中、
M元素は付活元素から選ばれる1種以上の元素を表し、
A元素は、Laおよび付活元素以外の希土類元素から選ばれる1種以上の元素を表し、
2.0≦w≦4.0、
0<x≦1.5、
8.0≦y≦14.0、
0.05≦z≦1.0)
M元素は、付活元素としては、ユーロピウム(Eu)、セリウム(Ce)、マンガン(
Mn)、鉄(Fe)、プラセオジム(Pr)などが挙げられる。
M元素は、1種の元素を単独で用いてもよく、異なる2種以上の元素を含んでいてもよ
い。中でも、M元素は、Eu又はCeを含むことが好ましく、Ceを全付活元素中80モ
ル%以上含むことがより好ましく、Ceを全付活元素中95モル%以上含むことが更に好
ましく、Ceを単独で含むことが最も好ましい。
Laは、ランタンを表す。
A元素は、イットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)、ルテチウム(Lu)が好まし
く、YとGdが更に好ましく、Yが特に好ましい。A元素が含まれることで、式[1]蛍
光体は、発光波長が長波長にシフトし、各種の発光装置として使用するのに適した発光ス
ペクトルを示すようになる。
xは、A元素の含有量を表し、通常0<x≦1.5の範囲であり、その下限値は、好ま
しくは0.1、より好ましくは0.2、更に好ましくは0.3、また上限値は、好ましく
は1.0、より好ましくは0.7である。
上記範囲内であると、発光強度が低下しにくいため好ましい。
wは、Laの含有量を表し、通常2.0≦w≦4.0の範囲である。
wとxとzの和が3になるのが結晶構造上好ましいが、格子欠陥や格子間元素、不純物
元素の存在により3以外の値となることもある。尚、化学量論比である3から2割の増減
は、結晶構造が保たれる範囲である。yは、Nの含有量を表し、通常8.0≦y≦14.
0の範囲である。yは、結晶構造上11になることが好ましいが、格子欠陥や格子間元素
、不純物元素の存在により11以外の値になることもある。
zは、M元素の含有量を表し、通常0.05≦z≦1.0であり、下限値は、好ましく
は0.10、より好ましくは0.2、また上限値は好ましくは0.95、より好ましくは
0.9である。
上記範囲内であると、濃度消光がし難く、発光強度が低下しにくい点で好ましい。
また、式[1]蛍光体中の酸素原子の質量割合は、好ましくは5.0%以下、より好ま
しくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%以下である。尚、窒化物蛍光体は、不可
避的に酸素を含むためその下限は通常0%より大きい値となる。上記範囲内であると、得
られる焼結蛍光体の輝度が良好であるため好ましい。
[式[1]蛍光体の結晶構造]
式[1]蛍光体は、LaSi11の組成式で報告されている正方晶の結晶構造を
とり、組成式にてLaの位置にLa及びA元素、M元素が入る。このような元素置換によ
り基本骨格構造は保たれながら格子定数、原子座標が異なる結晶となる。
(格子定数)
参考文献1(Acta Crystallographica. Section E,vol.70, i23ページ(2014))
によると、LaSi11は正方晶で、P4bmの空間群をもつ結晶であり、その格
子定数a=10.1988Å。c=4.84153Åである。
式[1]蛍光体は、LaSi11をベースとし、Laよりもイオン半径の小さい
Y、GdなどをLaの代わりに置換したものであり、その格子定数は下記の通りである。
a軸の格子定数(格子定数a)は、通常10.104Å以上、10.185Å以下を満
たす値であり、その下限値は、好ましくは10.109Å、より好ましくは10.114
Åであり、またその上限値は、好ましくは10.17Å、より好ましくは10.16Åで
ある。
尚、b軸の格子定数(格子定数b)は、格子定数aと同じ値である。
c軸の格子定数(格子定数c)は、通常4.820Å以上、4.860Å以下を満たす
値であり、その下限値は、好ましくは4.825Åであり、より好ましくは4.830Å
であり、またその上限値は、好ましくは4.865Å、より好ましくは4.860Åであ
る。
格子定数aが上記の範囲内であると、5000Kを下回る低色温度の照明に適した発光
スペクトルを示す蛍光体が得られるため、好ましい。格子定数cについても同様である。
特に、格子定数aを10.154Å以下とすることで、電球色の照明に適した発光スペク
トルを示す蛍光体を得ることができるので特に好ましい。
なお、上記の格子定数は、式[1]蛍光体の粉末X線回折パターンをLaSi
の結晶構造として報告されている空間群P4bmの正方晶の結晶構造から推定される回
折パターンに当てはめて、式[1]蛍光体の粉末X線回折の回折角度データとその回折の
指数を用いて求める。特定の回折線とその指数を用いて計算することもできるが、通常は
、複数の、あるいは測定されたすべての回折線を用いて、パターンフィッテング(たとえ
ばRietveld解析法)で計算される。
{式[1]蛍光体の特性}
[発光色]
式[1]蛍光体は、455nmの波長を有する励起光を照射する励起した時の発光が、
CIE(国際照明委員会)1931XYZ表色系で表した色度座標x、yで、以下の式を
満たすことが好ましい。
0.43≦x≦0.50、
0.48≦y≦0.55
なお、色度座標x、yの算出は、測定されたスペクトルから、蛍光体に吸収されなかっ
た励起光を除いた蛍光体だけのスペクトルを用いて行う。
色度座標xの値は、0.44以上がより好ましく、0.45以上がさらに好ましく、0
.46以上が特に好ましい。0.495以下がより好ましく、0.49以下がさらに好ま
しい。このような範囲を取ることにより、ガリウムナイトライド系青色LEDまたはレー
ザーで励起したときに、3000Kから5000Kの暖色(電球色)の白色発光を得るこ
とができるので好ましい。
色度座標yの値については、色度座標xの値として連動して変化する。すなわち、xが
大きくなれば、yが小さくなる。yの好ましい範囲は、0.48以上であり、0.49以
上であることがさらに好ましく、0.55以下が好ましく、0.54以下がさらに好まし
い。
[発光スペクトル]
式[1]蛍光体は、波長300nm以上、460nm以下の光で励起した場合における
発光スペクトルを測定した場合に、以下の特性を有することが好ましい。
本発明の蛍光体は、上述の発光スペクトルにおけるピーク波長が、通常546nm以上
、好ましくは550nm以上、また、通常570nm以下、好ましくは565nm以下で
ある。上記範囲内であると、得られる蛍光体において、良好な緑色ないし黄色を呈する点
で好ましい。
[式[1]蛍光体の粒径]
式[1]蛍光体の体積メジアン径は、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上
であり、また、通常35μm以下、好ましくは25μm以下の範囲である。上記範囲とす
ることで、輝度の低下が抑制され、また蛍光体粒子の凝集を抑制できるため好ましい。な
お、体積メジアン径は、例えばコールターカウンター法で測定でき、代表的な装置として
は、精密粒度分布測定装置マルチサイザー(ベックマンコールター社製)が挙げられる。
[式[1]蛍光体の体積分率]
焼結蛍光体の全体積に対する式[1]蛍光体の体積分率は、通常1%以上、50%以下
である。体積分率は、焼結蛍光体の大きさ、厚み、形状、表面粗さ、発光装置の構造など
によって影響されるため、所望の発光色を得るために調整されるべきパラメータであるが
、窒化物蛍光体の体積分率が低すぎると、十分な波長変換ができず、体積分率が高すぎる
と波長変換効率が低下したり、フッ化物無機バインダの含有率が低くなりすぎるために、
適切な機械強度の焼結蛍光体を製造するのが難しくなる。例えば、厚さ200ミクロンの
焼結蛍光体を用いて白色、あるいは電球色の発光装置を構成する場合、上記体積分率の好
ましい範囲は、3%以上、20%以下であり、15%以下であることが更に好ましい。も
し厚みを小さくした場合には体積分率を上げ、厚みを大きくした場合は体積分率を下げる

尚、本実施形態の焼結蛍光体が、式[1]蛍光体以外の蛍光体を含む場合、上記体積分
率は、その他の蛍光体を含めて上記範囲内となることが好ましい。
本実施形態の焼結蛍光体において、含有される式[1]蛍光体は、1種のみであっても
よく、異なる2種を含んでいてもよい。異なる2種としては、組成が異なるものや粒径が
異なるもの、また色度が異なるものなどが挙げられる。
{式[1]蛍光体の製造方法}
式[1]蛍光体の製造方法は、式[1]蛍光体蛍光体及びその効果が得られるものであ
れば、特に制限はないが、以下に好ましい製法について説明する。
[原料]
本発明に用いられる原料(La源、A源、Si源、M源)としては、例えば、蛍光体の
母体の構成元素であるLa、A元素、Si、必要に応じ発光波長等の調整のために添加す
る付活元素M、を含む金属、合金または化合物が挙げられる。
La源、A源、Si源、M源の化合物としては、例えば、蛍光体を構成するそれぞれの
元素の窒化物、酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、蓚酸塩、カルボン酸塩およ
びハロゲン化物等が挙げられる。具体的な種類は、これらの金属化合物の中から、目的物
への反応性または焼成時におけるNO、SO等の発生量の低さ等を考慮して適宜選択
すればよいが、本発明の蛍光体が窒素含有蛍光体である観点から窒化物及び/又は酸窒化
物を用いることが好ましい。中でも、窒素源としての役割も果たすため、窒化物を用いる
ことが好ましい。
窒化物及び酸窒化物の具体例としては、LaN、SiまたはCeN等の蛍光体を
構成する元素の窒化物、およびLaSi11またはLaSi等の蛍光体を構
成する元素の複合窒化物等が挙げられる。
また、蛍光体の母体あるいは蛍光体自体を原料の一部に使用してもよい。蛍光体の母体
あるいは蛍光体は、既に蛍光体の母体となる反応を終えているので、結晶成長に寄与する
のみであり、蛍光体自体を蛍光体焼成における結晶径や粒子径を制御する効果が期待でき
るためである。
(原料の混合)
蛍光体製造用合金を使用する場合には、含有される金属元素の組成が、前記式[1]で
表される組成に一致していれば蛍光体製造用合金のみ、または必要に応じてフラックス(
成長補助剤)を混合して焼成すればよい。
一方、蛍光体製造用合金を使用しない場合またはその組成が一致していない場合には、
別の組成を有する蛍光体製造用合金、金属単体、金属化合物などを蛍光体製造用合金と混
合して、原料中に含まれる金属元素の組成が前記式[1]で表される組成に一致するよう
に調製し、焼成する。
本発明の蛍光体の場合、(La、A元素)とSiとNの理論上の組成比は3:6:11
であることが好ましいため、仕込み組成も上記化学量論比とすることが一般的であるが、
LYSN蛍光体を作製する場合には、目的とする蛍光体の組成よりも比較的多めに原料、
特にLa元素仕込むことが好ましい。これにより、La元素、A元素、M元素が適切な量
取り込まれた結晶相を得ることができ、不純物相が少なく発光輝度の高い長波長LYSN
蛍光体を得ることができる。
この場合、LaまたはLaとLaサイトを置換する元素のモル比を、理論組成の1:2
から1:1.5程度の範囲で変更してもよい。この組成比の変更は、原料中の酸素の割合
が、高い場合に特に好ましい。
蛍光体原料の混合は、公知の手法を用いればよい。ポット中に溶媒とともに投入し、ボ
ールで原料を砕きながら混合する方法、乾式で混合し、メッシュパスさせる方法などが使
用できる。溶媒中で分散、混合した場合には、当然ながら溶媒を除去し、必要に応じ乾燥
凝集をほぐす。これらの操作は、窒素雰囲気中で行うことが好ましい。
尚、本発明の蛍光体を製造する際には、フラックスを用いてもよい。フラックスとして
は、例えば、国際公開第2008/132954号、国際公開第2010/114061
号の各公報等に記載されたものが使用できる。
[焼成工程]
このようにして得られた原料混合物は、通常は坩堝またはトレイ等の容器に充填し、雰
囲気制御が可能な加熱炉に納める。この際、容器の材質としては、金属化合物との反応性
が低いものが好ましく、例えば、窒化ホウ素、窒化珪素、炭素、窒化アルミニウム、モリ
ブデン、タングステン等が挙げられる。
本焼成の焼成温度としては、1300℃以上1900℃以下であることが好ましく、よ
り好ましくは1400℃以上1700℃以下である。
本焼成は、水素含有窒素ガスを充填した状態或いは流通させた状態で蛍光体原料を加熱
することにより行なうが、その際の圧力は大気圧よりも幾分減圧、大気圧或いは加圧の何
れの状態でもよい。ただし、大気中の酸素の混入を防ぐためには大気圧以上とすることが
好ましい。
本焼成時の加熱時間(最高温度での保持時間)は、蛍光体原料と窒素との反応に必要な
時間でよいが、通常1分以上、好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上、更に
好ましくは60分以上とすることが好ましい。加熱時間が1分より短いと窒化反応が完了
せず特性の高い蛍光体が得られない可能性がある。また、加熱時間の上限は生産効率の面
から決定され、通常50時間以下であり、好ましくは40時間以下、より好ましくは30
時間以下である。
本焼成では、蛍光体原料混合物を充填した焼成容器を加熱炉に納める。ここで使用する
焼成装置としては、本発明の効果が得られる限り任意であるが、装置内の雰囲気を制御で
きる装置が好ましく、さらに圧力も制御できる装置が好ましい。例えば、熱間等方加圧装
置(HIP)、抵抗加熱式真空加圧雰囲気熱処理炉等が好ましい。
また、加熱開始前に、焼成装置内に窒素を含むガスを流通して系内を十分にこの窒素含
有ガスで置換することが好ましい。必要に応じて、系内を真空排気した後、窒素含有ガス
を流通してもよい。
焼成の際に使用する窒素含有ガスとしては、窒素元素を含むガス、例えば窒素、アンモ
ニア、或いは窒素と水素の混合気体等が挙げられる。また、窒素含有ガスは、1種のみを
用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
[後処理工程]
本発明における製造方法においては、上述した工程以外にも、必要に応じてその他の工
程を行ってもよい。例えば、上述の焼成工程後、必要に応じて粉砕工程、洗浄工程、分級
工程、表面処理工程、乾燥工程などを行なってもよい。
(粉砕工程)
粉砕工程には、例えば、ハンマーミル、ロールミル、ボールミル、ジェットミル、リボ
ンブレンダー、V型ブレンダー若しくはヘンシェルミキサー等の粉砕機、または乳鉢と乳
棒を用いる粉砕などが使用できる。
(洗浄工程)
洗浄工程は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はなく、例えば、脱イオン水等の
水、エタノール等の有機溶剤またはアンモニア水等のアルカリ性水溶液などで蛍光体表面
を行うことができる。
使用されたフラックスを除去する等、蛍光体の表面に付着した不純物相を除去し発光特
性を改善するなどの目的のために、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、王水およびフッ化水素酸
と硫酸との混合物などの無機酸;酢酸などの有機酸などを含有する酸性水溶液を使用する
こともできる。
(分級工程)
分級工程は、例えば、水篩または各種の気流分級機または振動篩など各種の分級機を用
いることにより行うことができる。中でも、ナイロンメッシュによる乾式分級を用いると
、体積平均径10μm程度の分散性に優れた蛍光体を得ることができる。また、ナイロン
メッシュによる乾式分級と、水簸処理とを組み合わせて用いると、体積メジアン径20μ
m程度の分散性の良い蛍光体を得ることができる。
(乾燥工程)
前記洗浄を終了した蛍光体を、100℃〜200℃程度で乾燥させる。必要に応じて乾
燥凝集を防ぐ程度の分散処理(例えばメッシュパスなど)を行ってもよい。
(表面処理工程)
本発明の蛍光体を用いて発光装置を製造する際には、耐湿性等の耐候性を一層向上させ
るために、又は後述する発光装置の蛍光体含有部における樹脂に対する分散性を向上させ
るために、必要に応じて、蛍光体の表面を異なる物質で一部被覆する等の表面処理を行っ
てもよい。
{フッ化物無機バインダ}
[フッ化物無機バインダ、およびフッ化物無機バインダ粒子]
本発明の実施形態に係る焼結蛍光体において、フッ化物無機バインダが存在することを
確認するための手法としては、X線回折による無機バインダ相の同定、電子顕微鏡による
焼結体表面あるいは断面構造の観察および元素分析、蛍光X線による元素分析などが挙げ
られる。
焼結蛍光体の全体積に対する窒化物蛍光体とフッ化物無機バインダの合計体積分率は、
好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは90%以上であり、特に好ましくは95
%以上である。合計体積分率が低いと本発明の効果を発揮することができなくなるからで
ある。しかしながら、窒化物蛍光体とフッ化物無機バインダ以外の成分が、熱伝導性向上
や屈折率の調整を目的として添加される成分であれば、上記合計体積分率が上記好ましい
範囲より低くなることが許容される。
また、窒化物蛍光体とフッ化物無機バインダの全体積に対するフッ化物無機バインダの
体積分率は、通常50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、また
通常99体積%以下、好ましくは98%以下、より好ましくは97%以下である。
本実施形態では、フッ化物無機バインダは窒化物蛍光体を分散させるマトリックスとし
て用いられ、結晶質のマトリックスであることが好ましい。マトリックスとしては、フッ
化物無機バインダ以外を含んでいてもよいが、結晶性の化合物であることが好ましい。当
該フッ化物無機バインダは、発光素子から放出された励起光の一部又は窒化物蛍光体から
放出された光の少なくとも一部が透過するものが好ましい。また、窒化物蛍光体から放出
される光を効率的に取り出すために、フッ化物無機バインダの屈折率が、蛍光体の屈折率
に近いことが好ましい。更に、強励起光照射による生じる発熱に耐え、かつ放熱性を有す
ることが好ましい。また、フッ化物無機バインダを用いることで、焼結蛍光体の成型性が
良好となる。
フッ化物無機バインダとしては、具体的には、CaF(フッ化カルシウム)、MgF
(フッ化マグネシウム)BaF(フッ化バリウム)、SrF(フッ化ストロンチ
ウム)、LaF(フッ化ランタン)、YF(フッ化イットリウム)AlF(フッ化
アルミニウム)等のアルカリ土類金属、希土類金属のフッ化物や典型金属、及び、これら
の複合体からなる群から選ばれる何れか1種以上のものが主成分として使用される。ここ
で、主成分とは使用するフッ化物無機バインダとして50重量%以上を占めることを意味
する。
中でも、コストや焼結のしやすさの観点でフッ化物無機バインダとしてCaFを使用
することが好ましい。あるいは、フッ化物無機バインダとして、CaFを50重量%以
上含む複合体を使用することが好ましく、80重量%以上含む複合体を使用することがさ
らに好ましく、90重量%以上含む複合体を使用することが特に好ましい。さらにフッ化
物無機バインダは、5%以下の分量のこれら以外のハロゲン化物・酸化物・窒化物を含ん
でいてもよい。
フッ化物無機バインダは、フッ化物無機バインダと同じ組成からなる粒子が物理的及び
/または化学的に結合されて構成される。
(フッ化物無機バインダ粒子の物性)
・粒径
フッ化物無機バインダ粒子は、その体積メジアン径が、通常0.01μm以上、好まし
くは0.02μm以上、より好ましくは0.03μm以上、特に好ましくは0.05μm
以上であり、また、通常15μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm
以下、更に好ましくは3μm以下、特に好ましくは2μm以下である。フッ化物無機バイ
ンダ粒子が上記範囲であることで、焼結温度を低減させることが可能となり、窒化物蛍光
体と無機バインダが反応することによる窒化物蛍光体の失活を抑制することができ、焼結
蛍光体の内部量子効率の低下を抑制できる。
なお、体積メジアン径は、例えば前述のコールターカウンター法で測定でき、その他の
代表的な装置としては、レーザー回折粒度分布測定、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過
型電子顕微鏡(TEM)、精密粒度分布測定装置マルチサイザー(ベックマンコールター
社製)等を用いて測定する。
・純度
フッ化物無機バインダ粒子の純度を確認するための手法としては、誘導結合プラズマ発
光分光分析(ICP−AES分析)、蛍光X線による元素定量分析などが挙げられる。
フッ化物無機バインダ粒子の純度は、通常99%以上、好ましくは99.5%以上、よ
り好ましくは99.9%以上である。上記範囲内であると、焼結後に異物が発生し難く、
透過性や発光効率といった焼結体の特性が良好であるため好ましい。
・屈折率
フッ化物無機バインダ粒子の屈折率を確認するための手法としては、フッ化物無機バイ
ンダ粒子からなる焼結体を鏡面研磨し、それを用いて最小偏角法、臨界角法、Vブロック
法により測定する方法が挙げられる。
フッ化物無機バインダ粒子の屈折率nbは、窒化物蛍光体の屈折率npとの比 nb/
npが、1以下、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.6以下である。屈折率比が
1より大きいと、焼結後の光取り出し効率を低下させる傾向がある。このため上記範囲が
好ましい。
・熱伝導率
フッ化物無機バインダ粒子の熱伝導率を確認するための手法としては、フッ化物無機バ
インダ粒子からなる焼結体を作製し、それを用いて定常加熱法、レーザーフラッシュ法、
周期加熱法により測定する方法が挙げられる。
フッ化物無機バインダ粒子の熱伝導率は、通常3.0W/(m・K)以上、好ましくは
5.0W/(m・K)以上であり、より好ましくは10W/(m・K)以上である。熱伝
導率が3.0W/(m・K)より小さいと、強励起光照射によって焼結蛍光体の温度が上
昇する場合があり、蛍光体及び周辺部材を劣化させる傾向がある。このため上記範囲が好
ましい。
フッ化物無機バインダには、屈折率調整や熱伝導率向上を目的として、蛍光体以外の成
分の粒子を添加することが出来る。上記目的の粒子としては、光吸収が少なく、熱伝導性
にすぐれたものが好ましく、窒化硼素、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、アルミナ、マグ
ネシアが好ましい。放熱性の観点では、窒化硼素が好ましく、光吸収が少ないという観点
ではアルミナ、マグネシア、酸化ケイ素が好ましい
上記粒子の焼結蛍光体中の体積分率は、50%以下が好ましく、30%以下が更に好ま
しい。多すぎると焼結蛍光体が実用上必要な機械強度とならない恐れがある。また、上記
粒子の粒子サイズは、10ミクロン以下が好ましく、5ミクロン以下が更に好ましく、2
ミクロン以下が特に好ましい。粒径が小さいほうが、フッ化物無機バインダ中に均等に分
散されやすく、焼結蛍光体として均質なものが得られやすくなる。
・融点
フッ化物無機バインダ粒子は、その融点が低いことが好ましい。融点が低いフッ化物無
機バインダ粒子を用いることで、焼結温度を低減させることが可能となり、窒化物蛍光体
と無機バインダが反応することによる窒化物蛍光体の失活を抑制することができ、焼結蛍
光体の内部量子効率の低下を抑制できる。具体的には、融点が1500℃以下であること
が好ましく、1300℃以下であることがより好ましい。下限温度は特段限定されず、通
常500℃以上である。
・溶解度
フッ化物無機バインダ粒子は、溶解度が20℃において、水100g当たり、0.05
g以下であることが好ましい。
[式[1]蛍光体以外のその他の蛍光体]
本実施形態の焼結蛍光体は、本発明の効果を損なわない範囲で、式[1]蛍光体以外の
その他の蛍光体を含んでいてもよい。その他の蛍光体としては、(酸)窒化物蛍光体であ
ってもよく酸化物蛍光体であってもよく、またその両方を含んでいてもよい。
以下に、その他の蛍光体の具体例を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。
((酸)窒化物蛍光体)
本実施形態の焼結蛍光体に含まれていてもよい(酸)窒化物蛍光体は、下記のものが挙
げられる。
ストロンチウム及びケイ素を結晶相に含む窒化物蛍光体(具体的には、SCASN、S
Si)、カルシウム及びケイ素を結晶相に含む窒化物蛍光体(具体的には、S
CASN,CASN、CASON)、ストロンチウム、ケイ素、及びアルミニウムを結晶
相に含む窒化物蛍光体(具体的には、SCASN、SrSi)、カルシウム、ケ
イ素、及びアルミニウムを結晶相に含む窒化物蛍光体(具体的には、SCASN、CAS
N、CASON)が挙げられる。
さらに、具体的には、例えば、次の一般式で表すことができるβサイアロン:Si6−
Al8−z:Eu(式中0<z<4.2)、αサイアロン、
次の一般式で表されるLSN;LnSi:Z(式中Lnは付活元素として用い
る元素を除いた希土類元素である。Zは付活元素である。2.7≦x≦3.3、5.4≦
y≦6.6、10≦n≦12を満たす。)
次の一般式で表されるCASN:CaAlSiN:Eu、
次の一般式で表すことができるSCASN:(Ca,Sr,Ba,Mg)AlSiN
:Eu及び/又は(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O):Eu)、
次の一般式で表すことができるCASON:(CaAlSiN1−x(Si
O):Eu(式中0<x<0.5)、
次の一般式で表すことができるCaAlSi:(Sr,Ca,Ba)1−yAl
1+xSi4−x7−x:Eu(式中、0≦x<4、0≦y<0.2)、
次の一般式で表すことができるSrSi:(Sr,Ca,Ba)AlSi
5−x8−x:Eu(式中0≦x≦2)等の蛍光体が挙げられる。
これらの蛍光体の中でも、焼結蛍光体にした時の輝度が良好であるという観点からは、
構成元素として酸素を含まない窒化物蛍光体(不可避的に混入する酸素は含む)、即ち、
LSN、CASN、SCASN、SrSi、βサイアロン等の窒化物蛍光体を用
いることが好ましい。
特に、LSN蛍光体と式[1]蛍光体を両方含有する焼結蛍光体は、発光効率と演色性
のバランスに優れた発光装置を作ることが出来るので好ましい。この場合のLSN蛍光体
は上記式中のLnがすべてLaであることが好ましい。
このように蛍光体2種類を含有する焼結蛍光体は、量産製造時に、蛍光体のロット間バ
ラツキの影響を2種類の蛍光体の配合比で調整で出来るため製造が容易な点で好ましい。
この構成により作製される発光装置の相関色温度は、5000K以上にすることが好まし
く、6000K以上が更に好ましい。相関色温度の高い照明は視感度の高い光を比較的多
く含むため、明るく感じられる。
また、CASN蛍光体またはSCASN蛍光体と式[1]蛍光体を両方含有する焼結蛍
光体は、低色温度の光を発する発光装置に好適に利用でき、発光効率と演色性のバランス
に優れた発光装置を作ることが出来るので好ましい。
(酸化物系蛍光体)
本実施形態の焼結蛍光体に含まれていてもよい酸化物蛍光体としては、下記のものが挙
げられる。
Al12:Ce、LuAl12:Ce等のガーネット構造の酸化物蛍光
体を利用できる。なお、これらの構成元素を一部置換したものも含まれる。置換の方法と
してYをGd,Tb,Luに、AlをGaに、LuをGd,Tb,Yに置換することが出
来る。あるいは、CaScSi12:Ce、 CaScSi12:Ce
、Mg、LuCaMgSi12:Ce等のシリケート系蛍光体を利用できる。S
rAl:Euや、SrAl1425:Eu等のアルミン酸塩蛍光体も利用でき
る。
尚、上記の(酸)窒化物蛍光体および酸化物蛍光体における粒径や体積分率は、式[1
]蛍光体の項で記載したものと同様である。好ましい態様も同様である。
特に、YAl12:CeまたはAlでGaを一部置換したYAl12:C
eと、式[1]蛍光体を両方含有する焼結蛍光体は、発光効率と演色性のバランスに優れ
た発光装置を作ることが出来るので好ましい。この構成により作製される発光装置の相関
色温度は、5000K以上にすることが好ましく、6000K以上が更に好ましい。
[焼結蛍光体の製造方法]
上述した窒化物蛍光体及びフッ化物無機バインダ粒子、又はガーネット系蛍光体、窒化
物蛍光体、及びフッ化物無機バインダ粒子を主たる原料とし、これらの混合物を圧密・焼
結することで、上記材料の複合体である焼結蛍光体を製造することができるが、製法につ
いての制限は特にない。より好ましい製造方法を以下に記載する。
[焼結蛍光体の製造方法]
上述した窒化物蛍光体及びフッ化物無機バインダ粒子、又はガーネット系蛍光体、窒化
物蛍光体、及びフッ化物無機バインダ粒子を主たる原料とし、これらの混合物を圧密・焼
結することで、上記材料の複合体である焼結蛍光体を製造することができるが、製法につ
いての制限は特にない。より好ましい製造方法を以下に記載する。
具体的には、以下の(工程1)〜(工程2)が例示される。
(工程1)窒化物蛍光体(又はガーネット系蛍光体及び窒化物蛍光体)と無機バインダ
粒子を撹拌・混合し、加圧プレス成形し、成形体を焼結する工程
(工程2)窒化物蛍光体(又はガーネット系蛍光体及び窒化物蛍光体)と無機バインダ
粒子を撹拌・混合し、加圧プレスと同時に焼結する工程
(工程1)
・撹拌・混合工程
最初に、窒化物蛍光体(又はガーネット系蛍光体及び窒化物蛍光体)と無機バインダ粒
子を混合させ、窒化物蛍光体等と無機バインダ粒子の混合粉を得る。窒化物蛍光体等と無
機バインダ粒子からなる焼結体全体を100%とした場合、フッ化物無機バインダの体積
分率が、通常50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上であり、通
常99%以下、好ましくは98%以下、より好ましくは97%以下となるよう、混合させ
る。これらを撹拌・混合する方法は、例えば、ボールミル、Vブレンダーなどの乾式混合
法、あるいは、窒化物蛍光体等と無機バインダに溶媒を加えてスラリー状態にし、ボール
ミル、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、2軸混練機などを用いた湿式混合法、等
が挙げられる。撹拌・混合時間は、通常0.5時間以上、好ましくは2時間以上、より好
ましくは6時間以上であり、通常72時間以下、好ましくは48時間以下、より好ましく
は24時間以下である。このように、機械的に撹拌・混合することにより、全体を均一に
混合させることが可能である。
ここで、加圧プレスによる成形性を上げるために、有機バインダ、分散剤、更に溶媒を
加えても構わない。有機バインダ等を加える場合、例えば、焼結体全体を100重量%と
した場合、有機バインダを通常0.1重量%以上5重量%以下、分散剤を通常0.01重
量%以上3重量%以下、溶媒を通常10重量%以上70重量%以下混合し、スラリーを作
製する。この場合、有機バインダには、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビ
ニルブチラール、メチルセルロース、デンプン等を用いることができる。分散剤には、ス
テアリン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリカルボン酸アンモニウム等を
用いることができる。溶媒には、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピ
ルアルコールなどを用いることができる。これらは単独、あるいは混合して用いても構わ
ない。
これらを混合する方法は、例えば、ボールミル、ホモジナイザー、超音波ホモジナイザ
ー、2軸混練機などを用いた湿式混合法、等が挙げられる。有機バインダ等を加える場合
、撹拌・混合時間は、通常0.5時間以上、好ましくは2時間以上、より好ましくは6時
間以上であり、通常72時間以下、好ましくは48時間以下、より好ましくは24時間以
下である。このように、機械的に撹拌・混合することにより、全体を均一に混合させるこ
とが可能である。また、有機バインダが被覆された無機バインダ粒子を用いて、蛍光体と
混合しても構わない。
湿式混合の場合、撹拌・混合工程の次に、溶媒乾燥・造粒工程を行う。溶媒乾燥・造粒
工程 では、撹拌・混合工程により得られたスラリーを、所定の温度で溶媒を揮発させて
、窒化物蛍光体等と無機バインダ粒子と有機バインダの混合粉を得る。あるいは、公知の
噴霧乾燥装置(スプレードライヤー装置)を使用することにより、所定の粒径を有する造
粒粒子を作製しても構わない。造粒粒子の平均粒径は、通常22μm以上、好ましくは2
4μm以上、より好ましくは26μm以上であり、通常200μm以下、好ましくは15
0μm以下、より好ましくは100μm以下である。造粒粒子径が小さいと、嵩密度が小
さくなり、粉体ハンドリング性、プレス金型への充填が困難になり、造粒粒子径が大きい
と、プレス後の成形体中に気孔が残留し、焼結度の低下につながる。
・成形工程
ここでは、一軸金型成形、冷間静水圧成形(CIP)を用いて、撹拌・混合工程で得られ
た混合粉をプレス成形し、目的の形状のグリーン体を得る。成形時の圧力は、通常1MP
a以上、好ましくは5MPa以上、より好ましくは10MPa以上であり、通常1000
MPa以下である。成形時の圧力が低すぎると、成形体を得ることができず、圧力が高す
ぎると、蛍光体に機械的ダメージを与え、発光特性を低下させる原因となりえる。
・脱脂工程
必要に応じ、有機バインダを用いて成形したグリーン体から、空気中で有機バインダ成
分を焼き飛ばす脱脂を実施する。脱脂に使用する炉は所望の温度、圧力を実現できれば特
段限定されない。上記要件を満たせば特に制約はないが、例えば、シャトル炉、トンネル
炉、リードハンマー炉、ロータリーキルン、オートクレーブ等の反応槽、タンマン炉、ア
チソン炉、ホットプレス装置、パルス通電加圧焼結装置、熱間静水圧焼結装置、加圧雰囲
気炉、加熱方式も、高周波誘導加熱炉、直接式抵抗加熱、間接式抵抗加熱、直接燃焼加熱
、輻射熱加熱、通電加熱等を用いることができる。処理時には、必要に応じて攪拌を行な
ってもよい。
脱脂処理の雰囲気は、特に限定されるものではないが、大気中、あるいは大気フロー下
において実施することが好ましい。脱脂処理温度は、使用する無機バインダにより適する
温度範囲は異なるが、通常300℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは50
0℃以上であり、通常1200℃以下、好ましくは1100℃以下、より好ましくは10
00℃以下である。
脱脂処理時間は、通常0.5時間以上、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間
以上であり、通常6時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは4時間以下である
。処理温度、時間がこの範囲より小さい場合、十分に有機成分を取り除くことができず、
この範囲より大きい場合は、蛍光体の酸化等表面が変質し、発光特性を低下させる原因と
なる傾向にある。
脱脂工程において、熱履歴温度条件、昇温速度、冷却速度、熱処理時間等は、適宜設定
できる。また、比較的低温領域で熱処理した後、所定の温度に昇温することもできる。な
お、本工程に用いる反応機は回分式でも連続式でも、また一基でも複数基でもよい。
・焼結工程
成形工程及び/又は脱脂工程を経て得られた成形体を焼結することにより、焼結蛍光体
を得る。焼結に使用する工程は、所望の温度、圧力を実現できれば特段限定されない。例
えば、シャトル炉、トンネル炉、リードハンマー炉、ロータリーキルン、オートクレーブ
等の反応槽、タンマン炉、アチソン炉、ホットプレス装置、パルス通電加圧焼結装置、熱
間静水圧焼結装置、加圧雰囲気炉、加熱方式も、高周波誘導加熱炉、直接式抵抗加熱、間
接式抵抗加熱、直接燃焼加熱、輻射熱加熱、通電加熱等を用いることができる。処理時に
は、必要に応じて攪拌を行なってもよい。焼結処理の雰囲気は、特に限定されるものでは
ないが、大気雰囲気下、N雰囲気下、Ar雰囲気下、真空下、あるいは大気フロー下、
フロー下、Arフロー下、大気加圧下、N加圧下、Ar加圧下、において実施する
ことが好ましい。特に昇温時は真空下で加熱することにより原料由来の脱ガスを促進する
ことができるためボイドが少ない焼結体を得るのに有効である。また、適宜雰囲気ガス中
にHを導入してもよい。焼結処理温度は、使用する無機バインダにより最適温度範囲は
異なるが、通常300℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは500℃以上で
あり、通常1900℃以下、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1300℃以下
である。また、焼結温度は、使用するフッ化物無機バインダの融点より、通常50℃以下
の温度であり、好ましくは100℃以下、より好ましくは150℃以下である。ここで、
フッ化カルシウム(CaF)の融点は1418℃、フッ化ストロンチウム(SrF
の融点は1477℃である。焼結処理の雰囲気を加圧下で実施してもよい。また成型工程
の後、焼結の前に焼結温度より低い温度で脱ガス工程を行うことも可能である。
焼成時の昇温速度は通常 10℃/分、好ましくは2.5℃分、より好ましくは1℃/
分である。昇温時間が早いと原料からのガスが抜ける前に焼結が進んでしまい、焼結度低
下の原因となりうる。昇温速度を制御する代わりに、焼成トップ温度より低い温度で保持
後温度を上げて焼成すること、又は脱ガス処理工程として焼成トップ温度より低い温度で
予備焼成することも有効である。
焼結処理時間は、通常0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1
時間以上であり、通常6時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは4時間以下で
ある。この処理温度、時間がこの範囲より小さい場合、十分に有機成分を取り除くことが
できず、この範囲より大きい場合は、蛍光体の酸化等表面が変質し、発光特性を低下させ
る原因となる。
焼結工程において、熱履歴温度条件、昇温速度、冷却速度、熱処理時間等は、適宜設定
する。また、比較的低温領域で熱処理した後、所定の温度に昇温することもできる。なお
、本工程に用いる反応機は回分式でも連続式でも、また一基でも複数基でもよい。
一度焼結工程において得られた成形体を、更に焼結させることもできる。焼結に使用す
る工程は、特に制限はないが、熱間静水圧焼結装置などが挙げられる。
また、焼結工程において、適宜焼結助剤を用いることができる。焼結工程に使用する焼
結助剤として特に制限はないが、MgO、Y、CaO、LiO、BaO、La
、Sm、Sc,ZrO、SiO、MgAl、LiF、NaF
、BN、AlN、Si、Mg、Zn、Ni、W、ZrB、Ti、Mn、などが挙
げられ、これらを2種以上混合して用いても構わない。
(工程2)
・撹拌・混合工程
工程1の撹拌・混合工程と同様に実施することができる。
・加圧プレス焼結工程
撹拌・混合工程により得られた窒化物蛍光体等と無機バインダ粒子との混合粉を、加圧
しながら加熱することにより、焼結蛍光体を得る。加圧プレス焼結に使用する炉は、所望
の温度、圧力を実現できれば特段限定されない。例えば、ホットプレス装置、パルス通電
加圧焼結装置、熱間静水圧焼結装置、加熱方式も、高周波誘導加熱炉、直接式抵抗加熱、
間接式抵抗加熱、直接燃焼加熱、輻射熱加熱、通電加熱等を用いることができる。加圧プ
レス焼結処理の雰囲気は、特に限定されるものではないが、大気雰囲気下、N雰囲気下
、Ar雰囲気下、真空下、あるいは大気フロー下、Nフロー下、Arフロー下、大気加
圧下、N加圧下、Ar加圧下、において実施することが好ましい。また、適宜雰囲気ガ
ス中にHを導入してもよい。焼結処理温度は、使用する無機バインダにより最適温度範
囲は異なるが、通常300℃以上、好ましくは400℃以上、より好ましくは500℃以
上であり、通常1900℃以下、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1300℃
以下、更に好ましくは1000℃以下である。また、焼結温度は、使用するフッ化物無機
バインダの融点より、50℃以上低い温度であればよく、好ましくは100℃以上低い温
度、より好ましくは150℃以上低い温度である。ここで、フッ化カルシウム(CaF
)の融点は1418℃、フッ化ストロンチウム(SrF)の融点は1477℃である。
焼結処理時間は、通常0.1時間以上、好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1
時間以上であり、通常6時間以下、好ましくは5時間以下、より好ましくは4時間以下で
ある。
加圧プレス圧力は、通常1MPa以上、好ましくは5MPa以上、より好ましくは10
MPa以上であり、通常1000MPa、好ましくは800MPa以下、より好ましくは
600MPa以下である。成形時の圧力が低すぎると、成形体を得ることができず、圧力
が高すぎると、蛍光体に機械的ダメージを与え、発光特性を低下させる原因となりえる。
加圧プレス焼結工程において、熱履歴温度条件、昇温速度、冷却速度、熱処理時間等は
、適宜設定する。また、比較的低温領域で熱処理した後、所定の温度に昇温することもで
きる。なお、本工程に用いる反応機は回分式でも連続式でも、また一基でも複数基でもよ
い。
また、焼結工程において、適宜焼結助剤を用いることができる。焼結工程に使用する焼
結助剤としては特に制限はないが、MgO、Y、CaO、LiO、BaO、La
、Sm、Sc,ZrO、SiO、MgAl、LiF、Na
F、BN、AlN、Si、Mg、Zn、Ni、W、ZrB、H、Ti、Mn、
などが挙げられ、これらを2種以上混合して用いても構わない。
得られた焼結蛍光体はそのままで用いてもよいが、通常所定の厚みでスライスし、更に
研削・研磨により所定の厚みプレート状まで加工することで、板状の焼結蛍光体が得られ
る。研削・研磨条件は、特に限定されるものではないが、例えば、♯800のダイヤモン
ド砥石で、砥石回転数80rpm、ワーク回転数80rpm、50g/cmとして研磨
を行い、プレート状に加工する。最終的な焼結蛍光体の厚みは、下限が、通常30μm以
上、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上であり、上限が、通常20
00μm以下、好ましくは1000μm以下、さらに好ましくは800μm以下、より好
ましくは500μm以下である。焼結蛍光体プレートの厚みがこの範囲以下では破損しや
すく、一方この範囲を超えると光が透過しにくくなる。
さらに表面を適宜研磨した後、適宜ウエットエッチング処理、ドライウェットエッチン
グ処理等により、凹凸加工を施してもよい。
{焼結蛍光体の物性}
[焼結蛍光体の特性]
本実施形態の焼結蛍光体は、更に以下のような特性を持つことが好ましい。
・焼結度
本実施形態の焼結蛍光体の焼結度を確認するための手法としては、アルキメデス法によ
る密度ρを測定し、焼結体の理論密度ρtheoreticalを用いて、ρ/ρ
heoretical×100により算出する。
ここで、理論密度とは、材料中の原子が理想的に配列しているとした場合の密度である

焼結蛍光体の焼結度は、通常90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99
%以上である。焼結度が、この範囲であれば、焼結蛍光体内部に存在する空孔(空隙)が
少なくなり、光透過率、光取り出し効率(変換効率)が向上する。一方、焼結度が、この
範囲以下であると、光散乱が強く光取り出し効率が低下する。このため上記範囲が好まし
い。
なお、焼結蛍光体の焼結度は、焼結温度及び焼結時間を調整することで、上記範囲とす
ることができる。
・吸収率
本実施形態の焼結蛍光体の吸収率を確認するための手法としては、吸光光度計(UV−
Vis)、により測定する方法が挙げられる。
焼結蛍光体の500nm以上の可視光に対する吸収率は、通常10%以下、好ましくは
5.0%以下、より好ましくは3.5%以下、さらに好ましくは1.5%以下である。吸
収率が10%より大きいと、発光効率(内部量子効率)、透過率を低下させ、それにより
、光取り出し効率(変換効率)を低下させる傾向がある。このため上記範囲が好ましい。
一方、500nm以下の光に対する吸収率は、高いほうが好ましく、40%以上が好ま
しく、50%以上が更に好ましく、60%以上が特に好ましい。500nm以下の光に対
する吸収率が高いと、発光装置のLEDまたはレーザーが発生する光を効率よく吸収する
ことができ、蛍光光量を大きくすることができる。
・透過率
本実施形態の焼結蛍光体の透過率を確認するための手法としては、積分球及び分光器に
より測定する方法が挙げられる。
焼結蛍光体の透過率は、波長700nmにおける透過率を測定し、通常20%以上、好
ましくは25%以上、より好ましくは30%以上、更に好ましくは40%以上である。透
過率が20%より小さいと焼結蛍光体を透過する励起光の量が低下し、所望の色度を実現
にし難くなり、かつ光取り出し効率(変換効率)を低下させる傾向にある。
・相関色温度CCT、色度座標CIE−x, y
本実施形態の焼結蛍光体の相関色温度は、LEDから発せられるピーク波長450nm
の青色光を照射して得られる青色光の透過光を含めた発光色から算出する。
一般照明装置等に用いられる焼結蛍光体の相関色温度は、波長が450nmの青色光で
励起した時、通常1900K以上、5000K以下であり、2700K、3000K、4
000K、5000Kの照明装置が一般的に用いられることから、これらの色温度に調整
することが好ましい。1900Kのような低い相関色温度の照明装置も、ろうそくの光を
模した照明として近年利用されており、この相関色温度に調整することも好ましい。
・内部量子効率
本実施形態の焼結蛍光体の内部量子効率(iQE)は、ピーク波長450nmの青色光
を照射した際の焼結蛍光体が吸収した光子数nexと吸収した光子を変換した変換光の光
子数nemからnem/nexとして算出される。波長が450nmの青色光で励起した
時に放出される光の内部量子効率が通常40%以上である高輝度発光装置とするためには
、焼結蛍光体の内部量子効率は高ければ高いほど好ましく、好ましくは60%以上、より
好ましくは65%以上、さらに好ましくは70%以上、よりさらに好ましくは75%以上
、特に好ましくは80%以上である。内部量子効率が低いと、光取り出し効率(変換効率
)を低下させる傾向がある。
{発光装置}
本発明の別の実施形態は、焼結蛍光体と半導体発光素子を備える発光装置である。
本発明の発光装置は、少なくとも青色半導体発光素子(青色発光ダイオード、又は、青
色半導体レーザー)と、青色光の波長を変換する波長変換部材である本発明の実施形態に
係る焼結蛍光体を含有するものである。青色半導体発光素子と焼結蛍光体とは密着してい
ても、離間していてもよく、その間に透明樹脂を備えていてもよく、空間を有していても
よい。図1に模式図として示す様に半導体発光素子と焼結蛍光体との間に空間を有する構
造であることが好ましい。
また、青色半導体発光素子の光を効率よく本実施形態の焼結蛍光体に導入するために、
青色半導体発光素子と焼結蛍光体とが密着している実施形態も好ましい実施形態である。
この場合、焼結蛍光体と、青色半導体発光素子は、相互の熱伝導を促進するために耐熱性
・熱伝導性の高い接着剤で接着させるのが好ましい。耐熱性の高い接着剤としてはシリコ
ーン樹脂系接着剤が好ましい。シリコーン樹脂系接着剤としては、熱伝導率を向上させる
ためのフィラー(微粒子)を含むものが好ましい。焼結蛍光体と青色半導体発光素子の間の
相互の熱伝導を高くするために、接着剤の厚みは出来るだけ薄くすることが好ましく、5
ミクロン以下とすることが好ましく、2ミクロン以下とすることが更に好ましい。接着剤
を使用せず、別の構造的工夫により焼結蛍光体と青色半導体発光素子を密着させる構成も
、発光素子全体の耐熱温度を高くすることが出来るという観点で好ましい。なぜなら、シ
リコーン樹脂系接着剤を用いると一般的に200℃程度と言われているシリコーン樹脂系
接着剤の耐熱温度を超えて使用することが出来ないか、使用できても耐久性が劣るものと
なってしまうためである。
以下、その構成を図1及び図2を用いて説明する。
図2は、本発明の具体的実施形態に係る発光装置の模式図である。
発光装置10は、その構成部材として、少なくとも青色半導体発光素子1と焼結蛍光体
3を有する。青色半導体発光素子1は、焼結蛍光体3に含有される蛍光体を励起するため
の励起光を発する。
青色半導体発光素子1は、通常ピーク波長が425nm〜475nmの励起光を発し、
好ましくはピーク波長が430nm〜470nmの励起光を発する。青色半導体発光素子
1の数は、装置が必要とする励起光の強さにより適宜設定することが可能である。
一方青色半導体発光素子1の代わりに、紫色半導体発光素子を用いることができる。紫
色半導体発光素子は、通常ピーク波長が390nm〜425nmの励起光を発し、好まし
くはピーク波長が395〜415nmの励起光を発する。
青色または紫色の半導体発光素子としては、インジウムガリウムナイトライド系発光ダ
イオード(LED)、または、インジウムガリウムナイトライド系半導体レーザーが好ま
しい。
青色または紫色の半導体発光素子の光出力(放射束)は、発光素子の発光面積1mm
あたり1.0W以上が好ましく、2.0W以上がさらに好ましく、3.0W以上が特に好
ましい。このように高出力の半導体発光素子と本願発明の焼結蛍光体を組み合わせること
により、大光量の発光素子、照明装置を構成することができる。一般的に利用されている
シリコーン樹脂に蛍光体を混合した色変換部材を用いた場合には、シリコーン樹脂の耐熱
性、耐久性が十分でないため、このような高出力の半導体発光素子を使用することができ
ない。
青色半導体発光素子1は、配線基板2のチップ実装面2aに実装される。配線基板2に
は、これら青色半導体発光素子1に電極を供給するための配線パターン(図示せず)が形
成され、電気回路を構成する。図2中、配線基板2に焼結蛍光体3が載っているように表
示されているがこの限りではなく、配線基板2と焼結蛍光体3が他の部材を介して配置さ
れていてもよい。
例えば図1では、配線基板2と焼結蛍光体3が、枠体4を介して配置される。枠体4は
、光に指向性を持たせるために、テーパ状になっていてもよい。また、枠体4は反射材で
あってもよい。
発光装置10の発光効率を向上させる観点から、配線基板2は、電気絶縁性に優れて良
好な放熱性を有し、かつ、反射率が高いことが好ましいが、配線基板2のチップ実装面上
で青色半導体発光素子1の存在しない面上、もしくは配線基板2と焼結蛍光体3を接続す
る他の部材の内面の少なくとも一部に反射率の高い反射板を設ける事もできる。
焼結蛍光体3は、青色または紫色の半導体発光素子1が発する入射光の一部を波長変換
し、入射光とは異なる波長の出射光を放射する。焼結蛍光体3は、フッ化物無機バインダ
と窒化物蛍光体を含有する。焼結蛍光体は、さらに、別の窒化物蛍光体、黄色若しくは緑
色に発光するガーネット系蛍光体、青色もしくは緑色に発光する酸化物蛍光体、赤色に発
光する窒化物蛍光体のひとつまたは複数を含有することができ、その種類は、目的とする
発光の色や演色性、スペクトル形状等を勘案して選択することが出来る。
本発明の発光装置は、色温度の低い白色光を放射する発光装置であることが好ましい。
白色光を放射する発光装置は、発光装置から放射される光が、光色の黒体輻射軌跡からの
偏差duv(=DUV/1000)が−0.0200〜0.0200であり、かつ色温度
が1800K以上、5000K以下であることが好ましい。
このように白色光を出射する発光装置は、照明装置に好適に備えられる。
{照明装置}
本発明の別の実施形態は、上記発光装置を備える照明装置である。
上記のように、発光装置からは高い全光束が出射されるため、全光束の高い照明器具を
得ることが出来る。照明器具は、消灯時に焼結蛍光体の色が目立たないように、発光装置
中の焼結蛍光体を覆う拡散部材を配置することが好ましい。
{画像表示装置}
本発明の別の実施形態は、上記発光装置を備える画像表示装置である。
上記のように、本発明の発光装置からは特に赤色光の割合の高い光が出射されるため、
この発光装置をバックライトとして用いることにより色バランスのすぐれた画像表示装置
が得られる。特に、大光量を必要とするプロジェクター方式のディスプレイの場合、高効
率で赤色光を発することが難しいため、本実施形態の焼結蛍光体を用いた発光装置を使用
することで、赤色光の効率が高いすぐれたプロジェクター方式ディスプレイが得られる。
{車両用表示灯}
本発明の別の実施形態は、上記発光装置を備える車両用表示灯である。本実施形態の焼
結蛍光体は、赤色光の割合の高い光が出射されるため、適宜フィルターやミラー等を組み
合わせて利用することにより、車両用の尾灯(テールランプ)、制動灯(ストップランプ
)、方向指示器(ターンランプ)に好適に利用できる。
{実施例}
次に実施例により本発明の具体的態様を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例に
よって限定されるものではない。
なお、本明細書における焼結度、透過率、光学特性、蛍光体の格子定数の測定は次記に
より行った。
(焼結度)
焼結度は、焼結蛍光体のアルキメデス法により測定した密度ρを、理論密度ρtheore
ticalで除することで算出した。
焼結度(%)=(ρ/ρtheoretical)×100
[蛍光体の発光特性]
蛍光体粉末試料を銅製試料ホルダーに詰め、MCPD7000(大塚電子社製)を用い
て発光スペクトルを測定した。励起光455nmの条件で、380nm以上800nm以
下の波長範囲においてスペクトル測定装置により各波長の発光強度を測定し、発光スペク
トルを得た。
色度座標は、上述の方法で得られた発光スペクトルの480nm〜780nmの波長領
域のデータからJIS Z8724に準じた方法で、JIS Z8701で規定されるX
YZ表色系における色度座標値xおよびyとして算出した。また、発光ピーク波長(以下
、「ピーク波長」と称することがある。)と発光ピークの半値幅は、得られた発光スペク
トルから読み取った。
[蛍光体の格子定数測定(粉末X線回折測定)]
粉末X線回折(XRD)は、粉末X線回折装置X’Pert PRO MPD(PAN
alytical社製)にて精密測定した。測定条件は、下記の通りである。
CuKα管球使用
X線出力=45KV,40mA
走査範囲 2θ=10°〜150°
読み込み幅=0.008°
得られた回折パターンを用いて、パターンフィッティングにより格子定数aおよびcを
求めた。なお、パターンフィッティングは、LaSi11の結晶構造(空間群P4
bm)に基づいて行った。
(光学特性)
LEDチップ(ピーク波長454nm)から発光させた青色光を照射することで焼結蛍
光体の発光を得ることができる発光装置を作製した。その装置から出射される発光スペク
トルを40inch積分球(LabSphere社製)および分光器MCPD9000(
大塚電子社製)を用いて観測し、放射束0.26Wの光でパルス励起した際の色温度色度
座標、光束(lumen)を計測した。さらに、光束(lumen)とLEDチップの放
射束(W)から変換効率(lm/W)を各強度で算出した。
次に、光源としてキセノン分光光源を用い、励起波長を700nmとし、焼結蛍光体へ
照射した際の反射および透過スペクトルから、焼結蛍光体の励起波長700nmにおける
透過率を測定した。
続いて、励起波長450nmに変更し、焼結蛍光体へ照射した際の反射および透過スペ
クトルから、焼結蛍光体の励起波長450nmにおける内部量子効率、及び、吸収率を測
定した。
分光光源はスペクトラコープ社製を用い、20inch積分球LMS−200(Lab
Sphere社製)及び分光器Solid LambdaUV−Vis(Carl Zei
ss社製)によって反射および透過スペクトルを観測した。
{実施例1}
[LYSN蛍光体の製造]
La:Si=1:1(モル比)の合金、Si、Y、YF、CeFとし
、YF:Y=1.00:1.81(モル比)とし、仕込み元素比をLa:Y:C
e:Si=2.90:0.50:0.66:6.00(モル比)になるように秤量した。
秤量した原料をインテンシブミキサーに入れて混合した。これらの操作は、酸素濃度1%
以下の窒素雰囲気のグローブボックス内で行った。
混合した原料をMo製のるつぼに充填し、電気炉内にセットした。装置内を真空排気し
た後、炉内温度を120℃まで昇温し、炉内圧力が真空であることを確認後、水素含有窒
素ガス(窒素:水素=96:4(体積比))を大気圧になるまで導入した。その後、15
50℃まで炉内温度を昇温し、1550℃で8時間保持した後、室温まで冷却して焼成物
を得た。
焼成物をボールミルで粉砕し、1N塩酸中で1時間以上攪拌した後、水洗した。その後
、脱水し、120℃の熱風乾燥機で乾燥して、LYSN蛍光体1を得た。この蛍光体のメ
ジアン粒径は30μmであった。
この蛍光体の粉末X線回折パターンを図3に示した。このデータを元に格子定数aおよび
cを計算した結果を表1に示した。また発光特性の測定結果についても表1に示した。
[焼結蛍光体の作製]
焼結蛍光体のフッ化物無機バインダ材料として、CaF粉末(白辰化学研究所、1μ
m以下の微粒子)を2.0g用い、上記のLYSN1蛍光体((La,Y)Si
:Ce)を焼結体中の蛍光体濃度が8体積%となるように0.27gをそれぞれ秤量し
、乳鉢による混合を実施した。これらの粉末をボール無のボールミル架台上での回転によ
って2時間乾式混合し、焼結用原料に供した。
この原料2.0gを上部パンチ、下部パンチと円柱状ダイからなる一軸プレス用ダイ(
ステンレス製、Φ20mm)にセット後、10トンのプレス加圧をかけ、5分間保持後、
圧力を開放して、Φ20mm、厚さ3mmのペレットを得た。
得られたペレットを真空ラミネートパックし、冷間静水圧成形(CIP)装置(日機装
ラバープレス)に導入し、300MPa、1分間加圧した。この後、焼成炉(管状炉)(
入江製作所 管状炉IRH)に導入し、10℃/minで1200℃まで昇温し、60m
in保持後、炉冷し、Φ18mm、厚さ3mmの焼結体を得た。この焼結体の焼結密度を
前記方法により測定した。
(研削加工及び評価)
得られた焼結蛍光体Φ18mm、厚さ3mmの焼結蛍光体から、ダイヤモンドカッター
で厚み0.5mm程度に切断し、さらにグラインダー研削を用いて、Φ18mm、厚み0
.2mmの焼結蛍光体を作製した。
当該焼結蛍光体を用いて波長700nmの透過率、内部量子効率、450nmの吸収率を
測定した。さらに前記方法により発光装置を作製し、全光束、変換効率、色度座標、相関
色温度、偏差DUV(=duv×1000)を測定した。また、演色性評価数(Ra、お
よびR1〜R15)を調べた。
以上のようにして得られた結果を表2〜4に示した。また、LED励起による発光スペ
クトルを図5に示した。
(実施例2)
実施例1のLYSN蛍光体の製造手順において、使用した原料をLa:Si=1:1(
モル比)の合金、Si、Y、CeFとし、その比率をLa:Y:Ce:S
i=2.90:0.39:0.26:6.00(モル比)とした以外は、実施例1と同様
の手順により、LYSN蛍光体2を得た。この蛍光体の粉末X線回折パターンを図4に示
す。このデータを元に格子定数aおよびcを計算した結果を表1に示した。また発光特性
の測定結果についても表1に示した。
この蛍光体を用いて、実施例1の[焼結蛍光体の作製]手順により焼結蛍光体を得た。
ただし、蛍光体の添加量は、CaF 2.0gに対して、蛍光体が6体積%になるよう
、0.2gとした。
この焼結蛍光体に追加の熱処理として、熱間等方圧加圧装置(HIP)によりAr雰囲
気で1100℃まで昇温し100MPa下で1時間保持を行った。これによりΦ18mm
、厚さ3mmの実施例2の焼結蛍光体を得た。これ以降の加工及び評価は実施例1と同様
に行い、同様に評価結果を得た。得られた結果を表2〜4に示した。また、LED励起に
よる発光スペクトルを図5に示した。
Figure 0006897387
Figure 0006897387
表2に示すが如く、本実施形態の焼結蛍光体は、焼結密度や透過率が高い。更に、本発
明の焼結体は、量子収率と励起光(450nm)の吸収率が高い。
Figure 0006897387
Figure 0006897387
表3および4に示すが如く、本実施形態の焼結蛍光体を用いた発光装置は、発光効率が
高く、高輝度で、かつ、赤色成分の多い低色温度域で発光することが可能である。
(実施例3)
ピーク波長454nmの青色LEDと、上記LYSN蛍光体2とLSN蛍光体(La
11:Ce)BY−201/F(三菱化学社製)を用いて作製した相関色温度65
00Kの発光装置の発光スペクトルをシミュレーションにより算出し、図6に示した。発
光装置の色度座標x、および、y、演色性評価数(Ra、および、R1〜R15)、相関
色温度、偏差DUVを表5に示した。
(実施例4)
実施例3において、LSN蛍光体BY−201/Fの代わりにYAG蛍光体(YAl
12:Ce)BY−102/H(三菱化学社製)を用いた他は、実施例3と同様にシ
ミュレーションを行って相関色温度6500Kの発光装置のスペクトルを得た。この結果
を図7に示した。発光装置の色度座標x、および、y、演色性評価数(Ra、および、R
1〜R15)、相関色温度、偏差DUVを表5に示した。
Figure 0006897387
表5に示すが如く、本発明の発光装置は、相関色温度6500Kの高効率の白色発光装
置である。本実施例の構成においては、蛍光体2種類を含有する焼結蛍光体を用いている
ため、量産製造時に、蛍光体のロット間バラツキの影響を2種類の蛍光体の配合比調整で
相殺することが出来るという点で製造が容易な発光装置である。
(実施例5)
ピーク波長454nmの青色LEDと、上記LYSN蛍光体2と窒化物赤色蛍光体とし
てSCASN蛍光体((Sr,Ca)AlSiN:Eu)BR−102/L(三菱化学
社製)を用いて作製した相関色温度3000Kの発光装置の発光スペクトルをシミュレー
ションにより算出し、図8に示した。発光装置の色度座標x、および、y、演色性評価数
(Ra、および、R1〜R15)、相関色温度、偏差DUVを表6に示した。
(実施例6〜8)
実施例5において、窒化物赤色蛍光体をBR−102/Lの代わりに表6に示す窒化物
蛍光体を用いた他は、実施例5と同様にシミュレーションをして発光装置の発光スペクト
ルを得た。得られた発光スペクトルを図8に示した。発光装置の色度座標x、および、y
、演色性評価数(Ra、および、R1〜R15)、相関色温度、偏差DUVを表6に示し
た。
(実施例9〜12)
発光装置の相関色温度を4000Kとしたことを除いて実施例5と同様にシミュレーシ
ョンをして発光装置の発光スペクトルを得た。得られた発光スペクトルを図9に示した。
発光装置の色度座標x、および、y、演色性評価数(Ra、および、R1〜R15)、相
関色温度、偏差DUVを表7に示した。
Figure 0006897387
表6に示すが如く、本発明の発光装置は、相関色温度3000Kという低色温度の発光
を放射する発光装置である。熱伝導率の高いフッ化物無機バインダを使用しているため、
焼結蛍光体を励起する青色LEDの出力を高めても発光効率が低下しにくいことが期待さ
れる。また、窒化物赤色蛍光体の品種を変えることで演色性を調整することができ、演色
性を低く抑えることで変換効率を向上させることが出来るので、所望の変換効率、光束、
演色性を示す発光装置を得ることができる。
Figure 0006897387
表7に示すが如く、本発明の発光装置は、相関色温度4000Kという低色温度の発光
を放射する発光装置である。熱伝導率の高いフッ化物無機バインダを使用しているため、
焼結蛍光体を励起する青色LEDの出力を高めても発光効率が低下しにくいことが期待さ
れる。また、窒化物赤色蛍光体の品種を変えることで演色性を調整することができ、演色
性を低く抑えることで変換効率を向上させることが出来るので、所望の変換効率、光束、
演色性を示す発光装置を得ることができる。
(実施例13)
実施例2のLYSN蛍光体2とLSN蛍光体(LaSi11:Ce)BY−20
1/G(三菱化学社製)の体積比92:8の混合粉用いて、実施例2と同様の手順により
焼結蛍光体を得た。加工時の厚みを0.24mmとする以外は、これ以降の加工及び評価
は実施例1と同様に行い、同様に評価結果を得た。得られた結果を図10および表8に示
した。
(実施例14)
実施例2のLYSN蛍光体2とYAG蛍光体BY−102/H(三菱化学社製)の体積
比90:10の混合粉用いて、実施例2と同様の手順により焼結蛍光体を得た。加工時の
厚みを0,24mmとする以外は、これ以降の加工及び評価は実施例1と同様に行い、同
様に評価結果を得た。得られた結果を図10および表8に示した。
Figure 0006897387
表8に示すが如く、本実施例13、14の構成においては、蛍光体2種類を含有する焼
結蛍光体を用いているため、量産製造時に、蛍光体のロット間バラツキの影響を2種類の
蛍光体の配合比調整で相殺することが出来るという点で製造が容易な発光装置である。

Claims (9)

  1. 窒化物蛍光体及びフッ化物無機バインダを含む焼結蛍光体であって、
    該窒化物蛍光体が、下記式[1]で表される結晶相を含む蛍光体であることを特徴とする
    、焼結蛍光体。
    LaSi [1]
    式中のM元素は付活元素から選ばれる1種以上の元素を表し、
    A元素は、Laおよび付活元素以外の希土類元素から選ばれる1種以上の元素を表し、
    2.0≦w≦4.0、
    0<x≦1.5、
    8.0≦y≦14.0、
    0.05≦z≦1.0)
  2. 455nmの波長を有する励起光を照射することにより得られる前記式[1]で表され
    る結晶相を含む蛍光体の蛍光が、CIE1931XYZ表色系で表した色度座標x、yで
    以下の式を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の焼結蛍光体。
    0.43≦x≦0.50、
    0.48≦y≦0.55
  3. 該窒化物蛍光体の格子定数のaが10.104Å以上、10.185Å以下であること
    を特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼結蛍光体。
  4. 更にその他の蛍光体を1種又は2種以上含有することを特徴とする請求項1〜3のいず
    れか1項に記載の焼結蛍光体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の焼結蛍光体と、光源としてLED又は半導体レー
    ザーとを備え、
    前記焼結蛍光体は、前記光源の光の少なくとも一部を吸収して異なる波長を有する光を
    発することを特徴とする、発光装置。
  6. 発光の相関色温度が5000K以下であることを特徴とする、請求項5に記載の発光装
    置。
  7. 請求項5又は6に記載の発光装置を備えることを特徴とする、照明装置。
  8. 請求項5又は6に記載の発光装置を備えることを特徴とする、画像表示装置。
  9. 請求項5又は6に記載の発光装置を備えることを特徴とする、車両用表示灯。
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