JP2014145012A - 樹脂組成物、波長変換部材、発光装置、led照明器具、及び光学部材 - Google Patents

樹脂組成物、波長変換部材、発光装置、led照明器具、及び光学部材 Download PDF

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Abstract

【課題】熱伝導率が高く、耐久性に優れ、高光透過率で、熱伝導材による透過率低下が少ないので、半導体発光素子の高輝度化に対応可能な、LED照明用樹脂組成物、波長変換部材、発光装置、LED照明器具を提供することを課題とする。
【解決手段】樹脂と熱伝導材を含有する樹脂組成物であって、該熱伝導材の熱伝導率が1.5W/mK以上であり、該熱伝導材を10重量%以上含有し、該樹脂組成物の1.0mm厚プレートの全光線透過率が、20%以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物により課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は樹脂組成物に関し、特に、熱伝導性と透光性を有し、光学部材や発光装置、LED照明器具の波長変換部材として好ましく適用される樹脂組成物に関する。
半導体発光素子を用いた発光装置(以下、単にLED発光装置ともいう。)は、省エネルギー発光装置としてその存在感が高まっている。LED発光装置は、半導体発光素子とともに、半導体発光素子が発する光によって励起されて異なる波長の光を放出する蛍光体を含む。
LED発光装置に含まれる蛍光体は、例えば蛍光体を樹脂中に分散させたスラリーを成形し、波長変換部材としてLED発光装置に含まれる(例えば特許文献1および2参照)。
LED発光装置としては、より明るいもの、すなわち高い全光束が要求されており、より多くの光束をLED発光装置から出射するために、波長変換部材を構成する樹脂には透光性の材料が用いられている。例えば、特許文献2ではシリコーン樹脂が例示されているが、その他エポキシ樹脂やガラスなども用いられることがある。
特開2007−95770号公報 特開2011−159813号公報
しかしながら、これらのLED照明器具や発光装置に用いられる波長変換部材の母材材料として、透明性、剛性及び成型性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂や、透明性、耐熱性及び耐候性に優れたシリコーン樹脂等が好適に用いられるが、樹脂の熱伝導率が通常、0.2W/mK程度と低いことから、必ずしも十分な熱伝導性を有しているわけではなかった。そのため、半導体発光素子から放出される光に照射された波長変換部材で発生した熱が、発光装置の筐体等に熱伝導されず、波長変換部材内に蓄積することにより、その温度が急激に上昇し、樹脂あるいは蛍光体等が劣化するという事態が発生することが明らかになった。
そこで、大光束の半導体発光素子を使用した場合等の過酷な条件で長期間使用しても、波長変換部材の温度の上昇を防ぎ、耐久性に優れ、輝度・色度変化が少なく、発光効率の優れたLED照明用樹脂組成物、波長変換部材、発光装置、照明器具の開発が望まれていた。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ね、特定の樹脂組成物を用いることによって、大光束の半導体発光素子を使用した場合等の過酷な条件で長期間使用しても、波長変換部材の温度の上昇を防ぎ、耐久性に優れ、輝度・色度変化が少なく、発光効率の優れたLED用樹脂組成物を提供することができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の第一の態様は、樹脂と熱伝導材を含有する樹脂組成物であって、該熱伝導材の熱伝導率が1.5W/mK以上であり、該熱伝導材を10重量%以上含有し、該樹脂組成物の1.0mm厚プレートの全光線透過率が、20%以上である樹脂組成物である。
前記熱伝導材の屈折率と、前記樹脂の屈折率との差の絶対値が0.10以下であることが好ましい。
前記熱伝導材の平均粒子径が、0.5μm以上、500μm以下であることが好ましい。
さらに、蛍光体を0.1〜40重量%含有することが好ましい。
また、前記樹脂が、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂であることが好ましい。
前記熱可塑性樹脂が、フッ素樹脂であることが好ましい。
前記樹脂が、シリコーン樹脂であることが好ましい。
前記熱伝導材が、金属フッ化物であることが好ましい。
また、前記フッ素樹脂が、ETFEであり、前記熱伝導材がフッ化カルシウムであることが好ましい。
前記樹脂がシリコーン樹脂であり、前記熱伝導材がフッ化カルシウムであることが好ましい。
前記熱伝導材が、シロキサン化合物及び/又はシラン化合物で表面処理されていることが好ましい。
前記フッ化カルシウムの純度が、98%以上であることが好ましい。
前記樹脂組成物の熱伝導率が、0.4W/mK以上であることが好ましい。
本発明の第二の態様は、前記樹脂組成物から作成して成る波長変換部材である。
前記波長変換部材の有する面状構造の少なくとも一部は、全光線透過率が30%以上、70%以下であることが好ましい。
本発明の第二の態様として、また、入射光の少なくとも一部を波長変換して、前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する波長変換部材であって、該波長変換部材は、前記入射光の少なくとも一部を吸収して前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する蛍光体と、熱伝導材と、該蛍光体及び該熱伝導材を保持する樹脂を含む、面状構造を有するものであって、該熱伝導材の熱伝導率が1.5W/mK以上であり、該熱伝導材を10重量%以上含有し、該面状構造の少なくとも一部は、全光線透過率が30%以上、70%以下である波長変換部材である。
本発明の第三の態様は、前記波長変換部材と半導体発光素子を備えている発光装置である。
本発明の第四の態様は、前記発光装置を備えている照明器具である。
本発明の第五の態様は、前記樹脂組成物から作成して成る光学部材、あるいは、熱伝導材と、該熱伝導材を保持する樹脂を含む、面状構造を有する光学部材であって、該熱伝導材の熱伝導率が1.5W/mK以上であり、該熱伝導材を10重量%以上含有し、該面状構造の少なくとも一部は、全光線透過率が30%以上、70%以下である光学部材である。
前記熱伝導材の屈折率と、前記樹脂の屈折率との差の絶対値が0.1以下であることが好ましい。
熱伝導率が高く、耐久性に優れ、高光透過率で、熱伝導材による透過率低下が少ないので、半導体発光素子の高輝度化に対応可能な、LED照明用樹脂組成物、波長変換部材、発光装置、LED照明器具を提供する。
高熱伝導の波長変換部材は、特に、波長変換部材と発光素子とが離間したリモートフォスファーの態様において、さらに放熱材との積層の必要が無いため、放熱材層との屈折率差による光束ロスをなくすことが可能であり、発光効率の優れた発光装置、LED照明器
具を提供する。
さらに、波長変換部材の単位面積あたりに照射される半導体発光素子から光量が増大しても、耐久性に優れている、発光装置、LED照明器具を提供することができ、ひいては、スポットライトやハロゲンランプのような、より点光源に近い大光束の発光装置、照明器具を提供することが可能になる。
適度な濃度の熱伝導材を含むことにより自立性に優れた波長変換部材に成形することができ、また、成形性に適切な流動性を有することができる。
特に熱可塑性樹脂の場合は、混練時に、熱伝導材による着色がなく、体色が明るい、発光強度が高くなる。
本発明の実施態様に係る半導体発光装置の構成例を示す模式図である。 本発明の実施態様に係る半導体発光装置の構成例を示す模式図である。
<1.樹脂組成物>
本発明の第一の態様は、樹脂と熱伝導材を含有する樹脂組成物であって、該熱伝導材の熱伝導率が1.5W/mK以上であり、該熱伝導材を10重量%以上含有し、該樹脂組成物の1.0mm厚プレートの全光線透過率が、20%以上である樹脂組成物に関する。
本樹脂組成物は、熱伝導材を高濃度に含むにもかかわらず、透過率が高いので、熱伝導性の高い波長変換部材等の光学部材として好適に用いることができる。
このような樹脂組成物は、以下の明細書に記載されているように、適切な材料(樹脂と熱伝導材)の組み合わせを選択することにより作成することができる。具体的には、熱伝導材の屈折率と樹脂の屈折率の差が特定の値よりも小さい組み合せを選択することや、熱伝導材の粒径・形状の選択・組み合わせ、樹脂のアロイ化、ナノフィラーや樹脂可溶性の屈折率調整剤による樹脂の屈折率調整、熱伝導材に含まれる不純物の除去、熱伝導材の表面処理方法の選択・組み合わせにより作成することができる。
本発明の樹脂組成物は、1mm厚プレートの全光線透過率が20%以上、好ましくは30%以上、更に好ましくは40%以上である。全光線透過率が20%以下では、波長変換部材に用いた場合に発光強度が不足する等、光学用材料としての利用に制限が生じるので好ましくない。また、全光線透過率は70%以下であることが好ましい。全光線透過率が70%以上では、波長変換部材とした場合に、波長変換が不十分となる可能性がある。ここで全光線透過率とは、試験片の平行入射光束に対する全透過光束の割合のことをいう。全光線透過率は、JIS K7361に従い測定することができる。本発明においては、入り口開口が20mmΦ、光源としてハロゲンランプを使用した装置で測定を行う必要がある。
本発明の樹脂組成物は、熱伝導率が0.4W/mK以上、好ましくは0.6W/mK以上、さらに好ましくは1W/mK以上、最も好ましくは1.3W/mK以上である。熱伝導率が0.4W/mK未満では、波長変換部材とした場合に発熱抑制効果が不十分である。 また、このような樹脂組成物は、着色せず、1mm厚プレートを白色標準板を試料押さえとして測定した反射色相のハンター色差式における明度L値が50以上、好ましくは60以上であり、1mm厚プレートのヘイズは30%以上、好ましくは50%以上の樹脂組成物、成形品、波長変換部材等の光学部材を得ることができる。波長変換部材としては、明度L値が大きく、ヘイズが大きいほど発光強度が大きく色ムラが少なくなり好ましい。
<1−1.樹脂>
本実施態様に用いる樹脂は、熱伝導材等を分散した状態で、保持する母材としての役割をする。本実施態様に用いる樹脂は、透光性と、耐熱性に優れているものを用いることが好ましい。
本実施態様に用いる樹脂の屈折率は、特に限定されないが、使用する熱伝導材の屈折率との差が小さいことが好ましく、樹脂の屈折率は、1.2以上、1.5以下であることが好ましい。
本実施態様に用いる樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂が挙げられ、成型のし易さの観点から熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂は結晶性樹脂であってもよく、非晶性樹脂であってもよいが、結晶性樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、シリコーン系樹脂、熱硬化性ポリイミド、熱硬化性アクリレート、熱硬化性ウレタン、フェノール樹脂、メラミン樹脂を用いることが好ましい。
シリコーン樹脂は、耐熱性と高い透過率の観点から特に好ましい。本実施態様に用いられるシリコーン樹脂としては、特に制限はないが、可視光において吸収が少なければ少ないほど光の損失が少なくなり好ましい。また、液状シリコーン樹脂などが蛍光体との混合および波長変換部材への加工性という点で好ましい。液状シリコーン樹脂においては、ヒドロシリル化反応によって硬化する付加硬化タイプを用いることが、硬化時に副生成物が発生せず、金型内の圧力が異常に高くなることがないなどの問題がなく、成形品にヒケや気泡が生じにくい、さらには、硬化速度が速いため、成形サイクルを短くすることができるという点から特に好ましい。
付加硬化タイプの液状シリコーン樹脂は、ヒドロシリル基を有するオルガノポリシロキサン(第1成分)、アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン(第2成分)および硬化触媒を含有する。
第1成分の典型例は分子内に2個以上のヒドロシリル基を有するポリジオルガノシロキサンであり、具体的には、両末端にヒドロシリル基を有するポリジオルガノシロキサン、両末端がトリメチルシリル基で封鎖されたポリメチルヒドロシロキサン、メチルヒドロシロキサン−ジメチルシロキサン共重合体等である。第2成分としては、1分子中にケイ素原子に結合したビニル基を少なくとも2個有するものが好ましく用いられる。第1成分と第2成分を兼用するオルガノポリシロキサン、すなわち、1分子中にヒドロシリル基とアルケニル基の両者を有するオルガノポリシロキサンが使用されることもある。また、第1成分および第2成分を単独で用いても良く2種以上の第1成分および/または第2成分を併用してもよい。
硬化触媒は、第1成分中のヒドロシリル基と第2成分中のアルケニル基との付加反応を促進するための触媒であり、その例としては、白金黒、塩化第2白金、塩化白金酸、塩化白金酸と一価アルコールとの反応物、塩化白金酸とオレフィン類との錯体、白金ビスアセトアセテート等の白金系触媒、パラジウム系触媒、ロジウム系触媒などの白金族金属触媒が挙げられる。硬化触媒は単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本本実施態様に用いられるシリコーン樹脂は、置換基を有していてもよい。一般的な置換基としては、アルキル置換基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル期、デカン基、ドデカン基、アダマンチル基)、アリール置換基(フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基)やヘテロ環式置換基(オキソラン基、チオール基、イミダゾール基、ピラゾール基、オキサゾール基、インドール基
、キノリン基)などが挙げられる。これら置換基の種類および置換量は、熱伝導材の屈折率や耐熱性、ガスバリア性など求められる特性に応じて適宜選択すればよく、例えば樹脂の屈折率を低くするためには、一般的に飽和アルキル置換基が用いられ、高くするためにはアリール置換基やヘテロ環式置換基などが用いられる。
さらに、シリコーン樹脂には、原料組成物にチキソトロピー性を付与する目的でフュームドシリカを添加することができる。
フュームドシリカは50m/g以上という大きな比表面積を有する超微粒子であり、市販されているものとしては、日本アエロジル(株)のアエロジル(登録商標)、旭化成ワッカーシリコーン(株)のWACKER HDK(登録商標)などが挙げられる。チキソトロピー性の付与は、蛍光体の沈降により原料組成物の組成が不均一化するのを防止するうえで有効である。
特に、トリメチルシリル基、ジメチルシリル基、ジメチルシリコーン鎖などで表面修飾した疎水性フュームドシリカを用いると、過度な増粘を引き起こすことなく、原料組成物にチキシトロピー性を付与できる。換言すれば、射出成形に適した高い流動性と、蛍光体の沈降防止効果の両方を備えた原料組成物を得ることができる。
フュームドシリカの添加量に特に制限はないが、シリコーン樹脂100重量部に対して通常0.1重量部以上、好ましくは0.5重量部以上、特に好ましくは1重量部以上であり、通常20重量部以下、好ましく18重量部以下、特に好ましくは15重量部以下である。0.1重量部より少ないと、射出成形に適した高い流動性と、蛍光体の沈降防止効果を十分に得られず、好ましくなく、20重量部より多いと、粘度高く射出成型時に十分な流動性が得られず好ましくない。
その他、原料組成物には必要に応じて、硬化速度制御剤、老化防止剤、ラジカル禁止剤、紫外線吸収剤、接着性改良剤、難燃剤、界面活性剤、保存安定性改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、可塑剤、カップリング剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、離型剤などの添加物を加えることができる。
熱可塑性樹脂の例としては、低、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ−3−メチルブテン−1樹脂、ポリ−4−メチルペンテン−1樹脂、ノルボルネン等を含む脂環式ポリオレフィン樹脂等のポリオレフィン系樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレンとメチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−の各アクリレートもしくはメタクリレートとの共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体等のアイオノマー樹脂;ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AAS樹脂、AES樹脂、MBS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタアクリレート、ポリメタアクリレート等のアクリル系樹脂;ポリアミド樹脂;ポリアセタール樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ乳酸樹脂等のポリエステル系樹脂;脂肪族(芳香族)ポリカーボネート樹脂(例えば、三菱化学社製デュラビオ等);変性ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリテトラフルオロエチレン樹脂、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体、エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体、ポリフッ化ビニリデン樹脂、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンの共重合体、熱可塑性フッ素ゴム、非晶性フッ素ゴム等のフッ素含有樹脂などが挙げられ,これらの1種または2種以上のブレンド品などが挙げられる。
結晶性を有する熱可塑性樹脂としては、結晶性樹脂と一般に認知されている樹脂であれば特に制限は無いが、例えば示差走査熱量測定において、溶融状態から10℃/分で室温まで冷却した時の結晶化熱、もしくは固体状態の樹脂を10℃/分で昇温した時の融解熱に伴うピークが観察される樹脂が代表的であり、好ましくはこのときの熱量が2J/g以上である。
結晶性を有する熱可塑性樹脂は、ガラス転移温度Tgと融点Tmとの間の温度差が大きいことから、比較的低温度で混練、成形が可能となる。そのため、成形の際に着色が生じにくい。
結晶性を有する熱可塑性樹脂の種類は特段限定されず、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリ乳酸、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素含有樹脂などが挙げられる。
これらの中では、耐久性の観点からフッ素含有樹脂が好ましく、その具体例としては、ETFE(エチレン・テトラフルオロエチレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、FEP(四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体)、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)、PVF(ポリフッ化ビニル)、PCTFE(ポリクロロトリフルオロエチレン)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとビニリデンフロライドの共重合体が挙げられ、これらの中でも耐久性と成形性の観点からETFE、FEP、PFAが好ましく、ETFEが最も好ましい。
ETFEとしては、エチレンとテトラフルオロエチレン以外に、嵩高い側鎖を有する少量の第三成分を含有するETFEが透光性の観点でさらに好ましい。
これらの樹脂は1種のみ使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。2種以上の樹脂を混合する場合、相溶系の組み合わせであれば樹脂の屈折率調整が可能となり、熱伝導材との屈折率調節が可能となる。また屈折率が近いが非相溶系の組み合わせであれば、アロイ化による透過率の低下を抑制しながら熱伝導材を特定の相に選択的に存在させる事で熱伝導率を効率的に上げることができる可能性もある。
本実施態様に用いられる樹脂の特性としては、結晶性熱可塑性樹脂の場合には、融点が通常80℃以上であり、120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがさらに好ましく、168℃以上である事がもっともこのましい。一方、通常350℃以下であり、300℃以下であることが好ましい。非晶性熱可塑性樹脂の場合には、ガラス転移点が通常80℃以上であり、120℃以上であることが好ましく、140℃以上であることが更に好ましい。一方、通常350℃以下であり、300℃以下であることが好ましい。この範囲であることで、混練・成形が好ましく実施される。
また、熱可塑性樹脂の場合には、弾性率が室温で300MPa以上であることが好ましく、700MPa以上であることがより好ましく、800MPa以上であることが更に好ましい。この範囲であることで、照明器具等に使用した場合であっても、点灯による温度上昇により剛性が不足する事態が抑制される。
<A.透過率調整剤>
本発明の樹脂組成物は必要に応じて透過率調整をすることができる。特に波長変換部材等として利用する場合には、透過率を特定の範囲に調整することが必要となる。透過率調整剤とは、樹脂が有する屈折率とは異なる屈折率を有する物質であり、光を分散させることができる物質である。ここで対象とする屈折率は、可視光領域内のどの波長の屈折率であってもよく、可視光領域のいずれかの波長において屈折率差の絶対値が0.005以上であ
ることが代表的である。測定方法は特に限定されないが、アッベの屈折率計やYOSHIYAMA
らの液浸法(エアロゾル研究 Vol.9, No.1 Spring pp.44-50 (1994))等で測定することが可能である。透過率調整剤を用いることで、蛍光体量の調節が可能となり、その結果、全光線透過率を調節することができる。透過率調整剤としては、無機系光透過率調整剤、有機系光透過率調整剤、又は気泡が挙げられる。
無機系光透過率調整剤としては、例えば、珪素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛及びバリウム等の元素を含有する無機系光透過率調整剤を用いることが可能であり、また、珪素、アルミニウム、チタン、及びジルコニウムからなる群の少なくとも1つの元素を含む無機系光透過率調整剤を用いることが好ましい。
有機系光透過率調整剤材としては、アクリル系、スチレン系、ポリアミド系若しくは元素として珪素もしくはフッ素を含む有機系光透過率調整剤を用いることが可能であり、中でも、アクリル系光透過率調整剤、又は元素として珪素を含む有機系光透過率調整剤を用いることが好ましい。
無機系光透過率調整剤の具体例としては、二酸化ケイ素(シリカ)、ホワイトカーボン、溶融シリカ、タルク、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ホウ素、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化珪素、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸アルミ化ナトリウム、珪酸亜鉛、硫化亜鉛、ガラス粒子、ガラス繊維、ガラスフレーク、マイカ、ワラストナイト、ゼオライト、セピオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ハイドロタルサイト、カオリン、チタン酸カリウム等の材料が挙げられる。
これらの無機系透過率調整剤は、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、メチルハイドロジェンポリシロキサン、シリコーンオイル、脂肪酸含有炭化水素化合物等の各種表面処理剤で処理されたものであってもよく、表面を不活性な無機化合物で被覆されたものでもよい。
有機系光透過率調整剤としては、スチレン系(共)重合体、アクリル系(共)重合体、シロキサン系(共)重合体、シルセスキオキサン誘導体、ポリアミド系(共)重合体等の材料が挙げられる。これら、有機系透過率調整剤の分子の一部又は全部は、架橋していても架橋していなくてもよい。ここで、「(共)重合体」とは「重合体」及び「共重合体」の双方を意味する。
透過率調整剤としては、シリカ、ガラス、炭酸カルシウム、酸化チタン、シルセスキオキサン及びマイカからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。また、さらに平均粒子径が1μm以上であることが好ましく、30μm以下であることが好ましい。なお、平均粒子径は、積算重量百分率、粒度分布計等により測定した粒子径である。
また、透過率調整剤としては、モース硬度が8未満であることが好ましく、7未満であることが更に好ましい。このような硬度の透過率調整剤を用いることで、波長変換部材の変色が抑えられ、また、容器を傷つけることなく不純物が混じらない。
また、透過率調整剤としては、その長径Lと短径Dとの比L/Dが200以下であることが好ましい。このような範囲の透過率調整剤を用いることで、波長変換部材の変色が抑えられ、また、容器を傷つけることなく不純物が混じらない。
L/Dは50以下であることがより好ましい。
また透過率調整剤により波長変換部材の透過率を調整する際には、例えば、平均粒子径が小さい透過率調整剤を添加する、波長変換部材との屈折率差が大きい透過率調整剤を添加する、あるいは、透過率調整剤の添加量を増やすことにより波長変換部材の透過率を下げることにより調整ができる。
透過率調整剤の平均粒子径は、100μm以下であることが好ましく、0.1μm以上、30μm以下であることがより好ましく、0.1μm以上、15μm以下であることがさらに好ましく、1μm以上、5μm以下であることが、よりさらに好ましい。
透過率調整剤は、樹脂組成物の合計重量を100重量%として、通常0.1重量%以上、好ましくは0.3重量%以上含有する。また、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下含有する。
<B.その他の添加剤>
その他の添加剤として本実施形態に係る波長変換部材もしくは樹脂組成物には、樹脂に通常使用可能な添加剤を有効量使用することができる。具体的には、他の熱可塑性樹脂、離型剤、結晶核剤、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、熱安定剤、着色剤、難燃剤、帯電防止剤、防曇剤、表面ぬれ改善剤、焼却補助剤、滑剤、難燃剤、架橋剤、分散助剤や各種界面活性剤、スリップ剤、加水分解防止剤、中和剤、ガラス繊維等の繊維状強化材、熱伝導材等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
<B−1.酸化防止剤>
酸化防止剤の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、カルシウムジエチルビス[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、ビス(2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルフェニル)エタン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’―ジイルビスホスフォナイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜りん酸、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジファスファイト等のリン系酸化防止剤、3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとキシレンの反応生成物等のラクトン系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤などが挙げられる。これらの酸化防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
酸化防止剤の使用量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、樹脂組成物中、通常100重量ppm以上、50,000重量ppm以下である。この範囲の下限
を下回ると酸化防止剤の効果が小さくなるおそれがあり、上限を上回ると、酸化防止剤がブリードアウトしたり、かえって着色を起こすおそれがある。
<B−2.離型剤>
非晶性樹脂を用いる場合は、離型剤を添加することが好ましい。離型剤としては、高級脂肪酸、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステル、蜜蝋等の天然動物系ワックス、カルナバワックス等の天然植物系ワックス、パラフィンワックス等の天然石油系ワックス、モンタンワックス等の天然石炭系ワックス、オレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられ、高級脂肪酸、一価又は多価アルコールの高級脂肪酸エステルが特に好ましい。
高級脂肪酸エステルとしては、置換又は無置換の炭素数1〜炭素数20の一価又は多価アルコールと置換又は無置換の炭素数10〜炭素数30の飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルが好ましい。かかる一価又は多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステル又は全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ステアリン酸ステアリル、ベヘニン酸モノグリセリド、ベヘニン酸ベヘニル、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステアレート等が挙げられる。なかでも、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ベヘニン酸ベヘニルが好ましく用いられる。
高級脂肪酸としては、置換又は無置換の炭素数10〜炭素数30の飽和脂肪酸が好ましい。このような飽和脂肪酸としては、ミリスチン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等が挙げられる。
これらの離型剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。かかる離型剤の含有量は、樹脂組成物中、好ましくは0.0001重量%以上、更に好ましくは0.01重量%以上、特に好ましくは0.1重量%以上、一方、好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.7重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。
<B−3.結晶核剤>
結晶性樹脂を使用する場合は、結晶核剤を添加することが好ましい。結晶核剤の具体例としては、無機系核剤としては、タルク、カオリン、モンモリロナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウムおよびフェニルホスホネートの金属塩などを挙げることができる。また、これらの無機系核剤は、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていてもよい。
一方、有機系核剤としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウ
ム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレートなどの有機カルボン酸金属塩;p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウムなどの有機スルホン酸塩;ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)等のカルボン酸アミド;低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリビニルシクロアルカン、ポリビニルトリアルキルシラン、高融点ポリ乳酸等のポリマー;エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸コポリマーのナトリウム塩、スチレン−無水マレイン酸コポリマーのナトリウム塩などのカルボキシル基を有する重合体のナトリウム塩またはカリウム塩(いわゆるアイオノマー);ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート等のリン化合物金属塩;および2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム;ポリエチレンワックスなどを挙げることができる。
核剤の平均粒径は、本発明の効果を著しく損なわない範囲で任意である。通常50μm以下、好ましくは10μm以下である。核剤の好ましい配合量は、樹脂組成物中、通常0.01質量%以上、5質量%以下である。
<B−4.光安定剤>
光安定剤としては、デカンニ酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドトキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系安定剤が挙げられる。
光安定剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
更に、光安定剤の使用量は樹脂組成物中、通常0.1質量%以上、5質量%以下である。
<B−5.紫外線吸収剤>
紫外線吸収剤としては、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤の他、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、トリアジン化合物などの有機紫外線吸収剤が挙げられる。これらの中で、ベンゾトリアゾール化合物、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール、2−[4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン−2−イル]−5−(オクチロキシ)フェノール、2,2’−(1,4−フェニレン)ビス[4H−3,1−ベンゾキサジン−4−オン]、[(4−メトキシフェニル)−メチレン]−プロパンジオイックアシッド−ジメチルエステルの群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
ベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネー
ト−ポリエチレングリコールとの縮合物が挙げられる。また、その他のベンゾトリアゾール化合物の具体例としては、2−ビス(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−tert−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン−ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2N−ベンゾトリアゾール2−イル)フェノール〕[メチル−3−〔3−tert−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール]縮合物などが挙げられる。
紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
また、紫外線吸収剤の使用量は、樹脂組成物の合計重量を100重量%として、通常100ppm以上、5重量%以下である。
<B−6.難燃剤>
難燃剤としては、有機ハロゲン系、リン系、有機酸金属塩系、シリコーン系、窒素化合物系の有機難燃剤及び無機難燃剤が挙げられ、難燃助剤としては、フッ素樹脂系、アンチモン化合物系難燃助剤が挙げられる。難燃剤及び難燃助剤は併用することも可能であり、また、複数を組み合わせて使用することもできる。中でも好ましいのは、リン系難燃剤、有機酸金属塩系難燃剤、フッ素樹脂系難燃助剤である。
有機ハロゲン化合物としては、例えば、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、臭素化ポリフェニレンエーテル樹脂、臭素化ポリスチレン樹脂、臭素化ビスフェノールA、ペンタブロモベンジルポリアクリレート等が挙げられる。
リン系難燃剤としては芳香族リン酸エステル、ポリリン酸、ポリリン酸アンモニウム、赤リンや、リン原子と窒素原子の結合を主鎖に有するホスファゼン化合物、が挙げられる。リン酸エステル系難燃剤の具体例としては、トリフェニルホスフェ−ト、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、ハイドロキノンビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、4,4’−ビフェノールビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、ビスフェノールAビス(ジキシレニルホスフェ−ト)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェ−ト)、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェ−ト)、4,4’−ビフェノールビス(ジフェニルホスフェ−ト)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェ−ト)等が挙げられる。有機酸金属塩系難燃剤としては、有機スルホン酸金属塩が好ましく含フッ素の有機スルホン酸金属塩が特に好ましく、具体的にはパーフルオロブタンスルホン酸カリウム等を例示できる。窒素系化合物としては、例えば、メラミン、シアヌル酸、シアヌル酸メラミン等が挙げられる。無機難燃剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ケイ素化合物、ホウ素化合物等が挙げられる。
フッ素系難燃助剤としては、フルオロオレフィン樹脂が好ましく、フィブリル構造を有するテトラフルオロエチレン樹脂が例示できる。フッ素系難燃助剤はパウダー状でもディスパージョン状でも、フッ素樹脂を別の樹脂で被覆したパウダー状でも何れの形態であってもよい。アンチモン化合物系難燃助剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム等が挙げられる。
これらの難燃剤、難燃助剤の配合比率は所望の難燃レベルを達成するために必要な量を
配合すればよいが、通常は樹脂組成物中、リン系難燃剤の場合で1〜20重量%の範囲、有機酸金属塩の場合は0.01〜1重量%の範囲、フッ素樹脂系難燃助剤の場合で0.01〜1重量%の範囲で配合することが好ましい。上記範囲で難燃剤、難燃助剤を1種類もしくは2種類以上を使用することができる。この範囲より少ないと難燃性の改良効果が出難くなり、これより多いと熱安定性、機械的特性が低下する傾向にあり好ましくない。なお、難燃レベルは、例えばUL94に代表される燃焼試験などにより判定することができる。
<1−2.熱伝導材>
本実施態様に用いる熱伝導材としては、熱伝導材の熱伝導率が1.5W/mK以上であり、好ましくは5.0W/mK以上であり、さらに好ましくは6.0W/mK以上であり、通常、3000W/mK以下である。熱伝導率の高い熱伝導材を用いることにより、熱伝導性の高い樹脂組成物を得ることができる。
熱伝導材としては、例えば金属フッ化物、金属酸化物、金属リン酸塩、金属炭酸塩、金属スルホン酸塩、金属硝酸塩、金属窒化物、窒化ホウ素等を用いることができる。これらの中で、金属フッ化物が好ましく、水への溶解度が18℃〜25℃のいずれかの温度において2g/100g以下であることが好ましい。金属フッ化物としては、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、フッ化ストロンチウム、フッ化リチウム、フッ化マグネシウム、氷晶石等を用いることが好ましい。
熱伝導材の樹脂組成物への添加量は、10重量%以上であり、20重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがさらに好ましく、35重量%以上であることがよりさらに好ましく、40重量%以上であることが特に好ましく、50重量%以上であることがより特に好ましく、55重量%以上であることがさらにより特に好ましく、通常、95重量%以下である。
また、熱伝導材の屈折率は、母材となる樹脂の屈折率との差が小さいことが好ましく、0.10以下、好ましくは0.05以下、さらに好ましくは0.04以下である。
母材となる樹脂が2種以上の樹脂の混合物の場合には、いずれか1種の母材樹脂の屈折率と熱伝導材の屈折率差もしくは平均の屈折率のいずれかが上記範囲内であればよい。屈折率の測定は、例えば屈折率既知の標準溶液を用いた液浸法による測定などに従って測定することができる。また、2種以上の熱伝導材をする場合に、いずれか1種の熱伝導材の屈折率が上記範囲内であれば良い。
熱伝導材と樹脂の屈折率差の小さい、樹脂と熱伝導材の組み合わせとしては、例えば、ETFEとフッ化カルシウムの組み合わせ、シリコーン樹脂とフッ化カルシウムの組み合わせを挙げることができる。
樹脂組成物の熱伝導性を高めるためには、使用する熱伝導材の粒径に対して小さい一次粒径であるシリカの凝集体(フュームドシリカ)等を混合することが好ましい。
熱伝導材の平均粒子径としては、100nm以上であることが好ましく、500nm以上がさらに好ましい。平均粒子径が100nm未満では樹脂組成物の粘度が増加し、成形性が悪化するので好ましくない。一方、成形品外観の観点から、500μm以下が好ましく、200μm以下であることがさらに好ましい。また複数の熱伝導材を用いる場合は、粒径やアスペクト比の異なるものを混合した方が好ましい。熱伝導材同士は、連なった形態をとった方が好ましく、熱伝導性を上げることができる。
熱伝導材は表面処理してあることが好ましく、表面処理剤としては、ポリジメチルシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシロキサン化合物、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキルトリメトキシシラン、ジアルキルジメ
トキシシラン、グリシジルトリメトキシシラン等のシラン化合物、チタネートカップリング剤等を好ましく使用することができる。これらの中で、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキルトリメトキシシランが特に好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサンが最も好ましい。これらは、単独で、あるいは、組み合わせて使用することができ、樹脂組成物の透明性を高めたり、着色を防いだりすることができる。熱伝導材の形態は、球状であっても、棒状等であってもよいが、アスペクト比が高い方が、樹脂組成物の熱伝導率を高める上で好ましい。
<1−3.蛍光体>
本発明に用いる樹脂組成物および波長変換部材は蛍光体を含む。樹脂組成物における蛍光体の含有量は、通常0.01重量%以上であり、さらに、0.2重量%以上、50重量%以下であることが好ましい。
本願発明で用いられる蛍光体は、短残光蛍光体であることが好ましい。短残光蛍光体は、励起光に照射された時の蛍光体の発光量が10分の1に減少する残光時間が、短いことが好ましく、一般照明用途では、1秒以内であることが好ましくディスプレイ用途では、10分の1秒以内であることが好ましい。
本願発明で用いられる蛍光体の種類は適宜選択されるが、無機蛍光体であることが好ましく、赤色(橙色)、緑色、青色、黄色蛍光体については、代表的な蛍光体として下記のものが挙げられる。
このとき、蛍光体は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせてもよい。2種類以上の蛍光体を用いることにより、色温度を低下させたり、演色性を向上させたりすることができる。
さらに、本発明で用いられる蛍光体は表面処理が施されていても良い。表面処理剤としては、ポリジメチルシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等のシロキサン化合物、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキルトリメトキシシラン、ジアルキルジメトキシシラン、グリシジルトリメトキシシラン等のシラン化合物、チタネートカップリング剤等を好ましく使用することができる。これらの中で、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキルトリメトキシシランが特に好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサンが最も好ましい。これらは、単独で、あるいは、組み合わせて使用することができ、樹脂組成物の透明性を高めたり、着色を防いだりすることができる。
<1−3−1.赤色蛍光体>
赤色蛍光体の発光ピーク波長は、通常565nm以上、好ましくは575nm以上、より好ましくは580nm以上、また、通常780nm以下、好ましくは700nm以下、より好ましくは680nm以下の波長範囲にあることが好適である。
赤色蛍光体の発光ピークの半値幅は、通常1nm〜120nmの範囲である。また、外部量子効率は、通常60%以上、好ましくは70%以上であり、重量メディアン径は、通常0.1μm以上、好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは5.0μm以上であり、通常40μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。
このような赤色蛍光体として、例えば、例えば、特開2006−008721号公報に記載されているCaAlSiN:Eu(本願明細書で「CASN」と記載することもある。)、特開2008−7751号公報に記載されている(Sr,Ca)AlSiN:Eu、特開2007−231245号公報に記載されているCa1−xAl1−xSi1+x3−x:Eu等のEu付活酸化物、窒化物又は酸窒化物蛍光体等や、特開2008―38081号公報(Sr,Ba,Ca)SiO:Eu(以下、「SBS蛍光体」
と略称することがある。)を用いることも可能である。
そのほか、赤色蛍光体としては、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Eu等のEu付活アルカリ土類シリコンナイトライド系蛍光体、(La,Y)S:Eu等のEu付活酸硫化物蛍光体、(Y,La,Gd,Lu)S:Eu等のEu付活希土類オキシカルコゲナイド系蛍光体、Y(V,P)O:Eu、Y:Eu等のEu付活酸化物蛍光体、(Ba,Mg)SiO:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)SiO:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、LiW:Eu、LiW:Eu,Sm、Eu、Eu:Nb、Eu:Sm等のEu付活タングステン酸塩蛍光体、(Ca,Sr)S:Eu等のEu付活硫化物蛍光体、YAlO:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、Ca(SiO:Eu、LiY(SiO:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、(Y,Gd)Al12:Ce、(Tb,Gd)Al12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si(N,O):Eu、(Mg,Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O):Eu等のEu付活酸化物、窒化物又は酸窒化物蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、BaMgSi:Eu,Mn、(Ba,Sr,Ca,Mg)(Zn,Mg)Si:Eu,Mn等のEu,Mn付活珪酸塩蛍光体、3.5MgO・0.5MgF・GeO2:Mn等の
Mn付活ゲルマン酸塩蛍光体、Eu付活αサイアロン等のEu付活酸窒化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La):Eu,Bi等のEu,Bi付活酸化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)S:Eu,Bi等のEu,Bi付活酸硫化物蛍光体、(Gd,Y,Lu,La)VO:Eu,Bi等のEu,Bi付活バナジン酸塩蛍光体、SrY:Eu,Ce等のEu,Ce付活硫化物蛍光体、CaLa:Ce等のCe付活硫化物蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgP:Eu,Mn、(Sr,Ca,Ba,Mg,Zn):Eu,Mn等のEu,Mn付活リン酸塩蛍光体、(Y,Lu)WO:Eu,Mo等のEu,Mo付活タングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)Si:Eu,Ce(但し、x、y、zは、1以上の整数を表わす。)等のEu,Ce付活窒化物蛍光体、(Ca,Sr,Ba,Mg)10(PO(F,Cl,Br,OH):Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロリン酸塩蛍光体、((Y,Lu,Gd,Tb)1−x−yScCe(Ca,Mg)1−r(Mg,Zn)2+rSiz−qGe12+δ等のCe付活珪酸塩蛍光体等を用いることもできる。
そのほか、半導体発光装置からの放射光の演色性を高めるため、あるいは、発光装置の発光効率を高めるため、赤色蛍光体として、赤色発光スペクトルの半値幅が20nm以下の赤色蛍光体(以下、「狭帯域赤色蛍光体」と呼ぶことがある。)を単独で用いることができるし又は他の赤色蛍光体、特に赤色発光スペクトルの半値幅が50nm以上の赤色蛍光体、と混合して用いることができる。そのような赤色蛍光体としては、A2+xMn(AはNaおよび/またはK;MはSiおよびAl;−1≦x≦1かつ0.9≦y+z≦1.1かつ0.001≦z≦0.4かつ5≦n≦7)で表されるKSF、KSNAF、及びKSFとKSNAFの固溶体、(k−x)MgO・xAF・GeO:yMn4+(ただし、式中、kは2.8〜5の実数であり、xは0.1〜0.7の実数であり、yは0.005〜0.015の実数であり、Aはカルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)、またはこれらの混合物である。)の化学式で示される、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn等のマンガン活性の深赤色(600nm〜670nm)ジャーマネート蛍光体、(La1−x−y,Eu,LnS(x及びyは、それぞれ0.02≦x≦0.50及び0≦y≦0.50を満たす数を表し、LnはY、Gd、Lu、Sc、Sm及びErの少なくとも1種の3価希土類元素を表す。)の化学式で示されるLOS蛍光体等が挙げられる。
また、国際公開WO2008−096300号公報に記載されているSrAlSiや、米国特許7524437号公報に記載されているSrAlSi14:Euを用いることもできる。
以上の中でも、赤色蛍光体としては、高温においても波長変換効率の高い蛍光体が好ましく、CASN蛍光体、SCASN蛍光体、CASON蛍光体、SBS蛍光体が好ましい。
以上に例示した赤色蛍光体は、何れか一種のみを使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
<1−3−2.緑色蛍光体>
緑色蛍光体の発光ピーク波長は、通常500nmより大きく、中でも510nm以上、さらには515nm以上であることが好ましく、また、通常550nm以下、中でも540nm以下、さらには535nm以下の範囲であることが好ましい。この発光ピーク波長が短過ぎると青味を帯びる傾向がある一方で、長過ぎると黄味を帯びる傾向があり、何れも緑色光としての特性が低下する可能性がある。
緑色蛍光体の発光ピークの半値幅は、通常1nm〜80nmの範囲である。また、外部量子効率は、通常60%以上、好ましくは70%以上であり、重量メディアン径は、通常0.1μm以上、好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは5.0μm以上であり、通常40μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。
このような緑色蛍光体として、例えば、国際公開WO2007−091687号公報に記載されている(Ba,Ca,Sr,Mg)SiO:Eu(以下、「BSS蛍光体」と略称することがある。)で表されるEu付活アルカリ土類シリケート系蛍光体等が挙げられる。
また、そのほか、緑色蛍光体としては、例えば、特許第3921545号公報に記載されているSi6−zAl8−z:Eu(但し、0<z≦4.2である。以下、「β−SiAlON蛍光体」と略称することがある。)等のEu付活酸窒化物蛍光体や、国際公開WO2007−088966号公報に記載されているMSi12:Eu(但し、Mはアルカリ土類金属元素を表す。以下、「BSON蛍光体」と略称することがある。)等のEu付活酸窒化物蛍光体や、特開2008−274254号公報に記載されているBaMgAl1017:Eu,Mn付活アルミン酸塩蛍光体(以下、「GBAM蛍光体」と略称することがある。)を用いることも可能である。
その他の緑色蛍光体としては、(Mg,Ca,Sr,Ba)Si:Eu等のEu付活アルカリ土類シリコンオキシナイトライド系蛍光体、SrAl1425:Eu、(Ba,Sr,Ca)Al24:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(Sr,Ba)AlSi:Eu、(Ba,Mg)SiO:Eu、(Ba,Sr,Ca)(Mg,Zn)Si:Eu、(Ba,Ca,Sr,Mg)(Sc,Y,Lu,Gd)(Si,Ge)24:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、YSiO:Ce,Tb等のCe,Tb付活珪酸塩蛍光体、Sr−Sr:Eu等のEu付活硼酸リン酸塩蛍光体、SrSi−2SrCl:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体、ZnSiO:Mn等のMn付活珪酸塩蛍光体、CeMgAl1119:Tb、YAl12:Tb等のTb付活アルミン酸塩蛍光体、Ca(SiO:Tb、LaGaSiO14:Tb等のTb付活珪酸塩蛍光体、(Sr,Ba,Ca)Ga:Eu,Tb,Sm等のEu,Tb,Sm付活チオガレート蛍光体、Y(Al,Ga)12:Ce、(Y,Ga,Tb,La,Sm,Pr,Lu)(Al,Ga)12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、CaScSi12:Ce、Ca(Sc,Mg,Na,Li)Si12:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaSc:Ce等のCe付活酸化物蛍光体、Eu付活βサイアロン等
のEu付活酸窒化物蛍光体、SrAl:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、(La,Gd,Y)S:Tb等のTb付活酸硫化物蛍光体、LaPO:Ce,Tb等のCe,Tb付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Cu,Al、ZnS:Cu,Au,Al等の硫化物蛍光体、(Y,Ga,Lu,Sc,La)BO:Ce,Tb、NaGd:Ce,Tb、(Ba,Sr)(Ca,Mg,Zn)B:K,Ce,Tb等のCe,Tb付活硼酸塩蛍光体、CaMg(SiOCl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba)(Al,Ga,In):Eu等のEu付活チオアルミネート蛍光体やチオガレート蛍光体、(Ca,Sr)(Mg,Zn)(SiOCl:Eu,Mn等のEu,Mn付活ハロ珪酸塩蛍光体、MSi:Eu等のEu付活酸窒化物蛍光体等を用いることもできる。
また、国際公開WO2009−072043号公報に記載されているSrAlSi2135:Euや、国際公開WO2007−105631号公報に記載されているSrSi13Al21:Euを用いることもできる。
以上の中でも、緑色蛍光体としては、BSS蛍光体、β−SiAlON蛍光体、BSON蛍光体が好ましい。また、高温においても波長変換効率の高い蛍光体が好ましく、そのような蛍光体として、LuAl12:Ce等のCe付活アルミン酸塩蛍光体、β−SiAlON蛍光体が好ましい。
以上に例示した緑色蛍光体は、何れか一種のみを使用してもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
そのほか、半導体発光装置からの放射光の演色性を高めるため、あるいは、発光装置の発光効率を高めるため、緑色蛍光体として、緑色発光スペクトルの半値幅が20nm以下の緑色蛍光体(以下、「狭帯域緑色蛍光体」と呼ぶことがある。)を単独で用いることができる。
<1−3−3.青色蛍光体>
青色蛍光体の発光ピーク波長は、通常420nm以上、好ましくは430nm以上、より好ましくは440nm以上で、通常は500nm未満、好ましくは490nm以下、より好ましくは480nm以下、更に好ましくは470nm以下、特に好ましくは460nm以下の波長範囲である。
青色蛍光体の発光ピークの半値幅は、通常10nm〜100nmの範囲である。また、外部量子効率は、通常60%以上、好ましくは70%以上であり、重量メディアン径は、通常0.1μm以上、好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは5.0μm以上であり、通常40μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。
このような青色蛍光体として、例えば、(Ca,Sr,Ba)(POCl:Euで表されるユウロピウム付活ハロリン酸カルシウム系蛍光体、(Ca,Sr,Ba)Cl:Euで表されるユウロピウム付活アルカリ土類クロロボレート系蛍光体、(Sr,Ca,Ba)Al24:Euまたは(Sr,Ca,Ba)Al1425:Euで表されるユウロピウム付活アルカリ土類アルミネート系蛍光体等が挙げられる。
また、そのほか、青色蛍光体としては、Sr:Sn等のSn付活リン酸塩蛍光体、SrAl1425:Eu、BaMgAl1017:Eu、BaAl13:Eu等のEu付活アルミン酸塩蛍光体、SrGa:Ce、CaGa:Ce等のCe付活チオガレート蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu、BaMgAl1017:Eu,Tb,Sm等のEu,Tb,Sm付活アルミン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)MgAl1017:Eu,Mn等のEu,Mn付活アルミン酸
塩蛍光体、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(POCl:Eu、(Ba,Sr,Ca)(PO(Cl,F,Br,OH):Eu,Mn,Sb等のEu,Tb,Sm付活ハロリン酸塩蛍光体、BaAlSi:Eu、(Sr,Ba)MgSi:Eu等のEu付活珪酸塩蛍光体、Sr:Eu等のEu付活リン酸塩蛍光体、ZnS:Ag、ZnS:Ag,Al等の硫化物蛍光体、YSiO:Ce等のCe付活珪酸塩蛍光体、CaWO等のタングステン酸塩蛍光体、(Ba,Sr,Ca)BPO:Eu,Mn、(Sr,Ca)10(PO・nB:Eu、2SrO・0.84P・0.16B:Eu等のEu,Mn付活硼酸リン酸塩蛍光体、SrSi・2SrCl:Eu等のEu付活ハロ珪酸塩蛍光体等を用いることも可能である。
このうち、(Sr,Ca,Ba)10(POCl:Eu2+、BaMgAl1017:Euを好ましく用いることができる。また、(Sr,Ca,Ba)10(POCl:Eu2+で示される蛍光体のうち、SrBaEu(POCl(c、d及びxは、2.7≦c≦3.3、0.9≦d≦1.1、0.3≦x≦1.2を満足する数であり、xは好ましくは0.3≦x≦1.0である。さらに、a及びbは、a+b=5−xかつ0.05≦b/(a+b)≦0.6の条件を満足するものであり、b/(a+b)は好ましくは0.1≦b/(a+b)≦0.6である。)で示される蛍光体を好ましく用いることができる。
そのほか、半導体発光装置からの放射光の演色性を高めるため、あるいは、発光装置の発光効率を高めるため、青色蛍光体として、青色発光スペクトルの半値幅が20nm以下の青色蛍光体(以下、「狭帯域青色蛍光体」と呼ぶことがある。)を単独で用いることができる。
<1−3−4.黄色蛍光体>
黄色蛍光体の発光ピーク波長は、通常は530nm以上、好ましくは540nm以上、より好ましくは550nm以上で、通常は620nm以下、好ましくは600nm以下、より好ましくは580nm以下の波長範囲である。 黄色蛍光体の発光ピークの半値幅は、通常80nm〜130nmの範囲である。また、外部量子効率は、通常60%以上、好ましくは70%以上であり、重量メディアン径は、通常0.1μm以上、好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは5.0μm以上であり、通常40μm以下、好ましくは30μm以下、さらに好ましくは20μm以下である。
このような黄色蛍光体として、例えば、各種の酸化物系、窒化物系、酸窒化物系、硫化物系、酸硫化物系等の蛍光体が挙げられる。特に、RE12:Ce(ここで、REは、Y、Tb、Gd、Lu、及びSmからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表し、Mは、Al、Ga、及びScからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表す。)やMaMbMc12:Ce(ここで、Maは2価の金属元素、Mbは3価の金属元素、Mcは4価の金属元素を表す。)等で表されるガーネット構造を有するガーネット系蛍光体、AEMdO:Eu(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg、及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表し、Mdは、Si、及び/又はGeを表す。)等で表されるオルソシリケート系蛍光体、これらの系の蛍光体の構成元素の酸素の一部を窒素で置換した酸窒化物系蛍光体、AEAlSiN:Ce(ここで、AEは、Ba、Sr、Ca、Mg及びZnからなる群から選ばれる少なくとも1種類の元素を表す。)等のCaAlSiN構造を有する窒化物系蛍光体をCeで付活した蛍光体、La3Si611:Ce、Ca1.5xLa3-xSi611:Ce(但し、xは0≦x≦1である)等のランタンケイ素窒化物結晶を母体とする蛍光体が挙げられる。
また、その他、黄色蛍光体としては、CaGa:Eu、(Ca,Sr)Ga
:Eu、(Ca,Sr)(Ga,Al):Eu等の硫化物系蛍光体、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu等のSiAlON構造を有する酸窒化物系蛍光体等のEuで付活した蛍光体、(M1−A−BEuMn(BO1−P(POX(但し、Mは、Ca、Sr、及びBaからなる群より選ばれる1種以上の元素を表し、Xは、F、Cl、及びBrからなる群より選ばれる1種以上の元素を表す。A、B、及びPは、各々、0.001≦A≦0.3、0≦B≦0.3、0≦P≦0.2を満たす数を表す。)等のEu付活又はEu,Mn共付活ハロゲン化ホウ酸塩蛍光体、アルカリ土類金属元素を含有していてもよい。なお、前述のCe付活窒化物系蛍光体は、その一部がCaやOで一部置換されていてもよい。
これらの中で、ガーネット系蛍光体は好ましく用いられるが、その中でも特にYAl12:Ce(本願明細書で「YAG」と記載することもある。)が好ましく用いられる。
また、高温においても波長変換効率の高い蛍光体が好ましく、そのような蛍光体として、La3Si611:Ce、Ca1.5xLa3-xSi611:Ce(但し、xは0≦x≦1である)等のランタンケイ素窒化物結晶を母体とする蛍光体が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、熱可塑性樹脂組成物の合計重量を100重量%としたときの蛍光体含有量は、通常0.01重量%以上であるが、0.2重量%以上が好ましく、0.5重量%以上がより好ましく、1重量%以上が最も好ましい。一方、蛍光体含有量の上限は通常50重量%以下であるが、15重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。この範囲とすることで、樹脂組成物を波長変換部材としたときの厚みが適切な範囲になり易く、波長変換部材の強度低下を抑制し得る。
また、蛍光体の平均粒径は、10μm以上であることが好ましく、15μm以上であることがより好ましい。この範囲とすることで、波長変換部材としたときの波長変換効率の低下を抑制し得る。
ここで、上記平均粒径とは、一次粒子の平均粒径であり、レーザ粒度計により測定された値である。
LuAl12:Ce等のCe付活アルミン酸塩の緑色蛍光体とYAl12:Ceで表される黄色蛍光体の組み合わせ、あるいはこれらにCASN蛍光体を食えた組み合わせは、高温でも、青色光の高い波長変換効率を保持し、かつ、熱安定性が高いので、白色発光装置に好適に用いることができる。
<1.4樹脂組成物の製造>
本発明の樹脂組成物の製造方法は特段限定されず、定法に従い製造すればよい。例えば熱可塑性樹脂を用いる場合は、熱可塑性樹脂と蛍光体、熱伝導材、好ましくは透過率調整剤(光拡散剤)及び必要に応じて配合される他の添加剤を配合した組成物を製造するために、1軸又は2軸押し出し機を混練機として使用することができる。熱可塑性樹脂と蛍光体、透過率調整剤を含む他の添加剤は、一ヶ所から一括して供給してもよいし、熱可塑性樹脂を供給後、蛍光体等の他の配合剤を順次供給してもよい。また、各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合、混練しておいてもよい。特に、蛍光体は他の粉末成分と混合後供給することが好ましい。熱伝導材、透過率調整剤や蛍光体等の表面処理は、あらかじめ表面処理剤で処理したものを使用して混練をおこなっても良いが、混練機に表面処理剤を直接混練機に添加して、混練機内で表面処理を行うこともできる。なお、押し出し機は揮発成分を脱揮できるベント口を備えたものであってもよい。
<2.波長変換部材>
本発明の第二の態様は、入射光の少なくとも一部を波長変換して、前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する波長変換部材であって、該波長変換部材は、前記入射光の少なくとも一部を吸収して前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する蛍光体と、該蛍光体を保持する熱可塑性樹脂を含む、面状構造を有するものであって、該熱伝導材の熱伝導率が1.5W/mK以上であり、該熱伝導材を10重量%以上含有し、該面状構造の少なくとも一部は、全光線透過率が30%以上、70%以下である波長変換部材に関する。
また、本発明の第二の実施態様は、第一の実施態様に係る樹脂組成物から作成して成る波長変換部材に関する。
本実施態様に係る波長変換部材を製造する方法は、特段限定されず、定法に従い製造すればよい。例えば、本発明第一の態様の樹脂組成物を用いることが好ましく、例えば熱可塑性樹脂を用いる場合は、熱可塑性樹脂と蛍光体、熱伝導材、好ましくは透過率調整剤(光拡散剤)及び必要に応じて配合される他の添加剤を配合した組成物を製造するために、1軸又は2軸押し出し機を混練機として使用することができる。熱可塑性樹脂と蛍光体、透過率調整剤を含む他の添加剤は、一ヶ所から一括して供給してもよいし、熱可塑性樹脂を供給後、蛍光体等の他の配合剤を順次供給してもよい。また、各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合、混練しておいてもよい。特に、蛍光体は他の粉末成分と混合後供給することが好ましい。なお、押し出し機は揮発成分を脱揮できるベント口を備えたものであってもよい。このようにして樹脂組成物を混練後、プレス成形や射出成形、中空成形、押出成形、などの方法により溶融成形することで、波長変換部材は製造される。
射出成形としては、シリコーン等の熱硬化性樹脂に対するRIM成形やLIM成形も包含する。一般的な熱可塑性樹脂に対する射出成形としては、樹脂組成物を加温することで溶融させ、溶融した樹脂組成物を金型に射出することで成形する。また、組成物の配合の異なる2種類以上のペレットを任意の比率でドライブレンドして供給し、射出成形機内で溶融混合して成形することも可能である。溶融する場合の温度は、非晶性樹脂の場合はガラス転移点以上の温度であることが好ましく、結晶性樹脂の場合は融点以上の温度であることが好ましく、例えば150℃以上、好ましくは170℃以上である。成形温度は、高すぎる場合には成形体が着色する場合があることから、170℃以上320℃以下の温度で成形することが好ましい。
なお、射出成形は、ホットランナー付きの射出成形装置を用いると、スプルーランナーのロスを低減することができるため好ましく、断熱金型やヒート・アンド・クール金型を用いることで成形品外観や流動性を改良する事も可能である。
押し出し成形においては、本発明の樹脂組成物ペレットを押出し成形を行い、シートやフィルム、ボトル状、チューブ状に成形することも可能であるが、組成物の配合の異なる2種類以上のペレットまたは粉末を任意の比率でドライブレンドして供給し、成形機内で溶融混合して成形することも可能である。なお、押し出し機は揮発成分を脱揮できるベント口を備えたものであってもよい。
上記熱可塑性樹脂組成物を成形する工程の際の雰囲気は、特段限定されることはないが、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、窒素ガス雰囲気下で行うことがより好ましい。ポリアリレート樹脂、シクロオレフィンコポリマー樹脂等を用いた場合には、窒素ガス雰囲気下で行うことにより、特に発光効率が上昇する。また、ガラス転移温度Tgが150℃以上の樹脂で成形温度が300℃以上の場合には、発光効率が向上する。
波長変換部材は、白色LED発光装置中の白色光発光面となり得る面状構造を有する形状であればどの様な形状であっても良いが、一般的には面状構造の厚さは0.3mm〜5mmが一般的である。また、本発明の波長変換部材は、全光線透過率が30〜70%の範
囲内であれば単層構造であっても、2層以上の多層積層構造であっても良い。また、表面は、鏡面であってもシボ等の微細構造があっていても良く、外表面にハードコート、印刷等を施す事もできる。
<2−1.波長変換部材の全光線透過率>
本実施態様に係る波長変換部材は、前述のとおり、面状構造の少なくとも一部は、全光線透過率が30%以上70%以下であることを特徴とする。このような範囲とすることで、発光装置に適用した際に、低色温度で全光束を向上させることが可能となる。
上記全光線透過率は、35%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、45%以上であることが更に好ましい。一方65%以下であることが好ましく、60%以下であることがより好ましく、55%以下であることが更に好ましい。
波長変換部材の全光透過率の調整は、例えば後述する透過率調整剤拡散剤(光拡散剤)を含有させることで可能である。また、熱可塑性樹脂をアロイ化することでも、全光透過率の調整を行うことができる。
ここで、本実施態様に係る波長変換部材は面状構造を有する。面状構造とは、発光装置において発光面となる部分を意図しており、例えば波長変換部材が波長変換部材として発光装置に備えられた際、その端部などにみられる他の部材との結合部・接合部・噛合部ではなく、波長変換部材中央近傍に位置する、主として励起光を受光して外部へ光を出射し得る箇所をいう。
図1を用いて説明すると、図1中の波長変換部材3における一点鎖線部はいずれも面状構造部分である。一方、波長変換部材3における配線基板2近傍部分については、面状構造ではない。
本実施形態では、波長変換部材の面状構造の少なくとも一部が上記全光線透過率の範囲を満たしていればよく、波長変換部材の面状構造の全部が上記全光線透過率の範囲を満たしていることがより好ましい。少なくとも一部とは、通常10%以上、好ましくは30%、より好ましくは50%であり得る。
面状構造の厚みは、0.3mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましく、0.7mm以上であることが更に好ましい。また、5mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましく、2.5mm以下であることが更に好ましい。
なお、本発明の第一の実施態様の樹脂組成物においては、1.0mm厚のプレートを作成して上記測定方法と同様にして、樹脂組成物の全光線透過率を評価することができる。
<3.発光装置>
本発明の第三の実施態様は、半導体発光素子、および第二の実施態様に係る波長変換部材を備える発光装置である。
本実施形態に係る発光装置は、少なくとも青色半導体発光素子と、青色光の波長を変換する波長変換部材である本発明の第二の実施態様に係る波長変換部材を含有するものである。青色半導体発光素子と本発明の第二の実施態様に係る波長変換部材とは密着していても、離間していてもよく、その間に透明樹脂を備えていてもよく、空間を有していてもよい。図1に模式図として示す様に発光素子と該波長変換部材との間に空間を有する構造であることが好ましい。
以下、その構成を図1及び図2を用いて説明する。
図1は、本発明の第三の実施形態に係る発光装置の模式図である。
発光装置10は、その構成部材として、少なくとも青色半導体発光素子1と波長変換部材3を有する。青色半導体発光素子1は、波長変換部材3に含有される蛍光体を励起する
ための励起光を発する。
青色半導体発光素子1は、通常ピーク波長が425nm〜475nmの励起光を発し、好ましくはピーク波長が430nm〜470nmの励起光を発する。青色半導体発光素子1の数は、装置が必要とする励起光の強さにより適宜設定することが可能である。
一方青色半導体発光素子1の代わりに、紫色半導体発光素子を用いることができる。紫色半導体発光素子は、通常ピーク波長が390nm〜425nmの励起光を発し、好ましくはピーク波長が395〜415nmの励起光を発する。
青色半導体発光素子1は、配線基板2のチップ実装面2aに実装される。配線基板2には、これら青色半導体発光素子1に電極を供給するための配線パターン(図示せず)が形成され、電気回路を構成する。図1中、配線基板2に波長変換部材3が載っているように表示されているがこの限りではなく、配線基板2と波長変換部材3が他の部材を介して配置されていてもよい。
例えば図2では、配線基板2と波長変換部材3が、枠体4を介して配置される。枠体4は、光に指向性を持たせるために、テーパ状になっていてもよい。また、枠体4は反射材であってもよい。
配線基板2は、電気絶縁性に優れて良好な放熱性を有し、かつ、反射率が高いことが好ましいが、配線基板2のチップ実装面上で青色半導体発光素子1の存在しない面上、もしくは配線基板2と波長変換部材3を接続する他の部材の内面の少なくとも一部に反射率の高い反射板を設ける事もできる。このような配線基板もしくは反射板の反射率としては、80%以上であることが好ましい。このような配線基板としては、アルミナ系セラミック、樹脂、ガラスエポキシ、樹脂中にフィラーを含有した複合樹脂などを用いることができる。また、配線基板2のチップ実装面2a上に設置する反射板としては、アルミナ粉末、シリカ粉末、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛などの白色顔料を含む樹脂を用いることができる。好ましい樹脂としては、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素系樹脂等をあげることができる。
波長変換部材3は、青色半導体発光素子1が発する入射光の一部を波長変換し、入射光とは異なる波長の出射光を放射する。波長変換部材3は、樹脂と蛍光体を含有する。蛍光体(図示せず)の種類は特段限定されず、発光装置が白色発光装置であれば、半導体発光素子の励起光の種類に合わせて、白色光を発するように蛍光体の種類を適宜調整すればよい。
半導体発光素子が青色半導体発光素子である場合、黄色蛍光体を用いるか、緑色蛍光体及び赤色蛍光体を用いることで、白色光を発する発光装置とすることができる。
半導体発光素子が紫色半導体発光素子である場合、青色蛍光体、緑色蛍光体及び赤色蛍光体を用いることで、白色光を発する発光装置とすることができる。
また、波長変換部材3中には、蛍光体とともに、少量の透過率調整剤を含有させることが好ましい。透過率調整剤としては、無機系光透過率調整剤、有機系光透過率調整剤又は気泡が挙げられる。透過率調整剤としては、シリカ、ガラス、炭酸カルシウム、酸化チタン、シルセスキオキサン、及びマイカからなる群から選択される1種以上を含むことが好ましい。
また、波長変換部材3は、青色半導体発光素子1との間に距離を有する。波長変換部材3と青色半導体発光素子1との間は、空間であってもよく、透明樹脂が備えられていてもよい。このように、波長変換部材3と青色半導体発光素子1との間に距離を有する態様に
より、青色半導体発光素子1が発する熱によって波長変換部材3及び波長変換部材に含まれる蛍光体の劣化を抑制することができる。青色半導体発光素子1と波長変換部材3との間の距離は、10μm以上が好ましく、100μm以上がさらに好ましく、1.0mm以上が特に好ましい、一方1.0m以下が好ましく、500mm以下がさらに好ましく、100mm以下が特に好ましい。
本発明の第三の実施態様に係る発光装置は、白色光を放射する発光装置であることが好ましい。白色光を放射する発光装置は、発光装置から放射される光が、光色の黒体輻射軌跡からの偏差duvが−0.0200〜0.0200であり、かつ色温度が1800K以上、7000K以下であることが好ましい。
第三の実施態様に係る発光装置は、低色温度の光を発する場合であっても、高い光束を達成することができる。よって、色温度が5500K以下、5000K以下、4500K以下、などの低色温度の光を発する場合に、特に好適である。
このように白色光を出射する発光装置は、照明装置に好適に備えられる。
<4.LED照明器具>
本発明の第四の実施態様は、第三の実施態様に係る発光装置を備える照明器具である。上記のように、第三の実施態様に係る発光装置からは、高い全光束が出射されており、
また、全光束が低下しやすい低色温度の白色光を出射する発光装置であっても高い全光束が達成されるため、全光束の高い照明器具を得ることが出来る。照明器具は、消灯時に波長変換部材の色が目立たないように、発光装置中の波長変換部材を覆う拡散部材を配置することが好ましい。拡散部材としては、ヘイズが40%以上、全光線透過率が60%以上であれば特に制限は無く、波長変換部材の外側に配置されていれば、照明器具として配置されても、発光装置中に組み込まれていてもかまわない。拡散部材と波長変換部材を共に含む空間内の他部材の少なくとも一部は反射率の高い反射板となっていることが好ましい。
<5.光学部材>
本発明の第五の態様は、熱伝導材と、熱伝導材を保持する樹脂を含む、面状構造を有する光学部材であって、該熱伝導材の熱伝導率が1.5W/mK以上であり、該熱伝導材を10重量%以上含有し、該面状構造の少なくとも一部は、全光線透過率が30%以上、70%以下である波長変換部材に関する。
また、本発明の第二の実施態様は、第一の実施態様に係る樹脂組成物から作成して成る光学部材に関する。
本実施態様に係る波長変換部材を製造する方法は、特段限定されず、定法に従い製造すればよい。例えば、本発明第一の態様の樹脂組成物を用いることが好ましく、例えば熱可塑性樹脂を用いる場合は、上記2.の波長変換部材に記載の方法により製造することができる。
光学部材は、半導体発光装置用途、照明装置用途、検査機器用途、表示装置用途、レンズ用途、波長変換部材の基板用途、封止部材用途等に好適に用いられる。光学部材において熱を発生する場合に、当該熱を光学部材中に蓄積することなく、光学部材を接触・保持する筐体、ヒートシンク等により放熱することができるからである。
以下、実施例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明は、以下の実施態様にのみ限られないことはいうまでもない。
<実施例1〜8、比較例1〜6>
以下に示す樹脂、熱伝導材、蛍光体を準備した。また、樹脂及び熱伝導材の物性を表1
に示す。
<原料>
(樹脂)
樹脂1: ETFE 旭硝子(株)製 Fluon ETFE C−88AXP
樹脂2: ETFE 旭硝子(株)製 Fluon LM−ETFE LM730AP
樹脂3: FEP ダイキン工業(株)製 ネオフロンFEP NP101
(蛍光体)
蛍光体1: 三菱化学(株)製 YAG 商品名 BY102D
平均粒子径=17μmのシリコーンオイル処理品
蛍光体2: 三菱化学(株)製 CASN 商品名BR101A
平均粒子径=8.5μm
(熱伝導材)
熱伝導材1: 森田化学工業(株)製 フッ化カルシウムSS(光学用)
純度=99.2%、熱伝導率=9.7W/mK、平均粒子径=20μm
熱伝導材2: 森田化学工業(株)製 フッ化カルシウムSS(光学用)を、東レ・ダウコーニング(株)製 シリコーンオイルSH1107、0.5%で処理したもの。
熱伝導材3: 森田化学工業(株)製 フッ化カルシウム 工業用 純度=98%、熱伝
導率=9.7W/mK 平均粒子径=10μm
熱伝導材4: 電気化学工業(株)製 球状シリカ FB20Dを、東レ・ダウコーニン
グ(株)製 シリコーンオイルSH1107、0.5%で処理したもの。
熱伝導材5: 石原産業(株)酸化チタン CR60を、東レ・ダウコーニング(株)製
シリコーンオイルSH1107、3.0%で処理したもの
Figure 2014145012
表2、表3の配合組成で(株)東洋精機製作所製ラボプラストミルにて300℃、回転数60rpmで3分間混練をおこなった後、300℃でプレス成形を行った。光学評価には1mm厚、35〜45mmΦの円板を、熱伝導率測定には0.5mm厚成形品を用いて、全光線透過率、L値、発光特性、熱伝導率を測定した。その結果を表2、表3に示す。
<全光線透過率測定>
日本電色工業(株)製 濁度計 NDH2000を使用して、JIS K7361に準
拠して測定を行った。本装置の入り口開口は20mmΦであり、光源はハロゲンランプであった。
<発光特性測定>
450nmで発光するLED発光素子上に成形品を保持し、成形品を透過して波長変換された光の特性として光束と色度座標、色温度、平均演色評価数 (Ra)を測定した。
光束は実施例各表の左端の材料の光束を基準として%で表記した。
<熱伝導率測定>
株式会社アイフェイズ製 熱拡散率・熱伝導率測定装置 「アイフェイズ・モバイル
1u」を用いて測定した。
<色差測定>
日本電色工業(株)製 測色色差計 ZE−2000を使用して、標準白板を試料押さ
えとして使用して反射のL、a、bを測定した。
<ヘーズ測定>
日本電色工業(株)製 濁度計 NDH2000を使用して、JISK7136に準拠
して測定を行った結果、実施例1〜8は90%以上であった。
Figure 2014145012
Figure 2014145012
<実施例9〜12、比較例7〜8>
以下に示す樹脂、熱伝導材、蛍光体を準備した。また、樹脂及び熱伝導材の物性を表4に示す。
<原料>
(樹脂)
樹脂1: 東レ・ダウ・コーニング社製 シリコーン樹脂 商品名OE−6336A/B(蛍光体)
蛍光体1: 三菱化学(株)製 LuAG 商品名 BG801
平均粒子径=10μm
蛍光体2: 三菱化学(株)製 CASN 商品名BR101A
平均粒子径=8.5μm
(熱伝導材)
熱伝導材1: 森田化学工業(株)製 フッ化カルシウムSS(光学用)
純度=99.2%、熱伝導率=9.7W/mK、平均粒子径=20μm
熱伝導材2: マイクロン社製 球状アルミナAX3−15
熱伝導率=30W/mK、平均粒子径=3μm
熱伝導材3: 日本アエロジル社製 ヒュームドシリカ アエロジルRX−200 熱伝導率=1W/mK 平均粒子径=10nm(一次粒径)
Figure 2014145012
表5の配合組成で各材料を総重量10gとなるように秤量し、EME社製真空脱泡混練機V-mini300を用いて室温下、1200rpmで3分間脱泡混練し、蛍光体含有シリコーン樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を62mmΦで、光学評価には1mm厚、熱伝導率測定には0.3mm厚となるよう注型し、150℃5分、続いて200℃20分加熱硬化することで試験片を得た。
得られた試験片を用いてそれぞれ全光線透過率、L値、発光特性、熱伝導率を測定した。その結果を表5に示す。
Figure 2014145012
10 発光装置
1 半導体発光素子
2 配線基板
2a チップ実装面
3 波長変換部材
4 枠体

Claims (21)

  1. 樹脂と熱伝導材を含有する樹脂組成物であって、
    該熱伝導材の熱伝導率が1.5W/mK以上であり、該熱伝導材を10重量%以上含有し、
    該樹脂組成物の1.0mm厚プレートの全光線透過率が、20%以上である樹脂組成物。
  2. 前記熱伝導材の屈折率と、前記樹脂の屈折率との差の絶対値が0.10以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記熱伝導材の平均粒子径が、0.5μm以上、500μm以下である事を特徴とする請求項1又は2記載の樹脂組成物
  4. さらに、蛍光体を0.1〜40重量%含有する事を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記樹脂が、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記熱可塑性樹脂が、フッ素樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の脂組成物。
  7. 前記樹脂が、シリコーン樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  8. 前記熱伝導材が、金属フッ化物であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  9. 前記フッ素樹脂が、ETFEであり、前記熱伝導材がフッ化カルシウムである請求項6又は8に記載の樹脂組成物。
  10. 前記樹脂がシリコーン樹脂であり、前記熱伝導材がフッ化カルシウムである請求項7又は8に記載の樹脂組成物。
  11. 前記熱伝導材が、シロキサン化合物及び/又はシラン化合物で表面処理されている事を特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  12. 前記フッ化カルシウムの純度が、98%以上である請求項9〜11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  13. 前記樹脂組成物の熱伝導率が、0.4W/mK以上である請求項1〜12のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  14. 請求項4〜13のいずれか1項に記載の樹脂組成物から作成して成る波長変換部材。
  15. 前記波長変換部材の有する面状構造の少なくとも一部は、全光線透過率が30%以上、70%以下である請求項14に記載の波長変換部材。
  16. 入射光の少なくとも一部を波長変換して、前記入射光とは異なる波長の出射光を放出す
    る波長変換部材であって、
    該波長変換部材は、前記入射光の少なくとも一部を吸収して前記入射光とは異なる波長の出射光を放出する蛍光体と、熱伝導材と、該蛍光体及び該熱伝導材を保持する樹脂を含む、面状構造を有するものであって、
    該熱伝導材の熱伝導率が1.5W/mK以上であり、該熱伝導材を10重量%以上含有し、
    該面状構造の少なくとも一部は、全光線透過率が30%以上、70%以下
    であることを特徴とする波長変換部材。
  17. 請求項14〜16のいずれか1項に記載の波長変換部材と半導体発光素子を備えている発光装置。
  18. 請求項17に記載の発光装置を備えている照明器具。
  19. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物から作成して成る光学部材。
  20. 熱伝導材と、該熱伝導材を保持する樹脂を含む、面状構造を有する光学部材であって、該熱伝導材の熱伝導率が1.5W/mK以上であり、該熱伝導材を10重量%以上含有し、
    該面状構造の少なくとも一部は、全光線透過率が30%以上、70%以下であることを特徴とする光学部材。
  21. 前記熱伝導材の屈折率と、前記樹脂の屈折率との差の絶対値が0.1以下であることを特徴とする請求項20に記載の光学部材。
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